説明

複素環を有するオリゴ糖誘導体を含有する医薬組成物

【課題】
優れた活性及び安全性を有する糖尿病等の治療薬及び/又は予防薬を見出すこと。
【解決手段】
下記一般式(I)
【化1】


[Aはピリミジン等、R1はC1-6アルキル、ヒドロキシメチル、C1-6アルコキシメチル、C1-6ハロアルキル、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル、ヒドロキシメチル、C1-6アルコキシメチル、C1-6ハロアルキル、R4はC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6ハロアルキル、水酸基、水素原子、R5、R6及びR7は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6ハロアルキル、水酸基、水素原子、ハロゲン原子を示す。] の化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオリゴ糖誘導体及びその薬理上許容される塩並びにその薬理上許容されるエステルに関する。
【0002】
また、本発明は優れたα-アミラーゼ阻害作用、血糖低下作用、脂質低下作用等を有するオリゴ糖誘導体及びその薬理上許容される塩並びにその薬理上許容されるエステルに関する。
【0003】
更に、本発明はオリゴ糖誘導体及びその薬理上許容される塩並びにその薬理上許容されるエステルを有効成分として含有する食後過血糖症、高血糖症、耐糖能不全、糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、肝肥大、糖尿病合併症、神経障害、動脈硬化症、白内障、糖尿病性腎症などの治療薬及び/又は予防薬(好適には食後過血糖症、糖尿病の治療薬及び/又は予防薬である。)に関する。
【0004】
更に、本発明は上記化合物を有効成分として含有する上記疾病の予防薬若しくは治療薬、上記化合物を有効成分として含有する上記疾病の予防若しくは治療のための組成物、上記疾病の予防若しくは治療のための医薬を製造するための上記化合物の使用、又は上記化合物の薬理的な有効量を温血動物(好適には人間である。)に投与する上記疾病の予防若しくは治療方法に関する。
【背景技術】
【0005】
従来、食後過血糖症の有力な治療薬として、消化酵素阻害剤、例えばボグリボースを含有させた「ベイスン」(武田薬品工業(株))、アカルボースを含有させた「グルコバイ」(バイエル薬品(株))などが実際の臨床で用いられている。しかし、両化合物ともα-グルコシダーゼを阻害することから、腹部膨満、鼓腸、放屁増加、軟便、下痢、腹痛などの副作用があるという欠点を有している。更に、肝機能障害を生じる場合があることも報告されている。
【0006】
一方、栄養の吸収を抑制する効果は、α-グルコシダーゼではなく、α-アミラーゼを阻害しても得られることが知られてきており、α-グルコシダーゼ阻害剤特有の上記副作用を生じることなく血糖値を低下する化合物が知られてきている。しかし、それら化合物のα-アミラーゼ阻害活性は弱いものであり、十分なα-アミラーゼ阻害活性を有する化合物は知られていない。
【0007】
本発明のオリゴ糖誘導体と共通する部分構造(糖誘導体)を有し、α-アミラーゼ阻害作用を示す化合物で開示されているものがある。(例えば、特許文献1及び2参照)しかし、これらの化合物は、デオキシノジリマイシン骨格が必須であるか、又はヘキサヒドロ-3,5,6-トリヒドロキシ-1H-アゼピン骨格が必須である点において、本発明の化合物と異なる。また、本発明のオリゴ糖誘導体と共通する部分構造を有し、α-アミラーゼ阻害作用を示す化合物がある。(例えば、特許文献3参照)
また、先行出願として特願2005-219070号が挙げられるが、該出願は化合物に関する出願である。一方、本出願は特願2005-219070号に記載の化合物の医薬用途に関する出願であり、本出願と特願2005-219070号とは対象が異なる。
【特許文献1】国際公開第00/50434号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/94367号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/67542号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、優れたα-アミラーゼ阻害活性を持ち、高い安定性を有する食後過血糖症、糖尿病等の治療薬及び/又は予防薬の開発を目的として鋭意研究を行い、新規オリゴ糖誘導体が優れたα-アミラーゼ阻害作用、血糖低下作用、脂質低下作用を有し、食後過血糖症、高血糖症、耐糖能不全、糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、肝肥大、糖尿病合併症、神経障害、動脈硬化症、白内障、糖尿病性腎症等を改善し、かつ高い安定性を有することを見出し本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、食後過血糖症、高血糖症、耐糖能不全(impaired glucose tolerance: IGT)、糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、肝肥大、糖尿病合併症(例えば網膜症、腎症、神経障害等)、神経障害、動脈硬化症、白内障、糖尿病性腎症等の治療薬または予防薬として有用な、オリゴ糖誘導体及びその薬理上許容される塩並びにその薬理上許容されるエステルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
(1)下記一般式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、Aは下記一般式(A1)
【0013】
【化2】

【0014】
を示し、R1はC1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R4はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基又は水素原子を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一若しくは異なって、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子を示す。] で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する糖尿病、食後過血糖症、高血糖症若しくは耐糖能不全の予防又は治療のための医薬組成物、
(2)下記一般式(I)
【0015】
【化3】

【0016】
[式中、Aは下記一般式(A1)
【0017】
【化4】

【0018】
を示し、R1はC1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R4はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基又は水素原子を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一若しくは異なって、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子を示す。] で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する糖尿病若しくは食後過血糖症の予防又は治療のための医薬組成物、
(3)R1がC1-3アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-3アルコキシメチル基又はC1-3ハロアルキル基、R2及びR3がそれぞれ異なって、C1-3アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-3アルコキシメチル基又はC1-3ハロアルキル基である、請求項1又は2に記載の医薬組成物、
(4)R5、R6及びR7がそれぞれ同一若しくは異なって、C1-3アルキル基、C1-3ヒドロキシアルキル基、C1-3ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子である、上記(1)乃至(3)に記載の医薬組成物、
(5)R4が水素原子である、上記(1)乃至(4)に記載の医薬組成物、
(6)化合物が、(2R,3R,4R)-4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-3-イル 4-O-{6-フルオロ-6-デオキシ-4-O-(6-フルオロ-6-デオキシ-β-D-グリコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル}-α-D-グルコピラノシド、(2R,3R,4R)-4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-3-イル 4-O-{6-デオキシ-4-O-(6-デオキシ-β-D-グリコピラノシル)-β-D-グルコピラノシル}-α-D-グルコピラノシド、(2R,3R,4R)-4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-3-イル 4-O-{6-デオキシ-4-O-(β-D-グリコピラノシル)-β-D-グルコピラノシル}-α-D-グルコピラノシド又はその薬理上許容される塩若しくはエステルである上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物、
(7)下記一般式(I)
【0019】
【化5】

【0020】
[式中、Aは下記一般式(A1)
【0021】
【化6】

【0022】
を示し、R1はC1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R4はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基又は水素原子を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一若しくは異なって、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子を示す。]で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する血糖低下剤、
(8)下記一般式(I)
【0023】
【化7】

【0024】
[式中、Aは下記一般式(A1)
【0025】
【化8】

【0026】
を示し、R1はC1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R4はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基又は水素原子を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一若しくは異なって、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子を示す。] で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有するα−アミラーゼ阻害剤、
(9)耐糖能不全、食後過血糖症、高血糖症若しくは糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための下記一般式(I)
【0027】
【化9】

【0028】
[式中、Aは下記一般式(A1)
【0029】
【化10】

【0030】
を示し、R1はC1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R4はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基又は水素原子を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一若しくは異なって、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子を示す。]で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルの使用である。

本発明において、「C1-3アルキル基」とは、炭素原子を1個乃至3個有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n-プロピル若しくはイソプロピル基を挙げることができる。R1、R2、R3、R5、R6及びR7においては、好適にはメチル基である。
【0031】
本発明において、「C1-6アルキル基」とは、炭素原子を1個乃至6個有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、前記「C1-3アルキル基」の例として挙げた基又は、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル若しくは2-エチルブチル基を挙げることができる。R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7においては、好適には炭素数1乃至3個のアルキル基であり、最も好適にはメチル基である。
【0032】
本発明において、「ハロゲン原子」とは、弗素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子であり、R5、R6及びR7において、好適には、弗素原子である。
【0033】
本発明において、「C1-3ハロアルキル基」又は「C1-6ハロアルキル基」とは、それぞれ前記「C1-3アルキル基」又は「C1-6アルキル基」に前記「ハロゲン原子」が置換した基である。「C1-3ハロアルキル基」としては、例えば、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-ブロモエチル、2-クロロエチル、2-フルオロエチル、2-ヨードエチル、3-クロロプロピル、2,2-ジブロモエチル基を挙げることができ、R1、R2、R3、R5、R6及びR7においては、好適にはフルオロメチル基である。「C1-6ハロアルキル基」としては、例えば、前記「C1-3ハロアルキル基」の例として挙げた基又は、4-ヨードブチル、4-フルオロブチル、4-クロロブチル、5-ヨードペンチル、5-フルオロペンチル、5-クロロペンチル、6-ヨードヘキシル、6-フルオロヘキシル、6-クロロヘキシル基を挙げることができ、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びRにおいては、好適にはC1-3ハロアルキル基であり、更に好適にはフルオロメチル基である。
【0034】
本発明において、「C1-3ヒドロキシアルキル基」又は「C1-6ヒドロキシアルキル基」とは、それぞれ前記「C1-3アルキル基」又は「C1-6アルキル基」に水酸基が置換した基である。「C1-3ヒドロキシアルキル基」としては、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル基を挙げることができ、R5、R6及びR7においては好適にはヒドロキシメチル基である。「C1-6ヒドロキシアルキル基」としては、例えば、前記「C1-3ヒドロキシアルキル基」の例として挙げた基又は、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル基を挙げることができ、R4、R5、R6及びR7においては好適にはC1-3ヒドロキシアルキル基であり、更に好適には、ヒドロキシメチル基である。
【0035】
本発明において、「C1-6アルコキシ基」とは、前記「C1-6アルキル基」が酸素原子に結合した基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、2-メチルブトキシ、ネオペントキシ、n-ヘキシルオキシ、4-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシ基を挙げることができ、R4、R5、R6及びR7においては、好適にはC1-3アルコキシ基であり、更に好適には、メトキシ基である。
【0036】
本発明において、「C1-3アルコキシメチル基」又は「C1-6アルコキシメチル基」とは、それぞれ前記「C1-3アルコキシ基」又は「C1-6アルコキシ基」がメチル基に結合した基である。「C1-3アルコキシメチル基」としては、例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、n-プロポキシメチル、イソプロポキシメチル基を挙げることができ、R1、R2及びR3においては好適にはメトキシメチル基である。「C1-6アルコキシメチル基」としては、例えば、前記「C1-3アルコキシメチル基」の例として挙げた基又は、n-ブトキシメチル、イソブトキシメチル、s-ブトキシメチル、tert-ブトキシメチル、n-ペントキシメチル、イソペントキシメチル、2-メチルブトキシメチル、ネオペントキシメチル、n-ヘキシルオキシメチル、4-メチルペントキシメチル、3-メチルペントキシメチル、2-メチルペントキシメチル、3,3-ジメチルブトキシメチル、2,2-ジメチルブトキシメチル、1,1-ジメチルブトキシメチル、1,2-ジメチルブトキシメチル、1,3-ジメチルブトキシメチル、2,3-ジメチルブトキシメチル基を挙げることができ、R1、R2及びR3においては好適には「C1-3アルコキシメチル基」であり、更に好適には、メトキシメチル基である。

本発明の前記一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体は、常法に従って塩基性基を有する場合は酸付加塩にすることができる。そのような塩としては、例えばフッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸のようなハロゲン化水素酸の塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩のような無機酸塩;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸のような低級アルカンスルホン酸の塩;ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸のようなアリールスルホン酸の塩;グルタミン酸、アスパラギン酸のようなアミノ酸の塩;酢酸、フマール酸、酒石酸、蓚酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、マンデル酸、アスコルビン酸、乳酸、グルコン酸、クエン酸のようなカルボン酸の塩を挙げることができる。好適にはハロゲン化水素酸の塩であり、最も好適には塩酸塩である。
【0037】
更に、前記一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体は、水酸基を有するため、常法に従って金属塩にすることができる。そのような塩としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属塩;カルシウム、バリウム、マグネシウムのようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩をあげることができる。好適にはアルカリ金属塩である。
【0038】
本発明の前記一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体は、常法に従って薬理上許容されるエステルにすることができる。そのようなエステルとしては、前記一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体と比べて、医学的に使用され、薬理上受け入れられるものであれば特に限定はない。
【0039】
本発明の前記一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体のエステルは、例えばC1-6アルキル基(当該アルキル基は、トリアルキルシリル基により置換されていてもよい)、C7-16アラルキル基、C1-6アルカノイルオキシが置換したC1-5アルキル基、C1-6アルキルオキシカルボニルオキシが置換したC1-5アルキル基、C5-7シクロアルキルオキシカルボニルオキシが置換したC1-5アルキル基、C6-10アリールオキシカルボニルオキシが置換したC1-5アルキル基、5位に置換分としてC1-6アルキルを有する2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル基を挙げることができる。
【0040】
ここで、C1-6アルキル基は、好適には炭素数1乃至4個を有する直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基であり、更に好適にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル又はイソブチル基であり、最適にはメチル基又はエチル基である。
【0041】
C1-5アルキル基とは、炭素数1乃至5個を有する直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基であり、好適にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル又はイソブチル基であり、最適にはメチル基又はエチル基である。
【0042】
C5-7シクロアルキル基とは、5乃至7員飽和環状炭化水素基であり、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基を挙げることができ、好適にはシクロヘキシル基である。
【0043】
C6-10アリール基とは、炭素数6乃至10個の芳香族炭化水素基であり、例えば、フェニル、インデニル、ナフチル基を挙げることができ、好適にはフェニル基である。
【0044】
C7-16アラルキル基とは、上記「C6-10アリール基」が前記「C1-6アルキル基」に結合した基であり、例えば、ベンジル、α-ナフチルメチル、β-ナフチルメチル、インデニルメチル、フェナンスレニルメチル、アントラセニルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-ナフチルエチル、2-ナフチルエチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-ナフチルプロピル、2-ナフチルプロピル、3-ナフチルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチル、4-フェニルブチル、1-ナフチルブチル、2-ナフチルブチル、3-ナフチルブチル、4-ナフチルブチル、1-フェニルペンチル、2-フェニルペンチル、3-フェニルペンチル、4-フェニルペンチル、5-フェニルペンチル、1-ナフチルペンチル、2-ナフチルペンチル、3-ナフチルペンチル、4-ナフチルペンチル、5-ナフチルペンチル、1-フェニルヘキシル、2-フェニルヘキシル、3-フェニルヘキシル、4-フェニルヘキシル、5-フェニルヘキシル、6-フェニルヘキシル、1-ナフチルヘキシル、2-ナフチルヘキシル、3-ナフチルヘキシル、4-ナフチルヘキシル、5-ナフチルヘキシル、6-ナフチルヘキシル基を挙げることができる。R1及びR2においては、好適には、「アルキル基」の炭素数が1乃至4個の「アラルキル基」であり、更に好適にはベンジル基である。
【0045】
好適なエステル残基の具体例としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ベンジル、アセトキシメチル、1-(アセトキシ)エチル、プロピオニルオキシメチル、1-(プロピオニルオキシ)エチル、ブチリルオキシメチル、1-(ブチリルオキシ)エチル、イソブチリルオキシメチル、1-(イソブチリルオキシ)エチル、バレリルオキシメチル、1-(バレリルオキシ)エチル、イソバレリルオキシメチル、1-(イソバレリルオキシ)エチル、ピバロイルオキシメチル、1-(ピバロイルオキシ)エチル、メトキシカルボニルオキシメチル、1-(メトキシカルボニルオキシ)エチル、エトキシカルボニルオキシメチル、1-(エトキシカルボニルオキシ)エチル、プロポキシカルボニルオキシメチル、1-(プロポキシカルボニルオキシ)エチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、1-(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル、ブトキシカルボニルオキシメチル、1-(ブトキシカルボニルオキシ)エチル、イソブトキシカルボニルオキシメチル、1-(イソブトキシカルボニルオキシ)エチル、t-ブトキシカルボニルオキシメチル、1-(t-ブトキシカルボニルオキシ)エチル、シクロペンタンカルボニルオキシメチル、1-(シクロペンタンカルボニルオキシ)エチル、シクロヘキサンカルボニルオキシメチル、1-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)エチル、シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1-(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル、ベンゾイルオキシメチル、1-(ベンゾイルオキシ)エチル、フェノキシカルボニルオキシメチル、1-(フェノキシカルボニルオキシ)エチル、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチル又は2-トリメチルシリルエチル基である。

なお、前記一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体は、種々の異性体を有する。例えば一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体において、A部分及び糖の結合部分に光学異性体が存在し得る。前記一般式(I)においては、これら不斉炭素原子に基づく立体異性体及びこれら異性体の等量及び非等量混合物がすべて単一の式で示されている。従って、本発明は、これらの異性体及びこれら異性体の種々の割合での混合物をすべて含むものである。
【0046】
更に本発明は、前記一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体、その塩又はエステルが溶媒和物(例えば水和物)を形成する場合には、これらもすべて含むものである。
【0047】
更に本発明において、生体内において代謝されて前記一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体、その塩又はエステルに変換される化合物(例えばアミド誘導体のような、いわゆるプロドラッグ)もすべて含むものである。

本発明において、R1は、好適にはC1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基又はヒドロキシメチル基であり、さらに好適にはメチル基、フルオロメチル基又はヒドロキシメチル基であり、特に好適にはヒドロキシメチル基である。
【0048】
R2は、好適にはC1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基又はヒドロキシメチル基であり、さらに好適にはメチル基又はフルオロメチル基であり、特に好適にはメチル基である。
【0049】
R3は、好適にはC1-6アルキル基、、C1-6ハロアルキル基又はC1-6ヒドロキシアルキル基であり、更に好適にはC1-3ヒドロキシアルキル基である。
【0050】
R4は、好適には水素原子である。
【0051】
R5は、好適には水酸基又はC1-6ヒドロキシアルキル基であり、更に好適にはC1-6ヒドロキシアルキル基であり、特に好適にはC1-3ヒドロキシアルキル基であり、最も好適にはヒドロキシメチル基である。
【0052】
R6は、好適にはC1-6ヒドロキシアルキル基、水酸基又は水素原子であり、更に好適には水酸基である。
【0053】
R7は好適には水素原子、C1-6ヒドロキシアルキル基又はC1-6アルキル基であり、更に好適には水素原子である。
【0054】
一般式(I)は、好適には、下記一般式(IA)
【0055】
【化11】

【0056】
である。
【0057】
Aは、好適には、下記一般式(A1)
【0058】
【化12】

【0059】
である。

本発明の、前記一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体又はその薬理上許容される塩若しくはエステルの具体例としては、次に例示する化合物を挙げることができる。但し、本発明は下記の例示化合物に限定されるものではない。
【0060】
【化13】

【0061】
(表1)

上記表中、好適なものとしては、1-1、1-17又は1-20 が挙げられ、更に好適なものとしては、(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−3−イル 4−O−{6−デオキシ−4−O−(β−D−グリコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド又はその薬理上許容される塩若しくはエステルが挙げられる。
【0062】

本発明の、下記一般式(I)を有する化合物は、例えば、以下の方法により公知化合物を出発原料として用いて、製造することができる。
【0063】
【化14】

【0064】
上記式中及び以下の記載において、A、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、前述したものと同意義を示す。ただし、R1、R2、R3、R4、R5、R6又はR7が水酸基又は水酸基を有する基を示す場合、該水酸基は保護されていてもよい。
【0065】
A工程
【0066】
【化15】

【0067】
B工程
【0068】
【化16】

【0069】
C工程
【0070】
【化17】

【0071】
上記工程中及び以下の記載において、X1-X22及びY1-Y5は同一若しくは異なって、水素原子又は水酸基(該水酸基は保護基により保護されていてもよい)を示し、P1はC1-6アルコキシカルボニル基(好適には、t-ブトキシカルボニル基)、C7-16アラルキルオキシカルボニル基(好適には、ベンジルオキシカルボニル基)のようなアミノ基の保護基を示し、L1は脱離基を示す。
【0072】
水酸基の保護に用いる保護基とは、一般に水酸基の保護に用いるものであれば特に限定はないが、例えば、グリーン・ワッツ著、「プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス第3版(Protective groups in organic synthesis )」(米国、Wiley-Interscience社)に記載の基が挙げられる。

本発明の化合物(I)を製造する工程は、以下の3工程からなる。
すなわち、
(1)A工程は、化合物(I)の左側部分である中間体(iii)を製造する工程である。
(2)B工程は、化合物(I)の右側部分である中間体(viii)を製造する工程である。
(3)C工程は、A工程で得られた中間体、(iii)と、B工程で得られた中間体(viii)とを縮合し、本発明の化合物(I)を製造する工程である。
【0073】
以下、各工程につき、説明する。
【0074】
(A工程)
原料化合物(i)は公知化合物の水酸基を公知の方法により、保護、脱保護することにより製造できる。また、本工程中必要に応じて、水酸基の保護、脱保護を行うこともできる。
【0075】
水酸基の保護、脱保護は周知の方法によって行われ、例えば、グリーン・ワッツ著、「プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス第3版(Protective groups in organic synthesis )」(米国、Wiley-Interscience社)に準じて行うこともできる。
【0076】
また、例えば、脱保護の方法は以下の様に実施することもできる。
【0077】
水酸基の保護基として、シリル基を使用した場合には、通常、弗化テトラブチルアンモニウム、弗化水素酸、弗化水素酸-ピリジン、弗化カリウムのような弗素アニオンを生成する化合物で処理するか、又は、酢酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機酸又は塩酸のような無機酸で処理することにより除去できる。
【0078】
尚、弗素アニオンにより除去する場合に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸のような有機酸を加えることによって、反応が促進することがある。
【0079】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類;水;酢酸のような有機酸及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0080】
反応温度及び反応時間は、特に限定はないが、通常、0℃乃至100℃(好適には、10℃乃至30℃)で、1乃至24時間実施される。
【0081】
水酸基の保護基が、アラルキル基又はアラルキルオキシカルボニル基である場合には、通常、溶媒中、還元剤と接触させることにより(好適には、触媒下に常温にて接触還元)除去する方法又は酸化剤を用いて除去する方法が好適である。
【0082】
接触還元による除去において使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はないが、メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、トルエン、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類、蟻酸、酢酸のような脂肪酸類、水、又はこれらの混合溶媒が好適であり、更に好適には、アルコール類、脂肪酸類、アルコール類とエーテル類との混合溶媒、アルコール類と水との混合溶媒、又は、脂肪酸類と水との混合溶媒である。
【0083】
使用される触媒としては、通常、接触還元反応に使用されるものであれば、特に限定はないが、好適には、パラジウム炭素、パラジウム黒、ラネーニッケル、酸化白金、白金黒、ロジウム−酸化アルミニウム、トリフェニルホスフィン−塩化ロジウム、パラジウム−硫酸バリウムが用いられる。
【0084】
圧力は、特に限定はないが、通常1乃至10気圧で行なわれる。
【0085】
反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び触媒の種類等により異なるが、通常、0℃乃至100℃(好適には、20℃乃至70℃)、5分乃至48時間(好適には、1時間乃至24時間)である。
【0086】
酸化による除去において使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はないが、好適には、含水有機溶媒である。
【0087】
このような有機溶媒として好適には、アセトンのようなケトン類、メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、アセトニトリルのようなニトリル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類及びジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類を挙げることができる。
【0088】
使用される酸化剤としては、酸化に使用される化合物であれば特に限定はないが、好適には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、アンモニウムセリウムナイトレイト(CAN)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)が用いられる。
【0089】
反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び触媒の種類等により異なるが、通常、0乃至150℃で、10分乃至24時間実施される。
【0090】
又、液体アンモニア中若しくはメタノール、エタノールのようなアルコール中において、-78乃至-20℃で、金属リチウム、金属ナトリウムのようなアルカリ金属類を作用させることによっても除去できる。
【0091】
更に、溶媒中、塩化アルミニウム−沃化ナトリウム、又はトリメチルシリルイオダイドのようなアルキルシリルハライド類を用いても除去することができる。
【0092】
使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はないが、好適には、アセトニトリルのようなニトリル類、メチレンクロリド、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類又はこれらの混合溶媒が使用される。
【0093】
反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒等により異なるが、通常は0乃至50℃で、5分乃至3日間実施される。
【0094】
尚、反応基質が硫黄原子を有する場合は、好適には、塩化アルミニウム−沃化ナトリウムが用いられる。
【0095】
水酸基の保護基が、脂肪族アシル基、芳香族アシル基又はアルコキシカルボニル基である場合には、溶媒中、塩基で処理することにより除去される。
【0096】
使用される塩基としては、化合物の他の部分に影響を与えないものであれば特に限定はないが、好適にはナトリウムメトキシドのような金属アルコキシド類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムのようなアルカリ金属炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムのようなアルカリ金属水酸化物又はアンモニア水、濃アンモニア−メタノールのようなアンモニア類が用いられる。
【0097】
使用される溶媒としては、通常の加水分解反応に使用されるものであれば特に限定はなく、水;メタノール、エタノール、n-プロパノールのようなアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類等の有機溶媒又は水と上記有機溶媒との混合溶媒が好適である。
【0098】
反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び使用される塩基等により異なり特に限定はないが、副反応を抑制するために、通常は0乃至150℃で、1乃至10時間実施される。
【0099】
水酸基の保護基が、アルコキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基又は置換されたエチル基である場合には、通常、溶媒中、酸で処理することにより除去される。
【0100】
使用される酸としては、通常、ブレンステッド酸又はルイス酸として使用されるものであれば特に限定はなく、好適には、塩化水素;塩酸、硫酸、硝酸のような無機酸;又は酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸のような有機酸等のブレンステッド酸:三弗化ホウ素のようなルイス酸であるが、ダウエックス50Wのような強酸性の陽イオン交換樹脂も使用することができる。
【0101】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジエチルのようなエステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、のようなアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンのようなケトン類;水、又は、これらの混合溶媒が好適であり、更に好適には、ハロゲン化炭化水素類、エステル類又はエーテル類である。
【0102】
反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び使用される酸の種類・濃度等により異なるが、通常は-10乃至100℃(好適には、-5乃至50℃)で、5分乃至48時間(好適には、30分乃至10時間)である。
【0103】
水酸基の保護基が、アルケニルオキシカルボニル基である場合は、通常、水酸基の保護基が前記の脂肪族アシル基、芳香族アシル基又はアルコキシカルボニル基である場合の除去反応の条件と同様にして、塩基と処理することにより達成される。
【0104】
尚、アリルオキシカルボニルの場合は、特にパラジウム、及びトリフェニルホスフィン、又はビス(メチルジフェニルホスフィン)(1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)・ヘキサフルオロホスフェートを使用して除去する方法が簡便で、副反応が少なく実施することができる。
【0105】
水酸基の保護基が、ホルミル基である場合には、溶媒中、塩基で処理することにより除去される。
【0106】
使用される塩基としては、化合物の他の部分に影響を与えないものであれば特に限定はないが、好適には炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩が用いられる。
【0107】
使用される溶媒としては、通常の加水分解反応に使用されるものであれば特に限定はなく、水;メタノール、エタノール、n-プロパノールのようなアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類等の有機溶媒又は水と上記有機溶媒との混合溶媒が好適である。
【0108】
反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び使用される塩基等により異なり特に限定はないが、副反応を抑制するために、通常は0乃至150℃で、1乃至10時間実施される。
【0109】
水酸基の保護基が、トリフルオロアセタミド基のようなハロゲン置換されたアセタミド基である場合には、溶媒中、塩基で処理することにより除去される。
【0110】
使用される塩基としては、化合物の他の部分に影響を与えないものであれば特に限定はないが、好適にはダウエックス1×4(OH-)のような塩基性樹脂が用いられる。
【0111】
使用される溶媒としては、通常の加水分解反応に使用されるものであれば特に限定はなく、水;メタノール、エタノール、n-プロパノールのようなアルコール類が好適であり、さらに好適には水である。
【0112】
アノマー位のアリル基の脱保護はパラジウムクロリドのようなパラジウム触媒又は、イリジウム触媒が好適である。
【0113】
使用される溶媒としては、通常の触媒反応に使用されるものであれば特に限定はなく、メタノールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、あるいは水が好適であり、さらに好適には、メタノール、テトラヒドロフランである。
【0114】
(第A1工程)
本工程は、化合物(ii)を製造する工程であり、所望する部位の水酸基に必要に応じて脱離基を導入した後、導入するR1、R2及びR3基に相当する試薬と求核置換反応を行うことにより達成される。
【0115】
脱離基がハロゲン原子の場合、使用される溶媒は反応を阻害せず、出発物質を溶解するものであれば特に限定はないが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類、ギ酸エチル、酢酸エチルのようなエステル類、又はこれらの混合溶媒が好適であり、更に好適にはハロゲン化炭化水素類又はエーテル類であり、特に好適にはジクロロメタン又はテトラヒドロフランである。
【0116】
使用するハロゲン化剤は、通常、水酸基をハロゲン原子とする反応に用いるものであれば特に限定はないが、ジエチルアミノサルファトリフルオライド(DAST)のようなジアルキルアミノサルファトリハライド類、チオニルクロリド、チオニルブロミド、チオニルアイオダイドのようなチオニルハライド類、スルフリルクロリド、スルフリルブロミド、スルフリルアイオダイドのようなスルフリルハライド類、三塩化燐、三臭化燐、三沃化燐のような三ハロゲン化燐類、五塩化燐、五臭化燐、五沃化燐のような五ハロゲン化燐類又はオキシ塩化燐、オキシ臭化燐、オキシ沃化燐のようなオキシハロゲン化燐類を挙げることができる。
【0117】
反応温度は、0℃乃至加温下(使用する溶媒の沸点)であり、好適には室温乃至加温下(使用する溶媒の沸点)である。
【0118】
反応時間は、10分乃至24時間であり、好適には1時間乃至5時間である。
【0119】
脱離基がスルホニル基の場合、使用されるスルホニル化剤は、通常、水酸基をスルホニル化する反応に用いるものであれば、特に限定はないが、例えば、塩化エタンスルホニルのようなハロゲン化アルカンスルホニル、塩化p-トルエンスルホニルのようなハロゲン化アリールスルホニル、メタンスルホン酸無水物、ベンゼンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物のようなスルホン酸無水物類を挙げることができる。好適には、塩化メタンスルホニル、塩化p-トルエンスルホニル又はトリフルオロメタンスルホン酸無水物である。
【0120】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジエチルのようなエステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類を挙げることができる。好適には、ハロゲン化炭化水素類、エステル類、エーテル類であり、さらに好適にはテトラヒドロフランである。
【0121】
使用される塩基は通常の反応において塩基として使用されるものであれば、特に限定はないが、好適にはトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ピリジン、4-ピロリジノピリジン、ピコリン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、2,6-ジ(t-ブチル)-4-メチルピリジン、キノリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)のような有機塩基類であり、さらに好適にはトリエチルアミン又はピリジンである。
【0122】
反応温度は、0℃乃至加温下(使用溶媒の沸点)であり、好適には0℃乃至室温である。
【0123】
反応時間は、10分乃至24時間であり、好適には10分乃至1時間である。
【0124】
R1、R2及びR3基に相当する試薬として使用される試薬は、市販の還元剤、ハロゲン化剤などである。
【0125】
使用される還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウムのような水素化ホウ素アルカリ金属、水素化アルミニウムリチウム、水素化リチウムトリエトキシドアルミニウムのような水素化アルミニウム化合物、水素化テルルナトリウムのようなヒドリド試薬が好適である。
【0126】
使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質を溶解するものであれば特に限定はないが、メタノール、エタノールのようなアルコール類、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類又は上記の混合溶媒が好適である
使用されるハロゲン化剤としては、通常ハロゲン化反応に用いるものであれば特に限定はないが、好適にはジエチルアミノサルファトリフルオライド(DAST)のようなジアルキルアミノサルファトリハライド類、チオニルクロリド、チオニルブロミド、チオニルアイオダイドのようなチオニルハライド類、スルフリルクロリド、スルフリルブロミド、スルフリルアイオダイドのようなスルフリルハライド類、三塩化燐、三臭化燐、三沃化燐のような三ハロゲン化燐類、五塩化燐、五臭化燐、五沃化燐のような五ハロゲン化燐類又はオキシ塩化燐、オキシ臭化燐、オキシ沃化燐のようなオキシハロゲン化燐類を挙げることができ、さらに好適にはジエチルアミノサルファトリフルオライドである。
【0127】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類が挙げられ、好適にはテトラヒドロフランである。
【0128】
反応温度は、0℃乃至加温下(使用する溶媒の沸点)であり、好適には室温乃至加温下(使用する溶媒の沸点)である。
【0129】
反応時間は、10分乃至24時間であり、好適には1時間乃至5時間である。 (第A2工程)
本工程は、中間体(iii)を製造する工程であり、化合物(ii)の1位に脱離基をA1工程の方法に準じて導入することにより達成される。
【0130】
(B工程)
原料化合物(iv)はテトラヘドロン(Tetrahedron)26巻、1985年、p1469の方法に準じて製造することもできる。さらに原料化合物(v)は公知化合物の水酸基を公知の方法により、保護、脱保護することにより製造できる。また、A法と同様に、本工程中必要に応じて、水酸基の保護、脱保護を行うこともできる。さらに、置換基にハロゲン原子を有する場合はA1工程のハロゲン化反応に準じて、ハロゲン原子を導入することもできる。
【0131】
(第B1工程)
本工程は、2環性化合物(v)を製造する工程であり、化合物(iv)のアジド基を還元後、加熱することにより達成される。
【0132】
使用される溶媒は反応を阻害せず、出発物質を溶解するものであれば特に限定はないが、テトラヒドロフラン、ジオキサンのような水溶性エーテル類、水、又はそれらの混合溶媒が挙げられ、好適には水及びテトラヒドロフランの混合溶媒である。
【0133】
アジド基の還元剤は、ホスフィン類とアンモニア水が挙げられる。トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンのようなトリアルキルホスフィンとアンモニア水、又はトリフェニルホスフィンのようなトリアリールホスフィンとアンモニア水が挙げられるが、好適にはトリフェニルホスフィンのようなトリアリールホスフィンとアンモニア水である。
【0134】
また、還元剤として、触媒を使用することもできる。使用される触媒は、通常、接触還元反応に使用されるものであれば、特に限定はないが、例えばパラジウム炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム炭素、ラネーニッケル、酸化白金、白金黒、ロジウム−酸化アルミニウム、トリフェニルホスフィン−塩化ロジウム、パラジウム−硫酸バリウムなどが挙げることができ、好適にはパラジウム炭素又は水酸化パラジウム炭素である。
【0135】
触媒を還元剤とする場合、使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質を溶解するものであれば特に限定はないが、好適にはメタノール、エタノールのようなアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、酢酸のような脂肪酸、酢酸エチルのようなエステル類を挙げることができ、さらに好適にはメタノールである。
【0136】
反応温度は、0℃乃至50℃であり、好適には0℃乃至室温である。
【0137】
反応時間は、10分乃至24時間であり、好適には1時間乃至5時間である。
【0138】
(第B2工程)
本工程は、アミノ基が保護された化合物(vi)を製造する工程であり、化合物(v)のアミノ基を適当な保護基で保護することにより達成される。
【0139】
使用される溶媒は反応を阻害せず、出発物質を溶解するものであれば特に限定はないが、好適にはテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールのようなエーテル類、メタノール、エタノールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、のようなケトン類N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類などが挙げられる。
【0140】
使用される試薬としては、通常、フリーのアミノ基に保護基を導入する反応に用いるものであれば特に限定はないが、好適にはジ-t-ブチル-ジ-カーボネート、塩化ベンジルオキシカルボニル、塩化p-ニトロベンジルオキシカルボニルなどが挙げられ、さらに好適にはジ-t-ブチル−ジ−カーボネートである。
【0141】
使用される塩基は通常の反応において塩基として使用されるものであれば、特に限定はないが好適にはアルカリ金属炭酸塩類、アルカリ金属炭酸水素塩類、有機塩基類であり、さらに好適には、アルカリ金属炭酸水素塩類である。
【0142】
反応温度は、0℃乃至50℃であり、好適には0℃乃至室温である。
【0143】
反応時間は、10分乃至24時間であり、好適には1時間乃至10時間である。
【0144】
(第B3工程)
本工程は、ピロリジン化合物(vii)を製造する工程であり、2環性化合物(vi)の1つの環を還元剤存在下、開環し、必要に応じて水酸基を保護し、かつ、単糖とグリコシル化をする部位の水酸基の脱保護を行うことにより達成される。
【0145】
使用される還元剤は、通常、還元反応に用いるものであれば特に限定はないが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウムのような水素化ホウ素アルカリ金属、水素化アルミニウムリチウム、水素化リチウムトリエトキシドアルミニウムのような水素化アルミニウム化合物、水素化テルルナトリウムのようなヒドリド試薬が挙げられ、好適には、水素化ホウ素ナトリウムである。
【0146】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、メタノール、エタノールのようなアルコール類、ジオキサン、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、水又は上記の混合溶媒が挙げられ、好適には、メタノール又はテトラヒドロフランである。
【0147】
反応温度は、0℃乃至使用溶媒の沸点であり、好適には50℃乃至使用溶媒の沸点である。
【0148】
反応時間は、10分乃至24時間であり、好適には1時間乃至5時間である。
【0149】
使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質を溶解するものであれば特に限定はないが、メタノール、エタノールのようなアルコール類、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類又は上記の混合溶媒が好適である
反応温度は、0℃乃至使用溶媒の沸点であり、好適には50℃乃至使用溶媒の沸点である。
【0150】
反応時間は、10分乃至24時間であり、好適には1時間乃至5時間である。
【0151】
(第B4工程)
本工程は、化合物(viii)を製造する工程であり、ピロリジン化合物(vii)と水酸基が適当な基で保護された単糖でグリコシル化反応を行い、必要に応じて水酸基を保護し、かつ、中間体(iii)とグリコシル化をする部位の水酸基の脱保護を行うことにより達成される。
【0152】
グリコシル化で用いる糖のアノマー位は、定法に従って、フッ素、臭素、塩素、トリクロロイミダート基、ジフェニルホスファート基、ジエチルホスファイト基、チオメチル基、フェニルチオ基等の脱離基にした後、グリコシル化に用いた。
【0153】
グリコシル化に使用される溶媒としては、不活性であれば特に限定はないが、例えば、メチレンクロリド、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類が好適であり、更に好適にはハロゲン化炭化水素類又はエーテル類であり、特に好適にはエーテルである。
【0154】
グリコシル化に使用される触媒としては、グリコシル反応に通常用いる触媒であれば特に限定は無いが、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ボロントリフルオリドエーテルコンプレックス、トルエンスルホン酸、シルバートリフルオロメタンスルホン酸、ヨウ化テトラブチルアンモニウム等が好適である。
【0155】
反応温度は、0℃乃至使用溶媒の沸点であり、好適には室温である。
【0156】
反応時間は、10分乃至24時間であり、好適には1時間乃至5時間である。
【0157】
(C工程)
(第C1工程)
本工程は、目的化合物(I)を製造する工程であり、中間体化合物(iii)と(viii)でグリコシル化反応を行い、必要に応じて水酸基及びアミノ基の脱保護を定法に従って行うことにより達成される。
【0158】
化合物(iii)のアノマー位の脱離基としては、フッ素、臭素、塩素、トリクロロイミダート基、ジフェニルホスファート基、ジエチルホスファイト基、チオメチル基、フェニルチオ基等が好適である。
【0159】
使用される溶媒としては、不活性であれば特に限定はないが、例えば、メチレンクロリド、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類が好適であり、更に好適にはハロゲン化炭化水素類又はエーテル類であり、特に好適にはメチレンクロリド又はエーテルである。
【0160】
使用される触媒としては、グリコシル反応に通常用いる触媒であれば特に限定は無いが、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ボロントリフルオリドエーテルコンプレックス、トルエンスルホン酸、シルバートリフルオロメタンスルホン酸、ヨウ化テトラブチルアンモニウム等が好適である。
【0161】
反応温度は、0℃乃至使用溶媒の沸点であり、好適には室温である。
【0162】
反応時間は、10分乃至24時間であり、好適には1時間乃至5時間である。
【0163】
また、(I)は中間体化合物(iii)と(viii)でグリコシル化反応の後に、水酸基の脱保護を行い、さらに塩基性条件下にすることによっても製造することができる。

また、目的化合物(I)は、常法に従って塩基性基を有する場合は酸付加塩にすることができ、好適には塩酸塩である。
【0164】
上記各工程の反応終了後、目的化合物は常法に従って、反応混合物から採取される。例えば、反応混合物を適宜中和し、又、不溶物が存在する場合には濾過により除去した後、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶媒を加え、水等で洗浄後、目的化合物を含む有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去することによって得られる。
【0165】
得られた目的物は必要ならば常法、例えば再結晶、再沈殿、又は、通常、有機化合物の分離精製に慣用されている方法、例えば、吸着カラムクロマトグラフィー法、分配カラムクロマトグラフィー法等の合成吸着剤を使用する方法、イオン交換クロマトグラフィーを使用する方法、又は、シリカゲル若しくはアルキル化シリカゲルによる順相・逆相カラムクロマトグラフィー法を適宜組み合わせ、適切な溶離剤で溶出することによって分離、精製することができる。
【0166】
本発明の前記一般式(I)を有するオリゴ糖誘導体、その薬理上許容される塩及びそのエステルは、種々の形態で投与される。その投与形態としては特に限定はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤の場合には経口投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。好適には経口投与である。
【0167】
これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、溶解剤、矯味矯臭、コーティング剤等既知の医薬製剤分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。
【0168】
錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ぶどう糖、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ぶどう糖液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、澱粉等の保湿剤、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が例示できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0169】
丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばぶどう糖、乳糖、澱粉、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナランカンテン等の崩壊剤等が例示できる。
【0170】
坐剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。
【0171】
更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有せしめてもよい。
【0172】
上記医薬製剤中に含まれる有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、通常全組成物中1〜70重量%、好ましくは1〜30重量%含まれる量とするのが適当である。
【0173】
その投与量は、症状、年令、体重、投与方法および剤型等によって異なるが、通常は成人に対して1日、下限として0.001mg(好ましくは0.01mg、更に好ましくは0.1mg)であり、上限として2,000mg(好ましくは200mg、更に好ましくは100mg)を1回ないし数回投与することができる。
【発明の効果】
【0174】
本発明の化合物である、新規オリゴ糖誘導体及びその薬理上許容される塩並びにその薬理上許容されるエステルは、優れたα-アミラーゼ阻害作用、血糖低下作用、脂質低下作用等を有し、食後過血糖症、高血糖症、耐糖能不全、糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、肝肥大、糖尿病合併症、神経障害、動脈硬化症、白内障、糖尿病性腎症などの治療薬及び/又は予防薬(好適には過血糖症、糖尿病の治療薬及び/又は予防薬である。)として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0175】
次に実施例、試験例および製剤例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0176】
<実施例1>
(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−3−イル 4−O−{6−フルオロ−6−デオキシ−4−O−(6−フルオロ−6−デオキシ−β−D−グリコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド(例示化合物番号1-20)
【0177】
【化18】

【0178】
(1a)アリル 4−O−β−D−グルコピラノシル−D−グルコピラノシド
α−D−セロビオース オクタアセテート(48.59g、71.6mmol)を、メチレンクロリド(600mL)に溶解し、氷冷下、アリルアルコール(29ml、0.43mol)、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(16mL、86.0mmol)を加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液に水(200mL)を加え、メチレンクロリド(200mL)で抽出後、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をメタノール(300mL)に溶解し、氷冷下、ナトリウムメトキシド(28mL、0.14mol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液が中性になるまでDowex 50w×8を加え、濾過した後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール:水、8:2:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(24.8g、収率91%)を淡黄色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.20-3.40 (9H, m), 3.40-3.65 (4H, m), 4.00-4.40 (3H, m), 5.18 (1H, d, J= 11.7 Hz), 5.35 (1H, d, J=17.6 Hz), 5.95 (1H, ddd, J=17.6, 11.7, 5.9 Hz);
MS (FAB) m/z: 383 (M+H)+.
(1b)アリル 6−O−t−ブチルジメチルシリル−2,3−ジ−O−ベンジル−4−O−(6−O−t−ブチルジメチルシリル−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例1(1a)で合成した化合物(7.76g、20.30mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(160mL)に溶解し、t−ブチルジメチルシリルクロリド(7.65mL、50.75mmol)及びイミダゾール(4.15g、60.90mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に水(50mL)を加え、酢酸エチル(100mL)で抽出後、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣を、N,N−ジメチルホルムアミド(120mL)に溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(4.0g、91.67mmol)を加え、同温で10分間撹拌後、臭化ベンジル(11mL、92.48mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に水(50mL)を加え、酢酸エチル(150mL)で抽出後、有機層を水(50mL)及び飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、12:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(8.67g、収率89%)を無色油状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.00-0.20 (12H, m), 0.90-1.00 (18H, m), 3.00-5.20 (26H, m), 5.20 (1H, d, J=8.0 Hz), 5.35 (1H, d, J=16.0 Hz), 6.00 (1H, m), 7.20-7.60 (25H, m);
MS (FAB) m/z: 1062 (M+H)+.
(1c)アリル 2,3−ジ−O−ベンジル−4−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例1(1b)で合成した化合物(8.67g、8.17mmol)をテトラヒドロフラン(150mL)に溶解し、1.0Mテトラブチルアンモニウムフロリド THF溶液(20mL、20mmol)を加え、室温で5時間撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(メチレンクロリド:メタノール、50:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(4.19g、収率62%)を無色油状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ3.00-5.20 (28H, m), 5.20 (1H, d, J=12.0 Hz), 5.30 (1H, d, J=18.0 Hz), 5.98 (1H, m), 7.20-7.40 (25H, m);
MS (FAB) m/z: 833 (M+H)+.
(1d)アリル 2,3−ジ−O−ベンジル−6−フルオロ−6−デオキシ−4−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−フルオロ−6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例1(1c)で合成した化合物(4.19g、5.03mmol)を、1,2−ジメトキシエタン(85mL)に溶解し、ジエチルアミノサルファートリフルオリド(2.5mL、25.61mmol)を加え、60℃で1時間撹拌した。氷冷下反応液にメタノール(10mL)を加え30分間撹拌した。酢酸エチル(50mL)を加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)及び飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、5:1〜4:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(2.23g、収率53%)を黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ3.00-5.10 (26H, m), 5.23 (1H, m), 5.33 (1H, m), 5.95 (1H, m), 7.20-7.40 (25H, m);
MS (FAB) m/z: 837 (M+H)+.
(1e)アリル 2,3−ジ−O−ベンジル−6−フルオロ−6−デオキシ−4−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−フルオロ−6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例1(1d)で合成した化合物(2.23g、2.66mmol)を酢酸(20mL)及び水(1mL)に溶解し、塩化パラジウム(II)(0.47g、2.65mmol)及び酢酸ナトリウム(0.87g、10.61mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。反応液をセライト濾過した後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル3:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(0.73g、収率34%)を淡黄色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ3.00-5.10 (25H, m), 7.20-7.60 (25H, m);
MS (FAB) m/z: 797 (M+H)+.
(1f)メチル 3−O−ベンゾイル−N−ベンジロキシカルボニル−2,5−ジデオキシ−2,5−イミノ−α−D−リクソフラノシド
メチル N−ベンジロキシカルボニル−2,5−ジデオキシ−2,5−イミノ−α−D−リクソフラノシド(Tetrahedron,1986,42,5685−5692)(13.9g、49.8mmol)を、メチレンクロリド(200mL)に溶解し、ピリジン(20mL、249.0mmol)、塩化ベンゾイル(11.6mL、99.6mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。0℃にて反応液に1規定塩酸(200mL)を加え、メチレンクロリド(100mL)で抽出後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水(200mL)、飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、5:1〜3:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(15.82g、収率83%)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.42-3.46 (4H, 3s), 3.60 (1H, dd, J=32.2, 10.8 Hz), 4.54 (1H, d, J=34.2 Hz), 4.64 (1H, br, d, J=7.9 Hz), 4.85 (1H, d, J=36.2 Hz), 5.13-5.22 (2H, m), 5.47 (1H, s), 7.29-7.35 (5H, m), 7.41-7.45 (2H, m), 7.59 (1H, t, J=7.8 Hz), 7.95 (2H, t, J=7.8 Hz);
MS (FAB) m/z: 406 (M+Na)+, 384 (M+H)+.
(1g)(2R,3R,4R)−3−ベンゾイルオキシ−N−ベンジルオキシカルボニル−2−ヒドロキシメチル−4−(ヒドロキシ)ピロリジン
実施例1(1f)で合成した化合物(15.8g、41.3mmol)を、トリフルオロ酢酸:水(4:1、160mL)に溶解し、室温で15分撹拌した。0℃にて反応液に水(200mL)を加え、メチレンクロリド(300mL)で抽出後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水(200mL)、飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をエタノール(150mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(0.78g、20.7mmol)を水(15mL)に溶解させたものを加え、0℃で20分撹拌した。0℃にて反応液に飽和塩化アンモニウム水(20mL)を加えた後、減圧下エタノールを留去した。水(100mL)を加え、酢酸エチル(100mL)で抽出後、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(14.2g、収率89%)を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.68 (1H, d, J=11.7 Hz), 3.86 (1H, dd, J=11.7, 4.4 Hz), 3.93-4.04 (2H, m), 4.25-4.32 (2H, m), 5.09-5.32 (3H, m), 7.32-7.46 (7H, m), 7.59 (1H, t, J=7.4 Hz), 7.99 (2H, d, J=8.8 Hz);
MS (FAB) m/z: 372 (M+H)+.
(1h)(2R,3R,4R)−N−ベンジルオキシカルボニル−2−ベンジルオキシメチル−4−ベンジルオキシ−3−(ヒドロキシ)ピロリジン
実施例1(1g)で合成した化合物(4.26g、11.5mmol)を、ジクロロメタン:シクロヘキサン(1:2、180mL)に溶解し、ベンジルトリクロロアセトイミデダート(10.6mL、57.5mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸(0.15mL、1.7mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。0℃にて反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水(10mL)を加え、酢酸エチル(200mL)で希釈後、水(300mL)、飽和食塩水(300mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、10:1〜5:1、V/V)を用いて精製し、淡黄色油状物7.85g得た。得られた淡黄色油状物7.85gをメタノール(100mL)に溶解し、1M炭酸カリウム水溶液(4mL)を加え、室温で5時間攪拌した。減圧下メタノールを留去した後、水(100mL)を加え、酢酸エチル(100mL)で抽出、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、2:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(4.06g、収率64%)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.35 (1H, dd, J=11.7, 3.7 Hz), 3.51-3.72 (1H, m), 3.66-3.89 (4H, m), 4.37-4.52 (5H, m), 4.98-5.07 (2H, m), 7.09-7.26 (15H, m);
MS (FAB) m/z: 448 (M+H)+.
(1i)(2R,3R,4R)−4−ベンジルオキシ−N−ベンジルオキシカルボニル−2−ベンジルオキシメチル−ピロリジン−3−イル 4−O−アセチル−2,3,6−トリ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシド
4−O−アセチル−2,3,6−トリ−O−ベンジル−グルコピラノシド(Agric.Biol.Chem,1986,50,2261−2272)(2.21g、4.49mmol)を、メチレンクロリド(45mL)に溶解し、トリクロロアセトニトリル(2.3mL、22.44mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(65μL、0.44mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、2:1、1%トリエチルアミン、V/V)を用いて精製し、イミダート(2.06g、72.0%)を黄色油状物として得た。実施例1(1h)で合成した化合物(2.00g、4.47mmol)をジエチルエーテル(100mL)に溶解し、イミダート(2.06g、3.23mmol)を加え、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(40μL、0.22mmol)のジエチルエーテル溶液(2mL)を滴下し、室温で2時間攪拌した。反応液にトリエチルアミン(50μL)を加え、減圧下溶媒を留去したのち酢酸エチル(20mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水(20mL)、飽和食塩水(10mL)にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、α、β混合物を含む残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、5:1、V/V)を用いて精製し、そのうち標記目的化合物α体(1.93g46.6%)を無色油状物として単離した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.82 (3H, s), 3.20-5.20 (26H, m), 7.10-7.40 (30H, m);
MS (FAB) m/z: 922 (M+H)+.
(1j)(2R,3R,4R)−4−ベンジルオキシ−N−ベンジルオキシカルボニル−2−ベンジルオキシメチル−ピロリジン−3−イル 2,3,6−トリ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシド
実施例1(1i)で合成した化合物(1.57g、1.70mmol)をメタノール(30mL)に溶解し、炭酸カリウム(235mg、1.70mmol)を加え、室温で14時間攪拌した。酢酸エチル(10mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水(10mL)、飽和食塩水(10mL)にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、3:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(1.41g、94.0%)を無色油状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.40-5.20 (26H, m), 7.10-7.40 (30H, m);
MS (FAB) m/z: 880 (M+H)+.
(1k)(2R,3R,4R)−4−ベンジルオキシ−N−ベンジルオキシカルボニル−2−ベンジルオキシメチル−ピロリジン−3−イル 2,3,6−トリ−O−ベンジル−4−O−{2,3−ジ−O−ベンジル−6−フルオロ−6−デオキシ−4−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−フルオロ−6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド
実施例1(1e)で合成した化合物(483.7mg、0.61mmol)を、メチレンクロリド(10mL)に溶解し、トリクロロアセトニトリル(300μL、2.99mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(9μl、0.06mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、5:1〜4:1、1%トリエチルアミン、V/V)を用いて精製し、イミダート(307.0mg、54%)を無色アモルファスとして得た。実施例1(1j)で合成した化合物(290.4mg、0.33mmol)をメチレンクロリド(10mL)に溶解し、イミダート(307.0mg、0.33mmol)を加え、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(3μL、0.017mmol)のジエチルエーテル溶液(2mL)を滴下し、室温で2時間攪拌した。反応液にトリエチルアミン(10μL)を加え、減圧下溶媒を留去したのち酢酸エチル(10mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水(10mL)、飽和食塩水(10mL)にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、6:1〜5:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(125.6mg、23%)を無色アモルファスとして単離した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.32-4.24 (20H, m), 4.31-5.21 (30H, m), 7.07-7.45 (55H, m);
MS (FAB) m/z: 1658 (M+H)+.
(1l)(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−3−イル 4−O−{6−フルオロ−6−デオキシ−4−O−(6−フルオロ−6−デオキシ−β−D−グリコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド
実施例1(1j)で合成した化合物(125.6mg、0.076mmol)を、メタノール(10mL)に溶解し、36%塩酸(280μL)及び水酸化パラジウム(100mg)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。セライト濾過した後、18%アンモニア水(1mL)を加え、減圧下溶媒を留去し、イオン交換樹脂(Dowex 50w×8)カラム(水〜1%アンモニア水)で精製した。さらに、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール:水、5:2:1〜1:1:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(8.8mg、19%)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, D2O): δ 2.87-2.89 (1H, m), 3.06-3.10 (1H, m), 3.15-3.17 (2H, m), 3.33-3.40 (2H, m), 3.41-3.84 (17H, m), 4.19 (1H, s), 4.35 (1H, d, J=7.6 Hz), 4.46-4.49 (1H, m), 4.93 (1H, d, J=3.6 Hz), 5.27 (1H, d, J=3.6 Hz);
MS (FAB) m/z: 624 (M+H)+, 646 (M+Na)+.

<実施例2>
(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−3−イル 4−O−{6−デオキシ−4−O−(6−デオキシ−β−D−グリコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド(例示化合物番号1-17)
【0179】
【化19】

【0180】
(2a)アリル 2,3−ジ−O−ベンジル−6−O−トルエンスルホニル−4−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−トルエンスルホニル−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例1(1c)で合成した化合物(3.55g、4.26mmol)を、メチレンクロリド(70mL)に溶解し、無水トシル酸(4.17g、12.78mmol)及びトリエチルアミン(4mL、28.70mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に水(30mL)を加え、酢酸エチル(30mL)で抽出後、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル、8:1〜4:1〜2:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(2.17g、収率45%)を茶色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.32-2.39 (6H, m), 3.26-4.91 (26H, m), 5.19 (1H, t, J=9.0 Hz), 5.30 (1H, d, J=16.8 Hz), 5.92 (1H, m), 7.14-7.73 (33H, m);
MS (FAB) m/z: 1411 (M+H)+.
(2b)アリル 2,3−ジ−O−ベンジル−6−デオキシ−4−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−デオキシ−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例2(2a)で合成した化合物(2.17g、1.90mmol)を、テトラヒドロフラン(45mL)に溶解し、水素化リチウムアルミニウム(0.50g、13.18mmol)を加え、3時間加熱還流した。氷冷下、反応液に水(1mL)を滴下した後、反応液を10%塩酸水溶液(20mL)及び酢酸エチル(20mL)に注ぎ、有機層を10%塩酸水溶液(50mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)及び飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル、8:1〜4:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(1.51g、収率99%)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.19-1.21 (3H, m),1.26-1.38 (3H, m), 3.15-3.19 (1H, m), 3.28-4.18 (8H, m), 4.37-4.91 (12H, m), 4.92-5.02 (1H, m), 5.18-5.26 (1H, m), 5.34 (1H, d, J=16.8 Hz), 5.94 (1H, m), 7.22-7.43 (25H, m);
MS (FAB) m/z: 801 (M+H)+.
(2c)2,3−ジ−O−ベンジル−6−デオキシ−4−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−デオキシ−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例2(2b)で合成した化合物(1.51g、1.89mol)を、メタノール(20mL)及びテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、塩化パラジウム(II)(169.3mg、0.95mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。反応液をセライト濾過した後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、3:1〜2:1〜1:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(0.91g、収率63%)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.21 (3H. d, J=6.0 Hz), 1.31-1.36 (3H, m), 2.97-2.99 (1H, m), 3.18 (1H, t, J=8.8 Hz), 3.30-4.13 (7H, m), 4.53-5.13 (12H, m), 7.26-7.43 (25H, m);
MS (FAB) m/z: 759 (M-H)+, 783 (M+Na)+.
(2d)6−デオキシ−4−O−(6−デオキシ−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例2(2c)で合成した化合物(2.38g、3.13mmol)、をメタノール(25mL)に溶解し、水酸化パラジウム(484mg)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。セライト濾過した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール:水、10:2:1〜5:2:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(1.53g、quant.)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, D2O): δ 1.29 (1.2H, d, J=5.2 Hz), 1.31 (3H, d, J=6.0 Hz), 1.35(1.8H, d, J=6.8 Hz), 3.03-4.02 (8H, m), 4.33 (0.4H, d, J=7.6 Hz), 4.34 (0.6H, d, J=8.0 Hz), 4.49 (0.6H, d, J=8.0 Hz), 5.04 (0.4H, d, J=3.6 Hz);
MS (FAB) m/z: 333 (M+Na)+.
(2e)1,2,3−トリ−O−アセチル−6−デオキシ−4−O−(2,3,4−トリ−O−アセチル−6−デオキシ−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例2(2d)で合成した化合物(1.53g、4.93mmol)に、無水酢酸(15mL)及び酢酸ナトリウム(1.5g、18.26mmol)を加え、2時間加熱還流した。反応液に水(10ml)を加え、酢酸エチル(10mL)で抽出後、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をトルエンで2回共沸した後、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、標記目的化合物(1.36g、収率49%)を褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.23 (3H, d, J=6.4 Hz), 1.30 (0.6H, d, J=6.8 Hz), 1.34 (2.4H, d, J=6.0 Hz), 2.00-2.10 (18H, m), 3.38-3.91 (3H, m), 4.51 (0.8H, d, J=8.0 Hz), 4.52 (0.2H, d, J=8.0 Hz), 4.78-5.40 (5H, m), 5.63 (0.8H, d, J=8.0 Hz), 6.20 (0.2H, d, J=3.6 Hz);
MS (FAB) m/z: 585 (M+Na)+.
(2f)2,3−ジ−O−アセチル−6−デオキシ−4−O−(2,3,4−トリ−O−アセチル−6−デオキシ−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例2(2e)で合成した化合物(1.36g、2.42mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解し、ヒドラジン酢酸(607.3mg、6.59mmol)を加え、50℃で1時間撹拌した。反応液にトリエチルアミン(300μL)を加えた後、減圧下溶媒を留去した。残渣に水(10mL)を加え、酢酸エチル(10ml)で抽出後、有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(654.9mg、収率52%)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.23 (3H, d, J=6.4 Hz), 1.29 (2H, d, J=6.8 Hz), 1.34 (1H, d, J=5.6 Hz), 2.00-2.07 (15H, m), 2.92 (1H, m), 3.34-3.55 (2H, m), 4.03-4.07 (1H, m), 4.53 (1H, m), 4.67-4.93 (3H, m), 5.10-5.18 (1H, m), 5.31 (1H, s), 5.42 (1H, dd, J=10.4, 9.2 Hz);
MS (FAB) m/z: 543 (M+Na)+.
(2g)(2R,3R,4R)−4−ベンジルオキシ−N−ベンジルオキシカルボニル−2−ベンジルオキシメチル−ピロリジン−3−イル 2,3,6−トリ−O−ベンジル−4−O−{2,3−ジ−O−アセチル−6−デオキシ−4−O−(2,3,4−トリ−O−アセチル−6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド
実施例2(2f)で合成した化合物(654.9mg、1.26mmol)をメチレンクロリド(13mL)に溶解し、トリクロロアセトニトリル(630μL、6.28mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(18μL、0.12mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、3:1〜2:1、1%トリエチルアミン、V/V)を用いて精製し、イミダート(873.6mg、quant.)を無色アモルファスとして得た。実施例1(1j)で合成した化合物(526.8mg、0.61mmol)をジエチルエーテル(18mL)に溶解し、イミダート(405.3mg、0.61mmol)を加え、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(110μL、0.61mmol)のジエチルエーテル溶液(2mL)を滴下し、室温で2時間攪拌した。反応液にトリエチルアミン(100μL)を加え、減圧下溶媒を留去したのち酢酸エチル(10mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水(10mL)、飽和食塩水(10mL)にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、2:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(621.9mg、73%)を無色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.06 (3H, d, J=8.0 Hz), 1.13 (3H, d, J=8.0 Hz), 1.90-1.97 (15H, m), 3.20-5.15 (36H, m), 7.09-7.31 (30H, m);
MS (FAB) m/z: 1382 (M+H)+, 1404 (M+Na)+.
(2h)(2R,3R,4R)−4−ベンジルオキシ−N−ベンジルオキシカルボニル−2−ベンジルオキシメチル−ピロリジン−3−イル 2,3,6−トリ−O−ベンジル−4−O−{6−デオキシ−4−O−(6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド
実施例2(2g)で合成した化合物(612.9mg、0.44mmol)を、メタノール(12mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(34μL、0.18mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液が中性になるまでDowex 50w×8を加え、濾過した後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール、30:1〜20:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(302.3mg、収率59%)を無色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 1.26 (3H, d, J=6.0 Hz), 1.30 (3H, d, J=6.8 Hz), 3.01-4.03 (18H, m),4.30-5.14 (17H, m), 7.19-7.41 (30H, m);
MS (FAB) m/z: 1172 (M+H)+, 1194 (M+Na)+.
(2i)(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−3−イル 4−O−{6−デオキシ−4−O−(6−デオキシ−β−D−グリコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド
実施例2(2h)で合成した化合物(302.3mg、0.26mmol)をメタノール(15mL)に溶解し、36%塩酸(420μL)及び水酸化パラジウム(150mg)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。セライト濾過した後、18%アンモニア水(1mL)を加え、減圧下溶媒を留去し、イオン交換樹脂(Dowex 50w×8)カラム(水〜1%アンモニア水)で精製した。さらに、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール:水、5:2:1〜1:1:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(60.9mg、40%)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, D2O): δ 1.19 (3H, d, J=5.6 Hz), 1.25 (3H, d, J=6.8 Hz), 2.91-3.77 (19H, m), 3.90 (1H, s), 4.24-4.26 (1H, m), 4.37 (1H, d, J=8.0 Hz), 4.39 (1H, d, J=8.8 Hz), 4.99 (1H, d, J=3.6 HZ);
MS (FAB) m/z: 588 (M+H)+.

<実施例3>
(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−3−イル 4−O−{6−デオキシ−4−O−(β−D−グリコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド(例示化合物番号1-1)
【0181】
【化20】

【0182】
(3a)4−O−(4、6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
D−セロビオース(11.98g、35.00mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(240mL)に溶解し、ベンズアルデヒド ジメチル アセタール(12mL、79.95mmol)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(0.60g、3.15mmol)を加え、20mmHg、50℃で3時間撹拌した。反応液にトリエチルアミン(500μL)を加えた後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:2−プロパノール:水、20:2::1〜5:2:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(4.18g、収率28%)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 3.17-3.92 (11H, m), 4.30 (1H, dd, J=3.6, 4.4 Hz), 4.50 (0.7H, d, J=8.0 Hz), 4.56 (1H, d, J=8.0 Hz), 5.10 (0.3H, d, J=3.6 Hz), 5.58 (1H, s), 7.33-7.51 (5H, m);
MS (FAB) m/z: 431 (M+H)+, 453 (M+Na)+.
(3b)6−O−t-ブチルジメチルシリル−4−O−(4、6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例3(3a)で合成した化合物(4.18g、9.71mmol)を、N−ジメチルホルムアミド(40mL)に溶解し、塩化t-ブチルジメチルシリル(1.61g、10.68mmol)及びイミダゾール(1.00g、14.69mmol)を加え、氷冷下で2時間撹拌した。反応液に水(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出後、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール、40:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(3.66g、収率69%)を無色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.01 (6H, m), 0.82 (9H, s), 3.20-4.07 (16H, m), 4.26 (1H, m), 4.48 (1H, d, J=8.0 Hz), 4.52 (0.5H, d, J=8.0 Hz), 5.11(0.5H, s), 5.41(1H, s), 7.27-7.40 (5H, m);
MS (FAB) m/z: 543 (M-H)+, 567 (M+Na)+.
(3c)1,2,3−O−トリ−O−ベンジル−6−O−t-ブチルジメチルシリル−4−O−(2,3−ジ−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例3(3b)で合成した化合物(3.66g、6.72mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(75mL)に溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(2.3g、52.71mmol)を加え、同温で10分間撹拌後、臭化ベンジル(6.5mL、54.65mmol)を加え、室温で2時間30分撹拌した。反応液に水(2mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出後、有機層を水(20mL)及び飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、10:1〜8:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(3.18g、収率48%)を淡黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.076 (6H, m), 0.91 (9H, s), 3.15 (1H, d, J=9.6 Hz), 3.32-3.82 (8H, m), 3.93-4.16 (2H, m), 4.29-4.33 (1H, m), 4.49 (1H, d, J=8.0 Hz), 4.58-4.96 (11H, m), 5.56 (1H, s), 7.27-7.52 (30H, m);
MS (FAB) m/z: 1017 (M+Na)+.
(3d)1,2,3−トリ−O−ベンジル−4−O−(2,3−ジ−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例3(3c)で合成した化合物(3.18g、3.20mmol)を、テトラヒドロフラン(60mL)に溶解し、1.0Mフッ化テトラブチルアンモニウム、THF溶液(4mL、4mmol)を加え、室温で5時間撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール、50:1〜20:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(2.68g、収率95%)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.23 (1H, d, J=9.6 Hz),3.33-3.65 (7H, m), 3.74-3.93 (4H, m), 4.20 (1H, dd, J=5.2, 5.2 Hz), 4.54 (1H, d, J=7.6 Hz), 4.64-4.93 (11H, m), 5.50 (1H, s), 7.25-7.48 (30H, m);
MS (FAB) m/z: 903 (M+Na)+.
(3e)1,2,3−トリ−O−ベンジル−6−O−トルエンスルホニル−4−O−(2,3−ジ−O−ベンジル−4,6−O−ベンジリデン−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例3(3d)で合成した化合物(2.68g、3.04mmol)を、メチレンクロリド(55mL)に溶解し、無水トシル酸(1.98g、6.07mmol)及びトリエチルアミン(2mL、14.35mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に水(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出後、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル、8:1〜4:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(1.69g、収率54%)を黄色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.35 (3H, s), 3.16-3.92 (9H, m), 4.11-4.94 (15H, m), 5.48 (1H, s), 7.20-7.84 (34H, m);
MS (FAB) m/z: 1034 (M)+, 1035 (M+H)+.
(3f)1,2,3−トリ−O−ベンジル−6−デオキシ−4−O−(2,3−ジ−O−ベンジル−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例3(3e)で合成した化合物(1.69g、1.63mol)をテトラヒドロフラン(35mL)に溶解し、水素化リチウムアルミニウム(0.30g、7.91mmol)を加え、3時間加熱還流した。氷冷下、反応液に水(1mL)を滴下した後、反応液を10%塩酸水溶液(20mL)及び酢酸エチル(20mL)に注ぎ、有機層を10%塩酸水溶液(50mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)及び飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣(1.43g)に、酢酸(40mL)及び水(10mL)を加え、10分間加熱還流した。減圧下溶媒留去後、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、2:1〜ジクロロメタン:メタノール、50:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(0.45g、収率38%)を無色結晶として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.44 (3H, d, J=8.0 Hz), 3.24 (1H, m), 3.38-3.59(9H, m), 3.68 (1H, dd, J=4.0, 4.0 Hz), 4.544.59 (2H, m), 4.69-5.00 (11H, m), 7.32-7.43 (25H, m);
MS (FAB) m/z: 799 (M+Na)+.
(3g)6−デオキシ−4−O−β−グルコピラノシル−D−グルコピラノシド
実施例3(3f)で合成した化合物(1.47g、1.89mmol)、をメタノール(15mL)に溶解し、水酸化パラジウム(700mg)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。セライト濾過した後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール:水、10:2:1〜5:2:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(1.46g、quant.)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, D2O): δ 1.22 (1.5H, d, J=6.4 Hz), 1.27 (1.5H, d, J=5.6 Hz), 3.02-3.44 (8H, m), 3.56-3.62 (1H, m), 3.81 (1H, dd, J=2.4, 2.8 Hz), 4.28 (1H, dd, J=4.4, 4.4 Hz), 4.40 (1H, d, J=8.0 Hz), 4.96 (1H, d, J=3.6 Hz);
MS (FAB) m/z: 349 (M+Na)+.
(3h)1,2,3−トリ−O−アセチル−6−デオキシ−4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例3(3g)で合成した化合物(1.46g、4.47mmol)に、無水酢酸(15mL)及び酢酸ナトリウム(0.46g、5.59mmol)を加え、2時間加熱還流した。反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で抽出後、飽和食塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をトルエンで2回共沸した後、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、標記目的化合物(0.90g、収率33%)を褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.13 (3H, d, J=5.6 Hz), 2.00-2.18 (21H, m), 3.37-3.48 (2H, m), 3.59-3.69 (2H, m), 4.04 (1H, dd, J=2.4, 2.4 Hz), 4.33-4.40 (1H, m), 4.56 (1H, dd, J=2.4, 2.4 Hz), 4.80-5.40 (4H, m), 5.64 (0.5H, d, J=8.8 Hz), 6.21 (0.5H, d, J=4.0 Hz);
MS (FAB) m/z: 619 (M-H)+.
(3i)2,3−ジ−O−アセチル−6−デオキシ−4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−グルコピラノシル)−D−グルコピラノシド
実施例3(3h)で合成した化合物(0.90g、1.45mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、ヒドラジン酢酸(200mg、2.17mmol)を加え、50℃で1時間撹拌した。反応液にトリエチルアミン(300μL)を加えた後、減圧下溶媒を留去した。残渣に水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で抽出後、有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(358.0mg、収率43%)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.29-1.37 (3H, m), 1.99-2.09 (18H, m), 3.35-3.44 (1H, m), 3.65-3.69 (1H, m), 4.03-4.13 (1H, m), 4.36 (1H, dd, J=4.4, 4.4 Hz), 4.56 (1H, dd, J=2.8, 3.2 Hz), 4.64-5.19 (6H, m), 5.32-5.45 (1H, m);
MS (FAB) m/z: 579 (M+H)+, 601 (M+Na)+.
(3j)(2R,3R,4R)−4−ベンジルオキシ−N−ベンジルオキシカルボニル−2−ベンジルオキシメチル−ピロリジン−3−イル 2,3,6−トリ−O−ベンジル−4−O−{2,3−ジ−O−アセチル−6−デオキシ−4−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド
実施例3(3i)で合成した化合物(358.0mg、0.62mmol)をメチレンクロリド(7mL)に溶解し、トリクロロアセトニトリル(310μL、3.09mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(9μL、0.06mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、2:1、1%トリエチルアミン、V/V)を用いて精製し、イミダート(349.6mg、78%)を無色アモルファスとして得た。実施例1(1j)で合成した化合物(440.0mg、0.50mmol)をジエチルエーテル(14mL)に溶解し、イミダート(349.6mg、0.48mmol)を加え、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(90μL、0.50mmol)のジエチルエーテル溶液(2mL)を滴下し、室温で2時間攪拌した。反応液にトリエチルアミン(35μL)を加え、減圧下溶媒を留去したのち酢酸エチル(10mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水(10mL)、飽和食塩水(10mL)にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、2:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(460.5mg、64%)を無色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.12 (3H, d, J=6.0 Hz), 1.83-2.14 (18H, m), 2.96 (1H, m), 2.26 (1H, t, J=9.2 Hz), 3.38-4.15 (14H, m), 4.24-4.52 (10H, m), 4.62-5.23 (12H, m), 7.19-7.38 (30H, m);
MS (FAB) m/z: 1440 (M+H)+, 1462 (M+Na)+.
(3k)(2R,3R,4R)−4−ベンジルオキシ−N−ベンジルオキシカルボニル−2−ベンジルオキシメチル−ピロリジン−3−イル 2,3,6−トリ−O−ベンジル−4−O−{6−デオキシ−4−O−(β−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド
実施例3(3j)で合成した化合物(460.5mg、0.32mmol)を、メタノール(9mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(25μL、0.13mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液が中性になるまでDowex 50w×8を加え、濾過した後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール、30:1〜10:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(317.6mg、収率84%)を無色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 1.27 (3H, d, J=6.0 Hz), 3.12-4.03 (22H, m), 4.32-5.14 (16H, m), 7.19-7.41 (30H, m);
MS (FAB) m/z: 1188 (M+H)+, 1210 (M+Na)+.
(3l)(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−3−イル 4−O−{6−デオキシ−4−O−(β−D−グリコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル}−α−D−グルコピラノシド
実施例3(3k)で合成した化合物(317.6mg、0.27mmol)をメタノール(15mL)に溶解し、36%塩酸(420μL)及び水酸化パラジウム(150mg)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。セライト濾過した後、18%アンモニア水(1mL)を加え、減圧下溶媒を留去し、イオン交換樹脂(Dowex 50w×8)カラム(水〜1%アンモニア水)で精製した。さらに、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール:水、5:2:1〜1:1:1、V/V)を用いて精製し、標記目的化合物(27.8mg、17%)を無色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, D2O): δ 1.27 (3H, d, J=6.8 Hz), 2.94 (1H, dd, J=2.4, 1.6 Hz), 3.12-3.82 (20H, m), 3.90 (1H, m), 4.25-4.27 (1H, m), 4.38 (1H, d, J=8.0 Ha), 4.42 (1H, d, J=8.0 Hz), 5.00 (1H, d, J=4.0 Hz);
MS (FAB) m/z: 604 (M+H)+, 626 (M+Na)+.

<試験例1>
α−アミラーゼ阻害作用
本発明の化合物のα−アミラーゼ阻害活性は、市販のα−アミラーゼ(例えば「キャリブザイム・AMY」国際試薬株式会社製)及び市販のα−アミラーゼ測定試薬(例えば「ネオ・アミラーゼテスト第一」第一化学薬品株式会社製)を使用することにより測定することができる。
【0183】
<試験例2>
血糖降下作用
(1)使用動物
市販の糖尿病ラット(Zucker diabetic fattyラット、雄、使用時15週齡、日本チャールズ・リバー(株)販売)
(2)実験方法・結果
糖尿病を発症したラットを使用し、被験化合物を6.5ppm(w/w)の濃度になるように粉末飼料(FR-2粉末飼料、船橋農場(株)製)に混ぜたものをそれぞれ、一群5匹のラットに2週間自由摂取させた。対照群は、被験化合物を混合しない以外は、前記と同様にした。
【0184】
投与開始前および投与開始2週間後の血糖値を測定した。採血はラットの尾静脈より行い、血糖値は簡易血糖測定器(グルコローダー GXT、エイアンドティー(株)製造)を用いて測定し、下記式より、血糖降下率(%)を算出した。
血糖降下率(%)=[1−(化合物投与群血糖値/対照群血糖値)]×100
(表2)

表2より、本発明の化合物は優れた血糖降下作用を有することが分かった。従って、本発明の化合物は糖尿病治療薬として有用であると考えられる。
【0185】

<製剤例>
(1)カプセル剤
実施例3の化合物 10 mg
ラクトース 110 mg
コーン・スターチ 58 mg
ステアリン酸マグネシウム 2 mg
合計 180 mg
上記で示される各成分の粉末を良く混合し、60メッシュの篩(メッシュの基準はTyler基準による)を通す。得られる粉末180mgをはかり分け、ゼラチンカプセル(No.3)に充填し、カプセル剤を調製する。
(2)錠剤
実施例3の化合物 10 mg
ラクトース 85 mg
コーン・スターチ 34 mg
微結晶セルロース 20 mg
ステアリン酸マグネシウム 1 mg
合計 150 mg
上記で示される各成分の粉末を良く混合し、各150mg重量の錠剤に圧縮成型する。必要ならば、これらの錠剤は糖またはフィルムで被覆してもよい。
(3)顆粒剤
実施例3の化合物 10 mg
ラクトース 839 mg
コーン・スターチ 150 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 1 mg
合計 1000 mg
上記で示される各成分の粉末を良く混合し、純水で湿らし、バスケット式顆粒化機で顆粒化し、乾燥して顆粒剤を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)
【化1】


[式中、Aは下記一般式(A1)
【化2】


を示し、R1はC1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R4はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基又は水素原子を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一若しくは異なって、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子を示す。] で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する糖尿病、食後過血糖症、高血糖症若しくは耐糖能不全の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項2】
下記一般式(I)
【化3】


[式中、Aは下記一般式(A1)
【化4】


を示し、R1はC1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R4はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基又は水素原子を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一若しくは異なって、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子を示す。] で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する糖尿病若しくは食後過血糖症の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項3】
R1がC1-3アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-3アルコキシメチル基又はC1-3ハロアルキル基、R2及びR3がそれぞれ異なって、C1-3アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-3アルコキシメチル基又はC1-3ハロアルキル基である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
R5、R6及びR7がそれぞれ同一若しくは異なって、C1-3アルキル基、C1-3ヒドロキシアルキル基、C1-3ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子である、請求項1乃至3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
R4が水素原子である、請求項1乃至4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
化合物が、(2R,3R,4R)-4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-3-イル 4-O-{6-フルオロ-6-デオキシ-4-O-(6-フルオロ-6-デオキシ-β-D-グリコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル}-α-D-グルコピラノシド、(2R,3R,4R)-4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-3-イル 4-O-{6-デオキシ-4-O-(6-デオキシ-β-D-グリコピラノシル)-β-D-グルコピラノシル}-α-D-グルコピラノシド、(2R,3R,4R)-4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-3-イル 4-O-{6-デオキシ-4-O-(β-D-グリコピラノシル)-β-D-グルコピラノシル}-α-D-グルコピラノシド又はその薬理上許容される塩若しくはエステルである請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
下記一般式(I)
【化5】


[式中、Aは下記一般式(A1)
【化6】


を示し、R1はC1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R4はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基又は水素原子を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一若しくは異なって、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子を示す。]で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する血糖低下剤。
【請求項8】
下記一般式(I)
【化7】


[式中、Aは下記一般式(A1)
【化8】


を示し、R1はC1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R4はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基又は水素原子を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一若しくは異なって、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子を示す。] で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有するα−アミラーゼ阻害剤。
【請求項9】
耐糖能不全、食後過血糖症、高血糖症若しくは糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための下記一般式(I)
【化9】


[式中、Aは下記一般式(A1)
【化10】


を示し、R1はC1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ異なって、C1-6アルキル基、ヒドロキシメチル基、C1-6アルコキシメチル基又はC1-6ハロアルキル基を示し、R4はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基又は水素原子を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一若しくは異なって、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、C1-6ハロアルキル基、水酸基、水素原子又はハロゲン原子を示す。]で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩若しくはエステルの使用。

【公開番号】特開2007−197361(P2007−197361A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17459(P2006−17459)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000001856)三共株式会社 (98)
【Fターム(参考)】