説明

角パイプの直交連結構造

【課題】連結解除自在な角パイプの直交連結構造を提供する。
【解決手段】直交関係で組み付ける角パイプ1,2それぞれの面直交する側面11,21に設けた連結溝12,22に、連結体6及び規制体7を架け渡して構成される角パイプの直交連結構造である。連結体6は、連結体本体部61と、括れ部65を挟んで前記括れ部65より長く、前記連結体本体部61の両端から突出する連結体差込部62とからなる。規制体7は、規制体本体部71と、前記連結体差込部62以下の長さで前記規制体本体部72の両端から突出する規制体差込部72とからなる。連結溝12,22は、連結体差込部62及び規制体差込部72が差し込める長さの差込長孔121,221と、連結体6の括れ部65が嵌合する長さの掛合長孔122,222とを横並びに連通して設けた開口からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結解除自在な角パイプの直交連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の角パイプを組み付けて、枠体や前記枠体の各辺に面材を架け渡して箱体を構成する場合、角パイプを直交して連結する必要がある。こうした角パイプの直交連結構造は、一方の各パイプの側面に他方の角パイプの端面を突き当て、前記端面の周囲を隅肉溶接することにより強固となる。しかし、こうして組み付けられた角パイプは、もはや分離不能であり、再利用が難しい。角パイプが分離できれば、枠体や箱体が不要になれば角パイプに分解して保管したり、前記分解した角パイプを別の場所に運んで再度組み立てて枠体や箱体として利用できる等、利便性が高まる。これから、溶接相当の接合強度が必要ない枠体や箱体には、角パイプを分解して再利用できる直交連結構造が種々提案されている。
【0003】
特許文献1は、角パイプから構成される枠体にパネル材を取り付けた面要素を分解自在に組み付けた組立式スチールボックスを開示する。枠体は、一方の面要素の両端に位置する角パイプから断面略J形又は断面略L形の係合片を突設し、前記角パイプを突き当てる他方の面要素の角パイプに前記係合片に対応する断面略C形の受部を設け、前記係合片を前記受部に挿入して連結する直交連結構造を採用している(特許文献1・[請求項1])。このほか、角部で直交する角パイプは、コーナー金具を被せて連結したり(特許文献1・[0012][0013])、突き当てる角パイプの端部に断面略逆U形の係合部を設け、前記係合部を相手方となる角パイプに被せて連結したりする(特許文献1・[0017][0018])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-188440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する角パイプの直交連結構造のうち、対となる受部に係合片を挿入して連結する構成は、連結解除が簡便である利点が認められるものの、前記構成のみでは強固な連結が望めず、どうしても他の連結手段(例えばコーナー金具)を併用する必要があり、結局利便性が損なわれる問題がある。また、係合部を用いる構成では、強固な連結を実現するために、前記係合部を角パイプと一体にする必要があるが、この場合、分解した角パイプの端部から係合部が大きく張り出すことになり、分解した角パイプの保管や運搬の利便性が損なわれる問題が出てくる。
【0006】
これから理解されるように、連結解除自在な角パイプの直交連結構造は、連結部分を強固に連結しながら、角パイプの保管や運搬を考慮した場合、連結部分となる角パイプの端部に別部材(例えば上記コーナー金具や係合部)を取り付けて大きくすることなく、角パイプをできるだけそのままの形状で利用できることが求められる。そこで、連結解除自在な角パイプの直交連結構造を開発するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討結果開発したものが、直交関係で組み付ける角パイプそれぞれの面直交する側面に設けた連結溝に、連結体及び規制体を架け渡して構成され、連結体は、前記面直交する側面双方に直交して延びる連結体本体部と、括れ部を挟んで前記括れ部より広い幅で前記連結体本体部の両端から突出する連結体差込部とからなり、規制体は、前記面直交する側面双方に直交して延びる規制体本体部と、前記連結体差込部以下の幅で前記規制体本体部の両端から突出する規制体差込部とからなり、連結溝は、連結体差込部及び規制体差込部が差し込める長さで、面直交する側面の延在方向に延びる差込長孔と、連結体の括れ部が嵌合する長さで、面直交する側面の延在方向に延びる掛合長孔とを横並びに連通して設けた開口からなる角パイプの直交連結構造である。
【0008】
「面直交する側面」は、直交関係で組み付ける角パイプそれぞれの側面のうち、交差縁(例えば角パイプの端縁)を挟んで直交関係に交差する側面を指す。例えば、左右に延在する一方の角パイプの側面に、他方の角パイプの端面を突き当ててT字状に組み付ける場合、他方の角パイプを突き当てた一方の角パイプの側面と、他方の角パイプの端縁を挟み、前記一方の角パイプの側面に直交関係で交差する他方の角パイプの側面とが、それぞれ「面直交する側面」となる。この場合、面直交する側面は、他方の角パイプの左右対称な側面それぞれに対応して二組構成されるため、連結体及び規制体も前記側面それぞれに対応して二組用いることが望ましい。
【0009】
また、端部を直交関係で組み付けた角パイプの面一な側面に、別の角パイプの端面を突き当ててコーナー部を構成する場合、別の角パイプを突き当てた角パイプの面一な側面と、別の角パイプの端縁を挟み、前記角パイプの面一な側面に直交関係で交差する別の角パイプの側面とが、それぞれ「面直交する側面」となる。この場合、面直交する側面は、別の角パイプの隣り合う側面それぞれに対応して二組構成されるため、連結体及び規制体も前記側面それぞれに対応して二組用いることが望ましい。
【0010】
連結体は、差込長孔から連結体差込部を面直交する側面の内側へ差し込ませ、連結体差込部を差込長孔側から掛合長孔側へとずらすことにより括れ部を掛合長孔に嵌合させ、連結体差込部を面直交する側面に内側から掛合させる。このように、連結体は、面直交する側面それぞれに対して連結体差込部を掛合させ、角パイプの位置関係を拘束する。規制体は、前述のように、連結体の連結体差込部を掛合長孔側へずらした後に、差込長孔から規制体差込部を面直交する側面の内側へ差し込ませる。こうして、連結体の連結差込部が差込長孔側に戻ることがなくなり、連結体による角パイプの拘束が保持される。
【0011】
連結体は、面直交する側面に架け渡される連結体本体部と、括れ部を挟んで前記連結体本体部から突出する連結体差込部とから構成されれば、管体(中空体)、棒体やブロック体(中実体)でも構わないが、板体が好ましい。板体からなる連結体は、連結体本体部及び連結体差込部が面一である。同様に、規制体も、管体(中空体)、棒体やブロック体(中実体)でも構わないが、板体が好ましい。板体からなる規制体は、規制体本体部及び規制体差込部が面一である。いずれの構造であっても、連結体が括れ部を掛合長孔に嵌合させ、規制体が規制体差込部を差込長孔に差し込んだ状態で、少なくとも連結体差込部の一部又は全部を規制体差込部に接触させる必要がある。
【0012】
上述のように、規制体は連結体の連結差込部が差込長孔側に戻ることを防止する働きを有する。前記働きを安定して発揮させるには、規制体差込部が差込長孔に差し込まれて塞ぐだけでなく、連結体及び規制体は、括れ部を掛合長孔に嵌合させ、規制体差込部を差込長孔に差し込んだ状態で、連結体本体部の一部又は全部を規制体本体部に接触させるとよい。連結体及び規制体をいずれも板体で構成すれば、連結体本体部及び規制体本体部と連結体差込部及び規制体差込部とは、いずれも対向面の殆ど全部が接面する(連結体及び規制体の形状によって、完全に全部が接触しない場合がある)。
【0013】
具体的には、連結体及び規制体は、連結体本体部及び規制体本体部の接面するそれぞれの対向面に、嵌合分離自在な位置決め凸部及び位置決め凹部をそれぞれに割り当てて設けるとよい。接面するそれぞれの対向面は、位置決め凸部及び位置決め凹部が嵌合している限り、面方向にずらすことができず、面直交する側面それぞれに連結体差込部を掛合させた連結体が規制体を位置拘束し、規制体は連結体の連結差込部が差込長孔側に戻ることを防止する。位置決め凸部及び位置決め凹部は、例えば連結体本体部及び規制体本体部の一方又は双方を撓ませたり、前記連結体本体部及び規制体本体部の間に介装板(例えばマイナスドライバー)を差し込ませたりして、嵌合を解除できる。
【0014】
また、連結体及び規制体は、連結体本体部及び規制体本体部に、連通する連結体貫通孔及び規制体貫通孔を設けてもよい。連通する連結体貫通孔及び規制体貫通孔にリベット、ネジ又はボルトを貫通させることにより連結体及び規制体を一体化し、面直交する側面それぞれに連結体差込部を掛合させた連結体が規制体を位置拘束して、規制体は連結体の連結差込部が差込長孔側に戻ることを防止する。リベット、ネジ又はボルトは、連結体貫通孔及び規制体貫通孔から取り除くことにより、連結体及び規制体の一体化を解除する。
【0015】
本発明の角パイプの直交連結構造は、直交関係で組み付ける角パイプを連結体により位置拘束し、前記連結体を規制体が位置拘束するので、角パイプ自身が連結しなくて構わない。しかし、直交関係で組み付ける角パイプの強固な連結を安定して維持するには、角パイプ自身が直接連結し、連結した前記角パイプを連結体が位置拘束することが好ましい。そこで、直交関係で組み付ける角パイプは、突き当てる側の角パイプの面直交する側面の一方の端縁から突出させた連結突片を、突き当てられる側の角パイプの面直交する側面の他方の前記面直交する側面の延在直交方向に延びて設けた連結孔に差し込ませるとよい。これにより、角パイプ自身が連結孔に連結突片を差し込んで直接連結されるほか、前記連結突片と連結体とが直交関係となって互いのガタツキを抑制し、角パイプの強固な連結を安定して維持させる。
【0016】
例えば、既述した左右に延在する一方の角パイプの側面に、他方の角パイプの端面を突き当ててT字状に組み付ける場合、連結体及び規制体の組と共に上記連結突片及び連結孔の組を、他方の角パイプの左右対称な側面それぞれに対応して二組用いることが望ましい。また、端部を直交関係で組み付けた角パイプの面一な側面に、別の角パイプの端面を突き当ててコーナー部を構成する場合、連結体及び規制体の組と共に上記連結突片及び連結孔の組を、別の角パイプの隣り合う側面それぞれに対応して二組用いることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、連結部分を強固に連結しながら、角パイプの保管や運搬を考慮した場合、連結部分となる角パイプの端部に別部材(例えば上記コーナー金具や係合部)を取り付けて大きくすることなく、角パイプをできるだけそのままの形状で利用できる角パイプの直交連結構造を提供する。角パイプの連結解除は、組み付ける角パイプの直交側面それぞれに設けた連結溝へ連結体差込部及び規制体差込部を差し込んだり、引き抜いたりするだけの簡易な作業であるが、連結体差込部を面直交する側面の内側に掛合させ、連結体を規制体が位置拘束するため、連結体による角パイプの連結を強固にし、維持できる。また、連結体及び規制体は、角パイプから分離でき、保管や運搬に際して邪魔にならない。
【0018】
規制体による連結体の位置拘束は、連結体本体部(又は連結体差込部)の一部又は全部を規制体本体部(又は規制体差込部)に接触させたり、接面するそれぞれの対向面に割り当てた位置決め凸部及び位置決め凹部を嵌合させたり、更に連通する連結体貫通孔及び規制体貫通孔にリベット、ネジ又はボルトを貫通させたりして強固にし、角パイプの強固な連結を安定に維持させる。連通する連結体貫通孔及び規制体貫通孔は、角パイプの枠体に張り付ける面材を固定するネジ孔又はボルト孔としても利用できる。
【0019】
角パイプの強固な連結は、連結体と直交関係にある連結突片を連結孔に差し込む連結構造を角パイプ自身が有することにより、上記連結体による連結と相俟ってより強固となり、また前記強固な連結が安定して維持される。連結体と連結突片とは直交関係にあるため、互いのガタツキを抑制し合うことができる。また、連結突片を連結孔に差し込む連結構造は、連結体により連結されるまで、角パイプを直交関係に維持する仮り組の働きを有し、本発明により角パイプを連結する作業をより簡易にする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】左右に延在する一方の角パイプの側面に、他方の角パイプの端面を突き当ててT字状に組み付ける直交連結構造の一例を表す斜視図である。
【図2】本例の直交連結構造において、一方の角パイプを半割するように切断した断面図である。
【図3】本例の直交連結構造において、連結溝、連結体差込部及び規制体差込部の大きさの関係を表す部分拡大図である。
【図4】本例の直交連結構造の組立手順において、他方の角パイプを一方の各パイプの直交する側面に突き当てる段階を表す図1相当斜視図である。
【図5】本例の直交連結構造の組立手順において、他方の角パイプを一方の各パイプの直交する側面に突き当てる段階を表す図2相当断面図である。
【図6】本例の直交連結構造の組立手順において、一方及び他方の各角パイプの連結溝に連結体の連結体差込部を差し込む段階を表す図1相当斜視図である。
【図7】本例の直交連結構造の組立手順において、一方及び他方の各角パイプの連結溝に連結体の連結体差込部を差し込む段階を表す図2相当断面図である。
【図8】本例の直交連結構造の組立手順において、一方及び他方の各角パイプの連結溝に連結体の連結体差込部を差し込む段階を表す平面図である。
【図9】本例の直交連結構造の組立手順において、一方及び他方の各角パイプの連結溝に規制体の規制体差込部を差し込む段階を表す図1相当斜視図である。
【図10】本例の直交連結構造の組立手順において、一方及び他方の各角パイプの連結溝に規制体の規制体差込部を差し込む段階を表す図2相当断面図である。
【図11】本例の直交連結構造の組立手順において、一方及び他方の各角パイプの連結溝に規制体の規制体差込部を差し込む段階を表す図8相当平面図である。
【図12】本例の直交連結構造において、連結体及び規制体に面材をネジ止めしている状態を表す図1相当斜視図である。
【図13】端部を直交関係で組み付けた角パイプの面一な側面に、別の角パイプの端面を突き当ててコーナー部を構成する直交連結構造の別例を表す斜視図である。
【図14】別例の直交連結構造において、連結体及び規制体に面材をネジ止めしている状態を表す斜視図である。
【図15】別例の直交連結構造において、各角パイプ、連結体及び規制体の組付関係を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明は、例えば図1及び図2に見られるように、左右に延在する一方の角パイプ2の面直交する側面21に、他方の角パイプ1の端面を突き当ててT字状に組み付ける場合に対して、典型的に適用される。本発明は、こうした典型的な組付け形態にありながら、組み付け及び分解が自在なところに特徴を有する。
【0022】
連結体6及び規制体7は、左右に延在する一方の角パイプ2の面直交する側面21に設けた連結溝22と、前記面直交する側面21に端面を突き当てた角パイプ1の端縁を挟み、前記角パイプ2の面直交する側面21に直交関係で交差する角パイプ2の面直交する側面11に設けた連結溝12に渡って架け渡される。説明の便宜上、図2中、紙面上下方向に延びる角パイプ1を挟んで紙面左側は紙面手前側にある連結体6のみ、同右側は紙面奥側にある規制体7のみを図示している。
【0023】
連結体6は、連結体本体部61、括れ部65及び連結体差込部62から構成された薄い金属製の板体で、厚みが後述する連結溝12,22の差込長孔121,221の幅や、掛合長孔122,222の幅に等しい。連結体本体部61は、上記面直交する側面11,21双方に直交する正面視台形状(図2参照)で、短い上辺を下側に、長い下辺を上側にして、斜辺をそれぞれ面直交する側面11,21に当接させて、両端の連結体差込部62,62を連結溝12,22に差し込んで、架け渡される。
【0024】
連結体本体部61は、長い下辺に寄った側、かつ前記連結体本体部61の上辺及び下辺それぞれの中点を結ぶ線を挟んだ線対称な位置に位置決め凸部63,63を一対設けている。本例の位置決め凸部63は、連結体本体部61の片面(図2中紙面手前側)からパンチを打ち込んで反対側(図2中紙面奥側)に膨出させた部位である。また、本例の連結体本体部61は、短い上辺に寄った側、かつ前記連結体本体部61の上辺及び下辺それぞれの中点を結ぶ線を挟んだ線対称な位置に連結体貫通孔64を設けている。連結体貫通孔64は、後述する面材8を位置固定する雄ネジ81を貫通させる。
【0025】
連結体差込部62は、括れ部65を挟んで前記括れ部65より長く、かつ上記連結体本体部61の斜辺となる端縁より短い長さ(図3参照)で上記連結体本体部61の両端から突出する正面視台形状(図2参照)で、短い上辺を連結溝11,12に向け、長い下辺を連結体本体部61の端縁に、括れ部65を挟んで対向させている。括れ部65の長さが連結体差込部62の下辺と同じ長さである。本例の連結体差込部62は、前記下辺を長辺とする長方形の短辺から正面視直角三角形の鉤部を張り出した形状と言い換えることができる。
【0026】
括れ部65は、連結体本体部61の前記端縁と連結体差込部62の上辺とに挟まれ、連結体差込部62の上辺より短い部分で、連結体本体部61の前記端縁と連結体差込部62の上辺との間のスリットに挟まれて形成される。括れ部65の厚みは、連結溝12,22の掛合長孔122,222を設けた角パイプ1,2の板厚に等しい。このため、連結溝11,12の掛合長孔122,222に掛合させた括れ部65は掛合状態で拘束されるので、結果として連結体6のぐらつきも抑制される。
【0027】
本例の連結体6は、連結体本体部61の両端に設けられる連結体差込部62,62が、前記連結体本体部61の上辺及び下辺それぞれの中点を結ぶ線を挟んで線対称な関係にあり、また面直交する側面11,21双方に連結体本体部61が45度の傾斜で架け渡される。これは、連結体6をひっくり返して前後逆にしても、同様に面直交する側面11,21双方に架け渡すことができることを意味する。この場合、位置決め凸部63の突出向きも前後逆になることから、前記位置決め凸部63に対応する規制体7も前後ひっくり返し、位置決め凹部73の凹み向きも逆にして利用する。
【0028】
規制体7は、規制体本体部71及び規制体差込部72から構成された薄い金属製の板体である。規制体本体部71は、上記連結体本体部61と正面視形状が全く同一であ。また、規制対差込部72は、厚みが後述する連結溝12,22の差込長孔121,221の幅に等しい。このように、本例の連結体6及び規制体7は同厚である。規制体本体部71は、上記面直交する側面11,21双方に直交する正面視台形状(図2参照)で、短い上辺を下側に、長い上辺を上側にし、斜辺をそれぞれ面直交する側面11,21に当接させて、両端の規制体差込部72,72を連結溝12,22に差し込んで、架け渡される。
【0029】
規制体本体部71は、長い下辺に寄った側、かつ前記規制体本体部71の上辺及び下辺それぞれの中点を結ぶ線を挟んだ線対称な位置に位置決め凹部73,73を一対設けている。本例の位置決め凹部73は、規制体本体部71の片面(図2中紙面手前側)からパンチを打ち込んで凹ませた部位である。また、本例の規制体本体部71は、短い上辺に寄った側、かつ前記規制体本体部71の上辺及び下辺それぞれの中点を結ぶ線を挟んだ線対称な位置に規制体貫通孔74を設けている。規制体貫通孔74は、後述する面材8を位置固定するため、上述した連結体貫通孔64を貫通させた雄ネジ81を螺着させる雌ネジを刻設している。
【0030】
規制体差込部72は、上記規制体本体部71の斜辺となる端縁より短い長さ(図3参照)で上記規制体本体部71の両端から突出する正面視台形状(図2参照)で、短い上辺を連結溝11,12に向け、長い下辺を規制体本体部71の端縁に向けている。本例の規制体差込部72は、連結溝12,22の差込長孔121,221との関係から、短い上辺寄りの端部を切り欠いている(図3参照)が、前記差込長孔121,221が十分に長ければ、前記切欠を設ける必要はない。
【0031】
連結溝12は、角パイプ1の面直交する側面11,11に、左右対称な位置関係で2個設けられる。また、連結溝22は、側面21に突き当てられる前記角パイプ1を挟んで、左右対称な位置関係で2個設けられる。こうした連結溝12,22は、面直交する側面11,21に架け渡す連結体本体部61の上辺及び下辺それぞれの中点を結ぶ線を挟んで線対称な位置関係にあるほか、全く同一形状である。これから、代表として、角パイプ1の面直交する側面11に設けた連結溝12について説明する(図3中、連結溝22に関連する符号に括弧書きで付記)。
【0032】
連結溝12は、長さの異なる差込長孔121及び掛合長孔122を横並びに連通させた開口である(図3及び後掲図4参照)。差込長孔121は、既述した連結体差込部61及び規制体差込部71が差し込める長さ、かつ連結体6及び規制体7の板体の厚みの幅で、面直交する側面11の幅方向中間線に側縁(例えば左縁)を揃えて前記側面11の延在方向に延びている。掛合長孔122は、連結体6の括れ部65が嵌合する長さ、かつ連結体6の板体の厚みの幅で、前記差込長孔121同様、面直交する側面11の幅方向中間線に側縁(例えば右縁)を揃えて前記側面11の延在方向に延びている。これから、差込長孔121及び掛合長孔122は、面直交する側面11の幅方向中間線を挟んで横並びに連通している
【0033】
左右に延在する角パイプ2に、角パイプ1の端面を突き当ててT字状に組み付ける組付手順を説明する。本例の角パイプ1は、図4及び図5に見られるように、面直交する側面11の端縁中央から下方に連結突片13,13を突出させている。また、前記角パイプ1を突き当てる角パイプ2は、前記連結突片13,13に対応して、面直交する側面22の延在直交方向に延びる連結孔23,23を、前記側面22の幅方向中間位置に開口している。これにより、角パイプ1及び角パイプ2は、まず連結孔23,23に連結突片13,13を差し込んで仮り組される。このとき、連結溝12及び連結溝22は、差込長孔121,221同士、掛合長孔122,222同士を同一直線上に揃えている。
【0034】
角パイプ1,2の仮り組が終わると、図6〜図8に見られるように、突き当てた角パイプ1に設けた連結溝12の差込長孔121と、前記角パイプ1が突き当てられた角パイプ2に設けた連結溝22の差込長孔221とに、それぞれ両端の連結体差込部62,62を差し込んで、連結体6が側面11,21間に架け渡される。この段階では、連結体差込部62,62がそれぞれ連結溝12,22の差込長孔121,221に差し込まれただけで、何ら掛合していないので、容易に連結体6を取り外すことができる。
【0035】
連結体6は、図9〜図11に見られるように、差込長孔121,221側から掛合長孔122,222側へずらし、括れ部65,65を前記掛合長孔122,222に嵌合させることにより、前記括れ部65より長い連結体差込部62を面直交する側面11,21の内側から掛合させ、取り外せなくなる。これにより、角パイプ1,2が連結される。そして、空いた差込長孔121,221へ規制体7の規制対差込部72,72を差し込むことにより、掛合長孔122,222側へずらした連結体6が差込長孔121,221側へ戻らなくなる。
【0036】
本例の連結体6は、連結体本体部61、括れ部65及び連結体差込部62までが面一の板体である。また、本例の規制体7も、前記連結体6同様、連結体本体部61、括れ部65及び連結体差込部62までが面一の板体である。このため、連結体6を掛合長孔122,222側へずらして差込長孔121,221に規制体差込部72,72を差し込むと、連結体本体部61と規制体本体部71とが、また連結体差込部62と規制体差込部72とが、それぞれの対向面を接面させ、連結体6のガタツキを抑えながら、前記連結体6が差込長孔121,221側へ戻らないようにする。
【0037】
本例の連結体6は、連結体本体部61に位置決め凸部63を設け、また本例の規制体7は、規制体本体部72に位置決め凹部73を設けており、上述のように、連結体6及び規制体7それぞれの対向面を接面させると、前記位置決め凸部63及び位置決め凹部73が嵌合し(図11中拡大円枠参照)、連結体6及び規制体7の面方向のズレを防止する。面直交する側面11,21の内側から連結体差込部62を掛合させた連結体6は、面方向への移動が規制されている。このため、位置決め凸部63を位置決め凹部73に嵌合させた規制体7は面方向に移動できなくなり、連結体6が面直交する側面11,21に対する連結体差込部62の前記掛合を解除できなくなる結果、角パイプ1,2の連結が安定する。
【0038】
こうして連結溝12,22に架け渡された連結体6及び規制体7は、連結体6が角パイプ1,2の位置関係を拘束し、規制体7が前記連結体6の位置ズレを防止することにより、角パイプ1,2を連結する。本例は、角パイプ1を挟んで前記連結体6及び規制体7を左右一対に割り当てており、左右それぞれの連結体6及び規制体7の組が互いにガタツキを抑制するので、前記角パイプ1,2の連結がより安定する。また、角パイプ2の面直交する側面21に設けた連結孔23へ差し込んだ角パイプ1の連結突片13と連結体6とが直交関係になっているので、互いのガタツキが抑制され、角パイプ1,2の強固な連結が安定して維持される。
【0039】
更に、本例は、図12に見られるように、連結体6の位置決め凸部63が突出しない側=規制体7を接面させない側に面材8を宛てがい、連結体貫通孔64及び規制体貫通孔74に連通する面材8のネジ孔(図示略)から前記規制体貫通孔74に向けて雄ネジ81を螺着することにより、本発明の直交連結構造により構成された枠体に前記面材8を張り付けることができる。雄ネジ81は、連結体6及び規制体7を一体化し、ずれなくする働きも有し、角パイプ1,2の強固な連結の維持に貢献する。このため、例えば面材8がなくても、連通する連結体貫通孔64及び規制体貫通孔74にリベットを通したり、ネジを螺着したりして、角パイプ1,2連結の維持に貢献させてもよい。
【0040】
本例の直交連結構造の分解は、次の通りである。まず、連結体6及び規制体7を互いに拘束する位置決め凸部63及び位置決め凹部73の嵌合は、連結体本体部61及び規制体本体部72の間にマイナスドライバー等を差し込ませることにより、前記連結体本体部61又は規制体本体部72を撓ませて解除させる。これにより、直交する側面11,21に規制体差込部72を掛合させていない規制体7は、連結溝12,22から取り除くことができる。このように、規制体7は、何ら破壊することなく取り除けるので、再利用できる。
【0041】
そして、括れ部65を掛合長孔122,222から外すように、連結体6を差込長孔121,221側へ移動させると、連結体差込部62,62の直交する側面11,21に対する掛合が解除され、前記連結体6も連結溝12,22から取り除くことができる。このとき、連結体6による角パイプ1,2の連結は解除されるが、本例の場合、連結突片13を連結孔23に差し込んでいるため、角パイプ1,2は、仮り組程度に連結が維持され、不意にばらける虞はない。また、上述の規制体7同様、連結体6は何ら破壊することなく取り除けるので、再利用できる。
【0042】
本発明は、図13〜図15に見られるように、それぞれ端部に形成した蟻組メス34及び蟻組オス44を嵌合させて直交関係で組み付けた角パイプ3,4の面一になる上面(面直交する側面31,41)に、別の角パイプ5の端面を突き当ててコーナー部を構成する場合にも適用される。連結体6及び規制体7は、上記例示のものが利用できる。このため、角パイプ3,4,5の面直交する側面31,41,51に設けられる連結溝32,42,52も、上記例示のものと同じ構造である。これは、上記例示の直交連結構造と別例の直交連結構造とを混在させながら、同じ連結体6及び規制体7を利用できることを意味し、より複雑な枠体も本発明を適用しうることを示す。
【0043】
直交関係で組み付ける角パイプ3,4は、前記角パイプ5を突き当てる上面を、面直交する側面31,41とする。連結溝32,42は、それぞれ角パイプ3,4の延在方向に延びる差込長孔321,421と掛合長孔322,422とを連通状態で並べて構成される。本例の連結溝32,42は、角パイプ3,4の外周側(図15中左側)に差込長孔321,421、前記角パイプ3,4の内周側(図15中右側)に掛合長孔322,422を割り当てている(図15参照)。このほか、本例の角パイプ3,4は、連結溝32,42と蟻組メス34又は蟻組オス44との中間位置に、連結溝32,42に直交して延びる連結孔33,34を設けている。
【0044】
角パイプ3,4に端面を突き当てる角パイプ5は、端縁を挟んで面直交する側面31,41に直交関係で交差する側面を面直交する側面51,51とする。側面51,51は、上記例示の角パイプ1の側面11,11と異なり、水平面内で直交関係にある隣合う側面である。連結溝52,52は、角パイプ5の延在方向に延びる差込長孔521と掛合長孔522とを連通状態で並べて構成される。本例の連結溝52は、上述の連結溝32,42同様、角パイプ3,4の外周側(図15中左側)に差込長孔521、前記角パイプ3,4の内周側(図15中右側)に掛合長孔522を割り当てている(図15参照)。このほか、本例の角パイプ5は、角パイプ3,4の連結孔33,34に対応して、面直交する側面51,51の端縁から連結突片53,53を突出させている。
【0045】
直交関係で組み付ける角パイプ3,4に、角パイプ5の端面を突き当ててコーナー部に組み付ける組付手順を説明する。蟻組された角パイプ3及び角パイプ4は、連結孔23,23に連結突片13,13が差し込まれて、角パイプ5と仮り組される。別例の場合、連結突片13,13を連結孔23,23に差し込むことにより、角パイプ3,4の位置関係が拘束される、すなわち蟻組メス34及び蟻組オス44の嵌合関係が拘束される結果、直交関係で組み付けた角パイプ3,4が分離し難くなる働きが得られる。
【0046】
このとき、連結溝32と、前記連結溝32を設けた面直交する側面31に角パイプ5の端縁を挟んだ関係にある面直交する側面51に設けた連結溝52とは、差込長孔321,521同士、掛合長孔322,522同士を同一直線上に揃え、また連結溝42と前記連結溝42を設けた面直交する側面41に角パイプ5の端縁を挟んだ関係にある面直交する側面51に設けた連結溝52(図15中見えない)とは、差込長孔421,521同士、掛合長孔422,522同士を同一直線上に揃えている。
【0047】
角パイプ1,2の仮り組が終わると、上記例示同様、突き当てた角パイプ5に設けた連結溝52,52の差込長孔521,521と、前記角パイプ5が突き当てられた角パイプ3,4に設けた連結溝32,42の差込長孔321,421とに、それぞれ両端の連結体差込部62,62を差し込み、連結体6を側面31,51及び側面41,51間に架け渡す。そして、連結体6は、差込長孔321,421,521側から掛合長孔322,422,522側へずらして連結体差込部62を面直交する側面31,41,51の内側から掛合させる。
【0048】
連結体6及び規制体7は、それぞれの対向面を接面させ、連結体6のガタツキを抑えながら、前記連結体6が差込長孔121,221側へ戻らないようにする。また、連結体6及び規制体7は、連結体本体部61に設けた位置決め凸部63と、規制体本体部62に設けた位置決め凹部73とを嵌合させ(図11中拡大円枠参照)、面方向のズレが防止される。別例は、角パイプ5の隣り合う面直交する側面51,51それぞれに連結体6及び規制体7を割り当て、水平面内で直交する前記連結体6及び規制体7の組それぞれが互いにガタツキを抑制する。また、角パイプ3,4の面直交する側面31,41に設けた連結孔33,43へ差し込んだ角パイプ5の連結突片53,53と連結体6とが直交関係になっているので、互いのガタツキが抑制される。
【0049】
別例でも、図14に見られるように、連結体6の位置決め凸部63が突出しない側=規制体7を接面させない側に面材8を宛てがい、連結体貫通孔64及び規制体貫通孔74に連通する面材8のネジ孔(図示略)から前記規制体貫通孔74に向けて雄ネジ81を螺着することにより、本発明の直交連結構造により構成された枠体に前記面材8を張り付けることができる。雄ネジ81は、連結体6及び規制体7を一体化し、ずれなくする働きも有し、角パイプ3,4,5の強固な連結の維持に貢献する。このため、例えば面材8がなくても、連通する連結体貫通孔64及び規制体貫通孔74にリベットを通したり、ネジを螺着したりして、角パイプ3,4,5連結の維持に貢献させてもよい。
【0050】
別例の直交連結構造の分解は、上記例示同様である。まず、連結体6及び規制体7を互いに拘束する位置決め凸部63及び位置決め凹部73の嵌合を解除し、規制体7を連結溝32,42,52から取り除く。次いで、括れ部65を掛合長孔322,422,522から外し、連結体6も連結溝32,42,52から取り除く。このとき、連結体6による角パイプ1,2の連結は解除されるが、別例の場合も、連結突片53,53を連結孔33,43に差し込まれ、また蟻組が残っているため、角パイプ3,4,5は、仮り組程度に連結が維持され、不意にばらける虞はない。このほか、上記例示同様、連結体6及び規制体7は何ら破壊することなく取り除けるので、再利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 直交関係で組み付ける角パイプ
11 面直交する側面
12 連結溝
121 差込長孔
122 掛合長孔
13 連結突片
2 直交関係で組み付ける角パイプ
21 面直交する側面
22 連結溝
221 差込長孔
222 掛合長孔
23 連結孔
3 直交関係で組み付ける角パイプ
4 直交関係で組み付ける角パイプ
5 直交関係で組み付ける角パイプ
51 面直交する側面
6 連結体
61 連結体本体部
62 連結体差込部
63 位置決め凸部
64 連結体貫通孔
65 括れ部
7 規制体
71 規制体本体部
72 規制体差込部
73 位置決め凹部
74 規制体貫通孔
8 面材
81 雄ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交関係で組み付ける角パイプそれぞれの面直交する側面に設けた連結溝に、連結体及び規制体を架け渡して構成され、
連結体は、前記面直交する側面双方に直交して延びる連結体本体部と、括れ部を挟んで前記括れ部より長く、で前記連結体本体部の両端から突出する連結体差込部とからなり、
規制体は、前記面直交する側面双方に直交して延びる規制体本体部と、前記連結体差込部以下の長さで前記規制体本体部の両端から突出する規制体差込部とからなり、
連結溝は、連結体差込部及び規制体差込部が差し込める長さ及び幅で、面直交する側面の延在方向に延びる差込長孔と、連結体の括れ部が嵌合する長さ及び幅で、面直交する側面の延在方向に延びる掛合長孔とを横並びに連通して設けた開口からなる角パイプの直交連結構造。
【請求項2】
連結体及び規制体は、括れ部を掛合長孔に嵌合させ、規制体差込部を差込長孔に差し込んだ状態で、連結体本体部の一部又は全部を規制体本体部に接触させる請求項1記載の角パイプの直交連結構造。
【請求項3】
連結体及び規制体は、連結体本体部及び規制体本体部の接面するそれぞれの対向面に、嵌合分離自在な位置決め凸部及び位置決め凹部をそれぞれに割り当てて設けた請求項1又は2いずれか記載の角パイプの直交連結構造。
【請求項4】
連結体及び規制体は、連結体本体部及び規制体本体部に、連通する連結体貫通孔及び規制体貫通孔を設けた請求項1〜3いずれか記載の角パイプの直交連結構造。
【請求項5】
直交関係で組み付ける角パイプは、突き当てる側の角パイプの面直交する側面の一方の端縁から突出させた連結突片を、突き当てられる側の角パイプの面直交する側面の他方の前記面直交する側面の延在直交方向に延びて設けた連結孔に差し込ませる請求項1〜4いずれか記載の角パイプの直交連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−241835(P2012−241835A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113982(P2011−113982)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(594187105)倉敷レーザー株式会社 (5)
【Fターム(参考)】