説明

計器の駆動装置

【課題】 煩雑な作業を要することなくアフターメータの接続確認が可能な計器の駆動装置を提供する。
【解決手段】 制御ユニット1は、判別のためのスレーブ情報を設定可能な計器に対する接続確認機能として、前記スレーブ情報のうち1つを確認対象とする接続確認要求データを各計器2〜4に送信し、各計器2〜4のいずれかから前記接続確認要求データに応答する接続確認応答データを受信した場合に確認対象とした前記スレーブ情報が設定された計器が接続されていると判断し、前記接続確認応答データが受信されない場合に確認対象とした前記スレーブ情報が設定された前記計器が接続されていないと判断する。前記スレーブ情報を設定可能な計器4は、前記スレーブ情報が未設定である場合に前記接続確認要求データを受信すると受信した前記接続確認要求データの確認対象である前記スレーブ情報を自らに設定し制御ユニット1に前記接続確認応答データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のコンビネーションメータとは別に設けられる計器の駆動装置に関し、特にマルチディスプレイを含む複数のアフターメータが通信可能に接続される計器の駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用の計器としては、速度計,回転計(タコメータ),温度計や燃料計がケース体に収納された既存のコンビネーションメータとは別に、ダッシュボードやインストルメントパネル(インパネ)等に取り付けられるアフターメータと称されるものが知られている。このアフターメータとしては、例えば、単一のアナログ式表示部をケース内に収納し、車両の単一の車両情報(例えば、エンジン回転数)を表示するアナログ式の車両用計器や、発光ディスプレイを有し、前記車両情報をデジタル表示するデジタル式の車両用計器などがある。このような車両用計器は、サーキットレース場等を走行する競技車両等や、スーパーチャージャあるいはターボ付き車両等に搭載されることが多い。かかる車両用計器の種類としては、エンジンの回転数を監視する回転計,エンジンの過給圧を監視する吸気圧計(ブースト計),排気ガスの排気温度を監視する排気温度計,エンジンオイルの温度を監視する油温計あるいはエンジンオイルの圧力を監視する油圧計あるいはこれら複数の車両情報を選択して表示可能なマルチディスプレイ等がある。
【0003】
また、本願出願人は、複数配置されることが想定されるアフターメータの駆動装置として、特許文献1に開示される計器の駆動装置を提案している。特許文献1にて提案される計器の駆動装置は、車両情報データを求める単一のコントロールユニットを設け、このコントロールユニットと前記各車両用計器との間を前記コントロールユニットにより生成されるシリアルデータによって通信してなるもので、車両用計器を複数配設する場合であっても取付作業を簡素化し、かつダッシュボードやインパネ回りの美観を損ねることなく、前記各車両用計器を取り付けることが可能となるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−183523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の計器の駆動装置は、前記コントロールユニットをマスターとし、前記各車両用計器をスレーブとして、前記コントロールユニットによって前記各車両用計器を制御するものである。かかる構成において、マスターとスレーブとの間の通信方法をマスターからスレーブへの一方向通信とすると、スレーブをマスターに対して複数接続する場合はマスターが接続されているスレーブを個々に判別できないため、各スレーブについての機能設定などに関しては各スレーブに設定のための操作手段(スイッチ等)を設ける必要があった。これに対し、マスターとスレーブとの間の通信方法を双方向通信とすると、各スレーブからの情報を受信してスレーブを個々に判別することができ、接続されている各スレーブの個々に対しての指定、命令を行うことができマスターからの機能設定やスレーブの各種状態を加味したより多くの表現方法が可能となり、好適である。なお、スレーブの接続確認は、例えば電源投入直後に行う通常時の動作とは異なる演出動作時に行うことが考えられる。
【0006】
しかしながら、特に複数の車両情報を選択して表示可能なマルチディスプレイをアフターメータとして複数同時に制御可能とする場合には、同一機種(種別)の計器が複数接続される状態となるため、表示する車両情報が固定であるアナログ式計器のように計器の機種(種別)によってあらかじめ設定されるIDコード(認識番号)に基づいて個々の接続確認を行うことができない。したがって、マルチディスプレイについては、接続確認の初回時に、マルチディスプレイに各計器を判別するためのスレーブ番号(スレーブ情報)を設定するスレーブ番号設定画面を強制表示させ、ユーザーがスレーブ番号の設定操作をする方法が考えられる。ここで、スレーブの接続確認が電源投入直後のみであると、スレーブ番号を設定した後に一端電源を切り、再度電源を投入してスレーブの接続確認を行う必要がある。かかる方法は、ユーザーにとって時間を要する煩雑な作業であり、マスターとスレーブとの間の接続確認機能としてはユーザーの利便性を向上させるべく更なる改良の余地があった。
【0007】
本発明は、前述の問題点に鑑み、マルチディスプレイを含む複数のアフターメータが通信可能に接続される計器の駆動装置を更に改善し、煩雑な作業を要することなくスレーブであるアフターメータの接続確認が可能な計器の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、複数の計器と双方向通信可能に設けられ、前記各計器との通信結果によって前記各計器が接続されているか否かを判断する接続確認機能を有する制御ユニットを備える計器の駆動装置であって、前記制御ユニットは、判別のためのスレーブ情報を設定可能な計器に対する前記接続確認機能として、前記スレーブ情報のうち1つを確認対象とする接続確認要求データを前記各計器に送信し、前記各計器のいずれかから前記接続確認要求データに応答する接続確認応答データを受信した場合に確認対象とした前記スレーブ情報が設定された前記計器が接続されていると判断し、前記接続確認応答データが受信されない場合に確認対象とした前記スレーブ情報が設定された前記計器が接続されていないと判断し、前記スレーブ情報を設定可能な前記計器は、前記スレーブ情報が未設定である場合に前記接続確認要求データを受信すると、受信した前記接続確認要求データの確認対象である前記スレーブ情報を自らに設定し、前記制御ユニットに前記接続確認応答データを送信することを特徴とする。
【0009】
また、前記制御ユニットは、前記接続確認要求データを第一の回数送信しても前記接続確認応答データが受信されない場合に確認対象とした前記スレーブ情報が設定された前記計器が接続されていないと判断し、前記スレーブ情報を設定可能な前記計器は、前記スレーブ情報が未設定である場合に確認対象とする前記スレーブ番号が同一である前記接続確認要求データを前記第一の回数より少ない第二の回数受信すると、受信した前記接続確認要求データの確認対象である前記スレーブ情報を自らに設定し、前記制御ユニットに前記接続確認応答データを送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、マルチディスプレイを含む複数のアフターメータが通信可能に接続される計器の駆動装置を更に改善し、煩雑な作業を要することなくスレーブであるアフターメータの接続確認が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の計器の駆動装置の構成を示すブロック図。
【図2】同上計器の駆動装置における計器の構成を示すブロック図。
【図3】同上計器の駆動装置における制御方法を示すフローチャート図。
【図4】同上計器の駆動装置における制御方法を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第一の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1及び図2を用いて計器の駆動装置の全体構成を説明する。計器の駆動装置は、図1に示すように、コントロールユニット(制御ユニット)1と、第一の計器2と、第二の計器3と、マルチディスプレイ4と、操作スイッチ5と、から主に構成されている。
【0013】
コントロールユニット1は、主にマイクロコンピュータからなり、車両情報を示す各状態信号を入力するA/D変換部と、所定の処理動作プログラムを実行するCPUと、前記処理動作プログラム等が記憶されたROMと、前記CPUにより処理されたデータ等を一時的に記憶するRAMと、パラレルデータをシリアルデータに変換するパラレル・シリアル変換部(P/S変換部)と、各種の設定を不揮発的に記憶するEEPROMやバックアップRAM等からなる記憶部と、を備える。また、コントロールユニット1は、前記シリアルデータを所定の周期により送信する送信部と、第一,第二の計器2,3及びマルチディスプレイ4からの後述する接続確認応答データを受信する受信部と、を有し、第一,第二の計器2,3及びマルチディスプレイ4と双方向通信可能に設けられている。なお、コントロールユニット1と第一,第二の計器2,3及びマルチディスプレイ4とはコントロールユニット1からのシリアルデータを転送する多重伝送通信線を含む配線部材6を介して接続されている。本実施形態においてコントロールユニット1からの前記シリアルデータは、配線部材6を介して第一の計器2→第二の計器3→マルチディスプレイ4の順に伝達される。コントロールユニット1は、コントロールユニット1で駆動可能な各計器が接続されているか否かを判断する接続確認機能を有する。
【0014】
コントロールユニット1は、前記車両情報を示す前記各状態信号を入力すると、前記各状態信号に応じて所定の演算処理を行い前記車両情報の各計測データを算出する。また、コントロールユニット1は、通常動作モードにおいては、前記各計測データであるパラレルデータをシリアルデータに変換し、第一,第二の計器2,3の制御手段2a,3a及びマルチディスプレイ4の制御手段4aに送信する。
【0015】
第一,第二の計器2,3は、図1及び図2に示すように、制御手段2a,3aと、アナログ式の表示部2b,3bと、発光素子2c,3cと、をそれぞれケース体内に収納してなるアナログ式の計器である。
【0016】
制御手段2a,3aは、マイクロコンピュータからなり、コントロールユニット1によって送信される前記シリアルデータを受信し前記シリアルデータに基づいて表示部2b,3bを制御するものである。なお、制御手段2a,3aは、配線部材6を介して他の計器と接続可能な接続部を備え、複数の車両用計器を互いに接続して前記シリアルデータで通信可能となっている。また、制御手段2a,3aは、ディップスイッチ等によって計器の機種(種別)を識別するためのIDコード(認識番号)が設定されている。
【0017】
発光素子2c,3cは、例えばLEDからなり、点灯あるいは点滅することで車両情報が所定値以上(あるいは所定値以下)であること,配線の断線あるいはショートまたは通信エラー等の警告情報を報知する発光表示部を構成するものである。
【0018】
マルチディスプレイ4は、制御手段4aと、液晶表示素子や有機EL素子等のドットマトリクス型の発光表示素子からなる発光表示部4bと、をケース体内に収納してなるものである。マルチディスプレイ4は、各種車両情報や車両情報が所定値以上(あるいは所定値以下)であること,配線の断線あるいはショートまたは通信エラー等の警告情報やその他の情報を選択してあるいは切り替えて表示可能なものである。
【0019】
制御手段4aは、マイクロコンピュータからなり、コントロールユニット1によって送信される前記シリアルデータを受信し前記シリアルデータに基づいて発光表示部4bを制御するものである。なお、制御手段4aは、配線部材6を介して他の計器と接続可能な接続部を備え、複数の車両用計器を互いに接続して前記シリアルデータで通信可能となっている。また、制御手段4aは、後述するスレーブ接続確認応答処理によって計器を判別するためのスレーブ番号(スレーブ情報)を設定可能となっている。
【0020】
操作スイッチ5は、例えば複数の押しボタンスイッチやスライドスイッチ等を有し、各種操作に応じた操作信号をコントロールユニット1に出力し、コントロールユニット1に備えられる各種計器に関する機能の選択や実行等の操作を行うためのものである。
【0021】
以上の各部によって計器の駆動装置が構成されている。
【0022】
次に、前述の接続確認機能について説明する。
【0023】
コントロールユニット1は、電源が投入されると、前記接続確認機能の1つとして、前記IDコードに基づくアナログ式計器の接続確認を行う。かかる接続確認は、コントロールユニットが前記IDコードの1つを確認対象としてアンサーバックを要求する接続確認要求データを接続される各計器に送信し、各計器からアンサーバックとして確認対象とした前記IDコードの接続確認応答データを受信することで行う。そして、接続されていると判断された前記IDコードを有する計器に関する接続情報を「ON(接続あり)」に設定し、接続がされていないと判断された前記IDコードを有する計器に関する接続情報を「OFF(接続なし)」に設定する。
【0024】
また、コントロールユニット1は、以下に説明するように、前記接続確認機能の1つとして、複数の車両情報を選択して表示可能なマルチディスプレイに関する接続確認を行う。本実施形態においては、コントロールユニット1は、複数(例えば7つ)のマルチディスプレイを同時に制御可能な構成としている。
【0025】
コントロールユニット1は、電源が投入されると、図3に示すマスター接続確認要求処理を開始し、ステップS1において全スレーブ番号(本実施形態においてはスレーブ番号=1〜7)について接続確認が終了したと判断されるまで、ステップS2〜S7の処理を繰り返す。
【0026】
コントロールユニット1は、ステップS2において、接続確認の対象とするスレーブ番号(以下、対象スレーブ番号という)を設定する。なお、対象スレーブ番号の設定値は初期値=1であり、その後設定が更新される毎に最大値まで1ずつ加算される。
【0027】
コントロールユニット1は、ステップS3において、前記対象スレーブ番号が設定された計器に対してアンサーバックを求める接続確認要求データを送信する。前記接続確認要求データは配線部材6を介して実際にコントロールユニット1に接続される計器(本実施形態においては第一,第二の計器2,3及びマルチディスプレイ4)に送信される。前記対象スレーブ番号が設定された計器は、前記接続確認要求データを受信するとアンサーバックとして接続確認応答データを配線部材6を介してコントロールユニット1に送信する。なお、本実施形態において、第一,第二の計器2,3は前記スレーブ番号が設定されることはなく、マルチディスプレイ4は初期時には前記スレーブ番号が未設定であり、後述するスレーブ接続応答処理によってコントロールユニット1に接続した後に自らに前記スレーブ番号を設定するものである。
【0028】
コントロールユニット1は、ステップS4において、配線部材6を介して各計器2〜4から接続確認応答データが受信されたか否かを判断し、ステップS4で前記接続確認応答データが受信される場合は前記対象スレーブ番号が設定された計器が接続されていると判断してステップS5に移行し、前記対象スレーブ番号に関する接続情報を「ON(接続あり)」に設定する。
【0029】
また、コントロールユニット1は、ステップS4で前記接続確認応答データが受信されない場合は前記対象スレーブ番号が設定された計器が接続されていないと判断してステップS6に移行し、さらに前記接続確認要求データを所定の第一の回数(本実施形態では5回)送信して前記接続確認応答データの受信確認を行ったか否かを判断する。
【0030】
コントロールユニット1は、ステップS6で前記接続確認要求データを前記第一の回数送信していない場合はステップS3に移行して前記接続確認要求データの送信とステップS4の前記接続確認応答データの受信確認を再度行う。
【0031】
また、コントロールユニット1は、ステップS6で前記接続確認要求データを前記第一の回数送信しても前記接続確認応答データが受信されない場合はステップS7に移行し、対象スレーブ番号に関する接続情報を「OFF(接続なし)」に設定する。
【0032】
マルチディスプレイ4の制御手段4aは、電源が投入されると、図4に示す前記スレーブ接続確認応答処理を開始し、ステップS11において、コントロールユニット1からの前記接続確認要求データの受信待ち状態となり、前記接続確認要求データが受信されるとステップS12に移行する。
【0033】
制御手段4aは、ステップS12において、自らに前記スレーブ番号が設定されているか否かを判定し、自らに設定されたスレーブ番号(以下、設定スレーブ番号という)がない場合はステップS13に移行し、前記設定スレーブ番号がある場合はステップS19に移行する。
【0034】
制御手段4aは、ステップS13において、今回受信した前記接続確認要求データの対象スレーブ番号が前回受信した前記接続確認要求データの対象スレーブ番号と一致するか否かを判定する。制御手段4aは、同じ対象スレーブ番号の前記接続確認要求データの受信回数をカウンタにて計数しており(以下、未接続カウンタという)、ステップS13で両者が一致しない場合はステップS14において、新たな対象スレーブ番号の前記接続確認要求データが送信されたと判断して前記未接続カウンタの値を0にクリアする。また、制御手段4aは、ステップS15で今回受信した前記接続確認要求データの対象スレーブ番号が前回受信した前記接続確認要求データの対象スレーブ番号と一致する場合は、前記未接続カウンタに1を加算する。
【0035】
制御手段4aは、ステップS16において、前記未接続カウンタが所定の第二の回数(本実施形態においては3回)以上であるか否か、すなわち対象スレーブ番号が同一である前記接続確認要求データを前記第二の回数以上受信したか否かを判定する。なお、前記第二の回数は前記第一の回数よりも少ない値とする。そして、制御手段4aは、前記未接続カウンタが前記第二の回数未満である場合には、ステップS11に移行して新たな前記接続確認要求データの受信待ち状態となり、前記未接続カウンタが前記第二の回数以上である場合には、ステップS17に移行する。
【0036】
制御手段4aは、ステップS17において前記第二の回数以上受信した前記接続確認要求データの対象スレーブ番号を自らのスレーブ番号として設定する。
【0037】
そして、制御手段4aは、ステップS18においてステップS17にて設定された設定スレーブ番号の接続確認応答データをコントロールユニット1に向けて送信する。
【0038】
また、制御手段4aは、ステップS12にて前記設定スレーブ番号がある場合には、ステップS19において、さらに受信した前記接続確認要求データの対象スレーブ番号と前記設定スレーブ番号が一致するか否かを判定し、両者が一致する場合にはステップS20に移行して前記設定スレーブ番号の接続確認応答データをコントロールユニット1に向けて送信する。また、制御手段4aは、ステップS19で前記対象スレーブ番号と前記設定スレーブ番号が一致しない場合は、ステップS11に移行して新たな前記接続確認要求データの受信待ち状態となる。
【0039】
以上の処理を実行することによって、マルチディスプレイ4がコントロールユニット1に接続された際には、接続後の初回の電源投入に際して、マルチディスプレイ4に対して前記スレーブ番号の設定がなされるとともにマルチディスプレイ4に設定される前記スレーブ番号に関する接続情報を「ON(接続あり)」に設定することができる。
【0040】
また、コントロールユニット1は、各計器についての前記接続情報の設定を行うことによって、例えば以下に示す状態遷移の選択を行うことが可能である。
【0041】
この状態遷移の選択の1つとして、コントロールユニット1は、回転計についての前記接続情報に応じて回転計に関する機能である気筒数設定機能の実行を許可するか否かを選択する。具体的には、コントロールユニット1は、回転計についての前記接続情報が「ON」に設定されている場合は、操作スイッチ5の所定操作に応じて前記気筒数設定機能を実行する気筒数設定モードへ移行する。この気筒数設定モードにおいて、コントロールユニット1は例えば回転計に選択される気筒数に応じた指示表示させ、操作スイッチ5の所定操作に応じて気筒数の設定を変更する。また、回転計についての前記接続情報が「OFF」に設定されている場合は、コントロールユニット1は操作スイッチ5によって前記気筒数設定モードへの移行を行うための操作の入力があっても前記気筒数設定モードへの移行を行わない。かかる処理によって、従来のように実際に回転計がコントロールユニット1に接続されていない場合に誤って前記気筒数設定モードへ移行することを防止することができ、利便性が向上する。また、コントロールユニット1は、マルチディスプレイ4に設定された前記スレーブ番号の前記接続情報が「ON」に設定されている場合には、前記気筒数設定モードにおいて、選択される気筒数を回転計による指示表示に代えてマルチディスプレイ4に表示させる。
【0042】
また、状態遷移の選択の1つとして、コントロールユニット1は、車両情報が設定値以上(車両情報によっては設定値以下)である場合に報知部(本実施形態で示すものとしては発光素子2c,3cあるいは発光表示部4b)を点滅あるいは点灯させるワーニング機能において、吸気圧計であるターボ計及びインテークマニホールドプレッシャー計についての前記接続情報に応じて吸気圧の設定値の設定を行う。すなわち、コントロールユニット1は、ターボ計についての前記接続情報が「ON」に、インテークマニホールドプレッシャー計についての前記接続情報が「OFF」に設定されている場合は、前記設定値をターボ計に対応する第一の設定値(例えば初期値が100kPa)とする。また、コントロールユニット1は、ターボ計についての前記接続情報が「OFF」に、インテークマニホールドプレッシャー計についての前記接続情報が「ON」に設定されている場合は、前記設定値をインテークマニホールドプレッシャー計に対応する第二の設定値(例えば初期値が10kPa)とする。前記第二の設定値は、少なくともその初期値が前記第一の設定値の初期値よりも小さく設定されるものである。また、ターボ計についての前記接続情報とインテークマニホールドプレッシャー計についての前記接続情報とが両者とも「ON」に設定されている場合、あるいは両者とも「OFF」に設定されている場合、またはマルチディスプレイ4に設定された前記スレーブ番号の前記接続情報が「ON」に設定されている場合は、コントロールユニット1は前記設定値を前記第一の設定値とする。なお、コントロールユニット1は、操作スイッチ5の所定操作に応じてワーニング設定モードに移行する。前記ワーニング設定モードにおいて、コントロールユニット1は計器に前記設定値を表示させるとともに操作スイッチ5の入力に応じて前記設定値を調整する。かかる処理によって、吸気圧計として実際に接続される計器の種別に対応した前記設定値を選択することができ、従来のように利用者が故障と間違うことがなく、また、前記設定値を適正な数値に調整する操作を長時間行う必要がないため、利便性を向上させることができる。
【0043】
本実施形態の計器の駆動装置は、コントロールユニット1に各計器が接続されているか否かを判断する前記接続確認機能を備えることによって、実際の計器の接続状況に応じた各機能の実行あるいは設定を行うことができ、操作を簡素化してアフターメータシステム全体としての利便性を向上させることが可能となる。
【0044】
特に、前記接続確認機能として、複数の車両情報を選択して表示可能なマルチディスプレイに関する接続確認をコントロールユニット1における前記マスター接続確認要求処理及びマルチディスプレイ4の制御手段4aにおける前記スレーブ接続確認応答処理を実行することによって、前記スレーブ番号の手動による設定や電源の再投入などの煩雑な作業を要することなくスレーブであるマルチディスプレイの接続確認が可能となり、操作を簡素化してアフターメータシステム全体としての利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0045】
なお、本実施形態においては、コントロールユニット1と第一,第二の計器2,3及びマルチディスプレイ4は配線部材6によって有線接続されるものであったが、本発明は、制御ユニットと各計器とを無線接続する計器の駆動装置であっても適用可能であり、本実施形態と同様にアフターメータシステム全体としての利便性を向上させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、マルチディスプレイを含む複数のアフターメータが通信可能に接続される計器の駆動装置に好適である。
【符号の説明】
【0047】
1 コントロールユニット(制御ユニット)
2 第一の計器
2a 制御手段
2b 表示部
2c 発光素子
3 第二の計器
3a 制御手段
3b 表示部
3c 発光素子
4 マルチディスプレイ
4a 制御手段
4b 発光表示部
5 操作スイッチ
6 配線部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の計器と双方向通信可能に設けられ、前記各計器との通信結果によって前記各計器が接続されているか否かを判断する接続確認機能を有する制御ユニットを備える計器の駆動装置であって、
前記制御ユニットは、判別のためのスレーブ情報を設定可能な計器に対する前記接続確認機能として、前記スレーブ情報のうち1つを確認対象とする接続確認要求データを前記各計器に送信し、前記各計器のいずれかから前記接続確認要求データに応答する接続確認応答データを受信した場合に確認対象とした前記スレーブ情報が設定された前記計器が接続されていると判断し、前記接続確認応答データが受信されない場合に確認対象とした前記スレーブ情報が設定された前記計器が接続されていないと判断し、
前記スレーブ情報を設定可能な前記計器は、前記スレーブ情報が未設定である場合に前記接続確認要求データを受信すると、受信した前記接続確認要求データの確認対象である前記スレーブ情報を自らに設定し、前記制御ユニットに前記接続確認応答データを送信することを特徴とする計器の駆動装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記接続確認要求データを第一の回数送信しても前記接続確認応答データが受信されない場合に確認対象とした前記スレーブ情報が設定された前記計器が接続されていないと判断し、
前記スレーブ情報を設定可能な前記計器は、前記スレーブ情報が未設定である場合に確認対象とする前記スレーブ番号が同一である前記接続確認要求データを前記第一の回数より少ない第二の回数受信すると、受信した前記接続確認要求データの確認対象である前記スレーブ情報を自らに設定し、前記制御ユニットに前記接続確認応答データを送信することを特徴とする請求項1に記載の計器の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−250530(P2010−250530A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98837(P2009−98837)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】