説明

記録媒体

【課題】 シリアル転送モードとパラレル転送モードの双方を有する記録媒体において、転送モードの状態を外部から容易に視認できるようにする。
【解決手段】 メモリースティック11の小型筐体の基端部に転送モードがシリアル転送モードかパラレル転送モードかを示すLED19を設けた。メモリースティックの転送モードは、ホスト機器からの制御信号によってメモリースティックコントローラ15のレジスタ内に設定される。メモリースティックコントローラ15では、メモリースティック11の転送モードがシリアルかパラレルかでLED19の点灯表示状態を切り替え、現時点での転送モードをユーザに表示する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型筐体内に半導体メモリ等のメモリ素子とメモリコントローラとを内蔵し、特にデータの書き込み時及び読み出し時の転送モードにシリアル転送モードとパラレル転送モードの双方を有する記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の記録媒体として、いわゆるメモリースティック等の製品が提供されている。そして、例えばメモリースティックの場合に、データの書き込み時及び読み出し時の転送モードとして、従来のシリアル転送モードに加えてパラレル転送モードを搭載したものが知られている(例えば特許文献1参照)。
このメモリースティックでは、パラレル転送モードを使用することにより、高速でデータの書き込み、読み出しが可能となり、また、従来のシリアル転送型の機器に適応できるよう、シリアル転送モードを使用することも可能となっている。
【0003】
図6はこのようなシリアル転送モードとパラレル転送モードの双方を有するメモリースティックを用いたシステムの概要を示すブロック図である。
図中のホスト機器5は、メモリースティック1を利用して各種データの保存を行う各種の電子機器であり、メモリースティック1との間のデータのやり取りを行うメモリースティックインターフェース6Aを有している。
また、メモリースティック1は、偏平スティック状の小型筐体内に、データ転送の制御を行うメモリースティックコントローラ2と、データを保持するフラッシュメモリ3とを設けたものである。
メモリースティックコントローラ2とフラッシュメモリ3には、それぞれフラッシュメモリインターフェース4A、4Bが設けられ、このフラッシュメモリインターフェース4A、4Bを介してデータの転送を行う。
【0004】
また、メモリースティックコントローラ2には、メモリースティックインターフェース6Bが設けられ、メモリースティック1とホスト機器5はメモリースティックインターフェース6A、6Bを介してデータの転送を行う。
そして、各メモリースティックインターフェース6A、6Bはシリアル転送モードおよびパラレル転送モードの2つのモードを有している。例えばシリアル転送モードはデータ線1本の転送であるのに対し、パラレル転送モードはデータ線が4本で、かつシリアル時の2倍の周波数で転送する。すなわち、この場合のパラレル転送モードは、理論上、シリアル時の8倍の転送速度をもつ。
【特許文献1】特開2003−241908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、メモリースティックインターフェースがどの転送モードで動作しているのかを外部から判断することはできない。このためユーザはインターフェースの動作モードを認識することができないという問題がある。
また別の問題として、パラレル転送に対応していないホスト機器が存在するため、パラレル転送の速度に魅力を感じて購入したユーザがパラレル転送に対応していないホスト機器に接続して動作が遅いと感じたときに、その原因がホスト機器にあることを認識できず、パラレル転送はそれほど速くないのだと思い、結果として高速なパラレル転送という付加価値に不満を抱いてしまう恐れもある。
【0006】
そこで本発明は、シリアル転送モードとパラレル転送モードの双方を有する記録媒体において、転送モードの状態を外部から容易に視認することが可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の記録媒体は、データを格納するメモリ素子と、前記メモリ素子に対するデータの書き込み、読み出し動作を制御するとともに、前記データの書き込み、読み出し時にシリアル転送モードとパラレル転送モードの一方を選択してデータの転送動作を行うメモリコントローラと、前記メモリコントローラにおける転送モードの選択状態を外部に表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の記録媒体によれば、メモリコントローラにおける転送モードの選択状態を外部に表示する表示手段を設けたことから、データの書き込み、読み出し時にシリアル転送モードで動作しているか、パラレル転送モードで動作しているかをユーザに容易に認識させることができる。したがって、ユーザに不要な混乱を与えることなく、快適な使用状態を提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態では、メモリースティックの小型筐体の基端部に転送モードがシリアル転送モードかパラレル転送モードかを示すLEDを設けた。メモリースティックの転送モードは、ホスト機器からの制御信号によってメモリースティックコントローラのレジスタ内に設定される。メモリースティックコントローラでは、メモリースティックの転送モードがシリアルかパラレルかでLEDの点灯表示状態を切り替え、現時点での転送モードをユーザに表示する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の実施例によるメモリースティックの概観を示す図であり、図1(A)は底面図、図1(B)はその底面側からの斜視図である。
図示のように、本実施例のメモリースティック11は、偏平スティック状の小型筐体10を有し、この筐体10の先端に端子部13を設け、さらに、この筐体10の基端部に転送モード表示手段となるLED19を設けたものである。すなわち、本実施例のメモリースティックでは、転送モードがシリアルかパラレルかでLED19の表示状態を切り替え、ユーザに表示する。
なお、LED19を配置する位置については、メモリースティックをホスト機器に差した状態で外側から目視し易い位置であればよく、特に限定しないものとする。
【0011】
図2は本実施例によるメモリースティックを用いたシステムの概要を示すブロック図である。
本実施例のメモリースティック11は、小型筐体10内に、メモリースティックコントローラ15及びフラッシュメモリ22を内蔵し、小型筐体10の外側部に上述した端子部13及びLED19を設けたものである。
まず、端子部13は以下のような端子を有している。なお、図では省略しているが、ホスト機器12側にも同様の端子が設けられているものとする。
INS端子は、メモリースティック11の挿入状態を検出するために用いられる。ホスト機器側のINS端子は、メモリースティック11が未接続の場合にはHIGHとなり、メモリースティック11が挿入された場合に端子VSSとつながり、LOWとなる。
VCC端子は、ホスト機器12からメモリースティック11に電源供給するための端子である。具体的には、電源電圧Vcc=2.7〜3.6Vの範囲でホスト機器12によって制御される。
また、BS、DATA1、SDIO/DATA0、DATA2、DATA3、SCLKは、ホスト機器12とメモリースティック11との間の通信に用いられる。
そして、シリアル転送モードで用いられる端子はBS(バスステート)、SCLK(クロック)、SDIO(データ)の3つである。
また、パラレル転送モードで用いられる端子はBS(バスステート)、SCLK(クロック)、DATA0,DATA1,DATA2,DATA3の6つである。
【0012】
次に、メモリースティックコントローラ15について説明する。図示のように、メモリースティックコントローラ15には、メモリースティックインターフェース14及びレジスタ16が設けられており、レジスタ16はメディア種の格納用レジスタ領域17及びインターフェースモード(シリアル転送モード及びパラレル転送モード等)の格納用レジスタ領域18が設けられている。
そして、メモリースティックインターフェース14の動作モードはメモリースティックコントローラ15内のインターフェースモード格納用のレジスタ領域18に格納されており、その値が「1」の場合にシリアル転送モード、値が「0」の場合にパラレル転送モードであることを表す。そして、このレジスタ領域18の値はメモリースティックインターフェース14を介してホスト機器12から書き込むことができる。
また、メモリースティックインターフェース14の動作モードのレジスタ領域18の出力端子を抵抗20を介して電源電圧Vccに接続されたLED19に接続し、レジスタ領域18の出力電圧をLED19の駆動電位Vaとし、転送モードの表示を行う。具体的には、シリアル転送モード時にはVa=Vccとなり、LED19は点灯しない。また、パラレル転送モード時にはVa=0Vとなり、抵抗20によって適切な量の電流が流れ、LED19が点灯する。したがって、このLED19の点灯によってパラレル転送モードであることをユーザが容易に知ることが可能となる。
【0013】
図3はメモリースティックをホスト機器に挿入してからパラレル転送が可能となるまでの流れを示すフローチャートである。
まず、ホスト機器12にメモリースティック11を挿入すると、ホスト機器12とメモリースティック11との間の10ピンの端子部13が接続される。ここで、INS端子はVSS端子とつながり、HIGI→LOWとなる(ステップS1)。
ホスト機器12はINS端子=LOWの状態で、メモリースティック11の挿入を検出する(ステップS2)。
ホスト機器12はVCC端子からメモリースティック11に電源を供給する。電源電圧Vccは、Vcc=2.7〜3.6Vの範囲でホスト機器12の仕様等によって決まる(ステップS3)。
【0014】
メモリースティック11は電源の供給を受けて起動処理に入り、この起動処理において、メモリースティックコントローラ15にリセットがかかり、レジスタ16が初期化される。このとき、インターフェースモードのレジスタ領域18は1(シリアル転送モード)に初期化される。そして、このレジスタ領域18の出力はHIGHで、Va=Vccとなる。この場合、LED19は点灯しない(ステップS4)。
ホスト機器12はシリアルインターフェース(BS、SDIO、SCLK)を用いて、メモリースティック11のメディア種を識別するためのコマンドを送信する。メモリースティックコントローラ15内にメディア種の識別情報が記憶されたレジスタ領域17があり、本コマンドは、このレジスタの内容を読み出すものである(ステップS5)。
そして、上記のコマンドを受信したメモリースティック11はメディア種識別用のレジスタ領域17の値をSDIO端子を用いてホスト機器12側に送信する(ステップS6)。
【0015】
ホスト機器12では上記の応答からメモリースティック11のメディア種を認識する。ここでパラレル転送に対応しているか否かの情報も得られるため、もしパラレル転送に対応するメモリースティックであれば、以下のようなパラレル転送モードへの切り替え処理を行う(ステップS7)。
すなわち、ホスト機器12はシリアルインターフェース(BS、SDIO、SCLK)を用いてパラレル転送に切り替えるためのコマンドを送信し、メモリースティックコントローラ15では、このコマンドをレジスタ領域18に書き込む(ステップS8)。
上記コマンドを受信したメモリースティック11はインターフェースモードを記憶するレジスタ領域18に0(パラレル転送モード)を書き込む。インターフェースモードのレジスタ領域18の出力はLOWで、Va=0<Vccとなり、LED19の順方向に電流が流れる。この電流量は抵抗20によって適切な量に調整されてLED19が点灯する(ステップS9)。
メモリースティック11はSDIO端子を用いてホスト機器12にコマンド終了の合図を送る(ステップS10)。
これにより、ホスト機器12はパラレル転送モードに移行し、以後、パラレルインターフェース(BS、DATA0、DATA1、DATA2、DATA3、SCLK)を用いてパラレル転送が可能になる(ステップS11)。
【0016】
以上のような構成とすることにより、メモリースティックインターフェースの動作モードの状態を筐体上に設けたLEDを用いて表示することができ、ユーザがインターフェースモードの状態を容易に認識できる効果がある。
【0017】
次に、本実施例の変形例について説明する。
図4は第1の変形例によるメモリースティックを用いたシステムの概要を示すブロック図である。なお、図2に示す構成を同一の要素については同一符号を付している。
上述した図1〜図3に示した例では、シリアル転送モード時にはレジスタの値を1(Va=Vcc)としてLEDを点灯せず、パラレル転送モード時にはレジスタの値を0(Va=0)としてLEDを点灯するようにしたが、図4に示す変形例は、LEDの接続回路のみ変更し、シリアル転送モード時にLEDを点灯させるようにし、パラレル転送モード時にはLEDを点灯しないようにしたものである。
すなわち、図4に示す例では、レジスタ領域18の出力端子をLED19を介して接地された抵抗20に接続し、レジスタ領域18の出力電圧をLED19の駆動電位Vbとし、転送モードの表示を行う。シリアル転送モード時にはレジスタの値を1(Vb=Vcc)としてLEDを点灯し、パラレル転送モード時にはレジスタの値を0(Vb=0)としてLEDを点灯しない。
【0018】
また、図2と同じ回路構成を用いた第2の変形例として、インターフェースモードのレジスタ領域18の値の0と1を逆にする仕様、すなわちシリアル転送モード時には0、パラレル転送モード時には1にすることで、シリアル転送モードのときにLEDを点灯させてもよい。
すなわち、この例では、シリアル転送モード時にはレジスタの値を0(Va=0)としてLEDを点灯し、パラレル転送モード時にはレジスタの値を1(Va=Vcc)としてLEDを点灯しない。
【0019】
図5は第3の変形例によるメモリースティックを用いたシステムの概要を示すブロック図である。なお、図2に示す構成を同一の要素については同一符号を付している。
この変形例は、LED19を多色LED(例えば赤と緑)に置き換えて、一方の入力にインバータ21を加えてHIGH/LOWを反転させることにより、必ずどちらか一方のLEDが点灯するような構成を用いて、例えばシリアル転送モードのときに赤LED、パラレル転送モードのときに緑LEDを点灯させるようにしたものである。
すなわち、シリアル転送モード時にはレジスタの値を1(Vd=HIGH、Ve=LOW)とし、LED緑を点灯せず、LED赤を点灯する。また、パラレル転送モード時にはレジスタの値を0(Vd=LOW、Ve=HIGH)とし、LED緑を点灯し、LED赤を点灯する。
【0020】
さらに、本発明は種々の変形が可能である。
例えば、上述した例では、転送モードの識別表示を継続的に行うようにしたが、電力消費の観点から、転送モードの設定後、所定の時間だけ表示を行い、その後は表示を停止するような構成とすることも可能である。
また、他の機能の識別表示と組み合わせることも可能である。特に、多色のLEDを用いる場合に、転送モード以外の機能表示を組合せることが有効となる。
また、本発明はメモリースティック以外の記録媒体に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例によるメモリースティックの概観を示す底面図及び底面側斜視図である。
【図2】図1に示すメモリースティックを用いたシステムの概要を示すブロック図である。
【図3】図1に示すメモリースティックをホスト機器に挿入してからパラレル転送が可能となるまでの流れを示すフローチャートである。
【図4】図1に示すメモリースティックの変形例を用いたシステムの概要を示すブロック図である。
【図5】図1に示すメモリースティックの他の変形例を用いたシステムの概要を示すブロック図である。
【図6】従来のメモリースティックを用いたシステムの概要を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0022】
10……小型筐体、11……メモリースティック、13……端子部、15……メモリースティックコントローラ、19……LED、22……フラッシュメモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを格納するメモリ素子と、
前記メモリ素子に対するデータの書き込み、読み出し動作を制御するとともに、前記データの書き込み、読み出し時にシリアル転送モードとパラレル転送モードの一方を選択してデータの転送動作を行うメモリコントローラと、
前記メモリコントローラにおける転送モードの選択状態を外部に表示する表示手段と、
を有することを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記メモリ素子、及びメモリコントローラを収納する筐体を有し、前記表示手段は筐体の外側部に配置されていることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
前記メモリコントローラはホスト機器からの指示に基づいて転送モードの選択を行うことを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項4】
前記表示手段がLEDであることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項5】
前記LEDが点灯状態に応じて転送モードの選択状態を表示することを特徴とする請求項4記載の記録媒体。
【請求項6】
前記LEDが点灯色に応じて転送モードの選択状態を表示することを特徴とする請求項4記載の記録媒体。
【請求項7】
前記メモリ素子が半導体メモリであることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−39920(P2006−39920A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218572(P2004−218572)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】