説明

要求情報入力支援装置、及びプログラム、並びにプラント維持管理システム

【課題】 目的の情報を得るまでの時間短縮を図り、プラント維持管理業務の経験の浅いユーザであっても容易に目的の情報を得る。
【解決手段】 予測評価値算出部102は、要求情報履歴DB130から予測された要求情報を抽出して画面上にリスト表示する際に、蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出し、候補情報抽出・出力部103は、予測評価値算出部で算出された予測評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替えて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントの維持管理関連の単語が入力されることにより、その単語を含む文節を予測して確度の高い順に要求情報を生成し、画面上にリスト表示してユーザに選択操作を促す、要求情報入力支援装置、及びプログラム、並びにプラント維持管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のプラント維持管理システムでは、画面に表示されるメニューの中から処理項目を逐次選択して目的の情報を取得するメニュー展開による方式が主流である。一方、最近のプラント維持管理業務では、管理対象とする機器が増え、又、機器の構成や提供情報も日々大きく変化している。そのため、既存の維持管理システムでは、ユーザが目的とする情報を得るまでに多くの時間を要する傾向がある。この傾向は、維持管理業務の経験が浅いユーザほど顕著である。
【0003】
従来、ユーザ要求情報の入力を支援するために、例えば、特許文献1には、入力された読み文字列と前方一致する文字列を入力辞書から予測文字列として検索し、これを表示して使用する部分文字列の範囲を選択する技術が開示されている。又、特許文献2には、コンテンツから固有表現を抽出し、キーワードとの関連度を算出して対応付けて記憶し、選択候補として表示する技術が開示されている。又、特許文献3には、操作履歴を保存し、この履歴を抽象化して分析手順のモデルを構築し、これをアクセスして新たな分析を開始した利用者に行うべき分析手順を提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−57733号公報
【特許文献2】特開2000−10973号公報
【特許文献3】特開2005−44087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示された技術は、検索キーワードの入力を過去の履歴から予測して支援するものであり、又、特許文献3に開示された技術は、過去の操作履歴をモデル化してユーザに提示するものであり、いずれもプラントの維持管理において多用化された情報を取得するための情報入力を支援するものではない。プラントの維持管理業務は事故の未然防止や被害の拡大防止のため、迅速な対応が求められており、ユーザが目的とする情報を得るまでに多くの時間を要する程、事故に繋がる可能性が高くなる。このため、目的の情報を得るまでの時間短縮が求められている。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、目的の情報を得るまでの時間短縮を図り、プラント維持管理業務の経験の浅いユーザであっても容易に目的の情報を得ることができる、要求情報入力支援装置、及びプログラム、並びにプラント維持管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の要求情報入力支援装置は、プラントの維持管理を目的とする単語が入力されることにより、前記単語を含む文節を予測して要求情報を生成し、確度が高い順に画面上にリスト表示してユーザに選択操作を促す、少なくとも操作部と、表示部と、記憶部とを有する要求情報入力支援装置であって、前記画面上にリスト表示された前記要求情報が選択される毎に、前記選択された要求情報が蓄積される、前記記憶部の所定の領域に割り当てられた要求情報履歴データベースと、前記要求情報履歴データベースから予測された要求情報を抽出して前記画面上にリスト表示する際に、前記蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出する予測評価値算出部と、前記算出された評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替え、前記表示部に表示する候補情報抽出・出力部と、前記操作部による選択操作に基づき、前記選択された要求情報の使用頻度を更新し、次回以降の前記予測評価値算出部による予測評価値の算出に反映させる頻度管理部と、を備えたものである。
【0008】
本発明によれば、予測評価値算出部が、要求情報履歴データベースから予測された要求情報を抽出して画面上にリスト表示する際に、蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出し、候補情報抽出・出力部が、予測評価値算出部で算出された予測評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替えて表示する。このため、ユーザは、画面上に表示される確度が高い順にリスト表示された要求情報を選択操作するだけで必要な情報を入力して目的の情報を取得することができ、従って、目的の情報を得るまでの時間短縮を図ることができる。又、プラント維持管理業務の経験の浅いユーザであっても容易に目的の情報を得ることができる。
【0009】
上記発明において、前記予測評価値算出部は、直近にアクセスした前記情報対象との現在時刻からの差分と、前記入力された単語の情報対象の論理的距離とをパラメータとし、値が小さくなるにつれ予測された要求情報である確度が高いとする予測評価関数に従い、前記予測評価値を算出する。本発明によれば、傾向に基づき要求情報をモデル化して情報要求履歴内の各履歴に対して予測評価値を算出するため、使用頻度が増す毎に学習され信頼性の高い要求情報履歴データベースの構築が可能になる。
【0010】
上記発明において、前記予測評価値算出部は、直近にアクセスした前記情報種別との現在時刻からの差分と、前記入力された単語の情報種別の論理的距離とをパラメータとし、値が小さくなるにつれ予測された要求情報である確度が高いとする予測評価関数に従い、前記予測評価値を算出する。本発明によれば、傾向に基づき要求情報をモデル化して情報要求履歴内の各履歴に対して予測評価値を算出するため、使用頻度が増す毎に学習され信頼性の高い要求情報履歴データベースの構築が可能になる。
【0011】
本発明の要求情報入力支援プログラムは、プラントの維持管理を目的とする単語が入力されることにより、前記単語を含む文節を予測して要求情報を生成し、確度が高い順に画面上にリスト表示してユーザに選択操作を促す、要求情報入力支援装置のコンピュータ上で実行されるプログラムであって、前記コンピュータに、前記画面上にリスト表示された前記要求情報が選択される毎に、前記選択された要求情報が蓄積される要求情報履歴データベースから、予測された要求情報を抽出して前記画面上にリスト表示する際に、前記蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出する予測評価値算出処理と、前記算出された評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替え、前記画面上に表示する候補情報抽出・出力処理と、前記選択操作に基づき、前記選択された要求情報の使用頻度を更新し、次回以降の予測評価値の算出に反映させる頻度管理処理と、を実行させるものである。
【0012】
本発明において、前記予測評価値算出処理は、直近にアクセスした前記情報対象との現在時刻からの差分と、前記入力された単語の情報対象の論理的距離とをパラメータとし、値が小さくなるにつれ予測された要求情報である確度が高いとする予測評価関数に従い、前記予測評価値を算出する。
【0013】
本発明において、前記予測評価値算出処理は、直近にアクセスした前記情報種別との現在時刻からの差分と、前記入力された単語の情報種別の論理的距離とをパラメータとし、値が小さくなるにつれ予測された要求情報である確度が高いとする予測評価関数に従い、前記予測評価値を算出する。
【0014】
本発明のプラント維持管理システムは、プラント機器と、前記プラント機器を統合管理するフィールドサーバと、前記フィールドサーバとはローカルエリアネットワーク経由で接続され、前記プラント機器の維持管理を目的とする単語が入力されることにより、前記単語を含む文節を予測して要求情報を生成し、確度が高い順に画面上にリスト表示してユーザに選択操作を促す、少なくとも操作部と、表示部と、記憶部とを有する請求項1から請求項3のいずれか1項起債の要求情報入力支援装置と、を有するものである。本発明によれば、要求情報入力支援装置が、要求情報履歴データベースから予測された要求情報を抽出して画面上にリスト表示する際に、蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出し、算出された予測評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替えて表示する。このため、ユーザは、画面上に表示される確度が高い順にリスト表示された要求情報を選択操作するだけで必要な情報を入力して目的の情報を獲ることができ、従って、目的の情報を得るまでの時間短縮を図ったプラント維持管理システムを構築できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、目的の情報を得るまでの時間短縮を図り、プラント維持管理業務の経験の浅いユーザであっても容易に目的の情報を得ることができる、要求情報入力支援装置、及びプログラム、並びにプラント維持管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置によりモデル化される情報対象及び情報種別のデータ構造を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置の動作を具体的な入出力事例を例示して説明した動作概念図である。
【図5】本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置の動作を具体的な入出力事例を例示して説明した動作概念図である。
【図6】本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置を含むプラント維持管理システムを機場に適用した場合のステム構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面をアクセスして、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0018】
(実施例の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置の構成を示すブロック図である。本発明の実施形態に係る要求情報入力装置1は、例えば、PC(Personal Computer)等のコンピュータで構成され、ハードウエア的には、制御部10と、操作部11と、表示部12と、記憶部13とから構成される。
【0019】
制御部10は、記憶部13に格納されたプログラムに基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、これらプログラムにおいて指示された手順に従って後述する処理を実行する。すなわち、制御部10は、記憶部13に格納されるOS(オペレーティングシステム)や、本発明の要求情報入力支援プログラムを含むアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0020】
操作部11は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー、ファンクションキーなど、各種の機能が割り当てられたキー、あるいはマウス等のポインティングデバイスを有しており、これらキー、あるいはマウスがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部10に出力する。
【0021】
表示部12は、多数の画素(複数色の発光素子の組み合わせ)を縦横に配して構成される、例えばLCD(Liquid Crystal Display Device)や有機EL(Electro-Luminescence)を用いて構成される。表示部12は、制御部10により生成され、記憶部13の所定の領域(VRAM領域)に描画された表示対象データに応じた画像を表示する。
【0022】
記憶部13は、上記したプログラムの他に各種データを記憶する。例えば、画面上にリスト表示された要求情報が選択される毎に、選択された要求情報が蓄積される要求情報履歴DB(Data Base)130等のデータが所定の領域に割り当てられ格納される。記憶部13は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0023】
制御部10は、要求情報履歴DB130から予測された要求情報を抽出して画面上にリスト表示する際に、蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出し、当該算出された評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替え、表示部12に表示すると共に、操作部11による選択操作に基づき、選択された要求情報の使用頻度を更新し、次回以降の予測評価値の算出に反映させる要求情報入力支援プログラムを実行する。
【0024】
このため、制御部10が実行する要求情報入力支援プログラムは、図1にそのプログラム構造が機能展開され示されているように、主制御部100と、入力情報取得部101と、予測評価値算出部102と、候補情報抽出・出力部103と、頻度管理部104と、を含み構成される。
【0025】
入力情報取得部101は、操作部11が操作されることにより入力される単語を取り込んで評価値算出部102へ出力する。評価値算出部102は、要求情報履歴DB130から予測された要求情報を抽出して画面上にリスト表示する際に、蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出して候補情報抽出・出力部103へ供給する。
【0026】
候補情報抽出・出力部103は、予測評価値算出部102で算出された評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替え、表示部12に表示する。頻度管理部104は、操作部11による選択操作に基づき、選択された要求情報の使用頻度を更新し、予測評価値算出部102による次回以降の予測評価値の算出に反映させる。
【0027】
尚、主制御部100は、要求情報履歴DB130から予測された要求情報を抽出して画面上にリスト表示する際に、蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出、算出された評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替え、表示部12に表示すると共に、操作部11による選択操作に基づき、選択された要求情報の使用頻度を更新し、次回以降の予測評価値の算出に反映させる制御部10が持つ機能を実現するために、上記した入力情報取得部101、予測評価値算出部102、候補情報抽出・出力部103、頻度管理部104のシーケンス制御を行う。
【0028】
図2は、本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置1によりモデル化された「情報対象」及び「情報種別」のデータ構造を示す図である。発明者は、図2(a)に示すように、「ユーザ要求情報」は、「情報対象」と「情報種別」との組み合わせであるものとしてモデル化した。プラントの維持管理システムとして、水処理を例示した場合、「情報対象」とは、全機場、A市浄水場、B市浄水場のフィールドサーバ(例えばGSA:Gadget Service Adapter)、C市浄水場の水質計等、ユーザ固有の情報をいう。又、「情報種別」とは、ヒストリカル情報、リアルタイム情報、イベント情報、操作情報等、ユーザに共通の情報をいう。
【0029】
発明者は、更に、「情報対象」のデータモデルを階層化により定義し、例えば、図2(b)に示すように、「サービス対象全体」を最上位階層に位置付け、機場#1〜#n毎にフィールドサーバ#1〜#nを割り付け、フィールドサーバ#1〜#n毎に、機器#1〜#nを割り付ける構造とした。又、「情報種別」のデータモデルも階層化により定義し、例えば、図2(c)に示すように、「情報全体」を最上位階層に位置づけ、「情報全体」の下に、「ヒストリカル情報」、「リアルタイム情報」、「イベント情報」、「操作情報」を割り付け、「イベント情報」には、「操作履歴情報」、「異常履歴情報」等のように階層展開して割り付ける構造とした。
【0030】
そして、ユーザ要求情報について、ユーザは、(1)直近にアクセスした情報対象、情報種別に対して再度要求する傾向があること、(2)ユーザは物理的に近い場所にある情報対象に対して情報を要求すること、(3)ユーザは、同じ情報種別に対して同じ情報又は類似の情報を要求するといった一般傾向を踏まえて、要求情報履歴DB130に格納された各履歴に対して予測評価値を算出してユーザに提示し、ユーザに選択させるユーザインタフェースを開発した。このため、必要な情報を得る場合のユーザの入力パターンは、「情報対象」、「情報種別」、あるいはその組み合わせであるとし、入力パターンに応じて以下の演算式により予測評価値を算出し、算出された評価値が小さい程、確度が高いものとした。
【0031】
入力が「情報対象」の場合の予測評価値Vは、f(d1,d2)の演算式で計算される。このうち、fは評価関数、d1は直近にアクセスした情報対象と現在時刻からの差分であり、ユーザは直近にアクセスした情報対象に対して情報を要求する傾向に基づく。d2は入力された情報対象からの論理的距離であり、ユーザは物理的に近い情報対象に情報を要求する傾向に基づく。
【0032】
又、入力が「情報種別」の場合の予測評価値も、f(d1,d2)の演算式で算出される。d1は、直近にアクセスした情報種別の現在時刻からの差分であり、ユーザは直近にアクセスした情報種別に対して情報を要求する傾向に基づく。d2は入力された情報種別からの論理的距離であり、ユーザは同じ情報対象について同じ情報又は類似する情報を要求する傾向に基づく。
【0033】
(実施形態の動作)
以下、図3のフローチャート、及び、図4、図5に示した具体的事例を参照しながら、図1、図2に示した本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置1の動作について詳細に説明する。
【0034】
まず、ユーザが操作部11を操作することにより単語入力を行なう。単語として、例えば、図4に示される情報対象の「第2浄水場」を入力したとする。制御部10ではこの単語入力を受け(ステップS101“YES”)、入力情報取得部101がこの単語を取り込んで予測評価値算出部102へ供給する。このとき、予測評価値算出部102では、記憶部13の所定の領域に割り当てられ頻度順に蓄積された要求情報履歴DB130から予測される要求情報を抽出するが、この都度、各履歴に対して予測計算値を算出するものとする(ステップS102)。
【0035】
予測評価値算出部102は、具体的に、図3に要求情報履歴DB130に直近に使用されたものから格納されてある履歴毎に、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出する。ここでは、「水質計C(第2浄水場)のヒストリカル情報」については、V=f(d1,d2)を計算することにより“4”の予測評価値が得られる。続いて、「水質計D(第3浄水場)のリアルタイム情報」については“10”、「水質計D(第3浄水場)のイベント情報」については“15”、「第2浄水場全体のイベント情報」については“1”、「ポンプB(第1浄水場)のリアルタイム情報」については“8”、「ポンプA(第2浄水場)のヒストリカル情報」については“2”の予測評価値が算出され、それぞれ得られ、候補情報抽出・出力部103に引き渡される。尚、図4において、要求履歴情報DB130内における( )内数字が予測評価値を示す。
【0036】
一方、図5に示される「情報種別」の「異常履歴」が入力されると、予測評価値算出部102は、要求情報履歴DB130に、直近に使用された要求情報順に格納されてある履歴毎、例えば、「水質計C(第2浄水場)の異常履歴情報」については、V=f(d1,d2)を計算することにより“4”の予測評価値が付与される。続いて、「水質計D(第3浄水場)のリアルタイム情報」については“10”、「水質計D(第3浄水場)のイベント情報」については“15”、「第2浄水場全体の異常履歴情報」については“1”、「ポンプB(第1浄水場)のリアルタイム情報」については“8”、「ポンプA(第2浄水場)のイベント情報」については“2”の予測評価値が算出されてそれぞれ付与され、候補情報抽出・出力部103に引き渡される。尚、図5においても図4同様、要求履歴情報DB130内における( )内数字が予測評価値を示す。
【0037】
これを受けて、候補情報抽出・出力部103では、予測評価値の低い順に要求情報を抽出して並べ変え、例えば、図4に示されるように、「第2浄水場全体のイベント情報」、「ポンプA(第2浄水場)のヒストリカル情報」、「水質計C(第2浄水場)のヒストリカル情報」の順にリストを生成し、又は、図5に示されるように、「第2浄水場全体の異常履歴情報」、「ポンプA(第2浄水場)のイベント情報」、「水質計C(第2浄水場)の異常履歴情報」の順にリストを生成し、それぞれ表示部12へ表示する(ステップS103)。
【0038】
そして、表示部12にリスト表示された候補要求情報の中からユーザが操作部11を操作することにより、最適な要求情報が選択されると(ステップS104“YES”)、頻度管理部104は、選択されたユーザ要求情報の使用頻度を更新して要求履歴DB130に蓄積される要求情報の順番を入れ替え、次回以降の予測評価値の算出に反映させる(ステップS105)。
【0039】
(実施形態の効果)
本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置1によれば、要求情報履歴DB130から予測された要求情報を抽出して画面上にリスト表示する際に、蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出し、当該算出された予測評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替えて表示するため、ユーザは、画面上に表示される確度が高い順にリスト表示された要求情報を選択操作するだけで必要な情報を入力して目的の情報を取得でき、従って、目的の情報を得るまでの時間短縮を図ることができる。又、プラント維持管理業務の経験の浅いユーザであっても容易に目的の情報を得ることができる。
【0040】
(要求情報入力支援プログラム)
尚、本発明の要求情報入力支援プログラムは、プラントの維持管理を目的とする単語が入力されることにより、前記単語を含む文節を予測して要求情報を生成し、確度が高い順に画面上にリスト表示してユーザに選択操作を促す、要求情報入力支援装置1のコンピュータ上で実行されるプログラムであって、例えば、図2に示されるように、前記コンピュータに、前記画面上にリスト表示された前記要求情報が選択される毎に、前記選択された要求情報が蓄積される要求情報履歴データベースから、予測された要求情報を抽出して前記画面上にリスト表示する際に、前記蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出する予測評価値算出処理(ステップS101〜S102)と、前記算出された評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替え、前記画面上に表示する候補情報抽出・出力処理(S103)と、前記選択操作に基づき、前記選択された要求情報の使用頻度を更新し、次回以降の予測評価値の算出に反映させる頻度管理処理(S104、S105)と、を実行させる。
【0041】
(プラント維持管理システム)
図6は、本発明の実施形態に係る要求情報入力支援装置1を含むプラント維持管理システム200を機場に適用した場合のシステム構成の一例を示した図である。産業用プロセスとして、例えば、給水システムを例示すると、機場には、水槽設備である設備#1、#2等の複数設備が設置されている。各設備には、水位センサやバルブ調節器等の、所謂、現場機器が含まれ、これら現場機器は、設備毎に割り当てられたGSAなどのフィールドサーバ302〜304と1対1に通信可能に接続される。この接続は、RS485等のシリアルデータ通信路により接続される。
【0042】
各現場機器での測定データは、DCS(Distributed Control
System)210、212に送信するのとは別に、上記したフィールドサーバ301〜30nにも送信される。全てのフィールドサーバ301〜30nは、本発明の実施形態に係る要求情報に有力支援装置1とも通信可能に接続され、この接続は、例えば、イーサネット(登録商標)等によるLAN(Local Area Network)接続による。フィールドサーバ301〜30nにバッファリングされた測定データを含む運転データは、LAN経由で不図示のDBサーバにファイル形式で蓄積される。要求情報入力支援装置1は、このDBサーバに蓄積された、あるいは内蔵のメモリに蓄積された要求情報履歴DB130を参照することにより、ユーザ要求情報を予測して入力を支援することにより、ユーザは、画面上に表示される確度が高い順にリスト表示された要求情報を選択操作するだけで必要な情報を入力して目的の情報を取得でき、従って、目的の情報を得るまでの時間短縮を図ることができる。又、プラント維持管理業務の経験の浅いユーザであっても容易に目的の情報を得ることができる。
【0043】
尚、本発明の要求情報入力支援プログラムがクライアント端末202、204にインストールされることで、クライアント端末202、204が要求情報入力端末装置1として機能することも可能であり、又、必要に応じてLAN経由で、クライアント端末202、204や中央監視サーバ206により適宜アクセスされても良い
【0044】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0045】
1 要求情報入力支援装置
10 制御部
11 操作部
12 表示部
13 記憶部
100 主制御部
101 入力情報取得部
102 予測評価値算出部
103 候補情報抽出・出力部
104 頻度管理部
200 プラント維持管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの維持管理を目的とする単語が入力されることにより、前記単語を含む文節を予測して要求情報を生成し、確度が高い順に画面上にリスト表示してユーザに選択操作を促す、少なくとも操作部と、表示部と、記憶部とを有する要求情報入力支援装置であって、
前記画面上にリスト表示された前記要求情報が選択される毎に、前記選択された要求情報が蓄積される、前記記憶部の所定の領域に割り当てられた要求情報履歴データベースと、
前記要求情報履歴データベースから予測された要求情報を抽出して前記画面上にリスト表示する際に、前記蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出する予測評価値算出部と、
前記算出された評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替え、前記表示部に表示する候補情報抽出・出力部と、
前記操作部による選択操作に基づき、前記選択された要求情報の使用頻度を更新し、次回以降の前記予測評価値算出部による予測評価値の算出に反映させる頻度管理部と、
を備えたことを特徴とする要求情報入力支援装置。
【請求項2】
前記予測評価値算出部は、
直近にアクセスした前記情報対象との現在時刻からの差分と、前記入力された単語の情報対象の論理的距離とをパラメータとし、値が小さくなるにつれ予測された要求情報である確度が高いとする予測評価関数に従い、前記予測評価値を算出することを特徴とする請求項1記載の要求情報入力支援装置。
【請求項3】
前記予測評価値算出部は、
直近にアクセスした前記情報種別との現在時刻からの差分と、前記入力された単語の情報種別の論理的距離とをパラメータとし、値が小さくなるにつれ予測された要求情報である確度が高いとする予測評価関数に従い、前記予測評価値を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の要求情報入力支援装置。
【請求項4】
プラントの維持管理を目的とする単語が入力されることにより、前記単語を含む文節を予測して要求情報を生成し、確度が高い順に画面上にリスト表示してユーザに選択操作を促す、要求情報入力支援装置のコンピュータ上で実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記画面上にリスト表示された前記要求情報が選択される毎に、前記選択された要求情報が蓄積される要求情報履歴データベースから、予測された要求情報を抽出して前記画面上にリスト表示する際に、前記蓄積されたそれぞれの要求情報に対し、ユーザに固有の情報対象と、ユーザに共通の情報種別との組み合わせに基づき決定されるデータモデルに従い予測評価値を算出する予測評価値算出処理と、
前記算出された評価値に従い抽出される所定数の要求情報を確度の高い順に並べ替え、前記画面上に表示する候補情報抽出・出力処理と、
前記選択操作に基づき、前記選択された要求情報の使用頻度を更新し、次回以降の予測評価値の算出に反映させる頻度管理処理と、
を実行させることを特徴とする要求情報入力支援プログラム。
【請求項5】
前記予測評価値算出処理は、
直近にアクセスした前記情報対象との現在時刻からの差分と、前記入力された単語の情報対象の論理的距離とをパラメータとし、値が小さくなるにつれ予測された要求情報である確度が高いとする予測評価関数に従い、前記予測評価値を算出することを特徴とする請求項4記載の要求情報入力支援プログラム。
【請求項6】
前記予測評価値算出処理は、
直近にアクセスした前記情報種別との現在時刻からの差分と、前記入力された単語の情報種別の論理的距離とをパラメータとし、値が小さくなるにつれ予測された要求情報である確度が高いとする予測評価関数に従い、前記予測評価値を算出することを特徴とする請求項4又は5記載の要求情報入力支援プログラム。
【請求項7】
プラント機器と、前記プラント機器を統合管理するフィールドサーバと、前記フィールドサーバとはローカルエリアネットワーク経由で接続され、前記プラント機器の維持管理を目的とする単語が入力されることにより、前記単語を含む文節を予測して要求情報を生成し、確度が高い順に画面上にリスト表示してユーザに選択操作を促す、少なくとも操作部と、表示部と、記憶部とを有する請求項1から請求項3のいずれか1項記載の要求情報入力支援装置と、を有することを特徴とするプラント維持管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−209784(P2011−209784A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74084(P2010−74084)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】