説明

計量キャップ

【課題】一定量の内容液の注ぎ出しを行うことが可能な計量キャップを提供する。
【解決手段】筒状本体1は、その内部が仕切壁7によって上部空間Bと下部空間Aとに区画されており、仕切壁の中央部分には、第1の開口15が形成され、さらに、第1の開口を取り囲むように上方に延びている環状突起20と、第1の開口の縁に結合した足を介して環状突起の内部を通って上方に延びているシャッター用ロッド23が設けられており、足には、第1の開口を介して上部空間Bと下部空間Aとを連通する切欠きが形成されており、弁体3は、シャッター用ロッドが貫通する孔を備えた基板と、切欠きを閉じることができる弧状突起と、回転強制用フランジとを備えており、上蓋5は、中央部に第2の開口50を有する頂壁を備え、頂壁の下面からは、弁体の回転を付勢するための突起57が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定量の容器内容液を注出するために使用される計量キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、育毛剤などの薬液のように、使用量が定められた液が収容された容器のキャップとして、所謂計量キャップが使用されている。このような計量キャップの代表的なものは、弾性圧搾性の胴部を有する容器に装着されるものであり、容器口部に嵌めこまれた有底筒状形状の栓体と、該栓体に嵌合固定された注出筒と、該栓体の底壁を貫通する注出用のチューブが設けられている。即ち、注出用のチューブの一端は、容器の底部近傍にまで延びており、他端は、注出筒の内部に延びており、容器の胴部を握り締めることにより、一定量の容器内容液が注出筒内に押し出されて貯留し、この状態で容器を傾倒することにより、注出筒内に貯留した容器内容液が取り出されるというものである。
【0003】
しかしながら、上記のような注出用チューブを備えたタイプの計量キャップでは、容器の胴部を握り締める圧力及び時間によって、容器内から注出筒内に移行する液量が異なるため、取り出される液量にはかなりバラツキがあり、正確に一定量を取り出すという点で改善の余地がある。
【0004】
一方、一定量の容器内容液を正確に取り出すことが可能な計量キャップとしては、例えば特許文献1の添付図面に、容器口部に嵌合固定され且つ容器内部にまで延びている有底筒状の貯留筒(11)と、容器口部に螺子係合により上下動可能に設けられ且つ液注出用の開口(23)を備えた中蓋(21)と、中蓋(21)にヒンジ連結された上蓋(28)とからなるものが提案されている。このタイプの計量キャップでは、貯留筒(11)の側壁(12)の上部外面が容器口部壁の内面に密着しており、且つ容器口部壁の下方に位置している該側壁(12)の中央部分には、容器内と貯留筒(11)内とを連通する窓(17)が設けられており、さらに、貯留筒(11)の底壁の中央部分からは、中蓋(21)の開口(23)を閉塞するように、ロッド(15)が上方に延びている。また、中蓋(21)には、前記窓(17)を閉じるためのシャッター用突起(25)が設けられている。
【0005】
即ち、特許文献1の上記計量キャップでは、中蓋(21)がしっかりと巻締められ且つ上蓋(28)が閉じられた状態において、貯留筒(11)に設けられているロッド(15)により中蓋(21)の開口(23)が閉じられており、且つ貯留筒(11)の窓(17)は開放されており、貯留筒(11)の内部と容器内とが連通した状態に保持されている。従って、この状態で容器を倒立させると、容器の内容液は、窓(17)を通って貯留筒(11)内に流れ込み、次いで正立状態に復帰させると、貯留筒(11)の下部空間(16)(窓よりも下方の空間)に満杯の状態で容器内容液が貯留することとなる。余剰の内容液は、窓(17)を通って容器内に戻るというわけである。このように貯留筒(11)内に内容液が貯留している状態で、中蓋(21)を開栓方向に旋回すると、中蓋(21)が上昇し、中蓋(21)の開口(23)が開放状態になるとともに、シャッター用突起(25)が回転し、この突起(25)により窓(17)が閉じられ、貯留筒(11)内と容器内との連通が遮断される。この状態で上蓋(28)を開放し、容器を傾倒することにより、貯留筒(11)内に貯留されている内容液が開口(23)を通って外部に注ぎ出され、このとき、容器内の内容液は注ぎ出されず、一定量の内容液が注出されることとなるのである。
上記のようにして一定量の内容液が取り出された後は、上蓋(28)を閉じ、中蓋(21)を閉栓方向に回転して降下させると、中蓋(21)の開口(23)はロッド(15)により閉じられ、また、シャッター用突起25の移動により、窓(17)は再び開放され、初期の状態に戻り、再度、同様の操作により一定量の内容液の注ぎ出しが行われることとなる。
【0006】
このように、特許文献1で提案されているタイプの計量キャップによれば、注出用チューブを使用したタイプのものとは異なり、ほぼ正確に一定量の内容液を取り出すことが可能となる。
【特許文献1】特開2002−255210号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来公知の計量キャップは、容器内容液の注出のためのチューブや一定量の内容液を貯留するための貯留筒が容器内に深く入り込んだ状態で容器に固定される構造となっているため、容器口部への装着を容易に行うことが困難であるという問題があった。また、特許文献1の計量キャップでは、貯留筒(11)の側壁に形成されている窓(17)よりも下側の空間に内容液を貯留するため、この貯留空間が容器内に入り込んだ構造となってしまい、この結果、容器内に無駄なヘッドスペースを設けなければならず、必要以上に容器の容積を大きくしなければならないという問題もある。
【0008】
従って、本発明の目的は、正確に一定量の容器内容液を注ぎ出すことが可能であり、しかも、注ぎ出される内容液を貯留する部分が容器の口部よりも上方に位置しており、容器への装着を容易に行うことができ、且つ容器に無駄なヘッドスペースを設けることなく、一定量の内容液の注ぎ出しを行うことが可能な計量キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、容器口部に固定される筒状本体と、該筒状本体の内部に回転可能に保持される弁体と、螺子係合により該筒状本体に旋回可能に保持された上蓋とからなり、
前記筒状本体は、その内部が仕切壁によって上部空間と下部空間とに区画されており、該筒状本体の外面には、前記上蓋と螺子係合する第1の螺条と、前記上蓋の上昇を規制するストッパーが形成されており、
前記仕切壁の中央部分には、内容液注出用の第1の開口が形成されているとともに、該仕切壁の上面には、第1の開口を取り囲むように上方に延びている環状突起と、第1の開口の縁に結合した足を介して該環状突起の内部を通って上方に延びているシャッター用ロッドが設けられており、
前記シャッター用ロッドの前記足には、第1の開口を介して前記上部空間と下部空間とを連通する切欠きが形成されており、
前記弁体は、前記シャッター用ロッドが貫通する孔を備えた基板と、該基板の下面から下方に延びており且つ少なくとも前記シャッター用ロッドの切欠きを閉じることができる程度の大きさを有している弧状突起と、該基板の外周縁部から径方向外方に延びている回転強制用フランジとを備えており、該弁体は、前記シャッター用ロッドが前記基板の孔を貫通して上方に延び且つ該弁体の前記弧状突起の外面が前記筒状本体の環状突起の内面に密着した状態で、前記シャッター用ロッドまたは前記環状突起に回転可能に保持されており、
前記上蓋は、中央部に内容液注出用の第2の開口を有する頂壁と、該頂壁の外周縁部から降下した筒状側壁とを備え、該筒状側壁の内面には、前記筒状本体に形成されている第1の螺条と螺子係合する第2の螺条とを有しており、該頂壁の下面からは、シール用リングと、前記弁体の回転付勢用突起とが下方に延びており、
前記上蓋が前記筒状本体に装着された状態において、該上蓋のシール用リングは、前記筒状本体の内面に密着しているとともに、
前記上蓋が筒状本体に装着された状態で且つ最下方に位置しているときには、前記シャッター用ロッドの上端により該上蓋の第2の開口が閉じられており、同時に、前記シャッター用ロッドの切欠きが開放状態にあり、第1の開口及び該切欠きを介して筒状本体の内部の上部空間と下部空間とが連通状態に保持されており、この状態で、容器を倒立し、次いで正立状態に戻すことにより、前記筒状本体の上部空間内の前記環状突起の外側部分に容器内容液が貯留し、
容器内容液が貯留している状態で、前記上蓋を回転上昇させることにより、該上蓋の第2の開口が開放状態となり、同時に該上蓋の回転付勢用突起と弁体の回転強制用フランジとの係合により該弁体が回転し、これにより、前記シャッター用ロッドの切欠きが該弁体の弧状突起により閉じられ、筒状本体の内部の上部空間と下部空間との連通が遮断され、この状態で、容器を倒立することにより、前記環状突起の外側部分に貯留している容器内容液のみが注ぎ出されることを特徴とする計量キャップが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の計量キャップでは、容器を倒立させ、次いで正立状態に戻すことにより、筒状本体の上部空間に容器内容液を一旦貯留し、この貯留された液を注ぎ出す構造となっているため、精度よく、一定量の内容液を取り出すことができる。
【0011】
また、容器内容液が貯留される筒状本体の上部空間は、容器口部の上方に位置しているため、容器に無駄なヘッドスペースを設ける必要が無く、しかも、容器内に深く挿入される部分もないため、このキャップの容器口部への装着を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を、以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の計量キャップが容器口部に装着されており、容器内容液がシールされている状態を示す側断面図であり、
図2は、図1の計量キャップにおいて、容器内容液を注ぎ出す際の状態を示す側断面図であり、
図3は、図1の計量キャップの筒状本体の半断面側面図であり、
図4は、図3の筒状本体の底面図であり、
図5は、図1の計量キャップの弁体の斜視図であり、
図6は、図1の計量キャップの上蓋の半断面側面図であり、
図7は、図1の計量キャップの上方から見た分解斜視図であり、
図8は、図1の計量キャップの下方から見た分解斜視図であり、
図9は、図1の計量キャップの下方から見た一部断面分解斜視図である。
【0013】
図1及び図2を参照して、本発明の計量キャップは、容器口部100に固定されている筒状本体1と、筒状本体1の内部に回転可能に保持される弁体3と、螺子係合により筒状本体1に旋回可能に保持された上蓋5とから構成されている。
尚、図1は、この本発明の計量キャップが容器口部100に装着されており、容器内容液がシールされている状態を示しており、容器及び計量キャップは、通常、この状態に保持されている。また、図2は、この計量キャップから容器内容液を注ぎ出す際の状態を示しており、後述するが、このような状態に計量キャップを保持して容器を倒立(或いは傾倒)することにより、一定量の内容液が注ぎ出されるのである。
【0014】
筒状本体1の一部断面側面図である図3及び筒状本体1の底面図である図4を併せて参照して、筒状本体1は、仕切壁7によって下部体9と上部体10とに区画されており、筒状本体1の内部は、下部体9の内部となる下部空間Aと上部体10の内部となる上部空間Bとに区画された構造となっている。
【0015】
尚、図1の例では、下部体9が上部体10よりも大径に形成されており、その外面において、下部体9と上部体10との境界部分には水平段差部11が形成されているが、下部体9と上部体10とを同径とし、下部体9の外面と上部体10の外面とがストレートな面で連なるような構造とすることも勿論可能である。
【0016】
上記仕切壁7の下面からは、下部体9の内面とは小間隔をおいて下方に延びているインナーリング13が設けられており、さらに、下部体9の内面の下端には、アンダーカット9aが形成されている。即ち、図1及び図2から理解されるように、インナーリング13と下部体9の内面との間の空間に容器口部100の壁が嵌めこまれ、これにより、下部体9(即ち、筒状本体1)は容器口部100にしっかりと固定されるようになっている。
【0017】
従って、上記の構造から理解されるように、下部体9の内部空間である下部空間Aは、容器内に位置するものであり、上部体10の内部空間である上部空間Bは、仕切壁7を挟んで容器口部100の上方に位置するようになっている。
【0018】
また、仕切壁7の中央部分には、容器内に収容されている内容液を注出するための第1の開口15が形成されており、この第1の開口15により、容器内に位置する下部体9の内部の下部空間Aは、容器外に位置する上部体10の内部空間である上部空間Bに連通している。
【0019】
筒状本体1の上部体10の外面には雄螺子(第1の螺条)17が形成されている。この雄螺子17の螺子係合を利用して上蓋5が旋回可能且つ上下動可能に筒状本体1(上部体10)に保持されるものである。また、上部体10の外面上端部分には、上蓋5の上昇を規制するストッパー用突条19が形成されている。
【0020】
さらに、仕切壁7の上面には、第1の開口15を取り囲むように上方に延びている環状突起20が設けられている。即ち、上記の環状突起20と上部体10の内面との間の空間が、一定量の容器内容液を注ぎ出す際に、該内容液が一旦貯留される貯留空間Xとなる(図3参照)。
【0021】
また、上部体10の上部空間Bには、仕切壁7に形成されている第1の開口15の縁部に結合した一対の足21を介して上方に延びている中空形状のシャッター用ロッド23が設けられている。即ち、このような足21が形成されていない部分である切欠き22が通路となり、第1の開口15を介して下部空間Aと上部空間Bとを連通せしめ、容器内容液を上記貯留空間Xに移動させ得るようになっている。また、このシャッター用ロッド23により、上蓋5からの液洩れを防止し得るようになっている。図4(或いは図8)に示されているように、第1の開口15において、上記の足21が形成されていない部分(切欠き22)に対応する部分は、足21が形成されている部分よりも大径となっており、これにより、内容液のスムーズな移動が可能となっている。
【0022】
尚、特に図3に示されているように、上記のシャッター用ロッド23の外面には、環状凸部25が形成されている。この環状凸部25は、以下に述べる弁体3を係合保持するために形成されているものである。
【0023】
弁体3は、上記の内容液の通路となる切欠き部分22の開閉を行うための部材であり、上記の環状凸部25との係合により、シャッター用ロッド23に回転可能に保持されるものである。
【0024】
弁体3を示す図5及びこの計量キャップの分解した状態を示す図7〜9を、図1及び図2と併せて参照して、この弁体3は、円形の基板27と、基板27の下面から下方に延びている一対の弧状突起29とを備えている。
【0025】
上記の基板27の中央部分には、シャッター用ロッド23が貫通する孔30を備えており、この孔30が形成されている壁面には、係合用凹部31が形成されている。即ち、この弁体3は、基板27の孔30にシャッター用ロッド23を通し、上記の係合用凹部31を該ロッド23の外面に形成されている環状凸部25と係合させることにより、回転可能に保持されることとなる。
【0026】
また、基板27の外周縁には、径方向外方に延びている回転強制用フランジ33が一対形成されている。この回転強制用フランジ33との係合を利用して、後述する上蓋5により、弁体3が回転せしめられる。
【0027】
かかる弁体3の弧状突起29は、シャッター用ロッド23の足21に形成されている切欠き22を閉じることができる程度の大きさを有しているものであり、弁体3を回転させることにより、弧状突起29による切欠き22の開閉が行われる。即ち、容器内容液を容器から第1の開口15及び切欠き22を介しての前述した上部体10内の貯留空間Xへの移動或いは移動の遮断は、弁体3を回転しての弧状突起29の位置調整により行われることとなる。従って、容器内容液の移動が制限されている状態が示されている図2から理解されるように、この弧状突起29の外面は、環状突起20の内面に密着した状態に保持されており、これにより液洩れが防止されるようになっている。
【0028】
また、上蓋5の半断面側面図を示す図6及び計量キャップの分解した状態を示す図7〜9を図1及び図2と併せて参照して、この上蓋5は、頂壁35と、頂壁の外周縁部から降下した筒状側壁37とを有している。
【0029】
頂壁35の中央部分には、内容液注出用の第2の開口50が設けられており、前述した貯留空間Xに貯留された内容液は、最終的には、この第2の開口50を介して外部に注ぎ出される。また、前述したシャッター用ロッド23は、第2の開口50の開閉を行うための部材であり、図1に示されている状態では、このロッド23により第2の開口50が閉じられており、図2に示されている状態では、第2の開口50が開放された状態となっている。
【0030】
また、上蓋5の筒状側壁37の内面の下方部分には、雌螺子(第2の螺条)51が形成されており、この雌螺子51と上部体10に形成されている雄螺子17との螺子係合により、上蓋5は、筒状本体1の上部体10に、回転可能且つ上下動可能に保持される。
【0031】
さらに、筒状側壁37の内面の上方部分には、上部体10に形成されているストッパー用の突条19と係合し得る突起53が形成されている。即ち、この上蓋5は、上部体10を被せるようにして嵌めこまれ、閉栓方向に回転させていくことにより上部体10に装着されるが、これを開栓方向(上昇する方向)に回転したとき、上記の突起53がストッパー用突条19と係合し、上蓋5の上昇が制限され、これにより、上蓋5の脱落が防止されるようになっている。
【0032】
上記のような上蓋5において、頂壁35の下面からは、シール用リング55と、一対の回転付勢用突起57,57とが下方に延びている(特に図8参照)。即ち、シール用リング55は、上部体10の内面に密着するものであり、これにより、良好なシールが確保され、例えば前述した切欠き22が開放状態にあるときにも、液洩れを有効に防止することができる。また、回転付勢用突起57は、弁体3の基板27に形成されている回転強制用フランジ33と係合し、上蓋5の回転によって弁体5を回転せしめ、弧状突起29を移動させることにより、切欠き22の開閉が行われるようにするためのものである。
【0033】
上述した本発明の計量キャップは、以下のようにして一定量の内容液の注ぎ出しを行うものである。
【0034】
先ず、図1に示されているように、筒状本体1の上部体10に装着されている上蓋5が、完全に巻締められて最下方に位置しているときには、シャッター用ロッド23の上端により、上蓋5の頂壁に形成されている第2の開口50が閉じられた状態となっており、同時に、シャッター用ロッド23の足21に形成されている切欠き22が開放状態にある。即ち、切欠き22は、弁体3の弧状突起29により閉じられていない。従って、仕切壁7に形成されている第1の開口15及び切欠き22を介して、下部体9の内部空間Aと上部体10の内部空間Bとの間に液の通路が形成された状態にある。
【0035】
従って、図1の状態で、容器を倒立すると、容器内容液は、下部体9の内部空間Aから上部体10の内部空間Bに流れ込み、次いで容器を正立状態に戻すと、内部空間Bに流れ込んだ液は、貯留される貯留空間Xに充填され、余剰の液は、切欠き22及び第1の開口15を通って、再び容器内に戻ることとなる。即ち、上記の操作により、貯留空間Xは、内容液で満杯の状態となっている。
【0036】
次いで、貯留空間Xが内容液で満杯となっている状態で、上蓋5を回転し、図2に示される状態とする。即ち、上蓋5の回転により、上蓋5が上昇する結果、上蓋5の頂壁に形成されている第2の開口50が開放され、この開口50を介しての液の注ぎ出しが可能となる。一方、上蓋5の回転により、前述した回転付勢用突起57と弁体3の回転強制用フランジ33とが係合して弁体3が回転し、弧状突起29も回転移動し、切欠き22が弧状突起29により閉じられることとなる。
【0037】
従って、図2の状態で容器を倒立させると、切欠き22が閉じられているため、容器内の内容液は注ぎ出されず、上部体10内の貯留空間X内に満たされていた液のみが、第2の開口50を介して注ぎ出される。即ち、本発明の計量キャップでは、常に上部体10内の貯留空間Xの容積に相当する一定量が注ぎ出されるのである。
【0038】
上記のようにして内容液の注ぎ出しを行った後は、上蓋5を閉栓方向に回転することにより、上蓋5が降下し、第2の開口50は再びシャッター用ロッド23によって閉じられる。また、回転付勢用突起57と回転強制用フランジ33とが係合して弁体3が逆方向に回転し、弧状突起29が回転移動し、切欠き22が開放状態となる。即ち図2の状態から再び図1の状態に戻り、前述した操作を繰り返すことにより、繰り返し、定められた量(貯留空間Xの容積に相当)の内容液を注ぎ出すことが可能となるのである。
【0039】
上述した本発明の計量キャップでは、精度よく、一定量の内容液を取り出すことができるばかりか、容器内容液の貯留空間Xは、容器口部の上方に位置しており、しかも容器内容液を貯留空間Xに移行させるためには、容器を倒立させるのでよく、チューブ等の格別の部材を必要としない。従って、容器に無駄なヘッドスペースを設ける必要が無く、容器の内容積を過度に大きくする必要がないばかりか、容器内に深く挿入される部材を有していないため、この計量キャップ(筒状本体1乃至下部体9)の容器口部100への装着を至って容易に行うことができる。
【0040】
上述した本発明の計量キャップは、図1〜図9に示した態様に限定されるものではなく、種々の設計変更が可能である。
例えば、筒状本体1の下部体9は、嵌め込みにより容器口部100に装着されているが、螺子係合により容器口部100に装着することも可能である。
また、弁体3の基板27の回転強制用フランジ33に貫通孔を設けることもできる。即ち、回転強制用フランジ33に貫通孔を設けることにより、図1の状態で容器を倒立させ或いは正立に復帰させたときの容器内容液の流れをスムーズにし、瞬時にして貯留空間Xを内容液で満杯にすることができる。
さらに、シャッター用ロッド23の足21の数若しくは切欠き22の数やこれらの大きさ等は特に制限されるものではなく、弧状突起29による切欠き22の開閉が確実且つ容易に行われるように適宜設定すればよい。
さらには、弁体3は、その弧状突起29の外面と環状突起20の内面との間に適当な係合機構を設けることにより、環状突起29に回転可能に保持されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の計量キャップが容器口部に装着されており、容器内容液がシールされている状態を示す側断面図。
【図2】図1の計量キャップにおいて、容器内容液を注ぎ出す際の状態を示す側断面図。
【図3】図1の計量キャップの筒状本体の半断面側面図。
【図4】図3の筒状本体の底面図。
【図5】図1の計量キャップの弁体の斜視図。
【図6】図1の計量キャップの上蓋の半断面側面図。
【図7】図1の計量キャップの上方から見た分解斜視図。
【図8】図1の計量キャップの下方から見た分解斜視図。
【図9】図1の計量キャップの下方から見た一部断面分解斜視図。
【符号の説明】
【0042】
1:筒状本体
3:弁体
5:上蓋
7:仕切壁
9:下部体
10:上部体
15:第1の開口
17:雄螺子(第1の螺条)
19:ストッパー用突条
20:環状突起
21:足
22:切欠き
23:シャッター用ロッド
25:環状凸部
27:基板
29:弧状突起
30:貫通孔
33:回転強制用フランジ
50:第2の開口
55:シール用リング
57:回転付勢用突起
100:容器口部
X:貯留空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部に固定される筒状本体と、該筒状本体の内部に回転可能に保持される弁体と、螺子係合により該筒状本体に旋回可能に保持された上蓋とからなり、
前記筒状本体は、その内部が仕切壁によって上部空間と下部空間とに区画されており、該筒状本体の外面には、前記上蓋と螺子係合する第1の螺条と、前記上蓋の上昇を規制するストッパーが形成されており、
前記仕切壁の中央部分には、内容液注出用の第1の開口が形成されているとともに、該仕切壁の上面には、第1の開口を取り囲むように上方に延びている環状突起と、第1の開口の縁に結合した足を介して該環状突起の内部を通って上方に延びているシャッター用ロッドが設けられており、
前記シャッター用ロッドの前記足には、第1の開口を介して前記上部空間と下部空間とを連通する切欠きが形成されており、
前記弁体は、前記シャッター用ロッドが貫通する孔を備えた基板と、該基板の下面から下方に延びており且つ少なくとも前記シャッター用ロッドの切欠きを閉じることができる程度の大きさを有している弧状突起と、該基板の外周縁部から径方向外方に延びている回転強制用フランジとを備えており、該弁体は、前記シャッター用ロッドが前記基板の孔を貫通して上方に延び且つ該弁体の前記弧状突起の外面が前記筒状本体の環状突起の内面に密着した状態で、前記シャッター用ロッドまたは前記環状突起に回転可能に保持されており、
前記上蓋は、中央部に内容液注出用の第2の開口を有する頂壁と、該頂壁の外周縁部から降下した筒状側壁とを備え、該筒状側壁の内面には、前記筒状本体に形成されている第1の螺条と螺子係合する第2の螺条とを有しており、該頂壁の下面からは、シール用リングと、前記弁体の回転付勢用突起とが下方に延びており、
前記上蓋が前記筒状本体に装着された状態において、該上蓋のシール用リングは、前記筒状本体の内面に密着しているとともに、
前記上蓋が筒状本体に装着された状態で且つ最下方に位置しているときには、前記シャッター用ロッドの上端により該上蓋の第2の開口が閉じられており、同時に、前記シャッター用ロッドの切欠きが開放状態にあり、第1の開口及び該切欠きを介して筒状本体の内部の上部空間と下部空間とが連通状態に保持されており、この状態で、容器を倒立し、次いで正立状態に戻すことにより、前記筒状本体の上部空間内の前記環状突起の外側部分に容器内容液が貯留し、
容器内容液が貯留している状態で、前記上蓋を回転上昇させることにより、該上蓋の第2の開口が開放状態となり、同時に該上蓋の回転付勢用突起と弁体の回転強制用フランジとの係合により該弁体が回転し、これにより、前記シャッター用ロッドの切欠きが該弁体の弧状突起により閉じられ、筒状本体の内部の上部空間と下部空間との連通が遮断され、この状態で、容器を倒立することにより、前記環状突起の外側部分に貯留している容器内容液のみが注ぎ出されることを特徴とする計量キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−154913(P2009−154913A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334550(P2007−334550)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】