説明

計測装置、光学プローブ、これらを備えた計測制御システム、及び光学プローブを用いた計測方法

【課題】反応ウェル内の流路を微小化せずに計測光の溶液内透過距離を安定可能な計測装置を提供する。
【解決手段】計測装置300は、液体601を収容可能な収容手段209、標的物質と接触することで光物性が変化するバイオセンサ素子210、及び光源320からの光束を素子へ照射する光学プローブ100を有する。計測装置は、光透過部101の端面102を透過して素子を透過した光束を受光し、光束のスペクトルピーク値から標的物質量を検出する検出手段310を有する。光透過部の周縁の光偏向部103、104、105は、光束を中心軸の方向へ偏向させる出射面109と、この光束が素子表面で反射され入射する入射面110とを含む先端領域108を有する。先端領域は液体中に配置され、入射面に入射した光束の位置及び幅から端面と表面間の距離を計測する計測手段305を計測装置は有し、計測手段による計測と検出手段による検出とは切り替えできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、光学プローブ、これらを備えた計測制御システム、及び光学プローブを用いた計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康問題や環境問題、更には安全性の問題に対する意識の高まりとともに、これらの問題に関与する生物学的物質、化学的物質の微量検出法が望まれるようになってきている。この計測法として、検出対象物質である標的物質を含む液状の検体と試薬又はバイオセンサ素子との相互作用に起因する光学的特性の変化を計測するものが数多く提案されている。
【0003】
後者のバイオセンサ素子による相互作用の計測については、近年、プラズモン共鳴を原理とする計測法が数多く提案されている。このプラズモン共鳴を原理とする計測法の中でも、金属微粒子で構成された表面層を検体と接触させて検体中の標的物質を検知し、その含有量を計測するという、局在表面プラズモン共鳴を原理とした計測法がある。
【0004】
局在表面プラズモンとは、複数の自由電子が金属微粒子の表面に局在しているとともに、特定の振動数を有する電子密度波として一粒子のように運動する準粒子のことを指している。局在表面プラズモンが外部から照射される特定波長域の電磁波に共鳴するという物理現象が、局在表面プラズモン共鳴である。
【0005】
局在表面プラズモン共鳴を利用した計測法とは概ね以下のようなものである。つまり、金属微粒子の局在表面プラズモンの共鳴に伴い、検体中の標的物質は電磁波(特に赤外線)を吸収する。更に、赤外線領域の波長に対する赤外線吸収スペクトルのピーク位置が、金属微粒子周辺の媒質の誘電率により変化する。そして、赤外線吸収スペクトルのこのピーク位置変化を光学プローブで検知し、標的物質の含有量を計測するという計測法である。実際の計測に際しては、バイオセンサ素子の基板上に標的物質の捕捉能を有している金属微粒子を固定しておく。このようにセットされたバイオセンサ素子を透過した光のスペクトルを測るだけで、金属微粒子表面上の標的物質の付着数量を知ることができる。すなわち、この計測法は、特定の標識体を用いるなどの煩雑な操作なく計測を行うことができるという特徴を有している。
【0006】
局在表面プラズモン共鳴を用いた計測法は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1で開示される計測法は、バイオセンサ素子に対して光を照射し、素子の基板表面に固定された金属微粒子を透過した光の吸光度を測定することにより、金属微粒子表面の近傍に在る媒質の屈折率を検出するものである。これによって、金属微粒子への標的物質の吸着や堆積が検出可能となっている。
【0007】
また、標的物質の赤外線吸収スペクトルを計測する方法の一例が特許文献2に開示されている。特許文献2で開示される計測法は、主に血中のブドウ糖濃度を測定するためのバイオセンサ素子に関するものである。更に、この計測法は、標的物質のブドウ糖以外の物質(水、アラニン、アルブミン、ヘモグロビンなど)による赤外線吸収の影響を排除することを目的としている。この目的を達するために、当該計測法は、血液サンプルについて赤外線吸収度のベースラインを有する赤外線吸収スペクトルを提供するステップを包含する。また、このベースラインが選択した吸収波長範囲内で選択された赤外線吸収度とほぼ同等となるように、赤外線吸収スペクトルをシフトさせるステップを包含する。更に、赤外線吸収スペクトルから標的物質以外の物質の寄与を減算して、この寄与が実質的に含まれない補正済赤外線吸収スペクトルを提供するステップも包含する。
【特許文献1】特許第3452837号公報
【特許文献2】特表第2005−517923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示された方法をバイオセンサ素子を用いた、検体中の標的物質検出に具現化しようとした場合、標的物質の捕捉(つまり、反応)の前後において光物性の変化を感度よく検知して標的物質量を計測する必要が生じる光物性の変化は、バイオセンサ素子の表面と光学プローブの先端との間にある溶液の検出光の透過距離に依存してしまう。この依存関係を絶つには、毎回の計測の際、バイオセンサ素子の表面と光学プローブの先端との間の間隔を一定に保つことが必要となる。更に、一般的にバイオセンサ素子に固定された捕捉能を有する捕捉体は生物由来の物質であるため、捕捉体を備えたバイオセンサ素子は計測時でも溶液中にあることが望ましい。そのため、通常の反応ウェル構成のバイオセンサ素子に導入する検体量を制御する標的物質量検出の場合、空気中に配置された光学プローブと、溶液中に配置されたバイオセンサ素子とを用いて計測が行われる。この計測の際、溶液面が表面張力の影響で湾曲した形状であることにより、常に液面を安定させることは実質上、困難である。そのため、毎回の計測の際、前述のようにバイオセンサ素子の表面と光学プローブの先端との間の間隔を一定に保っていても、空気中の光学プローブから出射し溶液中のバイオセンサ素子へ向かう計測光は、湾曲形状の液面の影響を受けてしまう。そのため、計測光がバイオセンサ素子に達した後、バイオセンサ素子の表面で反射して光学プローブへ戻ってくる透過距離は計測毎に不安定なものとなってしまう。
【0009】
一方、捕捉体を備えたバイオセンサ素子が計測時でも溶液中にあることが望ましい点に関し、次のような問題がある。それは、計測時の溶液の持つ光学特性に関するものであって、反応前後で溶液の光学特性に差異がある場合、赤外線吸収スペクトルに関する正しい定量データが取得できなくなってしまう。溶液自体の光学特性については、計測毎に同一溶液を導入することにより解決可能である。しかしながら、この解決策に関しては、計測前後での計測光が溶液を透過する距離の安定性、制御について未解決の問題となっている。
【0010】
また、溶液内の計測光の透過距離を安定させることのできる別の技術として、反応ウェル内の流路を微小化するという方策もあるが、この微小化に伴って反応ウェルの作製コストが高くなってしまう。更に、この方策に関しては、標的物質である生体分子にダメージ無く反応ウェル内の流路を封止する技術に課題が残されている。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、反応ウェル内の流路を微小化せずに計測光の溶液内透過距離を安定可能な計測装置、光学プローブ、これらを備えた計測制御システム、及び光学プローブを用いた計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様の計測装置は、光源と、標的物質を含有する液体を収容可能な収容手段と、収容手段内に配され、標的物質と接触することで光物性が変化するバイオセンサ素子と、光源から発せられた光束をバイオセンサ素子に向かって照射する光学プローブであって、光束を光学プローブの中心軸に沿う方向に透過させる端面を備えた光透過部を有する光学プローブと、光透過部を透過し、バイオセンサ素子を透過した光束を受光し、光束のスペクトルのピーク値から標的物質の量を検出する検出手段と、を有し、光学プローブは、光透過部の周縁に設けられた光偏向部を有し、光偏向部は、光束を中心軸の方向へ偏向させる出射面と、出射面から出た光束がバイオセンサ素子の表面で反射されて入射する入射面と、を含む先端領域を有し、先端領域は、液体中に配置されるようにされており、光学プローブの入射面に入射した光束の位置及び幅から、光透過部の端面とバイオセンサ素子の表面との間の距離を計測する計測手段を有し、計測手段による計測と検出手段による検出とは切り替え可能である。
【0013】
本発明の一態様の計測制御システムは、上述の計測装置を備えている。
【0014】
本発明の一態様の光学プローブは、光源から発せられた光束を、収容手段内に配され、収容手段内の液体中に含まれる標的物質と接触することで光物性が変化するバイオセンサ素子に向かって照射する光学プローブであって、光束を光学プローブの中心軸に沿う方向に透過させる端面を備えた光透過部と、光透過部の周縁に設けられた光偏向部であって、光束を中心軸の方向へ偏向させる出射面と、出射面から出た光束がバイオセンサ素子の表面で反射されて入射する入射面と、を含む先端領域を備えた光偏向部と、光学プローブの入射面に入射した光束の位置及び幅から、光透過部の端面とバイオセンサ素子の表面との間の距離を計測し、検出手段による検出と切り替え可能な計測手段と、を有し、先端領域は、液体中に配置されるようにされている。
【0015】
本発明の一態様の計測制御システムは、上述の光学プローブを備えている。
【0016】
本発明の一態様の光学プローブを用いた計測方法は、光源から発せられた光束を透過させる端面を備えた光透過部と、光透過部の周縁に設けられた光偏向部と、を有する光学プローブであって、光偏向部は、光束を光学プローブの中心軸の方向へ偏向させる出射面と、出射面から出た光束がバイオセンサ素子の表面で反射されて入射する入射面と、を含む先端領域を備え、先端領域はバイオセンサ素子が配置された収容手段内に収容可能な液体中に配置されるようにされている、光学プローブを用いた計測方法であって、光学プローブを介して、光源から発せられた光束を収容手段内の液体中に含まれる標的物質と接触することで光物性が変化するバイオセンサ素子に向かって照射するステップと、光透過部を透過し、バイオセンサ素子を透過した光束を受光し、光束のスペクトルのピーク値から標的物質の量を検出するステップと、光学プローブの入射面に入射した光束の位置及び幅から、光透過部の端面とバイオセンサ素子の表面との間の距離を計測するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、収容手段である反応ウェルに着目して従来技術の課題の解決を図るのではなく、すなわち、反応ウェルの流路を微小化するといった方策を考慮するのではなく、光学プローブに着目して課題の解決が図られた。すなわち、本発明に係る光学プローブは、光束を透過する端面を備えた光透過部の周縁に設けられた光偏向部を有し、光偏向部は、光束を中心軸の方向へ偏向させる出射面と、出射面から出た光束がバイオセンサ素子の表面で反射されて入射する入射面と、を含む先端領域を有する。この先端領域は、液体中に配置されるようにされている。更に、本発明に係る計測装置は、光学プローブの入射面に入射した光束の位置及び幅から、光透過部の端面とバイオセンサ素子の表面との間の距離を計測する計測手段を有し、計測手段による計測と検出手段による検出とは切り替え可能である。
【0018】
これにより、液体中に計測光の出射面及び入射面を含む先端領域が配置された光学プローブから出射してバイオセンサ素子へ向かう計測光は、液面の影響を受けることがない。よって、従来の計測装置において問題であった、空気中の光学プローブから出射し溶液中のバイオセンサ素子へ向かう計測光が湾曲形状の液面の影響を受けてしまう現象を回避できる。そのため、液体内の計測光の透過距離を安定可能となる。更に、液体内に配された光学プローブの先端領域に設けられた光偏向部の存在により、光偏向部から出射した計測光は、バイオセンサ素子の表面で反射されて再び光学プローブに入射することになる。入射するこの光束の位置及び幅は、光透過部の端面とバイオセンサ素子の表面との間の距離を計測する計測手段によって計測され、この距離が一定であるように制御される。よって、液体内の計測光の透過距離を安定可能となる。
【0019】
これにより、反応ウェル内の流路の微小化が必要ないことで、反応ウェルの作製コストの増大を抑制することができ、更に標的物質である生体分子にダメージ無く反応ウェル内の流路を封止する技術を考慮する必要もなくなる。
【0020】
従って、反応ウェル内の流路を微小化せずに計測光の溶液内透過距離を安定可能な計測装置、光学プローブ、これらを備えた計測制御システム、及び光学プローブを用いた計測方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1及び2に本発明の第1の実施形態に係る計測装置の光学系の構成を示す。図1はバイオセンサ素子210と光学プローブとの間の距離計測時の計測装置の光学系であり、図2は標的物質量検出時の計測装置の光学系である。図3に本発明の第1の実施形態に係る光学プローブの立面図、下面図、及び側面図を示す。図4に本発明の第1の実施形態に係る光学プローブの光学構成の概念図を示す。
【0022】
計測装置300は、光学プローブ100と、反応ウェル209と、バイオセンサ素子210と、光学プローブチャック301と、アパチャーセレクタ302と、アパチャー304と、フォトダイオードアレイ305と、直角プリズム306と、光源側コリメートレンズ307と、受光側コリメートレンズ308と、光源側導光ファイバ309と、受光側導光ファイバ310と、光源320と、バッファ溶液または検体溶液601とで構成されている。
【0023】
本実施形態の光学プローブ100は、その先端領域108に光屈折部103の一部を構成する平面状の縁が設けられている形態である。先端領域108は、収容手段である反応ウェル209内に収容可能なバッファ溶液または検体溶液601内に配置されている。なお、本発明の各実施形態に係る光学プローブの素材としては、計測波長及び距離計測波長において、透明かつ成形可能な材料であればよく、誘電体で一体成型されているのが好ましい。誘電体の例として各種の光学ガラスや透明樹脂が利用可能である。ただし、安価に作製可能な、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂がより好ましく適用できる。
【0024】
更に、光学プローブ100は、光透過部101と光屈折部103とで構成されている。光透過部101は、光学プローブ100の中心軸107に沿って円筒状に延びている。光透過部101の形状に関しては、円筒状に限らず多角柱状、多角錐状、又は円錐状であってもよい。更に、光透過部101は、光学プローブ100の中心軸107に沿う形状を呈していることで光源320からの光束の一部を中心軸107に沿う方向に透過させる機能を有する(図2参照)。
【0025】
このような光透過部101の構成により、図2に示す標的物質量検出時においては、光源320から発せられた光束は、光源側導光ファイバ309を通過して光源側コリメートレンズ307により平行光となる。この平行光はアパチャー304の開口部を通過して検出光203となって光学プローブチャック301により固定保持された光学プローブ100に導かれる。なお、光学プローブ100の保持機構である光学プローブチャック301は、光学プローブ100の中心軸107がぶれることなく保持できれば特に構成上の制約はない。検出光203は光学プローブ100の中心軸107と略平行に光学プローブ100の光透過部101に入射する。光透過部101を透過した光束は、光学プローブ100の先端領域108の一部を構成する端面102から出射してバイオセンサ素子210に入射する。この入射光は、バイオセンサ素子基板204とセンサ素子部205とで構成されたバイオセンサ素子210を透過する。そして、透過光は、受光側コリメートレンズ308により絞られ、受光側導光ファイバ310に導かれる。受光側導光ファイバ310は、検出手段として機能し、受光した光束のスペクトルのピーク値から標的物質の量を検出する。
【0026】
光屈折部103は、光透過部101の周縁に光学プローブ100の中心軸107に沿って円環状に延びている。更に、光屈折部103は、光学プローブ100の先端領域108の一部を構成する平面状の出射面109及び入射面110を有する。出射面109及び入射面110は、光偏向手段として機能するように中心軸107に対して対称的な位置に中心軸107と相対的にある角度を為して端面102の周縁領域に設けられている。なお、図3に示す光屈折部103は、それぞれ1つの平面で構成された出射面109及び入射面110を備えている形態であるが、この数に限定されるものではない。すなわち、出射面109及び入射面110が光学プローブ100の中心軸107に対して対称的に配置されている構成であれば、出射面109及び入射面110の各々は端面102の周縁領域に互いに所定の間隔で複数個設けられていてもよい。
【0027】
このような光屈折部103の構成により、図1に示すバイオセンサ素子210と光学プローブ100との間の距離計測時(上述の標的物質量検出時の光学系との差異は、アパチャー303が距離計測時の形態に変更されている点だけである。)においては、光源320から発せられた光束は、光源側導光ファイバ309を通過して光源側コリメートレンズ307により平行光となる。この平行光はアパチャー304の開口部を通過して計測光201となって光学プローブチャック301により固定保持された光学プローブ100に導かれる。これにより、計測光201は光学プローブ100の中心軸107と略平行に光学プローブ100の光屈折部103に入射する。光屈折部103に入射した光束は、出射面109からバイオセンサ素子210へ向かって出射する際、中心軸107の方向へ屈折(偏向)する。この屈折光は、バイオセンサ素子210のバイオセンサ素子基板204の表面で反射される。なお、バイオセンサ素子210の表面での反射は乱反射の形態を含まない。以降の各実施形態におけるバイオセンサ素子210の表面での反射も同様に解するものとする。そして、反射光は、光屈折部103の入射面110に入射して中心軸107の方向に屈折(偏向)する。その後、屈折光は、光学プローブ100の中心軸107に平行な平行光である戻り光202となる。戻り光202は、直角プリズム306により90°偏向され、フォトダイオードアレイ305に入射する。フォトダイオードアレイ305は、標的物質量検出時の検出手段である受光側導光ファイバ310と切り替え可能な距離計測時の計測手段である。更に、フォトダイオードアレイ305は、光学プローブ100の入射面110に入射した光束の位置及び幅から、入射面110とバイオセンサ素子210の表面との間の距離を計測する。ここで、バイオセンサ素子210と光学プローブ100との間の距離が変化した場合には、バイオセンサ素子210で反射した戻り光202の位置が、光学プローブ100が移動する方向と交差する横方向に変化する。戻り光202のこの位置を計測することにより、バイオセンサ素子210と光学プローブ100との間の距離を制御することができる。
【0028】
次に、図5〜9を用いて本発明を実施する際に用いるバイオセンサ素子210について詳細に説明する。図5は本発明に使用可能なバイオセンサ素子210の一実施形態を示す概念図である。バイオセンサ素子210は、バイオセンサ素子基板204とセンサ素子部205とで構成されている。
【0029】
バイオセンサ素子基板204は、透過系で計測する場合には光学的に透明であり、生体試料に対する耐腐食性に課題がなければ特に制約はない。反射系で計測する場合には光学的に不透明であり、生体試料に対する耐腐食性に課題がなければ特に制約はない。センサ素子部205は、計測対象の標的物質の有無によって光物性が変化する。
【0030】
図6は、本発明に使用可能なバイオセンサ素子210の別実施形態を示す概念図である。バイオセンサ素子基板204及びセンサ素子部205の構成は上述の実施形態と同様であるが、反応ウェル209をウェル形成部材208により形成している点が上述の実施形態とは異なる。本実施形態のバイオセンサ素子210では、ある程度大きな容積の検体溶液やバッファ溶液601を保持することができるように構成されている。
【0031】
次に、センサ素子部205の詳細を図7〜9を用いて説明する。図7は、金属微粒子を用いた局在表面プラズモン共鳴センサの例の断面を示す概念図である。バイオセンサ素子210は、バイオセンサ素子基板204とセンサ素子部205とで構成されている。センサ素子部205は、金属微粒子206と捕捉体207とを有している。
【0032】
金属微粒子206はバイオセンサ素子基板204上に配されている。金属微粒子206は表面プラズモン共鳴を起こす金属種であれば特に制約はないが、金又は銀が好適である。
【0033】
捕捉体207は金属微粒子206上に設けられ標的物質を特異的に捕捉する。図7では、捕捉体207は抗体の形態で図示しているが、これに限定されるものではない。このセンサに利用可能な捕捉体には、標的物質に対して特異的な結合対を形成する任意の物質を適用できる。好適な標的物質と特異的な結合対との組み合わせには、抗原/抗体、相補的DNA、リセプター/リガンド、酵素/基質が挙げられる。
【0034】
図8及び9は、それぞれ金属薄膜パターンを用いた局在表面プラズモン共鳴を原理としたバイオセンサ素子210の断面図及び斜視図である。バイオセンサ素子210は、バイオセンサ素子基板204と、微小金属構造体206と、捕捉体207とで構成されている。
【0035】
微小金属構造体206は薄膜状であって、バイオセンサ素子基板204上に設けられている。捕捉体207は微小金属構造体206上に設けられている。
【0036】
微小金属構造体206は、図9において正方形状の薄膜パターンとして示されているが、この形状に限定されることない。すなわち、長方形、円形、又は楕円形の形状に適宜変更可能である。この形状については、微小金属構造体のプラズモン共鳴による波長特異的な吸収ピークがスペクトルに含まれていれば特に制限はない。
【0037】
以上のように構成された本発明に係る光学プローブは、光透過部の周縁に設けられた光偏向部を有し、光偏向部は、光束を中心軸の方向へ偏向させる出射面と、出射面から出た光束がバイオセンサ素子の表面で反射されて入射する入射面と、を含む先端領域を有する。この先端領域は、液体中に配置されるようにされている。更に、本発明に係る計測装置は、光学プローブの入射面に入射した光束の位置及び幅から、光透過部の端面とセンサ素子の表面との間の距離を計測する計測手段であるフォトダイオードアレイを有し、計測手段による計測と検出手段による検出とは切り替え可能である。
【0038】
これにより、液体中に先端領域が配置された光学プローブから出射してバイオセンサ素子へ向かう計測光は、液面の影響を受けることがない。よって、従来の計測装置において問題であった、空気中の光学プローブから出射し溶液中のバイオセンサ素子へ向かう計測光が湾曲形状の液面の影響を受けてしまう現象を回避できる。そのため、液体内の計測光の透過距離を安定可能となる。更に、液体内に配された光学プローブの先端領域に設けられた光偏向部の存在により、光偏向部から出射した計測光は、バイオセンサ素子の表面で反射されて再び光学プローブに入射することになる。入射するこの光束の位置及び幅は、光透過部の端面とバイオセンサ素子の表面との間の距離を計測する計測手段によって計測され、この距離が一定であるように制御される。よって、液体内の計測光の透過距離を安定可能となる。
【0039】
これにより、反応ウェル内の流路の微小化が必要ないことで、反応ウェルの作製コストの増大を抑制することができ、更に標的物質である生体分子にダメージ無く反応ウェル内の流路を封止する技術を考慮する必要もなくなる。
【0040】
従って、反応ウェル内の流路を微小化せずに計測光の溶液内透過距離を安定可能な計測装置を提供することができる。
(第2の実施形態)
図10及び11に本発明の第2の実施形態に係る計測装置の光学系の構成を示す。以降、第1の実施形態と同一部分の説明は省略する。
【0041】
図10は、距離計測時の光学系構成図である。アパチャー312は距離計測時のものであり、輪帯状のアパチャーを用いている。距離計測用の計測光201は輪帯状のアパチャー312を透過し、光学プローブ100の光集束部4を透過することで集束する。集束光はバイオセンサ素子210の表面で反射して戻り光202となり、光学プローブ100を透過する。この透過光はビームスプリッタ311によって90°偏向された後、計測手段であるCCD(Charge-Coupled Device)319に導かれる。
【0042】
また、図11に示す標的物質量検出時の光学構成は、図2に示す第1の実施形態の標的物質量検出時の光学構成と同様である。
【0043】
本実施形態の光学プローブ100は、その先端領域108に光集束部104の一部を構成する凸レンズ状の入射面及び出射面が設けられている形態である。図12に本発明の第2の実施形態に係る光学プローブの立面図及び下面図を示す。本実施形態の光学プローブの構成は、第1の実施形態と光偏向部の構成のみが異なっている。そのため、以降では光偏向部の構成のみを記述することにする。
【0044】
本実施形態の光偏向部は光集束部104で構成されている。光集束部104は、光透過部101の周縁を取り囲むように配置されている。更に、光集束部104は、光学プローブ100の中心軸107に対して対称に凸レンズ状の入射面110及び出射面109を有する。図10、11、及び12に示す入射面110及び出射面109は単一の凸レンズの曲面の一部として開示されているが、この形態に限定されるものではない。すなわち、光集束部104を出射してバイオセンサ素子210で反射した光が、再度、光集束部104に戻ってくる形態であれば、曲率が異なる複数の凸レンズの曲面の一部として入射面110及び出射面109が形成されていてもよい。
【0045】
光集束部104は、光学プローブ100から出射する光を光学プローブ100の中心軸107方向に集束させて偏向させる機能を有する形態となっている。更に、光屈折部103は、光学プローブ100から出射した後、バイオセンサ素子210で反射してきた光を中心軸107方向に集束させて偏向させる機能も有している。
【0046】
図13に第2の実施形態に係る光学プローブの光学構成の概念図を示す。図13を用いて実際の光学プローブを使用する際の光学構成イメージを説明する。
【0047】
計測光201は距離計測用の光であり、平行光で光学プローブ100に入射する。更に、計測光201は、光学プローブ100の先端領域108に形成された光集束部104を透過し、光学プローブ100の中心軸107方向に偏向して集束する。この集束光は、焦点位置でバイオセンサ素子210によって反射され、もう一方の光集束部104を透過して集束する。その後、集束光は、光学プローブ100の中心軸107に平行な平行光である戻り光202となる。ここで、バイオセンサ素子210と光学プローブ100との間の距離が変化した場合には、バイオセンサ素子210で反射した戻り光202の位置が、光学プローブ100が移動する方向と交差する横方向に変化する。これと同時に、戻り光202の幅が変化する。これらの光位置及び光幅を計測することにより、バイオセンサ素子210と光学プローブ100との間の距離を制御することができる。
【0048】
従って、本実施形態においては前述の実施形態と光偏向作用を達成する構成が異なるのみであるため、前述の実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
(第3の実施形態)
図14に本発明の第3の実施形態に係る光学プローブの立面図及び下面図を示す。本実施形態の光学プローブの構成は第1の実施形態と光偏向部の構成のみが異なっている。そのため、以降では光偏向部の構成のみを記述することにする。
【0049】
本実施形態の光偏向部は2つの平面状の入射面及び出射面を有する光回折部105で構成されている。入射面110及び出射面109は、それぞれ光学プローブ100の中心軸107に対して対称的に先端領域108の周縁に配置されている。図16では光回折部105が入射面110及び出射面109をそれぞれ1つずつ備えているが、この数に限定されるものではない。すなわち、光回折部105の入射面110及び出射面109が光学プローブ100の中心軸107に対して対称的に配置される構成であれば、光回折部105の縁は先端領域108に互いに所定の間隔を置いて複数設けられていてもよい。
【0050】
更に、図14に示す光回折部105は、その端面が光透過部101の先端領域108の端面102と一致するように設けられている。しかし、光回折部105の構成はこの形態に限定されるものではない。つまり、一方の光回折部105を通りバイオセンサ素子210で反射した光が、もう一方の光回折部105に戻ってくる構成であれば、光透過部101の端面102と光回折部105の端面102とは一致していなくてもよい。なお、光回折部105は透過型の回折格子を加工したものである。
【0051】
光回折部105は、光学プローブ100から出射する光を光学プローブ100の中心軸107方向に回折させて偏向させる機能を有する形態となっている。更に、光回折部105は、光学プローブ100から出射した後、バイオセンサ素子210で反射してきた光を中心軸107方向に回折させて偏向させる機能も有している。
【0052】
図15に本発明の第3の実施形態に係る光学プローブの光学構成の概念図を示す。図15を用いて実際の使用時の光学構成イメージを説明する。
【0053】
計測光201は距離計測用の光束であり、平行光で光学プローブ100に入射する。更に、計測光201は、光学プローブ100の先端領域108に形成された光回折部105を透過し、光学プローブ100の中心軸107方向に偏向して回折する。この回折光は、バイオセンサ素子210によって反射され、反対側の光回折部105を透過して回折する。その後、回折光は、光学プローブ100の中心軸107に平行な平行光である戻り光202となる。ここで、バイオセンサ素子210と光学プローブ100との間の距離が変化した場合には、バイオセンサ素子210で反射した戻り光202の位置が、光学プローブ100が移動する方向と交差する横方向に変化する。これと同時に、戻り光202の幅が変化する。これらの光位置及び光幅を計測することにより、バイオセンサ素子210と光学プローブ100との間の距離を制御することができる。
【0054】
従って、本実施形態においても前述の実施形態と光偏向作用を達成する構成が異なるのみであるため、前述の実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
(第4の実施形態)
図16及び17に本発明の第4の実施形態に係る計測装置の光学系の構成を示す。図16を用いて本実施形態の距離計測時の光学系の構成を説明する。光源側導光ファイバ309から出射する光は、ロータリーシャッタ317で遮られている。ここでは、近赤外光領域の波長を含むハロゲンランプが光源320として用いられている。距離計測のための光は半導体レーザ315から出射される。この出射光は、コリメートレンズ314によって平行光とされ、直角プリズム313により直角に偏向されて光学プローブ100に入射する。第1の実施形態と同様に距離計測用の計測光201が、バイオセンサ素子210の表面で反射され戻り光202となる。戻り光202は直角プリズム313により直角に偏向された後、フォトダイオードアレイ305に入射する。
【0055】
次に、図17を用いて本実施形態の標的物質量検出時の光学系の構成を説明する。図17の標的物質量検出時においては、ロータリーシャッタ317が開状態となっており、光源側導光ファイバ309から出射する光はコリメートレンズ307によって平行光にされている。平行光はアパチャー303によって絞られる。この光は光学プローブ100の中空である中空部106を通り、光学プローブ100を透過する。その後、バイオセンサ素子210の表面で反射した反射光が再度、光学プローブ100を透過する。透過光はアパチャー303を通った後、ビームスプリッタ312によって直角に偏向される。この偏向光はコリメートレンズ316によって集光されて受光ファイバ318に導かれる。
【0056】
図18に本発明の第4の実施形態に係る光学プローブの立面図、下面図、及び側面図を示す。本実施形態の光学プローブの構成は、第1の実施形態と光透過部の構造のみが異なっている。そのため、以降では光透過部の構造のみを記述することにする。
【0057】
本実施形態に係る光学プローブ100の光透過部101内には、標的物質量の検出光が通る中空部106が設けられている。中空部106は光透過部101の中空空間を構成しており、この中空部106は光学プローブ100の中心軸107に沿って光源320側の縁から先端領域108まで円筒状に延びている。光透過部101の一部に中空部106が設けられていることで、中空部106がない場合に比べ光透過部101の素材量が減少する。そのため、光透過部101を透過する計測光の透過距離が低減される。従って、近赤外領域の光を検出光に用いる場合で、かつ樹脂を光学プローブの素材に用いた場合に課題となる、樹脂による近赤外光の吸収によって引き起こされる検出光量の減少を抑制することができる。
【0058】
また、本中空構造は、図18に示す例だけでなく図3、12及び14に示した距離計測時の光学プローブの各実施形態と組み合わせることができる。このとき、距離計測の際の計測光は、近赤外光に限らず可視光を用いてもよい。
【0059】
図19に本発明の第4の実施形態に係る光学プローブの光学構成の概念図を示す。図19を用いて実際の使用時の光学構成イメージを説明する。
【0060】
距離計測の際は、距離計測用の計測光201が照射される。計測光201は平行光で光学プローブ100に入射する。この入射光は、光学プローブ100の先端領域108の光偏手段で構成された部分の一方を透過し、光学プローブ100の中心軸107方向に偏向(光学的には、屈折、集束、又は回折)する。この光がバイオセンサ素子210によって反射され、もう一方の光偏向手段で構成された部分を透過する。この透過光は、光学プローブ100の中心軸107に平行な平行光である戻り光202となる。ここで、バイオセンサ素子210と光学プローブ100との間の距離が変化した場合には、バイオセンサ素子210で反射した戻り光202の位置が、光学プローブ100が移動する方向と交差する横方向に変化する。戻り光202のこの位置を計測することにより、バイオセンサ素子210と光学プローブ100との間の距離を制御することができる。
【0061】
一方、標的物質量の検出の際は、標的物質量の検出用の検出光203が照射される。この際には、図18に示すように検出光203が光透過部101を透過する距離が低減されることで、光学プローブ100の素材を透過する距離を減少させることができる構成となっている。
【0062】
従って、本実施形態においても前述の実施形態と光偏向作用を達成する構成が異なるのみであるため、前述の実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
【実施例】
【0063】
以下では各実施例をもって本発明を説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(第1の実施例)
ここでは、本発明の第1の実施例を説明する。
[光学プローブ作製]
本実施例の光学プローブの製法について説明する。本実施例では、光学プローブ519の材料として光学ガラス材料であるSF13を用いる。SF13を研磨し、直径10mm、長さ20mmのロッドレンズ状に加工する。図1に示す光屈折部103のように、端面102における幅3mmの領域を45度で面取りするように2箇所研磨加工する。
[バイオセンサ素子作製]
本実施例のバイオセンサ素子210の製法について説明する。本実施例では、図6の形態のバイオセンサ素子210を用いる。
【0064】
バイオセンサ素子520の基板204の材料として、信越化学工業(株)製のアミノシランカップリング処理済みの石英基板204を用いる。本石英基板204上にPDMS(Polydimethylsiloxane)で形成されたウェルを貼り付ける。この状態にてウェル内にBBインターナショナル社製の100nmの金コロイド溶液EM.GC100を導入し、2時間インキュベートする。この金コロイド溶液を除去し、純水で洗浄すると、石英基板204上に金コロイドが固定化された基板204が形成される。
【0065】
次に、標的物質の捕捉体としてヒトC反応性タンパクを捕捉する抗体を検出部に固定化する。抗ヒトC反応性タンパクを特異的に認識し捕捉する、シグマアルドリッチ社製の抗ヒトCRP(C-reactive protein)ヤギ抗体をPBS(Phosphate Buffered Saline)溶液に溶解し、上記ウェルに導入する。物理吸着によって金コロイド表面上に抗体が固定される。本処理によりバイオセンサ素子520が作製される。
[計測装置構成]
本実施例を実現する計測装置の構成を説明する。図1及び2が本実施例の計測装置の光学系の概要図である。この光学系では、ハロゲンランプ光源が光源320として用いられている。ハロゲンランプ光源から発せられる光はマルチモードファイバ309により導光される。マルチモードファイバ309には、コアが200μm径のものが用いられている。コリメートレンズ307は、BK7製の平凸レンズを用いている。ここでは単レンズを用いているが、当然ながら、複数枚のレンズを用いて単レンズより収差を補正したものでもよい。本レンズの焦点距離の位置(厳密には、ファイバの開口数に依存した、ファイバからの出射光の広がり中心)にファイバ端面が来るように設置する。アパチャーセレクタ302は、リボルバ状になっており、光束の形状を変化させるアパチャーを複数切り替えることができる。図1の距離計測時は、微小開口を持ったアパチャー304を用いている。ここでの開口は直径1.5mmの円形状のものを用いる。図2の標的物質量検出時には、光軸の中心に円形状の開口を持ったアパチャー303を用いる。本実施例では、直径2.5mmの円形状のアパチャー303、304を用いている。光学プローブチャック301は、上述した光学プローブ519を保持できるように構成されている。更に、光学プローブチャック301には、円筒状の光学プローブ519を平面方向の位置ずれ及び傾きなく保持できるような三つ爪のチャックが用いられている。また、ここでは不図示であるが、光学プローブチャック301は、上下方向に安定した、光学プローブチャック301を相対的に駆動可能なステージに固定されている。本実施例では、1μmの分解能を持ったボールネジステージを用いている。直角プリズム306にはいわゆる45°直角プリズムが用いられている。本実施例のフォトダイオードアレイ305には、画素ピッチ8μmのCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)フォトダイオードアレイが用いられている。
【0066】
本実施例の計測装置全体のイメージを図20を用いて説明する。計測装置400は、筐体401、インキュベータステージ402、センサインキュベータ403、検体404、搬送レーン405、バッファ試薬406、分注ロボティクス407、使い捨て可能なバイオセンサ素子210カセット408、光学プローブラック409、及び暗箱エリア410で構成されている。
【0067】
インキュベータステージ402は、バイオセンサ素子520を搭載してインキュベートさせる。ここでは、センサインキュベータ403は4連で搭載されており、4つのセンサを同時処理することができる。計測対象の検体404には、いわゆる、採血管、または分注された血清、血漿が入ったサンプルチューブがセットされる。搬送レーン405は、検体404を搬送する搬送手段であって、4つの検体を同時に懸架できる構成となっている。バッファ試薬406は洗浄及び計測用のものである。分注ロボティクス407は検体及び試薬を分注する。使い捨て可能なバイオセンサ素子210カセット408は分注用のものである。光学プローブラック409には光学プローブ519が搭載される。必要に応じて、光学プローブラック409から計測用の暗箱エリア410に光学プローブ519が導入される。
【0068】
特に暗箱エリア410内の概要を図21及び22を用いて説明する。センサインキュベータ403は暗箱エリア410の外側に位置している。ステージ411は計測用手段である。光学ヘッド412内には光源が配されている。
【0069】
[計測装置制御システム]
図23に本発明の第1の実施例に係る計測装置の制御システムを表すブロック図を示す。図23を用いて本実施例の計測装置の制御システムについて説明する。
【0070】
本実施例の制御システム500は、中央演算処理装置501と、主記憶装置502と、固定ディスク装置503と、表示装置504と、キーボード505と、点灯制御回路506と、ハロゲン光源507と、アパチャーセレクタ508と、フォトダイオードアレイ509と、光学プローブチャック510と、Z軸ステージ511と、伸縮ハンド512と、計測Zステージ513と、分光器514と、温調コントローラ515と、インキュベータZステージ516と、Yステージ517と、光学系518と、光学プローブ519と、バイオセンサ素子520と、光学系521と、計測エリア522と、ロボットシステム523とで構成されている。
【0071】
中央演算処理装置501は制御システム500全体の制御を司る。主記憶装置502は、中央演算処理装置501と接続されており、RAM(Random Access Memory)が好適である。固定ディスク装置503は中央演算処理装置501と接続されている。表示装置504は中央演算処理装置501と接続されている。キーボード505は、入力デバイスであって中央演算処理装置501と接続されている。点灯制御回路506は、計測系のハロゲン光源507の点灯を制御する手段である。アパチャーセレクタ508は、基板204と光学プローブ519との間の距離計測と標的物質量検出とを切り替える。フォトダイオードアレイ509は距離計測時のセンサである。光学プローブチャック510は、上述した光学プローブ519を保持する。Z軸ステージ511は、光学プローブ519を上下させる。Z軸ステージ511を駆動することによって、光学プローブ519とバイオセンサ素子520との間の距離を変化させることができる。伸縮ハンド512は、図21、22のセンサインキュベータ403と計測Zステージ513との間でバイオセンサ素子520を受け渡しするための手段である。計測Zステージ513は伸縮ハンド512とZ軸ステージ511との間でバイオセンサ素子520を受け渡しする際に駆動する。分光器514は標的物質量を検出する際に用いる。温調コントローラ515は、インキュベータステージ516、517の温調制御を行う。インキュベータZステージ516は、計測Zステージ513と同様に、伸縮ハンド512とインキュベータステージ516、517との間でバイオセンサ素子520を受け渡しする際に駆動する。Yステージ517は、複数のバイオセンサ素子520を処理する際にインキュベータステージ516、517を位置制御する。ロボットシステム523は分注用の手段である。光学系518は、制御系ではない、計測光照射のための光学系である。計測エリア522は、光学プローブ519及びバイオセンサ素子520を含んでいる。受光光学系521は、バイオセンサ素子520を透過した光束の受光用光学系である。
【0072】
[計測プロセス]
図1、2、20、及び23を用いて計測時のフローを説明する。この計測方法は、光学プローブを介して、光源から発せられた光束を反応ウェル内のバッファ溶液または検体溶液中に含まれる標的物質と接触することで光物性が変化するバイオセンサ素子に向かって照射するステップを有する。更に、この計測方法は、光透過部を透過し、バイオセンサ素子を透過した光束を受光し、光束のスペクトルのピーク値から標的物質の量を検出するステップを有する。更には、光学プローブの入射面に入射した光束の位置及び幅から、光透過部の端面とバイオセンサ素子のバイオセンサ素子基板の表面との間の距離を計測するステップを有する。
【0073】
オペレータによって、センサインキュベータ403上に上記バイオセンサ素子作製プロセスで作製したバイオセンサ素子520を載置する。計測対象の検体404をバイオセンサ素子520に載置する。載置後、図23のキーボード505により計測開始指示を行う。まず、Z軸ステージ511を駆動し、光学プローブチャック510に、使い捨て可能な光学プローブ519を保持する。その後、反応前計測を行うために、分注ユニット523にバッファ試薬をバイオセンサ素子520内に分注するように指示を出す。バイオセンサ素子520上にバッファ試薬を分注後、伸縮ハンド512に指示を出し、計測Zステージ513にバイオセンサ素子520を導入する。Z軸ステージ511を駆動し、ウェル内に光学プローブ519の先端領域108を導入する。アパチャーセレクタ508を距離計測位置に駆動する(図1に示す状態)。この状態でフォトダイオードアレイ509にて、戻り光の位置が予め決めた位置になるようにZ軸ステージ511を駆動する。本実施例の場合、光学プローブ519端面102と基板204の表面との距離が7.15mmとなるような位置を基準位置とする。この位置から実際の計測位置にZ軸ステージ511を相対的に駆動させ、光学プローブ519端面102と基板204の表面との距離が0.20mmとなるようにする。この状態での光学プローブ519及び基板204は、図26に示すイメージとなる。
【0074】
この状態で、アパチャーセレクタ508を切り替え、図2の状態となるようにする。この状態で、分光器514からセンサ素子透過スペクトル計測値を読み込む。ここでは明示していないが、予め求めておいた、光学系のリファレンススペクトルとセンサ素子透過スペクトルとにより吸光スペクトルを求める。この際に吸光スペクトルの吸収ピーク位置を求めておく。
【0075】
再度、バイオセンサ素子520を伸縮ハンド512により搬出し、インキュベータステージ516、517に受け渡す。分注ユニット523にバイオセンサ素子520のウェル中のバッファ溶液の排出を指示する。バッファ溶液排出後、検体をバイオセンサ素子520のウェル中に規定量分注する。分注後、インキュベータステージ516、517上でインキュベートする。反応後、再度ユニットによりバイオセンサ素子520のウェル中の検体溶液601(図26又は27参照)の排出を指示する。検体溶液排出後、バッファ溶液601(図26又は27参照)をバイオセンサ素子520のウェル中にて医療分注する。分注後、伸縮ハンド512に指示を出し、計測Zステージ513にバイオセンサ素子520を導入する。Z軸ステージ511を駆動し、ウェル内に光学プローブ519の先端領域108を導入する。アパチャーセレクタ508を距離計測位置に駆動する(図1に示す状態)。この状態でフォトダイオードアレイ509において戻り光の位置が予め決めた位置になるようにZ軸ステージ511を駆動する。本実施例の場合、光学プローブ519端面102と基板204の表面との距離が7.15mmとなるような位置を基準位置とする。この位置から実際の計測位置にZ軸ステージ511を相対的に駆動させ、光学プローブ519端面102と基板204の表面との距離を0.20mmとなるようにする。
【0076】
この状態で、アパチャーセレクタ508を切り替え、図2の状態となるようにする。この状態で、分光器514からセンサ素子透過スペクトル計測値を読み込む。ここでは明示していないが、予め求めておいた、光学系のリファレンススペクトルとセンサ素子透過スペクトルとにより吸光スペクトルを求める。このときに求めた吸光スペクトルのピーク位置と計測前に求めたスペクトルのピーク位置との間の変化を求める。このピーク位置の変化量から、検体中に含まれている標的物質量を求める。
【0077】
以上の処理により、計測前後において、バイオセンサ素子基板204と光学プローブとの間の距離を安定した状態で計測することができ、バッファ溶液の持つ吸光特性によるばらつきを防いで検体中の標的物質量が検出できる。
(第2の実施例)
ここでは本発明の第2の実施例を説明する。
[光学プローブ作製]
本実施例の光学プローブの製法について説明する。本実施例では、光学プローブの材料として、光学ガラス材料であるBK7を用いる。BK7をロッド状に研磨し、直径10mm、長さ20mmのロッドレンズ状に加工する。図12に示すように端面を幅3mmの領域を凸レンズ状となるように2箇所研磨加工する。このときの曲率を、空気中にて、焦点距離15mmとなるように加工する。
[バイオセンサ素子作製]
本実施例のバイオセンサ素子210の製法について説明する。本実施例では、図5の形態のバイオセンサ素子210を用いる。
【0078】
バイオセンサ素子520の基板204の材料としては、信越化学工業(株)製の4インチ石英基板204を用いる。本石英基板204上に電子線リソグラフィーを用いたリフトオフプロセスを用いて、金の微細構造パターンを作製する。このときに、微細構造のパターンは、図8、13に示した構造とし、このときの金パターンのサイズは150nm角の正方形とし、厚みは30nmとし、パターン間の配置間隔は250nmとする。
【0079】
本石英基板204上にPDMSで形成されたウェルを貼り付ける。次に、計測部に標的物質の捕捉体としてヒトC反応性タンパクを捕捉する抗体を固定化する。抗ヒトC反応性タンパクを特異的に認識して捕捉する、シグマアルドリッチ社製の抗ヒトCRPヤギ抗体をPBS溶液に溶解し、上記ウェルに導入する。物理吸着により、金コロイド表面に抗体が固定される。処理後、PDMS製ウェルを除去することによって、バイオセンサ素子520が作製される。
[計測装置構成]
本実施例を実現する装置構成を説明する。図10及び11が本実施例の装置光学系の概要図である。ここで使用する光源は、ハロゲンランプ光源を用いている。ハロゲンランプ光源をマルチモードファイバ309により導光している。このマルチモードファイバは、コア200μm径のものを用いている。コリメートレンズ307は、BK7製の平凸レンズを用いている。ここでは単レンズを用いているが、当然ながら、複数枚のレンズを用いより収差を補正したものでも構わない。本レンズの焦点距離の位置(厳密には、ファイバの開口数に依存した、ファイバからの出射光の広がり中心)にファイバ端面が来るように設置する。アパチャーセレクタ302は、リボルバ状になっており、光束の形状を変化させるアパチャーを複数切り替えることができる。図10の距離計測時は、輪帯状の開口を持ったアパチャー312を用いている。ここでの開口寸法は、外径8mm、内径6mmの輪帯絞りを用いる。図11の標的物質量検出時には、光軸中心に円形状の開口を持ったアパチャー303を用いる。本実施例では、直径2.5mmの円形状のアパチャーを用いている。光学プローブチャック301は、上述した光学プローブ519を保持できるような構成となっている。ここでは、円筒状の光学プローブ519を平面方向の位置ずれ及び傾きなく保持できるような三つ爪のチャックを用いている。またここでは不図示であるが、チャック301を上下方向に安定した相対距離駆動可能なステージに固定している。本実施例では、1μmの分解能を持ったボールネジステージを用いている。ビームスプリッタ311である。本実施例におけるCCD319には、画素ピッチ9μmのCCDイメージセンサが用いられている。
【0080】
本実施例の計測装置全体のイメージを図20を用いて説明する。計測装置400は、筐体401、インキュベータステージ516、517、センサインキュベータ403、検体404、搬送レーン405、バッファ試薬406、分注ロボティクス407、使い捨て可能なバイオセンサ素子210カセット408、光学プローブラック409、及び暗箱エリア410で構成されている。
【0081】
インキュベータステージ516、517は、バイオセンサ素子520を搭載してインキュベートさせる。ここでは、センサインキュベータ403は4連で搭載されており、4つのセンサを同時処理することができる。計測対象の検体404には、いわゆる、採血管、または分注された血清、血漿が入ったサンプルチューブがセットされる。搬送レーン405は、検体404を搬送する搬送手段であって、4つの検体を同時に懸架できる構成となっている。バッファ試薬406は洗浄及び計測用のものである。分注ロボティクス407は検体及び試薬を分注する。使い捨て可能なバイオセンサ素子210カセット408は分注用のものである。光学プローブラック409には光学プローブ519が搭載される。必要に応じて、光学プローブラック409から計測用の暗箱エリア410に光学プローブ519が導入される。
【0082】
特に暗箱エリア410内の概要を図21及び22を用いて説明する。センサインキュベータ403は暗箱エリア410の外側に位置している。ステージ411は計測用手段である。光学ヘッド412内には光源が配されている。
【0083】
[計測装置制御システム]
図24に本発明の第2の実施例に係る計測装置の制御システムを表すブロック図を示す。図24を用いて本実施例の計測装置の制御システムについて説明する。
【0084】
本実施例の計測制御システム500は、中央演算処理装置501と、主記憶装置502と、固定ディスク装置503と、表示装置504と、キーボード505と、点灯制御回路506と、ハロゲン光源507と、アパチャーセレクタ508と、フォトダイオードアレイ509と、光学プローブチャック510と、Z軸ステージ511と、伸縮ハンド512と、計測Zステージ513と、分光器514と、温調コントローラ515と、インキュベータZステージ516と、Yステージ517と、光学系518と、光学プローブ519と、バイオセンサ素子520と、光学系521と、計測エリア522と、ロボットシステム523とで構成されている。
【0085】
中央演算処理装置501は計測制御システム500全体の制御を司る。主記憶装置502は、中央演算処理装置501と接続されており、RAM(Random Access Memory)が好適である。固定ディスク装置503は中央演算処理装置501と接続されている。表示装置504は中央演算処理装置501と接続されている。キーボード505は、入力デバイスであって中央演算処理装置501と接続されている。点灯制御回路506は、計測系のハロゲン光源507の点灯を制御する手段である。アパチャーセレクタ508は、基板204と光学プローブ519との間の距離計測と標的物質量検出とを切り替える。フォトダイオードアレイ509は距離計測時のセンサである。光学プローブチャック510は、上述した光学プローブ519を保持する。Z軸ステージ511は、光学プローブ519を上下させる。Z軸ステージ511を駆動することによって、光学プローブ519とバイオセンサ素子520との間の距離を変化させることができる。伸縮ハンド512は、図21、22のセンサインキュベータ403と計測Zステージ513との間でバイオセンサ素子520を受け渡しするための手段である。計測Zステージ513は伸縮ハンド512とZ軸ステージ511との間でバイオセンサ素子520を受け渡しする際に駆動する。分光器514は標的物質量を検出する際に用いる。温調コントローラ515は、インキュベータステージ516、517の温調制御を行う。インキュベータZステージ516は、計測Zステージ513と同様に、伸縮ハンド512とインキュベータステージ516、517との間でバイオセンサ素子520を受け渡しする際に駆動する。Yステージ517は、複数のバイオセンサ素子520を処理する際にインキュベータステージ516、517を位置制御する。ロボットシステム523は分注用の手段である。光学系518は、制御系ではない、計測光照射のための光学系である。計測エリア522は、光学プローブ519及びバイオセンサ素子520を含んでいる。受光光学系521は、バイオセンサ素子520を透過した光束の受光用光学系である。
【0086】
[計測プロセス]
図10、11、20、23、及び27を用いて計測時のフローを説明する。
【0087】
オペレータによって、センサインキュベータ403上に上記バイオセンサ素子作製プロセスで作製したバイオセンサ素子520を載置する。計測対象の検体404をバイオセンサ素子520に載置する。載置後、図23のキーボード505により計測開始指示を行う。まず、Z軸ステージ511を駆動し、光学プローブチャック510に、使い捨て可能な光学プローブ519を保持する。その後、反応前計測を行うために、分注ユニット523にバッファ試薬をバイオセンサ素子520のセンサ領域に滴下するように指示を出す。バイオセンサ素子520上にバッファ試薬を滴下後、伸縮ハンド512に指示を出し、計測Zステージ513にバイオセンサ素子520を導入する。ここで、本発明は、空気中で距離を計測する、反応領域周辺部が光軸中心となるように計測Zステージ513を駆動し、その位置にて、アパチャーセレクタ508を距離計測位置に駆動する(図10に示す状態)。この状態でフォトダイオードアレイ509において戻り光のCCD上での輪帯像が狭輪帯となる位置にZ軸ステージ511及び不図示のチルトステージを駆動する。本実施例の場合、光学プローブ519端面102と基板204の表面との距離が15.26mmとなるような位置を基準位置とする。この条件となる、Z軸ステージ511制御位置及びチルトステージ制御位置を反応領域周辺部4箇所でそれぞれ求める。この制御位置データの平均値をもとに、光軸をセンサ領域の中心部に位置合せし、計測位置にZ軸ステージ511を相対的に駆動させ、光学プローブ519端面102と基板204の表面との距離が0.20mmとなるようにする。この状態での光学プローブ519及び基板204のイメージは、図27の状態となる。この状態で、アパチャーセレクタ508を切り替え、図2の状態となるようにする。この状態で、分光器514からセンサ素子透過スペクトル計測値を読み込む。ここでは明示していないが、予め求めておいた、光学系のリファレンススペクトルとセンサ素子透過スペクトルとにより吸光スペクトルを求める。この際に吸光スペクトルの吸収ピーク位置を求めておく。
【0088】
再度、バイオセンサ素子520を伸縮ハンド512により搬出し、インキュベータステージ516、517に受け渡す。分注ユニット523にバイオセンサ素子520の上のバッファ溶液の排出を指示する。バッファ溶液排出後、検体をバイオセンサ素子520のウェル中に規定量分注する。分注後、インキュベータステージ516、517上でインキュベートする。反応後、再度ユニットによりバイオセンサ素子520上の検体溶液の排出を指示する。検体溶液排出後、バッファ溶液をバイオセンサ素子520のウェル中に規定量滴下する。分注後、伸縮ハンド512に指示を出し、計測Zステージ513にバイオセンサ素子520を導入する。後の計測動作については反応前の処理と同様である。反応前後での吸光スペクトルからピーク位置の変化を求める。このピーク位置の変化量から、検体中に含まれている標的物質量を求める。
【0089】
以上の処理により、計測前後において、バイオセンサ素子520と光学プローブとの間の距離を安定した状態で計測することができ、バッファ溶液の持つ吸光特性によるばらつきを防いで検体中の標的物質量が検出できる。
(第3の実施例)
ここでは本発明の第3の実施例を説明する。
[光学プローブ作製]
本実施例の光学プローブの製法について説明する。本実施例では、光学プローブの材料として、PMMA(polymethylmethacrylate)樹脂を射出成形により図3の形状に加工する。形状寸法は、直径10mm、長さ25mmのロッドレンズ状であり、図3に示すように端面を幅3mmの領域と幅4mmの領域とが45°傾斜した光屈折部を有する形状とする。
[バイオセンサ素子作製]
本実施例のバイオセンサ素子210の製法について説明する。本実施例では、図5の形態のバイオセンサ素子210を用いる。
【0090】
バイオセンサ素子520の基板204の材料としては、信越化学工業(株)製の4インチ石英基板204を用いる。本石英基板204上に電子線リソグラフィーを用いたリフトオフプロセスを用いて、金の微細構造パターンを作製する。このときに、微細構造のパターンは、図8、13に示した構造とする。このときの金パターンのサイズは、200nm角の正方形とし、厚みは20nmとし、パターン間の配置間隔は350nmとする。
【0091】
本石英基板204上にPDMSで形成されたウェルを貼り付ける。次に、計測部に標的物質の捕捉体としてヒトC反応性タンパクを捕捉する抗体を固定化する。抗ヒトC反応性タンパクを特異的に認識して捕捉する、シグマアルドリッチ社製の抗ヒトCRPヤギ抗体をPBS溶液に溶解し、上記ウェルに導入する。物理吸着により、金コロイド表面に抗体が固定される。本処理によって、バイオセンサ素子520が作製される。
[計測装置構成]
本実施例を実現する装置構成を説明する。図16及び17が本実施例の装置光学系の概要図である。ここで用いる光源は、距離計測用の光源として波長635nmの半導体レーザ315を用い、標的物質量検出用としてハロゲンランプ光源を用いている。距離計測のためのレーザ光は、コリメートレンズ314により平行光となり、直角プリズム313により偏向され、光学プローブ519に導入される。光学プローブ519の先端領域108の光屈曲部によって偏向されてバイオセンサ素子520の基板204面にて反射し、光学プローブ519に再度戻ってくる。更に、この光は直角プリズム313で偏向されてフォトダイオードアレイ305に導入される。
【0092】
標的物質量検出用の光源は、ハロゲンランプ光源をマルチモードファイバ309により導光している。このマルチモードファイバは、コア200μm径のものを用いている。本実施例では、標的物質量を検出するために近赤外線の波長域を用いるため、ハロゲンランプ前面にロングパスフィルターを挿入している。ロータリーシャッタ317によって、距離計測時に計測用光源を遮断できるように構成されている。コリメートレンズ307は、BK7製の平凸レンズを用いている。ここでは単レンズを用いているが、当然ながら、複数枚のレンズを用いより収差を補正したものでも構わない。本レンズの焦点距離の位置(厳密には、ファイバの開口数に依存した、ファイバからの出射光の広がり中心)にファイバ端面が来るように設置する。標的物質量検出光を制限するためのアパチャー303を用いている。アパチャー303は、光軸を中心に円形状の開口を持ったアパチャーを用いている。本実施例では、直径2.5mmの円形状のアパチャーを用いている。光学プローブチャック301は、上述した光学プローブ519を保持できるような構成となっている。ここでは、円筒状の光学プローブ519を平面方向の位置ずれ及び傾きなく保持できるような三つ爪のチャックを用いている。またここでは不図示であるが、チャック301を上下方向に安定した相対距離駆動可能なステージに固定している。本実施例では、1μmの分解能を持ったボールネジステージを用いている。ビームスプリッタ311である。本実施例におけるCCD319は、画素ピッチ9μmのCCDイメージセンサを用いている。
【0093】
本実施例の計測装置全体のイメージを図20を用いて説明する。計測装置400は、筐体401、インキュベータステージ516、517、センサインキュベータ403、検体404、搬送レーン405、バッファ試薬406、分注ロボティクス407、使い捨て可能なバイオセンサ素子210カセット408、光学プローブラック409、及び暗箱エリア410で構成されている。
【0094】
インキュベータステージ516、517は、バイオセンサ素子520を搭載してインキュベートさせる。ここでは、センサインキュベータ403は4連で搭載されており、4つのセンサを同時処理することができる。計測対象の検体404には、いわゆる、採血管、または分注された血清、血漿が入ったサンプルチューブがセットされる。搬送レーン405は、検体404を搬送する搬送手段であって、4つの検体を同時に懸架できる構成となっている。バッファ試薬406は洗浄及び計測用のものである。分注ロボティクス407は検体及び試薬を分注する。使い捨て可能なバイオセンサ素子210カセット408は分注用のものである。光学プローブラック409には光学プローブ519が搭載される。必要に応じて、光学プローブラック409から計測用の暗箱エリア410に光学プローブ519が導入される。
【0095】
特に暗箱エリア410内の概要を図21及び22を用いて説明する。センサインキュベータ403は暗箱エリア410の外側に位置している。ステージ411は計測用手段である。光学ヘッド412内には光源が配されている。
【0096】
[計測装置制御システム]
図25に本発明の第3の実施例に係る計測装置の制御システムを表すブロック図を示す。図25を用いて本実施例の計測装置の制御システムについて説明する。
【0097】
本実施例の制御システム500は、中央演算処理装置501と、主記憶装置502と、固定ディスク装置503と、表示装置504と、キーボード505と、点灯制御回路506と、ハロゲン光源507と、アパチャーセレクタ508と、フォトダイオードアレイ509と、光学プローブチャック510と、Z軸ステージ511と、伸縮ハンド512と、計測Zステージ513と、分光器514と、温調コントローラ515と、インキュベータZステージ516と、Yステージ517と、光学系518と、光学プローブ519と、バイオセンサ素子520と、光学系521と、計測エリア522と、ロボットシステム523とで構成されている。
【0098】
中央演算処理装置501は制御システム500全体の制御を司る。主記憶装置502は、中央演算処理装置501と接続されており、RAM(Random Access Memory)が好適である。固定ディスク装置503は中央演算処理装置501と接続されている。表示装置504は中央演算処理装置501と接続されている。キーボード505は、入力デバイスであって中央演算処理装置501と接続されている。点灯制御回路506は、計測系のハロゲン光源507の点灯を制御する手段である。アパチャーセレクタ508は、基板204と光学プローブ519との間の距離計測と標的物質量検出とを切り替える。フォトダイオードアレイ509は距離計測時のセンサである。光学プローブチャック510は、上述した光学プローブ519を保持する。Z軸ステージ511は、光学プローブ519を上下させる。Z軸ステージ511を駆動することによって、光学プローブ519とバイオセンサ素子520との間の距離を変化させることができる。伸縮ハンド512は、図21、22のセンサインキュベータ403と計測Zステージ513との間でバイオセンサ素子520を受け渡しするための手段である。計測Zステージ513は伸縮ハンド512とZ軸ステージ511との間でバイオセンサ素子520を受け渡しする際に駆動する。分光器514は標的物質量を検出する際に用いる。温調コントローラ515は、インキュベータステージ516、517の温調制御を行う。インキュベータZステージ516は、計測Zステージ513と同様に、伸縮ハンド512とインキュベータステージ516、517との間でバイオセンサ素子520を受け渡しする際に駆動する。Yステージ517は、複数のバイオセンサ素子520を処理する際にインキュベータステージ516、517を位置制御する。ロボットシステム523は分注用の手段である。光学系518は、制御系ではない、計測光照射のための光学系である。計測エリア522は、光学プローブ519及びバイオセンサ素子520を含んでいる。受光光学系521は、バイオセンサ素子520を透過した光束の受光用光学系である。
【0099】
[計測プロセス]
図16、17、20、及び25を用いて計測時のフローを説明する。
【0100】
オペレータによって、センサインキュベータ403上に上記バイオセンサ素子作製プロセスで作製したバイオセンサ素子520を載置する。計測対象の検体404をバイオセンサ素子520に載置する。載置後、図23のキーボード505により計測開始指示を行う。まず、Z軸ステージ511を駆動し、光学プローブチャック510に、使い捨て可能な光学プローブ519を保持する。その後、反応前計測を行うために、分注ユニット523にバッファ試薬をバイオセンサ素子520内に分注するように指示を出す。バイオセンサ素子520上にバッファ試薬を分注後、伸縮ハンド512に指示を出し、計測Zステージ513にバイオセンサ素子520を導入する。Z軸ステージ511を駆動し、ウェル内に光学プローブ519の先端領域108を導入する。シャッター制御回路525を遮断位置に駆動する(図16に示す状態)。この状態でフォトダイオードアレイ509において戻り光の位置が予め決めた位置になるようにZ軸ステージ511を駆動する。本実施例の場合、光学プローブ519の端面102と基板204の表面との距離が15.8mmとなるような位置を基準位置とする。この位置から実際の計測位置にZ軸ステージ511を相対的に駆動させ、光学プローブ519の端面102と基板204の表面との距離を0.05mmとなるようにする。この状態での光学プローブ519及び基板204は、図26に示すイメージとなる。
【0101】
この状態でシャッター制御回路525を切り替え、図17に示す状態となるようにする。この状態で、分光器514からセンサ素子透過スペクトル計測値を読み込む。ここでは明示していないが、予め求めておいた、光学系のリファレンススペクトルとセンサ素子透過スペクトルとにより吸光スペクトルを求める。この際に吸光スペクトルの吸収ピーク位置を求めておく。このときに、樹脂製の光学プローブを計測用の近赤外光が透過する距離が短くなることで、樹脂の吸収による影響を低減できる。
【0102】
再度、バイオセンサ素子520を伸縮ハンド512により搬出し、インキュベータステージ516、517に受け渡す。分注ユニット523にバイオセンサ素子520のウェル中のバッファ溶液の排出を指示する。バッファ溶液排出後、検体をバイオセンサ素子520のウェル中に規定量分注する。分注後、インキュベータステージ516、517上でインキュベートする。反応後、再度ユニットによりバイオセンサ素子520のウェル中の検体溶液の排出を指示する。検体溶液排出後、バッファ溶液をバイオセンサ素子520のウェル中に規定量分注する。分注後、伸縮ハンド512に指示を出し、計測Zステージ513にバイオセンサ素子520を導入する。Z軸ステージ511を駆動し、ウェル内に光学プローブ519の先端領域108を導入する。シャッター制御回路525を距離計測位置に駆動する(図16に示す状態)。この状態でフォトダイオードアレイ509において戻り光の位置が予め決めた位置になるようにZ軸ステージ511を駆動する。本実施例の場合、光学プローブ519の端面102と基板204の表面との距離が15.8mmとなるような位置を基準位置とする。この位置から実際の計測位置にZ軸ステージ511を相対的に駆動させ、光学プローブ519の端面102と基板204の表面との距離が0.05mmとなるようにする。
【0103】
この状態でシャッター制御回路525を切り替え、図17に示す状態となるようにする。この状態で、分光器514からセンサ素子透過スペクトル計測値を読み込む。ここでは明示していないが、予め求めておいた光学系のリファレンススペクトルとセンサ素子透過スペクトルとにより吸光スペクトルを求める。このときに求めた吸光スペクトルのピーク位置と計測前に求めたスペクトルのピーク位置との間の変化を求める。このピーク位置の変化量により、検体中に含まれている標的物質量を求める。
【0104】
以上の処理により、計測前後において、バイオセンサ素子基板と光学プローブとの間の距離を安定した状態で計測することができ、バッファ溶液の持つ吸光特性、主に近赤外線領域での水の吸収によるばらつきを防いで検体中の標的物質量が検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光学プローブを含む計測装置の距離計測時の光学系を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光学プローブを含む計測装置の標的物質量検出時の光学系を示す概念図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る光学プローブの立面図、下面図、及び側面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る光学プローブの光学構成の概念図である。
【図5】本発明に使用可能なバイオセンサ素子の一形態を示す概念図である。
【図6】本発明に使用可能なバイオセンサ素子の別形態を示す概念図である。
【図7】本発明に使用可能な金属微粒子を用いた局在表面プラズモン共鳴を原理としたバイオセンサ素子の例を示す断面図である。
【図8】金属薄膜パターンを用いた局在表面プラズモン共鳴を原理としたバイオセンサ素子の断面図である。
【図9】金属薄膜パターンを用いた局在表面プラズモン共鳴を原理としたバイオセンサ素子の斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る光学プローブを含む計測装置の距離計測時の光学系を示す概念図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る光学プローブを含む計測装置の標的物質量検出時の光学系を示す概念図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る光学プローブの立面図及び下面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る光学プローブの光学構成の概念図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る光学プローブの立面図及び下面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る光学プローブの光学構成を示す概念図である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る光学プローブを含む計測装置の距離計測時の光学系を示す概念図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る光学プローブを含む計測装置の標的物質量検出時の光学系を示す概念図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る光学プローブの立面図、下面図、及び側面図である。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る光学プローブの光学構成を示す概念図である。
【図20】本発明に係る実施形態を用いた計測装置全体を示す概念図である。
【図21】本発明に係る実施形態を用いた計測装置の暗箱内の概略を示す立面図である。
【図22】本発明に係る実施形態を用いた計測装置の暗箱内の概略を示す側面図である。
【図23】本発明の第1の実施形態に係る光学プローブを備えた第1の実施例の計測装置の制御システムを示すブロック図である。
【図24】本発明の第2の実施形態に係る光学プローブを備えた第2の実施例の計測装置の制御システムを示すブロック図である。
【図25】本発明の第1の実施形態に係る光学プローブを備えた計測装置の第3の実施例の制御システムを示すブロック図である。
【図26】本発明の第1及び第3の実施例に係る光学プローブを示す部分拡大図である。
【図27】本発明の第2の実施例に係る光学プローブを示す部分拡大図である。
【符号の説明】
【0106】
100 光学プローブ
101 光透過部
102 端面
103 光屈折部
104 光集束部
105 光回折部
106 光透過部
107 中心軸
108 先端領域
109 出射面
110 入射面
201 計測光
202 戻り光
203 検出光
204 バイオセンサ素子基板
205 センサ素子部
208 捕捉体
209 反応ウェル
210 バイオセンサ素子
300 計測装置
305 フォトダイオードアレイ
310 受光側導光ファイバ
319 CCD
320 光源
400 計測装置
601 検体溶液またはバッファ溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
標的物質を含有する液体を収容可能な収容手段と、
前記収容手段内に配され、前記標的物質と接触することで光物性が変化するバイオセンサ素子と、
前記光源から発せられた光束を前記バイオセンサ素子に向かって照射する光学プローブであって、該光束を該光学プローブの中心軸に沿う方向に透過させる端面を備えた光透過部を有する光学プローブと、
前記光透過部を透過し、前記バイオセンサ素子を透過した前記光束を受光し、該光束のスペクトルのピーク値から前記標的物質の量を検出する検出手段と、
を有し、
前記光学プローブは、前記光透過部の周縁に設けられた光偏向部を有し、該光偏向部は、前記光束を前記中心軸の方向へ偏向させる出射面と、該出射面から出た光束が前記バイオセンサ素子の表面で反射されて入射する入射面と、を含む先端領域を有し、該先端領域は、前記液体中に配置されるようにされており、
前記光学プローブの前記入射面に入射した前記光束の位置及び幅から、前記光透過部の前記端面と前記バイオセンサ素子の前記表面との間の距離を計測する計測手段を有し、該計測手段による計測と前記検出手段による検出とは切り替え可能である、
計測装置。
【請求項2】
前記光偏向部は、前記光学プローブの前記中心軸に対して対称に配置された平面状の前記入射面及び前記出射面を有する光屈折部で構成されている、請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記光偏向部は、前記光学プローブの前記中心軸に対して対称に配置された凸レンズ状の前記入射面及び前記出射面を有する光集束部で構成されている、請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記光偏向部は、前記光学プローブの前記中心軸に対して対称に配置された平面状の前記入射面及び前記出射面を有する光回折部で構成されている、請求項1に記載の計測装置。
【請求項5】
前記光透過部は、前記中心軸に沿って前記光源側の縁から前記先端領域まで延びる中空部を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項6】
前記光学プローブを保持する機構を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項7】
前記光学プローブは誘電体で一体成型されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項8】
前記バイオセンサ素子は、前記標的物質を捕捉する捕捉体を有し、
前記捕捉体は、抗体、相補的DNA、リセプター、及び基質の少なくとも1つである、
請求項1から7のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の計測装置を備えた計測制御システム。
【請求項10】
光源から発せられた光束を、収容手段内に配され、該収容手段内の液体中に含まれる標的物質と接触することで光物性が変化するバイオセンサ素子に向かって照射する光学プローブであって、
前記光束を前記光学プローブの中心軸に沿う方向に透過させる端面を備えた光透過部と、
前記光透過部の周縁に設けられた光偏向部であって、前記光束を前記中心軸の方向へ偏向させる出射面と、該出射面から出た光束が前記バイオセンサ素子の表面で反射されて入射する入射面と、を含む先端領域を備えた光偏向部と、
前記光学プローブの前記入射面に入射した前記光束の位置及び幅から、前記光透過部の前記端面と前記バイオセンサ素子の前記表面との間の距離を計測し、前記検出手段による検出と切り替え可能な計測手段と、
を有し、
前記先端領域は、前記液体中に配置されるようにされている、
光学プローブ。
【請求項11】
請求項10に記載の光学プローブを備えた計測制御システム。
【請求項12】
光源から発せられた光束を透過させる端面を備えた光透過部と、該光透過部の周縁に設けられた光偏向部と、を有する光学プローブであって、該光偏向部は、該光束を該光学プローブの中心軸の方向へ偏向させる出射面と、該出射面から出た光束が前記バイオセンサ素子の表面で反射されて入射する入射面と、を含む先端領域を備え、該先端領域は該バイオセンサ素子が配置された収容手段内に収容可能な液体中に配置されるようにされている、光学プローブを用いた計測方法であって、
前記光学プローブを介して、前記光源から発せられた前記光束を該収容手段内の液体中に含まれる標的物質と接触することで光物性が変化する前記バイオセンサ素子に向かって照射するステップと、
前記光透過部を透過し、前記バイオセンサ素子を透過した前記光束を受光し、該光束のスペクトルのピーク値から前記標的物質の量を検出するステップと、
前記光学プローブの前記入射面に入射した前記光束の位置及び幅から、前記光透過部の前記端面と前記バイオセンサ素子の前記表面との間の距離を計測するステップと、
を有する、
光学プローブを用いた計測方法。

【図17】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−54276(P2010−54276A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218124(P2008−218124)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】