説明

記録情報再生装置

【課題】記録媒体から読み取られた読取信号から精度良く情報データの再生を行うことが可能な記録情報再生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値系列の振幅をゲイン調整信号に応じて調整し、この振幅調整の為された読取サンプル値系列に対して複数の予測値に基づくビタビ復号処理を施すにあたり、読取サンプル値系列中のサンプル値と予測値との差分を示す信号を上記ゲイン調整信号として生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体から記録情報の再生を行う記録情報再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報データが高密度に記録されている記録媒体から高い信頼性をもって情報データの再生を行う再生信号処理として、PRML(partial response maximum likelihood)方式に基づくビタビ復号処理を実施するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかるビタビ復号処理では、先ず、記録媒体から読み取られた読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値と、その読取サンプル値として取り得るN個(Nは奇数)の予測値各々との二乗誤差値を各予測値毎に求める。
そして、各予測値毎に二乗誤差値の累算加算を行い、その累算値が最小となる予測値の系列に対応した2値のデータ系列を再生信号として復号するのである。
【0003】
ところが、記録媒体の記録面に形成されている記録マーク(又はピット)にアシンメトリが生じていると、この記録媒体から読み取られた読取信号の振幅の中心に対して読取信号の波形が上下非対称となる場合がある。すると、上記の如く各予測値毎に求めた二乗誤差値が不適切な値となり、ビタビ復号処理が精度良く為されなくなるという問題が発生した。
【特許文献1】特開2001‐189053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる問題を解決すべくなされたものであり、記録媒体から読み取られた読取信号から精度良く情報データの再生を行うことが可能な記録情報再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載による記録情報再生装置は、情報データを変調した変調信号が記録されている記録媒体から読み取られた読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値系列から2値の再生信号を得る記録情報再生装置であって、ゲイン調整信号に応じて前記読取サンプル値系列の振幅を調整して振幅調整読取サンプル値系列を得る振幅調整手段と、前記振幅調整読取サンプル値系列に対して前記読取サンプル値系列中の各サンプル値として取り得る複数の予測値に基づくビタビ復号処理を施すことにより前記再生信号を得るビタビ復号器と、前記振幅調整読取サンプル値系列中のサンプル値と前記予測値との差分を示す信号を前記ゲイン調整信号として生成するエラー検出手段と、を備える。
【0006】
又、請求項5記載による記録情報再生装置は、情報データを変調した変調信号が記録されている記録媒体から読み取られた読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値系列から2値の再生信号を得る記録情報再生装置であって、前記読取サンプル値系列中の各サンプル値として取り得る複数の初期予測値各々にゲイン調整信号にて示される値を乗算した乗算結果の各々を予測値として生成する乗算器と、前記読取サンプル値系列に対して前記予測値に基づくビタビ復号処理を施すことにより前記再生信号を得るビタビ復号器と、前記読取サンプル値系列中のサンプル値と前記予測値との差分を示す信号を前記ゲイン調整信号として生成するエラー検出手段と、を備える。
【0007】
又、請求項9記載による記録情報再生装置は、情報データを変調した変調信号が記録されている記録媒体から読み取られた読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値系列から2値の再生信号を得る記録情報再生装置であって、誤差信号を0に収束させるべくフィルタ係数を変更しつつ前記フィルタ係数に基づく適応フィルタリング処理を前記読取サンプル値系列に対して施すことにより適応補正読取サンプル値系列を得る適応フィルタと、前記読取サンプル値系列に対してこの読取サンプル値系列中の各サンプル値として取り得る複数の予測値に基づくビタビ復号処理を施すことにより前記再生信号を得るビタビ復号器と、前記読取サンプル値系列中のサンプル値と前記予測値との差分を示す信号を前記誤差信号として生成するエラー検出手段と、を備える。
【0008】
又、請求項13記載による記録情報再生装置は、情報データを変調した変調信号が記録されている記録媒体から読み取られた読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値系列から2値の再生信号を得る記録情報再生装置であって、前記読取サンプル値系列に対して複数の予測値に基づくビタビ復号処理を施すことにより前記再生信号を得るビタビ復号器と、前記振幅調整読取サンプル値系列中の所定サンプル値と前記予測値との差分値に基づいて前記読取信号の信号レベルを全体的にレベルシフトすることによりDCオフセットを調整するDCオフセット調整手段と、を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
記録媒体から読み取られた読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値系列の振幅をゲイン調整信号に応じて調整し、この振幅調整された読取サンプル値系列に対して複数の予測値に基づくビタビ復号処理を施すにあたり、読取サンプル値系列中のサンプル値と予測値との差分を示す信号を上記ゲイン調整信号として生成する。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0011】
図1は、本発明による記録情報再生装置の一例を示す図である。
【0012】
図1において、ピックアップ1は、記録ディスク2に記録されている変調信号を読み取って得られた読取信号RFをACカップル回路3に供給する。尚、かかる変調信号は、音声データ、映像データ又はコンピュータデータの如き各種の情報データに対して、ランレングスの制限を為す変調を施して得られた信号である。
【0013】
ACカップル回路3は、読取信号RFの平均値を求め、この平均値が所定の中心値C0と一致するように読取信号RF全体のレベルをシフトして得られた中心調整読取信号RFCをA/D変換器4に供給する。尚、上記中心値C0とは、後述するA/D変換器4の変換可能範囲の中央の値に相当するものであり、例えば後述するサンプル値の「0」に相当する。
【0014】
A/D変換器4は、チャンネルクロック信号に応じたタイミングにて中心調整読取信号RFCをサンプリングして、これを夫々が例えば8ビットのサンプル値の系列からなる読取サンプル値系列Rに変換して波形等化器5に供給する。尚、上記チャンネルクロック信号とは、上記変調信号に位相同期した所定周波数のクロック信号である。
【0015】
波形等化器5は、読取サンプル値系列R中におけるランレングスの短い変調信号に対応したサンプル値に対してのみ、その値を増大させるべき処理、すなわち高域強調処理を施して、得られた高域強調読取サンプル値系列RHを加算器6に供給する。
【0016】
加算器6は、かかる高域強調読取サンプル値系列RH中の各サンプル値にオフセット補正値OF(後述する)を加算して得られた加算結果をオフセット補正読取サンプル値系列RRとしてゼロクロス検出回路7及び振幅調整回路8の各々に供給する。ゼロクロス検出回路7は、上記オフセット補正読取サンプル値系列RR中における連続する3つのサンプル値毎に、両端の2つのサンプル値の一方が上記中心値C0よりも小であり且つ他方が中心値C0よりも大であるか否かを判定する。ここで、連続する3つのサンプル値の内の両端のサンプル値の一方が上記中心値C0よりも小であり且つ他方が中心値C0よりも大であると判定された場合、ゼロクロス検出回路7は、これら連続する3つのサンプル値の内の中央のサンプル値を上記オフセット補正値OFとして加算器6に供給する。
【0017】
上記加算器6及びゼロクロス検出回路7の動作により、高域強調読取サンプル値系列RHにおける振幅の中心が上記中心値C0と等しくなるようにオフセット調整の施されたオフセット補正読取サンプル値系列RRが生成されるのである。
【0018】
振幅調整回路8は、上記オフセット補正読取サンプル値系列RR中の各サンプル値に、ゲイン調整信号G(後述する)にて示される振幅調整値を乗算することによりその振幅値を調整した振幅調整読取サンプル値系列RSをビタビ復号器9に供給する。
【0019】
ビタビ復号器9は、先ず、上記振幅調整読取サンプル値系列RS中の各サンプル値と、
予測値Y0、
予測値Y1+
予測値Y2+
予測値Y3+
予測値Y1-
予測値Y2-
予測値Y3-
各々との二乗誤差値を各予測値毎に求める。
【0020】
尚、予測値Y0は上記中心値C0と同一であり、各予測値Yは、
Y3-<Y2-<Y1-<Y0<Y1+<Y2+<Y3+
なる大小関係を有する。
【0021】
この際、予測値Y0,Y1+,Y2+,Y3+,Y1-,Y2-,Y3-は、記録ディスク2から正しく情報読取が為された場合に得られるであろう読取信号の理想値である。尚、予測値Y1-又はY1+は、記録ディスク2に記録されている変調信号中における最もランレングスの短い信号区間を読み取った際に得られる読取信号の理想値である。一方、予測値Y3-又はY3+は、記録ディスク2に記録されている変調信号中における最もランレングスの長い信号区間を読み取った際に得られる読取信号の理想値である。又、予測値Y0は、読取信号の振幅の中心値である。
【0022】
次に、ビタビ復号器9は、上記の如き各予測値Y毎に、上記二乗誤差値の累算加算を行いつつその累算値が最小となる予測値Yの系列に対応した2値のデータ系列を再生信号として出力する。
【0023】
エラー検出回路10は、先ず、上記振幅調整読取サンプル値系列RS中から、上記予測値Y0,Y1+,Y2+,Y3+,Y1-,Y2-,Y3-各々の内で予測値Y1+に最も近い値を有するサンプル値と、予測値Y-に最も近い値を有するサンプル値とを抽出する。すなわち、振幅調整読取サンプル値系列RS中から、最もランレングスの短い信号区間の読取時に得られる読取サンプル値のみを抽出するのである。次に、エラー検出回路10は、この予測値Y1+に最も近い値を有するサンプル値と予測値Y1+との差分、並びに予測値Y1-に最も近い値を有するサンプル値と予測値Y1-との差分を夫々上記振幅調整値として求める。そして、エラー検出回路10は、かかる振幅調整値を示すゲイン調整信号Gを振幅調整回路8に供給する。これにより、振幅調整回路8は、オフセット補正読取サンプル値系列RR中における予測値Y1+に最も近い値を有するサンプル値が予測値Y1+と同一値となり、且つ予測値Y1-に最も近い値を有するサンプル値が予測値Y1-と同一値となるように、オフセット補正読取サンプル値系列RRの振幅を調整する。
【0024】
以下に、図1に示される記録情報再生装置における動作について図2(a)〜図2(d)を参照しつつ説明する。
【0025】
図2(a)は、アシンメトリが生じている場合に得られる読取信号RFのアイパターンの一例を示す図である。
【0026】
図2(a)に示す一例では、アイセンタEC(一点鎖線にて示す)、すなわち読取信号RFにおけるゼロクロス点での値が、読取信号RFの振幅Sの中心値に対してずれてしまい、更に、予測値Y0(=中心値C0)とも一致していない。
【0027】
そこで、図1に示される記録情報再生装置においては、先ず、ACカップル回路3により、アイセンタECでの読取信号の値と予測値Y0(=中心値C0)とを一致させるように読取信号RF全体のレベルをシフトさせた中心調整読取信号RFCを生成する。図2(b)は、かかる中心調整読取信号RFCのアイパターンの一例を示す図である。かかる中心調整読取信号RFCをA/D変換器4によってサンプリングすることにより、図2(c)の×印、丸印(●,○)、三角印(▲,△)、又は四角印(■,□)にて示す如きサンプル値の系列からなる読取サンプル値系列Rが得られる。例えば、丸印にて示されるサンプル値は、変調信号中における最もランレングスの短い信号区間を読み取った際に得られる読取信号の値に相当している。この際、●(○)にて示されるサンプル値の各々は予測値Y1+(Y1-)とは一致していない。これは、アシンメトリの発生に起因するものである為、このサンプル値に基づいてビタビ復号を行うと復号の精度低下を招く。
【0028】
そこで、図1に示される記録情報再生装置では、エラー検出回路10により、振幅調整読取サンプル値系列RS中におけるアイセンタECの最近傍、つまりゼロクロス点に最も近い値を有する●(○)に示す如きサンプル値と、予測値Y1+(Y1-)との差分を振幅調整値として求める。そして、振幅調整回路8により、この振幅調整値の分だけ、オフセット補正読取サンプル値系列RR中の各サンプル値を一律に増加又は減少させた図2(d)の如き振幅調整読取サンプル値系列RSを生成し、このRSに対してビタビ復号処理を実施するようにしたのである。すなわち、最短ランレングスの変調信号に対応したサンプル値を強制的に予測値Y1+(Y1-)と一致させるべく読取サンプル値系列の振幅を一律に調整してからビタビ復号処理を実施させるようにしたのである。
【0029】
よって、アシンメトリに起因する各サンプル値と予測値との誤差分が除去される為、例え記録ディスクに記録されている信号にアシンメトリが生じていても、ビタビ復号の復号性能を低下させることなく、良好に情報データの再生を行うことが可能となる。
【0030】
尚、上記実施例においては、●(○)に示す如き、最短ランレングスの変調信号に対応したサンプル値に基づいて振幅調整値を求めるようにしているが、最長ランレングスの変調信号に対応した■(□)に示す如きサンプル値に基づいて振幅調整値を求めるようにしても良い。この際、エラー検出回路10は、図2(c)において■(□)にて示される各サンプル値と予測値Y3+(Y3-)との差分に対応した振幅調整値を求め、この振幅調整値を示すゲイン調整信号Gを生成する。そして、振幅調整回路8により、上記ゲイン調整信号Gにて示される振幅調整値の分だけ、オフセット補正読取サンプル値系列RR中の各サンプル値を一律に増加又は減少させた振幅調整読取サンプル値系列RSを生成し、このRSに対してビタビ復号処理を実施するのである。
【0031】
又、上記実施例においては、読取サンプル値系列中の各サンプル値と予測値との差分に基づいて読取サンプル値系列の振幅を調整するようにしているが、各サンプル値と予測値との差分に基づいて予測値の値を変更するようにしても良い。
【0032】
図3は、かかる点に鑑みて為された記録情報再生装置の他の構成を示す図である。
【0033】
図3において、ピックアップ1は、記録ディスク2に記録されている変調信号を読み取って得られた読取信号RFをACカップル回路3に供給する。尚、かかる変調信号は、音声データ、映像データ又はコンピュータデータの如き各種の情報データに対して、ランレングスの制限を為す変調を施して得られた信号である。
【0034】
ACカップル回路3は、読取信号RFの平均値を求め、この平均値が所定の中心値C0と一致するように読取信号RF全体のレベルをシフトして得られた中心調整読取信号RFCをA/D変換器4に供給する。尚、上記中心値C0とは、後述するA/D変換器4の変換可能範囲の中央の値に相当するものであり、例えば後述するサンプル値の「0」に相当する。
【0035】
A/D変換器4は、チャンネルクロック信号に応じたタイミングにて中心調整読取信号RFCをサンプリングして、これを夫々が例えば8ビットのサンプル値の系列からなる読取サンプル値系列Rに変換して波形等化器5に供給する。尚、上記チャンネルクロック信号とは、上記変調信号に位相同期した所定周波数のクロック信号である。
【0036】
波形等化器5は、読取サンプル値系列R中におけるランレングスの短い変調信号に対応したサンプル値に対してのみ、その値を増大させるべき処理、すなわち高域強調処理を施して、得られた高域強調読取サンプル値系列RHを加算器6に供給する。
【0037】
加算器6は、かかる高域強調読取サンプル値系列RH中の各サンプル値にオフセット補正値OF(後述する)を加算して得られた加算結果をオフセット補正読取サンプル値系列RRとしてゼロクロス検出回路7、ビタビ復号器9及びエラー検出回路10の各々に供給する。ゼロクロス検出回路7は、上記オフセット補正読取サンプル値系列RR中における連続する3つのサンプル値毎に、両端の2つのサンプル値の一方が上記中心値C0よりも小であり且つ他方が中心値C0よりも大であるか否かを判定する。ここで、連続する3つのサンプル値の内の両端のサンプル値の一方が上記中心値C0よりも小であり且つ他方が中心値C0よりも大であると判定された場合、ゼロクロス検出回路7は、これら連続する3つのサンプル値の内の中央のサンプル値を上記オフセット補正値OFとして加算器6に供給する。
【0038】
上記加算器6及びゼロクロス検出回路7の動作により、高域強調読取サンプル値系列RHにおける振幅の中心が上記中心値C0と等しくなるようにオフセット調整の施されたオフセット補正読取サンプル値系列RRが生成されるのである。
【0039】
乗算器201は、初期予測値YY3+に、ゲイン調整信号Gにて示されるゲイン調整値を乗算した乗算結果を予測値Y3+としてビタビ復号器9及びエラー検出回路10に供給する。乗算器202は、初期予測値YY2+に、上記ゲイン調整信号Gにて示されるゲイン調整値を乗算した乗算結果を予測値Y2+としてビタビ復号器9及びエラー検出回路10に供給する。乗算器203は、初期予測値YY1+に、上記ゲイン調整信号Gにて示されるゲイン調整値を乗算した乗算結果を予測値Y1+としてビタビ復号器9及びエラー検出回路10に供給する。乗算器204は、初期予測値YY0に、上記ゲイン調整信号Gにて示されるゲイン調整値を乗算した乗算結果を予測値Y0としてビタビ復号器9及びエラー検出回路10に供給する。乗算器205は、初期予測値YY1-に、上記ゲイン調整信号Gにて示されるゲイン調整値を乗算した乗算結果を予測値Y1-としてビタビ復号器9及びエラー検出回路10に供給する。乗算器206は、初期予測値YY2-に、上記ゲイン調整信号Gにて示されるゲイン調整値を乗算した乗算結果を予測値Y2-としてビタビ復号器9及びエラー検出回路10に供給する。乗算器207は、初期予測値YY3-に、上記ゲイン調整信号Gにて示されるゲイン調整値を乗算した乗算結果を予測値Y3-としてビタビ復号器9及びエラー検出回路10に供給する。
【0040】
尚、初期予測値Y0は上記中心値C0と同一であり、各初期予測値YYは、
YY3-<YY2-<YY1-<YY0<YY1+<YY2+<YY3+
なる大小関係を有する。
【0041】
この際、初期予測値YY0,YY1+,YY2+,YY3+,YY1-,YY2-,YY3-は、記録ディスク2から正しく情報読取が為された場合に得られるであろう読取信号の理想値である。尚、初期予測値YY1-又はYY1+は、記録ディスク2に記録されている変調信号中における最もランレングスの短い信号区間を読み取った際に得られる読取信号の理想値である。一方、初期予測値YY3-又はYY3+は、記録ディスク2に記録されている変調信号中における最もランレングスの長い信号区間を読み取った際に得られる読取信号の理想値である。又、初期予測値YY0は、読取信号の振幅の中心値である。
【0042】
ビタビ復号器9は、先ず、上記オフセット補正読取サンプル値系列RR中の各サンプル値と、上記乗算器201〜207各々から供給された予測値Y0,Y1+,Y2+,Y3+,Y1-,Y2-,Y3-各々との二乗誤差値を各予測値毎に求める。
次に、ビタビ復号器9は、上記の如き各予測値Y毎に、上記二乗誤差値の累算加算を行いつつその累算値が最小となる予測値Yの系列に対応した2値のデータ系列を再生信号として出力する。
【0043】
エラー検出回路10は、先ず、上記オフセット補正読取サンプル値系列RR中から、上記予測値Y0,Y1+,Y2+,Y3+,Y1-,Y2-,Y3-各々の内で予測値Y1+に最も近い値を有するサンプル値と、予測値Y-に最も近い値を有するサンプル値とを抽出する。すなわち、オフセット補正読取サンプル値系列RR中から、最もランレングスの短い信号区間の読取時に得られる読取サンプル値のみを抽出するのである。次に、エラー検出回路10は、この予測値Y1+に最も近い値を有するサンプル値と予測値Y1+との差分、並びに予測値Y1-に最も近い値を有するサンプル値と予測値Y1-との差分を夫々上記ゲイン調整値として求める。そして、エラー検出回路10は、かかるゲイン調整値を示すゲイン調整信号Gを上記乗算器201〜207の各々に供給する。
【0044】
以下に、図3に示される記録情報再生装置における動作について図4(a)〜図4(d)を参照しつつ説明する。
【0045】
図4(a)は、アシンメトリが生じている場合に得られる読取信号RFのアイパターンの一例を示す図である。
【0046】
図4(a)に示す一例では、アイセンタEC(一点鎖線にて示す)、すなわち読取信号RFにおけるゼロクロス点での値が、読取信号RFの振幅Sの中心値に対してずれてしまい、更に、予測値Y0(=中心値C0)とも一致していない。
【0047】
図3に示される記録情報再生装置では、先ず、ACカップル回路3により、アイセンタECでの読取信号の値と予測値Y0(=中心値C0)とを一致させるように読取信号RF全体のレベルをシフトさせた中心調整読取信号RFCを生成する。図4(b)は、中心調整読取信号RFCのアイパターンの一例を示す図である。かかる中心調整読取信号RFCをA/D変換器4によってサンプリングすることにより、図4(c)の×印、丸印(●,○)、三角印(▲,△)、又は四角印(■,□)にて示す如きサンプル値の系列からなる読取サンプル値系列Rが得られる。例えば、丸印にて示されるサンプル値は、変調信号中における最もランレングスの短い信号区間を読み取った際に得られる読取信号の値に相当している。この際、●(○)にて示されるサンプル値の各々は予測値Y1+(Y1-)とは一致していない。これはアシンメトリの発生に起因するものである為、このサンプル値に基づいてビタビ復号を行うと復号の精度低下を招く。
【0048】
そこで、図3に示される記録情報再生装置においては、先ず、エラー検出回路10により、オフセット補正読取サンプル値系列RR中におけるアイセンタECの最近傍、つまりゼロクロス点に最も近い値を有する●(○)に示す如きサンプル値と、予測値Y1+(Y1-)との差分を求める。すなわち、最短ランレングスの変調信号に対応したサンプル値と、予測値Y1+(Y1-)との差分を求めるのである。そして、乗算器201〜207により、この差分に対応した分だけ、上記予測値Y0,Y1+,Y2+,Y3+,Y1-,Y2-,Y3-各々の値を一律に増加又は減少させるようにしている。このような予測値の調整動作により、図4(d)に示すように、オフセット補正読取サンプル値系列RR中の●(○)に示す如きサンプル値と、予測値Y1+(Y1-)とを強制的に一致させるのである。
【0049】
よって、アシンメトリに起因する各サンプル値と予測値との誤差分が除去される為、例え記録ディスクに記録されている信号にアシンメトリが生じていても、ビタビ復号の復号性能を低下させることなく、良好に情報データの再生を行うことが可能となる。
【0050】
又、図1に示される記録情報再生装置においては、振幅調整回路8により、オフセット補正読取サンプル値系列RRの振幅を調整するようにしているが、この振幅調整回路8に代わり適応フィルタを用いるようにしても良い。
【0051】
図5は、かかる点に鑑みて為された本発明による記録情報再生装置の他の構成を示す図である。
【0052】
図5において、ピックアップ1は、記録ディスク2に記録されている変調信号を読み取って得られた読取信号RFをACカップル回路3に供給する。尚、かかる変調信号は、音声データ、映像データ又はコンピュータデータの如き各種の情報データに対して、ランレングスの制限を為す変調を施して得られた信号である。
【0053】
ACカップル回路3は、読取信号RFの平均値を求め、この平均値が所定の中心値C0と一致するように読取信号RF全体のレベルをシフトして得られた中心調整読取信号RFCをA/D変換器4に供給する。尚、上記中心値C0とは、後述するA/D変換器4の変換可能範囲の中央の値に相当するものであり、例えば後述するサンプル値の「0」に相当する。
【0054】
A/D変換器4は、チャンネルクロック信号に応じたタイミングにて中心調整読取信号RFCをサンプリングして、これを夫々が例えば8ビットのサンプル値の系列からなる読取サンプル値系列Rに変換して加算器6に供給する。
【0055】
加算器6は、かかる高域強調読取サンプル値系列RH中の各サンプル値にオフセット補正値OF(後述する)を加算して得られた加算結果をオフセット補正読取サンプル値系列RRとしてゼロクロス検出回路7及び適応フィールタ21の各々に供給する。ゼロクロス検出回路7は、上記オフセット補正読取サンプル値系列RR中における連続する3つのサンプル値毎に、両端の2つのサンプル値の一方が上記中心値C0よりも小であり且つ他方が中心値C0よりも大であるか否かを判定する。ここで、連続する3つのサンプル値の内の両端のサンプル値の一方が上記中心値C0よりも小であり且つ他方が中心値C0よりも大であると判定された場合、ゼロクロス検出回路7は、これら連続する3つのサンプル値の内の中央のサンプル値を上記オフセット補正値OFとして加算器6に供給する。
【0056】
上記加算器6及びゼロクロス検出回路7の動作により、高域強調読取サンプル値系列RHにおける振幅の中心が上記中心値C0と等しくなるようにオフセット調整の施されたオフセット補正読取サンプル値系列RRが生成されるのである。
【0057】
適応フィルタ21は、オフセット補正読取サンプル値系列RRに対して、例えばLMS(least mean square)アルゴリズムに基づく適応信号処理を施すことにより、適応補正読取サンプル値系列RPを生成して、ビタビ復号器9及びエラー検出回路10の各々に供給する。適応フィルタ21は、可変係数フィルタとしてのFIR(finite impulse response)フィルタと、フィルタ係数演算回路とから構成される。フィルタ係数演算回路は、上記LMSアルゴリズムに基づき、エラー検出回路10から供給された誤差信号Eにて示される誤差値を0に収束させるべきフィルタ係数Kを求めてFIRフィルタに供給する。FIRフィルタは、オフセット補正読取サンプル値系列RRに対して、上記フィルタ係数Kに応じたフィルタリング処理を施すことにより上記適応補正読取サンプル値系列RPを生成する。
【0058】
ビタビ復号器9は、先ず、上記適応補正読取サンプル値系列RP中の各サンプル値と、
予測値Y0、
予測値Y1+
予測値Y2+
予測値Y3+
予測値Y1-
予測値Y2-
予測値Y3-
各々との二乗誤差値を各予測値毎に求める。
【0059】
尚、予測値Y0は上記中心値C0と同一であり、各予測値Yは、
Y3-<Y2-<Y1-<Y0<Y1+<Y2+<Y3+
なる大小関係を有する。
【0060】
この際、予測値Y0,Y1+,Y2+,Y3+,Y1-,Y2-,Y3-は、記録ディスク2から正しく情報読取が為された場合に得られるであろう読取信号の理想値である。尚、予測値Y1-又はY1+は、記録ディスク2に記録されている変調信号中における最もランレングスの短い信号区間を読み取った際に得られる読取信号の理想値である。一方、予測値Y3-又はY3+は、記録ディスク2に記録されている変調信号中における最もランレングスの長い信号区間を読み取った際に得られる読取信号の理想値である。又、予測値Y0は、読取信号の振幅の中心値である。次に、ビタビ復号器9は、上記の如き各予測値Y毎に、上記二乗誤差値の累算加算を行いつつその累算値が最小となる予測値Yの系列に対応した2値のデータ系列を再生信号として出力する。
【0061】
エラー検出回路10は、先ず、上記適応補正読取サンプル値系列RP中から、上記予測値Y0,Y1+,Y2+,Y3+,Y1-,Y2-,Y3-各々の内で予測値Y1+に最も近い値を有するサンプル値と、予測値Y-に最も近い値を有するサンプル値とを抽出する。すなわち、振幅調整読取サンプル値系列RS中から、最もランレングスの短い信号区間の読取時に得られる読取サンプル値のみを抽出するのである。次に、エラー検出回路10は、この予測値Y1+に最も近い値を有するサンプル値と予測値Y1+との差分、並びに予測値Y1-に最も近い値を有するサンプル値と予測値Y1-との差分を夫々誤差値とし、その値を示す誤差信号Eを適応フィルタ21に供給する。
【0062】
上記エラー検出回路10及び適応フィルタ21の動作により、オフセット補正読取サンプル値系列RR中における最短ランレングスの変調信号に対応したサンプル値と、予測値Y1+(Y1-)との誤差が縮小されるので、ビタビ復号の復号性能を低下させることなく、良好に情報データの再生を行うことが可能となる。
【0063】
又、上記実施例においては、ACカップル回路3、加算器6及びゼロクロス検出回路7により、読取信号に対してDCオフセット調整を施すようにしている。しかしながら、記録ディスク2から所定の記録マークを読み取った際に得られた読取サンプル値と、ビタビ復号器における予測値との誤差に基づいてDCオフセット調整を実施するようにしても良い。
【0064】
図6は、かかる点に鑑みて為された記録情報再生装置の他の構成を示す図である。
【0065】
図6において、ピックアップ1は、記録ディスク2に記録されている変調信号を読み取って得られた読取信号RFをA/D変換器4に供給する。尚、かかる変調信号は、音声データ、映像データ又はコンピュータデータの如き各種の情報データに対して、ランレングスの制限を為す変調を施して得られた信号である。
【0066】
A/D変換器4は、チャンネルクロック信号に応じたタイミングにて中心調整読取信号RFCをサンプリングして、これを夫々が例えば8ビットのサンプル値の系列からなる読取サンプル値系列Rに変換してDCオフセット調整回路200に供給する。尚、上記チャンネルクロック信号とは、上記変調信号に位相同期した所定周波数のクロック信号である。
【0067】
DCオフセット調整回路200は、後述するエラー検出回路100から供給されたオフセット調整値DCに所定の補正係数を乗算して得られた値を上記読取信号Rに加算し、その加算結果をDCオフセット調整読取信号RVとして波形等化器5に供給する。すなわち、DCオフセット調整回路200は、オフセット調整値DCによって示される値の分だけ読取信号Rの信号レベルを全体にレベルシフトしたものをDCオフセット調整読取信号RVとして波形等化器5に供給するのである。
【0068】
波形等化器5は、DCオフセット調整読取信号RV中におけるランレングスの短い変調信号に対応したサンプル値に対してのみ、その値を増大させるべき処理、すなわち高域強調処理を施して、得られた高域強調読取サンプル値系列RHを振幅調整回路8に供給する。
【0069】
振幅調整回路8は、上記高域強調読取サンプル値系列RH中の各サンプル値に、ゲイン調整信号G(後述する)にて示される振幅調整値を乗算することによりその振幅値を調整した振幅調整読取サンプル値系列RSをビタビ復号器9及びエラー検出回路100に夫々供給する。
【0070】
尚、振幅調整回路8としては、図7に示す如きトランスバーサルフィルタを用いるようにしても良い。図7において、フィルタ係数生成回路FGは、ゲイン調整信号Gに基づいてフィルタ係数kを求めて、係数乗算器M1及びM2に夫々供給する。係数乗算器M1は、高域強調読取サンプル値系列RH中の各サンプルに上記フィルタ係数kを乗算した乗算結果を加算器ADに供給する。遅延回路D1は、高域強調読取サンプル値系列RHの各サンプルを1サンプリング周期分だけ遅延させて、遅延回路D2及び加算器ADに供給する。遅延回路D2は、かかる遅延回路D1から供給された高域強調読取サンプル値系列RHを更に1サンプリング周期分だけ遅延させて係数乗算器M2に供給する。係数乗算器M2は、遅延回路D1及びD2にて2サンプリング周期分だけ遅延された高域強調読取サンプル値系列RHの各サンプルに値系列RHの各サンプルに上記フィルタ係数kを乗算した乗算結果を加算器ADに供給する。加算器ADは、遅延回路D1から供給された高域強調読取サンプル値、係数乗算器M1の乗算結果及び係数乗算器M2の乗算結果の各々を加算した加算結果を、振幅調整読取サンプル値系列RSとしてビタビ復号器9及びエラー検出回路100に夫々供給する。
【0071】
ビタビ復号器9は、先ず、上記振幅調整読取サンプル値系列RS中の各サンプル値と、
予測値Y0、
予測値Y1+
予測値Y2+
予測値Y3+
予測値Y1-
予測値Y2-
予測値Y3-
各々との二乗誤差値を各予測値毎に求める。
【0072】
尚、各予測値Yは、
Y3-<Y2-<Y1-<Y0<Y1+<Y2+<Y3+
なる大小関係を有する。
【0073】
この際、予測値Y0,Y1+,Y2+,Y3+,Y1-,Y2-,Y3-は、記録ディスク2から正しく情報読取が為された場合に得られるであろう読取信号の理想値である。尚、予測値Y1-又はY1+は、記録ディスク2に記録されている変調信号中における最もランレングスの短い信号区間を読み取った際に得られる読取信号の理想値である。一方、予測値Y3-又はY3+は、記録ディスク2に記録されている変調信号中における最もランレングスの長い信号区間を読み取った際に得られる読取信号の理想値である。又、予測値Y0は、読取信号の振幅の中心値である。
【0074】
次に、ビタビ復号器9は、上記の如き各予測値Y毎に、上記二乗誤差値の累算加算を行いつつその累算値が最小となる予測値Yの系列に対応した2値のデータ系列を再生信号として出力する。
【0075】
エラー検出回路100は、先ず、上記振幅調整読取サンプル値系列RS中から、所定の記録マークを読み取った際に得られる極大及び極小の読取サンプル値を夫々、極大読取サンプル値VUsam及び極小読取サンプル値VLsamとして抽出する。
次に、エラー検出回路100は、抽出した極大読取サンプル値VUsamからこの極大読取サンプル値として取り得る予測値を減算した減算結果を累算しつつ、抽出した極小読取サンプル値VLsamからこの極小読取サンプル値として取り得る予測値を減算した減算結果を累算して行く。尚、これら予測値は、ビタビ復号器9において用いられる予測値である。そして、エラー検出回路100は、これら累算結果同士を下記式にて示されるように加算したものを、DCオフセットを調整する際のレベルシフト量を示すオフセット値DCとしてDCオフセット調整回路200に供給する。
【0076】
DC=Σ(VUsam−YUref)+Σ(VLsam−YLref
YUref:極大読取サンプル値VUsamに対する予測値
YLref:極小読取サンプル値VLsamに対する予測値
例えば、上記所定の記録マークを最短ランレングスの記録マークとした場合には、図8の●が極大読取サンプル値VUsam、○が極小読取サンプル値VLsamとなる。更に、極大読取サンプル値VUsamとして取り得る予測値YUrefは上記予測値Y1+、極小読取サンプル値VLsamとして取り得る予測値YLrefは上記予測値Y1-となる。従って、図8に示す例では、(VUsam−YUref)及び(VLsam−YLref)は共に負の値となるので、オフセット値DCも負の値となる。これは、読取信号のDCレベルが所定レベルよりも低いことを示している。よって、この際、DCオフセット調整回路200は、読取サンプル値系列Rの波形をオフセット値DCの絶対値の分だけ正側にシフトさせるべき調整を行う。
【0077】
更に、エラー検出回路100は、下記式にて示されるように、上記極大読取サンプル値VUsamから予測値YUrefを減算した減算結果の累算値と、上記予測値YLrefから極小読取サンプル値VLsamを減算した減算結果の累算値とを加算した結果を、振幅調整の調整量を示すゲイン調整信号Gとして振幅調整回路8に供給する。
【0078】
G=Σ(VUsam−YUref)+Σ(VLsam−YLref
例えば図8に示す一例においては、(VUsam−YUref)が負の値、(VLsam−YLref)が正の値となり、
|(VUsam−YUref)|>|(VLsam−YLref)|
となるので、ゲイン調整信号Gも負の値となる。これは、読取信号の振幅が所定振幅よりも低いことを示している。よって、この際、振幅調整回路8は、高域強調読取サンプル値系列RHの各サンプル値を、上記ゲイン調整信号Gの絶対値の分だけ大にすべき調整を行う。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明による記録情報再生装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示される記録情報再生装置にて生成される読取信号RF、中心調整読取信号RFC、読取サンプル値系列R及び振幅調整読取サンプル値系列RSに基づくアイパターンと、予測値Yとを対応づけて示す図である。
【図3】本発明による記録情報再生装置の他の構成を示す図である。
【図4】図3に示される記録情報再生装置にて生成される読取信号RF、中心調整読取信号RFC、読取サンプル値系列R及びオフセット補正読取サンプル値系列RRに基づくアイパターンと、予測値Yとを対応づけて示す図である。
【図5】本発明による記録情報再生装置の他の構成を示す図である。
【図6】本発明による記録情報再生装置の他の構成を示す図である。
【図7】図6に示される振幅調整回路8の内部構成の他の一例を示す図である。
【図8】図6に示される記録情報再生装置における動作を説明する為の図である。
【符号の説明】
【0080】
1 ピックアップ
2 記録ディスク
3 ACカップル回路
8 振幅調整回路
9 ビタビ復号器
10 エラー検出回路
201〜207 乗算器
21 適応フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報データを変調した変調信号が記録されている記録媒体から読み取られた読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値系列から2値の再生信号を得る記録情報再生装置であって、
ゲイン調整信号に応じて前記読取サンプル値系列の振幅を調整して振幅調整読取サンプル値系列を得る振幅調整手段と、
前記振幅調整読取サンプル値系列に対して前記読取サンプル値系列中の各サンプル値として取り得る複数の予測値に基づくビタビ復号処理を施すことにより前記再生信号を得るビタビ復号器と、
前記振幅調整読取サンプル値系列中のサンプル値と前記予測値との差分を示す信号を前記ゲイン調整信号として生成するエラー検出手段と、を備えたことを特徴とする記録情報再生装置。
【請求項2】
前記エラー検出手段は、前記予測値各々の内の中心値を示す予測値に最も近い予測値と、前記振幅調整読取サンプル値系列中におけるランレングスが最短の前記変調信号に対応したサンプル値との差分に基づいて前記ゲイン調整信号を生成することを特徴とする請求項1記載の記録情報再生装置。
【請求項3】
前記読取信号の平均値を前記中心値と一致させるべく前記読取信号全体のレベルをシフトする手段を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の記録情報再生装置。
【請求項4】
前記読取サンプル値系列中における連続する3つのサンプル値毎に両端の2つのサンプル値の一方が前記中心値よりも小であり且つ他方が前記中心値よりも大である場合に前記連続する3つのサンプル値の内の中央のサンプル値をオフセット補正値として生成するゼロクロス検出手段と、
前記オフセット補正値を前記読取サンプル値系列中における各サンプル値に加算することにより前記読取サンプル値系列における振幅の中心が前記中心値と等しくなるようにオフセット調整する手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の記録情報再生装置。
【請求項5】
情報データを変調した変調信号が記録されている記録媒体から読み取られた読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値系列から2値の再生信号を得る記録情報再生装置であって、
前記読取サンプル値系列中の各サンプル値として取り得る複数の初期予測値各々にゲイン調整信号にて示される値を乗算した乗算結果の各々を予測値として生成する乗算器と、
前記読取サンプル値系列に対して前記予測値に基づくビタビ復号処理を施すことにより前記再生信号を得るビタビ復号器と、
前記読取サンプル値系列中のサンプル値と前記予測値との差分を示す信号を前記ゲイン調整信号として生成するエラー検出手段と、を備えたことを特徴とする記録情報再生装置。
【請求項6】
前記エラー検出手段は、前記予測値各々の内の中心値を示す予測値に最も近い予測値と、前記読取サンプル値系列中におけるランレングスが最短の前記変調信号に対応したサンプル値との差分に基づいて前記ゲイン調整信号を生成することを特徴とする請求項5記載の記録情報再生装置。
【請求項7】
前記読取信号の平均値を前記中心値と一致させるべく前記読取信号全体のレベルをシフトする手段を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の記録情報再生装置。
【請求項8】
前記読取サンプル値系列中における連続する3つのサンプル値毎に両端の2つのサンプル値の一方が前記中心値よりも小であり且つ他方が前記中心値よりも大である場合に前記連続する3つのサンプル値の内の中央のサンプル値をオフセット補正値として生成するゼロクロス検出手段と、
前記オフセット補正値を前記読取サンプル値系列中における各サンプル値に加算することにより前記読取サンプル値系列における振幅の中心が前記中心値と等しくなるようにオフセット調整する手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の記録情報再生装置。
【請求項9】
情報データを変調した変調信号が記録されている記録媒体から読み取られた読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値系列から2値の再生信号を得る記録情報再生装置であって、
誤差信号を0に収束させるべくフィルタ係数を変更しつつ前記フィルタ係数に基づく適応フィルタリング処理を前記読取サンプル値系列に対して施すことにより適応補正読取サンプル値系列を得る適応フィルタと、
前記読取サンプル値系列に対してこの読取サンプル値系列中の各サンプル値として取り得る複数の予測値に基づくビタビ復号処理を施すことにより前記再生信号を得るビタビ復号器と、
前記読取サンプル値系列中のサンプル値と前記予測値との差分を示す信号を前記誤差信号として生成するエラー検出手段と、を備えたことを特徴とする記録情報再生装置。
【請求項10】
前記エラー検出手段は、前記予測値各々の内の中心値を示す予測値に最も近い予測値と、前記振幅調整読取サンプル値系列中におけるランレングスが最短の前記変調信号に対応したサンプル値との差分に基づいて前記誤差信号を生成することを特徴とする請求項9記載の記録情報再生装置。
【請求項11】
前記読取信号の平均値を前記中心値と一致させるべく前記読取信号全体のレベルをシフトする手段を更に備えたことを特徴とする請求項10記載の記録情報再生装置。
【請求項12】
前記読取サンプル値系列中における連続する3つのサンプル値毎に両端の2つのサンプル値の一方が前記中心値よりも小であり且つ他方が前記中心値よりも大である場合に前記連続する3つのサンプル値の内の中央のサンプル値をオフセット補正値として生成するゼロクロス検出手段と、
前記オフセット補正値を前記読取サンプル値系列中における各サンプル値に加算することにより前記読取サンプル値系列における振幅の中心が前記中心値と等しくなるようにオフセット調整する手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項10記載の記録情報再生装置。
【請求項13】
情報データを変調した変調信号が記録されている記録媒体から読み取られた読取信号をサンプリングして得た読取サンプル値系列から2値の再生信号を得る記録情報再生装置であって、
前記読取サンプル値系列に対して複数の予測値に基づくビタビ復号処理を施すことにより前記再生信号を得るビタビ復号器と、
前記振幅調整読取サンプル値系列中の所定サンプル値と前記予測値との差分値に基づいて前記読取信号の信号レベルを全体的にレベルシフトすることによりDCオフセットを調整するDCオフセット調整手段と、を備えたことを特徴とする記録情報再生装置。
【請求項14】
前記差分値に基づいてゲイン調整信号を生成する手段と、
前記ゲイン調整信号に応じて前記読取サンプル値系列の振幅を調整する振幅調整手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項13記載の記録情報再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−221762(P2006−221762A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35710(P2005−35710)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】