説明

記録剤収容容器、画像形成装置及び記録剤収容容器の再充填治具

【課題】記録剤収容容器を画像形成装置本体に脱着するときに記録剤取り入れ部材から記録剤が漏れ出し易い。
【解決手段】インクを収容するインク袋2と、供給口部3と、変形可能な供給流路部4と、供給流路部4を挟んで対向する一対の磁石13、13を有する開閉手段5とを備え、開閉手段5は、画像形成装置本体側の磁石111による磁気力で開閉され、画像形成装置本体から取り外されるとき、中空ノズル部材101の中空針穴101aが供給口部3にある間に供給流路部4を閉じ、供給口部3は、画像形成装置本体側の中空ノズル部材101の中空針穴101aの周囲を保護する保護部材102と磁気力で連結され、画像形成装置本体から取り外されるとき、中空ノズル部材101の中空針穴101aが供給口部3から外れて保護部材102内に収納されるまで、連結状態が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録剤収容容器、画像形成装置及び記録剤収容容器の再充填治具に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置が、また電子写真方式で画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
例えば、液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0004】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液滴を吐出する装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること、すなわち、液体吐出装置)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。なお、以下では、主として、記録剤がインクである例について説明する。
【0005】
このような画像形成装置において、例えば記録ヘッドを搭載したキャリッジ上に、記録ヘッドにインクを供給するサブタンク(バッファタンク、ヘッドタンクとも称される。)を搭載し、メインのインクカートリッジ(メインタンク、インクタンクとも称される)を画像形成装置本体(以下、単に「装置本体」という。)側に着脱自在に装着し、サブタンクに装置本体側のインクカートリッジからインクを補充供給するようにしたものが知られている。
【0006】
インクカートリッジとしては、例えば、インク供給口部とインク充填口部を有する保持部材を袋本体に融着などで固定したインク収容袋を、分割されたカートリッジ筐体に収納し、保持部材をカートリッジ筐体の保持手段にて保持したものが知られている(特許文献1)。また、インクを外部に導出するインク経路を備えたインクタンクにおいて、インクタンクのインク経路に配置されたインク経路遮閉弁体と、このインク経路遮蔽弁体を遮閉するため磁気吸引力を利用した付勢力発現手段とを配置したものも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−284094号公報
【特許文献2】特開2006−069055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特に液体吐出方式の画像形成装置(以下「インクジェット記録装置」ともいう。)では、商用印刷装置などの高速大量印刷に使用されるようになっており、単位時間当たりにインクカートリッジから供給しなければならないインク供給量も多量になる。
【0009】
この場合、特許文献1記載のように中空針(中空ノズル部材)をインクカートリッジの供給口部に刺し通してインクを供給する構成にあっては、中空ノズル部材の径を大きくする必要がある。その結果、インクカートリッジが装置本体に対して数回着脱されて、中空ノズル部材が供給口部に数回抜き差しされると、供給口部にシール不足領域が発生して、インクカートリッジの交換時にインクが漏れてしまうおそれがある。
【0010】
また、インクカートリッジに少量のインクが残ったまま装置本体から抜き出された場合、例えば、途中でインクカートリッジの使用を中断するような場合、その持ち運び等で傾けてしまうと、インクが漏れてしまうおそれもある。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、記録剤の漏れを防止ないし低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る記録剤収容容器は、
画像形成用記録剤が収容され、画像形成装置本体に着脱自在に装着される記録剤収容容器であって、
前記記録剤を収容する記録剤収容部と、
前記画像形成装置本体側の記録剤取り入れ部材が挿通される記録剤供給口部と、
前記記録剤収容部と前記記録剤供給口部とを通じる供給流路と、
前記供給流路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記開閉手段は、前記画像形成装置本体側の磁石による磁気力で開閉され、前記画像形成装置本体から取り外されるとき、前記記録剤取り入れ部材が前記記録剤供給口部にある間に前記供給流路を閉じ、
前記記録剤供給口部は、前記画像形成装置本体側の前記記録剤取り入れ部材の取り入れ口の周囲を保護する保護部材と磁気力で連結され、前記画像形成装置本体から取り外されるとき、前記記録剤取り入れ部材の取り入れ口が前記記録剤供給口部から外れて前記保護部材内に収納されるまで、前記連結状態が維持される
構成とした。
【0013】
ここで、前記供給流路は変形可能な部材で形成され、前記開閉手段は前記変形可能な供給流路を挟んで対向する一対の磁性体又は磁石を有する構成とできる。
【0014】
この場合、前記一対の磁性体又は磁石の移動方向を規制する手段を備えている構成とできる。
【0015】
また、前記一対の磁性体又は磁石の磁気力は、前記画像形成装置本体側の磁石の磁気力よりも弱い構成とできる。
【0016】
また、前記供給流路は変形可能な部材で形成され、前記開閉手段は前記変形可能な供給流路を挟んで対向する一対の磁石を有し、前記一対の磁石と前記画像形成装置本体外の磁石とは同じ部品である構成とできる。
【0017】
また、前記記録剤供給口部内には弾性部材が設けられ、前記開閉手段と前記弾性部材とは開閉方向で少なくとも一部が対向している構成とできる。
【0018】
この場合、前記開閉手段の前記弾性部材と対向する部分が弾性部材で形成されている構成とできる。
【0019】
また、前記記録剤供給口部内には弾性部材が設けられ、前記弾性部材よりも記録剤供給方向前側に液体吸収部材が設けられている構成とできる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、
画像形成用記録剤を収容する記録剤収容部と、
記録剤供給口部と、
前記記録剤供給口部の先端部に設けられた磁性体又は磁石と、
前記記録剤供給口部と記録剤収容部との間の変形可能な供給流路を挟んで対向する一対の磁性体又は磁石を有する開閉手段と、
を備えている記録剤収容容器が着脱自在に装着される画像形成装置であって、
前記記録剤供給口部に貫通されて前記記録剤を取り入れる記録剤取り入れ部材と、
前記中空部材の周囲を保護し、前記記録剤取り入れ部材が前記記録剤供給口部に貫通されるときに前記記録剤供給口部と磁気力で結合される、進退可能に配設された保護部材と、
前記保護部材を記録剤取り入れ部材の先端方向と反対方向に付勢する付勢手段と、
前記記録剤取り入れ部材よりも前方側に配置されて、前記記録剤収容容器の前記開閉手段を磁気力で開閉させる磁石と、を備えている
構成とした。
【0021】
ここで、前記記録剤収容容器が装着されるときに、前記記録剤取り入れ部材が前記記録剤収容容器の供給口部に当接する前に前記記録剤収容容器に係合して前記記録剤取り入れ部材の前記記録剤供給口部に対する位置決めをする位置決め部材を備えている構成とできる。
【0022】
この場合、前記位置決め部材に前記開閉手段を開閉させる磁石が設けられている構成とできる。
【0023】
本発明に係る記録剤収容容器の再充填治具は、
画像形成用記録剤を収容する記録剤収容部と、
記録剤供給口部と、
前記記録剤供給口部の先端部に設けられた磁性体又は磁石と、
前記記録剤供給口部と記録剤収容部との間の変形可能な供給流路を挟んで対向する一対の磁性体又は磁石を有する開閉手段と、
を備えている記録剤収容容器に前記記録剤を再充填する再充填治具であって、
前記記録剤収容容器の記録剤供給口部に挿通される中空ノズル部材を有する記録剤注入手段と、
前記中空ノズル部材よりも前方側に配置されて、前記記録剤収容容器の前記開閉手段を磁気力で開閉させる磁石を有する部材と、を備えている
構成とした。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る記録剤収容容器によれば、記録剤供給部口と記録剤収容部との間の供給流路を開閉する開閉手段を備え、開閉手段は、前記画像形成装置本体側の磁石による磁気力で開閉され、前記画像形成装置本体から取り外されるとき、前記記録剤取り入れ部材が前記記録剤供給口部にある間に前記供給流路を閉じ、前記記録剤供給口部は、前記画像形成装置本体側の前記記録剤取り入れ部材の取り入れ口の周囲を保護する保護部材と磁気力で連結され、前記画像形成装置本体から取り外されるとき、前記記録剤取り入れ部材の取り入れ口が前記記録剤供給口部から外れて前記保護部材内に収納されるまで、前記連結状態が維持される構成としたので、記録剤収容容器を画像形成装置本体から取り外したときの記録剤収容容器及び画像形成装置本体からの記録剤の漏れを防止ないし低減することができる。
【0025】
本発明に係る画像形成装置によれば、画像形成用記録剤を収容する記録剤収容部と、記録剤供給口部と、記録剤供給口部の先端部に設けられた磁性体又は磁石と、記録剤供給口部と記録剤収容部との間の変形可能な供給流路を挟んで対向する一対の磁性体又は磁石を有する開閉手段とを備えている記録剤収容容器が着脱自在に装着される画像形成装置であって、記録剤供給口部に貫通されて記録剤を取り入れる記録剤取り入れ部材と、記録剤取り入れ部材の周囲を保護し、記録剤取り入れ部材が記録剤供給口部に貫通されるときに記録剤供給口部と磁気力で結合される、進退可能に配設された保護部材と、保護部材を記録剤取り入れ部材の先端方向と反対方向に付勢する付勢手段と、記録剤取り入れ部材よりも前方側に配置されて、記録剤収容容器の開閉手段を磁気力で開閉させる磁石とを備えている構成としたので、記録剤収容容器を画像形成装置本体から取り外したときの記録剤収容容器及び画像形成装置本体からの記録剤の漏れを防止ないし低減することができる。
【0026】
本発明に係る記録剤収容容器の再充填治具によれば、画像形成用記録剤を収容する記録剤収容部と、記録剤供給口部と、記録剤供給口部の先端部に設けられた磁性体又は磁石と、記録剤供給口部と記録剤収容部との間の変形可能な供給流路を挟んで対向する一対の磁性体又は磁石を有する開閉手段とを備えている記録剤収容容器に記録剤を再充填する再充填治具であって、記録剤収容容器の記録剤供給口部に挿通される中空ノズル部材を有する記録剤注入手段と、中空ノズル部材よりも前方側に配置されて、記録剤収容容器の開閉手段を磁気力で開閉させる磁石を有する部材とを備えている構成としたので、磁力によって開閉される開閉手段を有する記録剤収容容器に記録剤を容易に再充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る記録剤収容容器としてのインクカートリッジの第1実施形態の要部斜視説明図である。
【図2】同インクカートリッジと画像形成装置本体の連結部分の要部外観斜視説明図である。
【図3】同インクカートリッジと画像形成装置本体の連結部分の模式的断面説明図である。
【図4】同インクカートリッジを画像形成装置本体に装着するときの動作の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図5】同インクカートリッジを画像形成装置本体から取り外すときの動作の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図6】同インクカートリッジと画像形成装置本体側との状態変化の詳細の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図7】同じくインクカートリッジ側の開閉手段の磁気力と画像形成装置本体側の磁石による磁気力との関係の説明に供する要部模式的説明図である
【図8】本発明に係る記録剤収容容器としてのインクカートリッジの第2実施形態の説明に供する要部模式的説明図である。
【図9】本発明に係る記録剤収容容器としてのインクカートリッジの第3実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図10】第1実施形態のインクカートリッジにおけるインク残留の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図11】本発明に係る記録剤収容容器の第4実施形態に係るインクカートリッジと画像形成装置本体との連結部分の模式的断面説明図である。
【図12】(a)は同インクカートリッジの説明に供する供給流路部開放状態での要部模式的断面説明図、(b)は供給流路部遮蔽状態での要部模式的断面説明図である。
【図13】同インクカートリッジを画像形成装置本体に装着するときの動作の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図14】同インクカートリッジを画像形成装置本体から取り外すときの動作の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図15】図14に続く要部模式的断面説明図である。
【図16】第4実施形態における同じくインクカートリッジ側の開閉手段の磁気力と画像形成装置本体側の磁石による磁気力との関係の説明に供する要部模式的説明図である。
【図17】本発明に係る記録剤収容容器としてのインクカートリッジの第5実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図18】本発明に係る記録剤収容容器としてのインクカートリッジの説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図19】本発明に係る記録剤収容容器を備える本発明に係る画像形成装置の一例を示す斜視説明図である。
【図20】同装置の機構部の概要を示す側面説明図である。
【図21】同じく要部平面説明図である。
【図22】本発明に係る再充填治具の第1実施形態の説明に供する要部模式的説明図である。
【図23】同じくインクカートリッジ側の開閉手段の磁気力と再充填治具側の磁石による磁気力との関係の説明に供する要部模式的説明図である。
【図24】本発明に係る再充填治具の第2実施形態の説明に供する要部模式的説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る記録剤収容容器の第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同記録剤収容容器としてのインクカートリッジの要部斜視説明図、同じく、図2は同インクカートリッジと画像形成装置本体の連結部分の要部外観斜視説明図、図3は同インクカートリッジと画像形成装置本体の連結部分の模式的断面説明図である。
【0029】
記録剤収容容器であるインクカートリッジ1は、画像形成用記録剤であるインクを収容する記録剤収容部であるインク袋2と、インク袋2内の画像形成装置本体(装置本体)側の中空ノズル部材が挿入される記録剤供給口部である供給口部3と、供給口部3とインク袋2との間の供給流路を形成する、インク袋2の一部で形成された、変形可能な供給流路部4と、この供給流路部4の供給流路を開閉する開閉手段5とを備え、これらはカートリッジケース10内に収納されている。
【0030】
インク袋2は、可とう性を有するフィルム部材で形成されている。この場合、1種の樹脂組成からなるフィルム部材でも、複数種の樹脂組成からなる層構造を有するフィルム部材でも良い。また表面、あるいは中間層に金属薄膜層を有する構造でも良い。樹脂組成として良好なものは、オレフィン系の樹脂組成のもので、特にインクとの接液性からポリエチレン系のフィルムが良好である。また、金属薄膜層としては、フィルムの透湿性を抑え、あるいはフィルムの剛性を持たせるものが好ましく、例えば、特にはアルミニウム薄膜が好ましい。
【0031】
供給口部3は、先端部に弾性部材11が嵌め込まれ、この弾性部材11の外周面及び先端面を覆う磁性体からなるキャップ部材12が取付けられている。キャップ部材12には装置本体側の中空ノズル部材が挿通される開口が形成されている。
【0032】
開閉手段5は、変形可能な供給流路部4を挟んで対向する一対の磁性体13,13を有している。カートリッジケース10には、磁性体13の移動方向を規制するために、磁性体13に形成された凹部13aと嵌め合う規制手段としての凸部10aが設けられている。
【0033】
なお、キャップ部材12、磁性体13は、例えばフェライトやNi−鉄、合金などの材料で形成されている。
【0034】
一方、画像形成装置本体側には、インクカートリッジ1の供給口部3に挿通され、インクを取り入れる取り入れ部材である中空ノズル部材101が固定配置されている。そして、この中空ノズル部材101の取り入れ口である中空針穴101aの周囲を保護する保護部材102が装着されている。この保護部材102内には中空ノズル部材101と直接接触する部分にシリコンゴムなどの弾性部材103が内包されている。
【0035】
また、保護部材102は、保護部材ガイド104内に進退可能に装着され、保護部材102の前面にはインクカートリッジ1の供給口部3のキャップ部材12と磁気的に結合するための磁石105が取付けられている。また、保護部材102は付勢手段であるスプリングなどの弾性部材106によって中空ノズル部材101の先端方向と反対方向に付勢されている。
【0036】
また、保護部材ガイド104の外周側には位置決め部材110が配設され、この位置決め部材110の先端部内周面には、中空ノズル部材101より前方側に、インクカートリッジ1の開閉手段5を構成する磁性体13、13間の磁気力よりも強い磁気力を有する磁石111を設けている。
【0037】
この位置決め部材110は、図1に示すように、インクカートリッジ1のカートリッジケース10の外周面に設けた位置決め用凹部21と係合する。このとき、位置決め部材110は、インクカートリッジ1が装置本体に装着されるときに、中空ノズル部材101が供給口部3に当接する前にカートリッジケース10の凹部21に係合して中空ノズル部材101の供給口部3に対する位置決めをする。
【0038】
次に、このように構成した実施形態の作用について、先ず、インクカートリッジを画像形成装置本体に装着するときの動作について図4を参照して説明する。
まず、図4(a)に示すように、インクカートリッジ1の画像形成装置本体側への装着開始直後には、最初に位置決め部材110がカートリッジケース10の位置決め凹部21に嵌合(係合)する。そして、インクカートリッジ1がさらに差し込まれると、キャップ部材12と保護部材102前面の磁石105とが接触して磁気的に結合した後、保護部材102が装置本体内側に押し込まれ、弾性部材103で保護されていた中空ノズル部材101が突き出て、供給口部3の弾性部材11に突き刺さっていく。この状態では、位置決め部材110の磁石111は、開閉手段5の磁性体13、13を引き付ける位置まで至らないので、依然として供給流路部4は磁性体13、13により遮断されている状態となっている。
【0039】
次に、図4(b)に示すように、インクカートリッジ1がさらに差し込まれると、位置決め部材110の磁石111は開閉手段5の磁性体13、13を引き付ける位置に到達し、磁性体12、13は磁石111に引き付けられるため、供給経路部4が開いてインクが通過する状態となる。この供給流路部5内の流路をインクが通過する状態になり始めでは、中空ノズル部材101は弾性部材11の途中でも、弾性部材11を貫通いてもいずれでもよい。
【0040】
そして、図4(c)に示すように、 インクカートリッジ1の画像形成装置本体への装着が完了したときには、開閉手段5の磁性体13、13は移動できる最大の範囲まで移動し、中空ノズル部材101の中空針穴101aは供給口部3の弾性部材11を貫通している状態になっており、安定してインクを装置本体側に供給できる状態となる。
【0041】
次に、インクカートリッジ1が画像形成装置本体側から抜かれるときの動作について説明する。
まず、前述した図4(c)に示すインクカートリッジ1が画像形成装置本体に装着が完了した状態から、図5(a)に示すように、インクカートリッジ1が画像形成装置本体側から抜かれ始めた直後では、図4(a)で説明したと同様の状態にある。このとき、供給流路部4がインクを遮断する状態(閉じた状態)になるまでは、中空ノズル部材101の中空針穴101aは少なくとも供給口部3の弾性部材11内にあるようにしている。
【0042】
そして、図5(b)に示すように、インクカートリッジ1がさらに抜かれると、キャップ部材12と保護部材102の先端面にある磁石105とが磁気的に連結されているので、キャップ部材12と保護部材102は一体化して移動し始める。そして、中空ノズル部材101の中空針穴101aが弾性部材103内に収まるか、もしくは貫通してしまうまで一体化して移動するように、弾性部材106のバネの付勢力とキャップ部材12と保護部材102の磁石105とが図中のA部で引き合う磁気力の大きさが調整されている。このようにすることで、装置本体側の中空ノズル部材101の中空針穴101aからインクが漏れるのを防止することができる。
【0043】
その後、図5(c)に示すように、インクカートリッジ1が画像形成装置本体側から完全に抜かれたときには、弾性部材106のバネの付勢力がキャップ部材12と保護部材102の磁石105とが引き合う磁気力より勝るようになるため、保護部材102が所定の位置まで引き戻され、弾性部材103で中空ノズル部材101の中空針穴101aが完全にシールされる状態となる。
【0044】
ここで、インクカートリッジ1が画像形成装置本体から抜かれるときの動作の詳細について図6を参照して説明する。
まず、図6(a)に示すように、インクカートリッジ1が画像形成装置本体から抜かれる時には、中空ノズル部材101は中空針穴101aが弾性部材103を貫通した状態になっており、図中のB部分で中空針穴101aからのインク漏れがシールされている(線接触シール)。このとき、中空ノズル部材101から先にある装置本体側の供給系内では陽圧(正圧)となっている場合があっても、弾性部材103は内側に圧接されているため、効率よくシールされている。
【0045】
次に、図6(b)に示すように、インクカートリッジ1が画像形成装置本体側から完全に抜かれたときには、中空ノズル部材101の中空針穴101aは弾性部材103内に戻された状態になっており、図中のC部分で中空針穴101aからのインク漏れがシールされている(面接触シール)。この状態になれば更にシール性が向上しているので、インク漏れは確実に防止される。
【0046】
このように、ここでは、「線接触シール」→「面接触シール」の状態変化であったが、「面接触シール」→「面接触シール」の状態変化であってもよい。重要なのは、中空針穴101aが弾性部材103内に収まるか、もしくは貫通してしまうまで、インクカートリッジ1と保護部材102が一体化して移動するようにすることで、少なくとも中空針穴101aが弾性部材103内に収まる前にキャップ部材12と保護部材102が離れてしまい、その際に中空針穴101aからインクが漏れることがないようにすることである。
【0047】
次に、図7を参照して開閉手段5の磁性体13、13間の磁気力と画像形成装置本体側の磁石111による磁気力との関係について説明する。ここで、図7は前述した図3(a)、(b)の詳細を示すもので、図7(a)はインクカートリッジを画像形成装置本体側に装着を開始した直後の状態を、同図(b)は同じく装着途中の状態をそれぞれ示している。
【0048】
図7(a)に示すように、インクカートリッジ1を画像形成装置本体側に装着する途中では、一対の磁性体13、13が引き合う力を磁気力Aとし、図7(b)に示すように磁性体13、13と磁石111とが引き合う力を磁気力Bとしたとき、磁気力A<磁気力B、となる関係、即ち、磁性体13,13の引き合う磁気力Aは磁性体13、13と磁石111とが引き合う磁気力Bよりも小さく(弱く)している。このようにすることで、確実に供給流路部4の開閉を行うことができる。
【0049】
次に、本発明に係る記録剤収容容器の第2実施形態について図8に示す要部模式的断面説明図を参照して説明する。ここで、図8(a)はインクカートリッジを画像形成装置本体側に装着を開始した直後の状態を、同図(b)は同じく装着途中の状態をそれぞれ示している。
【0050】
ここでは、開閉部材5として一対の磁石15、15を設け、これらの磁石15、15の対向する側に非磁性体からなるギャップ形成部材16、16を設けている。この場合、画像形成装置本体側にも開閉部材5の一対の磁石15、15と同じ部品からなる磁石112を設けている。
【0051】
これにより、一対の磁石15、15間のギャップを磁石15と画像形成装置本体側の磁石112とのギャップよりも大きくすることにより、一対の磁石15、15間に作用する実効的な磁気力の大きさ(磁気力C1)を磁石15、15と磁石112との間に作用する磁気力の大きさ(磁気力C2)よりも小さくすることができる。
【0052】
このようにして、インクカートリッジ側の開閉手段を構成する磁石及び画像形成装置本体側の開閉手段を開閉させる磁石として同じ部品を使うことができ、同一部品使用によるコスト削減しつつ、確実に供給流路の開閉を行うことができる。
【0053】
次に、本発明に係る記録剤収容容器の第3実施形態について図9及び図10を参照して説明する。なお、図9(a)は同記録剤収容容器としてのインクカートリッジの供給流路開放状態での要部模式的断面説明図、(b)は同じく供給流路遮断状態での要部模式的断面説明図である。
【0054】
ここでは、前記第1実施形態と同様に、インクカートリッジの供給口部3の先端部に嵌め込まれた弾性部材11の後端部(インク供給方向と逆方向の端部)11aを、開閉手段5の磁性体13と対向する位置まで延ばしたテーパ形状とし、一方、開閉手段5の磁性体13の先端側(インク供給方向前側)に弾性部材11の後端部11aと対向する部分をテーパ形状部13aに形成している。これにより、供給口部3の弾性部材11と開閉手段5の磁性体13とは開閉方向で対向する。
【0055】
このように構成することで、開閉手段5の磁性体13、13が閉じて供給流路部4が閉じられたとき、図9(b)に示すように、供給口部3内にインクが残留する空間がなくなり、特に、画像形成装置本体に装着したインクカートリッジを抜いて保管するときに、弾性部材3に形成される中空針101の抜き跡からのインクの漏れを防止することができる。
【0056】
つまり、図10にも示すように、前記第1実施形態のように供給口部3の先端部側に弾性部材11を設けた場合、開閉手段5の矩形状の磁性体13、13で供給流路部4を挟んで閉じたとき、供給流路部4と弾性部材11との間にインクが残留する空間500が生じてしまうことになる。そして、画像形成装置本体に装着したインクカートリッジを抜いたとき、弾性部材11は中空針101が抜けることで復元して中空針101が挿通された部分を閉じるが、弾性部材11の復元が十分でないと、中空針101が抜けた跡(刺通孔という。)601が生じ、この状態でインクカートリッジを保管すると、空間600内に残留しているインクが刺通孔601から漏出するおそれがある。
【0057】
そこで、本実施形態のように構成することで、上記インクが残留する空間600がなくなるので、一度装着したインクカートリッジを装置本体から取り出して保管する場合でもインクの漏れがなくなる。
【0058】
次に、本発明に係る記録剤収容容器の第4実施形態について図11及び図12を参照して説明する。なお、図11は同記録剤収容容器としてのインクカートリッジと画像形成装置本体との連結部分の模式的断面説明図、図12(a)は同インクカートリッジの供給流路開放状態での要部模式的断面説明図、(b)は同じく供給流路遮断状態での要部模式的断面説明図である。
ここでは、上記第4実施形態において、開閉手段5側の磁性体13には、供給口部3の弾性部材11の後端部11aに対向する部分に弾性部材13Aを一体に設けている。開閉手段5の弾性部材13Aは、供給路部4を開いているときには、図11に示すように磁性体13とともに供給路部4を開く位置にあり、供給路部4を閉じたときには、図12に示すように弾性部材11の後端部11aに倣って変形した状態になる。
【0059】
このように構成すれば、開閉手段5が閉じたときに供給口部3の弾性部材11の後端部11aの形状に確実に倣ってインクが残留することを防止できる。
【0060】
次に、この第4実施形態に係るインクカートリッジを画像形成装置本体に装着するときの動作について図13を参照して説明する。
前述した図11に示すように、インクカートリッジ1と画像形成装置本体とが離間している状態から、図13(a)に示すように、インクカートリッジ1の画像形成装置本体側への装着開始直後には、最初に位置決め部材110がカートリッジケース10の位置決め凹部21に嵌合(係合)する。そして、インクカートリッジ1がさらに差し込まれると、キャップ部材12と保護部材102前面の磁石105とが接触して磁気的に結合した後、保護部材102が装置本体内側に押し込まれ、弾性部材103で保護されていた中空ノズル部材101が突き出て、供給口部3の弾性部材11に突き刺さっていく。この状態では、位置決め部材110の磁石111は、開閉手段5の磁性体13、13を引き付ける位置まで至らないので、依然として供給流路部4は磁性体13、13により遮断されている状態となっている。
【0061】
次に、図13(b)に示すように、インクカートリッジ1がさらに差し込まれると、位置決め部材110の磁石111は開閉手段5の磁性体13、13を引き付ける位置に到達し、磁性体12、13は磁石111に引き付けられるため、供給経路部4が開いてインクが通過する状態となる。この供給流路部5内の流路をインクが通過する状態になり始めでは、中空ノズル部材101は弾性部材11の途中でも、弾性部材11を貫通いてもいずれでもよい。
【0062】
そして、図13(c)に示すように、 インクカートリッジ1の画像形成装置本体への装着が完了したときには、開閉手段5の磁性体13、13は移動できる最大の範囲まで移動し、中空ノズル部材101の中空針穴101aは供給口部3の弾性部材11を貫通している状態になっており、安定してインクを装置本体側に供給できる状態となる。
【0063】
次に、インクカートリッジ1が画像形成装置本体側から抜かれるときの動作について図14及び図15を参照して説明する。
まず、前述した図14(a)に示すインクカートリッジ1が画像形成装置本体に装着が完了した状態から、図14(b)に示すように、インクカートリッジ1が画像形成装置本体側から抜かれ始めた直後では、図13(c)で説明したと同様の状態にある。このとき、供給流路部4がインクを遮断する状態(閉じた状態)になるまでは、中空ノズル部材101の中空針穴101aは少なくとも供給口部3の弾性部材11内にあるようにしている。
【0064】
そして、図14(c)に示すように、インクカートリッジ1がさらに抜かれると、キャップ部材12と保護部材102の先端面にある磁石105とが磁気的に連結されているので、キャップ部材12と保護部材102は一体化して移動し始める。ここで、開閉手段5の磁性体13,13は、位置決め部材110の磁石111からの磁気力を受ける位置から離れて矢示方向に移動し、供給路部4を介して吸着するので、供給流路部4は磁性体13、13により遮断された状態となる。この磁性体13,13が吸着し合うことで弾性部材13Aが供給口部3の弾性部材11の後端部11aの外周に倣って押圧するので、供給路部4と供給口部3との間にインクが残留することがなくなる。
【0065】
その後、図15(a)に示すように、インクカートリッジ1が更に抜かれる。このとき、中空ノズル部材101の中空針穴101aが弾性部材103内に収まるか、もしくは貫通してしまうまで一体化して移動するように、弾性部材106のバネの付勢力とキャップ部材12と保護部材102の磁石105とが図中のA部で引き合う磁気力の大きさが調整されている。このようにすることで、装置本体側の中空ノズル部材101の中空針穴101aからインクが漏れるのを防止することができる。
【0066】
その後、図15(b)に示すように、インクカートリッジ1が画像形成装置本体側から完全に抜かれたときには、弾性部材106のバネの付勢力がキャップ部材12と保護部材102の磁石105とが引き合う磁気力より勝るようになるため、保護部材102が所定の位置まで引き戻され、弾性部材103で中空ノズル部材101の中空針穴101aが完全にシールされる状態となる。
【0067】
次に、図16を参照して開閉手段5の磁性体13、13間の磁気力と画像形成装置本体側の磁石111による磁気力との関係について説明する。ここで、図16は前述した図13(b)、(c)の詳細を示すもので、図16(a)はインクカートリッジを画像形成装置本体側に装着を開始した直後の状態を、同図(b)は同じく装着途中の状態をそれぞれ示している。
【0068】
図16(a)に示すように、インクカートリッジ1を画像形成装置本体側に装着する途中では、一対の磁性体13、13が引き合う力を磁気力Aとし、図16(b)に示すように磁性体13、13と磁石111とが引き合う力を磁気力Bとしたとき、磁気力A<磁気力B、となる関係、即ち、磁性体13,13の引き合う磁気力Aは磁性体13、13と磁石111とが引き合う磁気力Bよりも小さく(弱く)している。このようにすることで、確実に供給流路部4の開閉を行うことができる。
【0069】
次に、本発明に係る記録剤収容容器の第5実施形態について図17に示す要部模式的断面説明図を参照して説明する。ここで、図17(a)はインクカートリッジを画像形成装置本体側に装着を開始した直後の状態を、同図(b)は同じく装着途中の状態をそれぞれ示している。
【0070】
ここでは、前記第4実施形態において、開閉部材5として一対の磁石15、15を設け、これらの磁石15、15の対向する側に非磁性体からなるギャップ形成部材16、16を設けている。この場合、画像形成装置本体側にも開閉部材5の一対の磁石15、15と同じ部品からなる磁石112を設けている。
【0071】
これにより、一対の磁石15、15間のギャップを磁石15と画像形成装置本体側の磁石112とのギャップよりも大きくすることにより、一対の磁石15、15間に作用する実効的な磁気力の大きさ(磁気力C1)を磁石15、15と磁石112との間に作用する磁気力の大きさ(磁気力C2)よりも小さくすることができる。
【0072】
このようにして、インクカートリッジ側の開閉手段を構成する磁石及び画像形成装置本体側の開閉手段を開閉させる磁石として同じ部品を使うことができ、同一部品使用によるコスト削減しつつ、確実に供給流路の開閉を行うことができる。
【0073】
次に、本発明に係る記録剤収容容器の第6実施形態について図18を参照して説明する。なお、図18は同記録剤収容容器としてのインクカートリッジの要部模式的断面説明図である。
ここでは、前記第1実施形態の供給口部3の構成において、弾性部材11のインク供給方向前方側にインクを吸収する多孔質体などの吸収部材18を設けている。これにより、空間600にインクが残留し、弾性部材11の刺通孔601からインクが漏れ出しても吸収部材18にて吸収保持され、インクカートリッジの外部まで漏れることが防止される。
【0074】
次に、本発明に係る記録剤収容容器を使用する本発明に係る画像形成装置の一例について図19ないし図21を参照して説明する。なお、図19は同画像形成装置の外観斜視説明図、図20は同画像形成装置の機構部の概要を示す側面説明図、図21は同じく要部平面説明図である。
この画像形成装置は、シリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体201と、装置本体201に装着したまま所定の用紙補給位置まで引出し可能な給紙カセット202と、給紙カセット202の蓋部材を兼ね、装置本体201に揺動可能に装着されて給紙カセット202の上方を開閉可能な排紙トレイ203とを備えている。給紙カセット202は装置本体1内に給紙する用紙がストックされ、排紙トレイ203には画像が記録(形成)された用紙がストックされる。さらに、装置本体201の前面の一端部側には、本発明に係る記録剤収容容器であるインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部204を有し、このカートリッジ装填部204の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部205としている。
【0075】
そして、装置本体201内では、左右の側板201A、201Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0076】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234a、234b(区別しないときは「記録ヘッド234」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0077】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0078】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク235a、235b(区別しないときは「ヘッドタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、本発明に係る各色の記録剤収容容器であるインクカートリッジ210(第1実施形態で図示)から各色のインクが補充供給される。
【0079】
一方、給紙カセット202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0080】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0081】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0082】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0083】
また、装置本体201の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0084】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするためのキャップ282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0085】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける液体回収容器であるインク回収ユニット(空吐出受け)288を配置し、このインク回収ユニット288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0086】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙カセット202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換され、帯電した搬送ベルト251上に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0087】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0088】
この画像形成装置は、本発明に係る記録剤収容容器を着脱自在に装着しているので、記録剤収容容器の着脱時に記録剤漏れを低減ないし防止することができる。
【0089】
次に、本発明に係る記録剤収容容器の再充填治具の第1実施形態について図22の要部模式的説明図を参照して説明する。ここで、図22はインクカートリッジにインクに再充填するときの状態を示している。
まず、記録剤収容容器であるインクカートリッジ1側の構成は、前記本発明に係る記録剤収容容器の第1実施形態と同様の構成である。一方、再充填治具400は、インクカートリッジ1の供給口部3に挿通される中空針穴403aが形成された中空ノズル部材403を有する記録剤注入手段であるシリンジ401と、中空ノズル部材403よりも前方側に配置されて、インクカートリッジ1の開閉手段5を磁気力で開閉させる磁石405を有する開閉制御部材402とを備えている。
【0090】
このように構成したので、前記インクカートリッジ1を画像形成装置本体側に装着するときと同様に、再充填治具400の開閉制御部材402を、インクカートリッジ1の位置決め用凹部21に嵌め合わせて挿入することで、中空ノズル部材403が供給口部3に位置決めされた挿通され、また、開閉制御部材402の磁石405による磁気力によって開閉手段5の一対の磁性体又は磁石13が離間して供給流路部4が開かれるので、シリンジ401によってインクカートリッジ1内にインクを再充填することができる。
【0091】
このように磁気力によって供給流路を開閉する開閉手段を有するインクカートリッジに対して簡単な操作で再充填を行うことができる。
【0092】
ここで、図23を参照して開閉手段5の磁性体13、13間の磁気力と再充填治具側の磁石405による磁気力との関係について説明する。ここで、図23はインクカートリッジにインクを再充填するときの詳細を示し、同図(a)は再充填冶具を使用したインクカートリッジに対する再充填開始直後の状態を、同図(b)は同じく再充填途中の状態をそれぞれ示している。
【0093】
図13(a)に示すように、インクカートリッジ1側の一対の磁性体13、13が引き合う力を磁気力Dとし、図13(b)に示すように磁性体13、13と磁石405とが引き合う力を磁気力Eとしたとき、磁気力D<磁気力E、となる関係、即ち、磁性体13,13の引き合う磁気力Dは磁性体13、13と磁石405とが引き合う磁気力Eよりも小さく(弱く)している。このようにすることで、確実に供給流路部4の開閉を行うことができる。
【0094】
次に、本発明に係る再充填治具の第2実施形態について図24に示す要部模式的断面説明図を参照して説明する。ここで、図24はインクカートリッジにインクを再充填するときの詳細を示し、同図(a)は再充填冶具を使用したインクカートリッジに対する再充填開始直後の状態を、同図(b)は同じく再充填途中の状態をそれぞれ示している。
【0095】
ここでは、開閉部材5として一対の磁石15、15を設け、これらの磁石15、15の対向する側に非磁性体からなるギャップ形成部材16、16を設けている。この場合、再充填治具400側にも開閉部材5の一対の磁石15、15と同じ部品からなる磁石406を設けている。
【0096】
これにより、一対の磁石15、15間のギャップを磁石15と再充填治具400側の磁石406とのギャップよりも大きくすることにより、一対の磁石15、15間に作用する実効的な磁気力の大きさ(磁気力C1)を磁石15、15と磁石406との間に作用する磁気力の大きさ(磁気力C2)よりも小さくすることができる。
【0097】
このようにして、インクカートリッジ側の開閉手段を構成する磁石及び再充填治具側の開閉手段を開閉させる磁石として同じ部品を使うことができ、同一部品使用によるコスト削減しつつ、確実に開閉手段を開閉させて、簡単な操作で再充填を行うことができる。
【0098】
なお、上記各実施形態では記録剤がインクである例で説明しているが、前述したように記録剤としては電子写真方式の画像形成装置で使用される現像剤、トナーを用いる場合にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 インクカートリッジ
2 インク袋
3 供給口部
4 供給流路
5 開閉手段
10カートリッジケース
11 弾性部材
12 キャップ部材
13 磁性体又は磁石
15 磁石
16 ギャップ形成部材
18 吸収部材
101 中空ノズル部材
102 保護部材
103 弾性部材
104 保護部材ガイド
105 磁石
106 弾性部材
110 位置決め部材
111、112 磁石
201 装置本体
202 給紙カセット
203 排紙トレイ
204 カートリッジ装填部
210 インクカートリッジ
233 キャリッジ
234 記録ヘッド
400 再充填治具
401 シリンジ
402 開閉制御部材
411、412 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成用記録剤が収容され、画像形成装置本体に着脱自在に装着される記録剤収容容器であって、
前記記録剤を収容する記録剤収容部と、
前記画像形成装置本体側の記録剤取り入れ部材が挿通される記録剤供給口部と、
前記記録剤収容部と前記記録剤供給口部とを通じる供給流路と、
前記供給流路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記開閉手段は、前記画像形成装置本体側の磁石による磁気力で開閉され、前記画像形成装置本体から取り外されるとき、前記記録剤取り入れ部材の取り入れ口が前記記録剤供給口部にある間に前記供給流路を閉じ、
前記記録剤供給口部は、前記画像形成装置本体側の前記記録剤取り入れ部材の周囲を保護する保護部材と磁気力で連結され、前記画像形成装置本体から取り外されるとき、前記記録剤取り入れ部材の取り入れ口が前記記録剤供給口部から外れて前記保護部材内に収納されるまで、前記連結状態が維持される
ことを特徴とする記録剤収容容器。
【請求項2】
前記供給流路は変形可能な部材で形成され、前記開閉手段は前記変形可能な供給流路を挟んで対向する一対の磁性体又は磁石を有することを特徴とする請求項1に記載の記録剤収容容器。
【請求項3】
前記一対の磁性体又は磁石の移動方向を規制する手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の記録剤収容容器。
【請求項4】
前記一対の磁性体又は磁石の磁気力は、前記画像形成装置本体側の磁石の磁気力よりも弱いことを特徴とする請求項2又は3に記載の記録剤収容容器。
【請求項5】
前記供給流路は変形可能な部材で形成され、前記開閉手段は前記変形可能な供給流路を挟んで対向する一対の磁石を有し、前記一対の磁石と前記画像形成装置本体外の磁石とは同じ部品であることを特徴とする請求項1に記載の記録剤収容容器。
【請求項6】
前記記録剤供給口部内には弾性部材が設けられ、前記開閉手段と前記弾性部材とは開閉方向で少なくとも一部が対向していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の記録剤収容容器。
【請求項7】
前記開閉手段の前記弾性部材と対向する部分が弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の記録剤収容容器。
【請求項8】
前記記録剤供給口部内には弾性部材が設けられ、前記弾性部材よりも記録剤供給方向前側に液体吸収部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の記録剤収容容器。
【請求項9】
画像形成用記録剤を収容する記録剤収容部と、
記録剤供給口部と、
前記記録剤供給口部の先端部に設けられた磁性体又は磁石と、
前記記録剤供給口部と記録剤収容部との間の変形可能な供給流路を挟んで対向する一対の磁性体又は磁石を有する開閉手段と、
を備えている記録剤収容容器が着脱自在に装着される画像形成装置であって、
前記記録剤供給口部に貫通されて前記記録剤を取り入れる記録剤取り入れ部材と、
前記記録剤取り入れ部材の周囲を保護し、前記記録剤取り入れ部材が前記記録剤供給口部に貫通されるときに前記記録剤供給口部と磁気力で結合される、進退可能に配設された保護部材と、
前記保護部材を記録剤取り入れ部材の先端方向と反対方向に付勢する付勢手段と、
前記記録剤取り入れ部材よりも前方側に配置されて、前記記録剤収容容器の前記開閉手段を磁気力で開閉させる磁石と、を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記記録剤収容容器が装着されるときに、前記記録剤取り入れ部材が前記記録剤収容容器の供給口部に当接する前に前記記録剤収容容器に係合して前記記録剤取り入れ部材の前記記録剤供給口部に対する位置決めをする位置決め部材を備えていることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記位置決め部材に前記開閉手段を開閉させる磁石が設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載に画像形成装置。
【請求項12】
画像形成用記録剤を収容する記録剤収容部と、
記録剤供給口部と、
前記記録剤供給口部の先端部に設けられた磁性体又は磁石と、
前記記録剤供給口部と記録剤収容部との間の変形可能な供給流路を挟んで対向する一対の磁性体又は磁石を有する開閉手段と、
を備えている記録剤収容容器に前記記録剤を再充填する再充填治具であって、
前記記録剤収容容器の記録剤供給口部に挿通される中空ノズル部材を有する記録剤注入手段と、
前記中空ノズル部材よりも前方側に配置されて、前記記録剤収容容器の前記開閉手段を磁気力で開閉させる磁石を有する部材と、を備えている
ことを特徴とする記録剤収容容器の再充填治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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