記録媒体
【課題】動画ストリームを処理する際の利便性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】MPEGトランスポートストリームのデータが記録されたリムーバブルHDDユニット300に格納されているプログラム中の所定のビデオフレームの位置情報を記録する際に、リムーバブルHDDユニット300におけるビデオフレームの記録位置に関する情報と、ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケット識別子と、ビデオフレームが属するGOPにおけるビデオフレームの先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報とを記録する。
【解決手段】MPEGトランスポートストリームのデータが記録されたリムーバブルHDDユニット300に格納されているプログラム中の所定のビデオフレームの位置情報を記録する際に、リムーバブルHDDユニット300におけるビデオフレームの記録位置に関する情報と、ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケット識別子と、ビデオフレームが属するGOPにおけるビデオフレームの先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報とを記録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録技術に関し、特にフレーム単位で表示を制御する記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビを録画再生する際にはMPEG−TSストリームを扱う事が一般的である。MPEG−TSには、プログラム番号に対応したプログラムマップテーブル(Program Map Table:PMT)のPIDなどが記述されたプログラム関連付けテーブル(Program
Association Table:PAT)や、対応するプログラムに含まれる映像、音声、付加データおよびPCRのPIDが記述されたPMTパケットが含まれており、これらを解析する事によりビデオ・オーディオパケットを分離して処理し、デコードすることが可能となる。一方、MPEGのPSストリームをフレーム単位で編集することが可能な装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開第WO99/40586号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、アナログ放送を装置内でエンコードし、MPEGのPSストリームとして、DVDやハードディスクに記録する場合は、エンコード時にストリーム構造を理解できるため、再生開始、再生終了、インデックス、編集において、PTS(Presentation Time Stamp)でフレーム単位の制御が可能である。一方、MPEG−TSベースのデジタル放送を記録する場合、PTSで管理しようとすると、受信したストリームを解析してPTSを抽出する処理が必要となり、記録装置の負荷がかかる。従って、ストリームか解析することなく、パケットの到着時間(Arrival Time Stamp)で管理するストリーミングと呼ばれる方式が一般的である。この場合、MPEG−TSの再生を開始又は終了する位置などを指定する際、フレーム単位で位置を指定することができなかったので、実際に再生する際にずれが生じていた。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、蓄積されたMPEG−TSストリームの編集または表示において、フレーム単位の指定を行う事を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、記録媒体に関する。この記録媒体は、MPEGトランスポートストリームのデータが記録された記憶媒体であって、これに格納されているプログラム中の特定のビデオフレームの位置を示すデータ構造が、前記ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケット識別子と、前記ビデオフレームが属するGOPの前記記録媒体における記録位置を示す情報と、前記ビデオフレームが属するGOPにおける前記ビデオフレームの表示順における先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、動画ストリームを処理する際の利便性を向上させる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1にデジタルテレビ録画再生アプリケーションに適用した例を示す。リムーバブルHDDを記録媒体とした受信機10は、リモコン受光部100、システムコントローラ102、表示パネル104、MPEG−TSデコーダ106、D/Aコンバータ108、表示装置110、リムーバブルHDDスロット112、タイマ114、バッファメモリ116、アンテナ118、チューナ120、伝送路復号部122、TS分離/選択部124、及びフレーム位置管理ユニット500を備える。リムーバブルHDDユニット300は、この受信機10で使用される記録媒体である。
【0008】
図1を参照して、デジタル放送の蓄積、再生の基本動作を説明する。アンテナ118は、デジタル変調された信号を受信する。チューナ120は、ユーザが選択したチャンネルをシステムコントローラ102の指示に従って選択し、アンテナ118で受信された信号から、選択したチャンネルの信号を抽出する。伝送路復号部122は、チューナ120で抽出された信号をMPEG2によって符号化された映像音声データの形式に復号し、TS分離/選択部124へ出力する。システムコントローラ102は、映像音声データをリムーバブルHDDユニット300に蓄積せずに表示装置110に表示するとき、TS分離/選択部124に、映像音声データをMPEG−TSデコーダ106へ出力させる。MPEG−TSデコーダ106によりデコードされた映像音声データは、D/Aコンバータ108によりアナログ信号に変換され、表示装置110に出力される。また、システムコントローラ102は、映像音声データをリムーバブルHDDユニット300に蓄積するとき、TS分離/選択部124に、タイマ114によってパケットの間隔の情報を保持しつつ、リムーバブルHDDスロット112を介して、リムーバブルHDDユニット300に映像音声データを出力させ、映像音声データをリムーバブルHDDユニット300に記録させる。このとき、システムコントローラ102は、MPEGトランスポートストリームのデータを取得してリムーバブルHDDユニット300に記録する記録部として機能する。
【0009】
図2に映像音声データの蓄積フォーマットを示した。188バイトのMPEG−TSパケットに4バイトのRPヘッダを付加したものをRP(Recording Packet)とする。このR
Pヘッダの4バイトは、複数のプログラム(番組)が多重記録されているTSから1つの
番組のみを取り出してパーシャルTS化する際に、パケットの間隔の情報を保持するために27MHzでカウントされたタイムスタンプ情報であり、タイマ114によって生成される。ALU(ALlocation Unit)は、8192個のRPを含み、記録媒体の連続領域の割当単位に相当する。このように、所定量のパケットをリムーバブルHDDユニット300の連続領域に記録することにより、シーク時のオーバーヘッドなどを低減し、リアルタイムな記録又は再生を実現することができる。ALUのサイズは、記録媒体の特性(シークタイム、回転待ち時間、転送レート)に応じて、リアルタイムな記録又は再生を保障できるように決定されればよい。
【0010】
リムーバブルHDDユニット300に記録された放送番組を再生する場合は、まず、システムコントローラ102は、再生するタイトルに対応する映像音声データをリムーバブルHDDユニット300から読み出し、RPヘッダに保持されているタイミングに応じてTSパケットをMPEG−TSデコーダ106へ送出させる。これにより、放送信号を受信したときと同じように、MPEG−TSデコーダ106、D/Aコンバータ108を介して、映像音声データが表示装置110に出力される。このとき、システムコントローラ102は、リムーバブルHDDユニット300からプログラムのデータを読み出して再生する再生部として機能する。
【0011】
MPEG−TSデコーダ106内で行われる処理について、簡単に説明する。リムーバブルHDDユニット300に蓄積されたパーシャルTSを再生する際には、TSストリーム中のPATおよびPMTパケットを解析する事により、所望のビデオおよびオーディオストリームのパケットを選択する事が可能となり映像を再生できる。より具体的には、ま
ず、PAT(PID=0)の中から、所望のプログラムに対応したPMTのPIDを得る事が出来る。このPMT(PID=a)の中に書き込まれたPIDにより、所望のプログラムのビデオパケット(PID=b)およびオーディオパケット(PID=c)を特定する事が可能となる。よってビデオパケットとオーディオパケットをMPEG−TSストリーム内から分離する事が可能となるため、分離されたストリームをそれぞれデコードする事により得られた映像および音声をD/Aコンバータ108を介して表示装置110に出力する。
【0012】
ここではMPEG−TSストリームの例として図3のストリームを想定する。先頭から順番に、ビデオパケット(0)、ビデオパケット(1)、PAT(2)、ビデオパケット(3)、オーディオパケット(4)、PMT(5)、ビデオパケット(6)、ビデオパケット(7)、オーディオパケット(8)の順で到着する。映像及び音声をデコードするためには、最初にPATの情報が必要となるため、PID=0のパケットを待つ事になる。よって先頭のビデオパケット(0)、ビデオパケット(1)については処理される事なく破棄される。次に、到着したPAT(2)内に書き込まれたPMTのPID(PID=a)を得る。これにより、必要となるPMTのPIDがPID=aである事が判明する。次に来るビデオパケット(3)、オーディオパケット(4)のPIDはaではないため、処理される事なく破棄される。次にPIDがaであるPMT(5)が到着する。これを解析する事により、ビデオパケットのPID(PID=b)およびオーディオパケットのPID(PID=c)を得る。この段階で、所望のプログラムのデータが格納されたビデオパケットとオーディオパケットのPIDがわかるので、次に到着したビデオパケット(6)、ビデオパケット(7)、オーディオパケット(8)をデコードする事により映像及び音声を再生する事が可能となる。
【0013】
図4にリムーバブルHDDユニット300に記録されるディレクトリ/ファイル構成を示した。ルートディレクトリの下に番組ファイル管理ディレクトリ400が存在し、実施例のシステムでは、このディレクトリの下で作業を行う。実際に記録された番組ファイルは、映像音声データファイル480として記録される。このファイルのフォーマットに関しては、既に図2で示した。上位の管理ファイルとして、PGRGマネージャ420、PGRGIテーブル430、OPGRマネージャ440、OPGRIテーブル450、UPGRマネージャ460、UPGRIテーブル470が存在する。
【0014】
図5、図6にPGRGマネージャ、PGRGIの構造を示した。PGRGIは、記録された編集タイトルに相当する。記録された番組が仮想的に編集されると、PGRGIが作成される。PGRGIテーブル430は、PGRGIのリストで構成されている。図6に示すように、PGRGIには、PGRGの作成日、名前、サムネイル、リジューム情報、含まれるUPGRの数、それぞれのUPGRのIDが記録される。それに対してPGRGマネージャ420は、PGRGIの管理ファイルであり、任意のPGRGIが指定可能な構造(具体的には、PGRGIテーブルの先頭からのバイト位置を示す)となっている。図5に示すように、PGRGマネージャには、PGRGIの総数と、それぞれのPGRGIのサーチポインタが記録される。従って、ユーザはPGRGマネージャを通して編集タイトルの選択が可能となる。
【0015】
図7、図8にOPGRマネージャ、OPGRIの構造を示した。OPGRIは、記録された番組情報に相当する。番組が映像音声データファイル480として記録されると、同時にOPGRIが作成される。OPGRIテーブル450は、OPGRIのリストで構成されている。図8に示すように、OPGRIには、OPGRの作成日、名前、映像音声データファイル番号、サムネイル、リジューム情報、記録時間情報、インデックス情報が記録される。それに対してOPGRマネージャ440は、OPGRIの管理ファイルであり、任意のOPGRIが指定可能な構造(具体的には、OPGRIテーブル450の先頭か
らのバイト位置を示す)となっている。図7に示すように、OPGRマネージャ440には、OPGRIの総数と、それぞれのOPGRIのサーチポインタが記録される。従って、ユーザは、OPGRマネージャ440を通して記録番組の選択が可能となる。
【0016】
図9、図10にUPGRマネージャ、UPGRIの構造を示した。UPGRIは、記録された番組ファイルの一部を指定する際に作成されるもので、バーチャル編集する際に作成される。このUPGRIのリストがPGRGである。ストリームそのものを編集するのではなく、あくまでストリームを外部から参照する形式であたかもストリームが編集されたかの様に表示する。UPGRIテーブル470は、UPGRIのリストで構成されている。図10に示すように、UPGRIには、映像音声データファイル番号、参照スタート位置情報、参照エンド位置情報、記録時間情報、インデックス情報が記録される。それに対してUPGRマネージャ460は、UPGRIの管理ファイルであり、任意のUPGRIが指定可能な構造(具体的には、UPGRIテーブル470の先頭からのバイト位置を示す)となっている。図9に示すように、UPGRマネージャ460には、UPGRIの総数と、それぞれのUPGRIのサーチポインタが記録される。
【0017】
図11にUPGRIによる映像音声データファイルの参照例を示した。映像データファイル番号として#5のファイルが選択されている。参照スタート位置情報として、ALU番号が#3でRP番号が#3の位置が示されている。参照エンド位置情報として、ALU番号が#5でRP番号が#8191の位置が示されている。前述したように、実際に参照開始位置から再生を開始しようとした場合、PAT及びPMTが解析されるまでのビデオパケット、オーディオパケットは破棄されてしまう。したがって、図12に示すように、RP#3の先頭のビデオパケット(0)の位置を参照スタート位置490として指定したとしても、実際にデコードが開始されるのは、PMTパケット(5)よりも後の位置492からとなる。
【0018】
更に、図13に示すように、MPEGのビデオレイヤにおいては、GOPの先頭からしかデコードを開始できないという制約がある。従って、MPEG−TSが記録されたファイルの指定された位置からの再生を指示する場合、GOPの精度(一般的に0.5秒:15フレーム)でしか指定することができない。また、GOPの先頭のビデオパケットを開始位置と指示したとしても、PAT及びPMTが解析されるまでのビデオパケット、オーディオパケットは破棄されるので、結局はそのGOPを再生することはできず、次のGOPから再生される可能性が高い。
【0019】
図14は、本実施の形態のUPGRIのデータ構造と映像音声データファイルの参照例を示す。図14に示すように、UPGRIに、参照しているプログラムの映像データ、音声データ、PCRデータが格納されたトランスポートパケットのPIDを記録するフィールドを追加する拡張を行った。このフィールドを追加することにより、ユーザが参照開始位置を指定する際に、PAT、PMT情報を意識することなく、GOPの先頭のビデオパケットを指定することが可能となる。
【0020】
図15に、あらかじめ、ビデオ、オーディオ、PCRのPIDが記録されている場合のMPEG−TSストリームの解析例を示した。この場合、MPEG−TSデコーダ106は、PAT及びPMTを解析することなく、所望のビデオパケット、オーディオパケット、PCRパケットを抽出することができるので、参照スタート情報とパケットの再生開始位置が一致する。したがって、再生開始位置が、指定された位置の次のGOPの先頭の位置にずれる事態を防ぎ、位置の指定の精度を向上させることができる。MPEG−TSデコーダ106は、デコードすべきトランスポートパケットのパケット識別子が通知されたときには、トランスポートストリームの最初のPAT及びPMTの解析が終了するまでの間は、通知されたパケット識別子を有するトランスポートパケットを抽出してデコードし
、通知されないときには、MPEGトランスポートストリームに含まれるPAT及びPMTを解析することにより取得したパケット識別子を有するトランスポートパケットを抽出してデコードすればよい。
【0021】
次に、図15に示すように、MPEG−TSが記録されたファイルの指定された位置からの再生を指示する場合、GOPの精度しかないという課題に対して、フレーム単位まで指定可能な拡張に関して説明する。図16は、MPEGビデオレイヤにおけるGOP内の構造を表示順で示した。図16の例では、GOPの先頭の位置490を指定するとともに、表示順におけるフレームの位置494を指定している。実際にユーザがこのGOP内の任意のフレーム(この例では5番目)を指定した場合、先頭からのフレーム番号(この場合は5)、あるいは、先頭フレームの表示開始からのオフセットタイムスタンプを記録することにより、フレーム単位の指示が可能である。
【0022】
図17は、本実施の形態のUPGRIのデータ構造と映像音声データファイルの参照例を示す。図17に示すように、図14に加えて、UPGRIに、参照スタート位置のGOPの先頭からのオフセットフレーム番号を記録するフィールドと参照エンド位置のGOPの先頭からのオフセットフレーム番号を記録するフィールドを追加した。これらのフィールドは、フレーム番号の代わりにオフセットタイムスタンプ情報で代用することも可能である。このように、MPEGトランスポートストリームのデータが記録されたリムーバブルHDDユニット300に格納されているプログラム中の特定のビデオフレームの位置を示すためのデータ構造として、ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケット識別子と、ビデオフレームが属するGOPのリムーバブルHDDユニット300における記録位置を示す情報と、ビデオフレームが属するGOPにおける前記ビデオフレームの先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報と、を記録しておくことにより、ユーザが映像音声データファイル上の任意のフレームからフレームまでを指定することが可能となる。
【0023】
図18は、フレーム位置管理ユニット500の構成を示す。フレーム位置管理ユニット500は、受付部502、位置情報記録部504、位置情報取得部506、及び特定部508を備える。これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。フレーム位置管理ユニット500は、システムコントローラ102の一機能として実現されてもよい。
【0024】
受付部502は、MPEGトランスポートストリームのデータが記録されたリムーバブルHDDユニット300に格納されているプログラム中の所定のビデオフレームの位置情報を記録する要求を受け付ける。受付部502は、再生が停止されたときのビデオフレームの位置情報を記録する要求を受け付けてもよい。また、受付部502は、ユーザから、再生開始位置、再生終了位置、しおり位置、又はサムネール画像となるビデオフレームの位置情報を記録する要求を受け付けてもよい。上述した例では、受付部502は、PGRGIにおけるサムネール、リジューム情報、OPGRIにおけるサムネール、リジューム情報、インデックス情報、UPGRIにおける参照スタート位置情報、参照エンド位置情報、インデックス情報を記録する要求を受け付ける。
【0025】
位置情報記録部504は、ビデオフレームの位置情報として、リムーバブルHDDユニット300におけるビデオフレームの記録位置に関する情報と、ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケ
ット識別子と、ビデオフレームが属するGOPにおけるビデオフレームの先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報とを記録する。上述した例では、位置情報記録部504は、リムーバブルHDDユニット300におけるビデオフレームの記録位置に関する情報として、映像音声データファイル番号、ALU番号、RP番号を記録するとともに、映像、音声、PCRパケットが属するプログラムのデータが格納されたトランスポートパケットのPIDと、ビデオフレームの先頭フレームからのオフセットフレーム番号を記録する。
【0026】
位置情報取得部506は、MPEGトランスポートストリームのデータが記録されたリムーバブルHDDユニット300に格納されているプログラム中の所定のビデオフレームの位置情報として、リムーバブルHDDユニット300におけるビデオフレームの記録位置に関する情報と、ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケット識別子と、ビデオフレームが属するGOPにおけるビデオフレームの先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報とを取得する。
【0027】
特定部508は、位置情報取得部506が取得した位置情報を用いて、所定のビデオフレームを特定する。特定部508は、位置情報取得部506が取得した記録位置に関する情報を用いて、所定のビデオフレームが属するGOPを含むデータをリムーバブルHDDユニット300から読み出してMPEG−TSデコーダ106に供給する。MPEG−TSデコーダ106は、位置情報取得部506が取得したパケット識別子を用いて、特定部508から供給されたデータの中から、そのパケット識別子を有するトランスポートパケットを抽出してデコードする。特定部508は、位置情報取得部506が取得したオフセットフレーム番号又はオフセットタイムスタンプ情報を用いて、MPEG−TSデコーダ106がデコードしたビデオフレームの中から所定のビデオフレームを特定する。
【0028】
図19は、実施の形態に係る再生方法の手順を示すフローチャートである。図19では、UPGRIに格納された参照スタート位置から参照エンド位置までを再生する場合について説明する。位置情報取得部506が、リムーバブルHDDユニット300に記録されたUPGRIテーブル470から、ユーザが指定したUPGRIを取得すると、特定部508は、UPGRIに記録されている映像音声データファイル番号に対応する映像音声データファイル480をオープンする(S10)。リムーバブルHDDユニット300は、UPGRIに記録されている参照スタート位置情報に対応するALUのRPまでシークする(S12)。特定部508は、UPGRIに記録されている映像、オーディオ、PCRのPIDをMPEG−TSデコーダ106にセットし(S14)、参照スタート位置から読み出しを開始してMPEG−TSデコーダ106へ転送する(S16)。
【0029】
MPEG−TSデコーダ106は、セットされたPIDをもとにTSパケットを抽出して、GOPの先頭からデコードを開始する(S18)。特定部508は、UPGRIに記録されている開始オフセットフレーム番号の直前のフレームまでの表示をマスクし(S20)、開始オフセットフレーム番号のビデオフレームから表示のマスクを解除する(S22)。これにより、表示装置110は、表示を開始すべきと指定されたビデオフレームから表示を開始する。
【0030】
特定部508は、UPGRIに記録された参照エンド位置のRPになるまで(S24のN)、リムーバブルHDDユニット300からRPを読み出してMPEG−TSデコーダ106に転送し続ける。最後のGOPに到達すると(S24のY)、特定部508は、UPGRIに記録されている終了オフセットフレーム番号までを表示装置110に表示させ(S26)、以降のフレームの表示をマスクする(S28)。これにより、表示装置110は、表示を終了すべきと指定されたビデオフレームで表示を終了する。
【0031】
本実施例では、参照エンド位置情報に対しても「End Offset Frame Number」フィールドを追加し、参照エンド位置直前のGOPに対する最終表示フレーム番号を指定することを可能としたが、参照エンド位置直後のGOPに対するフレーム番号を指定しても良い。この場合、それを解釈して再生する側でも、参照エンド位置直後のフレームが指定されているものとして再生すればよく、要は、記録側と再生側で同じ認識があればよい。また、参照エンド位置に関しては、参照期間情報を持つことにより、指定することも可能である。この場合、参照フレーム数あるいは、参照タイムスタンプなどで表現してもよい。
【0032】
また、参照スタート位置情報にVideo PIDとStart Offset Frame Numberを追加する方式は、バーチャル編集のみならず、リジュームフレームの指定、サムネイルフレームの指定、インデックス位置の指定にも利用することができる。
【0033】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、この実施の形態は例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施の形態に係る録画再生装置の構成を示す図である。
【図2】映像音声データの蓄積フォーマットを示す図である。
【図3】MPEGトランスポートストリームの例を示す図である。
【図4】リムーバブルHDDに記録されるディレクトリ/ファイル構成を示す図である。
【図5】PGRGマネージャのデータ構造を示す図である。
【図6】PGRGIのデータ構造を示す図である。
【図7】OPGRマネージャのデータ構造を示す図である。
【図8】OPGRIのデータ構造を示す図である。
【図9】UPGRマネージャのデータ構造を示す図である。
【図10】従来のUPGRIのデータ構造を示す図である。
【図11】従来のUPGRIによる映像音声データファイルの参照例を示す図である。
【図12】トランスポートストリームにおける従来の参照開始位置と再生開始位置との関係を示す図である。
【図13】GOPにおける従来の参照開始位置と再生開始位置との関係を示す図である。
【図14】本実施の形態のUPGRIのデータ構造と映像音声データファイルの参照例を示す図である。
【図15】トランスポートストリームにおける本実施の形態における参照開始位置と再生開始位置との関係を示す図である。
【図16】MPEGビデオレイヤにおけるGOP内の構造を表示順で示す図である。
【図17】本実施の形態のUPGRIのデータ構造と映像音声データファイルの参照例を示す図である。
【図18】実施の形態に係るフレーム位置管理ユニットの構成を示す図である。
【図19】実施の形態に係る再生方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
100 リモコン受光部、102 システムコントローラ、104 表示パネル、106 MPEG−TSデコーダ、110 表示装置、112 リムーバブルHDDスロット、114 タイマ、116 バッファメモリ、120 チューナ、122 伝送路復号部
、124 TS分離/選択部、300 リムーバブルHDDユニット、500 フレーム位置管理ユニット、502 受付部、504 位置情報記録部、506 位置情報取得部、508 特定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録技術に関し、特にフレーム単位で表示を制御する記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビを録画再生する際にはMPEG−TSストリームを扱う事が一般的である。MPEG−TSには、プログラム番号に対応したプログラムマップテーブル(Program Map Table:PMT)のPIDなどが記述されたプログラム関連付けテーブル(Program
Association Table:PAT)や、対応するプログラムに含まれる映像、音声、付加データおよびPCRのPIDが記述されたPMTパケットが含まれており、これらを解析する事によりビデオ・オーディオパケットを分離して処理し、デコードすることが可能となる。一方、MPEGのPSストリームをフレーム単位で編集することが可能な装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開第WO99/40586号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、アナログ放送を装置内でエンコードし、MPEGのPSストリームとして、DVDやハードディスクに記録する場合は、エンコード時にストリーム構造を理解できるため、再生開始、再生終了、インデックス、編集において、PTS(Presentation Time Stamp)でフレーム単位の制御が可能である。一方、MPEG−TSベースのデジタル放送を記録する場合、PTSで管理しようとすると、受信したストリームを解析してPTSを抽出する処理が必要となり、記録装置の負荷がかかる。従って、ストリームか解析することなく、パケットの到着時間(Arrival Time Stamp)で管理するストリーミングと呼ばれる方式が一般的である。この場合、MPEG−TSの再生を開始又は終了する位置などを指定する際、フレーム単位で位置を指定することができなかったので、実際に再生する際にずれが生じていた。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、蓄積されたMPEG−TSストリームの編集または表示において、フレーム単位の指定を行う事を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、記録媒体に関する。この記録媒体は、MPEGトランスポートストリームのデータが記録された記憶媒体であって、これに格納されているプログラム中の特定のビデオフレームの位置を示すデータ構造が、前記ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケット識別子と、前記ビデオフレームが属するGOPの前記記録媒体における記録位置を示す情報と、前記ビデオフレームが属するGOPにおける前記ビデオフレームの表示順における先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、動画ストリームを処理する際の利便性を向上させる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1にデジタルテレビ録画再生アプリケーションに適用した例を示す。リムーバブルHDDを記録媒体とした受信機10は、リモコン受光部100、システムコントローラ102、表示パネル104、MPEG−TSデコーダ106、D/Aコンバータ108、表示装置110、リムーバブルHDDスロット112、タイマ114、バッファメモリ116、アンテナ118、チューナ120、伝送路復号部122、TS分離/選択部124、及びフレーム位置管理ユニット500を備える。リムーバブルHDDユニット300は、この受信機10で使用される記録媒体である。
【0008】
図1を参照して、デジタル放送の蓄積、再生の基本動作を説明する。アンテナ118は、デジタル変調された信号を受信する。チューナ120は、ユーザが選択したチャンネルをシステムコントローラ102の指示に従って選択し、アンテナ118で受信された信号から、選択したチャンネルの信号を抽出する。伝送路復号部122は、チューナ120で抽出された信号をMPEG2によって符号化された映像音声データの形式に復号し、TS分離/選択部124へ出力する。システムコントローラ102は、映像音声データをリムーバブルHDDユニット300に蓄積せずに表示装置110に表示するとき、TS分離/選択部124に、映像音声データをMPEG−TSデコーダ106へ出力させる。MPEG−TSデコーダ106によりデコードされた映像音声データは、D/Aコンバータ108によりアナログ信号に変換され、表示装置110に出力される。また、システムコントローラ102は、映像音声データをリムーバブルHDDユニット300に蓄積するとき、TS分離/選択部124に、タイマ114によってパケットの間隔の情報を保持しつつ、リムーバブルHDDスロット112を介して、リムーバブルHDDユニット300に映像音声データを出力させ、映像音声データをリムーバブルHDDユニット300に記録させる。このとき、システムコントローラ102は、MPEGトランスポートストリームのデータを取得してリムーバブルHDDユニット300に記録する記録部として機能する。
【0009】
図2に映像音声データの蓄積フォーマットを示した。188バイトのMPEG−TSパケットに4バイトのRPヘッダを付加したものをRP(Recording Packet)とする。このR
Pヘッダの4バイトは、複数のプログラム(番組)が多重記録されているTSから1つの
番組のみを取り出してパーシャルTS化する際に、パケットの間隔の情報を保持するために27MHzでカウントされたタイムスタンプ情報であり、タイマ114によって生成される。ALU(ALlocation Unit)は、8192個のRPを含み、記録媒体の連続領域の割当単位に相当する。このように、所定量のパケットをリムーバブルHDDユニット300の連続領域に記録することにより、シーク時のオーバーヘッドなどを低減し、リアルタイムな記録又は再生を実現することができる。ALUのサイズは、記録媒体の特性(シークタイム、回転待ち時間、転送レート)に応じて、リアルタイムな記録又は再生を保障できるように決定されればよい。
【0010】
リムーバブルHDDユニット300に記録された放送番組を再生する場合は、まず、システムコントローラ102は、再生するタイトルに対応する映像音声データをリムーバブルHDDユニット300から読み出し、RPヘッダに保持されているタイミングに応じてTSパケットをMPEG−TSデコーダ106へ送出させる。これにより、放送信号を受信したときと同じように、MPEG−TSデコーダ106、D/Aコンバータ108を介して、映像音声データが表示装置110に出力される。このとき、システムコントローラ102は、リムーバブルHDDユニット300からプログラムのデータを読み出して再生する再生部として機能する。
【0011】
MPEG−TSデコーダ106内で行われる処理について、簡単に説明する。リムーバブルHDDユニット300に蓄積されたパーシャルTSを再生する際には、TSストリーム中のPATおよびPMTパケットを解析する事により、所望のビデオおよびオーディオストリームのパケットを選択する事が可能となり映像を再生できる。より具体的には、ま
ず、PAT(PID=0)の中から、所望のプログラムに対応したPMTのPIDを得る事が出来る。このPMT(PID=a)の中に書き込まれたPIDにより、所望のプログラムのビデオパケット(PID=b)およびオーディオパケット(PID=c)を特定する事が可能となる。よってビデオパケットとオーディオパケットをMPEG−TSストリーム内から分離する事が可能となるため、分離されたストリームをそれぞれデコードする事により得られた映像および音声をD/Aコンバータ108を介して表示装置110に出力する。
【0012】
ここではMPEG−TSストリームの例として図3のストリームを想定する。先頭から順番に、ビデオパケット(0)、ビデオパケット(1)、PAT(2)、ビデオパケット(3)、オーディオパケット(4)、PMT(5)、ビデオパケット(6)、ビデオパケット(7)、オーディオパケット(8)の順で到着する。映像及び音声をデコードするためには、最初にPATの情報が必要となるため、PID=0のパケットを待つ事になる。よって先頭のビデオパケット(0)、ビデオパケット(1)については処理される事なく破棄される。次に、到着したPAT(2)内に書き込まれたPMTのPID(PID=a)を得る。これにより、必要となるPMTのPIDがPID=aである事が判明する。次に来るビデオパケット(3)、オーディオパケット(4)のPIDはaではないため、処理される事なく破棄される。次にPIDがaであるPMT(5)が到着する。これを解析する事により、ビデオパケットのPID(PID=b)およびオーディオパケットのPID(PID=c)を得る。この段階で、所望のプログラムのデータが格納されたビデオパケットとオーディオパケットのPIDがわかるので、次に到着したビデオパケット(6)、ビデオパケット(7)、オーディオパケット(8)をデコードする事により映像及び音声を再生する事が可能となる。
【0013】
図4にリムーバブルHDDユニット300に記録されるディレクトリ/ファイル構成を示した。ルートディレクトリの下に番組ファイル管理ディレクトリ400が存在し、実施例のシステムでは、このディレクトリの下で作業を行う。実際に記録された番組ファイルは、映像音声データファイル480として記録される。このファイルのフォーマットに関しては、既に図2で示した。上位の管理ファイルとして、PGRGマネージャ420、PGRGIテーブル430、OPGRマネージャ440、OPGRIテーブル450、UPGRマネージャ460、UPGRIテーブル470が存在する。
【0014】
図5、図6にPGRGマネージャ、PGRGIの構造を示した。PGRGIは、記録された編集タイトルに相当する。記録された番組が仮想的に編集されると、PGRGIが作成される。PGRGIテーブル430は、PGRGIのリストで構成されている。図6に示すように、PGRGIには、PGRGの作成日、名前、サムネイル、リジューム情報、含まれるUPGRの数、それぞれのUPGRのIDが記録される。それに対してPGRGマネージャ420は、PGRGIの管理ファイルであり、任意のPGRGIが指定可能な構造(具体的には、PGRGIテーブルの先頭からのバイト位置を示す)となっている。図5に示すように、PGRGマネージャには、PGRGIの総数と、それぞれのPGRGIのサーチポインタが記録される。従って、ユーザはPGRGマネージャを通して編集タイトルの選択が可能となる。
【0015】
図7、図8にOPGRマネージャ、OPGRIの構造を示した。OPGRIは、記録された番組情報に相当する。番組が映像音声データファイル480として記録されると、同時にOPGRIが作成される。OPGRIテーブル450は、OPGRIのリストで構成されている。図8に示すように、OPGRIには、OPGRの作成日、名前、映像音声データファイル番号、サムネイル、リジューム情報、記録時間情報、インデックス情報が記録される。それに対してOPGRマネージャ440は、OPGRIの管理ファイルであり、任意のOPGRIが指定可能な構造(具体的には、OPGRIテーブル450の先頭か
らのバイト位置を示す)となっている。図7に示すように、OPGRマネージャ440には、OPGRIの総数と、それぞれのOPGRIのサーチポインタが記録される。従って、ユーザは、OPGRマネージャ440を通して記録番組の選択が可能となる。
【0016】
図9、図10にUPGRマネージャ、UPGRIの構造を示した。UPGRIは、記録された番組ファイルの一部を指定する際に作成されるもので、バーチャル編集する際に作成される。このUPGRIのリストがPGRGである。ストリームそのものを編集するのではなく、あくまでストリームを外部から参照する形式であたかもストリームが編集されたかの様に表示する。UPGRIテーブル470は、UPGRIのリストで構成されている。図10に示すように、UPGRIには、映像音声データファイル番号、参照スタート位置情報、参照エンド位置情報、記録時間情報、インデックス情報が記録される。それに対してUPGRマネージャ460は、UPGRIの管理ファイルであり、任意のUPGRIが指定可能な構造(具体的には、UPGRIテーブル470の先頭からのバイト位置を示す)となっている。図9に示すように、UPGRマネージャ460には、UPGRIの総数と、それぞれのUPGRIのサーチポインタが記録される。
【0017】
図11にUPGRIによる映像音声データファイルの参照例を示した。映像データファイル番号として#5のファイルが選択されている。参照スタート位置情報として、ALU番号が#3でRP番号が#3の位置が示されている。参照エンド位置情報として、ALU番号が#5でRP番号が#8191の位置が示されている。前述したように、実際に参照開始位置から再生を開始しようとした場合、PAT及びPMTが解析されるまでのビデオパケット、オーディオパケットは破棄されてしまう。したがって、図12に示すように、RP#3の先頭のビデオパケット(0)の位置を参照スタート位置490として指定したとしても、実際にデコードが開始されるのは、PMTパケット(5)よりも後の位置492からとなる。
【0018】
更に、図13に示すように、MPEGのビデオレイヤにおいては、GOPの先頭からしかデコードを開始できないという制約がある。従って、MPEG−TSが記録されたファイルの指定された位置からの再生を指示する場合、GOPの精度(一般的に0.5秒:15フレーム)でしか指定することができない。また、GOPの先頭のビデオパケットを開始位置と指示したとしても、PAT及びPMTが解析されるまでのビデオパケット、オーディオパケットは破棄されるので、結局はそのGOPを再生することはできず、次のGOPから再生される可能性が高い。
【0019】
図14は、本実施の形態のUPGRIのデータ構造と映像音声データファイルの参照例を示す。図14に示すように、UPGRIに、参照しているプログラムの映像データ、音声データ、PCRデータが格納されたトランスポートパケットのPIDを記録するフィールドを追加する拡張を行った。このフィールドを追加することにより、ユーザが参照開始位置を指定する際に、PAT、PMT情報を意識することなく、GOPの先頭のビデオパケットを指定することが可能となる。
【0020】
図15に、あらかじめ、ビデオ、オーディオ、PCRのPIDが記録されている場合のMPEG−TSストリームの解析例を示した。この場合、MPEG−TSデコーダ106は、PAT及びPMTを解析することなく、所望のビデオパケット、オーディオパケット、PCRパケットを抽出することができるので、参照スタート情報とパケットの再生開始位置が一致する。したがって、再生開始位置が、指定された位置の次のGOPの先頭の位置にずれる事態を防ぎ、位置の指定の精度を向上させることができる。MPEG−TSデコーダ106は、デコードすべきトランスポートパケットのパケット識別子が通知されたときには、トランスポートストリームの最初のPAT及びPMTの解析が終了するまでの間は、通知されたパケット識別子を有するトランスポートパケットを抽出してデコードし
、通知されないときには、MPEGトランスポートストリームに含まれるPAT及びPMTを解析することにより取得したパケット識別子を有するトランスポートパケットを抽出してデコードすればよい。
【0021】
次に、図15に示すように、MPEG−TSが記録されたファイルの指定された位置からの再生を指示する場合、GOPの精度しかないという課題に対して、フレーム単位まで指定可能な拡張に関して説明する。図16は、MPEGビデオレイヤにおけるGOP内の構造を表示順で示した。図16の例では、GOPの先頭の位置490を指定するとともに、表示順におけるフレームの位置494を指定している。実際にユーザがこのGOP内の任意のフレーム(この例では5番目)を指定した場合、先頭からのフレーム番号(この場合は5)、あるいは、先頭フレームの表示開始からのオフセットタイムスタンプを記録することにより、フレーム単位の指示が可能である。
【0022】
図17は、本実施の形態のUPGRIのデータ構造と映像音声データファイルの参照例を示す。図17に示すように、図14に加えて、UPGRIに、参照スタート位置のGOPの先頭からのオフセットフレーム番号を記録するフィールドと参照エンド位置のGOPの先頭からのオフセットフレーム番号を記録するフィールドを追加した。これらのフィールドは、フレーム番号の代わりにオフセットタイムスタンプ情報で代用することも可能である。このように、MPEGトランスポートストリームのデータが記録されたリムーバブルHDDユニット300に格納されているプログラム中の特定のビデオフレームの位置を示すためのデータ構造として、ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケット識別子と、ビデオフレームが属するGOPのリムーバブルHDDユニット300における記録位置を示す情報と、ビデオフレームが属するGOPにおける前記ビデオフレームの先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報と、を記録しておくことにより、ユーザが映像音声データファイル上の任意のフレームからフレームまでを指定することが可能となる。
【0023】
図18は、フレーム位置管理ユニット500の構成を示す。フレーム位置管理ユニット500は、受付部502、位置情報記録部504、位置情報取得部506、及び特定部508を備える。これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。フレーム位置管理ユニット500は、システムコントローラ102の一機能として実現されてもよい。
【0024】
受付部502は、MPEGトランスポートストリームのデータが記録されたリムーバブルHDDユニット300に格納されているプログラム中の所定のビデオフレームの位置情報を記録する要求を受け付ける。受付部502は、再生が停止されたときのビデオフレームの位置情報を記録する要求を受け付けてもよい。また、受付部502は、ユーザから、再生開始位置、再生終了位置、しおり位置、又はサムネール画像となるビデオフレームの位置情報を記録する要求を受け付けてもよい。上述した例では、受付部502は、PGRGIにおけるサムネール、リジューム情報、OPGRIにおけるサムネール、リジューム情報、インデックス情報、UPGRIにおける参照スタート位置情報、参照エンド位置情報、インデックス情報を記録する要求を受け付ける。
【0025】
位置情報記録部504は、ビデオフレームの位置情報として、リムーバブルHDDユニット300におけるビデオフレームの記録位置に関する情報と、ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケ
ット識別子と、ビデオフレームが属するGOPにおけるビデオフレームの先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報とを記録する。上述した例では、位置情報記録部504は、リムーバブルHDDユニット300におけるビデオフレームの記録位置に関する情報として、映像音声データファイル番号、ALU番号、RP番号を記録するとともに、映像、音声、PCRパケットが属するプログラムのデータが格納されたトランスポートパケットのPIDと、ビデオフレームの先頭フレームからのオフセットフレーム番号を記録する。
【0026】
位置情報取得部506は、MPEGトランスポートストリームのデータが記録されたリムーバブルHDDユニット300に格納されているプログラム中の所定のビデオフレームの位置情報として、リムーバブルHDDユニット300におけるビデオフレームの記録位置に関する情報と、ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケット識別子と、ビデオフレームが属するGOPにおけるビデオフレームの先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報とを取得する。
【0027】
特定部508は、位置情報取得部506が取得した位置情報を用いて、所定のビデオフレームを特定する。特定部508は、位置情報取得部506が取得した記録位置に関する情報を用いて、所定のビデオフレームが属するGOPを含むデータをリムーバブルHDDユニット300から読み出してMPEG−TSデコーダ106に供給する。MPEG−TSデコーダ106は、位置情報取得部506が取得したパケット識別子を用いて、特定部508から供給されたデータの中から、そのパケット識別子を有するトランスポートパケットを抽出してデコードする。特定部508は、位置情報取得部506が取得したオフセットフレーム番号又はオフセットタイムスタンプ情報を用いて、MPEG−TSデコーダ106がデコードしたビデオフレームの中から所定のビデオフレームを特定する。
【0028】
図19は、実施の形態に係る再生方法の手順を示すフローチャートである。図19では、UPGRIに格納された参照スタート位置から参照エンド位置までを再生する場合について説明する。位置情報取得部506が、リムーバブルHDDユニット300に記録されたUPGRIテーブル470から、ユーザが指定したUPGRIを取得すると、特定部508は、UPGRIに記録されている映像音声データファイル番号に対応する映像音声データファイル480をオープンする(S10)。リムーバブルHDDユニット300は、UPGRIに記録されている参照スタート位置情報に対応するALUのRPまでシークする(S12)。特定部508は、UPGRIに記録されている映像、オーディオ、PCRのPIDをMPEG−TSデコーダ106にセットし(S14)、参照スタート位置から読み出しを開始してMPEG−TSデコーダ106へ転送する(S16)。
【0029】
MPEG−TSデコーダ106は、セットされたPIDをもとにTSパケットを抽出して、GOPの先頭からデコードを開始する(S18)。特定部508は、UPGRIに記録されている開始オフセットフレーム番号の直前のフレームまでの表示をマスクし(S20)、開始オフセットフレーム番号のビデオフレームから表示のマスクを解除する(S22)。これにより、表示装置110は、表示を開始すべきと指定されたビデオフレームから表示を開始する。
【0030】
特定部508は、UPGRIに記録された参照エンド位置のRPになるまで(S24のN)、リムーバブルHDDユニット300からRPを読み出してMPEG−TSデコーダ106に転送し続ける。最後のGOPに到達すると(S24のY)、特定部508は、UPGRIに記録されている終了オフセットフレーム番号までを表示装置110に表示させ(S26)、以降のフレームの表示をマスクする(S28)。これにより、表示装置110は、表示を終了すべきと指定されたビデオフレームで表示を終了する。
【0031】
本実施例では、参照エンド位置情報に対しても「End Offset Frame Number」フィールドを追加し、参照エンド位置直前のGOPに対する最終表示フレーム番号を指定することを可能としたが、参照エンド位置直後のGOPに対するフレーム番号を指定しても良い。この場合、それを解釈して再生する側でも、参照エンド位置直後のフレームが指定されているものとして再生すればよく、要は、記録側と再生側で同じ認識があればよい。また、参照エンド位置に関しては、参照期間情報を持つことにより、指定することも可能である。この場合、参照フレーム数あるいは、参照タイムスタンプなどで表現してもよい。
【0032】
また、参照スタート位置情報にVideo PIDとStart Offset Frame Numberを追加する方式は、バーチャル編集のみならず、リジュームフレームの指定、サムネイルフレームの指定、インデックス位置の指定にも利用することができる。
【0033】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、この実施の形態は例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施の形態に係る録画再生装置の構成を示す図である。
【図2】映像音声データの蓄積フォーマットを示す図である。
【図3】MPEGトランスポートストリームの例を示す図である。
【図4】リムーバブルHDDに記録されるディレクトリ/ファイル構成を示す図である。
【図5】PGRGマネージャのデータ構造を示す図である。
【図6】PGRGIのデータ構造を示す図である。
【図7】OPGRマネージャのデータ構造を示す図である。
【図8】OPGRIのデータ構造を示す図である。
【図9】UPGRマネージャのデータ構造を示す図である。
【図10】従来のUPGRIのデータ構造を示す図である。
【図11】従来のUPGRIによる映像音声データファイルの参照例を示す図である。
【図12】トランスポートストリームにおける従来の参照開始位置と再生開始位置との関係を示す図である。
【図13】GOPにおける従来の参照開始位置と再生開始位置との関係を示す図である。
【図14】本実施の形態のUPGRIのデータ構造と映像音声データファイルの参照例を示す図である。
【図15】トランスポートストリームにおける本実施の形態における参照開始位置と再生開始位置との関係を示す図である。
【図16】MPEGビデオレイヤにおけるGOP内の構造を表示順で示す図である。
【図17】本実施の形態のUPGRIのデータ構造と映像音声データファイルの参照例を示す図である。
【図18】実施の形態に係るフレーム位置管理ユニットの構成を示す図である。
【図19】実施の形態に係る再生方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
100 リモコン受光部、102 システムコントローラ、104 表示パネル、106 MPEG−TSデコーダ、110 表示装置、112 リムーバブルHDDスロット、114 タイマ、116 バッファメモリ、120 チューナ、122 伝送路復号部
、124 TS分離/選択部、300 リムーバブルHDDユニット、500 フレーム位置管理ユニット、502 受付部、504 位置情報記録部、506 位置情報取得部、508 特定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MPEGトランスポートストリームのデータが記録された記録媒体であって、
前記記録媒体に格納されているプログラム中の特定のビデオフレームの位置を示すデータ構造が、
前記ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケット識別子と、
前記ビデオフレームが属するGOPの前記記録媒体における記録位置を示す情報と、
前記ビデオフレームが属するGOPにおける前記ビデオフレームの表示順における先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報と、
を含むことを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記MPEGトランスポートストリームのデータは前記プログラムごとに複数記録されていることを特徴とした請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記ビデオフレームが属するGOPの前記記録媒体における記録位置を示す情報として、前記ビデオフレームが属するGOPの先頭を含むビデオパケットの先頭の位置が記録されていることを特徴とした請求項2に記載の記録媒体。
【請求項4】
複数の前記MPEGトランスポートストリームのデータを管理するOPGRマネージャおよびOPGRIテーブルがさらに記録されていることを特徴とした請求項2または3に記載の記録媒体。
【請求項5】
複数の前記MPEGトランスポートストリームのデータのうち一部を指定するUPGRマネージャおよびUPGRIテーブルがさらに記録されていることを特徴とした請求項2〜4のいずれか一項に記載の記録媒体。
【請求項1】
MPEGトランスポートストリームのデータが記録された記録媒体であって、
前記記録媒体に格納されているプログラム中の特定のビデオフレームの位置を示すデータ構造が、
前記ビデオフレームが属するプログラムのビデオエレメンタリストリームが格納されたトランスポートパケットのパケット識別子と、
前記ビデオフレームが属するGOPの前記記録媒体における記録位置を示す情報と、
前記ビデオフレームが属するGOPにおける前記ビデオフレームの表示順における先頭フレームからのオフセットフレーム番号又は先頭フレームからのオフセットタイムスタンプ情報と、
を含むことを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記MPEGトランスポートストリームのデータは前記プログラムごとに複数記録されていることを特徴とした請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記ビデオフレームが属するGOPの前記記録媒体における記録位置を示す情報として、前記ビデオフレームが属するGOPの先頭を含むビデオパケットの先頭の位置が記録されていることを特徴とした請求項2に記載の記録媒体。
【請求項4】
複数の前記MPEGトランスポートストリームのデータを管理するOPGRマネージャおよびOPGRIテーブルがさらに記録されていることを特徴とした請求項2または3に記載の記録媒体。
【請求項5】
複数の前記MPEGトランスポートストリームのデータのうち一部を指定するUPGRマネージャおよびUPGRIテーブルがさらに記録されていることを特徴とした請求項2〜4のいずれか一項に記載の記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−206176(P2008−206176A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76956(P2008−76956)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【分割の表示】特願2007−22522(P2007−22522)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【分割の表示】特願2007−22522(P2007−22522)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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