記録ヘッド
【課題】FPCが伸縮した場合に、ランドとバンプとの接点に加えられるFPCの水平方向への力を低減する。
【解決手段】平面視において、アクチュエータユニット21の外周部全てには、補強部材67が設けられている。より詳細には、補強部材67は、平面視において、複数のダミーランド59より外側であってアクチュエータユニット21の輪郭内に設けられている。補強部材67は、アクチュエータユニット21の外周部とソルダレジスト61との間に介在しており、両者にそれぞれ固定されている。
【解決手段】平面視において、アクチュエータユニット21の外周部全てには、補強部材67が設けられている。より詳細には、補強部材67は、平面視において、複数のダミーランド59より外側であってアクチュエータユニット21の輪郭内に設けられている。補強部材67は、アクチュエータユニット21の外周部とソルダレジスト61との間に介在しており、両者にそれぞれ固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出して記録媒体に記録を行う記録装置が有する記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、アクチュエータユニットとアクチュエータユニットに固定された平型柔軟基板(FPC)とを備えた記録ヘッドが知られている。このような記録ヘッドにおいて、アクチュエータユニットは、多数の圧力室に跨る圧電層と、圧電層の表面に設けられた多数の個別電極及び多数のバンプとを有している。多数の個別電極はそれぞれ、各圧力室と対向するように配置されていると共に、各バンプと電気的に接続されている。また、FPCは、アクチュエータユニットに駆動信号を供給するものであって、多数のランド、及び、多数のランドそれぞれに接続された複数の配線が設けられている。そして、アクチュエータユニットとFPCとは、アクチュエータユニットに設けられた多数のバンプとFPCに設けられた多数のランドとが互いに接合されていることによって、互いに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−168360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FPCとアクチュエータユニットは互いに熱膨張係数が異なるため、例えば記録ヘッドの使用温度の変化又は製造時における加熱工程後の自然冷却に伴う温度変化などによって、FPCがアクチュエータユニットに比べて大きく伸縮することがある。上述の技術によると、FPCとアクチュエータユニットとが、ランドとバンプとの接点によって固定されているため、例えば伸縮が生じた場合、ランドとバンプとの各接点は、FPCの水平方向内側への力を受けることになる。それにより、ランド及びバンプの接点に応力が集中し、場合によっては接点が破壊されるなどの実質的信頼性の問題が起こっていた。
【0005】
本発明の主な目的は、FPCが伸縮した場合に、ランドとバンプとの接点に加えられるFPCの水平方向内側又は外側への力を低減することができる記録ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の記録ヘッドは、液体を吐出する流路ユニットと、前記流路ユニット内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータユニットと、前記アクチュエータユニットに固定され、前記アクチュエータユニットに駆動信号を供給する平型柔軟基板と、平面視において、前記アクチュエータユニットの輪郭内に設けられ、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを電気的に接続する複数の接点と、前記アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部である補強部と前記平型柔軟基板とを固定する補強部材とを備えている。
【0007】
上記の構成によると、アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部と平型柔軟基板とが補強部材によって固定される。よって、温度変化によって平型柔軟基板が伸縮した場合、複数の接点に加えられる平型柔軟基板の水平方向への力を補強部材によって低減することができる。よって、アクチュエータユニットに対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0008】
また、前記補強部が、前記アクチュエータユニットの外周部全てであることが好ましい。
【0009】
また、前記アクチュエータユニットが、平面視において、多角形形状を有しており、前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットを越えて延在した、前記アクチュエータユニットに固定されていない非固定部分を有しており、前記補強部が、前記アクチュエータユニットの辺のうち前記非固定部分に最も近い一辺以外の全ての辺に沿った前記外周部であってもよい。
【0010】
本発明の記録ヘッドは、前記複数の接点と同様の形状を有し、前記複数の接点よりも前記非固定部分に近い位置に設けられた複数のダミー接点を備えていることが好ましい。
【0011】
また、前記アクチュエータユニットが、前記平型柔軟基板と対向する表面A、前記表面Aに配置された複数の個別電極、前記駆動信号が供給されると共に前記個別電極と電気的にそれぞれ接続された複数のバンプ、及び、前記複数のバンプと同様の形状を有し前記駆動信号が供給されない複数のダミーバンプを有しており、前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットと対向する表面B、前記表面Bに配置され前記バンプにそれぞれ接合された複数のランド、及び、前記複数のランドと同様の形状を有し前記ダミーバンプにそれぞれ接合された複数のダミーランドを有しており、前記複数の接点が、前記バンプ及び前記ランドをそれぞれ含んでおり、前記複数のダミー接点が、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドをそれぞれ含んでいてもよい。
【0012】
また、前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、前記補強部材が、前記補強部と前記配線被覆層との間に介在するように設けられていてもよい。
【0013】
また、前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、前記補強部材が、前記配線被覆層に設けられた凹部内に設けられていてもよい。
【0014】
また、前記平型柔軟基板が、前記複数のバンプそれぞれとの接合箇所を除いて少なくとも前記複数のランドを被覆する絶縁性のランド被膜層を有しており、前記表面Bの面内方向に関して、前記ランド被膜層が前記配線被覆層に接触していてもよい。
【0015】
また、前記ランド被覆層は、熱硬化性接着剤であって、前記複数の接点及び前記複数のダミー接点をそれぞれ全周に亘って覆うと共に、前記表面A及び前記表面Bを接続していることが好ましい。
【0016】
また、前記補強部材は、熱硬化性接着剤であることが好ましい。
【0017】
本発明の記録ヘッドの製造方法は、液体を吐出する流路ユニットに、前記流路ユニット内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータユニットが固定されており、前記アクチュエータユニットに、前記アクチュエータユニットに駆動信号を供給する平型柔軟基板が固定されており、平面視において、前記アクチュエータユニットの輪郭内に設けられ、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを電気的に接続する複数の接点を有する記録ヘッドの製造方法であって、前記アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部である補強部、または、前記平型柔軟基板における前記補強部に対応する位置に、半硬化状態の熱硬化性接着剤からなる補強部材を形成する補強部材形成工程と、前記平型柔軟基板と前記補強部材とが接触し、且つ、前記補強部材と前記補強部とが接触している状態において前記補強部材を加熱により硬化させることによって、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定する固定工程とを備えている。
【0018】
また、前記補強部が、前記アクチュエータユニットの外周部全てであることが好ましい。
【0019】
また、前記アクチュエータユニットが、平面視において、多角形形状を有しており、前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットを越えて延在した、前記アクチュエータユニットに固定されていない非固定部分を有しており、前記補強部が、前記アクチュエータユニットの辺のうち前記非固定部分に最も近い一辺以外の全ての辺に沿った前記外周部であってもよい。
【0020】
また、前記固定工程において、前記複数の接点、及び、前記複数の接点と同様の形状を有する複数のダミー接点を、前記複数のダミー接点が前記複数の接点よりも前記非固定部分に近くなるように形成することが好ましい。
【0021】
また、前記アクチュエータユニットが、前記平型柔軟基板と対向する表面A、前記表面Aに配置された複数の個別電極、前記駆動信号が供給され前記個別電極と電気的にそれぞれ接続された複数のバンプ、及び、前記複数のバンプと同様の形状を有すると共に前記駆動信号が供給されない複数のダミーバンプを有しており、前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットと対向する表面B、前記表面Bに配置され前記バンプにそれぞれ接合された複数のランド、及び、前記複数のランドと同様の形状を有し前記ダミーバンプにそれぞれ接合された複数のダミーランドを有しており、前記複数の接点が、前記バンプ及び前記ランドをそれぞれ含んでおり、前記複数のダミー接点が、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドをそれぞれ含んでおり、前記固定工程において、前記バンプ及び前記ランドがそれぞれ接合され、且つ、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドがそれぞれ接合されるように、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定してもよい。
【0022】
また、前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、前記補強部材形成工程において、前記配線被覆層における前記アクチュエータユニットの前記補強部に対応する位置、または、前記補強部に、前記補強部材を形成し、前記固定工程において、前記配線被覆層と前記補強部材とが接触し、且つ、前記補強部材と前記補強部とが接触している状態において前記補強部材を加熱により硬化させることによって、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定してもよい。
【0023】
また、前記平型柔軟基板が、前記表面Bの面内方向に関して、前記配線被覆層に接触していると共に少なくとも前記ランドを被膜する絶縁性のランド被膜層を備えており、前記固定工程において、前記複数のバンプが前記ランド被覆層を貫通して前記複数のランドに接合されるように、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定してもよい。
【0024】
また、前記補強部材及び前記ランド被覆層が同一の樹脂であって、前記補強部材形成工程において、前記ランド被覆層を形成するのと同時に、前記平型柔軟基板における前記補強部に対応する位置に設けられた凹部内に前記補強部材を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部と平型柔軟基板とが補強部材によって固定される。よって、温度変化によって平型柔軟基板が伸縮した場合、複数の接点に加えられる平型柔軟基板の水平方向への力を補強部材によって低減することができる。よって、アクチュエータユニットに対する確実な電気的接合を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの断面図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの短手方向に沿った断面図である。
【図3】図2に示すヘッド本体の平面図である。
【図4】図3に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図5】図4に示すV−V線断面図である。
【図6】図4に示すアクチュエータユニットを説明するための図である。
【図7】図2に示すCOFのドライバICの実装面を描いた平面図である。
【図8】図7に本発明の一実施形態に係る補強部材を追加した図である。
【図9】図8に示すIX−IX線断面図である。
【図10】図2に示すCOFをアクチュエータユニットに接合するまでの工程を説明するためのブロック図である。
【図11】図10に示す各工程を説明するための図である。
【図12】本発明の別の実施形態に係るインクジェットプリンタのCOF、補強部材、及び、アクチュエータユニットを示した断面図である。
【図13】図12に示すCOFをアクチュエータユニットに接合するまでの工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ101は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有している。また、筐体1aの上部には、排紙部31が設けられている。さらに、筐体1a内は、上から順に3つの空間A、B、Cに区分できる。空間AおよびBは、排紙部31に連なる用紙の搬送経路が構成された空間である。空間Aでは、用紙の搬送と用紙への画像形成が行われる。空間Bでは、用紙が給紙される。空間Cには、インク供給源が収納されており、ここでインクの供給が行われる。
【0028】
空間Aには、4つのインクジェットヘッド1、用紙を搬送する搬送ユニット20、及び、用紙をガイドするガイド部等が配置されている。空間Aの上部には、これらの機構を含めたプリンタ全体の動作を司るコントローラが配置されている。
【0029】
4つのヘッド1は、主走査方向に長尺なラインヘッドであって、略直方体の外形形状を有する。各ヘッド1は、副走査方向に所定のピッチで並んでおり、ヘッドフレーム3によって筐体1aに支持されている。ヘッド1は、流路ユニット9、4つのアクチュエータユニット17およびリザーバユニット71を含む。4つのヘッド1の下面(吐出面2a)からは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクがそれぞれ吐出される。ヘッド1についてのより具体的な構成は後述する。
【0030】
搬送ユニット20は、図1に示すように、ベルトローラ6、7、及び、両ローラ6、7間に巻回されたエンドレスの搬送ベルト8に加え、搬送ベルト8の外側に配置されたニップローラ4及び剥離プレート5、並びに、搬送ベルト8の内側に配置されたプラテン19及びテンションローラ10等を有している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、搬送モータ(図示せず)によって図1中時計回りに回転する。このとき、搬送ベルト8は、太矢印に沿って走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8の走行に伴い図1中時計回りに回転する。ニップローラ4は、ベルトローラ6に対向配置されており、前段のガイド部から供給された用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに押さえつける。剥離プレート5は、ベルトローラ7に対向配置されており、用紙Pを外周面8aから剥離して後段のガイド部に導く。プラテン19は、4つのヘッド1に対向配置されており、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。これにより、外周面8aとヘッド1の吐出面2aとの間には、画像形成に適した所定の間隔が形成される。テンションローラ10は、下側ループを下方に付勢する。これにより、搬送ベルトの弛みがなくなる。
【0031】
ガイド部は、搬送ユニット20を挟んで両側に配置されている。上流側のガイド部は、2つのガイド27a、27b及び一対の送りローラ26を有する。このガイド部は、給紙ユニット1b(後述)と搬送ユニット20とを繋ぐ。下流側のガイド部は、2つのガイド29a、29b及び二対の送りローラ28を有する。このガイド部は、搬送ユニット20と排紙部31とを繋ぐ。
【0032】
空間Bには、給紙ユニット1bが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。給紙ユニット1bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ25を有する。給紙トレイ23は、上方に開口した箱体であって、複数の用紙Pを収納する。給紙ローラ25は、給紙トレイ23内で最も上方にある用紙Pを送り出し、後段のガイド部に供給する。
【0033】
上述したように、空間A及び空間Bによって、給紙ユニット1bから搬送ユニット20を介して排紙部31に至る用紙搬送経路が形成されている。印字指令に基づいて、コントローラは、給紙ユニット1bの給紙ローラ用モータ(図示せず)、各ガイド部の送りローラ用モータ(図示せず)、及び、搬送ユニット20の搬送モータ(図示せず)等を駆動する。給紙トレイ23から繰り出された用紙Pは、送りローラ26によって搬送ユニット20に供給される。用紙Pが各ヘッド1の真下を副走査方向に通過する際、順にヘッド1からインクが吐出されて、用紙P上にカラー画像が形成される。用紙Pは、搬送ベルト8の右側で剥離され、さらに2つの送りローラ28によって上方に搬送される。各ガイド部における用紙Pの搬送は、ガイド27a、27bおよびガイド29a、29bに沿う。さらに、用紙Pは、上方の開口30から排紙部31に排紙される。
【0034】
ここで、副走査方向とは、搬送ユニット20において用紙Pが搬送されるときの搬送方向に平行な方向であって、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0035】
空間Cには、インクタンクユニット1cが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。インクタンクユニット1cには、4つのインクタンク49が並んで収納されている。インクタンク49内のインクは、対応するヘッド1に対してチューブ(図示せず)を介して供給される。
【0036】
次に、図2を参照しながらインクジェットヘッド1について詳細に説明する。図2は、インクジェットヘッド1の幅方向である副走査方向に沿った断面図である。図2に示すように、ヘッド1は、流路構成部材、電装部材およびカバー体から構成される。流路構成部材は、インク流路が内部に形成された積層体であって、インクタンク49からのインクが充填されている。電装部材は、インク流路内のインクの吐出に関与する。カバー体は、主に電装部材を外部から保護する。
【0037】
流路構成部材は、上方のリザーバユニット71と下方のヘッド本体2との積層体である。ヘッド本体2には、電装部材でもあるアクチュエータユニット21が含まれる。
【0038】
リザーバユニット71は、4つの金属プレート91〜94の積層体であって、全体として直方体形状を有している。プレート94の下面には、複数の凸部94aが形成されている。凸部94aの先端面が、流路ユニット9(後述)との接合面である。凸部94aによって画定された凹部は、流路ユニット9との間に間隙を作っている。リザーバユニット71の内部には、インクリザーバ72が形成され、インクタンク49からのインクが貯留される。凸部94aには、インクリザーバ72に連通したインク流出流路73が形成されており、先端面に開口している。本実施形態において、インク流出流路73は10本ある。
【0039】
ヘッド本体2は、図3に示すように、流路ユニット9およびアクチュエータユニット21を含む。このうち、流路ユニット9は、図5に示すように、9つの金属製プレート122〜130の積層体であって、全体として直方体形状を有している。流路ユニット9の下面は、多数のノズル108が開口する吐出面2aである。流路ユニット9の上面は、多数の圧力室110(図4参照)および10つのインク供給口105aが開口する接合面である。上面では、インク供給口105aに対応してプレート94の凸部94aが接合され、圧力室群(複数の圧力室110の集合)に対応してアクチュエータユニット21が接合されている。これにより、インク供給口105aがリザーバユニット71のインク流出流路73と連通する。また、アクチュエータユニット21は、複数の圧力室110の開口を封止しており、インク流路の壁部材でもある。
【0040】
流路ユニット9の内部には、図4に示すように、インク供給口105aからノズル108に至るインク流路が形成されている。インク流路は、インク供給口に連通したマニホールド流路105、マニホールド流路105から分岐した副マニホールド流路105a、副マニホールド流路105aの出口からノズル108に至る複数の個別インク流路132を含んでいる。個別インク流路132は、圧力室110と副マニホールド流路105aとが絞り(アパーチヤ112)で結ばれている。なお、圧力室群の圧力室110は、図3および図4に示すように、マトリクス状に配置されており、アクチュエータユニット21と相似の台形領域を占有している。
【0041】
アクチュエータユニット21は、平面視がほぼ台形状のシード状部材であって、3枚の圧電シート141〜143の積層体である。圧電シート141〜143は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の強誘電性セラミックス材料から成る。4つのアクチュエータユニット21は、主走査方向に2列の千鳥状に配置され、流路ユニット9の上面に接合されている。台形の平行対向辺は、主走査方向に沿う。アクチュエータユニット21は、主走査方向の両側からインク供給口105bに挟まれて配置されており、プレート94の下面と流路ユニット9の上面が作る間隙内に収容されている。アクチュエータユニット21は、後述のドライバIC52からの駆動信号で変形して、圧力室110内のインクに圧力を与える。
【0042】
電装部材は、上述のアクチュエータユニット21に加え、制御基板54およびCOF50を含む。制御基板54は、複数の電子部品が実装されており、印字データを出力する。COF50は、途中部にドライバIC52が実装された平型柔軟基板であって、一端が制御基板54のコネクタ54aに接続され、他端がアクチュエータユニット21の上面に接合されている。制御基板54から印字データが出力されると、ドライバIC52からアクチュエータユニット21の駆動信号が出力される。
【0043】
カバー体は、金属製サイドカバー53および樹脂製ヘッドカバー55からなる箱体であって、サイドカバー53の下端部で流路ユニット9に固定されている。カバー体と流路ユニット9とが作る空間には、リザーバユニット71と電装部材が収容されている。これにより外部からのインクミストの侵入が防げられるため、電装部材に電気的不具合が生じない。なお、サイドカバー53は、放熱性の良いアルミ製である。図2に示すように、サイドカバー53は、放熱シート81を介してドライバIC52と熱的に接続する。リザーバユニット71の側面には、スポンジ82が固定されており、ドライバIC52はサイドカバー53に付勢されている。
【0044】
次に、アクチュエータユニット21について詳しく説明する。図3及び図4に示すように、4つのアクチュエータユニット21は、より詳細には、台形の鋭角部が切り取られた六角形であり、流路ユニット9の長手方向に平行な短辺及び長辺と、互いに対向する2つの斜辺と、短手方向に平行な2つの短辺とを有している。2つの短辺はそれぞれ、斜辺の一端と長辺の一端とに接続されており、斜辺に比べて非常に短いため、アクチュエータユニット21は、ほぼ台形形状を有していると言える。これにより、ヘッド1の製造中に生じやすいアクチュエータユニット21の破損が生じなくなる。なお、隣接する2つのアクチュエータユニット21において、互いに対向する2つの斜辺は、流路ユニット9の幅方向(副走査方向)に関して互いにオーバーラップしている。
【0045】
図6(a)に示すように、アクチュエータユニット21は、最下層の圧電シート143の下面が、流路ユニット9に固定されている。また、圧電シート141の上面(表面21a)には、圧力室110に対向した個別電極135が形成されている。圧電シート141とその下側の圧電シート142との間には、シート全面に亘って延在する共通電極134が介在している。
【0046】
図6(b)に示すように、個別電極135は、全体としては略菱形の外形状を有し、圧力室110と相似である。個別電極135は、この菱形部分、菱形部分の一方の鋭角部に接続した引き出し部、およびその先端部に配置された個別バンプ136から構成されている。平面視において、菱形部分は圧力室110に内包されている。引き出し部は、菱形部分の長軸方向に延びて、先端部を圧力室110の外側に持つ。そのため、個別バンプ136は、平面視で圧力室110と重ならない。個別バンプ136は、個別電極135と電気的に接続されている。各個別バンプ136は、後述するCOF50の各ランド58に接合されており、ドライバIC52からの駆動信号が供給される。よって、個別バンプ136及びランド58の接合部分が、アクチュエータユニット21とCOF50とを互いに電気的に接続する接点Cを構成する。また、表面21aには、個別電極用の個別バンプ136とは別に、共通電極134と電気的に接続された共通電極用の個別バンプ136が形成されている。共通電極用の個別バンプ136も、COF50のランド58と共に接点を構成する。
【0047】
また、圧電シート141の表面21aには、複数のダミーバンプ137が、アクチュエータユニット21の外周に沿って設けられている(図9参照)。各ダミーバンプ137は、個別バンプ136と同様の形状を有しており、個別バンプ136を包囲している。ダミーバンプ137は、平面視において、最も外側にある個別バンプ136と後述の補強部材67との間に設けられている。なお、ダミーバンプ137は、バンプ部分のみで構成されており、菱形部分や引き出し部分を有さない。また、各ダミーバンプ137は、後述するCOF50の各ダミーランド59に接合されているが、ドライバIC52からの駆動信号は供給されない。よって、ダミーバンプ137及びダミーランド59は、アクチュエータユニット21とCOF50とを物理的に接続するが、電気的に接続しないダミー接点C’を構成する。
【0048】
接点Cは、表面21a上で圧力室110にそれぞれ対応して配置され、圧力室群と同様に台形領域を占有する。平面視において、接点Cは、台形領域内で等間隔に配置され、主走査方向に延びる複数の列を構成している。ダミー接点C’は、台形領域の外縁に沿って設けられ、接点Cと同じ配置規則を持つ。ダミー接点C’は、隣接する接点Cに対する位置関係が、接点C同士の位置関係と同じである。さらに、ダミー接点C’と表面21aの外縁との間には帯状の余白部分があり、全ての接点Cおよびダミー接点C’が包囲されている。
【0049】
なお、共通電極134には、共通電極用の接点Cを介して、グランド電位が付与されている。一方、個別電極135は、個別電極用の接点Cを介してドライバIC52の各出力端子と電気的に接続されており、駆動信号が選択的に供給される。
【0050】
ここで、圧電シート141は、厚み方向に分極されている。個別電極135を共通電極134と異なる電位にすると、分極方向に電界が生じ、圧電シート141の電界印加部分(活性部)が圧電効果で歪む。活性部は、d31、d33、d15から選ばれる少なくとも1つの振動モードで変位する。本実施の形態では、活性部は、d31の振動モードで変位する。一方、圧電シート142、143は、個別電極135に対応した部分(非活性部)でも、自発的に変位しない。このような組み合わせの部分は、所謂ユニモルフタイプの圧電アクチュエータとして機能し、アクチュエータユニット21には、圧力室110と同数のアクチュエータが作り込まれている。
【0051】
ここで、アクチュエータユニット21の駆動方法について述べる。例えば、分極方向と電界の印加方向とが同じであれば、活性部は分極方向に直交する方向(平面方向)に縮む。一方、下側2枚の圧電シート142、143は、電界が影響しないので縮まない。このとき、活性部と非活性部との間で平面方向への歪みに差が生じるので、圧電シート141〜143全体が圧力室110側に凸になるように変形(ユニモルフ変形)する。これにより、圧力室110内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与され、ノズル108からインク滴が吐出される。
【0052】
なお、本実施形態においては、予め個別電極135に所定の電位を付与しておき、吐出要求があるごとに一旦個別電極135をグランド電位にした後、所定のタイミングで再び個別電極135に所定の電位を付与するような駆動信号をドライバIC52から出力させる。この場合、個別電極135がグランド電位となるタイミングで圧電シート141〜143が元の状態に戻り、このときの圧力室容積の増大(圧力の減少)に伴い、副マニホールド流路105aから個別インク流路132へとインクが吸い込まれる。その後、再び個別電極135に所定の電位が付与されたタイミングで圧電シート141〜143が圧力室110側に凸となるように変形し、このときの圧力室容積の減少(圧力の増加)に伴い、ノズル108からインクが吐出される。
【0053】
次に、図7〜図9を参照しながら、COF50について詳細に説明する。なお、図7においては、COF50の長手方向の長さを短く描いている。また、COF50が固定されたアクチュエータユニット21の外形を破線で示している。図7に示すように、COF50は、その一端部近傍であってアクチュエータユニット21に固定された固定部分50aと、アクチュエータユニット21に固定されていない非固定部分50bとによって構成されている。非固定部分50bは、アクチュエータユニット21の長辺(下底)部分を越えて延在し、延在方向の先端部がターミナル50cとなっている。
【0054】
図9に示すように、COF50はフィルム状の基材51を有する。固定部分50aにおいて、基材51の表面51aには、複数のランド58、及び、複数のダミーランド59が設けられている。これらは共に、同様の形状(円形状)を有する。複数のランド58は、複数の個別バンプ136に対向する位置にそれぞれ設けられており、互いに接合されてそれぞれ接点Cを構成している。また、複数のランド58には、複数の出力配線57aにそれぞれ接続されている。複数のダミーランド59は、複数のダミーバンプ137に対向する位置にそれぞれ設けられており、互いに接合されてそれぞれダミー接点C’を構成している。ダミーランド59は、いずれも出力配線57aに接続されていない。
【0055】
またCOF50の非固定部50bには、固定部分50aとターミナル50cとの間で、ドライバIC52が実装されている。ドライバIC52の出力端子(図示せず)には、ランド58から延びた出力配線57aがそれぞれ接続されており、ドライバIC52の制御端子(図示せず)には、ターミナル50cの端子から延びた制御配線57bがそれぞれ接続されている。
【0056】
アクチュエータユニット21の長辺に沿って配置されたダミーランド59は、平面視で、ランド58の群と非固定部50bとの境界部に等間隔で並んでいる。図7および図8に示すように、境界部において、非固定部50bに引き出される複数の出力配線57aが、互いに隣接する2つのダミーランド59間に配設されている。出力配線57aは、境界部およびその近傍で複数本毎に束ねられている。
【0057】
また、COF50は、複数の出力配線57a及び制御配線57bを被覆する層であるソルダレジスト61を有する。ソルダレジスト61は、熱硬化性エポキシ樹脂からなり、絶縁性を有する。ソルダレジスト61は、複数のランド58及びダミーランド59の形成部分とドライバIC52の実装部分とを除いて基材51全体を被覆している。その厚みは、個別バンプ136及びダミーバンプ137の高さより薄い。そのため、ソルダレジスト61とアクチュエータユニット21の表面21aとの間には隙間が形成されている。この隙間は、アクチュエータユニット21の自由なユニモルフ変形を可能にする。
【0058】
図9に示すように、COF50は、接点Cおよびダミー接点C’を被覆する接点カバー層60aおよびダミー接点カバー層60bを有する。接点カバー層60aは、個別バンプ136とランド58との接合箇所を除いて、両者をその全周に亘って被覆する。ダミー接点カバー層60bも、ダミーバンプ137とダミーランド59との接合箇所を除いて、両者をその全周に亘って被覆する。各カバー層60a、60bは、ソルダレジスト61と異なる種類のエポキシ系の熱硬化性樹脂からなり、電気的絶縁性が高い。各カバー層60a、60bは、ランド58およびダミーランド59の基端部近傍の表面51aから個別バンプ136およびダミーバンプ137の基端部近傍の表面21aに広がり、COF50をアクチュエータユニット21に固定している。図9に示すように、個別ランド58およびダミーランド59はソルダレジスト61より薄く、接点Cおよびダミー接点C’は、個別バンプ136およびダミーバンプ137が、厚み方向に関してCOF50(各カバー層60a、60b)内に入り込むことで構成されている。このとき、個別バンプ136およびランド58の先端同士の当接で、電気的な接続がなされ、各カバー層60a、60bの広がりで、物理的な連結がなされる。
【0059】
図8に示すように、平面視において、アクチュエータユニット21の帯状外周部の全周に亘って、補強部材67が設けられている。より詳細には、補強部材67は、複数のダミーランド59より外側からアクチュエータユニット21の輪郭内にあって、この輪郭に沿って設けられている。また、補強部材67は、図9に示すように、アクチュエータユニット21の外周部とソルダレジスト61との間に介在しており、両者にそれぞれ固定されている。補強部材67は、各カバー層60a、60bと同じ材質である。なお、アクチュエータユニット21において補強部材67に固定されている部分、即ち、アクチュエータユニット21の外周部全てを補強部69と称する。
【0060】
次に、インクジェットヘッド1の製造工程のうち、COF50を製作してアクチュエータユニット21に固定する工程について、図10及び図11を参照しながら説明する。
【0061】
まず、ヘッド本体2を製作する。ヘッド本体2の製作には、流路ユニット9の作成工程、アクチュエータユニット21の作成工程および両者の固定工程が含まれる。流路ユニットの作成工程には、エッチングによるプレート122〜130の作成、および各プレート122〜130の熱硬化性接着剤による固定が含まれる。アクチュエータユニット21の作成工程には、表面21a上への個別電極135の形成工程、および個別バンプ136とダミーバンプ137の形成工程が含まれる。両者の固定工程には、熱硬化性接着剤が用いられる。なお、個別バンプ136とダミーバンプ137の形成工程では、各バンプ136、137が表面21aから約50μmの高さで形成される。この高さは、ソルダレジスト61(後述)の厚さより大きい。
【0062】
次に、COF50を製作する工程について説明する。図11(a)に示すように、まず、シート材51の表面51a上に、複数のランド58及びダミーランド59と、出力配線57a及び制御配線57bを含む複数の配線と、ドライバIC52が実装される実装ランドとを形成する。そして、フォトリソ技術を用いて、出力配線57a及び制御配線57bを被覆するように、表面51aに写真現像型ソルダレジスト61のパターンを形成する。パターン形成手順は、ソルダレジストの塗布、この塗布層のプレキュア(80℃、25分)、マスクパターンによる露光、現像、さらにパターニングされた塗布膜のポストキュア(150℃、1時間)の順に進む。ソルダレジストの塗布では、塗布膜が各ランド58、59を含めて各配線57a、57bを覆う。しかし、パターニングされた塗布膜では、各ランド58、59上において、各ランド58、59は周縁部を残して中央部が露出されている。なお、写真現像型ソルダレジスト61として、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系等の樹脂が使用可能であるが、ここではエポキシ系樹脂が用いられている。
【0063】
次に、図11(b)に示すように、印刷法によって、複数のランド58及びダミーランド59を底面とした凹部内に熱硬化性エポキシ樹脂を充填し、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bを形成する(カバー層印刷)。このとき、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bは、表面51aの面内方向に関してソルダレジスト61に接触する。また、熱硬化性エポキシ樹脂は粘度が高いため、これを硬化しなくても凹部が流出することはない。
【0064】
次に、図11(c)に示すように、固定部分50aのアクチュエータユニット21外周部と対向する位置に、スクリーン印刷で補強部材67を形成する(補強部材印刷)。補強部材67は、丁度、アクチュエータユニット21の輪郭に沿った形状を有し、台形の帯状に形成される。材料は、熱硬化性エポキシ樹脂で、各カバー層60a、60bと同じである。なお、このとき用いられるスクリーン版は、下面が、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bに対向する位置に凹部を有している。これは、カバー層60a、60bとして充填されている熱硬化性エポキシ樹脂がスクリーン版に転写されるのを防止するためである。その後、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60b、並びに、補強部材67を半硬化させる加熱処理を、例えば100℃で10分間行う(カバー層・補強部材半硬化)。その後、実装ランドにドライバIC52を実装する。これによって、COF50の準備が完了する。
【0065】
そして、図11(d)に示すように、アクチュエータユニット21の表面21aとCOF50の表面51aとを固定する。固定に際して、両者が所定後関係で対向配置され、互いに近づくように加圧される。鉛直方向に関して、COF50は上方に配置される。このとき、個別バンプ136が接点カバー層60aを貫通し、ダミーバンプ137がダミーカバー層60bを貫通する。個別バンプ136は、接点カバー層60aを押しのけて、個別ランド58に当接する。一方、ダミーバンプ137は、ダミーカバー層60bを押しのけて、ダミーランド59と当接する、さらに、表面51a上の補強部材67が、アクチュエータユニット21の補強部69に接触する。この加圧状態でも、ソルダレジスト61は表面21aから離隔している。この状態で、例えば200℃で3分間の加熱処理を施すことによって、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60b、並びに、補強部材67が硬化する。硬化の途中で、各カバー層60a、60bは、一時的に低粘度化して、各接点部から表面21aにかけて広がる。これにより、各接点部が全周に亘って熱硬化性エポキシ樹脂によって被覆される。さらに加熱を継続すると、個別バンプ136とランド58とが互いに接合される(接点C)と共に、ダミーバンプ137とダミーランド59とが互いに接合され(ダミー接点C’)、さらに、補強部材67がソルダレジスト61及びアクチュエータユニット21の両方に固定される。これによって、アクチュエータユニット21とCOF50とが互いに固定される(加圧加熱接合)。
【0066】
この段階で、上述のヘッド本体2とは別に、リザーバユニット71、制御基板54、カバー53、55等が、それぞれの製造工程を経て準備されている。続いて、上述のヘッド本体2の作成工程およびCOF50の接合工程に続き、リザーバユニット71が接合される。この接合工程では、リザーバユニット71の凸部94aが流路ユニット9の上面に接着される。このとき、リザーバユニット71のインク流出流路73と流路ユニット9のインク供給口105bとが連通される。リザーバユニット71が組み付けられた後、制御基板54をリザーバユニット71の上面に固定する。両者は、図示しないネジで締結される。さらに、アクチュエータユニット21と制御基板54とを電気的に接続する。このとき、COF50のターミナル50cが制御基板50のコネクタ54aに差し込まれる。続いて、カバー体を流路ユニット9に固定する。カバー体の固定工程において、サイドカバー53とリザーバユニット71の側面との間に、ドライバIC52を、スポンジ82でサイドカバー53側に付勢するように配置する。また、流路ユニット9の上面とサイドカバー53の境界、およびカバー53、55間の境界がシリコン樹脂で封止される。以上により、ヘッド1の作成が完了する。
【0067】
以上説明した実施形態によると、アクチュエータユニット21の補強部69、即ち外周部全てとCOF50とが補強部材67によって固定される。よって、温度変化によってCOF50が伸縮した場合、複数の接点C、即ち複数のランド58及び複数のバンプ136に加えられるCOF50の水平方向内側への力を補強部材67によって低減することができる。よって、COF50のアクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。特に熱膨張係数が基材51よりも大きいソルダレジスト61は、完全硬化した後の自然冷却時に大きく収縮しようとするため、もし補強部材67が設けられていなければ、周囲からの応力が相殺されない最外周にある接点Cには常温においてアクチュエータユニット21の内向きに大きな応力が加えられることになる。しかし、本実施形態のように補強部材67が設けられていることで、最外周にある接点Cに加えられる応力が小さくなって、その破損が抑制される。
【0068】
また、複数のダミー接点C’、即ち複数のダミーランド59及び複数のダミーバンプ137が形成されていることによって、COF50が伸縮した場合、接点Cに加えられるCOF50の水平方向内側への力を、複数のダミー接点C’によって低減することができる。よって、アクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0069】
また、COF50が伸縮した場合、複数の出力配線57aがソルダレジスト61に引っ張られ、それにより表面51aの面内方向に関してソルダレジスト61に接合された接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bが引っ張られる。本実施形態によると、このように接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bが引っ張られることによって接点Cに加えられるCOF50の水平方向内側への直接的な力を低減することができる。よって、アクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0070】
また、接点C及びダミー接点C’において、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bがアクチュエータユニット21とCOF50とを接続しているので、COF50が伸縮した場合、両者間に表面51aの面内方向の伸縮差が生じても、各接点Cに直接的に力が及びにくくなる。これによって、各接点Cにおける安定した電気的接合を維持することができる。
【0071】
また、補強部材67が熱硬化性エポキシ樹脂であることによって、アクチュエータユニット21の補強部69とCOF50とを確実に固定することができる。
【0072】
また、アクチュエータユニット21の補強部69とCOF50とが補強部材67によって固定された記録ヘッドを提供可能である。よって、温度変化によってCOF50が伸縮した場合、複数の接点Cに加えられるCOF50の水平方向内側への力を補強部材67によって低減することができる。よって、アクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0073】
また、複数のダミー接点C’が形成された記録ヘッドを提供可能である。よって、COF50が伸縮した場合、接点Cに加えられるCOF50の水平方向内側への力を、複数のダミー接点C’によって低減することができる。よって、アクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0074】
また、COF50が伸縮した場合、複数の出力配線57aがソルダレジスト61に引っ張られ、それにより表面51aの面内方向に関してソルダレジスト61に接合された接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bが引っ張られることによって接点Cに加えられるCOF50の水平方向内側への力を低減することができる記録ヘッドを提供可能である。よって、アクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0075】
次に、図12及び図13を参照し、上述の実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、上述の実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0076】
図12に示すCOF150は、ソルダレジスト61の代わりにソルダレジスト161を有する。ソルダレジスト161は、アクチュエータユニット21の補強部69(非固定部に最も近い一辺以外)に対応する位置に設けられた溝161aを有する。本変形例において、補強部材67は、この溝161aに埋め込まれるように設けられている。補強部材67は、溝161a内においてソルダレジスト161に固定されていると共に、その表面がアクチュエータユニット21の補強部69に固定されていることによって、COF50とアクチュエータユニット21とを互いに固定している。COF150は、複数のダミー接点C’近傍から溝161aが形成された部分にかけて傾斜している。なお、ソルダレジスト161及び補強部材67は、その形成に同じ熱硬化性樹脂が用いられているが、種類が異なっている。これにより、両者は識別できる。
【0077】
次に、COF150を製作してアクチュエータユニット21に固定する工程について、図13を参照しながら説明する。
【0078】
上述の実施形態と同様、ヘッド本体2を製作する。次に、COF150を製作する。図13(a)に示すように、まず、シート材51の表面51a上に、複数のランド58及びダミーランド59と、出力配線57a及び制御配線57bを含む複数の配線と、ドライバIC52が実装される実装ランドとを形成する。そして、フォトリソ技術を用いて、写真現像型ソルダレジスト161で出力配線57aおよび制御配線57bを被覆する。ソルダレジスト161は、ソルダレジスト61と同じエポキシ系樹脂から成る。その形成手順も同じである。このとき、固定部分において、ソルダレジスト161のパターンは、ランド58およびダミーランド59の形成部分に加え、および補強部69に対向する位置を避けて形成される。各ランド58、59に対応する部分には、円形の凹部が形成され、補強部69に対応する部分には、アクチュエータユニット21の輪郭に沿う溝161aが形成される。なお、本実施の形態では、COF150の非固定部に隣接する輪郭部分は、溝161aが形成されない。台形の輪郭において、溝161aは、短辺(上底)および斜辺に沿って形成される(ランド・配線・ソルダレジスト形成)。
【0079】
次に、図13(b)に示すように、スキージを用いて全面に熱硬化性エポキシ樹脂を塗布することによって、複数のランド58及びダミーランド59を底面とした凹部及び溝161a内に熱硬化性樹脂を充填する。これにより、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60b、並びに、補強部材67が形成される(カバー層・補強部材印刷)。このとき、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bは、表面51aの面内方向に関してソルダレジスト161に接触する。その後、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60b、並びに、補強部材67を半硬化させる加熱処理を行う(カバー層・補強部材半硬化)。そして、実装ランドにドライバIC52を実装する。これによって、COF50が完成する。
【0080】
そして、図13(c)に示すように、アクチュエータユニット21の表面21aとCOF150の表面51aとを対向させ、互いに近づくように加圧する。これにより、個別バンプ136及びダミーバンプ137が、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bをそれぞれ貫通してランド58及びダミーランド59にそれぞれ接触すると共に、補強部材67がアクチュエータユニット21の補強部69に接触する。このとき、補強部材67は、一部がアクチュエータユニット21の側面にも接触する。この状態で、加熱処理を施すことによって、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60b、並びに、上述の実施形態と同様に、補強部材67が硬化する。このとき、個別バンプ136とランド58とが互いに接合される(接点C)と共に、ダミーバンプ137とダミーランド59とが互いに接合され(ダミー接点C’)、さらに、補強部材67がソルダレジスト161及びアクチュエータユニット21の両方に固定される。これによって、アクチュエータユニット21とCOF150とが互いに固定される(加圧加熱接合)。
【0081】
以上説明した変形例によると、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bを形成するのと同時に補強部材67を形成することが可能である。よって、図1〜図11に沿って説明した実施形態によって得られる利点に加えて、記録ヘッドを容易に製造することが可能であるという利点が得られる。
【0082】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態においては、補強部材67に固定される補強部69がアクチュエータユニット21の外周部全てであるが、補強部69はアクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部であってもよい。例えば補強部69は、アクチュエータユニット21の少なくとも一辺に沿った外周部であってもよい。また、アクチュエータユニット21の辺のうち非固定部分50bに最も近い一辺以外の全ての辺に沿った外周部であってもよい。
【0083】
また、上述の実施形態においては、ダミー接点C’が設けられているが、ダミー接点C’が設けられていなくてもよい。また、ダミー接点C’が、アクチュエータユニット21の少なくとも一辺に沿って設けられていてもよい。例えば、補強部がアクチュエータユニット21の辺のうち非固定部分50bに最も近い一辺以外の全ての辺に沿った外周部である場合、非固定部分50bに最も近い当該一辺に沿ってダミー接点C’を設けることが望ましい。
【0084】
上述の実施形態においては、ダミー接点C’を構成するダミーバンプ137およびダミーランド59は、アクチュエータユニット21とCOF50とを物理的に接続する形態にあればよく、共通電極134に接続されていても良い。
【0085】
上述の変形例において、溝161aに充填された熱硬化性エポキシ樹脂は、アクチュエータユニット21の側面および補強部69と接合していた。このとき、COF150は補強部69に向かって折れ曲がって接合される。しかし、補強部69に対応するアクチュエータユニット21の表面には、補強用のバンプが溝161aに対向して形成されていても良い。補強用バンプは、各バンプ136、137と表面からの高さが同じである。材質は、各バンプ136、137と同じであっても、異なっていても良い。補強用バンプは、各接点C、C’を形成するときに、溝161a内の樹脂を貫通できればよい。なお、製造工程の簡略化の観点から、材質は、各バンプ136、137と同じがよい。
【符号の説明】
【0086】
1 インクジェットヘッド
9 流路ユニット
21 アクチュエータユニット
50 COF
58 ランド
59 ダミーランド
61 ソルダレジスト
69 補強部
67 補強部材
101 インクジェットプリンタ
136 個別バンプ
137 ダミーバンプ
C 接点
C’ ダミー接点
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出して記録媒体に記録を行う記録装置が有する記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、アクチュエータユニットとアクチュエータユニットに固定された平型柔軟基板(FPC)とを備えた記録ヘッドが知られている。このような記録ヘッドにおいて、アクチュエータユニットは、多数の圧力室に跨る圧電層と、圧電層の表面に設けられた多数の個別電極及び多数のバンプとを有している。多数の個別電極はそれぞれ、各圧力室と対向するように配置されていると共に、各バンプと電気的に接続されている。また、FPCは、アクチュエータユニットに駆動信号を供給するものであって、多数のランド、及び、多数のランドそれぞれに接続された複数の配線が設けられている。そして、アクチュエータユニットとFPCとは、アクチュエータユニットに設けられた多数のバンプとFPCに設けられた多数のランドとが互いに接合されていることによって、互いに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−168360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FPCとアクチュエータユニットは互いに熱膨張係数が異なるため、例えば記録ヘッドの使用温度の変化又は製造時における加熱工程後の自然冷却に伴う温度変化などによって、FPCがアクチュエータユニットに比べて大きく伸縮することがある。上述の技術によると、FPCとアクチュエータユニットとが、ランドとバンプとの接点によって固定されているため、例えば伸縮が生じた場合、ランドとバンプとの各接点は、FPCの水平方向内側への力を受けることになる。それにより、ランド及びバンプの接点に応力が集中し、場合によっては接点が破壊されるなどの実質的信頼性の問題が起こっていた。
【0005】
本発明の主な目的は、FPCが伸縮した場合に、ランドとバンプとの接点に加えられるFPCの水平方向内側又は外側への力を低減することができる記録ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の記録ヘッドは、液体を吐出する流路ユニットと、前記流路ユニット内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータユニットと、前記アクチュエータユニットに固定され、前記アクチュエータユニットに駆動信号を供給する平型柔軟基板と、平面視において、前記アクチュエータユニットの輪郭内に設けられ、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを電気的に接続する複数の接点と、前記アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部である補強部と前記平型柔軟基板とを固定する補強部材とを備えている。
【0007】
上記の構成によると、アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部と平型柔軟基板とが補強部材によって固定される。よって、温度変化によって平型柔軟基板が伸縮した場合、複数の接点に加えられる平型柔軟基板の水平方向への力を補強部材によって低減することができる。よって、アクチュエータユニットに対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0008】
また、前記補強部が、前記アクチュエータユニットの外周部全てであることが好ましい。
【0009】
また、前記アクチュエータユニットが、平面視において、多角形形状を有しており、前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットを越えて延在した、前記アクチュエータユニットに固定されていない非固定部分を有しており、前記補強部が、前記アクチュエータユニットの辺のうち前記非固定部分に最も近い一辺以外の全ての辺に沿った前記外周部であってもよい。
【0010】
本発明の記録ヘッドは、前記複数の接点と同様の形状を有し、前記複数の接点よりも前記非固定部分に近い位置に設けられた複数のダミー接点を備えていることが好ましい。
【0011】
また、前記アクチュエータユニットが、前記平型柔軟基板と対向する表面A、前記表面Aに配置された複数の個別電極、前記駆動信号が供給されると共に前記個別電極と電気的にそれぞれ接続された複数のバンプ、及び、前記複数のバンプと同様の形状を有し前記駆動信号が供給されない複数のダミーバンプを有しており、前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットと対向する表面B、前記表面Bに配置され前記バンプにそれぞれ接合された複数のランド、及び、前記複数のランドと同様の形状を有し前記ダミーバンプにそれぞれ接合された複数のダミーランドを有しており、前記複数の接点が、前記バンプ及び前記ランドをそれぞれ含んでおり、前記複数のダミー接点が、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドをそれぞれ含んでいてもよい。
【0012】
また、前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、前記補強部材が、前記補強部と前記配線被覆層との間に介在するように設けられていてもよい。
【0013】
また、前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、前記補強部材が、前記配線被覆層に設けられた凹部内に設けられていてもよい。
【0014】
また、前記平型柔軟基板が、前記複数のバンプそれぞれとの接合箇所を除いて少なくとも前記複数のランドを被覆する絶縁性のランド被膜層を有しており、前記表面Bの面内方向に関して、前記ランド被膜層が前記配線被覆層に接触していてもよい。
【0015】
また、前記ランド被覆層は、熱硬化性接着剤であって、前記複数の接点及び前記複数のダミー接点をそれぞれ全周に亘って覆うと共に、前記表面A及び前記表面Bを接続していることが好ましい。
【0016】
また、前記補強部材は、熱硬化性接着剤であることが好ましい。
【0017】
本発明の記録ヘッドの製造方法は、液体を吐出する流路ユニットに、前記流路ユニット内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータユニットが固定されており、前記アクチュエータユニットに、前記アクチュエータユニットに駆動信号を供給する平型柔軟基板が固定されており、平面視において、前記アクチュエータユニットの輪郭内に設けられ、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを電気的に接続する複数の接点を有する記録ヘッドの製造方法であって、前記アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部である補強部、または、前記平型柔軟基板における前記補強部に対応する位置に、半硬化状態の熱硬化性接着剤からなる補強部材を形成する補強部材形成工程と、前記平型柔軟基板と前記補強部材とが接触し、且つ、前記補強部材と前記補強部とが接触している状態において前記補強部材を加熱により硬化させることによって、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定する固定工程とを備えている。
【0018】
また、前記補強部が、前記アクチュエータユニットの外周部全てであることが好ましい。
【0019】
また、前記アクチュエータユニットが、平面視において、多角形形状を有しており、前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットを越えて延在した、前記アクチュエータユニットに固定されていない非固定部分を有しており、前記補強部が、前記アクチュエータユニットの辺のうち前記非固定部分に最も近い一辺以外の全ての辺に沿った前記外周部であってもよい。
【0020】
また、前記固定工程において、前記複数の接点、及び、前記複数の接点と同様の形状を有する複数のダミー接点を、前記複数のダミー接点が前記複数の接点よりも前記非固定部分に近くなるように形成することが好ましい。
【0021】
また、前記アクチュエータユニットが、前記平型柔軟基板と対向する表面A、前記表面Aに配置された複数の個別電極、前記駆動信号が供給され前記個別電極と電気的にそれぞれ接続された複数のバンプ、及び、前記複数のバンプと同様の形状を有すると共に前記駆動信号が供給されない複数のダミーバンプを有しており、前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットと対向する表面B、前記表面Bに配置され前記バンプにそれぞれ接合された複数のランド、及び、前記複数のランドと同様の形状を有し前記ダミーバンプにそれぞれ接合された複数のダミーランドを有しており、前記複数の接点が、前記バンプ及び前記ランドをそれぞれ含んでおり、前記複数のダミー接点が、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドをそれぞれ含んでおり、前記固定工程において、前記バンプ及び前記ランドがそれぞれ接合され、且つ、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドがそれぞれ接合されるように、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定してもよい。
【0022】
また、前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、前記補強部材形成工程において、前記配線被覆層における前記アクチュエータユニットの前記補強部に対応する位置、または、前記補強部に、前記補強部材を形成し、前記固定工程において、前記配線被覆層と前記補強部材とが接触し、且つ、前記補強部材と前記補強部とが接触している状態において前記補強部材を加熱により硬化させることによって、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定してもよい。
【0023】
また、前記平型柔軟基板が、前記表面Bの面内方向に関して、前記配線被覆層に接触していると共に少なくとも前記ランドを被膜する絶縁性のランド被膜層を備えており、前記固定工程において、前記複数のバンプが前記ランド被覆層を貫通して前記複数のランドに接合されるように、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定してもよい。
【0024】
また、前記補強部材及び前記ランド被覆層が同一の樹脂であって、前記補強部材形成工程において、前記ランド被覆層を形成するのと同時に、前記平型柔軟基板における前記補強部に対応する位置に設けられた凹部内に前記補強部材を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部と平型柔軟基板とが補強部材によって固定される。よって、温度変化によって平型柔軟基板が伸縮した場合、複数の接点に加えられる平型柔軟基板の水平方向への力を補強部材によって低減することができる。よって、アクチュエータユニットに対する確実な電気的接合を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの断面図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの短手方向に沿った断面図である。
【図3】図2に示すヘッド本体の平面図である。
【図4】図3に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図5】図4に示すV−V線断面図である。
【図6】図4に示すアクチュエータユニットを説明するための図である。
【図7】図2に示すCOFのドライバICの実装面を描いた平面図である。
【図8】図7に本発明の一実施形態に係る補強部材を追加した図である。
【図9】図8に示すIX−IX線断面図である。
【図10】図2に示すCOFをアクチュエータユニットに接合するまでの工程を説明するためのブロック図である。
【図11】図10に示す各工程を説明するための図である。
【図12】本発明の別の実施形態に係るインクジェットプリンタのCOF、補強部材、及び、アクチュエータユニットを示した断面図である。
【図13】図12に示すCOFをアクチュエータユニットに接合するまでの工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ101は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有している。また、筐体1aの上部には、排紙部31が設けられている。さらに、筐体1a内は、上から順に3つの空間A、B、Cに区分できる。空間AおよびBは、排紙部31に連なる用紙の搬送経路が構成された空間である。空間Aでは、用紙の搬送と用紙への画像形成が行われる。空間Bでは、用紙が給紙される。空間Cには、インク供給源が収納されており、ここでインクの供給が行われる。
【0028】
空間Aには、4つのインクジェットヘッド1、用紙を搬送する搬送ユニット20、及び、用紙をガイドするガイド部等が配置されている。空間Aの上部には、これらの機構を含めたプリンタ全体の動作を司るコントローラが配置されている。
【0029】
4つのヘッド1は、主走査方向に長尺なラインヘッドであって、略直方体の外形形状を有する。各ヘッド1は、副走査方向に所定のピッチで並んでおり、ヘッドフレーム3によって筐体1aに支持されている。ヘッド1は、流路ユニット9、4つのアクチュエータユニット17およびリザーバユニット71を含む。4つのヘッド1の下面(吐出面2a)からは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクがそれぞれ吐出される。ヘッド1についてのより具体的な構成は後述する。
【0030】
搬送ユニット20は、図1に示すように、ベルトローラ6、7、及び、両ローラ6、7間に巻回されたエンドレスの搬送ベルト8に加え、搬送ベルト8の外側に配置されたニップローラ4及び剥離プレート5、並びに、搬送ベルト8の内側に配置されたプラテン19及びテンションローラ10等を有している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、搬送モータ(図示せず)によって図1中時計回りに回転する。このとき、搬送ベルト8は、太矢印に沿って走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8の走行に伴い図1中時計回りに回転する。ニップローラ4は、ベルトローラ6に対向配置されており、前段のガイド部から供給された用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに押さえつける。剥離プレート5は、ベルトローラ7に対向配置されており、用紙Pを外周面8aから剥離して後段のガイド部に導く。プラテン19は、4つのヘッド1に対向配置されており、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。これにより、外周面8aとヘッド1の吐出面2aとの間には、画像形成に適した所定の間隔が形成される。テンションローラ10は、下側ループを下方に付勢する。これにより、搬送ベルトの弛みがなくなる。
【0031】
ガイド部は、搬送ユニット20を挟んで両側に配置されている。上流側のガイド部は、2つのガイド27a、27b及び一対の送りローラ26を有する。このガイド部は、給紙ユニット1b(後述)と搬送ユニット20とを繋ぐ。下流側のガイド部は、2つのガイド29a、29b及び二対の送りローラ28を有する。このガイド部は、搬送ユニット20と排紙部31とを繋ぐ。
【0032】
空間Bには、給紙ユニット1bが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。給紙ユニット1bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ25を有する。給紙トレイ23は、上方に開口した箱体であって、複数の用紙Pを収納する。給紙ローラ25は、給紙トレイ23内で最も上方にある用紙Pを送り出し、後段のガイド部に供給する。
【0033】
上述したように、空間A及び空間Bによって、給紙ユニット1bから搬送ユニット20を介して排紙部31に至る用紙搬送経路が形成されている。印字指令に基づいて、コントローラは、給紙ユニット1bの給紙ローラ用モータ(図示せず)、各ガイド部の送りローラ用モータ(図示せず)、及び、搬送ユニット20の搬送モータ(図示せず)等を駆動する。給紙トレイ23から繰り出された用紙Pは、送りローラ26によって搬送ユニット20に供給される。用紙Pが各ヘッド1の真下を副走査方向に通過する際、順にヘッド1からインクが吐出されて、用紙P上にカラー画像が形成される。用紙Pは、搬送ベルト8の右側で剥離され、さらに2つの送りローラ28によって上方に搬送される。各ガイド部における用紙Pの搬送は、ガイド27a、27bおよびガイド29a、29bに沿う。さらに、用紙Pは、上方の開口30から排紙部31に排紙される。
【0034】
ここで、副走査方向とは、搬送ユニット20において用紙Pが搬送されるときの搬送方向に平行な方向であって、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0035】
空間Cには、インクタンクユニット1cが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。インクタンクユニット1cには、4つのインクタンク49が並んで収納されている。インクタンク49内のインクは、対応するヘッド1に対してチューブ(図示せず)を介して供給される。
【0036】
次に、図2を参照しながらインクジェットヘッド1について詳細に説明する。図2は、インクジェットヘッド1の幅方向である副走査方向に沿った断面図である。図2に示すように、ヘッド1は、流路構成部材、電装部材およびカバー体から構成される。流路構成部材は、インク流路が内部に形成された積層体であって、インクタンク49からのインクが充填されている。電装部材は、インク流路内のインクの吐出に関与する。カバー体は、主に電装部材を外部から保護する。
【0037】
流路構成部材は、上方のリザーバユニット71と下方のヘッド本体2との積層体である。ヘッド本体2には、電装部材でもあるアクチュエータユニット21が含まれる。
【0038】
リザーバユニット71は、4つの金属プレート91〜94の積層体であって、全体として直方体形状を有している。プレート94の下面には、複数の凸部94aが形成されている。凸部94aの先端面が、流路ユニット9(後述)との接合面である。凸部94aによって画定された凹部は、流路ユニット9との間に間隙を作っている。リザーバユニット71の内部には、インクリザーバ72が形成され、インクタンク49からのインクが貯留される。凸部94aには、インクリザーバ72に連通したインク流出流路73が形成されており、先端面に開口している。本実施形態において、インク流出流路73は10本ある。
【0039】
ヘッド本体2は、図3に示すように、流路ユニット9およびアクチュエータユニット21を含む。このうち、流路ユニット9は、図5に示すように、9つの金属製プレート122〜130の積層体であって、全体として直方体形状を有している。流路ユニット9の下面は、多数のノズル108が開口する吐出面2aである。流路ユニット9の上面は、多数の圧力室110(図4参照)および10つのインク供給口105aが開口する接合面である。上面では、インク供給口105aに対応してプレート94の凸部94aが接合され、圧力室群(複数の圧力室110の集合)に対応してアクチュエータユニット21が接合されている。これにより、インク供給口105aがリザーバユニット71のインク流出流路73と連通する。また、アクチュエータユニット21は、複数の圧力室110の開口を封止しており、インク流路の壁部材でもある。
【0040】
流路ユニット9の内部には、図4に示すように、インク供給口105aからノズル108に至るインク流路が形成されている。インク流路は、インク供給口に連通したマニホールド流路105、マニホールド流路105から分岐した副マニホールド流路105a、副マニホールド流路105aの出口からノズル108に至る複数の個別インク流路132を含んでいる。個別インク流路132は、圧力室110と副マニホールド流路105aとが絞り(アパーチヤ112)で結ばれている。なお、圧力室群の圧力室110は、図3および図4に示すように、マトリクス状に配置されており、アクチュエータユニット21と相似の台形領域を占有している。
【0041】
アクチュエータユニット21は、平面視がほぼ台形状のシード状部材であって、3枚の圧電シート141〜143の積層体である。圧電シート141〜143は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の強誘電性セラミックス材料から成る。4つのアクチュエータユニット21は、主走査方向に2列の千鳥状に配置され、流路ユニット9の上面に接合されている。台形の平行対向辺は、主走査方向に沿う。アクチュエータユニット21は、主走査方向の両側からインク供給口105bに挟まれて配置されており、プレート94の下面と流路ユニット9の上面が作る間隙内に収容されている。アクチュエータユニット21は、後述のドライバIC52からの駆動信号で変形して、圧力室110内のインクに圧力を与える。
【0042】
電装部材は、上述のアクチュエータユニット21に加え、制御基板54およびCOF50を含む。制御基板54は、複数の電子部品が実装されており、印字データを出力する。COF50は、途中部にドライバIC52が実装された平型柔軟基板であって、一端が制御基板54のコネクタ54aに接続され、他端がアクチュエータユニット21の上面に接合されている。制御基板54から印字データが出力されると、ドライバIC52からアクチュエータユニット21の駆動信号が出力される。
【0043】
カバー体は、金属製サイドカバー53および樹脂製ヘッドカバー55からなる箱体であって、サイドカバー53の下端部で流路ユニット9に固定されている。カバー体と流路ユニット9とが作る空間には、リザーバユニット71と電装部材が収容されている。これにより外部からのインクミストの侵入が防げられるため、電装部材に電気的不具合が生じない。なお、サイドカバー53は、放熱性の良いアルミ製である。図2に示すように、サイドカバー53は、放熱シート81を介してドライバIC52と熱的に接続する。リザーバユニット71の側面には、スポンジ82が固定されており、ドライバIC52はサイドカバー53に付勢されている。
【0044】
次に、アクチュエータユニット21について詳しく説明する。図3及び図4に示すように、4つのアクチュエータユニット21は、より詳細には、台形の鋭角部が切り取られた六角形であり、流路ユニット9の長手方向に平行な短辺及び長辺と、互いに対向する2つの斜辺と、短手方向に平行な2つの短辺とを有している。2つの短辺はそれぞれ、斜辺の一端と長辺の一端とに接続されており、斜辺に比べて非常に短いため、アクチュエータユニット21は、ほぼ台形形状を有していると言える。これにより、ヘッド1の製造中に生じやすいアクチュエータユニット21の破損が生じなくなる。なお、隣接する2つのアクチュエータユニット21において、互いに対向する2つの斜辺は、流路ユニット9の幅方向(副走査方向)に関して互いにオーバーラップしている。
【0045】
図6(a)に示すように、アクチュエータユニット21は、最下層の圧電シート143の下面が、流路ユニット9に固定されている。また、圧電シート141の上面(表面21a)には、圧力室110に対向した個別電極135が形成されている。圧電シート141とその下側の圧電シート142との間には、シート全面に亘って延在する共通電極134が介在している。
【0046】
図6(b)に示すように、個別電極135は、全体としては略菱形の外形状を有し、圧力室110と相似である。個別電極135は、この菱形部分、菱形部分の一方の鋭角部に接続した引き出し部、およびその先端部に配置された個別バンプ136から構成されている。平面視において、菱形部分は圧力室110に内包されている。引き出し部は、菱形部分の長軸方向に延びて、先端部を圧力室110の外側に持つ。そのため、個別バンプ136は、平面視で圧力室110と重ならない。個別バンプ136は、個別電極135と電気的に接続されている。各個別バンプ136は、後述するCOF50の各ランド58に接合されており、ドライバIC52からの駆動信号が供給される。よって、個別バンプ136及びランド58の接合部分が、アクチュエータユニット21とCOF50とを互いに電気的に接続する接点Cを構成する。また、表面21aには、個別電極用の個別バンプ136とは別に、共通電極134と電気的に接続された共通電極用の個別バンプ136が形成されている。共通電極用の個別バンプ136も、COF50のランド58と共に接点を構成する。
【0047】
また、圧電シート141の表面21aには、複数のダミーバンプ137が、アクチュエータユニット21の外周に沿って設けられている(図9参照)。各ダミーバンプ137は、個別バンプ136と同様の形状を有しており、個別バンプ136を包囲している。ダミーバンプ137は、平面視において、最も外側にある個別バンプ136と後述の補強部材67との間に設けられている。なお、ダミーバンプ137は、バンプ部分のみで構成されており、菱形部分や引き出し部分を有さない。また、各ダミーバンプ137は、後述するCOF50の各ダミーランド59に接合されているが、ドライバIC52からの駆動信号は供給されない。よって、ダミーバンプ137及びダミーランド59は、アクチュエータユニット21とCOF50とを物理的に接続するが、電気的に接続しないダミー接点C’を構成する。
【0048】
接点Cは、表面21a上で圧力室110にそれぞれ対応して配置され、圧力室群と同様に台形領域を占有する。平面視において、接点Cは、台形領域内で等間隔に配置され、主走査方向に延びる複数の列を構成している。ダミー接点C’は、台形領域の外縁に沿って設けられ、接点Cと同じ配置規則を持つ。ダミー接点C’は、隣接する接点Cに対する位置関係が、接点C同士の位置関係と同じである。さらに、ダミー接点C’と表面21aの外縁との間には帯状の余白部分があり、全ての接点Cおよびダミー接点C’が包囲されている。
【0049】
なお、共通電極134には、共通電極用の接点Cを介して、グランド電位が付与されている。一方、個別電極135は、個別電極用の接点Cを介してドライバIC52の各出力端子と電気的に接続されており、駆動信号が選択的に供給される。
【0050】
ここで、圧電シート141は、厚み方向に分極されている。個別電極135を共通電極134と異なる電位にすると、分極方向に電界が生じ、圧電シート141の電界印加部分(活性部)が圧電効果で歪む。活性部は、d31、d33、d15から選ばれる少なくとも1つの振動モードで変位する。本実施の形態では、活性部は、d31の振動モードで変位する。一方、圧電シート142、143は、個別電極135に対応した部分(非活性部)でも、自発的に変位しない。このような組み合わせの部分は、所謂ユニモルフタイプの圧電アクチュエータとして機能し、アクチュエータユニット21には、圧力室110と同数のアクチュエータが作り込まれている。
【0051】
ここで、アクチュエータユニット21の駆動方法について述べる。例えば、分極方向と電界の印加方向とが同じであれば、活性部は分極方向に直交する方向(平面方向)に縮む。一方、下側2枚の圧電シート142、143は、電界が影響しないので縮まない。このとき、活性部と非活性部との間で平面方向への歪みに差が生じるので、圧電シート141〜143全体が圧力室110側に凸になるように変形(ユニモルフ変形)する。これにより、圧力室110内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与され、ノズル108からインク滴が吐出される。
【0052】
なお、本実施形態においては、予め個別電極135に所定の電位を付与しておき、吐出要求があるごとに一旦個別電極135をグランド電位にした後、所定のタイミングで再び個別電極135に所定の電位を付与するような駆動信号をドライバIC52から出力させる。この場合、個別電極135がグランド電位となるタイミングで圧電シート141〜143が元の状態に戻り、このときの圧力室容積の増大(圧力の減少)に伴い、副マニホールド流路105aから個別インク流路132へとインクが吸い込まれる。その後、再び個別電極135に所定の電位が付与されたタイミングで圧電シート141〜143が圧力室110側に凸となるように変形し、このときの圧力室容積の減少(圧力の増加)に伴い、ノズル108からインクが吐出される。
【0053】
次に、図7〜図9を参照しながら、COF50について詳細に説明する。なお、図7においては、COF50の長手方向の長さを短く描いている。また、COF50が固定されたアクチュエータユニット21の外形を破線で示している。図7に示すように、COF50は、その一端部近傍であってアクチュエータユニット21に固定された固定部分50aと、アクチュエータユニット21に固定されていない非固定部分50bとによって構成されている。非固定部分50bは、アクチュエータユニット21の長辺(下底)部分を越えて延在し、延在方向の先端部がターミナル50cとなっている。
【0054】
図9に示すように、COF50はフィルム状の基材51を有する。固定部分50aにおいて、基材51の表面51aには、複数のランド58、及び、複数のダミーランド59が設けられている。これらは共に、同様の形状(円形状)を有する。複数のランド58は、複数の個別バンプ136に対向する位置にそれぞれ設けられており、互いに接合されてそれぞれ接点Cを構成している。また、複数のランド58には、複数の出力配線57aにそれぞれ接続されている。複数のダミーランド59は、複数のダミーバンプ137に対向する位置にそれぞれ設けられており、互いに接合されてそれぞれダミー接点C’を構成している。ダミーランド59は、いずれも出力配線57aに接続されていない。
【0055】
またCOF50の非固定部50bには、固定部分50aとターミナル50cとの間で、ドライバIC52が実装されている。ドライバIC52の出力端子(図示せず)には、ランド58から延びた出力配線57aがそれぞれ接続されており、ドライバIC52の制御端子(図示せず)には、ターミナル50cの端子から延びた制御配線57bがそれぞれ接続されている。
【0056】
アクチュエータユニット21の長辺に沿って配置されたダミーランド59は、平面視で、ランド58の群と非固定部50bとの境界部に等間隔で並んでいる。図7および図8に示すように、境界部において、非固定部50bに引き出される複数の出力配線57aが、互いに隣接する2つのダミーランド59間に配設されている。出力配線57aは、境界部およびその近傍で複数本毎に束ねられている。
【0057】
また、COF50は、複数の出力配線57a及び制御配線57bを被覆する層であるソルダレジスト61を有する。ソルダレジスト61は、熱硬化性エポキシ樹脂からなり、絶縁性を有する。ソルダレジスト61は、複数のランド58及びダミーランド59の形成部分とドライバIC52の実装部分とを除いて基材51全体を被覆している。その厚みは、個別バンプ136及びダミーバンプ137の高さより薄い。そのため、ソルダレジスト61とアクチュエータユニット21の表面21aとの間には隙間が形成されている。この隙間は、アクチュエータユニット21の自由なユニモルフ変形を可能にする。
【0058】
図9に示すように、COF50は、接点Cおよびダミー接点C’を被覆する接点カバー層60aおよびダミー接点カバー層60bを有する。接点カバー層60aは、個別バンプ136とランド58との接合箇所を除いて、両者をその全周に亘って被覆する。ダミー接点カバー層60bも、ダミーバンプ137とダミーランド59との接合箇所を除いて、両者をその全周に亘って被覆する。各カバー層60a、60bは、ソルダレジスト61と異なる種類のエポキシ系の熱硬化性樹脂からなり、電気的絶縁性が高い。各カバー層60a、60bは、ランド58およびダミーランド59の基端部近傍の表面51aから個別バンプ136およびダミーバンプ137の基端部近傍の表面21aに広がり、COF50をアクチュエータユニット21に固定している。図9に示すように、個別ランド58およびダミーランド59はソルダレジスト61より薄く、接点Cおよびダミー接点C’は、個別バンプ136およびダミーバンプ137が、厚み方向に関してCOF50(各カバー層60a、60b)内に入り込むことで構成されている。このとき、個別バンプ136およびランド58の先端同士の当接で、電気的な接続がなされ、各カバー層60a、60bの広がりで、物理的な連結がなされる。
【0059】
図8に示すように、平面視において、アクチュエータユニット21の帯状外周部の全周に亘って、補強部材67が設けられている。より詳細には、補強部材67は、複数のダミーランド59より外側からアクチュエータユニット21の輪郭内にあって、この輪郭に沿って設けられている。また、補強部材67は、図9に示すように、アクチュエータユニット21の外周部とソルダレジスト61との間に介在しており、両者にそれぞれ固定されている。補強部材67は、各カバー層60a、60bと同じ材質である。なお、アクチュエータユニット21において補強部材67に固定されている部分、即ち、アクチュエータユニット21の外周部全てを補強部69と称する。
【0060】
次に、インクジェットヘッド1の製造工程のうち、COF50を製作してアクチュエータユニット21に固定する工程について、図10及び図11を参照しながら説明する。
【0061】
まず、ヘッド本体2を製作する。ヘッド本体2の製作には、流路ユニット9の作成工程、アクチュエータユニット21の作成工程および両者の固定工程が含まれる。流路ユニットの作成工程には、エッチングによるプレート122〜130の作成、および各プレート122〜130の熱硬化性接着剤による固定が含まれる。アクチュエータユニット21の作成工程には、表面21a上への個別電極135の形成工程、および個別バンプ136とダミーバンプ137の形成工程が含まれる。両者の固定工程には、熱硬化性接着剤が用いられる。なお、個別バンプ136とダミーバンプ137の形成工程では、各バンプ136、137が表面21aから約50μmの高さで形成される。この高さは、ソルダレジスト61(後述)の厚さより大きい。
【0062】
次に、COF50を製作する工程について説明する。図11(a)に示すように、まず、シート材51の表面51a上に、複数のランド58及びダミーランド59と、出力配線57a及び制御配線57bを含む複数の配線と、ドライバIC52が実装される実装ランドとを形成する。そして、フォトリソ技術を用いて、出力配線57a及び制御配線57bを被覆するように、表面51aに写真現像型ソルダレジスト61のパターンを形成する。パターン形成手順は、ソルダレジストの塗布、この塗布層のプレキュア(80℃、25分)、マスクパターンによる露光、現像、さらにパターニングされた塗布膜のポストキュア(150℃、1時間)の順に進む。ソルダレジストの塗布では、塗布膜が各ランド58、59を含めて各配線57a、57bを覆う。しかし、パターニングされた塗布膜では、各ランド58、59上において、各ランド58、59は周縁部を残して中央部が露出されている。なお、写真現像型ソルダレジスト61として、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系等の樹脂が使用可能であるが、ここではエポキシ系樹脂が用いられている。
【0063】
次に、図11(b)に示すように、印刷法によって、複数のランド58及びダミーランド59を底面とした凹部内に熱硬化性エポキシ樹脂を充填し、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bを形成する(カバー層印刷)。このとき、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bは、表面51aの面内方向に関してソルダレジスト61に接触する。また、熱硬化性エポキシ樹脂は粘度が高いため、これを硬化しなくても凹部が流出することはない。
【0064】
次に、図11(c)に示すように、固定部分50aのアクチュエータユニット21外周部と対向する位置に、スクリーン印刷で補強部材67を形成する(補強部材印刷)。補強部材67は、丁度、アクチュエータユニット21の輪郭に沿った形状を有し、台形の帯状に形成される。材料は、熱硬化性エポキシ樹脂で、各カバー層60a、60bと同じである。なお、このとき用いられるスクリーン版は、下面が、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bに対向する位置に凹部を有している。これは、カバー層60a、60bとして充填されている熱硬化性エポキシ樹脂がスクリーン版に転写されるのを防止するためである。その後、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60b、並びに、補強部材67を半硬化させる加熱処理を、例えば100℃で10分間行う(カバー層・補強部材半硬化)。その後、実装ランドにドライバIC52を実装する。これによって、COF50の準備が完了する。
【0065】
そして、図11(d)に示すように、アクチュエータユニット21の表面21aとCOF50の表面51aとを固定する。固定に際して、両者が所定後関係で対向配置され、互いに近づくように加圧される。鉛直方向に関して、COF50は上方に配置される。このとき、個別バンプ136が接点カバー層60aを貫通し、ダミーバンプ137がダミーカバー層60bを貫通する。個別バンプ136は、接点カバー層60aを押しのけて、個別ランド58に当接する。一方、ダミーバンプ137は、ダミーカバー層60bを押しのけて、ダミーランド59と当接する、さらに、表面51a上の補強部材67が、アクチュエータユニット21の補強部69に接触する。この加圧状態でも、ソルダレジスト61は表面21aから離隔している。この状態で、例えば200℃で3分間の加熱処理を施すことによって、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60b、並びに、補強部材67が硬化する。硬化の途中で、各カバー層60a、60bは、一時的に低粘度化して、各接点部から表面21aにかけて広がる。これにより、各接点部が全周に亘って熱硬化性エポキシ樹脂によって被覆される。さらに加熱を継続すると、個別バンプ136とランド58とが互いに接合される(接点C)と共に、ダミーバンプ137とダミーランド59とが互いに接合され(ダミー接点C’)、さらに、補強部材67がソルダレジスト61及びアクチュエータユニット21の両方に固定される。これによって、アクチュエータユニット21とCOF50とが互いに固定される(加圧加熱接合)。
【0066】
この段階で、上述のヘッド本体2とは別に、リザーバユニット71、制御基板54、カバー53、55等が、それぞれの製造工程を経て準備されている。続いて、上述のヘッド本体2の作成工程およびCOF50の接合工程に続き、リザーバユニット71が接合される。この接合工程では、リザーバユニット71の凸部94aが流路ユニット9の上面に接着される。このとき、リザーバユニット71のインク流出流路73と流路ユニット9のインク供給口105bとが連通される。リザーバユニット71が組み付けられた後、制御基板54をリザーバユニット71の上面に固定する。両者は、図示しないネジで締結される。さらに、アクチュエータユニット21と制御基板54とを電気的に接続する。このとき、COF50のターミナル50cが制御基板50のコネクタ54aに差し込まれる。続いて、カバー体を流路ユニット9に固定する。カバー体の固定工程において、サイドカバー53とリザーバユニット71の側面との間に、ドライバIC52を、スポンジ82でサイドカバー53側に付勢するように配置する。また、流路ユニット9の上面とサイドカバー53の境界、およびカバー53、55間の境界がシリコン樹脂で封止される。以上により、ヘッド1の作成が完了する。
【0067】
以上説明した実施形態によると、アクチュエータユニット21の補強部69、即ち外周部全てとCOF50とが補強部材67によって固定される。よって、温度変化によってCOF50が伸縮した場合、複数の接点C、即ち複数のランド58及び複数のバンプ136に加えられるCOF50の水平方向内側への力を補強部材67によって低減することができる。よって、COF50のアクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。特に熱膨張係数が基材51よりも大きいソルダレジスト61は、完全硬化した後の自然冷却時に大きく収縮しようとするため、もし補強部材67が設けられていなければ、周囲からの応力が相殺されない最外周にある接点Cには常温においてアクチュエータユニット21の内向きに大きな応力が加えられることになる。しかし、本実施形態のように補強部材67が設けられていることで、最外周にある接点Cに加えられる応力が小さくなって、その破損が抑制される。
【0068】
また、複数のダミー接点C’、即ち複数のダミーランド59及び複数のダミーバンプ137が形成されていることによって、COF50が伸縮した場合、接点Cに加えられるCOF50の水平方向内側への力を、複数のダミー接点C’によって低減することができる。よって、アクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0069】
また、COF50が伸縮した場合、複数の出力配線57aがソルダレジスト61に引っ張られ、それにより表面51aの面内方向に関してソルダレジスト61に接合された接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bが引っ張られる。本実施形態によると、このように接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bが引っ張られることによって接点Cに加えられるCOF50の水平方向内側への直接的な力を低減することができる。よって、アクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0070】
また、接点C及びダミー接点C’において、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bがアクチュエータユニット21とCOF50とを接続しているので、COF50が伸縮した場合、両者間に表面51aの面内方向の伸縮差が生じても、各接点Cに直接的に力が及びにくくなる。これによって、各接点Cにおける安定した電気的接合を維持することができる。
【0071】
また、補強部材67が熱硬化性エポキシ樹脂であることによって、アクチュエータユニット21の補強部69とCOF50とを確実に固定することができる。
【0072】
また、アクチュエータユニット21の補強部69とCOF50とが補強部材67によって固定された記録ヘッドを提供可能である。よって、温度変化によってCOF50が伸縮した場合、複数の接点Cに加えられるCOF50の水平方向内側への力を補強部材67によって低減することができる。よって、アクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0073】
また、複数のダミー接点C’が形成された記録ヘッドを提供可能である。よって、COF50が伸縮した場合、接点Cに加えられるCOF50の水平方向内側への力を、複数のダミー接点C’によって低減することができる。よって、アクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0074】
また、COF50が伸縮した場合、複数の出力配線57aがソルダレジスト61に引っ張られ、それにより表面51aの面内方向に関してソルダレジスト61に接合された接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bが引っ張られることによって接点Cに加えられるCOF50の水平方向内側への力を低減することができる記録ヘッドを提供可能である。よって、アクチュエータユニット21に対する確実な電気的接合を維持することができる。
【0075】
次に、図12及び図13を参照し、上述の実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、上述の実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0076】
図12に示すCOF150は、ソルダレジスト61の代わりにソルダレジスト161を有する。ソルダレジスト161は、アクチュエータユニット21の補強部69(非固定部に最も近い一辺以外)に対応する位置に設けられた溝161aを有する。本変形例において、補強部材67は、この溝161aに埋め込まれるように設けられている。補強部材67は、溝161a内においてソルダレジスト161に固定されていると共に、その表面がアクチュエータユニット21の補強部69に固定されていることによって、COF50とアクチュエータユニット21とを互いに固定している。COF150は、複数のダミー接点C’近傍から溝161aが形成された部分にかけて傾斜している。なお、ソルダレジスト161及び補強部材67は、その形成に同じ熱硬化性樹脂が用いられているが、種類が異なっている。これにより、両者は識別できる。
【0077】
次に、COF150を製作してアクチュエータユニット21に固定する工程について、図13を参照しながら説明する。
【0078】
上述の実施形態と同様、ヘッド本体2を製作する。次に、COF150を製作する。図13(a)に示すように、まず、シート材51の表面51a上に、複数のランド58及びダミーランド59と、出力配線57a及び制御配線57bを含む複数の配線と、ドライバIC52が実装される実装ランドとを形成する。そして、フォトリソ技術を用いて、写真現像型ソルダレジスト161で出力配線57aおよび制御配線57bを被覆する。ソルダレジスト161は、ソルダレジスト61と同じエポキシ系樹脂から成る。その形成手順も同じである。このとき、固定部分において、ソルダレジスト161のパターンは、ランド58およびダミーランド59の形成部分に加え、および補強部69に対向する位置を避けて形成される。各ランド58、59に対応する部分には、円形の凹部が形成され、補強部69に対応する部分には、アクチュエータユニット21の輪郭に沿う溝161aが形成される。なお、本実施の形態では、COF150の非固定部に隣接する輪郭部分は、溝161aが形成されない。台形の輪郭において、溝161aは、短辺(上底)および斜辺に沿って形成される(ランド・配線・ソルダレジスト形成)。
【0079】
次に、図13(b)に示すように、スキージを用いて全面に熱硬化性エポキシ樹脂を塗布することによって、複数のランド58及びダミーランド59を底面とした凹部及び溝161a内に熱硬化性樹脂を充填する。これにより、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60b、並びに、補強部材67が形成される(カバー層・補強部材印刷)。このとき、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bは、表面51aの面内方向に関してソルダレジスト161に接触する。その後、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60b、並びに、補強部材67を半硬化させる加熱処理を行う(カバー層・補強部材半硬化)。そして、実装ランドにドライバIC52を実装する。これによって、COF50が完成する。
【0080】
そして、図13(c)に示すように、アクチュエータユニット21の表面21aとCOF150の表面51aとを対向させ、互いに近づくように加圧する。これにより、個別バンプ136及びダミーバンプ137が、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bをそれぞれ貫通してランド58及びダミーランド59にそれぞれ接触すると共に、補強部材67がアクチュエータユニット21の補強部69に接触する。このとき、補強部材67は、一部がアクチュエータユニット21の側面にも接触する。この状態で、加熱処理を施すことによって、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60b、並びに、上述の実施形態と同様に、補強部材67が硬化する。このとき、個別バンプ136とランド58とが互いに接合される(接点C)と共に、ダミーバンプ137とダミーランド59とが互いに接合され(ダミー接点C’)、さらに、補強部材67がソルダレジスト161及びアクチュエータユニット21の両方に固定される。これによって、アクチュエータユニット21とCOF150とが互いに固定される(加圧加熱接合)。
【0081】
以上説明した変形例によると、接点カバー層60a及びダミー接点カバー層60bを形成するのと同時に補強部材67を形成することが可能である。よって、図1〜図11に沿って説明した実施形態によって得られる利点に加えて、記録ヘッドを容易に製造することが可能であるという利点が得られる。
【0082】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態においては、補強部材67に固定される補強部69がアクチュエータユニット21の外周部全てであるが、補強部69はアクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部であってもよい。例えば補強部69は、アクチュエータユニット21の少なくとも一辺に沿った外周部であってもよい。また、アクチュエータユニット21の辺のうち非固定部分50bに最も近い一辺以外の全ての辺に沿った外周部であってもよい。
【0083】
また、上述の実施形態においては、ダミー接点C’が設けられているが、ダミー接点C’が設けられていなくてもよい。また、ダミー接点C’が、アクチュエータユニット21の少なくとも一辺に沿って設けられていてもよい。例えば、補強部がアクチュエータユニット21の辺のうち非固定部分50bに最も近い一辺以外の全ての辺に沿った外周部である場合、非固定部分50bに最も近い当該一辺に沿ってダミー接点C’を設けることが望ましい。
【0084】
上述の実施形態においては、ダミー接点C’を構成するダミーバンプ137およびダミーランド59は、アクチュエータユニット21とCOF50とを物理的に接続する形態にあればよく、共通電極134に接続されていても良い。
【0085】
上述の変形例において、溝161aに充填された熱硬化性エポキシ樹脂は、アクチュエータユニット21の側面および補強部69と接合していた。このとき、COF150は補強部69に向かって折れ曲がって接合される。しかし、補強部69に対応するアクチュエータユニット21の表面には、補強用のバンプが溝161aに対向して形成されていても良い。補強用バンプは、各バンプ136、137と表面からの高さが同じである。材質は、各バンプ136、137と同じであっても、異なっていても良い。補強用バンプは、各接点C、C’を形成するときに、溝161a内の樹脂を貫通できればよい。なお、製造工程の簡略化の観点から、材質は、各バンプ136、137と同じがよい。
【符号の説明】
【0086】
1 インクジェットヘッド
9 流路ユニット
21 アクチュエータユニット
50 COF
58 ランド
59 ダミーランド
61 ソルダレジスト
69 補強部
67 補強部材
101 インクジェットプリンタ
136 個別バンプ
137 ダミーバンプ
C 接点
C’ ダミー接点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する流路ユニットと、
前記流路ユニット内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータユニットと、
前記アクチュエータユニットに固定され、前記アクチュエータユニットに駆動信号を供給する平型柔軟基板と、
平面視において、前記アクチュエータユニットの輪郭内に設けられ、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを電気的に接続する複数の接点と、
前記アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部である補強部と前記平型柔軟基板とを固定する補強部材とを備えていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項2】
前記補強部が、前記アクチュエータユニットの外周部全てであることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
【請求項3】
前記アクチュエータユニットが、平面視において、多角形形状を有しており、
前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットを越えて延在した、前記アクチュエータユニットに固定されていない非固定部分を有しており、
前記補強部が、前記アクチュエータユニットの辺のうち前記非固定部分に最も近い一辺以外の全ての辺に沿った前記外周部であることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
【請求項4】
前記複数の接点と同様の形状を有し、前記複数の接点よりも前記非固定部分に近い位置に設けられた複数のダミー接点を備えていることを特徴とする請求項3に記載の記録ヘッド。
【請求項5】
前記アクチュエータユニットが、前記平型柔軟基板と対向する表面A、前記表面Aに配置された複数の個別電極、前記駆動信号が供給されると共に前記個別電極と電気的にそれぞれ接続された複数のバンプ、及び、前記複数のバンプと同様の形状を有し前記駆動信号が供給されない複数のダミーバンプを有しており、
前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットと対向する表面B、前記表面Bに配置され前記バンプにそれぞれ接合された複数のランド、及び、前記複数のランドと同様の形状を有し前記ダミーバンプにそれぞれ接合された複数のダミーランドを有しており、
前記複数の接点が、前記バンプ及び前記ランドをそれぞれ含んでおり、
前記複数のダミー接点が、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドをそれぞれ含んでいることを特徴とする請求項4に記載の記録ヘッド。
【請求項6】
前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、
前記補強部材が、前記補強部と前記配線被覆層との間に介在するように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の記録ヘッド。
【請求項7】
前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、
前記補強部材が、前記配線被覆層に設けられた凹部内に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の記録ヘッド。
【請求項8】
前記平型柔軟基板が、前記複数のバンプそれぞれとの接合箇所を除いて少なくとも前記複数のランドを被覆する絶縁性のランド被膜層を有しており、
前記表面Bの面内方向に関して、前記ランド被膜層が前記配線被覆層に接触していることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の記録ヘッド。
【請求項9】
前記ランド被覆層は、熱硬化性接着剤であって、前記複数の接点及び前記複数のダミー接点をそれぞれ全周に亘って覆うと共に、前記表面A及び前記表面Bを接続していることを特徴とする請求項8に記載の記録ヘッド。
【請求項10】
前記補強部材は、熱硬化性接着剤であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の記録ヘッド。
【請求項11】
液体を吐出する流路ユニットに、前記流路ユニット内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータユニットが固定されており、前記アクチュエータユニットに、前記アクチュエータユニットに駆動信号を供給する平型柔軟基板が固定されており、平面視において、前記アクチュエータユニットの輪郭内に設けられ、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを電気的に接続する複数の接点を有する記録ヘッドの製造方法であって、
前記アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部である補強部、または、前記平型柔軟基板における前記補強部に対応する位置に、半硬化状態の熱硬化性接着剤からなる補強部材を形成する補強部材形成工程と、
前記平型柔軟基板と前記補強部材とが接触し、且つ、前記補強部材と前記補強部とが接触している状態において前記補強部材を加熱により硬化させることによって、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定する固定工程とを備えていることを特徴とする記録ヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記補強部が、前記アクチュエータユニットの外周部全てであることを特徴とする請求項11に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記アクチュエータユニットが、平面視において、多角形形状を有しており、
前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットを越えて延在した、前記アクチュエータユニットに固定されていない非固定部分を有しており、
前記補強部が、前記アクチュエータユニットの辺のうち前記非固定部分に最も近い一辺以外の全ての辺に沿った前記外周部であることを特徴とする請求項11に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記固定工程において、前記複数の接点、及び、前記複数の接点と同様の形状を有する複数のダミー接点を、前記複数のダミー接点が前記複数の接点よりも前記非固定部分に近くなるように形成することを特徴とする請求項13に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記アクチュエータユニットが、前記平型柔軟基板と対向する表面A、前記表面Aに配置された複数の個別電極、前記駆動信号が供給され前記個別電極と電気的にそれぞれ接続された複数のバンプ、及び、前記複数のバンプと同様の形状を有すると共に前記駆動信号が供給されない複数のダミーバンプを有しており、
前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットと対向する表面B、前記表面Bに配置され前記バンプにそれぞれ接合された複数のランド、及び、前記複数のランドと同様の形状を有し前記ダミーバンプにそれぞれ接合された複数のダミーランドを有しており、
前記複数の接点が、前記バンプ及び前記ランドをそれぞれ含んでおり、
前記複数のダミー接点が、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドをそれぞれ含んでおり、
前記固定工程において、前記バンプ及び前記ランドがそれぞれ接合され、且つ、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドがそれぞれ接合されるように、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定することを特徴とする請求項14に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項16】
前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、
前記補強部材形成工程において、前記配線被覆層における前記アクチュエータユニットの前記補強部に対応する位置、または、前記補強部に、前記補強部材を形成し、
前記固定工程において、前記配線被覆層と前記補強部材とが接触し、且つ、前記補強部材と前記補強部とが接触している状態において前記補強部材を加熱により硬化させることによって、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定することを特徴とする請求項15に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記平型柔軟基板が、前記表面Bの面内方向に関して、前記配線被覆層に接触していると共に少なくとも前記ランドを被膜する絶縁性のランド被膜層を備えており、
前記固定工程において、前記複数のバンプが前記ランド被覆層を貫通して前記複数のランドに接合されるように、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定することを特徴とする請求項16に記載の記録ヘッド製造方法。
【請求項18】
前記補強部材及び前記ランド被覆層が同一の樹脂であって、
前記補強部材形成工程において、前記ランド被覆層を形成するのと同時に、前記平型柔軟基板における前記補強部に対応する位置に設けられた凹部内に前記補強部材を形成することを特徴とする請求項17に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項1】
液体を吐出する流路ユニットと、
前記流路ユニット内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータユニットと、
前記アクチュエータユニットに固定され、前記アクチュエータユニットに駆動信号を供給する平型柔軟基板と、
平面視において、前記アクチュエータユニットの輪郭内に設けられ、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを電気的に接続する複数の接点と、
前記アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部である補強部と前記平型柔軟基板とを固定する補強部材とを備えていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項2】
前記補強部が、前記アクチュエータユニットの外周部全てであることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
【請求項3】
前記アクチュエータユニットが、平面視において、多角形形状を有しており、
前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットを越えて延在した、前記アクチュエータユニットに固定されていない非固定部分を有しており、
前記補強部が、前記アクチュエータユニットの辺のうち前記非固定部分に最も近い一辺以外の全ての辺に沿った前記外周部であることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
【請求項4】
前記複数の接点と同様の形状を有し、前記複数の接点よりも前記非固定部分に近い位置に設けられた複数のダミー接点を備えていることを特徴とする請求項3に記載の記録ヘッド。
【請求項5】
前記アクチュエータユニットが、前記平型柔軟基板と対向する表面A、前記表面Aに配置された複数の個別電極、前記駆動信号が供給されると共に前記個別電極と電気的にそれぞれ接続された複数のバンプ、及び、前記複数のバンプと同様の形状を有し前記駆動信号が供給されない複数のダミーバンプを有しており、
前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットと対向する表面B、前記表面Bに配置され前記バンプにそれぞれ接合された複数のランド、及び、前記複数のランドと同様の形状を有し前記ダミーバンプにそれぞれ接合された複数のダミーランドを有しており、
前記複数の接点が、前記バンプ及び前記ランドをそれぞれ含んでおり、
前記複数のダミー接点が、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドをそれぞれ含んでいることを特徴とする請求項4に記載の記録ヘッド。
【請求項6】
前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、
前記補強部材が、前記補強部と前記配線被覆層との間に介在するように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の記録ヘッド。
【請求項7】
前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、
前記補強部材が、前記配線被覆層に設けられた凹部内に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の記録ヘッド。
【請求項8】
前記平型柔軟基板が、前記複数のバンプそれぞれとの接合箇所を除いて少なくとも前記複数のランドを被覆する絶縁性のランド被膜層を有しており、
前記表面Bの面内方向に関して、前記ランド被膜層が前記配線被覆層に接触していることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の記録ヘッド。
【請求項9】
前記ランド被覆層は、熱硬化性接着剤であって、前記複数の接点及び前記複数のダミー接点をそれぞれ全周に亘って覆うと共に、前記表面A及び前記表面Bを接続していることを特徴とする請求項8に記載の記録ヘッド。
【請求項10】
前記補強部材は、熱硬化性接着剤であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の記録ヘッド。
【請求項11】
液体を吐出する流路ユニットに、前記流路ユニット内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータユニットが固定されており、前記アクチュエータユニットに、前記アクチュエータユニットに駆動信号を供給する平型柔軟基板が固定されており、平面視において、前記アクチュエータユニットの輪郭内に設けられ、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを電気的に接続する複数の接点を有する記録ヘッドの製造方法であって、
前記アクチュエータユニットの外周部の少なくとも一部である補強部、または、前記平型柔軟基板における前記補強部に対応する位置に、半硬化状態の熱硬化性接着剤からなる補強部材を形成する補強部材形成工程と、
前記平型柔軟基板と前記補強部材とが接触し、且つ、前記補強部材と前記補強部とが接触している状態において前記補強部材を加熱により硬化させることによって、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定する固定工程とを備えていることを特徴とする記録ヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記補強部が、前記アクチュエータユニットの外周部全てであることを特徴とする請求項11に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記アクチュエータユニットが、平面視において、多角形形状を有しており、
前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットを越えて延在した、前記アクチュエータユニットに固定されていない非固定部分を有しており、
前記補強部が、前記アクチュエータユニットの辺のうち前記非固定部分に最も近い一辺以外の全ての辺に沿った前記外周部であることを特徴とする請求項11に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記固定工程において、前記複数の接点、及び、前記複数の接点と同様の形状を有する複数のダミー接点を、前記複数のダミー接点が前記複数の接点よりも前記非固定部分に近くなるように形成することを特徴とする請求項13に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記アクチュエータユニットが、前記平型柔軟基板と対向する表面A、前記表面Aに配置された複数の個別電極、前記駆動信号が供給され前記個別電極と電気的にそれぞれ接続された複数のバンプ、及び、前記複数のバンプと同様の形状を有すると共に前記駆動信号が供給されない複数のダミーバンプを有しており、
前記平型柔軟基板が、前記アクチュエータユニットと対向する表面B、前記表面Bに配置され前記バンプにそれぞれ接合された複数のランド、及び、前記複数のランドと同様の形状を有し前記ダミーバンプにそれぞれ接合された複数のダミーランドを有しており、
前記複数の接点が、前記バンプ及び前記ランドをそれぞれ含んでおり、
前記複数のダミー接点が、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドをそれぞれ含んでおり、
前記固定工程において、前記バンプ及び前記ランドがそれぞれ接合され、且つ、前記ダミーバンプ及び前記ダミーランドがそれぞれ接合されるように、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定することを特徴とする請求項14に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項16】
前記平型柔軟基板が、前記ランドにそれぞれ接続された複数の配線、及び、前記複数の配線を被覆する絶縁性の配線被覆層を有しており、
前記補強部材形成工程において、前記配線被覆層における前記アクチュエータユニットの前記補強部に対応する位置、または、前記補強部に、前記補強部材を形成し、
前記固定工程において、前記配線被覆層と前記補強部材とが接触し、且つ、前記補強部材と前記補強部とが接触している状態において前記補強部材を加熱により硬化させることによって、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定することを特徴とする請求項15に記載の記録ヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記平型柔軟基板が、前記表面Bの面内方向に関して、前記配線被覆層に接触していると共に少なくとも前記ランドを被膜する絶縁性のランド被膜層を備えており、
前記固定工程において、前記複数のバンプが前記ランド被覆層を貫通して前記複数のランドに接合されるように、前記アクチュエータユニットと前記平型柔軟基板とを固定することを特徴とする請求項16に記載の記録ヘッド製造方法。
【請求項18】
前記補強部材及び前記ランド被覆層が同一の樹脂であって、
前記補強部材形成工程において、前記ランド被覆層を形成するのと同時に、前記平型柔軟基板における前記補強部に対応する位置に設けられた凹部内に前記補強部材を形成することを特徴とする請求項17に記載の記録ヘッドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−121186(P2011−121186A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278408(P2009−278408)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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