説明

記録媒体案内装置及び画像形成装置

【課題】記録媒体を安定した姿勢で転写位置に搬送することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】案内部92の第1の案内面102aは、レジストロール86のレジストロールニップ位置Cにおける接線L6と交わる位置に配置されている。第1の案内面102aは、レジストロール86から搬送された記録媒体と接触し、この記録媒体を中間転写面B方向に案内する。第1の案内面102aは、レジストロールニップ位置Cと二次転写位置Aとの間の搬送距離である距離M1に対し、レジストロールニップ位置Cからの搬送距離が距離M1の3分の1以下の距離M2となるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体案内装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートの下面に当接してシートを案内する下部案内部材と、下部案内部材の上方に位置し、シートに当接してシートを中間転写体に沿う方向に湾曲させる上部案内部材とを有するシート案内部であって、この上部案内部材及び下部案内部材のうち少なくとも上部案内部材のシートとの当接部に樹脂をコーティングし、当接部においてシートに作用する摩擦力を小さくする画像形成装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、レジストローラから送出されるペーパーシートが、ガイド部材に沿って転写ベルト側に導かれ、そのガイド部材の上端縁を経由してから転写ニップ部へと導かれる画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−112190号公報
【特許文献2】特開2005−8391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、記録媒体を安定した姿勢で搬送することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る本発明は、第1の案内部材と、前記第1の案内部材に対向し、当該第1の案内部材との間に記録媒体が通過するように設けられた第2の案内部材と、を有し、前記第1の案内部材は、記録媒体の一面を案内するとともに、搬送された記録媒体の先端が当たる当たり面が当該第1の案内部材の記録媒体搬送方向上流側に設けられ、当該当たり面が当該当たり面に当たる際の記録媒体搬送方向と交わって記録媒体の先端が像保持体に突入する方向に向くように設定され、前記第2の案内部材は、記録媒体の先端が像保持体に突入した後に記録媒体の他面が当たるように設定されている記録媒体案内装置である。
【0007】
請求項2に係る本発明は、前記第2の案内部材は、当該第2の案内部材の記録媒体搬送方向先端部に記録媒体の他面が当たるように設定されている請求項1記載の記録媒体案内装置である。
【0008】
請求項3に係る本発明は、現像剤を保持して移動する像保持体と、前記像保持体に保持された現像剤を記録媒体に転写する転写手段と、予め定められた時機で記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段から搬送された記録媒体を前記像保持体に向けて案内する記録媒体案内装置と、を有し、前記記録媒体案内装置は、第1の案内部材と、前記第1の案内部材に対向し、当該第1の案内部材との間に記録媒体が通過するように設けられた第2の案内部材と、を有し、前記第1の案内部材は、記録媒体の一面を案内するとともに、搬送された記録媒体の先端が当たる当たり面が当該第1の案内部材の記録媒体搬送方向上流側に設けられ、当該当たり面が当該当たり面に当たる際の記録媒体搬送方向と交わって記録媒体の先端が像保持体に突入する方向に向くように設定され、前記第2の案内部材は、記録媒体の先端が像保持体に突入した後に記録媒体の他面が当たるように設定されている画像形成装置である。
【0009】
請求項4に係る本発明は、前記搬送手段が記録媒体を搬送させる速度は、前記像保持体が移動する速度よりも速い請求項3記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項5に係る本発明は、前記転写手段は、転写部材と裏当て部材とが前記像保持部材を挟むように互いに対向して構成され、前記搬送手段は、二つの回転部材が互いに対向するようにして構成され、前記第1の案内部材の当たり面の記録媒体搬送方向先端部は、前記転写手段の対向位置中心と前記搬送手段の対向位置中心との間の記録媒体搬送距離の記録媒体搬送方向上流側3分の1より前記搬送手段側に位置する請求項3又は4記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項6に係る本発明は、前記第2の案内部材は、少なくとも記録媒体の先端が前記転写手段の対向位置中心に到達した後に、当該記録媒体と接触するように設定されている請求項3乃至5いずれか記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項7に係る本発明は、前記第1の案内部材は、記録媒体の後端が前記搬送手段の対向位置中心を通過した後は、当該記録媒体と接触しないように設定されている請求項3乃至6いずれか記載の画像形成装置である。
【0013】
請求項8に係る本発明は、前記像保持体は、中間転写体である請求項3乃至7いずれか記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、記録媒体を安定した姿勢で案内することができる。
【0015】
請求項2に係る本発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、より記録媒体を安定した姿勢で搬送することができる。
【0016】
請求項3に係る本発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、記録媒体を安定した姿勢で案内することができる。
【0017】
請求項4に係る本発明によれば、請求項3に係る発明の効果に加えて、記録媒体への転写ずれを防止することができる。
【0018】
請求項5に係る本発明によれば、請求項3又は4に係る発明の効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して、より記録媒体を安定した姿勢で案内することができる。
【0019】
請求項6に係る本発明によれば、請求項3乃至5いずれかに係る発明の効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して、記録媒体の転写体側への湾曲を十分に大きくすることができる。
【0020】
請求項7に係る本発明によれば、請求項3乃至6いずれかに係る発明の効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して、より記録媒体を安定した姿勢で案内することができる。
【0021】
請求項8に係る本発明によれば、請求項3乃至7いずれかに係る発明の効果に加えて、記録媒体を安定した姿勢で中間転写体に案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態が適用される画像形成装置を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態が適用される案内部及びその周辺構造の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態が適用される案内部及びその周辺構造の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態が適用される案内部の構成を説明する説明図である。
【図5】本発明の一実施形態が適用される案内部の作用を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての画像形成装置10の断面図を示す。
【0024】
画像形成装置10は、筺体12を有する。筺体12の上側の面は、画像の形成された記録媒体が排出される排出部14として用いられる。
筺体12内には、記録媒体に転写する画像を形成する画像形成部20と、この画像形成部20に記録媒体を供給する記録媒体供給装置22とが配設されている。
【0025】
画像形成部20は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色に対応する画像形成装置30Y、30M、30C、30Kと、光書き込み装置32と、転写装置34とにより構成される。
画像形成装置30Y、30M、30C、30K及びこれらの構成要素は、形成する画像の色以外は同様に構成されている。以下、各色に対応する構成については、Y、M、C、Kを省略して「画像形成装置30」等のように総称して記載する場合がある。
【0026】
画像形成装置30は、筺体12の後側(図1における左側)から順に、画像形成装置30Y、30M、30C、30Kの順に並べられている。
【0027】
画像形成装置30は、例えばカラー画像を形成する電子写真方式のものである。
画像形成装置30はそれぞれ、現像剤像を担持する像担持体としてのドラム形状の感光体42と、この感光体42を一様に帯電する帯電ロールを備えた帯電手段としての帯電装置44と、感光体42に書き込まれた潜像を現像剤(トナー)で現像する現像器46と、感光体42に残留する廃現像剤を、例えば掻き取ってクリーニングするクリーニング装置48と、を有する。
【0028】
現像器46は、それぞれが収納するY、M、C、Kの現像剤を用いて、対応する感光体42Y、42M、42C、42Kに形成された潜像を現像する。
【0029】
光書き込み装置32は潜像形成装置として用いられ、感光体42それぞれに対して光を照射して、これら感光体42それぞれの表面に潜像を形成する。
【0030】
転写装置34は、転写体として用いられる中間転写体52と、一次転写装置として用いられる一次転写ロール54Y、54M、54C、54Kと、二次転写装置として用いられる二次転写ロール56と、クリーニング装置58と、を有する。
【0031】
中間転写体52は、例えば無端状のベルト形状であり、5つの支持ロール60a、60b、60c、60d、60eによって、図1に矢印で示す方向に回転することができるように支持されている。支持ロール60a、60b、60c、60d、60eのうち少なくとも一つはモータ(不図示)に連結されており、このモータからの駆動伝達を受けて回転することで、中間転写体52を回転駆動させる。
【0032】
支持ロール60aは、二次転写ロール56と対向するように配置され、この二次転写ロール56による二次転写のバックアップロールとして機能する。二次転写ロール56と支持ロール60aとで挟まれる部分(ニップ部分)が二次転写位置Aとなる。
支持ロール60aと支持ロール60bによって、中間転写体52は後述する主搬送路82に沿うよう配置された面(以下、中間転写面Bと称する場合がある)が形成される。
支持ロール60bは、第2の案内部材104と高さ方向に重なって設けられており、十分な中間転写面Bを確保しつつ高さ方向にコンパクトに配置されている。
【0033】
一次転写ロール54は、それぞれに対応する現像器46により感光体42の表面に形成された現像剤像を、中間転写体52に転写する。
【0034】
二次転写ロール56は、中間転写体52に転写されたY、M、C、Kの現像剤像を、記録媒体に対して転写する。
【0035】
クリーニング装置58は、二次転写ロール56で記録媒体に対して各色の現像剤像が転写された後に、中間転写体52の表面に残留する各色の現像剤を掻き落とす掻き落とし部材62を有する。掻き落とし部材62によって掻き落とされた現像剤は、クリーニング装置58の本体内に回収される。
【0036】
記録媒体供給装置22は、記録媒体を積層した状態で収納する記録媒体収納容器72と、この記録媒体収納容器72に収納された最上位の記録媒体を抽出し、抽出した記録媒体を画像形成部20に向けて搬送する搬送ロール74と、記録媒体を捌き、画像形成部20に複数枚の記録媒体が重なった状態で搬送されることを防止するリタードロール76と、を有する。
【0037】
筺体12内には、記録媒体供給装置22から供給された記録媒体を排出部14まで搬送する搬送路80が設けられている。搬送路80は、主搬送路82と、反転搬送路84とからなる。
主搬送路82は、記録媒体供給装置22から供給された記録媒体を画像形成部20に搬送し、画像が形成された記録媒体を排出部14に排出する。主搬送路82に沿って、記録媒体搬送方向上流側から順に、搬送ロール74、リタードロール76と、レジストロール86と、転写装置34と、定着装置88と、排出ロール90と、が配置されている。
【0038】
レジストロール86は、記録媒体供給装置22側から搬送されてきた記録媒体の先端部を一時的に停止させ、画像形成されるタイミングと合致するように記録媒体を転写装置34に向けて送り出す。
レジストロール86のロール対で挟まれる部分(ニップ部分)がレジストロールニップ位置Cとなる。
レジストロール86は、中間転写体52よりも速い線速度で回転するように設定される。
【0039】
本実施形態においては、記録媒体供給装置22(搬送ロール74及びリタードロール76)から搬送される記録媒体が、他のロールを介することなくレジストロール86に直接搬送される構成となっている。このため、搬送ロール74で繰り出された記録媒体の先端がレジストロール86のレジストロールニップ位置Cに円滑に搬入されるよう、このレジストロール86のロール対の回転中心を結ぶ線分と中間転写面Bとが成す角度は、レジストロール86と搬送ロール74の間に中間搬送ロールを備えた構成よりも大きくされている。
従ってレジストロール86と搬送ロール74の間に中間搬送ロールを備えた構成よりも記録媒体の先端が中間転写面Bに向かい難くなる。
【0040】
定着装置88は、加熱ロール88a及び加圧ロール88bを有し、これら加熱ロール88aと加圧ロール88bとの間を通過する記録媒体を加熱し加圧することで、記録媒体に現像剤像を定着する。
排出ロール90は、定着装置88により現像剤が定着された記録媒体を、排出部14に排出する。
【0041】
主搬送路82のレジストロール86と二次転写ロール56との間には、記録媒体を中間転写面Bに沿うようにして二次転写位置Aに案内する案内部92が配置されている。
【0042】
反転搬送路84は、一方の面に現像剤像が形成された記録媒体を反転させつつ再び画像形成部20に向けて供給する搬送路である。反転搬送路84に沿って、例えば二つの反転搬送ロール98a、98bが配置されている。
記録媒体が主搬送路82から排出ロール90に搬送され、この記録媒体の後端部が排出ロール90に挟みこまれた状態で、この排出ロール90が逆回転することで、記録媒体が反転搬送路84に供給される。反転搬送路84に供給された記録媒体は、反転搬送ロール98a、98bによって、レジストロール86の上流の位置へと搬送される。
【0043】
次に、二次転写位置Aの周辺構造の詳細について説明する。
図2及び図3は、案内部92及びその周辺構造を示す概略図である。図4は、案内部92の構成を説明する説明図である。
【0044】
案内部92は、第1の案内部材102及び第2の案内部材104を有する。
第1の案内部材102は、レジストロール86から搬送された記録媒体の中間転写体52(中間転写面B)への突入方向を制御する第1の案内面102aと、この第1の案内面102aよりも下流側で記録媒体の姿勢を規制する第2の案内面102bと、この第2の案内面102bよりも下流側で記録媒体の姿勢を規制する第3の案内面102cと、により構成される。
第2の案内部材104は、第1の案内部材102と対向し、中間転写面B側から記録媒体の姿勢を規制する。第2の案内部材104は、第4の案内面104aを有し、この第4の案内面104aで記録媒体と接する。
【0045】
第1の案内部材102の第1の案内面102aと第2の案内面102bとの接続部分を位置Pとする。第2の案内面102bと第3の案内面102cとの接続部分を位置Qとする。
第2の案内部材104のレジストロール86に遠い側(図2において上側)の端部を位置Rとする。
【0046】
第1の案内面102aは、レジストロール86のレジストロールニップ位置Cにおける接線L6と交わる位置に配置されている。このため、第1の案内面102aは、レジストロール86から搬送された記録媒体と接触し、この記録媒体を中間転写面B方向に案内する。第1の案内面102aは、レジストロール86から搬送された記録媒体の先端が当たる当たり面を構成する。
また、第1の案内面102aは、記録媒体が第4の案内面104aと接触するようになるまで、この記録媒体の中間転写面Bへ突入する角度を制御する。
【0047】
レジストロールニップ位置Cと二次転写位置Aとの間(搬送領域R1)の搬送距離を距離M1とすると、第1の案内面102aは、レジストロールニップ位置Cからの搬送距離が距離M1の3分の1以下の距離M2となるように配置されている。ここで、搬送距離とは、記録媒体の先端が通過する経路の長さを示す。
すなわち、レジストロール86から搬送された記録媒体は、このレジストロール86からの搬送距離が距離M1の3分の1以下の範囲(突入角度制御領域R2)で、第1の案内面102aと接触するようになっている。
距離M1は例えば、50mm程度となるように設定される。
【0048】
図4(a)に示すように、突入角度制御領域R2が距離M1の3分の1以下の場合、レジストロール86から搬送される記録媒体は、案内部92によって案内される際、接線L6に対して中間転写体52の反対側(図4(a)中、右側)に湾曲することなく(S字状に湾曲することなく)搬送される。
【0049】
これに対し、図4(b)に示すように、突入角度制御領域R2が距離M1の3分の1より大きい場合(第1の案内面102aがレジストロールニップ位置Cからの距離M2となるように配置されていない場合)、レジストロール86から搬送される記録媒体は、案内部92によって案内される際、接線L6に対して中間転写体52の反対側(図4(a)中、右側)に湾曲して(S字状に湾曲して)搬送される場合がある。この場合、レジストロール86は、中間転写体52よりも速い線速度で回転しているため、記録媒体は、その先端が二次転写位置Aに到達した後、この記録媒体の搬送に伴って中間転写体52の反対側(図4(a)中、右側)への湾曲が徐々に大きくなる。
例えば、高温多湿(28℃85%Rh)環境下において、用紙坪量50g/m以下の薄紙を搬送した場合、記録媒体が中間転写体52の反対側(図4(a)中、右側)に湾曲して搬送され、湾曲が大きくなることで第2の案内面102bに押し付けられる。このため、第2の案内面102bとの摩擦により搬送負荷が発生し、縦倍率不良などの原因となることがある。
【0050】
第1の案内面102aは、この第1の案内面102aに沿って中間転写面B方向に延長した延長線L1が中間転写面Bと交わり、これら延長線L1と中間転写面Bとが角D1を形成するように配置されている。角D1の角度は、例えば40〜60度の範囲にある。
【0051】
第2の案内面102bは、この第2の案内面102bに沿って中間転写面B方向に延長した延長線L2が中間転写面Bと交わり、これら延長線L2と中間転写面Bとが角D2を形成するように配置されている。角D2の角度は、角D1の角度未満となるように構成されている。このため、記録媒体の先端が第2の案内面102bに接触しないで中間転写面Bに突入する。
【0052】
第3の案内面102cは、この第3の案内面102cに沿って中間転写面B方向に延長した延長線L3が中間転写面Bと交わり、これら延長線L3と中間転写面Bとが角D3を形成するように配置されている。角D3の角度は、角D2の角度未満となるように構成されている。
【0053】
第4の案内面104aは、この第4の案内面104aに沿って中間転写面B方向に延長した延長線L4が中間転写面Bと交わり、これら延長線L4と中間転写面Bとが角D4を形成するように配置されている。角D4の角度は、位置Rと二次転写位置Aとを結ぶ直線L5と中間転写面Bとがなす角D5の角度以上となるように構成されている。
【0054】
レジストロール86は、接線L6が中間転写面Bと交わり、これら接線L6と中間転写面Bとが角D6を形成するように配置されている。角D6の角度は、角D2の角度以下となるように構成されており、例えば20〜30度の範囲にある。
【0055】
レジストロール86は、本実施形態においては、距離M1が距離M3の3倍以内となるように配置されている。ここで、距離M3は、記録媒体を中間転写体52に沿わせることなく二次転写位置Aに突入させた場合に、二次転写ロール56からの電界の影響を受けてこの記録媒体に現像剤を飛散させる中間転写体52の範囲(現像剤飛散領域R3)に対する中間転写位置Aからの距離を示す。距離M3は例えば、20mm程度である。
このように、距離M1が距離M3の3倍以下である場合、距離M1が距離M3の3倍より大きい場合と比較して、二次転写ロール56とレジストロール86の距離が短縮される。
【0056】
距離M1〜距離M3の関係から、突入角度制御領域R2と現像剤飛散領域R3との間(湾曲形状形成領域R4)の搬送距離である距離M4は、距離M2以上となる。
【0057】
すなわち、距離M1〜距離M4は、以下の関係にある。
(M1)≦(M3)×3
(M2)≦(M1)×(1/3)
(M2)≦(M4)
【0058】
なお、角D1〜D6の角度等は、中間転写体52やレジストロール86等の配置に合わせて適宜変更することができる。また、延長線L1〜L4、直線L5、及び接線L6は、中間転写面Bと交わる代わりに、中間転写面Bに沿った延長線と交わるようにしてもよい。
【0059】
次に、記録媒体に対する案内部92の搬送作用について説明する。
図5は、二次転写位置Aに搬送される記録媒体に対する案内部92の作用を説明する説明図である。
【0060】
図5(a)に示すように、レジストロール86から搬送された記録媒体は、案内部92の第1の案内面102aに接触する。記録媒体は、その後端がレジストロールニップ位置Cを通過するまで、第1の案内面102a(あるいは第2の案内面102b)に接触し続ける。
【0061】
図5(b)に示すように、記録媒体は、第1の案内面102aに接触することで中間転写面B方向に案内される。第1の案内面102aは、現像剤飛散距離M3の範囲よりも二次転写位置Aから遠い側(下方)で中間転写体52に接触させるように記録媒体を案内する。
【0062】
図5(c)に示すように、第1の案内面102aに案内された記録媒体は、現像剤飛散距離M3の範囲よりも二次転写位置Aから遠い位置で中間転写体52の中間転写面Bと接触する。
【0063】
図5(d)に示すように、中間転写面Bに接触した記録媒体は、その先端側からこの中間転写面Bに沿って二次転写位置A方向に搬送される。この際、記録媒体は、その先端が中間転写面Bと接触し、その中間部分が第1の案内面102aと接触することで、中間転写面B側に湾曲(ループ)し始める。
そして、記録媒体は位置Qによって、中間転写面B側から二次転写位置Aに突入するように規制される。すなわち、位置Qは記録媒体を例えば中間転写面Bと所定の範囲(長さ)以上接しながら二次転写位置Aに突入させるように、この記録媒体の姿勢を規制する。
【0064】
図5(e)に示すように、レジストロール86は、中間転写体52よりも速い線速度で回転しているため、記録媒体は、その先端が二次転写位置Aに到達した後、この記録媒体の搬送に伴って中間転写面B側への湾曲が徐々に大きくなる。
記録媒体は、その先端が二次転写位置Aに到達するまで第2の案内部材104と接触しないようになっている。すなわち、第2の案内部材104は、記録媒体の先端が二次転写位置Aに到達し、その後この記録媒体の中間転写面B側への湾曲が所定の範囲まで大きくなった場合に、第4の案内面104aで記録媒体と接するように配置されている。
【0065】
図5(f)に示すように、記録媒体の中間転写面B側への湾曲が所定の範囲まで大きくなると、この記録媒体は、第2の案内部材104の位置Rと接触する。このように、記録媒体は第2の案内部材104によって、所定の範囲以上、中間転写面B側への湾曲が大きくならないように規制される。
記録媒体の後端がレジストロールニップ位置Cを通過した後は、記録媒体は第1の案内面102aから離れ、第4の案内面104aに沿って中間転写面Bに案内され、二次転写位置Aに突入する。
このように、記録媒体は、第2の案内部材104に接触した後は、この第2の案内部材104によって、中間転写面Bへ突入する角度が制御される。
【0066】
記録媒体は、案内部92によって案内される際、接線L6に対し中間転写体52の反対側(図5中、右側)に湾曲することなく搬送される。すなわち、案内部92は、記録媒体を中間転写体52側のみに湾曲させる構成となっている。
【符号の説明】
【0067】
10 画像形成装置
12 筺体
20 画像形成部
22 記録媒体供給装置
30 画像形成装置
34 転写装置
42 感光体
44 帯電装置
46 現像器
48 クリーニング装置
52 中間転写体
54 一次転写ロール
56 二次転写ロール
58 クリーニング装置
60a 支持ロール
60b 支持ロール
80 搬送路
86 レジストロール
88 定着装置
90 排出ロール
92 案内部
102 第1の案内部材
102a 第1の案内面
102b 第2の案内面
102c 第3の案内面
104 第2の案内部材
104a 第4の案内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の案内部材と、
前記第1の案内部材に対向し、当該第1の案内部材との間に記録媒体が通過するように設けられた第2の案内部材と、
を有し、
前記第1の案内部材は、記録媒体の一面を案内するとともに、搬送された記録媒体の先端が当たる当たり面が当該第1の案内部材の記録媒体搬送方向上流側に設けられ、当該当たり面が当該当たり面に当たる際の記録媒体搬送方向と交わって記録媒体の先端が像保持体に突入する方向に向くように設定され、
前記第2の案内部材は、記録媒体の先端が像保持体に突入した後に記録媒体の他面が当たるように設定されている
記録媒体案内装置。
【請求項2】
前記第2の案内部材は、当該第2の案内部材の記録媒体搬送方向先端部に記録媒体の他面が当たるように設定されている請求項1記載の記録媒体案内装置。
【請求項3】
現像剤を保持して移動する像保持体と、
前記像保持体に保持された現像剤を記録媒体に転写する転写手段と、
予め定められた時機で記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段から搬送された記録媒体を前記像保持体に向けて案内する記録媒体案内装置と、
を有し、
前記記録媒体案内装置は、
第1の案内部材と、
前記第1の案内部材に対向し、当該第1の案内部材との間に記録媒体が通過するように設けられた第2の案内部材と、
を有し、
前記第1の案内部材は、記録媒体の一面を案内するとともに、搬送された記録媒体の先端が当たる当たり面が当該第1の案内部材の記録媒体搬送方向上流側に設けられ、当該当たり面が当該当たり面に当たる際の記録媒体搬送方向と交わって記録媒体の先端が像保持体に突入する方向に向くように設定され、
前記第2の案内部材は、記録媒体の先端が像保持体に突入した後に記録媒体の他面が当たるように設定されている
画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送手段が記録媒体を搬送させる速度は、前記像保持体が移動する速度よりも速い
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写手段は、転写部材と裏当て部材とが前記像保持部材を挟むように互いに対向して構成され、
前記搬送手段は、二つの回転部材が互いに対向するようにして構成され、
前記第1の案内部材の当たり面の記録媒体搬送方向先端部は、前記転写手段の対向位置中心と前記搬送手段の対向位置中心との間の記録媒体搬送距離の記録媒体搬送方向上流側3分の1より前記搬送手段側に位置する
請求項3又は4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の案内部材は、少なくとも記録媒体の先端が前記転写手段の対向位置中心に到達した後に、当該記録媒体と接触するように設定されている
請求項3乃至5いずれか記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の案内部材は、記録媒体の後端が前記搬送手段の対向位置中心を通過した後は、当該記録媒体と接触しないように設定されている
請求項3乃至6いずれか記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記像保持体は、中間転写体である
請求項3乃至7いずれか記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−66897(P2012−66897A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211882(P2010−211882)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】