覆工板
【課題】覆工板の吊り上げ孔近くに、雨水の侵入を防止する部品を強固に低コストで取付ける方策を提供する。
【解決手段】5本のH形鋼2を平行に接触して敷並べ、上下のフランジが、それぞれ平面をなすように配置し、最外部のH形鋼の上下のフランジの端部に掛け渡して左右の側板3を配置し、H形鋼の長手方向の端面に接して前後の端板4を配置し、最外部のH形鋼の外側の上のフランジの端面近くに吊り上げ孔5を設けた覆工板において、吊り上げ孔5の直下の位置においてH形鋼の下のフランジに排出孔6を貫通して設け、吊り上げ孔5と排出孔6を結ぶ貫通空間を形成するようにH形鋼の上のフランジと下のフランジとウェブと側板3との間に発泡性樹脂を充填し固着させる。
【解決手段】5本のH形鋼2を平行に接触して敷並べ、上下のフランジが、それぞれ平面をなすように配置し、最外部のH形鋼の上下のフランジの端部に掛け渡して左右の側板3を配置し、H形鋼の長手方向の端面に接して前後の端板4を配置し、最外部のH形鋼の外側の上のフランジの端面近くに吊り上げ孔5を設けた覆工板において、吊り上げ孔5の直下の位置においてH形鋼の下のフランジに排出孔6を貫通して設け、吊り上げ孔5と排出孔6を結ぶ貫通空間を形成するようにH形鋼の上のフランジと下のフランジとウェブと側板3との間に発泡性樹脂を充填し固着させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は覆工板(ふっこうばん)に関する。
【背景技術】
【0002】
覆工板1は、図2に示すように、H形鋼2a、2b、2c、2d、2eを一定寸法に切断して5本敷並べて溶接により一体化し、側面を平板である側板3a、3bで補剛し、端面を平板である端板4a、4bで補剛している。
【0003】
そして、最外部のH形鋼2a、2eの外側の上のフランジ21a、22eの端面近くにそれぞれ、吊り上げ孔5a、5bと5c、5dを設けてある。吊り上げ孔の形状は、覆工板を吊り上げるためにフックを容易に引掛けることができるように、円形あるいは楕円形である。また、側板3a、3bの端面近くであって、吊り上げ孔の下方に、側板を切り欠いて排出孔6a、6b、6c、6dが設けてある。
【0004】
吊り上げ孔は、吊りフックを引っ掛けて覆工板を吊り上げるのに用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−295213
【0006】
しかしながら、覆工板1を路面などに設置した後、使用している間に、この吊り上げ孔5a、5b、5c、5dから内腔部7a、7bへ雨水、土砂、泥水などが侵入する。この結果、覆工板1の内腔部7a、7bが腐食し、覆工板1の強度等が失われるに至ることがあり問題である。なお、内腔部7aは、最外部のH形鋼2aのフランジ21a、ウェブ23a、フランジ24aと側板3aと端板4aと端板4bによって囲まれた四角柱形状の空間であり、同様に、内腔部7bは最外部のH形鋼2eのフランジ21e、ウェブ23e、フランジ24eと側板3bと端板4aと端板4bによって囲まれた四角柱形状の空間である。
【0007】
上記の特許文献1においては、雨水、土砂、泥水などの侵入防止の方策として、本体と水密保持部とからなるブロック栓材を内腔部に取付ける発明を提供している。図3は従来のブロック栓材の例を示す図であり、(イ)はブロック栓材の側面方向から見たブロック栓材の中心軸を通る垂直断面図であり、(ロ)は上面方向から見たブロック栓材の中心軸を通る水平断面図である。
【0008】
ブロック栓材8は、栓材の本体9と、内腔部7と接する周囲に設けた水密保持部10とからなる。ブロック栓材8には、装入し易いように外形にテーパー形状を持たせることも考えられる。水密保持部10を設けるのは、H形鋼の寸法誤差、形状の変形に対応して水密性を保持するためである。
【0009】
水密保持部10は、ブロック栓材8の奥行方向に複数列(本例では3列)設けたリップ部11と、リップ部11間に介設したシール材12とからなる。リップ部11は、本例では栓材の本体9と同体に形成されるが、別体(別部品)に製作し、栓材の本体9に結合して一体化させてもよい。また、水密保持部10は、リップ部11だけで形成させる場合もある。
【0010】
シール材12としては、シーリング材、防水材、シールセメント、止水材、接着剤等を使用することができる。リップ部11とシール材12とは、ブロック栓材8の全周に沿って相互に連続して形成することが好ましい。
【0011】
栓材の本体9とリップ部11は、ゴム材料等を使用することができる。
【0012】
ブロック栓材8が覆工板1の内腔部7aの内方への移動を抑止するストッパー21を下側のフランジに設けている。
【0013】
特許文献1のブロック栓材8は、覆工板1の側板の端面近くに設けた排出孔6aから装入し、覆工板1の内腔部に設置し、覆工板1の吊り上げ孔5aから内腔部7aの内方への水等の侵入を防止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来のブロック栓材8は吊り上げ孔5aから内腔部7aの奥の位置に挿入して設置するので、(1)ブロック栓材の取付け作業が困難である、(2)覆工板に加わる振動等によってブロック栓材の位置がずれてしまう、(3)ブロック栓材の位置のずれを発見するのが困難であり、(4)吊り上げ孔からブロック栓材の取付け位置までの内腔部に雨水、土砂、泥水などが侵入し、内腔部が腐食する、問題がある。
【0015】
したがって、本発明の目的は、吊り上げ孔近くに雨水等の侵入を防止する部品を強固に、かつ、比較的低コストで取付ける方策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的は、請求項1に記載の第1の本発明に係る覆工板、すなわち、5本のH形鋼を平行に接触して敷並べ、上下のフランジが、それぞれ平面をなすように配置し、最外部のH形鋼の上下のフランジの端部に掛け渡して左右の側板を配置し、H形鋼の長手方向の端面に接して前後の端板を配置し、最外部のH形鋼の外側の上のフランジの端面近くに吊り上げ孔を設けた覆工板において、吊り上げ孔の直下の位置においてH形鋼の下のフランジに排出孔を貫通して設け、吊り上げ孔と排出孔を結ぶ貫通空間を形成するようにH形鋼の上のフランジと下のフランジとウェブと側板との間に発泡性樹脂を充填し固着させることを特徴とする覆工板によって、達成される。
【0017】
また、上記目的は、請求項3に記載の第2の本発明に係る覆工板、すなわち、5本のH形鋼を平行に接触して敷並べ、上下のフランジが、それぞれ平面をなすように配置し、最外部のH形鋼の上下のフランジの端部に掛け渡して左右の側板を配置し、H形鋼の長手方向の端面に接して前後の端板を配置し、最外部のH形鋼の外側の上のフランジの端面近くに吊り上げ孔を設けた覆工板において、吊り上げ孔の下方であって側板の下部に切欠き部を貫通して設け、吊り上げ孔と切欠き部を結ぶ貫通空間を形成するようにH形鋼の上のフランジと下のフランジとウェブと側板との間に発泡性樹脂を充填し固着させることを特徴とする覆工板によっても、達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
第1の実施形態
図1は第1の実施形態を示す概略図である。
【0020】
覆工板1の左手前隈を表わしており、内腔部7aの内部であって、吊り上げ孔5aの下方の位置であるH形鋼の下のフランジ24aには小径の排出孔17が貫通して設けられている。
【0021】
内腔部7aの右端は不図示の端板によって閉じられている。また、内腔部7aの内部であって、吊り上げ孔5aが設けられている位置より左側の位置に、所定の間隔を置いて、2枚の鋼鉄製の仕切り板13a、13bがスポット溶接によって仮付けされている。仕切り板13a、13bによって、内腔部7aはほぼ閉じられているが、スポット溶接部以外の部分には隙間があってもよい。
【0022】
2枚の仕切り板13a、13bとH形鋼のウェブ23aとによって囲まれた空間に発泡性樹脂を注入して当該空間及び当該隙間を塞ぐ。そして、発泡性樹脂を固化させる。固化した発泡性樹脂15によって、内腔部7aを完全に遮断して、雨水、土砂、泥水などが内腔部7aの左側へ侵入するのを防ぐ。発泡性樹脂として、例えば、発泡プラスチック、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等を用いることが出来る。
【0023】
他の実施形態をして、仕切り板をアルミニウム製あるいはプラスチック製としてもよい。その場合には、仕切り板を自立させるために周知の技術を用いることができる。
【0024】
H形鋼の下のフランジ24aに設けられた排出孔17から石等が落下し事故が起こるおそれがあるので、排出孔17に不図示の網或いはメッシュを取り付けるのが望ましい。メッシュの1つの実施形態として、金属製の網を排出孔17に溶接して取り付けてもよいし、あるいは、他の実施形態として、プラスチック製の枠付きのメッシュを排出孔17に嵌め込んで取り付けてもよい。
【0025】
第1の実施形態によれば、図1から明らかなように、吊り上げ孔5aから流入した雨水や土砂などは、固化した発泡性樹脂15によって遮られて、内腔部7aへ浸入することが出来ない。また、吊り上げ孔5aから流入した雨水や土砂などは、H形鋼の下のフランジ24aに設けられた排出孔17を通過して放出される。その結果、内腔部7aの下面の腐食は生じない。なお、第1の実施形態においては、発泡性樹脂がH形鋼のフランジに固着しているので、振動等によって発泡性樹脂が欠落することはない。
【0026】
第2の実施形態
図4は第2の実施形態を示す概略図である。
【0027】
覆工板1の左手前隈を表わしており、内腔部7aの内部であって、吊り上げ孔5aの下方手前の側板3aの下部位置に切欠き部19が貫通して設けてある。
【0028】
H形鋼の上のフランジに設けた吊り上げ孔5aと側板3aに設けた切欠き部19とを連通する空間を形成するために、図4(b)に示すように、中子14を用意し、その表面には、発泡性樹脂から容易に分離できるように離型剤を予め塗布しておき、切欠き部19が挿入し、所定の位置に一時的に配置する。次に、中子14の外周に発泡性樹脂を注入して、内腔部7aの一部分を塞ぐ。そして、発泡性樹脂を固化する。固化した発泡性樹脂15によって、内腔部7aの一部分は完全に遮断されるが、中子14を抜き去ると、吊り上げ孔5aと切欠き部19とを連通する空間は残される。発泡性樹脂を吊り上げ孔5aを通して注入する場合には、中子14の上部に中央から四隅へ発泡性樹脂を流すための溝流路14a、14bを設けるのが好ましい。
【0029】
側板3aに設けられた切欠き部19から石等が落下し事故が起こるおそれがあるので、切欠き部19に不図示の網或いはメッシュを取り付けるのが望ましい。メッシュの1つの実施形態として、金属製の網を切欠き部19に溶接して取り付けてもよいし、あるいは、他の実施形態として、プラスチック製の枠付きのメッシュを切欠き部19に嵌め込んで取り付けてもよい。
【0030】
第2の実施形態によれば、図4から明らかなように、吊り上げ孔5aから流入した雨水や土砂などは、固化した発泡性樹脂15によって遮られて、内腔部7aへの侵入することができない。また、吊り上げ孔5aから流入した雨水や土砂などは、側板3aの下部に設けられた切欠き部19を通過して放出される。その結果、内腔部7aの下面の腐食は生じない。なお、第2の実施形態においては、発泡性樹脂がH形鋼のフランジに固着しているので、振動等によって発泡性樹脂が欠落することはない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の覆工板は、地下鉄工事、地下街の建設、地下配管工事など、各種路面堀削工事において路面に敷き用いられるとともに、架設桟橋用床材としても用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施形態を示す概略図である。
【図2】従来の覆工板の概略図である。
【図3】図3は従来のブロック栓材の例を示す図であり、(イ)はブロック栓材の側面方向から見たブロック栓材の中心軸を通る垂直断面図であり、(ロ)は上面方向から見たブロック栓材の中心軸を通る水平断面図である。
【図4】第2の実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0033】
1 覆工板
2a、2b、2c、2d、2e H形鋼
21a、21b、21c、21d、21e フランジ
22a、22b、22c、22d、22e フランジ
23a、23b、23c、23d、23e ウェブ
24a、24b、24c、24d、24e フランジ
25a、25b、25c、25d、25e フランジ
3a、3b 側板
4a、4b 端板
5a、5b、5c、5d 吊り上げ孔
6a、6b、6c、6d 排出孔
7、7a、7b 内腔部
8 ブロック栓材
9 栓材の本体
10 水密保持部
11 リップ部
12 シール材
13a 仕切り板
13b 仕切り板
14 中子
14a 溝流路
14b 溝流路
15 発泡性樹脂
17 排出孔
19 切欠き部
21 ストッパー
【技術分野】
【0001】
本発明は覆工板(ふっこうばん)に関する。
【背景技術】
【0002】
覆工板1は、図2に示すように、H形鋼2a、2b、2c、2d、2eを一定寸法に切断して5本敷並べて溶接により一体化し、側面を平板である側板3a、3bで補剛し、端面を平板である端板4a、4bで補剛している。
【0003】
そして、最外部のH形鋼2a、2eの外側の上のフランジ21a、22eの端面近くにそれぞれ、吊り上げ孔5a、5bと5c、5dを設けてある。吊り上げ孔の形状は、覆工板を吊り上げるためにフックを容易に引掛けることができるように、円形あるいは楕円形である。また、側板3a、3bの端面近くであって、吊り上げ孔の下方に、側板を切り欠いて排出孔6a、6b、6c、6dが設けてある。
【0004】
吊り上げ孔は、吊りフックを引っ掛けて覆工板を吊り上げるのに用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−295213
【0006】
しかしながら、覆工板1を路面などに設置した後、使用している間に、この吊り上げ孔5a、5b、5c、5dから内腔部7a、7bへ雨水、土砂、泥水などが侵入する。この結果、覆工板1の内腔部7a、7bが腐食し、覆工板1の強度等が失われるに至ることがあり問題である。なお、内腔部7aは、最外部のH形鋼2aのフランジ21a、ウェブ23a、フランジ24aと側板3aと端板4aと端板4bによって囲まれた四角柱形状の空間であり、同様に、内腔部7bは最外部のH形鋼2eのフランジ21e、ウェブ23e、フランジ24eと側板3bと端板4aと端板4bによって囲まれた四角柱形状の空間である。
【0007】
上記の特許文献1においては、雨水、土砂、泥水などの侵入防止の方策として、本体と水密保持部とからなるブロック栓材を内腔部に取付ける発明を提供している。図3は従来のブロック栓材の例を示す図であり、(イ)はブロック栓材の側面方向から見たブロック栓材の中心軸を通る垂直断面図であり、(ロ)は上面方向から見たブロック栓材の中心軸を通る水平断面図である。
【0008】
ブロック栓材8は、栓材の本体9と、内腔部7と接する周囲に設けた水密保持部10とからなる。ブロック栓材8には、装入し易いように外形にテーパー形状を持たせることも考えられる。水密保持部10を設けるのは、H形鋼の寸法誤差、形状の変形に対応して水密性を保持するためである。
【0009】
水密保持部10は、ブロック栓材8の奥行方向に複数列(本例では3列)設けたリップ部11と、リップ部11間に介設したシール材12とからなる。リップ部11は、本例では栓材の本体9と同体に形成されるが、別体(別部品)に製作し、栓材の本体9に結合して一体化させてもよい。また、水密保持部10は、リップ部11だけで形成させる場合もある。
【0010】
シール材12としては、シーリング材、防水材、シールセメント、止水材、接着剤等を使用することができる。リップ部11とシール材12とは、ブロック栓材8の全周に沿って相互に連続して形成することが好ましい。
【0011】
栓材の本体9とリップ部11は、ゴム材料等を使用することができる。
【0012】
ブロック栓材8が覆工板1の内腔部7aの内方への移動を抑止するストッパー21を下側のフランジに設けている。
【0013】
特許文献1のブロック栓材8は、覆工板1の側板の端面近くに設けた排出孔6aから装入し、覆工板1の内腔部に設置し、覆工板1の吊り上げ孔5aから内腔部7aの内方への水等の侵入を防止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来のブロック栓材8は吊り上げ孔5aから内腔部7aの奥の位置に挿入して設置するので、(1)ブロック栓材の取付け作業が困難である、(2)覆工板に加わる振動等によってブロック栓材の位置がずれてしまう、(3)ブロック栓材の位置のずれを発見するのが困難であり、(4)吊り上げ孔からブロック栓材の取付け位置までの内腔部に雨水、土砂、泥水などが侵入し、内腔部が腐食する、問題がある。
【0015】
したがって、本発明の目的は、吊り上げ孔近くに雨水等の侵入を防止する部品を強固に、かつ、比較的低コストで取付ける方策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的は、請求項1に記載の第1の本発明に係る覆工板、すなわち、5本のH形鋼を平行に接触して敷並べ、上下のフランジが、それぞれ平面をなすように配置し、最外部のH形鋼の上下のフランジの端部に掛け渡して左右の側板を配置し、H形鋼の長手方向の端面に接して前後の端板を配置し、最外部のH形鋼の外側の上のフランジの端面近くに吊り上げ孔を設けた覆工板において、吊り上げ孔の直下の位置においてH形鋼の下のフランジに排出孔を貫通して設け、吊り上げ孔と排出孔を結ぶ貫通空間を形成するようにH形鋼の上のフランジと下のフランジとウェブと側板との間に発泡性樹脂を充填し固着させることを特徴とする覆工板によって、達成される。
【0017】
また、上記目的は、請求項3に記載の第2の本発明に係る覆工板、すなわち、5本のH形鋼を平行に接触して敷並べ、上下のフランジが、それぞれ平面をなすように配置し、最外部のH形鋼の上下のフランジの端部に掛け渡して左右の側板を配置し、H形鋼の長手方向の端面に接して前後の端板を配置し、最外部のH形鋼の外側の上のフランジの端面近くに吊り上げ孔を設けた覆工板において、吊り上げ孔の下方であって側板の下部に切欠き部を貫通して設け、吊り上げ孔と切欠き部を結ぶ貫通空間を形成するようにH形鋼の上のフランジと下のフランジとウェブと側板との間に発泡性樹脂を充填し固着させることを特徴とする覆工板によっても、達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
第1の実施形態
図1は第1の実施形態を示す概略図である。
【0020】
覆工板1の左手前隈を表わしており、内腔部7aの内部であって、吊り上げ孔5aの下方の位置であるH形鋼の下のフランジ24aには小径の排出孔17が貫通して設けられている。
【0021】
内腔部7aの右端は不図示の端板によって閉じられている。また、内腔部7aの内部であって、吊り上げ孔5aが設けられている位置より左側の位置に、所定の間隔を置いて、2枚の鋼鉄製の仕切り板13a、13bがスポット溶接によって仮付けされている。仕切り板13a、13bによって、内腔部7aはほぼ閉じられているが、スポット溶接部以外の部分には隙間があってもよい。
【0022】
2枚の仕切り板13a、13bとH形鋼のウェブ23aとによって囲まれた空間に発泡性樹脂を注入して当該空間及び当該隙間を塞ぐ。そして、発泡性樹脂を固化させる。固化した発泡性樹脂15によって、内腔部7aを完全に遮断して、雨水、土砂、泥水などが内腔部7aの左側へ侵入するのを防ぐ。発泡性樹脂として、例えば、発泡プラスチック、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等を用いることが出来る。
【0023】
他の実施形態をして、仕切り板をアルミニウム製あるいはプラスチック製としてもよい。その場合には、仕切り板を自立させるために周知の技術を用いることができる。
【0024】
H形鋼の下のフランジ24aに設けられた排出孔17から石等が落下し事故が起こるおそれがあるので、排出孔17に不図示の網或いはメッシュを取り付けるのが望ましい。メッシュの1つの実施形態として、金属製の網を排出孔17に溶接して取り付けてもよいし、あるいは、他の実施形態として、プラスチック製の枠付きのメッシュを排出孔17に嵌め込んで取り付けてもよい。
【0025】
第1の実施形態によれば、図1から明らかなように、吊り上げ孔5aから流入した雨水や土砂などは、固化した発泡性樹脂15によって遮られて、内腔部7aへ浸入することが出来ない。また、吊り上げ孔5aから流入した雨水や土砂などは、H形鋼の下のフランジ24aに設けられた排出孔17を通過して放出される。その結果、内腔部7aの下面の腐食は生じない。なお、第1の実施形態においては、発泡性樹脂がH形鋼のフランジに固着しているので、振動等によって発泡性樹脂が欠落することはない。
【0026】
第2の実施形態
図4は第2の実施形態を示す概略図である。
【0027】
覆工板1の左手前隈を表わしており、内腔部7aの内部であって、吊り上げ孔5aの下方手前の側板3aの下部位置に切欠き部19が貫通して設けてある。
【0028】
H形鋼の上のフランジに設けた吊り上げ孔5aと側板3aに設けた切欠き部19とを連通する空間を形成するために、図4(b)に示すように、中子14を用意し、その表面には、発泡性樹脂から容易に分離できるように離型剤を予め塗布しておき、切欠き部19が挿入し、所定の位置に一時的に配置する。次に、中子14の外周に発泡性樹脂を注入して、内腔部7aの一部分を塞ぐ。そして、発泡性樹脂を固化する。固化した発泡性樹脂15によって、内腔部7aの一部分は完全に遮断されるが、中子14を抜き去ると、吊り上げ孔5aと切欠き部19とを連通する空間は残される。発泡性樹脂を吊り上げ孔5aを通して注入する場合には、中子14の上部に中央から四隅へ発泡性樹脂を流すための溝流路14a、14bを設けるのが好ましい。
【0029】
側板3aに設けられた切欠き部19から石等が落下し事故が起こるおそれがあるので、切欠き部19に不図示の網或いはメッシュを取り付けるのが望ましい。メッシュの1つの実施形態として、金属製の網を切欠き部19に溶接して取り付けてもよいし、あるいは、他の実施形態として、プラスチック製の枠付きのメッシュを切欠き部19に嵌め込んで取り付けてもよい。
【0030】
第2の実施形態によれば、図4から明らかなように、吊り上げ孔5aから流入した雨水や土砂などは、固化した発泡性樹脂15によって遮られて、内腔部7aへの侵入することができない。また、吊り上げ孔5aから流入した雨水や土砂などは、側板3aの下部に設けられた切欠き部19を通過して放出される。その結果、内腔部7aの下面の腐食は生じない。なお、第2の実施形態においては、発泡性樹脂がH形鋼のフランジに固着しているので、振動等によって発泡性樹脂が欠落することはない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の覆工板は、地下鉄工事、地下街の建設、地下配管工事など、各種路面堀削工事において路面に敷き用いられるとともに、架設桟橋用床材としても用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施形態を示す概略図である。
【図2】従来の覆工板の概略図である。
【図3】図3は従来のブロック栓材の例を示す図であり、(イ)はブロック栓材の側面方向から見たブロック栓材の中心軸を通る垂直断面図であり、(ロ)は上面方向から見たブロック栓材の中心軸を通る水平断面図である。
【図4】第2の実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0033】
1 覆工板
2a、2b、2c、2d、2e H形鋼
21a、21b、21c、21d、21e フランジ
22a、22b、22c、22d、22e フランジ
23a、23b、23c、23d、23e ウェブ
24a、24b、24c、24d、24e フランジ
25a、25b、25c、25d、25e フランジ
3a、3b 側板
4a、4b 端板
5a、5b、5c、5d 吊り上げ孔
6a、6b、6c、6d 排出孔
7、7a、7b 内腔部
8 ブロック栓材
9 栓材の本体
10 水密保持部
11 リップ部
12 シール材
13a 仕切り板
13b 仕切り板
14 中子
14a 溝流路
14b 溝流路
15 発泡性樹脂
17 排出孔
19 切欠き部
21 ストッパー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5本のH形鋼を平行に接触して敷並べ、上下のフランジが、それぞれ平面をなすように配置し、最外部のH形鋼の上下のフランジの端部に掛け渡して左右の側板を配置し、H形鋼の長手方向の端面に接して前後の端板を配置し、最外部のH形鋼の外側の上のフランジの端面近くに吊り上げ孔を設けた覆工板において、吊り上げ孔の直下の位置においてH形鋼の下のフランジに排出孔を貫通して設け、吊り上げ孔と排出孔を結ぶ貫通空間を形成するようにH形鋼の上のフランジと下のフランジとウェブと側板との間に発泡性樹脂を充填し固着させることを特徴とする覆工板。
【請求項2】
当該排出孔に網が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の覆工板。
【請求項3】
5本のH形鋼を平行に接触して敷並べ、上下のフランジが、それぞれ平面をなすように配置し、最外部のH形鋼の上下のフランジの端部に掛け渡して左右の側板を配置し、H形鋼の長手方向の端面に接して前後の端板を配置し、最外部のH形鋼の外側の上のフランジの端面近くに吊り上げ孔を設けた覆工板において、吊り上げ孔の下方であって側板の下部に切欠き部を貫通して設け、吊り上げ孔と切欠き部を結ぶ貫通空間を形成するようにH形鋼の上のフランジと下のフランジとウェブと側板との間に発泡性樹脂を充填し固着させることを特徴とする覆工板。
【請求項4】
当該切欠き部に網が取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の覆工板。
【請求項1】
5本のH形鋼を平行に接触して敷並べ、上下のフランジが、それぞれ平面をなすように配置し、最外部のH形鋼の上下のフランジの端部に掛け渡して左右の側板を配置し、H形鋼の長手方向の端面に接して前後の端板を配置し、最外部のH形鋼の外側の上のフランジの端面近くに吊り上げ孔を設けた覆工板において、吊り上げ孔の直下の位置においてH形鋼の下のフランジに排出孔を貫通して設け、吊り上げ孔と排出孔を結ぶ貫通空間を形成するようにH形鋼の上のフランジと下のフランジとウェブと側板との間に発泡性樹脂を充填し固着させることを特徴とする覆工板。
【請求項2】
当該排出孔に網が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の覆工板。
【請求項3】
5本のH形鋼を平行に接触して敷並べ、上下のフランジが、それぞれ平面をなすように配置し、最外部のH形鋼の上下のフランジの端部に掛け渡して左右の側板を配置し、H形鋼の長手方向の端面に接して前後の端板を配置し、最外部のH形鋼の外側の上のフランジの端面近くに吊り上げ孔を設けた覆工板において、吊り上げ孔の下方であって側板の下部に切欠き部を貫通して設け、吊り上げ孔と切欠き部を結ぶ貫通空間を形成するようにH形鋼の上のフランジと下のフランジとウェブと側板との間に発泡性樹脂を充填し固着させることを特徴とする覆工板。
【請求項4】
当該切欠き部に網が取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の覆工板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2012−225095(P2012−225095A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95242(P2011−95242)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(591063202)産業振興株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(591063202)産業振興株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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