説明

複素多環化合物及び色素

本発明の複素多環化合物は、一般式(1)又は一般式(2)
[化1]


[式中、Rは、直鎖又は分枝鎖状のC〜C10アルキル基等を示す。R及びRは、同一又は異なって、直鎖又は分枝鎖状のC〜C10アルキル基等を示す。R及びRは、水素原子を示す。Xは、−OH等を示す。X’は、直鎖又は分枝鎖状のC〜C10アルキル基等を示す。Zは、−O−等を示す。]
で表される。本発明の複素多環化合物は、適正な光吸収波長及び蛍光波長を有しており、しかも発光強度が高く、耐熱性、耐光性、溶解性、レジスト材料への分散性、固体発光性等の諸性能に優れた色素として各種用途に好適に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素多環化合物及び色素に関する。
【背景技術】
【0002】
今日まで、色素は、染料又は顔料として利用されてきたが、エレクトロニクス技術の進歩に伴い、電子写真材料、磁気記録材料、光記録材料等の様々な分野に使用されつつある。このため、色素に求められる性能が多様なものになり、各種の用途に好適な物性及び機能を備えた色素の開発が望まれている。
【0003】
蛍光色素においては、発光強度が高く、適正な光吸収波長及び発光波長を有していることが望まれている。更に、蛍光色素が、溶液状態のみならず固体状態でも発光すること(この性質を以下「固体発光性」という)、耐熱性、耐光性、溶解性、レジスト材料への分散性等の諸性能に優れていることが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、適正な光吸収波長及び発光波長を有し、高い発光強度、耐熱性、耐光性、溶解性、レジスト材料への分散性、固体発光性等の各種性能に優れ、蛍光色素として好適に使用できる新規な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)及び一般式(2)で表される複素多環化合物を合成することに成功した。そして、これらの複素多環化合物が、適正な光吸収波長及び発光波長を有しており、更に発光強度が高く、耐熱性、耐光性、溶解性、レジスト材料への分散性、固体発光性等の各種性能に優れた所望の蛍光色素になり得ることを見い出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
【0006】
本発明は、下記1〜8に示す複素多環化合物、色素及び顔料ないし染料を提供する。
1.一般式(1)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、Rは、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。
【0009】
及びRは、同一又は異なって、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。また、このR及びRは、これらが結合する窒素原子と共に互いに結合してヘテロ環を形成してもよい。
【0010】
及びRは、水素原子を示す。
【0011】
また、RとR及びRとRは、各々結合して直鎖又は分枝鎖状のC〜Cアルキレン基を形成してもよい。
【0012】
Xは、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、ハロゲン原子、−OCOR基、−OR基、−SR基又は−NR基を示す。
【0013】
及びRは、同一又は異なって、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基又は置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基を示す。
【0014】
Zは、二価の基を示す。]
で表される複素多環化合物。
2.一般式(1)におけるRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基であり、R及びRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Xが水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、水酸基又は−OCOR基(Rは水素原子又は直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基)であり、Zが−O−、−S−又は−NR−(Rは水素原子又は直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基)である上記1に記載の複素多環化合物。
3.一般式(1)におけるRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基又は無置換のフェニル基であり、R及びRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Xが水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基、水酸基又は−OCOR基(Rは直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基)であり、Zが−O−、−S−又は−NH−である上記1に記載の複素多環化合物。
4.一般式(2)
【0015】
【化2】

【0016】
[式中、Rは、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。
【0017】
及びRは、同一又は異なって、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。また、このR及びRは、これらが結合する窒素原子と共に互いに結合してヘテロ環を形成してもよい。
【0018】
及びRは、水素原子を示す。
【0019】
また、RとR及びRとRは、各々結合して直鎖又は分枝鎖状のC〜Cアルキレン基を形成してもよい。
【0020】
Xは、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、ハロゲン原子、−OR基、−OCOR基、−SR基又は−NR基を示す。
【0021】
及びRは、同一又は異なって、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基又は置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基を示す。
【0022】
Zは、二価の基を示す。]
で表される複素多環化合物。
5.一般式(2)におけるRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基であり、R及びRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Xが水素原子、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、水酸基又は−OCOR基(Rは水素原子又は直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基)であり、Zが−O−、−S−又は−NR−(Rは水素原子又は直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基)である上記7に記載の複素多環化合物。
6.一般式(2)におけるRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基又は無置換のフェニル基であり、R及びRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Xが水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基、水酸基又は−OCOR基(Rは直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基)であり、Zが−O−、−S−又は−NH−である上記7に記載の複素多環化合物。
7.上記1〜6のいずれかに記載の複素多環化合物からなる色素。
8.上記1〜6のいずれかに記載の複素多環化合物を含む顔料ないし染料。
【0023】
複素多環化合物
本明細書において、上記一般式(1)及び一般式(2)に示される各基は、より具体的にはそれぞれ次の通りである。
【0024】
、R、R及びXで示される直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル基等を挙げることができる。該アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基であるのが好ましく、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基であるのがより好ましい。
【0025】
、R、R、R、R及びXで示されるC〜C10シクロアルキル基の置換基としては、例えば、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基等を挙げることができる。ここで、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル基等が挙げられる。上記置換基は、シクロアルキル環上に、少なくとも1個、好ましくは1〜2個置換しているのがよい。また、シクロアルキル環上の置換位置は、2位、3位及び4位のいずれでもよい。
【0026】
、R、R、R、R及びXで示される置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基の具体例として、例えば、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、n−ブチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、n−ブチルシクロヘキシル、シクロオクチル、シクロデシル基等が挙げられる。これら各基は、位置異性体及び立体異性体を包含する。
【0027】
、R、R及びXで示されるフェニル基の置換基としては、例えば、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基等を挙げることができる。ここで、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル基等が挙げられる。ジ(C〜Cアルキル)アミノとしては、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ(n−プロピル)アミノ、ジ(イソプロピル)アミノ、ジ(n−ブチル)アミノ、ジ(イソブチル)アミノ、ジ(n−ペンチル)アミノ、ジ(n−ヘキシル)アミノ、メチルエチルアミノ、メチルn−プロピルアミノ、メチルn−ブチルアミノ、エチルn−プロピルアミノ、エチルn−ブチルアミノ基等が挙げられる。これらの置換基は、フェニル環上に、少なくとも1個、好ましくは1〜2個置換しているのがよい。また、フェニル環上の置換位置は、2位、3位及び4位のいずれでもよいが、4位であるのが好ましい。
【0028】
Xで示される置換もしくは無置換のフェニル基の具体例として、例えば、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、エチルフェニル、n−プロピルフェニル、n−ブチルフェニル、n−ヘキシルフェニル、n−オクチルフェニル、ジメチルアミノフェニル、ジエチルアミノフェニル、ジ(n−プロピル)アミノフェニル、ジ(イソプロピル)アミノフェニル、ジ(n−ブチル)アミノフェニル、ジ(イソブチル)アミノフェニル、ジ(n−ペンチル)アミノフェニル、ジ(n−ヘキシル)アミノフェニル基等が挙げられる。これら各基は、位置異性体及び立体異性体を包含する。
【0029】
及びRが、これらが結合する窒素原子と共に互いに結合してヘテロ環としては、例えば、ピペリジン環、モルフォリン環、ピロリジン環、ピペラジン環等が挙げられる。
【0030】
とR又はRとRとが互いに結合して形成する直鎖又は分枝鎖状のC〜Cアルキレン基としては、例えば、エチレン、メチルエチレン、プロピレン、テトラメチレン、メチルプロピレン、ジメチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン基等が挙げられる。
【0031】
Xで示されるハロゲン原子は、弗素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子である。
【0032】
及びRで示される直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル基等を挙げることができる。
【0033】
Xで示される−OCOR基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、n−プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、n−ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ、n−ペンチルカルボニルオキシ、ネオペンチルカルボニルオキシ、n−ヘキシルカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
【0034】
Xで示される−OR基としては、例えば、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0035】
Xで示される−SR基としては、例えば、メルカプト、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、ネオペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ基等が挙げられる。
【0036】
Xで示される−NR基としては、例えば、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、n−ヘキシルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ(n−プロピル)アミノ、ジ(イソプロピル)アミノ、ジ(n−ブチル)アミノ、ジ(イソブチル)アミノ、ジ(tert−ブチル)アミノ、ジ(n−ペンチル)アミノ、ジ(n−ヘキシル)アミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、(メチル)(シクロヘキシル)アミノ等が挙げられる。
【0037】
Zで示される二価の基としては、例えば、−O−、−S−、−Se−、−NR−(Rは前記に同じ)等を挙げることができる。−NR−の具体例としては、−NH−、−N(CH)−、−N(C)−等を挙げることができる。
【0038】
本発明の一般式(1)で表される複素多環化合物は、例えば、下記反応式−1に示すようにして製造される。即ち、一般式(3)で表される複素多環化合物に一般式(5)で表される化合物を反応させることにより、Xが水酸基を示す一般式(1)で表される複素多環化合物(以下この化合物を「化合物(1a)」という)が製造される。また、化合物(1a)の水酸基を種々の置換基で置換することにより、Xが水酸基以外の置換基を示す一般式(1)で表される複素多環化合物(以下この化合物を「化合物(1b)」という)が製造される。
【0039】
【化3】

【0040】
[式中、R、R、R、R、R及びZは前記に同じ。X’は水酸基以外の前記Xと同じ。Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子等の金属原子を示す。]
一般式(3)で表される複素多環化合物は、新規な化合物であり、例えば、後記反応式−5に示す方法に従い製造される。一方、一般式(5)で表される化合物は、入手容易な公知の化合物である。一般式(5)におけるMとしては、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属原子が挙げられる。
【0041】
一般式(3)で表される複素多環化合物と一般式(5)で表される化合物との反応は、例えば、適当な溶媒中で行われる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない公知の溶媒を広く使用でき、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒を挙げることができる。一般式(3)で表される複素多環化合物と一般式(5)で表される化合物との使用割合は、通常前者1モルに対して後者を1〜2モル程度、好ましくは1.2〜1.5モル程度使用するのがよい。該反応は、室温下及び冷却下のいずれでも行い得る。
【0042】
化合物(1a)から化合物(1b)に導く反応は、公知の置換反応を適用することにより容易に行い得る。
【0043】
例えば、X’がハロゲン原子を示す化合物(1b)は、THF等の溶媒中、適当な温度の下で、化合物(1a)とハロゲン化水素酸とを反応させることにより得られる。
【0044】
X’が直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基を示す化合物(1b)は、THF等の溶媒中、適当な温度の下で、化合物(1a)と三フッ化ホウ素エーテル錯体とを反応させ、次いで得られる反応生成物にN,N−ジアルキルアニリン又はアルキルリチウム試薬を反応させることにより得られる。
【0045】
X’が−OCOR基(Rは前記に同じ)を示す化合物は、脱塩化水素剤(例えば、炭酸ナトリウム等)の存在下、THF等の溶媒中、化合物(1a)に一般式 RCOOCl (Rは前記に同じ)で表される化合物を反応させることにより得られる。
【0046】
また、X’が直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基を示す化合物(1b)は、下記反応式−2に示すように、化合物(1a)を還元し、次いで得られる化合物(1a’)をアルキル化することによっても製造される。
【0047】
【化4】

【0048】
[式中、R、R、R、R、R、及びZは前記に同じ。Xは直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基を示す。]
化合物(1a)の還元には、還元剤を用いる公知の還元反応の反応条件を広く適用できる。還元剤としては、例えば、パラジウム−炭素等を挙げることができる。反応溶媒としては、例えば、エタノール等のアルコールが用いられる。
【0049】
引続き行われる化合物(1a’)のアルキル化は、強塩基の存在下に、化合物(1a’)にアルキル化剤を反応させることにより行われる、強塩基としては、例えば、tert−ブトキシリチウム、tert−ブトキシナトリウム等が挙げられる。また、アルキル化剤としては、例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化n−プロピル、塩化イソプロピル、塩化n−ブチル、塩化sec−ブチル、塩化tert−ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化イソプロピル、臭化n−ブチル、臭化sec−ブチル、臭化tert−ブチル等のハロゲン化アルキルが用いられる。
【0050】
化合物(1a’)は、下記に示すように互変異性を採り得る。
【0051】
【化5】

【0052】
本発明の一般式(2)で表される複素多環化合物は、例えば、下記反応式−3に示すようにして製造される。即ち、一般式(4)で表される複素多環化合物に一般式(5)で表される化合物を反応させることにより、Xが水酸基を示す一般式(2)で表される複素多環化合物(以下この化合物を「化合物(2a)」という)が製造される。また、化合物(2a)の水酸基を種々の置換基で置換することにより、Xが水酸基以外の置換基を示す一般式(2)で表される複素多環化合物(以下この化合物を「化合物(2b)」という)が製造される。
【0053】
【化6】

【0054】
[式中、R、R、R、R、R、X’、Z及びMは前記に同じ。]
一般式(4)で表される複素多環化合物は、新規な化合物であり、例えば、後記反応式−6に示す方法に従い製造される。
【0055】
一般式(4)で表される複素多環化合物から化合物(2a)及び化合物(2b)を得る反応は、前記一般式(3)で表される複素多環化合物から化合物(1a)及び化合物(1b)を得る反応と同様にして行うことができる。
【0056】
また、X’が直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基を示す化合物(2b)は、下記反応式−4に示すように、化合物(2a)を還元し、次いで得られる化合物(2a’)をアルキル化することによっても製造される。
【0057】
【化7】

【0058】
[式中、R、R、R、R、R、X及びZは前記に同じ。]
化合物(2a)の還元には、還元剤を用いる公知の還元反応の反応条件を広く適用できる。還元剤としては、例えば、パラジウム−炭素等を挙げることができる。反応溶媒としては、例えば、エタノール等のアルコールが用いられる。
【0059】
引続き行われる化合物(2a’)のアルキル化は、強塩基の存在下に、化合物(2a’)にアルキル化剤を反応させることにより行われる、強塩基としては、例えば、tert−ブトキシリチウム、tert−ブトキシナトリウム等が挙げられる。また、アルキル化剤としては、例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化n−プロピル、塩化イソプロピル、塩化n−ブチル、塩化sec−ブチル、塩化tert−ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化イソプロピル、臭化n−ブチル、臭化sec−ブチル、臭化tert−ブチル等のハロゲン化アルキルが用いられる。
【0060】
化合物(2a’)は、下記に示すように互変異性を採り得る。
【0061】
【化8】

【0062】
【化9】

【0063】
[式中、R、R、R、R及びZは前記に同じ。Mはアルカリ金属原子を示す。]
一般式(3)で表される複素多環化合物は、公知の一般式(6)で表されるスルホン酸塩と公知の一般式(7)で表されるアニリンとを反応させることにより製造される。
【0064】
一般式(6)で表されるスルホン酸塩と一般式(7)で表されるアニリンとの反応は、例えば、ハロゲン化銅(II)の存在下、適当な溶媒中で行われる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない公知の溶媒を広く使用でき、例えば、酢酸等の有機酸、又は有機酸と水との混合溶媒を挙げることができる。一般式(6)で表されるスルホン酸塩と一般式(7)で表されるアニリンとの使用割合は、特に制限されるものではないが、通常前者1モルに対して後者を1〜2モル程度、好ましくは1.2〜1.5モル程度使用するのがよい。該反応は、室温下及び加温下のいずれでも行ってもよいが、好ましくは室温下で行われる。
【0065】
【化10】

【0066】
[式中、R、R、R、R及びMは前記に同じ。]
一般式(4)で表される複素多環化合物は、公知の一般式(6)で表されるスルホン酸塩と公知の一般式(7)で表されるアニリンとを反応させ、次いで得られる一般式(8)の化合物を環化することにより製造される。尚、一般式(8)の化合物を環化する際に、一般式(3)で表される複素多環化合物が副生する。
【0067】
一般式(6)で表されるスルホン酸塩と一般式(7)で表されるアニリンとの反応は、例えば、ハロゲン化ニッケル(II)の存在下、適当な溶媒中で行われる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない公知の溶媒を広く使用でき、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)等を挙げることができる。一般式(6)で表されるスルホン酸塩と一般式(7)で表されるアニリンとの使用割合は、特に制限されるものではないが、通常前者1モルに対して後者を1〜2モル程度、好ましくは1.2〜1.5モル程度使用するのがよい。ハロゲン化ニッケルは、一般式(6)で表されるスルホン酸塩1モルに対して、通常0.9〜1.1モル程度使用される。該反応は、室温下及び加温下のいずれでも行うことができるが、好ましくは40〜60℃程度の加温下で行われる。
【0068】
一般式(8)の化合物から化合物(4)に導く反応は、例えば、酢酸銅(II)の存在下、適当な溶媒中で行われる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない公知の溶媒を広く使用でき、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
【0069】
酢酸銅(II)は、一般式(8)で表される化合物1モルに対して、通常0.9〜1.1モル程度使用される。該反応は、室温下及び加温下のいずれでも行うことができるが、好ましくは90〜110℃程度の加温下で行われる。
【0070】
上記各反応式において生成する各々の化合物は、この分野で公知の単離及び精製手段に従い、反応混合物から単離され、精製される。このような単離及び精製手段としては、例えば、抽出、濃縮、濾過、カラムクロマトグラフィー等が挙げられる。
【0071】
色素
本発明の一般式(1)で表される複素多環化合物及び一般式(2)で表される複素多環化合物は、以下に示す優れた特性を備えている。
(1) 本発明化合物は、適正な光吸収波長及び発光波長を有している。
(2) 本発明化合物は、安価で入手容易な化合物から簡易に製造され得る。
(3) 本発明化合物は、種々の溶媒、例えばアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒等の有機溶媒に対する溶解性が良好である。
(4) 本発明化合物は、発光効率が高く、耐熱性、耐光性及びレジスト材料への分散性に優れている。
(5) 本発明化合物は、溶液状態のみならず固体状態でも強い発光性(蛍光性)を有している。
(6) 置換基Xの種類を変えることにより、本発明化合物の固体状態における蛍光色(青、緑及び赤)を調整したり、溶剤に対する溶解性を調整することができる。
【0072】
従って、本発明は、一般式(1)で表される複素多環化合物及び一般式(2)で表される複素多環化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の複素多環化合物からなる色素を提供する。
【0073】
本発明の一般式(1)で表される複素多環化合物及び一般式(2)で表される複素多環化合物は、色変換効率に優れており、色変換フィルタの製造に好適に使用される。
【0074】
また、本発明の一般式(1)で表される複素多環化合物及び一般式(2)で表される複素多環化合物は、色素増感型太陽電池を製造するための色素;熱転写色素、インクジェット用色素等のリプログラフィー材料;電子写真用トナー等の帯電性色素、光学変調素子等の非線形光学材料;有機太陽電池等の光電変換色素;エレクトロルミネッセンス、色素レーザー等の蛍光性色素(色変換色素)、農園芸用フィルム用色素等の波長変換材料として使用できる。
【0075】
更に詳しく説明すると、本発明の一般式(1)で表される複素多環化合物及び一般式(2)で表される複素多環化合物は、単独で、固体状態で発光する蛍光性有機色素になることができ、分散染料、熱転写用色素等の着色材料として、また有機電界発光素子の発光材料等として使用できる。
【0076】
本発明の一般式(1)で表される複素多環化合物及び一般式(2)で表される複素多環化合物の中には、クラスレート形成能を有するものもあり、該化合物の空洞に各種の有機ゲスト分子を取り込むことにより、包接錯体を形成させることができる。包接錯体を形成することにより、上記蛍光性有機色素としての諸機能(固体状態での発光性等)を一段と高めることができる。
【0077】
顔料ないし染料
本発明の一般式(1)で表される複素多環化合物及び一般式(2)で表される複素多環化合物並びにこれらの包接錯体は、これらを適当な溶剤に分散又は溶解させることにより、顔料又は染料とすることができる。
【0078】
溶剤としては、顔料及び染料の分野で使用される公知の溶剤を広く使用できる。
【0079】
顔料用溶剤としては、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、セロソルブ、エチルカルビノール等のグリコールエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルエチルアセテート、ブチルセルソロブエチルアセテート、ブチルカルビノールエチルアセテート等のアセテート系溶剤を例示できる。染料用溶剤としては、低分子量の通常の有機溶剤、グリコール、グリコールエーテル系溶剤等を例示できる。
【0080】
顔料及び染料における本発明複素多環化合物の含有割合は、特に限定されるものではないが、顔料又は染料中に、通常5〜30重量%程度、好ましくは8〜15重量%程度である。
【0081】
本発明の顔料ないし染料は、この分野で通常知られている方法に従い製造される。
【発明の効果】
【0082】
本発明の一般式(1)で表される複素多環化合物及び一般式(2)で表される複素多環化合物並びにこれらの包接錯体は、染料又は顔料として使用できることは勿論のこと、蛍光性有機色素として、種々の用途、例えば各種表示機器における蛍光変換膜用、色素レーザ用、調光用、エネルギー変換用、高密度光記録用、表示用、分子認識のための蛍光センサ用等に用いられる。
【0083】
上記蛍光変換膜の具体的な用途としては、PDP(プラズマディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)、LED(発光ダイオード)、VFD(蛍光表示管)等が挙げられる。
【0084】
本発明の一般式(3)で表される複素多環化合物及び一般式(4)で表される複素多環化合物は、一般式(1)及び(2)で表される複素多環化合物と同様に、色素増感型太陽電池を製造するための色素;熱転写色素、インクジェット用色素等のリプログラフィー材料;電子写真用トナー等の帯電性色素、光学変調素子等の非線形光学材料等として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0085】
以下に参考例及び実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。
【0086】
参考例1
一般式(3)の複素5員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H]の合成
乳鉢に、1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸ナトリウム(1.0g,3.84×10−3モル)及びCuCl(0.26g,1.92×10−3モル)を入れ、少量の酢酸水溶液に溶解させた。次いで、これにm−(ジブチルアミノ)フェノール(0.85g,3.84×10−3モル)を少量の酢酸水溶液に溶解して加え、乳鉢中で擦り合わせた。数日間放置して反応させた後、水を加えて析出物を濾過し、減圧乾燥した。
【0087】
この析出物をジクロロメタンで抽出した後、抽出液中のジクロロメタンを濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=6/1)に付して分離精製することにより、一般式(3)の複素5員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H]の紫色粉末状結晶0.586g(収率40.9%)を得た。
融点:149−153℃
H−NMRスペクトル(CDCl)δppm:
1.00(6H,t)、1.37−1.50(4H,m)、1.62−1.74(4H,m)、3.34(4H,t)、6.65(1H,s)、6.80(1H,dd)、7.43(1H,dt)、7.65(1H,dt)、7.88(1H,d)、7.93(1H,d)、8.11(1H,d)
IRスペクトル(KBr):1618cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
410(7800)、533(10800)。
【0088】
参考例2
一般式(3)の複素5員環化合物[Z=NH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の合成
1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸ナトリウム塩(2.60g,1.00×10−2モル)、N,N−ジブチル−3−アミノアニリン(2.20g,1.00×10−2モル)及び酢酸ニッケル四水和物(2.49g,1.00×10−2モル)を酢酸水溶液40ml(酢酸:水=4:1)に溶解させ、室温下(25℃)で44時間攪拌した。シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=10/1)で反応の進行を確認し、シリカゲル薄層クロマトグラフ上でN,N−ジブチル−3−アミノアニリンのスポットの消失が確認されたので反応を終了させた。
【0089】
反応終了後、反応溶液に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)に付して分離精製することにより、一般式(3)の複素5員環化合物[Z=NH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の緑色結晶0.295g(収率7.9%)を得た。
H−NMRスペクトル(DMSO−d)δppm:
0.92(6H,t)、1.31−1.36(4H,m)、1.53−1.56(4H,m)、3.35(4H,t)、6.39(1H,d)、6.81(1H,dd)、7.30(1H,t)、7.61(1H,t)、7.81(1H,t)、8.01(2H,m)
IRスペクトル(KBr):3229、1604cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
582(6200)、453(11100)、282(36500)、271(35700)。
【0090】
参考例3
一般式(4)の複素6員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H]の合成
(1)一般式(8)の化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸ナトリウム(1.0g,3.84×10−3モル)、N,N−ブチル−3−アミノフェノール(1.28g,4.01×10−3モル)及びNiCl(0.5g,3.84×10−3モル)をDMF45mlに溶解させ、50℃で3時間加熱撹拌した。反応終了後300mlのイオン交換水に注ぎ、析出物を濾取した。濾物から生成物を塩化メチレンで抽出し、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=20/1)に付して分離精製することにより、一般式(8)の化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H]の青色粉末状結晶0.77g(収率53.1%)を得た。
融点:142−144℃
H−NMRスペクトル(CDCl)δppm:
0.98(6H,t)、1.24−1.43(4H,m)、1.58−1.66(4H,m)、3.31(4H,t)、5.37(1H,s)、6.23(1H,d)、6.33(1H,dd)、6.51(1H,s)、7.07(1H,d)、7.45(1H,dd)、7.49(1H,td)、7.59(1H,td)、8.15(1H,dd)
IRスペクトル(KBr):1605、1694、3374cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
504(3860)409(4080)
(2)一般式(4)の複素6員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
上記で得られた一般式(8)の化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H](2.07g,5.49ミリモル)及び無水酢酸銅(995mg,5.49ミリモル)をDMSO60mlに溶解させ、100℃で11時間加熱攪拌した。反応終了後、反応物を蒸留水400mlに注ぎ、析出物を濾取し、シリカゲルカラム(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=10/1)に付して分離精製することにより、一般式(4)の複素6員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H]の青色粉末状結晶1.27g(収率61.7%)を得た。また、この時、一般式(3)の複素5員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H]の紫色粉末状結晶0.22g(収率10.4%)も得られた。
一般式(4)の複素6員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H]の物性
融点:132−133℃
H−NMRスペクトル(CDCl)δppm:
0.97(6H,t)、1.34−1.43(4H,m)、1.57−1.65(4H,m)、3.34(4H,t)、6.20(1H,d)、6.50(1H,s)、6.58(1H,dd)、7.39(1H,dd)、7.49(1H,dd)、7.56(1H,d)、7.89(1H,d)
IRスペクトル(KBr):1221、1594、1689cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
530(12000)437(7900)。
【0091】
実施例1
一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=メチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
アルゴンガス雰囲気下、参考例1で得られた一般式(3)の複素5員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H](2.0g,5.36×10−3モル)を無水THF200mlに溶解させ、−108℃に冷却した後、2.0Mのメチルリチウム−ジエチルエーテル溶液(3.1ml,6.97×10−3モル)をシリンジで注入して、冷媒中で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル=10/1)に付して分離精製することにより、一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=メチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の黄色結晶1.37g(収率65%)を得た。
融点:150−153℃
H−NMRスペクトル(CDCl)δppm:
0.99(6H,t)、1.35−1.45(4H,m)、1.59−1.70(4H,m)、1.66(3H,s)、3.36−3.40(4H,t)、3.71(1H,s)、6.73(1H,d)、6.83(1H,dd)、7.44(2H,td)、7.80(1H,dd)、7.96(1H,d)、8.03(1H,dd)
IRスペクトル(KBr):1644、3432cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
334(8200)、421(21300)
蛍光特性 λem:478nm。
【0092】
実施例2
一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
アルゴンガス雰囲気下、参考例1で得られた一般式(3)の複素5員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H](2.0g,5.36×10−3モル)を無水THF200mlに溶解させ、−108℃に冷却した後、1.6Mのブチルリチウム−ジエチルエーテル溶液(4.4ml,6.97×10−3モル)をシリンジで注入して、冷媒中で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/2)に付して分離精製することにより、一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の黄色結晶0.960g(収率41%)を得た。
融点:128−131℃
H−NMRスペクトル(CDCl)δppm:
0.74(3H,t)、0.99(6H,t)、1.08−1.18(2H,m)、1.35−1.54(4H,m)、1.60−1.68(6H,m)、1.81−2.00(2H,m)、3.38(4H,t)、3.74(1H,s)、6.73(1H,d)、6.83(1H,dd)、7.40−7.45(2H,m)、7.74(1H,dd)、7.96(1H,d)、8.02(1H,dd)
IRスペクトル(KBr):1645、3406cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
337(6800)、423(17800)
蛍光特性 λem:477nm。
【0093】
実施例3
一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=フェニル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
アルゴンガス雰囲気下、参考例1で得られた一般式(3)の複素5員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H](1.0g,2.68×10−3モル)を無水THF200mlに溶解させ、−108℃に冷却した後、1.8Mのフェニルリチウム−ジエチルエーテル溶液(1.5ml,2.68×10−3モル)をシリンジで注入して、冷媒中で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:ベンゼン/アセトン=10/1)に付して分離精製した。一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=フェニル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の橙黄色結晶0.216g(収率18%)を得た。
融点:164−168℃
H−NMRスペクトル(CDCl)δppm:
0.98(6H,t)、1.30−1.60(8H,m)、3.37(4H,t)、4.53(1H,s)、6.68(1H,d)、6.86(1H,s)、7.17−7.22(3H,m)、7.34−7.38(2H,m)、7.39−7.47(2H,m)、7.61(1H,d)、8.00(1H,d)、8.08(1H,d)
IRスペクトル(KBr):1652、3449cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
341(7700)、430(21600)
蛍光特性 λem:486nm。
【0094】
実施例4
一般式(2)の複素6員環化合物[Z=O,R=メチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
アルゴンガス雰囲気下、参考例3で得られた一般式(4)の複素6員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H](1.0g,2.66×10−3モル)を無水THF 200mlに溶解させ、−108℃に冷却した後、1.0Mのメチルリチウム−ジエチルエーテル溶液(3.1ml,3.19×10−3モル)をシリンジで注入して、冷媒中で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)に付して分離精製することにより、一般式(2)の複素6員環化合物[Z=O,R=メチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の黄色結晶0.53g(収率50.8%)を得た。
融点:113−116℃
H−NMRスペクトル(アセトン−d)δppm:
0.98(6H,t)、1.38−1.44(4H,m)、1.47(3H,s)、1.63−1.71(4H,m)、3.50(4H,t)、4.86(1H,s)、6.07(1H,d)、6.24(1H,s)、6.82(1H,dd)、7.22(1H,dd)、7.53(1H,dd)、7.59(1H,dd)、7.87(1H,dd)
IRスペクトル(KBr):1254、1643、3432cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
418(31600)、438(31500)
蛍光特性 λem:462nm。
【0095】
実施例5
一般式(2)の複素6員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
アルゴンガス雰囲気下、参考例3で得られた一般式(4)の複素6員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H](2.0g,5.32×10−3モル)を無水THF200mlに溶解させ、−108℃に冷却した後、1.6Mのブチルリチウム−ジエチルエーテル溶液(4.4ml,6.97×10−3モル)をシリンジで注入して、冷媒中で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、反応溶液を減圧濃縮した。水を加えて濾過し、濾物に塩化メチレンを加えて生成物を抽出した。水洗後、塩化メチレン層を減圧乾固し、シリカゲルカラム(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル=10/1)に付して分離精製することにより、一般式(2)の複素6員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の黄色結晶0.960g(収率41.5%)を得た。
融点:125−127℃
H−NMRスペクトル(アセトン−d)δppm:
0.77(3H,t)、0.98(6H,t)、1.08−1.29(4H,m)、1.38−1.48(4H,m)、1.63−1.80(6H,m)、3.49(4H,t)、4.44(1H,s)、6.24(1H,s)、6.51(1H,d)、6.82(1H,dd)、7.22(1H,dd)、7.49(1H,dd)、7.58(1H,t)、7.87(1H,d)
IRスペクトル(KBr):1224、1643、3432cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
420(29700)、438(29300)
蛍光特性 λem:463nm。
【0096】
実施例6
一般式(2)の複素6員環化合物[Z=O,R=フェニル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
アルゴンガス雰囲気下、参考例3で得られた一般式(4)の複素6員環化合物[Z=O,R=R=n−ブチル,R=R=H](2.0g,5.32×10−3モル)を無水THF200mlに溶解させた後、−108℃に冷却した。アルゴンガス雰囲気下、0.94Mのフェニルリチウム−ジエチルエーテル溶液(6.8ml,6.4×10−3モル)をシリンジで注入して、冷媒中で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、減圧濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル=10/1)に付して分離精製することにより、一般式(2)の複素6員環化合物[Z=O,R=フェニル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の赤褐色結晶0.33g(収率13.7%)を得た。
融点:175−177℃
H−NMRスペクトル(アセトン−d)δppm:
0.99(6H,t)、1.40−1.49(4H,m)、1.65−1.73(4H,m)、3.52(4H,t)、5.33(1H,s)、6.24(1H,s)、6.56(1H,d)、6.85(1H,dd)、7.15−7.23(3H,m)、7.29(1H,dd)、7.34−7.37(2H,m)、7.42(1H,dd)、7.57(1H,dd)、7.89(1H,d)
IRスペクトル(KBr):1222、1639、3429cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
426(28500)、446(31200)
蛍光特性 λem:470nm。
【0097】
実施例7
一般式(1)の複素5員環化合物[Z=NH,R=メチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
アルゴンガス雰囲気下、参考例2で得られた一般式(3)の複素5員環化合物[Z=NH,R=R=n−ブチル,R=R=H](1.0g,2.68×10−3モル)を無水THF200mlに溶解させ、−108℃に冷却した後、1.0Mのメチルリチウム−ジエチルエーテル溶液(6.4ml,6.40×10−3モル)をシリンジで注入して、冷媒中で15分間、その後室温で15分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、溶媒を減圧除去した。残留物に水を加えて濾過し、濾物から生成物を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水洗した後、濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル=2/1)に付して分離精製することにより、一般式(1)の複素5員環化合物[Z=NH,R=メチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H]の黄色結晶0.362g(収率34.6%)を得た。
融点:137−140℃
H−NMRスペクトル(アセトン−d)δppm:
0.98(6H,t)、1.37−1.47(4H,m)、1.56(3H,s)、1.60−1.70(4H,m)、3.44(4H,t)、4.52(1H,s)、6.72(1H,dd)、6.90(1H,dd)、7.32(1H,td)、7.40(1H,td)、7.76(1H,dd)、8.12(1H,d)、8.17(1H,d)、10.55(1H,s)
IRスペクトル(KBr):1601、3251、3399cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
426(14000)、376(13200)
蛍光特性 λem:477nm。
【0098】
実施例8
一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,X=n−ブチル,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
水素ガス雰囲気下、実施例2で得られた一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H](0.14g,3.23×10−4モル)及び10%パラジウム/炭素(20mg)をTHF−エタノール混合溶媒(1:1)10mlに溶解させ、室温で10時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を濾過し、濾液から溶媒を減圧下に除去することにより、一般式(1a’)の複素5員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,R=R=n−ブチル,R=R=H]130mg(収率97%)を得た。
H−NMRスペクトル(アセトン−d)δppm:
0.87−1.00(9H,m)、1.29−1.53(12H,m)、3.15−3.43(6H,m)、6.92−7.09(3H,m)、7.21−7.29(2H,m)、7.35−7.44(1H,m)、7.58−7.64(1H,m)。
【0099】
上記で得られた一般式(1a’)の複素5員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,R=R=n−ブチル,R=R=H](0.10g,2.39×10−4モル)をヨウ化n−ブチル10mlに溶解させ、次にこの溶液にtert−ブチルリチウム(0.06g,7.50×10−4モル)を加え、130℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に塩化メチレン20mlを加え、次いでこの混合物を水洗し、濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:塩化メチレン)に付して分離精製することにより、一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,X=n−ブチル,R=R=n−ブチル,R=R=H]の黄色結晶0.028g(収率24.8%)を得た。
H−NMRスペクトル(アセトン−d)δppm:
0.66(6H,t)、0.80−0.94(4H,m)、0.99(6H,t)、1.03−1.12(4H,m)、1.33−1.49(4H,m)、1.62−1.72(4H,m)、1.91−1.99(2H,m)、2.18−2.26(2H,m)、3.50(4H,t)、6.83(1H,d)、7.00(1H,dd)、7.46−7.51(2H,m)、7.64(1H,dd)、8.19(1H,t)、8.25−8.27(1H,m)
IRスペクトル(KBr):1725cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
335(19100)、410(12500)
蛍光特性 λem:452nm。
【0100】
実施例9
一般式(2)の複素6員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,X=n−ブチル,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
水素ガス雰囲気下、実施例5で得られた一般式(2)の複素6員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H](0.20g,4.61×10−4モル)及び10%パラジウム/炭素(60mg)をTHF−エタノール混合溶媒(1:1)20mlに溶解させ、室温で10時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を濾過し、濾液から溶媒を減圧下に除去することにより、一般式(2a’)の複素6員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,R=R=n−ブチル,R=R=H]180mg(収率92%)を得た。
H−NMRスペクトル(アセトン−d)δppm:
0.95(3H,t)、1.12(6H,t)、1.08−1.29(6H,m)、1.38−1.48(6H,m)、2.63−2.94(2H,m)、3.32(4H,t)、6.41(1H,d)、6.48(1H,dd)、6.92(1H,dd)、7.08(1H,dd)、7.18−7.24(2H,m)、7.35(1H,dd)。
【0101】
上記で得られた一般式(2a’)の複素6員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,R=R=n−ブチル,R=R=H](0.10g,2.39×10−4モル)をヨウ化n−ブチル10mlに溶解させ、次にこの溶液にtert−ブチルリチウム(0.06g,7.50×10−4モル)を加え、130℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に塩化メチレン20mlを加え、次いでこの混合物を水洗し、濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:塩化メチレン)に付して分離精製することにより、一般式(2)の複素6員環化合物[Z=O,R=n−ブチル,X=n−ブチル,R=R=n−ブチル,R=R=H]の黄色結晶0.022g(収率19.5%)を得た。
H−NMRスペクトル(アセトン−d)δppm:
0.56(6H,t)、0.60−0.67(4H,m)、0.85(6H,t)、0.91−1.02(4H,m)、1.25−1.32(4H,m)、1.49−1.55(4H,m)、1.63−1.69(2H,m)、2.00−2.08(2H,m)、3.35(4H,t)、6.20(1H,d)、6.34(1H,dd)、6.65(1H,dd)、7.03(1H,d)、7.22(1H,d)、7.42−7.56(1H,m)、7.71(1H,d)
IRスペクトル(KBr):1593cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
407(28800)、427(26800)
蛍光特性 λem:448nm。
【0102】
実施例10
一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=メチル,X=アセチルオキシ,R=R=n−ブチル,R=R=H]の製造
実施例1で得られた一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=メチル,X=OH,R=R=n−ブチル,R=R=H](0.1g,2.55×10−4モル)及び塩化アセチル(0.06g,7.65×10−4モル)を無水THF10mlに溶解させた後、炭酸ナトリウム(0.081g,7.65×10−4モル)を加え、50℃で2日間撹拌した。
【0103】
反応終了後、反応溶液に塩化メチレン20mlを加え、次いでこの混合物を水洗し、濃縮し、残液をシリカゲルカラム(展開溶媒:塩化メチレン)に付して分離精製することにより、一般式(1)の複素5員環化合物[Z=O,R=メチル,X=アセチルオキシ,R=R=n−ブチル,R=R=H]の黄色結晶0.077g(収率70%)を得た。
H−NMRスペクトル(CDCl)δppm:
0.98(6H,t)、1.34−1.44(4H,m)、1.57(3H,s)、1.59−1.67(4H,m)、3.37(4H,m)、6.74(1H,d)、6.82(1H,dd)、7.37−7.50(3H,m)、7.96(1H,d)、8.07(1H,dd)
IRスペクトル(KBr):1742、1619cm−1
光吸収特性 λmax/nm(εmax/dmmol−1cm−1):
419(17000)、332(7600)
蛍光特性 λem:480nm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[式中、Rは、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。
及びRは、同一又は異なって、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。また、このR及びRは、これらが結合する窒素原子と共に互いに結合してヘテロ環を形成してもよい。
及びRは、水素原子を示す。
また、RとR及びRとRは、各々結合して直鎖又は分枝鎖状のC〜Cアルキレン基を形成してもよい。
Xは、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、ハロゲン原子、−OCOR基、−OR基、−SR基又は−NR基を示す。
及びRは、同一又は異なって、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基又は置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基を示す。
Zは、二価の基を示す。]
で表される複素多環化合物。
【請求項2】
一般式(1)におけるRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基であり、R及びRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Xが水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、水酸基又は−OCOR基(Rは水素原子又は直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基)であり、Zが−O−、−S−又は−NR−(Rは水素原子又は直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基)である請求項1に記載の複素多環化合物。
【請求項3】
一般式(2)
【化2】

[式中、Rは、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。
及びRは、同一又は異なって、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。また、このR及びRは、これらが結合する窒素原子と共に互いに結合してヘテロ環を形成してもよい。
及びRは、水素原子を示す。
また、RとR及びRとRは、各々結合して直鎖又は分枝鎖状のC〜Cアルキレン基を形成してもよい。
Xは、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、ハロゲン原子、−OCOR基、−OR基、−SR基又は−NR基を示す。
及びRは、同一又は異なって、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基又は置換もしくは無置換のC〜C10シクロアルキル基を示す。
Zは、二価の基を示す。]
で表される複素多環化合物。
【請求項4】
一般式(2)におけるRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基であり、R及びRが直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基であり、R及びRが水素原子であり、Xが水素原子、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C10アルキル基、水酸基又は−OCOR基(Rは水素原子又は直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基)であり、Zが−O−、−S−又は−NR−(Rは水素原子又は直鎖もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキル基)である請求項3に記載の複素多環化合物。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の複素多環化合物からなる色素。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の複素多環化合物を含む顔料ないし染料。

【国際公開番号】WO2005/078024
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【発行日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517969(P2005−517969)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002026
【国際出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(504174180)国立大学法人高知大学 (174)
【Fターム(参考)】