説明

触覚によるフィードバックを有するデータ入力機器

データ入力機器(10)は、タッチ検出機構(28)を有するタッチ入力インタフェース(14)と、印加電圧を用いて形状、サイズ、又は粘性が変化するように構成された材料からなる複数の領域(22、22a〜22G、32)と、を備える。上記データ入力機器(30)は、上記タッチ検出機構(28)によってユーザのタッチが検出される領域における材料の形状、サイズ、粘性が変化する領域に、電圧を印加することによって、ユーザによってタッチされる確定領域(22d、22g、32)の材料を少なくとも一時的に活性化させるように構成されることで、前記ユーザによりタッチされた前記確定領域(22d、22g、32)を触覚により提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ入力機器及びそれを備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップトップコンピュータ、携帯電話機、携帯型マルチメディアプレーヤなどの多くの携帯型コンピュータや電子装置は、例えばメニューから項目をスクロールしたり、選択するためのタッチパッド、トラックボール、ジョグホイール、或いはクリックホイールなどのタッチ入力インタフェースを備える触覚データ入力機器を含む。ユーザは、上記タッチ入力インタフェースをタッチ及び移動させる、或いは上記タッチ入力インタフェース上に指又はスタイラスをタッチ又はスライドさせることによって入力を行う。
【0003】
そのような触覚によるデータ入力機器で問題となるのは、上記タッチ入力インタフェースの移動、位置、或いは方向についてユーザに何らの触覚によるフィードバックも付与されないことである。ユーザは、そのため、コンピュータや電子装置へ行為の結果を触覚を用いて感じることができず、コンピュータや電子装置からの視覚的又は触覚的な応答に依存しなければならない点で、触覚が遮断された状態となる。例えば、ディスプレイを見たり、上記装置から与えられる音声フィードバック信号を聞くことなく、正しくタッチ入力機器にタッチすることで触覚によるデータ入力機器のタッチ入力インタフェースを介して既に選択されている音量レベルをユーザが感知する方法はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記従来の不都合の少なくとも1つを解消又は改善し、利便性のある代替手段を提供することである。更に本発明の目的は、ユーザに接触によるフィードバックを提供する改良されたデータ入力機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的の少なくとも1つは、タッチ検出機構(28)を有する2次元又は3次元のタッチ入力インタフェース(14)と、サイズや形状の面積や体積などの、電圧を用いて形状、サイズ、又は粘性が変化するように構成された材料からなる複数の領域と、を備えるデータ入力機器によって達成される。上記データ入力機器は、上記タッチ検出機構によってユーザのタッチが検出される領域における材料の形状・サイズ・粘性が変化する領域に、電圧を印加することによって、ユーザによってタッチされる確定領域の材料を少なくとも一時的に活性化させるように構成されることで、上記ユーザによりタッチされた上記確定領域を触覚により提示する。各領域は、電極を備え、或いは上記領域の材料の少なくとも一部の形状、サイズ及び・又は粘性を変化させるために、電圧が印加できるように構成され、1つの対の電極は、例えば、複数の領域の材料を活性化するように構成され得る。上記タッチ入力インタフェースは、好ましくは、上記データ入力機器及び・又は上記データ入力機器を包含する装置に関して、非変位、非回転など、固定的である。
【0006】
このようなデータ入力機器は、ユーザに対して、タッチ入力インタフェース上におけるユーザの指・スタイラスの前の移動・位置を簡素に、直感的に、触覚的に提示し、移動・回転する機械的な部品を有さずに構成できるので、従来の機械的なスライダや回転ホイールなどの移動・回転する機械的な触覚によるインジケータを備えるデータ入力機器において起こり得る不具合の可能性を排除する。ユーザは、例えば、触覚による提示が付与されて、ディスプレイ上のグラフィックアイコンを見たり、音声フィードバック信号を聞くことなく、タッチ入力インタフェースからどのくらい離れているかを視覚的に判断することによって、リニアなタッチ入力インタフェースを通じて選択された音量レベル(音量が高いは低いかなど)を簡単に感じるために自分の指先やスタイラスを使うことができる。
【0007】
“タッチ入力インタフェース”の表現は、ユーザが、タッチ入力インタフェースにタッチ且つ移動させるか、タッチ入力インタフェース上で指やスタイラスその他の何らかの物体をタッチ且つスライドさせることにより、コマンド及び・又は情報などを入力する、インタフェースを意味することを意図している。ユーザが単にタッチ又は押すことによって入力する、プッシュボタンやタッチスクリーン領域などのインタフェースを含むことは意図していない。上記タッチ入力インタフェースは、アプリケーション中や装置の異なるアプリケーション間で案内・スクロールを行ったり、装置のディスプレイ上でカーソルをコントロールし、これにより例えば異なる機能、コマンド、アプリケーションを選択するように、1又は2以上の装置の1又は2以上の機能をコントロールするために使用し得る。
【0008】
なお、“複数の領域の材料”は、各領域の材料が分離され、他の領域と区別されることを必ずしも意味しない。本発明に係るデータ入力機器は、つまり、領域の面積の1つ又は2以上の部分を局所的に活性化するように当該領域の面積・容積内に電極を配設することにより実際に複数の領域に分割された1つの面積・容積の材料を備えることができる。
【0009】
本発明に係るデータ入力機器は、必ずしも1つの領域の材料を活性化するように構成される必要はないが、ユーザによりタッチされる確定領域を触覚により提示することを容易にするために複数の近接した領域を活性化するように構成し得ることが理解されるであろう。
【0010】
本発明の実施形態によれば、上記材料は、その際サイズ・形状が可逆的に変形する電気活性ポリマー(EAP)(電子筋肉や人口筋肉としても知られている)である。代替手段としては、上記材料は、電界を用いてその粘性や体積が可逆的に変化可能な電気流動性流体などの、電界又は磁界を印加することにより特性が変化可能なスマート流体にし得る。代替手段としては、上記材料は、電界を印加したときにその寸法が(可逆的に)変化する圧電性の材料にし得る(所謂、逆圧電効果)。データ入力機器は、それら複数の領域に印加される電圧を用いてそれらの形状、サイズ、粘性が変化するように構成された複数の異なる材料を備える。
【0011】
本発明の実施形態によれば、上記データ入力機器は、タッチ検出機構によってユーザのタッチが検出される領域における各領域の材料の形状・サイズが変化するように、ユーザがタッチする領域に電圧を印加することによってユーザがタッチしているとき、ユーザによってタッチされる全ての領域の材料を少なくとも一時的に活性化させるように構成されている。ユーザは、これにより、逐次活性化される領域が自分の指先・スタイラスの動きに追従(目標を追跡)するので、自分の指先・スタイラスで仮想的な機械的スライダを動かしているように感じる。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、上記データ入力機器は、ユーザが上記活性化された領域の材料に近接した領域の材料を連続してタッチするとき・したならば、その領域の材料が元の形状・サイズに戻るか、非活性化された形状・サイズに戻るように、その領域に印加される電圧を除去することなどにより、活性化された領域の材料を非活性化するように構成されている。
【0013】
本発明の更なる実施形態によれば、上記データ入力機器は、逐次活性化される領域に電圧を順に増加・減少させて印加するように構成される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、上記データ入力機器は、ユーザによりタッチされる上記確定領域が、パルス、振動、加熱、冷却、移動を発生するように、更に触覚によるフィードバックを付与するように構成される。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、上記データ入力機器は、上記入力インタフェース・データ入力機器の電源がオフ或いは所定の時間使用されていないときなど、上記タッチ入力インタフェース・データ入力機器の動作が停止した場合に、全ての活性化された領域の材料が非活性化されるように構成される。この方法では、バッテリや処理電力がセーブされ得ると同時に、上記入力インタフェース・データ入力機器は動作しなくなる。本発明の更なる実施形態によれば、上記データ入力機器は、ユーザによりタッチされた材料の上記確定領域に関する情報或いはユーザの好みを記憶するように構成された記憶部を備える。データ入力機器は、上記タッチ入力インタフェース・データ入力機器の動作が復帰し、或いはユーザから要求された場合に上記記憶部の情報を用いて、ユーザによりタッチされた非活性化された確定領域の材料を再度活性化するように構成され得る。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、上記タッチ入力インタフェースは平面であり、円盤形状又は少なくとも部分的に3次元形状を構成し、上記タッチ面上のユーザの接触位置に基づいて、例えばプロセッサにデータを入力するように動作する。
【0017】
本発明の更なる実施形態によれば、上記複数の領域の材料は、ユーザが上記タッチ入力インタフェース上に指・スタイラスをスライドさせたときにより滑らかな連続的な感じを受けるように、上記タッチ入力インタフェースの全面積・容積をカバーするように構成される。
【0018】
また、本発明は、本発明のいずれかの実施形態に係るデータ入力機器を備える装置に関する。上記装置は、携帯電話機、メディア・プレーヤ、パーソナル通信システム(PCS)端末、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、ゲーム機、ミキシング・コンソール、小型受信装置、カメラ、テレビなどの携帯型機器になり得る。
【0019】
本発明の実施形態によれば、上記装置の上記タッチ入力インタフェースは、上記装置が例えば落下されたときの破損や、不活性な領域のいずれかが誤って活性化されることから守るように、上記装置の表面に凹みが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、以下に、付加された図表で参照される限定されない例を用いて更に説明される。なお、図面は原寸通りに描画されているわけではなく、説明の便宜上、特定の要素の寸法が誇張されている。
【図1】本発明の実施形態に係る装置を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係るデータ入力機器のタッチ入力インタフェースの断面図。
【図3】本発明の実施形態に係るデータ入力機器のタッチ入力インタフェースの断面図。
【図4】本発明の実施形態に係るデータ入力機器を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係るデータ入力機器と従来の機械的なコントロールインタフェースを示す図。
【図6】本発明の実施形態に係るタッチ入力インタフェースを示す図。
【図7】本発明の実施形態に係るデータ入力機器のタッチ入力インタフェースの断面図。
【図8】本発明の実施形態に係るデータ入力機器のタッチ入力インタフェースの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は装置10、つまり本発明の実施形態に係る携帯電話機を示している。この装置10は、CRT、フラットパネルディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、或い液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ12と、図示の実施形態では平面な2次元矩形領域で示されるようなタッチ入力インタフェース14とを備える。なお、タッチ入力インタフェース14は、装置のディスプレイの少なくとも一部を構成し得る。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係るデータ入力機器のタッチ入力インタフェース14の断面を示している。図示の実施形態ではタッチ入力インタフェース14は、上記装置10の外面を構成する上部表面を有する、フレキシブルシリコン層などの透明或いは透明でない伸縮性のシールド層16を含む。固体基板18は、上記シールド層16の下部に設けられる。上記固体基板18は、図示の実施形態では、上記固体基板18の中に幅広く延びる複数の空隙20を含むが、必ずしも本例にする必要はない。
【0023】
各空隙20は、印加電圧を用いて、形状、サイズ、粘性が変化するように構成された材料からなる領域22a、22b、22c、22d、22eを包含する。上記材料は、イオン電気活性ポリマーやイオン系ポリマー金属合成物、カーボンナノチューブなどの電気活性ポリマー(EAP)にし得る。各空隙20は、完全に或いは部分的にだけEAPが充填され、後者の場合、EAPは、例えばEAPを保護するためのゲルの形態で電解質24により包囲され得る。
【0024】
各空隙20には、2つの電極26が設けられ、当該電極26の間に電圧が印加されると、上記EAP22a、22b、22c、22d、22eが反応し、そのサイズが変化する。上記シールド層16が、上記空隙20の底部及び側壁よりも柔軟性を持つため、上記EAPは膨張又は収縮し、その結果、活性化されたEAP領域の上記柔軟なシールド層16を上昇又は下降させる。
【0025】
上記装置10は、図示の実施形態では、上記固体基板18の下部に配置されたタッチ検出機構28を備え、タッチ検出機構は、抵抗型、容量型、或いは圧電型のタッチパネルを備える。ディスプレイ12が上記タッチ検出機構28の下部に設けられ得る。本発明の変形形態によれば、上記タッチ検出機構28は、ユーザが上記タッチ入力インタフェース14にタッチしたときに、上記EAP22a、22b、22c、22d、22eのサイズ・形状・粘性を変化させるのに用いられる印加電圧を発生するように構成された圧電性の材料を備える。
【0026】
ユーザが、装置10で再生されている曲の音量を大きくするために、上記シールド層16に沿って領域22aから領域22Dへ自分の指をスライドさせると、上記タッチ入力インタフェース14に作用した圧力が上記EAP領域22a〜22dを押し、下部のタッチ検出機28の領域に対して、包囲する電解質を下方に押す。上記ユーザによりなされるデータの入力・選択は、上記装置10の、制御部などの適切な部分に伝達され、上記再生されている曲の音量が上記ユーザに選択されたレベルに変更される。上記装置10は、領域22dの材料のサイズを変化させるために当該領域22dの上記電極に電圧を印加することによって、ユーザによってタッチされるEAPからなる確定領域22dを少なくとも一時的に活性化させることで、ユーザによりタッチされた上記確定領域22dを触覚的に提示する。
【0027】
図3は、上記確定領域がユーザによりタッチされ、領域22dが活性化されているときの図2に示す上記タッチ入力インタフェース14を示している。なお、代替手段として、活性化された領域22dは、上記ユーザによりタッチされた上記確定領域22dを触覚的に提示するために、上記包囲する領域22a、22b、22c、22eよりも低くし得る。また、上記シールド層16は、EAPからなる領域22dが膨張及び収縮可能な伸縮層よりも(図3に示すように)活性化・非活性化された場合に、EAPからなる領域22dの膨張・収縮を許容する開口部を備える。
【0028】
本発明の実施形態によれば、上記装置10は、上記タッチ検出機構28によってユーザのタッチが逐次検出される全ての領域22a〜22dの上記電極26に電圧を印加することでユーザによりタッチされる全ての領域の材料を少なくとも一時的に活性化させるように構成されている。その結果、活性化された領域の材料22a〜22cは、ユーザが上記活性化された領域の材料に近接した領域の材料を連続してタッチするとき・したならば、上記領域22a〜22cの材料が元の形状・サイズに戻るか、非活性化された形状・サイズに戻るように、上記領域22a〜22cの上記電極26に印加される電圧を除去することにより、活性化された領域22a〜22cの材料を非活性化する。例えば、ユーザが自分の指を領域22aから22bへスライドさせるに従い、ユーザに従来の機械的なスライダ−当該スライダが逐次活性化される領域の材料により構成されている−を動かしている印象を与えるために、領域22aが非活性化され、領域22bが活性化される。
【0029】
図4は、上記機器30の表面に凹みを形成する平面なタッチ入力インタフェース14を備える本発明の実施形態に係るデータ入力機器30を示している。このようなデータ入力機器は、携帯電話機、メディア・プレーヤ、パーソナル通信システム(PCS)端末、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、ゲーム機、ミキシング・コンソール、小型受信装置、カメラ、テレビなどの装置10の一体化された部分を構成し得るか、装置に対して遠隔に配置され、装置と無線通信し得る。
【0030】
上記タッチ入力インタフェース14は、ユーザが見えるように、活性化された領域32の材料を示している。なお、上記活性化された領域32がユーザに対して視認可能であるが(かつ例えば、照明することでより視認性を良くし得る)、本発明の目的は、単独でユーザの触覚だけで検知し得る触覚により検知可能な領域32を付与することである。なお、ユーザによりタッチされる上記確定領域の材料は、少なくとも上記確定領域を取り囲む領域を盛り上げることによって活性化される代わりに又はそれに加えて、少なくとも上記確定領域を取り囲む領域を低くすることによって活性化され得る。
【0031】
ユーザが上記活性化された領域を感じるように上記タッチ入力インタフェース14に自分の指や親指を置くと、上記データ入力機器は、ユーザが活性化された領域32をタッチする前にいずれの領域の材料も活性化されないように構成され得る、例えば、ユーザがデータ入力を開始し、その結果、先ず上記活性化された領域32をタッチし(上記活性化された領域32が従来の機械的なスライダであった場合のように)、その後、上記活性化された領域32に近接する領域の材料をタッチするように自分の指や親指をスライドすることによって他の領域の材料が活性化する。しかしながら、上記タッチ入力機器30は、代替手段又は追加手段として、ユーザがデータ入力を開始することを許容し、その結果、先ず上記活性化された領域32をタッチすることなしに上記活性化された他の領域を活性化し得る。
【0032】
本発明に係るデータ入力機器は、ユーザがz方向(例えば、上記領域が活性・非活性となるように押される方向において上記活性化された・非活性化された領域の平面に垂直な方向)に小さな力・圧力を印加しながら、その位置を正しく検出するように、活性化された・非活性化された領域上に対して自分の指を動かし得ることを意味する“起動摩擦力”を有するように構成し得る。その後、ユーザは活性化された・非活性化された領域を活性化・非活性化するように更に強く押すことができる。抵抗型のタッチアレイなどのセンサは、例えばユーザが活性化された・非活性化された領域をどれくらい強く押しているかを検出するために使用され、これにより、ユーザが所定の閾値を超えたz方向の力で領域を押すと、上記起動摩擦力が解消され得る。これは、従来の機械的なスライダを押す感覚により近づけて再現する。
【0033】
上記データ入力機器30は、上記タッチ入力インタフェース14及び・又はデータ入力機器30及び・又は上記装置10が操作された後、操作されなくなり、或いは所定の時間使用されないとき・ならば、処理結果及びバッテリの電力をセーブするために、上記活性化された領域32の材料を自動的に非活性化するように構成され得る。上記データ入力機器30は、ユーザによりタッチされた材料からなる上記確定領域、つまり活性化された領域32に関する情報を記憶するように構成された記憶部34を備える。その結果、上記データ入力機器30は、上記タッチ入力インタフェース14及び・又はデータ入力機器30の動作が復帰し、或いはユーザから要求を受けた場合に上記記憶部34に記憶された情報を用いて、ユーザによりタッチされた非活性化された確定領域の材料を再度活性化するように構成され得る。また、上記記憶部34はユーザの好みを記憶するのに使用し得る。
【0034】
図5は、印加電圧を用いて形状、サイズ或いは粘性が変化するように構成された材料22からなる、その表面に数ミクロン或いはそれ未満の寸法を有する糸などの、複数の糸を備える固定的なシリンダの形態で本発明の実施形態に係るタッチ入力インタフェース14を示している。上記糸からなる材料22は、図5に示すように、間隔をあけて配置され、或いは、上記タッチ入力インタフェース14の全体の長さ及び・又は幅に沿って糸の材料22を重ね合わせ又は織り交ぜることによって、タッチ入力インタフェース14の全面積・容積をカバーするように構成され得る。糸状の材料32の1つが活性化された状態で示されている。
【0035】
このようなタッチ入力インタフェース14は、本発明に係るデータ入力装置のタッチ入力インタフェース14が機械的に動く部品を持たずに構成されているが、ユーザへの感触の程度に関しては、従来の機械的に作動するスライダ36に匹敵するものとなる。
【0036】
本発明に係る装置10は、もちろん複数のタッチ入力インタフェース14を備え、それにより、ユーザは、自分の触覚だけで複数のタッチ入力インタフェース14の移動・位置・方向を判定できる。
【0037】
図6は、円盤状の形態での本発明の実施形態に係るタッチ入力インタフェース14を示している。上記タッチ入力インタフェース14には、印加電圧を用いて形状、サイズ、及び・又は粘性が変化するように構成された材料22からなる複数の領域が設けられている。材料22からなる上記領域は、ユーザが触覚により検知可能な十分な大きさの材料22からなるドットにできる。また、上記タッチ入力インタフェース14は、ユーザがデータを入力するためのボタン・領域・ボリューム40を備える。上記ボタン・領域・ボリューム40は、例えば、所定の回数上記ボタン・領域・ボリューム40を打つ・押すことで、ユーザが材料22からなる領域を非活性化するのを許容する。
【0038】
図7は、逐次活性化される領域において順に電極に印加する電圧を増加させるように構成された、本発明の実施形態に係る装置10のタッチ入力インタフェース14を示している。図7は、半球状の活性化された領域22a〜22gを示し、それによりユーザが自分の指を領域22aから領域22gへ移動したことが分かるようにしたタッチ入力インタフェース14の断面を示している。これにより、ユーザは、領域22gが自分の触覚だけで活性化された上記確定領域であったことが判断できる。
【0039】
図8は、ユーザによりタッチされる上記確定領域22gに、パルス、振動、加熱、冷却、移動を発生するように、更に触覚によるフィードバックを付与するように構成される、本発明の実施形態に係る装置10のタッチ入力インタフェース14を示している。しなしながら、ユーザにより活性化される材料からなる領域22a〜22gの全てに、更に触覚によるフィードバックを付与するように構成され得る。装置10は、例えば、ユーザによりタッチされる第1の領域22aからユーザによりタッチされる確定領域22gへ領域22a〜22gの材料の振動量を順に増加するように構成し得る。
【0040】
本発明の更なる変更は、本発明の趣旨の範囲内において当業者に明らかである。例えば、請求項は、印加電圧を用いて形状、サイズ、又は粘性が変化するように構成された材料22からなる複数の領域を有するデータ入力機器を対象としているが、本発明に係るデータ入力機器は、代替手段として、各領域が必ずしも電極を備えない場合には、磁界を用いて形状、サイズ、又は流動性が変化するように構成された材料からなる複数の領域を備えることができる。
【0041】
更にまた、本発明に係るデータ入力機器は、ユーザに力を出力するために使用されると同時に、或いはその代わりにデータを入力するために使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ検出機構(28)を有するタッチ入力インタフェース(14)と、電圧を用いて形状、サイズ、又は粘性が変化するように構成された材料からなる複数の領域(22、22a〜22G、32)と、を備えるデータ入力機器(30)であって、
前記データ入力機器(30)は、前記タッチ検出機構(28)によってユーザのタッチが検出される領域における材料の形状、サイズ、粘性が変化する領域に、電圧を印加することによって、ユーザによってタッチされる確定領域(22d、22g、32)の材料を少なくとも一時的に活性化させるように構成されることで、前記ユーザによりタッチされた前記確定領域(22d、22g、32)を触覚により提示することを特徴とするデータ入力機器(30)。
【請求項2】
前記材料は、電気活性ポリマー(EAP)、電気粘性流体或いは圧電性材料などのスマート流体である、ことを特徴とする請求項1に記載のデータ入力機器(30)。
【請求項3】
前記タッチ検出機構(28)によってユーザのタッチが検出される領域における各領域の材料の形状・サイズが変化するように、ユーザがタッチする領域に電圧を印加することによって、ユーザによってタッチされる全ての領域の材料(22d、22g、32)を少なくとも一時的に活性化させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ入力機器(30)。
【請求項4】
ユーザが前記活性化された領域の材料に近接した領域の材料を連続してタッチするとき・したならば、前記領域の材料が元の形状・サイズに戻るか、非活性化された形状・サイズに戻るように、前記領域に印加される電圧を除去することにより、活性化された領域の材料を非活性化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ入力機器(30)。
【請求項5】
逐次活性化される領域に電圧を順に増加・減少させて印加するように構成されることを特徴とする請求項3又は4に記載のデータ入力機器(30)。
【請求項6】
ユーザによりタッチされる確定領域(22d、22g、32)が、パルス、振動、加熱、冷却、移動を発生するように、更に触覚によるフィードバックを付与するように構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデータ入力機器(30)。
【請求項7】
前記タッチ入力インタフェース(14)・データ入力機器(30)の動作が停止した場合に全ての活性化された領域の材料が非活性化されるように構成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデータ入力機器(30)。
【請求項8】
ユーザによりタッチされた材料の前記確定領域(22d、22g、32)に関する情報を記憶するように構成された記憶部を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデータ入力機器(30)。
【請求項9】
前記タッチ入力インタフェース(14)・データ入力機器(30)の動作が復帰し、或いはユーザから要求された場合に前記記憶部(34)の情報を用いて、ユーザによりタッチされた前記非活性化された確定領域(22d、22g、32)の材料を再度活性化するように構成されていることを特徴とする請求項7に従属する請求項8に記載のデータ入力機器(30)。
【請求項10】
前記タッチ入力インタフェース(14)は平面であり、円盤形状又は少なくとも部分的に3次元形状を構成することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデータ入力機器(30)。
【請求項11】
前記複数の領域の材料(22、22a〜22g、32)は、前記タッチ入力インタフェース(14)の全面積・容積をカバーするように構成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデータ入力機器(30)。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のデータ入力機器(30)を備える装置(10)。
【請求項13】
前記装置は、携帯電話機、メディア・プレーヤ、パーソナル通信システム(PCS)端末、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、ゲーム機、ミキシング・コンソール、小型受信装置、カメラ、テレビなどの携帯型機器であることを特徴とする請求項12に記載の装置(10)。
【請求項14】
前記タッチ入力インタフェース(14)は前記装置(10)の表面に凹みが形成されることを特徴とする請求項12又は13に記載の装置(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−521027(P2012−521027A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500089(P2012−500089)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061898
【国際公開番号】WO2010/105705
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(502087507)ソニーモバイルコミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】