説明

計量装置及びその操作方法

第1の媒体(HWL)及び第2の媒体を供給され得る調整装置(2)と、調整装置(2)に接続され、かつ第1の媒体(HWL)及び/又は第2の媒体を排気系に導入できる分配装置(3)とを有する、第1の媒体を内燃機関の排気系に計量分配するための計量装置であって、調整装置(2)及び/又は分配装置(3)の、第1の媒体(HWL)の成分からの清浄を第2の媒体によって可能にする計量装置を提供する。本発明によれば、第3の媒体を調整装置(2)に供給でき、ここで、調整装置(2)及び/又は分配装置(3)の、第1の媒体(HWL)の成分からの清浄を第3の媒体によって可能にし、かつ第3の媒体は第2の媒体とは、物理的特性及び/又は化学的組成が異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の媒体及び第2の媒体を供給され得る調整装置と、調整装置に接続されかつ第1の媒体及び/又は第2の媒体を排気系に導くことができる分配装置とを有する、第1の媒体を内燃機関の排気系に計量分配するための計量装置であって、調整装置及び/又は分配装置の、第1の媒体の成分からの清浄を第2の媒体によって可能にする計量装置に関する。さらに、本発明は計量装置の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排気ガス後処理用の尿素溶液が必要に応じて、噴射ノズルを介して自動車のディーゼル機関の排気ガス流に導入される方法が開示されている。噴射ノズルを清浄にするために、尿素の計量直後に噴射ノズルに洗浄液を通過させる。
【0003】
特許文献2には、必要に応じて、液体還元剤が供給容器から還元剤ライン及び調整弁を経由して混合室に供給されてそこでガス流と混合される、内燃機関の排気ガス後処理方法が開示されている。混合物は、混合物ラインを経由して排気ガスラインに導入される。還元剤の凍結による装置の損傷を防止するために、還元剤の供給は内燃機関のスイッチを切った後に中断され、ガスのみが混合室に供給される。混合室、混合物ライン、調整弁及び還元剤ラインは、適切な弁の切換によってガスで満たされるので、還元剤が凍結しても損傷から保護される。
【0004】
特許文献3には、還元剤が供給容器に貯蔵される排気ガス後処理用装置が開示されている。還元剤を、還元剤ラインを経由して排気ガスラインに供給できる。圧縮空気を還元剤ラインに導入できる切換可能な弁要素が、還元剤ラインに配置される。ここで、切換可能な弁要素によって、圧縮空気が還元剤ラインを、任意に排気ガスラインの方向又は供給容器の方向に貫流することが可能となる。その結果、還元剤を還元剤ラインから吹き飛ばすことによって除去することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102 23 766A1号明細書
【特許文献2】独国特許発明第101 50 518C1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102 54 981A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、単純で効果的な清浄を可能にする、冒頭に記載したタイプの計量装置を提供することにある。本発明の別の目的は、満足のいく清浄作用を達成できるこのタイプの計量装置の操作方法を特定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する計量装置及び請求項5の特徴を有する方法によって達成される。
【0008】
本発明による計量装置は、調整装置に第3の媒体を供給でき、調整装置及び/又は分配装置の、第1の媒体の成分からの清浄を第3の媒体によって可能にし、かつ第3の媒体は第2の媒体とは物理的特性及び/又は化学的組成が異なることを特徴とする。ここで、第1の媒体は好ましくは作動媒体としての機能を果たし、それにより、排気ガス流において所望の物理的及び/又は化学的効果、例えば排気ガス流の温度制御、排気ガスの構成成分との直接化学反応又は排気ガス後処理のための触媒作用を達成できる。少なくとも第1の媒体の成分から調整装置及び/又は分配装置を清浄にするために、第2の媒体及び第3の媒体を2つの異なる媒体として利用できる。ここで、装置の清浄を、第2の媒体、第3の媒体、あるいは第1、第2及び/又は第3の媒体の任意の所望の組み合わせによって行うことができる。さらに、第1の媒体及び他の媒体の一方を含む混合物を調整装置内に形成できる。本発明による計量装置によって、特に、いずれの場合も媒体又は混合物を調整装置及び/又は分配装置を清浄にするために使用することが可能となり、それにより、所定の動作条件において可能な最善の効果を達成できる。
【0009】
一改良形態では、第2の媒体として気体、特に空気を提供し、第3の媒体として、少なくとも第1の媒体の成分を溶解できる溶媒を提供する。それゆえ、2つの媒体を、調整装置及び/又は分配装置を清浄にするために提供し、その清浄作用はいずれの場合も、異なる作用メカニズムに基づく。気体の供給によって、特に、第1の媒体を、装置から吹き飛ばすことによる単純な方法によって除去することが可能となる。吹き飛ばすことによって除去できない可能性のあるいずれの第1の媒体の残留物、例えば堆積物又は結晶体を、溶媒の供給によって溶解して洗浄できる。第1の媒体も溶媒として提供できる。
【0010】
本発明の別の改良形態では、調整装置のラインに計量要素が配置され、計量要素の上流に第3の媒体が供給される。ラインを貫流する媒体又は混合物のフロー変数に、計量要素、例えばスループット又は流速を用いて影響を及ぼすことができる。計量要素を、特に、弁、ダイアフラム弁、ノズル、ディフューザ又はベンチュリノズルとして構成できる。計量要素は、特に第1の媒体による汚染の影響を受けやすい。必要に応じて、計量要素を通る第3の媒体の流れによって、特に堆積物及び結晶体の形態の汚染を除去することが可能となる。
【0011】
本発明の別の改良形態では、調整装置のラインに測定変数用のセンサー装置が配置され、測定変数が基準値からずれると又は閾値に達すると、第3の媒体の供給が開始される。計量装置の汚染の程度に関して推論することを可能とする、例えばスループット又は圧力差などの変数を、好ましくは測定変数として提供する。同一の動作条件でかつ中断のない貫流での測定変数の対応値を、好ましくは基準値として供する。基準値は、好ましくは内燃機関又は計量装置の動作点に応じて規定される。このようにして、内燃機関又は計量装置の動作状態が基準状態から逸脱すると、第3の媒体を必要に応じて供給することが可能となる。
【0012】
本発明による、調整装置及び分配装置を有する計量装置の操作方法は、調整装置に時々第3の媒体を供給することを特徴とする。それゆえ、第1の媒体の成分から調整装置及び/又は分配装置を清浄にするために、異なる媒体又は混合物を利用できる。
【0013】
本発明の一改良形態では、調整装置のラインに配置された計量要素の上流において第3の媒体の供給を行う。このようにして、計量要素を必要に応じて第3の媒体を用いて清浄にすることが可能となる。
【0014】
本発明の別の改良形態では、調整装置のライン及び/又は分配装置において測定変数を監視し、基準値に対して予め設定可能な量だけ変化がある場合又は予め設定された閾値に達すると、第3の媒体の供給を行う。特に、汚染によって生じる乱れを、測定変数を監視して基準値と比較することによって測定できるので、第3の媒体を必要に応じて供給できる。
【0015】
本発明の別の改良形態では、第2の媒体の供給及び第3の媒体の供給を、予め設定可能な時間内で交互に行う。方法のこの改良形態は、特に、汚染が多量に形成される前に調整装置及び/又は分配装置を予防的に清浄するのに好適である。このタイプの予防的な清浄は、例えば、低負荷条件下又は内燃機関のスイッチを切った後に行うことができる。第2の媒体及び第3の媒体を交互に供給することによって最善の清浄効果を達成できる。
【0016】
本発明の別の改良形態では、第2の媒体及び/又は第3の媒体の供給中、第1の媒体の供給を低減する。特に、ここで、第1の媒体の供給を完全に抑制する。第1の媒体の供給を低減した場合、第1の媒体による汚染を、特に効果的に除去できる。
【0017】
別の特徴及び特徴の組み合わせは、特許請求の範囲、説明及び図面から生じる。本発明の具体的な一例示的実施形態を図面に示し、以下説明する。
【0018】
このために、1つの図に、本発明による計量装置の有利な一実施形態のブロック回路図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面に示す計量装置1は、内燃機関の排気系(詳細には図示せず)に尿素/水溶液HWLを分配する働きをする。ここで、尿素/水溶液は、好ましくは窒素酸化物を還元するためのSCR触媒コンバーターとして公知のものの上流において分配される。しかしながら、計量装置1はこの適用に限定されず、任意の所望の他の液体又はガス状媒体を排気系に分配するために使用できる。
【0020】
計量装置1には、第1の媒体用の第1の供給ライン4、第2の媒体用の第2の供給ライン6及び第3の媒体用の第3の供給ライン8を含む調整装置2が割り当てられる。ここで、第1の媒体として尿素/水溶液HWLが、第2の媒体として空気が、第3の媒体として、特に尿素又は尿素化合物が溶解できる溶媒がそれぞれ提供される。
【0021】
尿素/水溶液HWLは好ましくは供給容器(図示せず)に貯蔵される。供給ユニットを用いて、尿素/水溶液HWLを供給容器から移して、第1の供給ライン4を経由して調整装置2に供給できる。ここで、尿素/水溶液HWLを好ましくは加圧下で供給している。第1の供給ライン4はその排出口側端部において、以下に説明する中央ライン10に接続される。第1の供給ライン4に、尿素/水溶液HWLのスループットを設定できる第1の計量要素5を配置する。ここで、第1の計量要素5により、有利には第1の供給ライン4を遮断することも可能である。さらに、第1の供給ライン4にバネ仕掛けの第1の逆止弁17を配置し、その第1の逆止弁17は、中央ライン10から第1の供給ライン4へ媒体が逆流する危険性を低減する。例示的実施形態の修正例では、第1の供給ライン4の第1の逆止弁17を省略することもできる。この改良形態によって、媒体のうちの1つである空気又は溶媒(以下詳細に説明する)、又は前記媒体の組み合わせを、中央ラインから第1の供給ライン4へ必要に応じて狙い通りに導入することが可能となる。その結果、尿素/水溶液HWLの供給容器と中央ライン10との間の第1の供給ライン4のラインセクションを、尿素/水溶液HWLの成分から清浄にすることが可能となる。
【0022】
周囲から空気を吸い込み、好ましくは加圧下、吸気装置(図示せず)を介して調整装置2に供給できる。吸気装置に第2の供給ライン6を接続し、吸気側にエアフィルタを設けて、いかなる汚染の可能性からも周囲空気を清浄にすることが可能である。第2の供給ライン6をその排出口側端部において中央ライン10に接続する。第2の供給ライン6に、空気のスループットを設定できる第2の計量要素7を配置する。ここで、第2の計量要素7も好ましくは第2の供給ライン6を遮断することが可能である。第1の供給ライン4と類似した方法で、第2の供給ライン6にバネ仕掛けの第2の逆止弁18を配置し、その第2の逆止弁18は、中央ライン10から第2の供給ライン6へ媒体が逆流する危険性を低減する。例示的実施形態の修正例では、吸気装置の代わりに、調整装置2に供給される空気が貯蔵される圧縮空気貯蔵室が設けられる。この改良形態は、既に調節された、特に清浄にされた空気を調整装置2に供給できることが特徴である。
【0023】
溶媒を好ましくは溶媒供給容器15に貯蔵する。任意に界面活性剤と混合された水又は水/アルコール混合物を、例えば溶媒として提供できる。溶媒供給容器15から、ポンプ16の形態の供給ユニットを用いて溶媒を移して、第3の供給ライン8を経由して調整装置2に供給できる。ここで、溶媒を、好ましくは加圧下で供給する。第3の供給ライン8をその排出口側端部において中央ライン10に接続する。第3の供給ライン8に、溶媒のスループットを設定できる第3の計量要素9を配置する。ここで、第3の計量要素9も好ましくは第3の供給ライン8を遮断することが可能である。さらに、第3の供給ライン8にバネ仕掛けの第3の逆止弁19を配置し、その第3の逆止弁19は、中央ライン10から第3の供給ライン8へ媒体が逆流する危険性を低減する。
【0024】
第1の供給ライン4、第2の供給ライン6及び第3の供給ライン8を、中央ライン10を介して分配装置3に接続し、これを以下説明する。第1の供給ライン4の開口点13の上流の中央ライン10に、ベンチュリノズル12の形態の第4の計量要素を配置する。媒体、特に空気がそこを貫流するとき、ベンチュリノズル12はその最も小さい断面積の部分において流速を増大させる。尿素/水溶液HWLを、空気が流れる中央ライン10に導入するときに、ベンチュリノズル12は、ベンチュリノズル12の上流のライン部分に尿素/水溶液HWLの成分がほとんどないように確実にする。
【0025】
ベンチュリノズル12の隣に圧力センサー20の形態のセンサー装置を配置する。ベンチュリノズル12の吸気側端部と排出口側端部との間の圧力差を、圧力センサー20を用いて測定できる。ベンチュリノズル12の両端間の圧力差が基準値と比較して増大することで、ノズルの汚染又は閉塞を示し得る。圧力センサー20を、第1のチャンバー21及び第2のチャンバー22を有するシリンダーとして構成する(図参照)。ここで、第1のチャンバー21を、第1の接続管23を介してベンチュリノズル12の上流の中央ライン10に接続する。第2のチャンバー22を、第2の接続管24を介してベンチュリノズル12の下流の中央ライン10に接続する。それゆえ、ベンチュリノズル12の上流の中央ライン10における静圧が第1のチャンバー21では優勢であり、ベンチュリノズル12の下流の中央ライン10における静圧が第2のチャンバー22では優勢である。第1のチャンバー21及び第2のチャンバー22は、バネ仕掛けのプランジャ25又はダイアフラムによって互いに分離されているので、2つのチャンバーの間の圧力差によってプランジャ25又はダイアフラムを偏位させる(deflection)。偏位を信号伝送装置(詳細には図示せず)を介して好ましくは電気信号に変換でき、それを入力変数として制御ライン26を介して制御ユニット11に伝達できる。これを以下説明する。例示的実施形態の修正例では、別の測定変数を監視するための別のセンサー装置が、圧力センサー20の代わりに又はそれに加えて設けられる。別のセンサー装置を、調整装置の任意の所望の供給ラインに又は中央ラインに配置できる。好ましくは変数を監視し、それを用いて計量装置1の汚染又は閉塞を測定できる。例えば、貫流を継続的に検出することがあげられる。
【0026】
計量装置1に割り当てられた分配装置3は、分配ライン30及び噴射ノズル31を含む。調整装置2で調製された媒体を、分配ライン30を経由して噴射ノズル31に運ぶことができる。噴射ノズル31を排気ガスライン内に配置し(詳細には図示せず)、調製された媒体を内燃機関の排気ガス流に分配することが可能となる。
【0027】
第1の計量要素5、第2の計量要素7及び第3の計量要素9を、制御ユニット11を介して作動できる。圧力センサー20からの信号及びエンジン制御ユニットからの別の特性値が好ましくは、例えば内燃機関の作動期間、負荷状態又は温度などの制御ユニット11の入力変数として提供される。尿素/水溶液HWL、空気及び溶媒の調整装置2への供給を、制御ユニット11を用いて内燃機関、排気系及び/又は計量装置の動作状態に応じて設定できる。
【0028】
正常動作条件下では、尿素/水溶液HWLが好ましくはエアゾールのような混合物として内燃機関の排気系に導入される。このような種類の混合物を生成するために、第1の調整弁5及び第2の調整弁7を開放して、尿素/水溶液HWL及び空気を継続的に調整装置2に供給するようにする。尿素/水溶液HWLは、第1の供給ライン4の中央ライン10への開口点13において空気流に導入され、空気及び尿素/水溶液HWLは、細かく分散されたエアゾールとなる。ベンチュリノズル12を用いて、ベンチュリノズル12上流の中央ライン10には尿素/水溶液HWLの成分が大部分ないままであることが保証される。さらに、ベンチュリノズル12によって生じる乱流が、尿素/水溶液HWLのより細かい噴霧をもたらし、それは下流に導入される。エアゾールはさらに分配ライン30を噴射ノズル31まで案内され、そこで排気系に噴射される。
【0029】
尿素/水溶液HWLの計量時、尿素が晶出して、流れが通過するライン壁に尿素に関連する堆積物を形成する危険性がある。尿素の堆積によって、流れが通過する断面積が低減するので、流れ抵抗が増大する。ここで、ベンチュリノズル12は、ここに発生する渦及び流れにおける静圧が低いことのために特に危険な状態にある。極端な場合には、ベンチュリノズル12は尿素堆積物によって完全に閉塞されることもあり、その結果、中央ライン10の空気流が停止してしまう。
【0030】
それゆえ、計量装置1を動作させる1つの好ましい方法では、必要に応じて調整装置2に、尿素を溶解できる溶媒を供給する。このために、方法の第1のステップでは、ベンチュリノズル12の吸気側端部と排出口側端部との間の中央ライン10における圧力差を、圧力センサー20を用いて継続的に監視する。測定値を、制御ライン26を介して制御ユニット11に送信し、そこで測定値を、任意に動作状態に応じた基準値と比較する。圧力差のための基準値を、例えば特性図の形態で制御ユニット11に記憶できる。基準値からの測定値のずれが所定量を超えていることは、尿素堆積物によるベンチュリノズル12の汚染を示す。この場合、方法の次のステップにおいて、第1の計量要素5及び第2の計量要素7を介した尿素/水溶液HWL及び空気の供給が妨害され、第3の計量要素9が開放される。尿素堆積物が溶媒に溶解し、溶媒流によって洗浄される。別の方法の次のステップでは、溶媒の供給が、所定時間経過後に好ましくは再び中断され、尿素/水溶液HWL及び空気の供給が開始される。圧力センサー20を介してベンチュリノズル12での圧力差が依然として高いことが測定される場合には、方法を繰り返すことができる。
【0031】
動作方法の修正例では、第2の逆止弁18をセンサー装置として使用し、第2の供給ライン6における空気の貫流を監視する。第2の供給ライン6又は中央ライン10の尿素堆積物は流れ抵抗を増大させるので、空気の貫流を低減させる。それゆえ、バネ仕掛けの第2の逆止弁18のバルブ本体の偏位も変化する。バルブ本体の偏位を、信号伝送装置(詳細には図示せず)を介して、好ましくは電気信号に変換し、それを別の制御ライン27を介して制御ユニット11に送信する。制御ユニット11では、信号を正常動作条件下で基準値と比較する。予め設定された量を超えたずれがある場合又は予め設定された閾値に達したら、溶媒の供給が開始される。
【0032】
さらに修正された動作方法では、第1の逆止弁17も類似の方法でセンサー装置として使用して、第1の供給ライン4における尿素/水溶液HWLの貫流を監視できる。
【0033】
別の修正された動作方法では、第1の供給ライン4も、空気、溶媒又は前記2つの媒体の組み合わせを用いて尿素/水溶液HWLの成分を清浄にする。この動作方法は、特に中央ライン10から第1の供給ライン4へ媒体を流し戻すことが可能となる計量装置に好適である。1つの方法のステップでは、尿素/水溶液HWLの供給が、例えば供給ユニットが無電流に切り換えられることによって中断される。方法の次のステップでは、第1の計量要素5を開放して、第1の供給ライン4と中央ライン10との間の圧力を均等にする。次に、方法の次のステップでは、第3の計量要素9を開放して、溶媒を中央ライン10に供給する。溶媒を中央ライン10から第1の供給ライン4に導入する結果、第1の供給ライン4を尿素/水溶液HWLの成分から清浄にする。溶媒を用いた第1の供給ライン4の清浄後、第3の計量要素9を介した溶媒の供給を再び中断する。任意に、次に第2の計量要素を開放して、空気を中央ラインに、そしてこれに続いて第1の供給ライン4に導入できる。この方法によって、特に、内燃機関のスイッチを切り、随意に内燃機関に空気を満たした後に第1の供給ライン4を清浄にすることが可能となり、その結果、例えば、第1の供給ライン4における低温での尿素/水溶液HWLの凍結が回避される。
【0034】
別の修正された動作方法では、例えば、内燃機関のスイッチを切った後又は比較的長い低負荷フェーズにおいて、溶媒を内燃機関の動作状態に応じて供給する。このために、方法の第1のステップでは、第1の計量要素5を介した尿素/水溶液HWLの供給を中断する。方法の次のステップでは、第2の計量要素7を開放して、空気を調整装置2に導入する。空気を供給する結果、尿素/水溶液HWLが中央ライン10及び分配ライン31から吹き出される。例えば30秒の一定の時間間隔後、第2の計量要素7を介した空気の供給を中断する。方法の別のステップでは、第3の計量要素9を開放して、溶媒を調整装置2に導入する。通常の動作中エアゾールが貫流するライン部分内に形成され得た尿素堆積物は、溶媒によって放出され、計量装置1から流される。例えば、15秒のさらなる時間間隔後、第3の計量要素9を介した溶媒の供給を中断する。清浄作用を最適にするために、上述の方法ステップを何度も繰り返すことが有利である。比較的大きな尿素堆積物がラインに形成される前にこの方法を予防的に使用することが、特に有利であり得る。
【0035】
本発明による計量装置1を自動車の内燃機関に使用する場合、ウィンドウ洗浄システム又はヘッドライト洗浄システムの洗浄剤を溶媒として使用することもできる。このために、図示のように第3の計量要素9を3/3方弁9として構成することが有利である。3/3方弁の第1の作動位置では、溶媒を、溶媒供給容器15から第3の供給ライン8を経由して中央ライン10へ運ぶことができる。第2の作動位置では、調整装置への溶媒の供給が抑制される。第3の作動位置では、溶媒を、溶媒供給容器15から、ウィンドウ洗浄システム又はヘッドライト洗浄システム(詳細には図示せず)に接続される清浄ライン40へ導入できる。制御ユニット11による3/3方弁の対応した作動によって、洗浄剤をウィンドウ洗浄システム及び/又は計量装置に必要に応じて供給できる。本発明の範囲から逸脱せずに、第3の計量要素9の別の作動位置を提供することもでき、そこでは、例えば、溶媒を清浄ライン40及び第3の供給ライン8に同時に導入できる。同様に、上述の作動位置の間に中間位置を提供することもできる。さらに、周囲への排出口ライン(図示せず)に第3の供給ライン8が接続される別の作動位置を提供できる。特に、この作動位置によって、第3の供給ライン8において優勢である可能性がある過剰圧力の圧力消散が可能となる。
【0036】
上述の例示的実施形態では、計量される媒体を、エアゾールを形成するために調整装置2において調製し、分配装置3を介して排気系に供給する。しかしながら、同様に、計量される媒体を排気系に純粋な形態で、すなわち、その媒体を調整装置において別の媒体と混合することなく、供給することも考えられる。同様に第2の媒体及び第3の媒体を含む混合物を、調整装置2において形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による計量装置の有利な一実施形態のブロック回路図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の媒体(HWL)を内燃機関の排気系へ計量分配するための計量装置であって、
前記第1の媒体(HWL)及び第2の媒体が供給される調整装置(2)と、
前記調整装置(2)に接続され、かつ前記第1の媒体(HWL)及び/又は前記第2の媒体を排気系に導入できる分配装置(3)と、を有し、
前記調整装置(2)及び/又は前記分配装置(3)における、前記第1の媒体の成分(HWL)の清浄を前記第2の媒体により可能とされ、
前記調整装置(2)にはさらに第3の媒体を供給でき、前記調整装置(2)及び/又は前記分配装置(3)における、前記第1の媒体の成分の清浄は、前記第3の媒体によっても可能とされ、
前記第3の媒体は前記第2の媒体とは物理的特性及び/又は化学的組成が異なることを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記第2の媒体として気体が提供され、かつ前記第3の媒体として、少なくとも前記第1の媒体(HWL)の成分を溶解できる溶媒が提供されることを特徴とする請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記調整装置(2)のライン(10)に計量要素(12)が配置され、かつ前記第3の媒体が前記計量要素(12)の上流に供給されることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記調整装置(2)のライン(10)に測定変数用のセンサー装置(20)が配置され、かつ前記第3の媒体の供給が、前記測定変数が基準値からずれると、又は閾値に達すると開始されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の計量装置。
【請求項5】
第1の媒体(HWL)及び第2の媒体が供給される調整装置(2)と、前記調整装置(2)を排気系に接続する分配装置(3)とを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の計量装置の操作方法であって、
前記調整装置(2)に定期的に前記第3の媒体を供給することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記第3の媒体が、前記調整装置(2)のライン(10)に配置される計量要素(12)の上流に供給されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記調整装置(2)のライン(10)及び/又は前記分配装置(3)において測定変数が監視され、かつ前記第3の媒体の供給が、基準値に対して予め設定可能な量だけ変化した場合又は予め設定された閾値に達すると、行われることを特徴とする請求項5あるいは6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の媒体の供給及び前記第3の媒体の供給が、予め設定可能な時間内で交互に行われることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の媒体(HWL)の供給が、前記第2の媒体及び/又は前記第3の媒体の供給中、低減されることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−526940(P2009−526940A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554675(P2008−554675)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001307
【国際公開番号】WO2007/093410
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】