説明

計量システム

【課題】回路の故障による誤った計量を防止できる計量システムを提供する。
【解決手段】入力パルス信号を第1パルス信号として出力する第1I/F回路3aと、第1パルス信号をカウントする第1カウンタ4aと、第1I/F回路への入力パルス信号と同じ入力パルス信号を第2パルス信号として出力する第2I/F回路3bと、第2パルス信号をカウントする第2カウンタ4bと、第1パルス信号と第2パルス信号とを比較する比較器5と、比較器からの比較結果信号が不一致を示していればチェック用パルス信号の生成を指示する制御部6と、該指示に応じて比較結果信号のオン期間内でオン/オフするチェック用パルス信号を生成して第1I/F回路および第2I/F回路に送るチェックパルス生成回路8を備え、制御部は、チェック用パルス信号に対応する信号を出力しない方のI/F回路を故障と判断し、他方のI/F回路側のカウンタを用いて計量処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス数を計測することにより計量を行う計量システムに関し、特に計測データの欠落を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば水道メータやガスメータといった流体の流量をパルス信号に変換し、このパルス信号を計数することにより流量を計測する計量システムが知られている。このような計量システムでは、回路の故障などによって計量が誤るのを防止するために、回路を二重化することが行われている。
【0003】
なお、このような計量システムに関連する技術として、特許文献1には、低消費電流で高精度な速度表示装置及び水道メータが記載されており、サンプリング制御部は被測定物の移動量に比例したパルスを発生するセンサを間欠的に起動させ、パルス変換部によりサンプリングされたセンサ出力状態から被測定物の移動量に比例したパルスを再現する。演算制御部は、記憶部で記憶しているインターバルタイマで指定される一定時間のパルスを計数した計数部の計数値を、記憶部に記憶される前回計数値と補正保存部に記憶されている前回補正値により補正する。補正された計数値とインターバルタイマで指定した一定時間から一定時間内の平均パルス速度に比例する被測定物の移動速度を補正演算し、表示部に被測定物の移動速度として表示する。
【0004】
特許文献2には、制御部とメータおよび接点機器との間を接続するインターフェイス部を有するインターフェイス回路が記載されており、制御部は、接点機器のオン・オフ状態を判別する判別手段を有し、インターフェイス部は、制御部がメータへ信号を送信時を除き制御部とメータとの間の信号経路を電気的に分離する第1の分離手段と、制御部の判別手段が接点機器のオン・オフ状態の判別時を除き制御部と接点機器との間の信号経路を電気的に分離する第2の分離手段と、制御部がメータから送信される情報に基づく信号の受信時又は接点機器のオン・オフ状態に基づく信号の受信時を除き制御部とメータ又は接点機器との間の信号経路を電気的に分離する第3の分離手段とを有し、制御部がメータから送信される情報に基づく信号及び接点機器のオン・オフ状態に基づく信号の受信時の信号経路を共通にしている。
【特許文献1】特開平8−50137号公報
【特許文献2】特開平11−120475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の計量システムでは、外部から送られてくるパルス信号を入力するインタフェース回路から後段の回路のみが二重化されているので、インタフェース回路に故障が発生した場合には、誤った計量が行われるという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、回路の故障によって誤った計量が行われるのを防止できる計量システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明は、パルス信号を入力し、第1パルス信号として出力する第1インタフェース回路と、第1インタフェース回路からの第1パルス信号をカウントする第1カウンタと、パルス信号と同じパルス信号を入力し、第2パルス信号として出力する第2インタフェース回路と、第2インタフェース回路からの第2パルス信号をカウントする第2カウンタと、第1インタフェース回路からの第1パルス信号と第2インタフェース回路からの第2パルス信号とを比較し、該比較の結果を表す比較結果信号を出力する比較器と、比較器からの比較結果信号が不一致を示している場合に、チェック用のパルス信号の生成を指示する制御部と、制御部からの指示に応じて、比較器から出力される比較結果信号のオン期間内でオン/オフするチェック用のパルス信号を生成して第1インタフェース回路および第2インタフェース回路に送るチェックパルス生成回路とを備え、制御部は、第1インタフェース回路または第2インタフェース回路のうちの、チェックパルス生成回路からのチェック用のパルス信号に対応する信号を出力しない方のインタフェース回路を故障と判断し、他方のインタフェース回路に接続されたカウンタを用いて計量処理を実行することを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、制御部は、第1インタフェース回路または第2インタフェース回路のうちの、チェックパルス生成回路からのチェック用のパルス信号に対応する信号を出力しない方のインタフェース回路を故障と判断し、他方のインタフェース回路に接続されてチェック用のパルス信号に応答してカウント値がインクリメントされた方のカウンタの内容をデクリメントした後に、該カウンタを用いて計量処理を実行することを特徴とする。
【0009】
また、第3の発明は、パルス信号を入力し、第1パルス信号として出力する第1インタフェース回路と、第1インタフェース回路からの第1パルス信号をカウントする第1カウンタと、パルス信号と同じパルス信号を入力し、第2パルス信号として出力する第2インタフェース回路と、第2インタフェース回路からの第2パルス信号をカウントする第2カウンタと、第1カウンタに保持されているカウント値および第2カウンタに保持されているカウント値を取り込むとともに、第1インタフェース回路からの第1パルス信号または第2インタフェース回路からの第2パルス信号が入力される毎にチェック用のパルス信号の生成を指示する制御部と、制御部からの指示に応じて、第1パルス信号または第2パルス信号のオン期間内でオン/オフするチェック用のパルス信号を生成して第1インタフェース回路および第2インタフェース回路に送るチェックパルス生成回路とを備え、制御部は、第1カウンタのカウント値と第2カウンタのカウント値とが相違する場合に、大きいカウント値を保持している方のカウンタの内容を半分にした値を正常なカウント値とし、その後、該カウンタを用いて計量処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、二重化されたインタフェース回路の出力が相違する場合に、インタフェース回路の出力がオンになるべきタイミングでチェック用のパルス信号を入力して、各インタフェース回路の出力を確認することにより故障していない方のインタフェース回路を用いて計量を行うので、インタフェース回路の出力がオンにならないというモードの故障によって誤った計量が行われるのを防止できる。
【0011】
第2の発明によれば、二重化されたインタフェース回路の出力が相違する場合に、インタフェース回路の出力がオフになるべきタイミングでチェック用のパルス信号を入力して、各インタフェース回路の出力を確認することにより故障していない方のインタフェース回路を用いて計量を行うので、インタフェース回路の出力がオフにならないというモードの故障によって誤った計量が行われるのを防止できる。
【0012】
第3の発明によれば、インタフェース回路からのパルス信号が入力される毎にチェック用のパルス信号を入力し、各インタフェース回路に接続されたカウンタの内容を確認して故障していない方のインタフェース回路を用いて計量を行うので、インタフェース回路の出力が故障によって誤った計量が行われるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の実施例1に係る計量システムの構成を示すブロック図である。この計量システムは、メータ1、第1論理和回路(OR回路)2a、第2論理和回路(OR回路)2b、第1インタフェース回路(I/F回路)3a、第2インタフェース回路(I/F回路)3b、第1カウンタ4a、第2カウンタ4b、比較器5、制御部6、メモリ7およびチェックパルス生成回路8を備えている。
【0015】
メータ1は、例えば水道メータやガスメータから構成されており、水やガスの流量を検出する。メータ1で検出された流量は、流量に応じた周期を有するパルス信号として第1論理和回路2aおよび第2論理和回路2bに送られる。
【0016】
第1論理和回路2aは、メータ1から送られてくるパルス信号とチェックパルス生成回路8から送られてくるチェック用のパルス信号との論理和演算を実行し、論理和演算の結果を第1インタフェース回路3aに送る。
【0017】
第2論理和回路2bは、メータ1から送られてくるパルス信号とチェックパルス生成回路8から送られてくるチェック用のパルス信号との論理和演算を実行し、論理和演算の結果を第2インタフェース回路3bに送る。
【0018】
第1インタフェース回路3aは、第1論理和回路2aから送られてくる信号を受信し、第1パルス信号として第1カウンタ4a、比較器5および制御部6に送る。同様に、第2インタフェース回路3bは、第2論理和回路2bから送られてくる信号を受信し、第2パルス信号として第2カウンタ4b、比較器5および制御部6に送る。
【0019】
第1カウンタ4aは、第1インタフェース回路3aから送られてくる第1パルス信号をカウントする。具体的には、第1パルス信号がオンになった場合にカウントアップする。第1カウンタ4aでカウントすることにより得られたカウント値は、制御部6に送られる。
【0020】
第2カウンタ4bは、第2インタフェース回路3bから送られてくる第2パルス信号をカウントする。具体的には、第2パルス信号がオンになった場合にカウントアップする。第2カウンタ4bでカウントすることにより得られたカウント値は、制御部6に送られる。
【0021】
比較器5は、例えば排他的論理和回路から構成されており、第1インタフェース回路3aから送られてくる第1パルス信号と第2インタフェース回路3bから送られてくる第2パルス信号とを比較する。比較器5における比較結果は、比較結果信号として制御部6に送られる。
【0022】
制御部6は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、比較器5から送られてきた比較結果信号が、第1パルス信号と第2パルス信号とが一致することを表していれば、第1カウンタ4aまたは第2カウンタ4bから送られてくるカウント値をメモリ7に送る。一方、制御部6は、比較器5から送られてきた比較結果信号が、第1パルス信号と第2パルス信号とが不一致であることを表していれば、チェックパルス生成回路8に対し、チェック用のパルス信号の生成を指示する。
【0023】
メモリ7は、制御部6から送られてくるカウント値を順次に記憶する。メモリ7に記憶されたカウント値に基づいて流量が算出され、算出された流量に応じて例えば課金が行われる。
【0024】
チェックパルス生成回路8は、制御部6からの指示に応答してチェック用のパルス信号を生成する。チェック用のパルス信号は、比較器5から出力される比較結果信号のオン期間内またはオフ期間内でオン/オフする信号である。チェックパルス生成回路8で生成されたチェック用のパルス信号は、第1論理和回路2aおよび第2論理和回路2bに送られる。
【0025】
次に、このように構成された本発明の実施例1に係る計量システムの動作を説明する。図2は第1インタフェース回路2aが故障した場合の動作を示すタイミングチャートである。
【0026】
まず、メータ1から送られてくるパルス信号が、第1論理和回路2aを介して第1インタフェース回路3aに入力されると同時に、第2論理和回路2bを介して第2インタフェース回路3bに入力されている状態を考える。この場合、第1インタフェース回路3aおよび第2インタフェース回路3bに故障がない場合には、周期T1、T2およびT3において、第1インタフェース回路3aからは図2(a)に示すような第1パルス信号が順次に出力され、第2インタフェース回路3bからは図2(b)に示すような第2パルス信号が順次に出力される。
【0027】
ここで、第1インタフェース回路3aにおいて、周期T4で第1パルス信号がオンにならないモードの故障が発生した場合を考える。この場合、第1インタフェース回路3aから出力される第1パルス信号がオンにならず、第2インタフェース回路3bから出力される第2パルス信号のみがオンになる。したがって、比較器5は、図2(c)に示すように、第2パルス信号のオン期間がオンになる比較結果信号を生成して制御部6に送る。
【0028】
この比較結果信号を受け取った制御部6は、チェック用のパルス信号の生成をチェックパルス生成回路8に指示する。チェックパルス生成回路8は、制御部6からの指示に応答して、図2(d)に示すような、比較結果信号のオン期間(第1パルス信号または第2パルス信号のオン期間)内でオン/オフするチェック用のパルス信号を生成し、第1論理和回路2aを介して第1インタフェース回路3aに送るとともに、第2論理和回路2bを介して第2インタフェース回路3bに送る。
【0029】
第1インタフェース回路2aは故障しているので、チェック用のパルス信号に応答することができず、何らの信号も出力しない(低レベルを維持する)。一方、第2インタフェース回路2bは故障していないので、チェック用のパルス信号に応答することができるが、チェック用のパルス信号は、第2パルス信号と論理和がとられた後に第2インタフェース回路2bに入力されるので、第2インタフェース回路3bからは、第2パルス信号と同一波形の信号が出力される。
【0030】
制御部6は、チェックパルス生成回路8に対するチェック用のパルス信号の生成の指示に対して、図2(a)の周期T4に示すように、第1インタフェース回路3aからチェック用のパルス信号に対応する信号が得られなかった場合は、第1インタフェース回路3aが故障であると判断する。一方、図2(b)の周期T4に示すように、第2インタフェース回路3bからチェック用のパルス信号が包含された第2パルス信号に対応する信号が得られた場合は、第2インタフェース回路3bは正常であると判断する。したがって、以降は、制御部6は、第2カウンタ4bを用いて計量を継続する。
【0031】
次に、第1インタフェース回路3aにおいて、周期T12で第1パルス信号がオフにならないモードの故障が発生した場合を考える。この場合、第1インタフェース回路3aから出力される第1パルス信号がオフにならず、第2インタフェース回路3bから出力された第2パルス信号のみがオフになる。したがって、比較器5は、図2(c)に示すように、第2パルス信号のオフ期間がオンになる比較結果信号を生成して制御部6に送る。
【0032】
この比較結果信号を受け取った制御部6は、チェック用のパルス信号の生成をチェックパルス生成回路8に指示する。チェックパルス生成回路8は、制御部6からの指示に応答して、図2(d)に示すような、比較結果信号のオン期間(第1パルス信号または第2パルス信号のオフ期間)内でオン/オフするチェック用のパルス信号を生成し、第1論理和回路2aを介して第1インタフェース回路3aに送るとともに、第2論理和回路2bを介して第2インタフェース回路3bに送る。
【0033】
このチェック用のパルス信号は、第1パルス信号と論理和がとられた後に第1インタフェース回路3aに入力されるが、第1インタフェース回路2aは故障しているので、チェック用のパルス信号に応答することができず、第1インタフェース回路3aからは高レベルの信号が出力されたままになる。一方、第2インタフェース回路2bは故障していないので、チェック用のパルス信号に応答し、該チェック用のパルス信号に対応する信号を出力する。
【0034】
制御部6は、チェックパルス生成回路8に対するチェック用のパルス信号の生成の指示に対して、図2(a)の周期T12に示すように、第1インタフェース回路3aからチェック用のパルス信号に対応する信号が得られなかった場合は、第1インタフェース回路3aが故障であると判断する。一方、図2(b)の周期T12に示すように、第2インタフェース回路3bからチェック用のパルス信号に対応する信号が得られた場合は、第2インタフェース回路3bは正常であると判断する。
【0035】
この場合、第2カウンタ4bの内容は、チェック用のパルス信号に対応する信号によって余分にカウントアップされるので、制御部6は、第2カウンタ4bの内容をデクリメントする。その後、制御部6は、第2カウンタ4bを用いて計量を継続する。
【0036】
以上は、第1インタフェース回路3aに故障が発生した場合の動作であるが、第2インタフェース回路3bに故障が発生した場合の動作も、故障が検出された以降は第1カウンタ4aを用いて計量が継続される点を除けば、第1インタフェース回路3aに故障が発生した場合の動作と同様である。
【0037】
次に、このように構成された実施例1に係る計量システムの動作を、制御部6で実行される異常処理を中心に、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0038】
まず、第1パルス信号と第2パルス信号とが不一致かどうかが判定される(ステップS11)。すなわち、制御部6は、比較器5から送られてくる比較結果信号が、第1パルス信号と第2パルス信号とが不一致であることを示しているかどうかを調べる。ステップS11において、不一致でないことが判断されると、異常は発生していないことが判断され、異常処理は終了する。
【0039】
一方、ステップS11において、不一致であることが判断されると、次に、チェック用のパルス信号が発生される(ステップS12)。すなわち、制御部6は、チェック用のパルス信号の生成をチェックパルス生成回路8に指示する。この指示に応答して、チェックパルス生成回路8は、チェック用のパルス信号を生成して第1論理和回路2aを介して第1インタフェース回路3aに送るとともに、第2論理和回路2bを介して第2インタフェース回路3bに送る。
【0040】
次に、第1インタフェース回路は正常であるかどうかが判定される(ステップS13)。すなわち、制御部6は、上述した動作により、第1インタフェース回路3aに、第1パルス信号がオンまたはオフにならないモードの故障が存在するかどうかを調べる。ステップS13において、第1カウンタは正常であることが判断されると、第1カウンタの使用が設定される(ステップS14)。すなわち、制御部6は、その以後、第1カウンタ4aを使用して計量を行うように自己の内部を設定する。
【0041】
次に、必要に応じて、カウント値がデクリメントされる(ステップS15)。すなわち、制御部6は、第2インタフェース回路3bのオフにならないモードの故障により第1カウンタ4aの内容が余分にインクリメントされている場合には、第1カウンタ4aの内容をデクリメントした後、メモリ7に格納する。以上により、異常処理は終了し、以降は、第1カウンタ4aのみを用いて計量が継続される。
【0042】
ステップS13において、第1カウンタは正常でないことが判断されると、次に、第2インタフェース回路は正常であるかどうかが判定される(ステップS16)。すなわち、制御部6は、上述した動作により、第2インタフェース回路3bに、第2パルス信号がオンまたはオフにならないモードの故障が存在するかどうかを調べる。ステップS16において、第2インタフェース回路は正常であることが判断されると、第2カウンタの使用が設定される(ステップS17)。すなわち、制御部6は、その後、第2カウンタ4bを使用して計量を行うように自己の内部を設定する。
【0043】
次に、必要に応じて、カウント値がデクリメントされる(ステップS18)。すなわち、制御部6は、第1インタフェース回路3aのオフにならないモードの故障により第2カウンタ4bの内容が余分にインクリメントされている場合には、第2カウンタ4bの内容をデクリメントした後、メモリ7に格納する。以上により、異常処理は終了し、以降は、第2カウンタ4bのみを用いて計量が継続される。
【0044】
ステップS16において、第2インタフェース回路は正常でないことが判断されると、「異常」が出力される(ステップS19)。すなわち、制御部6は、第1インタフェース回路3aおよび第2インタフェース回路3bの両方が正常でないので処理の続行が不可能である旨を判断し、計量システムが「異常」である旨のメッセージを外部に出力する。その後、異常処理は終了する。
【0045】
なお、上記は比較器5が不一致信号を発生した場合にチェックパルスを発生するようにしたが、制御部6で時間管理を行い、予め設定された一定時間にカウントアップがなかった場合、チェックパルスを発生する構成としてもよい。
【実施例2】
【0046】
図4は本発明の実施例2に係る計量システムの構成を示すブロック図である。この計量システムは、図1に示した実施例1に係る計量システムから比較器5が除去されて構成されている。
【0047】
制御部6aは、第1インタフェース回路3aから送られてくる第1パルス信号または第2インタフェース回路3bから送られてくる第2パルス信号のいずれかがオンになった時に、チェックパルス生成回路8に対し、チェック用のパルス信号の生成を指示する。したがって、第1カウンタ4aのカウント値は、第1インタフェース回路3aおよび第2インタフェース回路3bの両方が故障していない限り、第1パルス信号の数の2倍になる。ところが、第1インタフェース回路3aの故障により第1パルス信号がオンまたはオフにならない状態が発生すると、第1カウンタ4aのカウント値は、本来の第1パルス信号の数の2倍より「1」だけ少ない値になる。
【0048】
同様に、第2カウンタ4bのカウント値は、第1インタフェース回路3aおよび第2インタフェース回路3bの両方が故障していない限り、第2パルス信号の数の2倍になる。ところが、第2インタフェース回路3bの故障により第2パルス信号がオンまたはオフにならない状態が発生すると、第2カウンタ4bのカウント値は、本来の第2パルス信号の数の2倍より「1」だけ少ない値になる。
【0049】
制御部6aは、第1カウンタ4aから取り込んだカウント値と第2カウンタ4bから取り込んだカウント値とを比較し、これらが相違する場合に、小さいカウント値を保持するカウンタに故障が発生したと判断し、以降は、大きいカウント値を保持するカウンタのみを用いて計量を継続する。この際、メモリ7には、大きいカウント値を保持するカウンタのカウント値を半分にした値が格納される。カウント値を半分にするには、カウンタの内容を1ビットだけダウンシフトすることにより実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えばガスまたは水道の流量を計測する計量器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例1に係る計量システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る計量システムの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施例1に係る計量システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2に係る計量システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
1 メータ
2a 第1論理和回路
2b 第2論理和回路
3a 第1インタフェース回路
3b 第2インタフェース回路
4a 第1カウンタ
4b 第2カウンタ
5 比較器
6 制御部
7 メモリ
8 チェックパルス生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス信号を入力し、第1パルス信号として出力する第1インタフェース回路と、
前記第1インタフェース回路からの第1パルス信号をカウントする第1カウンタと、
前記パルス信号と同じパルス信号を入力し、第2パルス信号として出力する第2インタフェース回路と、
前記第2インタフェース回路からの第2パルス信号をカウントする第2カウンタと、
前記第1インタフェース回路からの第1パルス信号と前記第2インタフェース回路からの第2パルス信号とを比較し、比較結果を表す比較結果信号を出力する比較器と、
前記比較器からの比較結果信号が不一致を示している場合に、チェック用のパルス信号の生成を指示する制御部と、
前記制御部からの指示に応じて、前記比較器から出力される比較結果信号のオン期間内でオン/オフする前記チェック用のパルス信号を生成して前記第1インタフェース回路および前記第2インタフェース回路に送るチェックパルス生成回路とを備え、
前記制御部は、前記第1インタフェース回路または前記第2インタフェース回路のうちの、前記チェックパルス生成回路からのチェック用のパルス信号に対応する信号を出力しない方のインタフェース回路を故障と判断し、他方のインタフェース回路に接続されたカウンタを用いて計量処理を実行することを特徴とする計量システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1インタフェース回路または前記第2インタフェース回路のうちの、前記チェックパルス生成回路からのチェック用のパルス信号に対応する信号を出力しない方のインタフェース回路を故障と判断し、他方のインタフェース回路に接続されて前記チェック用のパルス信号に応答してカウント値がインクリメントされた方のカウンタの内容をデクリメントした後に、該カウンタを用いて計量処理を実行することを特徴とする請求項1記載の計量システム。
【請求項3】
パルス信号を入力し、第1パルス信号として出力する第1インタフェース回路と、
前記第1インタフェース回路からの第1パルス信号をカウントする第1カウンタと、
前記パルス信号と同じパルス信号を入力し、第2パルス信号として出力する第2インタフェース回路と、
前記第2インタフェース回路からの第2パルス信号をカウントする第2カウンタと、
前記第1カウンタに保持されているカウント値および前記第2カウンタに保持されているカウント値を取り込むとともに、前記第1インタフェース回路からの第1パルス信号または前記第2インタフェース回路からの第2パルス信号が入力される毎にチェック用のパルス信号の生成を指示する制御部と、
前記制御部からの指示に応じて、前記第1パルス信号または前記第2パルス信号のオン期間内でオン/オフする前記チェック用のパルス信号を生成して前記第1インタフェース回路および前記第2インタフェース回路に送るチェックパルス生成回路とを備え、
前記制御部は、前記第1カウンタのカウント値と前記第2カウンタのカウント値とが相違する場合に、大きいカウント値を保持している方のカウンタの内容を半分にした値を正常なカウント値とし、その後、該カウンタを用いて計量処理を実行することを特徴とする計量システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−117746(P2010−117746A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288350(P2008−288350)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(309042071)東光東芝メーターシステムズ株式会社 (41)
【出願人】(391025497)ティー・エム・ティー株式会社 (32)
【Fターム(参考)】