説明

記録装置、再生装置、プログラム。

【課題】 ビデオストリーム毎の転送レートの変動が大きい場合でも、高効率なIピクチャ読み出しを保証することができる、記録装置を提供する。
【解決手段】 ビデオストリームに含まれるイントラピクチャのサイズが計測されれば、解析部6は、イントラピクチャの出現数を、計測されたイントラピクチャのサイズ毎に集計することにより、イントラピクチャの出現数分布を得る。そして001bから111bまでの値と、分布範囲との割り当てを、解析部6が得た出現数分布に基づき決定して、当該割り当てを示すテーブルを得る。その後、001bから111bまでの値を用いて、各イントラピクチャのサイズを表したエントリーマップを、テーブルに対応づけて記録媒体に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エントリーマップ作成技術に属する発明である。
【背景技術】
【0002】
エントリーマップとは、ストリーム中に存在する復号が可能な位置から読み出すための情報であり、ビデオに対するエントリーマップを例にとれば、各Iピクチャ(イントラピクチャ)のアドレス及びサイズを示す。エントリーマップ作成技術は、MPEG-2,MPEG-4 AVC等、フレーム間の相関性を用いて符号化されたビデオストリームを再生するにあたって不可欠な技術であり、現在、BD-RE規格に採用されている。
【0003】
MPEG2-Video、MPEG4-AVC等の符号化方式においてビデオストリームが符号化されている場合、ビデオストリームは、かかるフレーム間の相関性を用いて圧縮されているため、Iピクチャを復号した後でなければ、他のPピクチャ、Bピクチャは復号できない。そこで再生装置は、エントリーマップを読み込み、どの位置からデータを読み込めばよいか解釈する。これにより再生装置は、ストリームの中身を実際に解析しなくても、ビデオストリーム内のどこから、読み込みを始めれば、Iピクチャから復号できるかを即断することができる。エントリーマップを利用することによって、データを不必要に読み込むことなく、次から次へと、Iピクチャを読み出してゆくことができる。そのため、光ディスク等、低速な記録媒体にビデオストリームが記録されている場合でも、早送り再生や逆再生などの特殊再生を好適に実現することができる。
【0004】
以降エントリーマップについて説明する。エントリーマップは、ビデオストリームに含まれる複数Iピクチャについてのエントリー情報を含む。このエントリー情報はI_start、I_endの組みを示す。
I_startはビデオストリーム先頭からの相対アドレスであり、I_endはIピクチャの大きさを示す3ビットのデータである。Iピクチャのサイズを僅か3ビットのビット幅で表現するのは、ビデオストリームでは多くのIピクチャが発生するので、Iピクチャ1つ当たりのデータ表現を短くしたいとの要望による。
【0005】
ここで3ビットデータによるIピクチャサイズの表現について説明する。BD-REは、平均24Mbpsの転送レートがビデオストリームに割り当てられるので、Iピクチャのサイズが大体決まった範囲になると考えることができる。そして、Iピクチャサイズが取り得る範囲を、7つに分割する。この“7”という値は、3ビットのデータで表現できる数値範囲である(001b〜111b)。それから、これら分割範囲を意味する数値、つまり、001bから111bまでの数値を用いてIピクチャのサイズを表現する。こうすることでIピクチャのサイズを3ビットで表現することができる。
【特許文献1】特開2000−228656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこの3ビットデータの表現は、ビットレートの変動の幅が小さいことを前提にしている。何故なら、エントリーマップ技術を採用したBD-RE規格は、放送媒体を対象にしており、放送媒体では、ビットレートの変動幅が小さいと考えて支障はないからである。しかしBD-ROMなどのパッケージメディアから、ビデオストリームが供給されること想定すると、事情は変わってくる。パッケージメディアには、高画質な本編映像や、低画質な“おまけ映像”等、様々な映像が記録されている。パッケージメディアからのビデオストリーム供給は、平均48Mbpsという高レートでなされる場合や平均1Mbpsという低レートでなされる場合があり、転送レートの変動の幅が大きい。転送レートの変動の幅が大きいと、上述したようなI_endの3ビットというビット幅では不足であり、Iピクチャのサイズを正確に表現しきれないという問題点がある。その表現の不正確さから、再生装置は、Iピクチャサイズを大きく見積もって、読み出し処理を行うことになり、読出効率が悪化するという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、ビデオストリーム毎の転送レートの変動が大きい場合でも、高効率なIピクチャ読み出しを保証することができる、記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る記録装置は、デジタルストリームにおいてイントラピクチャが占有しているサイズを検出して、イントラピクチャのサイズを含む検出値を出力する検出手段と、検出手段により出力された複数の検出値を、N個のグループに分類する分類手段と、各グループに属するイントラピクチャサイズの分布範囲と、各グループを表す1からNまでの数値とを対応づけて示す割当情報を生成する割当手段と、前記1からNまでの数値を用いて、デジタルストリームに含まれる各イントラピクチャを表したエントリーマップを、割当情報に対応づけて記録媒体に書き込む書込手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
上記構成において出現頻度は、ビデオストリームにおけるビットレートの高低に応じて変化するため、この分布に基づき、Iピクチャサイズの出現範囲と、数値との割り当てを決めれば、かかる割り当ては、分布に基づくものとなる。こうした割り当てを示すテーブルを記録するので、再生時にあたっては、上述したテーブルを記録することで、上述した数値がどのIピクチャサイズの出現範囲を表すかを知得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以降、本発明に係る記録装置、再生装置の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る記録装置200、再生装置300を示す図である。先ず初めに、記録装置200による記録、再生装置300による再生の対象となる記録媒体100について説明する。
<記録媒体100>
記録媒体100は、AVClipと対応づけて、EP_mapを記録しておくための記録媒体である。AVClipとは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、グラフィクスストリーム等、複数のエレメンタリストリームを多重化することにより得られる多重化されたトランスポートストリームである。
【0011】
次に、EP_mapについて説明する。図2(a)は、EP_mapの内部構成を示す図である。本図に示すようにエントリーマップは、一般情報(EP_map_GI)と、複数Iピクチャについてのエントリー情報(Entry#1〜#k〜)を含む。このエントリー情報はI_start、I_endの組みを示す。図2(b)は、各エントリーにおけるI_start、I_endの意味合いを示す図である。図2(b)下側は、ビデオストリームを示し、上側はEP_mapにおけるEntry群を示している。このビデオストリームはIピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャを含む。EP_mapにおける各エントリーのI_startは、個々の先頭の位置(Address#1,#2)を示す。I_endは、各Iピクチャのサイズを示す3ビットの値(001b,010b)を有する。各エントリーに、Iピクチャの位置及びサイズが示されているので、図2(c)に示すように、ビデオストリームのうちIピクチャのみを読み込んで再生することにより、2倍速、3倍速といった特殊再生を実現することができる。
【0012】
<記録装置200>
記録装置200は、自身に対する音声入力、映像入力に基づきエンコードを行うことによりAVClipを得る。またAVClipに対応するEP_mapを作成して、AVClipをEP_mapと共に記録媒体100に書き込む。ここで記録装置200は、Iピクチャサイズを短いビット幅で表現することにより、エントリー群の総サイズが小さくなるようにする。
【0013】
以降記録装置200によるIピクチャサイズの表現について説明する。
Iピクチャのサイズをバイト単位で記録しておけば、Iピクチャのサイズが正確に分かるため、Iピクチャだけを連続して高速再生する際に無駄なデータを読み込まずにすむ。しかし、バイト単位でIピクチャを記録するためには、多くのビット数を必要とする。たとえば、Iピクチャの最大サイズを1Mバイトと仮定すると、20ビットのビット幅が必要となる。一方Iピクチャは、約0.5秒ごとに出現するため、ビデオストリームの時間長に応じて、EP_mapの規模は膨大になってしまう。その反面光ディスクからの読み取りは、セクタ、ECCブロックといった、光ディスク上の読出単位毎になされる。そのような読み出しの実情を鑑みると、実際にはバイト単位ほどの精度は必要ではない。そこで記録装置200は、ECCブロックの個数を用いて、Iピクチャサイズを表現する。ECC(Error Correction Code)ブロックとは、リード・ソロモン符号化などの単位であり、そのブロック内でデータの読み取りエラーがあればエラーがあったことを検出でき、また多少の読み取りエラーがあっても正確なデータに復元できることを保証する単位である。
【0014】
BD-ROMの場合において、ECCブロック長は64Kバイトである。再生装置300は、ECCブロック毎にデータを読み出し、ECCブロック内の必要なデータのみをメモリやデコーダなどに転送する。IピクチャのサイズがECCブロックより小さくても、あるいは、ECCブロックのサイズと同じくらい大きくても、記録媒体からはECCブロック単位で読み出されるため、記録媒体から読み出すサイズに変わりはない。
【0015】
以上の事情を踏まえてEP_mapに格納するIピクチャのサイズをECCブロックサイズのような読み取り時に意味のある単位で記録しておく。最大1Mバイトのサイズを、ECCブロック数で表現とすると、ECCブロックサイズが64Kバイトの場合は、最大20ブロック(1Mバイト<64Kバイトx20)となる。
ECCブロック個数である“20”という数値は、5ビットあれば表現することができる。この方法を用いれば、EP_mapのデータサイズを縮小することができる。
【0016】
Iピクチャサイズ表現のためのビット幅を、更に短くするための最適化について説明する。Iピクチャサイズは、圧縮しようとする原画の特性と圧縮アルゴリズムに依存する。しかしIピクチャのサイズは多少のバラツキがあるとはいえ、ビデオストリームへの割り当て転送レートが24Mbpsというように固定されていれば、Iピクチャサイズはある一定の範囲に集中する。図3は、あるコンテンツでのIピクチャの出現頻度を、ECCブロックサイズごとに分けて示した例である。圧縮しようとする原画には、自然画、アニメーションのように様々な種別があり、これらの原画は異なる特性をもつ。また、割り当てられるビットレートも違うので、図3の出現数分布においてIピクチャサイズが集まる場所に差はある。しかし同じような分布(正規分布)を示すことが経験的に判明している。
【0017】
図3上段のグラフにおいて縦軸はIピクチャの出現数を示し、横軸は、ECCブロックの個数を用いてIピクチャのサイズを表す。またこの横軸は多重化されたストリーム中のIピクチャの開始アドレスから、そのIピクチャの終了アドレスまでのオフセット量(I_end)として解釈される。
自然画、アニメーションのように原画の特性が違うものを1つのビデオストリームとして圧縮する場合はともかく、1つのビデオストリームに圧縮される原画は、大体同じ特性をもつ。そのため、出現数分布における出現数は、横軸上の1箇所に集中する場合がほとんどである。図3の出現数分布であると、Iピクチャサイズは、ECCブロック数=8〜9の範囲に出現している。
【0018】
Iピクチャは、参照するピクチャとの差分を示すことはない。必ず一画面分の画素成分を有しているため、Iピクチャのサイズはあまり小さくならず、ECCブロック数=7以下のものはほとんど存在しない。また同じアルゴリズムで圧縮するため、よほど圧縮しにくい画像でない限りIピクチャのサイズが極端に大きくなることも少ない。
そこで、出現頻度の高いIピクチャサイズ(ECCブロック数)の分解能を維持しつつ、出現頻度の少ないところはまとめてしまうことによって、より少ないビット幅でIピクチャのサイズを表現する。図3において、例えばビデオストリームに割り当てられた転送レートが24Mbpsである場合に、Iピクチャサイズが最大32ECCブロックになるとして説明する。この32個という個数を表現するには5ビット必要になる。しかし、出現数分布の横軸を16グループあるいは8グループに分けて、どのグループに属するかにより、Iピクチャサイズを表現すれば、4ビットあるいは3ビットでIピクチャのサイズを表現することが可能となる。
【0019】
ここで3ビットというビット幅によるデータ表現は、効果的でなければならない。全てのIピクチャが100bKバイト以上である場合、0から90Kバイトまでの範囲を、細かく分割して3ビットデータで表現するというのは、無駄であり、避けるべきである。
本出現数分布において一番小さなIピクチャサイズが92276バイトであるとすると、IピクチャサイズをECCブロック数で表現すれば1.4ECCブロック≒92276バイトであり、0≦1.4ECCブロック<2ECCブロックになる。そのため再生装置300による読み取り量は、最低でも2ECCブロックになり、これを下回ることはない。これらのことから、再生装置300による読み取りが最低でも2ECCブロックになるように、割り当てを行う。
【0020】
図中の破線は、Iピクチャサイズの出現範囲の分割境界を表す。本図に示すように、Iピクチャの出現範囲は、0個、2個,4個,6個,9個,14個,20個のECCブロックサイズにおいて分割されていることがわかる。この分割の境界に対し、001b〜111bという7通りの値を割り当てる。図3の下段は、かかる割り当てを示す。0個という境界には001bが、2個という境界には010bが、4という境界には011bが、6という境界には100bが、9という境界には101bが、14という境界には110bが、20という境界には111bがそれぞれ割り当てられていることがわかる。本実施形態において3ビット値000bは、境界に割り当てない。000bを用いないのは、3ビットデータが000bである場合、そのエントリーは無効であることを示すよう取り決めたいとの理由による。
【0021】
以上のように、分割境界が割り当てられた001b〜111bの数値を用いてIピクチャのサイズを表し、I_endに記述しておく。例えば、あるIピクチャのIピクチャサイズが65536バイトであり、ECCブロック1個分のサイズであるなら、そのIピクチャのサイズは、図3において0個以上2個未満の範囲に属することになる。そのため、この範囲を示す“001b(=1)”をI_endに記述することにより、Iピクチャサイズは表現されることになる。
【0022】
また、別のIピクチャのIピクチャサイズが196608バイトであり、ECCブロック3個分のサイズであるなら、そのIピクチャのサイズは、図3において2個以上4個未満の範囲に属することになる。そのため、この範囲を示す“010b(=2)”をI_endに記述することにより、Iピクチャサイズを表現する。こうして、各エントリーにおけるI_endを記述してゆき、EP_mapを作成してゆく。以上が記録装置200についての説明である。
【0023】
<再生装置300>
再生装置300は、記録媒体に記録されたAVClipを再生する。記録媒体が、光ディスクである場合、ランダムアクセスは可能ではあるが、HDDや半導体メモリと比較すればシークが遅く、これがレスポンス低下の一番大きな原因となる。したがって、特殊再生を行うような、シークが頻発するケースでは、如何にして無駄なシークや不要なデータを読み込まないようにするかが1つの鍵となる。そのため再生装置300は、エントリーマップにおけるエントリー群を参照することにより、Iピクチャだけを連続的に再生することにより倍速再生を行う。こうした倍速再生時において、Iピクチャの位置とIピクチャのサイズの情報は非常に効果的に用いられる。再生装置300では、001b〜111bの値が、図3の下段に示すように、Iピクチャサイズに割り当てられていると考え、この値に基づき、記録媒体からの読取量を定める。ここで読取量とは、図3に示すような分割境界で、Iピクチャサイズの出現分布を、分割することにより得られた、個々の出現範囲により表現される。図4(a)〜(d)は、再生装置300により、I_endがどのように解釈されるかを示す図である。
【0024】
例えば、図4(a)に示すように、I_endを示す3ビットデータが001bであるなら、001bは“ECCブロック数=0〜2”に割り当てられている。そのためこのECCブロック数=0を読取量の下限値として解釈する。一方読取量の上限値は、3ビットデータ001bを+1した値、つまり、010bに対応する“ECCブロック数=2”であると考えることができる。そこで、0個以上2個未満の範囲が、Iピクチャサイズであるとして、Iピクチャの先頭アドレスから、ECCブロック2個分の範囲を読み出す。 図4(b)に示すように、I_endを示す3ビットデータが010bであるなら、010bは“ECCブロック数=2〜4”に割り当てられているので、そのためこのECCブロック数=2を読取量の下限値として解釈する。一方読取量の上限値は、3ビットデータ010bを+1した値、つまり、011bに対応する“ECCブロック数=4”であると、考えることができる。そこで、2個以上4個未満の範囲が、Iピクチャサイズであるとして、Iピクチャの先頭アドレスから、ECCブロック4個分の範囲を読み出す。 図4(c)に示すように、I_endを示す3ビットデータが011bであるなら、011bは“ECCブロック数=4〜6”に割り当てられているので、そのためこのECCブロック数=4を読取量の下限値として解釈する。一方読取量の上限値は、3ビットデータ011bを+1した値、つまり、100bに対応する“ECCブロック数=6”であると、考えることができる。そこで、4個以上6個未満の範囲が、Iピクチャサイズであるとして、Iピクチャの先頭アドレスから、ECCブロック6個分の範囲を読み出す。 図4(d)に示すように、I_endを示す3ビットデータが110bであるなら、110bは“ECCブロック数=14〜20”に割り当てられているので、そのためこのECCブロック数=14を読取量の下限値として解釈する。一方読取量の上限値は、3ビットデータ110bを+1した値、つまり、111bに対応する“ECCブロック数=20”であると、考えることができる。そこで、14個以上20個未満の範囲が、Iピクチャサイズであるとして、Iピクチャの先頭アドレスから、ECCブロック20個分の範囲を読み出す。

以上のように、記録装置200及び再生装置300は、3ビットデータの値を通じて、Iピクチャサイズを規定する。
【0025】
ここで図3のような割り当ては、割り当てビットレートが24Mbpsであることを前提にしている。記録媒体に記録すべきビデオストリームが複数あり、各ビデオストリームに割り当てられているビットレートが大きく違う場合、3ビットのビット幅では最適な読取量を表現することができない。図5は、割当ビットレートの変動が大きい場合の、出現数分布を示す図である。図中の実線の出現数分布は図3に示したものと同じであり、平均ビットレート=24Mbps時の出現数分布を表す。
【0026】
一方、破線の出現数分布は、平均ビットレート=1Mbps,48Mbps時の出現数分布を表す。かかる出現数分布のピークは、001bの範囲、111bの範囲に存在する。ここで、111bの範囲は、ECCブロック数=20を下限値にしているが、上限値についての規定はない。そのためこの111bの範囲に属するIピクチャを不足なく読み取るには、40,50ブロックというように、ECCブロックを多目に読み込んでおく必要がある。かかる読み込みは、ワーストケースの読み込みであり、読込量が大き過ぎになることが多い。そのため、かかるワーストケースの読み込みが多く発生すれば、読込効率は極端に低下してしまう。
【0027】
かかるワーストケースの読み込みを避けるように、記録装置200は構成されている。以降図6を参照しながら、本発明に係る記録装置200について説明する。図6は、記録装置200の内部構成を示す図である。本図に示すように、記録装置200は、ビデオエンコーダ1、マルチプレクサ2、ライトバッファ3、ドライブ装置4、統計メモリ5、解析部6、シナリオメモリ7から構成される。
【0028】
ビデオエンコーダ1は、入力されるビデオ信号をエンコードして、ビデオストリームを得て出力する。またビデオエンコーダ1は、予めエンコードされているトランスポートストリームが本装置に入力されてくる場合、このトランスポートストリームに対してトランスコードを行っても良いし、そのままマルチプレクサに出力しても良い。
マルチプレクサ2は、ビデオエンコーダ1から出力されたビデオストリームを、グラフィクスストリーム、オーディオストリームといった他のエレメンタリストリームと多重化することによりAVClipを得てライトバッファ3に書き込む。。多重化にあたってマルチプレクサ2は、AVClipにおけるIピクチャのサイズを検出して、Iピクチャのサイズである検出結果を、計測値としてとして統計メモリ5に書き込む。この“検出”には、Iピクチャの先頭部分を格納したTSパケットから末尾部分を格納したTSパケットまでのTSパケット数を計測するという計測処理、Iピクチャのサイズが記載されたフィールドから、Iピクチャサイズを読み取る読取処理を含む。予めエンコードされているトランスポートストリームが本装置に入力されてくる場合も、Iピクチャのアドレス及びサイズを、検出して、検出結果を示す計測値を統計メモリ5に書き込む。
【0029】
ここでマルチプレクサ2により出力されるIピクチャサイズの計測値とは、トランスポートストリーム形式でのIピクチャサイズを表すものであり、ビデオストリームそのもののサイズではない。トランスポートストリーム形式でのサイズなので、Iピクチャの先頭部分を格納したTSパケットから、Iピクチャの終端部分を格納したTSパケットまでデータサイズが、“Iピクチャサイズ”として表現される。従って、Iピクチャの先頭部分を格納したTSパケットから、Iピクチャの終端部分を格納したTSパケットまでに、オーディオストリーム、グラフィクスストリーム等、他のエレメンタリストリームの一部分を格納したTSパケットが存在する場合、これらオーディオストリーム、グラフィクスストリームの一部分を格納したTSパケットのサイズと、本来のIピクチャサイズとを足し合わせた値が、Iピクチャサイズの計測値として、出力されることになる。
【0030】
予めトランスポートストリームが本装置に入力されてくる場合には、必要なエレメンタリストリームだけを抽出し、PSI/SIパケットを修正したパーシャルトランスポートストリームへ変換しても良い。PSI/SIパケットとはMPEG規格や各デジタル放送規格にて規定されたプログラムの構成情報を含むパケットのことである。
ドライブ装置4は、ライトバッファ3に書き込まれたAVClipを順次記録媒体100に書き込む。
【0031】
統計メモリ5は、マルチプレクサ2から出力された計測値が複数書き込まれるメモリである。
解析部6は、統計メモリ5に書き込まれた複数の計測値を解析して、I_end_tableと、エントリー群とをシナリオメモリ7上に得る。このI_end_tableは、EP_mapの1つの構成要素であり、エントリー群と、I_end_tableとからEP_mapは生成される。こうして得られたEP_mapを解析部6は、記録媒体に書き込む。
【0032】
図7は、解析部6によるEP_map作成の処理手順を示すフローチャートである。
AVClipのマルチプレクスが完了するのを待ち(ステップS1)、完了すれば、計測値をGr(1)〜Gr(7)という7つのグループに分類する(ステップS2)。そしてGr(1)〜Gr(7)のそれぞれに属するIピクチャサイズのうち、最小のものを、ECCブロックサイズで表現する。これにより、Gr(1)〜Gr(7)のそれぞれについて、読取量の下限値を求める(ステップS3)。Gr(1)〜Gr(7)のグループ番号を、読取量の下限値に割り当てることでテーブルを作成する(ステップS4)。
【0033】
続いてエントリー群を作成する。Gr(1)〜Gr(7)のグループ番号を表す3ビットの値を用いて、各計測値におけるIピクチャサイズを表現することにより、I_endを得る(ステップS5)。そうして得たI_endを、Iピクチャアドレスを表すI_startに対応づけることにより、各Iピクチャに対するエントリー群を得る(ステップS6)。
ステップS4において得られるテーブルをI_end_tableと呼ぶことにする。I_end_tableは圧縮するストリームごとに分布が違うため、ストリームごと、ファイルごとに切り替えて設定できることが望ましい。そこで、以上の手順により、エントリー群及びI_end_tableが作成されれば、エントリー群及びI_end_tableをEP_mapにして、AVClipに対応づけて、記録媒体に記録する(ステップS7)。
【0034】
ここでエントリー群の作成は、以下のようにしてなされる。つまり、EP_map内にI_end_tableを定義する領域を確保しておき、Iピクチャサイズの出現数分布特性に合わせて、前述の要領でI_end_tableを作成し、EP_map内に記述する。これにより再生時には、ストリームごと、ファイルごとに、Iピクチャを確実に読み取るためのI_endの規定テーブルであるI_end_tableを切り換えることができる。
【0035】
AVClipを解析して得られたIピクチャサイズが、図3に示す出現数分布をなしていた場合、Iピクチャの数が均等になるように、I_endの設定は行われることが望ましい。この均等化は、全Iピクチャ(N個)毎にそのサイズを解析し、全てのIピクチャのサイズを昇順にソートし、Iピクチャの総数を7で割った数で順番に区切り、これに一番近く大きいサイズであるECCブロックの倍数を設定していくことで実現することができる。
【0036】
このような処理手順を示したのが、図8のフローチャートである。図8は、計測値の分類処理の処理手順を示すフローチャートである。
計測値を、Iピクチャサイズが小さい順にソートする(ステップS11)。そうして得られた計測値列を、以下に示すように分類する(ステップS12)。
第1位 〜第1/7×N-1位 =>Gr(1)
第1/7×N位 〜第2/7×N-1位 =>Gr(2)
第2/7×N位 〜第3/7×N-1位 =>Gr(3)
第3/7×N位 〜第4/7×N-1位 =>Gr(4)
第4/7×N位 〜第5/7×N-1位 =>Gr(5)
第5/7×N位 〜第6/7×N-1位 =>Gr(6)
第6/7×N位 〜第N位 =>Gr(7)
その結果、Gr(1)〜Gr(7)という7つのグループが得られる。例えば、Gr(3)が5.3ECCブロックであった場合には、Gr(3)は5.3以上であり一番近い整数値である6を設定することが望ましい。
【0037】
なおこの例では、32ECCブロック分(5ビット分)を7つのグループ(3ビット)にグルーピングした例を説明しているが、グループ数などはより少なくなる方向であれば、いくつでもよい。
図9に示す具体例を一例にして、ステップS12における分類について詳細に説明する。
【0038】
図中の左側は、複数の計測値を示す。右側は、この複数の計測値に対し、ソートを行った結果を示す。そして図中の括弧記号は、Gr(1)〜Gr(7)という7つのグループへの分類を示す。
かかる分類により、第1位の計測値「63520」から第1/7×N-1位までがGr(1)に、第1/7×N位 の計測値「92276」から第2/7×N-1位の計測値までがGr(2)に、第2/7×N位の計測値「124322」から第3/7×N-1位の計測値までがGr(3)に、第6/7×N位の計測値「368210」から第N位の計測値「399392」までがGr(7)に分類されていることがわかる。
【0039】
図10(a)〜(c)は、IピクチャサイズをECCブロック数に変換するにあたっての、変換の詳細を示す図である。IピクチャサイズをECCブロック数に変換するにあたっては、IピクチャサイズをECCブロックサイズで割った商を求め、この商を、ECCブロック数とすればよい(図10(a))。
しかしこの場合、図10(b)のようにIピクチャサイズがECCブロックサイズより小さい場合、ECCブロック数が“0”になってしまう。
【0040】
また、ECCブロック境界に正しくアラインされていればよいが、アラインされていない場合、読取量が不足する。アラインとは、IピクチャがECCブロック境界から正しく配置されていることをいう。IピクチャがECCブロック途中から配置されている場合、IピクチャサイズそのものはECCブロック2個分であっても、2個ECCブロックを読み取っただけでは、Iピクチャの一部が欠落することがある。図10(c)は、ECCブロック境界に、Iピクチャがアラインされていないケースの一例である。これら図10(b)(c)のケースを想定して、本実施形態では、IピクチャサイズをECCブロック数に変換するにあたっての変換式を
ECCブロック数 = Iピクチャサイズ/ECCブロックサイズ +1
とする。
【0041】
この“+1”は、ECCブロックを1つ多目に見積もるという意味であり、かかるECCブロック数の算出により、図10(b)のようにIピクチャサイズがECCブロックサイズに満たない場合も、ECCブロック境界に、Iピクチャがアラインされていない場合も、不足なくIピクチャを読み出すことができる。
図11は、I_end_tableと、エントリー群とを一体化することで得られたEP_mapを示す図である。本図においてI_end_tableは、EP_mapのIピクチャ情報(EP_map_GI)という情報要素として、EP_mapに組み込まれている。I_end_tableがEP_mapに組み込まれているので、再生装置300はEP_map_GIにおけるI_end_tableを参照することで、エントリー内のI_end(3ビットデータ)の意味合いを正しく解釈することができる。
【0042】
以上が本発明に係る記録装置200の内部構成である。続いて本発明に係る再生装置300の内部構成について説明する。図12は、本発明に係る再生装置300の内部構成を示す図であり、ドライブ装置11、リードバッファ12、デマルチプレクサ13、ビデオデコーダ14、シナリオメモリ15、変換部16、再生制御部17から構成される。
ドライブ装置11は、EP_map及びAVClipが記録された記録媒体を装填して、当該記録媒体に対する読み書きを行う。
【0043】
リードバッファ12は、ドライブ装置11から読み出されたAVClipを一旦格納しておくためのバッファである。
デマルチプレクサ13は、AVClipを多重分離して、ビデオストリーム、グラフィクスストリーム、オーディオストリームを得る ビデオデコーダ14は、デマルチプレクサ13の多重分離により得られたビデオストリームをデコードして、映像出力を行う。
【0044】
シナリオメモリ15は、I_end_table及びエントリー群が読み出されるメモリである。
変換部16は、I_end_tableを参照して、エントリー群におけるエントリーに記述されている3ビットのI_endデータを、読取量に変換する。ここでエントリー群におけるあるエントリーにおいて、値xxxがI_endとして記述されている場合、この値xxxに対応づけられているECCブロック数yをI_end_tableから読み出し、このECCブロック数yを読取量の下限値に変換する。それと共に、値xxx+1に対応づけられているECCブロック数zをI_end_tableから読み出して、このECCブロック数zを読取量の上限値zに変換する。このy以上z未満の範囲が、Iピクチャサイズになる。したがって、ドライブ装置11が読み込むべきデータはI_startから始まるz個のECCブロック分のサイズとなる。ここで値xxxが001bである場合、I_end_tableにおいて001bに対応づけられている0が、読取量の下限値として変換される。010b(=xxx+1)に対応づけられている2が、読取量の上限値として変換される。この結果Iピクチャサイズは、0ECCブロックサイズ≦Iピクチャサイズ<2ECCブロックサイズになる。したがって、このIピクチャを不足なく読み込むには2ECブロック以上のデータを読み込む必要がある。
【0045】
つまり、再生装置はI_end tableにて、各I_end値ごとに記載されているIピクチャサイズの最大サイズ以上を読み込めば良いのである。
再生制御部17は、I_startに記述されたIピクチャアドレスからz個のECCブロック以上の範囲を読み出すよう、ドライブ装置11を制御して、記録媒体からデコーダに、Iピクチャを供給する。
【0046】
以上のように本実施形態によれば、グルーピングされたI_end_tableを間接参照することにより、より少ない情報量、ビット数でIピクチャサイズを表現することができ、Iピクチャごとの情報のように多数出現する情報に必要なビット数を抑えることが可能となる。
(第2実施形態) 第1実施形態において再生装置300は、I_end_tableをEP_mapにおけるEP_map_GIの1つの情報要素としてEP_map内に組み込んだ。これに対し第2実施形態では、I_end_tableをEP_mapから分離しておくことを開示する。EP_mapから分離したI_end_tableには、そのI_end_tableを一意に示す識別子(I_end_table_id)を付与しておく。I_end_tableを分離しておく代わりに、I_end_tableに対する参照値(I_end_table_id_ref)をEP_map_GIに組み込んでおく。
【0047】
図13は、第2実施形態に係るEP_mapのデータ構造を示す図である。EP_map_GIには、I_end_tableに対する参照値(I_end_table_id_ref)が記述されているので、本実施形態に係る再生制御部17はこのEP_map_GIからI_end_table_id_refを取り出し、予め規定されているI_end_tableのうち、この取り出されたI_end_table_id_refに対応するものを用いて、I_endである3ビットデータを解釈する。各I_end_tableの設定は、予め共通に規定されていても良いが、記録媒体上に記録されていても良い。
【0048】
EP_mapから分離して、I_end_tableを記録しておくことにより、複数AVClip間で1つのI_end_tableを共用することができ、EP_mapのサイズ縮小に寄与することができる。
以上のように本実施形態によれば、映画コンテンツの原画特性やエンコーダ特性があまり変わらなければ、毎回I_end_tableを設定しなおす必要がなく、参照するI_end_tableを指定するだけでよいため、EP_mapを規定しやすい利点がある。尚、参照値が無効な値であれば、デフォルトのI_end_tableを参照できるように、デフォルトI_end_tableを設定しておいても良い。
【0049】
(第3実施形態) 本実施形態は第2実施形態同様、I_end_tableをEP_mapから分離して記録しておく改良に関する。I_end_tableの記録にあたって、I_end_tableには付加情報を設ける。この付加情報は、当該I_end_tableに対応するビデオストリームが、どの符号化方式で符号化されたものであるかを示す。MPEG2-video形式で符号化されているなら、その旨を示す付加情報を付加しておき、MPEG4-AVC形式で符号化されているなら、その旨を示す付加情報を付加しておく。
【0050】
図14は、第3実施形態に係るエントリーマップを示す図である。本図におけるI_end_table#1には、MPEG4-AVC用の付加情報が存在しており、I_end_table#2には、MPEG2-Video用の付加情報が存在している。
一方、再生時にあたって再生制御部17は、再生しようとするAVClipの符号化方式が何であるかを検出し、予め規定された(もしくは、記録媒体に記録されている)複数のI_end_tableのうち、検出した符号化方式に該当するものを取り出して、その取り出されたI_end_tableを参照しながら、エントリーにおける各3ビットデータの解釈を行う。
【0051】
以上のように本実施形態によれば、MPEG2やMPEG4-AVCなど、ストリームの属性によって分布特性がほとんど同じ場合、ストリーム属性ごとにあらかじめI_end_tableを規定することができるので、I_end_tableの個数を少なくすることができる。またストリームの種類が分かっているためI_end_tableに対する参照値を用いることなく、参照すべきI_end_tableを判定することが可能であり、再生装置300側の処理を簡略にすることができる。
【0052】
なお、ストリーム属性により参照するI_end_tableを切り替える場合、符号化方式以外にも、ストリームの平均ビットレート、最大ビットレート、そのストリームを利用するコンテンツの分類、などのストリームの属性によって切り替えてもよく、またそれらの組み合わせでもよい。また、ストリームの属性などに該当するものがない場合に備えて、デフォルトで参照されるI_end_tableを規定しておいてもよい。
【0053】
(第4実施形態) 第1実施形態では、Iピクチャサイズをバイト数で表現して複数グループへの分類を行ったが、本実施形態では、計測値におけるIピクチャサイズを予めECCブロック数で表現して、各グループへの分類を行う。
図15は、第4実施形態に係るグループの分類手順を示す図である。
ステップS14では、計測値におけるIピクチャサイズをECCブロック数で表現する。そしてステップS15では、ECCブロック数が小さい順に、計測値を並べ替える。
【0054】
ECCブロック数表現により、64Kバイト未満の端数は考慮されなくなるので、Iピクチャサイズが同じになる計測値が多く現れる。
ステップS16では、そうして並べ替えられた計測値列を、以下のルールでグループ化してゆく。
第1位 〜第1/8×N-1位 =>Gr(1)
第1/8×N位 〜第2/8×N-1位 =>Gr(2)
第2/8×N位 〜第3/8×N-1位 =>Gr(3)
第3/8×N位 〜第4/8×N-1位 =>Gr(4)
第4/8×N位 〜第5/8×N-1位 =>Gr(5)
第5/8×N位 〜第6/8×N-1位 =>Gr(6)
第6/8×N位 〜第7/8×N-1位 =>Gr(7)
第7/8×N位 〜第N位 =>Gr(8) その結果、Gr(1)〜Gr(8)という8つのグループが得られる。
【0055】
尚、第1実施形態では、複数計測値を7つのグループにグループ化したが、本実施形態では、8つのグループにグループ分けしている。そのためI_endは、000bから111bまでの8通りの数値を用いて、Iピクチャサイズを表す。以降の実施形態では、計測値を8つのグループに分類するものとして説明を進める。
図16(a)は、Iピクチャサイズを示すECCブロック数と、そのサイズを有するIピクチャの出現数とを対応づけて示す図であり、図16(b)は、図15のステップS16におけるグルーピング結果を示す図である。
【0056】
ECCブロック数8〜11のものは出現頻度が高いため、ECCブロック数=8,ECCブロック数=9,ECCブロック数=10,ECCブロック数=11で表現される計測値は、それぞれ、Gr(2)、Gr(3)、Gr(4)、Gr(5)に分類されている。
ECCブロック数=12〜13、ECCブロック数=14〜16は出現数が小さいため、2〜3ECCブロック分の計測値がまとめられる。ECCブロック数=12〜13の計測値はGr(6)に分類され、ECCブロック数=14〜16の計測値はGr(7)に分類されていることがわかる。
【0057】
ECCブロック数=1〜7の計測値は出現頻度が少なくないため、Gr(1)に分類されている。ECCブロック=17〜32の計測値も出現頻度が少なくないため、Gr(8)に分類されている。合計した出現頻度はどのグループもほとんど同じである。
IピクチャサイズをECCブロック数で表現しているため、Iピクチャサイズが同じになる計測値が多く出現する。そのため本実施形態では、992,743,790,865,829,1268,996,704というように、各グループに属する計測値が大体同じ数値になるよう、複数の計測値をグループしてゆく。
【0058】
以上のように本実施形態によれば、計測値に対する処理にあたって、ECCブロックサイズ未満の端数を考慮する必要がないので、計測値に対する処理を早く行うことができる。
(第5実施形態) 第1実施形態〜第4実施形態におけるグループ化は、Iピクチャサイズの大きさに基づくものであったが、本実施形態におけるグループ化は、出現数分布の座標系におけるIピクチャサイズがとりうる範囲を、均等分割するというものである。図17(a)は、出現数分布の座標系を示す。本図の縦軸は、Iピクチャの数値を示し、横軸は、IピクチャサイズをECCブロック数で表現している。本図の横軸において、Iピクチャサイズが〜32ECCブロックの範囲で出現している。
【0059】
このようなIピクチャサイズの出現範囲を、本実施形態では分割するのである。図17(a)の<->は、Iピクチャサイズの範囲を、どのように分割したかを示す。本図に示すように、1〜4がGr(1)、5〜8がGr(2)、9〜12がGr(3)、13〜16がGr(4)、17〜20がGr(5)、21〜24がGr(6)、25〜28がGr(7)、29〜32がGr(8)に分割されていることがわかる。かかる範囲の分割により、図17(a)の出現数分布をなす計測値は、図17(b)のように、8つのグループに分割される。
【0060】
尚、ECCブロック数の分布が均等になるように分類した場合、出現頻度が高いIピクチャサイズにおいて、分解能が下がる欠点がある。
(第6実施形態) 本実施形態は、第5実施形態の改良である。どの点を改良したかというと、横軸における特異点の扱いである。つまりIピクチャサイズの計測にあたっては、Iピクチャサイズが飛び抜けて大きいものが検索されることがある。このようにIピクチャサイズが飛び抜けて大きい計測値を特異点という。
【0061】
図18(a)は、図17(a)同様、出現数分布のための座標系を示す。ECCブロック数=27,ECCブロック=30のIピクチャは、圧縮するのに非常に難しい特性をもった原画に対応している。かかる圧縮効率が上がらなかったことが原因だと考えられるが、通常このようなIピクチャの出現頻度は非常に少ない。そこでこのような特異点、例の中ではECCブロック=25以上のものは分類から分離してグルーピングを行う。非常に大きなサイズのIピクチャは、Iピクチャの連続再生の際にデータの読み込みに時間がかかり、高速再生に適さない可能性が大きい。このように大きなIピクチャは高速再生時には飛ばすことにより、なめらかな高速再生を実現でき、そのようなグルーピングはなめらかな高速再生に効果がある。
【0062】
図18(a)の一例では、ECCブロック数≧25を特異点として扱い、特異点を1つのグループに帰属させる。そして、残りのIピクチャサイズの出現範囲を、7つのグループに分ける。図18(b)は特異な点を考慮して分類した例である。本図に示すように、1〜7がGr(1)、8〜9がGr(2)、10がGr(3)、11がGr(4)、12〜13がGr(5)、14〜15がGr(6)、16〜24がGr(7)に分類されていることがわかる。ECCブロック=25以上の特異点は、Gr(8)に分類されていることがわかる。かかる範囲の分割により、図18(a)の出現数分布をなす計測値は、図18(b)のように、8つのグループに分割される。
【0063】
高速再生の時に再生をスキップするべき特異点をGr(8)に分類することにより、Gr(1)〜Gr(7)における分散は小さくなる。
以上のように本実施形態によれば、特異点を除外して、複数の計測値を分類するので、3ビットの値のそれぞれに、Iピクチャサイズを均等に割り当てることができる。
尚、特異点は、出現数分布からではなく、ドライブの読み込み性能をもとに決めてもよい。たとえば、最大ビットレートが40Mbpsであれば、1枚のIピクチャが1秒分のサイズである5Mバイトであることはまずあり得ない。このような5Mバイトというサイズを閾値としてもよい。
【0064】
(第7実施形態)
本実施形態は、Iピクチャがとりうる範囲の分割に関する改良を開示する。第5実施形態は、グループに相当するIピクチャサイズの幅を、均等にしたが、本実施形態はサイズが大きいものの分類をより多くするものである。つまり第5実施形態は、Iピクチャがとりうる範囲を、ある一定のECCブロック数で均等分割するというものであったが、本実施形態は不均等に分割するというものである。この不均等とは、Iピクチャサイズが小さい程、分割幅を広くし、Iピクチャサイズが大きい程、分割幅を狭くするというものである。
【0065】
図19(a)は、Iピクチャサイズの範囲を、どのように分割したかを示す図である。本図に示すように、4〜11がGr(1)、12〜15がGr(2)、16〜19がGr(3)、20〜21がGr(4)、22〜23がGr(5)、24がGr(6)、25がGr(7)、26〜がGr(8)に分割されていることがわかる。図19(b)は、各グループの分割幅の相互関係を示す図である。本図に示すように、Gr(2)の分割幅は、Gr(1)の分割幅の1/2、Gr(3)の分割幅も、Gr(1)の分割幅の1/2、Gr(4)の分割幅は、Gr(1)の分割幅の1/4、Gr(5)の分割幅は、Gr(1)の分割幅の1/4、Gr(6)の分割幅は、Gr(1)の分割幅の1/8、Gr(7)の分割幅は、Gr(1)の分割幅の1/8であることがわかる。かかる範囲の分割により、図19(a)の出現数分布をなす計測値は、図19(c)のように、8つのグループに分割される。
【0066】
Iピクチャサイズが取り得る範囲のうち、サイズが大きい部分では、分割幅が小さくなっている。故に読取量と、実際のIピクチャサイズとの誤差は、Iピクチャサイズが大きくなるにつれ小さくなる。かかる誤差の最小化により、Iピクチャ読み出しの効率を高めることができる。
以上のように本実施形態によれば、サイズが大きいIピクチャについては、サイズの小さいIピクチャに比べてより多くのグループに分類することにより読み取り効率を高めることができる。
【0067】
(第8実施形態) 本実施形態は、計測値を7つのグループに分類するにあたっての分類の組合せを複数生成し、その複数の組合せの中から、最適な組合せを1つ選ぶ実施形態である。
図20は、本実施形態に係る、計測値分類の処理手順を示すフローチャートである。本フローチャートでは、初めに、計測値を8つにグループ分けする組合せを複数生成する(ステップS21)。そして組合せ毎に、標準偏差を算出し(ステップS22)、算出された標準偏差が最小になる組合せに基づき、計測値をGr(1)〜Gr(8)に分類する(ステップS23)。図21の具体例を用いて、本フローチャートに示された処理手順を、更に詳しく説明する。
【0068】
図21は、ステップS21で生成した複数の組合せのうち、2つを示す図である。図中の上側の組合せパターン1は、第3実施形態と同様の手法で生成した組合せであり、下側の組合せパターン2は、第5実施形態と同様の手法で生成した組合せである。
これらの組合せパターン1,2のそれぞれについて、標準偏差を求める。この場合、組合せパターン1についての標準偏差は、183.03になり、組合せパターン2についての標準偏差は、1157.8になる。こうして得られた標準偏差が最も小さい組合せを選ぶ。図21の具体例では、組合せパターン1が選ばれることになる。そしてその組合せに基づき、計測値列を8つのグループにグループ化する。
【0069】
以上のように本実施形態によれば、複数の組合せを求めて、それらのうち標準偏差が最小になる組合せに基づき、計測値をグループ化するので、各グループに属する計測値の個数が均等になる。これにより、3ビットデータから、正確に読取量を導き出すことができる。また、出現頻度の高いところは分解能を維持できる。
尚、複数の組合せパターンにおいて標準偏差の値が同じになる場合、Iピクチャサイズが大きい計測値を、より多くのグループに分類しているような組合せパターンを優先的に選んでも良い。逆にIピクチャサイズが小さい計測値を、より多くのグループに分類しているような組合せパターンを優先的に選んでも良い。
【0070】
(第9実施形態) 本実施形態は、Iピクチャサイズがとりうる3ビットの値のそれぞれに、再生装置300側の倍速値を割り当てる改良に関する。図22は、本実施形態に係る割り当ての一例を示す図であり、×16,×8,×6,×4,×3,×2,×1といった倍速時の倍率に、I_endを表す001b,010b,011b,100b,101b,110b,111bといった値が割り当てられる。
このような、割り当てを可能にするため、本実施形態において解析部6は、図23に示す処理手順により、計測値のグループ化を行う。
【0071】
ステップS31では、倍速のそれぞれにおけるIピクチャサイズの上限値を決定する。ここでの上限値の決定は、倍率が大きい程小さいIピクチャサイズを、倍率が小さい程大きいIピクチャサイズを対応させるというルールに従う。
例えば、ステップS32において各倍速値の上限値に基づき計測値を以下のようにグループ分けする。
【0072】
Isize<16倍速の上限値 をみたす計測値→Gr(1)
16倍速≦Isize<8倍速の上限値 をみたす計測値→Gr(2)
8倍速≦Isize<6倍速の上限値 をみたす計測値→Gr(3)
6倍速≦Isize<4倍速の上限値 をみたす計測値→Gr(4)
4倍速≦Isize<3倍速の上限値 をみたす計測値→Gr(5)
3倍速≦Isize<2倍速の上限値 をみたす計測値→Gr(6)
2倍速≦Isize<1倍速の上限値 をみたす計測値→Gr(7)

最後にステップS33において、各倍速値の上限値を、Gr(1)〜Gr(7)のグループを示す3ビットの値に割り当てて、I_end_tableを生成する。
【0073】
以上が本実施形態に係る記録装置200の改良である。続いて本実施形態に係る再生装置300の改良について説明する。
ユーザから倍速再生が命じられた場合、再生装置300は、その倍速値に対応する3ビットデータを特定する。EP_mapにおけるエントリー群のうち、特定された3ビットデータ以上の値を有するエントリーのみを参照して、当該エントリーに対応するIピクチャのみを記録媒体から読み出す。
【0074】
再生装置300は例えば4倍速再生を行う場合、EP_mapにおけるエントリー群のうち、I_endが100bと記述されているエントリーを参照して、当該エントリーに対応するIピクチャのみを記録媒体から読み出す。その他、より高い倍率に対応するエントリー、つまり、I_endが011b(6倍速),010b(8倍速),001b(16倍速)と記述されているエントリーを参照して、当該エントリーに対応するIピクチャを記録媒体から読み出す。
【0075】
以上のように本実施形態によれば、ユーザから倍速再生が命じられた場合、指定された倍率に対応するエントリーに、サイズが記述されているIピクチャさえ読み込んでいけば、相応数のIピクチャを記録媒体から読み出すことができる。そのためドライブ装置が低速であっても、相応の品位の倍速再生を実現することができる。
(第10実施形態)
第7実施形態では、Gr(1)の幅を規準として、Iピクチャサイズが大きい部分の分割幅を次第に小さくするという不均等規格を実現したが、本実施形態は、1グループに格納するIピクチャの個数に着目して分割幅を小さくする実施形態である。
【0076】
Iピクチャの個数で出現分布を分割しようとする場合、第1実施形態に示したように、計測値をIピクチャが小さい順にソートする。そして、並べ替えられた複数の計測値を、次のように分類する。

第1位 〜第1/2×N-1位 =>Gr(1)
第1/2×N位 〜第3/4×N-1位 =>Gr(2)
第3/4×N位 〜第7/8×N-1位 =>Gr(3)
第7/8×N位 〜第15/16×N-1位 =>Gr(4)
第15/16×N位 〜第31/32×N-1位 =>Gr(5)
第31/32×N位 〜第63/64×N-1位 =>Gr(6)
第63/64×N位 〜第127/128×N-1位 =>Gr(7)
第127/128×N位 〜第N位 =>Gr(8)
図24は、第10実施形態による分類がどのような意味合いをもつかを示す図である。
【0077】
ここで第1位から第1/2×N-1位までをGr(1)に分類するのは、複数の計測値のうち、全体の1/2のものを、Gr(1)に分類することを意味する。
第1/2×N位 〜第3/4×N-1位をGr(2)に分類するのは、複数の計測値のうち、全体の1/4のものを、Gr(2)に分類することを意味する。
第3/4×N位 〜第7/8×N-1位をGr(3)に分類するのは、複数の計測値のうち、全体の1/8のものを、Gr(3)に分類することを意味する。
【0078】
第7/8×N位 〜第15/16×N-1位をGr(4)に分類するのは、複数の計測値のうち、全体の1/16のものを、Gr(4)に分類することを意味する。
第15/16×N位 〜第31/32×N-1位をGr(5)に分類するのは、複数の計測値のうち、全体の1/32のものを、Gr(5)に分類することを意味する。
第31/32×N位 〜第63/64×N-1位をGr(6)に分類するのは、複数の計測値のうち、全体の1/64のものを、Gr(6)に分類することを意味する。
【0079】
第63/64×N位 〜第127/128×N-1位をGr(7)に分類するのは、複数の計測値のうち、全体の1/128のものを、Gr(7)に分類することを意味する。
そして複数の計測値のうち残りのものは、Gr(8)に分類される。
Gr(1)〜Gr(8)に分類される計測値の数は、1/2→1/4→1/8→1/16→1/32→1/64→1/128というように、Iピクチャが大きくなるにつれ、徐々に少なくなってゆくことがわかる。
【0080】
以上のように本実施形態によれば、サイズの大きなIピクチャに対するI_end_tableの分解能が高まり、特殊再生時におけるレスポンス向上が期待できる。

(備考) 以上の説明は、本発明の全ての実施行為の形態を示している訳ではない。下記(A)(B)(C)(D)・・・・・の変更を施した実施行為の形態によっても、本発明の実施は可能となる。本願の請求項に係る各発明は、以上に記載した複数の実施形態及びそれらの変形形態を拡張した記載、ないし、一般化した記載としている。拡張ないし一般化の程度は、本発明の「技術分野」の、出願当時の技術水準の特性に基づく。
【0081】
(A)各実施形態では、IピクチャサイズをECCブロック数で表現したが、セクタ数(BD-ROMの場合、セクタサイズは2Kバイト)で表現してもよい。また、トランスポートストリームのパケット数(BD-ROMの場合、パケットサイズは192バイト)で表現してもよい。更に、Arrival Time StampとTSパケットをまとめた192バイト単位であっても良いし、192バイトと2Kバイトの最小公倍数である32Kバイト単位であっても良い。
【0082】
(B)各実施形態ではEP_mapにサイズが記述される対象をIピクチャにして説明を行った。これは、映像のランダムアクセスユニット、すなわち、その領域だけをデコードすれば画像を表示できるデータの一例として、Iピクチャについて説明したに過ぎない。MPEG2-Video以外の符号化方式におけるランダムアクセスユニットのサイズを、EP_mapに記述してもよい。例えば、MPEG4-AVC(H.264やJVTとも呼ばれる)のIDRピクチャであってもよい。
【0083】
(C)AVClipのビットレート情報をClip情報に持たせ、そのビットレート情報からI_endの値に対応する意味を決定させても良い。例えば、平均ビットレートが10Mbpsの場合のI_end_tableを予め規定しておき、当該AVClipの平均ビットレートが15Mbpsであったと記述されている場合には、そのI_end_tableの値を1.5倍した値をI_endとして用いることも可能である。このように、ビットレートに応じて、I_endの意味を変更するのは、平均ビットレートに限らず最大ビットレートで代用しても良い。
【0084】
(D)I_end_tableに記述されるのは、I_endの値が有効な値の時に上限となるサイズ因子(図3の0,2,4,6,9,14,20)だけであっても良い。
(E)各実施形態では、IピクチャサイズをECCブロック数で表現したが、ECCブロックの交差数で表現してもよい。この交差数は、Iピクチャが記録媒体中のいくつのECCブロックにまたがって記録されているかを表す。かかる交差数は、よりディスクからデータを読み出す際、きわめて有効な参考値となる。
【0085】
(F)ECCブロックサイズなど適切な値ごとにIピクチャサイズを分類し、次に各ECCブロックサイズごとの出現頻度を計測して、出現頻度が高いものは分解能を高く、出現頻度が低いものはいくつかのECCブロックをまとめて1つのグループとしてもよい。いくつのグループに分類するかは、I_endのビット幅を何ビットで表現するかによって変化させてもよい。各グループにおける出現頻度に対して、重み付けを加えてもよい。
【0086】
(G)各実施形態において、記録装置200及び再生装置300は、それぞれ独立の装置として説明したが、記録装置200及び再生装置300は、一体の記録再生装置であってもよい。
(H)EP_mapとは、BD-RE規格、BD-ROM規格において規定されているナビゲーション情報であり、各実施形態では、BD-RE規格、BD-ROM規格に準拠する形で、エントリー群のデータ構造を表現した。しかし各実施形態において記録装置200及び再生装置300が対象としている記録媒体は、BD-RE、BD-ROMといった一部の光ディスクに限定されない。BD-RE規格、BD-ROM規格に準拠する形で、ビデオストリームを記録しうる記録媒体なら、どのような記録媒体であってもよい。BD-ROMは、記録装置200が直接、BD-ROMにビデオストリームを書き込むのではなく、ハードディスク上で、BD-ROM規格のアプリケーションフォーマットを作成した上で、ディスク原盤を作成する。そしてこのディスク原盤を基に、BD-ROMを生産してゆく。このような作成手法から考えれば、各実施形態において記録装置200がEP_mapを書き込む記録媒体は、ハードディスクと解釈することもでき、再生装置300が再生の対象とする記録媒体は、BD-ROMと解釈することが合理的である。
【0087】
(I)全ての実施形態における再生装置300は、BD-ROMに記録されたAVClipをデコードした上でTVに出力していたが、再生装置300をBD-ROMドライブのみとし、これ以外の構成要素をTVに具備させてもい、この場合、再生装置300と、TVとをIEEE1394で接続されたホームネットワークに組み入れることができる。また、実施形態における再生装置300は、テレビと接続して利用されるタイプであったが、ディスプレィと一体型となった再生装置300であってもよい。更に、各実施形態の再生装置300において、処理の本質的部分をなすシステムLSI(集積回路)のみを、実施としてもよい。これらの再生装置300及び集積回路は、何れも本願明細書に記載された発明であるから、これらの何れの態様であろうとも、第6実施形態に示した再生装置300の内部構成を元に、再生装置300を製造する行為は、本願の明細書に記載された発明の実施行為になる。
【0088】
(J)各フローチャートに示したプログラムによる情報処理は、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されていることから、上記フローチャートに処理手順を示したプログラムは、単体で発明として成立する。全ての実施形態は、再生装置300に組み込まれた態様で、本発明に係るプログラムの実施行為についての実施形態を示したが、再生装置300から分離して、第1実施形態に示したプログラム単体を実施してもよい。
【0089】
(K)各フロ−チャ−トにおいて時系列に実行される各ステップの「時」の要素を、発明を特定するための必須の事項と考える。そうすると、これらのフロ−チャ−トによる処理手順は、再生方法の使用形態を開示していることがわかる。各ステップの処理を、時系列に行うことで、本発明の本来の目的を達成し、作用及び効果を奏するよう、これらのフロ−チャ−トの処理を行うのであれば、本発明に係る記録方法の実施行為に該当することはいうまでもない。
【0090】
(L)各実施形態におけるデジタルストリームは、BD-ROM規格のAVClipであったが、DVD-Video規格、DVD-Video Recording規格のVOB(Video Object)であってもよい。VOBは、ビデオストリーム、オーディオストリームを多重化することにより得られたISO/IEC13818-1規格準拠のプログラムストリームである。またAVClipにおけるビデオストリームは、MPEG4やWMV方式であってもよい。更にオーディオストリームは、Linear-PCM方式、Dolby-AC3方式、MP3方式、MPEG-AAC方式、dts方式であってもよい。
【0091】
(M)各実施形態における映画作品は、アナログ放送で放送されたアナログ映像信号をエンコードすることにより得られたものでもよい。デジタル放送で放送されたトランスポートストリームから構成されるストリームデータであってもよい。
またビデオテープに記録されているアナログ/デジタルの映像信号をエンコードしてコンテンツを得ても良い。更にビデオカメラから直接取り込んだアナログ/デジタルの映像信号をエンコードしてコンテンツを得ても良い。他にも、配信サーバにより配信されるデジタル著作物でもよい。
【0092】
(N)I_end_tableは、EP_map内だけではなく、より他の管理情報内に定義されてもよい。
(O)第1実施形態では、サイズが小さい順に計測値を並べた上でN個のグループに分割したが、サイズが大きい順に計測値を並べて計測値列を得た上で、この計測値列をN個のグループに分割してもよい。
(P)各実施形態では、I_end_tableというテーブル形式の情報で、3ビットデータと、ECCブロック数との割り当てを記録媒体100に記録したが、3ビットデータと、ECCブロック数との割り当てを示すのであれば、情報の形式はどのようなものであってもよい。例えば3ビットデータと、ECCブロック数との相関式であってもよいし、オフセット量であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明にかかる記録装置、再生装置は、民生機器の製造分野において利用される可能性をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る記録装置200、再生装置300を示す図である。
【図2】(a)EP_mapの内部構成を示す図である。 (b)各エントリーにおけるI_start、I_endの意味合いを示す図である。 (c)ビデオストリームのうちIピクチャのみを読み込んで再生する態様を示す図である。
【図3】あるコンテンツでのIピクチャの出現頻度を、ECCブロックサイズごとに分けて示した例である。
【図4】(a)〜(d)再生装置300により、I_endがどのように解釈されるかを示す図である。
【図5】割当ビットレートの変動が大きい場合の、出現数分布を示す図である。
【図6】記録装置200の内部構成を示す図である。
【図7】解析部6によるEP_map作成の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】計測値の分類処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】ステップS12における分類例を示す図である。
【図10】(a)〜(c) IピクチャサイズをECCブロック数に変換するにあたっての、変換の詳細を示す図である。
【図11】I_end_tableと、エントリー群とを一体化することで得られたEP_mapを示す図である。
【図12】本発明に係る再生装置300の内部構成を示す図である。
【図13】第2実施形態に係るEP_mapのデータ構造を示す図である。
【図14】第3実施形態に係るエントリーマップを示す図である。
【図15】第4実施形態に係るグループの分類手順を示す図である。
【図16】(a)Iピクチャサイズを示すECCブロック数と、そのサイズを有するIピクチャの出現数とを対応づけて示す図である。
【0095】
(b)図15のステップS16におけるグルーピング結果を示す図である。
【図17】(a)出現数分布の座標系を示す図である。 (b)図17(a)の出現数分布を8つのグループに分割した図である。
【図18】(a)図17(a)同様、出現数分布のための座標系を示す。
【0096】
(b)特異な点を考慮して分類した例である。
【図19】(a)Iピクチャサイズの範囲を、どのように分割したかを示す図である。 (b)各グループの分割幅の相互関係を示す図である。 (c)図19(a)の出現数分布をなす計測値を、8つのグループに分割した図である。
【図20】計測値分類の処理手順を示すフローチャートである。
【図21】2通りの組合せパターンについて算出された標準偏差の具体例を示す図である。
【図22】速度倍率の割り当ての一例を示す図である。
【図23】第8実施形態に係る計測値のグループ化手順を示す図である。
【図24】第10実施形態による分類がどのような意味合いをもつかを示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1 ビデオエンコーダ
2 マルチプレクサ
3 ライトバッファ
4 ドライブ装置
5 統計メモリ
6 解析部
7 シナリオメモリ
11 ドライブ装置
12 リードバッファ
13 デマルチプレクサ
14 ビデオデコーダ
15 シナリオメモリ
16 変換部
17 再生制御部
100 記録媒体
200 記録装置
300 再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルストリームを記録媒体に記録する記録装置であって、
デジタルストリームにおいてイントラピクチャが占有しているサイズを検出して、イントラピクチャのサイズを含む検出値を出力する検出手段と、
検出手段により出力された複数の検出値を、N個のグループに分類する分類手段と、
各グループに属するイントラピクチャサイズの分布範囲と、各グループを表す1からNまでの数値とを対応づけて示す割当情報を生成する割当手段と、
前記1からNまでの数値を用いて、デジタルストリームに含まれる各イントラピクチャを表したエントリーマップを、割当情報に対応づけて記録媒体に書き込む書込手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記分類手段による分類は、
サイズが大きい順又は小さい順に検出値を並べることで検出値列を得て、サイズが大きい順又は小さい順に、当該検出値列をN個のグループに、分割することでなされる、請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記分類手段は、
複数の検出値を、N個のグループに分類するための組合せを複数生成する生成手段と、
生成された組合せ毎に標準偏差を算出する算出手段とを備え、
前記分類手段による分類は、
算出された標準偏差が最小となる組合せに基づく、請求項1記載の記録装置。
【請求項4】
前記分類手段によるN個のグループへの分類は、
縦軸をイントラピクチャの出現数、横軸をイントラピクチャのサイズとした座標系において、イントラピクチャサイズの出現数分布が存在する横軸上の範囲を、N個に分割することで得られる、請求項1記載の記録装置。
【請求項5】
前記分類手段による分割は、分割幅を均等にした均等分割である、請求項4記載の記録装置。
【請求項6】
前記分類手段による分割は不均等分割であり、
イントラピクチャサイズが大きくなる程分割幅が小さく、サイズが小さくなる程分割幅が大きい、請求項4記載の記録装置。
【請求項7】
前記グループを表す1からNまでの値は、倍速再生時の倍率に対応しており、
前記分布範囲は、倍速再生時における読取量を意味する、請求項1記載の記録装置。
【請求項8】
前記書込手段は、
識別子が付与して割当情報を記録媒体に書き込み、
割当情報の識別子を参照する参照値を記述して、エントリーマップを記録媒体に書き込む、請求項1記載の記録装置。
【請求項9】
前記書込手段は、
対応するデジタルストリームの符号化方式を示す情報を付与して割当情報を記録媒体に書き込む、請求項1記載の記録装置。
【請求項10】
再生装置であって、
再生しようとするデジタルストリームに対応するエントリーマップ、及び、イントラピクチャサイズの分布範囲と、1からNまでの数値とを対応づけて示す割当情報を記録媒体からメモリに読み出す読出手段と、
エントリーマップにおける各エントリーに記述されている1からNまでの値を、割当情報に基づき、イントラピクチャサイズの分布範囲に変換する変換手段と、
変換により得られた分布範囲に基づき、デジタルストリームにおけるイントラピクチャを読み出して再生する再生手段と
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項11】
前記記録媒体には、割当情報が複数記録されていて、
各割当情報には、識別子が付与されており、
前記エントリーマップには、割当情報の識別子を参照する参照値が記述されており、
前記読出手段は、
複数の割当情報のうち、エントリーマップ内に記述されている参照値に対応するものを読み出し、
前記変換手段による変換は、読み出された割当情報に基づく、請求項10記載の再生装置。
【請求項12】
前記記録媒体には、割当情報が複数記録されていて、
各割当情報には、対応するデジタルストリームの符号化方式を示す情報が付与されており、
前記読出手段は、
複数の割当情報のうち、再生しようとするデジタルストリームの符号化方式に対応するものを読み出し、
前記変換手段による変換は、読み出された割当情報に基づく、請求項10記載の再生装置。
【請求項13】
ユーザにより命じられた再生が倍速再生である場合、
前記変換手段は、
エントリーマップに記述されている複数エントリーのうち、倍速再生の速度倍率に応じたものを特定し、特定されたエントリーに記述されている値を読取量に変換する、請求項10記載の再生装置。
【請求項14】
デジタルストリームを記録媒体に記録する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
デジタルストリームにおいてイントラピクチャが占有しているサイズを検出して、イントラピクチャのサイズを含む検出値を出力する検出ステップと、
検出ステップにより出力された複数の検出値を、N個のグループに分類する分類ステップと、
各グループに属するイントラピクチャサイズの分布範囲と、各グループを表す1からNまでの数値とを対応づけて示す割当情報を生成する割当ステップと、
前記1からNまでの数値を用いて、デジタルストリームに含まれる各イントラピクチャを表したエントリーマップを、割当情報に対応づけて記録媒体に書き込む書込ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
再生処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
再生しようとするデジタルストリームに対応するエントリーマップ、及び、イントラピクチャサイズの分布範囲と、1からNまでの数値とを対応づけて示す割当情報を記録媒体からメモリに読み出す読出ステップと、
エントリーマップにおける各エントリーに記述されている1からNまでの値を、割当情報に基づき、イントラピクチャサイズの分布範囲に変換する変換ステップと、
変換により得られた分布範囲に基づき、デジタルストリームにおけるイントラピクチャを読み出して再生する再生ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2006−20281(P2006−20281A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118131(P2005−118131)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】