説明

記録装置、記録媒体の処理装置、および記録媒体の処理方法

【課題】搬送と搬送停止が繰り返される記録媒体に対して処理液を適確に塗布することができ、しかも装置の小型化および記録時間の短縮化を図ることができる記録装置、記録媒体の処理装置、および記録媒体の処理方法を提供すること。
【解決手段】塗布ローラ21は、その周面に処理液30aが供給されつつ回転可能である。画像の記録前の記録シートSの搬送時に、塗布ローラ21によって記録シートSに処理液30aを塗布する。記録シートSの搬送停止時には、記録シートSに対してスリップさせつつ塗布ローラ21を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の記録性や堅牢性などを向上させるための処理液を記録媒体に塗布する機能を有する記録装置、記録媒体に対して処理液を塗布するための記録媒体の処理装置、および処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの普及拡大に伴って、その代表的な周辺機器である記録装置(プリンタ)も広く使われてきている。記録装置には様々な記録方式があり、その中には、画像が記録された記録媒体(記録結果物)の品位や耐候性などを高めるために、画像の記録前または記録後の少なくとも一方において、記録媒体に特殊な処理液を付与するための機構を備えたものがある。このような処理液の付与方法の中には、塗布ローラの周面に付着させた処理液を記録媒体の表面に塗布させる方式がある。この処理液の塗布方式の機構は、比較的構造が簡単であり小型化にも適している(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
また、記録システムとしては、インクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドを用い、記録媒体に向かってインクを吐出することによって、画像を記録するインクジェット記録方式が広く普及している。このインクジェット記録方式は、装置の簡素化および小型化を図ることができると共に、装置の高い静粛性を確保することができ、しかも装置を安価に提供できるという利点がある。インクジェット記録方式の記録装置(インクジェット記録装置)としては、いわゆるシリアルスキャンタイプのものがある。このタイプの記録装置は、記録ヘッドを主走査方向に移動させつつ、その記録ヘッドからインクを吐出させる記録走査と、記録媒体を主走査方向と交差する副走査方向に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返すことによって、記録媒体に画像を記録する。したがって、記録ヘッドによる記録走査中において記録媒体の搬送は停止しており、その記録走査が終わってから次の記録走査が始まるまでの間に、記録媒体が搬送される。つまり、記録媒体は間欠的に搬送されることになる。
【0004】
このように間欠的に搬送される記録媒体に対して、塗布ローラを用いて処理液を塗布して場合には、記録媒体の搬送時と搬送停止時において、その記録媒体に対する処理液の塗布状態が変化して、処理液の塗布むらが生じるおそれがある。そのため、記録媒体に対して処理液を均一に塗布することが難しい。
【0005】
このような不具合の対策として、例えば特許文献3には、塗布ローラによって記録媒体に連続的に処理液を塗布した後、その記録媒体の間欠的な搬送を伴って画像を記録する記録装置が提案されている。この記録装置においては、記録媒体に処理液を塗布する位置と、記録媒体に画像の記録する位置と、の間の記録媒体の搬送経路に、記録媒体の搬送方向の長さ以上の距離が設定されている。これにより前者の位置においては、記録媒体を連続的に搬送しつつ、塗布ローラを用いて記録媒体に処理液を塗布する。そして、後者の位置においては、処理液が塗布された後の記録媒体を間欠的に搬送しつつ、その記録媒体に画像を記録する。
【0006】
【特許文献1】特開平1−193866号公報
【特許文献2】特開平7−156538号公報
【特許文献3】特開2002−096453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3のように記録媒体の搬送経路を長く設定した場合には、その分、記録装置における記録媒体の搬送開始位置から排出位置までの距離が長くなり、装置全体の大型化を招くと共に、画像の記録に要する時間が長くなるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、搬送と搬送停止が繰り返される記録媒体に対して処理液を適確に塗布することができ、しかも装置の小型化および記録時間の短縮化を図ることができる記録装置、記録媒体の処理装置、および記録媒体の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の記録装置は、処理液が周面に供給されつつ回転可能な塗布ローラを備え、画像の記録前あるいは記録後の記録媒体の搬送時に、前記塗布ローラによって前記記録媒体に処理液を塗布する塗布機構を有する記録装置において、前記記録媒体の搬送停止時に、前記記録媒体に対してスリップさせつつ前記塗布ローラを回転させる制御手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の記録媒体の処理装置は、処理液が周面に供給されつつ回転可能な塗布ローラを備え、画像の記録前あるいは記録後の記録媒体の搬送時に、前記塗布ローラによって前記記録媒体に処理液を塗布する記録媒体の処理装置において、前記記録媒体の搬送停止時に、前記記録媒体に対してスリップさせつつ前記塗布ローラを回転させる制御手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の記録媒体の処理方法は、処理液が周面に供給されつつ回転可能な塗布ローラを用い、画像の記録前あるいは記録後の記録媒体の搬送時に、前記塗布ローラによって前記記録媒体に処理液を塗布する記録媒体の処理方法において、前記記録媒体の搬送停止時に、前記記録媒体に対してスリップさせつつ前記塗布ローラを回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録媒体の搬送停止時にも塗布ローラを回転させることにより、記録媒体に対する処理液の塗布量が極端に少なくなる事態を回避すべく、処理液を適確に塗布することができる。しかも、記録媒体の搬送経路を特に長くする必要がなく、装置の小型化および記録時間の短縮化を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1から図5は、本発明の第1の実施形態を説明するための図である。本例の記録装置は、インクジェット記録ヘッドを用いるシリアルスキャンタイプのインクジェット記録装置であり、画像が記録される前の記録媒体に対して処理液を塗布する機構を備えている。
【0015】
図1は、本例の記録装置の主要部の概略構成図であり、記録手段としてのインクジェット記録ヘッド1は、その直下に搬送される記録シート(記録媒体)Sに対してインクを吐出することにより画像を記録する。記録シートSは、第1センサ5の上流方向から給紙され、そして図中の矢印A方向に搬送されて、最終的に第3ローラセット4の下流側へ排紙される。
【0016】
タンク31は、その内部に反応液(処理液)30aを収容するものであり、その反応液30aは、記録ヘッド1によって画像が記録される前の記録シートSの記録面に対して、後述するように塗布される。この反応液30aは、記録ヘッド1から吐出されるインクと反応して、最終的に、記録シートSに記録される画像の品位を向上させる働きをする。反応液30aは、ポンプ32によって、チューブ33を通して副液室34に圧送される。副液室34内の反応液30aの量は、第1水位センサ36と第2水位センサ37によって検知される。本例の記録装置の制御を担う制御部20は、副液室34内の反応液30aの液面が第2水位センサ37の検出位置よりも下がったときに、ポンプ32を作動させて、タンク31内の反応液30aを副液室34に圧送する。また制御部20は、副液室34内の反応液30aの液面が第1水位センサ36よりも上がったときに、ポンプ32を停止させて、反応液30aの圧送を止める。
【0017】
副液室34に内の反応液30aには、吸収体35が浸されている。この吸収体35は繊維質体であり、その毛細管現象によって、反応液30aを副液室34内から外部に徐々に染み出させる役割をもつ。また、この吸収体35は、他の部分からの反応液30aの漏出を防止する。この吸収体35は塗布ローラ21の周面に接しており、塗布ローラ21が回転することによって、反応液30aが吸収体35から塗布ローラ21に付与され、その塗布ローラ21の周面に反応液30aの液膜30bが形成される。塗布ローラ21は不図示の駆動機構により回転され、制御部20は、その駆動機構を制御することによって、後述するように塗布ローラの回転速度を調整することができる。
【0018】
塗布ローラ21の周面に形成される液膜30bの厚さは、副液室34内の反応液30aの量、および塗布ローラ21の回転速度等によって変動する。本例の場合は、このような液膜30bの通常の変動範囲内において、それが最も薄いときにも反応液30aが充分に機能する。すなわち、通常の変動範囲内において液膜30bが最も薄い状態、つまり記録シートSに塗布される反応液30aの量が最も少ない状態においても反応液30aが充分に機能する。さらに反応液30aの機能は、そのように液膜30bが最も薄くて、記録シートSに塗布される反応液30aの量が最も少ない状態において飽和し、それ以上に記録シートSに多く塗布されたとしても機能は変わらない。したがって、液膜30bが通常の変動範囲内における最も薄い厚さ以上であれば、記録シートS上に最終的に記録される画像に差は生じない。
【0019】
このように構成された記録装置において、給紙されてくる記録シートSの先端は、まず第1センサ5に達する。その第1センサ5が記録シートSの先端を検出したときに、制御部20は、第1ローラセット2、第2ローラセット3、第3ローラセット4、および塗布ローラ21を駆動する。これらのローラは、全て同じ周速で回転することにより、記録シートSに対して、それを一定の速度で搬送するための搬送力を与える。記録シートSは、第1ローラセット2にニップされて、第1ガイド7と第2ガイド8の間を通され、そして塗布ローラ21の周面に接触することにより、その塗布ローラ21の液膜30bが転写される。30cは、このような液膜30bの転写により、記録シートSに塗布された液膜である。反応液30aが塗布された記録シートSの先端は、さらに第1ガイド7と第3ガイド9の間を通り、第2ローラセット3にニップされて第2センサ6の位置に達する。制御部20は、第2センサ6が記録シートSの先端を検出した時点を基準として、記録シートSを記録ヘッド1の直下の記録位置まで搬送してから、画像の記録動作を開始する。
【0020】
記録動作においては、記録ヘッド1を記録シートSの搬送方向(副走査方向)と交差(本例の場合は直交)する主走査方向に移動させつつ、その記録ヘッド1からインクを吐出させる記録走査と、記録シートSの搬送と、を交互に繰り返す。このように、記録シートSを間欠的に搬送し、その搬送停止時に記録走査するシリアルスキャン方式により、記録シートSに順次画像を記録する。記録ヘッド1は、インクジェット記録ヘッドの他、サーマルヘッド等の種々の記録ヘッドであってもよく、また、主走査方向に沿って往復移動可能なキャリッジに交換可能に装着して用いることができる。記録ヘッド1は、インク吐出させるためのエネルギーの発生手段として、電気熱変換体(ヒータ)やピエゾ素子などを用いることができる。電気熱変換体を用いた場合には、その電気熱変換体の発熱によりインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出させることができる。
【0021】
図2から図4は、本実施形態の比較例として、記録シートSの間欠的な搬送に応じて塗布ローラ21の回転と停止を繰り返した場合に、記録シートSに形成される液膜30cの説明図である。この比較例の場合、記録動作中における記録シートSの搬送時に塗布ローラ21が回転し、記録シートSの搬送停止時に塗布ローラ21の回転が停止することになる。
【0022】
記録シートSの搬送中は、図2に示すように、塗布ローラ21の回転を伴うため、その周面に付着された液膜30bは、スムーズに記録シートSに転写されて液膜30cを形成する。しかし、その搬送が停止して塗布ローラ21の回転が止まったときには、図3に示すように、塗布ローラ21の周面上の液膜30bの内、記録シートSとの接点近傍の液膜30bは、記録シートSの毛細管現象によって、その記録シートSに吸収される。そのため、塗布ローラ21の周面には、液膜30bが全くないか、それがかなり薄い部分jが生じ、逆に、記録シートSには、反応液が濃く塗布される部分Kが生じる。
【0023】
その後、記録シートSの搬送を再開したときには、図4のように、記録シートSには、反応液が通常に塗布される部分L、それが多く塗布される部分M、それがかなり少なく、若しくは全く塗布されない部分Nが生じる。このような部分M、Nは、記録シートSの搬送と搬送停止とが繰り返される度に発生する。図2から図4において、塗布ローラ21上の液膜30bの厚さ、および記録シートS上の液膜30cの塗布量は、図中の斜線部分の高さによって示した。
【0024】
本例における反応液30aは、前述したように、塗布ローラ21上に形成される液膜30bの厚みが通常の変動範囲内にあるときには、記録シートS上に記録される画像への影響はない。しかし、塗布ローラ21上に形成される液膜30bの厚みが通常の変動範囲よりも薄い場合には、反応液の機能が充分に発揮されない。そのため、記録シートS上の部分N(図3参照)は、反応液の機能が充分に発揮されない部分となるおそれがある。
【0025】
そこで本実施形態においては、第1ローラセット2、第2ローラセット3、および第3ローラセット4が回転を停止するとき、つまり記録シートSの搬送停止時に、塗布ローラ21を停止させずに回転を続行させる。それらのローラセット2,3,4が回転しているとき、つまり記録シートSの搬送時には、通常どおり、それらの同じ周速で塗布ローラ21を回転させる。
【0026】
ローラセット2,3,4の回転停止時は、それらが記録シートSをニップしたままであるため、記録シートSは静止状態となり、塗布ローラ21は、このような静止状態の記録シートSに対してスリップしながら回転することになる。このように回転を続行する塗布ローラ21上には途切れることなく液膜30bが形成され、それが静止中の記録シートSに塗布され続ける。そのため、記録シートS上には通常よりも多く反応液が塗布される部分が生じる。図5における部分Eは、通常の量の反応液が塗布される部分であり、部分Fは、通常よりも多く反応液が塗布される部分である。前述したように、反応液の塗布量が通常以上に多い場合には、最終的な記録画像に影響はない。しかし、反応液の塗布量が過多になることは、その消費量が無駄に増えてしまうことにもなる。そこで、記録シートSの静止時に塗布ローラ21が回転させる場合には、例えば、その回転速度を通常の10%の程度にまで極端に小さくする。これにより、単位時間当たりに記録シートSに塗布される反応液の量を少なく抑えることができる。
【0027】
本発明は、塗布ローラ21の回転速度の如何に拘わらず、記録シートSの停止時に塗布ローラ21を回転させることができればよい。また、塗布ローラ21によって反応液を塗布する記録シートSは、本例のように画像の形成前の記録シートSのみならず、画像が記録された後の記録シートSであってもよい。この場合、塗布ローラ21を含み処理液の塗布機構は、記録ヘッド1によって画像が記録された後の記録シートSの搬送経路中に備えればよい。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、図6から図8に基づいて、本発明の第2の実施形態について説明する。前述した実施形態の説明と重複する部分については、説明を省略する。
【0029】
前述した第1の実施形態においては、塗布ローラ21と対向する位置に第1ガイド7、第2ガイド8、および第3ガイド9が備えられており、記録シートSは、これらにガイドされて塗布ローラ21と接することにより反応液が塗布される。このような構成においては、反応液の性質、それに応じて変動する塗布ローラ21の液膜30bの厚さ、記録シートSの性質等によっては、記録シートSに対する反応液を効率よく塗布できなくなることも考えられる。
【0030】
反応液の塗布効率を高めるための方法としては、例えば図6のように、塗布ローラ21の周面に、それと対向する対向ローラ41を加圧ばね42により圧接させて、それらのローラ21,41のニップ部分に記録シートSを通過させる方法が考えられる。46は対向ローラ41の軸受けであり、加圧ばね42の付勢力を受ける。また図6において、前述した実施形態における第1ガイド7は、第2ガイド8と対向するガイド部8aと、第3ガイド9と対向するガイド部9aとして構成されている。この図6のように構成した場合には、塗布ローラ21と対向ローラ41との間にニップ圧が発生し、その間を通る記録シートSに対して搬送力が加えられることになる。そのため、記録シートSの停止時に、単純に、塗布ローラ21だけを回転させるわけにはいかない。
【0031】
そこで本実施形態においては、図7および図8に示すように、対向ローラ41と加圧ばね42に加えて、リリースカム43とリリースアーム44を備える。リリースカム43は、適時、矢印C方向に回転するように制御部20によって制御され、図7または図8に示すいずれかのポジションにて停止するようになっている。リリースアーム44は、アーム回転軸45を中心に回動自在に装置本体に取り付けられている。リリースアーム44の一方の端部は、リリースカム43のカム面に摺動自在に接し、その他方の端部は、対向ローラ41の軸部に摺動自在に接している。対向ローラ41の軸部は、装置本体に設けられた対向ローラガイド47によって、回転自在かつ矢印B方向に摺動自在にガイドされている。
【0032】
記録シートSの搬送時、すなわち、第1ローラセット2、第2ローラセット3、第3ローラセット4、および塗布ローラ21が同じ周速で回転しているときには、リリースカム43とリリースカム44は図7のポジションになる。この状態において、加圧ばね42の荷重は、軸受45を介して対向ローラ41の軸部に掛かり、塗布ローラ21と対向ローラ41との間に所定のニップ圧が発生する。軸受46は、対向ローラ41の軸部を回転自在に保持する。
【0033】
記録シートSの搬送停止時には、図8のように、リリースカム43が瞬時に回転し、これに接触して連動するリリースアーム44は同図のポジションになる。このとき、対向ローラ41の軸部と接しているリリースアーム44の他方の端部は、図8のように対向ローラ41を押し下げて、それを塗布ローラ21から離間させる。これにより、塗布ローラ21は単独の回転が可能となり、前述した実施形態と同様に塗布ローラ21を回転させる。
【0034】
記録シートSの搬送が再開するときには、リリースカム43が瞬時に図7のように回転し、リリースアーム44は同図のポジションに戻る。
【0035】
(他の実施形態)
上述した実施形態における処理液の塗布機構は、画像が記録される前の記録媒体に対して処理液を塗布する。しかし、画像が記録された後の記録媒体の搬送路中に塗布機構を備えることにより、画像が記録された後の記録媒体に対して処理液を塗布することもできる。また、このような処理液の塗布機構を記録装置とは別の記録媒体の処理装置(記録媒体に対する処理液の塗布装置)として構成することもできる。その処理装置は、記録装置の付属装置として構成してもよく、あるいは記録装置とは別に独立して用いられるものであってもよい。
【0036】
また、上述した実施形態においては、記録装置がシリアルスキャンタイプであるが故に、記録媒体の搬送と搬送停止とが繰り返されることになる。しかし、記録媒体の搬送と搬送停止は、記録装置の記録方式以外の理由によって繰り返されてもよい。例えば、ロール状の記録媒体を連続的に搬送しつつ画像を記録するフルラインタイプの記録装置において、その記録媒体を所定の長さに切断するために、記録装置の搬送を一時的に停止させる場合であってもよい。このように本発明は、記録媒体の搬送と搬送停止が繰り返される種々の記録装置や処理装置に対して、広く適用することができる。
【0037】
また処理液としては、例えば、普通紙に対する画像の記録性を向上させるための液体、記録画像の堅牢性(耐水性、耐候性など)を向上させるための液体等、種々の液体を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態における記録装置の要部の概略構成図である。
【図2】図2における塗布ローラの回転時の状況の説明図である。
【図3】図2における塗布ローラの回転停止時の状況の説明図である。
【図4】図2における塗布ローラの回転再開時の状況の説明図である。
【図5】図2における塗布ローラの連続回転による反応液の塗布状況の説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における記録装置の参考例を説明するための要部の概略構成図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における記録装置の記録媒体搬送時の説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における記録装置の記録媒体搬送停止時の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 記録ヘッド
2,3,4 ローラセット
5,6 センサ
7,8,9 ガイド
20 制御部
21 塗布ローラ
30a 反応液(処理液)
30b,30c 液膜
35 吸収体
41 対向ローラ
42 加圧ばね
43 リリースカム
44 リリースアーム
S 記録シート(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液が周面に供給されつつ回転可能な塗布ローラを備え、画像の記録前あるいは記録後の記録媒体の搬送時に、前記塗布ローラによって前記記録媒体に処理液を塗布する塗布機構を有する記録装置において、
前記記録媒体の搬送停止時に、前記記録媒体に対してスリップさせつつ前記塗布ローラを回転させる制御手段を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
記録ヘッドの搭載が可能であり、かつ前記記録搬送方向と交差する主走査方向に移動可能なキャリッジと、
前記記録媒体を間欠的に搬送可能な搬送手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記キャリッジと共に前記主走査方向に移動する前記記録ヘッドの記録動作に関連して、前記記録媒体を搬送および搬送停止させるように前記搬送手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記録媒体の搬送時と搬送停止時において、前記塗布ローラの回転速度を異ならせることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記記録媒体の停止時は、前記記録媒体の搬送時よりも前記塗布ローラの回転速度を低くすることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体の搬送時に、前記塗布ローラに対して前記記録媒体を加圧し、前記記録媒体の搬送停止時に、前記塗布ローラに対する前記記録媒体の加圧を解除する加圧手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
処理液を収容するタンクと、
前記タンク内の処理液を吸収して前記塗布ローラの周面に接することにより、前記塗布ローラの周面に処理液を供給する吸収体と、
を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の記録装置。
【請求項7】
処理液が周面に供給されつつ回転可能な塗布ローラを備え、画像の記録前あるいは記録後の記録媒体の搬送時に、前記塗布ローラによって前記記録媒体に処理液を塗布する記録媒体の処理装置において、
前記記録媒体の搬送停止時に、前記記録媒体に対してスリップさせつつ前記塗布ローラを回転させる制御手段を備えることを特徴とする記録媒体の処理装置。
【請求項8】
処理液が周面に供給されつつ回転可能な塗布ローラを用い、画像の記録前あるいは記録後の記録媒体の搬送時に、前記塗布ローラによって前記記録媒体に処理液を塗布する記録媒体の処理方法において、
前記記録媒体の搬送停止時に、前記記録媒体に対してスリップさせつつ前記塗布ローラを回転させることを特徴とする記録媒体の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−301819(P2007−301819A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131870(P2006−131870)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】