説明

計測装置

【課題】計測装置におけるセンサー部の感度の設定の精度を高めること。
【解決手段】計測装置は、計測対象の情報を含む信号を出力する光電変換部2と、計測対象の情報を含む信号を増幅する増幅器3と、を含むセンサー部10と、センサー部10から出力されるセンサー信号dxの、所定期間における最大値と最小値との差分を振幅値として検出し、振幅値が所定の許容振幅値に占める割合の程度に基づいて、センサー部10の感度を調整する感度調整部6と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
計測対象の変位を検出する計測装置は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の計測装置は、検出された信号を増幅する増幅器のゲインを、増幅された信号の大きさに応じて設定し直すゲイン設定部を有している。
【0003】
また、拍動検出装置は、人体の心拍に由来する拍動を検出するための装置であって、例えば、腕、手のひら、手指などに装着される脈波センサー部からの信号(脈波信号)から、人体の体動の影響により発生する信号成分(体動影響信号)を雑音として除去し、心拍に由来する信号(拍動信号)を検出する装置である。人の指や手首に装着するタイプの脈拍計は、例えば、特許文献2〜特許文献4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−234684号公報
【特許文献2】特開2005−198829号公報
【特許文献3】特開2007−54471号公報
【特許文献4】特開2005−131426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
計測装置が動作を開始すると、増幅器のゲインを、計測対象の状態に対応する適切なゲインに設定する必要がある。ゲイン設定は、正確に行われるのが好ましく、また、迅速に行われるのが好ましい。
【0006】
本発明の少なくとも一つの態様によれば、例えば、増幅器のゲイン設定の精度を高めることができる。また、例えば、増幅器のゲイン設定を迅速に行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の計測装置の一態様は、計測対象の情報を含む信号を出力するセンサー素子と、前記計測対象の情報を含む信号を増幅する増幅器と、を含むセンサー部と、前記センサー部から出力されるセンサー信号の、所定期間における最大値と最小値との差分を振幅値として検出し、前記振幅値が所定の許容振幅値に占める割合の程度に基づいて、前記センサー部の感度を調整する感度調整部と、を有する。
【0008】
本態様では、「センサー信号の振幅値が所定の許容振幅値に占める割合の程度」に基づいて、センサー部の感度が調整(制御)される。所定期間におけるセンサー信号の振幅値は、所定期間における最大値と最小値との差分によって定まる。
【0009】
本態様では、センサー信号の振幅が、許容振幅値(ダイナミックレンジ)に対してどのような割合になっているかを検出する。したがって、例えば、センサー信号の振幅が、許容振幅値(ダイナミックレンジ)内で、可能な限り大きくなるように(例えば、最大となるように)、センサー部の感度を設定することができる。したがって、センサー部の感度を、計測対象の状態に対応する適切な感度(例えば可能な限り大きな感度)に設定することができる。
【0010】
(2)本発明の計測装置の他の態様では、前記計測装置が計測を開始した計測開始時点から第1時間が経過した時点を第1時点とし、前記第1時点から第2時間が経過した時点を第2時点とし、前記計測開始時点から前記第2時点までを第1期間としたとき、前記感度調整部は、前記第1期間においては、前記センサー部の感度を所定の設定感度とし、前記所定期間は、前記第1時点から前記第2時点までの期間とし、かつ、前記第2時点において、検出された前記振幅値が前記所定の許容振幅値に占める割合の程度に基づいて、前記センサー部の感度を調整する。
【0011】
本態様では、計測開始時点から第1時間が経過した時点を第1時点とし、前記第1時点から第2時間が経過した時点を第2時点とし、計測開始時点から第2時点までを第1期間とする。ここで、第1時間をT1とし、第2時間をT2とし、第1期間をTXとする。
【0012】
本態様では、増幅器のゲインが、所定の初期設定感度に設定されている状態で、計測が開始される。計測が開始された後、第1期間(TX)が経過した第2時点で、第1時点から第2時点までの期間(上記(1)の態様における所定期間に相当する)において検出された、「センサー信号の振幅値が所定の許容振幅値に占める割合の程度」に基づいて、増幅器のゲインの設定(ゲインの見直し)が実行される。すなわち、計測開始後、第1期間(TX)が経過した時点で、増幅器のゲインは、計測対象の状態に応じた適切な値になる。第1期間(TX)の長さを適切に設定すれば、計測開始後、早期に増幅器のゲインの最適化が可能である。すなわち、増幅器の初期ゲイン設定を、正確かつ迅速に行うことができる。
【0013】
また、計測開始当初の期間では、例えば回路動作の開始等に伴うノイズが生じ易い。本態様では、計測開始時点から第1時点までの第1時間を適切な長さに設定すること、すなわち、第1時間内で、ノイズが生じ易い時期が終了するようにすることによって、「センサー信号の振幅値が所定の許容振幅値に占める割合の程度」の検出の精度を高めることができる。
【0014】
(3)本発明の計測装置の他の態様では、前記感度調整部は、前記所定期間において、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超えるか否かを検出し、前記所定の許容振幅値を超えるか否かの検出結果に基づいて、前記センサー部の感度を調整する。
【0015】
本態様は、感度調整部は、センサー信号の振幅値が、所定の許容振幅値(ダイナミックレンジ)を超えるか否かを検出し、検出結果に基づいてセンサー部の感度調整を実行する。なお、センサー信号の振幅値が所定の許容振幅値(ダイナミックレンジ)を超える現象を「振り切れ」といってもよい。振り切れが生じたときには、増幅器から出力されるセンサー信号の値は、飽和した状態となっている。
【0016】
振り切れが生じていることは、所定の振幅許容値(ダイナミックレンジ)を超える過大な信号が増幅器に入力されていることを意味する。この場合、感度調整部が、センサー部の感度を減少させることによって、振り切れが生じないようにすることができる。
【0017】
(4)本発明の計測装置の他の態様では、前記センサー部は、前記増幅器から出力される信号を所定時間間隔でサンプリングしてサンプルを抽出するサンプリング部を有し、前記所定期間において、時系列において隣り合う複数のサンプルについて、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超える場合、前記感度調整部は、前記隣り合う複数のサンプルについて、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超えた回数を検出し、前記回数に基づいて、前記センサー部の感度を調整する。
【0018】
本態様では、感度調整部は、時系列において隣り合う複数のサンプルについて、センサー信号の振幅値が所定の許容振幅値を超えた回数(振り切れの回数)を検出し、その回数に基づいて、センサー部の感度を調整する。増幅器に入力される信号の乱れの程度が大きいほど、振り切れの回数が増大する可能性が高いと考えられる。
【0019】
よって、感度調整部が、振り切れの回数に基づくセンサー部の感度調整(この場合は、感度を適切に減少させる処理)を実行することによって、振り切れが生じないようにすることができる。
【0020】
(5)本発明の計測装置の他の態様では、前記センサー部は、前記増幅器から出力される信号を所定時間間隔でサンプリングしてサンプルを抽出するサンプリング部を有し、前記所定期間において、時系列において隣り合う複数のサンプルについて、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超える場合、前記感度調整部は、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超えた、時系列において隣り合うサンプル数が最大となる最大サンプル数に基づいて、前記センサー部の感度を調整する。
【0021】
本態様では、感度調整部は、センサー信号の振幅値が所定の許容振幅値を超えた、時系列において隣り合うサンプル数が最大となる最大サンプル数に基づいて、センサー部の感度を調整する。
【0022】
増幅器に入力される信号の過大さの程度が増大するほど、最大サンプル数が多くなる可能性が高いと考えられる。よって、感度調整部が、最大サンプル数に基づく増幅器のゲイン調整(この場合は、ゲインを適切に減少させる処理)を実行することによって、振り切れが生じないようにすることができる。
【0023】
(6)本発明の計測装置の他の態様では、前記所定期間において、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値の上限値を超えるか、あるいは、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値の下限値を超えるか、に基づいて、前記センサー部の感度を調整する。
【0024】
本態様では、感度調整部は、センサー信号の振幅値が所定の許容振幅値の上限値を超えるか、あるいは、所定の許容振幅値の下限値を超えるか、に基づいて、センサー部の感度を調整する。
【0025】
ここで、センサー信号の振幅値が所定の許容振幅値の上限値を超える現象を、「正方向の振り切れ」といってもよく、また、センサー信号の振幅値が所定の許容振幅値の下限値を超える現象を「負方向の振り切れ」といってもよい。
【0026】
振り切れが生じたときに、その方向の情報を含めて検出することによって、センサー部の感度を調整する際の基礎となる情報が増える。よって、増幅器の感度を的確に調整できる。
【0027】
(7)本発明の計測装置の他の態様では、前記センサー部は、前記増幅器から出力される信号を所定時間間隔でサンプリングしてサンプルを抽出するサンプリング部を有し、前記所定期間において、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超えたとき、前記感度調整部は、前記所定の許容振幅値を超えたサンプルの振幅値と、前記所定の許容振幅値を超えたサンプルに隣り合うサンプルの振幅値との差分を検出し、前記差分に基づいて、前記センサー部の感度を調整する。
【0028】
本態様では、感度調整部は、感度調整部は、所定の許容振幅値を超えたサンプルの振幅値と、所定の許容振幅値を超えたサンプルに隣り合うサンプルの振幅値との差分を検出し、差分に基づいて、センサー部の感度を調整する。
【0029】
例えば、振り切れを生じさせた信号(増幅器への入力信号)の波形が先鋭であるほど、差分が大きくなると考えられる。ここで、信号の波形の先鋭度が高い場合と低い場合とを想定する。この場合、増幅器から出力されるセンサー信号の振幅値を、所定の許容振幅値(ダイナミックレンジ)内に納めるためには、先鋭度が高いときの方が、増幅器のゲインをより小さくしないといけないと考えられる。感度調整部が、差分に着目して増幅器のゲインを調整することによって、振り切れが生じないようにすることができる。
【0030】
(8)本発明の計測装置の他の態様では、前記感度調整部は、前記センサー信号の振幅値の、前記センサー信号の許容振幅値に対する割合の程度に基づいて、前記増幅器のゲインを定める情報であるゲイン設定値を決定するゲイン設定値決定部と、前記ゲイン設定値決定部によって決定された前記ゲイン設定値に基づいて、前記増幅器のゲインを調整するゲイン調整部と、を有する。
【0031】
本態様では、感度調整部は、ゲイン設定値決定部と、ゲイン調整部と、を有する。ゲイン設定値決定部によってゲイン設定値の値が決定されると、ゲイン調整部は、ゲイン設定値に基づいて増幅器のゲインを調整する。本態様では、増幅器のゲインを、ゲイン設定値というパラメーターによって制御することができる。
【0032】
(9)本発明の計測装置の他の態様では、前記計測装置は、前記計測対象としての被検体の拍動に由来する拍動信号を検出する拍動検出装置である。
【0033】
本態様では、例えば、増幅器の初期ゲイン設定の高精度化ならびに迅速化が実現されることから、拍動検出装置は、拍動信号の検出に使用できる有用な脈波信号(センサー信号に相当する)を得ることができる。よって、拍動検出装置の拍動検出の精度が高まる。
【0034】
このように、本発明の少なくとも一つの態様によれば、例えば、例えば、増幅器のゲイン設定の精度を高めることができる。また、例えば、増幅器のゲイン設定を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】計測装置の一例の構成を示す図
【図2】増幅器の具体的な構成の一例を示す図
【図3】図3(A)および図3(B)は、ゲイン調整の例(ゲインを増大させる例)を模式的に示す図
【図4】図4(A)、図4(B)、および図4(C)は、ゲイン調整の例(ゲインを減少させる例)を模式的に示す図
【図5】ゲイン調整のタイミングの一例を示す図
【図6】図6(A)および図6(B)は、ゲイン調整の具体例を示す図
【図7】拍動検出装置の一例の構成を示す図
【図8】拍動検出装置の動作の一例を示すフローチャート
【図9】図9(A)および図9(B)は、計測開始後3秒〜4秒までの期間における脈波信号dに振り切れが生じない場合におけるゲイン調整例を示す図
【図10】図10(A)および図10(B)は、計測開始後3秒〜4秒までの期間における脈波信号dに振り切れが生じる場合におけるゲイン調整例を示す図
【図11】図11(A)および図11(B)は、拍動検出装置の、被検体への装着例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、具体的に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0037】
(第1実施形態)
(計測装置の構成)
図1は、計測装置の一例の構成を示す図である。図1に示される計測装置102は、計測対象(例えば被検体としての人:不図示)の情報を含む信号を出力する、センサー素子としての光電変換部2と、計測対象の情報を含む信号を増幅する増幅器3と、サンプリング部としてのA/D変換器4と、を含むセンサー部10と、センサー部10から出力されるセンサー信号dxの、所定期間における最大値と最小値との差分を振幅値として検出し、振幅値が所定の許容振幅値(ダイナミックレンジ)に占める割合の程度に基づいて、センサー部10の感度を調整する感度調整部6と、タイミング制御情報を出力するタイミング部(タイマー等)9と、振幅閾値を格納している閾値格納部11と、周波数解析部50と、を有する。サンプリング部としてのA/D変換器4は、増幅器3から出力される信号を所定時間間隔でサンプリングしてサンプルを抽出する。
【0038】
増幅器3は可変利得増幅器である。増幅器3のゲインGNは、感度調整部6によって調整(制御)される。
【0039】
感度調整部6は、センサー信号dxの振幅値の、センサー信号dxの許容振幅値(ダイナミックレンジ)に対する割合の程度に基づいて、増幅器3のゲインを定める情報であるゲイン設定値を決定するゲイン設定値決定部7と、ゲイン設定値決定部7によって決定されたゲイン設定値に基づいて、増幅器3のゲインGNを調整するゲイン調整部8と、を有していることが好ましい。なお、感度調整部6は、センサー部10の感度の調整に際して、例えば、周波数解析部50から出力される、センサー信号dxの周波数解析結果を示す信号gxを参照してもよい。
【0040】
ゲイン設定値決定部7は、ゲインGNを増加させる場合においてゲイン設定値を決定する第1決定部7aと、ゲインGNを減少させる場合においてゲイン設定値を決定する第2決定部7bと、を有する。つまり、ゲイン設定値決定部7は、ゲインGNを増加させる場合ならびに減少させる場合の双方において、適切なゲイン設定値を決定することができる。ゲイン設定値決定部7によってゲイン設定値の値が決定されると、ゲイン調整部8は、ゲイン設定値に基づいて増幅器3のゲインGNを調整する。これによって、増幅器3のゲインGNを、ゲイン設定値というパラメーターによって制御することができる。
【0041】
次に、増幅器(可変利得増幅器)3の具体的な構成例について説明する。図2は、増幅器の具体的な構成の一例を示す図である。増幅器3は、センサー素子である光電変換部2から出力された信号を、一定のゲインで増幅する初段増幅部410と、所定周波数以下の周波数成分を除去するローパスフィルタ420と、可変ゲイン増幅部430と、をカスケード接続して構成される。
【0042】
可変ゲイン増幅部430は、ゲイン調整信号d1〜d4の信号レベルによってオン/オフが制御されるアナログスイッチ431〜434を有する。ここで、アナログスイッチ431〜434は、対応するゲイン調整信号(d1〜d4のいずれか)のレベルがHレベルとなった場合にオンする。
【0043】
なお、ゲイン調整信号d1〜d4のうちの1つの信号レベルがHレベルとなるときは、他のゲイン調整信号の信号レベルはLレベルとなる。したがって、アナログスイッチ431〜434は、いずれかひとつのみがオンされる。
【0044】
ここで、フィードバック抵抗R1〜R5の抵抗値を、例えばR1=20kΩ、R2=40kΩ、R3=80kΩ、R4=160kΩ、R5=320kΩとすると、可変ゲイン増幅部430におけるゲインは、ゲイン調整信号d1がHレベルとなって、アナログスイッチ431がオンした場合に2倍となり、また、ゲイン調整信号d2がHレベルとなって、アナログスイッチ432がオンした場合には4倍となる。また、ゲイン調整信号d3がHレベルとなって、アナログスイッチ433がオンした場合には8倍となり、また、ゲイン調整信号d4がHレベルとなって、アナログスイッチ434がオンした場合に16倍となる。各オペアンプは片電源で動作するため、入力信号が電源電圧VDDの半分の電圧VDD/2にプルアップされている。以上の構成は一例であり、適宜、変形、応用が可能である。
【0045】
(初回のゲイン調整動作)
次に、計測開始後、増幅器3のゲインGNを初めて調整する場合(つまり、初回のゲイン調整動作)について説明する。図3〜図6を参照して説明する。
【0046】
上述のとおり、感度調整部6は、センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値(ダイナミックレンジ)に占める割合の程度に基づいて、センサー部10の感度を調整(制御)する。所定期間(例えば、計測開始後0秒〜4秒の期間)におけるセンサー信号dxの振幅値は、所定期間における最大値と最小値との差分値によって定まる。
【0047】
また、所定の許容振幅値は、上述のとおり、例えばセンサー信号dxの値が取り得る範囲を規定するダイナミックレンジに相当する。センサー部10の感度は、増幅器3のゲインに応じて決定される。すなわち、増幅器3のゲインを調整することによって、センサー部10の感度を調整することができる。
【0048】
感度調整部6は、センサー信号dxの振幅が、許容振幅値(ダイナミックレンジ)に対してどのような割合になっているかを検出する。したがって、例えば、センサー信号dxの振幅が、許容振幅値(ダイナミックレンジ)内で、可能な限り大きくなるように(例えば、最大となるように)、増幅器3のゲインを設定することができる。したがって、増幅器3のゲインを、計測対象の初期状態に対応する適切なゲイン(例えば可能な限り大きなゲイン)に設定することができる。
【0049】
図3(A)および図3(B)は、ゲイン調整の例(ゲインを増大させる例)を模式的に示す図である。図3(A)および図3(B)の例では、ゲイン設定値を4(初期値)として計測を開始する。この場合の増幅器3のゲインGNは16(=2)となる。また、所定期間(例えば、計測開始後0秒〜4秒の期間)におけるセンサー信号dxの振幅値をQ1aとする。センサー信号dxの振幅値Q1aは、最大値M2と最小値M1との差分によって決定される。なお、センサー信号dxが取り得る許容振幅値(ダイナミックレンジ)はDLである。この許容振幅値DLの下限値はLLであり、上限値はLU(具体的には512)である。
【0050】
ここで、感度調整部6(具体的には、ゲイン設定値決定部7の第1決定部7a)は、センサー信号dxの振幅値Q1aを、例えば、5つの振幅閾値(16,32,64,128,256の各値をもつ第1振幅閾値〜第5振幅閾値)と比較し、これによって、センサー信号dxの振幅値Q1aが許容振幅値DLに占める割合の程度を判断する。
【0051】
ここでは、センサー信号dxの許容振幅値の中点の値を0とし、かつ上限値を512(=2)とする。また、上述の所定期間におけるセンサー信号dxの振幅値(上述のQ1a)をxとし、振幅閾値の値をyとしたとき、感度調整部に含まれるゲイン設定値決定部7の第1決定部7aは、x<yを満足する最小のyに相当する振幅閾値を、第1振幅値〜第5振幅値の中から特定する。
【0052】
この結果、図3(A)の例では、第1振幅閾値(値16)が特定される。ゲイン設定値決定部7の第1決定部7aは、特定された振幅閾値に応じて、ゲイン設定値(ここではmとする)の値を決める。図3(A)の例では、ゲイン設定値m=9と決定される。
【0053】
また、ゲイン調整部8は、増幅器3のゲインをGNとするとき、GN=2という計算式に基づいて定まる値となるように、増幅器3のゲインGNを調整する。この調整のタイミングは、例えば、上述の所定期間(計測開始後0秒〜4秒の期間)が終了した時点である。図3(A)の例では、ゲインGNは512(=2)に調整される。これは、ゲイン設定値m=4のときのゲインGNの32倍に相当する。
【0054】
また、図3(B)の例では、センサー信号dxの振幅値はQ1bである。この場合、振幅閾値として、第5振幅閾値(値256)が選択される。この場合、ゲイン設定値mは5と決定される。これによって、増幅器3のゲインGNは、32(=2)に調整される。これは、ゲイン設定値m=4のときのゲインGNの2倍に相当する。
【0055】
このようにして、計測開始後、所定期間が経過した時点で、初回のゲイン調整が実行されて、増幅器3のゲインGNは適切な値に調整される。すなわち、早期かつ適切な初回のゲイン調整が実現される。
【0056】
図4(A)および図4(B)は、ゲイン調整の例(ゲインを減少させる例)を模式的に示す図である。図4(A)および図4(B)の例では、ゲイン設定値を4(初期値)として計測を開始する。この場合の増幅器3のゲインGNは16(=2)となる。また、所定期間(例えば、計測開始後0秒〜4秒の期間)におけるセンサー信号dxの振幅値をQ1aとする。センサー信号dxの振幅値Q1aは、最大値M2と最小値M1との差分によって決定される。なお、センサー信号dxが取り得る許容振幅値(ダイナミックレンジ)はDLである。この許容振幅値DLの下限値はLLであり、上限値はLU(具体的には512)である。
【0057】
増幅器3のゲインGNを減少させる場合は、ゲイン設定値決定部7の第2決定部7bが、ゲイン設定値mの値を特定する。感度調整部6は、ゲインGNをどの程度、減少させるかを判断するために、例えば、センサー信号dxの振幅値が、所定の許容振幅値DL(LL,LU)を超えるか否かを検出し、検出結果に基づいてセンサー部10の感度調整を実行する。なお、センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値(ダイナミックレンジ)を超える現象を「振り切れ」といってもよい。
【0058】
例えば、感度調整部6は、所定期間(例えば、計測開始後0秒〜4秒の期間)において、センサー信号dxの振幅値が、所定の許容振幅値DLを超える振り切れが生じたか否かを検出し、振り切れの有無に基づいて、センサー部10の感度を調整してもよい。なお、感度調整の具体例については、図6を用いて後述する。
【0059】
振り切れが生じたとき、増幅器3から出力されるセンサー信号dxの値は、飽和した状態となっている。振り切れが生じていることは、所定の振幅許容値(ダイナミックレンジ)を超える過大な信号が増幅器に入力されていることを意味する。図4(A)の例では、振り切れが生じている。
【0060】
この場合、感度調整部6が、増幅器3のゲインGNを減少させることによって、振り切れが生じないようにすることができる。
【0061】
また、所定期間において、センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値DLを超える振り切れが、時系列において隣り合う複数のサンプル(時系列において連続する複数のサンプルといってもよい)について生じた場合には、感度調整部6は、隣り合う複数のサンプルについての振り切れが、所定期間において生じた回数を検出し、回数に基づいて、センサー部10の感度を調整してもよい。
【0062】
増幅器3に入力される信号の乱れの程度が大きいほど、振り切れの回数が増大する可能性が高いと考えられる。よって、感度調整部6が、振り切れの回数に基づく増幅器3のゲインGNの調整(ゲインを適切に減少させる処理)を実行することによって、振り切れが生じないようにすることができる。
【0063】
図4(A)の例では、上限値LU側における振り切れが3回連続しており(時刻t10〜t11,時刻t12〜t13,時刻t14〜t15)、下限値LL側における振り切れも3回連続している(時刻t11〜t12,時刻t13〜t14,時刻t15〜t16)。この場合は、振り切れの回数は3となる。
【0064】
また、所定期間において、センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値を超える振り切れが、隣り合う複数のサンプルについて生じた場合、感度調整部6は、時系列において隣り合うサンプル数が最大である振り切れにおけるサンプル数を最大サンプル数として検出し、最大サンプル数に基づいて、センサー部10の感度を調整してもよい。
【0065】
増幅器3に入力される信号の過大さの程度が増大するほど、最大サンプル数が多くなる可能性が高いと考えられる。よって、感度調整部6が、最大サンプル数に基づく増幅器3のゲインGNの調整(この場合は、ゲインを適切に減少させる処理)を実行することによって、振り切れが生じないようにすることができる。
【0066】
例えば、時系列において隣り合うサンプル数が最大である振り切れが、図4(B)に示されるような振り切れであったとする。この場合、サンプルSP1〜SP3が連続していることから、時系列において隣り合う最大のサンプル数は3となる。
【0067】
また、所定期間において、センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値を超える振り切れが生じたとき、感度調整部6は、センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値の上限値LUを超えるか、あるいは、所定の許容振幅値の下限値LLを超えるか、に基づいて、センサー部10の感度を調整してもよい。
【0068】
ここで、センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値の上限値LUを超える現象を、「正方向の振り切れ」といってもよく、また、センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値の下限値LLを超える現象を「負方向の振り切れ」といってもよい。
【0069】
振り切れが生じたときに、その方向の情報を含めて検出することによって、センサー部10の感度GNを調整する際の基礎となる情報が増える。よって、増幅器3の感度GNを的確に調整できる。
【0070】
図4(A)の例では、正方向の振り切れが、時刻t10〜t11、時刻t12〜t13、時刻t14〜t15において生じている。また、負方向の振り切れが、時刻t11〜t12、時刻t13〜t14、時刻t15〜t16において生じている。
【0071】
また、所定期間において、センサー信号dxの振幅値が許容振幅値DLを超えたとき、所定の許容振幅値を超えたサンプルの振幅値と、所定の許容振幅値を超えたサンプルに隣り合う、所定の許容振幅値を超えていないサンプル(振り切れを起こしていないサンプル)の振幅値との差分を検出し、差分に基づいて、センサー部10の感度を調整してもよい。
【0072】
例えば、振り切れを生じさせた信号(増幅器3への入力信号)の波形が先鋭であるほど、差分が大きくなると考えられる。ここで、信号の波形の先鋭度が高い場合と低い場合とを想定する。この場合、増幅器3から出力されるセンサー信号dxの振幅値を、許容振幅値DL内に納めるためには、先鋭度が高いときの方が、増幅器3のゲインGNをより小さくしないといけないと考えられる。感度調整部6が、差分に着目して、増幅器3のゲインGNを調整することによって、振り切れが生じないようにすることができる。
【0073】
図4(C)の例では、振り切れを起こしたサンプルSP3と、このサンプルSP3に隣り合い、振り切れを起こしていないサンプルSP4との差分はdmである。感度調整部6は、この差分dmを、例えば所定の閾値と比較することによって、差分dmの大きさを判断することができる。
【0074】
次に、初回のゲイン調整のタイミングの一例について説明する。図5は、ゲイン調整のタイミングの一例を示す図である。図5には、センサー信号dxの信号波形が示されている。図5において、横軸は計測開始時点からの経過時間(秒)を示し、縦軸は、センサー信号dxの振幅値を示す。
【0075】
図5では、計測装置102が計測を開始した計測開始時点を時刻t0とする。この時刻t0から第1時間T1が経過した時点を第1時点(時刻t1)とし、第1時点(時刻t1)から第2時間T2が経過した時点を第2時点(時刻t2)とする。また、計測開始時点(時刻t0)から第2時点(時刻t2)までを第1期間TXとする。
【0076】
第1時間をT1、第2時間T2、第1期間TXの間には、0≦T1<TX、ならびに0<T2≦TXという関係が成立する。
【0077】
感度調整部6は、第1期間TXにおいては、センサー部10の感度を所定の初期設定感度とする(例えば、増幅器3のゲインGNを16とする)。また、所定期間としての第1時点(時刻t1)から第2時点(時刻t2)までの期間(第2時間T2)において、センサー信号dxの振幅値が、許容振幅値DL(−512〜512)に占める割合の程度を検出する。そして、感度調整部6は、第2時点(時刻t2)において、センサー部10の感度GNを、検出された振幅値が所定の許容振幅値に占める割合の程度に基づいて決定された感度に調整する。
【0078】
すなわち、上述の例では、計測開始時点(時刻t0)から、第1期間(TX)が経過した時点で、増幅器3のゲインGNは、計測対象の状態に応じた適切な値に調整される。第1期間(TX)の長さを適切に設定すれば、計測開始後、早期に増幅器3のゲインの最適化が可能である。上述の例では、第1時間TXは4秒に設定されている。よって、増幅器3の初期ゲイン設定を、正確かつ迅速に行うことができる。
【0079】
また、計測開始当初の期間では、例えば回路動作の開始等に伴うノイズが生じ易い。図5の例では、計測開始時点から第1時点(時刻t1)までの第1時間T1を適切な長さに設定すること、すなわち、第1時間T1内で、過大なノイズが生じ易い時期が終了するようにすることによって、センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値DLに占める割合の程度の検出の精度を高めることができる。
【0080】
図5の例では、センサー信号dxの過大なノイズ(過渡応答ノイズ等)は、第1時間T1内で収束しており、よって、過大なノイズによる初回ゲイン設定への悪影響は回避されている。
【0081】
(ゲイン調整の具体例)
次に、ゲイン調整の具体例について図6を用いて説明する。図6(A)および図6(B)は、ゲイン調整の具体例を示す図である。
【0082】
図6(A)は、ゲインを増大させる場合の具体例を示している。この例では、センサー信号dxの許容振幅値(ダイナミックレンジ)を0〜1023(10bit分)としている。図6(A)の例では、ケース1〜ケース5の各々について、使用される振幅閾値と、ゲイン設定と、必要な感度(GN)と、振幅値の上限値と、が示されている。
【0083】
図6(A)の例では、センサー信号dxの許容振幅値の中点の値を0とし、正方向に最大で512のレンジを設定し、負方向に−512のレンジを設定している。
【0084】
また、増幅器3のゲイン設定値をm(mは、4≦m≦9を満足する自然数)とし、計測装置102の計測開始時点における増幅器3のゲイン設定値mの値(つまり、初期設定値)を4とし、このときの増幅器3のゲイン(つまり、初期設定ゲイン)を16(=2)とする。
【0085】
また、所定期間におけるセンサー信号dxの振幅値の、許容振幅値に対する割合の程度を判断する基準となる振幅閾値として、値が16の第1振幅閾値、値が32の第2振幅閾値、値が64の第3振幅閾値、値が128の第4振幅閾値、値が256の第5振幅閾値を用いる。
【0086】
ここで、所定期間におけるセンサー信号dxの振幅値をxとし、振幅閾値の値をyとしたとき、ゲイン設定値決定部7の第1決定部7aは、x<yを満足する最小のyに相当する振幅閾値を、第1振幅値〜前記第5振幅値の中から特定する。
【0087】
(ケース1)
第1決定部7aは、特定された振幅閾値が第1振幅閾値(値16)のとき、増幅器3のゲイン設定値mの値を9とする。ゲイン調整部8は、増幅器3のゲイン設定値mの値が9のとき、増幅器のゲインGNを512(=2)とする。
【0088】
(ケース2)
第1決定部7aは、特定された振幅閾値が第2振幅閾値(値32)のとき、増幅器3のゲイン設定値mの値を8とする。ゲイン調整部8は、増幅器3のゲイン設定値mの値が8のとき、増幅器3のゲインGNを256(=2)とする。
【0089】
(ケース3)
第1決定部7aは、特定された振幅閾値が第3振幅閾値(値64)のとき、増幅器3のゲイン設定値mの値を7とする。ゲイン調整部8は、増幅器3のゲイン設定値mの値が7のとき、増幅器3のゲインを128(=2)とする。
【0090】
(ケース4)
第1決定部7aは、特定された振幅閾値が第4振幅閾値(値128)のとき、増幅器3のゲイン設定値mの値を6とする。ゲイン調整部8は、増幅器3のゲイン設定値mの値が6のとき、増幅器のゲインを64(=2)とする。
【0091】
(ケース5)
第1決定部7aは、特定された振幅閾値が第5振幅閾値(値256)のとき、増幅器3のゲイン設定値mの値を5とする。ゲイン調整部8は、増幅器3のゲイン設定値mの値が5のとき、増幅器のゲインを32(=2)とする。
【0092】
(ケース6)
センサー信号dxの振幅値が、第5振幅閾値(値256)よりも大きいときがケース6なる。この場合には、図6(B)に従って、振り切れ回数等を考慮したゲイン調整(ゲインを減少させる調整)が実行される。
【0093】
このように、図6(A)の例では、感度調整部6は、センサー信号dxを、5つの振幅閾値(16,32,64,128,256の各値をもつ第1振幅閾値〜第5振幅閾値)と比較することによって、「センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値に占める割合の程度」を判断する。
【0094】
ここでは、センサー信号dxの許容振幅値の中点の値を0とし、かつ上限値を512(=2)とする。また、所定期間におけるセンサー信号dxの振幅値をxとし、振幅閾値の値をyとしたとき、感度調整部に含まれるゲイン設定値決定部は、x<yを満足する最小のyに相当する振幅閾値を、第1振幅値〜第5振幅値の中から特定する。
【0095】
そして、ゲイン設定値決定部7(第1決定部7a)は、特定された振幅閾値が、第1振幅閾値〜第5振幅値のうちのどれであるかに応じて、増幅器3のゲイン設定値mの値を決める。また、増幅器3のゲインをGNとするとき、ゲイン調整部8は、GN=2という計算式に基づいて定まる値となるように、増幅器3のゲインGNを調整する。図6(A)の例によれば、センサー信号dxを、複数の振幅閾値と比較し、その比較結果に応じて、増幅器3のゲイン設定値mの値、ならびに増幅器3のゲインGNを算出することができる。
【0096】
図6(B)の例では、ゲインを減少させる場合の具体例が示されている。図6(B)の例では、センサー信号dxの許容振幅値の中点の値を0とし、正方向に最大で512のレンジを設定し、負方向に−512のレンジを設定している。この範囲に収まらない場合を、振り切れと呼んでいる。ここで、正方向の振り切れとは、センサー信号dxの振幅値が、ダイナミックレンジの上限値(512)を超える場合であり、負方向の振り切れとは、ダイナミックレンジの下限値(−512)を超えて下回った場合である。なお、図6(B)の例では、計測開始後の最初のゲイン設定値見直し処理では、ゲイン設定値mを0にはしないようにしている。
【0097】
図6(A)に従う判断によって、ケース6と判断されたとき、ゲイン設定値決定部7の第2決定部7bは、図6(B)に従う判断を実行して、ゲイン設定値mの値を決定する。
【0098】
(ケース7)
正方向の振り切れ回数と、負方向の振り切れ回数とを加算した値が10以上であるときは、ゲイン設定値mを1とする。
【0099】
(ケース8)
連続した振り切れの回数が4以上であるときは、ゲイン設定値mを1とする。
【0100】
(ケース9)
センサー信号dxの振幅値が所定の許容振幅値を超えた、時系列において隣り合うサンプル数が最大となる最大サンプル数が3以上のときは、ゲイン設定値mを1とする。
【0101】
(ケース10)
振り切れを起こしたサンプルと、このサンプルに隣り合うサンプルとの差分(振り切れサンプル差分)が128以上であるときは、ゲイン設定値mを1とする。
【0102】
(ケース11)
正方向の振り切れ回数が2以上、あるいは、負方向の振り切れ回数が2以上であるときは、ゲイン設定値mを3とする。但し、これは一例であり、変形が可能である。例えば、正方向の振り切れの場合と負方向の振り切れの場合とで、調整された感度に差を設けてもよい。
【0103】
(ケース12)
振り切れを起こしたサンプルと、このサンプルに隣り合うサンプルとの差分(振り切れサンプル差分)が64以上であるときは、ゲイン設定値mを2とする。
【0104】
(ケース13)
正方向の振り切れ回数が1以上、あるいは、負方向の振り切れ回数が1以上であるときは、ゲイン設定値mを3とする。
【0105】
(ケース14)
振り切れは無いが、センサー信号dxのピーク値が、ダイナミックレンジ(−512〜512)のうちの388以上ならば、ゲイン設定値mを3とする。
【0106】
(ケース15)
振り切れは無いが、センサー信号dxのピーク値が、ダイナミックレンジ(−512〜512)のうちの388未満ならば、ゲイン設定値mを4とする。
【0107】
図6(B)に示される、各判断条件は一例であり、また、各判断条件のいずれかのみを使用することもでき、また、複数の判断条件を任意に組み合わせて使用することも可能である。
【0108】
(第2実施形態)
本実施形態では、計測装置の一例としての拍動検出装置の構成ならびに動作について説明する。本実施形態では、例えば、増幅器の初期ゲイン設定の高精度化ならびに迅速化が実現される。よって、本実施形態の拍動検出装置は、拍動信号の検出に使用できる有用な脈波信号(センサー信号に相当する)を得ることができる。よって、拍動検出装置の拍動検出の精度が高まる。
【0109】
図7は、拍動検出装置の一例の構成を示す図である。図7において、図1と共通する部分には、同じ参照符号を付し、その説明を省略してある。図7に示される拍動検出装置100は、被検体(人や動物を含む)の拍動に由来する拍動信号、拍動信号に対応する心拍等の生体情報等を検出するセンサー装置の一種である。
【0110】
ここで、拍動とは、医学的には心臓のみならず内臓一般の周期的な収縮、弛緩が繰り返された場合に起こる運動のことをいう。ここでは、心臓が周期的に血液を送るポンプとしての動きを拍動と呼ぶ。なお、心拍数とは、1分間の心臓の拍動の数をいう。また、脈拍数は、末梢血管における脈動の数をいう。心臓が血液を送り出す際に、動脈に脈動が生じるので、この回数を数えたものを脈拍数あるいは単に脈拍と呼ぶ。腕で脈を計測する限りは、医学的には心拍数とは呼ばずに脈拍数と呼ぶのが通常である。また、以下の説明では、体動という用語が使用される。体動とは、広い意味では、体を動かすことすべてを意味する(広義の体動)。被検体の定常的、周期的な体動(例えば、歩行・ジョギングなどに伴う周期的、つまり定常的な腕(例えば拍動検出装置の本体の近辺)の動き等)を、狭義の体動といってもよい。
【0111】
(全体構成)
図7に示される拍動検出装置100は、拍動信号を含む可能性がある脈波信号dを出力する脈波センサー部10と、感度調整部6と、タイミング部(タイマー)9と、閾値格納部(メモリー)11と、脈波信号蓄積部(4秒分の脈波信号dのデータを蓄積する第1バッファメモリー13および16秒分の脈波信号dのデータを蓄積する第2バッファメモリー15を有する)12と、適応フィルター32および体動成分除去フィルター34を含むフィルター部30と、体動センサー部(加速度センサーやジャイロセンサー等)20と、体動信号蓄積部22と、周波数解析部50と、履歴格納部70と、被検体情報取得部(脈拍数・消費カロリー算出部)90と、表示処理部92と、表示部94と、を有する。
【0112】
周波数解析部50は、信号分配部39と、周波数分解部40(第1周波数分解部40a、第2周波数分解部40b、第3周波数分解部40c)ならびに周波数傾向情報44を蓄積している脈波信号解析部42と、後処理部60(ピーク順ソート部62、相関判定部64、拍動/体動分離部66、拍動呈示スペクトル特定部68とを含む)と、拍動呈示スペクトル捕捉処理部80と、を有する。
【0113】
脈波センサー部10は、例えば、光電脈波センサー部及びその原理に基づく脈波センサー部である。脈波センサー部10は、拍動信号を含む可能性がある脈波信号d(第1実施形態におけるセンサー信号dxに相当する)を出力する。
【0114】
脈波センサー部10は、LED等の光源(不図示)と、光源の出力光が、生体情報源である血管(図1では不図示)で反射して生じる反射光を受光して電気信号に変換する、センサー素子としての光電変換部2と、光電変換部2の出力信号を増幅する増幅器(可変利得アンプ)3と、サンプリング部としてのA/D変換器4と、を有する。
【0115】
脈波センサー部10の感度は、増幅器3のゲイン(増幅率)によって決定される。増幅器3のゲイン、すなわち、脈波センサー部10の感度は、感度調整部6によって調整される。感度調整部6は、例えば、増幅器3のゲインを自動調整するAGC回路(自動利得制御回路)によって構成される。
【0116】
感度調整部6は、第1バッファメモリー13に蓄積されている4秒分の脈波信号dのデータに基づいて、増幅器3の初期ゲイン調整を実行する。感度調整部6は、第1実施形態で説明した増幅器3の感度調整動作を実行する。感度調整部6は、例えば、脈波信号dの振幅値が、所定値(所定レベル)になるように、例えば、所定の許容振幅値(ダイナミックレンジ)内で最大となるように、増幅器3のゲインを調整(制御)する。なお、感度調整部6は、センサー部10の感度の調整に際して、例えば、周波数解析部50から出力される、センサー信号dxの周波数解析結果を示す信号gxを参照してもよい。
【0117】
また、体動センサー部20は、被検体の体動を検出し、体動に由来する体動信号fを出力する。体動センサー部20も、脈波センサー部10と同様に、増幅器(不図示)を内蔵している。この増幅器のゲインを、感度調整部6と同様の構成をもつAGC回路によってフィードバック制御してもよい。
【0118】
脈波センサー部10から出力される脈波信号dの、4秒分の信号が、第1バッファメモリー13に蓄積される。4秒分の脈波信号dは、4秒周期で、第2バッファメモリー15に転送される。第2バッファメモリー15はFIFO(ファーストイン・ファーストアウト)メモリーであり、16秒分の脈波信号は、4秒分ずつ更新される。16秒分の脈波信号を蓄積するのは、周波数解析によって拍動成分を特定するとき、ある程度の時間幅で信号の推移を観測し、相関の有無等を慎重に検討する必要があるからである。
【0119】
フィルター部30は、入力信号に含まれるノイズを最小化する。また、体動成分除去フィルター34によって、例えば、脈波信号dに含まれる体動信号成分が最小化される。
【0120】
周波数解析部50は、脈波信号d、または、脈波信号dに、脈波信号に含まれるノイズを抑制するフィルタリング(フィルター部30による)を施して得られるフィルタリング後信号eに基づいて、所定時間毎(例えば4秒毎)に周波数解析を実行して、拍動信号を示す拍動呈示スペクトルを特定する。
【0121】
信号分配部39は、フィルター後信号eを第1周波数分解部(高速フーリエ変換部:FFT)40aに供給し、フィルター前の脈波信号dを第3周波数分解部40cに供給する。また、体動信号fは第2周波数分解部40bに供給される。
【0122】
後処理部60は、周波数スペクトルをスペクトル値の大きい順にソーティングするピーク順ソート部62と、ピーク順が上位の主要なスペクトルが、直近の過去(例えば4秒前)の拍動信号のスペクトルとの相関判定を実行する相関判定部64と、相関判定の結果を利用して拍動信号とノイズ成分とを分離する拍動/ノイズ分離部と66と、拍動/ノイズ分離処理によってノイズから分離された拍動成分のスペクトルを、拍動呈示スペクトルとして特定する拍動呈示スペクトル特定部68と、を有する。
【0123】
拍動呈示スペクトルの特定に成功すると、被検体情報取得部(脈拍数・消費カロリー算出部)90は、被検体の生態情報である脈拍数、および、被検体の運動に関する付随的情報である消費カロリーの少なくとも一方を算出する。脈拍数は、例えば、拍動呈示スペクトルの周波数に基づいて算出される。また、消費カロリーは、脈拍数に基づいて算出される。
【0124】
算出された被検体情報(脈拍数および消費カロリーの少なくとも一方)は、被検体情報取得部(脈拍数・消費カロリー算出部)90から表示処理部92を経由して表示部94に供給される。この結果、例えば、脈波数や消費カロリーを示す数値が、表示部94によって表示される。なお、脈拍数ではなく、検出した脈の、時間軸上における変化を信号波形やグラフの形式で表示(広義には報知)してもよい。
【0125】
また、周波数解析部50に含まれる拍動呈示スペクトル捕捉処理部80は、例えば、拍動呈示スペクトル特定部68が、フィルター後信号eに基づく拍動呈示スペクトルの特定に失敗したときに動作を開始する。拍動呈示スペクトル捕捉処理部80は、フィルタリング前の脈波信号d(フィルタリングによる信号の減衰が生じないため、フィルター後信号よりも大きな信号値をもつ)に基づいて、例えば、過去の拍動信号の周波数傾向に基づく相関判定によって、拍動呈示スペクトルの捕捉を試みる。
【0126】
脈波信号解析部42は、脈波信号dの周波数スペクトルを解析し、脈波信号dの信号状態を評価し、また、拍動信号を示す拍動呈示スペクトルの周波数傾向情報44や、周波数解析結果情報45を取得する。脈波信号dの信号状態は、例えば、脈波信号dのきれいさの程度(脈波信号dのノイズ量の程度)に基づいて評価される。脈波信号dのきれいさの程度は、評価指標を用いて評価してもよい。評価指標としては、主要な周波数スペクトルのスペクトル値の比や、標準偏差ならびに偏差値のような統計情報(統計指標)を用いてもよい。
【0127】
また、履歴格納部70には、特定あるいは捕捉された拍動呈示スペクトルの周波数情報や、算出された被検体情報(脈拍数や消費カロリー)が、時系列で格納されている。格納されている情報は、各部が、必要に応じて参照可能である。
【0128】
(拍動検出装置の動作例)
図8は、拍動検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。拍動検出装置100は、増幅器3のゲイン設定値m=4(増幅器3のゲインGN=16)として、拍動信号の検出(計測)を開始する(ステップST1)。4秒分の脈波信号dは、脈波信号蓄積部12に蓄積される(ステップST2)。
【0129】
次に、初回のゲイン調整タイミングであるかが判断される(ステップST3)。ここでは、検出(計測)の開始時点から4秒が経過した第2時点を、初回のゲイン調整タイミングとする。
【0130】
ステップST3でYのときは、感度調整部6による、増幅器3のゲイン調整が実行される。感度調整部6は、事前の処理として、第1バッファメモリー13に蓄積されている、検出(計測)の開始時点(経過時間0秒の時点)から3秒が経過した第1時点までに得られた脈波信号dのサンプリング値を、許容振幅値(ダイナミックレンジ)の中央値(つまり振幅中間値)に置換する(ステップST4)。すなわち、検出(計測)の開始時点から3秒が経過する第1時点までの期間では、過渡応答等によるノイズが多く含まれる可能性があることから、この期間(計測開始後0〜3秒の期間)に得られた脈波信号dの振幅値は無視し、無難な振幅値(振幅中央値)で代用し、その後の処理をし易くするものである。
【0131】
次に、感度調整部6は、検出(計測)の開始時点から3秒が経過した第1時点から、4秒が経過した第2時点までの期間に得られた脈波信号dのサンプリング値に基づいて、脈波信号dの振幅値が、許容振幅値(ダイナミックレンジ)に占める割合の程度を検出する(ステップST5)。この検出結果に基づいて、感度調整部6は、ゲイン設定値mを決定する(ステップST6)。これによって、増幅器3のゲインが一義的に決まる。
【0132】
次に、感度調整部6は、ステップST5の検出処理にて、振り切れが検出されたか否かを確認する(ステップST7)。ステップST7で、Yのときは、ステップST8に移行し、NのときはステップST12に移行する。ステップST8では、感度調整部6は、第1バッファメモリー13に蓄積されている、検出(計測)の開始時点から3秒が経過した第1時点から、4秒が経過した第2時点までに得られた脈波信号dのサンプリング値を、許容振幅値(ダイナミックレンジ)の中央値(つまり振幅中間値)に置換する(ステップST8)。この期間(計測開始後3秒〜4秒の期間)において振り切れが生じている場合、脈波信号dの信頼性が低いことから、脈波信号dの振幅値は無視し、無難な振幅値(振幅中央値)で代用し、その後の処理をし易くするものである。
【0133】
また、ステップST3においてNのときは、感度調整部6は、拍動信号の検出開始(計測開始)から20秒以内の期間であるかを確認する(ステップST9)。ステップST9でYのときは、増幅器3のゲインの調整処理(通常動作中のゲイン調整処理)を実行する(ステップST11)。例えば、感度調整部6は、脈波信号dのピーク値と閾値との比較に基づくゲイン調整処理を実行する。
【0134】
また、ステップST9でNのときは、感度調整部6は、前回のゲイン調整から20秒が経過しているかを判断する(ステップST10)。ステップST10で、YのときはステップST11に移行し、Nのときは、ステップST12に移行する。
【0135】
ステップST12では、脈拍数の算出処理等が実行される。ステップST13では、拍動検出装置100は、計測終了指示が入力されたか否かを確認する。ステップST13で、Yのときは拍動信号の処理を終了し、NのときはステップST2に戻る。
【0136】
(実際のゲイン調整例)
(ゲイン調整例1)
図9(A)および図9(B)は、計測開始後3秒〜4秒までの期間における脈波信号dに振り切れが生じない場合におけるゲイン調整例を示す図である。図9(A)には、計測開始後0秒〜4秒までの期間における脈波信号dの波形が示されている。横軸は、計測開始後の経過時間(秒)を示し、縦軸は脈波信号dの信号値(−512〜512)を示す。
【0137】
また、図9(B)には、計測開始後0秒〜16秒までの期間における脈波信号dの波形と、増幅器3のゲイン設定値の推移が示されている。図9(B)において、横軸は、計測開始後の経過時間(秒)を示し、左側の縦軸は脈波信号dの信号値(−512〜512)を示し、右側の縦軸は、ゲイン設定値mを示している。図9(B)において、増幅器3のゲイン設定値は、太い破線で示されている。
【0138】
図9(A)の例では、計測開始からの経過時間3秒〜4秒の期間では、脈波信号dのサンプリング値の最大値は503であり、最小値は478であった。振幅値(=最大値−最小値)は25となる。この場合は、図6(A)に示されるケース2に該当する。よって、ゲイン設定値mとして8が選択される。
【0139】
この結果、図9(B)に示すように、計測開始から4秒が経過した時点以降は、ダイナミックレンジ(−512〜512)の半分ほどの振幅を持つ脈波信号dの波形を得ることができた。すなわち、計測開始後、きわめて早期に、増幅器3のゲイン(つまりセンサー部6の感度)を適正な値に調整することができた。
【0140】
(ゲイン調整例2)
図10(A)および図10(B)は、計測開始後3秒〜4秒までの期間における脈波信号dに振り切れが生じる場合におけるゲイン調整例を示す図である。図10(A)には、計測開始後0秒〜4秒までの期間における脈波信号dの波形が示されている。横軸は、計測開始後の経過時間(秒)を示し、縦軸は脈波信号dの信号値(−512〜512)を示す。
【0141】
また、図10(B)には、計測開始後0秒〜16秒までの期間における脈波信号dの波形と、増幅器3のゲイン設定値の推移が示されている。図10(B)において、横軸は、計測開始後の経過時間(秒)を示し、左側の縦軸は脈波信号dの信号値(−512〜512)を示し、右側の縦軸は、ゲイン設定値mを示している。図10(B)において、増幅器3のゲイン設定値は、太い破線で示されている。
【0142】
図10(A)の例では、計測開始からの経過時間3秒〜4秒の期間では、正方向の振り切れ回数が1回、負方向の振り切れ回数が0回、かつ脈波信号dのピーク値が1023である。この場合は、図6(B)に示されるケース13に該当する。よって、ゲイン設定値mとして3が選択される。
【0143】
この結果、図10(B)に示すように、計測開始から4秒が経過した時点以降は、ダイナミックレンジ(−512〜512)の半分ほどの振幅を持つ脈波信号dの波形を得ることができた。すなわち、計測開始後、きわめて早期に、増幅器3のゲイン(つまりセンサー部6の感度)を適正な値に調整することができた。
【0144】
図11(A)および図11(B)は、拍動検出装置の、被検体への装着例を示す図である。
【0145】
図11(A)の例は、腕時計型の拍動検出装置の例である。脈波センサー部10および表示部94を含むベース部400は、リストバンド300によって、被検体(ユーザー)の左手首200に装着されている。
【0146】
図11(B)の例は、指装着型の拍動検出装置の例である。被検体の指先に挿入するためのリング状のガイド302の底部に、脈波センサー部10が設けられている。
【0147】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0148】
2 センサー素子としての光電変換部、3 増幅器、
4 サンプリング部としてのA/D変換器、 6 感度調整部、
7 ゲイン設定値決定部(第1決定部7a,第2決定部7bを含む)、
8 ゲイン調整部、9 タイミング部(タイマー)、11 閾値格納部(メモリー)、
10 脈波センサー部(センサー部)、12 脈波信号蓄積部、
20 体動センサー部(加速度センサーやジャイロセンサー等)、
30 フィルター部、34 体動成分除去フィルター、
40(40a〜40c) 周波数分解部、42 脈波信号解析部、
44 周波数傾向情報、45 周波数解析結果情報、50 周波数解析部、
60 後処理部、62 ピーク順ソート部、64 相関判定部、
66 拍動/体動分離部(拍動/ノイズ分離部)、68 拍動呈示スペクトル特定部、
70 履歴格納部、
80 拍動呈示スペクトル捕捉処理部、
90 被検体情報取得部(脈拍数・消費カロリー算出部)、
92 表示処理部、94 表示部、100 計測装置としての拍動検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象の情報を含む信号を出力するセンサー素子と、前記計測対象の情報を含む信号を増幅する増幅器と、を含むセンサー部と、
前記センサー部から出力されるセンサー信号の、所定期間における最大値と最小値との差分を振幅値として検出し、前記振幅値が所定の許容振幅値に占める割合の程度に基づいて、前記センサー部の感度を調整する感度調整部と、を有することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
請求項1記載の計測装置であって、
前記計測装置が計測を開始した計測開始時点から第1時間が経過した時点を第1時点とし、前記第1時点から第2時間が経過した時点を第2時点とし、前記計測開始時点から前記第2時点までを第1期間としたとき、
前記感度調整部は、
前記第1期間においては、前記センサー部の感度を所定の設定感度とし、
前記所定期間は、前記第1時点から前記第2時点までの期間とし、
かつ、前記第2時点において、検出された前記振幅値が前記所定の許容振幅値に占める割合の程度に基づいて、前記センサー部の感度を調整することを特徴とする計測装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の計測装置であって、
前記感度調整部は、前記所定期間において、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超えるか否かを検出し、前記所定の許容振幅値を超えるか否かの検出結果に基づいて、前記センサー部の感度を調整することを特徴とする計測装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の計測装置であって、
前記センサー部は、前記増幅器から出力される信号を所定時間間隔でサンプリングしてサンプルを抽出するサンプリング部を有し、
前記所定期間において、時系列において隣り合う複数のサンプルについて、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超える場合、前記感度調整部は、前記隣り合う複数のサンプルについて、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超えた回数を検出し、前記回数に基づいて、前記センサー部の感度を調整することを特徴とする計測装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載の計測装置であって、
前記センサー部は、前記増幅器から出力される信号を所定時間間隔でサンプリングしてサンプルを抽出するサンプリング部を有し、
前記所定期間において、時系列において隣り合う複数のサンプルについて、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超える場合、前記感度調整部は、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超えた、時系列において隣り合うサンプル数が最大となる最大サンプル数に基づいて、前記センサー部の感度を調整することを特徴とする計測装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2記載の計測装置であって、
前記所定期間において、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値の上限値を超えるか、あるいは、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値の下限値を超えるか、に基づいて、前記センサー部の感度を調整することを特徴とする計測装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2記載の計測装置であって、
前記センサー部は、前記増幅器から出力される信号を所定時間間隔でサンプリングしてサンプルを抽出するサンプリング部を有し、
前記所定期間において、前記センサー信号の振幅値が前記所定の許容振幅値を超えたとき、前記感度調整部は、前記所定の許容振幅値を超えたサンプルの振幅値と、前記所定の許容振幅値を超えたサンプルに隣り合うサンプルの振幅値との差分を検出し、前記差分に基づいて、前記センサー部の感度を調整することを特徴とする計測装置。
【請求項8】
請求項1記載の計測装置であって、
前記感度調整部は、前記センサー信号の振幅値の、前記センサー信号の許容振幅値に対する割合の程度に基づいて、前記増幅器のゲインを定める情報であるゲイン設定値を決定するゲイン設定値決定部と、
前記ゲイン設定値決定部によって決定された前記ゲイン設定値に基づいて、前記増幅器のゲインを調整するゲイン調整部と、
を有することを特徴とする計測装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の計測装置であって、
前記計測装置は、前記計測対象としての被検体の拍動に由来する拍動信号を検出する拍動検出装置であることを特徴とする計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−183139(P2012−183139A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47269(P2011−47269)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】