説明

視野角依存性の外観をもつセキュリティエレメント

本発明は、特定の視角では透明に見えて、下にある情報に視覚的にアクセスできるが、他の角度では不明瞭なままである、コーティング層をもつセキュリティエレメントを開示する。前記セキュリティエレメントを含む有価証券、権利書、身分証明書、セキュリティラベルまたはブランド品の書類、並びに前記セキュリティエレメントの製造法も開示する。好適な支持体表面を使用して、光学的に可変で、また角度依存性の視覚効果を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、機密文書(security document)の分野、特に複製(違法複製)及び偽造に対して機密文書を保護することを目的とするセキュリティエレメント:security element)の分野に関する。本発明は、特定の視角では透明に見えて、下にある情報に視覚的にアクセスできるが、他の角度では不明瞭なままである、コーティング層をもつセキュリティエレメントを開示する。前記セキュリティエレメントを含む機密文書、並びに前記セキュリティエレメントの製造法も開示する。好適な支持体表面と組み合わせて、光学的に可変で、また角度依存性の視覚効果を実現することができる。
【0002】
視角依存性の外観(viewing-angle-dependant visual appearance)(光学的変化素子:optically variable device:OVD)を示すコーティング、印刷物及びマークが紙幣及び機密文書で有効なコピー防止手段として使用されている(たとえば、“Optical Document Security”、R.L.van Renesse編;第2版、1998年、Artech House、ロンドン)。OVDの中でも、光学的変化インキ(optically variable ink:OVI(登録商標)、欧州特許出願第EP-A-0 227 424号)は、これが1987年に紙幣の裏面で最初に使用されて以来、顕在(はっきり見える:overt)セキュリティエレメントとして極めて傑出した地位を有する。光学的変化インキは、光学的変化顔料(optically variable pigment:OVP)、好ましくは米国特許第4,434,010号、同第5,084,351号、同第5,171,363号、欧州特許出願第EP-A-0 227 423号及び関連する文書に開示された薄層光学干渉デバイスのフレークをベースに配合されている。
【0003】
機密文書上に印刷された光学的変化エレメントは、エレメントのスペクトル反射特性、即ち、二つ以上の異なる視角、少なくとも直角に近い角度と文書平面に対してグレージングに近い角度におけるその色をユーザーがチェックすることによって、ヒトの肉眼によって機密文書を「はっきりと」認証するために主に使用されてきた。前記角度依存性の色は、「本物であるという簡単なメッセージ:simple message of authenticity」であり、これは正真正銘の光学的可変セキュリティエレメントの供給元を利用する方法を持たずには複製することができず、且つ「世間一般の人」によって簡単にチェックすることができる。
【0004】
主に装飾的用途に関して、非-セキュリティ特殊顔料(color-shifting pigment)の商業的利用可能性が高まり、「次世代」紙幣及び他の保護文書で使用するための、改良型「顕在」セキュリティエレメントの開発が求められている。そのような改良型セキュリティエレメントは、中でも以下の要求条件と適合しなければならない:
(i)「世間一般の人」によって迅速且つ容易に認証できる「本物であるという簡単なメッセージ」を保持すべきである;
(ii)正真正銘の特定のセキュリティ材料及び/または必要な特性の製造またはセキュリティ印刷技術を利用する方法を持たずには複製することができない;
(iii)装飾的な市場から、または別の大きな工業的用途分野からの商業的圧力のもとであるべきではない。
【0005】
米国特許第3,676,273号;同第3,791,864号;欧州特許第EP-B-0 406 667号;同第EP-B-0 556 449B1号;欧州特許出願第EP-A-0 710 508号及びPCT国際特許出願国際公開第WO02/90002号並びに同時継続出願PCT/EP2004/007028号では、組成物が乾燥(硬化)する前に新たに印刷した光学的変化コーティング組成物の中の顔料フレークに特定の配向を与えるために使用し得る方法及びデバイスを開示する。そのような方法では、極めて偽造されにくい磁気的に誘導させたパターンを作ることができる。当該セキュリティエレメントは、光学変化磁気顔料または対応するインキの供給元と、前記インキを印刷し、印刷したインキ内で前記顔料を配向させるために使用する特別な技術との両方を利用することによってのみ製造することができる。他方、印刷されたインキ内で光学変化顔料の磁気配向によって得られた視覚的パターンは、「世間一般の人」によって容易に認証且つ確認される。
【0006】
本発明は、次世代の紙幣及び他の保護文書のための改良型「顕在」コピー防止セキュリティエレメントを提供する上記の技術的な問題に対し別の解決策を開示する。本発明に従った有価証券、権利書、身分証明書、セキュリティラベルまたはブランド品の書類のためのセキュリティエレメントは、その表面の中に若しくはその上に証印または他の視覚的特徴を含む支持体と、前記支持体表面の少なくとも一部に、硬化した透明バインダー中に顔料フレークを含むコーティング層とを含み、ここで前記コーティング層の中の前記顔料フレークは、可視スペクトルの少なくとも一部を吸収し、前記コーティング層が、その透明性の局所的な角度依存性の変化を示すように、即ち、少なく一つの特定の観察方向に沿って下の証印または他の可視的特徴に可視性を与え(見え)、少なくとももう一つの特定の観察方向に沿って下の証印または他の可視的特徴に可視性を妨害するように、局所的に配向されている。しかしながら、前記硬化した、透明バインダーの中の顔料フレークの配向は、それ自体は、前記支持体の中若しくはその表面に存在する証印も他の可視的特徴も含んだり反射したりしない。
【0007】
本発明の文脈において「透明」とは、「可視スペクトルの少なくともある部分を通して、ヒトの目で見ることができる」という意味で使用され、「その透明性が角度に依存して変化する」なる用語は、第一の角度で見ると、コーティング層によって下の証印または他の可視的特徴を認知できるという意味であると理解すべきである。前記第一の角度とは異なる他の角度で見ると、前記コーティング層が下の証印または他の可視的特徴を隠す。
【0008】
本発明に従った所望の視覚的現象は、前記コーティング層に含まれる同じ様に配向された顔料フレークによって生み出される「ベネチア・ブラインド効果」によって達成される。
【0009】
前記顔料フレークは、前記支持体表面の中またはその上に存在する証印または他の特徴が、観察者に対してはっきりと見えるように、特定の観察方向に沿って顔料フレークが下の支持体表面に対して可視性を与えるように、はっきり局所的に配向される。前記観察方向は、配向した顔料フレークの表面によって定められる、即ち、顔料フレークは、その平面が、前記観察方向に対応する少なくとも一つの共通のベクトルを含むように局所的に配向されている。前記フレークの平面はさらに全てが平行して配向していてもよく、あるいは、前記平面の第二のベクトルはランダム配向を有する一方で、前記平面の第一のベクトルは前記共通する観察方向と一致して、「ベネチア・ブラインド」コーティング層を通して見ることができる。
【0010】
局所的に配向した顔料フレークの全ての平面に共通する前記方向とは実質的に違う方向から見ると、下の支持体表面及び、その中若しくはその上の証印または他の特徴に対する可視性は、ベネチアン・ブラインドのように観察者の方に作用する、顔料フレークによって遮られる。この遮蔽メカニズムは、多種多様な光学変化作用、例えば下の支持体表面の上若しくはその中に存在する特徴、顔料フレークの正確な配向、並びに顔料フレーク自体及び顔料フレークを含むコーティング組成物の物理的特性に依存して、色、発光などの証印の角度依存性の外観を生み出すのに使用することができる。
【0011】
特に、顔料フレークは、前記ベネチアン・ブラインド効果を生み出すのに垂直方向に配向させる必要はない;実際、支持体表面の平面配置とは実質的に異なる顔料フレークの全ての配向がベネチアン・ブラインド効果を示す。しかしながら、グレージング角の近くに選択された観察方向(viewing direction)は、大きな透視歪み(perspective-distortion)という欠点がある;即ち、そのような角度では、支持体表面の上またはその中の証印または特徴は、やっと見える程度である。この理由により、配向した顔料フレーク平面は、好ましくは支持体表面の平面に対して少なくとも30°の仰角(=観察方向)を有するように選択される。
【0012】
前記コーティング層の中の顔料フレークの配向は、前記支持体表面の中またはその表面に存在する前記証印も他の可視的特徴も含まないし、反射もしない。これらの証印または特徴の準備は、前記コーティング層とは独立して実施する。本発明の発想は、前記証印または特徴の角度依存性の可視性を提供するために前記コーティング層を使用することであって、前記証印または特徴を発生させるために前記コーティング層を使用することではない。前記コーティング層の中の粒子は、前記証印または特徴とは独立して配向している。即ち、前記証印または特徴は、配向パターンとして使用されない。
【0013】
前記ベネチアン・ブラインド効果を生み出すために、顔料粒子は「フレーク形」でなければならない。即ち、本明細書中そのそれぞれの内容が参照として含まれる、たとえば欧州特許出願第EP-A-0 227 423号に開示されている顔料粒子の場合のように、その厚さは長さ及び幅に対して小さくなければならない。前記粒子は、10〜30μmの長さと幅に対して1μmの厚さの典型的寸法をもつ。印刷されたインキの中でその配向が適切に制御されるのであれば、そのような形状タイプを示す粒子は、本発明のベネチアン・ブラインド効果を具体化するのに適している。
【0014】
ベネチアン・ブラインド効果を示す本発明のセキュリティエレメントは、好ましくは、最初にその表面の上またはその中に証印または他の好適な認知できる特徴を含む所定のサイズの所望の表面をもつ支持体を準備することによって製造する。前記証印または他の認知できる特徴は、先のコーティング、印刷、レーザーマーキングまたは支持体の他の好適な処理によって製造することができる。次いで前記支持体表面を、フレーク顔料粒子と、硬化性の透明バインダーとを含む組成物で少なくとも一部コーティングする。このコーティングのあと、前記フレーク顔料粒子は好適な方法及び手段によって局所的に配向され、最終的に顔料フレークをその配向させた位置に固定するために、組成物を硬化させる。
【0015】
多種多様な光学作用は、本発明のセキュリティエレメントの種々の態様の図式的に断面を示す図1A〜Gに示されているように、証印または他の可視的特徴を含む支持体表面と、「ベネチアン・ブラインド」効果を示す局所的に配向させたフレーク顔料の刷り重ね面との好適な組み合わせによって生み出すことができる。
【0016】
図1Aにおいて、支持体(1)は、フレーク顔料(3)を含むインキで刷り重ねられている、その表面の一部に印刷された証印(2)を含む。印刷されたインキの中の全ての顔料粒子(3)は右に約45°向いて、同じ様に傾いた位置にとなるように配向され、固定される。印刷された証印(2)は、右から45°の角度で見ると(即ち、顔料(3)の配列軸に平行に見ると)見ることができるが、左から見たときには全く見ることができない。
【0017】
図1Bにおいて、フレーク顔料粒子(3)が今度は左に約45°向いて配向され固定されている以外には、図1Aと同様の配置が示されている。従って、証印は、左から見たときには見ることができるが、右から見たときには見ることができない。
【0018】
図1Cにおいて、フレーク顔料粒子(3)が二つの異なる方向に沿って選択的に局所配向され固定されている以外には、図1Aと同様の配置が示されている。領域Aでは左に約45°傾き、領域Bでは右に約45°傾いていることに注目すべきである。領域Aの証印は、左から見たときには見ることができるが、領域Bの証印は見ることができない。領域Bの証印は、右から見たときには見ることができるが、領域Aの証印は見ることができない。
【0019】
図1Dにおいて、領域Aと領域Bのフレーク顔料粒子(3)の配向が反対になっている以外には、図1Cと同様の配置が示されている。領域Aの証印は右から見ることができるが、領域Bの証印は見ることができない。領域Bの証印は左から見ることができるが、領域Aの証印は見ることができない。
【0020】
図1Eにおいて、支持体(1)上に均一に着色された表面(2)が前記タイプのフレーク顔料(3)を含むインキで刷り重ねられている。顔料粒子(3)は、それぞれ領域AとBで二つの異なる方向に従って配向且つ固定されている。着色された支持体表面(2)は、見る角度に依存して領域AとBで異なって見え、支持体を領域AとBとの間で前後に傾けると「フリップフロップ(くるくる変わる)(flip-flop)」効果を示す。
【0021】
図1Fでは、領域AとBとの間のコントラストが、虹色または光学変化インキで支持体表面(2)自体にインプリンティングすることによって、図1Eと比較してさらに強調されている。特に前記虹色の支持体表面(2)の上端に印刷された、領域AとBでそれぞれ異なって配向且つ固定させたフレーク顔料粒子(3)を使用すると、純粋に吸収性インキでインプリントした支持体表面(2)の場合よりも、左から見たときに領域Aは明るく見え、右から見たときには暗く見えるようにすることができる。
【0022】
図1Gでは、支持体(1)の中またはその上に含まれる蛍光物質(2)が、配向され固定されたフレーク顔料粒子(3)を含むインキで刷り重ねすることによって、角度依存性の特性が提供される。この態様で蛍光を観察するためには、励起(たとえばUV源による)と観察(たとえば肉眼による)がいずれも同一の斜めの角度で実施しなければならない。すなわち、それぞれ領域Aに関しては右から45°で領域Bに関しては左から45°の角度である。左から励起して右から観察しても、右から励起して左から観察しても、全く蛍光は見られない。
【0023】
本発明のセキュリティエレメントは、このように、証印または他の可視的特徴を保持する支持体表面と、前記支持体表面の少なくとも一部の上端に適用された、フレーク顔料を含むコーティングとを組み合わせることを特徴とし、前記顔料フレークは、少なくとも一つの観察方向に沿って前記証印または他の特徴が見えるように、かつ少なくとももう一つの観察方向に沿って前記証印または他の特徴が見えなくなるように配向される。
【0024】
インキ内のフレーク粒子濃度は、万一、フレーク粒子が印刷後にインプリントされた支持体表面に対して平行なその大きな表面をもって整列するとなれば、最大で、およそ全(即ち少なくとも90%)表面被覆率がその印刷されたインキで得られるように選択する。EP-A-0 227 423号の好ましいフレーク顔料の場合には、そのような濃度はコーティング組成物の10〜30重量%の範囲である。どんな場合でも、フレーク顔料の最適濃度は、最高の視覚効果を得るために、顔料特性の関数(粒径、比重など)、コーティング厚さ、配向角度及び支持体の性質の関数として、実験的に決定しなければならない。
【0025】
通常、当業者は、一方では所定の見る方向に沿って支持体表面に対して良好な可視性を達成するためにできるだけ低く、他方ではその他の方向に沿って支持体表面をうまく遮蔽するために十分に高く、フレーク濃度を選択するだろう。コーティング層がやや厚めで、顔料フレークが殆ど垂直方向に配向している場合、印刷物が殆どグレージング角で観察されるときに支持体表面を隠すのに必要な顔料濃度は、表面全体をだいたい隠すために水平方向に配列した顔料フレークが表面全体に必要な濃度よりもかなり低いことが観察される。
【0026】
こうして有用な顔料濃度の上限は、顔料フレークの水平方向の配列と所定のコーティング厚さで、実質的に完全な(即ち90パーセントを超える)表面被覆率を提供するであろう濃度であるが、より低い有用な顔料濃度は、実質的に完全表面被覆率を提供する濃度の約半分である。
【0027】
既に記載したように、特定の顔料ロットにおける平均粒径とサイズ分布は、達成可能な結果に影響を与える。やや大きな粒径(10〜50μm範囲のフレーク径)と、できるだけ均一なサイズ分布が、最適の効果を得るためには望ましい。他方で、顔料ロット中に小さな粒子の実質的な画分が存在すると、「ベネチアン・ブラインド」効果に悪影響を与える。
【0028】
本発明に従って、上記のごとく、ラメラの様に動き、従ってベネチアン・ブラインド効果を生み出すために適切な機械強度であるならば、任意のフレーク顔料を使用することができる。さらに、当業者には明白であるが、フレーク顔料粒子は、遮蔽ラメラ(screening lamellae)として機能し得るように、不透明、または少なくとも半不透明(semi-opaque)(半透明:semi-transparent)でなければならない。本発明の開示の状況において半不透明(半透明)とは、フレークが可視スペクトルの少なくとも一部を吸収することを意味する。好ましい態様に従って、フレーク顔料は可視光に対して完全に不透明である。
【0029】
特に前記フレーク顔料は、非金属無機フレーク、金属無機フレークと有機フレークからなる群から選択することができる。前記フレーク顔料はさらに、薄層干渉コーティング、またはホログラフィックエンボス加工を保持することができる。さらに前記フレーク顔料は、液晶ポリマーフレーク、若しくは磁気顔料フレークであってもよく、または前記特性の両方を組み合わせてもよい。即ち、磁気液晶ポリマーフレークであってもよい。さらに、前記フレーク顔料は、発光、電導及び/または特定のスペクトル吸収または反射特性などの追加の特性を有していてもよい。
【0030】
本発明に従って、光学変化顔料(OVP)、本明細書中、その個々の開示が参照として含まれる、好ましくは米国特許第4,434,010号;同第5,084,351号;同第5,171,363号;欧州特許出願第EP-A-0 227 423号及び関連する書類に開示の薄層光学干渉デバイスのフレークが有用である。使用すべき顔料粒子が、本明細書中、その個々の開示が参照として含まれる、米国特許第4,838,648号またはPCT国際特許出願国際公開第WO02/073250号に開示されているような磁気特性を持つ光学変化粒子であるのが特に好ましい。
【0031】
証印または他の特徴を保持する支持体表面の本明細書に開示の「ベネチアン・ブラインド」コーティングを実現するのに好適なインキを製造するために、フレーク粒子で着色し得る硬化性(curable)、透明バインダー組成物は、当業界、本明細書中、その個々の開示が参照として含まれる、たとえば米国特許第4,434,010号;同第5,084,351号;同第5,171,363号;欧州特許出願第EP-A-0 227 423号及び関連する文献に開示されている。好適なバインダーの化学的性質は、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン−アルキド樹脂などの群から、及びその混合物及び他のポリマーとの混合物から選択することができ、この組成物はさらに溶媒ベースまたは水ベースであってもよい。
【0032】
フレーク顔料粒子を含むインキは好ましくは、スクリーン印刷またはグラビア/フレキソ印刷などの液体インキ印刷方によって好ましい支持体表面に適用する。適用し硬化したインキ層の最終厚さは、全ての方向で顔料フレークを容易に配向させるためには、10〜50μmのオーダーであるのが好ましい。しかしながら、表面粗度が大きくなることを犠牲にすれば、顔料は5μmまで薄いインキ層厚さも可能である。顔料フレーク径よりもずっと小さな厚さを持つバインダーに顔料フレークを配向できるのは注目すべきである。
【0033】
適用したコーティング層において、フレーク顔料粒子は配向され、続いてバインダーの硬化によってその配向位置で固定される。従って急速に硬化するインキ配合物が必要であり、UV-またはEB(電子ビーム)硬化性インキが好ましい。溶媒蒸発または癒着(coalescence)によって物理的に乾燥するインキ配合物は特定の状況では適用することもできるが(実施例参照)、あまり好ましくない。他方、酸素重合乾燥(oxy-polymerization drying)は、そのような状況で有用とするには遅すぎる。しかしながら、バインダーの長期耐性を増強するために、急速硬化性(UV、EB、熱硬化、コールドセットなど)において追加の乾燥機構として機能できるだろう。
【0034】
好ましい態様に従って、磁気または磁化可能なフレーク顔料を印刷用インキに配合する。フレーク顔料粒子は、磁気手段によって、即ち、所定の方向または平面にそって磁気フレーク顔料を局所的に配列させるために新しく印刷した文書に磁界を適用することによって、配向させることができる。印刷したインキの磁気顔料粒子を配向させるための方法及び手段は、たとえば、その個々の内容が本明細書中、参照として含まれる、米国特許第3,676,273号;同第3,791,864号、欧州特許第EP-B-0406 667号;同第EP-B-0 556 449号;同第EP-A-0 710 508号及びPCT国際特許出願国際公開第WO02/90002号;並びに同時継続出願PCT/EP2004/007028号など、当業界で開示されている。
【0035】
顔料フレークを時期的に配向させるために、支持体の第一の表面を、バインダー中に前記磁気顔料を含む組成物でコーティングまたは含浸させる。コーティング組成物がまだ湿潤性である間、即ち前記バインダーが固化していない間、支持体、好ましくは前記第一の表面に対して反対のその第二の表面を、永久磁石、永久磁石の配列、彫り込まれた永久磁石板、または電磁石の配列などの磁気または磁化できる物体の磁界に対面させる。コーティング組成物中の顔料フレークは、適用した磁界の線に沿ってそれ自体が配向し、その平面は、その場所で所望の局所的方向となる。このコーティング組成物は続いて、UV-硬化、溶媒の蒸発による物理的乾燥などによって硬化され、配向した顔料粒子をその所定の方向に固定する。
【0036】
非磁気フレーク顔料は、磁性非フレーク顔料とも混合することができる。後者の場合、前記磁気顔料は好ましくは非常に小さな粒径(<1μm)であり、可能であれば、針状(acicular)モルフォロジーである。
【0037】
しかしながら、非磁気的配向手段も、本明細書中、その個々の内容が参照として含まれる、米国特許第US-A-2003/0188842号に開示のように、静電若しくは電気泳動手段(電界を使用する)により、または超音波手段(音場を使用する)によっても、好適な顔料と組み合わせて使用することができる。配向の原理は、磁気配向に関して上記したものと同一である。即ち、顔料フレークをコーティング組成物中に準備し、個々の外部力に暴露してから、前記コーティング組成物を硬化させる。その後、このようにして得られた配向を、コーティング組成物を硬化させることによって固定する。
【0038】
特に、静電または電気誘導配向を使用する場合、フレークの磁気的特性は必要ではない。周囲のインキ媒体に対してフレーク顔料の誘電率の任意の差によって必要な配抗力を提供する。超音波音場による配向の場合にも、フレークの磁気的特性は必要ではない。配向力はこの場合、周囲の液体インキ媒体に対してフレーク顔料粒子の機械的特性(剛性)の差によって提供される。
【0039】
適用し、配向させ、固定したインキ層は、その角度に依存して透明性が変化することによってキャラクタリゼーションされる。証印または他の可視的特徴を保持する好適な支持体表面を使用して、前記透明性の変化によって、配向した「ベネチアン・ブラインド」インキ層の下の支持体の中に含まれているかその上にある可視的特徴、並びに前記配向インキ層自体に含まれる特徴が角度依存性で現れたり/消失したりすることによって特徴付けられる、多くの範囲の顕在的な印刷されたセキュリティエレメントが製造できる。
【0040】
本発明に従って、機密書類または有価証券を製造するために一般的に使用される任意の支持体を使用することができる。好適な支持体材料としては、紙、厚紙、テキスタイル並びにポリプロピレンまたはTyvek(登録商標)支持体などのプラスチック材料が挙げられるが、これらに限定されない。「ベネチアン・ブラインド」セキュリティの特徴は、支持体の上に若しくはその中に直接製造することができるか、あるいは直接製造するのが好ましい。後者は、たとえばコーティング、印刷若しくはマーキングの形態などで、その表面の少なくとも一部に、予め適用した証印を保持するようにでき、これは、印刷及びコーティング業界の当業者に公知の任意の方法によって製造することができる。
【0041】
前記支持体は、好ましくは印刷、コーティング、またはレーザーマーキングした証印を保持する透明支持体、及び印刷、コーティングまたはレーザーマーキングした証印を保持する不透明支持体からなる群から選択される。前記支持体の前記表面上に二つ以上の別個のコーティングを提供することが可能である。
【0042】
前記支持体表面はさらに、可視発光性物質、赤外発光性物質、赤外吸収性物質及び磁気物質の群から選択されるマーカー物質を含むことができる。その作用は、重ねられた(overlaid)フレーク顔料粒子の局所的配向によって調節することができる。
【0043】
前記支持体表面はさらに、虹色、回折格子(ホログラフ)、若しくは薄層干渉層型の光学的干渉デバイスであるか、またはこれを含んでいてもよい。そのような干渉デバイスは、例えば米国特許第4,434,010号から、当業者には公知である。
【0044】
前記支持体表面は好ましくは印刷によって製造した証印を保持するが、証印、たとえばレーザーマーキングを製造し得る任意の他の方法も同様に使用することができる。好ましくは前記支持体表面は、凹版印刷、活版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア/フレキソ印刷、レーザー印刷、レーザーマーキング、昇華及びインクジェット印刷から選択される方法を使用して証印でマーキングされる。
【0045】
有価証券を印刷するのに好適な一般的な印刷用インキの配合は、たとえば欧州特許出願第EP-A-0 088 466号;同第EP-A-0 119 958号;同第EP-A-0 327 788号;同第EP-A-0 340 163号;EP-A-0 432 093号及び他の場所にも開示されてきた。これらのインキは、本発明のセキュリティエレメントを製造する前に、前記支持体表面のインプリンティングとして役立ち得る。
【0046】
前記支持体表面上の印刷されたエレメントは、事実上、光吸収性、光反射性または発光性であるか、この組み合わせであり得、スペクトル選択的吸収性インキ、スペクトル選択的反射性インキ、スペクトル選択的発光インキなどを適用して製造することができる。
【0047】
上記の全てのエレメントは、追加のセキュリティエレメントと組み合わせることができ、これは
(i)材料ベース、たとえば特定のスペクトル吸収または放出を示す材料;
(ii)情報ベース、たとえば文書上で具体化された特定のコードまたは数字など:
(iii)特定の製造プロセスに関係する、たとえば当業者に公知の凹版印刷であってもよい。
【0048】
さらなる態様において、本発明に従ったセキュリティエレメントを、フォイル、糸、デカール(写し絵)またはラベルの形状で別個に製造することも可能であり、これは続いて当業者に公知の方法に従って、有価証券に適用したり、またはこれに含ませる。
【0049】
本発明はさらに上記セキュリティエレメントの製造法についても開示し、前記方法は、
a)証印または他の可視的特徴を含む表面をもつ支持体を準備する;
b)前記支持体表面の少なくとも一部分の上部に、配向可能な顔料粒子と硬化性の透明バインダーとを含むコーティング層を適用する;
c)少なくとも一つの具体的な観察方向に沿って下の証印または他の可視的特徴に対して可視性を与え、且つ少なくとも一つの具体的な観察方向に沿って下の証印または他の可視的特徴を妨げるために、前記コーティング層の中の前記フレーク顔料粒子を局所的に配向させる、ここで前記コーティング層の中の顔料フレークの配向は、それ自体、下の前記証印も他の可視的特徴も含まないし、反射もしない;
d)前記フレーク顔料粒子の配向を固定するために、前記コーティング層を硬化させる;
の各段階を含み、前記フレーク顔料粒子は、可視スペクトルの少なくとも一部を吸収する、前記製造法を開示する。
【0050】
前記文書上の前記支持体表面、フレーク顔料を含む前記コーティング層と、前記フレーク顔料は、本明細書では上記のごとく選択する。前記フレーク顔料を含む前記コーティング層は、好ましくはスクリーン印刷、グラビア/フレキソ印刷、またはローラーコーティングから選択される方法によって適用される。
【0051】
前記層の中に含まれる前記フレーク顔料は、好ましくは磁気顔料であり、前記フレーク顔料の前記局所的な配向は、磁界を適用することによって実施するのが好ましく、これは順に、本明細書中、その個々の内容が参照として含まれる、米国特許第3,676,273号;同第3,791,864号;欧州特許出願第EP-B-0406 667号;同第EP-B-0566 449号;同第EP-A-0 710 508号及びPCT国際特許出願国際公開第WO02/90002号並びに同時係属出願PCT/EP2004/007028号に記載されているように、磁気または永久磁場デバイスのどちらかによって発生させることができる。
【0052】
前記フレーク顔料を含む前記コーティング層はさらに、可視発光化合物、赤外発光化合物、赤外線吸収化合物及び磁性物質などの追加のセキュリティエレメントを含むことができるが、しかしながらこれらは、前記支持体表面の中またはその上に存在する同一証印/特徴は提供しない。
【0053】
本発明を以下の非限定的な図面及び態様を参照して詳述する。
【0054】
下の「ベネチアン・ブラインド」コーティングを前記支持体表面にインプリンティングするように機能し得る、有価証券を印刷するための一般的な印刷用インキ配合物は、従来法、たとえば、本明細書中、その個々の内容が参照として含まれる、欧州特許出願第EP-B-0 088 466号;同第EP-B-0 119 958号;同第EP-B-0327 788号;同第EP-B-0340 163号;同第EP-B-0432 093号に開示されてきた。
【0055】
磁気的にまたは別の方法で配向可能なフレーク顔料粒子を含む「ベネチアン・ブラインド」コーティング層を印刷するのに好適なインキは、たとえばスクリーン印刷及びグラビア/フレキソインキなどの液体インキの群から選択される。例示的なインキ配合物を以下に示す。他に記載しない限り、パーセンテージは重量である。
【0056】
実施例1:磁気的光学変化顔料を含むOVI(登録商標)フレキソインキ
【0057】
【表1】

【0058】
この成分を一緒に分散させ、得られた混合物の粘度は、25℃で20〜40秒 DIN4の値に到達するように、脱イオン水で調節した。
【0059】
このインキをその表面にレーザープリントした黒のパターン(証印「10」からなる)を保持する支持体(銀行券)上にフレキソ印刷によって適用し、このようにしてインプリントされた支持体を濡れたまま、均一な磁場に暴露して、支持体表面に対して45°の斜めの方向で磁力線に沿って磁気顔料粒子を配向させた。次いで熱空気流を使用してその場でインキを乾燥させた。
【0060】
図2及び図6に示されているように、観察者の上に高原を置いた発行条件下では、印刷物を支持体表面に対して直角に観察したときには、印刷領域は均一な緑に見える(図2A、6A)。印刷物を後ろに傾けると(グレージング角;図2B、6B)、下の黒い証印「10」が見えるようになった。この態様に従ったセキュリティエレメントは、グレージング角で読み取るための読み取り装置がないので、読み取り可能情報(sensible information)に対して優れたコピー防止機能を提供した。
【0061】
実施例2:磁気光学変化顔料を含むOVI(登録商標)シルクスクリーンインキ
【0062】
【表2】

【0063】
添加剤と顔料を配合する前に、ビニル樹脂をケトン−グリコール溶媒に溶解した。この粘度は、25℃で600〜1,500mPa・sの値に到達するように同一溶媒ブレンドを使用して調節した。
【0064】
インキは、印刷したパターン(インキジェット印刷した着色した点)を保持する支持体上にスクリーン印刷によって適用し、このようにしてインプリントされた支持体を濡れたまま、構造化磁場(structured magnetic field)に暴露して、支持体表面に対して二つの対立した45°の斜めの方向で磁気顔料粒子を局所配向させた。次いで熱空気流を使用してその場でインキを乾燥させた
上記図1Cに相当する、図3に示されている例示態様において、右に印刷された支持体表面エレメントは、印刷物を右から観察するために左に傾けることによって現れた(図3A)。反対に、左に印刷された支持体表面エレメントは、印刷物を左から観察するために右に傾けることによって現れた(図3C)。印刷物を支持体表面に対して直角に見ると、支持体表面のエレメントはすっかり隠れてしまった(図3B)。
【0065】
上記図1Dに相当する図4に示されている例示態様において、左に印刷された支持体表面エレメントは、印刷物を右から見るために左に傾けると現れた(図4A)。反対に、右に印刷された支持体表面エレメントは、印刷物を左から見るために右に唐向けると現れた(図4C)。印刷物を支持体表面に対して直角に見ると、支持体表面のエレメントはすっかり隠れてしまった(図4B)。
【0066】
図5に示されている例示態様において、「ベネチアン・ブラインド」の二つの対立した45°の斜めの方向は、その表面上で直角に配置された文字「A」と「B」をもつ支持体の上部に直角に配置された。上部に印刷された証印、即ち「A」は、図5Aに示されているように印刷物を後ろ側へ傾けることによって現れた。反対に、下部に印刷された証印、即ち「B」は、図5Cに示されているように、印刷物を手前側に傾けることによって現れた。印刷物を支持体平面に対して直角に見ると、図5Bに示されているように、支持体表面に印刷された「A」も「B」も見えなかった。
【0067】
示された態様は、以下に開示されたように、他のフレーク顔料をベースとして、種々のインキ化合物を使用しても実現できた。
【0068】
実施例3:UV乾燥スクリーンインキ:
【0069】
【表3】

【0070】
インキは、証印を保持する支持体上にスクリーン印刷パッチの形状で適用した。磁気顔料粒子を配向させた後、インキはUV-照射硬化装置でその場で乾燥した。
【0071】
実施例4:強制磁気グラビアインキ
【0072】
【表4】

【0073】
顔料を配合する前に、樹脂を溶媒に溶解した。粘度は、25℃で20〜40s DIN4の値に到達するように溶媒で調節した。インキは、グラビア印刷プロセスによって、証印を保持する支持体に適用した。磁場を利用して顔料粒子を配向させた後、インキを熱空気流を使用してその場で乾燥した。
【0074】
所与の実施例は、ベネチアン・ブラインド効果によって、証印または他の特徴を保持する支持体表面の可視性の方向が、前記支持体表面の上に適用した透明なコーティング中に配合されたフレーク顔料粒子に対応する配向を与えることによって、自由に画定し得る方法を説明する。所与の記載及び実施例をもとにして、当業者は開示された発明のさらなる態様を誘導することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1A〜Gは、本発明に従ったセキュリティエレメントの種々の態様の断面図を図式的に示す。
【図2】図2は、図1Aと1Bに示された図と同様の「ベネチアン・ブラインド」の一つの斜め配向をもつ、本発明の態様を示す。下の証印は、グレージング角では見えるが(図2B)、直角では見えない(図2A)。
【図3】図3は、図1Cに示されている図と同様の、「ベネチアン・ブラインド」刷り重ね(オーバープリント)の二つの異なる配向をもつ本発明の態様を示す。下の証印の第一(右)の部分は、サンプルを左に傾けると見える(図3A);下の証印の第二(左)の部分は、サンプルを左に傾けると見える(図3C);下の証印は直角では全然見えない(図3B)。
【図4】図4は、図1Dに示されている図に従った、図3の態様と同様であるが、左と右を反転させた本発明の態様を示す。下の証印の第一(右)の部分は、サンプルを左に傾けると見える(図4A);下の証印の第二(左)の部分は、サンプルを右に傾けると見える(図4C);下の証印は直角では全然見えない(図4B)。
【図5】図5は、図3と図4の態様と同様であるが、上下方向に「ベネチアン・ブラインド」刷り重ねの二つの異なる配向をもつ本発明の態様を示す。
【図6】図6は、セキュリティエレメントのついた書類をちょっと傾けるだけで本発明のセキュリティエレメントの態様が視覚的に認証できることを示す。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】

【図1G】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図6A】

【図6B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の中にまたはその表面に証印または他の可視的特徴を持つ前記支持体と;前記支持体表面の少なくとも一部の上に、硬化した透明バインダー中に顔料フレークを含むコーティング層とを含む有価証券、権利書、身分証明書、セキュリティラベルまたはブランド品の書類のためのセキュリティエレメントであって、ここで前記コーティング層の中の前記顔料フレークは、可視スペクトルの少なくとも一部を吸収し、少なく一つの特定の観察方向に沿って下の証印または他の可視的特徴に対して可視性を与え、且つ少なくとももう一つの観察方向に沿って下の証印または他の可視的特徴に対して可視性を妨害するように、局所的に配向されており、前記硬化した、透明バインダーの中の顔料フレークの配向は、それ自体は、前記支持体の中若しくはその表面に存在する前記証印も他の可視的特徴も含んだり反射したりしない、前記セキュリティエレメント。
【請求項2】
前記支持体が、印刷、コーティングまたはレーザーで印をつけた証印を保持する透明支持体と、印刷、コーティングまたはレーザーで印を付けた証印を保持する不透明支持体とからなる群から選択される、請求項1に記載のセキュリティエレメント。
【請求項3】
前記コーティング層及び/または前記支持体が、可視発光性物質、赤外線発光性物質、赤外線吸収物質及び磁気物質の群から選択されるマーカー物質を含む、請求項1〜2の一つに記載のセキュリティエレメント。
【請求項4】
前記支持体が、光学干渉デバイスを保持する、請求項1〜3の一つに記載のセキュリティエレメント。
【請求項5】
前記顔料フレークが、非金属無機フレーク、金属無機フレーク、及び有機フレークからなる群から選択される、請求項1〜4の一つに記載のセキュリティエレメント。
【請求項6】
前記顔料フレークが、薄層干渉顔料及び液晶ポリマー顔料からなる群から選択される、請求項5に記載のセキュリティエレメント。
【請求項7】
前記顔料フレークが、ホログラフィックエンボス加工を保持する、請求項1〜6の一つに記載のセキュリティエレメント。
【請求項8】
前記顔料フレークが磁気粒子である、請求項1〜7の一つに記載のセキュリティエレメント。
【請求項9】
前記コーティング層における前記フレーク顔料濃度が、配向がない場合に実質的に完全に表面を覆うであろう濃度の50〜100%の範囲で選択される、請求項1〜8の一つに記載のセキュリティエレメント。
【請求項10】
前記コーティング層の中の配向した顔料フレークが、支持体表面の平面に対して少なくとも30°の顔料フレーク平面の仰角を有する、請求項1〜9の一つに記載のセキュリティエレメント。
【請求項11】
前記フレーク顔料が、10〜50マイクロメーターの範囲のフレーク平均直径を有する、請求項1〜10の一つに記載のセキュリティエレメント。
【請求項12】
前記フレーク顔料が、可視スペクトルで不透明である、請求項1〜11の一つに記載のセキュリティエレメント。
【請求項13】
a)証印または他の目に見える特徴を含む表面をもつ支持体を準備する;
b)前記支持体表面の少なくとも一部分の上部に、配向可能なフレーク顔料粒子と硬化性の透明バインダーとを含むコーティング層を適用する;
c)少なくとも一つの特定の観察方向に沿って下の証印または他の可視的特徴に対して可視性を与え、且つ少なくとももう一つの観察方向に沿って下の証印または他の可視的特徴に対する可視性を妨げるように、前記コーティング層の中の前記フレーク顔料粒子を局所的に配向させる、ここで前記コーティング層の中の顔料フレークの配向は、それ自体、下の証印も他の可視的特徴も含まないし、反射もしない;
d)前記フレーク顔料粒子の配向を固定するために、前記コーティング層を硬化させる;
の各段階を含み、前記フレーク顔料粒子は、可視スペクトルの少なくとも一部を吸収する、請求項1〜12のいずれか一つに記載のセキュリティエレメントの製造法。
【請求項14】
前記フレーク顔料を含む前記コーティング層が、スクリーン印刷、グラビア/フレキソ印刷、及びローラーコーティングからなる群から選択される方法によって適用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記証印を、凹版印刷、活版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア/フレキソ印刷、レーザー印刷、レーザーマーキング、染料昇華及びインクジェット印刷からなる群から選択される方法によって前記支持体表面に適用する、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記フレーク顔料の局所配向が、磁場、電場、音場からなる群から選択される場を適用することによって達成される、請求項13〜15の一つに記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜12の一つに記載のセキュリティエレメントを含む、有価証券、権利書、身分証明書、セキュリティラベル、ブランド品の書類。
【請求項18】
有価証券、権利書、身分証明書、セキュリティラベルまたはブランド品の書類上における、偽造や複製を防ぐための請求項1〜12の一つに記載のセキュリティエレメントの使用。

【公表番号】特表2008−529823(P2008−529823A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544865(P2007−544865)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055884
【国際公開番号】WO2006/061301
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(500269417)シクパ・ホールディング・ソシエテ・アノニム (23)
【Fターム(参考)】