説明

解析情報表示方法及び解析情報表示用コンピュータプログラム、並びに解析情報表示装置

【課題】コンピュータを用いた構造物の解析において、解析結果をより理解しやすくさせること。
【解決手段】タイヤの一部を複数の節点で構成される複数の要素に分割して、コンピュータで解析可能な部分解析モデルを作成し、これを周方向に展開して全体解析モデルを作成する(ステップS101)。次に、コンピュータが全体解析モデルの変形解析を実行する(ステップS102)。変形解析が終了した後、コンピュータは、全体解析モデルを構成する要素の物理量から評価指標を求める(ステップS103)。その後、コンピュータは、求めた評価指標を、部分解析モデルに配置して表示手段に表示させる(ステップS104)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを用いた構造物の変形解析において、得られた結果を表示手段に表示することに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを用いた解析によって構造物の様々な性能を評価し、これに基づいて構造物を設計する手法が提案され、実用化されてきている。例えば、特許文献1には、粘弾性材料を含む回転体の発熱エネルギー関連の特性を調査する方法が開示されている。この方法によれば、粘弾性材料であるゴムで構成されるタイヤの発熱エネルギーを評価することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3969821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、コンピュータを用いた解析によって得られた結果(解析結果)は、ディスプレイや印刷機等の表示手段に表示される。特許文献1には、解析結果の表示については言及されておらず、解析結果をより理解しやすくすることには改善の余地がある。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンピュータを用いた構造物の解析において、解析結果をより理解しやすくさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る解析情報表示方法は、形状と材料との少なくとも一方が周方向に向かって変化するとともに、その変化が周期的に繰り返される構造物をコンピュータで変形解析し、その解析結果を前記コンピュータが表示手段へ表示させるにあたり、前記コンピュータが、前記構造物を複数の節点で構成される複数の要素に分割して、前記コンピュータで解析可能な全体解析モデルを作成するモデル作成手順と、前記コンピュータが、前記全体解析モデルの変形解析を実行する解析手順と、前記変形解析後に、前記コンピュータが、前記全体解析モデルにおけるそれぞれの前記変化の繰り返し単位の同じ位置に存在する同位置要素の物理量をそれぞれ取得し、取得した複数の物理量に基づいて評価指標を求める評価指標演算手順と、前記コンピュータが、求めた前記評価指標を、表示用モデルの所定位置に配置して、前記表示手段に表示させる表示手順と、を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示方法において、前記モデル作成手順においては、前記コンピュータは、前記変化の一周期に相当する前記構造物の部分を、複数の節点で構成される複数の要素に分割して、前記コンピュータで解析可能な部分解析モデルを作成し、当該部分解析モデルを前記構造物の周方向に向かって一周分展開することにより前記コンピュータで解析可能な全体解析モデルを作成し、前記評価指標演算手順においては、前記変形解析後に、前記コンピュータは、前記全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量をそれぞれ取得し、取得した複数の物理量に基づいて評価指標を求め、前記表示手順においては、前記部分解析モデルを前記表示用モデルとするとともに、前記コンピュータは、求めた前記評価指標を、前記部分解析モデルの前記同位置要素の位置に配置して、配置後の前記部分解析モデルを前記表示手段に表示させることが好ましい。
【0007】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示方法において、前記解析手順において、前記コンピュータは、前記全体解析モデルと、当該全体解析モデルをその周方向に所定の角度回転させた回転全体解析モデルと、に対して前記変形解析を実行し、前記評価指標演算手順において、前記コンピュータは、前記全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量、及び前記回転全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量に基づいて前記評価指標を求めることが好ましい。
【0008】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示方法において、前記回転全体解析モデルは複数用いられ、それぞれの前記回転全体解析モデルは、前記全体解析モデルに対して回転させる角度が異なることが好ましい。
【0009】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示方法において、前記評価指標は、前記解析モデルを構成する前記要素の応力及びひずみから求められる粘弾性損失エネルギーであることが好ましい。
【0010】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示方法において、前記構造物はタイヤであり、前記タイヤの転動抵抗への寄与を前記評価指標とし、当該評価指標を前記タイヤの接地面の場所毎に求めることが好ましい。
【0011】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示方法において、前記表示手順において、前記コンピュータは、2個以上の前記表示用モデルを前記全体解析モデルの周方向に向かって連続して配置して、前記表示手段へ表示させることが好ましい。
【0012】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示方法において、前記表示手順において、前記コンピュータは、前記評価指標を、大きさ毎に異なる態様で前記表示手段に表示させることが好ましい。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る解析情報表示用コンピュータプログラムは、前記解析情報表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る解析情報表示装置は、形状と材料との少なくとも一方が周方向に向かって変化するとともに、その変化が周期的に繰り返される構造物を変形解析し、その解析結果を表示手段へ表示させるものであり、前記構造物を複数の節点で構成される複数の要素に分割して、コンピュータで解析可能な全体解析モデルを作成するモデル作成部と、前記全体解析モデルの変形解析を実行する解析部と、前記変形解析後に、前記全体解析モデルにおけるそれぞれの前記変化の繰り返し単位の同じ位置に存在する同位置要素の物理量を、それぞれの前記繰り返し単位について取得し、取得した複数の物理量に基づいて評価指標を求める評価指標演算部と、当該評価指標演算部が求めた前記評価指標を、所定の表示用モデルの所定位置に配置して、前記表示手段に表示させる表示制御部と、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示装置において、前記モデル作成部は、前記変化の一周期に相当する前記構造物の部分を、複数の節点で構成される複数の要素に分割して、前記コンピュータで解析可能な部分解析モデルを作成し、当該部分解析モデルを前記構造物の周方向に向かって一周分展開することにより前記コンピュータで解析可能な全体解析モデルを作成し、前記評価指標演算部は、前記変形解析後に、前記全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量をそれぞれの前記部分解析モデルについて取得し、取得した複数の物理量に基づいて評価指標を求め、前記表示制御部は、前記評価指標演算部が求めた前記評価指標を、前記部分解析モデルの前記同位置要素の位置に配置して、配置後の前記部分解析モデルを前記表示手段に表示させることが好ましい。
【0016】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示装置において、前記解析部は、前記全体解析モデルと、当該全体解析モデルをその周方向に所定の角度回転させた回転全体解析モデルと、に対して前記変形解析を実行し、前記評価指標演算部は、前記全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量、及び前記回転全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量に基づいて前記評価指標を求めることが好ましい。
【0017】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示装置において、複数の前記回転全体解析モデルが用いられ、それぞれの前記回転全体解析モデルは、前記全体解析モデルに対して回転させる角度が異なることが好ましい。
【0018】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示装置において、前記評価指標は、前記解析モデルを構成する前記要素の応力及びひずみから求められる粘弾性損失エネルギーであることが好ましい。
【0019】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示装置において、前記構造物はタイヤであり、前記タイヤの転動抵抗への寄与を前記評価指標とし、当該評価指標を前記タイヤの接地面の場所毎に求めることが好ましい。
【0020】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示装置において、前記表示制御部は、2個以上の前記表示用モデルを前記全体解析モデルの周方向に向かって連続して配置して、前記表示手段へ表示させることが好ましい。
【0021】
本発明の望ましい態様としては、前記解析情報表示装置において、前記表示制御部は、前記評価指標を、大きさ毎に異なる態様で前記表示手段に表示させることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、コンピュータを用いた構造物の解析において、解析結果をより理解しやすくさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、タイヤの子午断面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る解析情報表示方法を実行する解析情報表示装置を示す説明図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る解析情報表示方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、タイヤの一部平面図である。
【図5−1】図5−1は、部分タイヤモデルの斜視図である。
【図5−2】図5−2は、部分タイヤモデルの一部平面図である。
【図6−1】図6−1は、全体解析モデルの側面図である。
【図6−2】図6−2は、全体解析モデルの斜視図である。
【図7】図7は、全体解析モデルの変形解析の一例を示す図である。
【図8−1】図8−1は、図7に示す変形解析の結果の一例を示す模式図である。
【図8−2】図8−2は、図7に示す変形解析の結果の一例を示す模式図である。
【図8−3】図8−3は、全体解析モデルの一部平面図である。
【図9−1】図9−1は、同一要素の位置を異ならせた複数の全体解析モデルを用いて周方向経路上に存在する同位置要素から物理量を得る方法を説明する図である。
【図9−2】図9−2は、同一要素の位置を異ならせた複数の全体解析モデルを用いて周方向経路上に存在する同位置要素から物理量を得る方法を説明する図である。
【図9−3】図9−3は、同一要素の位置を異ならせた複数の全体解析モデルを用いて周方向経路上に存在する同位置要素から物理量を得る方法を説明する図である。
【図10】図10は、複数の全体解析モデルから物理量を得た結果の一例を示す図である。
【図11−1】図11−1は、タイヤの周方向位置を横軸座標とした粘弾性体の応力とひずみの特性を示す図である。
【図11−2】図11−2は、ひずみを横軸座標、応力を縦軸座標として応力とひずみのヒステリシスループ特性を示す図である。
【図12−1】図12−1は、全体解析モデルの変形解析を実行した場合における周方向位置と応力との関係を示す図である。
【図12−2】図12−2は、全体解析モデルの変形解析を実行した場合における周方向位置とひずみとの関係を示す図である。
【図13−1】図13−1は、図12−1の応力曲線及び図12−2のひずみ曲線をフーリエ級数展開して得られる1次の成分を示す図である。
【図13−2】図13−2は、1次成分の応力及びひずみに基づく1次成分のヒステリシスループを示す図である。
【図14】図14は、評価指標を表示用モデルに表示させた例を示す図である。
【図15】図15は、評価指標を表示用モデルに表示させた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の発明を実施するための形態(以下実施形態という)の内容によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に説明する構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。以下においては、変形解析を実行し、その結果を表示する構造物を、回転体であるタイヤ(空気入りタイヤを含む)とするが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。
【0025】
図1は、タイヤの子午断面図である。タイヤ1は、回転軸(Y軸)を中心として回転する環状構造体であり、中心軸の周りに、周方向に向かって同様の形状の子午断面が展開される。図1に示すように、タイヤ1の子午断面には、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4、ビードコア5が現れている。タイヤ1は、母材であるゴムを、補強材であるカーカス2、ベルト3、あるいはベルトカバー4等の補強コードによって補強した複合材料の構造体である。ここで、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4等の、金属繊維や有機繊維等のコード材料で構成される補強コードの層をコード層という。
【0026】
カーカス2は、タイヤ1に空気を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度メンバーであり、その内圧によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐えるようになっている。ベルト3は、キャップトレッドとカーカス2との間に配置されたゴム引きコードを束ねた補強コードの層である。なお、バイアスタイヤの場合にはブレーカと呼ぶ。ラジアルタイヤにおいて、ベルト3は形状保持及び強度メンバーとして重要な役割を担っている。
【0027】
ベルト3の踏面G側には、ベルトカバー4が配置されている。ベルトカバー4は、例えば有機繊維材料を層状に配置したものであり、ベルト3の保護層としての役割や、ベルト3の補強層としての役割を持つ。ビードコア5は、内圧によってカーカス2に発生するコード張力を支えているスチールワイヤの束である。ビードコア5は、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4及びトレッドとともに、タイヤ1の強度部材となる。キャップトレッド6の踏面G側には、溝7が形成される。これによって、雨天走行時の排水性を向上させる。また、タイヤ1の側部はサイドウォール8と呼ばれており、ビードコア5とキャップトレッド6との間を接続する。また、キャップトレッド6とサイドウォール8との間はショルダー部Shである。次に、本実施形態に係る解析情報表示方法を実行する装置について説明する。
【0028】
図2は、本実施形態に係る解析情報表示方法を実行する解析情報表示装置を示す説明図である。本実施形態に係る解析情報表示方法は、図2に示す解析情報表示装置50によって実現できる。図2に示すように、解析情報表示装置50は、処理部52と記憶部54とで構成される。また、この解析情報表示装置50には、入出力装置51が電気的に接続されており、ここに備えられた入力手段53でタイヤモデルを構成するゴムの物性値や補強コードの物性値、あるいは変形解析における境界条件等を処理部52や記憶部54へ入力する。入出力装置51は、表示手段55を備えており、表示手段55に解析結果等が表示される。
【0029】
ここで、入力手段53には、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。記憶部54には、構造物(例えば、タイヤ)の変形解析や本実施形態に係る解析情報表示方法を含むコンピュータプログラムが格納されている。ここで、記憶部54は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
【0030】
また、上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムにすでに記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、構造物の変形解析や本実施形態に係る解析情報表示方法を実現できるものであってもよい。また、処理部52の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより構造物の変形解析や本実施形態に係る解析情報表示方法を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
【0031】
処理部52は、モデル作成部52aと、解析部52bと、評価指標演算部52cと、表示制御部52dとを含む。モデル作成部52aは、変形解析の対象とする構造物を複数の節点で構成される複数の要素に分割して、コンピュータで解析可能な解析モデル(全体解析モデル)を作成し、記憶部54に格納する。ここで、本実施形態では、形状と材料との少なくとも一方が周方向に向かって変化するとともに、その変化が周期的に繰り返される構造物を変形解析の対象とする。このため、例えば、モデル作成部52aは、形状と材料との少なくとも一方の変化の一周期に相当する構造物の部分を、複数の節点で構成される複数の要素に分割して、コンピュータで解析可能な部分解析モデルを作成する。そして、モデル作成部52aは、作成した部分解析モデルを構造物の周方向に向かって一周分展開することにより、コンピュータで解析可能な全体解析モデルを作成するとともに、記憶部54へ格納する。
【0032】
解析部52bは、モデル作成部52aが作成した解析モデル、具体的には全体解析モデルを記憶部54から読み出し、所定の条件の下で変形解析を実行する。評価指標演算部52cは、解析部52bが変形解析を実行した後において、全体解析モデルにおけるそれぞれの変化の繰り返し単位の同じ位置に存在する同位置要素の物理量を、それぞれの繰り返し単位について取得する。そして、評価指標演算部52cは、取得した複数の物理量に基づいて評価指標を求め、記憶部54に格納する。
【0033】
上述した部分解析モデルを構造物の周方向に向かって展開して全体解析モデルを作成する場合、評価指標演算部52cは、全体解析モデルを構成するそれぞれの部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量をそれぞれの部分解析モデルについて取得する。そして、評価指標演算部52cは、取得した複数の物理量に基づいて評価指標を求め、記憶部54に格納する。なお、同位置要素から取得される物理量は、より具体的には当該同位置要素の積分点から取得される。
【0034】
表示制御部52dは、評価指標演算部52cが求めた評価指標を記憶部54から読み出し、所定の表示用モデルの所定位置に配置する。表示用モデルは、例えば、上述した部分解析モデルを用い、表示制御部52dは、部分解析モデルの同位置要素の位置に、評価指標演算部52cが求めた評価指標を配置する。そして、表示制御部52dは、配置後の部分解析モデルを表示手段55に表示させる。
【0035】
処理部52は、例えば、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されている。変形解析時においては、モデル作成部52aが作成した解析モデルや入力データ等に基づいて、処理部52が前記プログラムを処理部52に組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部52は、記憶部54へ演算途中の数値を適宜格納し、また記憶部54へ格納した数値を取り出して演算を進める。なお、この処理部52は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアによって、その機能を実現するものであってもよい。
【0036】
ここで、表示手段55には、液晶表示装置やCRT(Cathode Ray Tube)等を使用することができる。また、表示用モデルは、必要に応じて設けられた印刷機により、紙等の被記録媒体に出力することもできるので、表示手段55として印刷機を用いてもよい。ここで、記憶部54は、他の装置(例えばデータベースサーバ)内にあってもよい。例えば、解析情報表示装置50は、入出力装置51を備えた端末装置から通信により処理部52や記憶部54にアクセスするものであってもよい。次に、本実施形態に係る解析情報表示方法を説明する。なお、本実施形態に係る解析情報表示方法は、上述した解析情報表示装置50により実現できる。
【0037】
図3は、本実施形態に係る解析情報表示方法の手順を示すフローチャートである。図4は、タイヤの一部平面図である。図5−1は、部分タイヤモデルの斜視図、図5−2は、部分タイヤモデルの一部平面図である。図6−1は、全体解析モデルの側面図である。図6−2は、全体解析モデルの斜視図である。
【0038】
本実施形態に係る解析情報表示方法で対象とする構造物はタイヤであって、その中でも、形状と材料との少なくとも一方が周方向に向かって変化するとともに、その変化が周期的に繰り返されるタイヤである。例えば、図4に示すタイヤ1は、タイヤの周方向(矢印Cで示す方向)に向かってトレッドパターンが変化するとともに、同じトレッドパターンが周方向に周期的に繰り返す。図4に示すPが、トレッドパターンの繰り返し単位を示す。タイヤ1は、繰り返し単位で示されるトレッドパターンが、タイヤ1の周方向に周期的に出現することになる。このようなタイヤ1が、本実施形態に係る解析情報表示方法の対象となる。
【0039】
本実施形態に係る解析情報表示方法を実行するにあたり、ステップS101で、図2に示す解析情報表示装置50のモデル作成部52aは、変形解析に供するタイヤの解析モデルを作成する。本実施形態において、タイヤは、変形解析の対象となる構造物であり、その解析結果は、本実施形態に係る解析情報表示方法によって表示手段55に表示される。解析モデルとは、コンピュータを用いて数値解析可能なモデルであり、数学的モデルや数学的離散化モデルを含む。
【0040】
本実施形態において、モデル作成部52aは、図5−1に示すように、トレッドパターン等の変化の一周期(以下、周方向変化の一周期という)に相当するタイヤの部分(例えば、図4に示すタイヤ1の繰り返し単位の部分)を、複数の節点で構成される複数の要素E_1、E_2、・・・E_nに分割する。複数の要素E_1、E_2、・・・E_nは、それぞれ複数の節点で構成される。これによって、図5−1、図5−2に示すような、コンピュータで解析可能な部分解析モデル20が作成される(図5−2においては、要素は省略してある)。そして、モデル作成部52aは、図6−1に示すように、部分解析モデル20をタイヤの周方向(矢印Cで示す方向)に向かって一周分展開することにより、図6−1、図6−2に示すような、コンピュータで解析可能な全体解析モデル10を作成する。なお、部分解析モデル20及び全体解析モデル10は、図5−1、図6−2に示すような3次元形状の解析モデルとなる。
【0041】
例えば、周方向変化の一周期をタイヤの回転軸を中心とした中心角で表し、その大きさがα(rad)であったとする。この場合、モデル作成部52aは、部分解析モデル20をタイヤの回転軸(図6−1のYで示す軸)を中心として、タイヤの周方向(図6−1の矢印Cで示す方向)へ向かって(2×π)/α個複写していく。これによって、全体解析モデル10が作成される。図6−1に示す例では、α=π/18なので、36個の部分解析モデル20_1、20_2、・・・20_36で全体解析モデル10が構成される。
【0042】
なお、全体解析モデル10の作成方法はこれに限定されるものではなく、例えば、変形解析の対象となるタイヤを複数の節点で構成される複数の要素に分割して全体解析モデルを作成してもよい。また、変形解析の対象となるタイヤのトレッドパターンとケーシングとをそれぞれ別個に複数の節点で構成される複数の要素に分割してパターンモデルとケーシングモデルとを作成し、両者を合体させることで全体解析モデル10を作成してもよい。
【0043】
全体解析モデル10は、有限要素法や有限差分法等の数値解析手法を用いて変形解析を行うために用いるモデルであり、部分解析モデル20も同様である。例えば、本実施形態では、全体解析モデル10の変形解析に有限要素法(Finite Element Method:FEM)を使用するので、部分解析モデル20及び全体解析モデル10は、有限要素法に基づいて作成される。なお、本実施形態に係る変形解析に適用できる解析手法は有限要素法に限られず、有限差分法(Finite Difference Method:FDM)や境界要素法(Boundary Element Method:BEM)等も使用できる。また、境界条件等によって最も適当な解析手法を選択し、又は複数の解析手法を組み合わせて使用することもできる。なお、有限要素法は、構造解析に適した解析手法なので、特にタイヤのような構造体に対して好適に適用できる。
【0044】
部分解析モデル20及び全体解析モデル10を構成する要素は、例えば、3次元体では四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素や三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素、面要素等、コンピュータで取り扱い得る要素とすることが望ましい。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、3次元モデルでは3次元座標や円筒座標を用いて逐一特定される。
【0045】
ステップS101で全体解析モデル10が作成されたらステップS102へ進む。ステップS102において、解析情報表示装置50の処理部52が備える解析部52bは、ステップS101で作成された全体解析モデル10の変形解析を実行する。変形解析を実行するにあたっては、解析条件が設定される。解析条件は、例えば、図2に示す解析情報表示装置50の入力手段53を介して入力されて、記憶部54に格納される。解析条件が設定されたら、解析部52bは、全体解析モデル10の変形解析を実行する。
【0046】
変形解析としては、解析モデルと平面あるいは曲面との静的、動的な接触解析や、荷重や内圧を解析モデルに負荷した場合の変形解析がある。また、タイヤのような回転体を変形解析の対象とする場合、変形解析としては、解析モデル(タイヤの場合は全体解析モデル10)と平面あるいは曲面との静的、動的な接触解析、荷重や内圧を解析モデルに負荷した場合の変形解析、解析モデルが平面あるいは曲面と接触した状態での転動解析(動的転動解析や定常輸送解析)がある。
【0047】
ここで、定常輸送解析について説明する。構造物の変形解析において、一般的に使用されているラグランジュ定式化を用いると、物体を構成する材料を基準として変形が表現される。回転している物体の変形解析において、ラグランジュの定式化を用いると、変形を表現する各ポイントが回転にともなって常に移動するため、定常的な回転の解析においてさえ、非定常な解析として取り扱う必要がある。また、回転接触をともなう解析では、回転物全体にわたって細かな要素分割が必要になるため、解析モデルの規模が大きくなり、その結果計算に時間を要してしまう。
【0048】
定常輸送解析では、回転軸に基準座標系が取り付けられる。このようにすることで、回転体の中身(物体)は、フレームの中を通って回転するが、フレームそのものは回転しないように観測される。すなわち、定常的な回転時には、観測者は固定されたポイントを常に見ていることになるので、時間依存の問題を取り除き、定常状態の解析として取り扱うことができるようになる。
【0049】
したがって、定常輸送解析における基準座標系で定式化された有限要素メッシュには、大きな剛体回転は生じない。このことは、回転接触の問題で、接触領域だけ詳細な要素分割が必要となることを意味する。定常輸送解析における上記の取り扱いは、ラグランジュの定式化と、オイラーの定式化との混合と見ることができる。ここで、これらは、空間を基準にしたオイラー定式化による剛体回転、及び材料(物体)を基準にしたラグランジュ定式化による回転する剛体に沿って測定された(剛体回転と相対的に測られる)変形である。
【0050】
全体解析モデル10に対して変形解析が終了したら、解析部52bは、結果を記憶部54へ格納する。次に、ステップS103へ進み、図2に示す解析情報表示装置50の評価指標演算部52cは、評価指標、すなわち、変形解析の対象となった全体解析モデル10の元となったタイヤを評価するための指標を求める。次に、評価指標を求める手法について説明する。
【0051】
図7は、全体解析モデルの変形解析の一例を示す図である。図8−1、図8−2は、図7に示す変形解析の結果の一例を示す模式図である。図8−3は、全体解析モデルの一部平面図である。図7に示すように、全体解析モデル10を路面モデルLMに接触させて、所定の荷重Wを全体解析モデル10(より具体的には、全体解析モデル10の回転軸であるY軸)に負荷した状態で変形解析を実行した場合を考える。図7に示すように、回転軸(Y軸)を中心とした中心角θの大きさで全体解析モデル10の周方向(矢印Cで示す方向、以下タイヤ周方向という)の位置を表し、Z軸の反路面モデル側の位置をθ=0、2π(rad)、路面モデルLMと接する位置をθ=π(rad)とする。
【0052】
上述した変形解析を実行すると、例えば、図8−1、図8−2に示すように、全体解析モデル10の踏面における径方向の応力σ、及びひずみεは、全体解析モデル10のθ=0からθ=πの位置に向かって増加し、θ=π、すなわち、全体解析モデル10の接地部中心の位置で最大となる。そして、θの増加とともに前記応力σ、及びひずみεは減少し、θ=0、2πの位置で最も小さくなる。ここで、図7に示す例では、設置部中心に、繰り返し単位P_i(部分解析モデル20_i)が位置している。
【0053】
図8−3に示すように、全体解析モデル10は、複数の繰り返し単位P_i(部分解析モデル20_i)が周方向(図8−3の矢印C方向)に配列されて構成される。なお、図8−3には、全体解析モデル10の一部が示されており、実際は、全体解析モデル10の周方向一周分、複数の繰り返し単位P_i(部分解析モデル20_i)が配列される。また、図8−3中のiは、周方向に複数配列される繰り返し単位P_iや部分解析モデル20_iがi番目であることを示しており、iに整数を加減算することで、それぞれの繰り返し単位を識別する。すなわち、繰り返し単位や部分解析モデルを示す符号P、20のアンダーバー以降は、それぞれの繰り返し単位や部分解析モデルを識別するための識別子である。
【0054】
全体解析モデル10を構成するそれぞれの繰り返し単位P_iや部分解析モデル20_iは、絶対座標のみが異なる他は、全体形状、要素分割数、各要素の形状、節点数等、すべて同一である。このため、繰り返し単位P_i(部分解析モデル20_i)中のある要素E_iは、他の繰り返し単位P_i−2、P_i−1、P_i+1(部分解析モデル20_i−2、部分解析モデル20_i−1、部分解析モデル20_i+1)それぞれにおいて、同じ位置に対応する要素E_i−2、E_i−1、E_i+1が存在する。それぞれの部分解析モデル20_i、20_i+1等を単独で見れば、いずれも共通の部分解析モデルであることから、すべての要素番号は同一である。
【0055】
ここで、例えば、全体解析モデル10において、それぞれの部分解析モデル20_i、20_i+1等の要素を、その部分解析モデル20_i、20_i+1等における要素番号_識別子の形式で表現したとする。それぞれの部分解析モデル20_i、20_i+1等を単独で見た場合における要素E_i、E_i+1等の要素番号が101番であるとすると、全体解析モデル10において、要素E_iの要素番号は101_i、要素E_i−2の要素番号は101_i−2、要素E_i−1の要素番号は101_i−1、要素E_i+1の要素番号は101_i+1となる。
【0056】
全体解析モデル10において、それぞれの部分解析モデル20_i、20_i+1等を識別する識別子以外の要素番号が同一の要素は、それぞれの部分解析モデル20_i、20_i+1等の同じ位置に存在する要素(同位置要素)である。図8−3に示す全体解析モデル10では、要素E_i−2、E_i−1、E_i、E_i+1が、同位置要素となる。図8−3中のRは、要素E_i−2、E_i−1、E_i、E_i+1を全体解析モデル10の周方向全体にわたってつないだ経路(周方向経路)を示す。周方向経路Rは、例えば、各要素の積分点をつなぐ。
【0057】
同位置要素は、全体解析モデル10の中心(モデル中心)CCからの距離(積分点とモデル中心CCとの距離)がどの部分解析モデル20_i、20_i+1等においても等しくなる。ここで、モデル中心CCは、全体解析モデル10の回転軸(Y軸)と赤道面CPとが交差する点である。赤道面CPは、回転軸(Y軸)と直交し、かつ全体解析モデル10の幅方向(回転軸と平行な方向)における中心を通る面である。
【0058】
評価指標演算部52cは、本実施形態では、周方向経路R上に存在する同位置要素の物理量をそれぞれ取得して、評価指標を演算する。すなわち、全体解析モデル10を構成するそれぞれの部分解析モデル20_i、20_i+1等の同位置要素の物理量から、評価指標が求められる。評価指標は、例えば、周方向経路Rに存在する同位置要素の物理量の最大値や最小値、平均値(周方向経路R上に存在するすべての同位置要素の物理量の加算値を全要素数で除したもの)、振幅(最大値と最小値との差)等である。
【0059】
例えば、物理量が応力である場合、周方向経路Rに存在する複数の同位置要素の応力の最大値σmaxや最小値σmin、平均値σave、振幅Δσ(=σmax−σmin)等が評価指標になる。また、物理量がひずみである場合、周方向経路Rに存在する複数の同位置要素のひずみの最大値εmaxや最小値εmin、平均値εave、振幅Δε(=εmax−εmin)等も評価指標になる。なお、同位置要素の物理量は、当該要素に含まれる積分点における物理量の値、あるいは積分点における物理量の値から算出される当該要素の代表値である(以下同様)。ここで、上記説明においては、全体解析モデル10を構成する要素のうち一つの要素に着目し、着目した要素が存在する周方向経路R上の同位置要素についてそれぞれ物理量を求め、これに基づき評価指標を求めたが、評価指標は全体解析モデル10を構成するすべての要素を対象として求めてもよいし、一部の要素を対象として求めてもよい。
【0060】
図8−3に示す全体解析モデル10は、タイヤ周方向に向かって複数のラグ溝12を有する。このため、全体解析モデル10は、キャップトレッドが周方向に不均一な形状となり、物理的な特性は周方向に不均一となる。ラグ溝12はタイヤ周方向に向かって所定の間隔(配列ピッチ)Lpで配置されているので、それぞれの部分解析モデル20_i、20_i+1等に存在する同位置要素である要素E_i、E_i+1等は、タイヤ周方向に向かって配列ピッチLp毎に出現する。ここで、図6−1に示すように、全体解析モデル10は、中心角αの部分解析モデル20_1等を複数タイヤ周方向に向かって配置して構成されるので、全体解析モデル10のキャップトレッド表面(踏面)までの半径をrとし、中心角α(rad)を用いると、配列ピッチLp=r×αとなる。
【0061】
ここで、全体解析モデルがタイヤ周方向に向かって均一な形状を有し、タイヤ周方向に向かって均一な物理的特性を有する場合、周方向経路上に存在する同位置要素の数は、タイヤ周方向における要素分割の数に依存する。例えば、周方向における要素分割の数がmである場合、周方向経路上に存在する同位置要素の数はm個となる。一方、本実施形態における全体解析モデル10のように、全体解析モデル10がタイヤ周方向に向かって不均一な形状を有し、タイヤ周方向に向かって不均一な物理的特性を有する場合、図8−3に示す周方向経路R上に存在する同位置要素は、部分解析モデル20_i、20_i+1等の配列ピッチLp毎にしか出現しない。すなわち、全体解析モデル10がタイヤ周方向に向かって不均一な物理的特性を有する場合、周方向経路R上に存在する同位置要素の数は、全体解析モデル10を構成する部分解析モデル20_iの数(p個)と同数となる。
【0062】
したがって、全体解析モデルがタイヤ周方向に向かって均一な物理的特性を有する場合とタイヤ周方向における要素分割数が同じである場合には、全体解析モデル10がタイヤ周方向に向かって不均一な物理的特性を有すると、周方向経路R上に存在する同位置要素の数はm/p個となる。このため、全体解析モデル10がタイヤ周方向に向かって不均一な物理的特性を有する場合には、周方向経路R上に存在する同位置要素から得られる物理量が少なくなってしまうので、これらに基づいて得られる評価指標の精度が低下するおそれがある。本実施形態では、次に説明する方法により、評価指標の精度低下を抑制する。なお、この方法は、当該方法のアルゴリズムが記述されたコンピュータプログラムを評価指標演算部52cが実行することにより実現される。
【0063】
図9−1〜図9−3は、同一要素の位置を異ならせた複数の全体解析モデルを用いて周方向経路上に存在する同位置要素から物理量を得る方法を説明する図である。図10は、複数の全体解析モデルから物理量を得た結果の一例を示す図である。この方法では、全体解析モデルと、当該全体解析モデルをその周方向に回転軸(Y軸)を中心として所定の角度回転させた回転全体解析モデルと、に対して変形解析を実行する。そして、全体解析モデルを構成するそれぞれの部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量、及び回転全体解析モデルを構成するそれぞれの部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量に基づいて前記評価指標を求める。その後、全体解析モデル及び回転全体解析モデルから求めた物理量を重ね合わせて合成して、評価指標を求める際に用いる評価物理量のデータ群を作成する。
【0064】
図9−1〜図9−3は、全体解析モデル10_1、10_2、10_3を側面、すなわち、回転軸であるY軸の方向から見た状態を示している。図9−1に示す全体解析モデル10_1は、部分解析モデル20_iのキャップトレッド表面かつ一方の子午断面上に存在する、ある要素E_iがZ軸上に存在している。図9−2に示す全体解析モデル10_2は、部分解析モデル20_iのキャップトレッド表面に存在する、ある要素E_iがZ軸上から図9−2の反時計回りにずれた位置に存在している。図9−3に示す全体解析モデル10_3は、部分解析モデル20_iのキャップトレッド表面に存在する、ある要素E_iが、図9−2に示す全体解析モデル10_2よりも、図9−2の反時計回りにさらにZ軸上からずれた位置に存在している。
【0065】
図9−1の部分解析モデル20_iは、中心角(タイヤ周方向側に存在する二つの子午断面が回転軸Yとなす角)がβであり、一方の子午断面上にZ軸が存在する。図9−2に示す全体解析モデル10_2は、図9−1に示す全体解析モデル10_1を、タイヤ周方向に向かって回転軸(Y軸)を中心として所定の角度Δβ回転させたものであり、図9−3に示す全体解析モデル10_3は、図9−1に示す全体解析モデル10_1を、タイヤ周方向に向かって回転軸(Y軸)を中心として所定の角度2×Δβ回転させたものである。ここで、Δβ=β/3とする。全体解析モデル10_2、10_3が、回転全体解析モデルに相当する。
【0066】
これによって、全体解析モデル10_1、10_2、10_3において、それぞれの部分解析モデル20_iの要素E_iは、それぞれZ軸上、Z軸を基準としてΔβだけ反時計回りにずれた位置、Z軸を基準として2×Δβだけ反時計回りにずれた位置に存在することになる。それぞれの全体解析モデル10_1、10_2、10_3におけるそれぞれの要素E_iは、それぞれの部分解析モデル20_iにおいては同一の要素であるが、それぞれの全体解析モデル10_1、10_2、10_3間においては、これらが存在するXYZ座標系において、それぞれ座標が異なる。
【0067】
次に、それぞれの全体解析モデル10_1、10_2、10_3から、部分解析モデル20_iの要素E_iに着目する。そして、着目した要素E_iが存在する周方向経路上の同位置要素についてそれぞれの全体解析モデル10_1、10_2、10_3毎に物理量を求め、それぞれの全体解析モデル10_1、10_2、10_3毎に得られた物理量を重ね合わせて、評価指標を求める際に用いる物理量のデータ群を生成する。
【0068】
図10は、物理量の一例として応力σを縦軸に、図9−1〜図9−3のZ軸を基準とした中心角θを横軸に表したものである。図10では、白抜きの丸が全体解析モデル10_1における要素E_iについての同位置要素から得られた応力、白抜きの三角が全体解析モデル10_2における要素E_iについての同位置要素から得られた応力、白抜きの四角が全体解析モデル10_3における要素E_iについての同位置要素から得られた応力を示す。
【0069】
図10に示すように、それぞれの全体解析モデル10_1、10_2、10_3から得られた要素E_iについての同位置要素の応力は、それぞれを構成する部分解析モデル20_iの配列ピッチ(中心角β)毎にしか得られない。しかし、それぞれの全体解析モデル10_1、10_2、10_3から得られた、要素E_iについての同位置要素の応力(物理量)を重ね合わせて合成することにより、得られる応力の情報量を増加(具体的には、用いる全体解析モデルの数分)させることができる。
【0070】
例えば、β=6度とすると、Δβは2度となる。この場合、単独の全体解析モデル10_1は60個の部分解析モデル20_iから構成されるので、着目した要素E_iについての同位置要素から得られる物理量は60個となる。しかし、3個の全体解析モデル10_1、10_2、10_3を用いれば、それぞれの全体解析モデル10_1、10_2、10_3において着目した要素E_iについての同位置要素から得られる物理量は、単独の全体解析モデル10_1から得られる物理量の3倍、すなわち180個となる。このように、全体解析モデルを回転軸周りに所定の中心角度だけ回転させた複数の全体解析モデルを用いて、それぞれの全体解析モデル間において同一の要素に着目し、それぞれの着目した要素についての同位置要素から得られる物理量を重ね合わせて合成することにより、着目した要素の評価指標を求める際に用いる物理量のデータ数を増加させることができる。これによって、全体解析モデルがタイヤ周方向に向かって不均一な物理的特性を有する場合であっても、評価指標の精度低下を抑制できる。
【0071】
なお、同位置要素から得られる物理量は、それぞれの物理量の情報間を補間することが好ましい。このようにすれば、離散的な情報をより連続的な情報として表現できる。情報間の補間は、例えば、要素が有する形状関数を利用したり、情報間の線形補間や二次補間等を用いたりすることができる。また、評価指標を求める際にも、要素間を補間してもよい。これによって、離散的な情報をより連続的な情報として表現できる。なお、タイヤのような回転体の評価指標や時間変化情報を求める際には、要素の物理量や評価指標を回転座標形での値に変換することが好ましい。
【0072】
次に、評価指標として粘弾性損失エネルギーを用いる場合を説明する。なお、粘弾性損失エネルギーは、後述する粘弾性損失エネルギーを求める方法のアルゴリズムが記述されたコンピュータプログラムを評価指標演算部52cが実行することにより実現される。評価指標を粘弾性損失エネルギーとする場合、その値は、式(1)で表される。ここで、dEmは粘弾性損失エネルギー、Amσは要素の応力をフーリエ変換した後の振幅、Bmσは要素の応力をフーリエ変換した後の位相差、Amεは要素のひずみをフーリエ変換した後の振幅、Bmεは要素のひずみをフーリエ変換した後の位相差、δは要素が属する部材の損失正接tanδのδ、Vは所定の経路に存在する要素の積算体積、nはフーリエ次数、Nはフーリエ次数の最大値、mは変形の成分である。式(1)で示す粘弾性損失エネルギーdEmを評価指標とする場合、dEmは、上述した周方向経路に存在する要素の変形の成分(変形を表すテンソル成分又はベクトル成分)毎に求められる。3次元の全体解析モデル10において、独立な変形の成分は6個であるので、粘弾性損失エネルギーdEmは、6個求められる。
【0073】
【数1】

【0074】
図11−1は、タイヤの周方向位置を横軸座標とした粘弾性体の応力とひずみの特性を示す図である。図11−2は、ひずみを横軸座標、応力を縦軸座標として応力とひずみのヒステリシスループ特性を示す図である。図11−1に示されるように、タイヤを構成するゴムのような粘弾性体では、応力に対しひずみの位相がδだけ遅れ、ここで、0<δ<π/2である。図11−2に示されるように、粘弾性体のヒステリシスループは楕円となり、楕円の面積Aは、1サイクルの変形に際して損失したエネルギー(粘弾性損失エネルギー)である。粘弾性損失エネルギーは、A=π×σ×Δσ×Δε×sinδで表され、発熱エネルギーに相当する。ここで、Δσは応力の振幅(応力振幅)、Δεはひずみの振幅(ひずみ振幅)である。
【0075】
このように、応力振幅Δσ、ひずみ振幅Δε、位相差δが分かれば、粘弾性体の粘弾性損失エネルギー及び発熱エネルギーを求めることができる。そこで、応力、及びひずみを変形解析(例えば、有限要素法を用いた静的な解析)により求めるのである。なお粘弾性材料を含む回転体の発熱エネルギーの特性に関しては、例えば岩柳茂夫「レオロジー」朝倉書店に記載されている。
【0076】
図12−1は、全体解析モデルの変形解析を実行した場合における周方向位置と応力との関係を示す図である。図12−2は、全体解析モデルの変形解析を実行した場合における周方向位置とひずみとの関係を示す図である。図13−1は、図12−1の応力曲線及び図12−2のひずみ曲線をフーリエ級数展開して得られる1次の成分を示す図である。図13−2は、1次成分の応力及びひずみに基づく1次成分のヒステリシスループを示す図である。図12−1、図12−2は、図7に示す全体解析モデル10の変形解析の結果であり、周方向位置の関係は、図7に示す通りである。
【0077】
粘弾性損失エネルギーの計算における、応力及びひずみをフーリエ級数展開し、各次数毎にヒステリシスループの面積を求める過程を説明する。まず、有限要素法により、荷重を負荷した全体解析モデル10の変形解析を実行し、全体解析モデル10の各要素毎に局所座標を参照した応力σ及びひずみεを求める。次に、全体解析モデル10において着目する要素における、一成分の応力σmi、ひずみεmiを求め、順次、上述した周方向経路上に存在する複数の要素において、タイヤ周方向に隣接する要素の応力σmj、ひずみεmjを求める。ここで、jは、周方向経路に存在する同位置要素を識別するための番号(識別番号)を表す符号である。
【0078】
次に、全体解析モデル10のタイヤ周方向一周分の応力σ(θ)、及びひずみε(θ)を求める。そして、応力σ(θ)、及びひずみε(θ)を、それぞれ有限次のフーリエ級数に展開し、各次数毎に振幅Anσ、Anε、位相Bnσ、Bnεを求める。この場合、フーリエ級数展開をする次数nは10以上100以下とする。次数nが10未満であると精度のよい結果が得られず、100より多いと、結果の精度はほとんど変化しないにも関わらず、演算時間が増加するだけである。nは20以上50以下が好ましい。位相遅れδは、損失正接tanδのδで与えられる。また、Vは、全体解析モデル10に設定された周方向経路に存在し、かつ粘弾性損失エネルギーdEmの算出対象となった要素、すなわち同位置要素の体積をそれぞれ積算して求められる。
【0079】
これらを上述した式(1)に与えることにより、全体解析モデル10の一つの周方向経路における、一つの変形の成分に対する粘弾性損失エネルギーdEmを求めることができる。このようにして求めた粘弾性損失エネルギーdEmや、粘弾性損失エネルギーdEmを全成分について積算した全成分粘弾性損失エネルギーdE等を評価指標として用いる。なお、全体解析モデル10について求めた粘弾性損失エネルギー(一つの周方向経路における粘弾性損失エネルギーや、全体解析モデル10を構成するすべての要素の全成分粘弾性損失エネルギーを積算したもの)を、全体解析モデル10の周長で除算することにより、一つの周方向経路における転動抵抗や全体解析モデル10の全転動抵抗を求めることができる。この転動抵抗を評価指標としてもよい。ここで、粘弾性損失エネルギーは、本願出願人の特許第3969821号の方法を用いてもよい。
【0080】
このように、評価指標は、全体解析モデル10におけるそれぞれの変化の繰り返し単位の同じ位置に存在する要素(同位置要素)の物理量を、それぞれの繰り返し単位について取得し、取得した複数の物理量に基づいて求められる。ステップS103で評価指標演算部52cが評価指標を求めたら、ステップS104へ進み、解析情報表示装置50が備える表示制御部52dは、ステップS103で求めた表示情報を表示手段55に表示させる。
【0081】
図14、図15は、評価指標を表示用モデルに表示させた例を示す図である。本実施形態では、表示制御部52dが、評価指標を表示させる表示用モデル30の所定位置に配置して、表示手段55に表示させる。本実施形態では、表示用モデル30として、上述した部分解析モデル20(図5−1参照)を用いる。そして、表示制御部52dは、評価指標を求める際に用いた物理量を取得した同位置要素の位置に評価指標を配置して、配置後の表示用モデル30を表示手段55に表示させる。すなわち、評価指標は、表示用モデル30、より具体的には部分解析モデル20に代表させて表示され、その位置は、前記評価指標を求める際の物理量を取得した同位置要素の位置である。このようにすることで、変形解析の結果を理解しやすくなる。
【0082】
表示制御部52dが、評価指標を表示用モデル30の所定位置に配置して表示手段55へ表示させる場合、本実施形態では、表示制御部52dは、評価指標の大きさ毎に異なる態様で表示手段55に表示させる。例えば、図14−1に示す例では、ハッチングの違いにより、異なる表示情報(例えば、応力振幅Δσ)の大きさを表しており、F1>F2>F3となる。このように、評価指標の大きさ毎に異なる態様で表示手段55に表示させることにより、変形解析の結果がより理解しやすくなる。
【0083】
本実施形態では、説明の便宜上、異なるハッチングで異なる評価指標を表現しているが、実際には、評価指標の大きさ毎に異なる色で表示用モデル30に表現してもよいし(コンター表示)、評価指標の値を表示用モデル30に表してもよい。また、シンボルを表示用モデル30の所定位置に配置して評価指標を表現するとともに、評価指標の大きさに応じてシンボルの大きさを変更(例えば、評価指標が大きくなるにしたがってシンボルを大きくする等)してもよい。このようにしても、評価指標が同じ表示用モデル30に表示されるとともに、評価指標の大きさによって異なる態様で表示されるので、変形解析の結果が理解しやすくなる。また、図15に示すように、表示制御部52dは、2個以上の表示用モデル30を図6−1や図6−2に示す全体解析モデル10のタイヤ周方向(図15の矢印Cで示す方向)に向かって連続して配置して、表示手段55へ表示させてもよい。このように表示させることで、周期構造の境界Bの評価がしやすくなる。
【0084】
また、本実施形態では、表示制御部52dが、評価指標を表示用モデル30に配置して表示手段55へ表示させる場合、表示制御部52dは、全体解析モデル10を構成する要素の変形の成分、すなわち、前記要素の変形を表すテンソル成分、又は前記要素の変形を表すベクトル成分毎に、異なる画像で表示してもよい。これによって、変形の成分毎に表示情報を異なる画像で表示させることによって、評価指標や時間変化情報の発生要因が理解しやすくなる。上述したように、本実施形態では、コンピュータを用いた構造物の解析において、解析結果をより理解しやすい態様で表示手段へ表示させることができる。
【0085】
以上、本実施形態は、複数の評価指標を、同時に対比して比較する場合に、同一の表示用モデル内に複数の評価指標が配置されるため、複数の評価指標間の比較が容易になり、解析結果をより理解しやすくなるという利点がある。また、評価指標の大きさに応じて異なる態様で同一の画像内に表示させるので、異なる評価指標の間における比較やエネルギー分布等が理解しやすくなる。さらに、変形の成分毎に異なる画像に評価指標等を表示させるので、より詳細に解析結果を分析することに役立つという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明に係る解析情報表示方法及び解析情報表示用コンピュータプログラム、並びに解析情報表示装置は、コンピュータを用いた構造物の変形解析に有用であり、特に、変形解析によって得られた結果を理解しやすくさせることに適している。
【符号の説明】
【0087】
1 タイヤ
10、10_1、10_2、10_3 全体解析モデル
12 ラグ溝
20、20_1、20_i 部分解析モデル
30 表示用モデル
50 解析情報表示装置
51 入出力装置
52 処理部
52a モデル作成部
52b 解析部
52c 評価指標演算部
52d 表示制御部
53 入力手段
54 記憶部
55 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状と材料との少なくとも一方が周方向に向かって変化するとともに、その変化が周期的に繰り返される構造物をコンピュータで変形解析し、その解析結果を前記コンピュータが表示手段へ表示させるにあたり、
前記コンピュータが、前記構造物を複数の節点で構成される複数の要素に分割して、前記コンピュータで解析可能な全体解析モデルを作成するモデル作成手順と、
前記コンピュータが、前記全体解析モデルの変形解析を実行する解析手順と、
前記変形解析後に、前記コンピュータが、前記全体解析モデルにおけるそれぞれの前記変化の繰り返し単位の同じ位置に存在する同位置要素の物理量をそれぞれ取得し、取得した複数の物理量に基づいて評価指標を求める評価指標演算手順と、
前記コンピュータが、求めた前記評価指標を、表示用モデルの所定位置に配置して、前記表示手段に表示させる表示手順と、
を含むことを特徴とする解析情報表示方法。
【請求項2】
前記モデル作成手順においては、
前記コンピュータは、前記変化の一周期に相当する前記構造物の部分を、複数の節点で構成される複数の要素に分割して、前記コンピュータで解析可能な部分解析モデルを作成し、当該部分解析モデルを前記構造物の周方向に向かって一周分展開することにより前記コンピュータで解析可能な全体解析モデルを作成し、
前記評価指標演算手順においては、前記変形解析後に、前記コンピュータは、前記全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量をそれぞれ取得し、取得した複数の物理量に基づいて評価指標を求め、
前記表示手順においては、前記部分解析モデルを前記表示用モデルとするとともに、前記コンピュータは、求めた前記評価指標を、前記部分解析モデルの前記同位置要素の位置に配置して、配置後の前記部分解析モデルを前記表示手段に表示させる請求項1に記載の解析情報表示方法。
【請求項3】
前記解析手順において、前記コンピュータは、前記全体解析モデルと、当該全体解析モデルをその周方向に所定の角度回転させた回転全体解析モデルと、に対して前記変形解析を実行し、
前記評価指標演算手順において、前記コンピュータは、前記全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量、及び前記回転全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量に基づいて前記評価指標を求める請求項2に記載の解析情報表示方法。
【請求項4】
前記回転全体解析モデルは複数用いられ、それぞれの前記回転全体解析モデルは、前記全体解析モデルに対して回転させる角度が異なる請求項3に記載の解析情報表示方法。
【請求項5】
前記評価指標は、前記解析モデルを構成する前記要素の応力及びひずみから求められる粘弾性損失エネルギーである請求項1から4のいずれか1項に記載の解析情報表示方法。
【請求項6】
前記構造物はタイヤであり、前記タイヤの転動抵抗への寄与を前記評価指標とし、当該評価指標を前記タイヤの接地面の場所毎に求める請求項5に記載の解析情報表示方法。
【請求項7】
前記表示手順において、前記コンピュータは、2個以上の前記表示用モデルを前記全体解析モデルの周方向に向かって連続して配置して、前記表示手段へ表示させる請求項1から6のいずれか1項に記載の解析情報表示方法。
【請求項8】
前記表示手順において、前記コンピュータは、前記評価指標を、大きさ毎に異なる態様で前記表示手段に表示させる請求項1から7のいずれか1項に記載の解析情報表示方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の解析情報表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする解析情報表示用コンピュータプログラム。
【請求項10】
形状と材料との少なくとも一方が周方向に向かって変化するとともに、その変化が周期的に繰り返される構造物を変形解析し、その解析結果を表示手段へ表示させるものであり、
前記構造物を複数の節点で構成される複数の要素に分割して、コンピュータで解析可能な全体解析モデルを作成するモデル作成部と、
前記全体解析モデルの変形解析を実行する解析部と、
前記変形解析後に、前記全体解析モデルにおけるそれぞれの前記変化の繰り返し単位の同じ位置に存在する同位置要素の物理量を、それぞれの前記繰り返し単位について取得し、取得した複数の物理量に基づいて評価指標を求める評価指標演算部と、
当該評価指標演算部が求めた前記評価指標を、所定の表示用モデルの所定位置に配置して、前記表示手段に表示させる表示制御部と、
を含むことを特徴とする解析情報表示装置。
【請求項11】
前記モデル作成部は、前記変化の一周期に相当する前記構造物の部分を、複数の節点で構成される複数の要素に分割して、前記コンピュータで解析可能な部分解析モデルを作成し、当該部分解析モデルを前記構造物の周方向に向かって一周分展開することにより前記コンピュータで解析可能な全体解析モデルを作成し、
前記評価指標演算部は、前記変形解析後に、前記全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量をそれぞれの前記部分解析モデルについて取得し、取得した複数の物理量に基づいて評価指標を求め、
前記表示制御部は、前記評価指標演算部が求めた前記評価指標を、前記部分解析モデルの前記同位置要素の位置に配置して、配置後の前記部分解析モデルを前記表示手段に表示させる、請求項10に記載の解析情報表示装置。
【請求項12】
前記解析部は、前記全体解析モデルと、当該全体解析モデルをその周方向に所定の角度回転させた回転全体解析モデルと、に対して前記変形解析を実行し、
前記評価指標演算部は、前記全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量、及び前記回転全体解析モデルを構成するそれぞれの前記部分解析モデルの同じ位置に存在する同位置要素の物理量に基づいて前記評価指標を求める請求項11に記載の解析情報表示装置。
【請求項13】
複数の前記回転全体解析モデルが用いられ、それぞれの前記回転全体解析モデルは、前記全体解析モデルに対して回転させる角度が異なる請求項12に記載の解析情報表示装置。
【請求項14】
前記評価指標は、前記解析モデルを構成する前記要素の応力及びひずみから求められる粘弾性損失エネルギーである請求項10から13のいずれか1項に記載の解析情報表示装置。
【請求項15】
前記構造物はタイヤであり、前記タイヤの転動抵抗への寄与を前記評価指標とし、当該評価指標を前記タイヤの接地面の場所毎に求める請求項14に記載の解析情報表示装置。
【請求項16】
前記表示制御部は、2個以上の前記表示用モデルを前記全体解析モデルの周方向に向かって連続して配置して、前記表示手段へ表示させる請求項10から15のいずれか1項に記載の解析情報表示装置。
【請求項17】
前記表示制御部は、前記評価指標を、大きさ毎に異なる態様で前記表示手段に表示させる請求項10から16のいずれか1項に記載の解析情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−54031(P2011−54031A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203845(P2009−203845)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】