説明

記録媒体搬送機構

【課題】 連続画像形成時に、記録媒体搬送装置の複数個所からランダムに発生される複数種類の稼動音が、周辺作業者に与える不快感を軽減する。
【解決手段】 シート紙搬送機構4のピックアップローラ21からレジストローラ27迄の距離を、A・4横サイズの先行するシート紙P−1の先端PS1から、後続するシート紙P−2の先端PS2までの距離の2倍に設定し、ピックアップ電磁クラッチ21b及び搬送電磁クラッチ24cを同時に通電する。連続給紙時、ピックアップ電磁クラッチ21b及び搬送電磁クラッチ24cを通電する時の衝撃音と、シート紙Pがレジストローラ27に突き当たる衝撃音の発生タイミングを一致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置にて、画像形成位置に用紙を搬送し、特に用紙搬送時の稼動音を改善する記録媒体搬送機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート紙等の記録媒体に画像を形成する画像形成装置にあっては、その装置の小型化、プロセス速度の高速化等を達成するために種々の方式が採用されている。画像形成方式としては、例えば、感光ドラム上に静電潜像を形成しトナーによって可視化する電子写真方式、インキ滴を直接吹き付けて画像を形成するインクジェット方式、或は感光発色色材に記録画像を露光する銀塩写真方式などが知られている。
【0003】
各種画像形成方式において、例えばシート紙は、給紙カセット或は手差しトレイから取り出され、その後搬送装置により搬送される間にレジストローラにより整位された後、画像形成位置に供給される。このシート紙の画像形成位置への供給時、シート紙の取り出しローラや搬送ローラの駆動音、或はシート紙をレジストローラに突き当てる際の衝撃音等を生じる。
【0004】
このシート紙供給時の稼動音を低減するために、従来、シート紙を画像形成部にもっとも近いカセットから給紙する装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−167798号公報明細書(第49〜53カラム、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シート紙の供給時に生じる騒音は、シート紙の取り出しローラや搬送ローラを停止していた状態から急峻に稼動する負荷変動による衝撃音であったり、シート紙がレジストローラにぶつかる衝撃音等、複数の要因からなる。特に連続して画像形成を行った場合には、用紙搬送経路の複数個所にてランダムなタイミングで異質の音が連続する。
【0006】
他方、画像形成装置は事務所環境等に設置される場合が多い。このような環境下においては、装置の稼動音は極力小さいことが望ましく、製品スペックとして稼動音の音圧レベルが各製品規格として設定される。しかしながら稼動音の音圧レベルが製品仕様を満足していても、用紙搬送に絡む衝撃音は装置の稼動音としての品格を損ねる恐れがある。
【0007】
例えば毎分60枚程度の印刷速度を有する複写機においては、1秒ごとに1枚ずつ用紙搬送が行われ画像形成がなされる。そして1枚の用紙が搬送される間に例えば擬音語表現すると、1秒間に数回に渡って「カチャ、カチャ、トン、トン」というような衝撃音が、複数の騒音源からランダム間隔で発生する。このような稼動音はせわしなく、事務所環境に執務する作業者が不快感を伴うという課題を有していた。
【0008】
そこで本発明は、上記課題を解決するものであり、シート紙供給時の稼動音が、周辺作業者に与える不快感を低減して、画像形成装置の設置環境を改善することにより、オフィス空間における画像形成装置の設置位置の自由度を向上できる記録媒体搬送機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するための手段として、画像形成が成される記録媒体を、所定位置から取り出す取り出し部と、前記取り出し部から取り出された前記記録媒体を画像形成位置方向に搬送する搬送部と、前記画像形成位置より上流に設けられ、前記搬送部により搬送される前記記録媒体を突き当てて、前記記録媒体を整位する整位機構とを具備する記録媒体搬送機構において、前記取り出し部により前記記録媒体を連続して取り出す時に、先行する前記記録媒体を前記整位機構に突き当てるタイミング及び、前記取り出し部が後続の前記記録媒体を取り出すタイミングを、同じにするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成位置に記録媒体を供給する時に、搬送経路の異なる場所で生じる異質の騒音が、同じタイミングで発生される。これによりランダムな騒音を、まとまりのある落ち着いた稼動音とすることが可能となり、画像形成装置を設置する環境空間にて作業者の不快感を低減出来、画像形成装置の設置場所の自由度を広げることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の実施例を図1乃至図5を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の記録媒体搬送機構であるシート紙搬送機構4を搭載する画像形成装置である電子写真方式のプリンタ1を示す概略構成図である。所定位置であるところのプリンタ1の下方には、画像形成部2に供給する記録媒体であるシート紙Pを収納するカセット3を備える。カセット3は、定型サイズのシート紙Pとして、この実施例では、JIS規格A4横サイズのシート紙Pカセットを収納する。カセット3から画像形成部2に達する間にシート紙搬送機構4が設けられる。
【0012】
画像形成部2は、感光体ドラム6及び、感光体ドラム6の矢印s方向の回転に従い、感光体ドラム6の周囲に順次設けられる帯電装置12、レーザ露光装置13、現像装置14、転写ベルト16、クリーナ17を有している。感光体ドラム6は、表面にレーザ光などによって導電率が変化する感光剤を塗布してなり、帯電装置12は、感光体ドラム6表面を数百Vに一様に帯電する。レーザ露光装置13は、画像データに基づきポリゴンミラー13bによって走査されるレーザビーム13aを感光体ドラム6表面に照射して、感光体ドラム6表面に静電潜像を形成する。
【0013】
転写ベルト16は、感光体ドラム6の画像形成位置である転写位置6aと対向してなり、転写ローラ16aにより所要の転写電圧を印加される。
【0014】
矢印tで示すシート紙Pの搬送方向において、感光体ドラム6より下流には、トナー像を転写されたシート紙Pを排紙方向に搬送する排紙搬送路18が設けられる。排紙搬送路18上には、感光体ドラム6から剥離されたシート紙P上に形成されたトナー像を加熱加圧定着するヒートローラ20a及び加圧ローラ20bを有する定着装置20が設けられる。
【0015】
次にシート紙搬送機構4について詳述する。シート紙搬送機構4は、カセット3からシート紙Pを取り出す取り出し部であるピックアップローラ21、取り出されたシート紙Pの重送(シート紙Pが2枚以上重なって送られる現象)を防止する分離ローラ22、分離された最上位のシート紙Pを矢印rで示す感光体ドラム6の転写位置6a方向に搬送する搬送部23を有する。搬送部23は、搬送ローラ24a、24b及び搬送ガイド26a、26b、26cからなる。更にシート紙搬送機構4は、搬送部23により搬送されたシート紙Pを、感光体ドラム6の転写位置6aに供給する前に整位する、整位機構であるレジストローラ27を有する。
【0016】
レジストローラ27には図示しないステッピングモータによる駆動機構を設けてあり、さらに搬送ローラ24bにもこれと別のステッピングモータによる駆動機構が設けてある。これらの駆動機構によってシート紙Pを搬送し、駆動を停止したレジストローラ27のニップ部に搬送ローラ24bによりシート紙P先端を突き当てる。この動作は、シート紙Pが搬送方向に対し若干斜めに傾いて(スキューして)搬送された場合の整位動作(レジストレーション)である。搬送ローラ24bを駆動するステッピングモータは、シート紙P先端がレジストローラ27のニップに突き当たった直後に停止し、その後はレジストローラ27を駆動するステッピングモータが駆動してシート紙Pを搬送する。
【0017】
シート紙搬送機構4のピックアップローラ21からレジストローラ27に達する間の搬送距離である距離Dは、図2及び図3に示すように、JIS規格A・4横サイズの先行するシート紙P−1の先端PS1から、後続するシート紙P−2の先端PS2までの距離の2倍となっている。実際には距離Dは、JIS規格A・4横サイズ:210mm+シート紙間隔:50mm=260mmの2倍となっている。このように距離Dを設定することにより、シート紙Pを連続して転写位置6aに供給する際の騒音の発生タイミングを一致させることとなる。
【0018】
シート紙搬送機構4は、図4に示す駆動部30によりピックアップローラ21、分離ローラ22、及び搬送ローラ24aを駆動している。各ローラへの駆動力はモータ31により発生され、リンク機構32によって、各ローラに夫々伝達される。搬送ローラ24aにあっては、リンク機構32の歯車32aを介して搬送電磁クラッチ24cに連結した搬送歯車24dへ駆動力が伝達される。通電により搬送電磁クラッチ24cの内部クラッチ板が連結すると、搬送歯車24dと搬送軸24fが連結され、搬送ローラ24aが回転される。
【0019】
分離ローラ22のピックアップ電磁クラッチ21bに連結した分離歯車22eには、搬送歯車24dからアイドル歯車33を介して駆動力が伝達される。ピックアップ電磁クラッチ21bの通電により、分離歯車22eと下側軸22fが連結される。下側軸22fに固定される下歯車22gの駆動は、タイミングベルト21cを介して上側軸22hとピックアップローラ軸21aに伝達される。従って、ピックアップ電磁クラッチ21bの通電により、ピックアップローラ21と分離ローラ22が回転される。
【0020】
但し分離ローラ22は、上分離ローラ22a及び下分離ローラ22bからなり、下分離ローラ22bはトルクリミッタ22cを介して下側軸22fに連結される。即ちシート紙Pの重送が発生すると、シート紙P同士の摩擦力よりも、上分離ローラ22aの搬送力及び下分離ローラ22bのブレーキ力が強くなる。従って、矢印u方向に回転される上分離ローラ22aに接触する最上位のシート紙Pは搬送ローラ24a方向に搬送され、2枚目以降のシート紙Pは、矢印v方向に回転される分離ローラ22位置に留まる。
【0021】
このように構成されるシート紙搬送機構4は、シート紙Pの搬送時、シート紙Pをレジストローラ27に突き当てることにより衝撃音が発生する。また、ピックアップローラ21及び分離ローラ22に駆動力を付与するためのピックアップ電磁クラッチ21bを通電する際、及び搬送ローラ24に駆動力を付与するための搬送電磁クラッチ24cを通電する際に、急峻な負荷変動による衝撃音が発生する。
【0022】
但しこの実施例において、シート紙搬送機構4は、図5に示すように、各部で発生する衝撃音の発生タイミングを一致させるように、ピックアップ電磁クラッチ21bと搬送電磁クラッチ24cの通電を制御する。
【0023】
即ちこの実施例においては、ピックアップ電磁クラッチ21bと搬送電磁クラッチ24cは同時に通電しシート紙Pを搬送開始する。シート紙P先端が搬送ローラ24aに達し、搬送ローラ24aの搬送力がシート紙Pに伝達された後、シート紙Pの後端がピックアップローラ21を通過する直前にピックアップ電磁クラッチ21bの通電を切る。一方、搬送電磁クラッチ24cはピックアップ電磁クラッチ21bの通電オフに遅れて、シート紙Pの後端が搬送ローラ24aを通過する直前に通電を切る。この時、シート紙Pは独立のステッピングモータにより駆動される搬送ローラ24bによって搬送されている。
【0024】
そして連続して画像形成を行った場合には、先行するシート紙P先端が、ピックアップローラ21位置から260mm搬送された時点で、後続のシート紙Pの取り出し・搬送のために、再度ピックアップ電磁クラッチ21b及び搬送電磁クラッチ24cの通電を同時に開始するよう制御する。これを繰り返す間、3枚目以降は、シート紙Pの取り出し・搬送のための、ピックアップ電磁クラッチ21b及び搬送電磁クラッチ24cの通電する際の衝撃音と、先行するシート紙Pがレジストローラ27に突き当たる衝撃音の発生タイミングが完全に一致する。
【0025】
即ち連続画像形成時、シート紙Pを1枚搬送するごとに複数の発生源から発生する衝撃音は混ざりあって1回の衝撃音を発生するようになる。例えばプリンタ1が毎分60枚の印刷速度であるならば、約1秒に1回の「カチャ」というような擬音語表現できる衝撃音を発生することとなる。
【0026】
これに対して、複数の発生源から発生する衝撃音の発生タイミングが異なる従来の装置にて、連続画像形成時に生じる騒音は、例えば図6に比較例として示すように、シート紙Pを1枚搬送するごとに、それぞれの衝撃音の音圧レベルがまちまちな3つの異質の音が、ばらばらのタイミングで発生され、非常にせわしない稼動騒音となっていた。即ち衝撃音の発生タイミングを考慮しない従来の装置では、あまり音圧レベルの高くない衝撃音も個別に認識され、せわしない稼動騒音により、事務所等の環境を損ねることとなる。
【0027】
尚この実施例にて、ピックアップ電磁クラッチ21b、搬送電磁クラッチ24c及びレジストローラ27で発生する衝撃音の発生タイミングを完全に一致するように、ピックアップ電磁クラッチ21b及び搬送電磁クラッチ24cをオン/オフ制御しても、制御精度或いはシート紙Pの搬送精度により、衝撃音にずれを生じる場合がある。
【0028】
但し、人間の聴覚に対する複数の音源の時間差がどれだけ離れた場合、複数と認識できるかについては、音声の高能率圧縮符号化方式の研究に関連して調査されている。(2004年、日本音響学会発行の日本音響学会誌60巻1号のPP18−23(宮坂著)を参照。)一般的には複数の音源は、時間差が50〜200ms程度の時間差によって複数あると認識される。
【0029】
従ってこの実施例において、A・4横サイズの印字速度が毎分60枚の画像形成装置とした場合、用紙搬送速度が310mm/s程度であるため、例えば時間差を50ms以内におさめるためには、各ローラ位置の誤差が310×0.05=15.5mm程度まで許容されることとなる。これは装置設計を実現するうえで十分実現可能な範囲に入るため、前述したような各衝撃音発生タイミングを人間が認識できない程度に一致させることは十分可能であると言える。
【0030】
更に衝撃音を重ね合わせた場合、マスキングの効果が期待できる。マスキングとは、対象とする音の最小可聴域が他の音によって上昇する現象である。前述のように衝撃音を重ね合わせた場合、音圧レベルの高い衝撃音が聞こえ、マスキングされる他の衝撃音が認識されなくなるという効果が現れる。
【0031】
次に作用について述べる。例えば、A・4横サイズでの連続画像形成操作を開始すると、画像形成部2では、感光体ドラム6の矢印s方向の回転に従い、感光体ドラム6上に順次画像形成工程を実施する。感光体ドラム6は、帯電装置12により一様に帯電され、次いでレーザ露光装置13により原稿情報に応じたレーザ光を照射され静電潜像を形成される。次いで静電潜像は現像装置14により現像されて、感光体ドラム6上にトナー像が形成される。
【0032】
感光体ドラム6上のトナー像は、シート紙搬送機構4により感光体ドラム6上のトナー像と同期して、転写ベルト16に搬送されるシート紙P上に転写される。感光体ドラム6上のトナー像のシート紙Pへの転写は、転写ベルト16と感光ドラム6が接触するニップ部において、転写ローラ16aに高圧の転写バイアスを印加して、トナー像をシート紙P表面に電気的に吸着させている。次いでシート紙Pは、感光体ドラム6から剥離後、定着装置20に搬送されて、定着可能温度に加熱されるヒートローラ20a及び加圧ローラ20b間のニップに挿通され、トナー像を加熱加圧定着される。シート紙Pにトナー像を転写後、感光体ドラム6は、クリーナ17によりクリーニングされ、次のトナー像形成を可能とされる。
【0033】
次にシート紙搬送機構4による、シート紙Pの連続給紙について述べる。画像形成操作開始によりシート紙搬送機構4の駆動部では、モータ31が駆動される。モータ30の駆動は、ピックアップ電磁クラッチ21bによりピックアップローラ21及び分離ローラ22を間欠動作させる。又モータ30の駆動は、搬送電磁クラッチ24cにより搬送ローラ24aを間欠動作させる。
【0034】
先ず1枚目のシート紙P−1取り出し時、ピックアップ電磁クラッチ21b及び搬送電磁クラッチ24cを同時に通電する。これにより、ピックアップローラ21によりカセット3からシート紙Pが取り出され、分離ローラ22により最上位のシート紙Pのみが搬送ガイド26aにガイドされ、搬送ローラ24a方向に分離供給される。次いで、1枚目のシート紙P−1は搬送ローラ24aに挟持搬送され、搬送ガイド26bを通り、搬送ローラ24b方向に搬送される。
【0035】
この間、シート紙P先端が搬送ローラ24aに達し、搬送ローラ24aの搬送力がシート紙Pに伝達されると、ピックアップ電磁クラッチ21bの通電はオフされる。更に搬送電磁クラッチ24cはピックアップ電磁クラッチ21bの通電オフに遅れてシート紙P後端が搬送ローラ24aを通過する直前に通電を切る。
【0036】
次いで、1枚目のシート紙P−1先端が、レジストローラ21から260mmの位置に到達したら、再度ピックアップ電磁クラッチ21b及び搬送電磁クラッチ24cを同時に通電する。これにより、1枚目のシート紙P−1と同様にして、2枚目のシート紙P−2をカセット3から取り出し、分離後、搬送ローラ24aにより搬送ローラ24b方向に搬送する。
【0037】
この間、1枚目のシート紙P−1は、搬送ローラ24a、24bにより、搬送ガイド26b、26cを通り、レジストローラ27方向に搬送される。
【0038】
この後、2枚目のシート紙P−2先端が、レジストローラ21から260mmの位置に到達したら、再度ピックアップ電磁クラッチ21b及び搬送電磁クラッチ24cを同時に通電する。これにより、1枚目のシート紙P−1及び2枚目のシート紙P−2と同様にして、3枚目のシート紙P−3をカセット3から取り出し、分離後、搬送ローラ24aにより搬送ローラ24b方向に搬送する。
【0039】
この間、2枚目のシート紙P−2は、搬送ローラ24a、24bにより、搬送ガイド26b、26cを通り、レジストローラ27方向に搬送される。又1枚目のシート紙P−1は、レジストローラ27に到達し、シート紙P−1の先端はレジストローラ27のニップに突き当たる。 この3枚目のシート紙P−3の取り出し時、シート紙搬送機構4にあっては、ピックアップ電磁クラッチ21bの通電時の衝撃音、搬送電磁クラッチ24cの通電時の衝撃音、及びシート紙P先端のレジストローラ27への突き当てによる衝撃音が発生される。
【0040】
但し、図5に示すように、ピックアップ電磁クラッチ21b及び搬送電磁クラッチ24cが同時に通電されることから、両電磁クラッチ21b、24cの急峻な負荷変動による衝撃音の発生タイミングが一致する。又、シート紙搬送機構4のピックアップローラ21からレジストローラ27に達する間の距離Dが、A・4横サイズの先行するシート紙P−1の先端PS1から、後続するシート紙P−2の先端PS2までの距離の2倍に設定されることから、シート紙P先端のレジストローラ27への突き当て音の発生タイミングも一致する。
【0041】
これによって連続給紙時に、シート紙搬送機構4から発生される3つの衝撃音は、混ざりあって1回の衝撃音として発生することとなる。即ちこの実施例におけるプリンタ1が毎分60枚の印刷速度においては、約1秒に1回の「カチャ」という衝撃音を発生することとなる。
【0042】
この後、後続のシート紙Pを連続給紙する間、シート紙搬送機構4からは、約1秒に1回の「カチャ」という、まとまりのある落ち着いた稼動音を発生されることとなる。
【0043】
尚この実施例ではA・4横サイズのシート紙P(用紙の搬送方向長さ210mm)を連続的に搬送する場合の、シート紙とシート紙の間隔を50mm設けている。従って、1ページごとに異なる画像情報に応じて画像を形成するような場合、前のページの画像情報と次のページの画像情報のデータの、画像メモリへの入れ替え作業のための時間を確保出来る。更に、シート紙搬送機構4の製造精度にばらつきを生じたり、或は各駆動部の制御精度にばらつきを生じたとしても、シート紙とシート紙の間隔が十分確保されることから、先行するシート紙の後端と後続のシート紙の先端が重なる恐れが無い。
【0044】
又この実施例では、A・4横サイズのシート紙を連続給紙する場合の衝撃音の改善について説明したが、シート紙のサイズはこれに限定されず、他のサイズのシート紙についても同様に実現可能である。更に例えば複数のカセットを多段に備える画像形成装置の場合に、カセットの各段毎に収納するシート紙サイズを予め固定すれば、各カセットに収納される固定サイズのシート紙を連続給紙する場合の衝撃音を改善可能となる。但しこの場合には、各段のカセットの取り出し部から整位機構までの距離を、カセット内の固定サイズの、先行するシート紙先端から後続するシート紙先端までの距離の整数倍にすることにより、連続給紙時のカセットの取り出し部での衝撃音と、シート紙が整位機構に突き当たる衝撃音の発生タイミングを容易に一致させることが可能になる。実際には、例えば上段のカセットでは、取り出し部から整位機構までの距離を、先行するシート紙先端から後続するシート紙先端までの距離の2倍とし、下段のカセットでは、取り出し部から整位機構までの距離を、先行するシート紙先端から後続するシート紙先端までの距離の3倍とする等、設定すれば良い。
【0045】
この実施例によれば、シート紙搬送機構4のピックアップローラ21からレジストローラ27迄の距離Dを、A・4横サイズの先行するシート紙P−1の先端PS1から、後続するシート紙P−2の先端PS2までの距離の2倍に設定すると共にピックアップ電磁クラッチ21b及び搬送電磁クラッチ24cを同時に通電して、連続給紙時には、ピックアップローラ21による3枚目のシート紙P−3の取り出し時の衝撃音と、先行する1枚目のシート紙P−1がレジストローラ27に突き当たる衝撃音の発生タイミングを一致させている。
【0046】
従って連続給紙時にシート紙搬送機構4から発生される衝撃音を、約1秒に1回の定期的なタイミングであって、しかも、まとまりのある落ち着いた稼動音として発生出来る。この結果、プリンタ1を事務所内に設置する場合においても、設置される環境空間にて、シート紙搬送機構4の稼動音が作業者に与える不快感を軽減出来、プリンタ1の設置場所の環境改善を図り、プリンタ1の設置場所の自由度を広げることが可能となる。
【0047】
尚本発明は上記実施例に限定されることなく、その趣旨を変えない範囲での変更は可能であって、例えば、画像形成装置はカラー対応の装置であっても良い。又、記録媒体は、カセットから供給されるのみでなく、所定位置として手差しトレイを設けて、記録媒体を手差しトレイから取り出しても良い。但しこの場合、手差しトレイの取り出し部から整位機構までの距離を、先行する所定サイズのシート紙先端から後続するシート紙先端までの距離の整数倍にすることにより、連続給紙時の手差しトレイの取り出し部での衝撃音と、シート紙が整位機構に突き当たる衝撃音の発生タイミングを容易に一致させることが可能になる。
【0048】
又カセットを複数段備え、複数サイズのシート紙を連続給紙可能な場合には、全てのサイズのシート紙に対して、稼動音を改善するのではなく、使用頻度が一番高いサイズのシート紙に対してのみ、稼動音の改善を図るようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例のプリンタを示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例のシート紙搬送機構を示す概略説明である。
【図3】本発明の実施例のシート紙搬送機構を平面に展開した概略説明図である。
【図4】本発明の実施例の駆動部を示す概略構成である。
【図5】本発明の実施例のシート紙搬送機構における駆動部の駆動タイミング及び衝撃音の発生を示すタイミングチャートである。
【図6】比較例として、従来のシート紙搬送機構における駆動部の駆動タイミング及び衝撃音の発生を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1…プリンタ
2…画像形成部
3…カセット
4…シート紙搬送機構
6…感光体ドラム
12…帯電装置
13…露光装置
14…現像装置
16…転写ベルト
17…クリーナ
20…定着装置
21…ピックアップローラ
21b…ピックアップ電磁クラッチ
22…分離ローラ
23…搬送装置
24…搬送ローラ
24c…搬送電磁クラッチ
27…レジストローラ
30…駆動部
31…モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成が成される記録媒体を、所定位置から取り出す取り出し部と、
前記取り出し部から取り出された前記記録媒体を画像形成位置方向に搬送する搬送部と、
前記画像形成位置より上流に設けられ、前記搬送部により搬送される前記記録媒体を突き当てて、前記記録媒体を整位する整位機構とを具備する記録媒体搬送機構において、
前記取り出し部により前記記録媒体を連続して取り出す時に、先行する前記記録媒体を前記整位機構に突き当てるタイミング及び、前記取り出し部が後続の前記記録媒体を取り出すタイミングを、同じにすることを特徴とする記録媒体搬送機構。
【請求項2】
前記取り出し部から前記整位機構に達するまでの前記搬送部における前記記録媒体の搬送距離を、先行する前記記録媒体先端から後続の前記記録媒体先端までの距離の整数倍とすることを特徴とする請求項1記載の記録媒体搬送機構。
【請求項3】
前記取り出し部に取り出される前記記録媒体が複数サイズあるときに、少なくとも使用頻度が最多の前記記録媒体を、前記取り出し部により前記記録媒体を連続して取り出す時に、先行する前記記録媒体を前記整位機構に突き当てるタイミング及び、前記取り出し部が後続の前記記録媒体を取り出すタイミングを、同じにすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録媒体搬送機構。
【請求項4】
画像形成が成される記録媒体を、所定位置から取り出す取り出し部と、
前記取り出し部から取り出された前記記録媒体を画像形成位置方向に搬送する搬送部と、
前記画像形成位置より上流に設けられ、前記搬送部により搬送される前記記録媒体を突き当てて、前記記録媒体を整位する整位機構とを具備する記録媒体搬送機構において、
前記取り出し部から前記整位機構に達するまでの前記搬送部における前記記録媒体の搬送距離を、前記取り出し部により前記記録媒体を連続して取り出す時の、先行する前記記録媒体先端から後続の前記記録媒体先端までの距離の整数倍とすることを特徴とする記録媒体搬送機構。
【請求項5】
前記取り出し部に取り出される前記記録媒体が複数サイズあるときに、前記取り出し部から前記整位機構に達するまでの前記搬送部における前記記録媒体の搬送距離を、使用頻度が最多の前記記録媒体を、前記取り出し部により連続して取り出す時の、先行する前記記録媒体先端から後続の前記記録媒体先端までの距離の整数倍とすることを特徴とする請求項4記載の記録媒体搬送機構。
【請求項6】
前記取り出し部は、前記記録媒体の取り出しタイミング時に駆動源にリンクされることを特徴とする請求項1又は請求項4記載の記録媒体搬送機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−197233(P2008−197233A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30439(P2007−30439)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】