説明

記録方法及び記録装置

【課題】活性光線硬化性インクを用いる記録方法において、インクのドット高さを抑えた状態で活性光線を照射することにより、凹凸形状が無く、光沢感のある高画質な印刷画像が得られ、かつ薄層となるために少ないインク量で印刷が可能な記録方法の提供。
【解決手段】記録媒体5を搬送させるための搬送手段3と、前記搬送手段により搬送されてくる記録媒体上に活性光線硬化型インクを吐出する記録ヘッド6と、前記記録ヘッド6により前記記録媒体5上に吐出された活性光線硬化型インクに活性光線を照射する活性光線照射装置8と、前記活性光線照射装置直前に気体を吹き付ける装置7と、を備える記録装置において、少なくとも1種以上の酸発生剤または塩基発生剤を含む活性光線硬化性インクを用いることを特徴とする記録方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性光線硬化型、特に紫外線(UV光)硬化型インクを用いた記録方法及び記録装置に関するものであり、特にインクジェット方式による記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像を形成する手段として、銀塩写真、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット記録方式など、広範囲な手段が提供されてきている。特に、インクジェット記録方式は、簡便で安価に画像作成できるため、普通紙印刷、写真画質印刷などの各種印刷、マーキング、さらにはカラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されている。
【0003】
また、インクジェット記録方式には、水を主成分とする水性インクを用いる水性インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式、記録後に紫外線(UV)光を照射することにより硬化させる光硬化型インクジェット方式、室温で固形の熱溶融型インクを用いる熱溶融型方式などがある。
【0004】
光硬化型インクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い被記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されてきている。溶剤を含まない光硬化型インクは、VOC低減などの環境面で優れるが、非吸収性記録媒体への印刷においては、着弾ドットの凹凸形状が残った状態で、UV照射、硬化されて、光沢感の乏しい印刷画像となる場合がある。
【0005】
特許文献1には、色剤、水、活性エネルギー線照射によって側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物を含有するインクジェット用インク、記録ヘッド、活性エネルギー線照射手段、温度制御可能な風或いは温風を記録媒体に吹き付ける乾燥手段を有する装置が開示されている。普通紙記録に際してはフェザリングが良好でインク吸収性が少なく、インク吸収性のない媒体に対してはビーディングやカラーブリードがない高画質な画像が得られるとされている。
【0006】
特許文献2には、インクジェット記録ヘッドから活性光線硬化性型インクを記録媒体上に吐出して印刷を行なう際に、光沢センサーにより記録媒体の種類を検知し、記録媒体の種類に応じて乾燥温度、または風力を制御することにより、記録媒体の種類に関わらず、光沢ムラがなく、画像平面性が保たれる画像が得られることが開示されている。水性活性エネルギー硬化性インクを用いて記録媒体上に画像形成する際に、簡単な方法で、乾燥条件を決める事が出来、且つ、光沢ムラがなく画像平面性が保たれた画像が得られるとされている。
【0007】
特許文献3には、硬化型インクをインクジェット方式の記録ヘッドによって記録媒体上に吐出して画像を形成し、活性エネルギーにより硬化させた後、加熱加圧処理を施して、硬化型インクを定着させる画像記録方法が開示されている。加熱加圧処理の条件は、記録媒体の種類毎に複数記憶される加熱加圧処理の条件の中から、使用される記録媒体の種類に応じて選択され、種類の異なる記録媒体であっても光沢のばらつきを抑えて画質の安定化を図ることができるとされている。
【0008】
特許文献4には、中間転写体上に輻射線重合性化合物と着色材とを含むインクを吐出したのち、インクを記録媒体へ転写する画像形成方法において、輻射線重合性化合物がラジカル重合性基とカチオン重合性基とをもつ化合物を含み、中間転写体上のインクを輻射線で照射することにより、インクのラジカル重合性基又はカチオン重合性基の一方を選択的に重合硬化させ、選択的に重合硬化されたインクをその硬化物の軟化点+10℃以内の範囲で加熱しながら記録媒体上へ転写し、転写されたインクを再び輻射線で照射することで、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基の他方を重合硬化させることが開示されている。この方式により、中間転写体上のインクを記録媒体へ良好に転写することができ、記録媒体への密着性、及びインク被膜の強度があり、安全性のある中間転写型の画像形成方法を提供することができるとされている。
【0009】
特許文献5には、エネルギー線重合性化合物と着色材を含む液体を中間転写体上に付与した後、中間転写体上の液体にエネルギー線を照射して重合物を形成し、加熱して記録媒体に転写するインクジェット記録方法において、液体に含まれるエネルギー線重合性化合物のうち99質量%以上100質量%以下が単官能重合性化合物であり、中間転写体上に形成された重合物を、軟化点以上の温度に加熱しつつ加圧して記録媒体に転写することが開示されている。この方式により、ドット球の高さを低減でき、記録媒体への転写性、密着性の向上を実現することができるとされている。
【0010】
特許文献6には、インクジェット記録ヘッドより噴射され、印刷媒体に着弾したカチオン重合型の紫外線硬化型インクに紫外線を照射する紫外線照射装置と、印刷媒体に着弾した紫外線硬化型インクを加熱する加熱手段とを設けたことを特徴とするインクジェットプリンタが開示されている。カチオン重合型紫外線硬化型インクは、水分(湿度)の影響を受けやすく、環境湿度が高い状況下では硬化しにくく、又は、硬化しないため、使用環境が制限されるという問題があったが、本特許文献の発明により、多湿環境下においてもカチオン重合型紫外線硬化型インクを使用して良好な印刷ができるとされている。
【0011】
特許文献1、2では、インクジェット記録ヘッドから水性活性光線硬化型インクを記録媒体上に吐出して印刷を行なう際に、普通紙記録に際してはフェザリングが良好でインク吸収性が少なく、インク吸収性のない媒体に対してはビーディングやカラーブリードがない画像や、光沢センサーにより記録媒体の種類を検知して、光沢ムラがなく、画像平面性が保たれる画像が得られるとされている。しかしながら、水性活性光線硬化性型インクを用いるため、インクジェット記録ヘッドのノズル近傍での乾燥による目詰りや、高速印字時の水分の乾燥に時間を要するなどの課題があった。また、活性光線を照射してインクを硬化された後、水分を蒸発、除去させるために温風を吹き付ける乾燥手段を有する構成となっている。
【0012】
特許文献3では、硬化型インクを活性エネルギーにより硬化させた後、使用される記録媒体の種類に応じて、加熱加圧処理することで種類の異なる記録媒体であっても光沢のばらつきを抑えて画質の安定化を図れるとされている。しかしながら、加熱加圧処理の場合、画像パターンによって圧力が不均一になり画質が乱れやすい、加熱加圧処理機構が大掛かりになる、などの課題があった。
【0013】
特許文献4、5では、中間転写体上の液体にエネルギー線を照射して重合物を形成し、加熱して記録媒体に転写するインクジェット記録方法において、インクのラジカル重合性基又はカチオン重合性基の一方を選択的に重合硬化させることや、単官能重合性化合物の軟化点以上の温度で加熱加圧して記録媒体に転写することで、記録媒体への密着性、及びインク被膜の強度があり、安全性のある中間転写型の画像形成方法を提供することができるとされている。しかしながら、中間転写体上を用いるため、装置が大掛かりになることや、材料が限定されるなどの課題があった。
【0014】
特許文献6では、印刷媒体に着弾したカチオン重合型の紫外線硬化型インクを加熱する加熱手段を設けたことで、環境湿度が高い状況下でも安定した硬化性が得られるとされている。しかしながら、加熱手段によりインクドットを平滑化する方法などについては、言及されていない。
また、アニオン反応性化合物と光塩基発生剤の組合せの系では、弱塩基でも反応が進むため、カチオン系と違い、腐食は問題にならないが、反応が非常に遅い、という問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上述のような実情に対して鑑みてなされたものである。
その第1の目的は、記録媒体上の活性光線硬化型インクに活性光線を照射する活性光線照射装置直前に気体を吹き付ける装置を備えることで、ドット高さを抑えた状態で活性光線を照射することにより、凹凸形状が無く、光沢感のある高画質な印刷画像が得られ、かつ薄層となるために少ないインク量で印刷が可能とすることである。さらに酸素阻害を受けない酸発生剤または塩基発生剤を含む活性光線硬化性インクを用いるため、硬化性を損なうことなく、生産性の高い記録方法を提案することができる。
ラジカル重合型インクでは、光照射によって発生したラジカルが、酸素リッチな状況下においては酸素と結合してクエンチされるため、成長反応が途中で止まり、硬化が不十分なベタベタした塗膜となる場合がある。これに対して、酸発生剤または塩基発生剤を含むインクは、酸素阻害による影響が無く、反応が最後まで進む、という特徴がある。
【0016】
その第2の目的は、活性光線照射装置直前に吹き付ける気体を温風とすることで、酸発生剤または塩基発生剤を含む活性光線硬化性インクの反応効率を向上し、より生産性の高い記録方法を提案することである。
酸発生剤または塩基発生剤を含むインクは、湿気に弱いため、吹き付ける気体は水分の少ない乾燥した気体にするとさらに反応効率が良い。
その第3の目的は、温風として照射装置からの排出風を用いることで、コンパクトで低コスト化が可能な記録方法を提案することである。
その第4の目的は、実質的に非インク吸収性の記録媒体で顕著となるドット高さを抑え、凹凸形状が無く、光沢感のある高画質な印刷画像を得ることにある。
その第5の目的は、上記の記録方法を有する記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)記録媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送されてくる記録媒体上に活性光線硬化型インクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドにより前記記録媒体上に吐出された活性光線硬化型インクに活性光線を照射する活性光線照射装置と、前記活性光線照射装置直前に気体を吹き付ける装置と、を備える記録装置を用い、前記活性光線硬化型インクとして、少なくとも1種以上の酸発生剤または塩基発生剤を含む活性光線硬化性インクを用いることを特徴とする記録方法。
(2)前記活性光線照射装置直前に吹き付ける気体が温風であることを特徴とする(1)に記載の記録方法。
(3)前記温風が前記活性光線照射装置からの排出風であることを特徴とする(2)に記載の記録方法。
(4)前記記録媒体は実質的に非インク吸収性の記録媒体であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の記録方法。
(5)記録媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送されてくる記録媒体上に活性光線硬化型インクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドにより前記記録媒体上に吐出された活性光線硬化型インクに活性光線を照射する活性光線照射装置と、前記活性光線照射装置直前に気体を吹き付ける装置とを備え、前記活性光線硬化型インクとして少なくとも1種以上の酸発生剤または塩基発生剤を含む活性光線硬化性インクを用いることを特徴とする記録装置。
【発明の効果】
【0018】
上記(1)の記録方法においては、記録媒体上の活性光線硬化型インクに活性光線を照射する活性光線照射装置直前に気体を吹き付ける装置を備えることで、ドット高さを抑えた状態で活性光線を照射することにより、凹凸形状が無く、光沢感のある高画質な印刷画像が得られ、かつ薄層となるために少ないインク量で印刷できる。さらに酸素阻害を受けない酸発生剤または塩基発生剤を含む活性光線硬化性インクを用いるため、硬化性を損なうことなく、生産性の高い記録方法を提案することができる。
上記(2)の記録方法においては、活性光線照射装置直前に吹き付ける気体を温風とすることで、酸発生剤または塩基発生剤を含む活性光線硬化性インクの反応効率を向上し、より生産性の高い記録方法を提案することができる。
上記(3)の記録方法においては、温風が照射器からの排出風であるので、コンパクトで低コスト化が可能な記録方法を提案することができる。
上記(4)の記録方法においては、インクを実質的に非吸収性の記録媒体で顕著となるドット高さを抑え、凹凸形状が無く、光沢感のある高画質な印刷画像を得ることができる。
上記(5)の記録装置においては、上述の記録方法を有することで、高画質な記録物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る記録装置の概略構成図の一例である。
【図2】本発明の実施形態に係る記録装置の概略構成図の一例である。
【図3】本発明の実施形態に係る記録装置の概略構成図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の記録方法及び記録装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る記録装置の概略構成図の一例である。
本実施形態の記録装置1においては、記録媒体5を記録媒体供給部2から記録媒体搬送部3を介して記録媒体スタッカ部4へと搬送し、記録ヘッド部6により吐出された活性光線硬化型インクが記録媒体5に着弾する。なお、これら記録媒体の搬送や記録ヘッドからのインク吐出のための駆動等、記録装置全体の動作およびそのためのデータ処理は図示しない制御回路によって制御される。
記録ヘッド6(ここではインクジェット方式の記録ヘッド)から吐出されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の活性光線硬化型インクは記録媒体5に印字される。これらの記録ヘッド6は、液路内に設けられた圧電素子の変形する圧力変化を利用して活性光線硬化型インクを吐出するものである。
【0021】
活性光線硬化型インクが着弾した記録媒体5は、記録媒体搬送部3によって搬送され、送風部7において、着弾ドット高さが低くなるように風圧で押し付けられ、直後に活性光線照射装置の照射部8にて活性光線によって硬化される。この構成にすることで、ドット高さが低い状態でインクが硬化し、凹凸の小さい、光沢感のある高画質な印刷画像が得られる。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係る記録装置の概略構成図の一例であり、4つの記録ヘッド6はそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの活性光線硬化型インクを記録媒体5に印字する。本実施形態の記録装置1は、図1と同様に記録媒体5を記録媒体供給部2から記録媒体搬送部3を介して記録媒体スタッカ部4へと搬送する。活性光線硬化型インクが着弾した記録媒体5は、記録媒体搬送部3によって搬送され、それぞれの送風部7において、着弾ドット高さが低くなるように風圧で押し付けられ、直後にそれぞれの照射部8にて硬化される。この様な構成にすることによりインクが各色毎に硬化されるので、色間の滲みがなく、鮮明な画像を得ることができる。
【0023】
図3は、本発明の実施形態に係る記録装置の概略構成図の一例であり、照射部8からの排出風が排風供給路9を通して、送風部7に供給される構成となっている。他の構成は図1に示されるものと同様であり、図1のものと比較して、コンパクトで低コスト化が可能である。
【0024】
本発明における活性光線硬化型インクは、活性光線(特に紫外線)硬化性モノマー、及び重合開始剤(光反応開始剤)を含有し、更に必要に応じて増感剤や安定剤、界面活性剤などその他の成分を含有してなる。インク組成においては、添加剤(界面活性剤、重合禁止剤、など)や着色剤(顔料や染料、など)を含まない溶媒成分を、一般的に「ビヒクル」と表現する場合がある。活性光線硬化型インクの代表的なものとしては「カチオン重合型インク」、「アニオン重合型インク」及び「ラジカル重合型インク」がある。
カチオン重合型インクはカチオン反応性化合物(カチオンモノマー)と重合開始剤としての光酸発生剤とを含むものである。
アニオン重合型インクはアニオン反応性化合物(アニオンモノマー)と重合開始剤としての光塩基発生剤とを含むものである。
ラジカル重合型インクはラジカル反応性化合物(ラジカルモノマー)と重合開始剤としての光ラジカル開始剤とを含むものである。
以下では、これらの各インクについて説明する。
【0025】
<カチオン重合型インク>
カチオン重合型インクに適用できる酸発生剤は、紫外線等のエネルギー線を受けることにより重合を開始させる物質を生成する化合物であれば良く、オニウム塩であるアリールスルフォニウム塩やアリールヨウドニウム塩が好適に使用できる。さらに必要に応じて、N−ビニルカルバゾール、チオキサントン化合物、9,10−ジブトキシアントラセン等のアントラセン化合物等の光増感剤を併用できる。
【0026】
カチオン重合型インクに用いるエポキシ化合物としては、例えばビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールBA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、ビスフェノールAD型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ、脂環式エポキシ、フルオレン系エポキシ、ナフタレン系エポキシ、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、複素環式エポキシ、αオレフィンエポキシ等を挙げることができる。
特に脂環式エポキシ化合物は、粘度が低く且つ硬化速度が速く本発明のカチオン重合型インク組成物に好適に適用できる。例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート及びこのε−カプロラクトン変成物、ビス−(3,4エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、1,2:8,9ジエポキシリモネン、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンが好適に使用できる。
【0027】
カチオン重合型インクに用いるオキセタン化合物としては、インクに要求される特性に応じて適宜選択すれば良く、特に基材への密着性が特に重要となる場合は3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキタセンが好適に使用できる。
【0028】
カチオン重合型インクは、必要に応じてビニルエーテル化合物を混合することができる。好適に添加できるビニルエーテルとして例えば、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ビニル4−ヒドロキシブチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニルプロピオネート、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン等が挙げられる。
ビヒクルはこれらの中から選ばれる少なくとも1種、または2種以上を混合して用いることができる。これらはいずれも記録媒体へのぬれ性が良好で広範囲の各種被着体物質に対し密着性に優れる。
【0029】
更に、低粘度化および高速化のために水および溶剤を添加しても良い。インク組成物の構成成分をいずれも良く溶解させ、印字後は速やかに蒸発するものであればいずれの溶剤でも良い。このために使用する溶剤は、ケトンおよび/またはアルコールを主溶剤とするのが好ましく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を単独又は混合さらに水との混合溶剤として使用するのが好ましい。
【0030】
カチオン重合型インクの反応性成分として、必要に応じてプロペニルエーテル及びブテニルエーテルを配合できる。例えば1−ドデシル−1−プロペニルエーテル、1−ドデシル−1−ブテニルエーテル、1−ブテノキシメチル−2−ノルボネン、1−4−ジ(1−ブテノキシ)ブタン、1,10−ジ(1−ブテノキシ)デカン、1,4−ジ(1−ブテノキシメチル)シクロヘキサン、ジエチレングリコールジ(1−ブテニル)エーテル、1,2,3−トリ(1−ブテノキシ)プロパン、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等が好適に適用できる。
【0031】
<アニオン重合型インク>
アニオン重合型インクに適用できる塩基発生剤としては、o−ニトロベンジルカーバメート、α,α−ジメチルベンジルカーバメート、α−ケトカーバメート誘導体、N−ヒドロキシイミドカーバメート、などの第一級アミンまたは第二級アミンや、フェニルグリオキシレートのアンモニウム塩、ベンズヒドリルアンモニウム塩、N−ベンゾフェノンメチル−トリ−N−アルキルアンモニウムホウ酸塩、第四級α−アンモニウムアセトフェノン塩のホウ酸塩、ジチオカーバメート、チオシアナート、および他の対イオン、またはアミンイミド誘導体からなる塩が挙げられる。
具体的には、みどり化学株式会社製のANC−101(アニソイン−N−シクロヘキシルカーバメート、NBC-101(2−ニトロベンジル−N−シクロヘキシカーバメートが適する。
特に、ANC−101は硬化時の黄味が小さく、クリアインクにおいて有効である。
【0032】
光開始助剤としては、トリエタノールアミン、2ジメチルアミノ安息香酸エチル、4ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、重合性3級アミン等が挙げられる。また、アニオン重合は反応速度が若干遅いため、ラジカル重合反応との組合せを併用する場合がある。
モノマーとしては、アニオン重合性を有するモノマーであれば、特に限定されないが、アニオン重合性モノマーとしては、エポキシ類が挙げられる。
また、ラジカル重合性であると共にアニオン重合性を有するモノマーも用いることが可能であり、(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、内部二重結合を有する化合物(マレイン酸など)等が挙げられる。二種以上のモノマーを併用してもよい
【0033】
<ラジカル重合型インク>
ラジカル光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系,ベンゾフェノン系、ベンゾフェノン、チオキサントン系、その他アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート等の特殊グループがあり、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルメチルケタール、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(略称 αヒドロキシケトン)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(A),ベンゾフェノン(B)ブレンド(略称 α-ヒドロキシケトンブレンド)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン2(略称 α-ヒドロキシケトン)、pイソプロピルαヒドロキシイソブチルフェノン、1,1ジクロロアセトフェノン、2クロロチオキサントン、等が挙げられる。
【0034】
具体的には、バイキュア10、30、55(ストウファー)、KAYACURE BP-100、KAYACURE BMS、KAYACURE DETX-S、KAYACURE CTX、KAYACURE 2-EAQ、KAYACURE DMBI、KAYACURE EPA(日本化薬)、イルガキュア127、184、819、907、369、379、500、2959、ダロキュア1173、MBF、TPO(BASF)、カウンタキュアCTX、カウンタキュアBMS、カウンタキュアITX、カウンタキュアPDO、カウンタキュアBEA、DMB(ワードブレンキンソップ)、サンキュアーIP、BTTP(日本油脂)等がある。その他、光開始剤含有タイプの光硬化型樹脂を使用しても良い。
【0035】
本発明におけるインクの主成分は、ラジカル光重合開始剤、塩基発生剤から発生する開始種により重合反応を起こさせる各種公知のラジカル重合性のモノマーが好ましい。ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、内部二重結合を有する化合物(マレイン酸など)等が挙げられる。以下、単官能の重合性化合物、及び多官能の重合性化合物を詳細に例示する。
【0036】
単官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、ヘキシル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert‐オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4‐n‐ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2‐クロロエチル(メタ)アクリレート、4‐ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3‐メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2‐(2‐メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2‐(2‐ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2‐トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H‐パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4‐ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5‐テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4‐クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2‐メタクリロイロキシエチルコハク酸、2‐メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2‐メタクリロイロキシエチル‐2‐ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性‐2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
本発明に用いるラジカル重合型インクに使用できる単官能の(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N‐メチル(メタ)アクリルアミド、N‐エチル(メタ)アクリルアミド、N‐プロピル(メタ)アクリルアミド、N‐n‐ブチル(メタ)アクリルアミド、N‐t‐ブチル(メタ)アクリルアミド、N‐ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N‐イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N‐メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
【0038】
本発明に用いるラジカル重合型インクに使用できる単官能の前記芳香族ビニル類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3‐メチルスチレン、4‐メチルスチレン、3‐エチルスチレン、4‐エチルスチレン、3‐プロピルスチレン、4‐プロピルスチレン、3‐ブチルスチレン、4‐ブチルスチレン、3‐ヘキシルスチレン、4‐ヘキシルスチレン、3―オクチルスチレン、4‐オクチルスチレン、3‐(2‐エチルヘキシル)スチレン、4‐(2‐エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4‐t‐ブトキシカルボニルスチレン、4‐メトキシスチレン、4‐t‐ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0039】
二官能の(メタ)アクリレートの具体例として、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10‐デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4‐ジメチル‐1,5‐ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2‐エチル‐2‐ブチル‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2‐エチル‐2‐ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9‐ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0040】
三官能の(メタ)アクリレートの具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ビヒクルはこれらの中から選ばれる少なくとも1種、または2種以上を混合して用いることができる。記録媒体への密着性に優れるオリゴマーやプレポリマーを添加してもよい。
【0041】
更に、低粘度化および高速化のために水および溶剤を添加しても良い。インク組成物の構成成分をいずれも良く溶解させ、印字後は速やかに蒸発するものであればいずれの溶剤でも良い。このために使用する溶剤は、ケトンおよび/またはアルコールを主溶剤とするのが好ましく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を単独又は混合さらに水との混合溶剤として使用するのが好ましい。
【0042】
本発明に用いる着色剤としては、上記ビヒクルに良分散して耐候性に優れた顔料が望ましい。特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤あるいはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、青またはシアン顔料としては、pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17-1、22、27、28、29、36、60、緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、128、137、138、139、150、151、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26などが目的に応じて使用できる。
【0043】
具体的に商品名を示すと、例えば、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF-1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレット RE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS-3、5187、5108、5197、5085N、SR-5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN-EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G-550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA-1103、セイカファストエロー10GH、A-3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY-260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR-116、1531B、8060R、1547、ZAW-262、1537B、GY、4R-4016、3820、3891、ZA-215、セイカファストカーミン6B1476T-7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B-430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN-EP、4940、4973(大日精化工業製)、KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(DIC製)、Colortex Yellow 301、314、315、316、P-624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA-414、U263、Finecol Yellow T-13、T-05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P-625、102、H-1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P-908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素製)、Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP-S(東洋インキ製造製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG-02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ製)、カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、MA220、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9、(三菱化学製)などが挙げられる。
【0044】
顔料の添加量はインク100重量部に対して1〜20重量部が適量である。0.1重量部未満では画像品質が低下し、20重量部より多いとインク粘度特性に悪影響を与える。また、色の調整等で2種類以上の着色剤を適時混合して使用できる。
【0045】
本発明のインク組成物に更に機能性を発現するため、各種の増感剤、光安定化剤、表面処理剤、界面活性剤、粘度低下剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、重合禁止剤、可塑剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、保湿剤、分散剤、染料等を混合することができる。
【0046】
上記したビヒクル、着色剤及びその他の成分の混合、分散には、ビーズミル、ホモジナイザを用いることが多いが、周知の各種の粉砕又は分散装置が特に制限無く使用できる。
これらには、高速回転ミル、ローラーミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル等の区分があり、例えば、ハイスピードデイスパーサ、インペラデイスパーザ、ゲートミキサ、ビーズミル、サンドミル、パールミル、コブラミル、ピンミル、モリネックスミル、撹拌ミル、ユニバーサルミル、センチュリーミル、プレッシャミル、アジテータミル、2本ロールエクストルーダ、2本ロールミル、3本ロールミル、ニッチェミル、ニーダ、ミキサ、コロイドミル、ストーンミル、ケーデイミル、遊星ミル、ボールミル、パドルミキサ、アトライター、フロージェットミキサ、スラッシャーミル、ペグミル、マイクロフルダイザ、クレアミックス、ライノミル、ピン付きビーズミル、横型ビーズミル等がある。
【実施例】
【0047】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、記載例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
ビヒクルとして、γ―ブチロラクトンメタクリレート(大阪有機化学工業製、GBLMA)100質量部、塩基発生剤アニソイン−N−シクロヘキシルカーバメート(みどり化学製、ANC−101)10質量部を計量し、さらに着色剤として、ブラック加工顔料(BASF製、MICROLITH Black−CK)3重量部、分散剤(日本ルーブリゾール製、ソルスパース32000)を加えた混合物を、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製MULTI-LAB型)およびホモジナイザ(日立工機製HG30)を用いて、均質な混合物が得られるまで混合、分散し、続いてろ過を行い、不純物等を除去して均質なインク組成物を得た。記録ヘッドとして、リコープリンティングシステムズ(株)製GEN4ヘッドを用いて、前記インク組成物を白PET上に塗布し、UV照射器としてInetegrationTechnology社SubZero085(Aバルブ使用)を用いて、硬化させた。解像度:150×150dpi、搬送速度100mm/secで白PETを搬送した。送風器は、圧縮空気を5m/sec以上の風速、温度が約40℃となるように調整して、UV照射器の直前に設置した。ドット平坦化の様子を観察した結果、約3μmのドット高さで均一なドット形状が得られた。
また、ヘッドを4個配列して、解像度:600×600dpiでベタ印刷を実施した結果、均一な光沢感のあるベタ画像を得ることができた。
【0048】
〔実施例2〕
ビヒクルとして、アクリロイルモルフォリン(興人製、ACMO)100質量部、ラジカル光重合開始剤(BASF製、ルシリンTPO)10質量部、塩基発生剤アニソイン−N−シクロヘキシルカーバメート(みどり化学製、ANC−101)10質量部を計量し、さらに着色剤として、ブラック加工顔料(BASF製、MICROLITH Black−CK)6重量部、分散剤(日本ルーブリゾール製、ソルスパース32000)を加えた混合物を、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製MULTI-LAB型)およびホモジナイザ(日立工機製HG30)を用いて、均質な混合物が得られるまで混合、分散し、続いてろ過を行い、不純物等を除去して均質なインク組成物を得た。記録ヘッドとして、リコープリンティングシステムズ(株)製GEN4ヘッドを用いて、前記インク組成物を白PET上に塗布し、UV照射器としてInetegrationTechnology社SubZero085(Aバルブ使用)を用いて、硬化させた。解像度:150×150dpi、搬送速度100mm/secで白PETを搬送した。送風器は、圧縮空気を10m/sec以上の風速、温度が約40℃となるように調整して、UV照射器の直前に設置した。ドット平坦化の様子を観察した結果、約3μmのドット高さで均一なドット形状が得られた。
また、ヘッドを4個配列して、解像度:600×600dpiでベタ印刷を実施した結果、均一な光沢感のあるベタ画像を得ることができた。
【0049】
〔実施例3〕
ビヒクルとして、アクリロイルモルフォリン(興人製、ACMO)100質量部、ラジカル光重合開始剤(BASF製、ルシリンTPO)10質量部、塩基発生剤アニソイン−N−シクロヘキシルカーバメート(みどり化学製、ANC−101)10質量部を計量し、さらに着色剤として、シアン加工顔料(BASF製、MICROLITH Blue−4G−K)6重量部、分散剤(日本ルーブリゾール製、ソルスパース32000)を加えた混合物を、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製MULTI-LAB型)およびホモジナイザ(日立工機製HG30)を用いて、均質な混合物が得られるまで混合、分散し、続いてろ過を行い、不純物等を除去して均質なインク組成物を得た。記録ヘッドとして、リコープリンティングシステムズ(株)製GEN4ヘッドを用いて、前記インク組成物を白PET上に塗布し、UV照射器としてInetegrationTechnology社SubZero085(Aバルブ使用)を用いて、硬化させた。解像度:150×150dpi、搬送速度500mm/secで白PETを搬送した。送風は、前記UV照射器を冷却するための排出風をアルミ製のジャバラ/排風供給路を通して、5m/sec以上の風速、温度が約40℃となるように調整して、UV照射器の直前に設置した。ドット平坦化の様子を観察した結果、約3μmのドット高さで均一なドット形状が得られた。
また、ヘッドを4個配列して、解像度:600×600dpiでベタ印刷を実施した結果、均一な光沢感のあるベタ画像を得ることができた。
【0050】
〔実施例4〕
ビヒクルとして、アロンオキセタン(東亞合成、OXT−221)67質量部、脂環式エポキシ(ダイセル化学製、S2000)33重量部、酸発生剤トリアリールスルホニウム塩プロピレンカーボネート(ADEKA製、SP−152)6質量部、増感剤(旭電化工業製、SP−100)4質量部を計量し、さらに着色剤として、シアン加工顔料(BASF製、MICROLITH Blue−4G−K)6重量部、分散剤(日本ルーブリゾール製、ソルスパース32000)を加えた混合物を、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製MULTI-LAB型)およびホモジナイザ(日立工機製HG30)を用いて、均質な混合物が得られるまで混合、分散し、続いてろ過を行い、不純物等を除去して均質なインク組成物を得た。記録ヘッドとして、リコープリンティングシステムズ(株)製GEN4ヘッドを用いて、前記インク組成物を白PET上に塗布し、UV照射器としてInetegrationTechnology社SubZero085(Aバルブ使用)を用いて、硬化させた。解像度:150×150dpi、搬送速度500mm/secで白PETを搬送した。送風は、前記UV照射器を冷却するための排出風をアルミ製のジャバラ/排風供給路を通して、5m/sec以上の風速、温度が約40℃となるように調整して、UV照射器の直前に設置した。ドット平坦化の様子を観察した結果、約3μmのドット高さで均一なドット形状が得られた。
また、ヘッドを4個配列して、解像度:600×600dpiでベタ印刷を実施した結果、均一な光沢感のあるベタ画像を得ることができた。
【0051】
〔比較例〕
ビヒクルとして、アクリロイルモルフォリン(興人製、ACMO)100質量部、ラジカル光重合開始剤(BASF製、ルシリンTPO)10質量部を計量し、さらに着色剤として、さらに着色剤として、ブラック加工顔料(BASF製、MICROLITH Black−CK)6重量部、分散剤(日本ルーブリゾール製、ソルスパース32000)を加えた混合物を、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製MULTI-LAB型)およびホモジナイザ(日立工機製HG30)を用いて、均質な混合物が得られるまで混合、分散し、続いてろ過を行い、不純物等を除去して均質なインク組成物を得た。記録ヘッドとして、リコープリンティングシステムズ(株)製GEN4ヘッドを用いて、前記インク組成物を白PET上に塗布し、UV照射器としてInetegrationTechnology社SubZero085(Aバルブ使用)を用いて、硬化させた。解像度:150×150dpi、搬送速度500mm/secで白PETを搬送した。送風は行わなかった。ドットの様子を観察した結果、ドット高さが約10μmのドット形状となった。
また、ヘッドを4個配列して、解像度:600×600dpiでベタ印刷を実施した結果、光沢感のないザラザラした低画質のベタ画像となった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、被記録媒体が浸透性、非浸透性を問わずに、幅広い被記録媒体に対して高画質な画像形成を行うことができるので、各種紙、金属、缶、プラスチック、紙、木質材、無機質材、塗装板、ラミネート板、PETのフィルムなどへの印刷に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 記録装置
2 記録媒体供給部
3 記録媒体搬送部
4 記録媒体スタッカ部
5 記録媒体
6 記録ヘッド部
7 送風部
8 照射部
9 排風供給路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2007−083566号公報
【特許文献2】特開2007−144759号公報
【特許文献3】特開2004−306425号公報
【特許文献4】特開2008−179136号公報
【特許文献5】特開2008−044235号公報
【特許文献6】特開2002−137375号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送されてくる記録媒体上に活性光線硬化型インクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドにより前記記録媒体上に吐出された活性光線硬化型インクに活性光線を照射する活性光線照射装置と、前記活性光線照射装置直前に気体を吹き付ける装置と、を備える記録装置を用い、前記活性光線硬化型インクとして、少なくとも1種以上の酸発生剤または塩基発生剤を含む活性光線硬化性インクを用いることを特徴とする記録方法。
【請求項2】
前記活性光線照射装置直前に吹き付ける気体が温風であることを特徴とする請求項1に記載の記録方法。
【請求項3】
前記温風が前記活性光線照射装置からの排出風であることを特徴とする請求項2に記載の記録方法。
【請求項4】
前記記録媒体は実質的に非インク吸収性の記録媒体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の記録方法。
【請求項5】
記録媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送されてくる記録媒体上に活性光線硬化型インクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドにより前記記録媒体上に吐出された活性光線硬化型インクに活性光線を照射する活性光線照射装置と、前記活性光線照射装置直前に気体を吹き付ける装置とを備え、前記活性光線硬化型インクとして少なくとも1種以上の酸発生剤または塩基発生剤を含む活性光線硬化性インクを用いることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−157985(P2012−157985A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17446(P2011−17446)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】