説明

記録再生方法および装置

【課題】バッファに蓄積したディジタルビデオデータを有効に活用できる記録再生方法および装置を提供する。
【解決手段】逆方向再生に移行した後のバッファ操作において、HDD4から読み込まれた次の逆方向のフレームデータを、バッファ3内に蓄積されたフレームデータ[N0]、[N1]、[N2]……[N10]の最初、つまり先頭のフレームデータ[N0]の前に追加し、バッファ3内に蓄積されたフレームデータ[N0]、[N1]、[N2]……[N10]を残しておき、逆方向再生移行時もバッファ3内に確保しておくことで、バッファ3に蓄積したフレームデータを有効活用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置にアクセスし、映像処理されたデータを前記記憶装置に記録または再生する記録再生方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクビデオレコーダは、入力したビデオ信号を圧縮したディジタルビデオデータに変換してハードディスクドライブ(以下、HDDという)に記録する、あるいはHDDに記録された圧縮ディジタルビデオデータを読み出してビデオ信号に再生する装置である。
そして、ハードディスクビデオレコーダは前記機能を実現するため、ストレージデバイスであるHDDの制御が必要であり、一般的にその制御システムとしてオペレーティングシステム(以下、OSという)を使用する。OSはその管理下でファイルシステムをコントロールし、HDDへのディジタルビデオデータの記録再生時に、ファイルデータの制御を行う。
また、ハードディスクビデオレコーダは前記機能を実現するためバッファを装備している。OSは、ストレージデバイスであるHDDの制御を行い、さらに他の仕事(ストリームエンコーダにおける圧縮処理やストリームデコーダなどにおける解凍処理など)を行う時間が必要であり、その間、HDDからのデータの読み書きが中断しても、バッファを装備することでビデオ信号の記録再生を連続的に行うことが出来るように構成されている。
さらに、HDDからのデータの読み書きに関しても、必要なデータの読み書き位置への移動であるシーク時間中においても、バッファを装備することでビデオ信号の記録再生を連続的に行うことが出来るように構成されている。
【0003】
図7は、このようなビデオ信号の記録再生を連続的に行う従来のハードディスクビデオレコーダの構成を示すブロック図である。
このハードディスクビデオレコーダはビデオ信号入力ブロック51、ストリームエンコーダ52、バッファ53、HDD54、ストリームデコーダ55、ビデオ信号出力ブロック56、ビデオ信号同期回路57、ファイルシステム58およびシステムコントローラ59を備えている。
【0004】
次に動作について説明する。
図7に示すハードディスクビデオレコーダでは、入力ビデオ信号はビデオ信号入力ブロック51へ入力される。ビデオ信号同期回路57では、ビデオ信号入力ブロック51へ入力された入力ビデオ信号に同期をとることで後段のブロックで必要な垂直同期信号、水平同期信号およびクロック信号を含む各種信号を生成する。次にストリームエンコーダ52では、入力された入力ビデオ信号に対してコーデックを行い、ビデオ信号の圧縮を行う。
ストリームエンコーダ52でコーデックされ圧縮されたデータはバッファ53へ送られて一時保存され、その後、順次、HDD54へ書き込まれる。
【0005】
ビデオ信号の再生時には、記録されたビデオデータをHDD54からバッファ53に読み出す。その後、バッファ53からはストリームデコーダ55へデータを順次送り出す。
ストリームデコーダ55では、データのコーデック圧縮を解凍して、次のビデオ信号出力ブロック56に送る。
ビデオ信号出力ブロック56では、解凍されたビデオ信号へビデオ信号同期回路57により同期信号等を付加し、システムに入力されたビデオ信号と同様の波形を生成し出力する。
【0006】
システムコントローラ59は、このハードディスクビデオレコーダの各部のコントロールを行うもので、ソフトウェアを含む。
また、前記一連の動作において、OSの下で動作しているファイルシステム58は、HDD54に記録または再生したディジタルビデオデータのファイルを管理する。
【0007】
次に、標準再生時のバッファ53の動作について説明する。
図8は、従来のハードディスクビデオレコーダにおける標準再生時のバッファ53の動作を示す説明図である。説明上、バッファ53は、トータル16個のフレームを蓄積できるフレームバッファで構成されているとする。図8では、バッファ53内には、N0,N1,N2、・・・、N10までのフレームデータがHDD54より読み込まれて蓄積されている。またバッファ53では、F1,F2,F3、F5の合計5個のフレームバッファが未使用の状態にある。またこのとき、バッファ53内の先頭のフレームバッファに蓄積されたフレームデータ[N0]が再生対象フレームである。
【0008】
次に、継続して再生するために、HDD54から次のフレームデータがバッファ53に読み込まれる。図9は、従来のハードディスクビデオレコーダにおいてHDD54から次のフレームデータがバッファ53に読み込まれるときの動作を示す説明図である。前記次のフレームデータは、バッファ53に蓄積された、フレームデータ[N0]、[N1]、[N2]、……[N10]の最後に追加するので、フレームデータ[N10]が蓄積された最終端のフレームバッファの次に未使用のフレームバッファF5を用意する。この未使用のフレームバッファF5にHDD54から次のフレームデータ[N11]を読み込む。
バッファ53にフレームデータが蓄積されているのと並行して、蓄積されたフレームの再生が行われる。図10は、従来のハードディスクビデオレコーダにおいてバッファ53にフレームデータが蓄積されているのと並行して、蓄積されたフレームの再生が行われるときの動作を示す説明図である。再生対象であるフレームデータ[N0]がストリームデコーダ55に送られる。フレームデータ[N0]をストリームデコーダ55に送り終えた後、フレームデータ[N0]が蓄積されていたフレームバッファは未使用フレームバッファF5として管理される。そして、再生対象フレームデータは次のフレームバッファに蓄積されている次のフレームデータ[N+1]、すなわちフレームデータ[N1]となる。
【0009】
次に、HDD54から次のフレームデータがバッファ53に読み込まれる処理と、バッファ53に蓄積されたフレームデータを再生する処理が同時並行的に動作進行する。つまり、バッファ53からストリームデコーダ55にフレームデータが送り出される一方、HDD54から次のフレームデータがバッファに読み込まれる。その動作スピードは、バッファ53からストリームデコーダ55にフレームデータが送りだされるスピードは基本的に一定である。しかし、HDD54から次のフレームデータがバッファ53に読み込まれるスピードは厳密には一定しない。理由は、OSがHDD54から次のフレームデータをバッファ53に読み込む制御を行う他に、ストリームデコーダ55やビデオ信号同期回路57などの制御をも合わせて行う必要があり、HDD54からのデータ読み込みが中断することがあるためである。また、HDD54からのデータの読み込みに関しても、必要なデータの読み込み位置へのHDDのヘッド移動であるシーク動作が必要であり、その間データが読み出せない時間が発生する。こうしたスピード差から、バッファ53に蓄積されるフレームデータの数は増減し、それに伴って未使用のフレームバッファ数も増減する。
【0010】
この様なバッファ53の動作で特殊再生の中の逆方向再生を行う場合、以下の2つの方法がある。
図11は、逆方向再生を行う場合の従来の2つの方法を示す説明図である。
第1の方法は、逆方向再生の開始から直ちに逆方向再生を行わず、バッファ53内に蓄積されたフレームデータを全て順方向再生した後、HDD53に蓄積されている新たに読み込まれた逆方向のフレームデータ[N−1]から逆方向再生を行うバッファ操作である。つまり、フレームデータ[N0]→[N1]→[N2]……[N10]の順でバッファ53内から順に読み出し、フレームデータ[N10]まで順方向再生した後、HDD54からバッファ53へ新たに読み込まれた逆方向のフレームデータ[N−1]から逆方向再生を開始する。この第1の方法では、逆方向再生を行うタイミングが、バッファ53からフレームデータを[N0]→[N1]→[N2]……[N10]の順で読み出し順方向再生を完了するまでの時間遅れることになり、タイムラグが発生するという問題がある。
これに対し、第2の方法として、逆方向再生の開始とともに、バッファ53内に蓄積された順方向のフレームデータ[N0]、[N1]、[N2]……[N10]を直ちに消去することで、前記第1の方法におけるタイムラグが発生するという問題点を解決するとともに、新たに読み込まれた逆方向のフレームデータ[N−1]から逆方向再生を行うバッファ操作がある。
【0011】
このような、逆方向再生を行う記録再生装置としては、逆方向再生のためのデータをダブルバッファに蓄積して使用し逆方向再生を可能にしたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−69310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って従来の記録再生装置では、第2の方法を採用した場合、前記第1の方法における逆方向再生を行うタイミングに遅れが発生するという問題点が解決される一方、バッファに蓄積されたディジタルビデオデータを消去してしまうため、蓄積したディジタルビデオデータが使用できず無駄になるという課題がある。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フレームバッファに蓄積したフレームデータを有効に活用できる記録再生方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、記憶装置へアクセスし、前記記憶装置に記録したビデオ信号を読み出し再生回路で再生する、順方向標準再生モードおよび逆方向再生モードを備えた記録再生装置であって、前記記憶装置から読み出した前記ビデオ信号のフレームデータを一時的に蓄積する複数のフレームバッファと、前記フレームバッファにおいて前記フレームデータを蓄積した蓄積フレームバッファと、未使用の未使用フレームバッファとを分けて管理する管理手段と、前記蓄積フレームバッファに蓄積されているフレームデータを管理し、そのフレームデータ間を関係付けてフレームデータ列として管理するフレームデータ管理手段とを有し、前記逆方向再生モードでは、前記フレームデータ管理手段は、管理している前記フレームデータ列の先頭に、現在再生中のフレームデータに続けて逆方向再生される前記記憶装置から読み出されたフレームデータを関係付けることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、記憶装置へアクセスし、前記記憶装置に記録したビデオ信号を読み出し再生回路で再生する、順方向標準再生モードおよび逆方向再生モードを備えた記録再生方法であって、前記記憶装置から読み出した前記ビデオ信号のフレームデータを複数のフレームバッファへ一時的に蓄積するステップと、前記フレームバッファにおいて前記フレームデータを蓄積した蓄積フレームバッファと、未使用の未使用フレームバッファとを分けて管理手段が管理するステップと、前記蓄積フレームバッファに蓄積されているフレームデータを管理し、そのフレームデータ間を関係付けてフレームデータ列としてフレームデータ管理手段が管理するステップとを有し、前記逆方向再生モードでは、前記フレームデータ管理手段は、管理している前記フレームデータ列の先頭に、現在再生中のフレームデータに続けて逆方向再生される前記記憶装置から読み出されたフレームデータを関係付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明の記録再生方法および装置によれば、フレームバッファには削除されないフレームデータが蓄積されていることから、フレームバッファに残っているフレームデータを有効に活用できる記録再生方法および装置を提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
次に、本発明の第1の実施の形態による記録再生方法および装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態による記録再生方法が適用される記録再生装置の構成を示す機能ブロック図である。この記録再生装置では、順方向標準再生や逆方向再生を行う場合のバッファ操作、例えば逆方向再生モードでのバッファ操作である順方向標準再生から逆方向再生に移行したときのバッファ操作において、バッファ内のフレームデータを消去することなく、そのままバッファ内のフレームデータを残しておき、このフレームデータの活用により再度フレームデータを読み込むなどのシステム負荷を減少させるようにしたものである。また、順方向標準再生から逆方向再生に移行して、逆方向再生を行なった後に、再度、逆方向再生から順方向標準再生に戻した場合でも、バッファ内に残しておいたフレームデータを有効に活用できるようにしたものである。
この記録再生装置は、ビデオ信号入力ブロック1、ストリームエンコーダ2、バッファ(フレームバッファ)3、ハードディスクドライブ(以下、記憶装置であるHDDという)4、ストリームデコーダ(再生回路)5、ビデオ信号出力ブロック(再生回路)6、ビデオ信号同期回路(再生回路)7、ファイルシステム8およびシステムコントローラ(管理手段、フレームデータ管理手段、フレームデータ処理速度制御手段)9を備えている。
ビデオ信号入力ブロック1は、ビデオ信号の記録時に入力ビデオ信号が入力される回路である。ビデオ信号同期回路7は、ビデオ信号入力ブロック1へ入力された入力ビデオ信号に同期をとることで後段のブロックで必要な垂直同期信号、水平同期信号およびクロック信号を含む各種信号を生成する。ストリームエンコーダ2は、入力された入力ビデオ信号に対してコーデックを行い、ビデオ信号の圧縮を行う。バッファ3は、ストリームエンコーダ2でコーデックされ圧縮されたディジタルビデオデータを一時保存し、あるいはHDD4から読み出された圧縮されたディジタルビデオデータを一時保存する。
【0018】
ビデオ信号の再生時には、HDD4に記録された記録された圧縮されたディジタルビデオデータがバッファ3に読み出される。バッファ3では、HDD4から読み出されたディジタルビデオデータを一時保存し、ストリームデコーダ5へ前記ディジタルビデオデータを順次送り出す。
ストリームデコーダ5は、ディジタルビデオデータのコーデック圧縮を解凍する。ビデオ信号出力ブロック6は、解凍されたディジタルビデオデータへビデオ信号同期回路7により生成された同期信号等を付加し、システムに入力された入力ビデオ信号と同様の波形を生成し出力する。
【0019】
システムコントローラ9は、この記録再生装置の各部のコントロールを行うもので、ソフトウェアを含む。
また、OSの下で動作しているファイルシステム8は、HDD4に記録または再生したディジタルビデオデータのファイルを管理する。
【0020】
次に動作について説明する。
以下、この第1の実施の形態の記録再生装置の逆方向再生時におけるバッファ3の操作について図2、図3、図4に従って説明する。図2は順方向標準再生時におけるバッファ3の操作を示す説明図である。また、図3は、逆方向再生時におけるバッファ3の操作を示す説明図である。図4は、逆方向再生に移行後のバッファ操作を示す説明図である。
順方向標準再生時のバッファ3は従来例で説明したのと同様に図8に示す状況で動作しているとする。また、バッファ3は、トータル16個のフレームデータを蓄積できるフレームバッファで構成されているとする。そして、各フレームバッファはポインタにより関連付けられて管理される。すなわち、フレームバッファは蓄積フレームバッファと未使用フレームバッファとに分けられ、それぞれポインタにより関連付けられて管理される。蓄積フレームバッファは、HDD4から読み出されたフレームデータが蓄積されているフレームバッファである。未使用フレームバッファは、蓄積されているフレームデータの再生が終了したフレームバッファである。
図8では、バッファ3内には、[N0]、[N1]、[N2]・・・[N10]までのフレームデータがHDD4より読み込まれて各蓄積フレームバッファに蓄積されている。またバッファ3内には、F1,F2,F3・・・F5の合計五つのフレームバッファが未使用の状態にあり未使用フレームバッファとなっている。またこのときバッファ内の先頭データであるフレームデータ[N0]が再生対象フレームである。
【0021】
次に、逆方向再生へ移行する直前の順方向標準再生時のバッファ操作について説明する。
図2に示すように、HDD4から次の順方向のフレームデータがバッファ3に読み込まれる。次のフレームデータは、バッファ3内の蓄積フレームバッファに蓄積されたフレームデータ[N0]、[N1]、[N2]……[N10]の最後に追加する。このため蓄積フレームバッファの最終端(フレームデータ[N10]が蓄積された蓄積フレームバッファ)に続けて未使用フレームバッファF5を用意する。この未使用フレームバッファF5にHDD4から次のフレームデータ[N11]を読み込み、フレームデータ[N10]が蓄積されている蓄積フレームバッファに続く、フレームデータ[N11]が蓄積された蓄積フレームバッファとして管理する。
【0022】
次に、逆方向再生に移行後のバッファ操作について説明する。
逆方向再生に移行時のバッファ操作では、図3に示すように、HDD4から次の逆方向のフレームデータがバッファ3に読み込まれる。このフレームデータは、バッファ3内のフレームデータ[N1]、[N2]……[N10]を蓄積した蓄積フレームバッファの最初、つまり先頭に追加する。
このため、蓄積したフレームデータの開始端、つまりフレームデータ[N0]の前に未使用フレームバッファF5を用意する。
この未使用フレームバッファF5にHDD4から次の逆方向のフレームデータ[N−1]を読み込み、フレームデータ[N0]の蓄積されている蓄積フレームバッファに続く、フレームデータ[N−1]が蓄積されている蓄積フレームバッファとして管理する。
そして、逆方向のフレームデータ[N−1]が蓄積された蓄積フレームバッファの追加と同時に、バッファ3内の最終端の蓄積フレームバッファに蓄積された最終端フレームデータ[N10]を削除し、このフレームバッファを未使用フレームバッファとして管理する。
【0023】
そして、図3に示すように、フレームデータ[N−1]が蓄積された蓄積フレームバッファが、フレームデータ[N0]の蓄積されている蓄積フレームバッファの前に追加されるのと並行し、前記蓄積フレームバッファに蓄積されたフレームデータ[N0]の再生が行われ、再生対象のフレームデータ[N0]がストリームデコーダ5に送られる。
ストリームデコーダ5に送り終えた後も、フレームデータ[N0]はそのままバッファ3内に蓄積された状態を維持する。
そして、図4に示すように、次の再生対象フレームは順方向再生の場合はバッファ3の蓄積フレームバッファに蓄積されている次のフレームデータ[N1]であるが、逆方向再生を開始したら再生対象フレームは順方向再生の場合とは逆方向の次の蓄積フレームバッファに蓄積されているフレームデータ[N−1]となる。
【0024】
この逆方向再生時には、バッファ3からストリームデコーダ5にフレームデータ[N−1]が送りだされる一方、HDD4から逆方向の次のフレームデータ[N−2]がバッファ3に読み込まれる。その動作スピードは差がある。理由は従来システムでの説明と同様である。また逆方向再生移行時には、バッファ3からストリームデコーダ5にフレームデータが送りだされるスピードV1より、HDD4から次のフレームデータがバッファ3に読み込まれるスピードV2の方が大きくなるように設定する。この結果、逆方向再生時もバッファ3内にはフレームデータが蓄積する。
【0025】
以上、説明したように、この第1の実施の形態によれば、逆方向再生移行時、バッファ3からストリームデコーダ5にフレームデータを送り出すスピードV1より、次の逆方向のフレームデータをHDD4からバッファ3へ読み込むスピードV2の方が大きくなるように設定する。
また、逆方向再生に移行後のバッファ操作では、HDD4から読み込まれる次の逆方向のフレームデータは、バッファ3内に蓄積されたフレームデータ[N0]、[N1]、[N2]……[N10]の最初、つまり先頭のフレームデータ[N0]の前に追加する。
このため、バッファ3内に蓄積されたフレームデータ[N0]、[N1]、[N2]……[N10]は、逆方向再生移行時も削除されずに確保され、さらに逆方向再生移行後、再度、順方向標準再生を行うような場合でもバッファ3内に蓄積されたフレームデータを利用できることになり、バッファ3に蓄積したフレームデータを有効に活用できる記録再生方法および装置を提供できる。
【0026】
また、この第1の実施の形態によれば、逆方向再生に移行後のバッファ操作の特徴があることから、特別なリソースの追加は必要なく、バッファ操作法のみで、つまりソフトウェア的な処理のみによりバッファ3に蓄積したフレームデータを有効に活用できるなどの効果がある。
【0027】
(第2の実施の形態)
この第2の実施の形態の記録再生装置の構成は前記第1の実施の形態の記録再生装置の構成と同様である。この第2の実施の形態の記録再生装置では、システムコントローラ9が行う逆方向再生時におけるバッファ3の操作に違いがある。
【0028】
以下、この第2の実施の形態の記録再生装置の逆方向再生時におけるバッファ3の操作について図5、図6に従って説明する。図5および図6は、この第2の実施の形態の記録再生装置の逆方向再生時におけるバッファ3の操作を示す説明図である。
順方向標準再生時のバッファ3は前記第1の実施の形態で説明したのと同様に図8に示す状況で動作しているとする。また、バッファ3は、トータル16個のフレームデータを蓄積できるフレームバッファで構成されている。そして、各フレームバッファはポインタにより関連付けられて管理されている。
図8では、バッファ3内には、[N0]、[N1]、[N2]・・・[N10]までのフレームデータがHDD4より読み込まれて蓄積フレームバッファに蓄積されている。またバッファ3内には、F1,F2,F3・・・F5の合計五つのフレームバッファが未使用の状態、すなわち未使用フレームバッファとなっている。またこのときバッファ内の先頭のフレームデータ[N0]が再生対象フレームである。
【0029】
次に、逆方向再生へ移行する直前の順方向標準再生時のバッファ操作について説明する。
図2を流用して説明すると、図2はこの順方向標準再生時のバッファ操作を示す説明図である。HDD4から次の順方向のフレームデータ[N11]がバッファ3に読み込まれる。次のフレームデータは、バッファ3内に蓄積されたフレームデータ[N0]、[N1]、[N2]……[N10]の最後に追加する。このためフレームデータ[N10]を蓄積した蓄積フレームバッファに続けて未使用フレームバッファF5を用意する。この未使用フレームバッファF5にHDD4から次のフレームデータ[N11]を読み込む。
【0030】
次に、逆方向再生に移行後のバッファ操作について説明する。
逆方向再生に移行後のバッファ操作では、図5に示すように、HDD4から次の逆方向のフレームデータがバッファ3に読み込まれる。このフレームデータは、バッファ3内に蓄積されたフレームデータ[N0]、[N1]、[N2]……[N10]の最初、つまり先頭のフレームデータ[N0]に追加する。このため蓄積したフレームデータの開始端であるフレームデータ[N0]の前に未使用フレームバッファF5を用意する。この未使用フレームバッファF5にHDD4から次の逆方向のフレームデータ[N−1]を読み込む。
このとき、前記第1の実施の形態では、逆方向のフレームデータ[N−1]のバッファ3への追加と同時に、バッファ3内の最終端の蓄積フレームバッファに蓄積されているフレームデータ[N10]を削除し、このフレームバッファを未使用フレームバッファとしていたのに対し、この第2の実施の形態では未使用フレームバッファがなくなるまで最終端の蓄積フレームバッファに蓄積されているフレームデータ[N10]の削除は行わず、このフレームバッファの未使用フレームバッファへの切り替えも行わず、未使用フレームバッファがなくなった時点で最終端フレームデータ[N10]を削除し、そのフレームバッファを未使用フレームバッファにする。
【0031】
そして、バッファ3に逆方向のフレームデータ[N−1]が蓄積されるのと並行して、蓄積されているフレームデータ[N0]の再生が行われ、再生対象のフレームデータ[N0]がストリームデコーダ5に送られる。そして、このフレームデータ[N0]をストリームデコーダ5に送り終えた後も、フレームデータ[N0]はそのままバッファ3内に蓄積された状態を維持する。次の再生対象フレームは順方向再生の場合はバッファ3に蓄積されている次のフレームデータ[N1]であるが、逆方向再生を開始したら再生対象フレームは次の逆方向のフレームデータ[N−1]となる。
【0032】
図6は、再生対象フレームがフレームデータ[N−1]のときの逆方向再生時のバッファ操作を示しており、この逆方向再生時には、バッファ3からストリームデコーダ5にフレームデータ[N−1]が送りだされる一方で、HDD4から逆方向の次のフレームデータ[N−2]がバッファ3に読み込まれる。このバッファ操作については前記第1の実施の形態と同様である。この結果、逆方向再生時もバッファ3内にフレームデータが蓄積する。
【0033】
以上、説明したように、この第2の実施の形態によれば、逆方向再生移行時、未使用フレームバッファがなくなるまで最終端のフレームデータの削除は行わず、未使用フレームバッファがなくなった時点で前記最終端のフレームデータを削除し、そのフレームデータを蓄積していたフレームバッファを未使用フレームバッファにする。
また、逆方向再生に移行後のバッファ操作では、HDD4から読み込まれる次の逆方向のフレームデータ[N−1]は、バッファ3内に蓄積されているフレームデータ[N0]、[N1]、[N2]……[N10]の最初、つまりフレームデータ[N0]の前に追加する。そして、フレームデータ[N0]を再生するとともに逆方向の次のフレームデータ[N−2]の読み込みを行い、フレームデータ[N−1]の前に追加し、未使用フレームバッファがなくなった時点で最終端のフレームデータ[N10]を削除し、そのフレームデータ[N10]を蓄積していたフレームバッファを未使用フレームバッファにする。
このため、バッファ3内に蓄積されたフレームデータ[N0]、[N1]、[N2]……[N10]は、逆方向再生移行時も確保されることになり、バッファ3に蓄積したフレームデータを有効に活用できる記録再生方法および装置を提供できる。
また、以上説明した逆方向再生を行なっている間に、バッファ3の最大蓄積フレーム数のフレームデータをバッファ3に蓄積するため、特に、逆方向再生を行なった後に逆方向再生から順方向再生に戻した場合、最大蓄積フレーム数のバッファ内フレームデータを有効に使用することが出来る効果がある。
【0034】
(第3の実施の形態)
なお、第1の実施の形態、第2の実施の形態で説明したバッファ3はハードウェアとして実装する構成、あるいはOSが管理するメモリ上にアプリケーションで実装する構成いずれであってもよく、前記第1の実施の形態や第2の実施の形態において説明した効果と同一の効果を奏する。
【0035】
(第4の実施の形態)
なお、以上説明した各実施の形態では、HDD4に対しディジタルビデオデータを記録、再生するとして説明したが、記録装置としてはHDDなどの回転系記憶装置に限るものではなく、半導体メモリなどの記憶装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施の形態による記録再生方法が適用される記録再生装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による記録再生方法が適用される記録再生装置の順方向標準再生時におけるバッファの操作を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による記録再生方法が適用される記録再生装置の逆方向再生時におけるバッファの操作を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による記録再生方法が適用される記録再生装置の逆方向再生に移行後のバッファ操作を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の記録再生装置の逆方向再生時におけるバッファの操作を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の記録再生装置の逆方向再生時におけるバッファの操作を示す説明図である。
【図7】従来のハードディスクビデオレコーダの構成を示すブロック図である。
【図8】従来のハードディスクビデオレコーダにおける標準再生時のバッファの動作を示す説明図である。
【図9】従来のハードディスクビデオレコーダにおいてHDDから次のフレームデータがバッファに読み込まれるときの動作を示す説明図である。
【図10】従来のハードディスクビデオレコーダにおいてバッファにフレームデータが蓄積されているのと並行して、蓄積されたフレームの再生が行われるときの動作を示す説明図である。
【図11】逆方向再生を行う場合の従来の2つの方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1……ビデオ信号入力ブロック、2……ストリームエンコーダ、3……バッファ(フレームバッファ)、4……HDD(記憶装置)、5……ストリームデコーダ(再生回路)、6……ビデオ信号出力ブロック(再生回路)、7……ビデオ信号同期回路(再生回路)、9……システムコントローラ(管理手段、フレームデータ管理手段、フレームデータ処理速度制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置へアクセスし、前記記憶装置に記録したビデオ信号を読み出し再生回路で再生する、順方向標準再生モードおよび逆方向再生モードを備えた記録再生装置であって、
前記記憶装置から読み出した前記ビデオ信号のフレームデータを一時的に蓄積する複数のフレームバッファと、
前記フレームバッファにおいて前記フレームデータを蓄積した蓄積フレームバッファと、未使用の未使用フレームバッファとを分けて管理する管理手段と、
前記蓄積フレームバッファに蓄積されているフレームデータを管理し、そのフレームデータ間を関係付けてフレームデータ列として管理するフレームデータ管理手段とを有し、
前記逆方向再生モードでは、前記フレームデータ管理手段は、管理している前記フレームデータ列の先頭に、現在再生中のフレームデータに続けて逆方向再生される前記記憶装置から読み出されたフレームデータを関係付けることを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記フレームデータを前記記憶装置から前記フレームバッファへ読み込み蓄積する速度を、前記フレームバッファに蓄積されているフレームデータを前記再生回路へ送出する速度よりも大きく制御するフレームデータ処理速度制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記逆方向再生モードでは、前記フレームデータ管理手段は、管理している前記フレームデータ列の先頭に、現在再生中のフレームデータに続けて逆方向再生される前記記憶装置から読み出されたフレームデータを関係付けると同時に、前記フレームデータ列の最終端のフレームデータを削除し、前記管理手段は、前記フレームデータの削除されたフレームバッファを未使用フレームバッファとして管理することを特徴とする請求項1記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記逆方向再生モードでは、前記フレームデータ管理手段は、管理している前記フレームデータ列の先頭に、現在再生中のフレームデータに続けて逆方向再生される前記記憶装置から読み出されたフレームデータを関係付ける操作を、前記管理手段が管理する未使用フレームバッファがなくなるまで繰り返すことを特徴とする請求項1記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記逆方向再生モードでは、前記フレームデータ管理手段は、管理している前記フレームデータ列の先頭に、現在再生中のフレームデータに続けて逆方向再生される前記記憶装置から読み出されたフレームデータを関係付ける操作を、前記管理手段が管理する未使用フレームバッファがなくなるまで繰り返すと同時に、前記管理手段が管理する未使用フレームバッファがなくなると前記フレームデータ列の最終端のフレームデータを削除し、前記管理手段は、前記フレームデータの削除されたフレームバッファを未使用フレームバッファとして管理することを特徴とする請求項4記載の記録再生装置。
【請求項6】
記憶装置へアクセスし、前記記憶装置に記録したビデオ信号を読み出し再生回路で再生する、順方向標準再生モードおよび逆方向再生モードを備えた記録再生方法であって、
前記記憶装置から読み出した前記ビデオ信号のフレームデータを複数のフレームバッファへ一時的に蓄積するステップと、
前記フレームバッファにおいて前記フレームデータを蓄積した蓄積フレームバッファと、未使用の未使用フレームバッファとを分けて管理手段が管理するステップと、
前記蓄積フレームバッファに蓄積されているフレームデータを管理し、そのフレームデータ間を関係付けてフレームデータ列としてフレームデータ管理手段が管理するステップとを有し、
前記逆方向再生モードでは、前記フレームデータ管理手段は、管理している前記フレームデータ列の先頭に、現在再生中のフレームデータに続けて逆方向再生される前記記憶装置から読み出されたフレームデータを関係付けることを特徴とする記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−165009(P2009−165009A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2201(P2008−2201)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】