説明

記録再生装置

【課題】多層の記録層を有する光ディスクを使用するODDを複数含むRAIDにおいて、データの転送速度を略一定とする。
【解決手段】半数のODDでは光ディスクの記録層のうちL0層から、残る半数のODDではL1層から記録を開始し、光ディスクの外周側に記録するODDには内周側に記録するODDよりも多くのデータブロックを割り当てる。記録が進むとともに、各ODDへ割り当てるデータブロック数を変化させることで、データの転送速度を略一定とする。多層の光ディスクにおける層間対向記録の特徴を生かしてシーク動作の発生回数を低減し、転送速度の低下を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録再生装置に係り、特にデータの転送速度を一定にした記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクを記録媒体とする記録再生装置においては、大容量のデータを短時間で処理するために、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Discs)と呼ばれる複数の記録ドライブを有する装置が普及してきている。RAIDでは、複数の記録ドライブが他の構成要素からは、恰も一つの記録ドライブであるかのように見えるようにしているため、大容量なデータの処理を容易にできる特徴がある。RAIDにおいてデータを複数の記録ドライブで記録媒体に記録するに際し、データを効率良く転送するための開発が進められている。
【0003】
特許文献1においては、半数のドライブでは光ディスクの外周から内周へ向けて書込むとともに、他の半数のドライブでは光ディスクの内周から外周へ向けて書込み、更にデータを分割する際に外周側と内周側でデータ量を変えることにより、データの転送速度を一定にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10(1998)−320134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ディスクではデータを記録する記録トラックは螺旋状に形成されるため、所定の方向、例えば内周側から外周側に向けてデータを記録する必要がある。このため特許文献1においては、外周から内周に向けて書込む光ディスクに関する動作を次のようにしている。まず、所定容量の第1の記録ストライプを内周側から外周側に向けて記録する。次に、前記第1の記録ストライプと次に記録する第2の記録ストライプとの和の容量に応じて、光ピックアップを光ディスクの内周側へ移動させるシーク動作を行う。続いて前記第2の記録ストライプを内周側から外周側に向けて記録する。しかしながら、頻繁なシーク動作はデータの転送速度を低下させる原因となる。
【0006】
また、最近は光ディスクの記録層において、多層化が進められている。例えばBD(Blu−ray Disc)では4層ディスクが一般化してきており、将来はさらに多くの記録層を有するディスクが現れる見込みである。特許文献1においては、多層の光ディスクを用いる場合については考慮されていない。
本発明の目的は前記した状況に鑑み、データの転送速度を一定にした記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、複数の記録層を有する多層の光ディスクに対して情報データを含む記録ストライプを記録し再生する記録再生装置であって、
装着された前記多層の光ディスクに対して情報データを記録し再生する複数の光ディスクドライブと、該複数の光ディスクドライブの動作を制御する制御部を有し、該制御部は、
記録される前記記録ストライプを前記複数の光ディスクドライブに分割して供給し、
分割後の前記記録ストライプを前記複数の光ディスクドライブに装着された前記光ディスク上の互いに転送速度の異なる位置に記録するよう、記録時の論理アドレスを定めて前記光ディスクドライブに供給し、
前記記録ストライプを分割する際には、前記複数の光ディスクドライブにおける分割された前記記録ストライプの転送時間が略等しい時間となるようデータ量を定めて分割することを特徴としている。
【0008】
また本発明は、複数の記録層を有する多層の光ディスクに対して情報データを含む記録ストライプを記録し再生する記録再生装置であって、
装着された前記多層の光ディスクに対して情報データを記録し再生する偶数個の光ディスクドライブと、該偶数個の光ディスクドライブの動作を制御する制御部を有し、該制御部は、
記録される前記記録ストライプを前記偶数個の光ディスクドライブに分割して供給し、
分割後の前記記録ストライプを、前記偶数個の光ディスクドライブにおける半数の光ディスクドライブに装着された前記光ディスク上と、前記偶数個の光ディスクドライブにおける残る半数の光ディスクドライブに装着された前記光ディスク上とでは、互いに転送速度の異なる位置に記録するよう、記録時の論理アドレスを定めて前記光ディスクドライブに供給し、
前記記録ストライプを分割する際には、前記偶数個の光ディスクドライブにおける分割された前記記録ストライプの転送時間が略等しい時間となるようデータ量を定めて分割することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、データの転送速度を一定にした記録再生装置を提供でき、記録再生装置の基本性能の向上に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施例における記録再生装置のブロック図である。
【図2】一実施例におけるアドレスと記録データの対応関係を示す図である。
【図3】図2における記録媒体上での記録位置の変化を示す遷移図である。
【図4】偶数層の記録媒体を用いる一実施例におけるアドレスと記録データの対応関係を示す図である。
【図5】図4における記録媒体上での記録位置の変化を示す遷移図である。
【図6】奇数層の記録媒体を用いる一実施例におけるアドレスと記録データの対応関係を示す図である。
【図7】図6における記録媒体上での記録位置の変化を示す遷移図である。
【図8】図6における特定の記録層での記録位置の変化を示す遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例では以下で説明するように、記録再生装置において複数の記録層を有する多層の記録媒体を使用して独自の論理アドレスを割り当てることにより、略一定な転送速度を有するようにしている。また、シーク動作の発生回数を低減している。
これにより、記録媒体上の位置やシーク動作に応じて転送速度が変動する問題が解消され、データを記録再生するための処理時間を予測し易くなるという効果がある。また要求された処理時間に対して、記録ドライブは従来よりも低い処理速度で対応できるようになり、記録再生装置の価格を低減する効果も期待できる。
【0012】
以下、本発明の実施例につき図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例における記録再生装置のブロック図である。まず、図1を用いて記録再生装置の動作を説明する。
LAN(Local Access Network)部101は、図示しないローカルネットワークとのインタフェースであって、記録再生装置から外部の装置へ情報データを送信し、また外部の装置から送信された情報データを受信する。メモリ102は、例えば不揮発性のフラッシュメモリを含む半導体メモリである。もちろん、揮発性のRAM(Random Access Memory)や読取り専用のROM(Read Only Memory)を含んでも良い。
【0013】
制御部103は、記録再生装置全体の動作を制御するためのCPU(Central Processing Unit)を有する。HDD(Hard Disk Drive)104は磁気ディスクドライブであり、例えば制御部103が記録再生装置の動作を制御するためのソフトウェアやファームウェア、或いは情報データが格納される。前記ソフトウェアやファームウェアは、HDD104のみならず、その一部または全てがメモリ102の例えばROMに格納されるような実施形態も考えられる。
IF部105は、ODD(Optical Disc Drive;光ディスクドライブ)108と109に対するインタフェースであり、またIF部106は、ODD110,111,112及び113に対するインタフェースである。これらは、例えばSATA(Serial Advanced Technology Attachment)として規格化されたデータストレージの規格に基づくインタフェースであって良い。
【0014】
ODD108とODD109による2個のODDは1個のRAIDを形成しており、制御部103からは恰も1個のODDであるかのように制御することができる。同様にODD110,111,112及び113の4個のODDは1個のRAIDを形成しており、制御部103からは恰も1個のODDであるかのように制御することができる。各ODDは、制御部103からの指令に従い、挿入された光ディスクに対して情報データを記録または再生する。
【0015】
記録再生装置としての動作の一例を述べる。制御部103からの指示は、図中の接続線で示したバスを介して記録再生装置の各構成要素へ供給される。
制御部103はLAN部101に指示して、ユーザが望む情報データを外部の装置から受信させる。受信された情報データは、制御部103からの指示に応じてメモリ102に一時的に記憶される。メモリ102に記憶されたデータは、制御部103からの指示に応じて所定の容量のデータブロック単位でHDD104に格納される。HDD104に格納された情報データのうち、持運び容易な光ディスク媒体に格納することが望まれる情報データは、やはり制御部103からの指示に応じて、HDD104からIF部105を介してRAIDを形成するODD108と109に転送されて格納される。または、HDD104からIF部106を介してRAIDを形成するODD110,111,112及び113に転送されて格納される。
【0016】
HDD109またはODD108〜113に格納された情報データを再生して外部の装置へ送信するようにユーザが望む場合は、制御部103からの指示に応じてODD108〜113から再生された情報データは、所定の容量のデータブロック単位でメモリ102に一時的に格納されながら、LAN部101より外部の装置へ送信される。
また、制御部103にはIF部107を介してアクセッサ114が接続されている。アクセッサ114は光ディスクの搬送装置であって、制御部103の指示に応じて、光ディスクのライブラリ(図示せず)から指定された光ディスクを取出して搬送し、指定されたODDに装着する。或いは指定されたODDから光ディスクを取出して搬送し、前記光ディスクのライブラリに保管する。
【0017】
本発明の実施形態は図1のブロック図に限定されるものではない。例えば、外部の装置とのインタフェースはLANに限られるものではない。一般の電話回線とのインタフェースでも良く、IEEE1394、HDMI(High Definition Multimedia Interface)のような規格化されたインタフェースでも良い。HDD104が存在せず、メモリ102を介して直接ODD108〜113に情報データが記録される構成であっても良い。
ODDに対するIF部は、105と106の2個に限定されるものではない。いずれか1個、またはさらに多くのIF部があっても良い。一つのIF部に接続されるRAIDを構成するODDが2個の場合(ODD108と109)と、4個の場合(ODD110〜113)の場合を示したが、複数あれば何個でも良い。以下では1個のIF部106に対し、1個のRAIDを形成する4個のODD110〜113が接続された場合を代表として示す。
IF部107とアクセッサ114が存在せず、光ディスクを手動で交換する装置であっても良い。ODD108〜113が記録再生装置に内蔵される形態であっても良く、また外部に取付けられる形態であっても良い。
【0018】
次に、本実施例において4個のODD110〜113を有する1個のRAIDに対して、情報データを記録し再生する動作を、さらに詳しく説明する。前記したように本実施例は、複数の記録層を有する多層の光ディスクがODD110〜113に挿入された場合の記録再生方法が、一つの特徴となっている。
多層の光ディスクの記録層は、光ピックアップから遠い側の記録層から順にL0層、L1層、L2層と呼ばれる。四層の光ディスクではL3層まで存在する。L0層とL2層では内側から外側へ向けて情報データが記録されるよう、螺旋状の記録トラックが設けられている。逆にL1層とL3層では外側から内側へ向けて情報データが記録されるよう、螺旋状の記録トラックが設けられている。
【0019】
本実施例では情報データを記録する際に、制御部103は、各光ディスクまたは各記録層に応じて割り当てる論理アドレスの位置を異ならせ、また記録するデータのストライピングサイズを異ならせることにより、各ODDにおける記録に要する時間を略一定とする。これにより、データの転送速度を略一定とすることが一つの特徴となっている。
図2は、光ディスク上のアドレスと記録データのブロックとの対応関係の一例を示す図である。ここでは本実施例の最も分かり易い例として、ODD110〜113がいずれもL0層から記録を始める例を説明する。もちろん、ODD110〜113がいずれもL1層またはL2層から記録を始める場合も同様である。
【0020】
図2の左端に示すように、L0層ではデータ記録領域の最内周から最外周に向けて物理アドレスが0から順番に付されている。CAV(Constant Angular Velocity)制御を行う場合は図中のグラフの縦軸で示すように、物理アドレスに応じて線速度が異なり、内周側と外周側ではN倍(例えば3倍)程度の差がある。このため、光ディスクへ記録するデータの一つの単位となる記録ストライプを略等分割したデータブロックに対して、次のような処理を行う。ここでは一つの記録ストライプが15個のデータブロックに分割された場合を説明する。
RAIDを構成する複数のODD110〜113のうち、例えばODD110では1個のデータブロック(図中のデータブロック0)を最内周(物理アドレス0、かつ論理アドレス0)に記録する。ODD111では2個のデータブロック(データブロック1と2)を、やや外周に寄った位置(物理アドレス1と2、かつ論理アドレス0と1)に記録する。ODD112では4個のデータブロック(データブロック3〜6)を、さらに外周に寄った位置(物理アドレス3〜6、かつ論理アドレス0〜3)に記録する。ODD113では8個のデータブロック(データブロック7〜14)をさらに外周に寄った位置(物理アドレス7〜14、かつ論理アドレス0〜7)に記録する。
【0021】
次に、ODD110では2個のデータブロック(図中のデータブロック15,16)を物理アドレス1と2(論理アドレス1と2)に記録する。ODD111では4個のデータブロック(データブロック17〜20)を、物理アドレス3〜6(論理アドレス2〜5)に記録する。ODD112では8個のデータブロック(データブロック21〜28)を、物理アドレス7〜14(論理アドレス4〜11)に記録する。ODD113では1個のデータブロック(データブロック29)を、物理アドレス0(論理アドレス8)に記録する。
記録するデータがさらに続く場合は同様にして、全ての光ディスクにおいてL0層の容量が満杯となるまで記録が継続され、図2の場合、データブロック59まで記録された後は、L1層に対して同様の記録が行われる。
【0022】
この際、データブロック15個のデータがメモリ102に格納された後に、4個のODD110〜113で並列に光ディスクに記録される。前記したように、光ディスク上の各アドレスにおけるデータ量が略一致するよう、アドレス範囲は各光ディスクに応じて定められる。
RAIDを構成するODDのうち、線速度が大きい外周側にデータを記録するODDに対して多くのデータ量を割り当てることにより、各ODDにおける処理時間を略等しくすることができる。言い換えれば、一つの記録ストライプを記録する際に、複数のODDに対して異なる数の分割されたデータブロックを割り当てる。データブロック数に応じた数の論理アドレスを各ODDにおいて割り当てる。論理アドレスの物理アドレスに対する対応関係を、論理アドレスでの転送時間の和が各ODDにおいて略一定となるよう定めることにより、各ODDにおける処理時間を略等しくすることができる。
【0023】
図2の実施例では、特許文献1とは異なりシーク動作を頻繁に繰返すことがないので、処理速度を向上することができる。
なお、図2においては説明を分かり易くするため、転送速度が1倍速(図中のR)である物理アドレスは1個、2倍速(図中のR*2)である物理アドレスは2個、4倍速(図中のR*4)である物理アドレスは4個、8倍速(図中のR*8)である物理アドレスは8個として説明した。実際には、いずれの倍速値の物理アドレスとも前記の整数(M)倍あり、図中のグラフの斜線部で概念的に示されるような光ディスク上での位置関係となる。
【0024】
詳しく述べると、ODD110に1個、ODD111に2個、ODD112に4個、ODD113に8個のデータブロックが記録される過程をM回行う。その後、ODD110に2個、ODD111に4個、ODD112に8個、ODD113に1個のデータブロックが記録される過程をM回行う。さらに、ODD110に4個、ODD111に8個、ODD112に1個、ODD113に2個のデータブロックが記録される過程をM回行った後、ODD110に8個、ODD111に1個、ODD112に2個、ODD113に4個のデータブロックが記録される過程をM回行う。
即ち、図2における物理アドレス0と1の間、2と3の間、6と7の間は、実際には物理アドレスが離れた値となっている。なお、以下の図4や図6で示す実施例においても同様な事情がある。
【0025】
図2の実施例において、転送速度が1倍速から8倍速であり、15個のデータブロックを処理する例を示したが、これは限定条件ではない。記録媒体上の記録位置における転送速度に応じてデータブロック数を定め、データブロック数に応じて論理アドレス数を定め、各ODDにおける転送時間が略一定となる実施形態であれば良い。
図3は、図2における記録媒体上での記録位置の変化を示す遷移図である。各ODDにおける記録開始位置については図2でも示したとおりであり、その後、図中の矢印(実線)で示すように外周側に向けて記録が継続される。最外周まで到った後は、ODD110ではL1層の外周側から内周側に向けて記録が継続され、ODD111〜113では光ピックアップが図中の矢印(破線)で示すようにシーク動作で最内周まで戻り、再び外周側に向けて記録が継続される。
【0026】
次に、例えば4個のODDで構成されるRAIDにおいて、以上述べた例とは異なり、2個のODDでは例えばL0層から、残る2個のODDではL0層に対して対向記録するL1層から記録を開始する例を説明する。この場合、2個のODDでは光ディスクの内周側から、残る2個のODDでは光ディスクの外周側から記録を開始する。
前記した図3では、ODD111〜113の各々で、光ピックアップが光ディスクの最外周から最内周に移動するシーク動作が、互いに異なるタイミングで発生する。シーク動作中のODDでは、光ピックアップの移動時間のみならず、光ピックアップが光ディスク上の所定の記録開始位置に位置するまでの回転待ち時間が必要なために、オーバヘッドが発生して転送速度を低下させる問題がある。この問題を解決した実施例を次に説明する。実施形態は、記録層の数が偶数であるか奇数であるかに応じて異なる。まず、偶数である場合を述べる。
【0027】
図4は、偶数層の記録媒体を用いる一実施例におけるアドレスと記録データの対応関係を示す図である。ここでは記録層が2層(L0層とL1層)である場合を述べるが、4層(L0層〜L3層)以上の偶数層であっても2層の場合を繰返せば良い。転送速度は内周側から外周側に向けて、1倍速、2倍速、3倍速、4倍速である例を示す。
制御部103は半数(ここでは2個)の光ディスクに対して論理アドレスをL0層から、残る半数の光ディスクに対して論理アドレスをL1層から割り当てる。さらに各層に応じて、割り当てる論理アドレスの位置をずらし、また記録するデータのストライピングサイズを異ならせることにより、各光ディスク(またはODD)における記録に要する時間を略一定とする。これにより、データの転送速度を略一定とすることが一つの特徴となっている。
【0028】
図4に示すように、物理アドレスはL0層の内周側から外周側に向け(物理アドレス0〜9)、次いでL1層の外周側から内周側に向けて(物理アドレス10〜19)与えられている。これに対して制御部103は、ODD110と111ではL0層の内周側から、ODD112と113ではL1層の外周側から、論理アドレスを与える。
RAIDを構成する複数のODD110〜113のうち、ODD110及び111では1個のデータブロック(図中のデータブロック0及び1)をL0層の最内周(物理アドレス0、かつ論理アドレス0)に記録する。ODD112及び113では4個のデータブロック(データブロック2〜5及び6〜9)を、L1層の最外周(物理アドレス10〜13、かつ論理アドレス0〜3)に記録する。
【0029】
次に、ODD110及び111では2個のデータブロック(データブロック10〜11及び12〜13)を物理アドレス1と2(論理アドレス1と2)に記録する。ODD112及び113では3個のデータブロック(データブロック14〜16及び17〜19)を、物理アドレス14〜16(論理アドレス4〜6)に記録する。次に、ODD110及び111では3個のデータブロック(データブロック20〜22及び23〜25)を物理アドレス3〜5(論理アドレス3〜5)に記録する。ODD112及び113では2個のデータブロック(データブロック26,27及び28,29)を、物理アドレス17と18(論理アドレス7と8)に記録する。さらに、ODD110及び111では4個のデータブロック(データブロック30〜33及び34〜37)を物理アドレス6〜9(論理アドレス6〜9)に記録する。ODD112及び113では1個のデータブロック(データブロック38及び39)を、物理アドレス19(論理アドレス9)に記録する。
【0030】
記録するデータがさらに続く場合は、ODD110及び111ではL1層を使用して外周側から内周側へ、ODD112及び113ではL0層を使用して内周側から外周側へ、全ての光ディスクにおいて容量が満杯となるまで、図4の場合はデータブロック79まで、記録が継続される。光ディスクが4層以上の層数を有する場合は、引続きL2層とL3層に対して同様の記録が行われる。
図5は、図4における記録媒体上での記録位置の変化を示す遷移図である。各ODDにおける記録開始位置については図4でも示したとおりであり、その後、図中の矢印(実線)で示すようにL0層では外周側に向け、L1層では内周側に向けて記録が継続される。ODD110及び111においてL0層の最外周まで到った後は、L1層を使用して外周側から内周側に向け、またODD112及び113においてL1層の最内周まで到った後は、L0層を使用して内周側から外周側に向けて記録が継続される。ODD112及び113では光ピックアップが図中の矢印(破線)で示すように使用する記録層を変更するが、光ディスク上の半径方向の位置は同じであるため、シーク動作を必要としない。
【0031】
以上の実施例においては、L0層は内周側から外周側へ向け、L1層は外周側から内周側へ向けて記録するという相関対向記録を行う多層ディスクの特徴を生かすことにより、シーク動作を低減して転送速度を向上することを一つの特徴としている。
次に、記録層の数が奇数(多層ディスクを対象としているので、1を除く)である場合の実施例について説明する。3層ディスクでの内2層の扱い、5層ディスクでの内4層の扱いは前記した偶数層の場合と同様で良いが、残る1層の扱いに新たな特徴がある。
【0032】
図6は、奇数層の記録媒体を用いる一実施例におけるアドレスと記録データの対応関係を示す図であり、特に記録層が3層である場合を示している。
図4と同様、転送速度は内周側から外周側に向けて、1倍速、2倍速、3倍速、4倍速とし、制御部103は半数(ここでは2個)の光ディスクに対して論理アドレスをL0層から、残る半数の光ディスクに対して論理アドレスをL1層から割り当てる。さらに各層に応じて、割り当てる論理アドレスの位置をずらし、また記録するデータのストライピングサイズを異ならせることにより、各光ディスク(またはODD)における記録に要する時間を略一定とする。これにより、データの転送速度を略一定とすることが一つの特徴となっている。
【0033】
図6に示すように、物理アドレスはL0層の内周側から外周側に向け(物理アドレス0〜9)、次いでL1層の外周側から内周側に向け、さらにL2層の内周側から外周側に向けて(物理アドレス20〜29)与えられている。これに対して制御部103は、ODD110と111ではL0層の内周側から、ODD112と113ではL1層の外周側から、論理アドレスを与える。
ODD110と111が論理アドレス0から19までに各データブロックを記録する過程と、ODD112と113が論理アドレス0から9までに各データブロックを記録する過程は、図4と同様であるので説明を省略する。ODD112と113が論理アドレス10から19までに各データブロックを記録する際には、図4とは異なりL0層に記録するのではなく、L2層に記録する点が異なる。他の状況は図4と同様である。以上の過程を経て、ODD110と111のL0層とL1層、ODD112と113のL1層とL2層での記録が終了する。
【0034】
引続きODD110と111のL2層と、ODD112と113のL0層での記録が開始される。
ODD110及び111のL2層においては、同じODDのL0層と同様な記録が行われる。まず、1個のデータブロック(データブロック80及び81)をL2層の最内周(物理アドレス20、かつ論理アドレス20)に記録する。
この際に、ODD112及び113においては、4個のデータブロック(データブロック82〜85及び86〜89)をL0層の外周側(物理アドレス6〜9、かつ論理アドレス20〜23)に記録するため、光ピックアップがアドレス4個分だけ内周側へシークした後、4個のデータブロックを内周側から最外周に向けて記録する。従い、4個のデータブロック(データブロック82〜85及び86〜89)を記録する位置の論理アドレス20〜23は、内周側から外周側に向けて定められる。
【0035】
次に、ODD110及び111のL2層においては、2個のデータブロック(データブロック90〜91及び92〜93)を物理アドレス21〜22(論理アドレス21〜22)に記録する。
この際に、ODD112及び113のL0層においては、3個のデータブロック(データブロック94〜96及び97〜99)を論理アドレス24〜26(やはり内周側から外周側に向けて定められる)に記録する。このため、前に記録したデータブロック数(4個)と次に記録するデータブロック数(3個)の和(7個)に相当するだけ、光ピックアップを外周側から内周側へシーク動作させた後、内周側から外周側に向けて3個のデータブロックを記録する。
【0036】
次に、ODD110及び111のL2層においては、3個のデータブロック(データブロック100〜102及び103〜105)を物理アドレス23〜25(論理アドレス23〜25)に記録する。
この際に、ODD112及び113のL0層においては、2個のデータブロック(データブロック106〜107及び108〜109)を論理アドレス27〜28(やはり内周側から外周側に向けて定められる)に記録する。このため、前に記録したデータブロック数と次に記録するデータブロック数の和(5個)に相当するだけ、光ピックアップを外周側から内周側へシーク動作させた後、内周側から外周側に向けて2個のデータブロックを記録する。
【0037】
次に、ODD110及び111のL2層においては、4個のデータブロック(データブロック110〜113及び114〜117)を物理アドレス26〜29(論理アドレス26〜29)に記録する。
この際に、ODD112及び113のL0層においては、1個のデータブロック(データブロック118及び119)を論理アドレス29に記録する。このため、前に記録したデータブロック数と次に記録するデータブロック数の和(3個)に相当するだけ、光ピックアップを外周側から内周側へシーク動作させた後、内周側から外周側に向けて1個のデータブロックを記録する。以上で、ODD110及び111のL2層とODD112及び113のL0層への記録が終了する。
【0038】
図7は、図6における記録媒体上での記録位置の変化を示す遷移図である。各ODDにおける記録開始位置については図6でも示したとおりであり、その後、図中の矢印(実線)で示すようにL0層では外周側に向け、L1層では内周側に向けて記録が継続される。ODD110及び111においてL0層の最外周まで到った後は、L1層を使用して外周側から内周側に向け、またODD112及び113においてL1層の最内周まで到った後は、L2層を使用して内周側から外周側に向けて記録が継続される。
その後、ODD110及び111においてL1層の最内周まで到った後は、L2層を使用して内周側から外周側に向け、またODD112及び113においてL2層の最外周まで到った後は、L0層を使用して記録が継続される。ODD112及び113では光ピックアップが図中の矢印(破線)で示すように使用する記録層を変更するが、光ディスク上の半径方向の位置は同じであるため、シーク動作を必要としない。
【0039】
図8は、図6における特定の記録層、即ちODD112と113のL0層での記録位置の変化を示す遷移図である。図8のXで示した範囲は、図7のXで示した範囲に相当する。Xで示した範囲には、図6の場合、実際には4個のデータブロックが前記したようにM個記録される。図8で示すように、まず最外周部ではYと示した位置から外周側に向けて記録が開始される。Yと示した位置は、最初に記録するデータブロック数に相当するだけ、光ピックアップを最外周から内周側へシーク動作させた位置である。最初のデータブロックを記録した後、前に記録したデータブロック数と次に記録するデータブロック数の和に相当するだけ、光ピックアップを外周側から内周側へシーク動作させて(破線の矢印)、内周側から外周側に向けて所定数のデータブロックを記録している(実線の矢印)。
【0040】
以上の実施例においては、L0層は内周側から外周側へ向け、L1層は外周側から内周側へ向けて記録するという相関対向記録を行う多層ディスクの特徴を生かすことにより、シーク動作を低減して転送速度を向上することを一つの特徴としている。二つのODDのL0層では図8で示すように短い距離のシーク動作が行われるが、長い距離のシーク動作を必要としていない。
【0041】
図6と図8で示した二つのODDのL0層におけるシーク動作を低減するためには、次の方法を考えることができる。ODDが備えるバッファメモリに例えば図6のODD112におけるデータブロック82〜85と94〜96を蓄積し、順序を入れ替えて94〜96,82〜85の順で読み出して物理アドレス4〜9に記録するようにすれば、2回分のシーク動作を1回で済ませることができる。もちろんバッファメモリの容量があれば、さらにシーク動作の回数を低減することができる。
【0042】
光ディスクに記録したデータを再生する際も、バッファメモリを使用してシーク動作の回数を低減することができる。例えば、図6のODD112においてデータブロックを85,84,83,82,96,95,94の順で再生してバッファメモリに蓄積し、所定の順に読み出すようにすると良い。
データを記録する際、各データブロックが有するデータ量は略等しくしているが、シーク動作が発生する前後のデータブロックは、シーク動作によるオーバヘッド量を見込んでデータ量を少なくし、他のデータブロックが該当する分のデータ量を負担する方法もある。このようにすれば、データの転送速度を向上することができる。
【0043】
図2、図4、図6におけるデータブロックに関して説明する。これらデータブロックは、所定量のデータを有する記録ストライプを分割したものであり、互いに略等しい量のデータを有する。本実施例で示したように転送速度が略一定となるよう、光ディスク上での記録する位置に応じて各ODDに所定数のデータブロックが割り当てられる。
信号処理を行う際の最小単位となるデータブロック(図2他の図中に記したデータブロックとは異なる)はセクタと呼ばれる。複数の(BDでは32個)のセクタをまとめて1個のクラスタが形成され、1個のクラスタは再生時のエラー訂正処理を行うためのECC(Error Correction Code)ブロックを形成する。
【0044】
前記記録ストライプは、整数個のECCブロックにより形成されることが望ましい。データを記録する際には、リードモディファイライトと呼ばれる動作が行われる。リードモディファイライトでは、記録されたデータが再生時のエラー訂正をできるレベルの記録品質を有するか否かを判定する。一つのECCブロックが複数の記録ストライプに跨ることは、リードモディファイライトの動作を煩雑にする原因となり、オーバヘッドを発生して転送速度を低下させることとなる。従って前記のようにすると良い。
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば、図1のブロック図や、図2、図4、図6のアドレスと記録データの対応関係には、様々な変形例を考えることができる。このように、本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0045】
101:LAN部、102:メモリ、103:制御部、104:HDD、105〜107:IF部、108〜113:ODD、114:アクセッサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録層を有する多層の光ディスクに対して情報データを含む記録ストライプを記録し再生する記録再生装置であって、
装着された前記多層の光ディスクに対して情報データを記録し再生する複数の光ディスクドライブと、
該複数の光ディスクドライブの動作を制御する制御部を有し、
該制御部は、
記録される前記記録ストライプを前記複数の光ディスクドライブに分割して供給し、
分割後の前記記録ストライプを前記複数の光ディスクドライブに装着された前記光ディスク上の互いに転送速度の異なる位置に記録するよう、記録時の論理アドレスを定めて前記光ディスクドライブに供給し、
前記記録ストライプを分割する際には、前記複数の光ディスクドライブにおける分割された前記記録ストライプの転送時間が略等しい時間となるようデータ量を定めて分割することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
複数の記録層を有する多層の光ディスクに対して情報データを含む記録ストライプを記録し再生する記録再生装置であって、
装着された前記多層の光ディスクに対して情報データを記録し再生する偶数個の光ディスクドライブと、
該偶数個の光ディスクドライブの動作を制御する制御部を有し、
該制御部は、
記録される前記記録ストライプを前記偶数個の光ディスクドライブに分割して供給し、
分割後の前記記録ストライプを、前記偶数個の光ディスクドライブにおける半数の光ディスクドライブに装着された前記光ディスク上と、前記偶数個の光ディスクドライブにおける残る半数の光ディスクドライブに装着された前記光ディスク上とでは、互いに転送速度の異なる位置に記録するよう、記録時の論理アドレスを定めて前記光ディスクドライブに供給し、
前記記録ストライプを分割する際には、前記偶数個の光ディスクドライブにおける分割された前記記録ストライプの転送時間が略等しい時間となるようデータ量を定めて分割することを特徴とする記録再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録再生装置において、前記光ディスクの記録層の層数が偶数個である場合には、前記制御部は、半数の光ディスクドライブにおいてはL0層、L1層の順で、残る半数の光ディスクドライブにおいてはL1層、L0層の順で、前記分割された記録ストライプが記録されるように制御することを特徴とする記録再生装置。
【請求項4】
請求項2に記載の記録再生装置において、前記光ディスクの記録層の層数が奇数個である場合には、前記制御部は、前記偶数個の光ディスクドライブにおける半数の光ディスクドライブにおいては、前記光ディスクが有する複数の記録層のいずれか1層で、前記分割された記録ストライプが所定の方向とは逆の半径方向に向けて記録されるように制御することを特徴とする記録再生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録再生装置において、前記複数の記録層のいずれか1層とはL0層であることを特徴とする記録再生装置。
【請求項6】
請求項5に記載の記録再生装置において、前記光ディスクの記録層が3層である場合には、前記制御部は、前記L0層を含む光ディスクが装着された半数の光ディスクドライブではL1層、L2層、L0層の順で、残る半数の光ディスクドライブではL0層、L1層、L2層の順で前記分割された記録ストライプが記録されるように制御することを特徴とする記録再生装置。
【請求項7】
請求項2に記載の記録再生装置において、前記記録ストライプは分割されない整数個のECCブロックを含むことを特徴とする記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−230746(P2012−230746A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99821(P2011−99821)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】