角度調整機能を有するLEDランプ
【課題】高い放熱性を備えるコンパクトな角度調整機能を有するLEDランプを提供する。
【解決手段】被取付部としての引掛シーリングプラグ100に、着脱可能に取付けられる取付支持部材としての引掛シーリングキャップ3と、この引掛シーリングキャップ3に角度変更可能に支持され、ヒートシンク6を内部に一体的に有するとともに外側に外部フィン5dを一体的に有するケース5と、LED素子9aを有し、上記ケース5のヒートシンク6に接触しかつ上記LED素子9aをヒートシンク6とは反対側に配して設けられるチップ基板9と、ケース5内に、チップ基板9の上記ヒートシンク6とは反対側に設けられる集光レンズ11とを備え、上記ヒートシンク6が、上記チップ基板9と接触する板状部6aと、その板状部6aの上記チップ基板9とは反対側に、同心状に設けられた複数の環状フィン(内部フィン)6bとを備える。
【解決手段】被取付部としての引掛シーリングプラグ100に、着脱可能に取付けられる取付支持部材としての引掛シーリングキャップ3と、この引掛シーリングキャップ3に角度変更可能に支持され、ヒートシンク6を内部に一体的に有するとともに外側に外部フィン5dを一体的に有するケース5と、LED素子9aを有し、上記ケース5のヒートシンク6に接触しかつ上記LED素子9aをヒートシンク6とは反対側に配して設けられるチップ基板9と、ケース5内に、チップ基板9の上記ヒートシンク6とは反対側に設けられる集光レンズ11とを備え、上記ヒートシンク6が、上記チップ基板9と接触する板状部6aと、その板状部6aの上記チップ基板9とは反対側に、同心状に設けられた複数の環状フィン(内部フィン)6bとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば天井に配設した配線ダクトレール等の被取付部に取付けられ、光出射方向を変更可能とする角度調整機能を有するLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)を光源として備えたLED電球が開発されている。このLED電球は、従来の白熱電球に比べて消費電力が著しく小さいという特徴を有する。
【0003】
上記LED電球は、白熱電球用の既存の設備を利用することができるように、LEDとエジソン型の口金とを一体化して構成され、その口金を、別に設けたソケットに取付けて使用する形式のものが一般的である(例えば特許文献1参照)。よって、LED電球の口金をソケットに取付けるという形式にあっては、LED電球とソケットが直列的に並ぶためにLED電球の軸方向において長いものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−208305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなLED電球を用いてスポットライトのような角度調整機能を有するものを作製する場合には、LED電球に加えて、天井や壁に予め配設した配線ダクトレール等の被取付部に取付けるとともにLED電球を角度変更可能に支持するための取付支持部材を必要とするため、LED電球の軸方向において更に長くなって大型化する。また、角度調整を行ってLED電球から出射した光を特定方向へ向けるためには、一般にLED電球の光出射側に集光レンズが設けられ、そのためにLED電球の側面から後方にわたって囲むように設けたケースと、LED電球の前側を覆うように設けた集光レンズとにより、LED電球の放熱性が低下するという難点がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高い放熱性を備えるコンパクトな、角度調整機能を有するLEDランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る角度調整機能を有するLEDランプは、所定の被取付部に着脱可能に取付けられる取付支持部材と、この取付支持部材に角度変更可能に支持され、ヒートシンクを内部に一体的に有するとともに外側に外部フィンを一体的に有するケースと、LED素子を有し、上記ケースのヒートシンクに接触しかつ上記LED素子を上記ヒートシンクとは反対側に配して設けられるチップ基板と、上記ケース内に、チップ基板の上記ヒートシンクとは反対側に設けられる集光レンズとを備え、上記ヒートシンクが、上記チップ基板と接触する板状部と、その板状部の上記チップ基板とは反対側に設けられた内部フィンとを備えることを特徴とする。本発明にあっては、LED素子を有するチップ基板を用いており、その光出射方向が基板の厚み方向に一致するため、このチップ基板を内蔵するケースの軸方向の長さを短くすることが可能になる。また、ケースに設けたヒートシンクにチップ基板が接触しているため、チップ基板で発生した熱がヒートシンクの内部フィンから放熱される。更に、そのヒートシンクがケースに一体的に設けられているので、ヒートシンクからケースへ熱を伝導性よく伝えることができる。更にまた、ケースの外側に外部フィンが設けられているので、その外部フィンによってケースから外部へ熱を逃がすことができる。よって、ケースおよび集光レンズによりチップ基板が囲まれていても、高い放熱性を備えるコンパクトな、角度調整機能を有するLEDランプを提供することが可能になる。
【0008】
この構成において、上記内部フィンが同心状に設けられた複数の環状フィンを備え、これら複数の環状フィンが、板状部の外周側に近づくほど隣り合うフィン間の間隔が狭く、かつフィン高さが高くなるように形成されることが好ましい。この構成にあっては、ヒートシンクの環状フィンが板状部の外周側に近づくほど隣り合うフィン間の間隔が狭く、かつフィン高さが高くなるように形成されているので、ヒートシンクの外周部に近づくにつれて空気との接触面積が大きくなり、その結果としてヒートシンク外周部の放熱効果が高くなる。これにより、外周側の温度を中心側の温度よりも低くする温度勾配を大きくし、熱伝導性を向上させてヒートシンク全体の放熱効率を高めることが可能になる。
【0009】
この構成において、上記LED素子の点灯制御を行う制御回路が、上記ケースの内面に内方へ向けて突出させた突起に落下防止状態に支持されていて、その突起を介して制御回路から発生した熱が上記ケースへ伝導される構成としてもよい。この構成による場合には、制御回路から発生した熱は、チップ基板から発生した熱の伝導経路とは別の経路を介してケースへ伝導されるので、ヒートシンクにおける放熱特性は変化しない、または変化の少ないものとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、LED素子を有するチップ基板を用いており、その光出射方向が基板の厚み方向に一致するため、このチップ基板を内蔵するケースの軸方向の長さを短くすることが可能になる。また、ケースに設けたヒートシンクにチップ基板が接触しているため、チップ基板で発生した熱がヒートシンクの内部フィンから放熱される。更に、そのヒートシンクがケースに一体的に設けられているので、ヒートシンクからケースへ熱を伝導性よく伝えることができる。更にまた、ケースの外側に外部フィンが設けられているので、その外部フィンによってケースから外部へ熱を逃がすことができる。よって、ケースおよび集光レンズによりチップ基板が囲まれていても、高い放熱性を備えるコンパクトな、角度調整機能を有するLEDランプを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る角度調整機能を有するLEDランプを示す正面断面図である。
【図2】図1の角度調整機能を有するLEDランプに備わったヒートシンクの説明図である。
【図3】本発明に適用される他の取付支持部材を示す正面図である。
【図4】本発明に適用される更に他の取付支持部材を示す正面図である。
【図5】本発明に適用される更に他の取付支持部材を示す正面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る角度調整機能を有するLEDランプを示す正面断面図である。
【図7】図6の角度調整機能を有するLEDランプを構成するケースを示す平面図である。
【図8】図6の角度調整機能を有するLEDランプの光出射方向を変える場合の説明図である。
【図9】角度調整機能を有するLEDランプをブラケットタイプの構成に適用した例を示す説明図である。
【図10】角度調整機能を有するLEDランプをペンダントタイプの構成に適用した例を示す説明図である。
【図11】角度調整機能を有するLEDランプをシーリングタイプの構成に適用した例を示す説明図である。
【図12】角度調整機能を有するLEDランプを天井に直接取付けた構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る角度調整機能を有するLEDランプを示す正面断面図である。
【0014】
この角度調整機能を有するLEDランプ1は、天井から吊り下げられた被取付部としての引掛シーリングプラグ100に、着脱可能に取付けられる取付支持部材としての引掛シーリングキャップ3と、この引掛シーリングキャップ3に角度変更可能に支持されたケース5と、ケース5の内部上側に設けられた制御回路7と、ケース5の内部下側に設けられLED素子9aを有するチップ基板9と、ケース5の内部下側であって、チップ基板9よりも下側に設けられた集光レンズ11とを具備する。
【0015】
引掛シーリングキャップ3は、上部部材3aと、下部部材3bと、下部部材3bを上部部材3aに対して回動可能に支持する軸部3cとを有する。上部部材3aには、引掛シーリングプラグ100に引っ掛ける一対の引掛部3dを上面に有し、これら引掛部3dを引掛シーリングプラグ100に差し込んで鉛直軸の回りに少し回転させることで取付けられる。また、この取付けに伴って引掛シーリングプラグ100との間で電気的な接続が行われる。
【0016】
引掛部3dを引掛シーリングプラグ100に取付けた状態において、下部部材3bは軸部3cの回り、つまり鉛直軸Aの回りに正逆方向に回動可能である。また、下部部材3bは、両端にそれぞれ垂下部3eを有し、これら垂下部3eの互いに対向する内側面には半球状の支持部3fが設けられている。
【0017】
ケース5は、一体成形品であり、ケース本体5aを有する。ケース本体5aの上部には、円形の支持孔5iが設けられていて、この支持孔5iに上記支持部3fが係止されることで、ケース5が支持されるとともに、水平軸Bの回りを回動できるようになっている。つまり、このLEDランプ1は、所謂スポットライトとして機能する構成となっている。
【0018】
また、上記ケース本体5aは、その軸心に対して線対称に形成されていて、ケース本体5aの内部にヒートシンク6が設けられ、このヒートシンク6によりケース本体5aの内部が、上側空洞5bおよび下側空洞5cの2つに分けられている。また、ケース本体5aの外側には複数の外部フィン5dが、ケース本体5aの軸心に沿って延びる状態で放射状に形成されている。更に、ケース本体5aの下端の外側には、外方に突出したフランジ5gが形成されていて、このフランジ5gを介して二点鎖線で示すランプセード5hを吊り下げることもできる。
【0019】
これらヒートシンク6及び外部フィン5dは、ケース本体5aと一体的に形成されており、ケース5aと同一の熱伝導性が高い樹脂からなる。その樹脂としては、例えば銀を上回る高熱伝導率を有する高熱伝導性炭素ファイバーである帝人株式会社製の「ラヒーマ」(商品名)などが用いられる。
【0020】
また、ケース5の集光レンズ11を設けた箇所には、軸心回りの周方向に沿って部分的に複数の貫通孔5eが設けられている。
【0021】
ヒートシンク6は、外周部がケース5の内面に繋がった板状部6aと、その板状部6aの上側に設けられた複数、図示例では5つの環状フィン6bとを備える。これら5つの環状フィン6bは、内部フィンを構成する。
【0022】
ヒートシンク6の上方には、ヒートシンク6とは離れて上記制御回路7が配設され、その制御回路7はケース5の内面に内方に向けて突出させた環状の支持片5fに、落下防止状態で支持されている。上記支持片5fは、ケース本体5aの軸心と直交する周方向に連続して形成されている。なお、この支持片5fは、連続した状態である必要はなく、部分的に欠落した不連続状態のものでもよい。
【0023】
ヒートシンク6の下側には、チップ基板9が設けられている。チップ基板9は、LED素子9aを下側に向けて上記板状部6aに接触する状態で設けられている。チップ基板9の下側に配設された集光レンズ11は、外周部に沿って部分的に複数の突起11aが形成されていて、これら突起11aを上記貫通孔5eに圧入することで集光レンズ11がケース5に取付けられる。また、突起11aを貫通孔5eから抜き外すことで、集光レンズ11の取外しが可能になる。なお、上記突起11aは、上記貫通孔5eに入り得る大きさを有し、ケース本体5aの軸方向と直交する周方向であって、貫通孔5eと対応する位置に同数で設けられている。
【0024】
図2はそのLEDランプ1に備わったヒートシンクの説明図(平面図)である。
【0025】
5つの環状フィン6bは、ケース本体5aの軸方向に延びていて、平面視において半径が異なる円形に形成され、同心状に配設されている。なお、これら5つの環状フィン6bは、完全に同心状に配設する必要はなく、多少ずれていてもよい。ここで、これら環状フィン6bのうち、最内側(最小径)の環状フィン13a、その1つ外側の環状フィンを13b、更にその1つ外側の環状フィンを13c、更にその1つ外側の環状フィンを13d、更にその1つ外側であって最外側(最大径)の環状フィンを13eとし、環状フィン13aの中心をOとする。
【0026】
環状フィン13bと環状フィン13aとの間隔L2は、環状フィン13aの中心Oからの距離L1よりも狭く、環状フィン13cと環状フィン13bとの間隔L3は間隔L2よりも狭く、環状フィン13dと環状フィン13cとの間隔L4は間隔L3よりも狭く、環状フィン13eと環状フィン13dとの間隔L5は間隔L4よりも狭くなっている。つまり、間隔は、外周側になる程に狭くなっている。よって、環状フィン6bの空気との接触面積が外周側になる程に大きくなるため、放熱効率は外周側になる程に高くなる。これにより、外周側の温度を中心側の温度よりも低くする温度勾配を大きくし、熱伝導性を向上させてヒートシンク6全体の放熱効率を高めることが可能になる。
【0027】
また、環状フィン13a〜13eの高さH1〜H5は、外周側になる程に高くなっている。つまり、環状フィン13bの高さH2は環状フィン13aの高さH1よりも高く、環状フィン13cの高さH3は環状フィン13bの高さH2よりも高く、環状フィン13dの高さH4は環状フィン13cの高さH3よりも高く、環状フィン13eの高さH5は環状フィン13dの高さH4よりも高くなっている。よって、環状フィン6bの空気との接触面積が外周側になる程に大きくなるため、放熱効率は外周側になる程に高くなる。これにより、外周側の温度を中心側の温度よりも低くする温度勾配を大きくし、熱伝導性を向上させてヒートシンク6全体の放熱効率を高めることが可能になる。
【0028】
このように構成された角度調整機能を有するLEDランプ1にあっては、LED素子9aを有するチップ基板9を用いており、その光出射方向がチップ基板9の厚み方向に一致するため、このチップ基板9を内蔵するケース5の軸方向の長さを短くすることが可能になる。また、ケース5に設けたヒートシンク6にチップ基板9が接触しているため、チップ基板9で発生した熱がヒートシンク6から放熱される。このとき、環状フィン6bが、板状部6aの外周側に近づくほど隣り合うフィン間の間隔L1〜L5が狭く、かつフィン高さH1〜H5が高くなるように形成されているので、ヒートシンク6の外周部に近づくにつれて空気との接触面積が大きくなり、その結果として外周部の放熱効果が高くなる。これにより、外周側の温度を中心側の温度よりも低くする温度勾配を大きくし、熱伝導性を向上させてヒートシンク6全体の放熱効率を高めることが可能になり、チップ基板9で発生した熱を効率よく放熱させることができる。更に、そのヒートシンク6がケース本体5aに一体的に設けられているので、ヒートシンク6からケース本体5aへ熱を伝導性よく伝えることができる。更にまた、ケース本体5aの外側に外部フィン5dが設けられているので、その外部フィン5dによってケース5から外部へ熱を逃がすことができる。よって、ケース5および集光レンズ11によりチップ基板9が囲まれていても、高い放熱性を備えるコンパクトなLEDランプ1を提供することが可能になる。
【0029】
また、本実施形態にあっては、ケース5が熱伝導性が高い樹脂で形成されているので、チップ基板9で発生した熱がヒートシンク6を介してケース5に高い熱伝導度で伝わるため、より放熱効果が高くなる。
【0030】
更に、本実施形態にあっては、制御回路7から発生した熱は、チップ基板9から発生した熱の伝導経路とは別の経路を介してケース5へ伝導されるので、ヒートシンク6における放熱特性は変化しない、または変化の少ないものとなる。
【0031】
なお、上述した実施形態ではケース5を、熱伝導性が高い樹脂で形成しているが、本発明はこれに限らず、アルミニウムによりケース5を形成してもよい。但し、この場合にあっても、ヒートシンク6及び外部フィン5dもアルミニウムによりケース本体5aと一体的に形成される。
【0032】
また、上述した実施形態ではヒートシンク6の複数の環状フィン6bが、板状部6aの外周部に近づくほど隣り合うフィン間の距離L1〜L5を狭く、かつフィン高さH1〜H5を高くしているが、本発明はこれに限らない。例えば、板状部6aの外周部に近づくほど隣り合うフィン間の距離L1〜L5を狭くするだけでもよく、或いは、板状部6aの外周部に近づくほどフィン高さH1〜H5を高くするだけでもよい。また、フィン間の距離L1〜L5を、板状部6aの外周部に近づくほど狭くする必要はなく、板状部6aの外周部側の一群が同じ間隔で、内側の一群が外周部側よりも狭く、かつ同じ間隔となっていてもよい。更に、高さに関しても、板状部6aの外周部に近づくほど高くする必要はなく、板状部6aの外周部側の一群が同じ高さで、内側の一群が外周部側よりも低く、かつ同じ高さとなっていてもよい。
【0033】
更に、上述した実施形態ではヒートシンク6の内部フィンとして5つの環状フィン6bを設けているが、本発明はこれに限らず、3つまたは4つ、或いは6以上で環状フィンを設けるようにしてもよい。
【0034】
図3〜図5は、本発明の角度調整機能を有するLEDランプ1に適用可能な取付支持部材の他の例を示す図である。
【0035】
図3の取付支持部材23は、天井などに設けた被取付部としての配線ダクトレール(図示せず)に取付けられる取付部23dを上部に有する上部部材23aと、ケース5を水平軸B回りに回動可能に支持する下部部材23bと、下部部材23bを吊り下げ状態で支持し、上部部材23aに対して鉛直軸A回りに回動可能に上部が取付けられた軸部23cとを有する構成であり、一般に配線ダクト方式と呼ばれるものである。
【0036】
図4の取付支持部材24は、天井110などの被取付部に直接取付けられる上部部材24aと、ケース5を水平軸B回りに回動可能に支持する下部部材24bと、下部部材24bを吊り下げ状態で支持し、上部部材24aに対して鉛直軸A回りに回動可能に上部が取付けられた軸部24cとを有する構成であり、一般にフランジ式と呼ばれるものである。
【0037】
図5の取付支持部材25は、家具などの凸部を被取付部として取付けられる上部部材25aと、ケース5を水平軸B回りに回動可能に支持する下部部材25bと、下部部材25bを吊り下げ状態で支持し、上部部材25aに対して鉛直軸A回りに回動可能に上部が取付けられた軸部25cとを有し、上部部材25aが挟持部25sを備えるクリップで構成されたものであり、一般にクリップ式と呼ばれるものである。
【0038】
なお、図3〜図5に示す取付支持部材は、本発明の角度調整機能を有するLEDランプ1に適用可能なものの一例であり、他の構成の取付支持部材を用いても構わない。
【0039】
図6は、本発明の他の実施形態に係る角度調整機能を有するLEDランプを示す正面断面図であり、図7はその角度調整機能を有するLEDランプを構成するケースを示す平面図である。なお、図6、図7において図1と同一部分には同一符号を付している。
【0040】
この角度調整機能を有するLEDランプ1Aは、天井110に設けた取付孔111に埋め込んだ埋込枠30の内側に設けられた、所謂埋め込みスポットライトを構成している。埋込枠30は上方に向けて窪んでいて、下端周辺部30aを取付孔111の下面周縁に当接した状態で取付部材31を介して取付孔111に着脱可能に取付けられている。上記取付部材31は、板ばねを加工したもので、この取付部材31と下端周辺部30aとで、取付孔111の周縁部をその厚み方向において挟むことにより埋込枠30が取付けられている。
【0041】
上記LEDランプ1Aは、水平軸Bの高さ位置を下側に寄せて配置した構成としている。より詳細には、ケース5の下端に近い部分の外側に、上方に向けて延出させた延出片5jに支持孔5iを設け、一方、引掛シーリングキャップ3の下部部材3bを下側に延ばし、その下部部材3bの下端部に、前記支持孔5iに係止される支持部3fを設けた構成とすることにより、支持部3fの位置で決まる水平軸B′の高さ位置をチップ基板9とほぼ同じ高さ位置に設定している。ここで、低い位置にある水平軸B′のときの支持部3fの位置をCとし、図1に示す高い位置にある水平軸Bのときの支持部3fの位置をDとする(図8参照)。
【0042】
この構成にあっては、図8に示すように光出射方向Hを鉛直真下方向Hoから角度θだけ傾けても、チップ基板9と水平軸B′とがほぼ同じ高さ位置にあるので、ケース5の下端Fの水平方向での変位量は少ない。しかしながら、水平軸Bの高さ位置がケース5の上端部に位置してチップ基板9から離れた構成にあっては、光出射方向Hを真下方向Hoから同じ角度θ傾けると、ケース5の下端Fの水平方向での変位が、水平軸B′の場合よりも変位量Eだけ大きくなる。よって、ケース5の下端Fが大きく変位し、角度θによっては下端Fが埋込枠30の内面に当たって、所望の角度まで傾けることができなくなる虞があり、また、埋込枠30の内面に当たる側とは逆側の下端が下側に大きく変位して埋込枠30の下端開口から飛び出す虞があるという不都合がある。これに対し、図6、図7に示したように水平軸B′の高さ位置をチップ基板9とほぼ同じ高さ位置に設定することで、上記不都合を解消させることができる。
【0043】
なお、水平軸B′の高さ位置は、チップ基板9の高さ位置に接近させた位置にすることが好ましいものの、ケース5の外形および埋込枠30の内形に応じて位置をずらせるようにしてもよい。
【0044】
また、図6、図7にあっては、取付支持部材として引掛シーリングキャップ3を用いる場合を例に挙げているが、本発明はこれに限らない。角度調整機能を有する埋め込み型のLEDランプ1Aにおいて、図3に示す配線ダクト方式や、図4に示すフランジ式、或いは図5に示すクリップ式の取付支持部材を用いることができる。
【0045】
更に、本発明の角度調整機能を有するLEDランプ1、1Aにあっては、図9〜図12に示す形態で使用することもできる。図9に示す例は、壁付金具30に一端が取付けられた支持部材31の他端に引掛シーリングキャップ3を取付け、その引掛シーリングキャップ3に、チップ基板等を有するケース5を取付けたブラケットタイプの構成である。なお、図9中の32は引掛シーリングキャップ3を覆うカバーである。
【0046】
図10に示す例は、天井から吊り下げた電線コード33の下端に引掛シーリングキャップ3を取付け、その引掛シーリングキャップ3の下側に、チップ基板等を有するケース5を取付けたペンダントタイプの構成である。なお、図10中の34は引掛シーリングキャップ3を覆うカバーである。
【0047】
図11に示す例は、天井に取付けた天井金具35の内部に引掛シーリングキャップ3を天井金具35で支持する状態に取付け、その引掛シーリングキャップ3の下側に、チップ基板等を有するケース5を取付けたシーリングタイプの構成である。
【0048】
図12に示す例は、ケース5に前記取付部材31を取付け、その取付部材31とケース5の下端外側に設けたフランジ5gとの間で取付孔111の周縁部を、その厚み方向において挟むことにより角度調整機能を有するLEDランプを直接天井110に取付けた構成としている。この図12においては、取付部材31をケース5の前記延出片5jに取付けているが、ケース5の他の箇所に取付けても構わない。
【0049】
なお、図9〜図12にあっては、引掛シーリングキャップ3を用いているが、この引掛シーリングキャップ3に代えて、図3に示す配線ダクト方式や、図4に示すフランジ式、或いは図5に示すクリップ式の取付支持部材を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
100 引掛シーリングプラグ(被取付部)
110 天井(被取付部)
1、1A 角度調整機能を有するLEDランプ
3 引掛シーリングキャップ(取付支持部材)
5 ケース
5d 外部フィン
6 ヒートシンク
6a 板状部
6b 環状フィン(内部フィン)
H1〜H5 環状フィンの高さ
L1〜L5 フィン間の間隔
7 制御回路
9 チップ基板
9a LED素子
11 集光レンズ
23、24、25 取付支持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば天井に配設した配線ダクトレール等の被取付部に取付けられ、光出射方向を変更可能とする角度調整機能を有するLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)を光源として備えたLED電球が開発されている。このLED電球は、従来の白熱電球に比べて消費電力が著しく小さいという特徴を有する。
【0003】
上記LED電球は、白熱電球用の既存の設備を利用することができるように、LEDとエジソン型の口金とを一体化して構成され、その口金を、別に設けたソケットに取付けて使用する形式のものが一般的である(例えば特許文献1参照)。よって、LED電球の口金をソケットに取付けるという形式にあっては、LED電球とソケットが直列的に並ぶためにLED電球の軸方向において長いものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−208305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなLED電球を用いてスポットライトのような角度調整機能を有するものを作製する場合には、LED電球に加えて、天井や壁に予め配設した配線ダクトレール等の被取付部に取付けるとともにLED電球を角度変更可能に支持するための取付支持部材を必要とするため、LED電球の軸方向において更に長くなって大型化する。また、角度調整を行ってLED電球から出射した光を特定方向へ向けるためには、一般にLED電球の光出射側に集光レンズが設けられ、そのためにLED電球の側面から後方にわたって囲むように設けたケースと、LED電球の前側を覆うように設けた集光レンズとにより、LED電球の放熱性が低下するという難点がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高い放熱性を備えるコンパクトな、角度調整機能を有するLEDランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る角度調整機能を有するLEDランプは、所定の被取付部に着脱可能に取付けられる取付支持部材と、この取付支持部材に角度変更可能に支持され、ヒートシンクを内部に一体的に有するとともに外側に外部フィンを一体的に有するケースと、LED素子を有し、上記ケースのヒートシンクに接触しかつ上記LED素子を上記ヒートシンクとは反対側に配して設けられるチップ基板と、上記ケース内に、チップ基板の上記ヒートシンクとは反対側に設けられる集光レンズとを備え、上記ヒートシンクが、上記チップ基板と接触する板状部と、その板状部の上記チップ基板とは反対側に設けられた内部フィンとを備えることを特徴とする。本発明にあっては、LED素子を有するチップ基板を用いており、その光出射方向が基板の厚み方向に一致するため、このチップ基板を内蔵するケースの軸方向の長さを短くすることが可能になる。また、ケースに設けたヒートシンクにチップ基板が接触しているため、チップ基板で発生した熱がヒートシンクの内部フィンから放熱される。更に、そのヒートシンクがケースに一体的に設けられているので、ヒートシンクからケースへ熱を伝導性よく伝えることができる。更にまた、ケースの外側に外部フィンが設けられているので、その外部フィンによってケースから外部へ熱を逃がすことができる。よって、ケースおよび集光レンズによりチップ基板が囲まれていても、高い放熱性を備えるコンパクトな、角度調整機能を有するLEDランプを提供することが可能になる。
【0008】
この構成において、上記内部フィンが同心状に設けられた複数の環状フィンを備え、これら複数の環状フィンが、板状部の外周側に近づくほど隣り合うフィン間の間隔が狭く、かつフィン高さが高くなるように形成されることが好ましい。この構成にあっては、ヒートシンクの環状フィンが板状部の外周側に近づくほど隣り合うフィン間の間隔が狭く、かつフィン高さが高くなるように形成されているので、ヒートシンクの外周部に近づくにつれて空気との接触面積が大きくなり、その結果としてヒートシンク外周部の放熱効果が高くなる。これにより、外周側の温度を中心側の温度よりも低くする温度勾配を大きくし、熱伝導性を向上させてヒートシンク全体の放熱効率を高めることが可能になる。
【0009】
この構成において、上記LED素子の点灯制御を行う制御回路が、上記ケースの内面に内方へ向けて突出させた突起に落下防止状態に支持されていて、その突起を介して制御回路から発生した熱が上記ケースへ伝導される構成としてもよい。この構成による場合には、制御回路から発生した熱は、チップ基板から発生した熱の伝導経路とは別の経路を介してケースへ伝導されるので、ヒートシンクにおける放熱特性は変化しない、または変化の少ないものとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、LED素子を有するチップ基板を用いており、その光出射方向が基板の厚み方向に一致するため、このチップ基板を内蔵するケースの軸方向の長さを短くすることが可能になる。また、ケースに設けたヒートシンクにチップ基板が接触しているため、チップ基板で発生した熱がヒートシンクの内部フィンから放熱される。更に、そのヒートシンクがケースに一体的に設けられているので、ヒートシンクからケースへ熱を伝導性よく伝えることができる。更にまた、ケースの外側に外部フィンが設けられているので、その外部フィンによってケースから外部へ熱を逃がすことができる。よって、ケースおよび集光レンズによりチップ基板が囲まれていても、高い放熱性を備えるコンパクトな、角度調整機能を有するLEDランプを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る角度調整機能を有するLEDランプを示す正面断面図である。
【図2】図1の角度調整機能を有するLEDランプに備わったヒートシンクの説明図である。
【図3】本発明に適用される他の取付支持部材を示す正面図である。
【図4】本発明に適用される更に他の取付支持部材を示す正面図である。
【図5】本発明に適用される更に他の取付支持部材を示す正面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る角度調整機能を有するLEDランプを示す正面断面図である。
【図7】図6の角度調整機能を有するLEDランプを構成するケースを示す平面図である。
【図8】図6の角度調整機能を有するLEDランプの光出射方向を変える場合の説明図である。
【図9】角度調整機能を有するLEDランプをブラケットタイプの構成に適用した例を示す説明図である。
【図10】角度調整機能を有するLEDランプをペンダントタイプの構成に適用した例を示す説明図である。
【図11】角度調整機能を有するLEDランプをシーリングタイプの構成に適用した例を示す説明図である。
【図12】角度調整機能を有するLEDランプを天井に直接取付けた構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る角度調整機能を有するLEDランプを示す正面断面図である。
【0014】
この角度調整機能を有するLEDランプ1は、天井から吊り下げられた被取付部としての引掛シーリングプラグ100に、着脱可能に取付けられる取付支持部材としての引掛シーリングキャップ3と、この引掛シーリングキャップ3に角度変更可能に支持されたケース5と、ケース5の内部上側に設けられた制御回路7と、ケース5の内部下側に設けられLED素子9aを有するチップ基板9と、ケース5の内部下側であって、チップ基板9よりも下側に設けられた集光レンズ11とを具備する。
【0015】
引掛シーリングキャップ3は、上部部材3aと、下部部材3bと、下部部材3bを上部部材3aに対して回動可能に支持する軸部3cとを有する。上部部材3aには、引掛シーリングプラグ100に引っ掛ける一対の引掛部3dを上面に有し、これら引掛部3dを引掛シーリングプラグ100に差し込んで鉛直軸の回りに少し回転させることで取付けられる。また、この取付けに伴って引掛シーリングプラグ100との間で電気的な接続が行われる。
【0016】
引掛部3dを引掛シーリングプラグ100に取付けた状態において、下部部材3bは軸部3cの回り、つまり鉛直軸Aの回りに正逆方向に回動可能である。また、下部部材3bは、両端にそれぞれ垂下部3eを有し、これら垂下部3eの互いに対向する内側面には半球状の支持部3fが設けられている。
【0017】
ケース5は、一体成形品であり、ケース本体5aを有する。ケース本体5aの上部には、円形の支持孔5iが設けられていて、この支持孔5iに上記支持部3fが係止されることで、ケース5が支持されるとともに、水平軸Bの回りを回動できるようになっている。つまり、このLEDランプ1は、所謂スポットライトとして機能する構成となっている。
【0018】
また、上記ケース本体5aは、その軸心に対して線対称に形成されていて、ケース本体5aの内部にヒートシンク6が設けられ、このヒートシンク6によりケース本体5aの内部が、上側空洞5bおよび下側空洞5cの2つに分けられている。また、ケース本体5aの外側には複数の外部フィン5dが、ケース本体5aの軸心に沿って延びる状態で放射状に形成されている。更に、ケース本体5aの下端の外側には、外方に突出したフランジ5gが形成されていて、このフランジ5gを介して二点鎖線で示すランプセード5hを吊り下げることもできる。
【0019】
これらヒートシンク6及び外部フィン5dは、ケース本体5aと一体的に形成されており、ケース5aと同一の熱伝導性が高い樹脂からなる。その樹脂としては、例えば銀を上回る高熱伝導率を有する高熱伝導性炭素ファイバーである帝人株式会社製の「ラヒーマ」(商品名)などが用いられる。
【0020】
また、ケース5の集光レンズ11を設けた箇所には、軸心回りの周方向に沿って部分的に複数の貫通孔5eが設けられている。
【0021】
ヒートシンク6は、外周部がケース5の内面に繋がった板状部6aと、その板状部6aの上側に設けられた複数、図示例では5つの環状フィン6bとを備える。これら5つの環状フィン6bは、内部フィンを構成する。
【0022】
ヒートシンク6の上方には、ヒートシンク6とは離れて上記制御回路7が配設され、その制御回路7はケース5の内面に内方に向けて突出させた環状の支持片5fに、落下防止状態で支持されている。上記支持片5fは、ケース本体5aの軸心と直交する周方向に連続して形成されている。なお、この支持片5fは、連続した状態である必要はなく、部分的に欠落した不連続状態のものでもよい。
【0023】
ヒートシンク6の下側には、チップ基板9が設けられている。チップ基板9は、LED素子9aを下側に向けて上記板状部6aに接触する状態で設けられている。チップ基板9の下側に配設された集光レンズ11は、外周部に沿って部分的に複数の突起11aが形成されていて、これら突起11aを上記貫通孔5eに圧入することで集光レンズ11がケース5に取付けられる。また、突起11aを貫通孔5eから抜き外すことで、集光レンズ11の取外しが可能になる。なお、上記突起11aは、上記貫通孔5eに入り得る大きさを有し、ケース本体5aの軸方向と直交する周方向であって、貫通孔5eと対応する位置に同数で設けられている。
【0024】
図2はそのLEDランプ1に備わったヒートシンクの説明図(平面図)である。
【0025】
5つの環状フィン6bは、ケース本体5aの軸方向に延びていて、平面視において半径が異なる円形に形成され、同心状に配設されている。なお、これら5つの環状フィン6bは、完全に同心状に配設する必要はなく、多少ずれていてもよい。ここで、これら環状フィン6bのうち、最内側(最小径)の環状フィン13a、その1つ外側の環状フィンを13b、更にその1つ外側の環状フィンを13c、更にその1つ外側の環状フィンを13d、更にその1つ外側であって最外側(最大径)の環状フィンを13eとし、環状フィン13aの中心をOとする。
【0026】
環状フィン13bと環状フィン13aとの間隔L2は、環状フィン13aの中心Oからの距離L1よりも狭く、環状フィン13cと環状フィン13bとの間隔L3は間隔L2よりも狭く、環状フィン13dと環状フィン13cとの間隔L4は間隔L3よりも狭く、環状フィン13eと環状フィン13dとの間隔L5は間隔L4よりも狭くなっている。つまり、間隔は、外周側になる程に狭くなっている。よって、環状フィン6bの空気との接触面積が外周側になる程に大きくなるため、放熱効率は外周側になる程に高くなる。これにより、外周側の温度を中心側の温度よりも低くする温度勾配を大きくし、熱伝導性を向上させてヒートシンク6全体の放熱効率を高めることが可能になる。
【0027】
また、環状フィン13a〜13eの高さH1〜H5は、外周側になる程に高くなっている。つまり、環状フィン13bの高さH2は環状フィン13aの高さH1よりも高く、環状フィン13cの高さH3は環状フィン13bの高さH2よりも高く、環状フィン13dの高さH4は環状フィン13cの高さH3よりも高く、環状フィン13eの高さH5は環状フィン13dの高さH4よりも高くなっている。よって、環状フィン6bの空気との接触面積が外周側になる程に大きくなるため、放熱効率は外周側になる程に高くなる。これにより、外周側の温度を中心側の温度よりも低くする温度勾配を大きくし、熱伝導性を向上させてヒートシンク6全体の放熱効率を高めることが可能になる。
【0028】
このように構成された角度調整機能を有するLEDランプ1にあっては、LED素子9aを有するチップ基板9を用いており、その光出射方向がチップ基板9の厚み方向に一致するため、このチップ基板9を内蔵するケース5の軸方向の長さを短くすることが可能になる。また、ケース5に設けたヒートシンク6にチップ基板9が接触しているため、チップ基板9で発生した熱がヒートシンク6から放熱される。このとき、環状フィン6bが、板状部6aの外周側に近づくほど隣り合うフィン間の間隔L1〜L5が狭く、かつフィン高さH1〜H5が高くなるように形成されているので、ヒートシンク6の外周部に近づくにつれて空気との接触面積が大きくなり、その結果として外周部の放熱効果が高くなる。これにより、外周側の温度を中心側の温度よりも低くする温度勾配を大きくし、熱伝導性を向上させてヒートシンク6全体の放熱効率を高めることが可能になり、チップ基板9で発生した熱を効率よく放熱させることができる。更に、そのヒートシンク6がケース本体5aに一体的に設けられているので、ヒートシンク6からケース本体5aへ熱を伝導性よく伝えることができる。更にまた、ケース本体5aの外側に外部フィン5dが設けられているので、その外部フィン5dによってケース5から外部へ熱を逃がすことができる。よって、ケース5および集光レンズ11によりチップ基板9が囲まれていても、高い放熱性を備えるコンパクトなLEDランプ1を提供することが可能になる。
【0029】
また、本実施形態にあっては、ケース5が熱伝導性が高い樹脂で形成されているので、チップ基板9で発生した熱がヒートシンク6を介してケース5に高い熱伝導度で伝わるため、より放熱効果が高くなる。
【0030】
更に、本実施形態にあっては、制御回路7から発生した熱は、チップ基板9から発生した熱の伝導経路とは別の経路を介してケース5へ伝導されるので、ヒートシンク6における放熱特性は変化しない、または変化の少ないものとなる。
【0031】
なお、上述した実施形態ではケース5を、熱伝導性が高い樹脂で形成しているが、本発明はこれに限らず、アルミニウムによりケース5を形成してもよい。但し、この場合にあっても、ヒートシンク6及び外部フィン5dもアルミニウムによりケース本体5aと一体的に形成される。
【0032】
また、上述した実施形態ではヒートシンク6の複数の環状フィン6bが、板状部6aの外周部に近づくほど隣り合うフィン間の距離L1〜L5を狭く、かつフィン高さH1〜H5を高くしているが、本発明はこれに限らない。例えば、板状部6aの外周部に近づくほど隣り合うフィン間の距離L1〜L5を狭くするだけでもよく、或いは、板状部6aの外周部に近づくほどフィン高さH1〜H5を高くするだけでもよい。また、フィン間の距離L1〜L5を、板状部6aの外周部に近づくほど狭くする必要はなく、板状部6aの外周部側の一群が同じ間隔で、内側の一群が外周部側よりも狭く、かつ同じ間隔となっていてもよい。更に、高さに関しても、板状部6aの外周部に近づくほど高くする必要はなく、板状部6aの外周部側の一群が同じ高さで、内側の一群が外周部側よりも低く、かつ同じ高さとなっていてもよい。
【0033】
更に、上述した実施形態ではヒートシンク6の内部フィンとして5つの環状フィン6bを設けているが、本発明はこれに限らず、3つまたは4つ、或いは6以上で環状フィンを設けるようにしてもよい。
【0034】
図3〜図5は、本発明の角度調整機能を有するLEDランプ1に適用可能な取付支持部材の他の例を示す図である。
【0035】
図3の取付支持部材23は、天井などに設けた被取付部としての配線ダクトレール(図示せず)に取付けられる取付部23dを上部に有する上部部材23aと、ケース5を水平軸B回りに回動可能に支持する下部部材23bと、下部部材23bを吊り下げ状態で支持し、上部部材23aに対して鉛直軸A回りに回動可能に上部が取付けられた軸部23cとを有する構成であり、一般に配線ダクト方式と呼ばれるものである。
【0036】
図4の取付支持部材24は、天井110などの被取付部に直接取付けられる上部部材24aと、ケース5を水平軸B回りに回動可能に支持する下部部材24bと、下部部材24bを吊り下げ状態で支持し、上部部材24aに対して鉛直軸A回りに回動可能に上部が取付けられた軸部24cとを有する構成であり、一般にフランジ式と呼ばれるものである。
【0037】
図5の取付支持部材25は、家具などの凸部を被取付部として取付けられる上部部材25aと、ケース5を水平軸B回りに回動可能に支持する下部部材25bと、下部部材25bを吊り下げ状態で支持し、上部部材25aに対して鉛直軸A回りに回動可能に上部が取付けられた軸部25cとを有し、上部部材25aが挟持部25sを備えるクリップで構成されたものであり、一般にクリップ式と呼ばれるものである。
【0038】
なお、図3〜図5に示す取付支持部材は、本発明の角度調整機能を有するLEDランプ1に適用可能なものの一例であり、他の構成の取付支持部材を用いても構わない。
【0039】
図6は、本発明の他の実施形態に係る角度調整機能を有するLEDランプを示す正面断面図であり、図7はその角度調整機能を有するLEDランプを構成するケースを示す平面図である。なお、図6、図7において図1と同一部分には同一符号を付している。
【0040】
この角度調整機能を有するLEDランプ1Aは、天井110に設けた取付孔111に埋め込んだ埋込枠30の内側に設けられた、所謂埋め込みスポットライトを構成している。埋込枠30は上方に向けて窪んでいて、下端周辺部30aを取付孔111の下面周縁に当接した状態で取付部材31を介して取付孔111に着脱可能に取付けられている。上記取付部材31は、板ばねを加工したもので、この取付部材31と下端周辺部30aとで、取付孔111の周縁部をその厚み方向において挟むことにより埋込枠30が取付けられている。
【0041】
上記LEDランプ1Aは、水平軸Bの高さ位置を下側に寄せて配置した構成としている。より詳細には、ケース5の下端に近い部分の外側に、上方に向けて延出させた延出片5jに支持孔5iを設け、一方、引掛シーリングキャップ3の下部部材3bを下側に延ばし、その下部部材3bの下端部に、前記支持孔5iに係止される支持部3fを設けた構成とすることにより、支持部3fの位置で決まる水平軸B′の高さ位置をチップ基板9とほぼ同じ高さ位置に設定している。ここで、低い位置にある水平軸B′のときの支持部3fの位置をCとし、図1に示す高い位置にある水平軸Bのときの支持部3fの位置をDとする(図8参照)。
【0042】
この構成にあっては、図8に示すように光出射方向Hを鉛直真下方向Hoから角度θだけ傾けても、チップ基板9と水平軸B′とがほぼ同じ高さ位置にあるので、ケース5の下端Fの水平方向での変位量は少ない。しかしながら、水平軸Bの高さ位置がケース5の上端部に位置してチップ基板9から離れた構成にあっては、光出射方向Hを真下方向Hoから同じ角度θ傾けると、ケース5の下端Fの水平方向での変位が、水平軸B′の場合よりも変位量Eだけ大きくなる。よって、ケース5の下端Fが大きく変位し、角度θによっては下端Fが埋込枠30の内面に当たって、所望の角度まで傾けることができなくなる虞があり、また、埋込枠30の内面に当たる側とは逆側の下端が下側に大きく変位して埋込枠30の下端開口から飛び出す虞があるという不都合がある。これに対し、図6、図7に示したように水平軸B′の高さ位置をチップ基板9とほぼ同じ高さ位置に設定することで、上記不都合を解消させることができる。
【0043】
なお、水平軸B′の高さ位置は、チップ基板9の高さ位置に接近させた位置にすることが好ましいものの、ケース5の外形および埋込枠30の内形に応じて位置をずらせるようにしてもよい。
【0044】
また、図6、図7にあっては、取付支持部材として引掛シーリングキャップ3を用いる場合を例に挙げているが、本発明はこれに限らない。角度調整機能を有する埋め込み型のLEDランプ1Aにおいて、図3に示す配線ダクト方式や、図4に示すフランジ式、或いは図5に示すクリップ式の取付支持部材を用いることができる。
【0045】
更に、本発明の角度調整機能を有するLEDランプ1、1Aにあっては、図9〜図12に示す形態で使用することもできる。図9に示す例は、壁付金具30に一端が取付けられた支持部材31の他端に引掛シーリングキャップ3を取付け、その引掛シーリングキャップ3に、チップ基板等を有するケース5を取付けたブラケットタイプの構成である。なお、図9中の32は引掛シーリングキャップ3を覆うカバーである。
【0046】
図10に示す例は、天井から吊り下げた電線コード33の下端に引掛シーリングキャップ3を取付け、その引掛シーリングキャップ3の下側に、チップ基板等を有するケース5を取付けたペンダントタイプの構成である。なお、図10中の34は引掛シーリングキャップ3を覆うカバーである。
【0047】
図11に示す例は、天井に取付けた天井金具35の内部に引掛シーリングキャップ3を天井金具35で支持する状態に取付け、その引掛シーリングキャップ3の下側に、チップ基板等を有するケース5を取付けたシーリングタイプの構成である。
【0048】
図12に示す例は、ケース5に前記取付部材31を取付け、その取付部材31とケース5の下端外側に設けたフランジ5gとの間で取付孔111の周縁部を、その厚み方向において挟むことにより角度調整機能を有するLEDランプを直接天井110に取付けた構成としている。この図12においては、取付部材31をケース5の前記延出片5jに取付けているが、ケース5の他の箇所に取付けても構わない。
【0049】
なお、図9〜図12にあっては、引掛シーリングキャップ3を用いているが、この引掛シーリングキャップ3に代えて、図3に示す配線ダクト方式や、図4に示すフランジ式、或いは図5に示すクリップ式の取付支持部材を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
100 引掛シーリングプラグ(被取付部)
110 天井(被取付部)
1、1A 角度調整機能を有するLEDランプ
3 引掛シーリングキャップ(取付支持部材)
5 ケース
5d 外部フィン
6 ヒートシンク
6a 板状部
6b 環状フィン(内部フィン)
H1〜H5 環状フィンの高さ
L1〜L5 フィン間の間隔
7 制御回路
9 チップ基板
9a LED素子
11 集光レンズ
23、24、25 取付支持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の被取付部に着脱可能に取付けられる取付支持部材と、
この取付支持部材に角度変更可能に支持され、ヒートシンクを内部に一体的に有するとともに外側に外部フィンを一体的に有するケースと、
LED素子を有し、上記ケースのヒートシンクに接触しかつ上記LED素子を上記ヒートシンクとは反対側に配して設けられるチップ基板と、
上記ケース内に、チップ基板の上記ヒートシンクとは反対側に設けられる集光レンズとを備え、
上記ヒートシンクが、上記チップ基板と接触する板状部と、その板状部の上記チップ基板とは反対側に設けられた内部フィンとを備えることを特徴とする角度調整機能を有するLEDランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の角度調整機能を有するLEDランプにおいて、
上記内部フィンが同心状に設けられた複数の環状フィンを備え、これら複数の環状フィンが、板状部の外周側に近づくほど隣り合うフィン間の間隔が狭く、かつフィン高さが高くなるように形成されていることを特徴とする角度調整機能を有するLEDランプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の角度調整機能を有するLEDランプにおいて、
上記LED素子の点灯制御を行う制御回路が、上記ケースの内面に内方へ向けて突出させた突起に落下防止状態に支持されていて、その突起を介して制御回路から発生した熱が上記ケースへ伝導されることを特徴とする角度調整機能を有するLEDランプ。
【請求項1】
所定の被取付部に着脱可能に取付けられる取付支持部材と、
この取付支持部材に角度変更可能に支持され、ヒートシンクを内部に一体的に有するとともに外側に外部フィンを一体的に有するケースと、
LED素子を有し、上記ケースのヒートシンクに接触しかつ上記LED素子を上記ヒートシンクとは反対側に配して設けられるチップ基板と、
上記ケース内に、チップ基板の上記ヒートシンクとは反対側に設けられる集光レンズとを備え、
上記ヒートシンクが、上記チップ基板と接触する板状部と、その板状部の上記チップ基板とは反対側に設けられた内部フィンとを備えることを特徴とする角度調整機能を有するLEDランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の角度調整機能を有するLEDランプにおいて、
上記内部フィンが同心状に設けられた複数の環状フィンを備え、これら複数の環状フィンが、板状部の外周側に近づくほど隣り合うフィン間の間隔が狭く、かつフィン高さが高くなるように形成されていることを特徴とする角度調整機能を有するLEDランプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の角度調整機能を有するLEDランプにおいて、
上記LED素子の点灯制御を行う制御回路が、上記ケースの内面に内方へ向けて突出させた突起に落下防止状態に支持されていて、その突起を介して制御回路から発生した熱が上記ケースへ伝導されることを特徴とする角度調整機能を有するLEDランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−133989(P2012−133989A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284727(P2010−284727)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(504435438)
【出願人】(506020230)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(504435438)
【出願人】(506020230)
【Fターム(参考)】
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