記録再生装置
【課題】この発明は、ホログラム記録再生装置に関し、媒体を介さない自己診断と媒体を介した自己診断を可能とし、記録再生用部品の不具合の検出を容易に行うことを課題とする。
【解決手段】光ビームを出射する光源と、ホログラム記録媒体に記録すべきページデータAに対応した空間情報を用いて、前記光ビームを変調した情報光を生成する空間変調部と、前記空間変調部で生成された情報光の光路を変換する光路変換部と、前記光路変換部で光路が変換された情報光を受光する光検出部と、前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBと前記ページデータAとを用いて、前記空間変調部および光検出部を含む記録再生用部品の動作を確認する診断部とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】光ビームを出射する光源と、ホログラム記録媒体に記録すべきページデータAに対応した空間情報を用いて、前記光ビームを変調した情報光を生成する空間変調部と、前記空間変調部で生成された情報光の光路を変換する光路変換部と、前記光路変換部で光路が変換された情報光を受光する光検出部と、前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBと前記ページデータAとを用いて、前記空間変調部および光検出部を含む記録再生用部品の動作を確認する診断部とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録再生装置に関し、特に、ホログラム記録媒体に対して記録再生を行い、装置を構成する記録再生用部品の診断機能を有する記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元的な情報を同じ位置に多重記録する方法としてホログラム記録方法が提案されている。ホログラム記録とは、記録媒体上の同じ位置に参照光と情報光を照射し、参照光の照射角度や波長を変化させることにより、異なる干渉を発生させ、媒体上の同じ位置に異なる情報を重ねて記録するものである(特許文献1参照)。
2次元的な情報(ページデータ)を媒体に記録するために液晶素子からなる空間光変調器(SLM)やビームスプリッタ,光学レンズ,ミラーなどの光学部品が用いられ、また媒体に記録された2次元的な情報を再生するために、CCDやCMOSからなる2次元撮像素子や光学レンズ,ミラーなどの多数の光学部品が用いられる。
【0003】
文書や図形等からなるデジタルデータを2次元情報として記録するホログラム記録再生装置では、空間光変調器(SLM)やCCDをはじめ、光学部品のいずれかにわずかな故障,欠陥あるいは調整不良があるだけで、媒体に記録や再生が全くできなくなる場合がある。
たとえば、CCDの1つの画素に欠陥があると、再生ができなくなる場合がある。
したがって、SLMやCCDをホログラム記録再生装置に使用する場合、欠陥のない部品であることが要求される。
しかし、空間光変調器や2次元撮像素子は、数百万画素という非常に多数の画素を持つ部品であるので、全く欠陥のない部品を常に製造することは困難であり、購入時全く欠陥のなかったCCDでも使用により欠陥が発生する場合もある。
【特許文献1】特開2004−158114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような複雑な部品を多数使用しているホログラム記録再生装置では、従来のCDやDVDのような媒体の記録再生装置よりも、故障や欠陥が発生する可能性が大きい。このような故障等を早期に発見できない場合には、一部に不良データを含む大容量の2次元データを記録していくことになり、ユーザにとって、大きな時間の無駄となる。
また、いわゆるライトワンスタイプのホログラム記録媒体では、媒体に不良データを記録することにより、使用可能な記録容量が大幅に減少してしまい、媒体そのものが無駄となってしまう場合もあり、ユーザの金銭的かつ精神的ダメージは大きい。
したがって、特に、ホログラム記録再生装置では、故障やCCD等の部品の欠陥あるいは調整不良を早期に検出することが要求される。
【0005】
また、ホログラム記録再生では、参照光の媒体に対する入射角度をわずかに変更するだけで多重記録が可能であるが、逆に、角度調整が設計値からわずかにずれるだけで、意図した2次元ページデータが再生できないことになる。このとき、2次元ページデータが再生できない原因が、角度調整機構にあるのか、媒体自体に問題があるのか、あるいはCCD等の再生系部品に欠陥があるのかを切り分けるのは難しい。
【0006】
したがって、ホログラム記録再生装置では、装置の欠陥等の早期検出が特に重要であるが、メーカーに修理に出す前に、欠陥原因がどこにあるのかがある程度特定できれば、修理に出さずにユーザレベルで調整できる場合もある。たとえば、再生不良の原因が、装置側にあるのか、媒体側にあるのかの切り分けができたとすると、媒体側に問題があるとわかった場合は、その後装置そのものは使用しつづけることが可能となる。
【0007】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、光の通過経路を通常の記録再生時の光路とは異ならせ、主として、媒体を介在させずに装置の自己診断をすることにより、容易かつ迅速に不具合の検出が可能なホログラム記録媒体の記録再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、光ビームを出射する光源と、ホログラム記録媒体に記録すべきページデータAに対応した空間情報を用いて、前記光ビームを変調した情報光を生成する空間変調部と、前記空間変調部で生成された情報光の光路を変換する光路変換部と、前記光路変換部で光路が変換された情報光を受光する光検出部と、前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBと前記ページデータAとを用いて、前記空間変調部および光検出部を含む記録再生用部品の動作を確認する診断部とを備えたことを特徴とする記録再生装置を提供するものである。
これによれば、光路変換部と診断部とを備えているので、容易に利用者に負担をかけずに、記録再生装置の不具合の検出をすることができる。
【0009】
また、前記光路変換部は、前記空間変調部で生成された情報光の光路を、前記光検出部の方向へ変換するビームスプリッタを用いてもよい。
ここで、前記ビームスプリッタは、ホログラム記録媒体にページデータを記録する場合は情報光を媒体の方向へ進行させ、前記診断部による動作確認をする場合は情報光を光検出部の方向へ進行させることが可能なように可動配置する。
【0010】
また、前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記空間変調器と前記光学レンズとの間に設け、情報光を光学レンズを介さずに前記光検出部で受光させるようにしてもよい。
ここで、前記光路変換部は、ミラーと、前記空間変調部から生成された情報光はホログラム媒体の方向へ通過させ、かつ前記ミラーで反射された情報光は前記光検出部の方向へ光路変換するビームスプリッタとからなり、前記ミラーは前記ビームスプリッタと前記光学レンズとの間に配置する。この構成によれば、媒体を介在させずに、主として、空間変調部と光検出部の部品の不具合が検出できる。
【0011】
また、前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記光学レンズと媒体との間に設け、前記光学レンズを通過した後光路変換部で光路変換された情報光を前記光検出部で受光させるようにしてもよい。
この構成によれば、媒体を介在させずに、光学レンズを含めた記録再生用部品の不具合の検出ができる。
ここで、前記光路変換部は、可動式ミラーを用いることができる。
【0012】
また、前記光路変換部は、ホログラム記録媒体の表面に設けられ、前記光路変換部が前記空間変調部で生成された情報光を反射し、反射された情報光が前記光検出部で受光されるようにしてもよい。この構成によれば、媒体も含めた部品の不具合の検出ができる。
ここでも、前記光路変換部は、ミラーを用いることができる。
【0013】
また、前記光路変換部は、ホログラム記録媒体に設けられた光透過部であり、前記空間変調部で生成されかつ前記光透過部に照射された情報光は、媒体を通過して前記光検出部で受光されるようにしてもよい。
光透過部は、光を反射させずに入射面とは反対側の面から光を出射させる部分であり、後述するようにガラス等で形成された透過領域に相当する。
【0014】
さらに、この発明は、前記診断部が、既知の情報からなるページデータAを予め記憶した記憶部と、ページデータAと、前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBとを比較する比較部と、比較の結果に基づいて、前記記録再生用部品の欠陥の有無を検出する欠陥検出部とを備えたことを特徴とする記録再生装置を提供するものである。
ここで、前記欠陥検出部が検出した結果を出力する結果出力部をさらに備えてもよい。
【0015】
また、前記診断部が、記録再生用部品のいずれかの動作に不具合があることを確認した場合に、不具合があることを確認した部品を調整する部品調整部をさらに備えてもよい。
ここで、前記不具合が確認された部品が、前記空間変調部または前記光検出部である場合、診断部がその欠陥位置を特定し、前記部品調整部が、特定された欠陥位置に記録されるべきデータを所定の交替領域に移動させた空間情報を生成する交替処理を行ってもよい。
【0016】
また、前記診断部が、電源投入を検出した場合、可搬型ホログラム記録媒体の挿入を検出した場合、記録要求または再生要求を検出した場合、記録再生動作の行われていない時間が一定時間経過するごと、記録または再生動作の不良が検出された回数が所定回数を越えた場合、装置内部の温度が設定温度以上となった場合、装置内部に取り付けられた衝撃センサが所定値以上の衝撃を検出した場合、および診断処理の実行を要求する指示入力があった場合のいずれかのイベントが発生したときに、前記記録再生用部品の動作の確認を開始するようにしてもよい。
【0017】
さらに、前記光源から出射される光ビームが、中央部分の第1の光束と、その周囲に形成された第2の光束とからなるリング状の光束であり、第1の光束がホログラム記録媒体に書き込むべきページデータに対応づけられた情報光であり、第2の光束がホログラム記録媒体に記録されたページデータを読み出すための参照光であり、前記情報光と参照光とがどちらも前記空間変調部に入射されることを特徴とする請求項1の記録再生装置を提供するものである。
【0018】
この発明において、診断部,比較部,欠陥検出部および部品調整部は、主として、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマーなどからなるマイクロコンピュータによって実現される。また、各部の機能は、CPUが、ROM等に記憶された制御プログラムに基づいてハードウェアを動作させることにより実現される。また、記憶部としては、既知の情報を記憶するためには、ROM,フラッシュメモリ,ハードディスクなどの不揮発性のメモリが用いられる。
結果出力部は、LCDやELなどの表示装置,プリンタあるいはスピーカなどが用いられる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、前記したような光路変換部と診断部とを備えているので、記録再生装置の記録再生用部品の不具合の検出を、容易かつ迅速に利用者に負担をかけずに行うことができる。
また、前記したような部品調整部を備えた場合には、不具合の検出のみならず、部品を調整することにより欠陥が生じないように装置を補正することができる。
さらに、結果出力部を備え、診断結果等を出力させた場合には、修理が必要な場合などにおいて利用者に迅速な対応をとらせることができ、欠陥のあるまま使用しつづけることによる媒体の無駄や時間の無駄を防止できる。
また、前記したように、種々のイベントが発生したタイミングで動作確認を開始するようにしているので、不具合の有無の早期検出,早期補正,あるいは使用により発生した不具合の早期発見等を、利用者に負担をかけずに容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
<記録再生装置の構成>
この発明の記録再生装置は、装置の自己診断機能を持ち、ホログラム記録媒体を介在することなく、あるいは、媒体の表面に反射面等を設けることにより、装置の記録系および再生系の光学部品を診断する機能を有することを特徴とする。
記録系の光学部品には、図11等に後述する装置構成部品のうち、レンズ群(5−1,5−2)および空間光変調器6を含み、再生系の光学品部品には、ミラー群(4−1,4−2,4−3)および2次元撮像素子7を含む。
その他、コリメータレンズ2,ビームスプリッタ(3,8)および対物レンズ9は、記録系と再生系のどちらにも使用される共通部品である。
以下に、4種類のホログラム記録再生装置の構成を説明する。
【0021】
図11および図12に、反射型の2光束干渉ホログラム記録再生装置の一実施例の概略構成図を示す。
図11には、ホログラム記録媒体20に、情報を記録する場合の光路を示している。光源1から出射された光ビームは、コリメータレンズ2を通り、ビームスプリッタ3で2つの光に分けられる。1つは、レンズ群(5−1,5−2),空間光変調器6,ビームスプリッタ8,対物レンズ9を通り、媒体20に照射される情報光21である。
もう1つは、ミラー群(4−1,4−2,4−3)により反射させられ、所定の角度で媒体20に照射される参照光22である。この2つの光(情報光21と参照光22)が、媒体20の同じ位置に照射されることにより、光の干渉じまとして情報が記録される。
情報光21は、媒体に書き込むべきページデータに対応づけられた光であり、参照光22は、媒体に記録されたページデータを読み出すための光である。
【0022】
図12には、ホログラム記録媒体20から情報を再生する場合の光路を示している。再生時は、参照光22のみ用いる。すなわち、ビームスプリッタ3からミラー群(4−1,4−2,4−3)の方へ進行する光のみ利用し、レンズ群(5−1,5−2)への光は遮光する。参照光22が媒体20に照射されると、再生光23が生成され、再生光23は対物レンズ9,ビームスプリッタ8を通り、2次元撮像素子7で検出される。
【0023】
図13と図14に、反射型のコリニアホログラム記録再生装置の一実施例の概略構成図を示す。
図13は記録時の光路を示しており、図14は再生時の光路を示している。この場合も、光源1から出射された光ビームは、コリメータレンズ2,ビームスプリッタ3,レンズ群(5−1,5−2)を透過して空間光変調器6に導かれるが、この光ビームは、2つのリング状の光束から構成される。図13に示すように、中央部分の光束は情報光21に相当し、情報光21の周囲に形成された光束は参照光22に相当する。したがって、図11に示したようなミラー群(4−1,4−2,4−3)は不要である。
図13の記録時において、リング状の光束からなる光ビームは、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,および対物レンズ9を通過すると、媒体20上の所定の位置で干渉じまを形成し、情報が記録される。
【0024】
また、図14に示した再生時は、リング状の外側部分の参照光のみを照射する。参照光22は、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,対物レンズ9を通過し、媒体20に照射されると、再生光23が生成される。再生光23は、リングの中央部分の光として生成され、対物レンズ9,ビームスプリッタ8を通過して、2次元撮像素子7で検出される。
【0025】
図15および図16に、透過型の2光束干渉ホログラム記録再生装置の一実施例の概略構成図を示す。
図15は記録時の光路を示しており、図16は再生時の光路を示している。図15に示した記録時の光路は、図11に示したものと同じである。この場合、媒体20は、反射層を有さず、媒体の下方からも光が入射できるような構造の媒体を用いる。
図16に示した再生時において、参照光22は、ミラー(4−1,4−4,4−5)によって反射され、媒体20の下方から所定の角度で入射させられる。媒体20に参照光22が入射すると、上方へ向かう再生光23が生成される。生成された再生光23は、対物レンズ9,ビームスプリッタ8を通過して、2次元撮像素子7で検出される。
【0026】
図17と図18に、透過型の2光束干渉ホログラム記録再生装置の一実施例の概略構成図を示す。
ここでは、図11や図15と異なり、ビームスプリッタ8はなく、2次元撮像素子7と対物レンズ9−2が、媒体20に対して対物レンズ9等の部品とは反対側であって、媒体20の下方に設けられる。
図17は記録時の光路を示しており、図18は再生時の光路を示している。
図17に示した記録時の情報光21と参照光22の光路は、図11に示したものと同じである。この場合も、図15に使用した媒体と同じように、下方から光を入射することができるタイプの媒体を用いる。
【0027】
図18に示した再生時において、参照光22は、ミラー群(4−1,4−2,4−3)を介して、媒体20に照射される。参照光22が媒体20に照射されると、再生光23が生成され、参照光の照射面と反対側の面から出射される。そして、再生光23は、対物レンズ9−2を通過して、2次元撮像素子7で検出される。
以上、4つのタイプの記録再生装置の構成と、記録時および再生時の光路を説明した。
次に、これらの装置において、自己診断をする場合の構成と光路について説明する。
なお、以下の実施例1,2,3および4に示した診断時の構成は、図11,図13,および図15に示した3つの記録再生装置のいずれにも適用できる。
【0028】
<自己診断の実施例1>
図1に、この発明の自己診断時の実施例1の構成の説明図を示す。
図1に示した自己診断では、光源1,コリメータレンズ2,ビームスプリッタ3,レンズ群(5−1,5−2),空間光変調器6,ビームスプリッタ8,2次元撮像素子7を用いる。対物レンズ9および媒体20は使用しない。
図11等に示したものとは、ビームスプリッタ8の配置が異なる。すなわち、図11のビームスプリッタ8の配置から90度左へ回転し、図1のように、ビームスプリッタ8に入射された光ビームが左方向に反射されて、2次元撮像素子7に照射されるようにする。
この実施例1では、ビームスプリッタ8を回転させる機構を設け、自己診断時に自動的にあるいは手動で、ビームスプリッタ8を図1のように回転させる。このビームスプリッタ8が、光路変換部に相当する。
【0029】
実施例1では、光ビームは、媒体を介さずにビームスプリッタ8のみを介して、空間光変調器6から2次元撮像素子7へ直接入射されるので、空間光変調器6から2次元撮像素子7に至る経路に欠陥があるか否かを検出できる。
診断時の欠陥検出処理は、たとえば次のようにして行えばよい。
予めメモリに記憶された既知のページデータD1を空間光変調器6に与え、通常の記録処理と同様の動作を行う。すなわち、光源1から光ビームを出射し、情報光21に相当する光ビームを空間光変調器6まで導く。
ビームスプリッタ8を図1のように配置しておくと、情報光21は、左方向へ進路が変換され2次元撮像素子7で検出される。検出された情報光に対応した2次元ページデータD2をデジタル信号として取り出し、この2次元ページデータD2とメモリに記録された既知ページデータD1とを比較する。
【0030】
両ページデータ(D1,D2)が完全一致すれば、空間光変調器6から2次元撮像素子7に至る経路の部品(6,7,8)には欠陥がなかったことがわかる。
一方、両ページデータの中に一致しない部分が存在する場合には、空間光変調器6から2次元撮像素子7に至る経路のどこかに欠陥があることがわかる。
図1に示した実施例1では、欠陥原因の明確な特定はできないが、少なくとも、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,2次元撮像素子7のいずれかに欠陥があることが検出される。欠陥が検出された場合、後述するような調整や補正処理をすることにより、装置の欠陥をなくし、正常な記録再生ができるようになる場合もある。
また、調整等をすることができない場合や、調整しても正常動作ができなかった場合は、利用者に、エラーが発生したこと、エラーの内容、考えられるエラーの原因あるいは修理が必要なことを、表示または報知してもよい。これにより、利用者に迅速な対応をとらせることができ、媒体の無駄や時間の無駄を防止することができる。
【0031】
この実施例1では、ビームスプリッタ8を回転させる必要があるが、たとえば、自己診断用スイッチのような機構等を設けておき、利用者が、このスイッチを押したときにこの自己診断を実行するようにすればよい。これによれば、利用者は、スイッチを押すだけでよいので、容易に自己診断が開始され、利用者に負担をかけずに欠陥検出ができる。ただし、自己診断を開始するタイミングは、後述するような種々の場合が考えられ、これに限るものではない。
【0032】
<自己診断の実施例2>
図2に、この発明の実施例2の構成の説明図を示す。
図2では、ビームスプリッタ8から出射され情報光21を反射するためのミラー11を設ける。この実施例2でも、自己診断に媒体は使用しない。また、ビームスプリッタ8とミラーとが、光路変換部に相当する。
ミラー11は、自己診断の開始時にビームスプリッタ8と対物レンズ9との間であって情報光の光路中に挿入し、通常の記録および再生時には、情報光の光路からはずしておく。情報光21は、ミラー11によって全反射され、ビームスプリッタ8内部へ戻される。戻った光束は、左方向に反射されて2次元撮像素子7の方に進行する。したがって、可動式のミラーが好ましく、ミラーを挿入する位置は、図2のようにビームスプリッタに隣接する位置でもよい。
図2では、ビームスプリッタ8は回転させる必要はなく固定されていてもよい。
この実施例2では、ミラー11を含み、空間光変調器6から2次元撮像素子7に至る経路における欠陥を検出できる。
【0033】
欠陥検出処理は、実施例1で説明したものと同様に行うことができる。実施例2では、たとえば、自己診断スイッチが押されたとき、ミラー11を移動し、図2のようにビームスプリッタ8の下部に挿入させて欠陥検出を行えばよい。したがって、利用者に負担をかけずに容易に自己診断をすることができる。
【0034】
また、ミラー11の代わりに、参照光の出射部位に相当するビームスプリッタ8の下部に、液晶シャッターを設けてもよい。記録および再生時にはシャッターを開いて、情報光または再生光を通過させ、自己診断時にシャッターを閉じて、情報光を全反射させるようにする。この場合、液晶シャッターの開閉制御をする必要があるが、この制御はマイクロコンピュータなどからの電気的信号により可能であり、ミラー11を移動させるような機構を設ける必要はない。
【0035】
<自己診断の実施例3>
図3に、この発明の実施例3の構成の説明図を示す。
図3では、対物レンズ9と媒体20との間の空間であって、情報光の光路中に、ミラー12を設ける。この実施例3でも、自己診断時には、媒体は使用しない。
ミラー12は、自己診断の開始時に、図3に示す情報光の光路中に挿入し、通常の記録および再生時には、情報光の光路からはずしておく。したがって、ミラー12は可動式ミラーとし、移動させるための機構を設ける。この可動式ミラー12が、光路変換部に相当する。
実施例3では、光源から出射された光ビームは、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,対物レンズ9,ミラー12へと進み、ミラー12で全反射された後、対物レンズ9,ビームスプリッタ8を通過して、2次元撮像素子7で検出される。
【0036】
ミラー12を挿入する位置は、対物レンズ9と媒体20との間であればよいが、フォーカス点の調整の観点からは、図3に示すように媒体20に近い位置に挿入することが好ましい。
この実施例3では、ミラー12を含み、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,対物レンズ9,2次元撮像素子7を含む光学部品の欠陥を検出することができる。すなわち、実施例1および2とは異なり、対物レンズ9までも含めた光学部品のいずれかに欠陥があることが検出できる。欠陥検出処理は実施例2で説明したものと同様に行うことができる。
実施例3でも、自己診断スイッチを設け、利用者がこれを押すことにより、容易に負担をかけずに自己診断を実行できる。
【0037】
また、図1で示した実施例1の診断と、この実施例3の診断とを別々に実行し、実施例1の診断では欠陥は検出されなかったが、実施例3の診断では欠陥が検出された場合、対物レンズ9に不具合がある可能性があることがわかる。対物レンズ9に不具合がある可能性がある場合、後述するようなフォーカス調整処理をさせれば、対物レンズ9の不具合を補正して、正常な記録再生ができるようになる場合もある。
【0038】
<自己診断の実施例4>
図4に、この発明の実施例4の構成の説明図を示す。
この実施例4では、媒体上の特定位置に診断領域13を設けることを特徴とする。したがって、実施例4では、媒体を使用して診断をするが、装置に取り付けられた媒体の傾き(チルト)等のチェックをすることができる。
図11や図12で示したように、参照光22は、媒体表面に対して所定の入射角度で照射されるが、取り付けられた媒体が設計仕様どおりの位置にあることを前提として参照光の角度が調整される。しかし、媒体そのものが、設計仕様どおりの基準位置でなく、その基準位置からわずかに傾いていたとすると、参照光の入射角度が意図したものと異なってしまうことになり、正常な記録再生ができない場合もある。
そこで、実施例3の診断で欠陥がないことを前提として、この実施例4で欠陥が検出された場合には、媒体側に何らかの問題があることが検出できる。
【0039】
媒体側の問題の原因としてはいくつか考えられるが、たとえば、前記した媒体そのものの傾きも一つの原因であるので、対応策としては、後述するような媒体のチルト補正をすることが考えられる。すなわち、実施例4で欠陥が検出された場合には、チルト補正をすることにより、記録再生に問題があった装置を正常な状態に戻すことができる場合がある。
実施例4において、媒体に設ける診断領域13には、照射された光をそのまま全反射するミラーを設ける。ミラーを設ける位置は、光が照射される媒体の表面上であればどこでもよく、予め決められた位置に設ければよい。また、ミラーの大きさも光ビームのスポット径よりもわずかに大きい程度であればよい。
【0040】
実施例4では、光源から出射された光ビームは、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,対物レンズ9を通過して、媒体のミラー13に照射される。さらに、ミラー13で全反射されて、対物レンズ9,ビームスプリッタ8を通過して、2次元撮像素子7で検出される。
この実施例4では、たとえば自己診断スイッチが押されたとき、媒体の診断領域13が、光ビームの照射位置にくるように、媒体を移動させて情報光21を照射させればよい。この実施例4でも、容易に利用者の負担をかけることなく、自己診断をすることができる。
【0041】
以上、自己診断について4つの実施例を説明したが、これらの自己診断は、図11の反射型2光速干渉タイプ,図13の反射型コリニアタイプ,図15の透過型2光速干渉タイプの記録再生装置のいずれにも利用できる。
ここで、反射型コリニアタイプの記録再生装置では、照射される光ビームが、図13に示したように2重のリング状になっている点が異なる。ただし、反射型コリニアタイプでも、中央部分の情報光のみを照射してもよく、リング状になっていない1つの平行光ビームを照射してもよい。
【0042】
<自己診断の実施例5>
ここでは、図17に示した透過型の2光速干渉ホログラム記録再生装置の自己診断について説明する。
この装置では、2次元撮像素子7の配置が他の装置と異なるので、自己診断時の光の経路が異なる。
図5と図6に、この発明の実施例5の場合の自己診断時の一実施例の構成の説明図を示す。
図5は、媒体20を使用しない自己診断の場合の光路を示している。
ここで、空間光変調器6を通過した光ビームが、媒体20を迂回して、2次元撮像素子7に検出されるように、可動式のミラー群(14−1,14−2,14−3,14−4)を設けている。可動式ミラー群14は、4つに限るものではなく、またこの配置に限るものではない。この可動式ミラーが、光路変換部に相当する。
【0043】
可動式ミラー14は、通常の記録再生時は、別の位置に移動させられており、自己診断時に、図5のように配置される。また、可動式ミラーの配置が通常の記録再生に支障なければ、3つの可動式ミラー(14−2,14−3,14−4)は固定配置とし、可動式ミラー14−1のみを可動式としてもよい。
この図5に示す自己診断も、利用者が自己診断スイッチを押すことにより起動するようにすればよく、容易かつ利用者に負担をかけずに、空間光変調器6と2次元撮像素子7との間の欠陥検出をすることができる。
【0044】
ただし、ホログラム記録媒体が可搬なタイプであって容易に着脱可能な場合は、空間光変調器6と2次元撮像素子7とが直線的な位置に配置されており、空間光変調器6を通過した光ビームがそのまま2次元撮像素子7に照射可能な場合は、ミラー群(14−1〜4)は不要である。
【0045】
図6は、媒体20を使用した自己診断の場合の光路を示している。
この場合、媒体20の特定の位置に、光をそのまま透過させる領域(透過領域15)を設ける。透過領域15は、媒体の表面から裏面まで、ガラスや透明樹脂で形成してもよい。
また、透過領域15を通過した光は、対物レンズ9−2を通過して2次元撮像素子7に入射される。この構成によれば、媒体に透過領域を設け、自己診断時にこの透過領域に情報光が照射されるように媒体を移動させる必要があるが、媒体を取りはずせない場合の自己診断が可能となる。また、ミラー群14は必要なく、部品の増加の防止ができる。
図6においては、空間光変調器6から2次元撮像素子7に至る経路に存在する光学部品(対物レンズ9,9−2を含む)のいずれかに欠陥があることが、容易かつ利用者に負担をかけずに検出できる。
【0046】
<自己診断を実施するタイミング>
上記の実施例で説明した自己診断は、利用者が自己診断用スイッチを押したときだけでなく、種々のタイミングで開始するようにしてもよい。
たとえば、次のようなタイミングで開始することが考えられる。
(1)この発明の記録再生装置の電源が投入されたことを検出した場合。
(2)可搬型の媒体が、この装置に挿入されたことを検出した場合。
(3)記録要求または再生要求を検出した後、記録再生動作を実行する前。
(4)装置が記録再生動作を行っていないアイドル状態のとき、そのアイドル状態が一定時間経過するごとに行う。
(5)記録または再生動作の不良(記録エラーまたは再生エラー)の検出回数が所定回数を越えた場合。
(6)装置内部の環境温度が、設定温度以上に上昇した場合。
(7)装置内部に取り付けられた衝撃センサーが、所定値以上の衝撃が加えられたことを検出した場合。
【0047】
これらのタイミングに限られるものではなく、またすべてを採用する必要はないが、このようなタイミングのいくつかを採用することにより、迅速にまた確実に欠陥を検出することができる。
また、種々のタイミングで欠陥検出処理をすることによって、欠陥があることが検出された場合は欠陥があったことを表示する。あるいは欠陥の部品や欠陥の位置がある程度特定できた場合は、その都度その旨を利用者に表示または音声報知することが好ましい。これによりその後欠陥が存在したまま使用しつづけることによる媒体の無駄や時間の無駄を防止することができるからである。
なお、環境温度を測定するために、温度センサーを装置内部に取り付ければよいが、その位置は特に限定されるものではなく、たとえば、装置内部で最も高温となる部分の近傍に取り付ければよい。
また、衝撃センサーも、取り付ける位置は特に限定されない。
【0048】
<欠陥検出とその後の対応処理>
ここでは、自己診断をしたことにより欠陥を検出した場合において、装置の記録再生用部品の調整や補正処理を行うことについて説明する。
調整処理とは、たとえば、対物レンズ9のフォーカス調整,媒体20のチルト調整,空間光変調器6や2次元撮像素子7に欠陥があった場合の交替処理が考えられる。
【0049】
図7に、この発明の欠陥検出および調整処理の一実施例のフローチャートを示す。ここでは、上記した自己診断の実施例のうち、次の3つのタイプの自己診断を行うものとする。
タイプ1:実施例1(図1)の自己診断(媒体及び対物レンズの介在なし)
タイプ2:実施例3(図3)の自己診断(媒体介在なし、対物レンズを含む診断)
タイプ3:実施例4(図4)の自己診断(媒体を含む診断)
【0050】
タイプ1では、空間光変調器6を通過した光は、ビームスプリッタ8を通過すると直接2次元撮像素子7に入射される。この場合、ビームスプリッタ8に欠陥がないとすると、空間光変調器6かあるいは2次元撮像素子7のいずれかに欠陥があることが検出できる。
なお、タイプ1では、実施例2(図2)の自己診断を利用してもよい。
タイプ2では、対物レンズ9を通過しミラー12で反射された光が2次元撮像素子7に入射されるので、タイプ1で欠陥が検出されなかったがタイプ2で欠陥が検出された場合、対物レンズ9に何らかの不具合がある可能性があることがわかる。
【0051】
タイプ3では、媒体に設けられた診断領域(ミラー)13を使用して診断を行うので、タイプ1およびタイプ2のどちらの診断でも欠陥は検出されなかったが、タイプ3で欠陥が検出された場合、媒体側に何らかの不具合がある可能性があることがわかる。
そこで、この3つのタイプの自己診断を組み合わせて実施すれば、装置の問題点の検出だけでなく、その検出結果に基づいて調整等を行うことにより、装置を正常な状態に戻すことも可能となる。
【0052】
図7のフローチャートのステップS1において、まず、タイプ1の自己診断を実施し、欠陥の有無を確認する。ここで、欠陥があることが検出された場合、ステップS11へ進み、交替処理をする。
ステップS1で欠陥が検出された場合は、空間光変調器6または2次元撮像素子7のいずれかに欠陥があると判断できる場合がある。このとき、ROM等のメモリに予め記憶された既知パターン(ページデータA)と、この既知パターンを空間光変調器6に与えてタイプ1の自己診断をしたときに2次元撮像素子7で検出された撮像パターン(ページデータB)とを比較し、一致しなかった画素は欠陥画素と判断できる。この欠陥画素は、空間光変調器6によるものか、2次元撮像素子7によるものかはわからないが、この欠陥画素の位置に書き込む予定のデータを予め設けられた交替領域に移動することで、欠陥がなかった場合と同様に正常な記録再生が可能となる。
利用される既知パターン(ページデータ)は、全黒パターン,全白パターン,白黒反転パターンなど数種類のページデータを予めメモリに記憶しておき、必要に応じて1つ又は2以上のパターンを利用して自己診断処理を行えばよい。
また交替領域は、空間光変調器に与えられる空間情報(データパターン)の中の一部の領域である。欠陥のない場合は交替領域は使用されない空き領域であるので、小容量だけ設ければよい。
【0053】
図8に、この発明の交替処理の一実施例の説明図を示す。
図8(a)は、空間光変調器6に与えられるパターンの例を示している。ここで、左側の部分は、ユーザデータが書き込まれるユーザ領域であり、右側の細長い長方形領域が交替領域である。
図8(b)は、2次元撮像素子7で検出されたパターンの例を示している。ここで欠陥がなければ、図8(a)のパターンと全く同一のパターンが検出されるが、空間光変調器6または2次元撮像素子7に欠陥があったとすると、書き込んだデータ(ページデータA)と読み出したデータ(ページデータB)が異なるので、図8(b)のように欠陥画素の位置がわかる。すなわち2つのデータが異なる位置を欠陥位置として特定できる。
そこで、検出された欠陥画素の位置をメモリに記録する。
【0054】
この後、次にデータパターンを空間光変調器6に与える場合には、図8(c)に示すように、検出された欠陥画素の位置に書き込まれる予定のデータを、交替領域に移動したようなパターンを生成し、空間光変調器6に与える。すなわち、交替処理をする。
たとえば、欠陥画素の移動先は、図8(c)に示すように欠陥画素と同じ行の交替領域に移動すればよい。
また、このような交替処理をしたパターンを2次元撮像素子で検出した場合は、逆に、交替領域に移動したデータを欠陥画素の位置へ戻す処理(逆交替処理)をし、もとのデータパターンを再生する。
【0055】
ステップS11では、具体的には、検出された欠陥位置のアドレスを記憶した後、タイプ1の自己診断で利用した既知パターンに対して交替処理を行い、再度タイプ1の自己診断を行う。この再度のタイプ1の自己診断で欠陥が検出されなかった場合、ステップS1の欠陥に対する対策がとれ、正確な記録再生が可能な状態となったことを意味する。この場合ステップS2へ進む。
一方、再度のタイプ1の自己診断でも欠陥が検出された場合は、交替処理では、解決できない問題が発生していると考えられるので、ステップS21へ進み、利用者に修理が必要である旨や、空間光変調器6または2次元撮像素子7に欠陥がある旨などの表示や通知を行う。
【0056】
ステップS1で欠陥が検出されなかった場合は、ステップS2へ進み、タイプ2の自己診断を実施し、欠陥の有無を確認する。ここで、欠陥があることが検出された場合、ステップS12へ進み、フォーカス調整処理をする。
ステップS12へ進む場合とは、タイプ1の自己診断では欠陥が検出されなかったが、タイプ2の自己診断で欠陥が検出されているので、空間光変調器6と2次元撮像素子7そのものには欠陥はなく、対物レンズ9に何らかの問題点がある可能性が高い。
対物レンズ9に問題点がある場合、たとえば対物レンズ9にキズが付き屈折性能自体に問題が発生した場合や、対物レンズ9を駆動してフォーカスを調整するアクチュエータに問題がある場合などが考えられる。
ここで、アクチュエータによるフォーカス制御が設計基準どおりでない場合は、対物レンズの位置を調整することにより、設計基準どおりのフォーカスとなるように補正することができる。
【0057】
図9に、この発明のフォーカス調整処理の説明図を示す。
図9(a)は、記録前の空間光変調器6に与えられるデータパターン(パターンA)の例を示している。
図9(b)は、2次元撮像素子で受光されるデータパターン(パターンB)の例を示している。これは設計仕様どおりの理想的なパターンであり、フォーカスが設計どおり調整されていたとすると、図9(a)に示したパターンAと同一サイズとなる。
【0058】
図9(c)は、フォーカスがずれた場合に2次元撮像素子7で受光されるデータパターンCの例を示している。ここでは、理想的なデータパターンAよりも大きなサイズとなって受光される場合を示している。破線で示した理想的なパターンAのサイズよりも外側にあるデータは正常に受光されず、また、破線内でも正常なデータとして取り出せない場合もあり得るので、ステップS2での診断処理で欠陥として検出される場合がある。そこで、2次元撮像素子7は、理想的なパターンAを受光できるサイズよりも少し大き目のものを予め用意しておき、フォーカスずれで拡大されたパターンCも受光できるようにする。また、設計基準どおりの理想的なパターンのサイズAを、メモリに予め記憶しておく。
【0059】
ステップS12のフォーカス調整処理では、まずステップS2のタイプ2の診断処理において2次元撮像素子7で実際に検出された受光パターンのサイズを求める。次に、メモリに予め記憶されていた理想的なパターンのサイズと比較する。この比較の結果、サイズが一致している場合は、フォーカス制御そのものは正常であると考えられるので、ステップS2で検出された欠陥は他の原因が考えられる。すなわち、フォーカス調整では、この欠陥をなくすことはできないので、ステップS21へ進み、修理が必要である旨などの表示または通知を行う。
一方、比較の結果、サイズが異なっていた場合は、対物レンズ9を移動させることによりフォーカス調整をすれば、検出パターンのサイズを設計どおりのサイズに調整できる可能性があるので、そのサイズのずれに対応させて対物レンズ9の移動を行う。
【0060】
すなわち、2次元撮像素子7で検出されるパターンのサイズを監視したまま、対物レンズ9のアクチュエータを制御し、検出パターンのサイズが設計どおりのサイズとなるまで、対物レンズ9の位置を調整する。このフォーカス調整をしてもフォーカスが理想どおりにならない場合は、ステップS21へ進む。
しかし、この調整によりフォーカスを理想どおりとすることができた場合は、再度ステップS2のタイプ2の診断処理を行い、欠陥が生じないか否か確認する。そして、欠陥が生じなかった場合は、上記フォーカスの調整が成功したので、ステップS3へ進む。
一方、欠陥がまだ発生している場合は、フォーカス調整では修正できない欠陥であるので、ステップS21へ進み、要修理であることなどを利用者に表示または通知する。
【0061】
ステップS2で欠陥が検出されなかった場合は、ステップS3へ進み、タイプ3の自己診断を実施し、欠陥の有無を確認する。ここで欠陥があることが検出された場合、ステップS13へ進みチルト調整処理をする。
ステップS13へ進む場合は、タイプ1およびタイプ2において媒体が介在しない診断処理では欠陥が検出されなかったが、タイプ3の媒体を介在した診断処理で欠陥が検出されているので、媒体側に問題がある可能性が高い。
媒体側に問題がある場合は、媒体の診断領域そのものに問題があるか、媒体を固定あるいは移動駆動しているチルト機構に問題がある場合などが考えられる。
【0062】
ここで、媒体のチルト機構に問題がある場合は、チルト機構による媒体の位置調整を行えば、タイプ3の診断処理で検出された欠陥をなくすことができる可能性がある。そこで、ステップS13のチルト調整処理では、チルト機構によって媒体の位置調整を行って、再度タイプ3の診断処理を繰り返す。
たとえば、媒体に照射される情報光に対する媒体表面の角度が90°になっていない場合もあり得るので、この角度をわずかに変化させてタイプ3の診断処理を実施する。
【0063】
このように角度を変化させることにより、タイプ3での欠陥がなくなった場合には、チルト調整が成功したと考えられるので、ステップS20へ進み、診断の結果問題がなかったこと、欠陥があったが正常に記録再生が可能となった旨などの表示をし、利用者に記録再生をしてもよいことを通知する。
一方、角度をいろいろ変化させて所定回数タイプ3の診断処理を実行しても、欠陥がまだ発生している場合は、このチルト調整処理では補正することのできない欠陥であると考えられるので、ステップS21へ進み、利用者に要修理等の通知を行う。
【0064】
図7で示したように、3つの診断処理を組み合わせることにより、問題点の検出と、可能な場合にはその問題点の解消を図ることができる。また、3つの診断処理と、ステップS11,S12,S13に示した調整処理もマイクロコンピュータにより自動的に実行することができるので、利用者に負担をかけることなく容易に装置の診断と調整が可能である。なお、図7のフロー全体処理の起動も、前記したような種々のタイミングで実行させてもよい。
【0065】
<その他の実施例>
図13に示した反射型コリニアタイプの記録再生装置では、リング状の2つの光束を媒体に照射しているが、他の装置とは異なる特有の問題点がある。
図10に、コリニアタイプの記録再生装置の空間光変調器6に与えられる情報光と参照光のパターンの例を示す。
図10(a)は、空間光変調器6に欠陥がない場合のパターンAを示している。一方図10(b)は、空間光変調器6の外側のリングの参照光の照射位置に相当する部分に、欠陥が発生している場合のパターンBを示している。
すなわち、図10(b)では、この欠陥を含んだ状態の参照光が媒体に照射され、情報光で与えられたデータが干渉じまとして媒体に記録されることになる。このとき、再生時にも同じ欠陥を含んだ参照光を媒体に照射してもデータの再生は正常に行われる。
【0066】
言いかえれば、このような参照光が照射される位置の空間光変調器6に欠陥があっても、その同一装置内に媒体がある限りは記録再生は正常に行われる。しかし、このような欠陥を含む空間光変調器6を通過した参照光を用いて記録された媒体を、他の装置へ移動して再生した場合には、正常な再生ができないという問題が発生する。
他の装置では空間光変調器6に欠陥がなく正常であったとすると、図10(a)のパターンAに基づいて参照光が照射されることになるので、正常なパターンAとは異なるパターンBで記録された媒体上のデータは、正常に再生されないからである。
【0067】
また、ある装置の空間光変調器6に、図10(b)に示したような欠陥が生じている場合には、その同一装置で記録再生しても問題が生じないので、一般にその欠陥があることを認識するのは困難である。しかし、この発明の実施例1から4のいずれかの診断処理をすれば、図10(b)のような欠陥も検出できる。
たとえば、コリニアタイプの記録再生装置において、実施例1の構成を利用して、図10(a)の既知のパターンAの情報光と参照光を照射した場合、空間光変調器6と2次元撮像素子7が正常ならばパターンAと同じデータパターンが検出できるはずである。
一方、欠陥がある場合、2次元撮像素子7でたとえば、図10(b)のような異常なパターンBが検出されるので、予めメモリに記憶したパターンAと、この検出パターンBとを比較することにより、その欠陥位置が特定できる。
【0068】
したがって、ある装置で、空間光変調器6の参照光の照射領域部分に欠陥がある場合、常にパターンBの参照光が照射されるので、このパターンBの情報、特に、パターンBのうち参照光の照射領域の欠陥位置情報を、媒体に記録するようにする。
この媒体を他の装置に挿入して再生する場合には、この欠陥位置情報を読み出せば、パターンBの参照光を使用して記録されたことがわかるので、他の装置でも、再生時にパターンAでなくパターンBを選択的に参照光として用いることにより、この媒体に記録されたデータを再生することができるようになる。
【0069】
上記実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)光ビームを出射する光源と、
ホログラム記録媒体に記録すべきページデータAに対応した空間情報を用いて、前記光ビームを変調した情報光を生成する空間変調部と、
前記空間変調部で生成された情報光の光路を変換する光路変換部と、
前記光路変換部で光路が変換された情報光を受光する光検出部と、
前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBと前記ページデータAとを用いて、前記空間変調部および光検出部を含む記録再生用部品の動作を確認する診断部とを備えたことを特徴とする記録再生装置。
【0070】
(付記2)前記光路変換部が、前記空間変調部で生成された情報光の光路を、前記光検出部の方向へ変えるビームスプリッタであることを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記3)前記ビームスプリッタは、ホログラム記録媒体にページデータを記録する場合は情報光を媒体の方向へ進行させ、前記診断部による動作確認をする場合は情報光を光検出部の方向へ進行させることが可能なように可動配置されていることを特徴とする付記2の記録再生装置。
【0071】
(付記4)前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記空間変調器と前記光学レンズとの間に設け、情報光を光学レンズを介さずに前記光検出部で受光させることを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記5)前記光路変換部が、ミラーと、前記空間変調部から生成された情報光はホログラム媒体の方向へ通過させ、かつ前記ミラーで反射された情報光は前記光検出部の方向へ光路変換するビームスプリッタとからなり、前記ミラーは前記ビームスプリッタと前記光学レンズとの間に配置されることを特徴とする付記4の記録再生装置。
【0072】
(付記6)前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記光学レンズと媒体との間に設け、前記光学レンズを通過した後光路変換部で光路変換された情報光を前記光検出部で受光させることを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記7)前記光路変換部が、可動式ミラーであることを特徴とする付記6の記録再生装置。
【0073】
(付記8)前記光路変換部が、ホログラム記録媒体の表面に設けられ、前記光路変換部が前記空間変調部で生成された情報光を反射し、反射された情報光が前記光検出部で受光されることを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記9)前記光路変換部が、ミラーであることを特徴とする付記8の記録再生装置。
【0074】
(付記10)前記光路変換部が、ホログラム記録媒体に設けられた光透過部であり、前記空間変調部で生成されかつ前記光透過部に照射された情報光は、媒体を通過して前記光検出部で受光されることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【0075】
(付記11)前記診断部が、既知の情報からなるページデータAを予め記憶した記憶部と、ページデータAと、前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBとを比較する比較部と、比較の結果に基づいて、前記記録再生用部品の欠陥の有無を検出する欠陥検出部とを備えたことを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記12)前記欠陥検出部が検出した結果を出力する結果出力部をさらに備えたことを特徴とする付記11の記録再生装置。
【0076】
(付記13)前記診断部が、記録再生用部品のいずれかの動作に不具合があることを確認した場合に、不具合があることを確認した部品を調整する部品調整部をさらに備えたことを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記14)前記不具合が確認された部品が前記空間変調部または前記光検出部である場合、前記診断部がその欠陥位置を特定し、前記部品調整部が、特定された欠陥位置に記録されるべきデータを所定の交替領域に移動させた空間情報を生成する交替処理を行うことを特徴とする付記13の記録再生装置。
【0077】
(付記15)前記診断部が、電源投入を検出した場合、可搬型ホログラム記録媒体の挿入を検出した場合、記録要求または再生要求を検出した場合、記録再生動作の行われていない時間が一定時間経過するごと、記録または再生動作の不良が検出された回数が所定回数を越えた場合、装置内部の温度が設定温度以上となった場合、装置内部に取り付けられた衝撃センサが所定値以上の衝撃を検出した場合、および診断処理の実行を要求する指示入力があった場合のいずれかのイベントが発生したときに、前記記録再生用部品の動作の確認を開始することを特徴とする付記1の記録再生装置。
【0078】
(付記16)前記光源から出射される光ビームが、中央部分の第1の光束と、その周囲に形成された第2の光束とからなるリング状の光束であり、第1の光束がホログラム記録媒体に書き込むべきページデータに対応づけられた情報光であり、第2の光束がホログラム記録媒体に記録されたページデータを読み出すための参照光であり、前記情報光と参照光とがどちらも前記空間変調部に入射されることを特徴とする付記1の記録再生装置。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】この発明の実施例1の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図2】この発明の実施例2の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図3】この発明の実施例3の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図4】この発明の実施例4の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図5】この発明の実施例5の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図6】この発明の実施例5の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図7】この発明の自己診断処理を組み合わせた欠陥検出調整処理の一実施例のフローチャートである。
【図8】この発明の交替処理の一実施例の説明図である。
【図9】この発明のフォーカ調整処理の一実施例の説明図である。
【図10】この発明のコリニアタイプの記録再生装置のデータパターンの一実施例の説明図である。
【図11】この発明の反射型2光束干渉ホログラム記録再生装置の記録時の構成図である。
【図12】この発明の反射型2光束干渉ホログラム記録再生装置の再生時の構成図である。
【図13】この発明の反射型コリニアホログラム記録再生装置の記録時の構成図である。
【図14】この発明の反射型コリニアホログラム記録再生装置の再生時の構成図である。
【図15】この発明の透過型2光束干渉ホログラム記録再生装置の記録時の構成図である。
【図16】この発明の透過型2光束干渉ホログラム記録再生装置の再生時の構成図である。
【図17】この発明の透過型2光束干渉ホログラム記録再生装置の記録時の構成図である。
【図18】この発明の透過型2光束干渉ホログラム記録再生装置の再生時の構成図である。
【符号の説明】
【0080】
1 光源
2 コリメータレンズ
3 ビームスプリッタ
4 ミラー群
5 レンズ群
6 空間光変調器
7 2次元撮像素子
8 ビームスプリッタ
9 対物レンズ
11 ミラー
12 ミラー
13 診断領域(ミラー)
14 ミラー群
15 透過領域
20 記録媒体
21 情報光
22 参照光
23 再生光
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録再生装置に関し、特に、ホログラム記録媒体に対して記録再生を行い、装置を構成する記録再生用部品の診断機能を有する記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元的な情報を同じ位置に多重記録する方法としてホログラム記録方法が提案されている。ホログラム記録とは、記録媒体上の同じ位置に参照光と情報光を照射し、参照光の照射角度や波長を変化させることにより、異なる干渉を発生させ、媒体上の同じ位置に異なる情報を重ねて記録するものである(特許文献1参照)。
2次元的な情報(ページデータ)を媒体に記録するために液晶素子からなる空間光変調器(SLM)やビームスプリッタ,光学レンズ,ミラーなどの光学部品が用いられ、また媒体に記録された2次元的な情報を再生するために、CCDやCMOSからなる2次元撮像素子や光学レンズ,ミラーなどの多数の光学部品が用いられる。
【0003】
文書や図形等からなるデジタルデータを2次元情報として記録するホログラム記録再生装置では、空間光変調器(SLM)やCCDをはじめ、光学部品のいずれかにわずかな故障,欠陥あるいは調整不良があるだけで、媒体に記録や再生が全くできなくなる場合がある。
たとえば、CCDの1つの画素に欠陥があると、再生ができなくなる場合がある。
したがって、SLMやCCDをホログラム記録再生装置に使用する場合、欠陥のない部品であることが要求される。
しかし、空間光変調器や2次元撮像素子は、数百万画素という非常に多数の画素を持つ部品であるので、全く欠陥のない部品を常に製造することは困難であり、購入時全く欠陥のなかったCCDでも使用により欠陥が発生する場合もある。
【特許文献1】特開2004−158114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような複雑な部品を多数使用しているホログラム記録再生装置では、従来のCDやDVDのような媒体の記録再生装置よりも、故障や欠陥が発生する可能性が大きい。このような故障等を早期に発見できない場合には、一部に不良データを含む大容量の2次元データを記録していくことになり、ユーザにとって、大きな時間の無駄となる。
また、いわゆるライトワンスタイプのホログラム記録媒体では、媒体に不良データを記録することにより、使用可能な記録容量が大幅に減少してしまい、媒体そのものが無駄となってしまう場合もあり、ユーザの金銭的かつ精神的ダメージは大きい。
したがって、特に、ホログラム記録再生装置では、故障やCCD等の部品の欠陥あるいは調整不良を早期に検出することが要求される。
【0005】
また、ホログラム記録再生では、参照光の媒体に対する入射角度をわずかに変更するだけで多重記録が可能であるが、逆に、角度調整が設計値からわずかにずれるだけで、意図した2次元ページデータが再生できないことになる。このとき、2次元ページデータが再生できない原因が、角度調整機構にあるのか、媒体自体に問題があるのか、あるいはCCD等の再生系部品に欠陥があるのかを切り分けるのは難しい。
【0006】
したがって、ホログラム記録再生装置では、装置の欠陥等の早期検出が特に重要であるが、メーカーに修理に出す前に、欠陥原因がどこにあるのかがある程度特定できれば、修理に出さずにユーザレベルで調整できる場合もある。たとえば、再生不良の原因が、装置側にあるのか、媒体側にあるのかの切り分けができたとすると、媒体側に問題があるとわかった場合は、その後装置そのものは使用しつづけることが可能となる。
【0007】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、光の通過経路を通常の記録再生時の光路とは異ならせ、主として、媒体を介在させずに装置の自己診断をすることにより、容易かつ迅速に不具合の検出が可能なホログラム記録媒体の記録再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、光ビームを出射する光源と、ホログラム記録媒体に記録すべきページデータAに対応した空間情報を用いて、前記光ビームを変調した情報光を生成する空間変調部と、前記空間変調部で生成された情報光の光路を変換する光路変換部と、前記光路変換部で光路が変換された情報光を受光する光検出部と、前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBと前記ページデータAとを用いて、前記空間変調部および光検出部を含む記録再生用部品の動作を確認する診断部とを備えたことを特徴とする記録再生装置を提供するものである。
これによれば、光路変換部と診断部とを備えているので、容易に利用者に負担をかけずに、記録再生装置の不具合の検出をすることができる。
【0009】
また、前記光路変換部は、前記空間変調部で生成された情報光の光路を、前記光検出部の方向へ変換するビームスプリッタを用いてもよい。
ここで、前記ビームスプリッタは、ホログラム記録媒体にページデータを記録する場合は情報光を媒体の方向へ進行させ、前記診断部による動作確認をする場合は情報光を光検出部の方向へ進行させることが可能なように可動配置する。
【0010】
また、前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記空間変調器と前記光学レンズとの間に設け、情報光を光学レンズを介さずに前記光検出部で受光させるようにしてもよい。
ここで、前記光路変換部は、ミラーと、前記空間変調部から生成された情報光はホログラム媒体の方向へ通過させ、かつ前記ミラーで反射された情報光は前記光検出部の方向へ光路変換するビームスプリッタとからなり、前記ミラーは前記ビームスプリッタと前記光学レンズとの間に配置する。この構成によれば、媒体を介在させずに、主として、空間変調部と光検出部の部品の不具合が検出できる。
【0011】
また、前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記光学レンズと媒体との間に設け、前記光学レンズを通過した後光路変換部で光路変換された情報光を前記光検出部で受光させるようにしてもよい。
この構成によれば、媒体を介在させずに、光学レンズを含めた記録再生用部品の不具合の検出ができる。
ここで、前記光路変換部は、可動式ミラーを用いることができる。
【0012】
また、前記光路変換部は、ホログラム記録媒体の表面に設けられ、前記光路変換部が前記空間変調部で生成された情報光を反射し、反射された情報光が前記光検出部で受光されるようにしてもよい。この構成によれば、媒体も含めた部品の不具合の検出ができる。
ここでも、前記光路変換部は、ミラーを用いることができる。
【0013】
また、前記光路変換部は、ホログラム記録媒体に設けられた光透過部であり、前記空間変調部で生成されかつ前記光透過部に照射された情報光は、媒体を通過して前記光検出部で受光されるようにしてもよい。
光透過部は、光を反射させずに入射面とは反対側の面から光を出射させる部分であり、後述するようにガラス等で形成された透過領域に相当する。
【0014】
さらに、この発明は、前記診断部が、既知の情報からなるページデータAを予め記憶した記憶部と、ページデータAと、前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBとを比較する比較部と、比較の結果に基づいて、前記記録再生用部品の欠陥の有無を検出する欠陥検出部とを備えたことを特徴とする記録再生装置を提供するものである。
ここで、前記欠陥検出部が検出した結果を出力する結果出力部をさらに備えてもよい。
【0015】
また、前記診断部が、記録再生用部品のいずれかの動作に不具合があることを確認した場合に、不具合があることを確認した部品を調整する部品調整部をさらに備えてもよい。
ここで、前記不具合が確認された部品が、前記空間変調部または前記光検出部である場合、診断部がその欠陥位置を特定し、前記部品調整部が、特定された欠陥位置に記録されるべきデータを所定の交替領域に移動させた空間情報を生成する交替処理を行ってもよい。
【0016】
また、前記診断部が、電源投入を検出した場合、可搬型ホログラム記録媒体の挿入を検出した場合、記録要求または再生要求を検出した場合、記録再生動作の行われていない時間が一定時間経過するごと、記録または再生動作の不良が検出された回数が所定回数を越えた場合、装置内部の温度が設定温度以上となった場合、装置内部に取り付けられた衝撃センサが所定値以上の衝撃を検出した場合、および診断処理の実行を要求する指示入力があった場合のいずれかのイベントが発生したときに、前記記録再生用部品の動作の確認を開始するようにしてもよい。
【0017】
さらに、前記光源から出射される光ビームが、中央部分の第1の光束と、その周囲に形成された第2の光束とからなるリング状の光束であり、第1の光束がホログラム記録媒体に書き込むべきページデータに対応づけられた情報光であり、第2の光束がホログラム記録媒体に記録されたページデータを読み出すための参照光であり、前記情報光と参照光とがどちらも前記空間変調部に入射されることを特徴とする請求項1の記録再生装置を提供するものである。
【0018】
この発明において、診断部,比較部,欠陥検出部および部品調整部は、主として、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマーなどからなるマイクロコンピュータによって実現される。また、各部の機能は、CPUが、ROM等に記憶された制御プログラムに基づいてハードウェアを動作させることにより実現される。また、記憶部としては、既知の情報を記憶するためには、ROM,フラッシュメモリ,ハードディスクなどの不揮発性のメモリが用いられる。
結果出力部は、LCDやELなどの表示装置,プリンタあるいはスピーカなどが用いられる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、前記したような光路変換部と診断部とを備えているので、記録再生装置の記録再生用部品の不具合の検出を、容易かつ迅速に利用者に負担をかけずに行うことができる。
また、前記したような部品調整部を備えた場合には、不具合の検出のみならず、部品を調整することにより欠陥が生じないように装置を補正することができる。
さらに、結果出力部を備え、診断結果等を出力させた場合には、修理が必要な場合などにおいて利用者に迅速な対応をとらせることができ、欠陥のあるまま使用しつづけることによる媒体の無駄や時間の無駄を防止できる。
また、前記したように、種々のイベントが発生したタイミングで動作確認を開始するようにしているので、不具合の有無の早期検出,早期補正,あるいは使用により発生した不具合の早期発見等を、利用者に負担をかけずに容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
<記録再生装置の構成>
この発明の記録再生装置は、装置の自己診断機能を持ち、ホログラム記録媒体を介在することなく、あるいは、媒体の表面に反射面等を設けることにより、装置の記録系および再生系の光学部品を診断する機能を有することを特徴とする。
記録系の光学部品には、図11等に後述する装置構成部品のうち、レンズ群(5−1,5−2)および空間光変調器6を含み、再生系の光学品部品には、ミラー群(4−1,4−2,4−3)および2次元撮像素子7を含む。
その他、コリメータレンズ2,ビームスプリッタ(3,8)および対物レンズ9は、記録系と再生系のどちらにも使用される共通部品である。
以下に、4種類のホログラム記録再生装置の構成を説明する。
【0021】
図11および図12に、反射型の2光束干渉ホログラム記録再生装置の一実施例の概略構成図を示す。
図11には、ホログラム記録媒体20に、情報を記録する場合の光路を示している。光源1から出射された光ビームは、コリメータレンズ2を通り、ビームスプリッタ3で2つの光に分けられる。1つは、レンズ群(5−1,5−2),空間光変調器6,ビームスプリッタ8,対物レンズ9を通り、媒体20に照射される情報光21である。
もう1つは、ミラー群(4−1,4−2,4−3)により反射させられ、所定の角度で媒体20に照射される参照光22である。この2つの光(情報光21と参照光22)が、媒体20の同じ位置に照射されることにより、光の干渉じまとして情報が記録される。
情報光21は、媒体に書き込むべきページデータに対応づけられた光であり、参照光22は、媒体に記録されたページデータを読み出すための光である。
【0022】
図12には、ホログラム記録媒体20から情報を再生する場合の光路を示している。再生時は、参照光22のみ用いる。すなわち、ビームスプリッタ3からミラー群(4−1,4−2,4−3)の方へ進行する光のみ利用し、レンズ群(5−1,5−2)への光は遮光する。参照光22が媒体20に照射されると、再生光23が生成され、再生光23は対物レンズ9,ビームスプリッタ8を通り、2次元撮像素子7で検出される。
【0023】
図13と図14に、反射型のコリニアホログラム記録再生装置の一実施例の概略構成図を示す。
図13は記録時の光路を示しており、図14は再生時の光路を示している。この場合も、光源1から出射された光ビームは、コリメータレンズ2,ビームスプリッタ3,レンズ群(5−1,5−2)を透過して空間光変調器6に導かれるが、この光ビームは、2つのリング状の光束から構成される。図13に示すように、中央部分の光束は情報光21に相当し、情報光21の周囲に形成された光束は参照光22に相当する。したがって、図11に示したようなミラー群(4−1,4−2,4−3)は不要である。
図13の記録時において、リング状の光束からなる光ビームは、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,および対物レンズ9を通過すると、媒体20上の所定の位置で干渉じまを形成し、情報が記録される。
【0024】
また、図14に示した再生時は、リング状の外側部分の参照光のみを照射する。参照光22は、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,対物レンズ9を通過し、媒体20に照射されると、再生光23が生成される。再生光23は、リングの中央部分の光として生成され、対物レンズ9,ビームスプリッタ8を通過して、2次元撮像素子7で検出される。
【0025】
図15および図16に、透過型の2光束干渉ホログラム記録再生装置の一実施例の概略構成図を示す。
図15は記録時の光路を示しており、図16は再生時の光路を示している。図15に示した記録時の光路は、図11に示したものと同じである。この場合、媒体20は、反射層を有さず、媒体の下方からも光が入射できるような構造の媒体を用いる。
図16に示した再生時において、参照光22は、ミラー(4−1,4−4,4−5)によって反射され、媒体20の下方から所定の角度で入射させられる。媒体20に参照光22が入射すると、上方へ向かう再生光23が生成される。生成された再生光23は、対物レンズ9,ビームスプリッタ8を通過して、2次元撮像素子7で検出される。
【0026】
図17と図18に、透過型の2光束干渉ホログラム記録再生装置の一実施例の概略構成図を示す。
ここでは、図11や図15と異なり、ビームスプリッタ8はなく、2次元撮像素子7と対物レンズ9−2が、媒体20に対して対物レンズ9等の部品とは反対側であって、媒体20の下方に設けられる。
図17は記録時の光路を示しており、図18は再生時の光路を示している。
図17に示した記録時の情報光21と参照光22の光路は、図11に示したものと同じである。この場合も、図15に使用した媒体と同じように、下方から光を入射することができるタイプの媒体を用いる。
【0027】
図18に示した再生時において、参照光22は、ミラー群(4−1,4−2,4−3)を介して、媒体20に照射される。参照光22が媒体20に照射されると、再生光23が生成され、参照光の照射面と反対側の面から出射される。そして、再生光23は、対物レンズ9−2を通過して、2次元撮像素子7で検出される。
以上、4つのタイプの記録再生装置の構成と、記録時および再生時の光路を説明した。
次に、これらの装置において、自己診断をする場合の構成と光路について説明する。
なお、以下の実施例1,2,3および4に示した診断時の構成は、図11,図13,および図15に示した3つの記録再生装置のいずれにも適用できる。
【0028】
<自己診断の実施例1>
図1に、この発明の自己診断時の実施例1の構成の説明図を示す。
図1に示した自己診断では、光源1,コリメータレンズ2,ビームスプリッタ3,レンズ群(5−1,5−2),空間光変調器6,ビームスプリッタ8,2次元撮像素子7を用いる。対物レンズ9および媒体20は使用しない。
図11等に示したものとは、ビームスプリッタ8の配置が異なる。すなわち、図11のビームスプリッタ8の配置から90度左へ回転し、図1のように、ビームスプリッタ8に入射された光ビームが左方向に反射されて、2次元撮像素子7に照射されるようにする。
この実施例1では、ビームスプリッタ8を回転させる機構を設け、自己診断時に自動的にあるいは手動で、ビームスプリッタ8を図1のように回転させる。このビームスプリッタ8が、光路変換部に相当する。
【0029】
実施例1では、光ビームは、媒体を介さずにビームスプリッタ8のみを介して、空間光変調器6から2次元撮像素子7へ直接入射されるので、空間光変調器6から2次元撮像素子7に至る経路に欠陥があるか否かを検出できる。
診断時の欠陥検出処理は、たとえば次のようにして行えばよい。
予めメモリに記憶された既知のページデータD1を空間光変調器6に与え、通常の記録処理と同様の動作を行う。すなわち、光源1から光ビームを出射し、情報光21に相当する光ビームを空間光変調器6まで導く。
ビームスプリッタ8を図1のように配置しておくと、情報光21は、左方向へ進路が変換され2次元撮像素子7で検出される。検出された情報光に対応した2次元ページデータD2をデジタル信号として取り出し、この2次元ページデータD2とメモリに記録された既知ページデータD1とを比較する。
【0030】
両ページデータ(D1,D2)が完全一致すれば、空間光変調器6から2次元撮像素子7に至る経路の部品(6,7,8)には欠陥がなかったことがわかる。
一方、両ページデータの中に一致しない部分が存在する場合には、空間光変調器6から2次元撮像素子7に至る経路のどこかに欠陥があることがわかる。
図1に示した実施例1では、欠陥原因の明確な特定はできないが、少なくとも、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,2次元撮像素子7のいずれかに欠陥があることが検出される。欠陥が検出された場合、後述するような調整や補正処理をすることにより、装置の欠陥をなくし、正常な記録再生ができるようになる場合もある。
また、調整等をすることができない場合や、調整しても正常動作ができなかった場合は、利用者に、エラーが発生したこと、エラーの内容、考えられるエラーの原因あるいは修理が必要なことを、表示または報知してもよい。これにより、利用者に迅速な対応をとらせることができ、媒体の無駄や時間の無駄を防止することができる。
【0031】
この実施例1では、ビームスプリッタ8を回転させる必要があるが、たとえば、自己診断用スイッチのような機構等を設けておき、利用者が、このスイッチを押したときにこの自己診断を実行するようにすればよい。これによれば、利用者は、スイッチを押すだけでよいので、容易に自己診断が開始され、利用者に負担をかけずに欠陥検出ができる。ただし、自己診断を開始するタイミングは、後述するような種々の場合が考えられ、これに限るものではない。
【0032】
<自己診断の実施例2>
図2に、この発明の実施例2の構成の説明図を示す。
図2では、ビームスプリッタ8から出射され情報光21を反射するためのミラー11を設ける。この実施例2でも、自己診断に媒体は使用しない。また、ビームスプリッタ8とミラーとが、光路変換部に相当する。
ミラー11は、自己診断の開始時にビームスプリッタ8と対物レンズ9との間であって情報光の光路中に挿入し、通常の記録および再生時には、情報光の光路からはずしておく。情報光21は、ミラー11によって全反射され、ビームスプリッタ8内部へ戻される。戻った光束は、左方向に反射されて2次元撮像素子7の方に進行する。したがって、可動式のミラーが好ましく、ミラーを挿入する位置は、図2のようにビームスプリッタに隣接する位置でもよい。
図2では、ビームスプリッタ8は回転させる必要はなく固定されていてもよい。
この実施例2では、ミラー11を含み、空間光変調器6から2次元撮像素子7に至る経路における欠陥を検出できる。
【0033】
欠陥検出処理は、実施例1で説明したものと同様に行うことができる。実施例2では、たとえば、自己診断スイッチが押されたとき、ミラー11を移動し、図2のようにビームスプリッタ8の下部に挿入させて欠陥検出を行えばよい。したがって、利用者に負担をかけずに容易に自己診断をすることができる。
【0034】
また、ミラー11の代わりに、参照光の出射部位に相当するビームスプリッタ8の下部に、液晶シャッターを設けてもよい。記録および再生時にはシャッターを開いて、情報光または再生光を通過させ、自己診断時にシャッターを閉じて、情報光を全反射させるようにする。この場合、液晶シャッターの開閉制御をする必要があるが、この制御はマイクロコンピュータなどからの電気的信号により可能であり、ミラー11を移動させるような機構を設ける必要はない。
【0035】
<自己診断の実施例3>
図3に、この発明の実施例3の構成の説明図を示す。
図3では、対物レンズ9と媒体20との間の空間であって、情報光の光路中に、ミラー12を設ける。この実施例3でも、自己診断時には、媒体は使用しない。
ミラー12は、自己診断の開始時に、図3に示す情報光の光路中に挿入し、通常の記録および再生時には、情報光の光路からはずしておく。したがって、ミラー12は可動式ミラーとし、移動させるための機構を設ける。この可動式ミラー12が、光路変換部に相当する。
実施例3では、光源から出射された光ビームは、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,対物レンズ9,ミラー12へと進み、ミラー12で全反射された後、対物レンズ9,ビームスプリッタ8を通過して、2次元撮像素子7で検出される。
【0036】
ミラー12を挿入する位置は、対物レンズ9と媒体20との間であればよいが、フォーカス点の調整の観点からは、図3に示すように媒体20に近い位置に挿入することが好ましい。
この実施例3では、ミラー12を含み、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,対物レンズ9,2次元撮像素子7を含む光学部品の欠陥を検出することができる。すなわち、実施例1および2とは異なり、対物レンズ9までも含めた光学部品のいずれかに欠陥があることが検出できる。欠陥検出処理は実施例2で説明したものと同様に行うことができる。
実施例3でも、自己診断スイッチを設け、利用者がこれを押すことにより、容易に負担をかけずに自己診断を実行できる。
【0037】
また、図1で示した実施例1の診断と、この実施例3の診断とを別々に実行し、実施例1の診断では欠陥は検出されなかったが、実施例3の診断では欠陥が検出された場合、対物レンズ9に不具合がある可能性があることがわかる。対物レンズ9に不具合がある可能性がある場合、後述するようなフォーカス調整処理をさせれば、対物レンズ9の不具合を補正して、正常な記録再生ができるようになる場合もある。
【0038】
<自己診断の実施例4>
図4に、この発明の実施例4の構成の説明図を示す。
この実施例4では、媒体上の特定位置に診断領域13を設けることを特徴とする。したがって、実施例4では、媒体を使用して診断をするが、装置に取り付けられた媒体の傾き(チルト)等のチェックをすることができる。
図11や図12で示したように、参照光22は、媒体表面に対して所定の入射角度で照射されるが、取り付けられた媒体が設計仕様どおりの位置にあることを前提として参照光の角度が調整される。しかし、媒体そのものが、設計仕様どおりの基準位置でなく、その基準位置からわずかに傾いていたとすると、参照光の入射角度が意図したものと異なってしまうことになり、正常な記録再生ができない場合もある。
そこで、実施例3の診断で欠陥がないことを前提として、この実施例4で欠陥が検出された場合には、媒体側に何らかの問題があることが検出できる。
【0039】
媒体側の問題の原因としてはいくつか考えられるが、たとえば、前記した媒体そのものの傾きも一つの原因であるので、対応策としては、後述するような媒体のチルト補正をすることが考えられる。すなわち、実施例4で欠陥が検出された場合には、チルト補正をすることにより、記録再生に問題があった装置を正常な状態に戻すことができる場合がある。
実施例4において、媒体に設ける診断領域13には、照射された光をそのまま全反射するミラーを設ける。ミラーを設ける位置は、光が照射される媒体の表面上であればどこでもよく、予め決められた位置に設ければよい。また、ミラーの大きさも光ビームのスポット径よりもわずかに大きい程度であればよい。
【0040】
実施例4では、光源から出射された光ビームは、空間光変調器6,ビームスプリッタ8,対物レンズ9を通過して、媒体のミラー13に照射される。さらに、ミラー13で全反射されて、対物レンズ9,ビームスプリッタ8を通過して、2次元撮像素子7で検出される。
この実施例4では、たとえば自己診断スイッチが押されたとき、媒体の診断領域13が、光ビームの照射位置にくるように、媒体を移動させて情報光21を照射させればよい。この実施例4でも、容易に利用者の負担をかけることなく、自己診断をすることができる。
【0041】
以上、自己診断について4つの実施例を説明したが、これらの自己診断は、図11の反射型2光速干渉タイプ,図13の反射型コリニアタイプ,図15の透過型2光速干渉タイプの記録再生装置のいずれにも利用できる。
ここで、反射型コリニアタイプの記録再生装置では、照射される光ビームが、図13に示したように2重のリング状になっている点が異なる。ただし、反射型コリニアタイプでも、中央部分の情報光のみを照射してもよく、リング状になっていない1つの平行光ビームを照射してもよい。
【0042】
<自己診断の実施例5>
ここでは、図17に示した透過型の2光速干渉ホログラム記録再生装置の自己診断について説明する。
この装置では、2次元撮像素子7の配置が他の装置と異なるので、自己診断時の光の経路が異なる。
図5と図6に、この発明の実施例5の場合の自己診断時の一実施例の構成の説明図を示す。
図5は、媒体20を使用しない自己診断の場合の光路を示している。
ここで、空間光変調器6を通過した光ビームが、媒体20を迂回して、2次元撮像素子7に検出されるように、可動式のミラー群(14−1,14−2,14−3,14−4)を設けている。可動式ミラー群14は、4つに限るものではなく、またこの配置に限るものではない。この可動式ミラーが、光路変換部に相当する。
【0043】
可動式ミラー14は、通常の記録再生時は、別の位置に移動させられており、自己診断時に、図5のように配置される。また、可動式ミラーの配置が通常の記録再生に支障なければ、3つの可動式ミラー(14−2,14−3,14−4)は固定配置とし、可動式ミラー14−1のみを可動式としてもよい。
この図5に示す自己診断も、利用者が自己診断スイッチを押すことにより起動するようにすればよく、容易かつ利用者に負担をかけずに、空間光変調器6と2次元撮像素子7との間の欠陥検出をすることができる。
【0044】
ただし、ホログラム記録媒体が可搬なタイプであって容易に着脱可能な場合は、空間光変調器6と2次元撮像素子7とが直線的な位置に配置されており、空間光変調器6を通過した光ビームがそのまま2次元撮像素子7に照射可能な場合は、ミラー群(14−1〜4)は不要である。
【0045】
図6は、媒体20を使用した自己診断の場合の光路を示している。
この場合、媒体20の特定の位置に、光をそのまま透過させる領域(透過領域15)を設ける。透過領域15は、媒体の表面から裏面まで、ガラスや透明樹脂で形成してもよい。
また、透過領域15を通過した光は、対物レンズ9−2を通過して2次元撮像素子7に入射される。この構成によれば、媒体に透過領域を設け、自己診断時にこの透過領域に情報光が照射されるように媒体を移動させる必要があるが、媒体を取りはずせない場合の自己診断が可能となる。また、ミラー群14は必要なく、部品の増加の防止ができる。
図6においては、空間光変調器6から2次元撮像素子7に至る経路に存在する光学部品(対物レンズ9,9−2を含む)のいずれかに欠陥があることが、容易かつ利用者に負担をかけずに検出できる。
【0046】
<自己診断を実施するタイミング>
上記の実施例で説明した自己診断は、利用者が自己診断用スイッチを押したときだけでなく、種々のタイミングで開始するようにしてもよい。
たとえば、次のようなタイミングで開始することが考えられる。
(1)この発明の記録再生装置の電源が投入されたことを検出した場合。
(2)可搬型の媒体が、この装置に挿入されたことを検出した場合。
(3)記録要求または再生要求を検出した後、記録再生動作を実行する前。
(4)装置が記録再生動作を行っていないアイドル状態のとき、そのアイドル状態が一定時間経過するごとに行う。
(5)記録または再生動作の不良(記録エラーまたは再生エラー)の検出回数が所定回数を越えた場合。
(6)装置内部の環境温度が、設定温度以上に上昇した場合。
(7)装置内部に取り付けられた衝撃センサーが、所定値以上の衝撃が加えられたことを検出した場合。
【0047】
これらのタイミングに限られるものではなく、またすべてを採用する必要はないが、このようなタイミングのいくつかを採用することにより、迅速にまた確実に欠陥を検出することができる。
また、種々のタイミングで欠陥検出処理をすることによって、欠陥があることが検出された場合は欠陥があったことを表示する。あるいは欠陥の部品や欠陥の位置がある程度特定できた場合は、その都度その旨を利用者に表示または音声報知することが好ましい。これによりその後欠陥が存在したまま使用しつづけることによる媒体の無駄や時間の無駄を防止することができるからである。
なお、環境温度を測定するために、温度センサーを装置内部に取り付ければよいが、その位置は特に限定されるものではなく、たとえば、装置内部で最も高温となる部分の近傍に取り付ければよい。
また、衝撃センサーも、取り付ける位置は特に限定されない。
【0048】
<欠陥検出とその後の対応処理>
ここでは、自己診断をしたことにより欠陥を検出した場合において、装置の記録再生用部品の調整や補正処理を行うことについて説明する。
調整処理とは、たとえば、対物レンズ9のフォーカス調整,媒体20のチルト調整,空間光変調器6や2次元撮像素子7に欠陥があった場合の交替処理が考えられる。
【0049】
図7に、この発明の欠陥検出および調整処理の一実施例のフローチャートを示す。ここでは、上記した自己診断の実施例のうち、次の3つのタイプの自己診断を行うものとする。
タイプ1:実施例1(図1)の自己診断(媒体及び対物レンズの介在なし)
タイプ2:実施例3(図3)の自己診断(媒体介在なし、対物レンズを含む診断)
タイプ3:実施例4(図4)の自己診断(媒体を含む診断)
【0050】
タイプ1では、空間光変調器6を通過した光は、ビームスプリッタ8を通過すると直接2次元撮像素子7に入射される。この場合、ビームスプリッタ8に欠陥がないとすると、空間光変調器6かあるいは2次元撮像素子7のいずれかに欠陥があることが検出できる。
なお、タイプ1では、実施例2(図2)の自己診断を利用してもよい。
タイプ2では、対物レンズ9を通過しミラー12で反射された光が2次元撮像素子7に入射されるので、タイプ1で欠陥が検出されなかったがタイプ2で欠陥が検出された場合、対物レンズ9に何らかの不具合がある可能性があることがわかる。
【0051】
タイプ3では、媒体に設けられた診断領域(ミラー)13を使用して診断を行うので、タイプ1およびタイプ2のどちらの診断でも欠陥は検出されなかったが、タイプ3で欠陥が検出された場合、媒体側に何らかの不具合がある可能性があることがわかる。
そこで、この3つのタイプの自己診断を組み合わせて実施すれば、装置の問題点の検出だけでなく、その検出結果に基づいて調整等を行うことにより、装置を正常な状態に戻すことも可能となる。
【0052】
図7のフローチャートのステップS1において、まず、タイプ1の自己診断を実施し、欠陥の有無を確認する。ここで、欠陥があることが検出された場合、ステップS11へ進み、交替処理をする。
ステップS1で欠陥が検出された場合は、空間光変調器6または2次元撮像素子7のいずれかに欠陥があると判断できる場合がある。このとき、ROM等のメモリに予め記憶された既知パターン(ページデータA)と、この既知パターンを空間光変調器6に与えてタイプ1の自己診断をしたときに2次元撮像素子7で検出された撮像パターン(ページデータB)とを比較し、一致しなかった画素は欠陥画素と判断できる。この欠陥画素は、空間光変調器6によるものか、2次元撮像素子7によるものかはわからないが、この欠陥画素の位置に書き込む予定のデータを予め設けられた交替領域に移動することで、欠陥がなかった場合と同様に正常な記録再生が可能となる。
利用される既知パターン(ページデータ)は、全黒パターン,全白パターン,白黒反転パターンなど数種類のページデータを予めメモリに記憶しておき、必要に応じて1つ又は2以上のパターンを利用して自己診断処理を行えばよい。
また交替領域は、空間光変調器に与えられる空間情報(データパターン)の中の一部の領域である。欠陥のない場合は交替領域は使用されない空き領域であるので、小容量だけ設ければよい。
【0053】
図8に、この発明の交替処理の一実施例の説明図を示す。
図8(a)は、空間光変調器6に与えられるパターンの例を示している。ここで、左側の部分は、ユーザデータが書き込まれるユーザ領域であり、右側の細長い長方形領域が交替領域である。
図8(b)は、2次元撮像素子7で検出されたパターンの例を示している。ここで欠陥がなければ、図8(a)のパターンと全く同一のパターンが検出されるが、空間光変調器6または2次元撮像素子7に欠陥があったとすると、書き込んだデータ(ページデータA)と読み出したデータ(ページデータB)が異なるので、図8(b)のように欠陥画素の位置がわかる。すなわち2つのデータが異なる位置を欠陥位置として特定できる。
そこで、検出された欠陥画素の位置をメモリに記録する。
【0054】
この後、次にデータパターンを空間光変調器6に与える場合には、図8(c)に示すように、検出された欠陥画素の位置に書き込まれる予定のデータを、交替領域に移動したようなパターンを生成し、空間光変調器6に与える。すなわち、交替処理をする。
たとえば、欠陥画素の移動先は、図8(c)に示すように欠陥画素と同じ行の交替領域に移動すればよい。
また、このような交替処理をしたパターンを2次元撮像素子で検出した場合は、逆に、交替領域に移動したデータを欠陥画素の位置へ戻す処理(逆交替処理)をし、もとのデータパターンを再生する。
【0055】
ステップS11では、具体的には、検出された欠陥位置のアドレスを記憶した後、タイプ1の自己診断で利用した既知パターンに対して交替処理を行い、再度タイプ1の自己診断を行う。この再度のタイプ1の自己診断で欠陥が検出されなかった場合、ステップS1の欠陥に対する対策がとれ、正確な記録再生が可能な状態となったことを意味する。この場合ステップS2へ進む。
一方、再度のタイプ1の自己診断でも欠陥が検出された場合は、交替処理では、解決できない問題が発生していると考えられるので、ステップS21へ進み、利用者に修理が必要である旨や、空間光変調器6または2次元撮像素子7に欠陥がある旨などの表示や通知を行う。
【0056】
ステップS1で欠陥が検出されなかった場合は、ステップS2へ進み、タイプ2の自己診断を実施し、欠陥の有無を確認する。ここで、欠陥があることが検出された場合、ステップS12へ進み、フォーカス調整処理をする。
ステップS12へ進む場合とは、タイプ1の自己診断では欠陥が検出されなかったが、タイプ2の自己診断で欠陥が検出されているので、空間光変調器6と2次元撮像素子7そのものには欠陥はなく、対物レンズ9に何らかの問題点がある可能性が高い。
対物レンズ9に問題点がある場合、たとえば対物レンズ9にキズが付き屈折性能自体に問題が発生した場合や、対物レンズ9を駆動してフォーカスを調整するアクチュエータに問題がある場合などが考えられる。
ここで、アクチュエータによるフォーカス制御が設計基準どおりでない場合は、対物レンズの位置を調整することにより、設計基準どおりのフォーカスとなるように補正することができる。
【0057】
図9に、この発明のフォーカス調整処理の説明図を示す。
図9(a)は、記録前の空間光変調器6に与えられるデータパターン(パターンA)の例を示している。
図9(b)は、2次元撮像素子で受光されるデータパターン(パターンB)の例を示している。これは設計仕様どおりの理想的なパターンであり、フォーカスが設計どおり調整されていたとすると、図9(a)に示したパターンAと同一サイズとなる。
【0058】
図9(c)は、フォーカスがずれた場合に2次元撮像素子7で受光されるデータパターンCの例を示している。ここでは、理想的なデータパターンAよりも大きなサイズとなって受光される場合を示している。破線で示した理想的なパターンAのサイズよりも外側にあるデータは正常に受光されず、また、破線内でも正常なデータとして取り出せない場合もあり得るので、ステップS2での診断処理で欠陥として検出される場合がある。そこで、2次元撮像素子7は、理想的なパターンAを受光できるサイズよりも少し大き目のものを予め用意しておき、フォーカスずれで拡大されたパターンCも受光できるようにする。また、設計基準どおりの理想的なパターンのサイズAを、メモリに予め記憶しておく。
【0059】
ステップS12のフォーカス調整処理では、まずステップS2のタイプ2の診断処理において2次元撮像素子7で実際に検出された受光パターンのサイズを求める。次に、メモリに予め記憶されていた理想的なパターンのサイズと比較する。この比較の結果、サイズが一致している場合は、フォーカス制御そのものは正常であると考えられるので、ステップS2で検出された欠陥は他の原因が考えられる。すなわち、フォーカス調整では、この欠陥をなくすことはできないので、ステップS21へ進み、修理が必要である旨などの表示または通知を行う。
一方、比較の結果、サイズが異なっていた場合は、対物レンズ9を移動させることによりフォーカス調整をすれば、検出パターンのサイズを設計どおりのサイズに調整できる可能性があるので、そのサイズのずれに対応させて対物レンズ9の移動を行う。
【0060】
すなわち、2次元撮像素子7で検出されるパターンのサイズを監視したまま、対物レンズ9のアクチュエータを制御し、検出パターンのサイズが設計どおりのサイズとなるまで、対物レンズ9の位置を調整する。このフォーカス調整をしてもフォーカスが理想どおりにならない場合は、ステップS21へ進む。
しかし、この調整によりフォーカスを理想どおりとすることができた場合は、再度ステップS2のタイプ2の診断処理を行い、欠陥が生じないか否か確認する。そして、欠陥が生じなかった場合は、上記フォーカスの調整が成功したので、ステップS3へ進む。
一方、欠陥がまだ発生している場合は、フォーカス調整では修正できない欠陥であるので、ステップS21へ進み、要修理であることなどを利用者に表示または通知する。
【0061】
ステップS2で欠陥が検出されなかった場合は、ステップS3へ進み、タイプ3の自己診断を実施し、欠陥の有無を確認する。ここで欠陥があることが検出された場合、ステップS13へ進みチルト調整処理をする。
ステップS13へ進む場合は、タイプ1およびタイプ2において媒体が介在しない診断処理では欠陥が検出されなかったが、タイプ3の媒体を介在した診断処理で欠陥が検出されているので、媒体側に問題がある可能性が高い。
媒体側に問題がある場合は、媒体の診断領域そのものに問題があるか、媒体を固定あるいは移動駆動しているチルト機構に問題がある場合などが考えられる。
【0062】
ここで、媒体のチルト機構に問題がある場合は、チルト機構による媒体の位置調整を行えば、タイプ3の診断処理で検出された欠陥をなくすことができる可能性がある。そこで、ステップS13のチルト調整処理では、チルト機構によって媒体の位置調整を行って、再度タイプ3の診断処理を繰り返す。
たとえば、媒体に照射される情報光に対する媒体表面の角度が90°になっていない場合もあり得るので、この角度をわずかに変化させてタイプ3の診断処理を実施する。
【0063】
このように角度を変化させることにより、タイプ3での欠陥がなくなった場合には、チルト調整が成功したと考えられるので、ステップS20へ進み、診断の結果問題がなかったこと、欠陥があったが正常に記録再生が可能となった旨などの表示をし、利用者に記録再生をしてもよいことを通知する。
一方、角度をいろいろ変化させて所定回数タイプ3の診断処理を実行しても、欠陥がまだ発生している場合は、このチルト調整処理では補正することのできない欠陥であると考えられるので、ステップS21へ進み、利用者に要修理等の通知を行う。
【0064】
図7で示したように、3つの診断処理を組み合わせることにより、問題点の検出と、可能な場合にはその問題点の解消を図ることができる。また、3つの診断処理と、ステップS11,S12,S13に示した調整処理もマイクロコンピュータにより自動的に実行することができるので、利用者に負担をかけることなく容易に装置の診断と調整が可能である。なお、図7のフロー全体処理の起動も、前記したような種々のタイミングで実行させてもよい。
【0065】
<その他の実施例>
図13に示した反射型コリニアタイプの記録再生装置では、リング状の2つの光束を媒体に照射しているが、他の装置とは異なる特有の問題点がある。
図10に、コリニアタイプの記録再生装置の空間光変調器6に与えられる情報光と参照光のパターンの例を示す。
図10(a)は、空間光変調器6に欠陥がない場合のパターンAを示している。一方図10(b)は、空間光変調器6の外側のリングの参照光の照射位置に相当する部分に、欠陥が発生している場合のパターンBを示している。
すなわち、図10(b)では、この欠陥を含んだ状態の参照光が媒体に照射され、情報光で与えられたデータが干渉じまとして媒体に記録されることになる。このとき、再生時にも同じ欠陥を含んだ参照光を媒体に照射してもデータの再生は正常に行われる。
【0066】
言いかえれば、このような参照光が照射される位置の空間光変調器6に欠陥があっても、その同一装置内に媒体がある限りは記録再生は正常に行われる。しかし、このような欠陥を含む空間光変調器6を通過した参照光を用いて記録された媒体を、他の装置へ移動して再生した場合には、正常な再生ができないという問題が発生する。
他の装置では空間光変調器6に欠陥がなく正常であったとすると、図10(a)のパターンAに基づいて参照光が照射されることになるので、正常なパターンAとは異なるパターンBで記録された媒体上のデータは、正常に再生されないからである。
【0067】
また、ある装置の空間光変調器6に、図10(b)に示したような欠陥が生じている場合には、その同一装置で記録再生しても問題が生じないので、一般にその欠陥があることを認識するのは困難である。しかし、この発明の実施例1から4のいずれかの診断処理をすれば、図10(b)のような欠陥も検出できる。
たとえば、コリニアタイプの記録再生装置において、実施例1の構成を利用して、図10(a)の既知のパターンAの情報光と参照光を照射した場合、空間光変調器6と2次元撮像素子7が正常ならばパターンAと同じデータパターンが検出できるはずである。
一方、欠陥がある場合、2次元撮像素子7でたとえば、図10(b)のような異常なパターンBが検出されるので、予めメモリに記憶したパターンAと、この検出パターンBとを比較することにより、その欠陥位置が特定できる。
【0068】
したがって、ある装置で、空間光変調器6の参照光の照射領域部分に欠陥がある場合、常にパターンBの参照光が照射されるので、このパターンBの情報、特に、パターンBのうち参照光の照射領域の欠陥位置情報を、媒体に記録するようにする。
この媒体を他の装置に挿入して再生する場合には、この欠陥位置情報を読み出せば、パターンBの参照光を使用して記録されたことがわかるので、他の装置でも、再生時にパターンAでなくパターンBを選択的に参照光として用いることにより、この媒体に記録されたデータを再生することができるようになる。
【0069】
上記実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)光ビームを出射する光源と、
ホログラム記録媒体に記録すべきページデータAに対応した空間情報を用いて、前記光ビームを変調した情報光を生成する空間変調部と、
前記空間変調部で生成された情報光の光路を変換する光路変換部と、
前記光路変換部で光路が変換された情報光を受光する光検出部と、
前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBと前記ページデータAとを用いて、前記空間変調部および光検出部を含む記録再生用部品の動作を確認する診断部とを備えたことを特徴とする記録再生装置。
【0070】
(付記2)前記光路変換部が、前記空間変調部で生成された情報光の光路を、前記光検出部の方向へ変えるビームスプリッタであることを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記3)前記ビームスプリッタは、ホログラム記録媒体にページデータを記録する場合は情報光を媒体の方向へ進行させ、前記診断部による動作確認をする場合は情報光を光検出部の方向へ進行させることが可能なように可動配置されていることを特徴とする付記2の記録再生装置。
【0071】
(付記4)前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記空間変調器と前記光学レンズとの間に設け、情報光を光学レンズを介さずに前記光検出部で受光させることを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記5)前記光路変換部が、ミラーと、前記空間変調部から生成された情報光はホログラム媒体の方向へ通過させ、かつ前記ミラーで反射された情報光は前記光検出部の方向へ光路変換するビームスプリッタとからなり、前記ミラーは前記ビームスプリッタと前記光学レンズとの間に配置されることを特徴とする付記4の記録再生装置。
【0072】
(付記6)前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記光学レンズと媒体との間に設け、前記光学レンズを通過した後光路変換部で光路変換された情報光を前記光検出部で受光させることを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記7)前記光路変換部が、可動式ミラーであることを特徴とする付記6の記録再生装置。
【0073】
(付記8)前記光路変換部が、ホログラム記録媒体の表面に設けられ、前記光路変換部が前記空間変調部で生成された情報光を反射し、反射された情報光が前記光検出部で受光されることを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記9)前記光路変換部が、ミラーであることを特徴とする付記8の記録再生装置。
【0074】
(付記10)前記光路変換部が、ホログラム記録媒体に設けられた光透過部であり、前記空間変調部で生成されかつ前記光透過部に照射された情報光は、媒体を通過して前記光検出部で受光されることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【0075】
(付記11)前記診断部が、既知の情報からなるページデータAを予め記憶した記憶部と、ページデータAと、前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBとを比較する比較部と、比較の結果に基づいて、前記記録再生用部品の欠陥の有無を検出する欠陥検出部とを備えたことを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記12)前記欠陥検出部が検出した結果を出力する結果出力部をさらに備えたことを特徴とする付記11の記録再生装置。
【0076】
(付記13)前記診断部が、記録再生用部品のいずれかの動作に不具合があることを確認した場合に、不具合があることを確認した部品を調整する部品調整部をさらに備えたことを特徴とする付記1の記録再生装置。
(付記14)前記不具合が確認された部品が前記空間変調部または前記光検出部である場合、前記診断部がその欠陥位置を特定し、前記部品調整部が、特定された欠陥位置に記録されるべきデータを所定の交替領域に移動させた空間情報を生成する交替処理を行うことを特徴とする付記13の記録再生装置。
【0077】
(付記15)前記診断部が、電源投入を検出した場合、可搬型ホログラム記録媒体の挿入を検出した場合、記録要求または再生要求を検出した場合、記録再生動作の行われていない時間が一定時間経過するごと、記録または再生動作の不良が検出された回数が所定回数を越えた場合、装置内部の温度が設定温度以上となった場合、装置内部に取り付けられた衝撃センサが所定値以上の衝撃を検出した場合、および診断処理の実行を要求する指示入力があった場合のいずれかのイベントが発生したときに、前記記録再生用部品の動作の確認を開始することを特徴とする付記1の記録再生装置。
【0078】
(付記16)前記光源から出射される光ビームが、中央部分の第1の光束と、その周囲に形成された第2の光束とからなるリング状の光束であり、第1の光束がホログラム記録媒体に書き込むべきページデータに対応づけられた情報光であり、第2の光束がホログラム記録媒体に記録されたページデータを読み出すための参照光であり、前記情報光と参照光とがどちらも前記空間変調部に入射されることを特徴とする付記1の記録再生装置。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】この発明の実施例1の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図2】この発明の実施例2の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図3】この発明の実施例3の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図4】この発明の実施例4の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図5】この発明の実施例5の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図6】この発明の実施例5の自己診断時の記録再生装置の構成の説明図である。
【図7】この発明の自己診断処理を組み合わせた欠陥検出調整処理の一実施例のフローチャートである。
【図8】この発明の交替処理の一実施例の説明図である。
【図9】この発明のフォーカ調整処理の一実施例の説明図である。
【図10】この発明のコリニアタイプの記録再生装置のデータパターンの一実施例の説明図である。
【図11】この発明の反射型2光束干渉ホログラム記録再生装置の記録時の構成図である。
【図12】この発明の反射型2光束干渉ホログラム記録再生装置の再生時の構成図である。
【図13】この発明の反射型コリニアホログラム記録再生装置の記録時の構成図である。
【図14】この発明の反射型コリニアホログラム記録再生装置の再生時の構成図である。
【図15】この発明の透過型2光束干渉ホログラム記録再生装置の記録時の構成図である。
【図16】この発明の透過型2光束干渉ホログラム記録再生装置の再生時の構成図である。
【図17】この発明の透過型2光束干渉ホログラム記録再生装置の記録時の構成図である。
【図18】この発明の透過型2光束干渉ホログラム記録再生装置の再生時の構成図である。
【符号の説明】
【0080】
1 光源
2 コリメータレンズ
3 ビームスプリッタ
4 ミラー群
5 レンズ群
6 空間光変調器
7 2次元撮像素子
8 ビームスプリッタ
9 対物レンズ
11 ミラー
12 ミラー
13 診断領域(ミラー)
14 ミラー群
15 透過領域
20 記録媒体
21 情報光
22 参照光
23 再生光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する光源と、
ホログラム記録媒体に記録すべきページデータAに対応した空間情報を用いて、前記光ビームを変調した情報光を生成する空間変調部と、
前記空間変調部で生成された情報光の光路を変換する光路変換部と、
前記光路変換部で光路が変換された情報光を受光する光検出部と、
前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBと前記ページデータAとを用いて、前記空間変調部および光検出部を含む記録再生用部品の動作を確認する診断部とを備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記光路変換部が、前記空間変調部で生成された情報光の光路を、前記光検出部の方向へ変えるビームスプリッタであることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項3】
前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記空間変調器と前記光学レンズとの間に設け、情報光を光学レンズを介さずに前記光検出部で受光させることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項4】
前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記光学レンズと媒体との間に設け、前記光学レンズを通過した後光路変換部で光路変換された情報光を前記光検出部で受光させることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項5】
前記光路変換部が、ホログラム記録媒体の表面に設けられ、前記光路変換部が前記空間変調部で生成された情報光を反射し、反射された情報光が前記光検出部で受光されることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項6】
前記光路変換部が、ホログラム記録媒体に設けられた光透過部であり、前記空間変調部で生成されかつ前記光透過部に照射された情報光は、媒体を通過して前記光検出部で受光されることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項7】
前記診断部が、既知の情報からなるページデータAを予め記憶した記憶部と、ページデータAと、前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBとを比較する比較部と、比較の結果に基づいて、前記記録再生用部品の欠陥の有無を検出する欠陥検出部とを備えたことを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項8】
前記診断部が、記録再生用部品のいずれかの動作に不具合があることを確認した場合に、不具合があることを確認した部品を調整する部品調整部をさらに備えたことを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項9】
前記不具合が確認された部品が前記空間変調部または前記光検出部である場合、前記診断部がその欠陥位置を特定し、前記部品調整部が、特定された欠陥位置に記録されるべきデータを所定の交替領域に移動させた空間情報を生成する交替処理を行うことを特徴とする請求項8の記録再生装置。
【請求項10】
前記診断部が、電源投入を検出した場合、可搬型ホログラム記録媒体の挿入を検出した場合、記録要求または再生要求を検出した場合、記録再生動作の行われていない時間が一定時間経過するごと、記録または再生動作の不良が検出された回数が所定回数を越えた場合、装置内部の温度が設定温度以上となった場合、装置内部に取り付けられた衝撃センサが所定値以上の衝撃を検出した場合、および診断処理の実行を要求する指示入力があった場合のいずれかのイベントが発生したときに、前記記録再生用部品の動作の確認を開始することを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項1】
光ビームを出射する光源と、
ホログラム記録媒体に記録すべきページデータAに対応した空間情報を用いて、前記光ビームを変調した情報光を生成する空間変調部と、
前記空間変調部で生成された情報光の光路を変換する光路変換部と、
前記光路変換部で光路が変換された情報光を受光する光検出部と、
前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBと前記ページデータAとを用いて、前記空間変調部および光検出部を含む記録再生用部品の動作を確認する診断部とを備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記光路変換部が、前記空間変調部で生成された情報光の光路を、前記光検出部の方向へ変えるビームスプリッタであることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項3】
前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記空間変調器と前記光学レンズとの間に設け、情報光を光学レンズを介さずに前記光検出部で受光させることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項4】
前記空間変調部とホログラム記録媒体との間であってかつ前記情報光の光路中に、情報光を媒体の所定の位置に照射させる光学レンズを備え、前記光路変換部を前記光学レンズと媒体との間に設け、前記光学レンズを通過した後光路変換部で光路変換された情報光を前記光検出部で受光させることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項5】
前記光路変換部が、ホログラム記録媒体の表面に設けられ、前記光路変換部が前記空間変調部で生成された情報光を反射し、反射された情報光が前記光検出部で受光されることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項6】
前記光路変換部が、ホログラム記録媒体に設けられた光透過部であり、前記空間変調部で生成されかつ前記光透過部に照射された情報光は、媒体を通過して前記光検出部で受光されることを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項7】
前記診断部が、既知の情報からなるページデータAを予め記憶した記憶部と、ページデータAと、前記光検出部で受光された情報光から得られるページデータBとを比較する比較部と、比較の結果に基づいて、前記記録再生用部品の欠陥の有無を検出する欠陥検出部とを備えたことを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項8】
前記診断部が、記録再生用部品のいずれかの動作に不具合があることを確認した場合に、不具合があることを確認した部品を調整する部品調整部をさらに備えたことを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【請求項9】
前記不具合が確認された部品が前記空間変調部または前記光検出部である場合、前記診断部がその欠陥位置を特定し、前記部品調整部が、特定された欠陥位置に記録されるべきデータを所定の交替領域に移動させた空間情報を生成する交替処理を行うことを特徴とする請求項8の記録再生装置。
【請求項10】
前記診断部が、電源投入を検出した場合、可搬型ホログラム記録媒体の挿入を検出した場合、記録要求または再生要求を検出した場合、記録再生動作の行われていない時間が一定時間経過するごと、記録または再生動作の不良が検出された回数が所定回数を越えた場合、装置内部の温度が設定温度以上となった場合、装置内部に取り付けられた衝撃センサが所定値以上の衝撃を検出した場合、および診断処理の実行を要求する指示入力があった場合のいずれかのイベントが発生したときに、前記記録再生用部品の動作の確認を開始することを特徴とする請求項1の記録再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−252699(P2006−252699A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69400(P2005−69400)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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