説明

計算機システム、計算機、データベースアクセス方法及びデータベースシステム

【課題】 DBMSのアクセスデータをストレージに対して先読み指示するプログラムがある。DBMSは先読みを意識したアクセスプランを生成し、DBへアクセスできる。しかし、DBMSは先読みを指示するプログラムの停止を認識できず、適切なI/Oコストでアクセスプランを生成することができない。
【解決手段】 DBMSサーバ1、2・・・は、管理サーバ5の先読みプログラムを監視し、先読みプログラムが停止したことを把握し、先読みプログラムが停止した時に変更したI/Oコストを用いてストレージ装置3、4・・・に対するアクセスの実行プランを最適化する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計算機システムに用いられるストレージシステム、特にデータベース(DB)に使用されるストレージシステム(以下「DBシステム」と言う)に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、企業等の組織では膨大な量のデータが格納されるDBを管理し、DBからデータを収集するデータベース管理システム(以下「DBMS」と言う)が重要なものとなっている。このDBMSが動作する計算機(以下「サーバ」と言う)とストレージ装置とが接続され、DBデータは、ストレージ装置に格納されることが一般的である。DBMSは、膨大なデータを扱うため処理速度などの性能向上が要求されている。
【0003】
一般的にDBMSは、クライアントから問合せを受け、その問合せを実行するのに最も効率が良い実行プランを選択するという最適化処理を行い、DBへアクセスする。この最適化の方式にはルールベースとコストベースの二種類がある。ルールベースの最適化方式は、クライアントから問合せを行うコード(SQL文)の記載方法等に基づいて実行プランを決定する方式である。また、コストベースの最適化方式は、DBMSが動作するサーバのCPU速度(CPUコスト)等の情報に基づいて実行プランを決定する方式である。ここで、コストとは、各部の処理速度をパラメータで変換した値である。ルールベースの最適化方式は、クライアント側に相当の知識を要する。このため一般的なDBMSでは、コストベースの最適化方式が採用されている。
【0004】
例えば、DBMSのコストベース最適化方式のパラメータにハードウエアコスト(CPUコスト、I/O速度(I/Oコスト)、ネットワーク速度(ネットワークコスト))を含め、DBMSがハードウエア性能を考慮したコストベース最適化方式で、より適した実行プランを出力する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、ストレージ装置では、自身に接続されるサーバから発行される書き込み要求や読み出し要求の処理の高速化を以下のように行っている。ストレージ装置はデータを記憶する不揮発性記憶媒体(ハードディスクドライブ等。以下「ディスク装置」と言う)に加え、データを一時的に格納する揮発性の記憶媒体(半導体メモリ等。以下「キャッシュメモリ」と言う)を有している。サーバからデータの読み出し(あるいは書き込み)要求を受けつけた際、要求されたデータがキャッシュメモリに格納されている場合、ストレージ装置は、キャッシュメモリからのデータの読み出し(またはキャッシュメモリへのデータの書き込み)を行った時点で処理を終了し、その処理が終了したことをサーバへ応答する。
【0006】
一般的にキャッシュメモリはディスク装置に比べてシーク機構などのメカニカルな部分がない分読み出し等のスピードが速い。従って、ディスク装置への処理を省略することで、ストレージ装置はサーバへの応答処理を高速化することができる。上述したように、ストレージ装置自身でシーケンシャルアクセス(連続したデータへのアクセス)が行われている時にキャッシュメモリへのデータの先読みを行う技術がストレージ装置に実装されているが、不連続なデータアクセスにはあまり先読み効果がない。
【0007】
これに関連して、例えば、先読み技術として今後サーバからストレージ装置へアクセスが行われるデータをディスク装置からキャッシュメモリへ格納するよう指示する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−155018号公報
【特許文献2】特開2003−337722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来技術に示した先読み技術においては、管理サーバ(管理プログラム)が設けられ、サーバがストレージ装置へアクセスするときに、管理サーバ(管理プログラム)から今後アクセスされるデータをストレージ装置のディスク装置からキャッシュメモリへ格納するように指示を出すようにしていた。このため、サーバ上でDBMSが動作し、管理サーバ(管理プログラム)からの指示によりDBMSがストレージ装置に格納されるDBへアクセスする場合、以下の問題が発生する。つまり、ストレージ装置のキャッシュメモリにDBMSがアクセスするデータが読み出されている場合と読み出されていない場合とではDBMSが動作するサーバの入出力処理速度に対応するI/Oコストに大きな差が生ずることになる。
【0009】
ここで、管理プログラムが管理サーバの障害等の理由で停止した場合、管理プログラムからストレージ装置へデータの先読みの指示が出されなくなる。しかし、DBMSは管理プログラムの停止を認識することができない。このため、DBMSは、管理プログラムの停止によってDBMSがアクセスするデータがストレージ装置のキャッシュメモリに格納されているのか否かを区別することができなくなる。従って、DBMSは予め定められた固定情報のI/Oコストしか認識できないため、不適切なI/Oコストでアクセスプランを生成するという不都合がある。
【0010】
この場合、管理プログラムが動作中には、DBMSから管理プログラムを介してストレージ装置のデータのキャッシュメモリへの先読みを行う先読みシーケンスを実行し、管理プログラムが停止中には、DBMSから直接ストレージ装置のデータの読み出しを行う通常シーケンスを実行するようにすることが要求される。
【0011】
そこで、本発明は、管理プログラムの状態情報をDBMSにフィードバックし、この状態情報に基づいてDBMSがストレージ装置に対するアクセス動作のコストを変更することにより適切なDBアクセスを実行できるようにする計算機システム、計算機、データベースアクセス方法及びデータベースシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明は、DBへのアクセスプランをDBMSから受け、ストレージ装置へ先読みを指示するプログラムが何らかの原因によって停止した場合に、DBMSがI/Oコストの変更指示を受け、アクセスプランを変更するものである。
【0013】
更に、ストレージ装置へ先読みを指示するプログラムが、先読み開始から先読み完了に至るまでの応答時間からストレージ装置の状況を推測し、DBMSへI/Oコストの変更を指示するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、DBMSは、ストレージ装置のキャッシュメモリにDBMSがアクセスするデータが載っているか否かを把握することができるため、適切なI/Oコストでアクセスプランを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、適宜、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
本実施の形態例では、管理サーバの先読みマネージャが何らかの原因で停止したときに、DBMSサーバのプラン作成マネージャが管理サーバの先読みマネージャが停止したことを把握し、DBMSがクライアントプログラムからの問合せ処理を適切なI/Oコストを用いてコスト計算し、実行プランを決定する場合について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態例における計算機システムのシステム構成例を示す図である。本実施の形態例の計算機システムは、複数のサーバ1、2・・・、複数のストレージ装置3、4・・・、1台の管理サーバ5並びに複数のサーバ1、2・・・、複数のストレージ装置3、4・・・及び1台の管理サーバ5とを相互に接続するネットワーク10、複数のサーバ1、2・・・及び複数のストレージ装置3、4・・・を相互に接続するネットワーク6、7、8、9・・・を有する。
【0017】
また、ネットワーク10、6、7、8、9・・・に限らず、複数のサーバ1、2・・・と複数のストレージ装置3、4・・・並びに、複数のサーバ1、2・・・、複数のストレージ装置3、4・・・及び1台の管理サーバ5を相互に接続するスイッチ等のネットワーク機器を用いても良い。ネットワーク機器の具体例としては、ルータ等がある。図1のネットワークの具体例として、ローカルエリアネットワーク(以下「LAN」と言う)、ファイバチャネル(以下「FC」と言う)等の物理ケーブルがある。
【0018】
なお、本実施の形態例では、サーバ1、2・・・は、DBMSというプログラムを実行する(以下、DBMSを実行するサーバを「DBMSサーバ」と言う)。ここでDBMSとは、ストレージ装置3、4・・・に格納されているDBの内容の更新、検索、テーブル作成、定義等、データベースを制御するためにサーバで実行されるプログラムである。
【0019】
また、上述したDBMSサーバ1、2・・・に限らず、図1には記載していないが、DBMSへアクセスを行う機能を持ったクライアントとなる計算機が外部からアクセス可能に加わる形態でも構わない。
【0020】
図2は、DBMSサーバ1、2・・・の構成例を示す図である。DBMSサーバ1は、プロセッサ12、記憶領域16、管理サーバ5とストレージ装置3、4・・・を含めた他の装置であるクライアント等と接続する為の1つ以上のインタフェース15(以下「Ether I/F」と言う)、ストレージ装置3、4・・・と接続する為の1つ以上のインタフェース14(以下「FC I/F」と言う)及びDBMSサーバ1のプロセッサ12で実行される各種プログラムの実行結果を出力する出力装置13を有する。これらの各装置は、内部バス等の通信路11を介して相互に接続される。なお、各構成部分の個数は任意である。上述したクライアントはアクセス要求を実行するクライアントプログラム28を有する。
【0021】
記憶領域16には、オペレーティングシステム(以下「OS」と言う)24、DBMS25、DBMS25へアクセスを行うプログラムであるクライアントプログラム23、DBMSサーバI/F管理テーブル17、DBファイルシステム情報テーブル22、DBスキーマ情報テーブル18、先読みマネージャ管理テーブル21、データ領域情報テーブル19及びコスト管理テーブル20が格納される。また、DBMS25にはプラン作成マネージャ26及びコスト管理マネージャ27が存在する。プロセッサ12は、記憶領域16に格納されるプログラムを読み出して実行する。なお、記憶領域16には、プロセッサ12で実行される図示しない他のアプリケーションプログラムも格納される。ここで、クライアントプログラム23は、DBMSサーバ1、2・・・内に限らず、DBMSサーバ1、2・・・外のクライアントからのクライアントプログラム28等に基づいたものでもよい。
【0022】
DBMSサーバI/F管理テーブル17は、DBMSサーバ1がEther I/Fのインタフェース15及びFC I/Fのインタフェース14を制御する際に使用するテーブルである。DBスキーマ情報テーブル18には、DBMS25が管理するテーブルやインデクスなどのスキーマに関する設定情報が登録される。データ領域情報テーブル19には、OS24が管理するデータ領域情報に関する設定情報が登録される。また、コスト管理テーブル20には、I/Oコスト等のコスト情報に関する設定情報が登録される。プラン作成マネージャ26は、クライアントプログラム23からの問合せを最適化するために問合せコスト計算を行う。この計算時にI/Oコスト等のコスト情報が格納されるコスト管理テーブル20を参照する。コスト管理マネージャ27は、管理サーバ5から情報を受け、コスト管理テーブル20の設定情報を更新する。
【0023】
図3は、ストレージ装置3、4・・・の構成例を示す図である。ストレージ装置3は、ストレージ装置3内の制御を行うコントローラ31、記憶領域36、DBMSサーバ1、2・・・を含めた他の装置と接続されるI/F29(Ether I/F)、DBMSサーバ1、2・・・と接続されるI/F30(FC I/F)及び1つ以上の物理ディスク装置32、33、34、35・・・を有する。これらの装置は、コントローラ31を介して相互に接続される。
【0024】
記憶領域36は、不揮発性のメモリ装置である。記憶領域36は、キャッシュメモリ39として使用される領域とその他の情報が格納される領域を有する。その他の情報が格納される領域には、ストレージI/F管理テーブル38及びストレージ先読みプログラム37が格納される。
【0025】
ストレージI/F管理テーブル38は、コントローラ31がEther I/FのI/F29及びFC I/FのI/F30を制御する際に使用するテーブルである。ストレージ先読みプログラム37は、管理サーバ5からの要求に応じて物理ディスク32、33、34、35に格納されているデータをキャッシュメモリ39に格納するプログラムである。
【0026】
なお、ストレージ装置3、4・・・が有するEther I/FのI/F29、FC I/FのI/F30及び物理ディスク装置32、33、34、35の個数は1つ以上であれば幾つであってもよい。
【0027】
図4は、管理サーバ5の構成例を示す図である。管理サーバ5は、DBMS25からのアクセス情報を解析し、ストレージ装置3、4・・・に先読み指示を行う端末である。管理サーバ5は、プロセッサ41、記憶領域44、DBMSサーバ1、2・・・とストレージ装置3、4・・・と接続を行うための1つ以上のI/F43(Ether I/F)と管理者が操作を行う際に用いる出力装置42を有する。これらの各装置は、内部バス等の通信路48を介して相互に接続される。
【0028】
記憶領域44には、DBMS1、2・・・のアクセス情報を解析し、ストレージ装置3、4・・・に先読み指示を行うプログラムである先読みマネージャ45、先読み状態を管理する先読み管理テーブル47及び管理サーバI/F管理テーブル46が格納される。
【0029】
なお、他の実施の形態として、管理サーバ5がDBMSサーバ1、2・・・と同一の計算機で構成されても良い。この場合、上述した先読みマネージャ45が、DBMSサーバ1、2・・・に組み込まれる。
【0030】
図5(a)は、DBMSサーバ1、2・・・が持つDBMSサーバI/F管理テーブル50(図1で示した17に対応する)の一例を示す図である。DBMSサーバI/F管理テーブル50は、DBMSサーバ1、2・・・が使用するストレージ装置3、4・・・の数分のレコード及び、DBMSサーバ1、2・・・が通信を行う管理サーバ5の数分のレコードを有する。各レコードは、レコードに対応するストレージ装置3、4及び管理サーバ5への接続I/F識別子、具体的には、DBMSサーバ1、2・・・に具備される接続I/FのポートIDの情報が登録されるDB−I/F欄51及び欄51に登録された接続I/F識別子に与えられる名称の情報が登録される名前欄52を有する。
【0031】
図5(b)は、DBMSサーバ1、2・・・が持つDBスキーマ情報テーブル53(図2で示した18に対応する)の一例を示す図である。DBスキーマ情報テーブル53は、DBMS25が管理するDBスキーマに関する情報である。DBスキーマ情報テーブル53の各レコードは、DBMS25がDBスキーマを識別するための識別子が登録されるスキーマID欄54、DBスキーマの名称が登録されるスキーマ名欄55、DBスキーマの種別が登録されるスキーマ種別欄56、DBスキーマが保存されるデータ領域の識別子が登録されるデータ領域ID欄57、DBスキーマのデータサイズが登録されるスキーマサイズ欄58、DBスキーマが保存されているデータ領域の先頭オフセットアドレスが登録される先頭オフセットアドレス欄59を有する。
【0032】
図5(c)は、DBMSサーバ1、2・・・が持つデータ領域情報テーブル60(図2で示した19に対応する)の一例を示す図である。データ領域情報テーブル60は、DBMS25が管理するデータ領域の設定情報であり、DBファイルシステム数分のレコードを有する。データ領域情報テーブル60の各レコードは、DBMS25がデータ領域を識別するための識別子が登録されるデータ領域ID欄61、データ領域の名称が登録される領域名欄62、DBファイルシステムの名称が登録されるDBファイルシステム名欄63、DBファイルシステムの領域サイズが登録される領域サイズ欄64を有する。
【0033】
図5(d)は、DBMSサーバ1、2・・・が持つDBファイルシステム情報テーブル65(図2で示した22に対応する)の一例を示す図である。DBファイルシステム情報テーブル65は、DBMSサーバ1、2・・・のOS24がデータの書き込みや読み出しを行う時に用いる情報であり、データ領域数分のレコードを有する。DBファイルシステム情報テーブル65の各レコードは、DBファイルシステムの名称が登録されるDBファイルシステム名欄66、OS24がストレージ装置3、4・・・へアクセスするときに用いる論理ユニット番号が登録される論理ユニット番号欄67、OS24がストレージ装置3、4・・・を識別するための名称(例えばWorld Wide Name(WWN))が登録されるストレージアドレス欄68を有する。
【0034】
図6(a)は、DBMSサーバ1、2・・・が持つコスト管理テーブル70(図2で示した20に対応する)の一例を示す図である。コスト管理テーブル70は、DBMS25がDBへアクセスするときにどのようなプランでアクセスを行うのか、コストを元に決定する際のコスト情報である。コスト管理テーブル70の各レコードは、DBが格納されているストレージ装置3、4・・・を識別するための名称(例えばWWN)が登録されているストレージアドレス欄71、ストレージ装置3、4・・・へアクセスするときに用いる論理ユニット番号が登録される論理ユニット番号欄72、DBMS25がDBへアクセスする際のコスト情報が登録される現在値I/Oコスト欄73、ストレージ装置3、4・・・のキャッシュメモリ39上に格納されているデータへアクセスする際のコスト情報が登録されるキャッシュI/Oコスト欄74、ストレージ装置3、4・・・の物理ディスク32、33、34、35に格納されているデータへアクセスする際のコスト情報が登録されているディスクI/Oコスト欄75を有する。
【0035】
現在値I/Oコスト欄73内には、シーケンシャルアクセスのI/Oコストが登録されるシーケンシャル欄76、ランダムアクセスのI/Oコストが登録されるランダム欄77を有し、キャッシュI/Oコスト欄74内には、シーケンシャルアクセスのI/Oコストが登録されるシーケンシャル欄78、ランダムアクセスのI/Oコストが登録されるランダム欄79を有し、ディスクI/Oコスト欄75内には、シーケンシャルアクセスのI/Oコストが登録されるシーケンシャル欄80、ランダムアクセスのI/Oコストが登録されるランダム欄81を有する。
【0036】
図6(b)は、DBMSサーバ1、2・・・が持つ先読みマネージャ管理テーブル82(図2で示した21に対応する)の一例を示す図である。先読みマネージャ管理テーブル82は、管理サーバ5の先読みマネージャ45が正常に起動しているか否かをDBMSサーバ1、2・・・が判断するために必要な先読みマネージャ45の状態情報を示すテーブルである。先読みマネージャ管理テーブル82の各レコードは、先読みマネージャ45が動作する管理サーバアドレスが登録される管理サーバアドレス欄83、管理サーバアドレス欄83に登録される管理サーバ5上で動作する先読みマネージャ45の実行状態が登録される先読みマネージャ状態欄84を有する。
【0037】
図7(a)は、管理サーバ5が持つ管理サーバI/F管理テーブル90 (図4で示した46に対応する) の一例を示す図である。管理サーバI/F管理テーブル90の各レコードは、レコードに対応するストレージ装置3、4・・・及びDBMSサーバ1、2・・・に対する接続I/F識別子、具体的には、管理サーバ5に具備される接続I/FのポートIDの情報が登録されるM−I/F欄91及び欄91に登録された接続I/F識別子に与えられる名称の情報が登録される名前欄92を有する。
【0038】
図7(b)は、管理サーバ5が持つ先読み管理テーブル93(図4で示した47に対応する)の一例を示す図である。先読み管理テーブル93の各レコードは、先読み指示を出す管理サーバ5の先読みマネージャ45がストレージ装置3、4・・・を識別するための名称が登録されるストレージアドレス欄94、管理サーバ5の先読みマネージャ45がストレージ装置3、4・・・へアクセスするときに用いる論理ユニット番号が登録される論理ユニット番号欄95、管理サーバ5の先読みマネージャ45が当該ストレージ装置へ先読み指示を行うに当りデータの先頭アドレスが登録される論理ブロックアドレス欄96及び、先読みサイズが登録されるデータサイズ欄97、先読みマネージャ45が当該ストレージ装置3、4・・・へ先読み指示を出しているのか識別するための情報が登録される状態欄98を有する。
【0039】
図8は、ストレージ装置3、4・・・が持つストレージI/F管理テーブル100(図3で示した38に対応する)の一例を示す図である。ストレージI/F管理テーブル100の各レコードは、レコードに対応するDBMSサーバ1、2・・・及び管理サーバ5への接続I/F識別子が登録されるS−I/F欄101、及びS−I/F欄101に登録された接続I/F識別子に与えられる名称の情報が登録される名前欄102を有する。
【0040】
図9(a)は、DBMS25がDBへアクセスを行うときのDBアクセス情報の構成例及び、DBアクセス情報の一例を示す図である。DBアクセス情報110は、DBMSサーバ1、2・・・で動作するDBMS識別子が登録されるDBMS−ID欄111、実行する問い合わせであるクエリを識別するための識別子が登録されるクエリID欄112、クエリ内で実行されるスキャンを識別するための情報が登録されるスキャン識別欄113、DBが格納されているストレージ装置3、4・・・を識別するための名称が登録されるストレージアドレス欄114、データが格納されている論理ユニットを識別するための番号が登録される論理ユニット番号欄115、データへアクセスするための先頭アドレスを示す情報が登録される先頭論理ブロックアドレス欄116、アクセスするデータのサイズが登録されるデータサイズ欄117を有する。
【0041】
図9(b)は、管理サーバ5がストレージ装置3、4・・・へ先読み指示を行うときのプリフェッチ指示情報の一例を示す図である。プリフェッチ指示情報118は、先読み指示を行うストレージ装置3、4・・・を識別するためのストレージ名称が登録されるストレージアドレス欄119、データが格納されている論理ユニットを識別するための番号が登録される論理ユニット番号欄120、先読み指示を行うデータの先頭アドレス情報が登録される論理ブロックアドレス欄121、先読み指示を行うデータのデータサイズが登録されるデータサイズ欄122を有する。
【0042】
次に図10のフローチャートに基づいて、本発明の実施の形態例の動作を説明する。
図10(a)は、DBMSサーバ1、2・・・のプラン作成マネージャ26がクライアントプログラム23からの問合せを受け、ストレージ装置3、4・・・に格納されているDBへアクセスするアクセスプランを決定し、ストレージ装置3、4・・・へアクセスを行う処理手順例を示すフローチャートである。
プラン作成マネージャ26は、DBMS25と同時に起動し、以下に示す処理フローを実行する。また、DBMS25が終了するときに共に終了する。
【0043】
まず、通信相手を探索するためにDBMSサーバ1、2・・・のプラン作成マネージャ26は起動後一旦スリープ状態となって、クライアントプログラム23からのアクセス要求である問合せの受信を待つ(ステップS1)。その後、プラン作成マネージャ26はクライアントプログラム23からDBへのアクセス要求である問合せを受信する(ステップS2)。
【0044】
ここで、DBMSサーバ1、2・・・のプラン作成マネージャ26は、クライアントプログラム23からのDBアクセス要求の問い合わせ構文を解析し(ステップS3)、アクセスプランの最適化処理を実行する(ステップS4)。具体的には、プラン作成マネージャ26は問合せ構文からプランを生成し、コスト管理テーブル70の現在値I/Oコスト欄73に登録されているI/Oコストを参照してコスト計算を行い、実行プランを決定する。ステップS4のアクセスプランの最適化処理については、図11(a)に示すコスト最適化処理のフローチャートに基づいて後述する。
【0045】
このようにプラン作成マネージャ26はアクセスプランを決定した後に、以下に示すようにストレージ装置3、4・・・に格納されているDBへの問合せ実行及び、管理サーバ5の先読みマネージャ45へのアクセスプラン通知処理を行う。
【0046】
ここで、DBMSサーバ1、2・・・のプラン作成マネージャ26は、管理サーバ5の先読みマネージャ45が起動しているか否かを判断する(ステップS5)。具体的には、先読みマネージャ管理テーブル82の管理サーバアドレス欄83に登録される当該管理サーバの先読みマネージャ状態欄84に登録される先読みマネージャ45の状態が「ALIVE」であるか否か確認する。先読みマネージャ状態欄84が「ALIVE」である場合、プラン作成マネージャ26は、管理サーバ5の先読みマネージャ45が正常に動作していると判断しステップS7に移る。先読みマネージャ状態欄84が「ALIVE」でない場合、プラン作成マネージャ26は、管理サーバ5の先読みマネージャ45が停止していると判断しステップS6に移る(ステップS5)。
【0047】
次に、プラン作成マネージャ26がステップS5で先読みマネージャ45が停止していると判断した場合、DBファイルシステム情報テーブル65、DBスキーマ情報テーブル53を参照してデータが格納されているストレージ装置3、4・・・へ通常の問合せ処理を実行し、ステップS1へ移る(ステップS6)。
【0048】
また、プラン作成マネージャ26がステップS5で先読みマネージャ45が正常に動作していると判断した場合、ステップS6と同様にストレージ装置3、4・・・へ先読みの問合せ処理を行うと同時に管理サーバ5へDBアクセス情報を通知する(ステップS7)。
【0049】
図10(b)は、DBMSサーバ1、2・・・のプラン作成マネージャ26が管理サーバ5の先読みマネージャ45からの起動メッセージ受信処理手順の一例を示すフローチャートである。
プラン作成マネージャ26は、DBMS25と同時に起動し、以下に示す処理フローを実行する。また、DBMS25が終了するときに共に終了する。
【0050】
まず、起動メッセージ受信処理において、プラン作成マネージャ26は起動後スリープして、管理サーバ5の先読みマネージャ45から起動メッセージの受信を待つ(ステップS11)。次に、プラン作成マネージャ26は先読みマネージャ45から起動メッセージを受ける(ステップS12)。次に、プラン作成マネージャ26は、先読みマネージャ管理テーブル82の該当管理サーバアドレスの先読みマネージャ状態欄84を更新する(ステップS13)。
【0051】
図11(a)は、DBMSサーバ1、2・・・の図2に示すプラン作成マネージャ26がクライアントプログラム23からの問合せを受け、アクセスプランの最適化を行う処理手順例を示すフローチャートである。
ここでプラン作成マネージャ26は、図10(a)のステップS3で処理したクライアントプログラム23からの問合せ構文解析結果からアクセスプランを生成し、そのコスト計算及びコスト比較を行ってアクセスプランを決定する処理を行う。
【0052】
本処理フローでは、例として図11(b)に示す問合せ130の場合を考える。
図11(b)に示す問合せ130では、表T1と表T2の結合が行われる。この結合手法として、ネストループ、ソートマージ、ハッシュなどの手法がある。図11(a)の例では、表T1と表T2をネストループ結合する(表T1を内表とするネストループ結合)プラン1及び、表T1と表T2をハッシュ結合するプラン2を例として挙げている。
【0053】
まず、図10(a)のステップS4の最適化処理を行うに当たり、プラン作成マネージャ26は、図10(a)のステップS3で処理したクライアントプログラム23からの問合せ構文解析結果からアクセスプランを生成する(ステップS21)。例えば、プラン1のネストループ結合では、テーブルスキャンによりシーケンシャルアクセスされる表Aと、インデクススキャンによりランダムアクセスされる表Bとをネストループ結合する。また、プラン2のハッシュ結合では、インデクススキャンによりランダムアクセスされる表Aと、インデクススキャンによりランダムアクセスされる表Bとをハッシュ結合する。このプラン1のネストループ結合とプラン2のハッシュ結合による結合手法及び、シーケンシャルアクセスとランダムアクセスによるアクセスの組み合わせによって各種コストが計算され、このコストに基づいてプランが作成される。次に、ステップS21で生成した各プランのコスト計算を行う。具体的には、コスト管理テーブル20に登録されているI/Oコスト情報を用いて計算する(ステップS22)。次に、ステップS22で計算したコスト計算結果から最も低いコストであるアクセスプランをDBMS25が実行するアクセスプランとして決定する(ステップS23)。プラン作成マネージャ26は、ステップS23の処理が終了した後に最適化処理を終了する。
【0054】
図12は、DBMSサーバ1、2・・・が管理サーバ5の先読みマネージャ45が正常に動作しているのか確認するための処理手順例を示すフローチャートである。
まず、プラン作成マネージャ26は、管理サーバ5の先読みマネージャ45が正常に動作しているのか確認するプログラムを起動する。次に、先読みマネージャ管理テーブル82に登録される管理サーバ5の先読みマネージャ45と一定間隔の探索を行うハートビート等の通信を行う(ステップS31)。続いて、管理サーバ5の先読みマネージャ45から応答があるかどうかを判断する(ステップS32)。ステップS31で送信したデータに対してステップS32で管理サーバ5の先読みマネージャ45から応答があると判定された場合、プラン作成マネージャ26は、先読みマネージャ45は正常に動作していると判断し、ステップS31へ戻る。また、ステップS32で、先読みマネージャ45からステップS31で送信したデータに対する応答がないと判定された場合、プラン作成マネージャ26は、先読みマネージャ45が停止していると判断し、ステップS33へ移る。
【0055】
ステップS32で応答がない場合、すなわち、プラン作成マネージャ26は、先読みマネージャ45が停止していると判断した場合、先読みマネージャ管理テーブル82の先読みマネージャ状態欄84欄を「Halt」に変更する。また、プラン作成マネージャ26は、管理サーバ5の先読みマネージャ45が停止し、アクセスするデータがストレージ装置3、4・・・のキャッシュメモリ39に載っていないと判断し、DBMSサーバ1、2・・・のコスト管理マネージャ27へ現在のI/Oコスト欄の値をディスクアクセスI/Oコスト欄の値へ変更するように指示する。その後にステップS31へ戻る(ステップS33)。
【0056】
図13は、DBMSサーバ1、2・・・のプラン作成マネージャ26がI/Oコストを計測する処理手順例を示すフローチャートである。本処理は、コスト管理テーブル70の現在値I/Oコスト欄73、キャッシュI/Oコスト欄74、ディスクI/Oコスト欄75のいずれかが未登録である場合にDBMSサーバ1、2・・・のプラン作成マネージャ26が実行する。
【0057】
まず、プラン作成マネージャ26は、I/Oコストを計測するプログラムを起動する。次に、プラン作成マネージャ26は、先読みマネージャ45が起動しているか否かを確認する(ステップS41)。具体的には、プラン作成マネージャ26は、先読みマネージャ管理テーブル82の先読みマネージャ状態欄84を参照し、管理サーバ5の先読みマネージャ45が「ALIVE」状態(正常に動作している)か否かを判断する(ステップS41)。ステップS41で、先読みマネージャ45が正常に動作していると判断された場合、プラン作成マネージャ26は、DBMS25がストレージ装置3、4・・・へ問合せを行う図10(a)のステップS7で先読みアクセスのI/O時間を計測する(ステップS42)。
【0058】
ステップS41で先読みマネージャ45が正常に動作していない(停止している)と判断された場合、プラン作成マネージャ26は、DBMS25がストレージ装置3、4・・・へ問合せを行うステップ図10(a)のS6で通常アクセスのI/O時間を計測する(ステップS44)。その後にステップS43へ移る(ステップS44)。次に、計測した先読みアクセス又は通常アクセスのI/O時間をパラメータを用いてコスト情報として変換し、I/Oコスト更新指示をDBMSサーバ1、2・・・のコスト管理マネージャ5へ出し、処理を終了する(ステップS43)。
【0059】
図14は、DBMSサーバ1、2・・・のコスト管理マネージャ27がコスト管理テーブル20を更新する処理手順例を示すフローチャートである。
コスト管理マネージャ27は、DBMS25と同時に起動し、以下に示す処理フローを実行する。また、DBMS25が終了するときに共に終了する。
【0060】
まず、コスト管理マネージャ27は、コスト管理テーブル20を更新処理するプログラムを起動する。次に、コスト管理マネージャ27は、コスト管理テーブル20を更新処理するプログラムを起動後スリープさせて、プラン作成マネージャ26からDBへのアクセスI/Oコスト更新指示の受信を待つ(ステップS51)。そして、コスト管理マネージャ27は、プラン作成マネージャ26からDBへのアクセスI/Oコスト更新指示を受ける(ステップS52)。次に、コスト管理マネージャ27はコスト管理テーブル20の該当欄のコスト情報を更新処理し、その後にステップS51に戻る(ステップS53)。ここで、コスト管理マネージャ27に限らず、管理サーバ5の先読みマネージャ45がI/Oコスト更新指示をしてもよい。
【0061】
図15は、管理サーバ5の先読みマネージャ45がDBMSサーバ1、2・・・からアクセスプランを受信し、ストレージ装置3、4・・・へ先読み指示する処理手順例を示すフローチャートである。先読みマネージャ45は、起動後以下に示す処理フローを実行する。
【0062】
まず、先読みマネージャ45は、先読み指示するプログラムを起動する。次に、先読みマネージャ45は、DBMSサーバ1、2・・・へ先読みマネージャ45が起動したという起動メッセージを送信する(ステップS61)。先読みマネージャ45の先読みを指示するプログラムは、起動後スリープして、DBMSサーバ1、2・・・からアクセスプランの受信を待つ(ステップS62)。そして、先読みマネージャ45はDBMSサーバ1、2・・・からアクセスプランを受信する(ステップS63)。次に、先読みマネージャ45は、ステップS63で受信したアクセスプランの情報を元に先読み管理テーブル93の更新処理を行い、受信したアクセスプランの情報を元にストレージ装置3、4・・・へ先読み指示を行う(ステップS64)。
【0063】
この時、ストレージ装置3、4・・・へ先読み指示を行うデータタイプは、図9(b)に示す通りである。この図9(b)に示すデータ118にヘッダ情報を加え、ストレージ装置3、4・・・へ先読み指示を行う。
本実施の形態例において、管理サーバ5はストレージ装置3、4・・・とLAN等の通信経路10を使用して通信を行うとしているが、DBMSサーバ1、2・・・とストレージ装置3、4・・・間でDBMS25がアクセスを行う際に使用される経路であるFC等の通信路6、8を管理サーバ5が用いる実施形態であってもよい。
また、ステップS64のヘッダ情報の種類によってはストレージ装置3、4・・・から先読み指示に対する応答を行う処理がある場合も考えられる。
【0064】
本実施の形態例により、管理サーバ5の先読みマネージャ45が何らかの原因で処理が停止した場合、DBMSサーバ1、2・・・のプラン先読みマネージャ27は、管理サーバ5の先読みマネージャ45が停止したことを把握し、クライアントプログラム23から問合せを受け、アクセスコストを最適化するときにより適した実行アクセスプランを選択することが可能になる。この時、DBMSサーバ1、2・・・のプラン作成マネージャ26が管理者へ上記アクセスプラン変更処理を通知する表示例を図16に示す。
【0065】
以下、本発明の他の実施の形態について、説明する。この他の実施の形態は、DBMSサーバが複数設けられたときに、複数のDBMSサーバから複数のアクセス要求があったときの管理サーバの動作を示すものである。
本実施の形態例では、管理サーバ5の先読みマネージャ45がストレージ装置3、4・・・へ先読み指示を出してからその完了応答をストレージ装置3、4・・・から受けるまでの応答時間を計測し、その計測情報からストレージ装置3、4・・・の状況を把握し、DBMSサーバ1、2・・・へI/Oコストの変更を指示する。
【0066】
図17は、管理サーバ5に管理者が指定する応答時間指定情報の一例を示す図である。応答時間指定情報170は、管理サーバ5の先読みマネージャ45がストレージ装置3、4・・・へ先読みを行った時に、その応答時間が本情報に指定される時間以上(以下)になったかどうか判断する情報である。応答時間指定情報170は、応答時間(遅延)欄171、応答時間(回復)欄172及び、遅延コスト欄173を有する。
【0067】
また、遅延コスト欄173は、シーケンシャル欄174及び、ランダム欄175を有する。応答時間(遅延)欄171に登録される情報は、管理サーバ5がストレージ装置3、4・・・へ先読み指示を出してから、先読み終了の応答をストレージ装置3、4・・・から受け取るまでの応答時間と比較して応答時間(遅延)欄171の値以上の時間になった場合に、DBMSサーバ1、2・・・のコスト管理マネージャ27へ遅延コスト欄173に登録されるI/Oコストへの変更指示を行うための情報である。応答時間(回復)欄172に登録される情報は、管理サーバ5がストレージ装置3、4・・・へ先読み指示を出してから、先読み終了の応答をストレージ装置3、4・・・から受け取るまでの応答時間と比較して応答時間(回復)欄172の値以上の時間になった場合に、DBMSサーバ1、2・・・のコスト管理マネージャ27へI/Oコストの変更を行うための判断する情報である。この応答時間情報は管理者によって登録される。
【0068】
図18は、管理サーバ5の先読みマネージャ45がストレージ装置3、4・・・へ先読み指示を行った応答の時間を計測し、ストレージ装置3、4・・・の状態を応答時間から推測してI/Oコストの変更をDBMSサーバ1、2・・・のコスト管理マネージャ27へ指示する処理手順例を示すフローチャートである。先読みマネージャ45は、起動後以下に示す処理フローを実行する。
【0069】
まず、先読みマネージャ45は、ストレージ装置3、4・・・に先読み指示を行ってからストレージ装置3、4・・・から先読み終了の応答を受け取るまでの時間を計測する(ステップS71)。次に、先読みマネージャ45は、ステップS71で計測した応答時間が、応答時間指定情報170の応答時間(遅延)欄171に登録される時間以上になったかどうかを比較する(ステップS72)。その結果、応答時間指定情報170の応答時間(遅延)欄171に登録される時間以上であった場合はステップS75へ移り、時間以内であった場合にはステップS73へ移る。
【0070】
ステップS72で、応答時間指定情報170の応答時間(遅延)欄171に登録される時間以下であると判断された場合は、次に、先読みマネージャ45は、ステップS71で計測した応答時間が、応答時間指定情報170の応答時間(回復)欄172に登録される時間以下になったかどうかを比較する(ステップS73)。その結果、応答時間指定情報170の応答時間(回復)欄172に登録される時間以上であった場合はステップS71へ戻り、時間以内であった場合にはステップS74へ移る。
【0071】
そして、ステップS73で応答時間指定情報170の応答時間(回復)欄172に登録される時間以内であったと判断された場合、先読みマネージャ45は、ステップS71で計測した応答時間をDBMSサーバ1、2・・・のコスト管理マネージャ27へ通知し、コスト管理テーブル70の現在値欄73に登録される値を変更する指示を出し(ステップS74)、その後にステップS71へ戻る。
【0072】
ステップS72で応答時間指定情報170の応答時間(遅延)欄171に登録される時間よりもステップS71で計測した応答時間が長いと判断された場合、先読みマネージャ45は、DBMSサーバ1、2・・・のコスト管理マネージャ27へコスト管理テーブル70の現在値欄73を応答時間指定情報170の遅延コスト欄173に登録されるコストへ変更するように指示を出し(ステップS75)、その後にステップS71に戻る。
【0073】
本実施の形態例により、管理サーバ5からの先読み要求もしくはDBMSサーバ1、2・・・からのアクセス要求が多くなった時に、ストレージ装置3、4・・・の状態を先読みマネージャ45が先読み指示を出してからその終了をストレージ装置3、4・・・から受け取るまでの応答時間で把握することによって、ストレージ装置3、4・・・の負荷に応じて適切なI/OをDBMSサーバ1、2・・・のDBMS25が用いてアクセスすることができる。
【0074】
なお、上述した本実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した本実施の形態に限らず、本発明の範囲内であれば、適宜、変更しうることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】計算機システムの構成例を示す図である。
【図2】DBMSサーバの構成例を示す図である。
【図3】ストレージ装置の構成例を示す図である。
【図4】管理サーバの構成例を示す図である。
【図5】DBMSサーバが持つ各種テーブルの構成例を示す図である。
【図6】DBMSサーバが持つ各種テーブルの構成例を示す図である。
【図7】管理サーバが持つ各種テーブルの構成例を示す図である。
【図8】ストレージ装置が持つテーブルの構成例を示す図である。
【図9】DBMSサーバと管理サーバ及び、管理サーバとストレージ装置間でやり取りが行われるデータの構成例を示す図である。
【図10】DBMSサーバがクライアントから問合せ要求を受け、DBへ問合せを実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】DBMSサーバが実行プランを決定する最適化処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】プラン作成マネージャによる管理サーバの先読みマネージャが正常に動作しているかを確認する処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】プラン作成マネージャがI/Oコストを確認する処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】コスト管理マネージャがコスト管理テーブルを操作する処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】先読みマネージャがストレージ装置へ先読みを指示する処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】先読みマネージャが停止し、DBMSサーバでプランを変更するという内容表示の一例を示す図である。
【図17】管理サーバが持つ応答時間指定情報テーブルの構成例を示す図である。
【図18】先読みマネージャが先読み処理の中でストレージ装置のI/Oコストを把握し、DBMSサーバへI/Oコストの変更指示を出す処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1、2・・・…DBMSサーバ、3、4・・・…ストレージ装置、5…管理サーバ、25…DBMS、26…プラン作成マネージャ、27…コスト管理マネージャ、45…先読みマネージャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアントからの要求に応じて、データベース管理プログラムに基づいた最適化処理を行ってデータベースへアクセスする計算機システムにおいて、
前記データベース管理プログラムが動作する一又は複数の第一の計算機と、
前記データベースに格納されたデータの先読みを指示する先読みプログラムが動作する一又は複数の第二の計算機と、
前記データの先読みのためにキャッシュメモリを有する制御部及び前記データベース管理プログラムにより操作されるデータベースを格納する一又は複数の物理ディスク装置を有し、前記第一の計算機と前記第二の計算機と接続される一又は複数の記憶装置とを有する計算機システムであって、
前記第一の計算機は、
前記第一の計算機と前記第二の計算機が正常に動作していることを確認するための確認情報を前記第一の計算機及び前記第二の計算機が送受信して、前記データベース管理プログラムが前記データベースへアクセスする実行プランを作成する先読みプラン作成手段と、
前記第二の計算機が停止した場合には第一の計算機がこれを把握し、前記データベース管理プログラムが前記データベースへアクセスする実行プランを変更する先読みプラン変更手段と
を備えたことを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
前記第一の計算機は、前記第二の計算機の前記先読みプログラムの状態を保存するための記憶領域を有し、前記第二の計算機の前記先読みプログラムが起動後に前記第一の計算機へ起動情報を送信し、前記第一の計算機が前記起動情報を受信し、前記先読みプログラムの状態を前記記憶領域に保存することを特徴とする請求項1記載の計算機システム。
【請求項3】
前記データベース管理プログラムが、前記データベースへアクセスする前記実行プランの計算に必要なコスト情報としてI/O速度を用い、前記第二の計算機が停止した場合、前記データベース管理プログラムが前記コスト情報を変更することを特徴とする請求項1記載の計算機システム。
【請求項4】
前記第二の計算機は、前記第一の計算機から受信した前記データベースへアクセスする前記実行プランを一時的に保存するための記憶領域を有することを特徴とする請求項1記載の計算機システム。
【請求項5】
前記第二の計算機は、前記記憶装置への先読み指示開始から終了に至る時間から前記記憶装置の負荷状況を把握することを特徴とする請求項1記載の計算機システム。
【請求項6】
前記第二の計算機は、複数の前記第一の計算機へ前記負荷状況から得られるコスト情報を送信し、前記第一の計算機の前記データベース管理プログラムが前記コスト情報を変更することを特徴とする請求項5記載の計算機システム。
【請求項7】
クライアントからの要求に応じて、最適化処理を行ってデータベースへアクセスするためのデータベース管理プログラムが動作する一又は複数の第一の計算機であって、
前記データベースへアクセスする情報に基づいて前記データベースに格納されたデータの先読みを指示する先読みプログラムが動作する第二の計算機、及び前記データの先読みのためにキャッシュメモリを有する制御部及び前記データベース管理プログラムにより操作されるデータベースを格納する一又は複数の物理ディスク装置を有する記憶装置と通信可能に接続されるインタフェース手段と、
前記第二の計算機の前記先読みプログラムが起動後に送信する起動情報を受信し、前記データベース管理プログラムが前記記憶装置に格納された前記データベースへアクセスする実行プランを取得して前記第二の計算機へ送信する先読みプラン送信手段と、
前記第二の計算機が正常に動作していることを確認するための確認情報を前記第二の計算機との間で送受信して前記データベース管理プログラムが前記データベースへアクセスする実行プランを作成する先読みプラン作成手段と、
前記確認情報に基づいて前記第二の計算機の停止状態を把握し前記データベース管理プログラムが前記データベースへアクセスする実行プランを変更する先読みプラン変更手段と
を備えたことを特徴とする計算機。
【請求項8】
前記第二の計算機の前記先読みプログラムの状態を保存するための記憶領域を有し、前記第二の計算機の前記先読みプログラムが起動後に送信する前記起動情報を受信し、前記先読みプログラムの状態を前記記憶領域に保存することを特徴とする請求項7記載の計算機。
【請求項9】
前記データベース管理プログラムが前記データベースへアクセスする前記実行プランの計算に必要なコスト情報としてI/O速度を用い、前記第二の計算機が停止した場合、前記データベース管理プログラムが前記コスト情報を変更することを特徴とする請求項7記載の計算機。
【請求項10】
クライアントからの要求に応じて、データベース管理プログラムに基づいた最適化処理を行ってデータベースへアクセスするデータベースアクセス方法において、
一又は複数の第一の計算機において前記データベース管理プログラムが動作すると、
一又は複数の第二の計算機において前記データベースに格納されたデータの先読みを指示する先読みプログラムが動作し、
前記第一の計算機は、前記第二の計算機の前記先読みプログラムが起動後に前記第一の計算機へ前記先読みプログラムの起動情報を送信する前記起動情報を受信し、
前記データベース管理プログラムが前記データベースへアクセスする実行プランを前記第二の計算機へ送信し、
前記第一の計算機と前記第二の計算機と接続される一又は複数の記憶装置において前記データベース管理プログラムにより操作されるデータベースを格納する一又は複数の物理ディスク装置からキャッシュメモリへの先読みが指示され、
前記第一の計算機と前記第二の計算機が正常に動作していることを確認するために確認情報を前記第一の計算機及び前記第二の計算機が送受信し、
前記第二の計算機が停止した場合には第一の計算機がこれを把握し前記データベース管理プログラムが前記データベースへアクセスする実行プランを変更する
ことを特徴とするデータベースアクセス方法。
【請求項11】
前記第一の計算機は、前記第二の計算機の前記先読みプログラムの状態を保存するための記憶領域を有し、前記第二の計算機の前記先読みプログラムが起動後に前記第一の計算機へ起動情報を送信し、前記第一の計算機が前記起動情報を受信し、前記先読みプログラムの状態を保存することを特徴とする請求項10記載のデータベースアクセス方法。
【請求項12】
前記データベース管理プログラムが、前記データベースへアクセスする前記実行プランの計算に必要なコスト情報としてI/O速度をコスト情報として用い、前記第二の計算機が停止した場合、前記データベース管理プログラムが前記コスト情報を変更することを特徴とする請求項10記載のデータベースアクセス方法。
【請求項13】
前記第二の計算機は、前記第一の計算機から受信した前記データベースへアクセスする前記実行プランを記憶領域に一時的に保存することを特徴とする請求項10記載のデータベースアクセス方法。
【請求項14】
前記第二の計算機は、前記記憶装置への先読み指示開始から終了に至る時間から前記記憶装置の負荷状況を把握することを特徴とする請求項10記載のデータベースアクセス方法。
【請求項15】
前記第二の計算機は、複数の前記第一の計算機へ前記コスト情報を送信し、前記第一の計算機の前記データベース管理プログラムが前記コスト情報を変更することを特徴とする請求項14記載のデータベースアクセス方法。
【請求項16】
クライアントからの要求に応じて、データベース管理プログラムに基づいた最適化処理を行ってデータベースへアクセスするデータベースシステムにおいて、
前記データベース管理プログラムが動作するサーバと、
前記データベース管理プログラムにより操作されるデータベースを格納するストレージと、
前記サーバ、前記ストレージ、又は前記サーバと前記ストレージとの間の経路上に設けられ、前記データベースに格納されたデータの先読みを指示する先読みプログラムとを備えるデータベースシステムであって、
前記先読みプログラムが起動後に前記データベース管理プログラムへ前記先読みプログラムの起動情報を送信する前記起動情報を受信し、前記データベース管理プログラムが前記データベースへアクセスする実行プランを前記先読みプログラムへ送信する先読みプラン送信手段と、
前記データベース管理プログラムに基づいて前記先読みプログラムが前記ストレージにおいて一又は複数の物理ディスク装置からキャッシュメモリへの先読みを指示する先読み指示手段と、
前記データベース管理プログラムと前記先読みプログラムが正常に動作していることを確認するために確認情報を前記データベース管理プログラム及び前記先読みプログラムが送受信して前記データベース管理プログラムが前記データベースへアクセスする実行プランを作成する先読みプラン作成手段と、
前記先読みプログラムが停止した場合にはデータベース管理プログラムがこれを把握し前記データベース管理プログラムが前記データベースへアクセスする実行プランを変更する先読みプラン変更手段と
を備えたことを特徴とするデータベースシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−127418(P2006−127418A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318471(P2004−318471)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度 文部科学省 科学技術試験研究委託費〔1〕ログ転送によるディザスタリカバリ技術の評価、2〕クエリプラン利用先読み技術の評価、3〕システムモニタリング技術の評価、4〕データ配置最適化技術の基本仕様検討における実現方式検討〕(産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】