説明

計測装置及び計測方法

【課題】流路への気泡の混入が検出され計測の誤りが抑制される、表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う計測装置及び計測方法を提供する。
【解決手段】プリズム、照射機構、金膜、流路形成体、抗体固層膜、CCDセンサー、フォトダイオード及びコントローラーが設けられる。コントローラーには、気泡検出部が設けられる。照射機構は、プリズムに励起光を照射する。励起光は、プリズムの反射面へ共鳴角で入射させられる。抗体固層膜は、反応場を提供する。CCDセンサーは、表面プラズモン励起蛍光の光量を測定する。フォトダイオードは、反射光の光量を測定する。気泡検出部は、フォトダイオードから反射光の光量の測定結果を取得し、反射光の光量が基準を超えて増加した場合に流路への気泡の混入を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う計測装置及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体媒体の中を進む励起光が導電体膜と誘電体媒体との界面に全反射条件を満たして入射する場合は、界面からエバネッセント波がもれだし、導電体膜の表面のプラズモンとエバネッセント波とが干渉する。界面への励起光の入射角が共鳴角に設定されプラズモンとエバネッセント波とが共鳴する場合にエバネッセント波の電場は著しく増強される。表面プラズモン励起蛍光分光法(SPFS)による計測においては、この増強された電場が用いられる。
【0003】
SPFSによる計測においては、導電体膜の表面に抗原が捕捉され、捕捉された抗原が蛍光標識される。増強された電場は蛍光標識された抗原に作用し、蛍光標識された抗原からは表面プラズモン励起蛍光が放射される。表面プラズモン励起蛍光の光量の測定結果から抗原の有無、抗原の捕捉量等が特定される。
【0004】
導電体膜の表面に抗原を捕捉し抗原を蛍光標識するために、導電体膜の表面の近傍に抗原と結合する一次抗体が固定される。一次抗体が固定された後に、抗原を含む液体、蛍光標識化された二次抗体を含む液体が流路へ供給され、固定された一次抗体に抗原が結合させられ、結合させられた抗原に二次抗体がさらに結合させられる。
【0005】
反応中に気泡が流路へ混入した場合は、一次抗体への抗原の結合、抗原への二次抗体の結合等が阻害され、計測に誤りが生じる。また、測定中に気泡が流路へ混入した場合は、表面プラズモン共鳴が阻害され、計測に誤りが生じる。このため、流路への気泡の混入を検出することが望まれる。
【0006】
特許文献1は、気泡の混入の検出に関する。特許文献1は、液体の圧力を変化させた場合の液体の光学特性の変化により気泡の混入を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−281526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の気泡の検出においては、液体の圧力を変化させる機構が必要になる。また、液体の光学特性を測定するための光の光路を確保する必要もある。このため、特許文献1の気泡の検出は、表面プラズモン励起蛍光分光法による計測には向いていない。
【0009】
本発明は、この問題を解決するためになされる。本発明の目的は、流路への気泡の混入が検出され計測の誤りが抑制される、表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う計測装置及び計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1から第5までの局面は、表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う計測装置に向けられる。
【0011】
本発明の第1の局面においては、導電体膜、誘電体媒体、流路形成体、反応場提供物、照射機構、第1の光量センサー、第2の光量センサー及び気泡検出部が設けられる。
【0012】
導電体膜は、第1の主面及び第2の主面を有する。
【0013】
誘電体媒体は、励起光の入射面、反射面及び出射面を有する。入射面へ入射した励起光が反射面に反射され反射光となって出射面から出射するように入射面、反射面及び出射面が配置される。第1の主面と反射面とは密着する。
【0014】
流路形成体には流路が形成される。流路は接合面に露出する。第2の主面と接合面とは接合される。
【0015】
反応場提供物は、流路の内部に設けられる。反応場提供物は、第2の主面に定着する。反応場提供物は、反応物が反応する反応場を提供する。
【0016】
照射機構は、誘電体媒体に励起光を照射し、反射面へ共鳴角で励起光を入射させる。
【0017】
第1の光量センサーは、反応場から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量を測定する。
【0018】
第2の光量センサーは、反射光の光量を測定する。
【0019】
気泡検出部は、第2の光量センサーから反射光の光量の測定結果を取得し、反射光の光量が基準を超えて増加した場合に流路への気泡の混入を検出する。
【0020】
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第2の局面においては、送液機構及び送液制御部がさらに設けられる。
【0021】
送液機構は、液体を流路へ供給し流路から回収する。
【0022】
送液制御部は、送液機構に流路へ液体を供給させた後に気泡検出部が流路への気泡の混入を検出した場合に、送液機構に流路から液体を回収させ流路へ液体を再供給させる。
【0023】
本発明の第3の局面は、本発明の第2の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第3の局面においては、報知機構及び報知制御部がさらに設けられる。
【0024】
報知機構は、計測エラーを報知する。
【0025】
報知制御部は、送液制御部が送液機構に流路へ液体を再供給させた後に気泡検出部が流路への気泡の混入を再検出した場合に、報知機構に計測エラーを報知させる。
【0026】
本発明の第4の局面は、本発明の第1の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第4の局面においては、送液機構、送液制御部、報知機構及び報知制御部がさらに設けられる。
【0027】
送液機構は、液体を流路へ供給する。
【0028】
送液制御部は、送液機構に流路へ液体を供給させる。
【0029】
報知機構は、計測エラーを報知する。
【0030】
報知制御部は、送液制御部が送液機構に流路へ液体を供給させた後に気泡検出部が流路への気泡の混入を検出した場合に、報知機構に計測エラーを報知させる。
【0031】
本発明の第5の局面は、本発明の第1の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第5の局面においては、送液機構、測定制御部及び送液制御部がさらに設けられる。
【0032】
送液機構は、液体を流路へ供給し流路から回収する。
【0033】
測定制御部は、表面プラズモン励起蛍光の光量の測定の開始及び終了を制御する。
【0034】
送液制御部は、測定制御部が表面プラズモン励起蛍光の光量の測定を開始させた後に気泡検出部が流路への気泡の混入を検出した場合に、送液機構に流路から液体を回収させ流路へ液体を再供給させる。
【0035】
また、測定制御部は、気泡検出部が流路への気泡の混入を検出した場合に表面プラズモン励起蛍光の光量の測定を中止させ、送液制御部が送液機構に流路へ液体を再供給させた後に表面プラズモン励起蛍光の光量の再測定を開始させる。
【0036】
本発明は、表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う計測方法にも向けられる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の第1の局面によれば、流路への気泡の混入が容易に検出され、計測エラーが抑制される。
【0038】
本発明の第2の局面によれば、流路へ気泡が混入した場合に流路へ液体が再供給され、気泡が除去され、計測エラーが回避される。
【0039】
本発明の第3の局面によれば、気泡の混入以外の要因による計測エラーが見過ごされない。
【0040】
本発明の第4の局面によれば、流路へ気泡が混入した場合に計測エラーが報知され、計測エラーが見過ごされない。
【0041】
本発明の第5の局面によれば、流路へ気泡が混入した場合に流路へ液体が再供給され、気泡が除去され、計測エラーが回避される。
【0042】
これらの及びこれら以外の本発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の本発明の詳細な説明によってより明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】計測装置の模式図である。
【図2】センサーチップの分解断面図である。
【図3】一次抗体液が流路へ供給された状態の模式図である。
【図4】一次抗体液が流路へ供給された状態の模式図である。
【図5】試料液が流路へ供給された状態の模式図である。
【図6】二次抗体液が流路へ供給された状態の模式図である。
【図7】コントローラーのブロック図である。
【図8】計測装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】SPR曲線及び入射角と電場増強度との関係を示すグラフである。
【図10】気泡の混入の検出の手順を示すフローチャートである。
【図11】気泡の混入の検出の手順を示すフローチャートである。
【図12】気泡の混入の検出の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
{計測装置の概略}
図1の模式図は、計測装置の望ましい実施形態を示す。図2の模式図は、計測装置に取り付けられるセンサーチップの分解断面図である。
【0045】
図1に示すように、計測装置1000は、センサーチップ1002、照射機構1004、電荷結合素子(CCD)センサー1005、ローパスフィルター1006、フォトダイオード1007、送液機構1008、コントローラー1010及びディスプレイ1012を備える。照射機構1004は、光源1040、直線偏光板1042、ミラー1044及びミラー駆動機構1046を備える。図1及び図2に示すように、センサーチップ1002は、金膜1020、プリズム1022、抗体固層膜1024、流路形成体1026及びシール1028を備える。センサーチップ1002には、流路1080が形成される。
【0046】
計測装置1000は、表面プラズモン励起蛍光分光法(SPFS)による計測を行う。
【0047】
計測が行われる前には、一次抗体を含む液体(以下では「一次抗体液」という。)が流路1080へ供給され、一次抗体が抗体固層膜1024に固定され、一次抗体液が流路1080から回収される。続いて、計測される抗原を含む液体(以下では「試料液」という。)が流路1080へ供給され、一次抗体に抗原が結合させられ、試料液が流路1080から回収される。さらに続いて、蛍光標識化された二次抗体を含む液体(以下では「二次抗体液」という。)が流路1080へ供給され、二次抗体が抗原に結合させられる。
【0048】
計測が行われる場合及び流路1080への気泡の混入が検出される場合には、励起光ELがプリズム1022へ入射させられる。プリズム1022へ入射した励起光ELは、金膜1020とプリズム1022との界面で反射され、反射光RLとなってプリズム1022から出射する。金膜1020とプリズム1022との界面への励起光ELの入射角θは共鳴角θrに設定される。
【0049】
励起光ELがプリズム1022へ照射されている間は、金膜1020とプリズム1022との界面から金膜1020の側へエバネッセント波がもれだし、エバネッセント波と金膜1020の表面のプラズモンとが共鳴し、エバネッセント波の電場が増強される。この増強された電場が蛍光標識に作用し、抗体固層膜1024により提供される反応場から表面プラズモン励起蛍光FLが放射される。表面プラズモン励起蛍光FLの光量は、CCDセンサー1005に測定される。表面プラズモン励起蛍光FLの光量から、抗原の有無、抗原の捕捉量等が求められる。反射光RLの光量は、フォトダイオード1007に測定される。反射光RLの光量から、流路1080への気泡の混入が検出される。流路1080へ気泡が混入した場合は、エバネッセント波とプラズモンとが共鳴しなくなり、金膜1020とプリズム1022との界面で励起光ELが全反射され、反射光RLの光量が多くなる。このことを利用して、反射光RLの光量が基準を超えて増加した場合に流路1080への気泡の混入が検出される。これにより、流路1080への気泡の混入が容易に検出され、計測エラーが抑制される。
【0050】
{センサーチップ}
図1及び図2に示すように、金膜1020の一方の主面1100に抗体固層膜1024が定着し、金膜1020の一方の主面1100と流路形成体1026の接合面1104とが接合され、金膜1020の他方の主面1102とプリズム1022の反射面1108とが密着する。抗体固層膜1024は流路1080の内部に設けられる。流路形成体1026の液体出入口面1112にはシール1028が貼られる。シール1028が省略されてもよい。
【0051】
センサーチップ1002は、「検査チップ」「分析チップ」「試料セル」等とも呼ばれる。センサーチップ1002は、望ましくは、各辺の長さが数mmから数cmまでの範囲内にある構造物であるが、「チップ」とは呼びがたいより小型の又はより大型の構造物に置き換えられてもよい。
【0052】
{金膜}
金膜1020は、薄膜である。金膜1020の膜厚は、望ましくは、30〜70nmである。ただし、金膜1020の膜厚がこの範囲外であってもよい。
【0053】
金膜1020は、スパッタリング、蒸着、メッキ等により形成される。金膜1020が他の方法により形成されてもよい。
【0054】
金膜1020が表面プラズモン共鳴を発生させる他の種類の導電体からなる膜に置き換えられてもよい。例えば、金膜1020が銀、銅、アルミニウム等の金属又はこれらの金属を含む合金からなる膜に置き換えられてもよい。
【0055】
{プリズム}
プリズム1022は、台形柱体である。望ましくは、プリズム1022は、等脚台形柱体である。プリズム1022の一方の傾斜側面は励起光ELの入射面1106になる。プリズム1022の幅広の平行側面は励起光ELの反射面1108になる。プリズム1022の他方の傾斜面は励起光ELの出射面1110になる。入射面1106へ入射した励起光ELが反射面1108に反射され反射光RLとなって出射面1110から出射するように入射面1106、反射面1108及び出射面1110は配置される。プリズム1022の形状は、共鳴角θrで励起光ELを反射面1108へ入射させることができるように決められる。
【0056】
共鳴角θrで励起光ELを反射面1108へ入射させることができる限り、プリズム1022が台形柱体以外でもよく、プリズム1022が「プリズム」とは呼びがたい形状物に置き換えられてもよい。例えば、プリズム1022が半円柱体であってもよく、プリズム1022が板に置き換えられてもよい。
【0057】
プリズム1022は、励起光ELに対して透明な材質からなる誘電体媒体である。プリズム1022は、ガラス、樹脂等からなる。プリズム1022は、射出成形により作製される。プリズム1022が射出成形以外により作製されてもよい。
【0058】
{流路形成体}
流路形成体1026には、流路1080が形成される。流路1080は、接合面1104に露出し、金膜1020が形成されたプリズム1022により閉塞される。流路形成体1026は、接着、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ圧着等により、金膜1020が形成されたプリズム1022に接合される。ただし、金膜1020が形成されたプリズム1022に流路形成体1026が他の方法により接合されてもよい。流路形成体1026が2個以上の形状物の複合体であってもよい。
【0059】
流路形成体1026は、表面プラズモン励起蛍光FLに対して透明な材質からなる。流路形成体1026は、樹脂等からなる。流路形成体1026は、射出成形により製造される。流路形成体1026が射出成形以外により製造されてもよい。
【0060】
{送液機構}
送液機構1008は、一次抗体液、試料液、二次抗体液、バッファー液等の液体を流路1080へ供給し、一次抗体液、試料液、二次抗体液、バッファー液等の液体を流路1080から回収する。一次抗体液、試料液及び二次抗体液が流路1080へ供給された場合は、それぞれ、抗体固層膜1024に一次抗体液、試料液及び二次抗体液が接触する。送液機構1008が、一次抗体液、試料液、二次抗体液及びバッファー液以外の液体を供給及び回収してもよい。
【0061】
送液機構1008は、例えば、ポンプにより送液元から液体を吸引し送液元から送液先へポンプを搬送しポンプにより送液先へ液体を吐出することにより送液元から送液先へ液体を送液する機構である。送液機構1008が、送液元から送液先へ至る配管に液体を流すことにより送液元から送液先へ液体を送液する機構であってもよい。
【0062】
{流路への液体の供給}
図3及び図4の模式図は、一次抗体液が流路へ供給された状態を示す。図3は、流路へ気泡が混入しなかった場合を示す。図4は、流路へ気泡が混入した場合を示す。図5の模式図は、試料液が流路へ供給された状態を示す。図6の模式図は、二次抗体液が流路へ供給された状態を示す。
【0063】
図3に示すように、一次抗体液1120が流路1080へ供給された場合は、一次抗体液1120に含まれる一次抗体1122が抗体固層膜1024に固定される。しかし、図4に示すように、流路1080へ気泡1124が混入した場合は、一次抗体1122の抗体固層膜1024への固定が阻害され、計測エラーの原因となる。一次抗体1122は、望ましくは、N−エチル−N′−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)/N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)による活性化エステル法により、金膜1020の一方の主面1100に密着する自己組織化膜(SAM)の表面のカルボキシル基に固定される。
【0064】
また、図5に示すように、一次抗体1122が抗体固層膜1024に固定された状態において試料液1126が流路1080へ供給された場合は、試料液1126に含まれる抗原(腫瘍マーカ等)1128と抗体固層膜1024に固定された一次抗体1122とが生化学反応又は免疫反応(抗原抗体反応)により結合し、抗原1128が抗体固層膜1024に捕捉される。ただし、流路1080へ気泡が混入した場合は、一次抗体1122と抗原1128との結合が阻害され、計測エラーの原因となる。
【0065】
さらに、図6に示すように、抗原1128が抗体固層膜1024に捕捉された状態において二次抗体液1130が流路1080へ供給された場合は、抗体固層膜1024に捕捉された抗原1128と二次抗体液1130に含まれる蛍光標識化された二次抗体1132とが生化学反応又は免疫反応により結合し、抗原1128が二次抗体1132に蛍光標識される。ただし、流路1080へ気泡が混入した場合は、抗原1128と二次抗体1132との結合が阻害され、計測エラーの原因となる。
【0066】
{一次抗体液、試料液及び二次抗体液}
一次抗体液1120は、計測される抗原1128と結合し抗体固層膜1024に固定される一次抗体1122を含む。
【0067】
試料液1126は、典型的には、血液等の人間からの採取物であるが、人間以外の生物からの採取物であってもよく、非生物からの採取物であってもよい。希釈、血球分離、試薬の混合等の他の前処理が採取物に対して行われてもよい。
【0068】
二次抗体液1130は、計測される抗原1128と結合し蛍光標識化された二次抗体1132を含む。二次抗体1132は、蛍光を放射する蛍光標識となる化学構造を含む。
【0069】
{抗体固層膜}
抗体固層膜1024は、一次抗体1122、抗原1128及び二次抗体1132等の反応物を反応させる反応場を提供する。抗体固層膜1024は、非流動体からなる。したがって、一次抗体液1120、試料液1126又は二次抗体液1130が抗体固層膜1024に接触しても、抗体固層膜1024は移動しない。
【0070】
抗体固層膜1024は、ラバー製のアプリケーターによりパターニングされる。抗体固層膜1024が他の方法により形成されてもよい。
【0071】
{光源}
図1に示すように、光源1040は、励起光ELを放射する。望ましくは、光源1040はレーザーダイオードであり、光源1040から放射される光は、平行光線であり、直線偏光であり、単色光である。表面プラズモン励起蛍光FL及び反射光RLの光量が測定される場合には励起光ELが放射されるが、励起光ELは連続的に放射されてもよいし、一定間隔で放射されてもよい。
【0072】
光源1040がレーザーダイオード以外であってもよい。例えば、光源1040が発光ダイオード、水銀灯、レーザーダイオード以外のレーザー等であってもよい。光源1040から放射される励起光ELが平行光線でない場合は、レンズ、ミラー、スリット等により励起光ELが平行光線へ変換される。光源1040から放射される励起光ELが直線偏光でない場合は、直線偏光板等により励起光ELが直線偏光へ変換される。光源1040から放射される励起光ELが単色光でない場合は、回折格子等により励起光ELが単色光へ変換される。
【0073】
{直線偏光板}
直線偏光板1042は、励起光ELの光路上にあり、光源1040から放射された励起光ELを直線偏光へ変換する。励起光ELの偏光方向は、反射面1108に対して励起光ELがp偏光になるように選択される。これにより、エバネッセント波のもれだしが増加し、表面プラズモン励起蛍光FLが増加し、計測の感度が向上する。
【0074】
{ミラー及びミラー駆動機構}
ミラー1044は、励起光ELの光路上にあり、直線偏光板1042を通過した励起光ELを反射する。ミラー1044により反射された励起光ELは、プリズム1022に照射される。プリズム1022に照射された光は、入射面1106へ入射し、反射面1108に反射され、反射光RLとなって出射面1110から出射する。反射面1108への励起光ELの入射角θは、全反射条件θc≦θを満たす(θc:臨界角)。
【0075】
ミラー駆動機構1046は、モーター、圧電アクチュエーター等の駆動力源を備え、ミラー1044を回転させ、ミラー1044の姿勢を調整する。また、ミラー駆動機構1046は、リニアステッピングモーター等の駆動力源を備え、光源1040の光軸方向にミラー1044を移動させ、ミラー1044の位置を調整する。これにより、反射面1108における励起光ELの照射位置を抗体固層膜1024が定着する領域に維持したまま反射面1108への励起光ELの入射角θを調整できる。
【0076】
{ローパスフィルター}
ローパスフィルター1006は、表面プラズモン励起蛍光FLの光路上にある。
【0077】
ローパスフィルター1006は、カットオフ波長より長い波長の光を透過し、カットオフ波長より短い波長の光を減衰させる。カットオフ波長は、励起光ELの波長から表面プラズモン励起蛍光FLの波長までの範囲内で選択される。励起光ELの散乱光はローパスフィルター1006により減衰し、散乱光のごく一部がCCDセンサー1005に到達するが、表面プラズモン励起蛍光FLはローパスフィルター1006を透過し、表面プラズモン励起蛍光FLの大部分がCCDセンサー1005に到達する。これにより、相対的に光量が小さい表面プラズモン励起蛍光FLの光量が測定される場合に相対的に光量が大きい散乱光の影響が抑制され、計測の精度が向上する。
【0078】
{CCDセンサー}
CCDセンサー1005は、表面プラズモン励起蛍光FLの光路上にあり、表面プラズモン励起蛍光FLの光量を測定する。CCDセンサー1005が他の形式の光量センサーに置き換えられてもよい。例えば、CCDセンサー1005が光電子増倍管等に置き換えられてもよい。
【0079】
{フォトダイオード}
フォトダイオード1007は、反射光RLの光路上にあり、反射光RLの光量を測定する。フォトダイオード1007が他の形式の光量センサーに置き換えられてもよい。例えば、フォトダイオード1007がフォトトランジスター、フォトレジスター等に置き換えられてもよい。
【0080】
{コントローラー}
図7のブロック図は、コントローラーを示す。
【0081】
図7に示すように、コントローラー1010は、気泡検出部1200、送液制御部1202、報知制御部1204及び測定制御部1206を備える。
【0082】
気泡検出部1200は、フォトダイオード1007から反射光RLの光量の測定結果を取得し、反射光RLの光量が基準を超えて増加した場合に流路1080へ気泡が混入したことを検出する。
【0083】
典型的には、反射光RLの光量の閾値が基準になる。この場合は、流路1080へ気泡が混入した場合の反射光RLの光量と流路1080へ気泡が混入しない場合の反射光RLの光量とが事前に調べられ、前者の光量と後者の光量との間に閾値が設定される。また、気泡検出部1200は、反射光RLの光量が閾値を超えた場合に流路1080への気泡の混入を検出する。
【0084】
反射光RLの光量の閾値以外が基準になってもよい。例えば、流路1080へ気泡が混入していないことが確認された時からの反射光RLの光量の増加量の閾値が基準であってもよい。この場合は、流路1080へ気泡が混入した場合の反射光RLの光量の増加量が事前に調べられ、当該増加量以下に閾値が設定される。また、気泡検出部1200は、反射光RLの光量の増加量が閾値を超えた場合に流路1080へ気泡が混入したことを検出する。
【0085】
気泡検出部1200による流路1080への気泡の混入の検出は、送液機構1008及び送液制御部1202が省略され手作業により流路1080へ液体が供給され流路1080から液体が回収される場合にも有用である。
【0086】
送液制御部1202は、気泡検出部1200の検出結果を取得し、送液機構1008を制御し、送液機構1008に流路1080へ液体を供給させ流路1080から液体を回収させる。液体の供給及び回収の処理は、気泡検出部1200の検出結果によって変化する。
【0087】
報知制御部1204は、気泡検出部1200の検出結果を取得し、ディスプレイ1012を制御し、計測エラーをディスプレイ1012に報知させる。ディスプレイ1012に代えて又はディスプレイ1012に加えて、他の形式の報知機構が設けられてもよい。報知制御部1204は、当該報知機構を制御し、当該報知機構に計測エラーを報知させる。例えば、ランプ等の発光体が報知機構として設けられ、発光体の点灯、発光体の消灯、発光体の発光色の変更、発光体の点滅等により計測エラーが報知されてもよい。ブザー、スピーカー、ベル等の発音体が設けられ、エラー音の発生、エラーメッセージの発声等により計測エラーが報知されてもよい。
【0088】
測定制御部1206は、表面プラズモン励起蛍光FLの光量の測定の開始及び終了を制御する。
【0089】
コントローラー1010は、制御プログラムを実行する組み込みコンピューターである。1個の組み込みコンピューターがコントローラー1010の機能を担ってもよいし、2個以上の組み込みコンピューターが分担してコントローラー1010の機能を担ってもよい。ソフトウエアを伴わないハードウエアがコントローラー1010の全部又は一部の機能を担ってもよい。ハードウエアは、例えば、オペアンプ、コンパレーター等の電子回路である。コントローラー1010による処理の全部又は一部が、手作業により実行されてもよく、計測装置1000の外部において実行されてもよい。
【0090】
{計測装置の動作}
図8のフローチャートは、計測装置の動作を示す。
【0091】
計測装置1000により計測が行われる場合は、図8に示すように、センサーチップ1002が準備され、センサーチップ1002が計測装置1000に取り付けられる(ステップS101)。
【0092】
センサーチップ1002が準備され計測装置1000に取り付けられた後に、励起光ELがプリズム1022に照射され、入射角θが共鳴角θrに設定される(ステップS102)。入射角θが共鳴角θrに設定される場合は、コントローラー1010がミラー駆動機構1046にミラー1044の姿勢及び位置を調整させ、予想される共鳴角θrの近傍で入射角θを走査させる。コントローラー1010は、入射角θの走査と並行して、反射光RLの光量の測定結果をフォトダイオード1007から取得する。コントローラー1010は、入射角θと反射光RLの光量との関係を示すSPR曲線から反射光RLの光量が極小になる入射角θである共鳴角θrを特定する。反射光RLの光量が極小になる入射角θと電場増強度が極大になる入射角θとはわずかに異なるので、望ましくは、共鳴角θrに微小角Δθrを加算又は減算する補正が行われる。図9のグラフは、SPR曲線及び入射角θと電場増強度との関係を示す。
【0093】
入射角θが共鳴角θrに設定された後に、一次抗体1122が抗体固層膜1024へ固定され(ステップS103)、抗原1128と一次抗体1122とが結合させられ(ステップS104)、抗原1128と二次抗体1132とが結合させられる(ステップS105)。一次抗体1122が抗体固層膜1024に予め固定されたセンサーチップ1002が準備される場合は、一次抗体1122の抗体固層膜1024への固定(ステップS103)が省略される。
【0094】
これらの反応が完了した後に、CCDセンサー1005が表面プラズモン励起蛍光FLの光量を測定する(ステップS106)。コントローラー1010は、表面プラズモン励起蛍光FLの光量を取得し、必要な演算を行う。
【0095】
{一次抗体液及び二次抗体液の供給中における気泡の混入の検出}
図10のフローチャートは、一次抗体液及び二次抗体液の供給中における気泡の混入の検出の手順を示す。
【0096】
図10に示すように、送液制御部1202が送液機構1008に液体(一次抗体液1120又は二次抗体液1130)を流路1080へ供給させた後に(ステップS121)、気泡検出部1200は、フォトダイオード1007から反射光RLの光量の測定結果を取得し、流路1080への気泡1124の混入の有無を検出する(ステップS122)。
【0097】
流路1080への気泡の混入が検出されない場合は、反応の終了後に(ステップS123)、送液制御部1202が送液機構1008に液体を流路1080から回収させる(ステップS124)。これにより、液体の送液が正常に完了する。
【0098】
流路1080への気泡の混入が検出された場合は、送液制御部1202が送液機構1008に液体を流路1080からいったん回収させ(ステップS125)、液体を流路1080へ再供給させる(ステップS126)。これにより、流路1080へ気泡が混入した場合に流路1080へ液体が再供給され、気泡が除去され、計測エラーが回避される。送液制御部1202が送液機構1008に液体を流路1080へ再供給させることに代えて、報知制御部1204がディスプレイ1012に計測エラーを報知させてもよい。例えば、反射光RLの光量の異常等のために計測エラーが生じる可能性がある場合には、計測エラーが報知される。
【0099】
液体が流路1080へ再供給された後に、気泡検出部1200は、フォトダイオード1007から反射光RLの光量の測定結果を再取得し、流路1080への気泡の混入の有無を再検出する(ステップS127)。
【0100】
流路1080への気泡の混入が再検出されない場合は、反応の終了後に(ステップS123)、送液制御部1202が送液機構1008に液体を流路1080から回収させる(ステップS124)。
【0101】
流路1080への気泡の混入が再検出された場合は、報知制御部1204がディスプレイ1012に計測エラーを報知させる(ステップS128)。液体を再々供給せず計測エラーを報知するのは、液体が流路1080へ再供給されても反射光RLの光量が多いままである場合は、気泡の混入ではなくごみの混入等が疑われるためである。したがって、液体が流路1080へ再供給されても反射光RLの光量が多いままである場合に計測エラーを報知することは、気泡の混入以外の要因による計測エラーが見過ごされないようにすることに寄与する。
【0102】
{試料液の供給中における気泡の混入の検出}
図11のフローチャートは、試料液の供給中における気泡の混入の検出の手順を示す。
【0103】
図11に示すように、送液制御部1202が送液機構1008に試料液1126を流路1080へ供給させた後に(ステップS141)、気泡検出部1200は、フォトダイオード1007から反射光RLの光量の測定結果を取得し、流路1080への気泡1124の混入の有無を検出する(ステップS142)。
【0104】
流路1080への気泡の混入が検出されない場合は、反応の終了後に(ステップS143)、送液制御部1202が送液機構1008に試料液1126を流路1080から回収させる(ステップS144)。
【0105】
流路1080への気泡の混入が検出された場合は、試料液1126は再供給されず、報知制御部1204がディスプレイ1012に計測エラーを報知させる(ステップS145)。これにより、流路1080へ気泡が混入した場合に計測エラーが報知され、計測エラーが見過ごされない。
【0106】
試料液1126が再供給されない理由は、試料液1126が抗体固層膜1024に接触していた時間、流路1080へ供給された試料液1126の量等により、抗体固層膜1024に捕捉される抗原の量が変化し、計測結果が変化するからである。ただし、単に抗原の有無がわかればよい場合のように、試料液1126を再供給してもよい場合もある。試料液1126を再供給してもよい場合は、一次抗体液及び二次抗体液と同様に図10のフローチャートにしたがって気泡の混入が検出されてもよい。
【0107】
{測定中における気泡の混入の検出}
図12のフローチャートは、測定中における気泡の混入の検出の手順を示す。
【0108】
測定制御部1206が表面プラズモン励起蛍光FLの光量の測定を開始させた後に(ステップS161)、気泡検出部1200は、フォトダイオード1007から反射光RLの光量の測定結果を取得し、流路1080への気泡の混入の有無を検出する(ステップS162)。
【0109】
流路1080への気泡の混入が検出されない場合は、測定が継続され、測定制御部1206が測定を正常に終了させる(ステップS163)。
【0110】
流路1080への気泡の混入が検出された場合は、測定制御部1206が測定を中止させ(ステップS164)、送液制御部1202が、送液機構1008に二次抗体液1130を流路1080からいったん回収させ(ステップS165)、バッファー液を流路1080へ再供給させる(ステップS166)。これにより、流路1080へ気泡が混入した場合に流路1080へバッファー液が再供給され、気泡が除去され、計測エラーが回避される。送液制御部1202が、送液機構1008にバッファー液を流路1080へ再供給させることに代えて、報知制御部1204がディスプレイ1012に計測エラーを報知させてもよい。
【0111】
バッファー液が流路1080へ再供給された後に、気泡検出部1200は、フォトダイオード1007から反射光RLの光量の測定結果を再取得し、流路1080への気泡の混入の有無を再検出する(ステップS167)。
【0112】
流路1080への気泡の混入が再検出されない場合は、測定制御部1206が再測定を開始させ(ステップS168)、再測定を正常に終了させる(ステップS169)。
【0113】
流路1080への気泡の混入が再検出された場合は、報知制御部1204がディスプレイ1012に計測エラーを報知させる(ステップS170)。バッファー液を再々供給せず計測エラーを報知するのは、二次抗体液1130が流路1080から回収された後にバッファー液が流路1080へ再供給されても反射光RLの光量が多いままである場合は、気泡の混入ではなくごみの混入等が疑われるためである。したがって、バッファー液が流路1080へ再供給されても反射光RLの光量が多いままである場合に計測エラーを報知することは、気泡の混入以外の要因による計測エラーが見過ごされないようにすることに寄与する。
【0114】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において例示であり、この発明は上記の説明に限定されない。例示されない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定されうる。
【符号の説明】
【0115】
1000 計測装置
1004 照射機構
1005 CCDセンサー
1007 フォトダイオード
1008 送液機構
1020 金膜
1022 プリズム
1024 抗体固層膜
1026 流路形成体
1080 流路
EL 励起光
RL 反射光
FL 表面プラズモン励起蛍光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う計測装置であって、
第1の主面及び第2の主面を有する導電体膜と、
励起光の入射面、反射面及び出射面を有し、前記入射面へ入射した前記励起光が前記反射面に反射され反射光となって前記出射面から出射するように前記入射面、前記反射面及び前記出射面が配置され、前記反射面が前記第1の主面に密着する誘電体媒体と、
接合面を有し、前記接合面に露出する流路が形成され、前記接合面が前記第2の主面に接合される流路形成体と、
前記流路の内部に設けられ、前記第2の主面に定着し、反応物が反応する反応場を提供する反応場提供物と、
前記誘電体媒体に前記励起光を照射し、前記反射面へ共鳴角で前記励起光を入射させる照射機構と、
前記反応場から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量を測定する第1の光量センサーと、
前記反射光の光量を測定する第2の光量センサーと、
前記第2の光量センサーから前記反射光の光量の測定結果を取得し、前記反射光の光量が基準を超えて増加した場合に前記流路への気泡の混入を検出する気泡検出部と、
を備える計測装置。
【請求項2】
請求項1の計測装置において、
液体を前記流路へ供給し前記流路から回収する送液機構と、
前記送液機構に前記流路へ液体を供給させた後に前記気泡検出部が前記流路への気泡の混入を検出した場合に、前記送液機構に前記流路から液体を回収させ前記流路へ液体を再供給させる送液制御部と、
をさらに備える計測装置。
【請求項3】
請求項2の計測装置において、
計測エラーを報知する報知機構と、
前記送液制御部が前記送液機構に前記流路へ液体を再供給させた後に前記気泡検出部が前記流路への気泡の混入を再検出した場合に、前記報知機構に前記計測エラーを報知させる報知制御部と、
をさらに備える計測装置。
【請求項4】
請求項1の計測装置において、
液体を前記流路へ供給する送液機構と、
前記送液機構に前記流路へ液体を供給させる送液制御部と、
計測エラーを報知する報知機構と、
前記送液制御部が前記送液機構に前記流路へ液体を供給させた後に前記気泡検出部が前記流路への気泡の混入を検出した場合に、前記報知機構に前記計測エラーを報知させる報知制御部と、
をさらに備える計測装置。
【請求項5】
請求項1の計測装置において、
液体を前記流路へ供給し前記流路から回収する送液機構と、
前記表面プラズモン励起蛍光の光量の測定の開始及び終了を制御する測定制御部と、
前記測定制御部が前記表面プラズモン励起蛍光の光量の測定を開始させた後に前記気泡検出部が前記流路への気泡の混入を検出した場合に、前記送液機構に前記流路から液体を回収させ前記流路へ液体を再供給させる送液制御部と、
をさらに備え、
前記測定制御部は、
前記気泡検出部が前記流路への気泡の混入を検出した場合に前記表面プラズモン励起蛍光の光量の測定を中止させ、前記送液制御部が前記送液機構に前記流路へ液体を再供給させた後に前記表面プラズモン励起蛍光の光量の再測定を開始させる
計測装置。
【請求項6】
表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う計測方法であって、
(a) 導電体膜、誘電体媒体、流路形成体及び反応場提供物を備え、前記導電体膜が第1の主面及び第2の主面を有し、前記誘電体媒体が励起光の入射面、反射面及び出射面を有し、前記入射面へ入射した前記励起光が前記反射面に反射され反射光となって前記出射面から出射するように前記入射面、前記反射面及び前記出射面が配置され、前記第1の主面と前記反射面とが密着し、前記流路形成体が接合面を有し、前記接合面に露出する流路が前記流路形成体に形成され、前記第2の主面と前記接合面とが接合され、前記反応場提供物が前記流路の内部に設けられ前記第2の主面に定着し反応物が反応する反応場を提供する構造物を準備する工程と、
(b) 前記工程(a)の後に、前記誘電体媒体に前記励起光を照射し、前記反射面へ共鳴角で前記励起光を入射させる工程と、
(c) 前記工程(b)が実行されている間に前記反応場から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量を測定する工程と、
(d) 液体を前記流路へ供給する工程と、
(e) 前記工程(b)が実行されている間であって前記工程(d)の後に前記反射光の光量を測定する工程と、
(f) 前記工程(e)において測定される前記反射光の光量が基準を超えて増加した場合に前記流路への気泡の混入を検出する工程と、
を備える計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−2858(P2013−2858A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131876(P2011−131876)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】