角形状集光用光学系および液晶パネル用紫外線照射装置
【課題】
角形状の部分に高照度で、
高均整度の光照射を行い、しかも照射効率が高くて小形化された角形状集光用光学系およびこれを用いた液晶パネル用紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】
角形状集光用光学系10は、それぞれロッドレンズ1および複数の発光ダイオード2を備え、発光ダイオードがロッドレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる少なくとも2個の直線部用集光ユニット20と、それぞれシリンドリカルレンズ3および複数の発光ダイオード4を備え、発光ダイオードがシリンドリカルレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる4個の光学モジュール31を十字状に組み合わせてなる少なくとも1個の角部用集光ユニット30とを具備し、一対の直線部用集光ユニット20が1個の角部用集光ユニット30を挟んで交差方向に配置されている。
角形状の部分に高照度で、
高均整度の光照射を行い、しかも照射効率が高くて小形化された角形状集光用光学系およびこれを用いた液晶パネル用紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】
角形状集光用光学系10は、それぞれロッドレンズ1および複数の発光ダイオード2を備え、発光ダイオードがロッドレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる少なくとも2個の直線部用集光ユニット20と、それぞれシリンドリカルレンズ3および複数の発光ダイオード4を備え、発光ダイオードがシリンドリカルレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる4個の光学モジュール31を十字状に組み合わせてなる少なくとも1個の角部用集光ユニット30とを具備し、一対の直線部用集光ユニット20が1個の角部用集光ユニット30を挟んで交差方向に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の直線部が角部を共有する角形状の部位に高均整度の集光を行う角形状集光用光学系およびこれを用いた液晶パネル用紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、透明電極を形成した一対のガラス基板の間に液晶材料を挟み、かつ周縁の四角形状のシール予定部に紫外線硬化樹脂を施与してなる未シール液晶用パネルの当該シール予定部に紫外光を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させることによってシールされる。液晶表示パネルのシール工程では、未シール液晶パネルの両面を構成する一対のガラス基板の周縁部間に予め紫外線硬化樹脂を滴下し、ガラス基板の上方からUV光を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させる。これを行うための従来の液晶パネル用紫外線照射装置は、紫外線放電ランプなどの紫外線光源から発生した紫外線を、所定範囲の高照度、かつ高均整度で一対のガラス基板の表面全体にわたって照射するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上述した従来の液晶パネル用紫外線照射装置では、紫外線照射の不要なガラス基板の中央部にも紫外線が照射されるため、紫外線の照射効率が低く、無駄な消費電力が多くなるという問題がある。また、紫外線光源に紫外線放電ランプを用いると、水冷却を行う必要もあることから紫外線照射装置が複雑になるとともに大型化してしまうという問題もある。
【0004】
【特許文献1】特開2001−154202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して、本発明者は、発光ダイオードおよびロッドレンズなどからなる直線状の集光系を用いることによって、光照射部における直線状の部分に発光ダイオードの発光を集光させることができるので、上記直線状の集光系を平面上で井桁状に組み合わせれば、四角形の輪郭に沿って集光することができることに着目した。
【0006】
なお、上記集光系を井桁状に組み合わせる理由は、次のとおりである。すなわち、上記集光系が有限長であると、集光系の両端領域に対向する領域における放射照度が低下してしまうので、低下部分が所定の照射領域の外側に位置するように集光系の長さを両端方向へ延長させればよい。したがって、この場合、集光系の延長部分を四角形の輪郭からさらに外側へ位置させることになり、その結果四角形の輪郭に均一に集光させるための集光系が井桁状になる。
【0007】
ところが、ロッドレンズを井桁状に組み合わせた集光系の場合、高照度は得られるものの、光照射位置における四角形の角部の放射照度が極端に大きくなってしまい、四角形の直線部および角部にわたって高均整度の放射照度で光照射を行うことができないという問題のあることが分かった。紫外線照射による樹脂硬化においては、所定範囲より照度が高くても、所望の硬化作用が得られないので、紫外線照射が高均整度であることは重要である。
【0008】
本発明者が調査したところ、発光ダイオードおよびロッドレンズなどからなる直線状の集光系において、角部では隣接する一対の直線部による集光作用がそれぞれ寄与して、角部に照射される集光が加算されるために、放射照度が極端に増加してしまうのが原因であることが分かった。
【0009】
本発明は、角形状の部分に高照度で、高均整度の光照射を行い、しかも照射効率が高くて小形化された角形状集光用光学系およびこれを用いた液晶パネル用紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の角形状集光用光学系は、それぞれロッドレンズおよび複数の発光ダイオードを備え、発光ダイオードがロッドレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる少なくとも2個の直線部用集光ユニットと;それぞれシリンドリカルレンズおよび複数の発光ダイオードを備え、発光ダイオードがシリンドリカルレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる4個の光学モジュールを十字状に組み合わせてなる少なくとも1個の角部用集光ユニットと;を具備し、一対の直線部用集光ユニットが1個の角部用集光ユニットを挟んで交差方向に配置されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の液晶パネル用紫外線照射装置は、四角形状のシール予定部に紫外線硬化樹脂を施与した未シール液晶パネルを紫外光照射部に配置する液晶パネル用紫外線照射装置本体と;発光ダイオードが紫外発光形からなる請求項1記載の角形状集光用光学系において、それぞれ4個の直線部用集光ユニットおよび角部用集光ユニットが交互に配設されて液晶パネル用紫外線照射装置本体の紫外光照射部に四角形状の紫外集光パターンを形成するように構成された四角形状集光光学系と;を具備していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発光ダイオードから放射される光を光照射部の角形状の部分に高照度で、高均整度の光照射を行い、しかも照射効率の高い光照射を行うことができるとともに、小形化された角形状集光用光学系およびこれを用いた液晶パネル用紫外線照射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0014】
図1ないし図3は、本発明の角形状集光用光学系を実施するための一形態を示し、図1は一部切欠底面図、図2は一部切欠正面図、図3は角部用集光ユニットの拡大端面図である。
【0015】
本形態において、角形状集光用光学系10は、少なくとも2個の直線部用集光ユニット20、20および少なくとも1個の角部用集光ユニット30を具備していて、全体としてL字状などの角形状11を形成するように配置される。
【0016】
上記角形状11は、少なくとも一対の直線部12、12と、1つの角部13とを含んでいる。直線部12は、いずれも後述する直線部用集光ユニット20と角部用集光ユニット30の光学モジュール31とで形成されている。角部13は、角部用集光ユニット30の4個の光学モジュール31が形成する十字状の中心部により形成されている。なお、一対の直線部12、12が角部13を挟んで形成する角度は、所望の値、例えば直角をなす。しかし、上記角度は、直角に限定されるものではなく、所望により鋭角または鈍角であることを許容する。
【0017】
直線部用集光ユニット20は、角形状11のうち直線部12の主として中間部において集光作用を担当する。そして、ロッドレンズ1および複数の発光ダイオード2を備えている。
【0018】
ロッドレンズ1は、横断面が円形で、その円の中心軸に沿って伸びた棒状のレンズである。ロッドレンズ1の直径および軸方向の長さは、適宜選択することができる。なお、ロッドレンズ1が所定の有限長である場合、全体が当該有限長の長さを有する1本のロッドレンズにより構成されていてもよいし、所望により長さ方向に複数に分割されていてもよい。また、後者の場合、分割されたロッドレンズが隣接するように配列されていてもよいし、適当な距離離間して配列されてもよい。
【0019】
複数の発光ダイオード2は、その発光面をロッドレンズ1に接近、例えば接触し、かつその長さ方向に沿って好ましくは整列して配列されている。発光ダイオード2の配列のピッチは、直線部用集光ユニット10の長さ方向に沿って、光照射部において線状に集光されて所望の程度に高均整度で、高照度の放射が得られるように設定されている。
【0020】
また、発光ダイオード2の形態は、特段限定されないが、角形状集光用光学系10の小形化のためには表面実装用のチップ形状をなしているものが好適である。さらに、発光ダイオード2が発光する光の波長帯は、特段限定されないが、紫外光、可視光または赤外光などの波長帯に放射するものであることを許容する。なお、液晶パネル用紫外線照射装置に用いる場合は、紫外発光形のものが用いられる。
【0021】
ロッドレンズ1および発光ダイオード2の関係は、発光ダイオード2の発光がなるべく多くロッドレンズ1に入射するように配置されていればよく、その余の構成は特段限定されないが、好適には両者が一体化されているのが取扱い上都合がよい。
【0022】
角部用集光ユニット30は、4個の光学モジュール31を十字状に組み合わせて構成されている。光学モジュール31は、それぞれシリンドリカルレンズ3および複数の発光ダイオード4を備え、発光ダイオード4がシリンドリカルレンズ3に接近し、かつその長さ方向に沿って配列されている。
【0023】
十字状に組み合わされた4個の光学モジュール31の中心部は、それぞれ図1に示すように先端が角度90°の尖端状をなしていて、かつ互いに密接して隣接している。なお、発光ダイオード4は、4個の光学モジュール31の中心部を避けて配置することができる。しかし、所望により上記中心部に発光ダイオード4を配置することもできる。
【0024】
シリンドリカルレンズ3には、図3に示すようにその光入射面が平坦で、光出射面が円柱面をなしているものを用いるのがよい。なお、光出射面の下端部は、好ましくは直線部用集光ユニット20のロッドレンズ1の下端部と同レベルに揃える。
【0025】
発光ダイオード4は、シリンドリカルレンズ3の光入射面に接近、好適には接触して配置されている。また、発光ダイオード4には、直線部用集光ユニット20の発光ダイオード2と同一仕様のものを用いることができる。しかし、角形状11の直線部12の全長にわたり対向する光照射部において高均整度な放射照度を得るためには、発光ダイオード4の配列のピッチを適当に設定することができる。なお、図示の本形態においては、角部用集光ユニット30における発光ダイオード4の配列のピッチが直線部用集光ユニット20におけるそれより小さくなっている。
【0026】
図1および図2において、符号5の部分は角部用集光ユニット30に配設されており、角部用集光ユニット30の支持体などとして用いられる。
【0027】
本発明において、直線部用集光ユニット20の数が少なくとも2個必要とするのは、の角部13を最低1個有する角形状11の角形状集光用光学系を得るために必要であるからである。なお、この場合、直線部12の外端すなわち角部13側とは反対の端部においても均一な放射照度を得たい場合には、当該外端にも角部用集光ユニット30を配設することができる。
【0028】
しかし、本発明によれば、角部13を2個以上有する角形状を有する角形状集光用光学系を得ることができる。例えば、角部13を2個有する角形状、したがって門形の角形状集光用光学系を得ることができる。この場合には、3個の直線部用集光ユニット20と少なくとも2個の角部用集光ユニット30を交互に配設する。なお、所望により上記と同様の理由から、門形の両側に位置する直線部用集光ユニット20の外端にそれぞれ1個の角部用集光ユニット30を配設することができる。このような構成の角形状集光用光学系によれば、門形の集光パターンを得ることができる。
【0029】
さらに、本発明によれば、角部13を4個有する角形状、したがって四角形の角形状集光用光学系を得ることができる。この場合、4個の直線部用集光ユニット20と4個の角部用集光ユニット30を交互に配置して四角形の各辺と角部とを形成するように配設する。このような構成の角形状集光用光学系は、井桁状になり、光照射部において四角形状の集光パターンを得ることができる。
【0030】
図4ないし図6は、本発明の角形状集光用光学系を実施するための一形態を用いた場合の光照射部における放射照度分布を模式的に説明するもので、図4は角形状における直線部に対向する位置の放射照度分布を示すグラフ、図5は直線部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフ、図6は角部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフである。
【0031】
本形態において、角形状11における直線部12に対向する光照射部における放射照度分布は、図4に示すようになる。すなわち、直線部12の両端位置P0−P3間における放射照度分布は、高均整度となり、しかも線状に集光が行われるので、高照度を得ることができる。直線部12の一方の端部に対向する光照射部の位置P0は、角部用集光ユニット30の4個の光学モジュール31の中心部であると同時に一対の直線部12、12の交点、したがって端部である。なお、直線部12の他方の端部に対向する光照射部の位置P3には、図1および図2には示されていないが、一方の端部に対向する位置P0におけるのと同様な角部用集光ユニット30が配設されている。
【0032】
図4に示す放射照度分布は、直線部用集光ユニット20による放射照度分布と、直線部用集光ユニット20の両端に配設された一対の角部用集光ユニット30による放射照度分布とが合成されて得られたものである。次に、それぞれが単独の場合の放射照度分布について図5および図6を参照して説明する。
【0033】
直線部用集光ユニット20単独の場合の放射照度分布は、図5の実線に示すようになる。図の横軸方向の位置P1は、直線部用集光ユニット20の端部に対向する光照射部の位置である。位置P2は、直線部用集光ユニット20の端部に対向する位置P1より中央側に離間して位置し、この位置P2から図において右方の領域ではほぼ均一の放射照度が得られる均一照度領域となる。
【0034】
また、位置P2から図において左方の領域ではそこから端部側へ向かうにしたがって放射照度が低減する照度低減領域となる。すなわち、位置P2は、均一照度領域と照度低減領域との境界部である。
【0035】
さらに、位置P0は、直線部用集光ユニット20の端部からその軸方向に沿って外側へ所定距離離間した位置に対向する光照射部の位置である。なお、所定距離とは、角部用集光ユニット30の4個の光学モジュール31が形成する十字状の中心から1個の光学モジュール31の外端までの寸法に相当する。
【0036】
そうして、直線部用集光ユニット20単独の場合、その中央部領域に対向する光照射部の放射照度は、図5において位置P2から右方の部分に示すようにほぼ均一になる。これに対して、端部領域に対向する光照射位置の放射照度は、位置P1−P2の部分に示すように順次低減していく。また、直線部用集光ユニット20の図において左側の端部から軸方向にさらに左方へ延長した領域に対向する光照射位置の放射照度は、位置P0−P1の部分に示すように上記端部領域に続いてさらに順次低減していく。
【0037】
角部用集光ユニット30単独の場合の放射照度分布は、図6の実線に示すようになる。図の横軸方向の位置P0は、4個の光学モジュール31の中心部である。また、位置P1は、光学モジュール31の外端部、したがって直線部用集光ユニット20の図5において左側の端部に対向する光照射部の位置である。また、位置P2は、光学モジュール31の外端部から軸方向に所定距離離間した位置に対向する光照射部の位置である。この位置P2は、直線部用集光ユニット20において説明した位置P2に一致する。
【0038】
そうして、角部用集光ユニット30単独の場合、図6に示すように位置P0で放射照度がピークとなり、位置P1に向けて低減し、さらに光学モジュール31の外端から軸方向へ離間した位置P2まで低減する放射照度分布が得られる。
【0039】
以上の説明から理解できるように、角形状集光用光学系10の一方の直線部用集光ユニット20およびその一端部に隣接して同一方向に延在する角部用集光ユニット30の光学モジュール31によるそれぞれの放射が光照射部に到達することにより生じる放射照度分布は、図5の放射照度分布と図6の放射照度分布とを位置P0−P2を一致させて重ね合わせた、すなわち合成されたものである。図5中の長い点線は、角形状11の直線部12における端部近傍の合成後の放射照度分布、したがって図4における放射照度パターンの左側の端部近傍を示している。
【0040】
図7ないし図11は、本発明の角形状集光用光学系を実施するための第2の形態を示し、図7は四角形の角形状集光用光学系すなわち四角形状集光用光学系の斜視図、図8は四角形状における直線部に対向する位置の放射照度分布を示すグラフ、図9は直線部の端部近傍に対向する位置の放射照度分布を、その横軸を引き伸ばして示すグラフ、図10は直線部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフ、図11は放射照度分布の平面写真である。図7において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0041】
本形態は、角形状集光用光学系10´がそれぞれ4個の直線部用集光ユニット20および角部用集光ユニット30を交互に配置してなり、井桁状の四角形状をなしている。この角形状集光用光学系10´は、液晶パネル用紫外線照射装置に好適であるが、四角形の部分に同時に集光する用途の全てに適応するものである。なお、図7において、符号6は平面状の光照射部を示している。
【0042】
本形態において、四角形の各辺すなわち角形状11の直線部12に対向する光照射部における放射照度分布を測定したところ、図8に示す結果を得た。すなわち、直線部12の点線で示す両端位置P0、P4の間にほぼ高均整度の放射照度分布が得られている。なお、上記放射照度分布に多少の凹凸が見られるが、これは発光ダイオードの発光特性のばらつきが主として影響しているものと考えられる。
【0043】
また、図9に示すように、位置P0近傍の放射照度分布を、横軸を引き伸ばしてみると、位置P0から右方が直線部12に対向して放射照度がほぼ高均整度であり、同じく左方が角部用集光光学系30の中心部から左方に位置する光学モジュール31に対向する領域で順次放射照度が低減していることがよく分かる。
【0044】
さらに、図10に示すように、角部用集光光学系30単独での放射照度分布は、図6に示す第1の形態におけるそれとよく類似していることが分かる。
【0045】
そうして、本形態によれば、図11において白色で示すような四角形の線状の光照射パターンLPが得られる。すなわち、四角形の周縁部における四角形の枠状の部分にのみ光照射を行うことができるとともに、その放射照度が直線部および角部のいずれにおいても高周波均整度で、しかも高照度になる。
【0046】
図12および図13は、本発明の液晶パネル用紫外線照射装置を実施するための第1の形態を示し、図12は多面取り液晶ガラス基板に形成された複数の未シール液晶パネル部分ごとに四角形の角形状集光用光学系を配設するためのガイドレールの関係を示す斜視図、図13はガイドレールに装着された単一の角形状集光用光学系を示す要部斜視図である。
【0047】
本形態において、液晶パネル用紫外線照射装置は、液晶パネル紫外線照射装置本体40および四角形状集光光学系10”を具備している。
【0048】
液晶パネル紫外線照射装置本体40は、多面取り液晶ガラス基板GPに形成した四角形状のシール予定部に紫外線硬化樹脂を施与した未シール液晶パネル7を紫外光照射部に配置する手段を備えている。
【0049】
四角形状集光光学系10”は、紫外発光形発光ダイオードおよびロッドレンズなどの光学レンズを用いて液晶パネル紫外線照射装置本体40の紫外光照射部に四角形状の紫外集光パターンを形成するように構成されている。なお、四角形状集光光学系10”として図7に示す構成を採用することができる。
【0050】
また、本形態において、液晶パネル用紫外線照射装置は、上記の構成に加えてサイズの異なる未シール液晶パネル7、例えばサイズの大きな未シール液晶パネルLおよびサイズの小さな未シール液晶パネルSが混在している多面取り液晶ガラス基板LCGの各未シール液晶パネル7のシールを一括して行えるように構成されている。
【0051】
すなわち、液晶パネル紫外線照射装置本体40は、上記の構成に加えてガイドレール8を備えている。ガイドレール8は、縦および横のガイドレールRLおよびRWがそれぞれ複数本グリッド状に交差して配置されている。縦のガイドレールRLは、図12に示すように例えばRL1〜RL6が平行状態になっている。そして、それらの間隔がサイズの異なる未シール液晶パネル7に対応して不均一に配列されている。
【0052】
他方、横のガイドレールRWは、図12に示すように縦のガイドレールRLの上方において直交する関係にあり、例えばRW1〜RW6が平行状態になっている。そして、それらの間隔がサイズの異なる未シール液晶パネル7に対応して不均一に配列されている。
【0053】
そうして、縦のガイドレールRW1およびRW3と、横のガイドレールRL4およびRL6とでサイズの大きな未シール液晶パネルLの周縁部を囲むことができる。また、縦のガイドレールRW4およびRW5と、横のガイドレールRL5およびRL6とでサイズの小さなSの周縁部を囲むことができる。
【0054】
一方、四角形状集光光学系10”は、前述の構成に加えて未シール液晶パネル7の大きさに対応して四角形の大きさが可変に構成されている。
【0055】
すなわち、直線部用集光ユニット20および角形状集光用光学系30がともに複数光学ブロックに分割されている。直線部用集光ユニット20の光学ブロック21は、金属ブロック21a、配線基板21b、発光ダイオード21cおよび集光レンズ21dを備えている。角形状集光用光学系30の光学ブロック32も上記光学ブロック21と同様の構成要素を備えているが、光学ブロック21に比較して長さ方向に小さく分割されている。
【0056】
そうして、直線部用集光ユニット20および角形状集光用光学系30は、ともに複数光学ブロックに分割されているので、未シール液晶パネル7の大きさに対応して直線部用集光ユニット20および角形状集光用光学系30の光学ブロック21、32の数や間隔を適宜調整することができる。
【0057】
図14ないし図16は、本発明の液晶パネル用紫外線照射装置を実施するための第2の形態を示し、図14はガイドレールに装着された単一の角形状集光用光学系の要部を示す斜視図、図15は四角形の横長の辺における光学ブロックの要部を示す正面図、側面図および平面図、図16は四角形の縦の辺における光学ブロックの要部を示す正面図、側面図および平面図である。なお、図12および図13と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0058】
本形態の液晶パネル用紫外線照射装置は、液晶パネル紫外線照射装置本体40および四角形状集光光学系10”を具備している点で図12および図13に示す第1の形態と同様であるが、ガイドレール8´、ならびに直線部用集光ユニット20の光学ブロック21´の移動手段が異なる。
【0059】
すなわち、ガイドレール8´は、図14に示すように縦および横のガイドレールがそれぞれ複数本グリッド状に交差して配置されている点において、第1の形態と同様であるが、縦のガイドレールRL´は、未シール液晶パネル7の一対の縦の辺の周縁部に対応して複数が等間隔で離間して平行状態で配設されるとともに、1つのガイドレールが、2本のレール体が上下に小さな間隔で配置されることによって構成されている。
【0060】
これに対して、横のガイドレールRW´は、未シール液晶パネル7の表面全体を覆うように多数が小さな等間隔の平行状態になっている。そして、横のガイドレールRL´の両端部は、縦のガイドレールRL´の2本のレール体の間に挟まれて縦方向に移動可能に構成されている。また、隣接する2本のレール体が1組になって縦のレールの1本を構成している。
【0061】
一方、直線部用集光ユニット20の光学ブロック21´は、第1の形態における光学ブロック21とほぼ同様な構成であるが、光学ブロック21はパンタグラフ機構22によって連動して移動されるように構成されている。なお、直線部用集光ユニット20および角形状集光用光学系30には、図1および図2に示す第1の形態を採用することができる。
【0062】
すなわち、横方向に移動する複数の光学ブロック21´は、図15(a)正面図、同(b)側面図および同(c)平面図にそれぞれ示すように横のガイドレールRL´の隣接する2本のレール体の間に挟まれて移動可能であるとともに、パンタグラフ機構22によって連動して移動する。
【0063】
縦方向に移動する複数の光学ブロック21´は、図16(a)正面図、同(b)側面図および同(c)平面図にそれぞれに示すように、縦のガイドレールRW´の隣接する2本のレール体の間に挟まれて移動可能であるとともに、パンタグラフ機構22によって連動して移動する。
【0064】
そうして、本形態によれば、横方向および縦方向のそれぞれ複数の光学ブロック21´の移動が容易で、しかも光学ブロック21´を移動させても各光学ブロック間のピッチを正確に等しくなるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の角形状集光用光学系を実施するための一形態の一部切欠底面図
【図2】同じく一部切欠正面図
【図3】同じく角部用集光ユニットの拡大端面図
【図4】本発明の角形状集光用光学系を実施するための一形態を用いた場合の光照射部における角形状の直線部に対向する位置の放射照度分布を模式的に示すグラフ
【図5】同じく直線部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフ
【図6】同じく角部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフ
【図7】本発明の角形状集光用光学系を実施するための第2の形態における四角形の角形状集光用光学系の斜視図
【図8】同じく四角形状における直線部に対向する位置の放射照度分布を示すグラフ
【図9】同じく直線部に対向する位置の端部近傍における放射照度分布を、その横軸を引き伸ばして示すグラフ
【図10】同じく直線部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフ
【図11】同じく放射照度分布の平面写真
【図12】本発明の液晶パネル用紫外線照射装置を実施するための第1の形態における多面取り液晶ガラス基板に形成された複数の液晶パネル部分ごとに四角形の角形状集光用光学系を配設するためのガイドレールの関係を示す斜視図
【図13】同じくガイドレールに装着された単一の角形状集光用光学系を示す要部斜視図
【図14】本発明の液晶パネル用紫外線照射装置を実施するための第2の形態におけるガイドレールに装着された単一の角形状集光用光学系の要部を示す斜視図
【図15】同じく四角形の横長の辺における光学ブロックの要部を示す正面図、側面図および平面図
【図16】同じく四角形の縦の辺における光学ブロックの要部を示す正面図、側面図および平面図
【符号の説明】
【0066】
1…ロッドレンズ、2…発光ダイオード、3…シリンドリカルレンズ、4…発光ダイオード、5…支持体、10…角形状集光用光学系、11…角形状、12…直線部、13…角部、20…直線部用集光ユニット、30…角部用集光ユニット、31…光学モジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の直線部が角部を共有する角形状の部位に高均整度の集光を行う角形状集光用光学系およびこれを用いた液晶パネル用紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、透明電極を形成した一対のガラス基板の間に液晶材料を挟み、かつ周縁の四角形状のシール予定部に紫外線硬化樹脂を施与してなる未シール液晶用パネルの当該シール予定部に紫外光を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させることによってシールされる。液晶表示パネルのシール工程では、未シール液晶パネルの両面を構成する一対のガラス基板の周縁部間に予め紫外線硬化樹脂を滴下し、ガラス基板の上方からUV光を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させる。これを行うための従来の液晶パネル用紫外線照射装置は、紫外線放電ランプなどの紫外線光源から発生した紫外線を、所定範囲の高照度、かつ高均整度で一対のガラス基板の表面全体にわたって照射するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上述した従来の液晶パネル用紫外線照射装置では、紫外線照射の不要なガラス基板の中央部にも紫外線が照射されるため、紫外線の照射効率が低く、無駄な消費電力が多くなるという問題がある。また、紫外線光源に紫外線放電ランプを用いると、水冷却を行う必要もあることから紫外線照射装置が複雑になるとともに大型化してしまうという問題もある。
【0004】
【特許文献1】特開2001−154202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して、本発明者は、発光ダイオードおよびロッドレンズなどからなる直線状の集光系を用いることによって、光照射部における直線状の部分に発光ダイオードの発光を集光させることができるので、上記直線状の集光系を平面上で井桁状に組み合わせれば、四角形の輪郭に沿って集光することができることに着目した。
【0006】
なお、上記集光系を井桁状に組み合わせる理由は、次のとおりである。すなわち、上記集光系が有限長であると、集光系の両端領域に対向する領域における放射照度が低下してしまうので、低下部分が所定の照射領域の外側に位置するように集光系の長さを両端方向へ延長させればよい。したがって、この場合、集光系の延長部分を四角形の輪郭からさらに外側へ位置させることになり、その結果四角形の輪郭に均一に集光させるための集光系が井桁状になる。
【0007】
ところが、ロッドレンズを井桁状に組み合わせた集光系の場合、高照度は得られるものの、光照射位置における四角形の角部の放射照度が極端に大きくなってしまい、四角形の直線部および角部にわたって高均整度の放射照度で光照射を行うことができないという問題のあることが分かった。紫外線照射による樹脂硬化においては、所定範囲より照度が高くても、所望の硬化作用が得られないので、紫外線照射が高均整度であることは重要である。
【0008】
本発明者が調査したところ、発光ダイオードおよびロッドレンズなどからなる直線状の集光系において、角部では隣接する一対の直線部による集光作用がそれぞれ寄与して、角部に照射される集光が加算されるために、放射照度が極端に増加してしまうのが原因であることが分かった。
【0009】
本発明は、角形状の部分に高照度で、高均整度の光照射を行い、しかも照射効率が高くて小形化された角形状集光用光学系およびこれを用いた液晶パネル用紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の角形状集光用光学系は、それぞれロッドレンズおよび複数の発光ダイオードを備え、発光ダイオードがロッドレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる少なくとも2個の直線部用集光ユニットと;それぞれシリンドリカルレンズおよび複数の発光ダイオードを備え、発光ダイオードがシリンドリカルレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる4個の光学モジュールを十字状に組み合わせてなる少なくとも1個の角部用集光ユニットと;を具備し、一対の直線部用集光ユニットが1個の角部用集光ユニットを挟んで交差方向に配置されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の液晶パネル用紫外線照射装置は、四角形状のシール予定部に紫外線硬化樹脂を施与した未シール液晶パネルを紫外光照射部に配置する液晶パネル用紫外線照射装置本体と;発光ダイオードが紫外発光形からなる請求項1記載の角形状集光用光学系において、それぞれ4個の直線部用集光ユニットおよび角部用集光ユニットが交互に配設されて液晶パネル用紫外線照射装置本体の紫外光照射部に四角形状の紫外集光パターンを形成するように構成された四角形状集光光学系と;を具備していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発光ダイオードから放射される光を光照射部の角形状の部分に高照度で、高均整度の光照射を行い、しかも照射効率の高い光照射を行うことができるとともに、小形化された角形状集光用光学系およびこれを用いた液晶パネル用紫外線照射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0014】
図1ないし図3は、本発明の角形状集光用光学系を実施するための一形態を示し、図1は一部切欠底面図、図2は一部切欠正面図、図3は角部用集光ユニットの拡大端面図である。
【0015】
本形態において、角形状集光用光学系10は、少なくとも2個の直線部用集光ユニット20、20および少なくとも1個の角部用集光ユニット30を具備していて、全体としてL字状などの角形状11を形成するように配置される。
【0016】
上記角形状11は、少なくとも一対の直線部12、12と、1つの角部13とを含んでいる。直線部12は、いずれも後述する直線部用集光ユニット20と角部用集光ユニット30の光学モジュール31とで形成されている。角部13は、角部用集光ユニット30の4個の光学モジュール31が形成する十字状の中心部により形成されている。なお、一対の直線部12、12が角部13を挟んで形成する角度は、所望の値、例えば直角をなす。しかし、上記角度は、直角に限定されるものではなく、所望により鋭角または鈍角であることを許容する。
【0017】
直線部用集光ユニット20は、角形状11のうち直線部12の主として中間部において集光作用を担当する。そして、ロッドレンズ1および複数の発光ダイオード2を備えている。
【0018】
ロッドレンズ1は、横断面が円形で、その円の中心軸に沿って伸びた棒状のレンズである。ロッドレンズ1の直径および軸方向の長さは、適宜選択することができる。なお、ロッドレンズ1が所定の有限長である場合、全体が当該有限長の長さを有する1本のロッドレンズにより構成されていてもよいし、所望により長さ方向に複数に分割されていてもよい。また、後者の場合、分割されたロッドレンズが隣接するように配列されていてもよいし、適当な距離離間して配列されてもよい。
【0019】
複数の発光ダイオード2は、その発光面をロッドレンズ1に接近、例えば接触し、かつその長さ方向に沿って好ましくは整列して配列されている。発光ダイオード2の配列のピッチは、直線部用集光ユニット10の長さ方向に沿って、光照射部において線状に集光されて所望の程度に高均整度で、高照度の放射が得られるように設定されている。
【0020】
また、発光ダイオード2の形態は、特段限定されないが、角形状集光用光学系10の小形化のためには表面実装用のチップ形状をなしているものが好適である。さらに、発光ダイオード2が発光する光の波長帯は、特段限定されないが、紫外光、可視光または赤外光などの波長帯に放射するものであることを許容する。なお、液晶パネル用紫外線照射装置に用いる場合は、紫外発光形のものが用いられる。
【0021】
ロッドレンズ1および発光ダイオード2の関係は、発光ダイオード2の発光がなるべく多くロッドレンズ1に入射するように配置されていればよく、その余の構成は特段限定されないが、好適には両者が一体化されているのが取扱い上都合がよい。
【0022】
角部用集光ユニット30は、4個の光学モジュール31を十字状に組み合わせて構成されている。光学モジュール31は、それぞれシリンドリカルレンズ3および複数の発光ダイオード4を備え、発光ダイオード4がシリンドリカルレンズ3に接近し、かつその長さ方向に沿って配列されている。
【0023】
十字状に組み合わされた4個の光学モジュール31の中心部は、それぞれ図1に示すように先端が角度90°の尖端状をなしていて、かつ互いに密接して隣接している。なお、発光ダイオード4は、4個の光学モジュール31の中心部を避けて配置することができる。しかし、所望により上記中心部に発光ダイオード4を配置することもできる。
【0024】
シリンドリカルレンズ3には、図3に示すようにその光入射面が平坦で、光出射面が円柱面をなしているものを用いるのがよい。なお、光出射面の下端部は、好ましくは直線部用集光ユニット20のロッドレンズ1の下端部と同レベルに揃える。
【0025】
発光ダイオード4は、シリンドリカルレンズ3の光入射面に接近、好適には接触して配置されている。また、発光ダイオード4には、直線部用集光ユニット20の発光ダイオード2と同一仕様のものを用いることができる。しかし、角形状11の直線部12の全長にわたり対向する光照射部において高均整度な放射照度を得るためには、発光ダイオード4の配列のピッチを適当に設定することができる。なお、図示の本形態においては、角部用集光ユニット30における発光ダイオード4の配列のピッチが直線部用集光ユニット20におけるそれより小さくなっている。
【0026】
図1および図2において、符号5の部分は角部用集光ユニット30に配設されており、角部用集光ユニット30の支持体などとして用いられる。
【0027】
本発明において、直線部用集光ユニット20の数が少なくとも2個必要とするのは、の角部13を最低1個有する角形状11の角形状集光用光学系を得るために必要であるからである。なお、この場合、直線部12の外端すなわち角部13側とは反対の端部においても均一な放射照度を得たい場合には、当該外端にも角部用集光ユニット30を配設することができる。
【0028】
しかし、本発明によれば、角部13を2個以上有する角形状を有する角形状集光用光学系を得ることができる。例えば、角部13を2個有する角形状、したがって門形の角形状集光用光学系を得ることができる。この場合には、3個の直線部用集光ユニット20と少なくとも2個の角部用集光ユニット30を交互に配設する。なお、所望により上記と同様の理由から、門形の両側に位置する直線部用集光ユニット20の外端にそれぞれ1個の角部用集光ユニット30を配設することができる。このような構成の角形状集光用光学系によれば、門形の集光パターンを得ることができる。
【0029】
さらに、本発明によれば、角部13を4個有する角形状、したがって四角形の角形状集光用光学系を得ることができる。この場合、4個の直線部用集光ユニット20と4個の角部用集光ユニット30を交互に配置して四角形の各辺と角部とを形成するように配設する。このような構成の角形状集光用光学系は、井桁状になり、光照射部において四角形状の集光パターンを得ることができる。
【0030】
図4ないし図6は、本発明の角形状集光用光学系を実施するための一形態を用いた場合の光照射部における放射照度分布を模式的に説明するもので、図4は角形状における直線部に対向する位置の放射照度分布を示すグラフ、図5は直線部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフ、図6は角部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフである。
【0031】
本形態において、角形状11における直線部12に対向する光照射部における放射照度分布は、図4に示すようになる。すなわち、直線部12の両端位置P0−P3間における放射照度分布は、高均整度となり、しかも線状に集光が行われるので、高照度を得ることができる。直線部12の一方の端部に対向する光照射部の位置P0は、角部用集光ユニット30の4個の光学モジュール31の中心部であると同時に一対の直線部12、12の交点、したがって端部である。なお、直線部12の他方の端部に対向する光照射部の位置P3には、図1および図2には示されていないが、一方の端部に対向する位置P0におけるのと同様な角部用集光ユニット30が配設されている。
【0032】
図4に示す放射照度分布は、直線部用集光ユニット20による放射照度分布と、直線部用集光ユニット20の両端に配設された一対の角部用集光ユニット30による放射照度分布とが合成されて得られたものである。次に、それぞれが単独の場合の放射照度分布について図5および図6を参照して説明する。
【0033】
直線部用集光ユニット20単独の場合の放射照度分布は、図5の実線に示すようになる。図の横軸方向の位置P1は、直線部用集光ユニット20の端部に対向する光照射部の位置である。位置P2は、直線部用集光ユニット20の端部に対向する位置P1より中央側に離間して位置し、この位置P2から図において右方の領域ではほぼ均一の放射照度が得られる均一照度領域となる。
【0034】
また、位置P2から図において左方の領域ではそこから端部側へ向かうにしたがって放射照度が低減する照度低減領域となる。すなわち、位置P2は、均一照度領域と照度低減領域との境界部である。
【0035】
さらに、位置P0は、直線部用集光ユニット20の端部からその軸方向に沿って外側へ所定距離離間した位置に対向する光照射部の位置である。なお、所定距離とは、角部用集光ユニット30の4個の光学モジュール31が形成する十字状の中心から1個の光学モジュール31の外端までの寸法に相当する。
【0036】
そうして、直線部用集光ユニット20単独の場合、その中央部領域に対向する光照射部の放射照度は、図5において位置P2から右方の部分に示すようにほぼ均一になる。これに対して、端部領域に対向する光照射位置の放射照度は、位置P1−P2の部分に示すように順次低減していく。また、直線部用集光ユニット20の図において左側の端部から軸方向にさらに左方へ延長した領域に対向する光照射位置の放射照度は、位置P0−P1の部分に示すように上記端部領域に続いてさらに順次低減していく。
【0037】
角部用集光ユニット30単独の場合の放射照度分布は、図6の実線に示すようになる。図の横軸方向の位置P0は、4個の光学モジュール31の中心部である。また、位置P1は、光学モジュール31の外端部、したがって直線部用集光ユニット20の図5において左側の端部に対向する光照射部の位置である。また、位置P2は、光学モジュール31の外端部から軸方向に所定距離離間した位置に対向する光照射部の位置である。この位置P2は、直線部用集光ユニット20において説明した位置P2に一致する。
【0038】
そうして、角部用集光ユニット30単独の場合、図6に示すように位置P0で放射照度がピークとなり、位置P1に向けて低減し、さらに光学モジュール31の外端から軸方向へ離間した位置P2まで低減する放射照度分布が得られる。
【0039】
以上の説明から理解できるように、角形状集光用光学系10の一方の直線部用集光ユニット20およびその一端部に隣接して同一方向に延在する角部用集光ユニット30の光学モジュール31によるそれぞれの放射が光照射部に到達することにより生じる放射照度分布は、図5の放射照度分布と図6の放射照度分布とを位置P0−P2を一致させて重ね合わせた、すなわち合成されたものである。図5中の長い点線は、角形状11の直線部12における端部近傍の合成後の放射照度分布、したがって図4における放射照度パターンの左側の端部近傍を示している。
【0040】
図7ないし図11は、本発明の角形状集光用光学系を実施するための第2の形態を示し、図7は四角形の角形状集光用光学系すなわち四角形状集光用光学系の斜視図、図8は四角形状における直線部に対向する位置の放射照度分布を示すグラフ、図9は直線部の端部近傍に対向する位置の放射照度分布を、その横軸を引き伸ばして示すグラフ、図10は直線部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフ、図11は放射照度分布の平面写真である。図7において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0041】
本形態は、角形状集光用光学系10´がそれぞれ4個の直線部用集光ユニット20および角部用集光ユニット30を交互に配置してなり、井桁状の四角形状をなしている。この角形状集光用光学系10´は、液晶パネル用紫外線照射装置に好適であるが、四角形の部分に同時に集光する用途の全てに適応するものである。なお、図7において、符号6は平面状の光照射部を示している。
【0042】
本形態において、四角形の各辺すなわち角形状11の直線部12に対向する光照射部における放射照度分布を測定したところ、図8に示す結果を得た。すなわち、直線部12の点線で示す両端位置P0、P4の間にほぼ高均整度の放射照度分布が得られている。なお、上記放射照度分布に多少の凹凸が見られるが、これは発光ダイオードの発光特性のばらつきが主として影響しているものと考えられる。
【0043】
また、図9に示すように、位置P0近傍の放射照度分布を、横軸を引き伸ばしてみると、位置P0から右方が直線部12に対向して放射照度がほぼ高均整度であり、同じく左方が角部用集光光学系30の中心部から左方に位置する光学モジュール31に対向する領域で順次放射照度が低減していることがよく分かる。
【0044】
さらに、図10に示すように、角部用集光光学系30単独での放射照度分布は、図6に示す第1の形態におけるそれとよく類似していることが分かる。
【0045】
そうして、本形態によれば、図11において白色で示すような四角形の線状の光照射パターンLPが得られる。すなわち、四角形の周縁部における四角形の枠状の部分にのみ光照射を行うことができるとともに、その放射照度が直線部および角部のいずれにおいても高周波均整度で、しかも高照度になる。
【0046】
図12および図13は、本発明の液晶パネル用紫外線照射装置を実施するための第1の形態を示し、図12は多面取り液晶ガラス基板に形成された複数の未シール液晶パネル部分ごとに四角形の角形状集光用光学系を配設するためのガイドレールの関係を示す斜視図、図13はガイドレールに装着された単一の角形状集光用光学系を示す要部斜視図である。
【0047】
本形態において、液晶パネル用紫外線照射装置は、液晶パネル紫外線照射装置本体40および四角形状集光光学系10”を具備している。
【0048】
液晶パネル紫外線照射装置本体40は、多面取り液晶ガラス基板GPに形成した四角形状のシール予定部に紫外線硬化樹脂を施与した未シール液晶パネル7を紫外光照射部に配置する手段を備えている。
【0049】
四角形状集光光学系10”は、紫外発光形発光ダイオードおよびロッドレンズなどの光学レンズを用いて液晶パネル紫外線照射装置本体40の紫外光照射部に四角形状の紫外集光パターンを形成するように構成されている。なお、四角形状集光光学系10”として図7に示す構成を採用することができる。
【0050】
また、本形態において、液晶パネル用紫外線照射装置は、上記の構成に加えてサイズの異なる未シール液晶パネル7、例えばサイズの大きな未シール液晶パネルLおよびサイズの小さな未シール液晶パネルSが混在している多面取り液晶ガラス基板LCGの各未シール液晶パネル7のシールを一括して行えるように構成されている。
【0051】
すなわち、液晶パネル紫外線照射装置本体40は、上記の構成に加えてガイドレール8を備えている。ガイドレール8は、縦および横のガイドレールRLおよびRWがそれぞれ複数本グリッド状に交差して配置されている。縦のガイドレールRLは、図12に示すように例えばRL1〜RL6が平行状態になっている。そして、それらの間隔がサイズの異なる未シール液晶パネル7に対応して不均一に配列されている。
【0052】
他方、横のガイドレールRWは、図12に示すように縦のガイドレールRLの上方において直交する関係にあり、例えばRW1〜RW6が平行状態になっている。そして、それらの間隔がサイズの異なる未シール液晶パネル7に対応して不均一に配列されている。
【0053】
そうして、縦のガイドレールRW1およびRW3と、横のガイドレールRL4およびRL6とでサイズの大きな未シール液晶パネルLの周縁部を囲むことができる。また、縦のガイドレールRW4およびRW5と、横のガイドレールRL5およびRL6とでサイズの小さなSの周縁部を囲むことができる。
【0054】
一方、四角形状集光光学系10”は、前述の構成に加えて未シール液晶パネル7の大きさに対応して四角形の大きさが可変に構成されている。
【0055】
すなわち、直線部用集光ユニット20および角形状集光用光学系30がともに複数光学ブロックに分割されている。直線部用集光ユニット20の光学ブロック21は、金属ブロック21a、配線基板21b、発光ダイオード21cおよび集光レンズ21dを備えている。角形状集光用光学系30の光学ブロック32も上記光学ブロック21と同様の構成要素を備えているが、光学ブロック21に比較して長さ方向に小さく分割されている。
【0056】
そうして、直線部用集光ユニット20および角形状集光用光学系30は、ともに複数光学ブロックに分割されているので、未シール液晶パネル7の大きさに対応して直線部用集光ユニット20および角形状集光用光学系30の光学ブロック21、32の数や間隔を適宜調整することができる。
【0057】
図14ないし図16は、本発明の液晶パネル用紫外線照射装置を実施するための第2の形態を示し、図14はガイドレールに装着された単一の角形状集光用光学系の要部を示す斜視図、図15は四角形の横長の辺における光学ブロックの要部を示す正面図、側面図および平面図、図16は四角形の縦の辺における光学ブロックの要部を示す正面図、側面図および平面図である。なお、図12および図13と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0058】
本形態の液晶パネル用紫外線照射装置は、液晶パネル紫外線照射装置本体40および四角形状集光光学系10”を具備している点で図12および図13に示す第1の形態と同様であるが、ガイドレール8´、ならびに直線部用集光ユニット20の光学ブロック21´の移動手段が異なる。
【0059】
すなわち、ガイドレール8´は、図14に示すように縦および横のガイドレールがそれぞれ複数本グリッド状に交差して配置されている点において、第1の形態と同様であるが、縦のガイドレールRL´は、未シール液晶パネル7の一対の縦の辺の周縁部に対応して複数が等間隔で離間して平行状態で配設されるとともに、1つのガイドレールが、2本のレール体が上下に小さな間隔で配置されることによって構成されている。
【0060】
これに対して、横のガイドレールRW´は、未シール液晶パネル7の表面全体を覆うように多数が小さな等間隔の平行状態になっている。そして、横のガイドレールRL´の両端部は、縦のガイドレールRL´の2本のレール体の間に挟まれて縦方向に移動可能に構成されている。また、隣接する2本のレール体が1組になって縦のレールの1本を構成している。
【0061】
一方、直線部用集光ユニット20の光学ブロック21´は、第1の形態における光学ブロック21とほぼ同様な構成であるが、光学ブロック21はパンタグラフ機構22によって連動して移動されるように構成されている。なお、直線部用集光ユニット20および角形状集光用光学系30には、図1および図2に示す第1の形態を採用することができる。
【0062】
すなわち、横方向に移動する複数の光学ブロック21´は、図15(a)正面図、同(b)側面図および同(c)平面図にそれぞれ示すように横のガイドレールRL´の隣接する2本のレール体の間に挟まれて移動可能であるとともに、パンタグラフ機構22によって連動して移動する。
【0063】
縦方向に移動する複数の光学ブロック21´は、図16(a)正面図、同(b)側面図および同(c)平面図にそれぞれに示すように、縦のガイドレールRW´の隣接する2本のレール体の間に挟まれて移動可能であるとともに、パンタグラフ機構22によって連動して移動する。
【0064】
そうして、本形態によれば、横方向および縦方向のそれぞれ複数の光学ブロック21´の移動が容易で、しかも光学ブロック21´を移動させても各光学ブロック間のピッチを正確に等しくなるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の角形状集光用光学系を実施するための一形態の一部切欠底面図
【図2】同じく一部切欠正面図
【図3】同じく角部用集光ユニットの拡大端面図
【図4】本発明の角形状集光用光学系を実施するための一形態を用いた場合の光照射部における角形状の直線部に対向する位置の放射照度分布を模式的に示すグラフ
【図5】同じく直線部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフ
【図6】同じく角部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフ
【図7】本発明の角形状集光用光学系を実施するための第2の形態における四角形の角形状集光用光学系の斜視図
【図8】同じく四角形状における直線部に対向する位置の放射照度分布を示すグラフ
【図9】同じく直線部に対向する位置の端部近傍における放射照度分布を、その横軸を引き伸ばして示すグラフ
【図10】同じく直線部用集光ユニット単独の場合の放射照度分布を示すグラフ
【図11】同じく放射照度分布の平面写真
【図12】本発明の液晶パネル用紫外線照射装置を実施するための第1の形態における多面取り液晶ガラス基板に形成された複数の液晶パネル部分ごとに四角形の角形状集光用光学系を配設するためのガイドレールの関係を示す斜視図
【図13】同じくガイドレールに装着された単一の角形状集光用光学系を示す要部斜視図
【図14】本発明の液晶パネル用紫外線照射装置を実施するための第2の形態におけるガイドレールに装着された単一の角形状集光用光学系の要部を示す斜視図
【図15】同じく四角形の横長の辺における光学ブロックの要部を示す正面図、側面図および平面図
【図16】同じく四角形の縦の辺における光学ブロックの要部を示す正面図、側面図および平面図
【符号の説明】
【0066】
1…ロッドレンズ、2…発光ダイオード、3…シリンドリカルレンズ、4…発光ダイオード、5…支持体、10…角形状集光用光学系、11…角形状、12…直線部、13…角部、20…直線部用集光ユニット、30…角部用集光ユニット、31…光学モジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれロッドレンズおよび複数の発光ダイオードを備え、発光ダイオードがロッドレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる少なくとも2個の直線部用集光ユニットと;
それぞれシリンドリカルレンズおよび複数の発光ダイオードを備え、発光ダイオードがシリンドリカルレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる4個の光学モジュールを十字状に組み合わせてなる少なくとも1個の角部用集光ユニットと;
を具備し、一対の直線部用集光ユニットが1個の角部用集光ユニットを挟んで交差方向に配置されていることを特徴とする角形状集光用光学系。
【請求項2】
四角形状のシール予定部に紫外線硬化樹脂を施与した未シール液晶パネルを紫外光照射部に配置する液晶パネル用紫外線照射装置本体と;
発光ダイオードが紫外発光形からなる請求項1記載の角形状集光用光学系において、それぞれ4個の直線部用集光ユニットおよび角部用集光ユニットが交互に配設されて液晶パネル用紫外線照射装置本体の紫外光照射部に四角形状の紫外集光パターンを形成するように構成された四角形状集光光学系と;
を具備していることを特徴とする液晶パネル用紫外線照射装置。
【請求項1】
それぞれロッドレンズおよび複数の発光ダイオードを備え、発光ダイオードがロッドレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる少なくとも2個の直線部用集光ユニットと;
それぞれシリンドリカルレンズおよび複数の発光ダイオードを備え、発光ダイオードがシリンドリカルレンズに接近し、かつその長さ方向に沿って配列されてなる4個の光学モジュールを十字状に組み合わせてなる少なくとも1個の角部用集光ユニットと;
を具備し、一対の直線部用集光ユニットが1個の角部用集光ユニットを挟んで交差方向に配置されていることを特徴とする角形状集光用光学系。
【請求項2】
四角形状のシール予定部に紫外線硬化樹脂を施与した未シール液晶パネルを紫外光照射部に配置する液晶パネル用紫外線照射装置本体と;
発光ダイオードが紫外発光形からなる請求項1記載の角形状集光用光学系において、それぞれ4個の直線部用集光ユニットおよび角部用集光ユニットが交互に配設されて液晶パネル用紫外線照射装置本体の紫外光照射部に四角形状の紫外集光パターンを形成するように構成された四角形状集光光学系と;
を具備していることを特徴とする液晶パネル用紫外線照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−57861(P2007−57861A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243595(P2005−243595)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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