説明

親和性検定方法による分析試料検出用の基質をコーティングするための新規な装置および方法

本発明は、基質の少なくとも1つの表面上に沈着させようとする物質(化合物)を含有する霧状化される液体および操作状態で液体により製造される噴霧容量を受容するための容器(液体容器)、霧状化工程を誘発するための作動器、並びにコーティング工程中に基質を受容しそして貯蔵するための固定具を含んでなる、親和性検定方法により1つもしくはそれ以上の分析試料を検出するための基質をコーティングする装置の数種の態様に関する。本発明は、基質が霧状化される液体の表面と接触しないことにより特徴づけられる。本発明はまた、親和性検定による1つもしくはそれ以上の分析試料の検出における使用のためのカプラーおよび/または不動態化層を有する基質をコーティングする方法の数種の態様にも関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
多くの用途分野は、例えば個人の健康状態を測定するための診断方法においてまたは生物学的に活性な化合物を供給することにより有機体の影響およびその複合作用方式を測定するための製薬学的研究および開発において、場合によっては複合組成および性質の、試料における複数の分析試料の測定を必要とする。
【0002】
例えば、分子量または分子量変化および質量の指数の如き予め決められた物理化学的パラメーターに応じて特定試料内に存在する非常に多くの化合物をできるだけ短時間で分別するためには既知の分析分離方法が一般的に活用されているが、複合組成物の試料内で対応する(個別の)分析試料を認識しそして結合するためには、「結合相手」または「特異的な結合相手」とも称する非常に高度に特異性のある各場合とも1つの生物学的もしくは生化学的または合成認識要素の使用に基づく。複数の異なる化合物の検出はそれ故、対応する数の異なる特異的認識要素の使用を必要とする。
【0003】
生親和性反応に基づく検定方法は均質溶液中および固体支持体(「基質(substrate)」)の表面上の両方で行うことができる。この方法の特異的な設定により、後者は対応する認識要素への分析試料および適宜さらなる検出物質の結合後に並びに適宜種々の工程段階間に該認識要素と検出しようとする分析試料でそして適宜試料および場合により使用される追加試薬の残部からの検出物質の製造された複合体を分離するために各場合とも洗浄段階を必要とする。
【0004】
複数の分析試料を測定するためまたは複数の試料を試験するためには、別個の試料容器または「マイクロタイタープレート」の「ウエル」内での異なる分析試料の検出を含んでなる方法が、特に工業用分析研究所において、普及している。ここで最も普及しているものは、典型的には約8cm×12cmの面積にわたり8×12ウエルの格子を有するプレートであり、1つのウエルを満たすには数百マイクロリットルの容量が必要である。しかしながら、単一の試料容器内で同時にできるだけ小さい試料容量を用いて複数の分析試料を測定することが多くの用途において望ましいであろう。
【0005】
特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4は、存在する分析試料分子の小部分だけを結合することにより分析試料の濃度をインキュベーション時間にだけ依存しているが連続流の不存在下では本質的に絶対試料容量に依存しない方法で測定可能にするために共通基質上での一部は1mmよりかなり小さい別個の測定領域としての小さい「点」の形態の分析試料−特異的な認識要素の固定を提唱している。共通基質上の二次元配列での測定領域としての複数のそのような「点」が「微細列」を形成する。
【0006】
認識要素としての別個の空間的に分離された測定領域内の基質上で固定された対応する相補的核酸類を用いて試料内で複数の異なる核酸類を同時に検出する方法は現在比較的普及している。例えば、基質としての単純ガラスまたは顕微鏡スライドを基にしておりそして非常に高い特徴密度(共通固体支持体上の測定領域の濃度)を有する認識要素としてのオリゴヌクレオチド類の列が開示された。例えば、特許文献5(アフィマックス・テクノロジーズ(Affymax Technologies))は、1平方センチメートル当たり1000個より多い特徴の密度を有するオリゴヌクレオチド類を記載しそして特許請求している。
【0007】
最近では、例えば特許文献6におけるように、複数の蛋白質類を同時に測定するための列およびそれらを用いて行われる同様な種類の検定方法の記述がより頻繁になってきた。
【0008】
分析試料検出のための結合相手を固定する最も簡単な形態は、例えば結合相手と基質との間の疎水性相互作用による、物理的吸着よりなる。しかしながら、これらの相互作用の程度は媒体の組成並びにその物理化学的性質、例えば極性およびイオン強度、によって大きく変更されうる。基質上の純粋な吸着固定後の結合相手の付着能力は、特に種々の試薬が複数段階検定において順次加えられる場合には、しばしば不充分である。
【0009】
従って、基質に適用される付着−促進層上での結合相手の固定がしばしば好ましい。複数の物質、例えば官能化されていないもしくは官能化されたシラン類、エポキシド類、官能化された、荷電されたもしくは有極性の重合体並びに「自己−組み立て性の受動性のもしくは官能化された単−もしくは多層」、アルキル燐酸エステル類およびアルキルホスホン酸エステル類、多官能性ブロック共重合体、例えば、ポリ(L)リシン/ポリエチレングリコール類、が該付着−促進層の製造に適することが知られている。
【0010】
例えば、特許文献7は、例えば、基質および「非−相互作用性」(吸着−耐性)側鎖に(静電的に)結合するポリイオン性主鎖を有する付着−促進層としてのグラフト共重合体を有する基質としての医学用途のための生分析センサー台または移植片のコーティングを記載している。
【0011】
局部的に分析試料またはそれらの検出物質もしくは他の結合相手の非特異的結合を、特に分析検出用の測定領域(点)間の(覆われていない)領域内で、最少にするために、これらの領域を「不動態化」することがしばしば好ましい。この目的のために、分析試料に関してまたはそれらの検出物質もしくは他の結合相手に関して「化学的に中性である」すなわちこれら(以下では「不動態化用化合物」とも称する)を結合しない化合物が基質に空間的に離された測定領域間に適用される。分析試料に関してまたはそれらの検出物質もしくは他の結合相手に関して「化学的に中性である」すなわちこれら(以下では「不動態化用化合物」とも称する)を結合しない該成分は、アルブミン類、特にウシ血清アルブミンもしくはヒト血清アルブミン、カゼイン、非特異的なポリクローンもしくはモノクローン性の異種抗体または検出しようとする1つもしくは複数の分析試料に対して経験的に非特異的である抗体およびそれらの結合相手(特に免疫検定用)、洗剤−例えば、ツイーン(Tween)20−、分析しようとするポリヌクレオチド類にハイブリッド形成しない断片化された天然もしくは合成DNA、例えば、ニシンもしくは鮭精子の抽出物(特にポリヌクレオチドハイブリッド形成検定用)、または無変化であるが親水性の重合体、例えば、ポリエチレングリコール類もしくはデキストラン類を含んでなる群から選択できることは知られている。
【0012】
例えば蛍光検出、微細列の種々の測定領域(点)を用いて、結合信号から同様な定量可能なデータを作成できるようにするためには、互いに比較しようとする測定領域内の固定された結合相手の均一な表面密度および結合活性を確実にすることが必要である。この条件に合致するための必須予備条件は、別個の測定領域(点)がその上に作成される付着−促進層の高い空間均質性である。指定された測定領域(点)間で均一な非常に低い信号背景を確実にするための適用される不動態化層の空間均質性に関する同様な条件も存在する。
【0013】
付着−促進層を基質に適用するためには、作成しようとする付着−促進層の成分の分子量並びにもちろんコーティングしようとする基質の熱および化学的安定性によって、種々の方法を使用することができる。気相および液相の両方において、例えば浸漬方法を用いて、シラン化を行うことができる。気相における(コーティングしようとする基質の寸法
と比べて)充分に大きい反応容器内でのコーティング方法は一般的に沈着層の良好な均質性を生ずるが、液相から沈着した層は大きい空間的不均質性、例えば浸漬方法の適用後の走行跡、をしばしば有する。
【0014】
気相からの沈着は一般的に高められた工程温度を必要とするため、ほとんどの場合に耐熱性でない分析試料検出用の認識要素の適用後に、液相からの不動態化層の適用段階が起きる。不動態化段階は典型的には浸漬方法を利用する。これは、基質の全表面をできるだけ速くそして同時に不動態化溶液を用いて湿潤するために、分析試料に関してまたはそれらの検出物質もしくは他の結合相手に関して「化学的に中性である」、すなわちこれら(以下では「不動態化用化合物」)を結合しない、化合物の溶液が充填された容器の中に基質を滴下することを包含する。引き続き、基質を不動態化溶液(「インキュベートされた」)の中に表面不動態化のために使用される化合物が基質表面に吸着可能にするための規定された期間にわたり放置する。
【0015】
この簡便な方法の利点は、それをいずれかの別の助剤なしに行うことができそして研究者の能力に対するいずれかの特別な要求を必要としないことである。
【0016】
しかしながら、この方法の不利な性質は、基質が浸漬される時点で表面を過ぎて流れる溶液を不動態化することによる点の「汚れ」の比較的高い危険性である。この方法では、物質は別個の測定領域(固定された特定の結合相手)から脱着されずそして洗浄除去されそしてまだ不動態化用化合物で覆われていない領域内の(基質表面を基にした)不動態化溶液流の相対的な方法において周辺領域に再び吸着させることができる。
【0017】
点の「汚れ」の程度はとりわけ、別個の測定領域内の固定された特異的な結合相手の表面密度および不動態化溶液の組成、特に該不動態化溶液内の特異的な結合相手の溶解度、に依存する。高い特徴密度の場合には、すなわち近隣点間の短い距離の場合には、「汚れ」の影響は生じた該別個の測定領域間の領域からの背景信号の不均質な分布のために測定領域の列からの検定信号の定量分析を害するかまたは不可能にする。この望ましくない影響は、特に固定された物質が1つの点から近隣点へ移送される場合には、検定信号の意味ある分析をもはや不可能にさせうる。
【0018】
この方法の別の欠点は比較的大量の不動態化溶液およびそれに伴う比較的高い価格に関する固有の要望である。
【0019】
記載された「汚れ」の影響は、例えば噴霧器を用いる、噴霧方法の使用により予防されることが知られている。これは、不動態化溶液を液体小滴の形態で基質表面に連続的な液体膜が該基質上で形成されるまで適用することを包含する。これもそれにより表面不動態化用に使用される化合物を基質表面上に吸着させうるようにするためには、基質表面を次に液体蒸気の飽和雰囲気(すなわち水性不動態化溶液の場合には100%の大気湿度)内でインキュベートする。基質を(コーティングしようとする基質表面に関して)水平に保つことにより、走行跡が回避される。
【0020】
この方法を正確に行うことにより、点が「汚れること」から実質的に予防することができる。別の利点は必要な不動態化溶液の量であり、それは典型的には上記の浸漬方法と比べて10の因子だけ減じられる。
【0021】
しかしながら、この方法に固有な難点は要求される均一な湿潤化および適用される液体量の極めて正確な計量であり、それらは基質表面上で均質な液体膜を製造するために必要であり、それにより操作者に対して増加した要求をもたらす。例えば、点の「汚れ」は過剰に適用される不動態化溶液の場合にも起きうる。例えば、国際特許出願である特許文献
8は核酸類、蛋白質類または他の化学的もしくは生物学的化合物を別個の測定領域内の固定された特異的な結合相手として用いて微細列を製造するためのこのコーティング方法を基にしたモジュールシステムを記載している。
【0022】
浸漬方法との比べた明白な利点にもかかわらず、噴霧方法の結果は同様なほど最適でない。小滴がノズルまたは噴霧器を通して排出されることのために、該小滴方法はそれらがコーティングしようとする表面に衝突する瞬間に該表面に向かう強い惰性を多少有する。これには表面へ衝突してさらに小さい小滴を与える時の該小滴の跳ね返りの危険性が伴われるため、作成しようとする測定領域(点)の角は一般的にはっきりと作成されない。さらに、噴霧方法は一般的に小滴寸法における大きな変動のある比較的大きい小滴を作成する。
【特許文献1】国際特許出願公開第84/01031号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,807,755号明細書
【特許文献3】米国特許第5,837,551号明細書
【特許文献4】米国特許第5,432,099号明細書
【特許文献5】米国特許第5,445,934号明細書
【特許文献6】米国特許第6,365,418B1号明細書
【特許文献7】国際特許出願公開第00/65352号パンフレット
【特許文献8】国際特許出願公開第01/57254号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
発明の目的
従って、気相からの沈着と同様な作成される層の高い均質性を得ることができそして非常に少量の液体の使用を必要とする液相からのコーティング方法および該コーティング方法を行うための装置を開発する要望がある。さらに、付着−促進層および不動態化層の両方に適する対応する新規なコーティング方法およびコーティング装置をそのために使用することも望ましい。経済的な実行可能性の面では、溶液はできる限り価格−効果的であるべきであり、すなわち装置の複雑さはできる限り少なくすべきである。対応する新規なコーティング装置は操作が容易でなければならずそしてそれらを用いて行われるコーティング方法は自動化するのが容易でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0024】
発明の要旨
驚くべきことに、以下に記載されそして基質に適用しようとする化合物を含有する溶液の霧状化に基づき且つ基質の方向における基質上での噴霧から沈着させようとする小滴の実質的な推進力を必要としない本発明に従う方法により、該要求を満たしうることを我々は今回見出した。該方法を行うために開発された本発明に従うコーティング装置は安価な市販部品の使用を可能にする非常に簡単な構造によりそしてまた操作の容易さにより特徴づけられる。
【0025】
以下に記載される態様の1つに従う本発明のコーティング装置を用いて行われる本発明の方法は、付着−促進層および不動態化層の両方を親和性検定において分析試料を検出するためのいずれかの、好ましくは平坦な、基質に適用するために適する。
【0026】
本発明の方法は上記噴霧方法の進歩であり、本発明の方法用に好ましい態様では非常に微細な液体小滴が超音波処理により作成される。該方法用に使用されるコーティング装置は、好ましい態様では、基質の(霧状化される液体の表面に関して)水平な貯蔵のための支持体およびその下にある霧状化される液体の中に浸漬される超音波発生器を有する閉鎖された容器を含んでなる。本発明の方法は、作成される小滴が噴霧方法の場合には実質的
に比較的小さいことにより特徴づけられる。操作において、霧状化される液体の上で非常に密度の高い噴霧が作成され、好ましい態様におけるこの噴霧は弱い追加的に使用される窒素流を用いる乱流を生ずることにより容器内に均一に分布され、ここで容器は好ましくは気体入口および気体出口から離れて閉鎖される。コーティングしようとする基質の表面に関するコーティング溶液の流れがないため、点の「汚れ」はそれが浸漬方法に関して記載されているように本発明の方法においても予防される。従って、不動態化溶液および別個の測定領域内で特異的な結合相手を固定するための前の段階で使用する「滴下溶液」の両方の組成並びに特異的な結合相手に対するこの溶液の濃度およびそれにより該測定領域内の不動態化された特異的な結合相手の生じた表面密度の選択に関してはこの方法による制限はほとんどない。表面不動態化段階中の基質の表面に沿う流れがないため、特に近隣点間の「汚れ」は全くなく、そしてその結果として、測定領域の列の中で作成できるそれらの密度は別個の測定領域を作成するために使用される装置(「滴下器」)の計量および配置の正確さによってのみ制限される。本発明の方法は共通の適切寸法の容器内で大量の基質を同時にコーティングする能力および自動化の容易さによりさらに特徴づけられ、そして訓練されていない人間により容易に行うこともできる。基質をコーティングするために必要でありそして使用される液体容量は噴霧方法の場合と同様な程度である。
【0027】
図面の簡単な記述
図1は本発明のコーティング装置を図式的に示す。
【0028】
図2は二次元列(「微細列」)内の12個の異なる適用された試料を有する測定領域の配置および共通基質上の6つの列の線状配置の幾何学的形状を示す。
【0029】
図3A−図3Cは微細列の蛍光信号を各場合とも指示された像の詳細の拡大図(下部)と共に示し、ここでは対応する基質の自由表面が異なるコーティング方法を用いて不動態化された(A:浸漬方法、B:噴霧方法、C:本発明の霧状化方法)。
【0030】
図4Aは各場合とも微細列の全ての点の間で測定された背景信号強度の平均および標準偏差を示し、ここでは対応する基質の自由表面が異なるコーティング方法を用いて不動態化された(A:浸漬方法、B:噴霧方法、C:本発明の霧状化方法)。
【0031】
図4Bは微細列の全ての対比点(用語に関しては例示態様を参照のこと)の間の蛍光強度の平均および標準偏差を示し、ここでは対応する基質の自由表面が異なるコーティング方法を用いて不動態化された(A:浸漬方法、B:噴霧方法、C:本発明の霧状化方法)。
【0032】
図5Aは分析試料検出用に設計される微細列の測定領域からの蛍光信号の平均強度および標準偏差を示し、ここでは対応する基質の自由表面が異なるコーティング方法を用いて不動態化され(A:浸漬方法、B:噴霧方法、C:本発明の霧状化方法)そして微細列は引き続き抗体A1(抗−p53)の溶液を用いてそして次に各場合ともアレクサ(Alexa)647フルオア(Fluor)抗−ウサギFab断片を用いる蛍光検出による検出用にインキュベートした。
【0033】
図5Bは分析試料検出用に設計される微細列の測定領域からの蛍光信号の平均強度および標準偏差を示し、ここでは対応する基質の自由表面が異なるコーティング方法を用いて不動態化され(A:浸漬方法、B:噴霧方法、C:本発明の霧状化方法)そして微細列は引き続き抗体A2(抗−ホスホ−p53)の溶液を用いてそして次に各場合ともアレクサ647フルオア抗−ウサギFab断片を用いる蛍光検出による検出用にインキュベートした。
【0034】
発明の詳細な記述
本発明は第一に、
−基質の少なくとも1つの表面上に沈着させられる物質(化合物)を含有する霧状化される液体および操作中に液体上で発生する噴霧の容量を受容するための容器(液体容器)、−霧状化工程を誘発するための作動器、並びに
−コーティング工程中に基質を受容しそして貯蔵するための支持体
を含んでなる、親和性検定方法により1つもしくはそれ以上の分析試料を検出するための基質をコーティングする装置であって、基質が霧状化される液体の表面と接触しないことを特徴とする装置に関する。
【0035】
用語「霧状化される液体」はここでは、その上で液体霧状化用の作動器の推進力が作用して該液体の一部からの噴霧への転化をもたらす本発明のコーティング装置内部の合計量の液体を意味する。
【0036】
該液体内部で超音波の作用により霧状化される液体の上で噴霧を作成することが好ましい。それに準じて、該作動器が超音波を発生するように作用することが好ましい。
【0037】
例えば圧電結晶、振動膜などを用いて、超音波を発生するための種々の工業的方法が知られている。該作動器が超音波発生器の膜を含んでなることが好ましい。
【0038】
該作動器を操作中に霧状化される液体の中に浸漬することがさらに好ましい。好ましくは、該作動器は完全に霧状化される液体の中にある。
【0039】
霧状化される液体上で作用する超音波の強度および周波数を適当な手段により調節および/または測定できることもさらに有利である。
【0040】
新規なコーティング方法に関する要望で挙げられているように、作成しようとする層の均一性および高い均質性が最も重要である。これを保障できるようにするためには、沈着させようとする噴霧の微細小滴のできるだけ狭い寸法分布が望ましい。しかしながら、特にテラリスティックス(terraristics)で適用されるような簡単な市販の噴霧器の場合には、霧状化される液体からの大きな小滴または跳ね返りの出現も考慮に入れるべきである。
【0041】
従って、小滴沈殿器を含んでなる本発明のコーティング装置が好ましい。該小滴沈殿器は霧状化される液体の表面と上部がコーティングされる基質がコーティング工程中に貯蔵される基質との間の空間的容積の中に配置されるべきである。
【0042】
種々の態様の小滴沈殿器が適する。一般原則として、使用される小滴沈殿器は蒸気および噴霧に対して不透過性でありうる(該小滴沈殿器は、例えば、閉鎖された固体物体である)。小滴沈殿器が凹面鏡の幾何学的形状を有することが有利でありうる。使用できる小滴沈殿器の例は円筒形天井造りのガラスボール(凹面を有する)である。
【0043】
使用される小滴沈殿器は規定された寸法までの、例えば200μmより小さい直径を有する、小滴に対しても透過性でありうる。これは技術的には、そのメッシュ寸法がその中に入る小滴の最大寸法を決めるような微細−メッシュ網目構造を含んでなる該小滴沈殿器により、実行できる。
【0044】
支持体内に貯蔵される時に基質がコーティング工程中に霧状化される液体の表面から離れて対面するそれらの側面/表面上にコーティングされることが好ましく、他の表面上のコーティングは必ずしも妨げられない。
【0045】
コーティングしようとする基質に適用されるマスクを使用して、適宜、本発明のコーティング装置を本発明のコーティング方法において使用することによる1種もしくはそれ以上の場合により異なっていてもよい液体の順次霧状化により幾何学的に構成されたコーティングを作成することも可能である。その幾何学的形状を再現できる基質上でコーティングされた領域を作成するための予備条件はここでは、対応する適当なマスクによりコーティングされない基質の領域を各場合とも流動的密封方法で覆って噴霧小滴がコーティングしようとしない領域に到達できないようにすることである。
【0046】
基質の非常に均一で且つ均質なコーティングを作成するための主要目的に合わせるためには、作成されそして基質上に該基質の周辺で沈着させようとする噴霧の均一な分布を生ずるための手段を本発明のコーティング装置がさらに含んでなることも有利である。
【0047】
このためには、例えば、気体を装置の容器内に(すなわち空気空間または気体空間または噴霧空間内に)通すことが役立ち、その気体が作成された噴霧と混ざりおよび/または乱流を生ずる。
【0048】
従って、コーティング装置が少なくとも1つの気体入口をさらに含んでなることが有利である。この装置は気体および/または噴霧を放出するための1個もしくはそれ以上の出口をさらに含んでなりうる。
【0049】
作成されそして基質上に該基質の周辺で沈着させようとする噴霧の均一な分布を生ずるための該手段がベンチレーターを含んでなり、それは作成された噴霧および適宜装置の容器内をその他に通過する気体の乱流を生ずるために使用されて、より良好な混合を行いそしてそれにより噴霧分布の不均質性を除く。
【0050】
コーティング工程中の一定であり且つ明白な条件を確実にするためには、本発明のコーティング装置が霧状化される液体および/または液体容器の個別のもしくは全ての壁の温度を制御および/または調節するための手段をさらに含んでなることも有利でありうる。コーティング工程中に基質を受容および/または貯蔵するためのコーティング装置の支持体を恒温化されうることも好ましい。
【0051】
同じ理由のために、コーティング装置はコーティング工程中に液体容器内部の圧力を制御および/または調節するための手段もさらに含んでなることが有利でありうる。
【0052】
特に、基質のコーティングの均一性および均質性を保証して適当な予防的手段にも関わらず依然として存在する本発明の装置の容器内で作成される噴霧の不均質性の影響を除くためには、コーティング装置は支持体面に垂直な軸の上で基質を回転させる手段をさらに含んでなる。
【0053】
本発明の方法に固有な性質、すなわち本質的に空間的に指定のない位置、のために、小滴形成およびそれにより存在する表面コーティングのための化合物の適用は基質の自由表面上だけでなく、例えば、本発明のコーティング装置の液体容器の壁にも起きる。基質に適用しようとする化合物は比較的高価でありうる高純度形態の非常に特殊な物質でありうるため、液体容器の壁に沈着した霧状にされた液体を収集しそして再循環/回収するための手段をさらに含んでなる本発明のコーティング装置が好ましい。
【0054】
本発明のコーティング装置が液体容器のクリーニングを促進させるための手段をさらに含んでなることも有利である。例えば、該手段は液体容器の内壁に沿ってそして霧状化される液体の中に再循環させようとする液体を再循環させること並びにクリーニングを促進
することの両方のための該容器壁の表面の疎水性コーティングを含んでなりうる。そのような手段は、例えば液体が集積しそしてそこから除去することが非常に難しい角を避けるかまたは少なくとも丸くすることにより、幾何学的形状にも関連しうる。
【0055】
コーティングしようとする基質をコーティング装置の支持体内に本質的に水平に貯蔵することが好ましい。用語「本質的に水平に」はここでは水平貯蔵からの+/−10°までの逸脱を包含することを意図する。
【0056】
コーティング装置が霧状化される液体の表面とコーティングしようとする基質の表面との間の距離の制御された調整および/または変動用の手段をさらに含んでなることも有利である。
【0057】
液体容器は好ましくは、気体用の随意の入口並びに気体および/または噴霧用の随意の別の出口を除いて、閉鎖される。
【0058】
霧状化される液体は好ましくは、3cPより低い粘度を有する低粘度液体である。それらは特に水溶液でありうる。しかしながら、霧状化される液体は有機、特にアルコール、溶液でもありうる。
【0059】
さらに、コーティングしようとする基質が本質的に平坦であることも好ましい。用語「本質的に平坦な」はここでは、コーティングしようとする表面を多分この三次元構造(例えば、基質表面に付与される試料容器の側壁)から離れて含有する面並びに基質の反対表面を含有するそれに本質的に平行な第二面を含んでなることを意味し、ここで用語「本質的に平行な」は平行性の+/−10°までの逸脱を包含する。「本質的に平行な」は、コーティングしようとする滑らかなおよび粗い表面の両方を有する基質を意味する。
【0060】
コーティングしようとする基質は単一(自己−支持性)層、例えば、ガラススライド、または多層よりなりうる。
【0061】
コーティングしようとする基質の少なくとも1つの層が入射励起光線または測定光線の伝播方向において本質的に光学的に透過性であることが好ましい。
【0062】
物質または基質の「光学的に透過性である」はここでは、該物質内もしくは該基質内で伝播する光線または光学的導波路(以下参照)として設計された基質の(高屈折率)導波路膜内で少なくとも可視スペクトル(400nm〜750nmの間)の小区分で案内される光線の走行経路長さが、該走行長さ経路が該光線の伝播方向を変えるために構造により制限される場合には、2mmより短いことを意味する。例えば、光学的可視光線の走行経路長さ、すなわち対応する物質内の該光線の経路上の距離、は該物質に入る該光線が数センチメートル(例えば薄膜導波路、以下参照)から数メートルまたはキロメートル(光学的信号伝達用の光導体の場合)までの桁でありうる。薄膜導波路に基づく格子−導波路構造の場合には、導波路層内に案内された光線の伝播ベクターの長さはアウトカップリング(outcoupling)回折格子により数マイクロメートルに制限されうる。しかしながら、走行経路長さのこの制限はそのため構造の材料性質よりむしろ構造による。本発明によると、そのような格子−導波路構造は「光学的に透過性である」と称される。本発明の範囲内では、「本質的に光学的に透過性である」は、該基質または層を透過する光線の強度を50%より少なく減ずる基質または層もさすべきである。
【0063】
入射励起光線または測定光線の伝播方向において本質的に光学的に透過性であるコーティングしようとする基質の少なくとも1つの層は、例えば、シリケート類、例えばガラスもしくは石英、透明な熱可塑性の成型可能な、注入−成型可能なもしくは粉砕可能なプラスチック、例えばポリカーボネート類、ポリイミド類、アクリレート類、特にポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン類、シクロ−オレフィン重合体およびシクロ−オレフィン共重合体を含んでなる群から選択される物質を含んでなる。
【0064】
本発明のコーティング装置の特定態様では、コーティングしようとする基質は、適宜下部中間層の上に、好ましくは金または銀製の、好ましくは<1.5の屈折率を有する、薄い金属層を含んでなり、ここで該金属層およびありうる中間層の厚さは表面プラズモンが入射励起光線の波長においておよび/または発生したルミネッセンスの波長において励起されうるように選択される。該金属層の厚さは10nm〜1000nmの間、特に好ましくは30nm〜200nmの間、である。
【0065】
表面プラズモン共鳴を発生させるための並びにルミネッセンス測定とのそして導波路構造との組み合わせのための条件は文献に多数記載されてきた。
【0066】
本出願における用語「ルミネッセンス」は、光学的または非光学的な、例えば電気的または化学的または生化学的または熱的な、励起後に紫外線ないし赤外線範囲内の光子の自発的な発生をさす。用語「ルミネッセンス」は、例えば、化学ルミネッセンス、生ルミネッセンス、電気ルミネッセンス並びに特に蛍光および燐蛍光を包含する。蛍光および燐蛍光がルミネッセンスの特に好ましい形態である。
【0067】
コーティングしようとする基質が1つもしくはそれ以上の層を含んでなる光学的導波路を含んでなることが好ましい。該基質は全体にわたり光学的導波路として設計されてもよくまたは別個の導波路領域を含んでなっていてもよい。
【0068】
「連続的な導波路領域」はそれに準じて、高−屈折率の導波路層の妨害なしに、分析試料検出用に利用される基質表面の部分の全領域を本質的に越えて伸びる導波路領域を意味する。
【0069】
光学的導波路は高−屈折率の導波路層とそれより低い屈折率を有する近隣層(これは空気も意味しうる)との境界における「消失」場の生成を伴うため、該導波路は親和性検定における分析試料検出用の基質として特に適する。該消失場の周辺への透過深さは案内される光線の波長より小さい寸法(例えば200nmから400nm)に制限されるため、分析試料分子または検出分子もしくは検出分子部分(例えば、蛍光標識)の相互作用が空間的に高度に選択的な方法で導波路の表面上でのこの消失場により刺激されそして観察され、そして離れた場からの、例えば試料媒体の深さからの、妨害信号を大きく除去することができる。
【0070】
従って、コーティングしようとする基質の連続的なまたは別個の導波路領域が基質のコーティングしようとする表面を含んでなることが一般的に好ましい。
【0071】
コーティングしようとする基質が本質的に光学的に透過性である導波路層(a)を層(a)より低い屈折率を有する第二の同様に本質的に光学的に透過性である(b)の上に、そして適宜同様に本質的に光学的に透過性である中間層(b’)を層(a)と同様に層(a)より低い屈折率を有する層(b)との間に有する平坦な光学的薄膜導波路を含んでなることが好ましい。
【0072】
層(a)の特定の物質および特定の屈折率では、層厚さが該層厚さの下限まで減少するにつれて感度が増加する。該下限は、案内しようとする光線の波長に依存する値より低く低下する時の光線伝導停止により並びに非常に薄い層内の層厚さにおけるさらなる減少を伴う伝達損失における観察される増加により、決められる。層(a)の厚さとその屈折率
との積が層(a)内にカプラー接続しようとする励起光線または測定光線の波長の1〜11/10、好ましくは1〜2/3、であることが好ましい。
【0073】
励起光線または測定光線を光学的導波路にカプラー接続させるための多数の方法が知られている。自己−支持性導波路までの相対的に厚い導波路層の場合には、適当な数値の口径のレンズを使用することにより、光線を該導波路の端部面に該光線が全ての内部反射により案内されるような方法で焦点を合わせることが可能である。導波路層厚さより大きい横幅を有する導波路の場合には、円筒形レンズをこのために使用することが好ましい。該レンズは導波路から空間的に離し配置することおよびそれに直接連結して配置することの両方が可能である。比較的薄い導波路層厚さの場合には、端部面カップリングのこの形態はあまり適していない。この場合には、好ましくは隙間なしに導波路に連結されるかまたは屈折率−調整用液体を通して導波路と連結されているプリズムによるカップリングを使用することがより良い。励起光線を光ファイバーを介して光学的導波路に供給しそして該励起光線を端部面を介してカプラー接続するかまたは異なる導波路で導波路中に両方の導波路をそれらの消失場が重複してエネルギーを移すことができるようにすることによりカプラー接続された光線の上にカプラー接続することも可能である。
【0074】
従って、コーティングしようとする基質の別個のまたは連続的な導波路領域が該基質を用いる親和性検定の検出段階中に1つもしくはそれ以上の光源の励起光線または測定光線中でのカップリング用の1つもしくはそれ以上の光学的カップリング要素と光学的に相互作用するように製造されることが好ましく、ここで該光学的カップリング要素はプリズムカプラー、互いに接触しそして重複する消失場を有する光学的導波路を有する消失カプラー、基質の導波路層の端部側面の前部に配置された焦点合わせレンズ、好ましくは円筒状レンズ、を有する端部面カプラー、並びに格子カプラーよりなる群から選択される。
【0075】
コーティングしようとする基質の別個のまたは連続的な導波路領域が励起光線または測定光線が該基質の導波路層にカプラー接続可能にする1つもしくはそれ以上の構造(c)、および/または励起光線または測定光線が該基質の導波路層にカプラー接続可能にする1つもしくはそれ以上の構造(c’)と接触することが特に好ましく、ここで同時に基質上に存在する格子構造(c)および(c’)は同一もしくは相異なる格子周期を有することができる。
【0076】
該格子構造は好ましくは、例えば長方形、三角形、鋸歯形、半円形もしくはシヌソイド特徴の如きいずれかの特徴を有するレリーフ格子、または本質的に平坦な層(a)内の屈折率の周期的調整のある位相格子もしくは大量格子、である。格子構造(c)は好ましくは表面レリーフ格子として設計される。
【0077】
格子構造(c)および(c’)は単−または多回折性であることができそして2nm−100nm、好ましくは10nm−30nm、の深さおよび200nm−1000nm、好ましくは300nm−700nm、の周期を有することができる。格子線のスラート幅対格子周期の比は0.01〜0.99の間であることができ、0.2〜0.8の間の比が好ましい。
【0078】
第一の光学的に透過性である層(a)の屈折率が1.8より大きいことが好ましい。第一の光学的に透過性である層(a)が窒化珪素、TiO、ZnO、Nb、Ta、HfO、およびZrO、特にTiO、TaまたはNb、を含んでなる群の物質を含んでなることも好ましい。
【0079】
コーティングしようとする基質の第二の光学的に透過性である層(b)がシリケート類、例えばガラスもしくは石英、透明な熱可塑性の成型可能な、注入−成型可能なもしくは粉砕可能なプラスチック、例えばポリカーボネート類、ポリイミド類、アクリレート類、特にポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン類、シクロ−オレフィン重合体およびシクロ−オレフィン共重合体を含んでなる群の物質を含んでなることが好ましい。
【0080】
基質として適する平坦な光学的薄膜導波路の種々の態様は、例えば、国際特許出願公開第95/33197号パンフレット、国際特許出願公開第95/33198号パンフレット、国際特許出願公開第96/35940号パンフレット、国際特許出願公開第98/09156号パンフレット、国際特許出願公開第01/79821号パンフレット、国際特許出願公開第01/88511号パンフレット、国際特許出願公開第01/55691号パンフレットおよび国際特許出願公開第02/79765号パンフレットに記載されている。該特許出願に記載されそしてそこでセンサー台と一般的に称する特定基質の態様並びにそれらを用いて分析試料検出の実施方法およびこれらの出願文献の内容は引用することにより本発明の内容となる。
【0081】
本発明のコーティング装置の好ましい態様群は、コーティングしようとする基質が1つもしくはそれ以上の分析試料を1つもしくはそれ以上の励起ルミネッセンス事象の検出による親和性検定により検出可能にすることにより特徴づけられる。
【0082】
他の態様群は、コーティングしようとする基質が1つもしくはそれ以上の分析試料を該基質の表面上での近接する場(消失場)内の有効屈折率の変化の検出による親和性検定により検出可能にすることにより特徴づけられる。
【0083】
本発明はさらに、1つもしくはそれ以上の分析試料を親和性検定方法により検出するための基質をコーティングする方法であって、
−コーティングしようとする該基質が上記態様のいずれかに従うコーティング装置の支持体内に置かれ、
−該コーティング装置の液体容器内に存在する液体が霧状にされそして
−霧状にされた液体内に存在する物質(化合物)が発生した噴霧からコーティングしようとする基質の上に沈着し、
ここで基質が霧状化される液体の表面と接触しない
ことを特徴とする方法にも関する。
【0084】
該液体内部で超音波の作用により霧状化される液体の上で噴霧を作成することが好ましい。それに準じて、該作動器が超音波を発生するように作用することが好ましい。
【0085】
例えば圧電結晶、振動膜などを用いて、超音波を発生するための種々の工業的方法が知られている。該作動器が超音波発生器の膜を含んでなりそして液体が内部で発生した超音波により霧状にされることが好ましい。
【0086】
該作動器を操作中に霧状化される液体の中に浸漬することがさらに好ましい。好ましくは、該作動器は完全に霧状化される液体の中にある。
【0087】
霧状化される液体上で作用する超音波の強度および周波数を適当な手段により調節および/または測定できることもさらに有利である。
【0088】
コーティング装置が霧状化される液体の跳ね返りおよび大きな小滴がコーティングしようとする基質と接触するのを予防する小滴沈殿器を含んでなることも好ましい。「大きな」小滴は、200μmより大きい直径を有する小滴を意味する。小滴沈殿器は気体および噴霧に不透過性でありうる。例えば、小滴沈殿器は閉鎖された固体物体でありうる。小滴沈殿器が凹面鏡の幾何学的形状を有することが有利でありうる。使用できる小滴沈殿器の例は円筒形天井造りのガラスボール(凹面を有する)である。
【0089】
使用される小滴沈殿器は規定された寸法までの小滴に対しても透過性でありうる。これは技術的には、そのメッシュ寸法がその中に入る小滴の最大寸法を決めるような微細−メッシュ網目構造を含んでなる該小滴沈殿器により、実行できる。
【0090】
基質の非常に均一で且つ均質なコーティングを作成するための主要目的に合わせるためには、作成されそして基質上に該基質の周辺で沈着させようとする噴霧の均一な分布を生ずるための手段を本発明のコーティング装置がさらに含んでなることも有利である。
【0091】
このためには、例えば、コーティング装置が気体を装置の容器内に通す少なくとも1つの気体入口をさらに含んでなることが役立ち、その気体が作成された噴霧と混ざる。この装置は気体および/または噴霧を放出するための1個もしくはそれ以上の出口をさらに含んでなりうる。
【0092】
作成されそして基質上に該基質の周辺で沈着させようとする噴霧の均一な分布が該基質の周辺でベンチレーターにより生ずることもコーティングの均一性および均質性にとっては有利でありうる。
【0093】
コーティング工程中の一定であり且つ明白な条件を確実にするためには、本発明のコーティング装置が霧状化される液体および/または液体容器の個別のもしくは全ての壁の温度を制御および/または調節するための手段をさらに含んでなることも有利でありうる。コーティング工程中に基質を受容および/または貯蔵するためのコーティング装置の支持体を恒温化されうることも好ましい。
【0094】
同じ理由のために、コーティング装置はコーティング工程中に液体容器内部の圧力を制御および/または調節するための手段もさらに含んでなりそして圧力はコーティング工程中に調節および/または変動されうることもさらに有利でありうる。
【0095】
特に、基質のコーティングの均一性および均質性を保証して適当な予防的手段にも関わらず依然として存在する本発明の装置の容器内で作成される噴霧の不均質性の影響を除くためには、コーティング工程中に支持体面に垂直な軸の上で基質を回転させることもさらに有利である。
【0096】
コーティング工程中に支持体内に貯蔵される時に、基質を霧状化される実施例他の表面から離れて対面するそれらの側面/表面上でコーティングすることが好ましく、ここで他の表面上のコーティングは必ずしも妨げられない。
【0097】
本発明の方法の特別な変法は、本発明のコーティング方法において本発明のコーティング装置を使用することによる1種もしくはそれ以上の場合により異なっていてもよい液体の順次霧状化により幾何学的に構成されたコーティングを作成することも可能である。その幾何学的形状を再現できる基質上でコーティングされた領域を作成するための予備条件はここでは、対応する適当なマスクによりコーティングされない基質の領域を各場合とも流動的密封方法で覆って噴霧小滴がコーティングしようとしない領域に到達できないようにすることである。
【0098】
コーティングしようとする基質をコーティング装置の支持体内に本質的に水平に貯蔵することが好ましい。
【0099】
コーティング装置が霧状化される液体の表面とコーティングしようとする基質の表面と
の間の距離の制御された調整および/または変動用の手段をさらに含んでなりそれにより該液体とコーティング工程期間にわたりコーティングしようとする液体表面との間のはっきりした距離を設定することも有利である。
【0100】
霧状化される液体の消費量を減ずるためには、液体容器の壁に沈着した液体を収集しそして該液体を霧状化される液体に逆に再循環させることも好ましい。
【0101】
液体容器は好ましくは、気体用の随意の入口並びに気体および/または噴霧用の随意の別の出口から離れて、閉鎖される。
【0102】
霧状化される液体は好ましくは、3cPより低い粘度を有する低粘度液体である。それらは特に水溶液でありうる。しかしながら、霧状化される液体は有機、特にアルコール、溶液でもありうる。
【0103】
さらに、コーティングしようとする基質が本質的に平坦であることも好ましい。
【0104】
コーティングしようとする基質は単一(自己−支持性)層、例えば、ガラススライド、または多層よりなりうる。
【0105】
コーティングしようとする基質の少なくとも1つの層が入射励起光線または測定光線の伝達方向において本質的に光学的に透過性であることが好ましい。
【0106】
入射励起光線または測定光線の伝達方向において本質的に光学的に透過性であるコーティングしようとする基質の少なくとも1つの層は、例えば、シリケート類、例えばガラスもしくは石英、透明な熱可塑性の成型可能な、注入−成型可能なもしくは粉砕可能なプラスチック、例えばポリカーボネート類、ポリイミド類、アクリレート類、特にポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン類、シクロ−オレフィン重合体およびシクロ−オレフィン共重合体を含んでなる群から選択される物質を含んでなる。
【0107】
本発明のコーティング装置の特定態様では、コーティングしようとする基質は、適宜下部中間層の上に、好ましくは金または銀製の、好ましくは<1.5の屈折率を有する、薄い金属層を含んでなり、ここで該金属層およびありうる中間層の厚さは表面プラズモンが入射励起光線の波長においておよび/または発生したルミネッセンスの波長において励起されうるように選択される。
【0108】
コーティングしようとする基質が1つもしくはそれ以上の層を含んでなる光学的導波路を含んでなることが好ましい。該基質は全体にわたり光学的導波路として設計されてもよくまたは別個の導波路領域を含んでなっていてもよい。
【0109】
コーティングしようとする基質の連続的なまたは別個の導波路領域が基質のコーティングしようとする表面を含んでなることが一般的に好ましい。
【0110】
コーティングしようとする基質が本質的に光学的に透過性である導波路層(a)を層(a)より低い屈折率を有する第二の同様に本質的に光学的に透過性である(b)の上に、そして適宜同様に本質的に光学的に透過性である中間層(b’)を層(a)と同様に層(a)より低い屈折率を有する層(b)との間に有する平坦な光学的薄膜導波路を含んでなることが好ましい。
【0111】
コーティングしようとする基質の別個のまたは連続的な導波路領域が該基質を用いる親和性検定の検出段階中に1つもしくはそれ以上の光源の励起光線または測定光線中でのカ
ップリング用の1つもしくはそれ以上の光学的カップリング要素と光学的に相互作用するように製造されることが好ましく、ここで該光学的カップリング要素はプリズムカプラー、互いに接触しそして重複する消失場を有する光学的導波路を有する消失カプラー、基質の導波路層の端部側面の前部に配置された焦点合わせレンズ、好ましくは円筒状レンズ、を有する端部面カプラー、並びに格子カプラーよりなる群から選択される。
【0112】
コーティングしようとする基質の別個のまたは連続的な導波路領域が励起光線または測定光線が該基質の導波路層にカプラー接続可能にする1つもしくはそれ以上の構造(c)、および/または励起光線または測定光線が該基質の導波路層にカプラー接続可能にする1つもしくはそれ以上の構造(c’)と接触することが特に好ましく、ここで同時に基質上に存在する格子構造(c)および(c’)は同一もしくは相異なる格子周期を有することができる。
【0113】
第一の光学的に透過性である層(a)の屈折率が1.8より大きいことが好ましい。第一の光学的に透過性である層(a)が窒化珪素、TiO、ZnO、Nb、Ta、HfO、およびZrO、特にTiO、TaまたはNb、を含んでなる群の物質を含んでなることも好ましい。
【0114】
コーティングしようとする基質の第二の光学的に透過性である層(b)がシリケート類、例えばガラスもしくは石英、透明な熱可塑性の成型可能な、注入−成型可能なもしくは粉砕可能なプラスチック、例えばポリカーボネート類、ポリイミド類、アクリレート類、特にポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン類、シクロ−オレフィン重合体およびシクロ−オレフィン共重合体を含んでなる群の物質を含んでなることが好ましい。
【0115】
本発明のコーティング装置の好ましい態様群は、コーティングしようとする基質が1つもしくはそれ以上の分析試料を1つもしくはそれ以上の励起ルミネッセンス事象の検出による親和性検定により検出可能にすることにより特徴づけられる。
【0116】
他の態様群は、コーティングしようとする基質が1つもしくはそれ以上の分析試料を該基質の表面上での近接する場(消失場)内の有効屈折率の変化の検出による親和性検定により検出可能にすることにより特徴づけられる。
【0117】
本発明の方法の1つの態様群は、基質上に沈着させようとする層が付着−促進層であることにより特徴づけられる。
【0118】
ここでは該付着−促進層が200nmより薄い、特に好ましくは20nmより薄い、厚さを有することが好ましい。
【0119】
本発明のコーティング方法における付着−促進層を製造するためには多くの化合物が適する。例えば、該付着−促進層はシラン類、官能化されたシラン類、エポキシド類、官能化された、荷電されたまたは有極性の重合体および「自己−組み立て受動的または官能化された単−もしくは多層」、チオール類、アルキルリン酸エステル類およびアルキルホスホン酸エステル類、多官能性ブロック共重合体、例えば、ポリ(L)リシン/ポリエチレングリコール類を含んでなる群からの化学化合物を含んでなりうる。
【0120】
本発明の方法は、1つもしくはそれ以上の分析試料を親和性検定方法により(供給された溶液からの結合相手と固定された結合相手との結合を用いて)検出するための1つもしくはそれ以上の特異的な結合相手が基質の表面上で固定化されることにより特徴づけられる。
【0121】
これらの特異的な結合相手は本発明のコーティング方法により適用される付着−促進層にまたは基質のコーティングされていない表面に直接適用することができ、ここで、好ましくは本発明の方法に従うその後のコーティング段階において、特異的な結合相手を含まない表面の残りの領域には不動態化層(以下参照)が付与される。
【0122】
本発明の方法の広く適用可能な態様では、該基質の表面上で固定される特異的な結合相手は供給された試料内に存在する1つもしくはそれ以上の分析試料を特異的に認識するための生物学的もしくは生化学的または合成認識要素である。
【0123】
これに関すると、この種類の別の特異的な認識要素は各場合とも異なる別個の測定領域においてできるだけ高純度の形態で存在しているため、一般的には試料からの異なる分析試料は異なる認識要素を含有する測定領域と結合する。測定領域のそのような列は「捕獲領域」とも称する。
【0124】
異なる認識要素の物理化学的性質(例えば極性)は多少強く異なるため、別個の測定領域内で共通の固体支持体上で、適宜それに適用される付着−促進層上で、例えば吸着または共有結合により該認識要素の最適な固定のための条件にも対応して差異がある。従って、複数の異なる認識要素の固定用に選択される不動態化条件(例えば、付着−促進層のタイプ)は全ての認識要素に関して同時に最適であることは難しいが、種々の認識要素の不動態化性質間の単なる妥協点でありうる。
【0125】
この種類の検定の別の欠点は、複数の異なる試料内での分析試料の検出は共通のまたは別個の支持体上で異なる試料が供給される対応する数の認識要素の別個の列の用意が一般的に必要であることである。これは、複数の異なる試料を試験するためには製造が比較的複雑である大量の別個の列の必要性を意味する。
【0126】
引用することにより本発明の内容となる国際特許出願公開PCT/EP03/09561およびPCT/EP03/09562は、複数の試料を列内で共通支持体上で同時に該試料内に存在する分析試料に関して処理可能にする新規な検定設定を提唱している。この目的のためには、異なる特異的な認識要素でなく、試験しようとする試料自体が、未処理のまままたは非常にわずかな準備段階後に、検定において別個の測定領域内の基質に適用される。挙げられた2つの出願文献はそのような検定設定を「逆転検定構成」と称する。
【0127】
本発明の方法の別の広く適用可能な態様は従って、該基質の表面上で固定された特異的な結合相手が1つもしくはそれ以上の分析試料自体であり、それらが天然試料マトリックス内に埋め込まれるかまたは試料マトリックスの形態のいずれかで不動態化され、それらが1つもしくはそれ以上の処理段階により変更されていたことにより特徴づけられる。
【0128】
該結合相手、すなわち検出しようとする自己−固定化された分析試料もしくは供給される試料内で検出しようとする分析試料および/または固定されているかもしくは供給される検出試薬内に供給されるそれらの生物学的もしくは生化学的または合成認識要素、が蛋白質、例えばモノ−もしくはポリクローン抗体および抗体断片、ペプチド類、酵素、グリコペプチド類、オリゴ糖類、レクチン類、抗体用の抗原、追加結合部位で官能化された蛋白質(「タグ蛋白質」、例えば、「ヒスタミン−タグ蛋白質」)並びに核酸類(例えばDNA、RNA、オリゴヌクレオチド類)および核酸同族体(例えばPNA)、アプタマー類、膜−結合されそして単離された受容体およびそれらの配位子、分子印を受容するための化学合成により作成された空洞、天然および合成重合体などよりなる群から選択されうる。
【0129】
これに関すると、基質の表面に適用される特異的な結合相手はいずれかの幾何学的形状
、例えば、円形、楕円形、三角形、長方形、多角形などの形状、を有する個別の測定領域(点)内で固定化され、ここで個別の測定領域は同一もしくは相異なる特異的な結合相手を含有できる。
【0130】
別個の測定領域が該基質に対する特異的な結合相手の空間的に選択性の適用により、好ましくは「インクジェット滴下」、機械的滴下、「微細接触印刷」、作成される測定領域を固定しようとする化合物との、圧力差または電気もしくは電磁ポテンシャルの作用により後者を平行または交差している微細経路に供給することによる、流体接触、並びに光化学および光リトグラフィー固定方法を含んでなる方法群からの1つもしくはそれ以上の方法を用いることにより、作成することが好ましい。
【0131】
上記のように、基質表面の固定された特異的な結合相手を含まない領域内での分析試料分子またはそれらの検出試薬の非特異的結合を最少にする目的のためには、分析試料に対しておよび/またはその結合相手に対して「化学的に中性である」化合物が空間的に離れた測定領域間にまたは該測定領域内の占有されていない小区分に適用されることが好ましい。好ましくは、分析試料に対しておよび/またはその結合相手に対して「化学的に中性である」これらの化合物はアルブミン類、特にウシ血清アルブミンもしくはヒト血清アルブミン、カゼイン、非特異的なポリクローンもしくはモノクローン性の異種抗体または検出しようとする1つもしくは複数の分析試料に対して経験的に非特異的である抗体およびそれらの結合相手(特に免疫検定用)、洗剤−例えば、ツイーン20−、分析しようとするポリヌクレオチド類にハイブリッド形成しない断片化された天然もしくは合成DNA、例えば、ニシンもしくは鮭精子の抽出物(特にポリヌクレオチドハイブリッド形成検定用)、または無変化であるが親水性の重合体、例えば、ポリエチレングリコール類もしくはデキストラン類を含んでなる群から選択される。
【0132】
本発明は従って、基質上に沈着した層が空間的に離された測定領域の間にまたは該測定領域内の占有されていない部分的領域の中に適用される不動態化層であり、該測定領域が作成された後に分析試料に対しておよび/またはその結合相手に対して「化学的に中性であり」そして好ましくは、例えば、好ましくはアルブミン類、特にウシ血清アルブミンもしくはヒト血清アルブミン、カゼイン、非特異的なポリクローンもしくはモノクローン性の異種抗体または検出しようとする1つもしくは複数の分析試料に対して経験的に非特異的である抗体およびそれらの結合相手(特に免疫検定用)、洗剤−例えば、ツイーン20−、分析しようとするポリヌクレオチド類にハイブリッド形成しない断片化された天然もしくは合成DNA、例えば、ニシンもしくは鮭精子の抽出物(特にポリヌクレオチドハイブリッド形成検定用)、または無変化であるが親水性の重合体、例えば、ポリエチレングリコール類もしくはデキストラン類を含んでなる群からの化合物を含んでなる化合物が空間的に離された測定領域の間にまたは該測定領域内の占有されていない部分的領域の中に適用されることを特徴とする、上記態様のいずれかに従う本発明の方法に関する。
【0133】
本発明はまた、親和性検定方法により1つもしくはそれ以上の分析試料を検出するための、付着−促進層を含んでなる、基質であって、該付着−促進層が上記態様のいずれかに従う本発明のコーティング方法により作成されることを特徴とする基質にも関する。
【0134】
本発明は同様に、親和性検定方法により1つもしくはそれ以上の分析試料を検出するための、基質の少なくとも部分的領域を覆うための不動態化層を含んでなる、基質であって、該不動態化層が上記態様のいずれかに従う本発明のコーティング方法により作成されることを特徴とする基質にも関する。
【0135】
本発明はさらに、人間および/または動物の診断における用途のための上記態様のいずれかに従う基質にも関する。
【0136】
本発明を以下で例示態様によりさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0137】
1.本発明のコーティング装置およびコーティング方法
図1は本発明のコーティング装置の図式的表示を示す。この実施例は、特定の結合相手により覆われていない親和性検定方法のために製造された基質の領域に対して、本発明の装置を用いて、「不動態化する」、すなわち「不動態化層」を適用する、ことを意図する。本発明の装置は、この例示態様では霧状化される液体用の容器としての約2リットル容量のそして液体上で発生させようとする噴霧容量の指示計(1)、コーティングしようとする基質を受容するための支持体(2)、液体霧状化のための作動器(3)としての超音波噴霧器(ドイツ、ニュレンベルグの“Lucky Reptile Mini−Nebler”, Reptilica, D−9043)、小滴沈殿器(4)としての円筒形天井造りのガラスボール並びに気体および/または発生した噴霧用の入口(5)および出口(6)を含んでなる。
【0138】
操作中、超音波発生器を霧状化される液体(7)の中に浸漬する。必要な液体容量を最少にするためには、この実施例の態様は乾燥器の底に固定された超音波発生器をそこにある音−発生振動膜のすぐ下まで注入されたポリジメチルシロキサン(PDMS)の中に埋め込むことを含んでなるため、霧状化される液体の薄層の適用だけが必要である。
【0139】
生じた噴霧の非常に均質な分布を全容器内で生ずるためには、液体の高さの上に上昇する超音波作用により発生した非常に微細な小滴を容器内に入口(5)を介して導入される弱い窒素流の助けでさらに乱流にあてる。
【0140】
コーティングしようとしそして14mmの外径を57mmの幅で0.7mmの厚さで有する基質としての平坦な光学的薄層の導波路がコーティング中に支持体(2)内に液体表面から約8cm上の距離に(液体表面に関して)水平に貯蔵される。この実施例では、支持体はプラスチック製の支持体として設計されそして穴が付与されているため、噴霧から沈着した過剰の液体がこれらの穴を通して放出しうる。この例示態様では、支持体は上記寸法を有する基質としての10個の薄層の導波路を受容しうる。
【0141】
この実施例では、小滴沈殿器としての円筒形天井造りのガラスボールが支持体(2)の下側に連結されそしてコーティングしようとする基質が噴霧溶液(コーティング溶液)からの跳ね返るのを遮断する。
【0142】
発生した非常に均質に分布された噴霧を、この実施例では(コーティング装置内の貯蔵に関して)頂部に配置された高屈折率の導波路層(a)を有する基質の上に非常に小さい小滴の形状で沈着し、そして非常に薄い連続的な液体膜がこれらの基質の頂部に5〜10分間以内でも生成する。30分間にわたる合計インキュベーション時間後に、基質をコーティング装置から除去し、高純度の流水(ミリポア(Millipore))で注意深くすすぎそして引き続き窒素流の中で乾燥する。
【0143】
この実施例では、基質としての上記寸法の薄層の導波路に関しては約2ml容量の(霧状化される液体の)不動態化溶液が必要である。
【0144】
2.一般的なコーティング方法の実施
2.1.基質
その後にそれらを用いて実施しようとする親和性検定方法のために使用される基質はこの実施例では平坦な光学的薄層の導波路であり、各場合とも14mmの外径を57mmの
幅で0.7mmの厚さで有する。該基質は各場合ともガラス基質(AF45)およびそれに適用される五酸化タンタルの薄い(150nm)高屈折率層を含んでなる。ガラス基質の中では、2つの表面レリーフ格子(格子間隔:318nm、格子深さ:(12+/−2)nm)が9mmの距離で縦方向に調整されており、それらは光を高屈折率層にカプラー接続させるための回折格子として機能することが意図される。
【0145】
自発的な自己組立てにより形成されるモノ−ドデシルホスフェート(DDP)の単層が該基質の金属酸化物層の表面に付着−促進層として適用される。該付着−促進層が付与された基質表面は高い疎水性により特徴づけられる。各場合において、それらの部分に関して各場合とも16列および9カラムで配置されている各場合とも144個の別個の測定領域(点)の6つの同一微細列が疎水性の付着−促進層が付与された基質にインキジェットスポッター(モデルNP1.2、GeSiM、グロッサークメンスドルフ、ドイツ)を用いることにより適用される。チップ表面に約350pLの単一小滴を適用することにより各点が作成される。
【0146】
2.2 試薬および基質上の測定領域の列の作成
この実施例は製造された基質上にその後の親和性検定方法でそれら自体を検出しようとする分析試料を固定することを意図し、これらの分析試料は天然の試料マトリックス内にまたは数回の試料調合段階により製造された試料マトリックス(細胞溶解物)内に埋め込まれる。試料のこれらの形態は以下では「天然−同一試料」とも称する。さらなる検出試薬を供給した後に検出段階を次に行うことが意図される。
【0147】
「天然−同一」試料内での生物学的に関連する蛋白質分析試料の検出はヒト結腸癌細胞系統(HT29)を使用する。これらの付着細胞をプラスチック製の一般的な細胞培養フラスコ(グレイナー・バイオ−ワン(Greiner Bio−One)、セント・ガレン(St Gallen)、スイス、触媒番号658170)内の変更マッコイ(McCoy’s)5A培地の中で37℃で培養する。同一種類の種々の細胞培養フラスコの細胞培養物に次に紫外線を10分間にわたり照射するかまたは10μMのドキソルビシンで処理する。未処理のままでありそして分析検出方法において負の対照として機能するその他の点では同一である細胞培養物を該処理細胞培養物の比較試料として使用する。
【0148】
処理後に、種々の細胞培養物を各場合とも10mlのPBS(ホスフェート−緩衝食塩水、4℃に冷却される)で洗浄する。
【0149】
細胞を次に細胞培養フラスコの底から剥がしそして同時に7Mのウレア、2Mのチオウレアおよびコンプリート(Complete)(プロテアーゼ阻害剤、ロシェ(Roche)AG、1錠/50ml)を含有する溶解物緩衝液を加えることにより完全に溶解させると、全ての蛋白質細胞成分が自発的に変性しそして溶解する。この方法で得られた細胞溶解物を13000×gでベンチ遠心器(エッペンドルフ(Eppendorf)、ハンブルグ、ドイツ)の中で5分間にわたり遠心して不溶性細胞成分(例えばDNAおよび細胞膜断片)を除去する。上澄み液を除去しそして典型的には5mg/ml〜10mg/mlの間の合計蛋白質濃度でその後の測定用に使用する。
【0150】
HT29細胞培養物の上記の処理が、すなわち、紫外線照射の場合には、特に連鎖破壊およびチミン二量体の生成により、そして、ドキソルビシン添加の場合には、DNAの近隣塩基間のそのインターコレーション(intercolation)により、DNAに対する損傷をもたらす。その結果、損傷細胞内部の特定信号経路が活性化または不活性化され、それらが例えばプログラムされた細胞死滅(アポプトシス)を引き起こしうる。活性化または不活性化信号経路の原因は特定の重要蛋白質(「マーカー蛋白質」)であり、それらが1つもしくはそれ以上の信号経路を1つもしくはそれ以上の異なる部位において
ホスホリル化により調節する。
【0151】
マーカー蛋白質による信号経路の調節の例は腫瘍抑制剤蛋白質p53であり、それはホスホリル化度により細胞分割、アポプトシスおよび損傷DNAを修復するためのある種の機構に向かわせる。癌細胞内では、該信号経路の調節は特定のまたは数種の部位において突然変異または1つもしくはそれ以上のマーカー蛋白質の不存在によりしばしば中断され、そしてこれが最終的には未制御成長の原因となりうる。
【0152】
細胞溶解物内の分析試料として固定しようとするこれらの蛋白質に結合され、得られておりそしてさらに(上記の如く付着−促進層を適用した後に)基質上で直接処理された高度に特異的な抗体を用いてp53およびP−p53(p53のホスホリル化形態)の相対的含有量が検出されそして測定された。
【0153】
得られた細胞溶解物を約0.4mg/mlの合計蛋白質濃度に10−20の因子だけ希釈しそして引き続き付着−促進層が付与された基質としての薄層の導波路の金属酸化物表面上に測定領域の列を作成するために別個の測定領域内に適用する。それに適用された細胞溶解物を含有する測定領域の他に、各微細列は内部で固定されたCy5蛍光標識の付いたウシ血清アルブミンを含有するさらなる測定領域を含んでなり、それらは測定中の励起光線強度の時間に関する局部的な差異および/または変動の対照(「対照点」)として使用される。Cy5−BSAは7Mのウレア、2Mのチオウレアの中に0.5nMの濃度で適用される(標識付け割合:1個のBSA分子当たり3Cy5分子)。
【0154】
図2は二次元列における測定領域の配置および基質上の6つの(同一)列の線状配置の形状を示す。点は300μm離され(中心対中心)そして約120μmの直径を有する。これらの実施例に関する測定領域の列は各場合とも4回重複で適用される12個の試料を含有する測定領域の配置を含んでなり、4つの同一測定領域は各場合とも検出段階中にこれらの基質の導波路層内に案内される光線の伝達方向に垂直な共通のカラム内に配置される。各場合とも4つの測定領域が測定領域の列内の測定信号の再現性の測定を助けるために意図される。(対比目的のために)それに適用されたCy5−BSAを含有する測定領域のカラムは各場合ともそれに適用される分析しようとする試料を含有する測定領域のカラムの間にそして次に配置される。この実施例における本発明の分析台は図2に示されている通りにこの種類の測定領域の6つの同一列を含んでなる。
【0155】
2.3 測定領域間および内の自由領域の不動態化
「天然−同一」試料およびCy5−BSAが適用された後に、基質を無塵雰囲気の中で乾燥し、その後にさらなる段階において基質の自由な覆われていない疎水性表面領域をウシ血清アルブミン(BSA)で飽和させて、検出試薬、この場合には抗体および/または蛍光標識分子、の所望されない非特異的結合を最少にする。
【0156】
以上の1.で記載された発明の表面不動態化方法を、全ての場合に新たに濾過された不動態化溶液(50mMのイミダゾール、100mMのNaCl、3%のBSA(w/v)pH7.4)を用いて、2つの他の方法(2.3.1.浸漬方法および2.3.2.噴霧方法)と比較する。自由表面を1.および以下でそれぞれ記載された方法により不動態化した後に、引き続き行おうとする親和性検定の一部としての測定まで基質は密封されたポリスチレン管の中で4℃に保たれる。
【0157】
2.3.1.浸漬方法
基質としての平坦な光学的薄層の導波路を不動態化溶液が充填された容器(ポリスチレン管)の中に垂直に滴下して、該基質の全表面を可能なら同時に且つ迅速に湿らせる。室温における1時間にわたるインキュベーション後に、基質を最高純度の流水(ミリポア)下で注意深くすすぎそして次に窒素流(等級50)の中で乾燥する。基質としての示され
た寸法のそれぞれの薄層の導波路は約25ml容量の不動態化溶液を必要とする。
【0158】
2.3.2.噴霧方法
不動態化溶液をここでは基質上にクロマトグラフィー噴霧器(グラス・ケラー(Glas Keller)Cat.No.12.159.603、バゼル、スイス)および約3.5バールの圧力により、連続的な液体膜がコーティングしようとするそれらの表面上に形成するまで、噴霧する。噴霧器の出口ノズルと基質表面との間の距離はここでは約30cmである。この方法で処理された基質を次に密封容器内で室温および100%湿度において1時間にわたりインキュベートし、次に最高純度の流水(ミリポア)下で注意深くすすぎそして次に窒素流(等級50)の中で乾燥する。基質としての示された寸法のそれぞれの薄層の導波路は約3ml容量の不動態化溶液を必要とする。
【0159】
3.親和性検定
3.1.検定設定
別個の測定領域内に適用される固定された細胞溶解物中の一般的には特定蛋白質(すなわち、例えば、ホスホリル化ありもしくはなし)のまたは特に活性化された(例えばホスホリル化された)形態での特定蛋白質の検定は、生じた蛍光信号を測定する前に対応する検出試薬:第一検定段階用の調剤中、ポリクローン性の分析試料−特異的ウサギ抗体(両方ともセル・シグナリング・テクノロジー・インコーポレーテッド(Cell Signaling Technology, INC.)、べバリー、マサチュセッツ州、米国から得られる抗体である抗体A1(#9282):抗−p53;抗体A2(#9284)を順次加え、:抗−ホスホ−p53(Ser15))を検定緩衝液(50mMのイミダゾール、100mMのNaCl、5%のBSA、0.1%のツイーン20、pH7.4)の中で1:500の比で希釈することにより、行われる。各場合とも30μlのこれらの異なる抗体溶液が各場合とも該6つの測定領域の同一列の1つに適用され、引き続き室温において一晩にわたりインキュベーションされる(第一検定段階)。各列を検定緩衝液(2×200μl)で洗浄することにより過剰の非−特異的に結合された抗体が除去される。
【0160】
固定された細胞溶解物中にそこで含有される別個の測定領域内の結合された分析試料−特異的抗体の検出のために、上記の抗体A1およびA2に結合するアレクサ・フルオア(Alexa Fluor)647−標識付き抗−ウサギFab断片(モレキュラー・プローブス(Molecular Probes)、Cat.No.Z−25308、ライデン、オランダ)を用いて第二検定段階を行う。この蛍光標識付けFab断片を、市販の株溶液から出発して、検定緩衝液の中で1:500の希釈度で列(それぞれ30μl)に適用しそして室温において暗所で1時間にわたりインキュベートする。列を次に検定緩衝液で洗浄し(各場合とも200μlで2回)、非−特定的に結合された蛍光標識付けFab断片を除去する。この方法で製造される分析台を次に、励起による検出段階およびZeptoREADERTM(以下参照)内での生じた蛍光信号の検出まで、貯蔵する。
【0161】
3.2.測定領域の列からの蛍光信号の測定
測定領域の種々の列からの蛍光信号をZeptoREADERTM(ゼプトセンス(Zeptosens)AG、CH−4108、ウィッタースウィル、スイス)を用いて順次にそして自動的に測定する。測定領域の各列に関して、基質としての平坦な光学的薄層の導波路(2.1.に従う)を調整して、光を格子構造(c)を介して導波路用の五酸化タンタル層内へ結合させるための共鳴条件を満たしそして該測定領域内で利用可能な励起光線を最大にする。引き続き、各列に当該列からの蛍光信号の像の使用者により選択されうる番号を付け、ここでは異なる露光時間を選択することが可能である。この実施例のための測定における励起波長は635nmであり、そして蛍光光線をCy5の蛍光波長において冷却されたカメラおよび励起波長における拡散光線を抑制するための妨害フィルター(透過(675±20)nm)を用いて検出し、そのフィルターをカメラレンズの前部に配置する。作成された蛍光像を対照コンピューターの貯蔵ディスク上に自動的に貯蔵する。光学システム(ZeptoREADERTM)のさらなる詳細は引用することにより本発明の一部となる国際特許出願公開第PCT/EP01/10012号パンフレットに記載されている。
【0162】
3.3.評価および対比
測定領域(点)からの平均信号強度を、測定領域の複数列の蛍光像を半自動的に評価可能にする像分析ソフトウエア(ZeptoVIEWTM、ゼプトセンスAG、CH−4108、ウィッタースウィル、スイス)により測定する。
【0163】
カメラの個別画素の元データはデジタル化された測定値の二次元マトリックスを構成しており、個別画素の測定値としての測定強度はその上に突出するセンサー台上の領域に相当する。最初に各点の部分像が個別の二次元格子部品内に入るように二次元(座標)格子を画素値の上に手動的に重ねることにより、データが評価される。この格子部品内で、各点は円形の「評価領域」(当該領域、AOI)で指定され、それは良好に調整可能であるべきでありそしてそれは使用者により規定される半径(典型的には120μm)を有する。像分析ソフトウエアが個別のAOIを個別画素の信号強度の関数として個別に決定し、開始時に使用者により規定される該AOIの半径が保持される。各点の平均合計信号強度は選択される評価領域内で画素値(信号強度)の算術的手段により決められる。
【0164】
背景信号は点間の測定された信号強度から決められる。この目的のためには、1つの点当たり4つのさらなる円形領域(これらは典型的には点の評価領域のものと同一の組み合わせ半径を有する)が背景信号測定用の評価領域として規定され、それらは好ましくは近隣点間の中間に配置される。これらの4つの円状領域の平均背景信号強度は、例えば、このために選択されるAOI内の画素値(信号強度)の算術的平均として測定される。測定領域(点)からの平均正味画素値(信号強度)を次に特定点の局部的平均合計信号強度と局部的平均背景信号強度との間の差として計算する。
【0165】
全ての点の正味信号強度の対比は各場合とも測定領域の各列の対比点(Cy5−BSA)を用いて行われる。この目的のためには、各点の正味信号強度を(消失場センサー台内で案内された光線の伝達方向に平行に配列された)同列の近隣対比点の正味信号強度の平均値により割り算する。該対比が各微細列内および異なる微細列間の両方の光線伝達方向に直角な利用可能な励起光線強度の局部的な差を相殺する。
【0166】
3.4.結果
図3Aはp53を検出するための検定後の微細列の蛍光信号の代表的な像を示し、ここで測定領域間の自由領域は(2.3.1.に従う)浸漬方法により不動態化された。それぞれの個別の対比点内および異なる対比点間の信号強度(Cy5−BSA)は非常に均一に且つ均質に分布され、そしてほぼ理想的な円状点の角は背景に対して鮮明に目立つ(像詳細を参照のこと)。対照的に、固定された細胞溶解物の測定領域は跡のような「汚れ」により同定され、それらは高い信号強度では特にはっきり見ることができる。これらの「汚れ」は、上記のように、しっかりと吸着されずそして不動態化溶液により測定領域から剥がされそしてそのような測定領域のすぐ近くで浸漬と反対方向で流れに沿って自由であるがまだ不動態化されていない基質表面に、後者が不動態化溶液内に含有されるBSAで不動態化されうる前でさえ、吸収される試料の一部により、不動態化溶液内の点が付いた基質の浸漬の瞬間に引き起こされる。測定領域から剥がされておりそして近くで再吸着された試料のこれらの部分はある量の検出しようとする分析試料を常に含有するため、対応する蛍光信号は読み取り中に該部位において可視性になる。
【0167】
図3Bはp53を検出するための検定後の微細列の蛍光信号の代表的な像を示し、ここ
で点間の自由な領域は(2.3.2.に従う)噴霧方法により不動態化された。対比点からの信号は、それらの形態および均一性または均質性並びにそれらの強度の両方に関して、浸漬方法を用いた後の微細列のものに匹敵する。固定された細胞溶解物を含有する測定領域からの信号も同様に、それらの強度に関して、浸漬方法を受けた微細列からの対応する測定された信号に匹敵する。基質表面上の不動態化溶液の流れは噴霧方法では、浸漬方法とは対照的に、無視することができ、細胞溶解物点は上記の「汚れ」を示さないが、より低い蛍光強度を有するより小さい「副生物」だけを示し、それらは準備された点の周りにほぼ不規則的にはっきりと配置されている。該副生物は測定領域の角にしっかり結合されていない細胞溶解物の局部的な剥がれおよび流出によるようであり、その理由はここで沈着する不動態化溶液の小さい噴霧小滴はコーティング表面にぶつかる時に該表面に垂直な無視できない慣性を有するからであり、そしてこれが跳ね返りを生じうる。
【0168】
図3Cはp53を検出するための検定後の微細列の蛍光信号の代表的な像を示し、ここで点間の自由領域が本発明の方法により1.で記載されたように不動態化溶液を噴霧することにより不動態化された。上記の他の方法により不動態化される微細列に匹敵する対比点および細胞溶解物点の高い品質が、かなり良好な均質性および形状と共に、ここでは顕著である。重力作用の影響、寸法が噴霧により製造される小滴のものより顕著に小さい非常に微細な噴霧小滴の形態での不動態化溶液の適用とは別に、本質的に指定されず且つ慣性のないために、細胞溶解物点の「汚れ」または「副生物」はここでは回避できる。
【0169】
固定された試料からの成分を含まない表面を不動態化する効果、すなわち不動態化溶液中に含有されるBSAによる非特異的結合を抑制する程度、は点のない領域(点間、「背景信号」)で測定される信号強度から半定量的に測定することができる。従って、BSAを含まない表面に対する検定で使用された蛍光標識付けされた検出試薬(アレクサ(Alexa)647抗−ウサギFab)の少なくとも部分的に起きる非特異的結合により、BSAで不完全に覆われた表面はBSAで全部がコーティングされた表面より高い信号を与えるであろう。
【0170】
図4Aはそこで発生した微細列を含有する自由基質表面の全ての点間で測定された背景信号強度の平均および標準偏差を示し、その表面は3種の方法により不動態化されていた。文字A、BおよびCは、図4B、図5Aおよび図5Bでそうであるように、それぞれ、浸漬方法(A)、噴霧方法(B)および不動態化溶液を霧状にすることによる方法(C)をさす。測定された(より低い)背景信号強度に基づくと、不動態化効果は驚くべきことに噴霧方法および本発明の霧状化方法を用いる処理後には表面不動態化のための浸漬方法の適用後より顕著に高いことが示された。さらに、背景信号強度の標準偏差は、11−12%で、噴霧方法または本発明の霧状化方法を適用した後には表面不動態化用に浸漬方法を使用した後よりも各場合とも顕著に小さく、後者は34%の背景信号強度の標準偏差を生ずる。これが、コーティングの均一性または均質性も噴霧方法または霧状化方法を適用した後には浸漬方法を用いた後よりも高いことを結論づける。
【0171】
図4Bは微細列の全ての対比点の蛍光強度の平均を示し、ここで対応する基質の自由表面は3種のコーティング方法で再び処理された。この比較は驚くべきことに、信号強度は浸漬方法を適用した後の信号と比べて噴霧方法を適用した後にはわずかに増加しそして霧状化方法を適用した後には顕著に(すなわち約60%ほど)増加することを示す。これらの差は、対比用に適用されたCy5−BSA化合物を部分的に剥がすことが可能であるような適用される不動態化溶液の量における減少に、並びに霧状化方法の場合には不動態化溶液の事実上慣性がない適用に起因する。
【0172】
図5Aは、基質表面が各場合とも異なる不動態化方法で処理されそして次に抗体A1(抗−p53)(図5A、頂部)およびA2(抗−ホスホ−p53)(図5A、底部)の溶液と共に、そして次に各場合とも蛍光検出による検出のためにアレクサ647フルオロ(Fluor)抗−ウサギFab断片と共にインキュベートする。測定された蛍光信号強度は各細胞溶解物内の相対的な分析試料含有量と相関する(細胞溶解物濃度に対応する;より高い信号はより高い分析試料濃度に対応し、相関性は明らかに線状でない)。
【0173】
予備処理なしの対照試料(各場合とも図5Aおよび図5Bにおいて「対照」として示される)と比較すると、紫外線で処理されたHT29細胞培養物の溶解物(各場合とも図5Aおよび図5Bにおいて「+UV」として示される)並びに特にドキソルビシンで処理されたHT29細胞培養物のもの(各場合とも図5Aおよび図5Bにおいて「+Dx」として示される)は関連細胞内でのこの蛋白質の発現における増加により引き起こされる顕著に増加したp53含有量を示す。
【0174】
対照的に、図5Bは紫外線で処理された試料内のホスホ−p53含有量も同様に対照試料と比べて顕著に増加するが、ドキソルビシンで処理された試料内のホスホ−p53含有量は対照試料よりわずかだけ高い(0.2mg/mlから0.4mg/mlまでの溶解物濃度の場合)かまたは低いこともある(0.1mg/mlの溶解物濃度の場合)ことを示す。これは、ホスホ−p53が重要な調節蛋白質であるDNA損傷により誘発される信号経路はこの細胞系統において紫外線による処理に明らかに応答するがドキソルビシンによる処理には明らかに弱くだけ応答することを示す。
【0175】
自由基質表面を不動態化するために使用される異なる方法の影響に関しては、分析試料検出用に測定領域からの測定された信号強度は、実験(誤差棒)による変動を考慮に入れると、統計学的に有意に異ならず、すなわちそれらは表面不動態化用のために使用されるコーティング方法に依存しないことが必須である。これは、−対比用に使用されるCy5−BSA化合物に対する影響とは明らかに対照的に−異なる不動態化方法は基質に吸着される細胞溶解物に対する影響に関しては異ならないことを意味する。
【0176】
まとめると、これらの結果は霧状化により基質表面に不動態化溶液を適用するための本発明の方法は従来の浸漬方法とはそして噴霧方法とも対照的に顕著な利点を与え、そして出された要求を完全に満たす。以上の例示態様で説明される表面不動態化用の基質コーティング方法は適用な付着−促進層を有するコーティングに直接適用可能でありそしてこの方法で普遍化されうることは当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】図1は本発明のコーティング装置を図式的に示す。
【図2】図2は二次元列(「微細列」)内の12個の異なる適用された試料を有する測定領域の配置および共通基質上の6つの列の線状配置の幾何学的形状を示す。
【図3】図3A−図3Cは微細列の蛍光信号を各場合とも指示された像の詳細の拡大図(下部)と共に示し、ここでは対応する基質の自由表面が異なるコーティング方法を用いて不動態化された(A:浸漬方法、B:噴霧方法、C:本発明の霧状化方法)。
【図4】図4Aは各場合とも微細列の全ての点の間で測定された背景信号強度の平均および標準偏差を示し、ここでは対応する基質の自由表面が異なるコーティング方法を用いて不動態化された(A:浸漬方法、B:噴霧方法、C:本発明の霧状化方法)。図4Bは微細列の全ての対比点(用語に関しては例示態様を参照のこと)の間の蛍光強度の平均および標準偏差を示し、ここでは対応する基質の自由表面が異なるコーティング方法を用いて不動態化された(A:浸漬方法、B:噴霧方法、C:本発明の霧状化方法)。
【図5】図5Aは分析試料検出用に設計される微細列の測定領域からの蛍光信号の平均強度および標準偏差を示し、ここでは対応する基質の自由表面が異なるコーティング方法を用いて不動態化され(A:浸漬方法、B:噴霧方法、C:本発明の霧状化方法)そして微細列は引き続き抗体A1(抗−p53)の溶液を用いてそして次に各場合ともアレクサ(Alexa)647フルオア(Fluor)抗−ウサギFab断片を用いる蛍光検出による検出用にインキュベートした。図5Bは分析試料検出用に設計される微細列の測定領域からの蛍光信号の平均強度および標準偏差を示し、ここでは対応する基質の自由表面が異なるコーティング方法を用いて不動態化され(A:浸漬方法、B:噴霧方法、C:本発明の霧状化方法)そして微細列は引き続き抗体A2(抗−ホスホ−p53)の溶液を用いてそして次に各場合ともアレクサ647フルオア抗−ウサギFab断片を用いる蛍光検出による検出用にインキュベートした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−基質の少なくとも1つの表面上に沈着させられる物質(化合物)を含有する霧状化される液体および操作中に液体上で発生する噴霧の容量を受容するための容器(液体容器)、
−霧状化工程を誘発するための作動器、並びに
−コーティング工程中に基質を受容しそして貯蔵するための支持体
を含んでなる、親和性検定方法により1つもしくはそれ以上の分析試料を検出するための基質をコーティングする装置であって、基質が霧状化される液体の表面と接触しないことを特徴とする装置。
【請求項2】
該作動器が超音波を発生するために作用することを特徴とする、請求項1で請求された装置。
【請求項3】
該作動器が超音波発生器の膜を含んでなることを特徴とする、請求項1−2のいずれかで請求された装置。
【請求項4】
操作中に該作動器を霧状化される液体の中に浸漬することを特徴とする、請求項1−3のいずれかで請求された装置。
【請求項5】
小滴沈殿器をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1−4のいずれかで請求された装置。
【請求項6】
小滴沈殿器が蒸気および噴霧に対して不透過性であることを特徴とする、請求項5で請求された装置。
【請求項7】
小滴沈殿器が規定された寸法となるまでの小滴に対して透過性であることを特徴とする、請求項5で請求された装置。
【請求項8】
小滴沈殿器が凹面鏡の形状を有することを特徴とする、請求項6で請求された装置。
【請求項9】
小滴沈殿器がメッシュ寸法が通過する小滴の最大寸法を決める微細メッシュ網目構造を含んでなることを特徴とする、請求項7で請求された装置。
【請求項10】
少なくとも1個の気体入口をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1−9のいずれかで請求された装置。
【請求項11】
発生しそして該基質の周囲で基質上に沈着させられる噴霧の均一な分布を生じるための手段をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1−10のいずれかで請求された装置。
【請求項12】
発生しそして該基質の周囲で基質上に沈着させられる噴霧の均一な分布を生じさせるための手段がベンチレーターであることを特徴とする、請求項11で請求された装置。
【請求項13】
霧状化される液体および/または液体容器の個別のもしくは全ての壁の温度を制御および/または調節するための手段をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1−12のいずれかで請求された装置。
【請求項14】
コーティング工程中に基質を受容および/または貯蔵するためのコーティング装置の支持体が恒温化されうることを特徴とする、請求項1−13のいずれかで請求された装置。
【請求項15】
コーティング工程中の液体容器内部の圧力を制御および/または調節するための手段をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1−14のいずれかで請求された装置。
【請求項16】
基質を支持体の面に垂直な軸上で回転させるための手段をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1−15のいずれかで請求された装置。
【請求項17】
液体容器の壁上に沈着した霧状化された液体を収集しそして再循環/回収するための手段をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1−16のいずれかで請求された装置。
【請求項18】
液体容器のクリーニングを容易にするための手段をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1−17のいずれかで請求された装置。
【請求項19】
霧状化される液体の表面とコーティングしようとする基質の表面との間の距離の制御された調整および/または変動のための手段をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1−18のいずれかで請求された装置。
【請求項20】
基質が支持体内で本質的に水平に貯蔵されることを特徴とする、請求項1−18のいずれかで請求された装置。
【請求項21】
液体容器が、気体用の随意の入口並びに気体および/または噴霧用の随意の追加出口を除いて、閉鎖されていることを特徴とする、請求項1−20のいずれかで請求された装置。
【請求項22】
霧状化される液体が3cPより低い粘度を有する低粘度液体であることを特徴とする、請求項1−21のいずれかで請求された装置。
【請求項23】
霧状化される液体が水溶液であることを特徴とする、請求項1−22のいずれかで請求された装置。
【請求項24】
霧状化される液体が有機溶液であることを特徴とする、請求項1−22のいずれかで請求された装置。
【請求項25】
霧状化される液体がアルコール溶液であることを特徴とする、請求項24で請求された装置。
【請求項26】
コーティングされる基質が本質的に平坦であることを特徴とする、請求項1−25のいずれかで請求された装置。
【請求項27】
コーティングされる基質が1つもしくはそれ以上の層よりなることを特徴とする、請求項1−26のいずれかで請求された装置。
【請求項28】
1つもしくはそれ以上の分析試料を親和性検定方法により検出するための基質をコーティングする方法であって、
−コーティングされる該基質が請求項1−40のいずれかで請求されたコーティング装置の支持体内に置かれ、
−該コーティング装置の液体容器内に存在する液体が霧状化されそして
−霧状化された液体内に存在する物質(化合物)が発生した噴霧からコーティングされる基質の上に沈着し、
ここで基質が霧状化される液体の表面と接触しない
ことを特徴とする方法。
【請求項29】
該作動器が超音波を発生することを特徴とする、請求項28で請求された方法。
【請求項30】
該コーティング装置の作動器が超音波発生器の膜を含んでなりそしてその中で発生した超音波により液体が霧状化されることを特徴とする、請求項28−29のいずれかで請求された方法。
【請求項31】
操作中に該コーティング装置の作動器を霧状化される液体の中に浸漬することを特徴とする、請求項28−30のいずれかで請求された方法。
【請求項32】
コーティング装置が、霧状化される液体の跳ね返りおよび大滴がコーティングしようとする基質に接触することを防止する小滴沈殿器をさらに含んでなることを特徴とする、請求項28−31のいずれかで請求された方法。
【請求項33】
該コーティングの小滴沈殿器が蒸気および噴霧に対して不透過性であることを特徴とする、請求項32で請求された方法。
【請求項34】
該コーティング装置の小滴沈殿器が規定された寸法となるまでの小滴に対して透過性であることを特徴とする、請求項32で請求された方法。
【請求項35】
該コーティング装置の小滴沈殿器が凹面鏡の形状を有することを特徴とする、請求項33で請求された方法。
【請求項36】
該コーティング装置の小滴沈殿器がメッシュ寸法が通過する小滴の最大寸法を決める微細メッシュ網目構造を含んでなることを特徴とする、請求項34で請求された方法。
【請求項37】
コーティング装置が少なくとも1個の気体入口をさらに含んでなり、それを通って気体が液体容器内に入り、その気体が発生した噴霧と混ざることを特徴とする、請求項28−36のいずれかで請求された方法。
【請求項38】
コーティング装置が、発生し、そして該基質の周囲で基質上で沈着させられる噴霧の均一な分布を生じるための手段をさらに含んでなることを特徴とする、請求項28−37のいずれかで請求された方法。
【請求項39】
発生しそして基質の上に沈着させられる噴霧の均一な分布が、ベンチレーターの助けによって該基質の周囲に生じることを特徴とする、請求項38で請求された方法。
【請求項40】
コーティング装置が霧状化される液体および/または液体容器の個別のもしくは全ての壁の温度を制御および/または調節するための手段をさらに含んでなり、そして霧状化される液体および/または液体容器の個別のもしくは全ての壁の温度がコーティング工程中に制御されおよび/または変動することを特徴とする、請求項28−29のいずれかで請求された方法。
【請求項41】
コーティング工程中に基質を受容および/または貯蔵するためのコーティング装置の支持体が恒温化されることを特徴とする、請求項28−40のいずれかで請求された方法。
【請求項42】
コーティング工程中の液体容器内部の圧力を制御および/または調節するための手段をさらに含んでなり、コーティング工程中に圧力が制御されおよび/または変動することを特徴とする、請求項28−41のいずれかで請求された方法。
【請求項43】
基質がコーティング工程中に支持体の面に垂直な軸上で回転されることを特徴とする、請求項28−42のいずれかで請求された装置。
【請求項44】
液体容器の壁上に沈着した液体が収集され、そして霧状化される液体に再循環して戻されることを特徴とする、請求項28−43のいずれかで請求された装置。
【請求項45】
コーティング装置が、霧状化される液体の表面とコーティングされる基質の表面との間の距離の制御された調整および/または変動のための手段をさらに含んでなり、それにより該液体とコーティングされる液体表面との間のはっきりした距離をコーティング工程の期間にわたり設定することを特徴とする、請求項28−44のいずれかで請求された方法。
【請求項46】
コーティング装置の基質が支持体内で本質的に水平に貯蔵されることを特徴とする、請求項28−45のいずれかで請求された方法。
【請求項47】
コーティング装置の液体容器が、気体用の随意の入口並びに気体および/または噴霧用の随意の追加出口を除いて、閉鎖されていることを特徴とする、請求項28−46のいずれかで請求された方法。
【請求項48】
霧状化される液体が3cPより低い粘度を有する低粘度液体であることを特徴とする、請求項28−47のいずれかで請求された方法。
【請求項49】
霧状化される液体が水溶液であることを特徴とする、請求項28−48のいずれかで請求された方法。
【請求項50】
霧状化される液体が有機溶液であることを特徴とする、請求項28−49のいずれかで請求された方法。
【請求項51】
霧状化される液体がアルコール溶液であることを特徴とする、請求項50で請求された方法。
【請求項52】
基質のコーティングがコーティングされる基質に適用されるマスクを用いて幾何学的に構成された方法で行われることを特徴とする、請求項28−51のいずれかで請求された方法。
【請求項53】
コーティングされる基質が本質的に平坦であることを特徴とする、請求項28−52のいずれかで請求された方法。
【請求項54】
コーティングされる基質が1つもしくはそれ以上の層よりなることを特徴とする、請求項28−53のいずれかで請求された方法。
【請求項55】
コーティングされる基質の少なくとも1つの層が入射励起光線または測定光線の伝播方向で本質的に光学的に透過性であることを特徴とする、請求項54で請求された方法。
【請求項56】
コーティングされる基質が、1つもしくはそれ以上の分析試料を1つもしくはそれ以上の励起されたルミネセンス事象の検出を用いる親和性検定方法により検出可能にすることを特徴とする、請求項28−55のいずれかで請求された方法。
【請求項57】
基質上に沈着した層が付着−促進層であることを特徴とする、請求項28−56のいずれかで請求された方法。
【請求項58】
該付着−促進層が200nmより薄い、好ましくは20nmより薄い、厚さを有することを特徴とする、請求項57で請求された方法。
【請求項59】
該付着−促進層がシラン、官能化されたシラン、エポキシド、官能化された、荷電されたまたは有極性の重合体および「自己−組み立て受動的または官能化された単−もしくは多層」、チオール、アルキルリン酸エステルおよびアルキルホスホン酸エステル、多官能性ブロック共重合体、例えば、ポリ(L)リシン/ポリエチレングリコール類を含んでなる群の化学化合物を含んでなることを特徴とする、請求項57−58のいずれかで請求された方法。
【請求項60】
1つもしくはそれ以上の特異的な結合相手が、1つもしくはそれ以上の分析試料を親和性検定方法により(供給された溶液からの結合相手と固定された結合相手との結合を用いて)検出するための基質の表面上で固定化されることを特徴とする、請求項28−59のいずれかで請求された方法。
【請求項61】
該基質の表面上で固定化された特異的な結合相手が1つもしくはそれ以上の分析試料自体であり、それらが生来の試料マトリックス内かまたは1つもしくはそれ以上の工程段階により修飾された試料マトリックスの形態内に埋められて固定化されたことを特徴とする、請求項60で請求された方法。
【請求項62】
該基質の表面上に固定化された特異的な結合相手が、供給される試料内に存在する1つもしくはそれ以上の分析試料を具体的に認識するための生物学的、生化学的または合成認識要素であることを特徴とする、請求項60で請求された方法。
【請求項63】
該結合相手、すなわち検出される自己−固定化された分析試料もしくは供給される試料内で検出される分析試料および/または固定されているかもしくは供給される検出試薬内に供給されるそれらの生物学的、生化学的または合成認識要素、が蛋白質、例えばモノ−もしくはポリクローン抗体および抗体断片、ペプチド、酵素、グリコペプチド、オリゴ糖、レクチン、抗体用の抗原、追加結合部位で官能化された蛋白質(「タグ蛋白質」、例えば、「ヒスタミン−タグ蛋白質」)並びに核酸(例えばDNA、RNA、オリゴヌクレオチド)および核酸同族体(例えばPNA)、アプタマー、膜−結合されそして単離された受容体およびそれらの配位子、分子インプリントを受容するための化学合成により作成された空洞、天然および合成重合体などよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項60−62のいずれかで請求された方法。
【請求項64】
基質の表面に適用される特異的な結合相手がいずれかの幾何学的形状、例えば、円形、楕円形、三角形、長方形、多角形などの形状、を有する個別の測定領域(スポット)内で固定化されることを特徴とする、請求項60−63のいずれかで請求された方法。
【請求項65】
分析試料に対しておよび/またはその結合相手に対して「化学的に中性であり」そして、例えば、好ましくはアルブミン、特にウシ血清アルブミンもしくはヒト血清アルブミン、カゼイン、非特異的なポリクローンもしくはモノクローン性の異種抗体または検出される1つもしくは複数の分析試料に対して経験的に非特異的である抗体およびそれらの結合相手(特に免疫検定用)、洗剤−例えば、ツイーン(Tween)20−、分析されるポリヌクレオチドにハイブリッド形成しない断片化された天然もしくは合成DNA、例えば、ニシンもしくは鮭精子の抽出物(特にポリヌクレオチドハイブリッド形成検定用)、または無電荷であるが親水性の重合体、例えば、ポリエチレングリコール類もしくはデキストラン類を含んでなる群よりなる化合物が、空間的に離された測定領域の間にまたは該測定領域内の占有されていない部分的領域の中に適用されることを特徴とする、請求項64で請求された方法。
【請求項66】
基質上に沈着した層が空間的に離された測定領域の間にまたは該測定領域内の占有されていない部分的領域の中に適用される不動態化層であり、該測定領域が作成された後に分析試料に対しておよび/またはその結合相手に対して「化学的に中性であり」そして好ましくは、例えば、好ましくはアルブミン、特にウシ血清アルブミンもしくはヒト血清アルブミン、カゼイン、非特異的なポリクローンもしくはモノクローン性の異種抗体または検出される1つもしくは複数の分析試料に対して経験的に非特異的である抗体およびそれらの結合相手(特に免疫検定用)、洗剤−例えば、ツイーン20−、分析しようとするポリヌクレオチドにハイブリッド形成しない断片化された天然もしくは合成DNA、例えば、ニシンもしくは鮭精子の抽出物(特にポリヌクレオチドハイブリッド形成検定用)、または無電荷であるが親水性の重合体、例えば、ポリエチレングリコール類もしくはデキストラン類を含んでなる群からの化合物を含んでなる化合物が空間的に離された測定領域の間にまたは該測定領域内の占有されていない部分的領域の中に適用されることを特徴とする、請求項28−64のいずれかで請求された方法。
【請求項67】
親和性検定方法により1つもしくはそれ以上の分析試料を検出するための、付着−促進層を含んでなる、基質であって、該付着−促進層が請求項28−66のいずれかで請求されたコーティング方法により生じることを特徴とする基質。
【請求項68】
親和性検定方法により1つもしくはそれ以上の分析試料を検出するための、基質の少なくとも部分的領域を覆うための不動態化層を含んでなる、基質であって、該不動態化層が請求項28−66のいずれかで請求されたコーティング方法により生じることを特徴とする基質。
【請求項69】
人間および/または動物の診断における用途のための請求項67−68のいずれかで請求された基質。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−539399(P2008−539399A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508125(P2008−508125)
【出願日】平成18年4月22日(2006.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003726
【国際公開番号】WO2006/114249
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(507212506)バイエル・テクノロジー・サービシズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (18)
【Fターム(参考)】