説明

記録再生装置

【課題】ユーザが手本音声を真似て発声した音声を録音し、手本音声とユーザの発声音声を繰り返し再生するときに、ユーザの発声速度によっては適切な手本音声を切り出すことができない。
【解決手段】再生区間で手本音声情報を繰り返して再生しているときに、操作指示手段で指示された第1の操作指示によって記録手段による音声情報の記録を開始して、操作指示手段でその後指示された第2の操作指示によって記録手段による音声情報の記録を終了して、その後、再生手段によって手本音声情報の再生区間分と音声情報を繰り返して再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュメモリなどの記録媒体を用いた記録再生装置に関し、特に、手本音声と録音音声の記録および再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、音声情報を記録する記録媒体として、テープメディアが多用されてきたが、近年、デジタルオーディオプレーヤ、ICレコーダ、デジタルカメラなどを代表とするデジタル機器、SDカード、MMCカードなどを代表とするメモリカード等において、不揮発性メモリであるフラッシュメモリが多用されている。フラッシュメモリは、プロセスの進化などにより、大容量化してきていることに加え、テープメディアの最大の欠点であったランダムアクセスが可能であることから、デジタル機器における複雑な記録制御や再生制御が可能なデバイスであり、さまざまな商品分野において多用されている。
【0003】
特許文献1では、ICレコーダを用いて語学学習を行う方法として、ユーザが手本音声を真似て発声した音声を録音し、手本音声とユーザの発声音声を繰り返し再生する方法が開示されている。この手法では、まず、ユーザは、あらかじめ記録しておいた手本音声を再生する。そして、ユーザは、発音練習したいフレーズ(手本音声の全てまたは一部分)を聴き、そのフレーズの末尾まで再生が終わった時点で、ユーザが第一の操作を行うことにより、手本音声の再生が停止され、録音状態に移行する。そして、録音状態において、発音練習したいフレーズを真似てユーザが発声を行い、その発声音声が録音される。その後、ユーザは、発声が完了した時点で、第二の操作を行うことにより、発声音声の録音が停止される。そして、その後、自動的に、フレーズと発生音声が繰り返し再生され、ユーザは、この繰り返し再生において両者を聞き比べることにより、発音練習という語学学習を行うことができる。これらの手順において、繰り返し再生におけるフレーズの再生を行う部分というのは、終了位置を、手本音声再生において第一の操作が行われたタイミングとし、開始位置を、手本音声の前記終了位置から発声音声を録音した時間長だけ遡った位置とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3978465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の記録再生装置は、発声音声の録音の際に、ユーザが、フレーズと全く同じ速度で発声を行った場合は、発音練習したいフレーズと録音した発声音声とが、違和感なく交互に再生されるが、もし、発声音声の録音の際に、ユーザが、フレーズより早口で発声を行ってしまった場合は、発声音声の時間長が短くなるため、繰り返し再生の際に、発音練習したいフレーズの頭が欠けてしまったり、また逆に、発声音声の録音の際に、ユーザが、フレーズよりゆっくり発声を行ってしまった場合は、発声音声の時間長が長くなるため、繰り返し再生の際に、発声練習したいフレーズの頭に不要な音声が混入してしまうという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来の問題点を解決すべく、発音練習したいフレーズを区間再生することで最初に確定しておき、その状態から、発声音声の録音を開始および停止することにより、適切な正しい区間で、発音練習したいフレーズと発声音声の繰り返し再生を行うことができる記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、音声情報を集音する集音手段と、手本音声情報を予め記録しているメモリと、前記集音手段で集音した音声情報を前記メモリに記録する記録手段と、再生区間を指示する再生区間指示手段と、前記再生区間指示手段で指示した再生区間をもとに、前記手本音声情報および前記集音音声情報を再生可能な再生手段と、第1の操作指示と第2の操作指示を指示可能な操作指示手段と、前記操作指示手段による指示により、前記記録手段及び前記再生手段を制御し、前記手本音声情報と前記音声情報を繰り返して再生する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記再生区間で手本音声情報を繰り返して再生しているときに、前記操作指示手段で指示された第1の操作指示によって前記記録手段による音声情報の記録を開始して、前記操作指示手段でその後指示された第2の操作指示によって前記記録手段による前記音声情報の記録を終了して、その後、前記再生手段によって前記手本音声情報の前記再生区間分と前記音声情報を繰り返して再生することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、発音練習したいフレーズを区間再生することで最初に確定しておき、その状態から、発声音声の録音を開始および停止することにより、適切な正しい区間で、発音練習したいフレーズと発声音声の繰り返し再生を行うことができる記録再生装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1にかかる記録再生装置を示すブロック図
【図2】実施の形態1にかかる記録再生装置のフラッシュメモリ部における読み出し動作および書き込み動作の一例を示すメモリマップ図
【図3】実施の形態1にかかる記録再生装置における再生動作を示すフローチャート
【図4】実施の形態1にかかる記録再生装置における区間再生動作を示すフローチャート
【図5】実施の形態1にかかる記録再生装置における発声録音動作を示すフローチャート
【図6】実施の形態1にかかる記録再生装置におけるレッスン再生動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の記録再生装置の実施の形態について、ICレコーダを一例とし、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に、実施の形態1にかかる記録再生装置(ICレコーダ)の一例を示すブロック図を示す。
【0011】
ICレコーダ100は、制御部101、表示部102、操作部103、オーディオ処理部104、マイク部105、スピーカ部106、通信部107、記録部112、再生部113とから構成されている。
【0012】
制御部101は、記録部112および再生部113に対してフラッシュメモリ部108上のアドレスを指定することにより、録音動作、つまり、フラッシュメモリ部108へのデータの書き込みを行い、また、再生動作、つまり、フラッシュメモリ部108からのデータの読み出しの制御を行う。また制御部108は、動作するための図示しないワークRAMを含んでいる。
【0013】
表示部102は、フラッシュメモリ部108に記録されたデータのファイル番号やファイル名を表示するための表示デバイス(例えば、LCD等)である。
【0014】
操作部103は、ICレコーダ100の録音動作、再生動作、区間再生動作、発声録音動作、レッスン再生動作、停止動作、可変速再生設定および解除などを指示するためのキー(ボタン)である。
【0015】
オーディオ処理部104は、エンコーダ部109、デコーダ部110を含む。エンコーダ部109は、マイク部105から入力されたアナログ音をA/D変換してMP3形式にエンコードする。本実施の形態では、エンコーダ部109でMP3形式にエンコードしているが、他の形式でエンコードしても良い。デコーダ部110は、制御部108から出てきたデジタル音をMP3形式のデータからデジタルデータにデコードして、D/A変換してスピーカ部106へ出力する。本実施の形態では、デコーダ部110でMP3形式のデータからデジタルデータにデコードしているが、他の形式のデータをデジタルデータにデコードしても良い。
【0016】
マイク部105は、ICレコーダ100が録音するための音を拾うマイクである。
【0017】
スピーカ部106は、ICレコーダ100に記録された音を再生するためのスピーカである。
【0018】
通信部107は、ICレコーダ100がPCなどの外部機器111とUSB(Universal Serial Bus)接続によりデータ交換を行う。本実施の形態では、USB(Universal Serial Bus)による通信を行うが、その他の有線回線でも、無線LAN接続等の無線回線による通信でも良い。
フラッシュメモリ部108は、録音した音データなどを格納するためのメモリである。
【0019】
記録部112は、単一セクタ単位、複数セクタ単位、単一ページ単位、複数ページ単位、のいずれかの単位でフラッシュメモリ部108へデータの書き込みを行う。
【0020】
再生部113は、単一セクタ単位、複数セクタ単位、単一ページ単位、複数ページ単位、のいずれかの単位でフラッシュメモリ部108からデータの読み出しを行う。
【0021】
図2に、フラッシュメモリ部108における書き込みおよび読み出しの動作を示すメモリマップ図を示す。
【0022】
フラッシュメモリ部108では、データは、論理ページ単位、あるいは、論理セクタ単位で書き込み。および、読み出しが行われる。論理ページのアドレスをLogical Page Address(以下、LPA))、論理セクタのアドレスをLogical Sector Address(以下、LSA)と呼ぶ。
【0023】
ファイルシステムでは、データの書き込みはクラスタ単位で管理される。クラスタは、複数のページ、あるいは、複数のセクタからなる。クラスタの番号をClusterNumber(以下、CN)と呼ぶ。図2では、論理セクタのサイズは512Byte、論理ページのサイズは16セクタ、つまり8KByte、クラスタのサイズは4ページ、つまり32KBの例を示している。論理セクタ200は、LSA=1600である。論理セクタ200は、論理ページ(LPA=100)の先頭セクタである。論理セクタ201は、LSA=1601である。論理セクタ201は、論理ページ(LPA=100)の第二番目のセクタである。論理セクタ202は、LSA=1718である。論理セクタ202は、論理ページ(LPA=107)の途中のセクタである。手本音声ファイル203は、論理セクタ200(LSA=1600)から論理セクタ202(LSA=1718)までの119個の論理セクタからなるMP3ファイルである。論理セクタ204は、LSA=1637である。論理セクタ204は、論理ページ(LPA=102)の途中のセクタである。論理セクタ205は、LSA=1671である。論理セクタ205は、論理ページ(LPA=104)の途中のセクタである。区間再生部206は、論理セクタ204(LSA=1637)から論理セクタ205(LSA=1671)までの35個の論理セクタからなる手本音声ファイル203の区間再生部である。クラスタ207は、CN=0である。クラスタ207は、論理ページLPA=100〜103からなる。クラスタ208は、CN=1である。クラスタ208は、論理ページLPA=104〜107からなる。
【0024】
論理セクタ209は、LSA=8000である。論理セクタ209は、論理ページ(LPA=500)の先頭セクタである。論理セクタ210は、LSA=8034である。論理セクタ210は、論理ページ(LPA=502)の途中のセクタである。発声録音ファイル211は、論理セクタ209(LSA=8000)から論理セクタ210(LSA=8034)までの35個の論理セクタからなる発声音声を録音した発声録音ファイルである。クラスタ212は、CN=100である。クラスタ212は、論理ページLPA=500〜503からなる。
【0025】
(ICレコーダの動作説明)
次に、ICレコーダ100動作を説明する。
【0026】
ICレコーダ100は、音データの録音/再生を行う機器であり、制御部101が、フラッシュメモリ部108のメモリ管理(データの読み出し/書き込み)を行うことによりICレコーダとして動作する。
【0027】
まず、録音・再生・USB接続の基本動作の概要について説明する。
【0028】
(録音動作概要)
ユーザが、操作部103に対して録音キー押下を行うことにより、オーディオ処理部104は、エンコーダ部109を使って、マイク部105で集音した音データをMP3形式でエンコードする。そして、制御部101は、フラッシュメモリ部108にエンコードデータを記録する。そして、ユーザが、操作部103に対して停止キー押下を行うことにより、エンコーダ部109は、MP3エンコードを停止し、制御部101は、フラシュメモリ部108へのエンコードデータの記録を停止する。
【0029】
(再生動作概要)
表示部102は、フラッシュメモリ部108に記録されている音データのファイル名リスト、ファイル番号リストなどを表示する。ユーザは、表示部102に表示された音データの一覧からから所望の音データを選択する。その後、ユーザが再生キーを押すことで、制御部101が所望の音データをフラシュメモリ部108から読み出す。オーディオ処理部104は、デコーダ部110を使って、フラシュメモリ部108から読み出したMP3形式のデータをデコードしてデジタルデータを生成する。スピーカ部106はそのデジタルデータを出力する。なお、本実施の形態では、スピーカ106を用いて音データを出力したが、スピーカ106の代わりにインナーホンから音出力する構成でも構わない。
【0030】
(USB動作概要)
制御部108は、通信部107を介してPCから転送されたMP3データを、フラッシュメモリ部108のユーザデータ領域部206に書き込むことが可能である。そして、書き込んだMP3データを再生することも可能である。また逆に、通信部107を介してPCに対してフラッシュメモリ部108のユーザデータ領域部206に記録されているMP3データを転送することも可能である。この動作は、PCへデータのバックアップを意味する。
【0031】
次に、制御部101の動作について詳細に説明する。
【0032】
(制御部動作概要)
制御部101は、マイコン等で実現される。ICレコーダ100がICレコーダとして動作するとき、制御部101は、フラッシュメモリ部108のメモリ管理(データの読み出し/書き込み)を行うことによりICレコーダとして録音および再生の動作を行うものである。
【0033】
(再生動作詳細)
再生動作におけるデータの再生(読み出し)動作について、図1〜図3を用いて、詳細に説明する。
【0034】
ユーザは、操作部103に対して可変速再生キーを押すことにより、再生速度を所定の範囲(例えば、0.5倍速〜2倍速)で設定することができる。本実施の形態1では、例えば、通常速度の2倍速で再生することとして説明する。
【0035】
ユーザが、操作部103に対して再生キーを押すことにより、再生が開始された時、つまり、フラッシュメモリ部108からのデータの読み出しが開始された時(S300)、制御部101は、フラッシュメモリ部108からMP3ファイルを読み出すために、ファイルシステムのファイルオープン処理を行い、手本音声ファイル203をオープンする(S301)。
【0036】
次に、制御部101は、手本音声ファイル203を読み出し始める先頭セクタアドレスを計算して特定する(S302)。図2では、ファイルの読み出し開始位置として、先頭クラスタを、ファイルの先頭を示すクラスタであるクラスタ207とし、先頭論理ページを、そのクラスタ207の先頭論理ページである論理ページ(LPA=100)とし、先頭論理セクタを、その論理ページ(LPA=100)の先頭論理セクタであるLSA=1600の論理セクタ200に決定したことを示している。
【0037】
次に、再生部113は、制御部101が特定した読み出し位置である論理セクタからデータを1セクタ分だけ読み出す(S303)。そして、制御部101は、再生停止指示があるかどうか、つまり、読み出し終了かどうかを判断し(S305)、読み出し終了でなければ、制御部101は、次の読み出しセクタアドレスを計算して特定する(S302)。次の読み出しセクタアドレスは、論理セクタ番号を1つだけインクリメントしたLSA=1601の論理セクタ201となる。このように、制御部101は、読み出し終了まで、論理セクタ番号を1つずつインクリメントしながら、データの読み出しを継続する。制御部101は、論理セクタ202まで到達し、読み出し終了と判断した場合(S305)、手本音声ファイル203をクローズし(S306)、可変速再生の設定を解除して通常速度に戻し(S310)、読み出し終了となる(S307)。ここで、可変速再生の設定が2倍速となっているため、論理セクタ200から論理セクタ202までの再生に要する時間は、通常速度で再生するときと比較して半分となる。
【0038】
また、手本音声ファイル203の一部分を繰り返し再生することができる。ユーザは、論理セクタ200から論理セクタ202まで再生している最中に、操作部103に対して区間再生開始を指示する操作を行い、区間再生の開始位置を指定し(論理セクタ204)、次に、操作部103に対して区間再生の終了位置を指示する操作を行い、区間再生の終了位置を指定する(論理セクタ205)。これにより、論理セクタ204〜205までの35セクタ分を抜き出され、その部分のみ繰り返し再生することが可能である。開始位置と終了位置が確定した時点で(S304)、区間再生動作へ移行する(S308)。なお、ここでは1セクタ単位で読み出す構成としているが、読み出し単位はこれに限るものではない。
【0039】
(区間再生動作詳細)
区間再生動作について、図1、図2、図4を用いて、詳細に説明する。
【0040】
制御部101は、手本音声ファイル203の中の区間再生する部分である区間再生部206を読み出し始める先頭セクタアドレスを計算して特定する(S401)。この先頭セクタアドレスは、具体的には、前述の区間再生の開始位置として指定した論理セクタ204となる。図2では、ファイルの読み出し開始位置が、論理セクタ204であることを示している。
【0041】
次に、再生部113は、制御部101が計算した読み出し位置である論理セクタからデータを1セクタ分だけ読み出す(S402)。そして、制御部101は、停止キー押下などの区間再生終了指示があるかどうかを判断し(S404)、区間再生終了でなければ、区間再生の終了位置に到達したかどかどうかを判断し(S405)、区間再生の終了位置に到達していなければ、制御部101は、次の読み出しセクタアドレスを計算する(S401)。次の読み出しセクタアドレスは、論理セクタ番号を1つだけインクリメントした論理セクタ(図示しない)となる。このように、制御部101は、区間再生の終了位置まで、論理セクタ番号を1つずつインクリメントしながら、データの読み出しを継続し、区間再生の終了位置である論理セクタ205まで到達した時点で(S405)、次に読み出す論理セクタを区間再生の開始位置である論理セクタ204に戻す(S406)。この動作を繰り返すことにより、ユーザが指定した区間再生を繰り返し行うことができる。これは一般的にABリピートと呼ばれる。ここで、可変速再生の設定が2倍速となっているため、論理セクタ204から論理セクタ205までの区間再生に要する時間は、通常速度で再生するときと比較して半分となる。
【0042】
また、区間再生中、何度も聴いた区間再生の音声をユーザが真似て発声し、その発声音声を録音することが可能である。ユーザは、区間再生している最中に、発声音声の録音を開始するために、操作部103に対して発声録音開始キー押下を行う。この時点で、区間再生動作は停止され、一旦手本音声ファイル203をクローズし(S407)、発声録音動作へ移行する(S408)。
【0043】
(発声録音動作詳細)
発声録音動作におけるデータの記録(書き込み)動作について、図1、図2、図5を用いて、詳細に説明する。
【0044】
ユーザが、操作部103において発声録音開始キーを押すことにより、録音を開始した時、つまり、フラッシュメモリ部108へのデータの書き込みが開始された時、制御部101は、フラッシュメモリ部108へ新規に発声録音ファイルを作成するために、ファイルシステムにおけるファイルオープン処理を行い、発声録音ファイル211をオープンする(S501)。
【0045】
次に、制御部101は、発声録音ファイル211を記録し始める先頭セクタアドレスを計算して特定する(S502)。図2では、ファイルの書き込み開始位置として、先頭クラスタを、書き込みに使用できるクラスタの先頭クラスタであるクラスタ212とし、先頭論理ページを、そのクラスタ212の先頭論理ページである論理ページ(LPA=500)とし、先頭論理セクタを、その論理ページ(LPA=500)の先頭論理セクタであるLSA=8000の論理セクタ209に決定したことを示している。
【0046】
次に、記録部112は、制御部101が特定した書き込み位置である論理セクタ209にデータを1セクタ分だけ書き込む(S503)。そして、制御部101は、発声録音停止指示があるかどうか、つまり、書き込み終了かどうかを判断し(S504)、書き込み終了でなければ、制御部101は、次の書き込みセクタアドレスを計算して特定する(S502)。次の書き込みセクタアドレスは、論理セクタ番号を1つだけインクリメントした論理セクタ(図示しない)となる。このように、制御部101は、書き込み終了まで、論理セクタ番号を1つずつインクリメントしながら、データの書き込みを継続する。ユーザは、録音したい発声が終了した時点で、発生音声の録音を停止するために、操作部103に対して、発生録音停止キー押下を行う。この時点で、制御部101は、書き込み終了と判断し(S504)、発声録音ファイル211をクローズし(S505)、書き込み終了となる。書き込みが終了すると、引き続き、新たなユーザの操作なしに、レッスン再生動作へ移行する(S506)。なお、ここでは1セクタ単位で書き込む構成としているが、書き込み単位はこれに限るものではない。
【0047】
(レッスン再生動作詳細)
レッスン再生動作におけるデータの再生(読み出し)動作について、図1、図2、図6を用いて、詳細に説明する。
【0048】
最初に、手本音声ファイル203の一部である区間再生部206をフラッシュメモリ部108から読み出すために、ユーザが、操作部103において発声録音停止キーを押す。これにより、制御部101は、ファイルシステムのファイルオープン処理を行い、手本音声ファイル203をオープンする(S601)。このとき、可変速再生設定は2倍速になっている。
【0049】
次に、制御部101は、手本音声ファイル203を読み出し始める先頭セクタアドレスを計算して特定する(S602)。この先頭セクタアドレスは、具体的には、前述の区間再生の開始位置として指定した論理セクタ204となる。図2では、ファイルの読み出し開始位置が、論理セクタ204であることを示している。
【0050】
次に、再生部113は、制御部101が特定した読み出し位置である論理セクタからデータを1セクタ分だけ読み出す(S603)。そして、制御部101は、再生終了かどうか、つまり、読み出し終了かどうかを判断し(S604)、読み出し終了でなければ、制御部101は、次の読み出しセクタアドレスを計算して特定する(S602)。次の読み出しセクタアドレスは、論理セクタ番号を1つだけインクリメントした論理セクタ(図示しない)となる。このように、制御部101は、読み出し終了まで、論理セクタ番号を1つずつインクリメントしながら、データの読み出しを継続する。そして、区間再生の終了位置である論理セクタ205まで到達した時点で(S604)、制御部101は、区間再生部の読み出し終了と判断し、手本音声ファイル203をクローズする(S605)。ここで、可変速再生の設定が2倍速となっているため、論理セクタ204から論理セクタ205までの区間再生に要する時間は、通常速度で再生するときと比較して半分となる。その後、次に再生するファイルを、区間再生部206が含まれる手本音声ファイル203から、発声録音ファイル211に変更し(S607)、可変速再生設定を2倍速から通常速度に戻す(S608)。
【0051】
次に、フラッシュメモリ部108から引き続き発声録音ファイル211を読み出すために、制御部101は、ファイルシステムのファイルオープン処理を行い、発声録音ファイル211をオープンする(S601)。このとき、可変速再生設定は通常速度になっている。
【0052】
次に、制御部101は、発声録音ファイル211を読み出し始める先頭セクタアドレスを計算して特定する(S602)。この先頭セクタアドレスは、具体的には、前述の発声音声の開始位置である論理セクタ209となる。図2では、ファイルの読み出し開始位置が、論理セクタ209であることを示している。
【0053】
次に、再生部113は、制御部101が特定した読み出し位置である論理セクタからデータを1セクタ分だけ読み出す(S603)。そして、制御部101は、再生終了かどうか、つまり、読み出し終了かどうかを判断し(S604)、読み出し終了でなければ、制御部101は、次の読み出しセクタアドレスを計算して特定する(S602)。次の読み出しセクタアドレスは、論理セクタ番号を1つだけインクリメントした論理セクタ(図示しない)となる。このように、制御部101は、読み出し終了まで、論理セクタ番号を1つずつインクリメントしながら、データの読み出しを継続する。そして、発声録音ファイル211の終了位置である論理セクタ210まで到達した時点で(S604)、制御部101は、発声音声の読み出し終了と判断し、発声録音ファイル211をクローズする(S605)。ここで、可変速再生の設定が通常速度となっているため、論理セクタ209から論理セクタ210までの発声録音ファイルの再生に要する時間は、実際に録音した実時間と等しくなる。そして、その後、次に再生するファイルを、発声録音ファイル211から、区間再生部206が含まれる手本音声ファイル203に変更し(S607)、可変速再生設定を通常速度から2倍速に戻す(S608)。
【0054】
このように、再生するファイルを交互に変更しながら、手本音声ファイル203の中の区間再生部206と、発声録音ファイル211との再生を繰り返すことにより、通常速度以外も含めた区間再生部206の音声を真似た発声音声(発声録音ファイル211)をオリジナル(手本音声ファイル203の中の区間再生部206)と聞き比べすることが可能となり、語学学習に役立てることができる。
【0055】
(他の実施の形態)
実施の形態1において、書き込み単位を、1セクタとして説明したが、これには限らない。例えば、複数セクタ単位、1ページ、複数ページとしてもよい。
【0056】
また、実施の形態1において、読み出し単位を、1セクタとして説明したが、これには限らない。例えば、複数セクタ単位、1ページ、複数ページとしてもよい。
【0057】
また、実施の形態1において、記録再生装置を、ICレコーダとして説明したが、データの記録を行う装置、および、データの読み出しを行う装置であれば、あらゆる種の機器にも適用できるものである。
【0058】
また、実施の形態1において、発声録音開始キーと発声録音停止キーが別々のキーであるものとして説明したが、これらは同じキーであっても構わないし、他のキーと兼用キーであっても構わない。
【0059】
また、実施の形態1において、発声録音開始キーが、操作部103に対してICレコーダ100の外部から与えられるものとして説明したが、制御部101が、区間再生の繰り返し回数に基づいて発声録音開始のタイミングを生成する構成としてもよい。例えば、区間再生が10回に達した時点で発生録音を開始する構成でもよい。
【0060】
また、実施の形態1において、発声録音停止キーが、操作部103に対してICレコーダ100の外部から与えられるものとして説明したが、制御部101が、発声した音声が特定の音量レベルを一定時間下回ったときに発生音声が終了したと判断してこれに基づいて発声録音停止のタイミングを生成する構成としてもよい。
【0061】
また、実施の形態1において、手本音声ファイル203がMP3ファイルであることとして説明したが、手本音声ファイル203や発声録音ファイル211のデータ形式は特定の形式に限定するものではない。
【0062】
また、実施の形態1において、発声録音ファイル211は、フラッシュメモリ部108にファイル化して書き込むこととして説明したが、ファイル化しなくても構わないし、RAMを搭載していれば、RAM上に書き込む構成としてもよい。
【0063】
また、実施の形態1において、可変速再生設定を2倍速として説明したが、手本音声ファイル203は、早口で聞き取れないために0.5倍速でゆっくり再生したり、逆に、早聞きの練習をするために2倍速で再生したり、様々な速度で再生することが可能であるため、それらを排除するものではない。
【0064】
さらに、実施の形態1において、可変速再生設定を再生開始時のファイルオープン前に行い、可変速再生解除を再生終了時のファイルクローズ後に行うこととして説明したが、これらのタイミングは限定されるものではなく、再生前にあらかじめ設定されていても良いし、再生中に行っても良いし、区間再生中に行っても良いため、それらを排除するものではない。また、可変速再生の機能がなくても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、発音練習したいフレーズを区間再生することで最初に確定しておき、その状態から、発声音声の録音を開始および停止することにより、適切な正しい区間で、発音練習したいフレーズと発声音声の繰り返し再生を行うことができる記録装置を提供できる。
【符号の説明】
【0066】
100 ICレコーダ
101 制御部
102 表示部
103 操作部
104 オーディオ処理部
105 マイク部
106 スピーカ部
107 通信部
108 フラッシュメモリ部
109 エンコーダ部
110 デコーダ部
111 外部機器
112 記録部
113 再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声情報を集音する集音手段と、
手本音声情報を予め記録しているメモリと、
前記集音手段で集音した音声情報を前記メモリに記録する記録手段と、
再生区間を指示する再生区間指示手段と、
前記再生区間指示手段で指示した再生区間をもとに、前記手本音声情報および前記集音音声情報を再生可能な再生手段と、
第1の操作指示と第2の操作指示を指示可能な操作指示手段と、
前記操作指示手段による指示により、前記記録手段及び前記再生手段を制御し、前記手本音声情報と前記音声情報を繰り返して再生する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記再生区間で手本音声情報を繰り返して再生しているときに、前記操作指示手段で指示された第1の操作指示によって前記記録手段による音声情報の記録を開始して、前記操作指示手段でその後指示された第2の操作指示によって前記記録手段による前記音声情報の記録を終了して、その後、前記再生手段によって前記手本音声情報の前記再生区間分と前記音声情報を繰り返して再生することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
音声情報を集音する集音手段と、
手本音声情報を予め記録しているメモリと、
前記集音手段で集音した音声情報を前記メモリに記録する記録手段と、
前記手本音声情報および前記集音音声情報を再生可能な再生手段と、
第1の操作指示と第2の操作指示を指示可能な操作指示手段と、
前記操作指示手段による指示により、前記記録手段及び前記再生手段を制御し、前記手本音声情報と前記音声情報を繰り返して再生する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記操作指示手段で指示された第1の操作指示によって前記記録手段による音声情報の記録を開始して、前記操作指示手段でその後指示された第2の操作指示によって前記記録手段による前記音声情報の記録を終了して、その後、前記再生手段によって前記手本音声情報と前記音声情報を繰り返して再生することを特徴とする記録再生装置。
【請求項3】
前記操作指示手段は、前記第1の操作指示と前記第2の操作指示が同じであることを特徴とする請求項1または2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記操作指示手段は、前記第1の操作指示と前記第2の操作指示が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の記録再生装置。
【請求項5】
音声情報を集音する集音手段と、
手本音声情報を予め記録しているメモリと、
前記集音手段で集音した音声情報を前記メモリに記録する記録手段と、
再生区間を指示する再生区間指示手段と、
前記再生区間指示手段で指定した再生区間をもとに、前記手本音声情報および前記集音音声情報を再生可能な再生手段と、
第2の操作指示を指示可能な操作指示手段と、
前記操作指示手段による指示により、前記記録手段及び前記再生手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記再生区間で手本音声情報を特定回数繰り返して再生した後に前記記録手段による音声情報の記録を開始して、前記操作指示手段でその後指示された第2の操作指示によって前記記録手段による前記音声情報の記録を終了して、その後、前記再生手段によって前記手本音声情報の前記再生区間分と前記音声情報を繰り返して再生することを特徴とする記録再生装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記再生区間で手本音声情報を特定の速度で再生しているとき、前記第2の操作指示によって、手本音声情報は前記特定の速度のまま再生し、記録した音声情報は1倍速で再生することで、前記再生手段によって前記手本音声情報の前記再生区間分と前記音声情報を繰り返して再生するを特徴とする請求項3〜5に記載の記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−203422(P2011−203422A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69594(P2010−69594)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】