説明

親油性流体を浄化するための方法

使用済みドライクリーニング溶媒と、洗濯汚れ、布地処理剤のような汚染物質とを含有する混合物からドライクリーニング溶媒を浄化するための方法であって、(a)親油性流体と1つ以上の汚染物質とを含む混合物を得る工程;(b)前記汚染物質を化学的に修飾する工程;(c)前記混合物を浄化剤と接触させ、それにより前記混合物中の前記汚染物質の溶解度を変える工程;及び(d)前記汚染物質を親油性流体から分離する工程を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みドライクリーニング溶媒と、洗濯汚れ、布地処理剤のような汚染物質とを含有する混合物から、ドライクリーニング溶媒を浄化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄用途は、典型的には、表面から異物を除去することを伴う。洗濯用途では、これは、綿、ポリエステル、シルク、レーヨン、ウール及びこれらの素材の様々なブレンドを含む様々な布地から、疎水性汚れ及び親水性汚れ(食品の染み、血液、草、土、グリース、油など)の両方を除去することを伴う。
【0003】
洗濯用途の場合、消費者には、汚れの除去に2つの選択肢、すなわち、従来の水系の洗浄及びドライクリーニング(非水性系の洗浄)がある。従来の水系の布地洗浄システムで使用するのに好適な組成物は、長年にわたって最適化されてきた。具体的には、界面活性剤、酵素、ビルダー、漂白剤、キレート剤、ポリマー及び他の添加剤を含む洗濯洗剤は、水系の布地洗浄システムで、親水性汚れ及び疎水性汚れの両方を効率的に除去することが示されてきた。より具体的には、綿、ポリエステル、及び様々なブレンドは、従来の水系のシステムを使用して効率的に洗浄できるが、シルク、ウール、及びレーヨンのようなより繊細な他の布地は、水系の洗浄方法に起因した布地の損傷又は縮みを起こしやすく、一般にドライクリーニング方法に頼っている。
【0004】
ドライクリーニング方法は、洗浄システムにおいて少量の水が使用されるか、又は水が使用されない方法を意味しており;ハロカーボン類、炭化水素類、高密度二酸化炭素、グリコールエーテル類及びシリコーン類のような、様々な非水性有機溶媒を使用する。
【0005】
従来の洗剤組成物及び添加剤は水系洗浄用に設計されている。これらの従来の洗剤組成物及び添加剤は、ドライクリーニング溶媒との相容性が低いので、こうした溶媒中では有効な布地洗浄剤ではないことが判明した。
【0006】
洗浄性界面活性剤のような幾つかの添加剤は、ドライクリーニング用途に開発されてきた。これらの添加剤の重要な設計特徴は、ドライクリーニング溶媒とのそれらの増進した相容性である。理論に制限されるものではないが、これらの洗浄性界面活性剤は、標的汚れを可溶化すること、低量の水が使用される場合は、ドライクリーニング溶媒又はシステムに水を懸濁すること、及び布地処理システムから除去するために汚れを捕獲するのを助ける逆ミセルを形成することにより洗浄力を高めることができると考えられる。界面活性剤の洗浄性は、「特殊な界面活性剤の洗浄性(Detergency of Specialty Surfactants)」、F.E.フリードリ(F.E.Friedli)、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker,Inc.)、ニューヨーク(1988年)で論じられている。ドライクリーニング用途での界面活性剤の使用は、米国特許第5,944,996号;米国特許第6,548,466号;米国特許第6,461,387号;米国特許第6,148,644号;及び米国特許第6,114,295号に開示されている。
【0007】
それ故に、非水性洗浄用途における汚れの除去及び他の布地処理効果を増進させる布地処理剤を開発する必要性が引き続き存在する。
【0008】
洗濯処理に使用された後、ドライクリーニング溶媒は、典型的には、界面活性剤、汚れ放出ポリマー、漂白剤、酵素、及び他の補助剤成分のような布地処理剤を含有することがよく知られている。ドライクリーニング溶媒は水よりも高価であるので、ドライクリーニング溶媒を2回以上の処理に再生利用/再使用する必要がある。従来の浄化方法は、蒸留を使用して、布地処理剤をドライクリーニング溶媒から除去する。しかし、蒸留方法を実施するための機器及び条件は、きわめて厄介で、エネルギー消費量が多く、消費者の家庭で使用するには実用的でない。それ故に、蒸留することなくドライクリーニング溶媒から布地処理剤を除去する必要性が存在する。蒸留方法を使用する代表的なシステムは、EP543,665、並びに米国特許第5,942,007号、同第6,056,789号、同第6,059,845号及び同第6,086,635号で開示されている。
【0009】
典型的な非蒸留浄化方法は、粘土及び/又は活性炭を含有するフィルタを利用する。炭素及び粘土吸着物質を含有する代表的なフィルタは、米国特許第4,277,336号及び同第3,658,459号で開示されており、幾つかは、クリーンライト(KleenRite)(登録商標)フィルタとして市販されている。しかし、そのようなフィルタは、かなり限られた耐用年数で交換の必要があり、布地処理剤を除去する効率があまりよくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、浄化された溶媒を再生利用/再使用できるように、ドライクリーニング溶媒から布地処理剤、特に界面活性剤を有効的に除去する方法の必要性が存在する。
【0011】
また、安全で経済的なエネルギー効率のよい方法でドライクリーニング溶媒を浄化できる方法を備える必要性も存在する。従って、低温及び周囲気圧でドライクリーニング溶媒から布地処理剤を除去する非蒸留方法の必要性が存在する。
【0012】
前述に基づき、汚染物質を化学的に修飾又は変換して、ドライクリーニング溶媒から容易に除去できる可溶性のより低い化合物/分子にする方法を備えることが望ましい。また、混合物の特質を変え、それにより混合物中で汚染物質の可溶性を低くして汚染物質が混合物から容易に分離できる方法を備えることも望ましい。親油性溶媒からの汚染物質の分離を更に増進させる両方の方法を含む浄化方法を備えることも更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、親油性流体を浄化するための方法に関し、本方法は:
(a)親油性流体と1つ以上の汚染物質を含む混合物を得る工程;
(b)汚染物質を化学的に修飾する工程;
(c)混合物を浄化剤と接触させ、それにより混合物中の汚染物質の溶解度を変える工程;及び
(d)汚染物質を親油性流体から分離する工程
を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(定義)
本明細書で使用される用語「布地物品」は、従来の洗濯方法又はドライクリーニング方法で慣例的に洗浄されるいかなる物品をも意味することが意図される。このような用語は、衣類、リネン、カーテン及び衣類付属品の物品を包含する。この用語は、また、カーペット、トートバッグ、家具カバー、防水布、車の内装などのような、全体又は一部が布地で作製された他の品目も包含する。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「吸収材料」又は「吸収性ポリマー」は、ドライクリーニング溶媒を取り込むことなく、水及び/又は含水液体を選択的に取り込む(すなわち、吸収又は吸着する)ことが可能ないかなる物質をも意味する。換言すれば、吸収材料又は吸収性ポリマーは、当該技術分野において「ゲル」、「ポリマーゲル」及び「超吸収性ポリマー」と呼ばれる吸水剤を含む。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「布地処理組成物(fabric treatment composition)」又は「布地処理組成物(fabric treating composition)」は、洗浄すべき布地物品と直接接触するドライクリーニング溶媒含有組成物を意味する。組成物が、また、コンディショニング、サイジング、及びその他の布地ケア処理のような、洗浄以外の用途も提供し得ることが理解される。従って、それは用語「布地ケア組成物」と同義的に使用してよい。更に、任意の洗浄補助剤(例えば、追加の洗浄性界面活性剤、漂白剤、香料など)及び他の布地ケア剤を組成物に添加してもよい。用語「布地処理剤/添加剤」又は「布地ケア剤/添加剤」は、洗浄補助剤、及び仕上げ又は布地ケア添加剤を包含することが理解される。
【0017】
本明細書で使用する時、用語「ドライクリーニング」又は「非水性洗浄」は、布地物品を洗浄するためのドライクリーニング溶媒として非水性流体が使用されることを意味する。しかし、補助洗浄剤として、水を「ドライクリーニング」法に加えることができる。「ドライクリーニング」方法では、水の量は、ドライクリーニング溶媒又は布地処理組成物の約25重量%まで含むことができる。非水性流体は、「親油性流体」又は「ドライクリーニング溶媒」と呼ばれる。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「汚れ」又は「洗濯汚れ」は、洗浄方法による除去の標的である、布地物品上のいかなる望ましくない外部物質をも意味する。用語「水系」又は「親水性」汚れとは、汚れが最初に布地物品と接触した時点で、汚れが水を含んでいたか、又は汚れが布地物品上で一定の量の水を保持していることを意味する。水系の汚れの例には、飲物、多くの食品汚れ、水溶性染料、汗、尿又は血液などの体液、草の染み及び泥などの戸外の汚れが挙げられるが、これらに限定されない。一方、本明細書で使用する時、用語「親油性」の汚れは、汚れが親油性流体中で高い溶解性を有するか、又は汚れが親油性流体に対して高い親和性を有することを意味する。親油性の汚れの例としては、モノ−、ジ−及びトリ−グリセリド、飽和及び不飽和脂肪酸、非極性炭化水素、ろう及びろうエステル、脂質のような、身体の汚れ;並びに非イオン性界面活性剤のような洗濯物質;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「不溶性」は、物質が液体媒質(ドライクリーニング溶媒又は水)に添加された後24時間以内に液体媒質から物理的に分離(すなわち、沈殿、凝縮、浮揚)することを意味し、それに対して用語「可溶性」は、物質が添加後24時間以内に液体媒質から物理的に分離しないことを意味する。
【0020】
(親油性流体)
本明細書で使用する時、「親油性流体」は、水の20重量%までにおいては水と混和しない、いかなる液体又は液体の混合物をも意味する。一般に、好適な親油性流体は、周囲温度及び圧力で完全に液体であることができ、容易に溶融する固体であることができ、例えば、約0℃〜約60℃の範囲の温度で液体になるか、又は周囲温度及び気圧で、例えば、25℃及び101kPa(1気圧)気圧で液体と蒸気相との混合物を含むことができるものである。
【0021】
好適な親油性流体は、不燃性であるか、あるいは、従来の既知のドライクリーニング流体の特性に等しい、又は好ましくはそれを超える、比較的高い引火点及び/若しくは低いVOC特質を有してもよく、ここでこれらの用語は、ドライクリーニング業界で使用される従来の意味を持つ。本明細書で使用する時、本発明で有用な「ドライクリーニング溶媒」は親油性流体を意味する。
【0022】
好適な親油性流体物質の非限定例としては、シロキサン類、他のシリコーン類、炭化水素類、グリコールエーテル類、グリセリンエーテル類のようなグリセリン誘導体、ペルフルオロアミン、ペルフルオロ化及びハイドロフルオロエーテル溶媒、低揮発性非フッ化有機溶媒、ジオール溶媒、環境に優しいその他の溶媒、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
本明細書で使用する時、「シロキサン」は、非極性で、水中又は低級アルコール中で不溶性であるシリコーン流体を意味する。直鎖シロキサン類(例えば、米国特許第5,443,747号及び同第5,977,040号参照)並びに環状シロキサン類は、本明細書で有用であり、オクタメチルシクロテトラシロキサン(テトラマー)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(ヘキサマー)、デカメチルシクロペンタシロキサン(ペンタマー、一般に「D5」と呼ばれる)及びこれらの混合物から成る群から選択される環状シロキサン類が挙げられる。好適なシロキサンは、約50%を超える環状シロキサンペンタマー、又は約75%を超える環状シロキサンペンタマー、又は少なくとも約90%の環状シロキサンペンタマーを含む。また、少なくとも約90%(又は少なくとも約95%)のペンタマー並びに約10%未満(又は約5%未満)のテトラマー及び/又はヘキサマーを有する環状シロキサンの混合物であるシロキサンも、本明細書で用いるのに適している。
【0024】
親油性流体には、ドライクリーニング溶媒、特にフッ素化溶媒又はペルフルオロアミン類を含むより新しい種類の任意の部分を含むことができる。ペルフルオロトリブチルアミンのような一部のペルフルオロアミンは、親油性流体として使用するには適していないが、親油性流体を含有する組成物中に存在することができる多くの補助剤の1つとして存在してよい。
【0025】
他の好適な親油性流体としては、ジオール溶媒系、例えば、C若しくはC又はより高級なジオール類などの高級ジオール、環式及び非環式の両方の種類を含むオルガノシリコーン溶媒など、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
低揮発性の非フッ素化有機溶媒の非限定例には、例えば、オレアン(OLEAN)(登録商標)及び他のポリオールエステル類、又は特定の比較的非揮発性の生分解性中鎖分枝状石油留分が挙げられる。
【0027】
グリコールエーテル類の非限定例としては、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールt−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールt−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールt−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテルが挙げられる。
【0028】
シロキサン類に加えて、他のシリコーン溶媒の非限定例が文献で周知であり(例えば、カーク・オスマー(Kirk Othmer)の「工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」参照)、GEシリコーンズ(Silicones)、東芝シリコーン(Toshiba Silicone)、バイエル(Bayer)及びダウ・コーニング(Dow Corning)を含む多数の市販源から入手可能である。例えば、好適なシリコーン溶媒の1つは、GEシリコーンズから入手可能なSF−1528である。
【0029】
好適なグリセリン誘導体溶媒の非限定例には、次の構造を有する物質が挙げられ、
【化1】

式中、R、R、及びRそれぞれは独立して:H;分枝鎖又は直鎖、置換又は非置換の、C〜C30アルキル、C〜C30アルケニル、C〜C30アルコキシカルボニル、C〜C30アルキレンオキシアルキル、C〜C30アシルオキシ、C〜C30アルキレンアリール;C〜C30シクロアルキル;C〜C30アリール、及びこれらの混合物から選択される。R、R及びRの2つ以上が一緒になって、C〜Cの芳香族又は非芳香族、複素環式又は非複素環式の環を形成することができる。
【0030】
好適なグリセリン誘導体溶媒の非限定例としては、2,3−ビス(1,1−ジメチルエトキシ)−1−プロパノール;2,3−ジメトキシ−1−プロパノール;3−メトキシ−2−シクロペントキシ−1−プロパノール;3−メトキシ−1−シクロペントキシ−2−プロパノール;炭酸(2−ヒドロキシ−1−メトキシメチル)エチルエステルメチルエステル;グリセロールカーボネート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
環境に優しい他の溶媒の非限定例としては、オゾン形成能が約0〜約0.31の親油性流体、蒸気圧が0〜13Pa(約0〜約0.1mmHg)の親油性流体、及び/又は、蒸気圧が13Pa(0.1mmHg)より高く、但しオゾン生成能が約0〜約0.31である親油性流体が挙げられる。ここまでに記載していないこのような親油性流体の非限定例としては、カーボネート溶媒(すなわち、メチルカーボネート、エチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリンカーボネート)、及び/又はサクシネート溶媒(すなわち、ジメチルサクシネート)が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用する時、「オゾン反応性」は、VOCが大気中でオゾンを形成する能力の指標である。それは、揮発性有機物1グラム当たりで形成されるオゾンのグラム数として測定される。オゾン反応性を測定するための方法論は、W.P.L.カーター(Carter)、「揮発性有機化合物のオゾン反応性尺度の開発(”Development of Ozone Reactivity Scales of Volatile Organic Compounds”)」、空気及び廃棄物管理協会誌(Journal of the Air & Waste Management Association)、第44巻、881〜899頁、1994年で更に考察されている。使用される「蒸気圧」は、カリフォルニア大気資源局(California Air Resources Board)の方法310で定義される技術によって測定することができる。
【0033】
1つの実施形態において、親油性流体は、親油性流体の50重量%を超える、シクロペンタシロキサン類(例えば、「D5」)、及び/又はほぼ同様の揮発性を有し、所望により他のシリコーン溶媒によって補完された線状類縁体を含む。
【0034】
親油性流体の濃度は、本発明による処理組成物中に存在する時には、処理組成物の約50重量%超〜約99.99重量%、又は約60重量%〜約95重量%、又は約70重量%〜約90重量%である。
【0035】
(布地処理組成物)
布地物品の処理/洗浄に使用する布地処理組成物は、親油性流体、1つ以上の官能部分を有する布地処理剤、並びに所望により、水、極性溶媒、洗浄補助剤及び/又は布地処理剤を含んでよい。
【0036】
所定の布地処理剤は、組成物に存在する場合、典型的には組成物の約0.01重量%〜約80重量%、又は約0.5重量%〜約60重量%、又は約1重量%〜約50重量%含まれる。布地処理剤は、同じ濃度で存在する必要はない。例えば、酵素は洗浄性界面活性剤の濃度の約1/10〜約1/100の濃度で存在することができる。
【0037】
組成物が親油性流体で希釈され洗浄液を形成する場合、所定の布地処理剤は、存在する場合、典型的には洗浄液の約0.0001重量%〜約50重量%、又は約0.01重量%〜約30重量%、又は約1重量%〜約20重量%含まれる。
【0038】
一部の実施形態では、所望により、極性溶媒を同様に洗浄液に組み込んでもよい。極性溶媒は、布地処理組成物の構成成分として、又は洗浄溶中の親油性流体の共溶媒として添加されてよい。極性溶媒は水であることができ、また所望により、直鎖又は分枝鎖C1〜C6アルコール、C1〜C4グリコール、及びこれらの混合物も含むことができる。
【0039】
存在する場合、組成物の約99重量%〜約1重量%、又は約5重量%〜約40重量%の範囲の極性溶媒、及び組成物の約0.01重量%〜約50重量%、又は約5重量%〜約30重量%の範囲の洗浄補助剤である。
【0040】
(汚染物質)
布地物品処理プロセスの間にドライクリーニング溶媒に入り込む可能性のある汚染物質としては、典型的には、洗濯汚れ、特に非イオン性界面活性剤、飽和及び不飽和脂肪酸類、モノ−、ジ−及びトリ−グリセリド類、非極性炭化水素類、ろう類及びろうエステル類、脂質類、並びにこれらの混合物のような、親油性の洗濯汚れが挙げられる。
【0041】
汚染物質は、また、組成物中の布地処理剤からくる可能性もあり、汚れ放出ポリマー類、洗浄性界面活性剤、漂白剤、酵素類、香料類、柔軟化剤、仕上げポリマー類、染料、移染防止剤、染料固着剤、繊維復元剤、しわ低減及び/又は除去剤、繊維修復剤、香料放出/送達剤、形状保持剤、布地及び/又は汚れ標的剤、抗菌剤、変色防止剤、疎水性仕上げ剤、UV遮断剤、増白剤、顔料(例えば、Al、TiO)、毛玉防止剤、温度調節剤、スキンケアローション類(湿潤剤、保湿剤、粘度変性剤、芳香剤などを含む)、防虫剤、難燃剤並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの布地処理剤のうちの幾つかは以下で詳細に記載されている。
【0042】
(汚れ放出ポリマー)
本明細書で使用する時、用語「汚れ放出」は、洗浄されるか、又は別の方法で処理される布地物品が、その布地物品と接触した汚れを除去する能力を意味する。本発明は、布地物品への汚れの付着を完全には防止しないが、そのような付着を妨げ、布地物品の洗浄性を改善する。本明細書で使用するのに好適な汚れ放出ポリマー類の非限定例としては、フッ素含有汚れ放出ポリマー類及びシリコーン含有汚れ放出ポリマー類が挙げられる。
【0043】
本発明で有用なフッ素含有汚れ放出ポリマー類(フルオロ−SRP)の例は、ペルフルオロアルキルモノマー類から誘導されるか、又はペルフルオロアルキルモノマー類とアルキルメタクリレートモノマー類との混合物から誘導されるポリマーであることができる。ペルフルオロアルキルモノマーは式(a)を有し、
−Q−A−C(O)−C(R)=CH (a)
ここで、式(a)のRは、炭素原子2〜約20個を含有する直鎖又は分枝鎖のペルフルオロアルキル基であり;式(a)のRは、H又はCHであり;Aは、O、S、又はN(R’)であり;式(a)のQは、炭素原子1〜約15個のアルキレン、炭素原子3〜約15個のヒドロキシアルキレン、−(C2n)(OC2q−、−SO−NR’(C2n)−、又は−CONR’(C2n)−であり、ここでR’は、H又は炭素原子1〜約4個のアルキルであり;nは、1〜約15であり;qは、2〜約4であり;mは、1〜約15である。
【0044】
1つの実施形態では、フルオロアルキルモノマーは、ペルフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレートである。別の実施形態において、ペルフルオロアルキル炭素鎖長さの重量分布は、C8が約50重量%、C10が約29重量%、C12が約11重量%、残りがC6、14−炭素及びそれより長い鎖長である。この組成物は、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Del.)のE.I.デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)からゾニル(ZONYL)TA−N(登録商標)として入手可能である。フルオロアルキルモノマーの割合は、コポリマーの総重量に対して少なくとも約70%である。
【0045】
アルキルメタクリレートモノマーは式(b)を有し、
R’’−O−C(O)−C(R)=CH (b)
ここで、式(b)のR’’は、H、炭素約1〜約24個の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、窒素1〜3個を含有するように修飾されている炭素約1個〜約24個の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、及びこれらの混合物から独立して選択され;式(b)のRは、H又はCHである。アルキル(メタ)アクリレートは、重量に基づきモノマー鎖単位の5〜25%を構成するように添加される。1つの実施形態において、アルキルメタクリレートは、ステアリルメタクリレートである。
【0046】
代表的なフルオロ−SRPは、ミツビシ(Mitsubishi)から水性懸濁液の形態で商標名リパール(REPEARL)F35(登録商標)で入手可能であり、またデュポン(DuPont)から商標名ゾニル(ZONYL)7060(登録商標)、ゾニル8300(登録商標)及びゾニル8787(登録商標)で入手可能である。他の好適なフルオロ−SRPは、PCT国際公開特許WO01/98384、PCT国際公開特許WO01/81285;JP10−182814;JP2000−273067;PCT国際公開特許WO98/4160213、及びPCT国際公開特許WO99/69126に開示されている。
【0047】
代表的なシリコーン含有汚れ放出ポリマー類(Si−SRP)は、以下の式(c)を有することができ、
D’(D1+d (c)
ここで、式(c)のaは、0〜2であり;(c)のbは、0〜1000であり;式(c)のcは、0〜200であり;式(c)のdは、0〜1であり;式(c)のeは、0〜1000であるが、但し、式(c)のa+c+d+eは、少なくとも1であり;
式(c)のMは、R3−fSiO1/2であり、ここで、式(c)のRは独立して、H又は一価の炭化水素基であり、式(c)のXは、ヒドロキシル、アルコキシ基であり、fは、0又は1であり;
式(c)のDは、RSiO2/2であり、ここで、式(c)のRは独立して、H又は一価の炭化水素基であり;
式(c)のD’は、RSiO2/2であり、ここで、式(c)のRは独立して、H、一価の炭化水素基又は(CH(C(A)−[(L)−(A’)−]であり、ここで、式(c)のgは、1〜10であり;式(c)のhは、0又は1であり;式(c)のiは、0〜5であり;式(c)のjは、0〜3であり;式(c)のkは、0又は1であり;式(c)のlは、0〜10であり;式(c)のCは、非置換であるか、又は式(c)のQで置換されており、Qは、独立してH、C1〜10アルキル、C1〜10アルケニル、及びこれらの混合物であり;式(c)のA及びA’は、それぞれ独立して、エーテル、アミド、アミノ、C1〜4フルオロアルキル、C1〜4フルオロアルケニル、アンモニウム、及びこれらの混合物を表す連結部分であり;式(c)のLは、C1〜30直鎖又は分枝鎖のアルキル若しくはアルケニル、又は非置換若しくは置換されたアリールであり;
式(c)のTは、RSiO3/2であり、ここで、式(c)のRは、(CH(C(A)−[(L)−(A’)−]であり、ここで、式(c)のmは、1〜10であり;式(c)のnは、0又は1であり;式(c)のoは、0〜5であり;式(c)のpは、0〜3であり;式(c)のqは、0又は1であり;式(c)のrは、0〜10であり;式(c)のCは、非置換であるか、又は式(c)のQで置換されており、Qは独立して、H、C1〜10アルキル、C1〜10アルケニル、及びこれらの混合物であり;式(c)のA及びA’は、それぞれ独立して、エーテル、アミド、アミノ、C1〜4フルオロアルキル、C1〜4フルオロアルケニル、アンモニウム、及びこれらの混合物を表す連結部分であり;式(c)のLは、C1〜30直鎖又は分枝鎖のアルキル若しくはアルケニル、又は非置換若しくは置換されたアリールである。
【0048】
代表的なSi−SRPは、GEからのDF104、DF1040、SM2125、SM2245、SM2101、SM2059として、及びダウ・コーニング(Dow Corning)75SF(登録商標)エマルションとして市販されている。
【0049】
本発明で汚れ放出ポリマーとして使用するのに好適なものは、また、水溶性の変性セルロースであり、それには、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、及び類似の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物及び他の好適な化合物は、カーク・オスマーの工業化学百科事典(Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、第5巻、541〜563頁に「セルロースエーテル(Cellulose Ethers)」の表題で記載されており、またそこで引用される参照文献にも記載されている。
【0050】
好適な汚れ放出ポリマー類の別の部類は、ポリアルキレンテレフタレート及びポリオキシエチレンテレフタレートのブロックコポリマー、並びにポリアルキレンテレフタレート及びポリエチレングリコールのブロックコポリマーを含んでよい。これらの化合物は、米国特許第6,358,914号及び米国特許第4,976,879号に詳細に開示され、論じられている。
【0051】
汚れ放出ポリマーの別の部類は、エチレンテレフタレートモノマー類、オキシエチレンテレフタレートモノマー類、又はこれらの混合物を含む、結晶化可能なポリエステルである。このポリマーの例は、ゼルコン(Zelcon)4780(登録商標)(デュポン(DuPont)から)、及びミリーズ(Milease)T(登録商標)(ICIから)として市販されている。これら汚れ放出剤のより完全な開示は、EP0185427A1に含まれている。
【0052】
(洗浄性界面活性剤)
本発明で使用するのに好適な界面活性剤は、次の一般式を有し、
(I)Y−(L−X−Y’
(II)L−(X−Y−L’
及びこれらの混合物;
式中、L及びL’は、溶媒相容化(又は親油性)部分であり、これらは独立して次から選択され、
(a)直鎖又は分枝鎖、環式又は非環式、飽和又は不飽和、置換又は非置換のC1〜C22アルキル又はC4〜C12アルコキシ;
(b)次式を有するシロキサンであり、
D’D’’
式中、aは0〜2であり;bは0〜1000であり;cは0〜50であり;dは0〜50であるが、但しa+c+dは少なくとも1であり;
式(III)のMは、R3−eSiO1/2であり、ここで、式(III)のRは独立して、H又は一価の炭化水素基であり、式(III)のXはヒドロキシル基であり、eは0又は1であり;
式(III)のDは、RSiO2/2であり、ここで、式(III)のRは独立して、H又は一価の炭化水素基であり;
式(III)のD’は、RSiO2/2であり、ここで、式(III)のRは独立して、式(III)のRであるが、但し、式(III)の少なくとも1つのRが、(CH(CO−(CO)−(C-O)(C2k−Rであることが条件であり、ここで、式(III)のRは独立して、H、一価の炭化水素基又はアルコキシ基であり、式(III)のfは、1〜10であり、式(III)のgは、0又は1であり、式(III)のhは、1〜50であり、式(III)のiは、0〜50であり、式(III)のjは、0〜50であり、式(III)のkは、4〜8であり;式(III)のCは、非置換であるか、又は式(III)のQで置換されており、Qは独立して、H、C1〜10アルキル、C1〜10アルケニル、及びこれらの混合物である。
【0053】
式(III)のD’’は、RSiO2/2であり、ここで、式(III)のRは独立して、H、一価の炭化水素基又は(CH(C(A)−[(L)−(A’)−]−(L’)Z(G)であり、ここで、式(III)のlは、1〜10であり;式(III)のmは、0又は1であり;式(III)のnは、0〜5であり;式(III)のoは、0〜3であり;式(III)のpは、0又は1であり;式(III)のqは、0〜10であり;式(III)のrは、0〜3であり;式(III)のsは、0〜3であり;式(III)のCは、非置換であるか、又は式(III)のQで置換されており、Qは独立して、H、C1〜10アルキル、C1〜10アルケニル、及びこれらの混合物であり;式(III)のA及びA’は、それぞれ独立して、エステル、ケト、エーテル、チオ、アミド、アミノ、C1〜4フルオロアルキル、C1〜4フルオロアルケニル、分枝鎖又は直鎖のポリアルキレンオキシド、ホスフェート、スルホニル、スルフェート、アンモニウム、及びこれらの混合物を表す連結部分であり;式(III)のL及びL’は、それぞれ独立して、C1〜30直鎖又は分枝鎖のアルキル若しくはアルケニル、又は非置換であるか若しくは置換されたアリールであり;式(III)のZは、水素、カルボン酸、ヒドロキシ、ホスフェート(phosphato)、リン酸エステル、スルホニル、スルホネート、スルフェート、分枝鎖又は直鎖のポリアルキレンオキシド、ニトリル、グリセリル、非置換であるか、又はC1〜30アルキル若しくはアルケニルで置換されたアリール、非置換であるか、又はC1〜10アルキル若しくはアルケニルで置換されている炭水化物、あるいはアンモニウムであり;式(III)のGは、H、Na、Li、K、NH、Ca+2、Mg+2、Cl、Br、I、メシラート又はトシラートのようなアニオン又はカチオンであり;
Y及びY’は親水性部分であり、これは、ヒドロキシ;ポリヒドロキシ;C1〜C3アルコキシ;モノ−又はジ−アルカノールアミン;C1〜C4アルキル置換アルカノールアミン;O、S、Nを含有する置換複素環;スルフェート;カルボキシレート;カーボネートから独立して選択され;Y及び/又はY’はエトキシ(EO)又はプロポキシ(PO)である時には、以下から成る群から選択されるRで末端処理されなければならず、
(i)1〜3個のヘテロ原子を含有する、4〜8員環、置換又は非置換の複素環式環;及び
(ii)約1〜約30個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換、環式又は非環式、脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカル;
Xは、O;S;N;P;直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換、環式又は非環式、脂肪族又は芳香族の、O、S、N、Pが入り込んだC1〜C22アルキル;グリシジル、エステル、アミド、アミノ、PO42−、HPO4−、PO32−、HPO3−から選択される架橋結合であり、これらは、プロトン化又は非プロトン化されており;
u及びwは、0〜20から独立して選択される整数であり、但しu+w≧1であり;
tは1〜10の整数であり;
vは0〜10の整数であり;
xは1〜20の整数であり;
y及びzは、1〜10から独立して選択される整数である。
【0054】
更に別の種類の好適な界面活性剤は、炭素原子約6〜約20個の炭素鎖を有する、オルガノスルホサクシネート類である。1つの実施形態では、オルガノスルホサクシネート類は、それぞれが炭素原子数約6〜約20個の炭素鎖を有する、ジアルキル鎖を含有する。別の実施形態において、オルガノスルホサクシネート類は、アリール若しくはアルキルアリールの置換又は非置換、分枝鎖又は直鎖、飽和又は不飽和基を含有する鎖を有する。好適なオルガノスルホサクシネート界面活性剤の市販品の非限定例は、商標名エアゾール(Aerosol)OT(登録商標)及びエアゾールTR−70(登録商標)(例えば、サイテック(Cytec))で入手可能である。
【0055】
(漂白剤)
好適な漂白剤の非限定例は、触媒金属錯体、活性過酸素源(activated peroxygen sources)、漂白活性化剤、漂白促進剤、光漂白剤、フリーラジカル開始剤及びヒオハライト漂白剤(hyohalite bleaches)から成る群から選択される。
【0056】
好適な触媒金属錯体の例には、米国特許第5,576,282号に開示のMnIV(u−O)(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(PFのようなマンガン系触媒、式[Co(NHOAc]T(式中、「OAc」はアセテート部分を表し、「T」はアニオンである)を有するコバルトペンタアミンアセテート塩のような、米国特許第5,597,936号に開示のコバルト系触媒;「MRL」と略されるマクロ多環式リジッドリガンド(macropolycyclic rigid ligand)の遷移金属錯体が挙げられるが、これらに限定されない。MRLにおける好適な金属には、様々な酸化状態にある、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Cr、V、Mo、W、Pd、及びRuが挙げられる。好適なMRLの例には:ジクロロ−5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)、ジクロロ−5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(III)ヘキサフルオロホスフェート、及びジクロロ−5−n−ブチル−12−メチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)が挙げられる。好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、PCT国際公開特許WO00/332601及び米国特許第6,225,464号で教示されているような手順によって容易に調製される。
【0057】
好適な活性過酸素源には、事前に生成された過酸、漂白活性化剤と組み合わせた過酸化水素源、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。事前に生成された好適な過酸には、過カルボン酸及び塩、過炭酸及び塩、過イミド酸及び塩、ペルオキシモノ硫酸及び塩、並びにこれらの混合物から成る群から選択される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。過酸化水素の好適な供給源には、過ホウ酸塩化合物、過炭酸塩化合物、過リン酸塩化合物及びこれらの混合物から成る群から選択される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。活性過酸素源の好適な種類及び濃度は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812B1号及び同第6,326,348B1号において見出される、これらは参考として組み込まれる。
【0058】
好適な漂白活性化剤には、テトラアセチルエチレンジアミン、オクタノイルカプロラクタム、ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート、ベンゾイルバレロラクタム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネートのような、過加水分解可能な(perhydrolyzable)エステル及び過加水分解可能なイミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
好適な漂白促進剤には、米国特許第5,817,614号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
(酵素)
好適な酵素の非限定例には、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、及びその他が挙げられる。好適なプロテアーゼには、商標名エスペラーゼ(Esperase)(登録商標)、アルカラーゼ(Alcalase)(登録商標)、エバラーゼ(Everlase)(登録商標)及びサビナーゼ(Savinase)(登録商標)(ノボザイムズ(Novozymes)製)、BLAP及び変異型(ヘンケル(Henkel)製)のバチルス(例えば、サブチリス(subtilis)、レンタス(lentus)、リケニホルミス(licheniformis)、アミロリクエファシエンス(amyloliquefaciens)(BPN、BPN’)、アルカロフィラス(alcalophilus))からのサブチリシンが挙げられる。他の好適なプロテアーゼは、EP130756、PCT国際公開特許WO91/06637、PCT国際公開特許WO95/10591、及びPCT国際公開特許WO99/20726に記載されている。適切なアミラーゼは、(α及び/又はβ)はPCT国際公開特許WO94/02597及びPCT国際公開特許WO96/23973に記載されている。市販のアミラーゼの非限定例には、ピュラフェクト(Purafect)OxAm(登録商標)(ジェネンコア(Genencor)製)、並びにターマミル(Termamyl)(登録商標)、ナタラーゼ(Natalase)(登録商標)、バン(Ban)(登録商標)、フンガミル(Fungamyl)(登録商標)及びデュラミル(Duramyl)(登録商標)(ノボザイムズ(Novozymes)製)が挙げられる。好適なセルラーゼには、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)により産生されるような細菌性又は真菌性セルラーゼ、特にDSM1800(ケアザイム(Carezyme)(登録商標)として市販されている)が挙げられる。他の好適なセルラーゼは、トリコデルマ・ロンギブラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)によって産生されるEGIIIセルラーゼである。好適なリパーゼには、シュードモナス(Pseudomonas)及びクロモバクター(Chromobacter)群によって産生されるものが挙げられる。市販のリパーゼの非限定例には、ノボザイムズ(Novozymes)からのリポラーゼ(Lipolase)(登録商標)、リポラーゼウルトラ(Lipolase Ultra)(登録商標)、リポプライム(Lipoprime)(登録商標)、及びリペックス(Lipex)(登録商標)が挙げられる。また本明細書で使用するのに好適であるものは、クチナーゼ[EC3.1.1.50];エステラーゼ;マンナナーゼ(米国特許第6,060,299号)のようなカルボヒドラーゼ;ペクチン酸リアーゼ(PCT国際公開特許WO99/27083);シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(PCT国際公開特許WO96/33267);及びキシログルカナーゼ(PCT国際公開特許WO99/02663)である。加えて、漂白酵素の非限定例としては、ペルオキシダーゼ、アセチルCoAカルボキシラーゼ(accases)、オキシゲナーゼ(例えば、カテコール1,2ジオキシゲナーゼ)、リポキシゲナーゼ(PCT国際公開特許WO95/26393)、(非ヘム)ハロペルオキシダーゼが挙げられる。
【0061】
(香料及び香料デリバリーシステム)
本明細書で使用する時、用語「香料」は、いかなる芳香性物質をも意味する。好適な香料には、1つ以上の芳香族化学物質、天然由来の油、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このような芳香族化学物質及び精油の化学的部類には、アルコール類、アルデヒド類、エステル類、ケトン類が挙げられるが、これらに限定されない。香料には、通常、香料デリバリーシステムが備わっている。
【0062】
好適な香料デリバリーシステムには、香料を充填したシクロデキストリン類、アミン補助送達組成物(amine assisted delivery compositions)、ポリマー補助香料システム、反応性/プロ香料(pro-perfume)システム及び無機キャリアシステムが挙げられるが、これらに限定されない。香料を充填したシクロデキストリン送達組成物は、香料物質を含むか、あるいは大部分のシクロデキストリンがα−、β−、及び/若しくはγ−シクロデキストリン、又は単にβ−シクロデキストリンであってよいシクロデキストリン型物質と錯体を形成したブレンドを含む。シクロデキストリン類及びシクロデキストリン送達組成物を製造する方法は、米国特許第3,812,011号、同第4,317,881号、同第4,418,144号及び同第5,552,378号に更に記載されている。
【0063】
アミン補助送達システムは、1つ以上の香料と、香料から最終製品へ別々に添加されるポリマー及び/又は非ポリマーアミン物質とを含む。このようなシステムは、PCT国際公開特許WO03/33635及びPCT国際公開特許WO03/33636に記載されている。
【0064】
ポリマー補助送達システムは、ポリマー物質と香料との物理的結合を使用して香料物質を送達する。好適なポリマー補助システムには、リザーバシステム(コアセルベート、マイクロカプセル、デンプン封入)、及びマトリックスシステム(ポリマーエマルション、ラテックス)が挙げられるが、これらに限定されない。このようなシステムは、PCT国際公開特許WO01/79303、PCT国際公開特許WO00/68352、PCT国際公開特許WO98/28339、並びに米国特許第5,188,753号及び同第4,746,455号に更に記載されている。
【0065】
反応性/プロ香料システムには、製品に添加する前に、ポリマーキャリア、典型的には窒素系キャリアと反応する香料物質、典型的にはアルデヒド又はケトン香料を含むポリマープロ香料;非ポリマー物質、例えば、マイケル付加物(β−アミノケトン類)、シッフ塩基(イミン類)、オキサゾリジン類、β−ケトエステル類、オルトエステル類及び光プロ香料類(photo pro-perfumes)と反応する香料物質を含む非ポリマープロ香料システムが挙げられるが、これらに限定されない。このようなシステムは、PCT国際公開特許WO00/24721、PCT国際公開特許WO02/83620、並びに米国特許第6,013,618号及び同第6,451,751号に更に記載されている。
【0066】
1つ以上の香料物質が装填されている無機物質(多孔質ゼオライト、シリカなど)を含む、無機キャリアシステム。このようなシステムは、米国特許第5,955,419号、同第6,048,830号、及び同第6,245,732号に更に記載されている。
【0067】
(柔軟化剤)
好適な布地柔軟化剤又は活性物質には、ジエステル四級アンモニウム化合物(DEQA);ポリ四級アンモニウム化合物;カルボン酸でエステル化され、四級化されたトリエタノールアミン(いわゆる「エステルクアット(esterquat)」;アミノエステルクアット類;カチオン性ジエステル類;ベタインエステル類;環状ポリオール及び/又は還元糖のカチオン性ポリマー類(いわゆる「ポリオールポリエステル」又は「セフォーズ(Sefose)」);アミノシリコーン類、カチオン性シリコーン類、四級アンモニウム化合物(quat)/シリコーン混合物を含む、シリコーン又はシリコーンエマルション;官能化PDMS;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
付着助剤は、典型的にはカチオン性部分を含み、また、柔軟化剤と組み合わせて使用することもできる。
【0069】
四級アンモニウム型の柔軟仕上げ剤の非限定例は、N,N−ジメチル−N,N−ジ(タローイルオキシエチル)アンモニウムメチルスルフェート、N−メチル−N−ヒドロキシエチル−N,N−ジ(カノイルオキシエチル)アンモニウムメチルスルフェート及びこれらの混合物から成る群から選択してよい。
【0070】
非シリコーン布地柔軟化剤及び付着助剤の更なる例は、EP902009;PCT国際公開特許WO99/58492;米国特許第4,137,180号;PCT国際公開特許WO97/08284;PCT国際公開特許WO00/70004;PCT国際公開特許WO00/70005;PCT国際公開特許WO01/46361;PCT国際公開特許WO01/46363;PCT国際公開特許WO99/64661;PCT国際公開特許WO99/64660;JP11−350349;JP11−081134;及びJP11−043863に記載されている。シリコーン布地柔軟化剤及び付着助剤の更なる例は、米国特許第4,448,810号;米国特許第4,800,026号;米国特許第4,891,166号;米国特許第5,593,611号;EP459821;EP530974;PCT国際公開特許WO92/01773;PCT国際公開特許WO97/32917;PCT国際公開特許WO00/71806;PCT国際公開特許WO00/71807;PCT国際公開特許WO01/07546;PCT国際公開特許WO01/23394;JP2000−64180;JP2000−144199;JP2000−178583;及びJP2000−192075に記載されている。
【0071】
(仕上げポリマー)
仕上げポリマー類は、天然又は合成であることができ、被膜を形成すること及び/又は接着特性を提供することにより作用することができる。例えば、本発明は、所望により被膜形成及び/又は接着ポリマーを使用して、布地、特に衣類に形状保持性を付与することができる。「接着」とは、溶液又は分散液として繊維表面に塗布され乾燥した時に、ポリマーがその表面に付着することができることを意味する。ポリマーは、表面上に被膜を形成することができるか、又は2つの繊維の間に存在し、その2つの繊維と接触する時、それら2つの繊維を結合することができる。
【0072】
市販品として入手可能な仕上げポリマーの非限定的な例は、GAFケミカルズ社(GAF Chemicals Corporation)から入手可能な分子量約100,000のコポリマー958(登録商標)及び分子量約1,000,000のコポリマー937のようなポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー;サンドズケミカルズ社(Sandoz Chemicals Corporation)から入手可能なカータレチン(Cartaretin)F−4(登録商標)及びF−23のようなアジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー;三菱化学社(Mitsubishi Chemicals Corporation)から入手可能なダイアフォーマー(Diaformer)Z−SM(登録商標)のようなメタクリロイルエチルベタイン/メタクリレートコポリマー;エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(Air Products and Chemicals)から入手可能なビネックス(Vinex)2019又はクラリアント(Clariant)から入手可能なモウェオール(Moweol)(登録商標)のようなポリビニルアルコールコポリマー樹脂;ハーキュレス社(Hercules Incorporated)から入手可能なデルセット(Delsette)101(登録商標)のようなアジピン酸/エポキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー;サイテックインダストリーズ(Cytec Industries)から入手可能なシプロ(Cypro)515(登録商標)のようなポリアミン樹脂;ハーキュレス社から入手可能なキメン(Kymene)557H(登録商標)のようなポリ四級アミン樹脂;並びにBASFから入手可能なソカラン(Sokalan)EG310(登録商標)のようなポリビニルピロリドン/アクリル酸である。
【0073】
好適な仕上げポリマー類の更なる例には、デンプンカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
(その他の布地処理剤)
好適なUV保護剤の非限定例には、ベンゾピロリドン誘導体(PCT国際公開特許WO00/65142);退色を遅らせるための犠牲光退色防止及び/又はシンナメート誘導体、例えば二長鎖四級アンモニウム化合物(di-long chain quat)と組み合わせたレバフィクス(levafix)(PCT国際公開特許WO00/00577);アミノナフタレン誘導体:布地染色性日焼け止め剤(PCT国際公開特許WO99/50379);セルロースモノアセテートによるUV吸収剤の付着;メトキシシンナメート誘導体(PCT国際公開特許WO00/18861及びPCT国際公開特許WO00/18862);活性付着を高めるためのPVA及び/又はSCMCとUV吸収剤とのエステル(PCT国際公開特許WO00/18863);非イオン性/カチオン性製品中の2エチルヘキシル4メトキシシンナメートの付着(PCT国際公開特許WO97/44422);すすぎ製品からのClogP>4のUV吸収剤の付着(PCT国際公開特許WO97/44424);カチオン性UV吸収剤(PCT国際公開特許WO98/30663);染色した布地のUV退色を遅らせるためのヒンダードアミンの使用(PCT国際公開特許WO01/38470及びPCT国際公開特許WO01/07550);光退色を遅らせるためのカチオン性一重項酸素クエンチャー(EP832967);水溶性日焼け止め剤と組み合わせたNCO含有ポリマー(PCT国際公開特許WO98/49259);すすぎコンディショナー中の酸化防止剤+チヌビン(米国特許第5,962,402号);ベンゾトリアゾールUV吸収剤(米国特許第5,733,855号)が挙げられる。
【0075】
好適な移染防止(DTI)剤及び/又は染料固着剤の非限定例には、布地の色を回復させるためのブラックダイ(black dye)(PCT国際公開特許WO99/66019);DTI剤としてのビニル−イミダゾール−アクリル酸コポリマー(PCT国際公開特許WO00/17296);赤色6号の移染を防ぐためのラマUHH抗体(PCT国際公開特許WO99/46300);DTI剤としてのアクリル/ビニルイミダゾールコポリマー(PCT国際公開特許WO98/30664);選択されたDTI剤と、キャリア物質としてシリカ又はゼオライトとを含有する組成物;クロマボンド(Chromabond)+ガシル(Gasil)シリカ又はゼオライト;チノフィクス(Tinofix);バーコフィクス(Burcofix);PVP(N−ポリビニルピロリドン);光開始剤;ヒドロキシアセトフェノン;ホスフィンオキシド誘導体;反応性ポリマー(例えば、アミド/エピクロルヒドリン樹脂)及び反応性アニオン性ポリマー、並びに染料固着の改善のためのキャリアを含む組成物(PCT国際公開特許WO01/25386);PVP/PVI(N−ビニルピロリドン/N−ビニルイミダゾールコポリマー)組成物(米国特許第5,977,046号及びPCT国際公開特許WO97/23591);ハイパーブランチポリマー/デンドリマー(EP875521);樹枝状巨大分子、アミン含有(米国特許第5,872,093号及びEP779358);染料固着効果のためのプロピレンジアミン及びピペラジン(PCT国際公開特許WO00/15745);繊維の機械的損傷及び染料損失を低減させるためのCMC合成物(PCT国際公開特許WO00/22079、PCT国際公開特許WO00/22078、PCT国際公開特許WO00/22077、及びPCT国際公開特許WO00/22075);染料固着剤としてのジメチルジアリル系ポリマー(PCT国際公開特許WO00/56849);重合環状アミン(PCT国際公開特許WO99/14299);半極性非イオン性物質と合わせたエピクロルヒドリンと環状アミンとのコポリマー(PCT国際公開特許WO01/32815及びPCT国際公開特許WO01/32816);DTI剤としてのN−ビニルイミダゾール/N−ビニルピロリドンの高分子量ポリマー(DE19621509);染料固定剤としてのポリカチオン性物質(DE19643281);染料除去保護剤及び長期香料放出としてのアミノシリコーン類(PCT国際公開特許WO98/39401)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0076】
好適なしわ低減及び/又は除去剤の非限定例には、酸化ポリエチレン(DE19926863);硫酸化ヒマシ油及び/又はエトキシル化シリコーン類及び/又はアミノPDMS及び/又はポリアクリルアミド類;マグナソフト(Magnasoft)(登録商標)SRS、シルウェット(Silwet)(登録商標)L−7622(PCT国際公開特許WO00/24853及びPCT国際公開特許WO00/24857);エトキシル化PDMS及びアクリルポリマー類(PCT国際公開特許WO00/27991);高粘度シリコーン油及びエステルクアットのエマルション(PCT国際公開特許WO00/71806);脂肪族不飽和炭化水素;スクアレン;パラフィン(PCT国際公開特許WO01/34896);スチレン−イソプレン又はスチレンブタジエンポリマー類(PCT国際公開特許WO01/38627);架橋セルロースへのシリコーンポリマー類の組込み;酸で処理されたセルロースと反応したシリコーンカルボキシレート類又はシラノール含有(PCT国際公開特許WO01/44426);PDMSを有するアクリル類;アラビノガラクタン類;シリコーンエマルション;イソマルトスクシンアミド類(isomaltosuccinamides)(PCT国際公開特許WO00/24851及びPCT国際公開特許WO00/24856及びPCT国際公開特許WO00/24858);天然子葉抽出物(PCT国際公開特許WO01/07554);トリアジン又はピリミジン単位及び架橋剤を含有する、セルロース系のしわ取り技術(PCT国際公開特許WO01/23660);カチオン性ポリアミド/エピクロルヒドリン樹脂及びシリコーン潤滑剤組成物(EP1096056);シリコーン及び被膜形成ポリマーを含有するしわ低減組成物(PCT国際公開特許WO96/15309);非イオン性多価アルコールを含有するしわ低減組成物(PCT国際公開特許WO99/55948及びPCT国際公開特許WO99/55949);硬化可能なアミノ官能化シリコーン/布地柔軟化組成物(米国特許第5,174,912号);ポリアクリレート/ジヒドロキシエチル尿素(PCT国際公開特許WO01/16262)、並びにこれらの混合物の使用が挙げられる。これらのしわ低減剤には、布地柔軟化効果ももたらすものがあることが理解される。
【0077】
布地復元剤及び/又は繊維修復剤の非限定例には、回復剤としてのN−アルコキシル化キチン/キトサン(DE10019140);布地復元剤としてのセルロースモノアセテート、例えば様々な有益剤のための付着助剤としてのセルロース系ポリマー類の使用(PCT国際公開特許WO00/18860、PCT国際公開特許WO00/18861、及びPCT国際公開特許WO00/18862);布地復元剤として架橋されたカチオン性ポリアミン/エピクロルヒドリン樹脂;アポマルSAK(Apomul SAK)(登録商標)(PCT国際公開特許WO01/25386);自己架橋可能又はセルロースと反応可能なポリマー物質;反応性ポリウレタンを含むもの(PCT国際公開特許WO01/27232);イナゴマメゴムのような低分子量の多糖類(polyssacharide)ガムを含有する組成物、このようなガムは、キシログルカンのような酵素の開裂を通じてその場で(in situ)生成することができる(PCT国際公開特許WO00/40684及びPCT国際公開特許WO00/40685);多糖類/セルロースエステル(アセテート);特定の置換された復元ポリマー(PCT国際公開特許WO01/72936及びPCT国際公開特許WO01/72940〜PCT国際公開特許WO01/72944);繊維のもつれを防ぐための疎水性化CMC(PCT国際公開特許WO00/42144及びWO00/47705);耐摩耗性のための二塩基酸又はエピクロルヒドリンと架橋した高分子量PEI(PCT国際公開特許WO00/49122);耐摩耗性のためのプロピレンジアミンポリマー誘導体(PCT国際公開特許WO00/49123);耐摩耗性のためのリシンカプロラクタムポリマー類(PCT国際公開特許WO00/49125);すすぎコンディショナーから適用される被膜形成セルロースエーテル類(PCT国際公開特許WO00/65015);繊維の外観のためのリシン/アミン又はアジピン酸コポリマー類(PCT国際公開特許WO99/07813及びPCT国際公開特許WO99/07814)、並びにこれらの混合物の生成が挙げられる。
【0078】
好適な形状保持剤の非限定例には、寸法安定性を与えるためにPAE樹脂(例えば、アポマルSAK(Apomul SAK))及びシリコーンを含有する組成物(PCT国際公開特許WO00/15747及びPCT国際公開特許WO00/15748);乾燥機用途のための布地形状保持剤としてのカチオン性アミン/エピクロルヒドリン樹脂(PAE樹脂)(PCT国際公開特許WO00/15755);自己架橋可能及びセルロースと反応可能なアニオン性ポリマー類、例えば、カルバモイルスルホネート末端停止ブロック結合イソシアネート;寸法安定性を与えるもの(PCT国際公開特許WO01/25387)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0079】
好適な標的剤の非限定例は、セルロース結合多糖類への大型分子の結合(PCT国際公開特許WO99/36469);機能材料への抗体の結合及び布地表面上への吸着(PCT国際公開特許WO01/46364及びPCT国際公開特許WO01/48135);抗体結合を通じて粒子に結合したセルロース結合ドメイン(CBD)を有するタンパク質、綿への香料含有コアセルベートの促進(PCT国際公開特許WO01/46357);ペプチド又はタンパク質付着助剤による布地への有益剤の送達(PCT国際公開特許WO98/00500);模倣セルロース結合ドメイン(mimic cellulose binding domain)に結合した有益剤(PCT国際公開特許WO01/34743及びPCT国際公開特許WO01/32848)、並びにこれらの混合のような技術において開発されている。
【0080】
好適な刺激低減剤の非限定例としては、レバー(Lever)四級アンモニウム物質を用いた処理による、洗濯された布地の刺激の低減が挙げられる(PCT国際公開特許WO00/17297)。
【0081】
好適な変色防止剤の非限定例は、布地漂白中の黄ばみの可能性の低減をもたらすホスホネート化された末端停止ポリアクリレート(DE19904230)が挙げられる。
【0082】
好適な疎水性仕上げ剤の非限定例には、疎水性仕上げ剤としてのポリリシン(DE19902506)が挙げられる。
【0083】
好適な抗菌剤の非限定例には、悪臭を隠すための琥珀及びジャコウ臭発臭物質(musk)の組み合わせ(PCT国際公開特許WO98/56337);5−クロロサリチルアニリドを含有する抗殺菌(antibacteriocidal)組成物(PCT国際公開特許WO01/60157);アミノアルキルシリコーンを含有する抗微生物組成物、改善された表面残留性(PCT国際公開特許WO96/19194);抗微生物ポリペプチド(PCT国際公開特許WO96/28468);芳香族アルコール類及びフェノール類を含有する抗微生物組成物(WO98/01524);アルコール類の抗微生物活性(PCT国際公開特許WO97/21795);良好な抗微生物活性を有するベタイン組成物(PCT国際公開特許WO97/43368及びPCT国際公開特許WO97/43369);抗微生物剤としての高pHの非イオン性溶液(PCT国際公開特許WO01/44430);織物処理剤の制御放出のためのカプセル(DE19931399);ベンジルアキルアンモニウム(benzylakylammonium)、亜鉛PTO、クリムバゾール(climbazole)を含有する組成物(PCT国際公開特許WO98/01527);有効な抗菌組成物としてのアルキルジメチルアンモニウム及びアルコールエトキシレート(GB2322552);臭気中和のためのシクロヘキシルエステル類(PCT国際公開特許WO01/43784);アルコキシジスルフィド抗微生物剤(EP1008296);抗菌剤としてのブロモフラノン類(PCT国際公開特許WO1/43739)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0084】
増白剤は、目に見えない紫外線(UV)放射エネルギーを吸収し、このエネルギーをより波長の長い放射エネルギーへと変化させる、有機化合物であることができる。用語「増白剤」、「蛍光増白剤」、及び「ホワイトナー」は、交換可能に使用される。増白剤の非限定例には、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸メチンシアニン類、ジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、アゾール類、5員及び6員環複素環などの誘導体が挙げられる。増白剤の例は、「蛍光増白剤の生成及び適用(The Production and Application of Fluorescent Brightening Agents)」、M.ザフラドニク(M.Zahradnik)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)(ニューヨーク)出版(1982年)に開示されている。
【0085】
(汚染物質の化学修飾)
本発明は、汚染物質を修飾することによる、使用済みドライクリーニング溶媒からの汚染物質の増進した除去方法を対象とする。より詳細には、最初の汚染物質は、修飾されることができる1つ以上の官能部分を含有する。
【0086】
浄化方法は、ドライクリーニング溶媒と少なくとも1つの汚染物質との混合物を提供する第1の工程を含む。この混合物は、布地物品をドライクリーニング溶媒に、又は布地処理剤を含む布地処理組成物に暴露することにより生成させてよい。特定の実施形態において、水が布地処理組成物に存在してもよく、又はこの布地物品処理工程において別個の供給源から布地物品に適用されてもよい。次に、洗濯汚れ及び/又は布地処理剤を含有する使用済みドライクリーニング溶媒は収集され、本発明の方法の浄化が必要とされる混合物として使用することができる。使用済み溶媒又は混合物を提供する布地物品処理方法には、従来の浸漬洗浄方法、並びに米国特許公報20020133886−A1及び同20020133885−A1で開示されている非浸漬洗浄方法が挙げられる。
【0087】
本発明の浄化方法は、最初の形態の汚染物質(例えば、布地処置剤又は洗濯汚れ)の1つ以上の官能部分を修飾する工程を含む。汚染物質は、ポリマー又は非ポリマー物質であることができる。汚染物質がポリマーである場合、官能部分は、ポリマーの主鎖又は鎖末端部に位置することができる。より詳細には、この修飾工程において、1つ以上の官能部分が、修飾された汚染物質がドライクリーニング溶媒中で可溶性が低くなるか、又はドライクリーニング溶媒との相容性が低くなり、従って溶媒からより容易に分離されることができるように、化学変化を受ける。1つの実施形態において、修飾された汚染物質は、最初の汚染物質よりも親水性である。別の実施形態において、修飾された汚染物質は、最初の汚染物質よりも小さい分子量を有する。更に別の実施形態において、修飾された汚染物質は、最初の汚染物質より極性が高くなる。なお別の実施形態において、修飾された汚染物質は、最初の汚染物質よりも大きい分子量を有する。
【0088】
本明細書で使用する時、用語「相容性の低い」又は「可溶性の低い」は、ドライクリーニング溶媒と汚染物質とのハンセン(Hansen)溶解度パラメータにおける差が、汚染物質の修飾により大きくなることを意味する。ハンセン(Hansen)溶解度パラメータは、水素結合、極性及び分散の作用の合計に基づき、それらは分子構造により決定されることが知られている。汚染物質が本発明の化学修飾剤により修飾されると、その溶解度パラメータは、曇り、凝集、沈殿などで示されるように、汚染物質が溶媒から析出できるように変化する。
【0089】
本発明の浄化方法は、汚染物質が混合物中で可溶性が低くなり、汚染物質と溶媒との分離を促進するように、混合物を修飾する工程を含む。
【0090】
混合物の修飾は、混合物をイオン強度変性剤、pH変性剤、凝集剤、ゲル化剤、生物剤、液体抽出剤及びこれらの混合物のような浄化剤と接触させることにより実施できる。混合物が本発明の浄化剤により修飾されると、汚染物質は、修飾された混合物中で可溶性が低くなり、汚染物質は、曇り、沈殿物形成などで示されるようにバルク溶媒から析出し始める可能性がある。
【0091】
発明の浄化方法の分離工程は、修飾された汚染物質のドライクリーニング溶媒からの分離である。好適な分離方法は、以下で本明細書に開示されている。
【0092】
このようにして浄化されたドライクリーニング溶媒又は組成物は、後に続く布地物品処理サイクルで作用溶媒として使用することができる。本発明の1つの実施形態において、浄化されたドライクリーニング溶媒又は組成物は、収集され、及び/又は再処方され、数回の追加の布地処理サイクルに直ぐに再使用することができ、その後再び浄化方法を経ることが必要となる。本発明の別の実施形態において、浄化されたドライクリーニング溶媒又は組成物は、布地処理システムから除去され、保管され、後に別のシステム又は別の布地処理サイクルで作用溶媒又は組成物として使用することができる。
【0093】
更に、本発明の浄化方法は、洗浄システムのインライン(例えば、洗浄サイクルにおける)構成要素を介して、又は布地処理システムの付属(例えば、後布地処理サイクル)構成要素として、溶媒又は組成物に適用されてもよい。
【0094】
各浄化サイクルにおいて、浄化された溶媒又は組成物中の汚染物質の濃度が、後に続く布地物品処理サイクルで作用溶媒として使用される又は作用組成物として再処方される(この浄化方法で除去された及び/又は修飾された布地処理活性物質を最初の組成物の濃度に戻す)場合にその性能を損なわないように、十分な量の汚染物質がドライクリーニング溶媒又は組成物から除去されることが認識される。汚染物質が布地処理剤である場合、この浄化方法における布地処理剤の除去は、布地処理剤の100の%除去であることができるが、その必要はない。使用済み溶媒又は組成物に存在する布地処理剤の約50%〜約100%の除去されれば十分であり得る。布地物品の種類及び布地処理剤の種類は、浄化された溶媒又は組成物にそのクリーニング性能を損なうことなく残存することができる、布地処理剤の濃度に影響を与える要因である。すなわち、浄化された溶媒又は組成物は、1種の布地処理剤を別の種類のものより高い濃度で含んでよい。例えば、染料の濃度は、作用溶媒の約0.0001重量%〜約0.1重量%、又は約0.00001重量%〜約0.1重量%、又は約0重量%〜約0.01重量%で存在してよい。一方、浄化された溶媒中の洗浄性界面活性剤の濃度は、約0.001%〜約20%、又は約0.0001%〜約5%、又は約0%〜約1%であってよい。
【0095】
(汚染物質の化学修飾)
汚染物質の1つ以上の官能部分を対象とする反応性化学は、幾つかの利点をもたらす。第1に、反応性化学は非熱(すなわち蒸留を伴わない)、低温及び周囲圧力条件で実施することができる。第2に、反応性化学(例えば、酸化)は、汚染物質の酸化部位を標的にすることができる。第3に、汚染物質を可溶性の低い又は相容性の低い種に変換することにより、溶媒から沈殿する可能性があり、従ってデカンテーション、遠心分離などのような既知の技術により容易に除去することができる。修飾された汚染物質が溶媒から容易に沈殿しない場合には、他の技術(例えば、透析)が適用されて分離を促進することができる。
【0096】
本発明の1つの態様において、親油性流体と、アセタール類、ケタール類、オルトエステル類、エーテル類、アミド類、イミド類及びこれらの組み合わせから成る群から選択される官能部分を含有する布地ケア剤との混合物は、これらの官能部分が加水分解を受けて、それにより、汚染物質を修飾形態に変換して、汚染物質の最初の形態と比較して1つ以上の低分子量種及び/又はより極性のある種にすることができるように、酸に暴露される。修飾された汚染物質は、親油性流体との相容性が低くなり、分離工程でより容易に親油性流体から分離されることができる。官能部分の変換が以下に図式的に示される。
【化2】

【0097】
本明細書に用いるのに好適な酸類の非限定例には、アンバーリスト−15、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、及び種々のルイス酸類が挙げられる。
【0098】
本発明の別の態様において、親油性流体と、エステル類、カーボネート類、エステル−四級窒素及びこれらの組み合わせから成る群から選択される官能部分を含有する布地ケア剤との混合物は、これらの官能部分が加水分解を受けて、それにより、汚染物質を修飾形態に変換して、汚染物質の最初の形態と比較して1つ以上の低分子量種及び/又はより極性のある種にすることができるように、塩基又は酵素に暴露される。修飾された汚染物質は、親油性流体との相容性が低くなり、分離工程でより容易に親油性流体から分離されることができる。官能部分の変換が以下に図式的に示される。
【化3】

【0099】
本明細書に用いるのに好適な塩基類の非限定例には、アルカリ及びアルカリ土類金属の重炭酸塩及び炭酸塩、アルカリ及びアルカリ土類金属のヒドロキシ塩類、アルコキシド類、グアニジン、二級及び三級アルキルアミン類が挙げられる。リパーゼ及びエステラーゼのような酵素類は、本発明における加水分解剤としての使用に適している。
【0100】
本発明の更に別の態様において、親油性流体と、不飽和C=C結合(例えば、アルケニル類)である官能部分を含有する布地ケア剤との混合物は、これらの官能部分が酸化を受けて、それにより、汚染物質を修飾形態に変換して、汚染物質の最初の形態と比較して1つ以上の低分子量種及び/又はより極性のある種にすることができるように、酸化剤に暴露される。修飾された汚染物質は、親油性流体との相容性が低くなり、分離工程でより容易に親油性流体から分離されることができる。酸化変換は、化学量論的か又は触媒作用的のいずれかであることができ、オゾン分解、ジヒドロキシル化、エポキシ化、ワッカー反応、及び酸化開裂が挙げられるが、これらに限定されない。官能部分の変換が以下に図式的に示される。
【化4】

【0101】
代表的な酸化剤としては、オゾン;過硫酸塩類;過ヨウ素酸塩類;過塩素酸塩類;過ホウ酸塩類;ペルオキシ二硫酸塩(peroxydisulfates)類;過酢酸;過酸化水素;二酸化塩素;次亜塩素酸塩類;過マンガン酸塩類;酵素類;及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの酸化剤のうちの幾つかは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなどのような、アルカリ又はアルカリ土類金属の対イオンを含有する塩形態で汚染混合物に適用されてよい。
【0102】
本発明で酸化剤として使用するのに好適な酵素には、モノ−オキシゲナーゼ及びジ−オキシゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルキルスルファターゼ、アンモニアモノ−オギゲナーゼ(ogygenase)、カルボニルレダクターゼ、リパーゼ、リポラーゼ、モノ−メタンオキシゲナーゼ(methanoxigenase)、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
本発明の更に別の態様において、親油性流体と、ヒドロキシル及びアルデヒド基である官能部分を含有する布地ケア剤との混合物は、これらの官能部分が酸化を受けて、それにより、汚染物質を修飾形態に変換して、汚染物質の最初の形態と比較して1つ以上の低分子量種及び/又はより極性のある種にすることができるように、酸化剤に暴露される。修飾された汚染物質は、親油性流体との相容性が低くなり、分離工程でより容易に親油性流体から分離されることができる。官能部分の変換が以下に図式的に示される。
【化5】

【0104】
本明細書に用いるのに好適な酸化剤には、過マンガン酸カリウム、四酸化ルテニウム、塩化クロム酸ピリジニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
本発明の更に別の態様において、親油性流体と、保護ヒドロキシル基である官能部分を含有する布地ケア剤との混合物は、これらの官能部分が均一及び/又は不均一開裂を受けて、それにより、汚染物質を修飾形態に変換して、汚染物質の最初の形態と比較して1つ以上の低分子量種及び/又はより極性のある種にすることができるように、放射線エネルギーに暴露される。修飾された汚染物質は、親油性流体との相容性が低くなり、分離工程でより容易に親油性流体から分離されることができる。官能部分の変換が以下に図式的に示される。
【化6】

【0106】
本発明の更に別の態様において、親油性流体と、カルボン酸基、水素リン酸エステルである官能部分を含有する布地ケア剤との混合物は、これらの官能部分が中和されて、それにより、汚染物質を修飾形態に変換して、汚染物質の最初の形態と比較して1つ以上の低分子量種及び/又はより極性のある種にすることができるように、塩基に暴露される。修飾された汚染物質は、親油性流体との相容性が低くなり、分離工程でより容易に親油性流体から分離されることができる。官能部分の変換が以下に図式的に示される。
【化7】

【0107】
本明細書に用いるのに好適な代表的な塩基類には、アルカリ及びアルカリ土類金属の重炭酸塩類及び炭酸塩類、アルカリ及びアルカリ土類金属のヒドロキシ及びアルコキシド塩類、三級アミン類及びポリアミン類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
本発明の更に別の態様において、親油性流体と、アミノ基である官能部分を含有する布地ケア剤との混合物は、これらの官能部分が四級化反応を受けて、それにより、汚染物質を修飾形態に変換して、汚染物質の最初の形態と比較して1つ以上の低分子量種及び/又はより極性のある種にすることができるように、中和するアルキル化剤に暴露される。修飾された汚染物質は、親油性流体との相容性が低くなり、分離工程でより容易に親油性流体から分離されることができる。官能部分の変換が以下に図式的に示される。
【化8】

【0109】
本明細書に用いるのに好適な代表的な中和剤には、鉱酸及び有機酸が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に用いるのに好適なアルキル化剤には、アルキルハライド類、ジメチル又は他のジアルキルスルフェートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本発明のなお別の態様において、親油性流体と、アルケニル類、芳香族、アミド、エステル、塩化ビニル、エポキシ及びSi−O−、Si−O−Si、Si−ハロゲン(次の化合物で見られる:シロキサン類、シラノール類、ハロシラン類、オルガノアルコキシシラン類、オルガノアミノシラン類、ヒドロシラン類)のような種々のシリコーン結合のような、重合する官能部分を含有する布地ケア剤との混合物。1つの例は、不飽和炭素結合を含有する物質が、これらの官能部分が重合して、それにより、汚染物質を修飾形態に変換して、汚染物質の最初の形態と比較して1つ以上の高分子量種にすることができるように、反応開始剤(例えば、触媒)及び/又はエネルギー(例えば、紫外線、熱など)に暴露されるところである。修飾された汚染物質は、親油性流体との相容性が低くなり、分離工程でより容易に親油性流体から分離されることができる。官能部分の変換がエチレンの重合で以下に図示的に示される。
【化9】

【0111】
本明細書に用いるのに好適な代表的な触媒には、有機及び無機遷移金属錯体、無機及び有機ラジカル触媒、有機及び無機酸及び塩基、水、紫外線、熱、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
本発明の更なる態様において、汚染物質が修飾形態に変換され、それが、汚染物質の最初の形態と比較して1つ以上の低分子量種及び/又はより極性のある種になることができるように、生物剤を親油性流体と布地ケア剤との混合物に添加することができる。修飾された汚染物質は、親油性流体との相容性が低くなり、分離工程でより容易に親油性流体から分離されることができる。
【0113】
生物剤には、流出油除去に慣用的に使用される細菌、酵母菌、糸状菌、真菌、原生動物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの生物剤は非選択的であり、C、O、及びN原子の間の結合を消化することができる。
【0114】
(浄化剤との混合物の修飾)
本発明の1つの態様において、浄化剤は、一価アルカリ金属カチオン、又は二価アルカリ土類金属カチオン、又は二価若しくは多価遷移金属カチオンのようなイオン強度変性剤であることができる。非限定例には、Na;K;Li;Cs;Zn;Mg;Mn;Ni;Ba;Fe;La;Ce;Zr;Ca;Ce;Al;Cu;Feのカチオン、これらのカチオン電荷形態、これらの磁化形態、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0115】
浄化剤は、また、NH及び四級アンモニウムカチオンのような非置換又は置換アンモニウムカチオンを含むこともできる。四級アンモニウム界面活性剤は、当該技術分野において記載されている。これらの界面活性剤の特性は、これらが含有する置換基の種類に非常に強く影響される。鎖長、飽和度、分岐又はヒドロキシル若しくはエトキシ基の存在及び数が、界面活性剤の特性を決定する幾つかの要因である。典型的な織物製品コンディショニング作用は、長アルキル鎖を2つ有するカチオン性界面活性剤によって実施されるが、長アルキル鎖を1つだけ有するカチオン性界面活性剤は、洗濯洗剤における洗浄性能を改善すると報告されている。浄化剤として本明細書に用いるのに好適な四級アンモニウム化合物の非限定例は、米国特許第3,123,640号及び米国特許第3,141,905号で開示されており、これらの両方がカチオン活性界面活性化学化合物を記載している。カチオン活性化合物は、低級モノアルキルジアルカノールアミン類から誘導される第四級アンモニウム化合物である。カチオン性活性物質化合物には、また、本特許の式により記載されているような、a)ジ脂肪族(dialiphatic)、ジアルコキシル化四級アンモニウム化合物、及びb)モノ脂肪族(monoaliphatic)、トリアルコキシル化四級アンモニウム化合物が挙げられ、ポリオキシアルキレンアンモニウムカチオン性界面活性剤として本発明の実施に有用である。追加の例には、デシルトリメチルアンモニウム化合物、オクチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
これらのカチオンは、汚染溶媒又はその塩形態の混合物に適用されてもよく、それらはハロゲン化物(hadile)(F、Cl、Br、I)、水酸化物(OH)、カルボン酸塩(CO)、硫酸塩(SO)、亜硫酸塩(SO)、硝酸塩(NO)、亜硝酸塩(NO)、リン酸塩(PO)及びこれらの混合物のアニオン種を含有する。
【0117】
金属カチオンNH;四級アンモニウムカチオン及びこれらの混合物に基づく浄化剤は、典型的には、キャリア溶媒中の溶液として、キャリア溶媒の約0.1〜約1重量%の濃度で調製される。キャリア溶媒は、カチオンをその塩形態から解離させることができる溶媒である。キャリア溶媒の非限定例には、水又はpH調整水が挙げられる。これらのカチオン性剤は、典型的には、汚染物質中のアニオン種と相互作用し;得られる化合物を、濾過、遠心分離、デカンテーション及びそれらの組み合わせのような従来の技術によって、ドライクリーニング溶媒から容易に沈殿させ、分離させることができる。
【0118】
収集された沈殿剤を低pH(約2〜4)媒質に暴露することにより、沈殿剤をカチオン性剤及びアニオン性汚染物質に溶解することができる。カチオン性剤は、溶解された沈殿剤を含有する溶液をカチオン交換カラムに通すことにより、再生利用できる。
【0119】
あるいは、金属カチオンのうちの幾つかは、磁化形態である可能性があるので、磁場が適用されて沈殿剤をドライクリーニング溶媒から引き出すことができる。ドライクリーニング溶媒から沈殿剤が除去されたら、磁場を反転させて沈殿剤を低pH媒質へと放出することができ、カチオン性剤を、前述のように再生及び再利用することができる。
【0120】
本発明の溶媒浄化方法により、廃棄の必要がある追加の物質が生成されないので、カチオン性剤を再利用又は再生させる能力は、大きな利点をもたらす。
【0121】
本発明の別の態様において、浄化剤は、鉱酸又は有機酸から選択されるpH変性剤であってよい。鉱酸には、HCl、HBr、HI、硫酸、スルホン酸、硝酸、リン酸、カルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。これらのpH変性剤は、1、2又は3個の解離可能なプロトンを有してよい。有機酸とは、1つ以上のプロトンが直鎖、分枝鎖又は環式、飽和又は不飽和のアルキル基で換えられている上記の鉱酸を意味する。
【0122】
本発明の更に別の態様において、浄化剤は、水又はポリマー類のような凝集剤であってよい。例えば、水は、1つの凝集体当たり2つ以上の界面活性剤の分子を含有してよい界面活性剤の凝集体の形成を、非極性溶媒において誘導することがよく知られている。従って、凝集体は、本明細書で開示される分離技術によってより容易に混合物から分離されるほど大きくなる可能性がある。凝集剤には、ジアリルジメチルのようなカチオン性又はアニオン性ポリマー類、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(メタクリレート)及びポリ(アクリル酸)のような凝集剤(flocculant)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
凝集剤の添加は、凝集剤を分散するため、及び機械的エネルギーを提供して、汚染物質分子が凝集体に凝縮するように誘導するために、攪拌(混合)及び/又は音波処理のような処理と組み合わされてよい。
【0124】
本発明のなお別の態様において、浄化剤は、ソルビトールゲル化剤、金属脂肪酸エステル石鹸、ケイ酸カルシウム及び処理ケイ酸カルシウム、ヒマシ油の有機誘導体、セルロース誘導体、レシチン、キサンタム(xanthum)ガム、アルギネート及びこれらの混合物のようなゲル化剤であることができる。
【0125】
ソルビトール誘導体の部類は、本発明においてゲル化剤として使用することができる。例えば、1,2:2,4−ジ−O−ベンジリデン−D−ソルビトール(DBS)は、本明細書で使用される親油性溶媒を含む多種多様な有機溶媒において、水素結合を介して凝集構造を形成することができる。ソルビトールゲル化剤を混合物に添加することにより、ソルビトールゲル化剤と、水素結合を形成することができる汚染物質との間に凝集体を形成することができる。得られる凝集体は、親油性流体から容易に分離されることができる。
【0126】
金属エステル石鹸はゲル化剤として使用され、親油性流体からの汚染物質の分離を更に促進することができる。金属エステル石鹸は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛及びリチウムのような金属イオン、並びに一般式:R(CO)Oを有するエステルを含み、式中、Rは、飽和又は不飽和、直鎖、分枝鎖又は環式のC1〜C30アルキル鎖であることができる。例えば、好適な金属脂肪酸エステル類は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛又はリチウムから選択される金属イオン、並びにステアレート類、ベヘネート類、ラウレート類及びパルミテート類のような炭素原子10〜28個又は炭素原子12〜22個の鎖長を有する脂肪酸エステルを含んでよい。水酸化ステアリン酸アルミニウム/マグネシウムは、一般名ジルゲル(Gilugel)(登録商標)でジュリーニ社(Giulini Corporation)(ニュージャージー州バウンドブルック(Bound Brook))から市販されている。
【0127】
金属エステル石鹸のカチオンは、イオン強度変性剤として機能することもできることが理解される。
【0128】
ケイ酸カルシウム類及び処理ケイ酸カルシウム類は、本発明においてゲル化剤として使用することもできる。ケイ酸カルシウム類の通常の形態には、CaSiO、CaSiO(OH)、CaSiO(OH)が挙げられる。ケイ酸カルシウム類は、多種多様な非極性有機化合物により処理され、物質をより疎水性でより低い反応性にすることができる。市販されている有用なケイ酸カルシウム類には次が挙げられる:ヒューバーソルブ(Hubersorb)(登録商標)(ヒューバー社(Huber Corp.)、メリーランド州ハーブ・デ・グレース(Harve de Grace,MD))及びマイクロ−セル(登録商標)(セライト社(Celite Corp.)、コロラド州デンバー(Denver,CO))。ケイ酸マグネシウム又はケイ酸マグネシウム/アルミニウムのような他のケイ酸塩も本明細書で有用である。
【0129】
またゲル化剤として本明細書に用いるのに好適なものは、チキシン(Thixcin)(登録商標)R、チキサトロール(Thixatrol)(登録商標)STなどのようなヒマシ油の種々の有機誘導体である。これらのヒマシ油誘導体の主要な構成要素は、グリセリルトリス−12−ヒドロキシステアレートである。チキシン(Thixcin)(登録商標)GR、チキサトロール(Thixatrol)(登録商標)GST、チキシール(Thixseal)(登録商標)1084などのようなヒマシ油の種々の無機誘導体も本明細書で有用である。これらのヒマシ油誘導体又はその混合物は、全てレオックス社(Rheox,Inc.)(ニュージャージー州ハイツタウン(Hightstown,NJ.))から入手可能である。
【0130】
本発明のゲル化剤として有用な代表的なセルロース誘導体には、酢酸セルロース、セチルヒドロキシエチルセルロース及び他の修飾されたセルロース類が挙げられる。
【0131】
その他の好適なゲル化剤は、キサンタム(xanthum)ガム、レシチン、アルギネートなどのような天然供給源から誘導されてよい。
【0132】
親油性流体に不混和性の液体は、液体抽出剤として使用することができる。不混和性液体のような液体抽出剤は、混合物に添加されて第2相を提供することができ、汚染物質(1つ又は複数)は、親油性流体又は混合物から第2相又は不混和性液体に優先的に移動することができる。駆動力は、それぞれの液体における汚染物質(1つ又は複数)の分配係数に基づく。
【0133】
親油性流体から第2相を作り出すことができる抽出流体は、本明細書で用いるのに適している。液体抽出剤の非限定例には、水;直鎖又は分枝鎖、環式、非環式又は芳香族のアルコール類;直鎖又は分枝鎖、環式、非環式又は芳香族のジオール類;及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
(分離技術)
修飾後、修飾された汚染物質は、沈殿;沈降;遠心分離;デカンテーション;微粒子濾過;膜濾過;吸収剤、吸着剤、光触媒、又はこれらの混合物への暴露;磁気分離;温度変更;液液抽出;及びこれらの組み合わせのような幾つかの周知の技術により溶媒及び/又は組成物から分離されることができる。
【0135】
溶媒中で不溶性になる修飾された汚染物質は、沈殿、沈降、デカンテーション、遠心分離のような密度及び/又は重力に基づく技術によりドライクリーニング溶媒又は組成物から分離されることができる。
【0136】
沈殿は、固体の形成をもたらす相分離によって開始される。その後、1〜48時間で重力によって固体がバルク溶媒から分離される。加えて、沈殿の形成は、バルク溶媒における光学変化を引き起こし、その結果、バルク溶媒がかすむ(hazy)か、又は曇る(cloudy)。
【0137】
沈降は、重力沈殿による液体の流れからの懸濁固体粒子の分離である。また、沈降を使用して、沈殿速度の差に基づいて固体粒子を分離することもできる。
【0138】
「デカンテーション」及び「密度グラデーション」は重力型の分離方法である。「デカンタ」は、重力を用いて流れを連続的に2つの液相に分離するために使用される容器として定義される。ストークスの法則を利用して、連続相中の液滴の沈殿速度を導出し、それに応じてデカンタを設計することができる。
【0139】
遠心分離は、密度差に基づいて物質を分離する技術であり、その分離速度は、増加する回転力を加えることによって増幅される。この力は、遠心力と呼ばれ、回転力を提供する装置は、遠心分離器と呼ばれる。遠心分離を沈殿又は沈降と組み合わせて使用して、分離を増進及び加速させることができる。
【0140】
浄化剤が、アルカリ土類金属カチオン若しくは遷移金属カチオンに基づくカチオン性剤を含有するか、又は磁化可能な形態でカチオン性剤を含有する時には、磁化を使用して、溶媒から修飾された汚染物質(すなわち沈殿剤)を除去することができる。
【0141】
加えて、混合物の温度低下のような温度変更が、混合物からの汚染物質の分離を更に増進させることができる。例えば、溶媒又は混合物中の汚染物質の相容性又は溶解性を、温度を下げることにより低下させることができる。他の例では、汚染物質が相変化(例えば、結晶化)を起こし、溶媒又は混合物から沈殿してもよい。
【0142】
液体からの固体微粒子、凝集体、又は沈殿剤の除去には、微粒子濾過を使用することができる。例えば、固体含有量の少ない液体を、光学的に透明な液体になるように濾過することができる。カートリッジは、典型的には円筒状の形体であるが、他の形状も許容可能である。カートリッジ内部の濾過材は、プリーツ状又は非プリーツ状、使い捨て又は洗浄可能/再生可能なもののいずれかであることができる。濾材は、通常、プラスチック若しくは金属製品によって支持、及び/又はそれらに一体に結合される。
【0143】
膜濾過は、膜を横切る駆動力としての、膜を通過する溶質の移動、又は膜を通過する溶媒の移動を包含する。透析及び浸透は、膜濾過技術の実施形態である。微粒子濾過と対照的に、膜濾過は、低分子量溶質分子又はイオンを、膜全体にわたる濃度勾配、及び任意に圧力勾配により動かして膜を通すことにより、それらを溶液から除去することに有効である。
【0144】
本明細書で使用するのに好適な膜は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、炭化ケイ素及びこれらの混合物のような多孔質無機物質を含んでよい。本明細書で使用するのに好適な膜は、また、ポリテトラフルオロエチレン;ポリ(フッ化ビニリデン);ポリプロピレン;ポリエチレン;セルロースエステル類;ポリカーボネート;ポリスルホン/ポリ(エーテルスルホン);ポリイミド/ポリ(エーテルイミド);脂肪族ポリアミド;ポリエーテルエーテルケトン;架橋ポリアルキルシロキサン及びこれらの混合物のような有機物質を含んでもよい。好適な膜は、GEAフィルトレーション(Filtration)又はGEオスモニクス社(Osmonics Inc)(ミネソタ州ミネトカ(Minnetoka,MN.))から市販されている。
【0145】
低分子量の溶質が、膜を通過するのではなく膜上又は膜内で保持される1つの実施形態では、溶質分子で塩及び他の微細種を交換することによって、溶質を溶媒又は水で洗い流すことができる。従って、膜を再生させることができる。新しい溶媒を繰り返し又は連続的にに添加することによって、低分子量溶質を効率的且つ急速に流し出す。
【0146】
抽出は、ある液体から別の不混和性液体へ、又は固体から液体への1つの化合物若しくは複数の化合物の選択的移動である。前者の方法は、液液抽出と呼ばれ、不混和性液体のような異物が導入されて、(1つ又は複数の)化合物が優先的に移動できる第2相をもたらす。駆動力は、それぞれの液体中の(1つ又は複数の)溶質化合物の分配係数に基づく。この分離技術では、2つの液相中の化合物は、物理的バリアによってではなく、単に境界面(すなわち、化学的バリア)によって分離されるにすぎない。
【0147】
ドライクリーニング溶媒から第2相を作り出すために本明細書に用いるのに好適な抽出流体としては、水;直鎖又は分枝鎖、環式又は非環式のアルコール類;直鎖又は分枝鎖、環式又は非環式のジオール類;及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
修飾された汚染物質は、また、混合物を吸収材料、吸着物質、光触媒、又はこれらの混合物に接触させることにより、ドライクリーニング溶媒又は組成物から除去することができる。これらの物質は、固体微粒子/粉末として混合物に添加することができるか、又はカートリッジ若しくは同様の容器内に収容されることができる。
【0149】
好適な吸着物質としては、活性炭、粘土、極性剤類、無極性剤類、荷電剤類、ゼオライト類、ナノ粒子類、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
本明細書で吸着物質として使用するのに好適な極性剤は、次式を有し、
(Y−O)X
式中、YはSi、Al、Ti、Pであり;aは約1〜約5の整数であり;bは約1〜約10の整数であり;Xは金属である。1つの実施形態では、本明細書で吸着物質として用いるのに好適な極性剤は、シリカ、珪藻土、アルミノケイ酸塩類、ポリアミド樹脂、アルミナ、ゼオライト類及びこれらの混合物から成る群から選択される。1つの実施形態では、極性剤はシリカであり、より具体的にはシリカゲルである。好適な極性剤には、日本化学工業株式会社(Nippon Chemical Industries Co.)(日本、東京)から入手可能なシルファム(SILFAM)(登録商標)シリカゲル;及びW.R.グレース(W.R.Grace)(メリーランド州コロンビア(Columbia,MD.))から入手可能なダヴィシル(Davisil)(登録商標)646シリカゲルが挙げられる。
【0151】
本明細書で吸着物質として用いるのに好適な無極性剤は、ポリスチレン、ポリエチレン、及び/又はジビニルベンゼンのうちの1つ以上を含む。無極性剤は、織布又は不織布ウェブのような繊維性構造の形態であってもよい。好適な無極性剤には、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)(ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia,PA.))から入手可能なアンバーライト(Amberlite)(登録商標)XAD−16及びXAD−4が挙げられる。
【0152】
本明細書に用いるのに好適な荷電剤は、アニオン性物質、カチオン性物質、双極性物質及びこれらの混合物から成る群から選択される。1つの実施形態では、荷電剤は、次式を有し、
(W−Z)T
式中、WはSi、Al、Ti、P又はポリマー主鎖であり;Zは荷電置換基であり、Tはアルカリ、アルカリ土類金属及びこれらの混合物から選択される対イオンである。例えば、Tは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム誘導体、水素イオン;塩化物、水酸化物、フッ化物、ヨウ化物、カルボキシレートなどであってよい。W部分は、典型的には、約1重量%〜約15重量%の荷電剤を含む。ポリマー主鎖は、典型的には、ポリスチレン(polystryrene)、ポリエチレン、ポリジビニルベンゼン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、多糖類、ポリビニルアルコール、これらのコポリマー及びこれらの混合物から成る群から選択される物質を含む。荷電置換基は、典型的には、スルホネート類、ホスフェート類、四級アンモニウム塩類、及びこれらの混合物を含む。荷電置換基は、アルコール類、ジオール類、カルボキシレート類の塩、一級及び二級アミン類の塩、並びにこれらの混合物を含んでもよい。好適な荷電剤は、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)(ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphi,PA))から名称IRC−50として入手可能である。
【0153】
好適な吸収材料には、ヒドロゲル形成吸収材料、又は吸収性ゲル材料(AGM:absorbent gelling material)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
ヒドロゲル形成吸収性ポリマー類は、また、一般に「ヒドロコロイド」とも呼ばれており、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースのような多糖類;ポリビニルアルコール及びポリビニルエーテルのような非イオン型;ポリビニルピリジン、ポリビニルモルホリニオン(polyvinyl morpholinione)、並びにN,N−ジメチルアミノエチル、又はN,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート類及びメタクリレート類のようなカチオン型、並びにこれらそれぞれの四級塩を挙げることができる。それらのコポリマー類は、部分的に中和されていてもよく、わずかに網状に架橋していてもよく、又はその両方でもよい。典型的には、ヒドロゲル形成吸収性ポリマー類は、多数のアニオン性又はカチオン性官能基を有する。これらのポリマー類は、単独で、又は2つ以上の異なるポリマーの混合物で使用することができる。これらのポリマー物質の例は、米国特許第3,661,875号;同第4,076,663号;同第4,093,776号;同第4,666,983号、及び同第4,734,478号に開示されている。
【0155】
また、他のヒドロゲル形成物質も、本明細書で吸収材料として使用するのに好適である。本明細書に用いるのに好適なこれらのゲルの非限定例は、アクリルアミド類、アクリレート類、アクリロニトリル類、ジアリルアンモニウムクロリド、ジアルキルアンモニウムクロリド、及びその他のモノマー類に基づくものであってよい。幾つかの好適なゲルは、米国特許第4,555,344号、同第4,828,710号、及び欧州特許出願EP648,521A2に開示されている。
【0156】
ヒドロゲル形成ポリマー構成成分は、また、カチオン交換ヒドロゲル形成吸収性ポリマーとアニオン交換ヒドロゲル形成吸収性ポリマーとを含む、混合床式イオン交換組成物の形態であってもよい。このような混合床式イオン交換組成物は、例えば、米国特許出願番号09/130,321(アシュラフ(Ashraf)ら、1998年1月7日出願)(P&G事例6976R);及び米国特許第6,121,509号に記載されている。
【0157】
好適な光触媒としては、後で二酸化チタンのような光活性物質が負荷されるゼオライト及び/又はメソ細孔性モレキュラーシーブ物質の構造中に交換される遷移金属原子を含む、半導体光触媒が挙げられるが、これらに限定されない。そのような半導体光触媒は、米国特許第6,585,863号に記載されている。
【0158】
(洗浄システム及び洗浄装置)
本発明は、また、上記の方法で使用するのに好適な洗浄システム及び洗浄装置を含む。洗浄システムは、布地物品処理容器と、ドライクリーニング溶媒リザーバと、所望によりドライクリーニング溶媒中の汚染物質の濃度を監視するセンサとを含む。汚染物質濃度がある所定の値を超えると、それは、ドライクリーニング溶媒が最大汚染物質保持許容度に達しており、浄化が必要であることを示す。加えて、本発明の浄化方法を実施することができる修飾ユニットを含む溶媒浄化/回復装置は、また、システム/装置と一体の部分として提供されてもよい。但し、そうである必要はない。溶媒浄化/回復ユニットは、ドライクリーニングシステムから分離している、独立型(stand-alone)装置であることができる。
【0159】
当業者に公知の好適ないかなる布地物品処理容器をも使用することができる。布地物品処理容器は、洗浄システムの運転の間、処理すべき布地物品を受け取り、保持する。換言すれば、布地物品処理容器は、布地物品がドライクリーニング溶媒と接触している間、布地物品を保持する。好適な布地物品処理容器の非限定例には、商業用洗浄機、家事用、家庭用洗濯機、及び衣類乾燥機器が挙げられる。
【0160】
本発明の方法及びシステムは、クリーニングサービス、おむつサービス、制服クリーニングサービスのようなサービス、又はコインランドリー、ドライクリーナー、ホテル、レストラン、コンベンションセンター、空港、観光船、港湾施設、カジノの一部のリネンサービスのような営利事業で使用してもよく、又は家庭で使用してもよい。
【0161】
本発明の方法は、改造された既存装置であり、また関連方法に加えて本発明の方法を実施するような形で改良された装置において実施されてよい。
【0162】
本発明の方法は、また、本発明及び関連方法を実施するために特別に構築された装置で実施されてもよい。
【0163】
更に、本発明の方法は、ドライクリーニング溶媒処理システムの一部として別の装置に追加されてもよい。これには、化学物質及び水の供給源、並びに廃棄洗浄流体用の下水設備への連結のような、関連する配管が全て含まれる。
【0164】
本発明の方法は、また、「デュアルモード」機能が可能な装置で実施されてもよい。「デュアルモード」装置は、同じ容器(すなわちドラム)内で布地の洗浄及び乾燥の両方が可能なものである。水性洗濯プロセス用のデュアルモード装置は、特にヨーロッパで市販されている。加えて、本発明の方法は、また、「バイモード(bi-modal)式」洗浄機能を実施可能な装置で実施されてもよい。「バイモード式」装置は、同じ容器で非水性洗浄及び水性洗浄の両方を実施可能なものであり、2つの洗浄モードを、順次洗浄サイクル又は複合洗浄サイクルで実施することができる。加えて、バイモード式機械は、衣類を別個の機械に移動させる必要なしにそれらを完全に乾燥させることが可能である。すなわち、機械は、バイモード機能並びにデュアルモード機能を持つことができる。
【0165】
本発明で使用するのに好適な装置は、典型的には、「スマートコントロールシステム」のような電気的システム、並びにより従来的な電気機械的システムを含む、ある種の制御システムを収容する。制御システムによって、ユーザーは、洗浄すべき布地洗濯物負荷の大きさ、汚れの種類、汚れの程度、洗浄サイクルの時間を選択することができる。あるいは、制御システムは、ユーザーが装置にプログラムした任意の数の確認可能なパラメータに基づいて、予め設定された洗浄及び/若しくはリフレッシュサイクル、又はサイクルの長さの制御を提供する。例えば、ドライクリーニング溶媒の回収速度が安定した速度に達した時に、装置は、一定時間後に自動的に停止するか、又はドライクリーニング溶媒の別のサイクルを開始することができる。
【0166】
電気的制御システムの場合、1つの選択肢は、制御デバイスを、自己診断;洗濯物の種類及びサイクル選択;ユーザーが装置を遠隔操作で始動でき、装置が布地物品を洗浄し終えた時にユーザーに通知することができるか、又は装置が正常に機能しない場合には供給元が遠隔操作で問題を診断できるようにするインターネットリンクなどのスマート機能を提供する、いわゆる「スマートデバイス」にすることである。更に、本発明の装置は、また、いわゆる「スマートシステム」と呼ばれる洗浄システムの一部分であることもでき、そこでは本装置は、洗浄プロセスの残りを完了させる補足的(complimentary)作業を実施する別の洗濯装置(例えば、洗濯機又はドライヤー)と連通する能力を有する。
【0167】
本発明の特定の実施形態を例示し説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくその他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0168】
特に指定がない限り、本明細書に記載される百分率は全て重量に基づく。本明細書全体を通じて記載される最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのようなより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含むことを理解すべきである。本明細書全体を通じて記載される最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載される数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0169】
引用された文献は、全て、関連部分において参考として本明細書に組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを承認するものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)親油性流体と1つ以上の汚染物質とを含む混合物を得る工程;
(b)前記汚染物質を化学的に修飾する工程;
(c)前記混合物を浄化剤と接触させ、それにより前記混合物中の前記汚染物質の溶解度を変える工程;及び
(d)前記汚染物質を親油性流体から分離する工程
を含む、親油性流体を浄化するための方法。
【請求項2】
工程(b)が、工程(c)の前又は後に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記汚染物質が、アセタール類、ケタール類、オルトエステル類、アミド類、イミド類、エステル類、炭酸塩類、エステル−四級窒素、アルケニル類、ヒドロキシル類、アルデヒド類、保護ヒドロキシル類、カルボン酸類、水素リン酸エステル類、エーテル類、アミン類、Si−O−、Si−O−Si、Si−ハロゲン及びこれらの混合物から成る群から選択される官能部分を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学修飾工程(b)が、酸化、放射線開裂、誘導体化、水素添加、還元、溶媒化分解、加水分解、重合、中和、生物剤による消化及びこれらの組み合わせから成る群から選択される反応である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記加水分解が、酸加水分解、塩基加水分解、酵素加水分解及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記誘導体化が、エステル化、アシル化、アルキル化、アミド化及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(c)の前記浄化剤が、イオン強度変性剤、pH変性剤、凝集剤、ゲル化剤、液体抽出剤及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記浄化剤が、Na;K;Li;Cs;Zn;Mg;Mn;Ni;Ba;Fe;La;Ce;Zr;Ca;Ce;Al;Cu;Fe;その磁化形態、その塩形態及びこれらの混合物から成る群から選択されるアルカリ、アルカリ土類金属又は遷移金属のカチオンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記浄化剤が、NH、アルキル置換NH、四級アンモニウムカチオン類、その塩類及びこれらの混合物から成る群から選択されるカチオンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記浄化剤が、鉱酸類、有機酸類及びこれらの混合物から成る群から選択されるpH変性剤である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記pH変性剤が、HCl、HBr、HI、硫酸、スルホン酸、硝酸、リン酸、カルボン酸及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記浄化剤が、ジアリルジメチル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリル酸)及びこれらの混合物から成る群から選択されるポリマーである凝集剤である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記浄化剤が、ソルビトールゲル化剤、金属脂肪酸エステル石鹸類、ケイ酸カルシウム類及び処理ケイ酸カルシウム類、ヒマシ油の有機誘導体、セルロース誘導体、レシチン、キサンタムガム、アルギネート及びこれらの混合物から成る群から選択されるゲル化剤である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記浄化剤が、親油性流体と不混和性である抽出流体である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記抽出流体が、水;直鎖又は分枝鎖、環式、非環式又は芳香族のアルコール類;直鎖又は分枝鎖、環式、非環式又は芳香族のジオール類;及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記分離工程(d)が、沈殿;沈降;遠心分離;デカンテーション;微粒子濾過;膜濾過;吸収剤、吸着剤、光触媒、又はこれらの混合物への暴露;磁気分離;温度変更;液液抽出;及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記汚染物質が、ポリマー鎖主鎖及び/又はポリマー鎖末端部に位置する官能部分を1つ以上有するポリマーである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記汚染物質が、布地処理剤、洗濯汚れ及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記汚染物質が、汚れ放出ポリマー類、洗浄性界面活性剤、漂白剤、酵素類、香料類、柔軟化剤、仕上げポリマー類、染料、移染防止剤、染料固着剤、繊維復元剤、しわ低減及び/又は除去剤、繊維修復剤、香料放出又は送達剤、形状保持剤、布地及び/又は汚れ標的剤、抗菌剤、変色防止剤、疎水性仕上げ剤、UV遮断剤、増白剤、顔料、毛玉防止剤、温度調節剤、スキンケアローション類、湿潤剤、保湿剤、粘度変性剤、防虫剤、難燃剤及びこれらの混合物から成る群から選択される布地処理剤である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記親油性流体が、直鎖又は環状シロキサン類、グリコールエーテル類、グリセリンエーテル類、炭化水素類、フルオロカーボン類、クロロカーボン類及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記親油性流体が、デカメチルシクロペンタシロキサンを含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−526403(P2007−526403A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515373(P2006−515373)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/020611
【国際公開番号】WO2005/003442
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】