説明

視聴者主導型番組編成方法

【課題】
従来の放送は、視聴者の要望に対処した放送とは言えず、あくまでも放送局の意図に則った放送しかできないという欠点がある。
【解決手段】
ユーザが持つ通信端末とテレビ放送局に備えられた番組自動生成システムは、双方向データ通信回線あるいはインターネット回線を経由して接続自在であること、前記番組自動生成システムでは、前記ユーザが持つ通信端末からのリクエストに基づき、放送局側に備えた番組素材データベースから前記リクエストを満たす素材を選択し組み合わせて番組を自動生成すること、 放送装置は前記番組を視聴するための放送波を送信アンテナから微弱電波によって送信し、前記送信アンテナ近傍の視聴者に対して番組を提供すること、を特徴とする、視聴者主導型番組編成方式。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送エリアを限定した上で、視聴者からの指示によって放送内容が決定されるワンセグ放送手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラジオ、テレビ番組を含めて、視聴者のリクエストに基づいて番組を構成する所謂リクエスト番組と称されるものは多数ある。このようなリクエスト番組は、視聴者から寄せられたハガキ、電話、FAX等を基に構成すると共にリクエスト曲に対する簡単な想い出等も紹介することがある。
【0003】
しかしこういったリクエストによる番組作りでは、採用されるリクエストは極一部であり、多様な視聴者の希望を満たすためには膨大な放送時間が必要であるから、多くの視聴者が希望する内容で放送することは極めて難しかった。
【0004】
視聴者の希望に添った放送をするための手段として、特許文献1に示すように、視聴者個人の好みに応じて、リクエスト番組において放送する曲や曲紹介等の語りの部分、及びBSデジタルラジオ放送に於いては、画像も含めて番組構成のすべてを視聴者が制作し、これを放送局は原則としてそのまま放送するといった手段が提案されている。
【0005】
また一方、多数の視聴者に有益な情報を放送する手段として、特許文献2に示すように、ワンセグ放送波を送信機から送信する際に、放送免許を必要としない程度の微弱電波にすることによって、ある一つのコンテンツを受信できるエリアを絞り込み、利用者を限定することで、地域性の高い放送をする提案が為されている。
【0006】
これは、気象情報や交通情報や災害情報などの特異情報を格納し蓄積した情報源システムを参照し、映像コンテンツ作成装置と字幕コンテンツ作成装置と音声コンテンツ作成装置とデータ放送作成装置により、自動でワンセグ・データ放送を作成し送信するワンセグ放送コンテンツ自動生成装置であり、特に気象情報、道路の通行止め情報、災害情報などに関して、局所的に、さらに即時性に優れた情報伝達を可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−164862号公報
【特許文献2】特開2009−147476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、例えば前記のように視聴者が番組を制作し、放送局がそれを放送するという手段では、該番組を制作した視聴者のみが希望を満たされることになり、多くの利用者にとって、これが最善の放送内容にはならないという欠点がある。
【0009】
また、前記のような、微弱電波を使ったワンセグによる防災情報等の放送は、確かに現地の人には有益である可能性はあるが、本当に視聴者がそれを欲しているかどうかはわからないため、視聴者の要望に対処した放送とは言えず、あくまでも放送システムの設計者や管理者の意図に則った動作しかできないという欠点がある。
【0010】
本発明は斯かる点に鑑みて提供されるものであって、通信路を介して利用者の指示を受け取り、微弱電波で放送波を送信するワンセグ放送システムを用いることによって利用者あるいは利用エリアを限定し、該利用者が欲する情報を前記指示に則ってワンセグ放送の形態で提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は次のような手段をとる。
つまり、本発明は、
ユーザが持つ通信端末とテレビ放送局に備えられた番組自動生成システムは、双方向データ通信回線あるいはインターネット回線を経由して接続自在であること、
前記番組自動生成システムでは、前記ユーザが持つ通信端末からのリクエストに基づき、放送局側に備えた番組素材データベースから前記リクエストを満たす素材を選択し組み合わせて番組を自動生成すること、
放送装置は前記番組を視聴するための放送波を送信アンテナから微弱電波によって送信し、前記送信アンテナ近傍の視聴者に対して番組を提供すること、
を特徴とする、視聴者主導型番組編成方式である。
【0012】
また本発明は、前記視聴者主導型番組編成方式において、
ユーザが持つ通信端末からのリクエストに代えて、インターネット検索サイトにおける人気上位検索キーワードを用いることを特徴とする視聴者主導型番組編成方式である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、放送事業者が決めた内容の放送を視聴者が受信して受信機付き携帯端末などで閲覧するのではなく、見たい番組内容に関して視聴者が自ら指示を出し、選択し、これを視聴することが可能になる。さらに、該放送の放送波送信形態として微弱電波を用いるため、対象エリアを小さく限定することが出来、多数の視聴者それぞれに対して指示に応えることが可能なシステムを構築することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】利用者から放送局に指示を出す経路を有する放送システムを示した図である。
【図2】検索サイトの統計を用いる放送システムを示した図である。
【図3】番組作成装置の構成を示した図である。
【図4】視聴者のリクエストの一例と対応する放送内容の一例を示した図である。
【図5】番組作成メニューに則って放送内容のリクエストをする一例を示した図である。
【図6】視聴者主導型番組編成方式の第1の処理フローチャートを示した図である。
【図7】視聴者主導型番組編成方式の第2の処理フローチャートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0015】
本発明の好適な実施の形態に関して、図を参照して説明する。図1は本発明の主旨であるところのワンセグ視聴者が番組作成装置に番組リクエストを送信できるシステムを示したものである。
【0016】
番組作成装置101はインターネットや双方向にデータをやり取り出来るデータ放送網や無線伝搬路、あるいは電話回線網などの任意のネットワーク103を介して放送装置105に番組データを伝送し、該放送装置105は微弱電波を用いて視聴者が利用する受信端末107に放送波を送信する。
【0017】
前記番組データとは、放送する番組の信号であり、放送装置105はこれを受信したら変調し、RF送出部からRF信号を送出するのみである。また、受信端末107と番組作成装置101は前記任意のネットワークを介して接続されており、視聴者は該番組作成装置101に番組内容に関するリクエストを送信することができる。
【0018】
また、番組作成装置101が番組を作成する指針を前記視聴者からのリクエストによる方法以外にも、図2に示す方法も提案する。つまりこれは、視聴者からのリクエストによるものではなく、インターネット検索サイトの集計サーバ201が報告する検索ワード上位のキーワードを含む番組を作成するものであり、視聴者からのリクエストを元に作成する番組に比べて、より広域な視聴者を対象にすることが出来る。
【0019】
前記番組作成装置101は図3のような構成であり、視聴者のリクエストに応じた番組を作成する番組作成部301、該番組を送信する番組送信部303、前記番組作成部301が番組を作成するにあたって用いる番組素材が格納されているデータサーバ305から成る。
【0020】
図4は利用形態の一例を示した図で、視聴者401が番組作成装置101に対して発したリクエストの一例と、対応する放送内容の一例を示したものである。リクエストの方法として、携帯端末403が有するGPSの測位情報と、文字入力手段を用いている。放送は該携帯端末403など、ワンセグ受信機を有する表示装置によって視聴する。
【0021】
例えば災害現場においてGPSの測位情報とキーワード「通行止め」をリクエストすると、放送内容は該災害現場付近の道路交通情報になる。また、社会的に注目されているスポーツの試合時刻においてキーワード「サッカー」「日本」とリクエストすると、日本戦の試合経過が放送される。また、人気店舗付近においてGPSの測位情報とキーワード「クチコミ」「クーポン」とリクエストすると、付近の店舗のクチコミランキングやクーポン発行情報が放送される。また、コンサート会場においてキーワード「演奏者名」「グッズ」とリクエストすると、該コンサートの演奏者名やグッズ販売店の販売リストが放送される。
【0022】
さらに、リクエストの手段としては、前記のようなキーワード入力によらず、図5に示すように、番組素材メニューを双方向データ放送として、あるいはインターネット回線を利用して番組作成装置101が視聴者に提示し、視聴者が該メニューに従って番組を構成していく方法も提案する。同図は視聴者が道路交通情報を欲している場合の例である。
【0023】
図6は上記の視聴者主導型による番組編成方式の処理内容を示したフローチャートである。視聴者が現在の放送内容と異なる放送を欲した場合には(S601)、携帯端末107などから希望する番組内容を示すキーワードを入力する(S603)。
【0024】
双方向データ通信回線やインターネットなどの任意のネットワークによって前記キーワードが番組作成装置101に伝送され、該キーワードを示す番組素材をデータベースであるところのデータサーバ305から検索し(S605)、該当する番組素材を組み合わせて(S607)、番組送信部303から放送信号を送信し(S609)、該放送信号を任意の伝送路103を介して受信した放送装置105は微弱電波によって放送波を発し(S611)、視聴者は携帯端末107などで該放送波をワンセグ受信機により視聴する(S613)。
【0025】
また、前記のような他の実施の形態であるところの検索サイトを用いた放送に関するフローチャートを図7に示す。この場合には、視聴者が希望する放送内容のキーワードを入力するのではなく、インターネット検索サイトの集計サーバから、人気の検索キーワードを引用する手段である。
【0026】
まず番組作成装置101はインターネット検索サイトの集計サーバから、人気の検索キーワードを取得する(S701)。次に該検索キーワードを示す番組素材をデータベースであるところのデータサーバ305から検索する(S605)。以下、図6で説明した処理手順と同様である。
【0027】
上記のように、本発明は、視聴者からの指示、あるいはインターネット検索サイトの検索ランキング上位といった、特定の人、あるいは大勢の人が興味を持っている内容に沿って、番組素材データサーバ305の内容を番組作成部301が組み合わせて番組送信部303から送信することによって、視聴者が欲する番組を視聴可能にするものである。そして、放送装置105が送信する放送波は微弱電波であるから、放送エリアを限定することが可能であり、視聴対象が前記特定の人であっても大勢の人であっても対応することができる。
【0028】
なお、本発明において、番組作成部301が番組素材を組み合わせる際の、組み合わせ方法や組み合わせる順番に関しては、これをなんら限定するものではない。
【0029】
また、視聴者がリクエストを入力する手段に関しては、受信端末が実装するキーボードから入力する方法や、事前に登録したりなど、複数の方法がありうるが、本発明はこれをなんら限定するものではない。
【0030】
また、微弱電波を送信する放送装置105は番組作成装置101が特定するのであるが、特定方法としては、リクエストを送出した受信端末107の位置を同端末が装備するGPS測位装置が測位し、リクエスト情報と前記測位情報を組み合わせる方法や、利用者が位置を直接入力する方法などが考えられる。しかし本発明は、このような放送装置105の特定方法についてはなんら限定するものではない。
【符号の説明】
【0031】
101…番組作成装置
103…ネットワーク
105…放送装置
107…受信端末
201…インターネット検索サイトの集計サーバ
301…番組作成部
303…番組送信部
305…データサーバ
401…視聴者
403…携帯端末



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが持つ通信端末とテレビ放送局に備えられた番組自動生成システムは、双方向データ通信回線あるいはインターネット回線を経由して接続自在であること、
前記番組自動生成システムでは、前記ユーザが持つ通信端末からのリクエストに基づき、放送局側に備えた番組素材データベースから前記リクエストを満たす素材を選択し組み合わせて番組を自動生成すること、
放送装置は前記番組を視聴するための放送波を送信アンテナから微弱電波によって送信し、前記送信アンテナ近傍の視聴者に対して番組を提供すること、
を特徴とする、視聴者主導型番組編成方式。
【請求項2】
請求項1に記載の視聴者主導型番組編成方式において、
ユーザが持つ通信端末からのリクエストに代えて、インターネット検索サイトにおける人気上位検索キーワードを用いることを特徴とする視聴者主導型番組編成方式。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−39253(P2012−39253A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175612(P2010−175612)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】