説明

計測用端子

【課題】この発明は、電流リード線と電圧リード線が互いに干渉し合うことがなく正確な測定が行われるようにし、かつ導電性部材を固定するボルトが支障とならないような計測用端子を得ようとするものである。
【解決手段】一方の端にネジ穴8,8を設け、他方の端に一部が突設して被接続端子7と接触するようにした接触部6,6を設けた二つの導電性部材導電性部材3,3をその中間に絶縁性支柱4を挟んでネジ9,9で止め、さらに両導電性部材の間に電池の被接続端子7を挟んで固定し、両導電性部材は中間部に配した被接続端子のみで電気的に導通し、被接続端子以外では相互に電気的に絶縁された状態としたことを特徴とする計測用端子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非常用電源などとして使用されているフロート充電中の電池の電圧や内部抵抗などの測定で用いる計測用端子に関する。
【背景技術】
【0002】
非常用電源などとして使用される電池は、直並列に多数接続され、電源に負荷と並列に接続されて常時充電(フロート充電)されている。電源が停電したときは前記多数接続された電池から無瞬断で負荷に電力が供給されるようになっている。これらの電池は、停電時に備えて電圧や内部抵抗が個々に定期的に検査されるようになっている。この検査は、負荷が稼動しているとき電池は原則として切り離せないために、電源に接続した状態で行われる。
【0003】
この検査は、従来、電池の被接続端子に計測用端子をボルト・ナットで取り付け、そこに計測器側の端子片を接続して行われていたが、その後は一体に形成された基板部と抱持部の間に接続端子を配置し、この被接続端子を基端部に設けた押圧部で押圧する方式の取り付け容易な計測端子が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、両側部にネジ穴を設けた2個の導電性部材を中間部に被接続端子を配して前記ネジ穴にネジを通して締結して、中間部に配した被接続端子を通してのみ電気的に導通し、それ以外の部分では互いに電気的には絶縁されるようにした計測用端子が提案されていた(例えば、実用新案登録文献1)。
【特許文献1】特開2003−121461号公報
【特許文献2】実用新案登録第3135938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の計測用端子は一体型のために、例えば内部抵抗を交流4端子法で計測するような場合、電流を流すリード線いわゆる電流リード線と、電圧をモニターするリード線いわゆる電圧リード線とを前記一体型の計測用端子に接続するので、両者が電気的に干渉し合って正確な計測が行なわれないという問題があった。また、計測用端子をもう一つ取り付けるのは電池の被接続端子部分が狭いためにスペース的に困難であった。
【0006】
さらに、実用新案登録文献1の計測端子は、中間に被接続端子を二つの導電性部材で挟んで、その両側を二組のボルト・ナットで固定するもので、被接続端子の取り付けに際して、その都度二組のボルト・ナットを取り付けることが必要で面倒といった問題があった。また、この先行技術のものでは、被接続端子を挟んでいる導電性部材が被接続端子の前後でネジ穴を通してボルト・ナットで固定されているので、端子の差込が煩わしいといったことが指摘されていた。
【0007】
この発明は、従来のこうした問題を解消して、電流リード線と電圧リード線が互いに干渉し合うことがなく正確な測定が行われるようにし、かつ導電性部材を固定するボルトが支障とならないような
計測用端子を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、一方の端にネジ穴を設け、他方の端に一部が突設して被接続端子と接触するようにした接触部を設けた二つの導電性部材をその中間に絶縁性支柱を挟んでネジで止め、さらに両導電性部材の間に電池の被接続端子を挟んで固定し、両導電性部材は中間部に配した被接続端子のみで電気的に導通し、被接続端子以外では相互に電気的に絶縁された状態としたことを特徴とする計測用端子(請求項1)及び前記導電性部材の端に端子片が突設されていることを特徴とする請求項1記載の計測用端子(請求項2)である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、交流4端子法で計測するような場合、電流リード線と電圧リード線と互いに干渉を受けずに正確な計測が行なわれることになる。また、計測用端子を電池端子の上部から差し込む構造であるから取り付けも容易に行うことができる。さらに、基板部の端に端子片を突設しておくことにより、端子片を利用してリード線を簡単に接続することができる。また、被接続端子を挟む導電性部材の固定がボルト一箇所であるので、端子の接続に邪魔にならないといったメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1はこの発明の一実施例になる計測用端子の側面図で、1は計測用端子である。計測用端子1は、2つの導電性部材3,3とこれらの導電性部材を連結する絶縁性支柱4で構成されている。導電性部材3,3の基板部5,5の一部には突設した接触部6,6が設けられていている。
【0011】
導電性部材3,3は、図示するようにその一端に設けたネジ穴8,8にネジ9,9を通して絶縁性支柱4と締結されている。導電性部材3,3はその中間に電池接続端子7を挟むようにようにして挿入する。
【0012】
この発明で上記の導電性部材3,3を締結する際には互いに電気的に絶縁されることが必要である。即ち、二つの導電性部材3,3を互いに間隔を開けて配置し、さらに両端にタップ加工が施された絶縁性支柱4へネジ止めすることによって電気的に絶縁する。該絶縁性支柱は、プラスチック材料やセラミックス材料で形成する方法などがある。
【0013】
この外に、例えば該支柱が導電性である場合、ネジ頭部が位置する側の導電性部材3,3のネジ穴8,8に断面T字型の絶縁ブッシュを挿通し、一方で導電性部材3,3と絶縁性支柱4の接触箇所に絶縁性材料を介在させネジ9,9で締結する際はネジを絶縁ブッシュ内に挿通し螺合して2個の導電性部材3,3が被接続端子7を挟んで締結するようにしてもよい。
【0014】
従って、二つの導電性部材3,3は、被接続端子7で導通し、その他の部分では離間し或いは絶縁ブッシュにより電気的な絶縁が確保される。
【0015】
この状態で一方の導電性部材に電流リード線を接続し、他方の導電性部材に電圧リード線を接続することで、リード線同士が干渉せず、電池の内部抵抗が正確に計測することができる。
【0016】
導電性部材へのリード線の接続は、図1に示したように導電性部材の端部に計測器側のリード線端子15,15を接続するために端子片16,16を設けておくと、計測器側リード線端子15,15との接続を容易に行うことが出来る。この端子片は雄雌嵌合型の端子片の着脱が容易に行えて好ましい。
【0017】
また、この端子片は、導電性部材の接触部6,6と対向する位置(反対側)に設けておくと使い勝手がさらに好ましい。なお、上記の事例では導電性部材の締結にネジを用いた事例を説明したが、これをボルト・ナットを挿通して締め付け互いに締結してもよい。
【0018】
また、この発明の計測用端子は、導電性部材の一側だけで絶縁性支柱を介してネジで締結し、その中間に電池接続端子7を挟むようにして挿入するので、電池接続端子を導電性部材に挟んでセットする作業も容易に行うことができる。
【0019】
また、この発明の計測用端子を採用することによって下記の表1に示すように測定精度を向上させることができる。表1において、
本発明や引用文献に示されるような計測端子を採用せず、計測器側リード線の先端に圧着端子を設け、電池接続端子の中央開口部にボルト・ナットを挿通するとともに、それぞれの圧着端子を固定し計測した値、従来型は実用新案登録第3135938号公報記載の計測用端子を用いて測定した値、新型は本件発明の計測用端子を用いて測定した値である。誤差は基準値を基に算出したものである。
【0020】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1はこの発明の1実施例になる計測用端子の正面図である。
【符号の説明】
【0022】
1‥‥計測用端子、3,3‥‥導電性部材、4‥‥絶縁性支柱、5,5‥‥基板部、6,6……接触部、7……被接続端子、8,8‥‥ネジ穴、9,9……ネジ、15,15……リード線端子、16,16……端子片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端にネジ穴を設け、他方の端に一部が突設して被接続端子と接触するようにした接触部を設けた二つの導電性部材をその中間に絶縁性支柱を挟んでネジで止め、さらに両導電性部材の間に電池の被接続端子を挟んで固定し、両導電性部材は中間部に配した被接続端子のみで電気的に導通し、被接続端子以外では相互に電気的に絶縁された状態としたことを特徴とする計測用端子。
【請求項2】
前記導電性部材の端に端子片が突設されていることを特徴とする請求項1記載の計測用端子。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−151668(P2010−151668A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331090(P2008−331090)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005382)古河電池株式会社 (314)
【Fターム(参考)】