説明

角型密閉容器

【課題】角型容器本体の辺部の長さ寸法が大きくなっても、蓋部材の周縁部と角型容器本体の開口部の上端部が離れるのを防止することにより容器内部の密閉状態を保つことができる角型密閉容器を提供する。
【解決手段】上端部に開口部22aが形成された箱状の角型容器本体22と、角型容器本体22の上に配置されて開口部22aを閉塞する蓋部材24と、自身の長さと直交する断面形状が、蓋部材24の周縁部24aと角型容器本体22の開口部22aの上端部を挟むことができるように鋏形状に形成されると共に、自身の長さが蓋部材24の辺部に沿って配置された締結部材26と、自身の上端部に折曲部28bが形成され、この折曲部28bが締結部材26に係合する抑え部材28を有し、締結部材26を角型容器本体22に向かう水平方向及び下側方向に向かって抑え付ける抑え機構とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その内部に形成される密閉空間に、例えば、低レベル放射性廃棄物等を収納するような角型密閉容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図13から図17は、従来の角型密閉容器2について説明するために参照する図である。従来の角型密閉容器2は、図13に示すように、上端部に開口部4aが形成された箱状の角型容器本体4と、この角型容器本体4の上に載せてその開口部4aを閉塞する蓋部材6と、この蓋部材6の周縁部6aと角型容器本体4の開口部4aを挟みこんで両者間を締結する締結部材8を備えるようになっていた。
【0003】
図13の従来の角型密閉容器2における角型容器本体4は、図15に示すように、その開口部4aが、4つの辺部4eと、互いに隣接する辺部4e,4e間の隅部に形成された、その折曲げ半径Rの折曲部4dにより構成されるようになっていた。
【0004】
図15及び図17に示すように、角型容器本体4の、その開口部4aの上端部は外側下方に折り曲げられて、内側に芯金5を巻き込んだ芯金巻込部4cが形成され、この芯金巻込部4cにより開口部4aの上端部は補強されていた。
【0005】
そして、図15及び図17に示すように、角型容器本体4の外側面4bの、開口部4a寄りの上部には、外側面4bの外側を水平方向に一周するように、上下断面がL字状の開口部補強部材12(容器補強部材)が巻付いて、溶接により角型容器本体4に一体的に固定されていた。
【0006】
また、従来の角型密閉容器2における蓋部材6は、図17に示すように、その周縁部6aの裏側の凹部6bの内側に設けたシール材7を介して、角型容器本体4の開口部4aの上端部の芯金巻込部4cの上に載置されるようになっていた。
【0007】
そして、従来の角型密閉容器2における締結部材8は、図14に示すように、L字型に形成されていて、蓋部材6と開口部4aの四隅部それぞれの外側に、計4つ配置されていた。すなわち、図16(a)に示すように、締結部材8を上方から見ると、2つの直線部が略直角に交差した角部8bを有するL字状に形成されていた。
【0008】
締結部材8のL字状の2つの直線部の、互いに交差した角部8bと反対側の先端部には、締結金具10が溶接等により一体的に設けられている。そして、図16(a),(b)に示すように、締結金具10は、帯状の板部材を折り曲げて形成されていて、その一端部が締結部材8の上部に接触して(図17参照)、その周りが溶接等により一体的に固定されていた。
【0009】
そして、図17に示すように、締結金具10の他端部は円形状に折り曲げられ、その曲がった部分の内側に貫通孔10aが形成されていた。
【0010】
締結部材8は、図16(b)及び図17に示すように、その長さ方向と直交する上下断面が、凹部8aから2つの上下先端部に向かって分岐した鋏形状(楔状)に形成されていた。
【0011】
そして、締結部材8の上下断面の鋏形状の2つの上下先端部それぞれが、蓋部材6の周縁部6aと、角型容器本体4の開口部4a上端部の芯金巻込部4cを挟んだ状態で、互いに長さ方向に隣接する2つの締結部材8それぞれの端部に設けられた一対の締結金具10同士を、ボルト14にナット16をネジ締結させることにより、それぞれの端部が互いに長さ方向に近付くよう締め付けるようになっていた。
【0012】
このことにより、図17に示すように、締結部材8の上下断面の、鋏形状の2つに分岐したその先端部が、蓋部材6の周縁部6aと、角型容器本体4の開口部4a上端部の芯金巻込部4cに、これらの水平方向外側から近付くことにより、蓋部材6の周縁部6aと角型容器本体4の開口部4a上端部の芯金巻込部4cが、互いに上下方向に近付くように加圧されて圧着することにより、角型容器本体4の内部に密閉された空間を形成するようになっていた(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−085765号公報
【特許文献2】特開2005−315803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の角型密閉容器2において、例えば角型容器本体4の容積をなるべく大きくしてその内部に収納できる容積を増大することを目的として、角型容器本体4の折曲部4dの折曲げ半径Rをより小さくした場合には、それに従い角型容器本体4の辺部4eの長さ寸法が大きくなるので、上記締結部材8による締結ではその抑え強度が不足して、蓋部材6が角型容器本体4の開口部4aから離れてしまうおそれがあるという問題があった。
【0015】
また、従来の角型密閉容器2における角型容器本体4の外形寸法を従来よりも大きくした場合にも、角型容器本体4の辺部4eの長さ寸法が大きくなるので上記問題と同様の問題が発生するため、角型容器本体4の外形寸法を大きくすることができないことにより、角型密閉容器2の外形寸法も大きくすることができないという問題があった。
【0016】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、角型容器本体の辺部の長さ寸法が大きくなっても、蓋部材の周縁部と角型容器本体の開口部の上端部が離れるのを防止することにより容器内部の密閉状態を保つことができる角型密閉容器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明による角型密閉容器は、
上端部に開口部が形成された箱状の角型容器本体と、
前記角型容器本体の上に配置されて前記開口部を閉塞する蓋部材と、
自身の長さと直交する断面形状が、前記蓋部材の周縁部と前記角型容器本体の開口部の上端部を挟むことができるように鋏形状に形成されると共に、自身の長さが前記蓋部材の辺部に沿って配置された締結部材と、
自身の上端部に折曲部が形成され、この折曲部が前記締結部材に係合する抑え部材を有し、前記締結部材を前記角型容器本体に向かう水平方向及び下側方向に向かって抑え付ける抑え機構と
を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明による角型密閉容器は、
前記抑え部材の前記折曲部が形成された上端部とは反対側の下端部は、前記角型容器本体に設けられた容器補強部材に係止されると共に、前記抑え機構はネジ締結手段の締付力により前記抑え部材の中央部を前記角型容器本体側及び下側に向かって抑え付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明による角型密閉容器は、
前記抑え部材は、この下端部側に向かうにつれて前記角型容器本体から遠く離れるように傾いて配置されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
このような本発明の角型密閉容器によれば、
上端部に開口部が形成された箱状の角型容器本体と、
前記角型容器本体の上に配置されて前記開口部を閉塞する蓋部材と、
自身の長さと直交する断面形状が、前記蓋部材の周縁部と前記角型容器本体の開口部の上端部を挟むことができるように鋏形状に形成されると共に、自身の長さが前記蓋部材の辺部に沿って配置された締結部材と、
自身の上端部に折曲部が形成され、この折曲部が前記締結部材に係合する抑え部材を有し、前記締結部材を前記角型容器本体に向かう水平方向及び下側方向に向かって抑え付ける抑え機構とを備えたことにより、
角型容器本体の辺部の長さ寸法が大きくなっても、蓋部材の周縁部と角型容器本体の開口部の上端部が離れるのを防止することにより容器内部の密閉状態を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係る角型密閉容器20の側面図である。
【図2】図1に示す角型密閉容器20の上面図である。
【図3】図1に示す角型密閉容器20における円部Aを拡大して示す部分拡大図である。
【図4】図1に示す角型密閉容器20の一部を構成する角型容器本体22の側面図である。
【図5】図4に示す角型容器本体22の上面図である。
【図6】図4に示す角型容器本体22の下面図である。
【図7】図4に示す角型容器本体22における円部Bを拡大して示す部分拡大図である。
【図8】図7に示す掛止部材30を示す図であって、図8(a)はその正面図、図8(b)はその側面図である。
【図9】図1に示す角型密閉容器20の一部を構成する蓋部材24を示す図であって、図9(a)はその上面図、図9(b)はその正面図である。
【図10】図1に示す角型密閉容器20の一部を構成する締結部材26を示す図であって、図10(a)はその上面図、図10(b)はその正面図である。
【図11】図1に示す角型密閉容器20の一部を構成する抑え部材28を示す図であって、図11(a)はその正面図、図11(b)はその側面図である。
【図12】図1に示す角型密閉容器20の締結部材26と抑え部材28により、蓋部材24の周縁部24aと角型容器本体22の開口部22aの上端部の芯金巻込部22cを締結する状態を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図13】従来の角型密閉容器2の側面図である。
【図14】図13に示す角型密閉容器2の上面図である。
【図15】図13に示す角型密閉容器2の一部を構成する角型容器本体4の上面図である。
【図16】図13に示す角型密閉容器2の締結部材8を示す図であって、図16(a)はその上面図、図16(b)はその側面図である。
【図17】図13に示す角型密閉容器2の締結部材8により、蓋部材6の周縁部6aと角型容器本体4の開口部4aの上端部の芯金巻込部4cを締結する状態を拡大して示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る角型密閉容器を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1ないし図12は、本発明の一実施の形態に係る角型密閉容器20について説明するために参照する図である。
【0023】
本発明の一実施の形態に係る角型密閉容器20は、図1から図3に示すように、上端部に開口部22aが形成された箱状の角型容器本体22と、この角型容器本体22の開口部22aの上に配置されてその開口部22aを閉塞する蓋部材24を備えるようになっている。
【0024】
そしてさらに、蓋部材24の周縁部24aと角型容器本体22の開口部22aの後述するような芯金巻込部22c(図12参照)を、互いに上下方向に抑え付けて圧着することにより、角型容器本体22の内部に、密閉された空間を形成する、締結部材26と抑え部材28を備えるようになっている。
【0025】
上記締結部材26は、図1,2に示すように、水平方向に長さを有し、上下断面におけるその形状が鋏形状に形成され(図3参照)、その長さ方向が、蓋部材24の周縁部24aと、角型容器本体22の開口部22aの上端部それぞれの、4つの辺部に沿って配置されるようになっている。
【0026】
そして、図3に示すように、締結部材26の上下断面の鋏形状の、凹部26aから上下2つに分岐したその先端部が、蓋部材24の周縁部24aと角型容器本体22の開口部22aの芯金巻込部22cを挟んでいる状態で、抑え部材28の折曲部28bが締結部材26に係合するようになっている。
【0027】
角型容器本体22の側板部36に固定された掛止部材30にその頭部32aが引っ掛けられたボルト32と、ナット34をネジ締結させて抑え部材28を締め付けることにより、締結部材26は抑え部材28の折曲部28bに押されて、蓋部材24の周縁部24aと角型容器本体22の開口部22aの芯金巻込部22cを互いに上下方向に抑え付けて、蓋部材24が角型容器本体22の開口部22aを閉塞できるようになっている。
【0028】
図4に示す角型密閉容器20の角型容器本体22は、軟鋼等を用いた金属製であり、蓋部材24や締結部材26、抑え部材28等が設けられていない、上下両端が開口した四角筒状の状態から、側板部36の下端部に底板部38が溶接等により一体的に接合されることにより、側板部36の下方の開口が閉塞されて上方の開口が開放された箱状に形成されている。
【0029】
そして、角型容器本体22の開口部22aは、図5に示すように、上面から見て四隅部が略直角に形成されているので、開口部22aは略ロの字状に形成されるようになっている。
【0030】
そして、図4に示すように、角型容器本体22の底板部38の下側には脚部40が設けられ、角型容器本体22の開口部22aの上に蓋部材24、締結部材26、抑え部材28等の必要な部材が取付けられた後に、その締結部材26の上に別の角型容器本体22の脚部40を積み上げることができるようになっている。
【0031】
図6に示すように、角型容器本体22の脚部40は、桁材46,48が縦横に配置されており、その桁材46間には補強リブ50が配置されていて、図4に示すように、それらが底板部38の下面に溶接等により一体的に接合されている。
【0032】
このため、図6に示すように、角型容器本体22の底板部38が補強されると共に、フォークリフトのフォークを図4に示す桁材46間に差込む等により、角型密閉容器20を容易に運ぶことができるように構成されている。
【0033】
図12に示すように、角型容器本体22の側板部36には、開口部22aの上端部を外側下方に折り曲げて、内側に芯金5を巻き込んだ芯金巻込部22cが構成されている。この芯金巻込部22cは、角型容器本体22(側板部36)の開口部22aの上端部を補強するようになっている。
【0034】
そして、図4に示すように、角型容器本体22の側板部36には、その上端部に開口する開口部22a側の上部において、側板部36の水平断面におけるその外周を一周するように、上下断面がL字状の開口部補強部材42(容器補強部材)が巻付いて一体的に固定されている。
【0035】
開口部補強部材42は、その上下断面のL字状の2つの辺部の内、側板部36から略垂直方向(水平方向)に突き出した辺部において、図5に示すように、その先端面から略矩形状に切り欠かれた切欠部42aが、互いに長さ方向(図5中上下・左右方向)に間隔をおいて複数形成されるようになっている。
【0036】
また、図5に示すように、角型容器本体22の側板部36には、開口部補強部材42の切欠部42aそれぞれに水平方向に対向する位置に、掛止部材30がそれぞれ設けられるようになっている。図5において掛止部材30は、側板部36に設けられた辺部30d(図8(b)参照)の先端部が芯金巻込部22cにより隠れていて、辺部30e(図8(b)参照)の部分だけが見えている。
【0037】
図8(b)に示すように、角型容器本体22の掛止部材30は、その上下方向の断面形状が、その両端部がその中央部に対して略垂直に折れ曲がった、コの字状に形成されている。
【0038】
そして、図7に示すように、掛止部材30の折れ曲がった両端側の辺部30dそれぞれが上下の位置に並ぶように配置されて、それぞれの辺部30dの先端面30aが側板部36の外側面に溶接されると共に、掛止部材30の下端側の辺部30dの下面が、開口部補強部材42の上面に溶接されることにより、掛止部材30は角型容器本体22に一体的に固定されている。
【0039】
図8(a)に示すように、掛止部材30は、その上下方向の断面形状におけるコの字状の折れ曲がった両端側の辺部30d間を繋ぐ中央部の辺部30eには、図中右側の縁部からその中央部に向かって凹んだU字状の切欠部30bが形成されている。
【0040】
図12に示すように、上記切欠部30bには、ボルト32のオネジ部32bが緩く挿通するようになっている。
【0041】
このため、掛止部材30は、その切欠部30bにボルト32のオネジ部32bを挿し込んで、その掛止部材30の内側面30cにボルト32の頭部32aの裏面(図中右側の面)が対向するように配置されて、ボルト32の頭部32aを掛止部材30の辺部30eに係止できるようになっている。
【0042】
また、角型容器本体22には、図4に示すように、その側板部36に取り付けられた開口部補強部材42の、側板部36から略垂直方向(水平方向)に突き出した辺部の下面から、角型容器本体22の脚部40の桁材46,48の上面にわたって伸びたコの字状の垂直補強部材44が、側板部36の水平断面における4つの辺部それぞれの外側面に2つずつ配置され、それぞれの接触部分において溶接等により側板部36に一体的に固定されるようになっている。
【0043】
一方、図1,2に示す角型密閉容器20の蓋部材24は、軟鋼等を用いた金属製であり、図9(a)に示すように、その平面形状が、角型容器本体22の開口部22aと相似形のほぼ正方形に形成されており、その四隅部に丸いR部が形成されている。
【0044】
そして、その蓋部材24は、図1及び図3に示すように、角型容器本体22の側板部36の上端部の芯金巻込部22cの上に載置されて、角型密閉容器20の上端部の開口部22aを閉塞するようになっている。
【0045】
図9(a)に示すように、この蓋部材24の上面には、互いに離れて対向する位置に、中央側から外側に向かうにしたがって高さが高くなるよう傾斜した、2つの取っ手56が溶接等により一体的に取付けられている。
【0046】
この蓋部材24の取っ手56は、蓋部材24の外側に装着された締結部材26の上に別の角型密閉容器20の角型容器本体22の脚部40を載せて、角型密閉容器20同士を上下方向に積み重ねた際に、角型容器本体22の脚部40に接触しないような位置、幅寸法及び高さ寸法に形成されるようになっている。
【0047】
図9(a)及び(b)に示すように、蓋部材24には、その周縁部24aの外形形状に沿うように、その下面から垂直方向に高さを有するリブ52が設けられている。そして、蓋部材24の平面方向におけるリブ52の外形輪郭の内側の、蓋部材24の下面にリブ52と同程度の高さを有するリブ54が格子状に設けられている。
【0048】
蓋部材24のリブ52と54は、図12に示すように、蓋部材24が角型容器本体22の開口部22aを閉塞した際に、角型容器本体22の開口部22aの内周面より内側に入り込むようになっている。
【0049】
また、図12に示すように、蓋部材24の周縁部24aは、その上下方向の断面の先端部が図中下方向に折れ曲って形成されており、蓋部材24の周縁部24aとリブ52の外形輪郭との間に囲まれた領域には、図中上方に向かって凹んだ溝部24bが形成されており、その溝部24b内に弾性体のシール材7を取付けるようになっている。
【0050】
他方、角型密閉容器20の締結部材26は、軟鋼等を用いた金属製であり、図10(b)及び図12に示すように、その上下方向の断面が凹部26aから上下2つの先端部に向かって分岐した鋏形状に形成されている。そして、図10(a)に示すように、上から見た締結部材26は、略直線状に長さを有して形成されている。
【0051】
図3及び図12に示すように、角型密閉容器20の締結部材26は、その凹部26aが、蓋部材24の周縁部24aと角型容器本体22の上端部の芯金巻込部22cに水平方向に対向するように配置されて、それらにその外側から装着され、図2に示すように、締結部材26の長さ方向が蓋部材24の4つの辺部それぞれに沿って配置されるようになっている。
【0052】
また、角型密閉容器20の抑え部材28は、軟鋼等を用いた金属製で、図11(a)に示すように、小判を長く伸ばしたような形状に形成されている。
【0053】
また抑え部材28は、図11(b)に示すように、その上端部に折曲部28bが形成されており、この折曲部28bより図中下方の部分は単なる平板状の平板部28aとなっていて、この平板部28aの略中央部には、図12に示すボルト32のオネジ部32bが緩く挿通する貫通孔28cが形成されるようになっている。
【0054】
図12に示すように、抑え部材28の折曲部28bは、締結部材26に対向する側の抑え面28dが、締結部材26の凹部26aより上半分の外側の、図中右下がりの傾斜面に沿って接触するように配置されている。
【0055】
そして、抑え部材28の平板部28aは、その貫通孔28cにボルト32のオネジ部32bが挿通し、抑え部材28の掛止部材30に対向する対向面28eの下端部が、開口部補強部材42の切欠部42aに係合して、折曲部28bが図中左側の締結部材26に寄り掛かるように、抑え部材28は全体として少し傾いて配置されている。
【0056】
すなわち、抑え部材28は、図12に示すように、その下側に向かうにつれて角型容器本体22の側板部36の外側面から徐々に遠ざかるように、その平板部28aが鉛直方向に対して図中c°だけ傾いて配置されるようになっている。
【0057】
そして、ボルト32の、抑え部材28の貫通孔28cを挿通して、抑え部材28の平板部28aの外側面28fから外側に突き出したオネジ部32bの先端部に、ナット34をネジ締結することにより、抑え部材28は図12中左方向と下方向の間の斜め方向に抑え付けられるようになっている。
【0058】
抑え部材28、掛止部材30、ボルト32、ナット34及び開口部補強部材42の切欠部42aは、全体として抑え機構を構成している。
【0059】
このような抑え機構により、角型密閉容器20の締結部材26は、前記傾斜面に沿って接触した抑え部材28の折曲部28bの抑え面28dにより、上記ネジ締結による締付力Fが加えられた状態となる。
【0060】
このため、上記締付力Fの図12中左方向に働く分力により締結部材26は、蓋部材24の周縁部24aと開口部22aの上端部の芯金巻込部22cを互いに上下方向に近づけるような力を発揮して、両者は強固に抑え付けられて互いに締結されるようになっている。
【0061】
このとき、図12に示すように、角型容器本体22の開口部22aの上端部の芯金巻込部22cには、蓋部材24の溝部24bに取付けられたシール材7が圧着するようになっており、蓋部材24は角型容器本体22の開口部22aを閉塞して、角型容器本体22の内部に密閉された空間が形成されるようになっている。
【0062】
また、上記締付力Fの図12中下側方向に働く分力により、締結部材26と蓋部材24は抑え機構ごとに同方向に抑え付けられるので、角型容器本体22の辺部の長さ寸法が大きくなっても、抑え機構ごとに蓋部材24のシール材7が角型容器本体22の上端部の芯金巻込部22cに抑え付けられるため、蓋部材24の周縁部24aと角型容器本体22の開口部22aの上端部が離れる方向への力に対する抑え強度を高めることができるようになっている。
【0063】
このような本発明の一実施の形態に係る角型密閉容器20によれば、角型容器本体22の辺部の長さ寸法が大きくなっても、蓋部材24の周縁部24aと角型容器本体22の開口部22aの上端部が離れるのを防止することができるため、角型密閉容器20内部の密閉状態を保つことができる。
【0064】
また、このような本発明の一実施の形態に係る角型密閉容器20によれば、角型容器本体22の外形寸法を大きなものにすることができるので、角型密閉容器20の外形寸法も大きなものにすることができる。
【0065】
なお、上記本発明の一実施の形態に係る角型密閉容器20においては、抑え部材28が鉛直方向に対して図中c°だけ傾いて配置され、そのc°が数度位の小さな角度に図示されていたが、そのc°は30°位の大きな角度に設定されてもよい。
【0066】
また、上記本発明の一実施の形態に係る角型密閉容器20においては、図2に示すように、角型容器本体22及び蓋部材24は水平面内の外形形状が略正方形状に形成されるようになっていたが、その水平方向の外形形状が略矩形状に形成されるようになっていてもよい。
【0067】
また、角型密閉容器20の外形形状の設計変更に対応して種々の変更が可能であり、例えば、掛止部材30や開口部補強部材42の切欠部42a、抑え部材28の数を増減してもよく、又は、開口部補強部材42に切欠部を設けないで、開口部補強部材42の外形形状の辺部に直接抑え部材28を係合させるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
2 角型密閉容器
4 角型容器本体
4a 開口部
4b 外側面
4c 芯金巻込部
4d 折曲部
4e 辺部
5 芯金
6 蓋部材
6a 周縁部
6b 凹部
7 シール材
8 締結部材
8a 凹部
8b 角部
10 締結金具
10a 貫通孔
12 開口部補強部材
14 ボルト
16 ナット
20 角型密閉容器
22 角型容器本体
22a 開口部
22c 芯金巻込部
24 蓋部材
24a 周縁部
24b 溝部
26 締結部材
26a 凹部
28 抑え部材
28a 平板部
28b 折曲部
28c 貫通孔
28d 抑え面
28e 対向面
28f 外側面
30 掛止部材
30a 先端面
30b 切欠部
30c 内側面
30d,30e 辺部
32 ボルト
32a 頭部
32b オネジ部
34 ナット
36 側板部
38 底板部
40 脚部
42 開口部補強部材
42a 切欠部
44 垂直補強部材
46,48 桁材
50 補強リブ
52,54 リブ
56 取っ手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に開口部が形成された箱状の角型容器本体と、
前記角型容器本体の上に配置されて前記開口部を閉塞する蓋部材と、
自身の長さと直交する断面形状が、前記蓋部材の周縁部と前記角型容器本体の開口部の上端部を挟むことができるように鋏形状に形成されると共に、自身の長さが前記蓋部材の辺部に沿って配置された締結部材と、
自身の上端部に折曲部が形成され、この折曲部が前記締結部材に係合する抑え部材を有し、前記締結部材を前記角型容器本体に向かう水平方向及び下側方向に向かって抑え付ける抑え機構と
を備えたことを特徴とする角型密閉容器。
【請求項2】
前記抑え部材の前記折曲部が形成された上端部とは反対側の下端部は、前記角型容器本体に設けられた容器補強部材に係止されると共に、前記抑え機構はネジ締結手段の締付力により前記抑え部材の中央部を前記角型容器本体側及び下側に向かって抑え付けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の角型密閉容器。
【請求項3】
前記抑え部材は、この下端部側に向かうにつれて前記角型容器本体から遠く離れるように傾いて配置されたことを特徴とする請求項2に記載の角型密閉容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−236627(P2012−236627A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106483(P2011−106483)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(500038709)ライフ工業株式会社 (2)
【出願人】(511114922)株式会社マン (1)
【Fターム(参考)】