説明

複数色化粧料の充填成形方法及び複数色用化粧料容器

【課題】予備乾燥工程が不要で、かつ、複数色化粧料の境界部分での色混じりがない、複数色化粧料の充填成形方法を実現する。
【解決手段】充填成形方法は、底板部2と、この底板部2の外周端から立設した側壁部3とを有し、底板部2に、内部空間を2室に仕切るための直状挿入穴と、2色の化粧料充填用の2個の充填孔7とを設けた複数色用化粧料容器1を使用し、直状挿入穴に底板部2の外側から仕切り具5の直状仕切り片4を挿入し、開口側に空気が流通する吸引補助シート15を介在させ、吸引体11の端面部に嵌め込んで、2個の化粧料充填室6a、6bを形成し、吸引体11により複数色用化粧料容器1の内部を減圧吸引するとともに、2色の化粧料を化粧料充填室6a、6bに充填し、仕切り具5を複数色用化粧料容器1から抜き取り、押圧手段22により2色の化粧料を押圧し、2色の化粧料が境界線を境とし連続分布するように成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備乾燥工程が不要で一連の充填成形工程の簡略化を図れ、かつ、複数色化粧料の境界部分での色混じりがなく、高品質の製品とすることができる複数色化粧料の充填成形方法及び複数色用化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、単一の皿状容器内に、複数色の化粧料を充填し、複数色の化粧料を境界線を境として連続的に配置する複数色化粧料を得るための複数色化粧料の充填成形方法として、例えば、開口側から取りはずし可能に嵌めた中仕切りにより区画された皿状容器に対して複数色のスラリー状化した化粧料又は複数色の粉末化粧料を充填し、圧縮、乾燥して、固化し、中仕切りを除去する工程を採用した方法が知られている。
【0003】
しかし、かかる充填成形方法の場合、中仕切りを除去する際に一旦成形された化粧料の崩れが発生するという不都合が生じ、高品質の複数色化粧料を得ることは難しかった。
【0004】
特許文献1には、底壁部外側から挿脱自在に配置した中仕切りにより内部に適宜数の区分室が形成された容器の上面開口部を、空気吸引用の基体で対向閉止せしめた後、各区分室底壁部に形設した化粧料充填孔からスラリー状化した複数色の化粧料を色別に圧力注入し、中仕切りの抜き取りを行ない、然る後基体を外し、次いで予備乾燥、圧縮、乾燥の各工程を経て固化させるようにした複数色固形状化粧料の充填成形方法及び充填成形用容器が提案されている。
【0005】
しかし、この特許文献1の充填成形方法の場合、中仕切りにより区分した区分室に、各区分室底壁部に形設した化粧料充填孔からスラリー状化した複数色の化粧料を色別に圧力注入し、中仕切りの抜き取りを行ない、更に、予備乾燥した後、圧縮し、更に乾燥することで複数色の化粧料を固化させるという煩雑な工程を必要とするものであり、かつ、複数色の化粧料を色別に圧力注入しつつ中仕切りの抜き取りを行うことから、固化する前における各色の化粧料の境界部分での色混じりが生じる可能性もあるものと推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2660564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、予備乾燥工程が不要で一連の充填成形工程の簡略化を図れ、かつ、複数色化粧料の境界部分での色混じりがなく、高品質の製品とすることができるような複数色化粧料の充填成形方法が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、底板部と、この底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を複数室に仕切るための仕切り具挿入用の挿入穴と、複数色の化粧料充填用の複数の充填孔とを設けた複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法であって、前記複数色用化粧料容器の挿入穴に底板部外側から仕切り具の仕切り片を挿入し、開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、内部に開口端側が端面部で閉塞され、かつ、仕切り片により仕切られた複数の化粧料充填室を形成する工程と、吸引体により複数色用化粧料容器の内部を減圧吸引するとともに、複数色の化粧料を複数の化粧料充填室に各々充填する工程と、複数色用化粧料容器及び仕切り具を吸引体から離脱させる工程と、仕切り具を複数色用化粧料容器から抜き取る工程と、押圧手段により複数色の化粧料を押圧し、複数色用化粧料容器内に複数色の化粧料が境界線を境とし連続分布するように成形する工程と、を含むことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、複数色用化粧料容器の挿入穴に底板部外側から仕切り具の仕切り片を挿入し、開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、内部に開口端側が端面部で閉塞され、かつ、仕切り片により仕切られた複数の化粧料充填室を形成する工程と、吸引体により複数色用化粧料容器の内部を減圧吸引するとともに、複数色の化粧料を複数の化粧料充填室に各々充填する工程と、複数色用化粧料容器及び仕切り具を吸引体から離脱させる工程と、仕切り具を複数色用化粧料容器から抜き取る工程と、押圧手段により複数色の化粧料を押圧し、複数色用化粧料容器内に複数色の化粧料が境界線を境とし連続分布するように成形する工程と、からなる一連の簡略工程を採用することによって、複数色用化粧料容器内に外観体裁が良好で色混じりのない複数色態様の化粧料を効率良く充填成形することができる複数色化粧料の充填成形方法を実現し提供することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、複数色用化粧料容器の直状挿入穴に底板部外側から仕切り具の直状仕切り片を挿入し、開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、内部に開口端側が端面部で閉塞され、かつ、直状仕切り片により仕切られた二つの化粧料充填室を形成する工程と、吸引体により複数色用化粧料容器の内部を減圧吸引するとともに、2色の化粧料を二つの化粧料充填室に各々充填する工程と、複数色用化粧料容器及び仕切り具を吸引体から離脱させる工程と、仕切り具を複数色用化粧料容器から抜き取る工程と、押圧手段により2色の化粧料を押圧し、複数色用化粧料容器内に2色の化粧料が境界線両側に連続分布する2色態様として成形する工程と、からなる一連の簡略工程を採用することによって、複数色用化粧料容器内に外観体裁の良好で2色の化粧料の色混じりのない2色態様の化粧料を効率良く充填成形することができる複数色化粧料の充填成形方法を実現し提供することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、複数色用化粧料容器の直状挿入穴、曲状挿入穴に、底板部外側から仕切り具の直状仕切り片、曲状仕切り片を挿入し、開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、内部に開口端側が端面部で閉塞され、かつ、直状仕切り片、曲状仕切り片により仕切られた三つの化粧料充填室を形成する工程と、吸引体により複数色用化粧料容器の内部を減圧吸引するとともに、3色の化粧料を三つの化粧料充填室に各々充填する工程と、複数色用化粧料容器及び仕切り具を吸引体から離脱させる工程と、仕切り具を複数色用化粧料容器から抜き取る工程と、押圧手段により3色の化粧料を押圧し、複数色用化粧料容器内に3色の化粧料が二つの境界線を境として連続分布する3色態様として成形する工程と、からなる一連の簡略工程を採用することによって、複数色用化粧料容器内に外観体裁の良好で3色の化粧料の色混じりのない3色態様の化粧料を効率良く充填成形することができる複数色化粧料の充填成形方法を実現し提供することができる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、底板部と、この底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を複数室に仕切るための仕切り具挿入用の挿入穴を設けた複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法であって、前記複数色用化粧料容器の挿入穴に底板部外側から仕切り具の仕切り片を挿入し、内部空間の複数室に複数色の化粧料を充填する工程と、複数色の化粧料が充填された前記複数色用化粧料容器の開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、吸引体により複数色用化粧料容器の内部を減圧吸引する工程と、複数色用化粧料容器から仕切り具を抜き取る工程と、仕切り具が抜き取られた前記複数色用化粧料容器の開口側を空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ押圧手段に装着し、前記押圧手段により複数色の化粧料を押圧して、複数色用化粧料容器内に複数色の化粧料が境界線を境とし連続分布するように成形する工程と、からなる一連の簡略工程を採用することによって、複数色用化粧料容器内に外観体裁が良好で色混じりのない複数色態様の化粧料を効率良く充填成形することができる複数色化粧料の充填成形方法を実現し提供することができる。
【0013】
請求項5記載の発明によれば、底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を2室に仕切るための一つの直状仕切り片を備えた仕切り具挿入用の直状挿入穴を設け、2色態様とした複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法であって、前記複数色用化粧料容器の直状挿入穴に底板部外側から仕切り具の直状仕切り片を挿入し、内部空間の2室に複数色の化粧料を充填する工程と、2色の化粧料が充填された前記複数色用化粧料容器の開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、吸引体により複数色用化粧料容器の2室の内部を減圧吸引する工程と、複数色用化粧料容器から仕切り具を抜き取る工程と、仕切り具が抜き取られた前記複数色用化粧料容器の開口側を空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ押圧手段に装着し、前記押圧手段により2色の化粧料を押圧して、複数色用化粧料容器内に2色の化粧料が境界線を境とし連続分布する2色態様として成形する工程と、からなる一連の簡略工程を採用することによって、複数色用化粧料容器内に外観体裁の良好で2色の化粧料の色混じりのない2色態様の化粧料を効率良く充填成形することができる複数色化粧料の充填成形方法を実現し提供することができる。
【0014】
請求項6記載の発明によれば、底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を複数室に仕切るための仕切り具挿入用の挿入穴と、複数色の化粧料充填用の複数の充填孔とを設けた簡略な構造の基に、その内部に外観体裁の良好な複数色態様の化粧料を充填成形することができる複数色用化粧料容器を実現し提供することができる。
【0015】
請求項7記載の発明によれば、四角形状の底板部とこの底板部2の外周端全体にわたって上方に立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成し、内部空間を2室に仕切るための直状挿入穴を設け、更に、2個の充填孔を設けた簡略な構造の基に、その内部に外観体裁の良好な2色態様の化粧料を充填成形することができる複数色用化粧料容器を実現し提供することができる。
【0016】
請求項8記載の発明によれば、四角形状の底板部とこの底板部の外周端全体にわたって上方に立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成し、内部空間を3室に仕切るための曲状挿入穴、直状挿入穴を設け、更に、3個の充填孔を設けた簡略な構造の基に、その内部に外観体裁の良好な3色態様の化粧料を連続的に充填成形することができる複数色用化粧料容器を実現し提供することができる。
【0017】
請求項9記載の発明によれば、底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を複数室に仕切るための仕切り具挿入用の挿入穴を設けた簡略な構造の基に、その内部に外観体裁の良好な複数色態様の化粧料を充填成形することができる複数色用化粧料容器を実現し提供することができる。
【0018】
請求項10記載の発明によれば、四角形状の底板部とこの底板部2の外周端全体にわたって上方に立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成し、内部空間を2室に仕切るための直状挿入穴を設けた簡略な構造の基に、その内部に外観体裁の良好な2色態様の化粧料を充填成形することができる複数色用化粧料容器を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る2色態様の複数色用化粧料容器を示す正面図である。
【図2】図2は本実施例1に係る2色態様の複数色用化粧料容器に仕切り具を挿入して吸引手段に嵌め込む直前の工程を示す説明図である。
【図3】図3は本実施例1に係る2色態様の複数色用化粧料容器に仕切り具を挿入して吸引手段に嵌め込んだ工程を示す説明図である。
【図4】図4は本実施例1に係る2色態様の複数色用化粧料容器に仕切り具を挿入して吸引手段に嵌め込め、吸引手段により減圧吸引するとともに2色の化粧料を充填する工程を示す説明図である。
【図5】図5は本実施例1における化粧料充填工程の後、複数色用化粧料容器及び仕切り具を吸引手段から分離させた工程を示す説明図である。
【図6】図6は本実施例1において、分離させた複数色用化粧料容器から仕切り具を抜き取る工程を示す説明図である。
【図7】図7は本実施例1において、2色の化粧料が充填された複数色用化粧料容器に対する押圧手段により2色の化粧料を押圧する工程を示す説明図である。
【図8】図8は本実施例1における押圧工程後の複数色用化粧料容器内の2色の化粧料の状態を示す概略断面図である。
【図9】図9は本実施例1に係る2色の化粧料が充填成形された複数色用化粧料容器を示す正面図である。
【図10】図10は本実施例1における仕切り具の変形例を示す概略図である。
【図11】図11は本発明の実施例2に係る3色態様の複数色用化粧料容器を示す正面図である。
【図12】図12は本実施例2に係る3色態様の複数色用化粧料容器を示す背面図である。
【図13】図13は本実施例2に係る仕切り具を示す斜視図である。
【図14】図14は本実施例2に係る3色態様の複数色用化粧料容器に仕切り具を挿入して吸引手段に嵌め込む直前の工程を示す説明図である。
【図15】図15は本実施例2に係る3色態様の複数色用化粧料容器に仕切り具を挿入して吸引手段に嵌め込んだ工程を示す説明図である。
【図16】図16は本実施例2に係る3色態様の複数色用化粧料容器に仕切り具を挿入して吸引手段に嵌め込め、吸引手段により減圧吸引するとともに3色の化粧料を充填する工程を示す説明図である。
【図17】図17は本実施例2における化粧料充填工程の後、複数色用化粧料容器及び仕切り具を吸引手段から分離させた工程を示す説明図である。
【図18】図18は本実施例2において、分離させた複数色用化粧料容器から仕切り具を抜き取る工程を示す説明図である。
【図19】図19は本実施例2において、3色の化粧料が充填された複数色用化粧料容器に対する押圧手段により3色の化粧料を押圧する工程を示す説明図である。
【図20】図20は本実施例2における押圧工程後の複数色用化粧料容器内の3色の化粧料の状態を示す概略断面図である。
【図21】図21は本実施例2に係る3色の化粧料が充填成形された複数色用化粧料容器を示す平面図である。
【図22】図22は本実施例2における仕切り具の変形例を示す概略図である。
【図23】図23は本発明の実施例3に係る2色態様の複数色用化粧料容器を示す正面図である。
【図24】図24は本実施例3に係る2色態様の複数色用化粧料容器に仕切り具を挿入して2色の化粧料を充填する工程を示す説明図である。
【図25】図25は本実施例3に係る2色態様の複数色用化粧料容器に2色の化粧料を充填した状態を示す説明図である。
【図26】図26は本実施例3に係る2色の化粧料が充填された複数色用化粧料容器を吸引手段に嵌め込む直前の状態を示す説明図である。
【図27】図27は本実施例3に係る複数色用化粧料容器に対して吸引手段により減圧吸引する工程を示す説明図である。
【図28】図28は本実施例3に係る複数色用化粧料容器に対する吸引手段による減圧吸引工程終了後仕切り具を抜き取る工程を示す説明図である。
【図29】図29は本実施例3に係る複数色用化粧料容器を吸引手段から離脱した状態を示す説明図である。
【図30】図30は本実施例3に係る複数色用化粧料容器内の2色の化粧料に対して、押圧手段により押圧する工程を示す説明図である。
【図31】図31は本実施例3に係る押圧工程後の複数色用化粧料容器内の2色の化粧料の状態を示す概略断面図である。
【図32】図32は本実施例3に係る2色の化粧料が成形された複数色用化粧料容器を示す正面図である。
【図33】図33は本実施例3における仕切り具の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、予備乾燥工程が不要で一連の充填成形工程の簡略化を図れ、かつ、複数色化粧料の境界部分での色混じりがなく、高品質の製品とすることができる複数色化粧料の充填成形方法を実現し提供するという目的を、底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を2室に仕切るための一つの直状仕切り片を備えた仕切り具挿入用の直状挿入穴と、前記直状挿入穴の両側に位置する2色の化粧料充填用の2個の充填孔とを設け、2色態様とした複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法であって、前記複数色用化粧料容器の直状挿入穴に底板部外側から仕切り具の直状仕切り片を挿入し、開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、内部に開口端側が端面部で閉塞され、かつ、直状仕切り片により仕切られた二つの化粧料充填室を形成する工程と、吸引体により複数色用化粧料容器の内部を減圧吸引するとともに、2色の化粧料を二つの化粧料充填室に各々充填する工程と、複数色用化粧料容器及び仕切り具を吸引体から離脱させる工程と、仕切り具を複数色用化粧料容器から抜き取る工程と、押圧手段により2色の化粧料を押圧し、複数色用化粧料容器内に2色の化粧料が境界線両側に連続分布する2色態様として成形する工程と、を含む構成により実現した。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の実施例1に係る複数色化粧料の充填成形方法及びこの充填成形方法に使用する複数色用化粧料容器について図1乃至図10を参照して説明する。
本実施例1に係る複数色用化粧料容器1は、図1に示すように、四角形状の底板部2とこの底板部2の外周端全体にわたって上方に立設した側壁部3とを有する有底四角皿状に形成している。
【0022】
そして、前記底板部2の図1において左右方向中央部に、複数色用化粧料容器1自体の内部空間を2室に仕切るために、図2に示すような一つの直状仕切り片4を備えた仕切り具5の挿入用の直状挿入穴8を設けている。
【0023】
前記直状仕切り片4の突出端の両隅は、直角形状に形成している。また、前記直状仕切り片4の厚さは、例えば0.2mm〜0.5mmの範囲に設定する。更に、前記底板部2には、前記直状挿入穴8の両側に位置する2色の化粧料充填用の2個の充填孔7、7を設けて2色態様の複数色用化粧料容器1を構成している。
なお、実施例1の図示例では、2色の化粧料充填用の2個の充填孔7、7を設けて2色態様の複数色用化粧料容器1として構成しているが、本発明の複数色用化粧料容器1は、2色態様とする他、仕切り具5用の直状挿入穴8を更に3個、4個と増やし、これに対応して仕切り具5の直状仕切り片4の数も3個、4個と増すことで、4色態様、5色態様の複数色用化粧料容器1として構成することができる。
【0024】
次に、前記2色態様の複数色用化粧料容器1を使用した複数色化粧料の充填成形方法について図2乃至図10を参照して詳細に説明する。
【0025】
最初に図2に示すように、前記複数色用化粧料容器1の直状挿入穴8に底板部2の外側から仕切り具5の直状仕切り片4を挿通してこの直状仕切り片4の突出端側を複数色用化粧料容器1の開口端側に臨ませた状態とし、複数色用化粧料容器1の開口端側を、吸引手段(バキューム吸引手段)を構成する多数の吸引孔13及び仕切り片受凹部14を有する吸引体11の端面部12に対向させる。
【0026】
このとき、複数色用化粧料容器1の開口端側と吸引体11の端面部12との間に、例えば模様付紙シート又は模様付布シート等からなる空気の流通可能な吸引補助シート15を介在させる。
【0027】
次に、図3に示すように、複数色用化粧料容器1の開口端側を吸引補助シート15を介在させつつ前記吸引体11の端面部12を囲むようにして所定寸法分嵌め込み、かつ、前記直状仕切り片4を前記仕切り片受凹部14に嵌着する。
【0028】
これにより、前記複数色用化粧料容器1の内部には、開口端側が前記端面部12で閉塞され、かつ、前記直状仕切り片4により仕切られた二つの化粧料充填室6a、6bが形成される。
【0029】
次に、図4に示すように、前記吸引手段を構成する吸引体11により前記複数色用化粧料容器1の内部を減圧吸引するとともに、図示しない充填機に連結した充填ノズル16から一方の化粧料充填室6aにA色化粧料21aを充填する。また、別の充填ノズル16を用いて他方の化粧料充填室6bにB色化粧料21bを充填する。
【0030】
この場合、前記直状仕切り片4を前記吸引体11の端面部12における仕切り片受凹部14に嵌着していることによって、充填するA色化粧料21a、B色化粧料21bの漏れを防止できる利点がある。
【0031】
このように、吸引体11により前記複数色用化粧料容器1の内部を減圧吸引しつつ化粧料の充填工程を行うことで、A色化粧料21a、B色化粧料21bに含まれる水分が十分に吸引除去され、予備乾燥処理を行うことが不要になるという利点がある。
【0032】
前記A色化粧料21aとしては、例えば有機溶剤を用いてスラリー状とした赤色化粧料を採用し、前記B色化粧料21bとしては、例えば有機溶剤を用いてスラリー状とした紫色化粧料を採用するものである。
【0033】
なお、A色化粧料21a、B色化粧料21bの各色の組み合わせは、この他種々の組み合わせを採用可能であることはもちろんである。
【0034】
次に、図5に示すように、A色化粧料21a、B色化粧料21bを充填した前記複数色用化粧料容器1を仕切り具5とともに前記前記吸引体11の端面部12から離脱させる。
【0035】
次に、図6に示すように、離脱させた前記複数色用化粧料容器1から仕切り具5を抜き取る。
【0036】
抜き取った仕切り具5は、廃棄処分(使い捨て処分)とし、次回の充填成形工程では新たな仕切り具5を用いることで、A色化粧料21a、B色化粧料21bの色混じりを防止する。
【0037】
このようにして、前記複数色用化粧料容器1内においては、A色化粧料21a、B色化粧料21bが、仕切り具5における直状仕切り片4の厚さ分の隙間Sを隔てて隣り合う状態となる。
【0038】
次に、図7に示すように、前記複数色用化粧料容器1の開口に対応する寸法の押圧面を具備する押圧手段22により2色の化粧料、すなわち、A色化粧料21a、B色化粧料21bの上面を所定の押圧力で押圧し固化した後、押圧手段22を除去することで一連の充填成形工程を終了する。
【0039】
これにより、図8、図9に示すように、前記複数色用化粧料容器1内において、前記隙間Sを無くし境界線23を境としてA色化粧料21a、B色化粧料21bが連続分布する外観体裁の良好な2色態様の化粧料を得ることができる。
【0040】
図10は本実施例1における仕切り具5の変形例である仕切り具5Aを示すもので、この仕切り具5Aは、直状仕切り片4の突出端部4aをV状に尖らせた形状とし、これに対応して吸引体11の仕切り片受凹部14の形状もV状に窪んだ形状としている。
【0041】
この変形例である仕切り具5Aによれば、直状仕切り片4の突出端部4aをV状に尖らせたことにより、直状仕切り片4がV状に窪んだ仕切り片受凹部14により密に嵌合して、一層確実に化粧料の漏れを防止することができる。
【0042】
本実施例1によれば、四角形状の底板部2とこの底板部2の外周端全体にわたって上方に立設した側壁部3とを有する有底四角皿状に形成し、内部空間を2室に仕切るための直状挿入穴8を設け、更に、2個の充填孔7を設けた簡略な構造の基に、その内部に外観体裁の良好な2色態様の化粧料を充填成形することが可能な複数色用化粧料容器1を実現し提供することができる。
【0043】
また、本実施例1によれば、前記複数色用化粧料容器1を使用し、複数色用化粧料容器1と仕切り具5を組み合わせての吸引体11への嵌め込み工程、吸引体11による複数色用化粧料容器1の内部の減圧吸引、及び、A色化粧料21a、B色化粧料21bの充填工程、複数色用化粧料容器1及び仕切り具5の吸引体11からの離脱工程、仕切り具5の抜き取り工程、押圧手段22によるA色化粧料21a、B色化粧料21bの押圧工程からなる簡略で予備乾燥を必要としない一連の工程により、複数色用化粧料容器1内にA色化粧料21a、B色化粧料21bの色混じりのない外観体裁が良好で高品質な2色態様の化粧料を効率良く充填成形することができる複数色化粧料の充填成形方法を実現し提供することができる。
【実施例2】
【0044】
次に、本発明の実施例2について図11乃至図22を参照して説明する。
【0045】
本実施例2に係る複数色用化粧料容器31は、図11、図12に示すように、四角形状の底板部32とこの底板部32の外周端全体にわたって上方に立設した側壁部33とを有する有底四角皿状に形成し、3色態様に構成している。
なお、実施例2の図示例では、3色の化粧料充填用の3個の充填孔36を設けて3色態様の複数色用化粧料容器31として構成しているが、本発明の複数色用化粧料容器31は、3色態様とする他、仕切り具37用の挿入穴を更に3個、4個と増やし、これに対応して仕切り具37の仕切り片の数も3個、4個と増すことで、4色態様、5色態様の複数色用化粧料容器として構成することができる。
【0046】
そして、前記底板部32には、図12に示す複数色用化粧料容器31の背面側から見て、左右方向中央部より右側に位置してSの字状に曲がった曲状挿入穴34を設けている。また、図12において左右方向中央部より左側に位置して直状挿入穴35を設けている。
【0047】
更に、図12において前記曲状挿入穴34の右側の位置、前記曲状挿入穴34と直状挿入穴35の間の位置、及び、図12において直状挿入穴35の位置に、各々化粧料充填用の充填孔36を合計3個設けている。
【0048】
なお、図11、図12において、34aは側壁部33に設けた前記曲状挿入穴34に連なるガイド溝、35aは側壁部33に設けた前記直状挿入穴35に連なるガイド溝である。
【0049】
図13は、前記複数色用化粧料容器31の内部空間を3室に仕切るための仕切り具37を示すものであり、この仕切り具37は、前記曲状挿入穴34に挿入可能なSの字状に曲がった形状の曲状仕切り片38と、前記直状挿入穴35に挿入可能な直状仕切り片39とを並列配置に備えている。
【0050】
また、前記仕切り具37における曲状仕切り片38と直状仕切り片39との間の下部位置には例えば円形の充填補助孔40を設けている。
【0051】
前記直状仕切り片39の突出端の両隅は、直角形状に形成している。また、前記直状仕切り片39の厚さは、例えば0.2mm〜0.5mmの範囲に設定する。
【0052】
次に、前記3色態様の複数色用化粧料容器31を使用した複数色化粧料の充填成形方法について図14乃至図21をも参照して詳細に説明する。
【0053】
まず、最初に、図14に示すように、前記複数色用化粧料容器31の曲状挿入穴34、直状挿入穴35に、底板部32の外側から前記仕切り具37における曲状仕切り片38、直状仕切り片39を各々挿通してこれらの突出端側を前記複数色用化粧料容器31の開口端側に臨ませた状態とし、この複数色用化粧料容器31の開口端側を、吸引手段(バキューム吸引手段)を構成する多数の吸引孔43及び二つの仕切り片受凹部44、45を有する吸引体41の端面部42に対向させる。
【0054】
このとき、複数色用化粧料容器31の開口端側と前記吸引体41の端面部42との間に、例えば模様付紙シート又は模様付布シート等からなる空気の流通可能な実施例1の場合と同様な吸引補助シート15を介在させる。
【0055】
なお、前記一方の仕切り片受凹部44は、前記曲状仕切り片38が嵌着可能な曲がり形状に形成している。また、他方の仕切り片受凹部45は、前記直状仕切り片39が嵌着可能な直状に形成している。
【0056】
次に、図15に示すように、複数色用化粧料容器31の開口端側を吸引補助シート15を介在させつつ前記吸引体41の端面部42を囲むようにして所定寸法分嵌め込み、かつ、前記曲状仕切り片38を一方の仕切り片受凹部44に、前記直状仕切り片39を他方の仕切り片受凹部45に各々嵌着する。
【0057】
これにより、前記複数色用化粧料容器31の内部には、開口端側が前記端面部42で閉塞され、かつ、前記曲状仕切り片38、直状仕切り片39により仕切られた三つの化粧料充填室46a、46b、46cが形成される。
【0058】
次に、図16に示すように、前記吸引手段を構成する吸引体41により前記複数色用化粧料容器31の内部を減圧吸引するとともに、図示しない充填機に連結した充填ノズル47から充填孔36を経て化粧料充填室46aにA色化粧料21aを充填する。また、別の充填ノズル47を用いて前記充填補助孔40、充填孔36を経て化粧料充填室46bにB色化粧料21bを充填する。更に、別の充填ノズル47を用いて充填孔36を経て化粧料充填室46cにC色化粧料21cを充填する。
【0059】
この場合に、前記曲状仕切り片38を一方の仕切り片受凹部44に、前記直状仕切り片39を他方の仕切り片受凹部45に各々嵌着していることによって、充填するA色化粧料21a、B色化粧料21b、C色化粧料21cの漏れを防止できる利点がある。
【0060】
このように、吸引体41により前記複数色用化粧料容器31の内部を減圧吸引しつつ化粧料の充填工程を行うことで、A色化粧料21a、B色化粧料21b、C色化粧料21cに含まれる水分が十分に吸引除去され、予備乾燥処理を行うことが不要になるという利点がある。
【0061】
前記A色化粧料21aとしては、例えば有機溶剤を用いてスラリー状とした赤色化粧料を採用し、前記B色化粧料21bとしては、例えば有機溶剤を用いてスラリー状とした紫色化粧料を採用し、更に、C色化粧料21cとしては、例えば有機溶剤を用いてスラリー状としたピンク色化粧料を採用するものである。
【0062】
なお、A色化粧料21a、B色化粧料21b、C色化粧料21cの各色の組み合わせは、この他種々の組み合わせを採用可能であることはもちろんである。
【0063】
次に、図17に示すように、A色化粧料21a、B色化粧料21b及びC色化粧料21cを充填した前記複数色用化粧料容器31を仕切り具37とともに前記前記吸引体41の端面部42から離脱させる。
【0064】
次に、図18に示すように、離脱させた前記複数色用化粧料容器31から仕切り具37を抜き取る。
【0065】
抜き取った仕切り具37は、廃棄処分(使い捨て処分)とし、次回の充填成形工程では新たな仕切り具37を用いることで、A色化粧料21a、B色化粧料21b、C色化粧料21cの色混じりを防止する。
【0066】
このようにして、前記複数色用化粧料容器31内においては、図18に示すように、A色化粧料21a、B色化粧料21b、C色化粧料21cが仕切り具37の曲状仕切り片38、直状仕切り片39の厚さ分の隙間S1、S2を隔てて隣り合う状態となる。
【0067】
次に、図19に示すように、前記複数色用化粧料容器31の開口に対応する寸法の押圧面を具備する押圧手段48により3色の化粧料、すなわち、A色化粧料21a、B色化粧料21b、C色化粧料21cの上面を所定の押圧力で押圧し固化した後、押圧手段48を除去することで一連の充填成形工程を終了する。
【0068】
これにより、図20及び図21に示すように、前記複数色用化粧料容器31内において、前記隙間S1、S2を無くし境界線49a、49bを境としてA色化粧料21a、B色化粧料21b、C色化粧料21cが連続分布する外観体裁の良好な3色態様の化粧料を得ることができる。
【0069】
図22は、本実施例2における仕切り具37の変形例である仕切り具37Aを示すものであり、この仕切り具37Aは、直状仕切り片39の突出端部39aをV状に尖らせた形状とし、これに対応して吸引体41の仕切り片受凹部45の形状もV状に窪んだ形状としている。
【0070】
この変形例である仕切り具37Aによれば、直状仕切り片39の突出端部39aをV状に尖らせたことにより、直状仕切り片39がV状に窪んだ仕切り片受凹部45により密に嵌合し、一層確実に化粧料の漏れを防止することができる。
【0071】
本実施例2によれば、四角形状の底板部32とこの底板部32の外周端全体にわたって上方に立設した側壁部33とを有する有底四角皿状に形成し、内部空間を3室に仕切るための曲状挿入穴34、直状挿入穴35を設け、更に、3個の充填孔36を設けた簡略な構造の基に、その内部に外観体裁の良好な3色態様の化粧料を充填成形することが可能な複数色用化粧料容器31を実現し提供することができる。
【0072】
また、本実施例2によれば、前記複数色用化粧料容器31を使用して、複数色用化粧料容器31と仕切り具37を組み合わせての吸引体41への嵌め込み工程、吸引体41による複数色用化粧料容器1の内部の減圧吸引、及び、A色化粧料21a、B色化粧料21b、C色化粧料21cの充填工程、複数色用化粧料容器31及び仕切り具37の吸引体41からの離脱工程、仕切り具37の抜き取り工程、押圧手段48によるA色化粧料21a、B色化粧料21b、C色化粧料21cの押圧工程からなる簡略で、予備乾燥を必要としない一連の工程により、複数色用化粧料容器31内にA色化粧料21a、B色化粧料21b、C色化粧料21cの色混じりのない外観体裁が良好で、高品質な3色態様の化粧料を効率良く充填成形することができる複数色化粧料の充填成形方法を実現し提供することができる。
【実施例3】
【0073】
次に、本発明の実施例3に係る複数色化粧料の充填成形方法及びこの充填成形方法に使用する複数色用化粧料容器51について図23乃至図33を参照して説明する。
【0074】
なお、本実施例3の複数色用化粧料容器51において、実施例1の複数色用化粧料容器1の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0075】
本実施例3に係る複数色用化粧料容器1は、図23に示すように、四角形状の底板部2と、この底板部2の外周端全体にわたって上方に立設した側壁部3とを有する有底四角皿状に形成している。
【0076】
そして、前記底板部2の図23において左右方向中央部に、複数色用化粧料容器51自体の内部空間を2室(化粧料充填室6a、6b)に仕切るために、図24に示すような一つの直状仕切り片4を備えた仕切り具5の挿入用の直状挿入穴8を設けている。
【0077】
前記直状仕切り片4の突出端の両隅は、直角形状に形成している。また、前記直状仕切り片4の厚さは、例えば0.2mm〜0.5mmの範囲に設定する。
なお、実施例3の図示例では、2色態様としているが、仕切り具5用の直状挿入穴を更に3個、4個と増やし、これに対応して仕切り具5の仕切り片の数も3個、4個と増すことで、4色態様、5色態様の複数色用化粧料容器として構成することができる。
【0078】
次に、前記2色態様の複数色用化粧料容器51を使用した複数色化粧料の充填成形方法について図24乃至図32を参照して詳細に説明する。
【0079】
最初に図24に示すように、前記複数色用化粧料容器51の直状挿入穴8に底板部2の外側から仕切り具5の直状仕切り片4を挿通してこの直状仕切り片4の突出端側を複数色用化粧料容器51の開口端側に臨ませた状態とし、図示しない充填機に連結した充填ノズル16から一方の化粧料充填室6aにA色化粧料21aを充填する。また、別の充填ノズル16を用いて他方の化粧料充填室6bにB色化粧料21bを充填する。
【0080】
前記A色化粧料21aとしては、例えば有機溶剤を用いてスラリー状とした赤色化粧料を採用し、前記B色化粧料21bとしては、例えば有機溶剤を用いてスラリー状とした紫色化粧料を採用するものである。
【0081】
なお、A色化粧料21a、B色化粧料21bの各色の組み合わせは、この他種々の組み合わせを採用可能であることはもちろんである。
【0082】
このようにして、A色化粧料21a、B色化粧料21bが充填された複数色用化粧料容器51を図25に示す。
【0083】
次に、A色化粧料21a、B色化粧料21bが充填された複数色用化粧料容器51を、図26に示すように、その開口端側を、吸引手段(バキューム吸引手段)を構成する多数の吸引孔13及び仕切り片受凹部14を有する吸引体11の端面部12に対向させる。吸引体11の端面部12には、前記仕切り具5の直状仕切り片4に対応する形状の仕切り片受凹部14を設けている。
【0084】
このとき、複数色用化粧料容器51の開口端側と吸引体11の端面部12との間に、例えば模様付紙シート又は模様付布シート等からなる空気の流通可能な吸引補助シート15を介在させる。
【0085】
次に、図27に示すように、複数色用化粧料容器51の開口端側を吸引補助シート15を介在させつつ前記吸引体11の端面部12を囲むようにして所定寸法分嵌め込み、かつ、前記直状仕切り片4を前記仕切り片受凹部14に嵌着する。
【0086】
次に、図27に示すように、前記吸引手段を構成する吸引体11により前記複数色用化粧料容器51の内部を減圧吸引する。
【0087】
この場合、前記直状仕切り片4を前記吸引体11の端面部12における仕切り片受凹部14に嵌着していることによって、A色化粧料21a、B色化粧料21bの漏れを防止できる。
【0088】
このように、吸引体11により前記複数色用化粧料容器51の内部を減圧吸引を実行することによって、前記A色化粧料21a、B色化粧料21bに含まれる水分が十分に吸引除去され、予備乾燥処理を行うことが不要になるという利点がある。
【0089】
次に、減圧吸引工程終了後、図28に示すように、複数色用化粧料容器51から前記仕切り具5を抜き取る。抜き取った仕切り具5は、廃棄処分(使い捨て処分)とし、次回の充填成形工程では新たな仕切り具5を用いることで、A色化粧料21a、B色化粧料21bの色混じりを防止する。
【0090】
前記仕切り具5を抜き取った状態の複数色用化粧料容器51を図29に示す。このようにして、前記複数色用化粧料容器51内においては、A色化粧料21a、B色化粧料21bが、仕切り具5における直状仕切り片4の厚さ分の隙間Sを隔てて隣り合う状態となる。
【0091】
次に、図30に示すように、前記複数色用化粧料容器51の開口に対応する寸法の押圧面を具備する押圧手段22により2色の化粧料、すなわち、A色化粧料21a、B色化粧料21bの上面を所定の押圧力で押圧し固化した後、押圧手段22を除去することで一連の充填成形工程を終了する。
【0092】
これにより、図31、図32に示すように、前記複数色用化粧料容器51内において、前記隙間Sを無くし境界線23を境としてA色化粧料21a、B色化粧料21bが連続分布する外観体裁の良好な2色態様の化粧料を得ることができる。
【0093】
本実施例3においても、図33に示すように、前記仕切り具5に替えて既述した場合と同様な変形例の仕切り具5Aを使用することもでき、仕切り具5Aによれば、直状仕切り片4の突出端部4aをV状に尖らせたことにより、直状仕切り片4がV状に窪んだ仕切り片受凹部14により密に嵌合して、一層確実に化粧料の漏れを防止することができる。
【0094】
本実施例3によれば、四角形状の底板部2とこの底板部2の外周端全体にわたって上方に立設した側壁部3とを有する有底四角皿状に形成し、内部空間を2室に仕切るための直状挿入穴8を設けた簡略な構造の基に、その内部に外観体裁の良好な2色態様の化粧料を充填成形することが可能な複数色用化粧料容器51を実現し提供することができる。
【0095】
また、本実施例3によれば、前記複数色用化粧料容器51を使用し、複数色用化粧料容器51と仕切り具5を組み合わせて、前記複数色用化粧料容器51の直状挿入穴8に底板部外側から仕切り具5の直状仕切り片4を挿入し、内部空間の2室に複数色の化粧料を充填する工程と、2色の化粧料が充填された前記複数色用化粧料容器51の開口側に空気が流通する吸引補助シート15を介在させつつ吸引体11の端面部12に嵌め込んで、吸引体11により複数色用化粧料容器51の2室の内部を減圧吸引する工程と、複数色用化粧料容器51から仕切り具5を抜き取る工程と、仕切り具5が抜き取られた前記複数色用化粧料容器51の開口側を空気が流通する吸引補助シート15を介在させつつ押圧手段22に装着し、前記押圧手段により2色の化粧料を押圧して、複数色用化粧料容器51内に2色の化粧料が境界線23を境とし連続分布する2色態様として成形する工程と、からなる簡略で予備乾燥を必要としない一連の工程により、複数色用化粧料容器51内にA色化粧料21a、B色化粧料21bの色混じりのない外観体裁が良好で高品質な2色態様の化粧料を効率良く充填成形することができる複数色化粧料の充填成形方法を実現し提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の複数色用化粧料容器は、前述したように、上述した2色態様、3色態様とする他、仕切り具用の挿入穴を更に3個、4個と増やし、これに対応して仕切り具の仕切り片の数も3個、4個と増すことで、4色態様、5色態様の複数色用化粧料容器としたり、容器自体の形状を円形状、楕円形状等とし、その内部に2色態様、3色態様の化粧料を充填成形可能とする等、種々の応用が可能で、外観体裁の良好な複数色の化粧料が内部に連続成形可能な斬新で実用価値の高い複数色用化粧料容器として広範に活用できる。
【符号の説明】
【0097】
1 複数色用化粧料容器
2 底板部
3 側壁部
4 直状仕切り片
4a 突出端部
5 仕切り具
5A 仕切り具
6a 化粧料充填室
6b 化粧料充填室
7 充填孔
8 直状挿入穴
11 吸引体
12 端面部
13 吸引孔
14 仕切り片受凹部
15 吸引補助シート
16 充填ノズル
21a A色化粧料
21b B色化粧料
21c C色化粧料
22 押圧手段
23 境界線
31 複数色用化粧料容器
32 底板部
33 側壁部
34 曲状挿入穴
34a ガイド溝
35 直状挿入穴
35a ガイド溝
36 充填孔
37 仕切り具
37A 仕切り具
38 曲状仕切り片
39 直状仕切り片
39a 突出端部
40 充填補助孔
41 吸引体
42 端面部
43 吸引孔
44 仕切り片受凹部
45 仕切り片受凹部
46a 化粧料充填室
46b 化粧料充填室
46c 化粧料充填室
47 充填ノズル
48 押圧手段
49a 境界線
49b 境界線
51 複数色用化粧料容器
S 隙間
S1 隙間
S2 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と、この底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を複数室に仕切るための仕切り具挿入用の挿入穴と、複数色の化粧料充填用の複数の充填孔とを設けた複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法であって、
前記複数色用化粧料容器の挿入穴に底板部外側から仕切り具の仕切り片を挿入し、開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、内部に開口端側が端面部で閉塞され、かつ、仕切り片により仕切られた複数の化粧料充填室を形成する工程と、
吸引体により複数色用化粧料容器の内部を減圧吸引するとともに、複数色の化粧料を複数の化粧料充填室に各々充填する工程と、
複数色用化粧料容器及び仕切り具を吸引体から離脱させる工程と、
仕切り具を複数色用化粧料容器から抜き取る工程と、
押圧手段により複数色の化粧料を押圧し、複数色用化粧料容器内に複数色の化粧料が境界線を境とし連続分布するように成形する工程と、
を含むことを特徴とする複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法。
【請求項2】
底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を2室に仕切るための一つの直状仕切り片を備えた仕切り具挿入用の直状挿入穴と、前記直状挿入穴の両側に位置する2色の化粧料充填用の2個の充填孔とを設け、2色態様とした複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法であって、
前記複数色用化粧料容器の直状挿入穴に底板部外側から仕切り具の直状仕切り片を挿入し、開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、内部に開口端側が端面部で閉塞され、かつ、直状仕切り片により仕切られた二つの化粧料充填室を形成する工程と、
吸引体により複数色用化粧料容器の内部を減圧吸引するとともに、2色の化粧料を二つの化粧料充填室に各々充填する工程と、
複数色用化粧料容器及び仕切り具を吸引体から離脱させる工程と、
仕切り具を複数色用化粧料容器から抜き取る工程と、
押圧手段により2色の化粧料を押圧し、複数色用化粧料容器内に2色の化粧料が境界線両側に連続分布する2色態様として成形する工程と、
を含むことを特徴とする複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法。
【請求項3】
底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を3室に仕切るための一つの直状仕切り片及び一つの曲状仕切り片を並列配置に備えた仕切り具挿入用の直状挿入穴及び曲状挿入穴を設け、前記直状挿入穴の外側、前記直状挿入穴と曲状挿入穴との間及び前記曲状挿入穴の外側の各位置に設けた3個の充填孔と、を具備し、3色態様とした複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法であって、
前記複数色用化粧料容器の直状挿入穴、曲状挿入穴に、底板部外側から仕切り具の直状仕切り片、曲状仕切り片を挿入し、開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、内部に開口端側が端面部で閉塞され、かつ、直状仕切り片、曲状仕切り片により仕切られた三つの化粧料充填室を形成する工程と、
吸引体により複数色用化粧料容器の内部を減圧吸引するとともに、3色の化粧料を三つの化粧料充填室に各々充填する工程と、
複数色用化粧料容器及び仕切り具を吸引体から離脱させる工程と、
仕切り具を複数色用化粧料容器から抜き取る工程と、
押圧手段により3色の化粧料を押圧し、複数色用化粧料容器内に3色の化粧料が二つの境界線を境として連続分布する3色態様として成形する工程と、
を含むことを特徴とする複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法。
【請求項4】
底板部と、この底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を複数室に仕切るための仕切り具挿入用の挿入穴を設けた複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法であって、
前記複数色用化粧料容器の挿入穴に底板部外側から仕切り具の仕切り片を挿入し、内部空間の複数室に複数色の化粧料を充填する工程と、
複数色の化粧料が充填された前記複数色用化粧料容器の開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、吸引体により複数色用化粧料容器の内部を減圧吸引する工程と、
複数色用化粧料容器から仕切り具を抜き取る工程と、
仕切り具が抜き取られた前記複数色用化粧料容器の開口側を空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ押圧手段に装着し、前記押圧手段により複数色の化粧料を押圧して、複数色用化粧料容器内に複数色の化粧料が境界線を境とし連続分布するように成形する工程と、
を含むことを特徴とする複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法。
【請求項5】
底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成するとともに、前記底板部に、内部空間を2室に仕切るための一つの直状仕切り片を備えた仕切り具挿入用の直状挿入穴を設け、2色態様とした複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法であって、
前記複数色用化粧料容器の直状挿入穴に底板部外側から仕切り具の直状仕切り片を挿入し、内部空間の2室に複数色の化粧料を充填する工程と、
2色の化粧料が充填された前記複数色用化粧料容器の開口側に空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ吸引体の端面部に嵌め込んで、吸引体により複数色用化粧料容器の2室の内部を減圧吸引する工程と、
複数色用化粧料容器から仕切り具を抜き取る工程と、
仕切り具が抜き取られた前記複数色用化粧料容器の開口側を空気が流通する吸引補助シートを介在させつつ押圧手段に装着し、前記押圧手段により2色の化粧料を押圧して、複数色用化粧料容器内に2色の化粧料が境界線を境とし連続分布する2色態様として成形する工程と、
を含むことを特徴とする複数色用化粧料容器を使用した複数色化粧料の充填成形方法。
【請求項6】
底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底皿状に形成するとともに、
前記底板部に、内部空間を複数室に仕切るための仕切り具挿入用の挿入穴と、複数色の化粧料充填用の複数の充填孔とを設けたことを特徴とする複数色用化粧料容器。
【請求項7】
底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成するとともに、
前記底板部に、内部空間を2室に仕切るための一つの直状仕切り片を備えた仕切り具挿入用の直状挿入穴と、
前記直状挿入穴の両側に位置する2色の化粧料充填用の2個の充填孔と、
を設け、
2色態様としたことを特徴とする複数色用化粧料容器。
【請求項8】
底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成するとともに、
前記底板部に、内部空間を3室に仕切るための一つの直状仕切り片及び一つの曲状仕切り片を並列配置に備えた仕切り具挿入用の直状挿入穴及び曲状挿入穴を設け、
前記直状挿入穴の外側、前記直状挿入穴と曲状挿入穴との間及び前記曲状挿入穴の外側の各位置に3個の充填孔と、
を具備し、
3色態様としたことを特徴とする複数色用化粧料容器。
【請求項9】
底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底皿状に形成するとともに、
前記底板部に、内部空間を複数室に仕切るための仕切り具挿入用の挿入穴を設けたことを特徴とする複数色用化粧料容器。
【請求項10】
底板部とこの底板部の外周端から立設した側壁部とを有する有底四角皿状に形成するとともに、
前記底板部に、内部空間を2室に仕切るための一つの直状仕切り片を備えた仕切り具挿入用の直状挿入穴を設け、2色態様としたことを特徴とする複数色用化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−20944(P2012−20944A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158329(P2010−158329)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(593051098)株式会社宮内 (5)
【Fターム(参考)】