説明

規定された電気容量を有する回路構成、ならびにその生産のための方法および装置

この発明は、少なくとも1つの金属製の導電性導体を有する基板(S)を含む、規定された電気容量を有する回路構成(1)に関する。この発明によれば、少なくとも1つの第1の導体ストリップ区分(LA1)が基板(S)の上に配置され、少なくとも1つの第2の導体ストリップ区分(LA2、LA3、LA4)のうちの少なくともいくつかの領域が、第1の導体ストリップ区分(LA1)の上に配置され、電気絶縁層(iS)が導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)間に配置されて誘電体を形成する。この発明はさらに、規定された電気容量を有する回路構成(1)を生産するための方法および装置(2)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1の前提部の特徴に従った、規定された電気容量を有する回路構成を製造するための方法、請求項11の前提部の特徴に従った、規定された電気容量を有する回路構成、および、請求項13の前提部の特徴に従った、規定された電気容量を有する回路構成を生産するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文献WO2006/079913 A1に記載されているような従来技術から、高周波数識別部用のアンテナを生産するための装置および方法が公知である。導電性材料で作られたワイヤトランスポンダ用のアンテナを生産するための装置は、保持手段の上に配置された基板の上にワイヤを敷設するための敷設手段を含む。敷設手段および基板は、互いに対して動かすことができる。保持手段は、デカルト座標系の少なくとも2つの軸と平行に動かすことができる。
【0003】
アンテナを生産するための方法では、少なくとも1つのリールに巻かれている層、または前記リールに巻かれている導電性材料のワイヤが、リールから引出され、または押付手段を用いて基板の表面に押付けられ、固定されてまだ施されていない層またはワイヤから分離手段によって分離される。基板は、少なくとも1つのリールと、押付手段と、分離手段とを含む装置に対し、本質的にデカルト座標系の1つの軸と平行な少なくとも1つの方向に沿って動かすことができる。
【0004】
ここに引用により援用する、出願人の未公開の出願DE 10 2009 012 255.9−33には、回路構成が記載されている。前記回路構成は、少なくとも1つの電子部品を有する基板を含む。基板の上および/または基板内に、少なくとも1つの金属製の導電性導体ストリップが、回路パターンとなって配置されており、電子部品の端子は、導体ストリップの接触領域に電気的に接続されている。
【0005】
また、この文献は、基板の上に回路構成を生産するための方法を開示する。この文脈では、少なくとも1つの導体ストリップが基板の少なくとも1つの表面側に施され、それは基板に面する表面側が溶融可能な絶縁ラッカーでコーティングされており、絶縁ラッカーは熱エネルギまたは超音波の助けを借りて加熱されて少なくとも部分的に溶融され、導体ストリップが基板の上に押付けられる。
【0006】
また、この文献は、基板の上に回路パターンを生産するための装置を開示している。この装置は、導体ストリップコイルと、円筒状または円錐状の敷設ツールとを含み、それは少なくともその長さの一部にわたって、導体ストリップを誘導する内部穴を有し、内半径および外半径に連なりその長手方向軸と垂直に配置される環状活性区域を有する。
【0007】
文献US 2008/0179404 A1は、トランスポンダセキュリティカードを生産するための方法および装置を開示している。このプロセスでは、基板の間隙にトランスポンダチップモジュールが挿入される。アンテナワイヤの端部が、チップモジュールの端子区域上の所定の位置に、接着剤の助けを借りて保持される。レーザ放射を使用し、導電性の接着剤またははんだ材料の助けを借りた、アンテナワイヤと端子区域との接続を可能にするために、接着剤は透明である。トランスポンダセキュリティカードは、チップモジュールおよびアンテナの上にカバーを有する。レーザを用いた基板材料の除去により、チップモジュール用の間隙とアンテナワイヤ用のダクトとが基板上に形成される。
【0008】
文献DE 10 2007 027 539 A1は、トランスポンダシステムを記載している。前記トランスポンダシステムはトランスポンダを有しており、それはたとえばクロックなどの金属製ハウジングに挿入されており、また、トランスポンダチップおよびアンテナコイルに加え、規定された共振周波数を設定するためのコイルと並列に接続されたキャパシタを有している。前記トランスポンダでは、キャパシタの一部のみがトランスポンダ素子の上に形成されている。他の部分、すなわち対応するキャパシタのそれぞれの対電極は、トランスポンダ素子を担持する金属製ハウジングの金属面によって形成されている。
【0009】
文献DE 10 2006 053 823 A1は、基板上の第1の区間と第2の区間との間の移行帯にワイヤを敷設するための方法、特にトランスポンダ部用のアンテナを生産するための方法を開示している。また、この文献は、敷設装置およびワイヤ構成を開示している。移行帯では、ワイヤは、第1の区間の最後と第2の区間の最初との間の接続線からみた場合、第1の区間の最後と第2の区間の最初との間に、凹状湾曲を有する曲がった曲線に沿って敷設されており、第1の区間の最後を発端として、ワイヤがまずワイヤ用格納部から除去されるようになっている。ここで、ワイヤの端部は、好ましくは180°よりも小さいサイズの角度を接続線とともに包囲する方向へと動かされる。除去方向の角度のアームはここでは接続線の側に位置しており、曲がった曲線も同様に配置される。ワイヤ端部が動く間、ワイヤは基板と接続されていない。ワイヤは、接続線の長さ以上の長さを有して除去される。除去されたワイヤの端部は次に、第2の区間の最初で基板と接続される。
【0010】
文献DE 103 47 035 A1は、電子データキャリアを記載している。導電性構造が、レーザ放射法におけるレーザ放射に対して透過的である基板の上に固定される。基板の、レーザ放射源とは反対側には、導電性複合体が供給されて、基板表面と接触している。導電性複合体は、導体構造がそれから分離されている、導電性コーティングを有する伝達材料であってもよく、基板表面上に完全に固定された、熱可塑的にコーティングされたワイヤまたはストリングであってもよく、もしくは導電性ペーストであってもよい。
【0011】
文献DE 198 40 220 A1は、トランスポンダモジュールと、それを生産するための方法とを開示している。特に電子ラベル用のこのトランスポンダモジュールは、絶縁材料で構成された層を含み、それは単一のキャリア基板として設けられている。キャリア基板の第1の主面上に、アンテナ装置が形成される。キャリア基板の窪みには、カプセル化されていない回路チップが、回路チップの第1の主面が第1のキャリア基板の第1の主面と本質的に同一平面上に位置するように配置される。回路チップとアンテナ装置との間には、電気接続装置が設けられる。
【0012】
文献US6,665,931 B2は、基板の上に導体ワイヤを敷設するための方法を記載している。このプロセスでは、導体ワイヤは、基板とワイヤ敷設ツールとの間の三次元相対運動によって基板の上に配置され、ワイヤ敷設ツールと基板との間の周期的近似によって基板の狙いの位置に固定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、規定された電気容量を有する回路構成を生産するための改良された方法、前記方法の助けを借りて生産された規定された電気容量を有する回路構成、およびその回路構成を生産し、その方法を行なうための装置を提供するという考えに基づいている。
【発明の効果】
【0014】
この目的は、請求項1の特徴を備える、規定された電気容量を有する回路構成を生産するための方法、請求項11の特徴を備える、規定された電気容量を有する回路構成、および、請求項13の特徴を備える、規定された電気容量を有する回路構成を生産するための装置により、この発明に従って得られる。
【0015】
この発明の有利な実施例は、従属請求項の主題である。
規定された電気容量を有する回路構成は、少なくとも1つの金属製の導電性導体ストリップを有する基板を含む。
【0016】
少なくとも1つの第1の導体ストリップ区分が基板の上に配置され、少なくとも1つの第2の導体ストリップ区分が第1の導体ストリップ区分の上に少なくとも部分的に配置され、電気絶縁層が導体ストリップ区分間に配置されて誘電体を形成する。
【0017】
この発明によれば、導体ストリップは100μm〜1000μmの幅と5μm〜40μmの厚さ、好ましくは10μm〜40μmの厚さとを有し、導体ストリップ区分は選択的にかつ明確な態様で部分的に互いに重なり合って配置され、またはほぼ完全に互いに重なり合って配置されて、互いに一体的に接合される。
【0018】
導体ストリップ区分は、導体ストリップまたは複数の導体ストリップの一部であってもよく、2つ以上の導体ストリップ区分が部分的にまたは完全に互いに重なり合って配置されてもよい。回路構成は、横に並んで配置されるよう互いに重なり合って配置された複数の前記導体ストリップ区分を有していてもよい。
【0019】
その結果、導体ストリップを部分的にまたはほぼ完全に、選択的にかつ明確な態様で互いに重なり合うよう敷設することにより、電気キャパシタを簡単でかつコスト効率のよい態様で生産することができる。それらは一方では、コイル形状の導体ストリップ回路の寄生キャパシタとしての容量を強力に修正し、他方ではたとえば、複雑な回路における結合キャパシタとして機能でき、それにより回路素子は容量結合可能である。また、規定されたインピーダンスを有する回路構成を生産することができる。
【0020】
このように、たとえば、共振コイルを有する回路構成を生産することができ、電気容量の増加によってコイルのインダクタンスを低下させることが可能となる。これは、より小さいコイル表面、回路構成のレイアウト寸法決めの改良、およびコイルの巻回の数の減少を可能にする。これは、効率の向上をもたらす。
【0021】
巻回の数が減少する結果、導体ストリップの長さが短くなるため、コイルの内部抵抗は低下し、それはコイル品質の向上をもたらす。
【0022】
たとえば、いわゆるデュアルインターフェイスカード用の、共振周波数が13.56MHzのコイルを有する回路構成を、簡単でかつコスト効率のよい態様で生産することができる。前記デュアルインターフェイスカードは、直接接触および無線伝送の双方によるデータ伝送を可能にする。加えて、たとえば、低周波数コイルを有する回路構成も同様に生産することができる。
【0023】
基板はたとえば、紙、合成紙、熱可塑性箔、または木である。基板は、平坦面または球面を有していてもよい。また、基板は金属、たとえば既に敷設された導体ストリップであってもよい。基板はたとえば導体板または導体箔であってもよく、たとえば印刷され、エッチングされ、レーザ切断され、または圧延された導体ストリップあるいは導体面を有しており、それらは下方導体ストリップを形成可能であり、それは基板の上に直接配置され、その上に追加の導体ストリップ区分が少なくとも部分的に配置される。前記導体板または導体箔はたとえば、絶縁コーティングまたは接着コーティングも有していてもよい。基板はまた、繊維材料で形成されてもよい。
【0024】
導体ストリップの材料は、好ましくは軟らかい材料状態の、好ましくは銅または青銅であり、必要であれば、たとえば銀またははんだペーストのコーティングを有していてもよい。
【0025】
有利な一実施例では、電気絶縁層は、溶融可能な焼付けラッカーまたは接着剤で形成されており、接着剤は、熱可塑性、熱反応性、UV反応性、および/または圧力反応性である。別の有利な実施例では、電気絶縁層は、コアラッカーとその上に配置された溶融可能な焼付けラッカーとで形成されており、コアラッカーの軟化温度は焼付けラッカーの軟化温度よりも著しく高く、もしくは、電気絶縁層は、導体ストリップの表面上に配置されたコアラッカーとその上に配置された接着剤とで形成されており、接着剤は、熱可塑性、熱反応性、UV反応性、および/または圧力反応性である。焼付けラッカーおよび/または熱可塑性の接着剤は、好ましくは、110℃〜200℃の軟化温度を有する。
【0026】
有利には、焼付けラッカーまたは接着剤の軟化およびその後の硬化により、導体ストリップ区分を、互いにおよび基板に一体的に接合することができる。焼付けラッカーおよび/または接着剤の厚さは、好ましくは1μm〜5μmである。電気容量を形成するための導体ストリップ区分の敷設中に軟化しないコアラッカーの厚さは、好ましくは2μm〜4μmである。接着剤または焼付けラッカーは、必要であればコアラッカーとともに、導体ストリップ区分間に絶縁層を形成し、こうして、規定された厚さを有する誘電体を形成する。
【0027】
有利な一実施例では、導体ストリップ区分は、たとえば導体ストリップ区分に隣接する基板材料の除去によって持上げられるよう、基板上に配置される。このように、たとえば小型の自己支持コイルを有する回路構成を生産することができる。
【0028】
好ましい一実施例では、導体ストリップ区分は、少なくとも2つの巻回または複数の巻回を有するコイルを形成する。この文脈では、コイルの個々の巻回またはすべての巻回は、ほんの一部のみ、ほぼ完全に、または完全に互いに重なり合って配置されてもよく、互いに重なり合って固定されてもよい。
【0029】
特に好ましい一実施例では、互いに対して絶縁され、互いに重なり合って配置されたコイルの導体ストリップ区分は、規定された電気容量と、規定されたインダクタンスと、規定された共振周波数とを有する共振回路を形成する。
【0030】
規定された電気容量を有する回路構成を生産するための方法では、少なくとも1つの金属製の導電性導体ストリップが基板の少なくとも1つの表面側に敷設され、少なくとも1つの第1の導体ストリップ区分が基板の上に敷設され、少なくとも1つの第2の導体ストリップ区分が第1の導体ストリップ区分の上に少なくとも部分的に敷設され、電気絶縁層が導体ストリップ区分間に配置されて誘電体を形成する。
【0031】
この発明によれば、100μm〜1000μmの幅と5μm〜40μmの厚さ、好ましくは10μm〜40μmの厚さとを有する導体ストリップが敷設され、導体ストリップ区分は選択的にかつ明確な態様で部分的に互いに重なり合って配置され、またはほぼ完全に互いに重なり合って配置されて、互いに一体的に接合される。
【0032】
導体ストリップ区分は、導体ストリップまたは複数の導体ストリップの一部であってもよく、2つ以上の導体ストリップ区分が部分的にまたは完全に互いに重なり合って配置されてもよい。この方法により、互いに重なり合って配置された複数の前記導体ストリップ区分を有する回路構成を、それらが横に並んで配置されるように生産することもできる。導体ストリップ区分はたとえば、異なる角度で互いに交差していてもよい。
【0033】
この方法により、たとえば、少なくとも2つの巻回または複数の巻回を有するコイルを1つまたは数個有する回路構成も同様に生産することができる。ここで、コイルの個々の巻回またはすべての巻回は、たとえば、ほんの一部のみ、ほぼ完全に、または完全に互いに重なり合って配置されてもよく、互いに重なり合って固定されてもよい。
【0034】
この方策により、導体ストリップを部分的にまたはほぼ完全に、選択的にかつ明確な態様で互いに重なり合うよう敷設することにより、電気キャパシタを簡単でかつコスト効率のよい態様で生産することができる。それらは一方では、コイル形状の導体ストリップ回路の寄生キャパシタとしての容量を強力に修正し、他方ではたとえば、より複雑な回路における結合キャパシタとして機能でき、それにより回路素子は容量結合可能である。また、規定されたインピーダンスを有する回路構成を生産することができる。
【0035】
この方法により、たとえば、共振コイルを有する回路構成を生産することができ、電気容量の増加によってコイルのインダクタンスを低下させることが可能となる。これは、より小さいコイル表面、回路構成のレイアウト寸法決めの改良、およびコイルの巻回の数の減少を可能にする。これは、より高い効率をもたらす。
【0036】
巻回の数が減少する結果、導体ストリップの長さが短くなるため、内部抵抗が低いコイルを生産することができ、コイル品質の向上をもたらす。
【0037】
この方法により、たとえば、いわゆるデュアルインターフェイスカード用の、共振周波数が13.56MHzのコイルを有する回路構成を、簡単でかつコスト効率のよい態様で生産することができる。前記デュアルインターフェイスカードは、直接接触および無線伝送の双方によるデータ伝送を可能にする。また、たとえば、低周波数コイルを有する回路構成も同様に生産することができる。
【0038】
この方法で使用される基板はたとえば、平坦面または球面を有する、紙、合成紙、熱可塑性箔、または木である。また、基板は金属、たとえば既に敷設された導体ストリップであってもよい。基板はたとえば導体板または導体箔であってもよく、たとえば印刷され、エッチングされ、レーザ切断され、または圧延された導体経路あるいは導体面を有しており、それらは下方導体ストリップを形成し、それは最初に基板の上に直接配置され、その上に追加の導体ストリップ区分が少なくとも部分的に敷設される。前記導体板または導体箔はたとえば、絶縁コーティングまたは接着コーティングも有していてもよい。また、基板は繊維材料で形成されてもよい。
【0039】
前記方法では、好ましくは軟らかい材料状態の銅または青銅でできている導体ストリップが、特に敷設に好適である。使用される導体ストリップは、必要であれば、たとえば銀またははんだペーストのコーティングを有していてもよい。
【0040】
導体ストリップの敷設前に、電気絶縁層を、少なくとも1つの導体ストリップ区分の少なくとも1つの表面側に、および/または第2の導体ストリップ区分でコーティングされるべき基板の領域に配置することが都合がよい。有利な一実施例では、電気絶縁層として、溶融可能な焼付けラッカーまたは接着剤が、導体ストリップの表面に塗布され、接着剤は、熱可塑性、熱反応性、UV反応性、および/または圧力反応性である。別の有利な実施例では、電気絶縁層は、導体ストリップの表面へのコアラッカーおよび溶融可能な焼付けラッカーの塗布により形成されており、コアラッカーの軟化温度は焼付けラッカーの軟化温度よりも著しく高く、もしくは、電気絶縁層は、導体ストリップの表面へのコアラッカーまたは接着剤の塗布により形成されており、接着剤は、熱可塑性、熱反応性、UV反応性、および/または圧力反応性である。
【0041】
コアラッカーおよび/または焼付けラッカーを用いる場合、それらは好ましくは、導体ストリップの敷設直前に表面に塗布されない。絶縁層として接着剤を用いる場合であっても、それは、導体ストリップの敷設直前に表面に塗布される必要はない。特に、UV反応性および/または圧力反応性の接着剤を用いる場合、これは必ずしも必要ではない。なぜなら、それはUV放射または圧力印加によってのみ反応励起されるためである。熱可塑性および/または熱反応性の接着剤は、ある状況下では、導体ストリップが敷設されるまで冷却される必要がある。すなわち、導体ストリップは、それが使用されるまで低温環境で保存される必要がある。また、接着剤を、全く溶融しない、または非常に高温でしか溶融しないコアラッカーと組合せて使用してもよい。すなわち、コアラッカーを導体ストリップに塗布し、焼付けラッカーの代わりに接着剤を使用する。
【0042】
別の実施例では、接着剤は、導体ストリップの敷設直前にのみ、有利には液体形状で導体ストリップに塗布されてもよい。このように、導体ストリップへの接着剤の塗布はそれぞれの要件の関数として制御可能であり、そのため、接着剤をさまざまな厚さで塗布することができ、導体ストリップ全体に塗布することはできないものの、部分的にのみ塗布することができる。それにより材料およびコストの減少を実現でき、また、規定された電気容量に到達するために、誘電体を形成する絶縁層の厚さを、それぞれの要件に最適に適合させることができる。
【0043】
好ましくは、電気絶縁層は、第1の導体ストリップ区分の上への第2の導体ストリップ区分の敷設直前および/または敷設中に、熱エネルギ、超音波、UV放射、および/または圧力の助けを借りて加熱され、少なくとも部分的に溶融され、および/または反応励起される。このため、導体ストリップ区分を、互いにまたは基板に一体的にしっかりと接合することができる。このプロセスの前では、焼付けラッカーまたは接着剤は不活性であり、そのため導体ストリップは、敷設前はたとえば巻いた形態で搬送でき、敷設中は粘着の危険なく導体ストリップコイルから引出すことができる。
【0044】
このように挟まれている絶縁層の厚さを調節し、導体ストリップ区分を互いにしっかりと接合するには、第2の導体ストリップ区分を第1の導体ストリップ区分に規定された力で押付けることが適切である。誘電体を形成する絶縁層の厚さを調節することにより、規定された電気容量を設定することができる。
【0045】
好ましい一実施例では、敷設された導体ストリップ領域は、敷設直後に冷却される。このため、敷設直後に導体ストリップ区分を互いに一体的にしっかりと接合することができ、そのため、既に敷設された導体ストリップ区分が滑って再度位置ずれする危険なく、導体ストリップを複数のパターンで迅速に基板の上に敷設することができる。その結果、導体ストリップを高い精度で敷設でき、それにより、回路構成の規定された電気容量を高い精度で、すなわち非常に小さい公差で設定できる。
【0046】
好ましくは、導体ストリップは敷設ツールの助けを借りて敷設され、敷設ツールは基板に対して動かされ、および/または基板が敷設ツールに対して動かされる。その結果、導体ストリップの非常に迅速で高精度の敷設が可能となる。このような導体ストリップの敷設は、デカルト座標系の二次元基板上のx方向およびy方向において、ならびに、たとえば湾曲または傾斜した三次元基板上のx方向、y方向、およびz方向において、行なうことができる。
【0047】
導体ストリップが捩じれることなく敷設ツールに供給されるということは、導体ストリップの敷設にとって必須である。
【0048】
有利な一実施例では、導体ストリップは超音波敷設ツールの助けを借りて敷設され、超音波は好ましくは、基板の表面と垂直に方向付けられる。超音波敷設ツールを用いて、導体ストリップ、焼付けラッカー、または接着剤を加熱し、導体ストリップ区分を互いに対してかつ基板に対して押付けることができるため、導体ストリップ区分を互いにおよび/または基板に一体的にしっかりと接合することができる。規定された電気容量に到達するために、導体ストリップ間で絶縁層の厚さを要件に従って調節することができる。
【0049】
別の有利な実施例では、敷設ツールとしての加熱された圧力ローラの助けを借りて、導体ストリップが加熱および敷設され、そのため、圧力ローラの助けを借りて焼付けラッカーまたは接着剤も加熱され、導体ストリップ区分が互いに対してまたは基板に対して押付けられる。この方策により、導体ストリップ区分を互いにまたは基板に一体的にしっかりと接合することができ、規定された電気容量に到達するために、導体ストリップ間の絶縁層の厚さを要件に従って調節することができる。
【0050】
導体ストリップ、焼付けラッカー、または接着剤の最適な加熱を確実にするために、導体ストリップは好ましくは、敷設前に、圧力ローラの半周に沿って誘導される。
【0051】
この発明の一実施例では、たとえば基板の上に小型の自己支持コイルを作成するために、導体ストリップの敷設後、導体ストリップの領域において基板材料が少なくとも部分的に除去される。
【0052】
有利な一実施例では、導体ストリップ区分は、それらが少なくとも2つの巻回を有するコイルを形成するように、互いに重なり合って敷設されており、互いに対して絶縁され、互いに重なり合って配置されたコイルの導体ストリップ区分は、規定された電気容量と、規定されたインダクタンスと、規定された共振周波数とを有する共振回路を形成する。
【0053】
この方法の特に有利な一実施例では、規定された電気容量に確実に到達し、完全な回路構成において確実にされるよう、敷設中および/または敷設後に電気容量が判断される。特に有利には、電気容量は、敷設中、絶えず監視される。
【0054】
特に好ましくは、敷設パラメータは、到達すべき規定された電気容量の関数として敷設前に規定され、および/または、到達すべき規定された電気容量の関数として敷設中に制御および/または調節される。
【0055】
好ましくは、敷設方向、敷設速度、敷設された導体ストリップの長さ、UV放射の期間および/または強度、熱エネルギおよび/または超音波の助けを借りた加熱の期間および/または加熱温度のレベル、および/または、圧力の期間および/またはレベルが、規定され、制御され、および/または調節されるべき敷設パラメータである。このように、導体ストリップ区分の敷設は、回路構成の規定された電気容量が到達されるような態様で適合可能である。
【0056】
特に、導体ストリップの敷設中に電気容量を監視している間、およびそれから生じる敷設パラメータを制御および/または調節している間、導体ストリップ区分の敷設を直ちに調節し、規定された電気容量に到達した際にそれを完了することが可能である。
【0057】
規定された電気容量にぴったり到達する非常に簡単な可能性は、互いに交差するいくつかの導体ストリップ区分を敷設することにあり、導体ストリップ区分が互いに交差する角度を変えることにより、導体ストリップの表面重複、ひいては導体ストリップ区分によって形成されるキャパシタ電極表面のサイズが可変となる。
【0058】
このように、好ましくは、導体ストリップの敷設方向および/または敷設長さを変えることにより、導体ストリップ区分が互いに重なり合って敷設された領域の数および/または表面範囲が変えられる。
【0059】
別の有利な実施例では、導体ストリップは、規定された電気容量が規定された公差範囲内でアンダーシュートされるような態様で敷設されており、熱エネルギおよび/または超音波の助けを借りた加熱プロセスと、少なくとも2つの導体ストリップ区分が互いに重なり合って敷設された領域のうちの少なくとも1つに対する圧力印加とを次に行なうことにより、導体ストリップ区分間の電気絶縁層の厚さが、導体ストリップ区分間の焼付けラッカーまたは接着剤を少なくとも部分的に溶融し、絞り出すことによって、規定された電気容量に到達する程度まで減少する。たとえば加熱されたまたは超音波を援用したプランジャを用いて、焼付けラッカーおよび/または接着剤を絞り出すことにより、導体ストリップ区分間の電気絶縁層、ひいては誘電体が減少する。この実施例により、規定された電気容量を高精度で、非常に小さい公差で生産することができる。
【0060】
導体ストリップが、規定された電気容量が規定された公差範囲内でアンダーシュートされるような態様で敷設されており、少なくとも2つの導体ストリップ区分が互いに重なり合って敷設された領域のうちの1つに対するその後の圧力印加により、前記領域の表面範囲が、規定された容量に到達する程度まで導体ストリップ区分を広げることによって拡大される、というこの方法の別の有利な実施例によって、この局面を実現する別の可能性が提供される。たとえば加熱されていないプランジャによって、互いに重なり合って配置された導体ストリップ区分を拡大することにより、キャパシタ表面、ひいては電気容量が大きくなる。この実施例では、導体ストリップを繰返し加熱することは必要ない。
【0061】
別の有利な実施例では、導体ストリップは、規定された電気容量が規定された公差範囲内でオーバーシュートされるよう敷設されており、互いに重なり合って配置された複数の導体ストリップ区分が基板の上に横に並んで形成され、次に、互いに重なり合って配置された規定された数の導体ストリップ区分が、導体ストリップを切断することによって回路構成から分離され、そのため規定された電気容量に到達する。たとえば、互いに交差するいくつかの導体ストリップ区分が敷設され、次に、規定された電気容量に到達するために、前記交差のうちのいくつかが、導体ストリップを分離することによって回路構成から分離される。
【0062】
規定された電気容量を有する回路構成を生産するための装置は、敷設ツールと、導体ストリップコイルと、基板位置付け手段とを含み、少なくとも1つの第1の導体ストリップ区分を基板の上に敷設可能であり、少なくとも1つの第2の導体ストリップ区分を、電気絶縁層が導体ストリップ区分間に配置されて誘電体を形成するよう、第1の導体ストリップ区分の上に少なくとも部分的に配置可能である。
【0063】
この発明によれば、100μm〜1000μmの幅と5μm〜40μmの厚さ、好ましくは10μm〜40μmの厚さとを有する金属製の導電性導体ストリップを敷設可能であり、導体ストリップ区分は選択的にかつ明確な態様で部分的に互いに重なり合って配置され、またはほぼ完全に互いに重なり合って配置されて、互いに一体的に接合可能であり、また、この発明によれば、敷設ツールを基板に対して動かすことができ、および/または基板位置付け手段の助けを借りて基板を敷設ツールに対して動かすことができ、敷設ツールは、導体ストリップで覆われるべきそれぞれの基板部分と常に垂直に整列される必要がある。
【0064】
装置を用いて導体ストリップ区分を互いに重なり合うよう敷設できるため、前記敷設ツールにより、規定された電気容量を有する回路構成を、簡単でコスト効率のよい態様で、非常に迅速に高精度で生産することができ、前記導体ストリップ区分間には電気絶縁層が配置される。その結果、キャパシタ電極表面としての導体ストリップ区分と、誘電体としての絶縁層とを有するキャパシタを生産することができ、誘電体は規定された厚さを有する。導体ストリップ敷設構造を規定することにより、もしくは敷設プロセスを制御および/または調節することにより、規定された電気容量に精密に到達することができる。なぜなら、このように、導体ストリップ区分の敷設により、互いに重なり合って敷設された導体ストリップ区分の交差表面の数および寸法、ならびに互いに重なり合って敷設されたそれぞれの導体ストリップ区分間の誘電体厚さを規定し、実現することができるためである。
【0065】
敷設ツールを基板に対して動かすことができ、および/または基板位置付け手段の助けを借りて基板を敷設ツールに対して動かすことができるため、導体ストリップの非常に迅速で高精度の敷設が可能となる。このように、導体ストリップは、デカルト座標系の二次元基板上のx方向およびy方向、ならびに、たとえば湾曲または傾斜した三次元基板上のx方向、y方向、およびz方向に敷設可能であり、敷設ツールは、導体ストリップでコーティングされるべき対応する基板区分と常に垂直に整列される。
【0066】
導体ストリップが捩じれることなく回路構成を生産するための装置の敷設ツールに供給可能であるということは、導体ストリップの敷設にとって必須である。
【0067】
有利な一実施例では、敷設ツールは円筒状または円錐状に形成され、少なくともその長さの一部にわたって、導体ストリップを誘導する内部穴を有し、内半径および外半径に連なりその長手方向軸と垂直に配置される環状活性区域を有する。このため、導体ストリップは、捩じれることなく敷設ツールを通され、基板の上、または既に敷設された導体ストリップの上に最適に敷設され、固定されることができる。
【0068】
好ましくは、敷設ツールは、超音波音極と変換器とを含む。超音波は好ましくは、基板の表面と垂直に方向付けられる。前記敷設ツールを用いて、互いに重なり合って配置された導体ストリップ区分間に電気絶縁層を形成する導体ストリップ、焼付けラッカー、または接着剤を加熱し、導体ストリップ区分を互いに対してかつ基板に対して押付けることができるため、導体ストリップ区分を互いにおよび/または基板に一体的にしっかりと接合することができる。規定された電気容量に到達するために、導体ストリップ区分間で絶縁層の厚さを要件に従って調節することができる。
【0069】
導体ストリップコイルは、好ましくは、垂直回転軸を中心として回転可能に搭載されたコイル受部に、水平回転軸を中心として回転可能に搭載されるよう配置されており、コイル受部は、導体ストリップの基板上への敷設中に方向変更する場合、導体ストリップが捩じれることなく導体ストリップコイルから接線方向に引出され得るよう、追跡装置を用いて付加的に回転され得る。
【0070】
別の好ましい実施例では、敷設ツールは圧力ローラである。前記圧力ローラは、焼付けラッカーまたは接着剤を加熱し、導体ストリップ区分を互いに対しておよび/または基板に対して押付けるために、好ましくは加熱可能である。このため、導体ストリップ区分を互いにおよび/または基板に一体的にしっかりと接合することができ、規定された電気容量に到達するために、導体ストリップ間で絶縁層の厚さを要件に従って調節することができる。
【0071】
好ましくは、圧力ローラは、導体ストリップを誘導するための誘導溝を有しており、誘導溝の最大深さは導体ストリップの厚さに対応し、その最小幅は少なくとも導体ストリップの幅に対応している。この方策により、導体ストリップを最適に誘導できることが確実になり、導体ストリップを基板の上に、異なる方向に、また一定の方向変更を行ないながら敷設することができる。
【0072】
有利には、導体ストリップを捩じれることなく供給できることを確実にし、また、捩じれることのない敷設を確実にするために、導体ストリップコイルを敷設ツールとともに動かすことができる。
【0073】
好ましくは、導体ストリップ誘導装置が、導体ストリップコイルと敷設ツールとの間に配置され、それは有利には、弾性的に搭載された、および/または水平方向に可動の撓みローラを含む。前記撓みローラを用いて、導体ストリップは、好ましくは敷設前に圧力ローラの少なくとも半周に沿って誘導され得るような態様で撓められ得る。撓みローラが弾性的に搭載されてはいないものの水平方向に可動である場合、導電ストリップの敷設前に、圧力ローラのラッピングの寸法を設定することができる。この方策により、導体ストリップ、焼付けラッカー、または接着剤の最適な加熱が確実とされ得る。
【0074】
別の好ましい実施例では、導体ストリップ誘導装置は、弾性的に搭載された撓みローラの上下にそれぞれ、垂直方向に固定して搭載された撓みローラを有しており、弾性的に搭載された撓みローラは、弾性力によって、2つの固定して搭載された撓みローラの垂直軸から最大限撓められ得る。その結果、導体ストリップは、捩じれることなく、特に予め張力がかけられるように、最適に敷設ツールに供給可能であり、そのためそれは正確に敷設でき、敷設ツールにしっかりと当接する。
【0075】
好ましくは、装置は、敷設前に導体ストリップに接着剤を塗布するための手段を含む。このように、敷設直前にのみ、接着剤を導体ストリップの一方の側に、厚さが制御された態様で、それぞれ必要とされる厚さ、分布、および品質となるよう塗布することができる。その結果、導体ストリップを接着剤なしで容易に格納し、たとえば導体ストリップコイルから引出すことができるが、必要であれば、コアラッカー層が既に設けられていてもよい。このため、敷設前に導体ストリップが粘着することが排除される。
【0076】
有利な一実施例では、装置は、敷設前に導体ストリップをUV放射にさらすためのUV放射装置を有する。このように、導体ストリップの敷設直前にのみUV放射によって反応励起可能なUV反応性の接着剤でコーティングされた導体ストリップを加工することができる。導体ストリップの両側がUV反応性の接着剤でコーティングされている場合、UV放射装置は好ましくは、導体ストリップの今後の下面でUV反応性の接着剤のみが反応励起され得るように、整列され、または制御可能である。UV反応性の接着剤はまた、たとえば導体ストリップコイルに巻かれた導体ストリップが粘着することなく、導体ストリップの敷設のかなり前に導体ストリップに塗布することができる。
【0077】
絶縁層として接着剤を用いる場合であっても、接着剤は、導体ストリップの敷設直前に導体ストリップに塗布される必要はない。特に、UV反応性および/または圧力反応性の接着剤を用いる場合、この方策は必ずしも必要ではない。なぜなら、それはUV放射または圧力印加によってのみ反応励起されるためである。ある状況下では、導体ストリップが敷設されるまで、熱可塑性および/または熱反応性の接着剤を冷却する必要がある。すなわち、導体ストリップは、それが使用されるまで低温環境で保存される必要がある。また、接着剤を、全く溶融しない、または非常に高温でしか溶融しないコアラッカーと組合せて使用してもよい。すなわち、コアラッカーを導体ストリップに塗布し、焼付けラッカーの代わりに接着剤を使用する。
【0078】
有利には、装置は、敷設された導体ストリップに冷却された空気を供給するための冷却装置を含む。その結果、敷設直後に導体ストリップを冷却することができる。このように、敷設直後に導体ストリップ区分を互いに直ちにしっかりと一体的に接合することができ、そのため、既に敷設された導体ストリップ区分が滑って再度位置ずれする危険なく、導体ストリップを複数のパターンで非常に迅速に基板の上に敷設することができる。その結果、導体ストリップを高い精度で敷設でき、それにより、回路構成の規定された電気容量を高い精度で、すなわち非常に小さい公差で設定できる。
【0079】
この発明の例示的な実施例を、図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1a】ラッカーで絶縁された導体ストリップの第1の実施例を断面図で示す図である。
【図1b】ラッカーで絶縁された導体ストリップの第2の実施例を断面図で示す図である。
【図2】敷設された導体ストリップの第1の実施例を上面図で示す図である。
【図3a】敷設された導体ストリップの第2の実施例を上面図で示す図である。
【図3b】図3aに従った交線IIIb−IIIbに沿った断面図である。
【図3c】図3bの詳細図である。
【図4】敷設された導体ストリップの第3の実施例を断面図で示す図である。
【図5a】敷設された導体ストリップの第4の実施例を上面図で示す図である。
【図5b】敷設された導体ストリップの第5の実施例を上面図で示す図である。
【図6】2つの敷設された導体ストリップを上面図で示す図である。
【図7a】敷設された導体ストリップの第6の実施例を上面図で示す図である。
【図7b】図7aに従った交線VIIb−VIIbに沿った断面図である。
【図8a】敷設された導体ストリップの第7の実施例を上面図で示す図である。
【図8b】図8aに従った交線VIIIb−VIIIBに沿った断面図である。
【図8c】図8bの詳細図である。
【図9】回路構成を上面図で示す図である。
【図10a】回路構成を生産するための第1の装置を第1の側面図で示す図である。
【図10b】回路構成を生産するための第1の装置を第2の側面図で示す図である。
【図11】回路構成を生産するための装置の第2の実施例を示す図である。
【図12】回路構成を生産するための装置の第3の実施例を示す図である。
【図13】圧力ローラの断面図である。
【0081】
すべての図面の同等の構成要素には、同じ参照番号が付与される。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下の図面を参照して、たとえば図2に示す、規定された電気容量を有する回路構成1、ならびに、たとえば図10aに示す、その生産のための方法および装置2の例示的な実施例を、より詳細に説明する。
【0083】
回路構成1は、図2に示す基板Sの上に配置された、図1aおよび図1bに断面図で示す少なくとも1つの金属製の導電性導体ストリップLを含む。図1aの導体ストリップLは、そのすべての側面が、2μmの厚さを有するコアラッカーKLと、その上に配置された2μmの厚さを有する焼付けラッカーBとでコーティングされている。焼付けラッカーBの代わりに、図1bに示すように、接着剤K、たとえば熱可塑性、熱反応性、UV反応性、および/または圧力反応性の接着剤Kでコーティングを提供することも可能である。
【0084】
図1bでは、導体ストリップLは、ここで示す例では1つの側面だけが、2μmの厚さを有するコアラッカーKLと、その上に配置された接着剤Kとでコーティングされている。ここでは、接着剤Kの代わりに、焼付けラッカーBでコーティングを提供することも可能である。すなわち、コアラッカーKLの上に焼付けラッカーBが配置される。双方の図面の導体ストリップLは、銅からなる。コアラッカーKLの層は、たとえばポリウレタンで形成されており、焼付けラッカーBの層は、たとえばポリビニルブチラールで形成されている。
【0085】
このように、図1bの実施例では、図2に示すように導体ストリップ区分LA1、LA2が互いに重なり合って敷設されている場合、導体ストリップ区分LA1、LA2間の誘電体として作用し、コアラッカーKLおよび焼付けラッカーB、またはコアラッカーKLおよび接着剤Kによって形成されている電気絶縁層iSの厚さの減少を実現可能であることが有利である。その結果、互いに重なり合って配置された同じ面積の導体ストリップ区分LA1、LA2に対し、より大きい容量値を実現することができる。
【0086】
図2は、2つの巻回を有する略矩形のコイルを形成する、基板Sの上に敷設された導体ストリップLを、上面図で示す。基板Sの上に導体ストリップLを損傷することなく適正に敷設し、固定することを可能とするために、導体ストリップLは有利には、導体ストリップLによって形成される曲線の半径が導体ストリップの幅の5倍よりも大きくなるように敷設される。
【0087】
矩形の側では、コイル巻線、すなわち第1の導体ストリップ区分LA1および第2の導体ストリップ区分LA2が、互いに重なり合って正確に配置されており、第2の導体ストリップ区分LA2は、第1の導体ストリップ区分LA1の上に位置する。第1のコイル端部S1は、コイル巻線および第2のコイル端部S2に矩形状に交差しており、上方の第2の導体ストリップ区分LA2は各々の場合、下方の第1の導体ストリップ区分LA1の上に各々等しく位置している。
【0088】
下方の第1の導体ストリップ区分LA1の上に位置する第2の導体ストリップ区分LA2は各々、一体接合を形成することにより、下方の第1の導体ストリップ区分LA1に完全にしっかりと接合される。導体ストリップ区分LA1、LA2が互いに重なり合って配置されている領域、すなわちいわゆる積層領域では、規定された容量を有する回路構成1を生産するための方法では、導体ストリップ区分LA1、LA2を互いに接合することを可能とするために、たとえば敷設速度が敷設パラメータとして減少された。
【0089】
この方法における導体ストリップ区分LA1、LA2の接合は、導体ストリップLで焼付けラッカーBまたは接着剤Kを少なくとも部分的に溶融することにより、および、力を印加することによって導体ストリップL同士を押付け合うことにより、行なわれる。UV反応性の接着剤Kを用いる場合、接着剤Kの溶融および/または硬化は、導体ストリップの敷設直前および/または敷設中のUV放射によって支援可能である。
【0090】
図3aおよび図3bは、敷設された導体ストリップLによって形成された矩形のコイルを有する回路構成1を上面図または交線IIIa−IIIaに沿った断面図で示す。回路構成1を生産するための方法では、導体ストリップLは全部で4つの巻回となって互いに重なり合って正確に敷設されたため、互いに重なり合って配置された4つの導体ストリップ区分LA1、LA2、LA3、LA4が得られる。これは小型のコイルをもたらす。図3cは、その対応する詳細図を示す。
【0091】
この例示的な実施例では水溶性である基板Sは、導体ストリップLの敷設後に除去されたため、高い寄生容量と低い電気抵抗とを有する自己支持コイルが生産された。ここに示す例における導体ストリップLは、20μmの厚さと500μmの幅とを有する。そのすべての側面のコアラッカーKLは2μmの厚さを有し、焼付けラッカーBは3μmの厚さを有する。この局面は、コイルを形成する導体ストリップスタックの510μmのスタック幅および120μmのスタック高さをもたらす。
【0092】
図4では、導体ストリップLは、断面において小型で階段形状の回路構成1が実現されるような態様で、横に並び、互いに重なり合った巻回となって敷設されており、形成されたコイルは、たとえばアンテナを形成する。この文脈では、回路構成1を熱可塑性箔に埋込む際、コイルはより良好に箔に押込まれ、コイル端部S1、S2は高い段差の分以上に押込まれないことが有利である。その結果、コイル端部S1、S2が裂ける危険が防止される。
【0093】
図5aおよび図5bは、規定された電気容量に到達するための、またはコイルによって形成された共振回路のパラメータと規定された電気容量とを精密に設定するための、回路構成の生産のための方法の最中での回路構成1の可能な容量訂正の上面図を示す。電気容量または共振回路パラメータを精密に設定できるようにするために、回路構成1の生産における導体ストリップLの敷設の結果形成された回路パターンを、交差する導体ストリップ区分LA1、LA2の交差角度を変更することによって訂正することができる。
【0094】
傾きに関連する値では、回路パターン、すなわち生産すべき回路構成1の交差角度を、現在測定された結果に基づいて対応して規定すること、および/または、導体ストリップLの敷設中に測定結果が変動した場合、それから生じる電気容量または値を測定すること、ならびに、回路構成1の完成直前に精密な交差角度を判断することが可能である。このため、図5bにおける傾斜した交差角度に起因して、導体ストリップ区分LA1、LA2の表面重複は、交差角度が直角である図5aよりも大きい。この局面は、覆われた導体ストリップ区分LA1、LA2によって形成されるキャパシタ表面の増加をもたらし、それにより、図5bに示す回路構成1において電気容量の増加が得られる。
【0095】
図6は、回路構成1の2つの回路素子の可能な容量結合を上面図で示す。異なる導体ストリップ幅を有する回路素子を敷設する場合、まず幅がより広い導体ストリップLbを第1の導体ストリップ区分LA1として敷設し、幅のより狭い導体ストリップLsを第2の導体ストリップ区分LA2として用いて導体ストリップ区分LA1、LA2の重複を生成することが有利である。幅がより広い下方の導体ストリップLb、すなわち導体経路としての第1の導体ストリップ区分LA1は、印刷され、エッチングされ、レーザ切断され、または圧延された導体板または導体箔の一部であってもよい。前記導体板または導体箔の上に、導体ストリップLbが、1層または2層の導体板に加えて敷設されてもよい。
【0096】
図7aおよび図7bは、導体ストリップ区分LA1、LA2の変形Dにより、すなわちある領域または区分長さを平たく押し潰すことにより、互いに重なり合って配置された導体ストリップ区分LA1、LA2の容量を増加させる可能性を、上面図または交線VIIb−VIIbに沿った断面図で示す。
【0097】
規定された容量と非常に小さい公差とを有する回路構成1を生産すべき場合、ならびに、影響因子が、非常に大きい公差、たとえば導体ストリップ区分LA1、LA2間に誘電体を形成する電気絶縁層iSの厚さ、導体ストリップ区分LA1、LA2の幅公差、あるいは、敷設パラメータ(たとえば、敷設中のUV反応性の接着剤KのUV放射の期間および/または強度、敷設中の熱エネルギおよび/または超音波の助けを借りた接着剤Kまたは焼付けラッカーBの加熱プロセスの期間および/または加熱温度の高さ、および/または導体ストリップ区分LA1、LA2が互いに押付けられる際の圧力の期間および/またはレベル)における公差を有し、そのため回路構成1の規定された電気容量に確実に到達することができない場合、導体ストリップLは、容量値が当初は低過ぎるように敷設される。
【0098】
容量値の測定に続き、導体ストリップLの敷設後、規定された電気容量に到達するように、十分な数の導体ストリップ区分LA1、LA2が次に、測定された容量値と到達すべき規定容量との判断された差に従って、たとえば加熱されていないプランジャ(ここにより詳細に図示せず)の助けを借りて変形される。
【0099】
要求される圧力印加は、たとえば事前に検査で判断することができる。別の実施例では、規定された電気容量に徐々に近づくことができるよう、たとえば対応して行なわれた変形Dの後で容量値を新たに判断することができる。この変形により、導体ストリップ区分LA1、LA2の幅は、導体ストリップLおよび電気絶縁層iSの塑性変形によって増加し、そのためキャパシタ表面が拡大される。
【0100】
誘電体を形成する電気絶縁層iSの厚さは、ここでほんの少しだけ減少される。変形Dは周囲温度で行なわれることが好ましい。導体ストリップ区分LA1、LA2の延長を防止するために、プランジャに、非常に平坦な型押し、たとえば導体ストリップLの敷設方向を横切って延在する襞を設けることが好ましい。
【0101】
図8a〜図8cは、図7に示すものと同様の回路構成を、上面図、断面図、および詳細図で示す。ここでも、導体ストリップLの敷設後の容量訂正が示されている。ここに示す例示的な実施例では、これは、互いに重なり合って配置された導体ストリップ区分LA1、LA2間に誘電体を形成する電気絶縁層iSの厚さを減少させることによって行なわれる。
【0102】
必要であれば加熱されたプランジャを導体ストリップLの異なる領域に押付けることにより、または、焼付けラッカーBまたは接着剤のKの軟化温度より高いもののコアラッカーKLの軟化温度または損傷温度より低い温度で数個の加熱されたプランジャを同時に使用することにより、容量は、導体ストリップ区分LA1、LA2間の軟化した焼付けラッカーまたは接着剤Kを部分的に押出すことによって増加する。なぜなら、導体ストリップ区分LA1、LA2間に誘電体を形成する電気絶縁層iSの厚さが減少し、それにより、前記領域において減少した厚さrDが得られるためである。
【0103】
ここでも、要求される圧力パラメータはたとえば、比較値を得るために事前に検査で試験することができる。または、規定容量に精密に到達できるよう、電気絶縁層iSの厚さの減少を徐々に行なうことができ、容量値はそれぞれ、その後測定される。
【0104】
交線VIIIb−VIIIbに沿った図8b、または図8cの断面図において、軟化した焼付けラッカーBまたは接着剤Kを絞り出した結果おこる変化を、より詳細に示す。コイルの右手側は、変化しないままである。導体ストリップLは20μmの厚さを有する。各導体ストリップ区分LA1、LA2のすべての側面におけるコアラッカーKLでのコーティングは、2μmの厚さを有する。押付けられていない、コイルの右手側の導体ストリップ区分LA1、LA2では、各導体ストリップ区分LA1、LA2のすべての側面における焼付けラッカーBは、4μmの厚さを有する。この局面は、導体ストリップ区分LA1、LA2間で誘電体として作用する電気絶縁層iSの12μmの厚さをもたらす。
【0105】
左手側では、2つの導体ストリップ区分LA1、LA2が、熱エネルギおよび/または超音波の助けを借りた加熱と、圧力印加による焼付けラッカーBの絞り出しとによってともに押付けられており、そのため、各導体ストリップ区分LA1、LA2について、導体ストリップ区分LA1、LA2間の焼付けラッカー層が2μmに減少している。この局面は、導体ストリップ区分LA1、LA2間で誘電体として作用する電気絶縁層iSが8μmの減少した厚さrDへと4μm減少することをもたらし、それにより、回路構成1の容量値が増加する。
【0106】
回路構成1の別の可能な容量訂正を図9に示す。この例では、敷設されたコイルが示されており、その延長された端部は、敷設された回路との多数の交差を形成し、それにより付加的な部分容量TKを生成している。前記部分容量TKは、打抜き、レーザ切断、またはマイクロサンドブラスト加工によって回路構成1から選択的に分離可能であり、それにより、回路構成1の容量値が減少する。
【0107】
このため、この方法のこの実施例では、導体ストリップLは、最初に、規定された電気容量よりも大きい容量値が得られるような態様で敷設される。回路構成1の敷設および容量測定の後、部分容量TKを分離して規定された電気容量に到達するために、導体ストリップLを分離する必要がある分離点Tが、測定された容量値と規定された電気容量との差から判断される。
【0108】
ここでも、回路構成1の規定された電気容量を徐々に設定するために、たとえば部分容量TKを徐々に分離し、次に回路構成1の容量値を各々比較することができる。図示された例では、このようにして、回路構成1に集積されている、たとえば半導体チップといったモジュール3のモジュール容量から、コイルの寄生容量から、およびコイルインダクタンスから生じる共振周波数を、非常に高い精度で設定することができる。
【0109】
回路構成1のこの容量適合の可能性は必要である。なぜなら、半導体チップの容量公差は原則として比較的大きく、このため、精密に生産されたコイルだけでは、満足いくレベルの共振周波数を確実にしないためである。図示された例における導体ストリップLの敷設によって形成されたコイルは、プラスチック、たとえばポリ塩化ビニルの基板Sの上に敷設される。モジュール3は半導体チップであり、その端子は、たとえば熱圧着溶接によって導体ストリップLに溶接される。
【0110】
導体ストリップLの敷設にとって、回路構成1を生産するための装置2の敷設ツール4に導体ストリップLが捩じれることなく供給されることは、必須である。これは、図10aおよび図10bに示す導体コイル6用の懸架装置5によって実現され、導体ストリップコイル6を水平方向に収納するコイル受部7が、垂直軸を中心として回転可能に搭載されている。追跡装置(図示せず)により、コイル受部7、ひいては導体ストリップコイル6は、基板Sの上に生産すべき回路構成1に従って、導体ストリップLの表面が常に敷設ツール4の進行方向を指すよう、水平面において回転される。
【0111】
図10aおよび図10bは、移動方向が異なる2つの状況を示す。特に、コイルタイプのまたは同芯の回路パターンの敷設では、導体ストリップLを捩じれることなく敷設することを可能とするために、コイル受部7または導体ストリップコイル6は絶対必要である。基板位置付け手段8を、概略的にのみ図示する。敷設ツール4を基板Sに対して動かすことにより、および/または基板位置付け手段8によって基板Sを敷設ツール4に対して動かすことにより、導体ストリップLを基板Sの上に敷設することが可能である。
【0112】
図示された敷設ツール4は円筒状または円錐状に形成され、少なくともその長さの一部にわたって、導体ストリップLを誘導する内部穴9を有し、内半径および外半径に連なりその長手方向軸と垂直に配置される環状活性区域10を有する。その結果、導体ストリップLは、捩じれることなく敷設ツール4を通され、基板Sの上、または既に敷設された導体ストリップLの上に最適に敷設され、固定されることが可能である。
【0113】
好ましくは、敷設ツール4は、超音波音極と変換器とを含む。超音波は好ましくは、基板Sの表面と垂直に方向付けられる。敷設ツール4は常に、導体ストリップLで覆われるべき対応する基板部分と垂直に整列されている。互いに重なり合って配置された導体ストリップ区分LA1、LA2間に電気絶縁層iSを形成する導体ストリップL、焼付けラッカーB、または接着剤Kを、前記敷設ツール4の助けを借りて加熱し、導体ストリップ区分LA1、LA2を互いに対してかつ基板に対して押付けることができるため、導体ストリップ区分LA1、LA2を互いにおよび/または基板Sに一体的にしっかりと接合することができる。規定された電気容量に到達するために、導体ストリップ区分LA1、LA2間で絶縁層iSの厚さを要件に従って調節することができる。
【0114】
図11は、回路構成1を生産するための装置2の別の実施例を示しており、それは導体ストリップ誘導装置11を含む。導体ストリップ誘導装置11は、導体ストリップ走行方向において上下にしっかりと配置された2つの撓みローラ12と、ばね軸受13を介して最大調節可能位置まで水平方向に撓めることができ、ばね軸受13に固定されてこのため可動に搭載された1つの撓みローラ14とで形成されている。この局面は、導体ストリップLのさらなる敷設中に導体ストリップの流れを止めることによって導体ストリップLに生じた増加した張力が、可動の撓みローラ14をばね軸受13に押付け、ひいては追加の導体ストリップLを敷設用に放出するような態様での導体ストリップの格納をもたらす。
【0115】
また、装置2のこの実施例では、型押し装置(より詳細に図示せず)を配置することも可能であり、それは出願人の未公開の出願DE 10 2009 012 255.9−33に既に開示されており、それを引用によりここに援用する。そのような型押し装置を用いて、パターン化された型押しを、導体ストリップLの敷設前に導体ストリップLに印刷することができる。型押しプロセスにより、導体ストリップLはまもなく停止し、それにより、生じた増加した張力が可動の撓みローラ14をばね軸受13に押付け、このため追加の導体ストリップLが敷設用に放出される。導体ストリップLが再度トレース可能な場合、ばね軸受13は、減衰した態様の可動撓みローラ14とともに、調節可能な最大撓み位置へと摺動して戻る。
【0116】
図12は、回路構成1を生産するための装置2の別の実施例を、概略側面図で示す。まだコーティングされていない導体ストリップLを、敷設中に導体ストリップコイル6から引出すことができる。ここに示す装置2は、敷設前に導体ストリップLに接着剤Kを塗布するための手段15を含む。この方策により、導体ストリップLのたとえば一方の側面に、液体反応性の接着剤Kをコーティングすることができる。
【0117】
接着剤Kはたとえば、不透明で冷却されたカートリッジから間隙を横切って、マイクロノズルまたは塗布ローラを介して、通り過ぎる導体ストリップLに塗布され得る。別の実施例(ここにより詳細に図示せず)では、導体ストリップLはたとえば、接着剤Kで既にコーティングされており、敷設されるまで冷凍環境で冷却される。別の実施例では、導体ストリップLは、非粘着性のコーティングがその上に配置された接着剤Kで既にコーティングされている。前記非粘着性のコーティングは、導体ストリップLを導体ストリップコイル6から引出した際に接着剤Kから除去することができる。
【0118】
次に、導体ストリップLは、弾性的に搭載された、および/または水平方向に可動の撓みローラ14を横切って誘導される。撓みローラ14が弾性的に搭載されてはいないものの水平方向に可動である場合、導電ストリップLの敷設前に、この実施例では敷設ツール4を表わす次の加熱された圧力ローラのラッピングの寸法を設定することができる。その結果、接着反応を開始するための導体ストリップL、焼付けラッカーB、または接着剤Kの最適な加熱が、接着剤の種類および敷設速度の関数として常に確実とされる。
【0119】
また、ここに示すような装置2は、接着剤Kの結合反応を加速するために、敷設直前に導体ストリップLをUV放射にさらすためのUV放射装置16を含んでいてもよい。有利には、装置2は、敷設された導体ストリップLに冷却された空気を供給するための冷却装置17をさらに含む。このため、接着剤Kの反応熱を放出し、高い敷設効率を確実にすることが可能である。なぜなら、既に敷設された導体ストリップLの剥離の危険なく、導体ストリップLを非常に迅速に敷設することが可能であるためである。
【0120】
力Fが、装置2に対し、基板Sと垂直に作用し、そのため、導体ストリップLは、必要であれば接着剤Kでコーティングされて、回路構成1を生産するための方法において導体ストリップコイル6から引出され、圧力ローラとして形成されている敷設ツール4に沿って誘導され、それにより加熱され、接着剤Kは必要であればUV放射によって反応励起される。次に、装置2への力の印加により、導体ストリップLは、敷設ツール4、すなわち圧力ローラの助けを借りて、基板Sまたは既に敷設された導体ストリップLに押付けられ、接着剤Kまたは焼付けラッカーBが、基板Sまたは既に敷設された導体ストリップLに一体的に接合される。このため、導体ストリップLは、基板の上に、または既に敷設された導体ストリップLの上にしっかりと配置される。
【0121】
図13に示すように、圧力ローラとして構成されている敷設ツール4は、その外周に誘導溝18を有しており、それは導体ストリップLを誘導するための小さい溝状の窪みとして形成されている。誘導溝18の深さは好ましくは、まだ接着剤Kでコーティングされていない導体ストリップLの厚さの半分、たとえば20μmである。誘導溝18は、回路パターンの半径内で導体ストリップLを誘導する役割を果たし、それにより、敷設すべき導体ストリップLは強制的に必要な方向変更を受けさせられる。
【符号の説明】
【0122】
参照番号のリスト
1 回路構成、2 装置、3 モジュール、4 敷設ツール、5 懸架装置、6 導体ストリップコイル、7 コイル受部、8 基板位置付け手段、9 内部穴、10 活性区域、11 導体ストリップ誘導装置、12 固定撓みローラ、13 ばね軸受、14 可動撓みローラ、15 接着剤を塗布するための手段、16 UV放射装置、17 冷却装置、18 誘導溝、B 焼付けラッカー、D 変形、F 力、iS 電気絶縁層、K 接着剤、C コアラッカー、L 導体ストリップ、LA1、LA2、LA3、LA4 導体ストリップ区分、Lb 幅の広い導体ストリップ、Ls 幅の狭い導体ストリップ、rD 減少した厚さ、S 基板、S1、S2 コイル端部、T 分離点、TK 部分容量。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定された電気容量を有する回路構成(1)を生産するための方法であって、少なくとも1つの金属製の導電性導体ストリップ(L、Lb、Ls)が基板(S)の少なくとも1つの表面側に敷設され、少なくとも1つの第1の導体ストリップ区分(LA1)が基板(S)の上に敷設され、少なくとも1つの第2の導体ストリップ区分(LA2、LA3、LA4)が第1の導体ストリップ区分(LA1)の上に少なくとも部分的に敷設され、電気絶縁層(iS)が導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)間に配置されて誘電体を形成し、
100μm〜1000μmの幅と5μm〜40μmの厚さとを有する導体ストリップ(L、Lb、Ls)が敷設され、導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)は選択的にかつ明確な態様で部分的に互いに重なり合って配置され、またはほぼ完全に互いに重なり合って配置されて、互いに一体的に接合されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
導体ストリップ(L、Lb、Ls)の敷設前に、電気絶縁層(iS)が、少なくとも1つの導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)の少なくとも1つの表面側に、および/または第2の導体ストリップ区分(LA2、LA3、LA4)で覆われるべき基板(S)の領域に施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電気絶縁層(iS)は、第1の導体ストリップ区分(LA1)の上への第2の導体ストリップ区分(LA2、LA3、LA4)の敷設直前および/または敷設中に、熱エネルギ、超音波、UV放射、および/または圧力の助けを借りて、加熱され、少なくとも部分的に溶融され、および/または反応励起されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第2の導体ストリップ区分(LA2、LA3、LA4)は、規定された力(F)で第1の導体ストリップ区分(LA1)に押付けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)は、それらが少なくとも2つの巻回を有するコイルを形成するような態様で互いに重なり合って敷設されており、互いに対して絶縁され、互いに重なり合って配置されたコイルの導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)は、規定された電気容量と、規定されたインダクタンスと、規定された共振周波数とを有する共振回路を形成していることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
敷設中および/または敷設後に、電気容量が判断されることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
敷設パラメータは、到達すべき規定された電気容量の関数として敷設前に規定され、および/または、到達すべき規定された電気容量の関数として敷設中に制御および/または調節されることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
規定され、制御され、および/または調節されるべき敷設パラメータは、敷設方向、敷設速度、敷設された導体ストリップ(L、Lb、Ls)の長さ、UV放射の期間および/または強度、熱エネルギおよび/または超音波の助けを借りた加熱の期間および/または加熱温度のレベル、および/または、圧力の期間および/またはレベルであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
導体ストリップ(L、Lb、Ls)は、規定された電気容量が規定された公差範囲内でアンダーシュートされるよう敷設されており、熱エネルギおよび/または超音波による加熱プロセスと、少なくとも2つの導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)が互いに重なり合って敷設された領域のうちの少なくとも1つに対する圧力印加とを次に行なうことにより、導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)間の電気絶縁層(iS)の厚さが、導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)間の焼付けラッカー(B)または接着剤(K)を少なくとも部分的に溶融し、絞り出すことによって、規定された電気容量に到達する程度まで減少することを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
導体ストリップ(L、Lb、Ls)は、規定された電気容量が規定された公差範囲内でオーバーシュートされるよう敷設されており、互いに重なり合って配置された複数の導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)が基板(S)の上に横に並んで形成され、次に、互いに重なり合って配置された規定された数の導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)が、導体ストリップ(L、Lb、Ls)を切断することによって回路構成(1)から分離され、そのため規定された電気容量に到達することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法によって生産された、規定された電気容量を有する回路構成(1)であって、少なくとも1つの金属製の導電性導体ストリップ(L、Lb、Ls)を有する基板(S)を含み、少なくとも1つの第1の導体ストリップ区分(LA1)が基板(S)の上に配置され、少なくとも1つの第2の導体ストリップ区分(LA2、LA3、LA4)が第1の導体ストリップ区分(LA1)の上に少なくとも部分的に配置され、電気絶縁層(iS)が導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)間に配置されて誘電体を形成し、
導体ストリップ(L、Lb、Ls)は100μm〜1000μmの幅と5μm〜40μmの厚さとを有し、導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)は選択的にかつ明確な態様で部分的に互いに重なり合って配置され、またはほぼ完全に互いに重なり合って配置されて、互いに一体的に接合されることを特徴とする、回路構成(1)。
【請求項12】
導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)は、少なくとも2つの巻回を有するコイルを形成しており、互いに対して絶縁され、互いに重なり合って配置されたコイルの導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)は、規定された電気容量と、規定されたインダクタンスと、規定された共振周波数とを有する共振回路を形成していることを特徴とする、請求項11に記載の回路構成(1)。
【請求項13】
請求項11または12に記載の規定された電気容量を有する回路構成(1)を生産し、請求項1〜10のいずれかに記載の方法を行なうための装置(2)であって、敷設ツール(4)と、導体ストリップコイル(6)と、基板位置付け手段(8)とを含み、少なくとも1つの第1の導体ストリップ区分(LA1)を基板(S)の上に敷設可能であり、少なくとも1つの第2の導体ストリップ区分(LA2、LA3、LA4)を、電気絶縁層(iS)が導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)間に配置されて誘電体を形成するよう、第1の導体ストリップ区分(LA1)の上に少なくとも部分的に配置可能であり、
100μm〜1000μmの幅と5μm〜40μmの厚さとを有する金属製の導電性導体ストリップ(L、Lb、Ls)を敷設可能であり、導体ストリップ区分(LA1、LA2、LA3、LA4)は選択的にかつ明確な態様で部分的に互いに重なり合って配置され、またはほぼ完全に互いに重なり合って配置されて、互いに一体的に接合可能であり、敷設ツール(4)を基板(S)に対して動かすことができ、および/または基板位置付け手段(8)によって基板(S)を敷設ツール(4)に対して動かすことができ、敷設ツール(4)は、導体ストリップ(L、Lb、Ls)で覆われるべき対応する基板区分と常に垂直に整列可能である、装置(2)。
【請求項14】
導体ストリップコイル(6)は、垂直回転軸を中心として回転可能に搭載されたコイル受部(7)に、水平回転軸を中心として回転可能に搭載されるよう配置されており、コイル受部(7)は、導体ストリップ(L、Lb、Ls)の基板(S)上への敷設中に方向変更する場合、導体ストリップ(L、Lb、Ls)が捩じれることなく導体ストリップコイル(6)から接線方向に引出され得るよう、追跡装置によって付加的に回転され得ることを特徴とする、請求項13に記載の装置(2)。
【請求項15】
敷設ツール(4)は圧力ローラであり、もしくは、敷設ツール(4)は円筒状または円錐状に形成され、少なくともその長さの一部にわたって、導体ストリップ(L、Lb、Ls)を誘導する内部穴(9)を有し、内半径および外半径に連なりその長手方向軸と垂直に配置される環状活性区域(10)を有することを特徴とする、請求項13または14に記載の装置(2)。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−504799(P2013−504799A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528318(P2012−528318)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062785
【国際公開番号】WO2011/029757
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(508079692)
【Fターム(参考)】