観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機
【課題】プレイヤの背後に映るギャラリーにマスクを表示し、このマスクを装着したギャラリーが2人以上画面に存在した際に、2人が一定以内の距離に近づくと、2人の周辺にメッセージ性のある垂れ幕風の絵などを表示し、対戦相手に対してアピールすることができる観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機を提供する。
【解決手段】CCDカメラ4で撮影され、マスクしたプレイヤの画像がメインモニタ2に表示されるとともに撮影範囲に入ったギャラリーもマスクをして表示される。プレイヤがパンチパッド6にパンチグローブ9で打撃すると、相手プレイヤにダメージを与えることができる。2人のギャラリーが所定の距離内に近づくとその近辺に応援のためのメッセージが表示される。
【解決手段】CCDカメラ4で撮影され、マスクしたプレイヤの画像がメインモニタ2に表示されるとともに撮影範囲に入ったギャラリーもマスクをして表示される。プレイヤがパンチパッド6にパンチグローブ9で打撃すると、相手プレイヤにダメージを与えることができる。2人のギャラリーが所定の距離内に近づくとその近辺に応援のためのメッセージが表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDカメラでゲームプレイヤおよびギャラリー(観客)を実写しその映像をモニタに表示し、顔検出センサ(市販の顔検出ツール)を用いることによりプレイヤおよびギャラリーの顔を認識してマスクで覆い、複数のギャラリーが所定の位置条件になったときプラカード風に文字や絵などを画面に表示する観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
モニタ上に自らのキャラクタや相手キャラクタを表示し、パンチやキックなどを繰り出し、相手にダメージを与えて勝敗を決する対戦型格闘ゲーム機が広く普及している。
従来の対戦型ゲーム機は、対戦相手を模したキャラクタと自らを示すキャラクタをそれぞれのモニタに表示し、各プレイヤは相手のキャラクタの動作状態を見ながらジョイスティック,各ボタンを操作することにより自らのキャラクタの各部位を動かして相手に打撃を与え、相手ゲージのレベルを「0」にすることにより相手を倒すものが一般的である。
【0003】
モニタ上に第1の遊戯者に割り当てられた第1のキャラクタと第2の遊戯者に割り当てられたキャラクタを表示し格闘する対戦型格闘ゲーム機が提案されている(特許文献1)。これは一方のキャラクタの他者攻撃動作に伴って他方のキャラクタに攻撃回避動作を行わせる際の遊戯者の判断力を鈍らせる機能を備えたことを特徴とするものである。また、遊戯者同志に多彩で奥深い対戦の駆け引きを行わせることを可能とするものでる。そのために一方の遊戯者に割り当てられた一方のキャラクタに関する他者攻撃動作の開始時の動画映像と音声との信号間に所定の時間差を生成し、当該時間差を得た状態の動画映像信号及び音声信号を、それぞれ、他方の遊戯者に割り当てられたゲーム画像表示手段およびゲーム音声放音手段に供給する時間差生成処理手段と、この時間差生成処理手段を機能させる外部命令の実行及びその解除に関する各モードを、2人の遊戯者にそれぞれ選択させるためのモード選択手段を具備することにより遊戯者自身に操作のテクニックを利用してゲームの内容を多彩で奥深いものにするものである。
【特許文献1】特開2005−328854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本件発明者は、この種の対戦ゲームにおいて、お金を入れて遊んでいるプレイヤ以外も「応援」という形でゲームに参加することができないかを考えた。
また、プレイヤ以外のものが画面を見る対戦相手にメッセージ性のあるアピールをすることが出来ないかを考えた。
【0005】
本発明の目的は、プレイヤの背後に映るギャラリー(観客)に「マスク」を表示し、このマスクを装着したギャラリーが2人以上画面に存在した際に、2人が一定以内の距離に近づくと、2つのパーツの周辺にメッセージ性のある画像パーツ(垂れ幕風の絵など)を表示し、対戦相手に対してアピールすることができる観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1の発明は対戦相手を表示部に表示させ、相手と対戦を行う対戦ゲーム機において、プレイヤおよびプレイヤ背後で観戦するギャラリーをゲーム機前面側から撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像からプレイヤおよびギャラリーの顔を検出する顔認識手段と、検出したプレイヤの顔およびギャラリーの顔にマスクを表示するマスク装着手段と、対戦ゲームプレイ中にマスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき、所定のメッセージフレーズを前記表示部に表示するメッセージフレーズ表示手段と、カメラで撮影したマスク装着表示のプレイヤおよびギャラリーの画像を対戦相手のゲーム機に送り、対戦相手の表示部に表示させる送信手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2記載の発明は請求項1記載の発明において前記マスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき表示されたメッセージフレーズは、所定の距離より離れたとき表示部から消去することを特徴とする。
本発明の請求項3記載の発明は請求項1または2記載の発明において前記マスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき、一方のギャラリーが他方のギャラリーの右側から近づいたときと、左側から近づいたとき表示されるメッセージ内容は異なるメッセージを表示することを特徴とする。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の発明において前記対戦ゲーム機は、パンチパッドを有し、該パンチパッドにプレイヤがパンチを加えることにより、相手にダメージを与える対戦格闘ゲーム機であることを特徴とする。
本発明の請求項5記載の発明は、請求項1,2,3または4記載の発明においてゲーム機の最上部に相手ゲーム機で撮影した画像と、自ゲーム機で撮影した画像を表示するギャラリー観戦用表示部を設けたことを特徴とする。
なお、上記顔認識手段としては人物の「顔面」をセンシングし、センシングに2Dキャラを被せて追従させる技術が確立している。顔面のセンシングは主にCCDカメラを使い、投影された顔面より「眼」と「口」の位置関係を検出する方法(市販の顔検出ツール技術)などが用いられている。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、ゲームをプレイしているプレイヤ以外のギャラリーも無料でゲームに参加でき、プレイヤをゲームの中から応援することができる。これによりプレイヤが対戦相手に対し優位な態度がとることができる。また 顔面認証を「表示」,「移動」だけではなく、ゲームを盛り上げる「効果」へ結びつける構成(ギャラリーが応援のためのメッセージなどの表示を行うこと)にすることによりゲームプレイするプレイヤが一層の感情移入することが可能となる。
なお、顔面を2D画像で覆うことにより、投影されたプレイヤおよびギャラリーのプライバシーを守ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面等を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明による観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機の外観を示す概略図で、対戦格闘ゲーム機の例を示している。
対戦格闘ゲーム機1筐体の中央に相手プレイヤを投影しゲーム画面を表示するメインモニタ2が配置されている。メインモニタ2の上に種々の色を点灯したり、点滅したりするイルミネーション5が設けられている。さらにその上にプレイヤとギャラリーを実写するためのCCDカメラ4が配置されている。
【0009】
メインモニタ2の前部に打撃を体感する2つのパンチパッド6,7が配置され、ゲーム機1筐体の左右側面にパッチパッドを打つためのパンチグローブ9が掛けられている。
ゲームを開始すると、パンチパッド6,7はモータ制御により自動で起き上がり、ゲーム終了により元の位置、すなわち後方に倒れる。さらにパンチパッド6,7の前面側中央にコイン投入部11が、その両側に操作ボタン12,12が配置されている。
CCDカメラ4の上に、ギャラリーを観戦させるためのサブモニタ3が設けられている。左側のサブモニタ3aは当該プレイヤおよびそのギャラリーを映し出すものである。右側のサブモニタ3bは相手プレイヤおよびそのギャラリーを映し出すものである。
【0010】
図2に実際にプレイヤがパンチ格闘ゲームを行っている状態を示す。
プレイヤ10はパンチグローブを装着し左パンチを繰り出し、左側のパンチパッド7に打撃を与えている状態を示している。パンチパッド7は立ち上がった状態では、図示しないバネにより前方方向に付勢力が加えられている。このためプレイヤ10がパンチを加えると図示するようにパンチパッド7はプレイヤのパンチの衝撃によって後方に倒れるが、プレイヤがパンチを引くとパンチパッド7は元の位置に復元し立ち上がる。
ガード13は、プレイヤがパンチを繰り出したとき、勢い余って他の方向にパンチが振れた場合や他の方向に影響を及ぼさないようにするため、さらにパンチ格闘ゲーム機であることを注目させるために設けたものである。
【0011】
図3A,図3Bは第1および第2の対戦格闘ゲーム機のギャラリーの撮影状態を示す図である。
図3Aは1P(第1のゲーム機)筐体のプレイヤ10aがゲームを行っているときに、3人のギャラリー21,22,23が集まりCCDカメラ4aのCCDカメラ撮影範囲14a内に入っている状態が示されている。一方、図3Bは2P(第2のゲーム機)筐体のプレイヤ10bがゲームを行っているときに、3人のギャラリー24,25,26が集まりCCDカメラ4bのCCDカメラ撮影範囲14b内に入っている状態が示されている。このようにギャラリーがゲーム中にCCDカメラ撮影範囲内に入った場合、ギャラリーもプレイヤ同様に画面に表示される。
【0012】
図4A,図4Bは第1および第2の対戦格闘ゲーム機でギャラリーを背景にして格闘している状態を示す図である。
図4Aは3人のギャラリーが集まっている状態でプレイヤがパンチを繰り出しており、その撮影画像は、サブモニタ301aに表示され、相手を撮影した画像がサブモニタ301bに表示されている。メインモニタ201には相手側の画面が表示されている。図4Bは1人のギャラリーが集まっている状態でプレイヤがパンチを繰り出しており、その撮影画像は、図4Aと同様、サブモニタ302aに表示され、相手を撮影した画像がサブモニタ302bに表示されている。ギャラリーはサブモニタを見ることによりこちらのプレイヤの状況および相手プレイヤの状況を把握し観戦することができる。メインモニタ202には相手側の画面が表示されている。
【0013】
図5Aは、本発明による観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
コイン投入部11からコインが投入されるとコインが検出され、その情報はコイン関連装置32,入出力制御部34を介してCPU35に伝達される。コイン投入の状態、すなわちコイン数・プレイ数などの設定値はバックアップメモリ33に格納される。
パンチパッド6とパンチパッド7にはそれぞれ加速度センサ6a,7aが内蔵され、加速度センサ6a,7aに加えられたパンチ衝撃が衝撃検出器31により数値で検知され、検知された数値は入出力制御部34を介してCPU35に送られる。また、操作部12の操作情報も入出力制御部34を介してCPU35に送られる。
【0014】
パンチパッド駆動回路38はゲーム開始時にCPU35からの指令によりパンチパッド立ち上げ駆動モータ39を駆動し、待ち受け状態では倒れているパンチパッドを立ち上げる。またゲーム終了時にCPU35からの指令により立ち上がっているパンチパッドを倒す。CCDカメラ4はカメラ制御部30からの制御に基づき撮影範囲の撮影を行い、取り入れたギャラリーやプレイヤの実写映像をCPU35に送る。
画像処理部40はゲーム制御部35aの制御の下に、待ち受け時にはモニタ2にCCDカメラ4の撮影範囲に入ったギャラリーを表示する待ち画面を表示しており、コイン投入によりゲーム開始のメニュー画面を表示し、マスク選択画面,対戦相手を選ぶための画面やパンチゲーム対戦のための相手プレイヤおよびそのギャラリーの姿をモニタに表示する。また、ゲーム開始により自らのプレイヤおよびそのギャラリーと、相手のプレイヤおよびそのギャラリーの画面をサブモニタ3に表示する。
【0015】
ROM36はゲーム機筐体全体を制御する制御プログラム,CCDカメラで撮影した画像をエッジ画像に変換するエッジ画像変換プログラム,顔認識パターンとエッジ画像のマッチング処理を行うマッチング処理プログラム,ギャラリーによるメッセージを表示するメッセージ表示プログラム,パンチゲームを実行するパンチゲームプログラムおよび該ゲーム機に必要なデータが格納されている。また、マッチング処理の時に比較する多数の顔認識パターンが格納されている。RAM37はゲーム制御部,マッチング処理などで行う演算,処理の作業エリアとして用いられるとともにゲーム中の操作情報などが格納される。
【0016】
CPU35はROM36から制御プログラム,エッジ画像変換プログラム,マッチング処理プログラム,メッセージ表示プログラム,パンチゲームプログラムを読み込むことによりゲーム制御部35a,エッジ画像変換部35b,マッチング処理部35c,メッセージ表示制御部35d,パンチゲーム実行部35eの機能を実現する。
【0017】
ゲーム制御部35aは、ゲーム機の待ち受け状態でのメインモニタ2,サブモニタ3の待ち受け画面制御,バトルゲーム開始時の制御,バトルゲーム実行時の制御,ゲーム終了時の制御等を行う。
エッジ画像変換部35bは、CCDカメラ4から取り入れた画像をエッジ画像に変換する処理を行う。マッチング処理部35cはエッジ画像変換部35bで変換したエッジ画像と大きさが異なる多数の顔認識パターンと照合をとる。すなわち、各大きさの顔認識パターンについて顔認識パターンを構成する目の形状,鼻の形状,口の形状と一致するか否かを判定し、顔認識パターンの各形状部の描画位置が実写したエッジ画像の描画位置と所定の許容範囲内であれば顔と認識する。この時認識した顔の画面位置(X,Y)も検出する。
メッセージ表示制御部35dは顔認識した2人以上のギャラリーの内のいずれか2人の顔が所定の距離に近づいたとき、その近づき方に対応してそれぞれ異なる応援のためのメッセージ(絵なども可能)を発するように制御する。パンチゲーム実行部35eはパンチゲーム開始後に、相手プレイヤに対し交互に繰り出す自らのプレイヤがパンチを出したとき、検知されるその打撃の強さによってプレイヤにダメージを与えてモニタ上の体力ゲージを減少させるなどの処理をパンチゲーム終了まで行う。
【0018】
表1にメッセージ表示制御部35dが表示するメッセージフレーズの例を示す。
2人のギャラリーが所定の距離内に近づく場合、両者の近づく方向によって(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に分類される。各分類においてダメージの受けている比率と勝利時と敗退時とによってそれぞれ異なるメッセージが表示される。
例えば、ギャラリーAが右からギャラリーBに近づいた場合、(イ)に該当し、ダメージが4/4である場合、「ガンバレ!」が、勝利時は「さすがだ!」が表示される。
【表1】
【0019】
図5Bは顔認識処理の工程を説明するためのブロック図である。
ROMに顔認識のための目,鼻,口の形状のパターンが格納されている。目,鼻,口の形状の大きさが大から小までの複数種類に分けられた多数の顔認識パターンである。したがって、例えば、ギャラリーが遠くの位置でCCD撮影範囲に入った場合、ギャラリーの認識される顔の画像は小さく、また、近づいた位置でCCD撮影範囲に入った場合は、ギャラリーの認識される顔の画像は大きく、いずれの大きさの顔の場合でも、確実に認識できるようになっている。
CCDカメラでは撮影処理がなされ、撮影画像がエッジ画像に変換され、エッジで表現した線画の画像となる。この線画の画像は、ROMの顔認識パターンと照合され、顔認識パターンと一致すれば、一致した顔の位置の情報が出力され、マスク表示処理の前処理で、プレイヤの顔か、ギャラリーの顔かを判別し、プレイヤの顔であるならば、プレイヤが選択したマスクを認識されたプレイヤの顔に被せる。また、ギャラリーの顔であるならば、ギャラリー用のマスクを認識されたギャラリーの顔に被せる。そして、2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき、近づく方向によって、それぞれ対応するメッセージなどを表示する。
【0020】
図6はモニタの相手プレイヤ表示画面と自プレイヤの対戦状況を示す図で、図7はモニタの相手プレイヤ表示画面の一例を示す図である。
図6において、プレイヤ10aがパンチグローブを装着した状態でメインモニタを見ており、メインモニタの中央にマスクを付けた相手プレイヤが表示され、その後方に相手プレイヤを応援するギャラリーのメッセージ「やっちまえ!」「ガンバレ!」が表示されている。また、メインモニタの上部に体力ゲージ43が表示され、中央から左側には第1のプレイヤ(1P)のゲージが、中央から右側には第2のプレイヤ(2P)のゲージがそれぞれ表示されている。相手からダメージを受けると、受けたダメージの大きさの分、ゲージのレベルが減少する。体力ゲージ43の中央の上にはタイム表示41があり、「60」秒の数値が表示され、この値はカウントダウンされる。タイム表示が「0」になれば、ゲームオーバとなる。相手プレイヤ10bの手前には相手のパンチパッド49,50が表示されている。
【0021】
図8は、対戦パンチゲームの流れに対しプレイヤマスクおよびギャラリーマスク表示タイミングの関係を説明するためのフローチャートである。
コインが投入されていない状態ではゲーム制御部35aの制御の下、デモ画面が表示され、ゲームの概要やデモンストレーションが表示される(ステップ(以下「S」という)001)。また、タイトル画面も表示する(S002)。待ち受け画面でもCCDカメラ4は撮影を行っており撮影範囲に入ったギャラリーが存在すると、そのギャラリーの顔を認識してマスクを表示する処理を行っている(S201)。そして、ギャラリーが撮影範囲から外れた場合、ギャラリー自体画面上から消えるため、ギャラリーマスク表示を外す(消去する)処理を行う(S202)。図9Dにデモ待ち受け時の処理の流れを示している。
【0022】
つぎにコインを投入すると、ゲーム制御部35aはゲーム開始のためのメニュー画面を表示し、その1つとしてマスク選択画面が表示される(S003)。プレイヤは、自らが装着するマスクを多数の種類のものから選択することができる。プレイヤは操作部12を操作することによりマスク選択画面に表示される多数のマスクの一つを選択する。これによりプレイヤの姿は選択されたマスクがプレイヤに装着されてメインモニタ2に表示され、プレイヤがCCDカメラ4の撮影範囲にいる限り、その顔位置の移動(変化)を検知してマスクを装着し続ける(S101)。図9A,図9Bにこの処理の流れを示している。
【0023】
ついで、ゲーム制御部35aは相手検索画面を表示し、プレイヤが相手検索画面より相手検索の操作をすると、その情報は通信部50,ネットワーク51を介してサーバ装置に送られる。サーバ装置にはこのゲームに対する相手を検索している情報が他のゲーム機からも送られてくるため、サーバ装置は、対戦相手を探しているゲーム機の名前などの情報をゲーム機のメインモニタに表示する。プレイヤはその相手を選択すれば対戦相手を決定することができる(S004)。この処理をしている間、検索のための画面が表示されプレイヤの姿が表示されないため、プレイヤのマスク表示を外す処理がなされる(S102)。
【0024】
対戦相手が決定するとゲーム制御部35aはゲームを開始する(S005)。ゲーム開始後はパンチゲーム実行部35eがプレイヤの操作に従ってパンチゲームを進行させる。 ゲームが開始すると、CCDカメラ4,エッジ画像変換部35b,マッチング処理部35cによって、プレイヤおよびギャラリー(カメラ撮影範囲に入っていれば)の実写の画像を取り入れ、顔認識を行い、プレイヤおよびギャラリーにマスクを装着する(S103,S203)。ゲーム中にさらに新しいギャラリーがCCDカメラ4の撮影範囲に入れば、そのギャラリーに対しても顔認識を行ってマスクを装着する(S204)。
さらに2人のギャラリーが一定の距離以下になった場合、近づき方によってそれぞれことなる応援のためのメッセージなどが表示される。
【0025】
パンチゲームを行って結果画面が表示された場合、ゲーム制御部35aは勝ち負けを判定する(S006)。対戦相手に勝利した場合(S007)、つぎの対戦相手を検索するS004に移行する。対戦相手に敗退した場合(S008)、ゲームオーバとなって(S009)、デモ画面へと戻る。
ゲームオーバまではプレイヤおよびギャラリーにそれぞれマスクが装着され、2人のギャラリーが一定の距離に近づいた場合、近づき方によって異なるメッセージなどを表示する処理は行われ、ゲームオーバによってプレイヤおよびギャラリーへのマスクは外される(S104,S205)。
【0026】
図9Aは、CCDカメラの画像取入から顔認識までの流れを説明するためのフローチャートである。
この処理はゲームがスタートしたときから開始する。CCDカメラ4はプレイヤやギャラリーを検知し顔を認識するため画像を取り込む(S401)。エッジ画像変換部35bは取り込んだ画像を線画にするために画像内のエッジ部分を検出し(S402)、取り込んだ画像をエッジ画像に変換する(S403)。制御はマッチング処理部35cに渡され、マッチング処理部35cはROM36より顔認識パターンを読み出し、読み出した顔認識パターンをエッジ画像の一定の領域で表示される線画と照合する。そして線画を形成する部分と顔認識パターンの対応する領域とのズレの値を算出する(S404)。算出したズレの値が所定内の数値であるか否かを判定し(S405)、所定の数値以内であれば、線画を形成する部分は顔であると認識する(S406)。
【0027】
そしてエッジ画像のすベての範囲について顔認識を行ったか否かを判定する(S407)。一方、S405で所定の数値内のズレの値でなければ、S407の判定に移行する。S407において、エッジ画像のすべての範囲について顔認識の処理を行っていなければ、S404に戻り、エッジ画像のつぎの領域についての顔認識処理に移行する。エッジ画像の各領域の顔認識処理は第1の顔認識パターンから行われるが、各領域で顔認識されなければ、第nの顔認識パターンまで使用して顔認識処理を行う。
顔認識された場合、認識された顔は1人か、または2人以上かを判定し(S408)、1人であれば、プレイヤの顔であると認識する(S411)。一方、S408において、認識された顔が2人以上である場合、それぞれの顔は他のものに比較し最も大きいか否かを判定する(S409)。最も大きい顔はプレイヤの顔と認識する(S411)。
最も大きい顔でなければ、ギャラリーの顔と認識する(S410)。
【0028】
図9Bは、プレイヤマスク表示処理の流れを説明するためのフローチャートである。
認識したプレイヤの顔の位置(顔の中心)の算出(X,Y)を行う(S501)。なお、画像は横をXn 縦をYn として位置表示されるので、その算出した位置にマスクを表示すれば、プレイヤの顔にマスクを被せる表示となる。既に図9Aでプレイヤはマスクの種類を選択しているので、そのマスクの内、大きさが一致するマスクを選択する(S502)。そして大きさが一致したマスクを顔に重ねて表示する(S503)。
【0029】
ついで、顔認識したプレイヤがCCDカメラ4の撮影範囲から外れたか否かを判断する(S504)。プレイヤがCCDカメラ4の撮影範囲から外れた場合にはプレイヤマスクを画面より消去し(S505)、ゲームオーバか否かの判断に移行する(S508)。一方、プレイヤがCCDカメラ4の撮影範囲内にいる場合は、つぎにプレイヤの顔の位置が移動したか否かを判定する(S506)。顔の位置が移動した場合、選択したマスクの位置を顔の移動位置に追従して重ねる(S507)。これにより常にプレイヤの顔にマスクを被せた状態で表示することができる。つぎはゲームオーバか否かを判定し(S508)、ゲームオーバであれば、プレイヤマスク表示処理を終了する。ゲームオーバでなければ,S504に戻り、プレイヤがCCDカメラ4の撮影範囲から外れたか、移動したかを判定し、プレイヤのマスク表示処理を継続する。
【0030】
図9Cは、ギャラリーマスク表示処理およびメッセージフレーズ表示処理の流れを説明するためのフローチャートである。
ギャラリーの認識した顔についてその位置(X,Y)を、認識したギャラリーそれぞれについて検出する(S601)。そして、顔検出した位置にギャラリー用マスクを重ねることによりマスク表示する(S602)。
つぎにギャラリーの2人が近づき所定の距離内に近づいたか否かを判定する(S603)。所定の距離内に近づいた場合、メッセージフレーズを表示する(S604)。
【0031】
メッセージフレーズは2人の近づく過程の相違により表1に示すように異なる文言が表示される。
表1において、例えば(ロ)の場合、ギャラリーAが左からギャラリーBに近づいた場合の表示メッセージであり、プレイヤのダメージの状態によって表示されるメッセージが異なる。ダメージを4/4受けているときは「ファイトだ!」が、ダメージを3/4受けているときは「まだまだ!」が、ダメージを2/4受けているときは「ラッシュだ!」が、ダメージを1/4受けているときは「もうヨロヨロだな!」が、勝利したときは「君こそチャンプだ!」が、敗退したときは「ええ〜?」が表示される。
他の(イ)(ハ)(ニ)の場合についても同様に、プレイヤのダメージの状態によって表示されるメッセージが異なる。
【0032】
図10にプレイヤを撮影している画面にギャラリーが入った状態の例を、図11〜図13にギャラリーが発するメッセージの表示例をそれぞれ示す。
図10において、ギャラリー61は画面に入っているため顔にマスクが表示されている。しかしながらギャラリー60は画面に顔が半分入った状態であり、まだ顔認識がされていないためマスクは表示されていない。
図11において、マスクを付けたギャラリー62と63は所定の距離内にあり、「ガンバレ!」というメッセージ64がプラカード風に表示されている。また、図12はギャラリー66と67が図11とは異なる近づき方をしているため、「マケルナ!」というメッセージ65が表示されている。さらに図13ではギャラリー70と71は所定の範囲内に近づいており、「ファイト!」というメッセージ69が表示されている。ギャラリーはいずれのギャラリー2人が近づいてもメッセージが表示される。
【0033】
図9CのS605において、所定の距離内に近づいたギャラリーが所定の距離以上に離れたか否かを判定し、離れていない場合、メッセージを表示し続ける。所定の距離以上に離れた場合はメッセージを消去する(S606)。
つぎに顔認識したギャラリーが画面から外れたか否かを判定する(S607)。ギャラリーが画面から外れていれば、画面よりギャラリーマスクを消去する(S609)。ギャラリーが画面から外れていない場合や、またはS609の処理の後に、画面内を移動したギャラリーがいるか否かを判定する(S608)。画面内に移動したギャラリーがいる場合、マスク位置をギャラリーの顔の移動位置に追従して表示する(S610)。
画面内に移動したギャラリーがいる場合や、またはS610の処理の後は、ゲームオーバか否かを判定する(S611)。ゲームオーバであれば、パンチ格闘ゲームは終了する。
【0034】
ゲームオーバでなければ、CCDカメラ4より画像を取り込み(S612)、既に顔認識したギャラリー以外のギャラリーが撮影範囲に加わったか否かを判定する(S613)。既に顔認識されたギャラリーの顔の位置は(X,Y)で把握されており、把握されていない位置に新たなギャラリーの像が生じた場合、新たにギャラリーが加わったと判定する。ついで加わったギャラリーについて顔の認識を行い(S614)、認識した顔位置にギャラリー用マスクを重ねることによりマスク表示を行う(S615)。新たなギャラリーが加わらなかった場合や、加わったギャラリーにマスク表示した後は、S603に戻り、2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたか否かの判定に移る。
このようにしてギャラリーマスク表示,メッセージフレーズ表示の処理が行われる。
【0035】
図9Dは、デモ待ち受け時の流れを説明するためのフローチャートである。
S701からS707までの処理は図9AのS401〜S407までの処理と同じである。エッジ画像のすべての範囲について顔認識を行った場合、認識した顔の位置(X,Y)を検出し(S708)、顔の位置(X,Y)にマスクを重ねることによりマスクを表示する(S709)。つぎに顔認識したギャラリーの内、画面から外れた者がいるか判定する(S710)。画面から外れた者がいれば、画面から外れたギャラリーのマスクを画面より消去する(S711)。S710で画面から外れた者がいない場合はS701に移行する。また、画面から外れたギャラリーのマスクを画面より消去した後も、S701に移行する。このように処理することにより、デモ画面でCCDカメラの撮影範囲に入ったギャラリーにマスクを常に被せることができる。プレイヤに限らずギャラリーにマスクを被せるのは、人物の実像がモニタに表示されるため、その人物のプライバシーを保護するためである。
【0036】
以上のような構成によって両対戦プレイヤが相手の背後にいる応援ギャラリーやその応援メッセージを見ることにより、相手に対し人気を誇示し、誇示されることにより気分が高揚する等ゲームプレイをより楽しむことが出来るアピール性の高い効果を得ることができる。
以上の実施の形態は、パンチ格闘ゲームの例について説明したが、パンチ格闘ではなく、相手が存在し、その相手をモニタ上に実写できる対戦ゲーム機であれば、本発明を同様に適用できる。
また、顔認識の方法については、顔認識パターンを大小の大きさに対応して複数用意する例を示したが、顔認識のパターンはこのような顔認識パターンでなくてもよく、1つの大きさの顔認識パターンを用意しておき、合致する際に連続的に顔認識パターンの大きさを変えて合致処理を行うこともできる。目,鼻,口の位置関係は確定的な一つのパターンだけではなく、多数の位置関係の顔パターンが存在するため、それに対応するように多数の顔認識パターンを用意することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
ゲームセンターやイベント会場などに設置される業務用の対戦ゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機の外観を示す概略図で、対戦格闘ゲーム機の例を示している。
【図2】対戦格闘ゲーム機の格闘の方法を説明するための図である。
【図3A】第1対戦格闘ゲーム機のギャラリーの撮影状態を示す図である。
【図3B】第2対戦格闘ゲーム機のギャラリーの撮影状態を示す図である。
【図4A】第1対戦格闘ゲーム機でギャラリーを背景にして格闘している状態を示す図である。
【図4B】第2対戦格闘ゲーム機でギャラリーを背景にして格闘している状態を示す図である。
【図5A】本発明による観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図5B】顔認識処理の工程を説明するためのブロック図である。
【図6】相手プレイヤ表示画面と自プレイヤの対戦状況を示す図である。
【図7】相手プレイヤ表示画面の一例を示す図である。
【図8】対戦パンチゲームの流れに対しプレイヤマスクおよびギャラリーマスク表示タイミングの関係を説明するためのフローチャートである。
【図9A】CCDカメラの画像取入から顔認識までの流れを説明するためのフローチャートである。
【図9B】プレイヤマスク表示処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9C】ギャラリーマスク表示処理およびメッセージフレーズ表示処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9D】デモ待ち受け時の流れを説明するためのフローチャートである。
【図10】プレイヤを撮影している範囲にギャラリーが入ったときの画像例を示す図である。
【図11】マスクの付いているギャラリーが一定距離に近づいたときのメッセージフレーズの表示例を示す図である。
【図12】マスクの付いているギャラリーが近づく位置の相違により表示されるメッセージフレーズの表示例を示す図である。
【図13】マスクの付いているギャラリーが近づく位置の相違により表示されるメッセージフレーズの他の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 対戦格闘ゲーム機
2 メインモニタ
3 サブモニタ
4,4a,4b CCDカメラ
5 イルミネーション
6,7 パンチパッド
6a,7a 加速度センサ
8 パネル面
9 パンチグローブ
10,10a,10b プレイヤ
11 コイン投入部
14a,14b CCDカメラ撮影範囲
21,22,23,24,25,26 ギャラリー
30 カメラ制御部
31 衝撃検出器
32 コイン関連装置
33 バックアップメモリ
35 CPU
36 ROM
37 RAM
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDカメラでゲームプレイヤおよびギャラリー(観客)を実写しその映像をモニタに表示し、顔検出センサ(市販の顔検出ツール)を用いることによりプレイヤおよびギャラリーの顔を認識してマスクで覆い、複数のギャラリーが所定の位置条件になったときプラカード風に文字や絵などを画面に表示する観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
モニタ上に自らのキャラクタや相手キャラクタを表示し、パンチやキックなどを繰り出し、相手にダメージを与えて勝敗を決する対戦型格闘ゲーム機が広く普及している。
従来の対戦型ゲーム機は、対戦相手を模したキャラクタと自らを示すキャラクタをそれぞれのモニタに表示し、各プレイヤは相手のキャラクタの動作状態を見ながらジョイスティック,各ボタンを操作することにより自らのキャラクタの各部位を動かして相手に打撃を与え、相手ゲージのレベルを「0」にすることにより相手を倒すものが一般的である。
【0003】
モニタ上に第1の遊戯者に割り当てられた第1のキャラクタと第2の遊戯者に割り当てられたキャラクタを表示し格闘する対戦型格闘ゲーム機が提案されている(特許文献1)。これは一方のキャラクタの他者攻撃動作に伴って他方のキャラクタに攻撃回避動作を行わせる際の遊戯者の判断力を鈍らせる機能を備えたことを特徴とするものである。また、遊戯者同志に多彩で奥深い対戦の駆け引きを行わせることを可能とするものでる。そのために一方の遊戯者に割り当てられた一方のキャラクタに関する他者攻撃動作の開始時の動画映像と音声との信号間に所定の時間差を生成し、当該時間差を得た状態の動画映像信号及び音声信号を、それぞれ、他方の遊戯者に割り当てられたゲーム画像表示手段およびゲーム音声放音手段に供給する時間差生成処理手段と、この時間差生成処理手段を機能させる外部命令の実行及びその解除に関する各モードを、2人の遊戯者にそれぞれ選択させるためのモード選択手段を具備することにより遊戯者自身に操作のテクニックを利用してゲームの内容を多彩で奥深いものにするものである。
【特許文献1】特開2005−328854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本件発明者は、この種の対戦ゲームにおいて、お金を入れて遊んでいるプレイヤ以外も「応援」という形でゲームに参加することができないかを考えた。
また、プレイヤ以外のものが画面を見る対戦相手にメッセージ性のあるアピールをすることが出来ないかを考えた。
【0005】
本発明の目的は、プレイヤの背後に映るギャラリー(観客)に「マスク」を表示し、このマスクを装着したギャラリーが2人以上画面に存在した際に、2人が一定以内の距離に近づくと、2つのパーツの周辺にメッセージ性のある画像パーツ(垂れ幕風の絵など)を表示し、対戦相手に対してアピールすることができる観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1の発明は対戦相手を表示部に表示させ、相手と対戦を行う対戦ゲーム機において、プレイヤおよびプレイヤ背後で観戦するギャラリーをゲーム機前面側から撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像からプレイヤおよびギャラリーの顔を検出する顔認識手段と、検出したプレイヤの顔およびギャラリーの顔にマスクを表示するマスク装着手段と、対戦ゲームプレイ中にマスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき、所定のメッセージフレーズを前記表示部に表示するメッセージフレーズ表示手段と、カメラで撮影したマスク装着表示のプレイヤおよびギャラリーの画像を対戦相手のゲーム機に送り、対戦相手の表示部に表示させる送信手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2記載の発明は請求項1記載の発明において前記マスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき表示されたメッセージフレーズは、所定の距離より離れたとき表示部から消去することを特徴とする。
本発明の請求項3記載の発明は請求項1または2記載の発明において前記マスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき、一方のギャラリーが他方のギャラリーの右側から近づいたときと、左側から近づいたとき表示されるメッセージ内容は異なるメッセージを表示することを特徴とする。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の発明において前記対戦ゲーム機は、パンチパッドを有し、該パンチパッドにプレイヤがパンチを加えることにより、相手にダメージを与える対戦格闘ゲーム機であることを特徴とする。
本発明の請求項5記載の発明は、請求項1,2,3または4記載の発明においてゲーム機の最上部に相手ゲーム機で撮影した画像と、自ゲーム機で撮影した画像を表示するギャラリー観戦用表示部を設けたことを特徴とする。
なお、上記顔認識手段としては人物の「顔面」をセンシングし、センシングに2Dキャラを被せて追従させる技術が確立している。顔面のセンシングは主にCCDカメラを使い、投影された顔面より「眼」と「口」の位置関係を検出する方法(市販の顔検出ツール技術)などが用いられている。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、ゲームをプレイしているプレイヤ以外のギャラリーも無料でゲームに参加でき、プレイヤをゲームの中から応援することができる。これによりプレイヤが対戦相手に対し優位な態度がとることができる。また 顔面認証を「表示」,「移動」だけではなく、ゲームを盛り上げる「効果」へ結びつける構成(ギャラリーが応援のためのメッセージなどの表示を行うこと)にすることによりゲームプレイするプレイヤが一層の感情移入することが可能となる。
なお、顔面を2D画像で覆うことにより、投影されたプレイヤおよびギャラリーのプライバシーを守ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面等を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明による観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機の外観を示す概略図で、対戦格闘ゲーム機の例を示している。
対戦格闘ゲーム機1筐体の中央に相手プレイヤを投影しゲーム画面を表示するメインモニタ2が配置されている。メインモニタ2の上に種々の色を点灯したり、点滅したりするイルミネーション5が設けられている。さらにその上にプレイヤとギャラリーを実写するためのCCDカメラ4が配置されている。
【0009】
メインモニタ2の前部に打撃を体感する2つのパンチパッド6,7が配置され、ゲーム機1筐体の左右側面にパッチパッドを打つためのパンチグローブ9が掛けられている。
ゲームを開始すると、パンチパッド6,7はモータ制御により自動で起き上がり、ゲーム終了により元の位置、すなわち後方に倒れる。さらにパンチパッド6,7の前面側中央にコイン投入部11が、その両側に操作ボタン12,12が配置されている。
CCDカメラ4の上に、ギャラリーを観戦させるためのサブモニタ3が設けられている。左側のサブモニタ3aは当該プレイヤおよびそのギャラリーを映し出すものである。右側のサブモニタ3bは相手プレイヤおよびそのギャラリーを映し出すものである。
【0010】
図2に実際にプレイヤがパンチ格闘ゲームを行っている状態を示す。
プレイヤ10はパンチグローブを装着し左パンチを繰り出し、左側のパンチパッド7に打撃を与えている状態を示している。パンチパッド7は立ち上がった状態では、図示しないバネにより前方方向に付勢力が加えられている。このためプレイヤ10がパンチを加えると図示するようにパンチパッド7はプレイヤのパンチの衝撃によって後方に倒れるが、プレイヤがパンチを引くとパンチパッド7は元の位置に復元し立ち上がる。
ガード13は、プレイヤがパンチを繰り出したとき、勢い余って他の方向にパンチが振れた場合や他の方向に影響を及ぼさないようにするため、さらにパンチ格闘ゲーム機であることを注目させるために設けたものである。
【0011】
図3A,図3Bは第1および第2の対戦格闘ゲーム機のギャラリーの撮影状態を示す図である。
図3Aは1P(第1のゲーム機)筐体のプレイヤ10aがゲームを行っているときに、3人のギャラリー21,22,23が集まりCCDカメラ4aのCCDカメラ撮影範囲14a内に入っている状態が示されている。一方、図3Bは2P(第2のゲーム機)筐体のプレイヤ10bがゲームを行っているときに、3人のギャラリー24,25,26が集まりCCDカメラ4bのCCDカメラ撮影範囲14b内に入っている状態が示されている。このようにギャラリーがゲーム中にCCDカメラ撮影範囲内に入った場合、ギャラリーもプレイヤ同様に画面に表示される。
【0012】
図4A,図4Bは第1および第2の対戦格闘ゲーム機でギャラリーを背景にして格闘している状態を示す図である。
図4Aは3人のギャラリーが集まっている状態でプレイヤがパンチを繰り出しており、その撮影画像は、サブモニタ301aに表示され、相手を撮影した画像がサブモニタ301bに表示されている。メインモニタ201には相手側の画面が表示されている。図4Bは1人のギャラリーが集まっている状態でプレイヤがパンチを繰り出しており、その撮影画像は、図4Aと同様、サブモニタ302aに表示され、相手を撮影した画像がサブモニタ302bに表示されている。ギャラリーはサブモニタを見ることによりこちらのプレイヤの状況および相手プレイヤの状況を把握し観戦することができる。メインモニタ202には相手側の画面が表示されている。
【0013】
図5Aは、本発明による観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
コイン投入部11からコインが投入されるとコインが検出され、その情報はコイン関連装置32,入出力制御部34を介してCPU35に伝達される。コイン投入の状態、すなわちコイン数・プレイ数などの設定値はバックアップメモリ33に格納される。
パンチパッド6とパンチパッド7にはそれぞれ加速度センサ6a,7aが内蔵され、加速度センサ6a,7aに加えられたパンチ衝撃が衝撃検出器31により数値で検知され、検知された数値は入出力制御部34を介してCPU35に送られる。また、操作部12の操作情報も入出力制御部34を介してCPU35に送られる。
【0014】
パンチパッド駆動回路38はゲーム開始時にCPU35からの指令によりパンチパッド立ち上げ駆動モータ39を駆動し、待ち受け状態では倒れているパンチパッドを立ち上げる。またゲーム終了時にCPU35からの指令により立ち上がっているパンチパッドを倒す。CCDカメラ4はカメラ制御部30からの制御に基づき撮影範囲の撮影を行い、取り入れたギャラリーやプレイヤの実写映像をCPU35に送る。
画像処理部40はゲーム制御部35aの制御の下に、待ち受け時にはモニタ2にCCDカメラ4の撮影範囲に入ったギャラリーを表示する待ち画面を表示しており、コイン投入によりゲーム開始のメニュー画面を表示し、マスク選択画面,対戦相手を選ぶための画面やパンチゲーム対戦のための相手プレイヤおよびそのギャラリーの姿をモニタに表示する。また、ゲーム開始により自らのプレイヤおよびそのギャラリーと、相手のプレイヤおよびそのギャラリーの画面をサブモニタ3に表示する。
【0015】
ROM36はゲーム機筐体全体を制御する制御プログラム,CCDカメラで撮影した画像をエッジ画像に変換するエッジ画像変換プログラム,顔認識パターンとエッジ画像のマッチング処理を行うマッチング処理プログラム,ギャラリーによるメッセージを表示するメッセージ表示プログラム,パンチゲームを実行するパンチゲームプログラムおよび該ゲーム機に必要なデータが格納されている。また、マッチング処理の時に比較する多数の顔認識パターンが格納されている。RAM37はゲーム制御部,マッチング処理などで行う演算,処理の作業エリアとして用いられるとともにゲーム中の操作情報などが格納される。
【0016】
CPU35はROM36から制御プログラム,エッジ画像変換プログラム,マッチング処理プログラム,メッセージ表示プログラム,パンチゲームプログラムを読み込むことによりゲーム制御部35a,エッジ画像変換部35b,マッチング処理部35c,メッセージ表示制御部35d,パンチゲーム実行部35eの機能を実現する。
【0017】
ゲーム制御部35aは、ゲーム機の待ち受け状態でのメインモニタ2,サブモニタ3の待ち受け画面制御,バトルゲーム開始時の制御,バトルゲーム実行時の制御,ゲーム終了時の制御等を行う。
エッジ画像変換部35bは、CCDカメラ4から取り入れた画像をエッジ画像に変換する処理を行う。マッチング処理部35cはエッジ画像変換部35bで変換したエッジ画像と大きさが異なる多数の顔認識パターンと照合をとる。すなわち、各大きさの顔認識パターンについて顔認識パターンを構成する目の形状,鼻の形状,口の形状と一致するか否かを判定し、顔認識パターンの各形状部の描画位置が実写したエッジ画像の描画位置と所定の許容範囲内であれば顔と認識する。この時認識した顔の画面位置(X,Y)も検出する。
メッセージ表示制御部35dは顔認識した2人以上のギャラリーの内のいずれか2人の顔が所定の距離に近づいたとき、その近づき方に対応してそれぞれ異なる応援のためのメッセージ(絵なども可能)を発するように制御する。パンチゲーム実行部35eはパンチゲーム開始後に、相手プレイヤに対し交互に繰り出す自らのプレイヤがパンチを出したとき、検知されるその打撃の強さによってプレイヤにダメージを与えてモニタ上の体力ゲージを減少させるなどの処理をパンチゲーム終了まで行う。
【0018】
表1にメッセージ表示制御部35dが表示するメッセージフレーズの例を示す。
2人のギャラリーが所定の距離内に近づく場合、両者の近づく方向によって(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に分類される。各分類においてダメージの受けている比率と勝利時と敗退時とによってそれぞれ異なるメッセージが表示される。
例えば、ギャラリーAが右からギャラリーBに近づいた場合、(イ)に該当し、ダメージが4/4である場合、「ガンバレ!」が、勝利時は「さすがだ!」が表示される。
【表1】
【0019】
図5Bは顔認識処理の工程を説明するためのブロック図である。
ROMに顔認識のための目,鼻,口の形状のパターンが格納されている。目,鼻,口の形状の大きさが大から小までの複数種類に分けられた多数の顔認識パターンである。したがって、例えば、ギャラリーが遠くの位置でCCD撮影範囲に入った場合、ギャラリーの認識される顔の画像は小さく、また、近づいた位置でCCD撮影範囲に入った場合は、ギャラリーの認識される顔の画像は大きく、いずれの大きさの顔の場合でも、確実に認識できるようになっている。
CCDカメラでは撮影処理がなされ、撮影画像がエッジ画像に変換され、エッジで表現した線画の画像となる。この線画の画像は、ROMの顔認識パターンと照合され、顔認識パターンと一致すれば、一致した顔の位置の情報が出力され、マスク表示処理の前処理で、プレイヤの顔か、ギャラリーの顔かを判別し、プレイヤの顔であるならば、プレイヤが選択したマスクを認識されたプレイヤの顔に被せる。また、ギャラリーの顔であるならば、ギャラリー用のマスクを認識されたギャラリーの顔に被せる。そして、2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき、近づく方向によって、それぞれ対応するメッセージなどを表示する。
【0020】
図6はモニタの相手プレイヤ表示画面と自プレイヤの対戦状況を示す図で、図7はモニタの相手プレイヤ表示画面の一例を示す図である。
図6において、プレイヤ10aがパンチグローブを装着した状態でメインモニタを見ており、メインモニタの中央にマスクを付けた相手プレイヤが表示され、その後方に相手プレイヤを応援するギャラリーのメッセージ「やっちまえ!」「ガンバレ!」が表示されている。また、メインモニタの上部に体力ゲージ43が表示され、中央から左側には第1のプレイヤ(1P)のゲージが、中央から右側には第2のプレイヤ(2P)のゲージがそれぞれ表示されている。相手からダメージを受けると、受けたダメージの大きさの分、ゲージのレベルが減少する。体力ゲージ43の中央の上にはタイム表示41があり、「60」秒の数値が表示され、この値はカウントダウンされる。タイム表示が「0」になれば、ゲームオーバとなる。相手プレイヤ10bの手前には相手のパンチパッド49,50が表示されている。
【0021】
図8は、対戦パンチゲームの流れに対しプレイヤマスクおよびギャラリーマスク表示タイミングの関係を説明するためのフローチャートである。
コインが投入されていない状態ではゲーム制御部35aの制御の下、デモ画面が表示され、ゲームの概要やデモンストレーションが表示される(ステップ(以下「S」という)001)。また、タイトル画面も表示する(S002)。待ち受け画面でもCCDカメラ4は撮影を行っており撮影範囲に入ったギャラリーが存在すると、そのギャラリーの顔を認識してマスクを表示する処理を行っている(S201)。そして、ギャラリーが撮影範囲から外れた場合、ギャラリー自体画面上から消えるため、ギャラリーマスク表示を外す(消去する)処理を行う(S202)。図9Dにデモ待ち受け時の処理の流れを示している。
【0022】
つぎにコインを投入すると、ゲーム制御部35aはゲーム開始のためのメニュー画面を表示し、その1つとしてマスク選択画面が表示される(S003)。プレイヤは、自らが装着するマスクを多数の種類のものから選択することができる。プレイヤは操作部12を操作することによりマスク選択画面に表示される多数のマスクの一つを選択する。これによりプレイヤの姿は選択されたマスクがプレイヤに装着されてメインモニタ2に表示され、プレイヤがCCDカメラ4の撮影範囲にいる限り、その顔位置の移動(変化)を検知してマスクを装着し続ける(S101)。図9A,図9Bにこの処理の流れを示している。
【0023】
ついで、ゲーム制御部35aは相手検索画面を表示し、プレイヤが相手検索画面より相手検索の操作をすると、その情報は通信部50,ネットワーク51を介してサーバ装置に送られる。サーバ装置にはこのゲームに対する相手を検索している情報が他のゲーム機からも送られてくるため、サーバ装置は、対戦相手を探しているゲーム機の名前などの情報をゲーム機のメインモニタに表示する。プレイヤはその相手を選択すれば対戦相手を決定することができる(S004)。この処理をしている間、検索のための画面が表示されプレイヤの姿が表示されないため、プレイヤのマスク表示を外す処理がなされる(S102)。
【0024】
対戦相手が決定するとゲーム制御部35aはゲームを開始する(S005)。ゲーム開始後はパンチゲーム実行部35eがプレイヤの操作に従ってパンチゲームを進行させる。 ゲームが開始すると、CCDカメラ4,エッジ画像変換部35b,マッチング処理部35cによって、プレイヤおよびギャラリー(カメラ撮影範囲に入っていれば)の実写の画像を取り入れ、顔認識を行い、プレイヤおよびギャラリーにマスクを装着する(S103,S203)。ゲーム中にさらに新しいギャラリーがCCDカメラ4の撮影範囲に入れば、そのギャラリーに対しても顔認識を行ってマスクを装着する(S204)。
さらに2人のギャラリーが一定の距離以下になった場合、近づき方によってそれぞれことなる応援のためのメッセージなどが表示される。
【0025】
パンチゲームを行って結果画面が表示された場合、ゲーム制御部35aは勝ち負けを判定する(S006)。対戦相手に勝利した場合(S007)、つぎの対戦相手を検索するS004に移行する。対戦相手に敗退した場合(S008)、ゲームオーバとなって(S009)、デモ画面へと戻る。
ゲームオーバまではプレイヤおよびギャラリーにそれぞれマスクが装着され、2人のギャラリーが一定の距離に近づいた場合、近づき方によって異なるメッセージなどを表示する処理は行われ、ゲームオーバによってプレイヤおよびギャラリーへのマスクは外される(S104,S205)。
【0026】
図9Aは、CCDカメラの画像取入から顔認識までの流れを説明するためのフローチャートである。
この処理はゲームがスタートしたときから開始する。CCDカメラ4はプレイヤやギャラリーを検知し顔を認識するため画像を取り込む(S401)。エッジ画像変換部35bは取り込んだ画像を線画にするために画像内のエッジ部分を検出し(S402)、取り込んだ画像をエッジ画像に変換する(S403)。制御はマッチング処理部35cに渡され、マッチング処理部35cはROM36より顔認識パターンを読み出し、読み出した顔認識パターンをエッジ画像の一定の領域で表示される線画と照合する。そして線画を形成する部分と顔認識パターンの対応する領域とのズレの値を算出する(S404)。算出したズレの値が所定内の数値であるか否かを判定し(S405)、所定の数値以内であれば、線画を形成する部分は顔であると認識する(S406)。
【0027】
そしてエッジ画像のすベての範囲について顔認識を行ったか否かを判定する(S407)。一方、S405で所定の数値内のズレの値でなければ、S407の判定に移行する。S407において、エッジ画像のすべての範囲について顔認識の処理を行っていなければ、S404に戻り、エッジ画像のつぎの領域についての顔認識処理に移行する。エッジ画像の各領域の顔認識処理は第1の顔認識パターンから行われるが、各領域で顔認識されなければ、第nの顔認識パターンまで使用して顔認識処理を行う。
顔認識された場合、認識された顔は1人か、または2人以上かを判定し(S408)、1人であれば、プレイヤの顔であると認識する(S411)。一方、S408において、認識された顔が2人以上である場合、それぞれの顔は他のものに比較し最も大きいか否かを判定する(S409)。最も大きい顔はプレイヤの顔と認識する(S411)。
最も大きい顔でなければ、ギャラリーの顔と認識する(S410)。
【0028】
図9Bは、プレイヤマスク表示処理の流れを説明するためのフローチャートである。
認識したプレイヤの顔の位置(顔の中心)の算出(X,Y)を行う(S501)。なお、画像は横をXn 縦をYn として位置表示されるので、その算出した位置にマスクを表示すれば、プレイヤの顔にマスクを被せる表示となる。既に図9Aでプレイヤはマスクの種類を選択しているので、そのマスクの内、大きさが一致するマスクを選択する(S502)。そして大きさが一致したマスクを顔に重ねて表示する(S503)。
【0029】
ついで、顔認識したプレイヤがCCDカメラ4の撮影範囲から外れたか否かを判断する(S504)。プレイヤがCCDカメラ4の撮影範囲から外れた場合にはプレイヤマスクを画面より消去し(S505)、ゲームオーバか否かの判断に移行する(S508)。一方、プレイヤがCCDカメラ4の撮影範囲内にいる場合は、つぎにプレイヤの顔の位置が移動したか否かを判定する(S506)。顔の位置が移動した場合、選択したマスクの位置を顔の移動位置に追従して重ねる(S507)。これにより常にプレイヤの顔にマスクを被せた状態で表示することができる。つぎはゲームオーバか否かを判定し(S508)、ゲームオーバであれば、プレイヤマスク表示処理を終了する。ゲームオーバでなければ,S504に戻り、プレイヤがCCDカメラ4の撮影範囲から外れたか、移動したかを判定し、プレイヤのマスク表示処理を継続する。
【0030】
図9Cは、ギャラリーマスク表示処理およびメッセージフレーズ表示処理の流れを説明するためのフローチャートである。
ギャラリーの認識した顔についてその位置(X,Y)を、認識したギャラリーそれぞれについて検出する(S601)。そして、顔検出した位置にギャラリー用マスクを重ねることによりマスク表示する(S602)。
つぎにギャラリーの2人が近づき所定の距離内に近づいたか否かを判定する(S603)。所定の距離内に近づいた場合、メッセージフレーズを表示する(S604)。
【0031】
メッセージフレーズは2人の近づく過程の相違により表1に示すように異なる文言が表示される。
表1において、例えば(ロ)の場合、ギャラリーAが左からギャラリーBに近づいた場合の表示メッセージであり、プレイヤのダメージの状態によって表示されるメッセージが異なる。ダメージを4/4受けているときは「ファイトだ!」が、ダメージを3/4受けているときは「まだまだ!」が、ダメージを2/4受けているときは「ラッシュだ!」が、ダメージを1/4受けているときは「もうヨロヨロだな!」が、勝利したときは「君こそチャンプだ!」が、敗退したときは「ええ〜?」が表示される。
他の(イ)(ハ)(ニ)の場合についても同様に、プレイヤのダメージの状態によって表示されるメッセージが異なる。
【0032】
図10にプレイヤを撮影している画面にギャラリーが入った状態の例を、図11〜図13にギャラリーが発するメッセージの表示例をそれぞれ示す。
図10において、ギャラリー61は画面に入っているため顔にマスクが表示されている。しかしながらギャラリー60は画面に顔が半分入った状態であり、まだ顔認識がされていないためマスクは表示されていない。
図11において、マスクを付けたギャラリー62と63は所定の距離内にあり、「ガンバレ!」というメッセージ64がプラカード風に表示されている。また、図12はギャラリー66と67が図11とは異なる近づき方をしているため、「マケルナ!」というメッセージ65が表示されている。さらに図13ではギャラリー70と71は所定の範囲内に近づいており、「ファイト!」というメッセージ69が表示されている。ギャラリーはいずれのギャラリー2人が近づいてもメッセージが表示される。
【0033】
図9CのS605において、所定の距離内に近づいたギャラリーが所定の距離以上に離れたか否かを判定し、離れていない場合、メッセージを表示し続ける。所定の距離以上に離れた場合はメッセージを消去する(S606)。
つぎに顔認識したギャラリーが画面から外れたか否かを判定する(S607)。ギャラリーが画面から外れていれば、画面よりギャラリーマスクを消去する(S609)。ギャラリーが画面から外れていない場合や、またはS609の処理の後に、画面内を移動したギャラリーがいるか否かを判定する(S608)。画面内に移動したギャラリーがいる場合、マスク位置をギャラリーの顔の移動位置に追従して表示する(S610)。
画面内に移動したギャラリーがいる場合や、またはS610の処理の後は、ゲームオーバか否かを判定する(S611)。ゲームオーバであれば、パンチ格闘ゲームは終了する。
【0034】
ゲームオーバでなければ、CCDカメラ4より画像を取り込み(S612)、既に顔認識したギャラリー以外のギャラリーが撮影範囲に加わったか否かを判定する(S613)。既に顔認識されたギャラリーの顔の位置は(X,Y)で把握されており、把握されていない位置に新たなギャラリーの像が生じた場合、新たにギャラリーが加わったと判定する。ついで加わったギャラリーについて顔の認識を行い(S614)、認識した顔位置にギャラリー用マスクを重ねることによりマスク表示を行う(S615)。新たなギャラリーが加わらなかった場合や、加わったギャラリーにマスク表示した後は、S603に戻り、2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたか否かの判定に移る。
このようにしてギャラリーマスク表示,メッセージフレーズ表示の処理が行われる。
【0035】
図9Dは、デモ待ち受け時の流れを説明するためのフローチャートである。
S701からS707までの処理は図9AのS401〜S407までの処理と同じである。エッジ画像のすべての範囲について顔認識を行った場合、認識した顔の位置(X,Y)を検出し(S708)、顔の位置(X,Y)にマスクを重ねることによりマスクを表示する(S709)。つぎに顔認識したギャラリーの内、画面から外れた者がいるか判定する(S710)。画面から外れた者がいれば、画面から外れたギャラリーのマスクを画面より消去する(S711)。S710で画面から外れた者がいない場合はS701に移行する。また、画面から外れたギャラリーのマスクを画面より消去した後も、S701に移行する。このように処理することにより、デモ画面でCCDカメラの撮影範囲に入ったギャラリーにマスクを常に被せることができる。プレイヤに限らずギャラリーにマスクを被せるのは、人物の実像がモニタに表示されるため、その人物のプライバシーを保護するためである。
【0036】
以上のような構成によって両対戦プレイヤが相手の背後にいる応援ギャラリーやその応援メッセージを見ることにより、相手に対し人気を誇示し、誇示されることにより気分が高揚する等ゲームプレイをより楽しむことが出来るアピール性の高い効果を得ることができる。
以上の実施の形態は、パンチ格闘ゲームの例について説明したが、パンチ格闘ではなく、相手が存在し、その相手をモニタ上に実写できる対戦ゲーム機であれば、本発明を同様に適用できる。
また、顔認識の方法については、顔認識パターンを大小の大きさに対応して複数用意する例を示したが、顔認識のパターンはこのような顔認識パターンでなくてもよく、1つの大きさの顔認識パターンを用意しておき、合致する際に連続的に顔認識パターンの大きさを変えて合致処理を行うこともできる。目,鼻,口の位置関係は確定的な一つのパターンだけではなく、多数の位置関係の顔パターンが存在するため、それに対応するように多数の顔認識パターンを用意することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
ゲームセンターやイベント会場などに設置される業務用の対戦ゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機の外観を示す概略図で、対戦格闘ゲーム機の例を示している。
【図2】対戦格闘ゲーム機の格闘の方法を説明するための図である。
【図3A】第1対戦格闘ゲーム機のギャラリーの撮影状態を示す図である。
【図3B】第2対戦格闘ゲーム機のギャラリーの撮影状態を示す図である。
【図4A】第1対戦格闘ゲーム機でギャラリーを背景にして格闘している状態を示す図である。
【図4B】第2対戦格闘ゲーム機でギャラリーを背景にして格闘している状態を示す図である。
【図5A】本発明による観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図5B】顔認識処理の工程を説明するためのブロック図である。
【図6】相手プレイヤ表示画面と自プレイヤの対戦状況を示す図である。
【図7】相手プレイヤ表示画面の一例を示す図である。
【図8】対戦パンチゲームの流れに対しプレイヤマスクおよびギャラリーマスク表示タイミングの関係を説明するためのフローチャートである。
【図9A】CCDカメラの画像取入から顔認識までの流れを説明するためのフローチャートである。
【図9B】プレイヤマスク表示処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9C】ギャラリーマスク表示処理およびメッセージフレーズ表示処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9D】デモ待ち受け時の流れを説明するためのフローチャートである。
【図10】プレイヤを撮影している範囲にギャラリーが入ったときの画像例を示す図である。
【図11】マスクの付いているギャラリーが一定距離に近づいたときのメッセージフレーズの表示例を示す図である。
【図12】マスクの付いているギャラリーが近づく位置の相違により表示されるメッセージフレーズの表示例を示す図である。
【図13】マスクの付いているギャラリーが近づく位置の相違により表示されるメッセージフレーズの他の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 対戦格闘ゲーム機
2 メインモニタ
3 サブモニタ
4,4a,4b CCDカメラ
5 イルミネーション
6,7 パンチパッド
6a,7a 加速度センサ
8 パネル面
9 パンチグローブ
10,10a,10b プレイヤ
11 コイン投入部
14a,14b CCDカメラ撮影範囲
21,22,23,24,25,26 ギャラリー
30 カメラ制御部
31 衝撃検出器
32 コイン関連装置
33 バックアップメモリ
35 CPU
36 ROM
37 RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対戦相手を表示部に表示させ、相手と対戦を行う対戦ゲーム機において、
プレイヤおよびプレイヤ背後で観戦するギャラリーをゲーム機前面側から撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した画像からプレイヤおよびギャラリーの顔を検出する顔認識手段と、
検出したプレイヤの顔およびギャラリーの顔にマスクを表示するマスク装着手段と、
対戦ゲームプレイ中にマスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき、所定のメッセージフレーズを前記表示部に表示するメッセージフレーズ表示手段と、
カメラで撮影したマスク装着表示のプレイヤおよびギャラリーの画像を対戦相手のゲーム機に送り、対戦相手の表示部に表示させる送信手段と、
を備えたことを特徴とする観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機。
【請求項2】
前記マスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき表示されたメッセージフレーズは、所定の距離より離れたとき表示部から消去することを特徴とする請求項1記載の観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機。
【請求項3】
前記マスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき、一方のギャラリーが他方のギャラリーの右側から近づいたときと、左側から近づいたとき表示されるメッセージ内容は異なるメッセージを表示することを特徴とする請求項1または2記載の観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機。
【請求項4】
前記対戦ゲーム機は、パンチパッドを有し、該パンチパッドにプレイヤがパンチを加えることにより、相手にダメージを与える対戦格闘ゲーム機であることを特徴とする請求項1,2または3記載の観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機。
【請求項5】
ゲーム機の最上部に相手ゲーム機で撮影した画像と、自ゲーム機で撮影した画像を表示するギャラリー観戦用表示部を設けたことを特徴とする請求項1,2,3または4記載の観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機。
【請求項1】
対戦相手を表示部に表示させ、相手と対戦を行う対戦ゲーム機において、
プレイヤおよびプレイヤ背後で観戦するギャラリーをゲーム機前面側から撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した画像からプレイヤおよびギャラリーの顔を検出する顔認識手段と、
検出したプレイヤの顔およびギャラリーの顔にマスクを表示するマスク装着手段と、
対戦ゲームプレイ中にマスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき、所定のメッセージフレーズを前記表示部に表示するメッセージフレーズ表示手段と、
カメラで撮影したマスク装着表示のプレイヤおよびギャラリーの画像を対戦相手のゲーム機に送り、対戦相手の表示部に表示させる送信手段と、
を備えたことを特徴とする観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機。
【請求項2】
前記マスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき表示されたメッセージフレーズは、所定の距離より離れたとき表示部から消去することを特徴とする請求項1記載の観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機。
【請求項3】
前記マスク装着表示の2人のギャラリーが所定の距離内に近づいたとき、一方のギャラリーが他方のギャラリーの右側から近づいたときと、左側から近づいたとき表示されるメッセージ内容は異なるメッセージを表示することを特徴とする請求項1または2記載の観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機。
【請求項4】
前記対戦ゲーム機は、パンチパッドを有し、該パンチパッドにプレイヤがパンチを加えることにより、相手にダメージを与える対戦格闘ゲーム機であることを特徴とする請求項1,2または3記載の観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機。
【請求項5】
ゲーム機の最上部に相手ゲーム機で撮影した画像と、自ゲーム機で撮影した画像を表示するギャラリー観戦用表示部を設けたことを特徴とする請求項1,2,3または4記載の観客応援表示機能を有する対戦ゲーム機。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−35741(P2010−35741A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200655(P2008−200655)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】
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