記録装置、記録方法及び記録プログラム
【課題】従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアにデータを記録する。
【解決手段】記録再生装置1の制御部16が光ピックアップ6を制御してLTHメディアの光ディスク5に対してデータを書き込むにあたり、未記録の極小データ記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該極小データ記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むようにしたことで、光ディスク5の極小データ記録領域に、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避しつつデータを書き込むことができ、かくして従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアにデータを記録することができる。
【解決手段】記録再生装置1の制御部16が光ピックアップ6を制御してLTHメディアの光ディスク5に対してデータを書き込むにあたり、未記録の極小データ記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該極小データ記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むようにしたことで、光ディスク5の極小データ記録領域に、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避しつつデータを書き込むことができ、かくして従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアにデータを記録することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録方法及び記録プログラムに関し、例えば、データが書き込まれると反射率が上昇する、所謂LTH(Low to High)メディアと呼ばれる光ディスクに対して、データを記録する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
現在、記録メディアとして、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)と言った種々の光ディスクが広く普及している。この光ディスクには、空き領域にデータを追記(追加で記録)していくことができる追記型と呼ばれるものがある。
【0003】
ここで、追記型の光ディスク(これを追記型光ディスクとも呼ぶ)に対する記録再生装置の記録(書き込み)動作ついて簡単に説明する。
【0004】
追記型光ディスクには試し書き用の領域が用意されており、記録再生装置は、実際にデータを記録する前に、まずこの領域に対してレーザ光の記録パワーを段階的に変化させながら試し書きを行う。
【0005】
試し書きが終了すると、記録再生装置は、この領域を再生することで、記録パワーごとの信号レベルを得、これをもとにデータの記録に最適な記録パワーを設定して、以降、この記録パワーで追記型光ディスクのデータ領域にデータを記録する。このようにデータの記録に最適な記録パワーを設定する処理は、OPC(Optimum Power Control)処理と呼ばれている。
【0006】
ここで、実際にデータを記録した後、ユーザにより一旦データの記録を終了するよう指示されたとする。すると記録再生装置は、次回の記録動作を行うときに必要となる情報を追記型光ディスクの特定の領域に記録する。
【0007】
その後、ユーザによりデータの記録を再開するよう指示されたとする。すると記録再生装置は、特定の領域に記録されている情報をもとに記録動作を再開する。
【0008】
このようにして記録再生装置は、追記型光ディスクにデータを記録するようになっている。
【0009】
このような記録再生装置では、光ディスクの個体差などによらず、確実に再生できるようにデータを記録することが要求される。
【0010】
そこで従来、レーザ光の記録パワーを段階的に変化させながら試し書きを行う処理を複数の領域で実行して、これら複数の領域から記録パワーごとの平均信号レベルを得、これをもとに最適な記録パワーを設定する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0011】
この方法によれば、仮に1つの領域が不良だったとしても、複数の領域から得られた記録パワーの平均信号レベルをもとにするので、記録パワーの設定を適切に行うことができる。
【特許文献1】WO2005/029479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、差動プッシュプル方式を用いてトラッキング制御を行う記録再生装置では、光ディスクごとの反射率のばらつきを補償するために、トラッキングサーボ用のプッシュプル信号を光ディスクからの反射光の光量の総和で正規化するようになっている。
【0013】
また一方で、近年、BDなどの高容量追記型光ディスクでは、データが書き込まれると反射率が上昇する、所謂LTHメディアと呼ばれる有機メディアが、コスト面などから注目されている。
【0014】
ところが、従来の記録再生装置でこのLTHメディアを使用すると、反射光の光量の総和で正規化した後のプッシュプル信号の信号レベルが、データが書き込まれた記録領域では、データが書き込まれていない未記録領域よりも大幅に(例えば数dB)小さくなる。
【0015】
この結果、従来の記録再生装置では、例えばLTHメディアの再生時に、レーザ光の照射位置が未記録領域から記録領域に移ったところで、トラッキングサーボが外れて、データを読み出すことができなくなることがあった。
【0016】
特に、未記録領域中に1本の記録済トラックが孤立して存在する場合など、記録領域の幅が狭い場合に、プッシュプル信号の信号レベルの低下が大きく、読み出しエラーの発生率が高くなることが確認されている。因みに、ここで言う1本のトラックとは、トラックが同心円状またはスパイラル状のどちらで形成されているかに依らず、光ディスク1周分のトラックのことである。
【0017】
ここで、このような状況を回避できるように、LTHメディアにデータを記録することができれば、LTHメディアに対する再生精度を向上させることができるものと考えられる。
【0018】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアにデータを記録し得る記録装置、記録方法及び記録プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
かかる課題を解決するため本発明においては、1以上の記録領域を有し、当該記録領域にデータが書き込まれると、書き込まれた部分の反射率が上昇するLTH(Low to High)メディアの光ディスクに対してデータの書き込みが可能なデータ書込部と、未記録の上記記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する制御部とを設けるようにした。
【0020】
こうすることで、LTHメディアである光ディスクに対して、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避しながらデータを書き込むことができ、この結果、当該光ディスクをプッシュプル信号の信号レベルの低下が抑制されたものにすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、1以上の記録領域を有し、当該記録領域にデータが書き込まれると、書き込まれた部分の反射率が上昇するLTH(Low to High)メディアの光ディスクに対してデータの書き込みが可能なデータ書込部と、未記録の上記記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する制御部とを設けるようにしたことにより、LTHメディアである光ディスクに対して、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避しながらデータを書き込むことができ、この結果、当該光ディスクをプッシュプル信号の信号レベルの低下が抑制されたものにすることができ、かくして、従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアにデータを記録し得る記録装置、記録方法及び記録プログラムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面について、本発明の実施の形態を詳述する。
【0023】
(1)記録再生装置の全体構成
図1において、1は全体として追記型光ディスク(例えばBD−Rなど)に対する記録及び再生が可能な記録再生装置を示している。この記録再生装置1は、光ディスクドライブ2とホスト側のコンピュータ3とでなる。
【0024】
光ディスクドライブ2は、スピンドルモータ4により光ディスク5を回転させ、この回転させた光ディスク5に対して光ピックアップ6及び信号処理部7により光学的にデータの記録及び再生を行うようになっている。
【0025】
光ピックアップ6は、スレッドモータ8により光ディスク5の径方向に移動可能なスレッド9に載置され、スレッド9とともに光ディスク5の径方向に移動できるようになっている。
【0026】
信号処理部7は、プリアンプ10と、サーボ回路11と、二値化回路12と、変復調回路13と、ECC(Error Correcting Code)回路14と、バッファ15と、制御部16とを有している。
【0027】
制御部16は、内蔵のメモリに記録されている制御プログラムに従い、内部バス17を介するなどして光ディスクドライブ2全体を統括的に制御する。
【0028】
実際上、サーボ回路11は、制御部16による制御に基づき、モータ駆動信号をスピンドルモータ4に送ることで光ディスク5の回転を制御するとともに、モータ駆動信号をスレッドモータ8に送ることで光ピックアップ6の位置を制御する。
【0029】
ここで光ピックアップ6は、制御部16による制御に基づき、半導体レーザ(図示せず)を駆動して、レーザ光で光ディスク5の記録面を照射する。この結果として、光ディスク5の記録面で反射した反射光は、光ピックアップの光検出器(図示せず)に入射する。光ピックアップ6は、この反射光を光検出器で光電変換することにより光検出信号を得て、これを信号処理部7に送る。
【0030】
信号処理部7は、この光検出信号を、演算回路を有するプリアンプ10で演算することにより、光検出信号からサーボエラー信号(フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号など)を生成して、これをサーボ回路11に送る。
【0031】
サーボ回路11は、このサーボエラー信号に基づき、スピンドルモータ4、スレッドモータ8、光ピックアップ6の対物レンズのアクチュエータ(図示せず)などのサーボ制御(フォーカス制御やトラッキング制御など)を行う。
【0032】
ここで、光ディスク5に記録されているデータを再生する場合、信号処理部7は、光ピックアップ6からの光検出信号をプリアンプ10で演算することにより、光検出信号からアナログデータ信号を生成して、これを二値化回路12に送る。
【0033】
二値化回路12は、アナログデータ信号をA/D(アナログ/デジタル)変換することで二値化データ信号を得て、これを変復調回路13に送る。変復調回路13は、二値化データ信号を復調することで復調データ信号を得て、これをECC回路14に送る。
【0034】
ECC回路14は、復調データ信号に対して誤り訂正処理を施すことで、誤り訂正データ信号を得、これをバッファ15に送る。この結果、この誤り訂正データ信号がバッファ15にデータとして格納される。
【0035】
バッファ15に格納されたデータは、光ディスクドライブ2からSATA(Serial ATA)などのインタフェース18を介してコンピュータ3に送られる。そしてコンピュータ3が、このデータに対して、所定の処理(例えばこのデータがAV(Audio Video)データであるならばAVデコード処理など)を行う。
【0036】
これに対して、光ディスク5にデータを記録する場合、信号処理部7は、光ディスク5に記録すべきデータとしてバッファ15に格納されているデータを、ECC回路14に送る。因みに、このデータは、光ディスク5に記録すべきデータとして、例えばコンピュータ3からインタフェース18を介して送られてきたデータであるとする。
【0037】
ECC回路14は、データに対して誤り訂正符合を付加することで、符号化データ信号を生成し、これを変復調回路13に送る。変復調回路13は、符号化データ信号を変調することで、変調データ信号を得て、これを光ピックアップ6に送る。
【0038】
光ピックアップ6は、変調データ信号に基づいてレーザ光のパワーを変調する。この結果、この変調されたレーザ光が光ディスクの記録面に照射されることにより、光ディスク5にデータが記録される。
【0039】
このようにして記録再生装置1は、光ディスク5に対する再生及び記録を行うようになっている。
【0040】
(2)トラッキング制御
次に、記録再生装置1でのトラッキング制御について、詳しく説明する。この記録再生装置1では、差動プッシュプル(DPP:Differential Push-Pull)方式を用いてトラッキング制御を行うようになっている。
【0041】
まず光ピックアップ6の光路について図2を用いて概念的に説明する。光ピックアップ6では、例えば半導体レーザからなるレーザ光源30から出射されたレーザ光が、グレーティング31で0次光からなるメインビームと1次光からなる2つのサイドビームとに分割された後、ビームスプリッタ32を介してコリメータレンズ33に入射される。
【0042】
このレーザ光は、コリメータレンズ33で平行光に変換された後、対物レンズ34により収束されて光ディスク5の記録面に照射される。
【0043】
この結果として、光ディスク5の記録面で反射したレーザ光(反射光)は、対物レンズ34及びコリメータレンズ33を介してビームスプリッタ32に入射される。そしてこの反射光は、ビームスプリッタ32で所定の方向に反射され、シリンドリカルレンズ35を介して光検出器36に入射される。
【0044】
このように光ピックアップ6は、レーザ光源30から出射されたレーザ光を、メインビームと2つのサイドビームとの3つのビームに分割して、光ディスク5の記録面に照射するようになっている。
【0045】
ここで、各ビームのスポットが、光ディスク5の記録面上でどのような位置に配置されるのかについて、図3を用いて説明する。メインビーム40は、実際に記録及び再生を行うためのビームである。ここで、例えば、このメインビーム40のスポットが、所望のトラックTr(N)の中央に照射されているとする。
【0046】
このとき、サイドビーム41Aのスポットは、トラックTr(N)とそのディスク外周側に隣接するトラックTr(N+1)との間に形成された間隙部Ga(N)の中央に位置するように配置される。
【0047】
またこのとき、サイドビーム41Bのスポットは、トラックTr(N)とそのディスク内周側に隣接するトラックTr(N−1)との間に形成された間隙部Ga(N−1)の中央に位置するように配置される。
【0048】
つまり、サイドビーム41A及び41Bのスポットは、メインビーム40のスポットがトラックTr(N)の中央に位置するとき、このトラックTr(N)の両側の間隙部Ga(N)及びGa(N−1)の中央に位置するように配置される。
【0049】
さらにこれらサイドビーム41A及び41Bのスポットは、メインビーム40のスポットに対して、光ディスク5の回転方向にずれて配置される。すなわち、光ディスク5の回転方向が時計回りであるとすると、サイドビーム41Aのスポットは、メインビーム40のスポットに対して先行する位置に配置され、サイドビーム41Bのスポットは、メインビーム40のスポットに対して後行する位置に配置される。
【0050】
次に、メインビーム40、サイドビーム41A及び41Bの反射光が入射される光検出器36について、図4を用いて説明する。光検出器36は、メインビーム40用のフォトディテクタ(メインPDとも呼ぶ)50と、サイドビーム41A用のフォトディテクタ(サイドPDとも呼ぶ)51Aと、サイドビーム41B用のフォトディテクタ(サイドPD)51Bとを有している。
【0051】
ここでメインPD50は、4つの検出領域A〜Dで4分割され、これら4つの検出領域A〜Dによりメインビーム40の反射光を受光するようになっている。
【0052】
またサイドPD51Aは、2つの検出領域E及びFで2分割され、これら2つの検出領域E及びFでサイドビーム41Aの反射光を受光するようになっている。サイドPD51Bも、2つの検出領域G及びHで2分割され、これら2つの検出領域G及びHでサイドビーム41Bの反射光を受光するようになっている。
【0053】
メインPD50は、検出領域A〜Dでメインビーム40の反射光を受光すると、検出領域A〜Dで検出した光量に応じて、検出領域A〜Dごとの光検出信号を出力する。
【0054】
またサイドPD51Aは、検出領域E及びFでサイドビーム41Aの反射光を受光すると、検出領域E及びFで検出した光量に応じて、検出領域E及びFごとの光検出信号を出力する。さらにサイドPD51Bは、検出領域G及びHでサイドビーム41Bの反射光を受光すると、検出領域G及びHごとの光検出信号を出力する。
【0055】
光検出器36は、このようにしてメインPD50、サイドPD51A及び51Bから出力された検出領域A〜Hごとの光検出信号を、信号処理部7に送る。
【0056】
そして信号処理部7が、この光検出信号をもとに、トラッキングサーボ用の差動プッシュプル信号を生成するようになっている。
【0057】
具体的に、信号処理部7は、演算回路を有するプリアンプ10によって、メインPD50の検出領域A及びDの光検出信号と、検出領域B及びCの光検出信号との差分からメインビーム40のプッシュプル信号(これをメインプッシュプル信号とも呼ぶ)を生成する。
【0058】
またプリアンプ10は、メインPD50の検出領域A〜Dの光検出信号の和からメインビーム40の光量信号(これをメイン光量信号とも呼ぶ)を生成する。
【0059】
さらにプリアンプ10は、サイドPD51Aの検出領域Eの光検出信号と、検出領域Fの光検出信号との差分からサイドビーム41Aのプッシュプル信号を生成する。さらにプリアンプ10は、サイドPD51Bの検出信号Gの光検出信号と、検出領域Hの光検出信号との差分からサイドビーム41Bのプッシュプル信号を生成する。そしてプリアンプ10は、サイドPD51Aのプッシュプル信号とサイドPD51Bのプッシュプル信号とを加算して、所定の係数を乗じることで、サイドビーム41A及び41Bのプッシュプル信号(これをサイドプッシュプル信号とも呼ぶ)を生成する。
【0060】
さらにプリアンプ10は、サイドPD51A及び51Bの検出領域E〜Hの光検出信号の和からサイドビーム41A及び41Bの光量信号(これをサブ光量信号とも呼ぶ)を生成する。
【0061】
さらにプリアンプ10は、メインプッシュプル信号を、メイン光量信号で正規化することで、正規化メインプッシュプル信号を生成するとともに、サブプッシュプル信号を、サブ光量信号で正規化することで、正規化サブプッシュプル信号を生成する。
【0062】
そしてプリアンプ10は、正規化メインプッシュプル信号と正規化サブプッシュプル信号との差分から正規化された差動プッシュプル信号(これを正規化差動プッシュプル信号とも呼ぶ)を生成する。
【0063】
プリアンプ10は、このようにして生成した正規化差動プッシュプル信号を、サーボ回路11に送る。
【0064】
そしてサーボ回路11が、この正規化差動プッシュプル信号をもとに、トラッキング制御を行う。
【0065】
このようにして記録再生装置1は、正規化差動プッシュプル方式を用いたトラッキング制御を行うようになっている。
【0066】
(3)データの記録
ここで、記録再生装置1でのデータの記録について詳しく説明する。上述したように、正規化差動プッシュプル信号は、光ディスク5からの反射光の光量の総和で正規化されている。
【0067】
ゆえに、このような正規化差動プッシュプル信号を用いて、LTHメディアに対するトラッキング制御を行うと、データが書き込まれた記録領域では、データが書き込まれていない未記録領域と比して、正規化差動プッシュプル信号の信号レベルが小さくなる。
【0068】
特に、未記録領域中に1本の記録済トラックが孤立して存在する場合など、記録領域の幅が狭い場合に、正規化差動プッシュプル信号の信号レベルの低下が大きい。
【0069】
そこで、この記録再生装置1では、1本の記録済トラックが孤立して存在することのないように、データを記録するようになっている。
【0070】
尚、ここでは、追記型のLTHメディアである光ディスク5にデータを記録する場合を例に説明する。
【0071】
まず光ディスク5の記録領域について説明する。光ディスク5には、図5に示すように、記録領域として、例えばディスク内周側から、リードイン領域60、第1のスペア領域61、ユーザデータ領域62、第2のスペア領域63及びリードアウト領域64が設けられている。
【0072】
リードイン領域60及びリードアウト領域64は、追記型LTH光ディスク5の記録再生に必要な各種情報を記録する記録領域である。
【0073】
ユーザデータ領域62は、例えば、コンピュータ3側から記録するよう指示されたAVデータなどのユーザデータを記録する記録領域である。実際上、光ディスク5の主たる目的は、このユーザデータを記録再生することにあるので、このユーザデータ領域62が、記録領域の中で最も大きな領域となる。
【0074】
第1のスペア領域61及び第2のスペア領域63は、正常に記録できない記録領域(これを欠陥領域とも呼ぶ)の代替領域として利用される領域であり、少なくとも4トラック分以上のデータを記録し得るサイズでなる。
【0075】
実際上、記録再生装置1は、或る記録領域に対してデータを書き込んでいる途中で正常に書き込めずにエラーが発生すると、この記録領域(欠陥領域)に記録しようとしていたデータを、代わりに第1のスペア領域61または第2のスペア領域63に設けられた代替領域に記録する処理(これを交替処理とも呼ぶ)を行うようになっている。
【0076】
ここで、第1のスペア領域61には、交替処理が実行されるごとにディスク内周側の端である記録開始位置Psaからディスク外周側に向かって順にデータが追記されていくようになっている。そして例えば、第1のスペア領域61が満杯になると、今度は第2のスペア領域63のディスク内周側の記録開始位置Psaからディスク外周側に向かって順にデータが追記されるようになっている。
【0077】
またリードイン領域60には、図6に示すように、ディスク内周側から、第2のINFO領域60A、OPC領域60B、TDMA(Temporary Disc Management Areas)領域60C及び第1のINFO領域60Dが設けられている。
【0078】
さらにリードアウト領域64には、図7に示すように、ディスク内周側から、第3のINFO領域64A、AngularBuffer領域64B、第4のINFO領域64C、DCZ領域64D及びProtection領域64Eが設けられている。
【0079】
ここで、リードイン領域60のOPC領域60Bには、ディスク内周側から、試し書き領域70及びOPCBuffer領域71が設けられている。
【0080】
試し書き領域70は、データの記録に最適な記録パワーを設定するOPC処理を実行するときに、実際にデータの試し書きが行われる領域であり、少なくとも4トラック分以上のデータを記録し得るサイズでなる。
【0081】
この試し書き領域70には、OPC処理が実行されるごとに、ディスク外周側(すなわちOPCBuffer領域71側)の端である記録開始位置Popからディスク内周側に向かって試し書き用のデータが順に追記されていくようになっている。
【0082】
OPCBuffer領域71は、試し書き領域70に書き込まれたデータが、隣の領域に影響を及ぼすことのないように設けられた間隙であり、試し書き領域70と、その隣の領域(ここでは第1のINFO領域60D)との間を離す役割を担っている。このため、通常、このOPCBuffer領域71にデータが書き込まれることはない。
【0083】
またリードイン領域60のTDMA領域60Cは、欠陥領域の位置(例えばアドレス)と、その代替領域の位置とを示す欠陥管理情報が記録される領域であり、少なくとも4トラック分以上のデータを記録し得るサイズでなる。
【0084】
このTDMA領域60には、例えばデータの記録が一旦終了される毎に、ディスク内周側の端である記録開始位置Ptdからディスク外周側に向かって最新の欠陥管理情報が順に追記されていくようになっている。
【0085】
さらに、リードイン領域60及びリードアウト領域64の第1のINFO領域60D、第2のINFO領域60A、第3のINFO領域64A及び第4のINFO領域64Cのそれぞれには、Buffer領域72、DMA(Disc Management Areas)領域73及びControlData領域(単にCD領域とも呼ぶ)74が設けられている。
【0086】
このうちDMA領域73は、TDMA領域60に記録されている最新の欠陥管理情報(後述する)が、ファイナライズ時に書き込まれる領域であり、少なくとも2トラック分以上のデータを記録し得るサイズでなる。このDMA領域73には、ファイナライズ時に、ディスク内周側の端である記録開始位置Pdmからディスク外周側に向かって欠陥管理情報が書き込まれるようになっている。
【0087】
因みに、ファイナライズとは、光ディスク5に対する追記を終了して、光ディスク5を、再生専用の光ディスクにするための最終処理である。
【0088】
またCD領域74は、光ディスク5がファイナライズされたことを示す情報(これをファイナライズ情報とも呼ぶ)がファイナライズ時に書き込まれる領域であり、少なくとも2トラック分以上のデータを記録し得るサイズでなる。このCD領域74には、ファイナライズ時に、ディスク内周側の端である記録開始位置Pcdからディスク外周側に向かってファイナライズ情報が書き込まれるようになっている。
【0089】
さらに、リードアウト領域64DのDCZ領域64Dは、オプショナルな試し書き領域であり、OPC領域60Bと同様に、データの試し書きを行うための領域である。
【0090】
ところで、上述した記録領域のうち、ユーザデータ記録領域62には、他の記録領域にデータを記録する場合と比べて、大きなデータサイズ(例えば数百メガバイト)でデータが記録される。実際上、このユーザデータ記録領域62には、AVデータのような大容量のユーザデータを記録することになるので、このように記録することが、記録効率及び記録速度の面からも望ましい。
【0091】
これに対して、OPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、TDMA領域60C、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cには、ユーザデータ領域62にデータを記録する場合と比べて、小さなデータサイズ(例えば数十キロバイト)でデータが記録される。実際上、これらの記録領域には、試し書き用データや欠陥管理情報のような小容量の補助的なデータを記録することになるので、このように記録することが、記録効率及び記録速度の面からも望ましい。尚、これらOPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、TDMA領域60C、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cを、ここでは極小データ記録領域とも呼ぶ。
【0092】
ここで、この極小データ記録領域には、トラックの位置(内周側か外周側か)にも依るが、1トラック分以下のデータサイズでデータが記録されることがある。
【0093】
このとき、仮に、未記録の極小データ記録領域に1トラック分以下のデータサイズでデータを記録すると、未記録領域中に記録済の1トラックが孤立して存在する状況が起こり得る。この結果、正規化差動プッシュプル信号の信号レベルが低下することで、このトラックに記録されたデータが再生できなくなる恐れがある。
【0094】
このため、記録再生装置1では、このような極小データ記録領域にデータが書き込まれた1トラックが孤立して存在する状況が起こらないように、データを記録するうえで、特別な記録処理(これを特別記録処理とも呼ぶ)を行うようになっている。
【0095】
以下、この特別記録処理について、OPC領域60Bに対して行う処理と、第1及び第2のスペア領域61、63に対して行う処理と、TDMA領域60Cに対して行う処理と、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対して行う処理とに分けて説明する。
【0096】
まずOPC領域60Bに対して行う特別記録処理(これを特別OPC処理とも呼ぶ)について説明する。この特別OPC処理は、未記録の光ディスク5に対して初めてデータ(例えばユーザデータ)を記録するときに行う処理である。
【0097】
記録再生装置1は、例えば図示しない入力手段を介してユーザから光ディスク5に対してデータを記録するよう指示されると、通常のOPC処理(これを通常OPC処理とも呼ぶ)を行う前段階で、この特別OPC処理を行う。
【0098】
すなわち、記録再生装置1は、特別OPC処理として、図8(A)に示すように、OPC領域60Bの試し書き領域70に対し、その記録開始位置Popから3トラック分のデータサイズでなるダミーデータDaを書き込む。
【0099】
その後、記録再生装置1は、通常OPC処理を行う。すなわち、記録再生装置1は、図8(B)に示すように、試し書き領域70に対し、先にダミーデータDaを書き込んだ部分に続く未記録部分に試し書き用データDopを追記する。
【0100】
以降、記録再生装置1は、通常OPC処理を行う毎に、試し書き領域70に対し、新たな試し書き用データDopを順に追記していく。
【0101】
このように、記録再生装置1では、試し書き領域70の記録開始位置Popから3トラック分のダミーデータDaを書き込んでから、試し書き用データDopを追記していくようになっている。こうすることで、未記録の試し書き領域70に試し書き用データDopのみが書き込まれて、この試し書き用データDopを書き込んだ1トラックが未記録領域中に孤立して存在する状況(図8(C))を回避することができる。
【0102】
因みに、記録再生装置1は、この試し書き領域70に対し、ダミーデータDaを、再生時にデータが書き込まれていることを十分認識できる程度の記録パワーで書き込むようになっている。
【0103】
次に、第1及び第2のスペア領域61、63に対して行う特別記録処理(これを特別交替処理とも呼ぶ)について説明する。この特別交替処理も、未記録の光ディスク5に対して初めてデータ(例えばユーザデータ)を記録するときに行う処理である。
【0104】
記録再生装置1は、例えば上述した特別OPC処理を行った後に、この特別交替処理を行う。
【0105】
すなわち、記録再生装置1は、特別交替処理として、図9(A)に示すように、第1のスペア領域61に対し、その記録開始位置Psaから3トラック分のデータサイズでなるダミーデータDbを書き込む。また同様にして記録再生装置1は、第2のスペア領域63にも、その記録開始位置Psaから3トラック分のデータサイズでなるダミーデータDbを書き込む。
【0106】
その後、記録再生装置1は、例えばデータの記録時に欠陥領域を見付けると、通常の交替処理(これを通常交替処理とも呼ぶ)を行う。すなわち、記録再生装置1は、図9(B)に示すように、第1のスペア領域61に対し、先にダミーデータDbを書き込んだ部分に続く未記録部分に、欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaを追記する。
【0107】
以降、記録再生装置1は、データの記録時に通常交替処理を行うと、その都度、第1のスペア領域61に対し、欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaを追記していく。そして第1のスペア領域61が満杯になると、今度は第2のスペア領域63に対し、先に書き込んだダミーデータDbに続けて、欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaを追記していく。
【0108】
このように、記録再生装置1では、第1のスペア領域61の記録開始位置Psaから3トラック分のダミーデータDbを書き込んでから、欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaを追記していくようになっている。また同様にして記録再生装置1は、第2のスペア領域63の記録開始位置Psaから3トラック分のダミーデータDbを書き込んでから、欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaを追記していくようになっている。
【0109】
こうすることで、未記録の第1及び第2のスペア領域61、63に対して欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaのみが書き込まれて、このデータDsaを書き込んだ1トラックが未記録領域中に孤立して存在する状況(図9(C))を回避することができる。
【0110】
次に、TDMA領域60Cに対して行う特別記録処理について説明する。この特別記録処理も、未記録の光ディスク5に対して初めてデータ(例えばユーザデータ)を記録するときに行う処理である。
【0111】
記録再生装置1は、例えば上述した特別交替処理を行った後に、このTDMA領域60Cに対する特別記録処理を行う。
【0112】
すなわち、記録再生装置1は、TDMA領域60Cに対する特別記録処理として、図10(A)に示すように、TDMA領域60Cに対し、その記録開始位置Ptdから3トラック分のデータサイズでなるダミーデータDcを書き込む。
【0113】
その後、記録再生装置1は、データの記録時に通常交替処理を行うと、交替処理の内容を記憶しておき、データの記録を一旦終了する時点で、図10(B)に示すように、TDMA領域60Cに対し、先にダミーデータDcを書き込んだ部分に続く未記録部分に、交替処理の内容を示す欠陥管理情報Dtdを追記する。
【0114】
因みに、交替処理の内容(すなわち欠陥領域の位置と代替領域の位置)は、例えば制御部16に内蔵されたメモリに記憶されるようになっている。
【0115】
以降、記録再生装置1は、通常交替処理を行うと、データの記録を一旦終了するときに、TDMA領域60Cに対し、最新の欠陥管理情報を追記していく。
【0116】
このように、記録再生装置1では、TDMA領域60Cの記録開始位置Ptdから3トラック分のダミーデータDcを書き込んでから、欠陥管理情報Dtdを追記していくようになっている。こうすることで、未記録のTDMA領域60Cに対して欠陥管理情報Dtdのみが書き込まれて、この欠陥管理情報Dtdを書き込んだ1トラックが未記録領域中に孤立して存在する状況(図10(C))を回避することができる。
【0117】
尚、TDMA領域60Cに書き込まれるダミーデータDcは、第1及び第2のスペア領域61、63に書き込んだダミーデータDbが実際に使われないように、例えば、第1及び第2のスペア領域61、63のダミーデータDbが書き込まれた記録領域を欠陥領域として示すようになっている。
【0118】
最後に、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対して行う特別記録処理について説明する。この特別記録処理は、光ディスク5に対するファイナライズ時に行う処理である。
【0119】
記録再生装置1は、例えば図示しない入力手段を介してユーザから光ディスク5に対してファイナライズをするよう指示されると、ファイナライズ処理を行う。
【0120】
すなわち、記録再生装置1は、図11(A)に示すように、ファイナライズ処理として、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのDMA領域73に対し、その記録開始位置PdmからTDMA領域60に記録されている最新の欠陥管理情報Dtdを書き込む。
【0121】
このとき記録再生装置1は、特別記録処理として、各DMA領域73内の未記録領域の全てにダミーデータ(具体的には、例えば「0」のデータ)Ddを書き込む。
【0122】
また記録再生装置1は、ファイナライズ処理として、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのCD領域74に対し、その記録開始位置Pcdから光ディスク5がファイナライズされたことを示すファイナライズ情報Dcdを書き込む。
【0123】
このとき記録再生装置1は、特別記録処理として、各CD領域74内の未記録領域の全てにダミーデータ(具体的には、例えば「0」のデータ)Deを書き込む。
【0124】
このように、記録再生装置1では、ファイナライズ時に、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのDMA領域73に欠陥管理情報Dtdを書き込んだ後、各DMA領域74の残りの未記録領域の全てにダミーデータDdを書き込むようになっている。
【0125】
こうすることで、未記録のDMA領域73に対して欠陥管理情報Dtdのみが書き込まれて、この欠陥管理情報Dtdを書き込んだ1トラックが未記録領域中に孤立して存在する状況(図11(B))を回避することができる。
【0126】
また、記録再生装置1では、ファイナライズ時に、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのCD領域74にファイナライズ情報Dcdを書き込んだ後、各CD領域74の残りの未記録領域の全てにダミーデータDdを書き込むようになっている。
【0127】
こうすることで、未記録のCD領域74に対してファイナライズ情報Dcdのみが書き込まれて、このファイナライズ情報Dcdを書き込んだ1トラックが未記録領域中に孤立して存在する状況(図11(B))を回避することができる。
【0128】
このようにして、記録再生装置1は、極小データ記録領域である、OPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、TDMA領域60C、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対する特別記録処理を行う。
【0129】
これにより記録再生装置1では、極小データ記録領域に対し、データが書き込まれた1トラックが孤立して存在する状況を回避しながら、光ディスク5にデータを記録することができる。
【0130】
この結果、この記録再生装置1でデータが記録された光ディスク5は、正規化差動プッシュプル信号の信号レベルの低下が抑制されたものとなり、以後、正規化差動プッシュプル信号を用いたトラッキング制御を行う再生装置でも、確実に再生され得るLTHメディアとなる。
【0131】
(4)記録処理手順
次に、上述した特別記録処理を含むデータの記録処理手順について、図12に示すフローチャートを用いて詳しく説明する。因みに、この記録処理手順は、主として、記録再生装置1の制御部16が、内蔵のメモリに記録されているプログラムにしたがい、信号処理部7の各部及び光ピックアップ6を制御してデータの記録を行う処理の手順である。
【0132】
制御部16は、光ディスク5が挿入されている状態で、例えば図示しない入力手段を介してユーザから光ディスク5に対してデータを記録するよう指示されると、記録処理手順RT1を開始して、ステップSP1に移る。
【0133】
ステップSP1において制御部16は、挿入されている光ディスク5が未記録のメディアであるかどうかを判別する。具体的に、制御部16は、光ディスク5の特定の領域にデータが記録されているかどうかなどにより、光ディスク5が未記録のものであるかどうかを判別するようになっている。
【0134】
ここで、光ディスク5が未記録のメディアであることにより、このステップSP1で肯定結果を得ると、このとき制御部16は、ステップSP2に移る。
【0135】
ステップSP2において制御部16は、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、OPC領域60Bに3トラック分のダミーデータを書き込む特別OPC処理を行う。ところで、光ディスク5は、ディスク内周側のトラックとディスク外周側のトラックとでその長さが異なる。つまり光ディスク5は、ディスク内周側とディスク外周側とで1トラックあたりの記録容量が異なる。
【0136】
そこで制御部16は、ダミーデータの書き込み位置(例えばアドレス)に対応する光ディスク5の半径位置をもとに、この半径位置での3トラック分のデータサイズをバイト数に換算して、換算したバイト数のダミーデータを書き込むようになっている。こうすることで、制御部16は、ダミーデータの書き込み位置がディスク内周側であるかディスク外周側であるかに依らず、確実に3トラック分のダミーデータを書き込むことができる。
【0137】
この特別OPC処理を終えると、制御部16は、次のステップSP3に移る。ステップSP3において制御部16は、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して通常OPC処理を行い、次のステップSP4に移る。
【0138】
ステップSP4において制御部16は、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、第1及び第2のスペア領域61、63にダミーデータを書き込む特別交替処理を行い、次のステップSP5に移る。ステップSP5において制御部16は、光ピックアップ6を制御して、TDMA領域60Cにダミーデータを書き込む特別記録処理を行い、次のステップSP6に移る。
【0139】
ステップSP6において制御部16は、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、通常のデータ記録処理を行う。すなわち制御部16は、光ディスク5に対して記録するよう指定されたデータをユーザデータ記録領域62に記録する。またこのとき制御部16は、欠陥領域が見付かると、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、通常交替処理を行うとともに、この交替処理の内容をメモリに記憶する。このようにして通常のデータ記録処理を終えると、制御部16は、次のステップ7に移る。
【0140】
ステップSP7において制御部16は、ステップSP6での通常のデータ記録処理で通常交替処理を行っていたかどうかを判別する。
【0141】
ここで、通常交替処理を行っていたことにより、このステップSP7で肯定結果を得ると、このとき制御部16は、ステップSP8に移る。
【0142】
ステップSP8において制御部16は、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、ステップSP6での通常交替処理にともなうTDMA領域60Cへの通常記録処理を行う。すなわち制御部16は、ステップSP6で記憶した通常交替処理の内容を、欠陥管理情報としてTDMA領域60Cに書き込む。このようにしてTDMA領域60Cへの通常記録処理を終えると、制御部16は、次のステップSP9に移る。
【0143】
これに対して、交替処理を行っていなかったことにより、上述のステップSP7で否定結果を得ると、このとき制御部16は、ステップSP8をスキップして、ステップSP9に移る。
【0144】
ステップSP9において制御部16は、例えば図示しない入力手段を介してユーザから光ディスク5に対してファイナライズするよう指示されているかどうかを判別する。
【0145】
ここで、ファイナライズするよう指示されていることにより、このステップSP9で肯定結果を得ると、このとき制御部16は、ステップSP10に移る。
【0146】
ステップSP10において制御部16は、光ピックアップ6を制御して、ファイナライズ処理として、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対する通常記録処理と、特別記録処理とを続けて行う。
【0147】
すなわち制御部16は、通常記録処理として、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのDMA領域73に最新の欠陥管理情報を書き込む。くわえて記録再生装置1は、特別記録処理として、各DMA領域73内の未記録領域の全てにダミーデータを書き込む。
【0148】
また記録再生装置1は、通常記録処理として、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのCD領域74にファイナライズ情報を書き込む。くわえて記録再生装置1は、特別記録処理として、各CD領域74内の未記録領域の全てにダミーデータDeを書き込む。
【0149】
このようにして、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対する通常記録処理と、特別記録処理とを終えると、制御部16は、記録処理手順RT1を終了する。
【0150】
これに対して、ファイナライズするよう指示されていないことにより、上述のステップSP9で否定結果を得ると、このとき制御部16は、ステップSP10をスキップして、記録処理手順RT1を終了する。
【0151】
また、上述のステップSP1で否定結果を得た場合、すなわち光ディスク5が記録済のメディアであった場合、制御部16は、ステップSP12に移り、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、通常のOPC処理を行い、ステップSP13に移り、通常のデータ記録処理を行い、ステップSP7に移る。
【0152】
このように制御部16は、光ディスク5が記録済のメディアである場合には、特別OPC処理と、特別交替処理と、TDMA領域60Cへの特別記録処理は行わないようになっている。すなわちここでの特別OPC処理、特別交替処理、TDMA領域60Cへの特別記録処理は、未記録の光ディスク5にはじめてデータを記録するときにのみ行われる処理である。
【0153】
このような記録処理手順RT1にしたがい、信号処理部7及び制御部16は、光ピックアップ6を制御して、光ディスク5にデータを記録するようになっている。
【0154】
(5)動作及び効果
以上の構成において記録再生装置1は、制御部16が信号処理部7及び光ピックアップ6を制御してLTHメディアの光ディスク5にデータを記録するにあたり、1トラック分以下の小さなデータサイズでデータが記録されることのある極小データ記録領域に対しては、特別記録処理を行う。
【0155】
すなわち記録再生装置1は、極小データ記録領域としてのOPC領域60Bに対し、その記録開始位置から3トラック分のダミーデータを書き込んでから、このダミーデータに続けて、この領域に書き込むべきデータを順に書き込んでいく。
【0156】
この結果、OPC領域60Bには、少なくとも3トラック分以上のデータが存在することになる。
【0157】
こうすることで、記録再生装置1は、未記録のOPC領域60Bに、その記録開始位置から1トラック分以下のデータのみが書き込まれた状況、つまり1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0158】
また記録再生装置1は、極小データ記録領域としての第1及び第2のスペア領域61、63やTDMA領域60Cに対しても同様の特別記録処理を行う。
【0159】
この結果、第1及び第2のスペア領域61、63やTDMA領域60Cにも、少なくとも3トラック分以上のデータが存在することになる。
【0160】
こうすることで、記録再生装置1は、第1及び第2のスペア領域61、63やTDMA領域60Cに、その記録開始位置から1トラック分以下のデータのみが書き込まれた状況、つまり1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0161】
さらに記録再生装置1は、極小データ記録領域としての第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cのそれぞれに対し、ファイナライズ時に、これらの領域に書き込むべきデータを書き込んでから、これらの領域の未記録部分の全てにダミーデータを書き込む。
【0162】
この結果、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cのそれぞれには、その領域分(少なくとも2トラック分以上)のデータが存在することになる。
【0163】
こうすることで、記録再生装置1は、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに、1トラック分以下のデータのみが書き込まれた状況、つまり1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0164】
このように、記録再生装置1は、極小データ記録領域に1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避しつつ、書き込むべきデータを記録することができる。
【0165】
この結果、この記録再生装置1でデータが記録されたLTHメディアの光ディスク5は、正規化差動プッシュプル信号の信号レベルの低下が抑制されたものとなり、以後、正規化差動プッシュプル信号を用いたトラッキング制御を行う従来の再生装置でも、確実に再生され得るLTHメディアとなる。つまり、この光ディスク5は、従来LTHメディアを再生できなかった再生装置でも、再生され得るLTHメディアとなる。
【0166】
かくして、記録再生装置1は、従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアの光ディスク5にデータを記録することができる。
【0167】
特に、記録再生装置1は、従来、光ディスク5に初めてデータを書き込むときに起こる可能性が高かった、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避できるので、多くの未記録領域が残っているにも係わらず光ディスク5が再生できなくなってしまう状況を回避できる。
【0168】
尚、ここでは、OPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、TDMA領域60Cに対し、一例として3トラック分のダミーデータを書き込むようにしたが、実際には、少なくとも2トラック分以上のダミーデータを書き込むようにすればよい。
【0169】
つまり、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避するには、OPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、TDMA領域60Cに対し、nトラック(nは2以上の整数)分以上のダミーデータを書き込むようにすればよい。
【0170】
実際上、記録再生装置1では、未記録領域中に1本の記録済トラックが孤立して存在する場合、この記録済トラックにおけるプッシュプル信号は、未記録トラックにおけるプッシュプル信号と比して、その信号レベルが約70%程度低下することが確認できている。
【0171】
一方で、記録済トラックの隣、そしてさらにその隣にと、記録済トラックの数を増やしていくと、信号レベルの低下が抑えられていき、例えば、記録済トラックが3つ連続する場合、信号レベルの低下は約50%程度にまで抑えられることが確認できている。
【0172】
そして、上述した構成の記録再生装置1では、プッシュプル信号の信号レベルの低下が約50%程度であれば、ほぼ確実にトラッキング制御を行うことができた。つまり、この記録再生装置1では、少なくとも3トラック分のダミーデータを書き込めば、確実にトラッキング制御を行うことができると言える。
【0173】
またダミーデータを4トラック分以上書き込めば、信号レベルの低下を一段と抑えることができるが、その分、光ディスク5で使用できる記録容量が減ることになる。
【0174】
すなわち、記録再生装置1では、プッシュプル信号の信号レベルの低下の抑制と、記録容量の確保との双方を考慮して、3トラック分のダミーデータを書き込むようになっている。
【0175】
以上の構成によれば、記録再生装置1は、制御部16が信号処理部7及び光ピックアップ6を制御してLTHメディアの光ディスク5に対してデータを書き込むにあたり、未記録の極小データ記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該極小データ記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むようにしたことで、LTHメディアである光ディスク5の極小データ記録領域に対して、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避しながらデータを書き込むことができ、この結果、当該光ディスクをプッシュプル信号の信号レベルの低下が抑制されたものにすることができる。
【0176】
かくして、この記録再生装置1は、従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアにデータを記録することができる。
【0177】
(6)他の実施の形態
(6−1)他の実施の形態1
尚、上述した実施の形態では、未記録の光ディスク5に対して初めてデータを記録する時に、OPC領域60Bに3トラック分のダミーデータを書き込む特別OPC処理を行ってから、OPC領域60Bに試し書き用データを書き込む通常のOPC処理を行うようにした。
【0178】
本発明はこれに限らず、例えば、図13(A)に示すように、初回の通常OPC処理を行う時に、3トラック分のダミーデータDaを書き込んでから、このダミーデータDaに続けて試し書き用データDopを書き込むようにしてもよい。
【0179】
また、例えば図13(B)に示すように、3トラック分ではなく、2トラック分のダミーデータDaを書き込んでから、このダミーデータDaに続けて試し書き用データDopを書き込むようにしてもよい。
【0180】
さらに、例えば図13(C)に示すように、1トラック分のダミーデータDaを書き込んでから、このダミーデータDaに続けて試し書き用データDopを書き込むようにしてもよい。
【0181】
さらに、これらの場合において、試し書き用データDopを書き込んでから、この試し書き用データDopに続けて1乃至3トラック分のダミーデータDopを書き込むようにしてもよい。
【0182】
いずれの場合においても、初回の通常OPC処理時に、1トラック分以上のダミーデータDaと所定データサイズの試し書き用データDopとを書き込むので、OPC領域60Bに1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0183】
また第1及び第2のスペア領域61、63に対しても、初回の通常交替処理を行うときに、1トラック分以上のダミーデータを書き込んでから、このダミーデータDaに続けて、欠陥領域に書き込もうとしていたデータを書き込むようにしてもよい。
【0184】
同様に、TDMA領域60Cに対しても、初回の通常記録処理を行うときに、1トラック分以上のダミーデータを書き込んでから、このダミーデータに続けて欠陥管理情報を書き込むようにしてもよい。
【0185】
因みに、光ディスク5には、TDMA領域に書き込まれた情報の信頼性を上げるために、TDMA領域を複数設け、これら複数のTDMA領域のそれぞれに同じ情報を書き込む場合がある。
【0186】
この場合、記録再生装置1は、例えば、全てのTDMA領域に対して、特別記録処理を行うようにすればよい。
【0187】
(6−2)他の実施の形態2
また、上述した実施の形態では、最終処理としてのファイナライズ時に、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのDMA領域73に対し、欠陥管理情報を書き込んでから残りの未記録領域の全てにダミーデータを書き込むようにした。
【0188】
本発明はこれに限らず、例えば図14に示すように、所定データサイズの欠陥管理情報Dtdを書き込んでから、この欠陥管理情報Dtdに続けて、1トラック分以上のダミーデータDdを書き込むようにしてもよい。
【0189】
同様に、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのCD領域64に3に対しても、所定データサイズのファイナライズ情報Dcdを書き込んでから、このファイナライズ情報Dcdに続けて、1トラック分以上のダミーデータDeを書き込むようにしてもよい。
【0190】
いずれの場合においても、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0191】
(6−3)他の実施の形態3
さらに、上述した実施の形態では、記録再生装置1が、LTHメディアである光ディスク5に対して、1つの記録済トラックが孤立して存在するような状況を回避するための特別記録処理を行うようにした。
【0192】
ここで、記録再生装置1が、例えば、挿入された光ディスク5がLTHメディアであるかどうかを判別して、その光ディスク5がLTHメディアである場合にのみ、特別記録処理を行うようにしてもよい。
【0193】
挿入された光ディスク5がLTHメディアであるかどうかを判別するには、例えば、自由に使用できる記録領域にデータを記録して、プッシュプル信号の信号レベルの変化を検出する手法や、他の既存の手法などを用いればよい。
【0194】
(6−4)他の実施の形態4
さらに、上述した実施の形態では、記録再生装置1が、試し書き領域としてのOPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、一時欠陥管理領域としてのTDMA領域60C、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対して特別記録処理を行うようにした。
【0195】
本発明はこれに限らず、これら以外の記録領域に対しても、例えば1トラック分以下のデータサイズでデータが記録され得る記録領域があるならば、その記録領域に対して特別記録処理を行うようにしてもよい。
【0196】
例えば、リードアウト領域64に設けられたDCZ領域64Dが、データの試し書き領域として使用される場合、このDCZ領域64Dに対して、特別記録処理を行うようにする。すなわち、未記録のDCZ領域64Dに対し、その記録開始位置から3トラック分のダミーデータを書き込むようにする。
【0197】
こうすることで、このDCZ領域64に1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0198】
また、これらの記録領域に限らず、例えば、光ディスク5とは異なる記録領域が設けられた光ディスクに対して、特別記録処理を行うようにしてもよい。
【0199】
(6−5)他の実施の形態5
さらに、上述した実施の形態では、本発明を、追記型のLTHメディアである光ディスク5に対するデータの記録に適用する場合について述べた。
【0200】
本発明はこれに限らず、追記型と同様の記録制御が可能であるならば、書換型のLTHメディアである光ディスク5に対するデータの記録に適用してもよい。すなわち、未記録の極小データ記録領域に対して、その記録開始位置から2トラック分以上のダミーデータを書き込む記録処理を行った後、このダミーデータが書き込まれたトラックに続くトラックにデータを書き込んでいく記録処理を行うことが可能な光ディスク5であればよい。
【0201】
(6−6)他の実施の形態6
さらに、上述した実施の形態では、特別記録処理を含む記録処理を実行するためのプログラムを、制御部16のメモリにあらかじめ書き込んでおくようにした。本発明はこれに限らず、このプログラムを、例えば一般的なHTL(High to Low)メディアの光ディスク5に記録しておき、記録再生装置1が、このプログラムを光ディスク5から読み出して制御部16のメモリにインストールするようにしてもよい。またインタフェース18を介してコンピュータ3から送られてきたプログラムを、このメモリにインストールするようにするなどしてもよい。
【0202】
(6−7)他の実施の形態7
さらに、上述した実施の形態では、記録再生装置1に、LTHメディアの光ディスク5に対して、データの書き込みが可能なデータ書込部としての光ピックアップ6及び信号処理部7と、これらを制御する制御部としての制御部16とを設けるようにした。
【0203】
本発明はこれに限らず、同様の機能を有するのであれば、上述した記録再生装置1の各機能部を、他の種々のハードウェアにより構成するようにしてもよい。
【0204】
また、本発明は、上述した実施の形態と同様の記録処理を実現できる記録装置であれば、記録再生装置1に限らず、光ディスクドライブ2を有するパーソナルコンピュータ、ゲーム機、AVレコーダなど、この他種々の装置に適用することができる。
【0205】
(6−8)他の実施の形態8
さらに、本発明は、上述した実施の形態とここまで説明した他の実施の形態1乃至8とに限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態とここまで説明した他の実施の形態1乃至8の一部または全部を任意に組み合わせた形態、もしくは一部を抽出した形態も適用範囲とする。
【0206】
例えば、他の実施の形態1と2とを組み合わせてもよいし、さらに1と2に加えて他の実施の形態の3を組み合わせるなどしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明は、例えば、LTHメディアの光ディスクにデータを書き込む記録装置である、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、AVレコーダなどで広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】光ピックアップの光路を示す略線図である。
【図3】光ビームのスポットの位置関係を示す略線図である。
【図4】光検出器の構成を示す略線図である。
【図5】光ディスクの記録領域を示す略線図である。
【図6】リードイン領域の構成を示す略線図である。
【図7】リードアウト領域の構成を示す略線図である。
【図8】特別OPC領域によるダミーデータの書き込みの説明に供する略線図である。
【図9】特別交替領域によるダミーデータの書き込みの説明に供する略線図である。
【図10】TDMA領域に対する特別記録処理によるダミーデータの書き込みの説明に供する略線図である。
【図11】INFO領域に対する特別記録処理によるダミーデータの書き込みの説明に供する略線図である。
【図12】記録処理手順を示すフローチャートである。
【図13】他の実施の形態によるダミーデータの書き込み(1)の説明に供する略線図である。
【図14】他の実施の形態によるダミーデータの書き込み(2)の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
【0209】
1……記録再生装置、2……光ディスクドライブ、5……光ディスク5……光ピックアップ、7……信号処理部、16……制御部、60A、60D、64A、64C……INFO領域、60B…OPC領域、60C……TDMA領域、61、63……スペア領域、Da、Db、Dc、Dd、De……ダミーデータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録方法及び記録プログラムに関し、例えば、データが書き込まれると反射率が上昇する、所謂LTH(Low to High)メディアと呼ばれる光ディスクに対して、データを記録する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
現在、記録メディアとして、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)と言った種々の光ディスクが広く普及している。この光ディスクには、空き領域にデータを追記(追加で記録)していくことができる追記型と呼ばれるものがある。
【0003】
ここで、追記型の光ディスク(これを追記型光ディスクとも呼ぶ)に対する記録再生装置の記録(書き込み)動作ついて簡単に説明する。
【0004】
追記型光ディスクには試し書き用の領域が用意されており、記録再生装置は、実際にデータを記録する前に、まずこの領域に対してレーザ光の記録パワーを段階的に変化させながら試し書きを行う。
【0005】
試し書きが終了すると、記録再生装置は、この領域を再生することで、記録パワーごとの信号レベルを得、これをもとにデータの記録に最適な記録パワーを設定して、以降、この記録パワーで追記型光ディスクのデータ領域にデータを記録する。このようにデータの記録に最適な記録パワーを設定する処理は、OPC(Optimum Power Control)処理と呼ばれている。
【0006】
ここで、実際にデータを記録した後、ユーザにより一旦データの記録を終了するよう指示されたとする。すると記録再生装置は、次回の記録動作を行うときに必要となる情報を追記型光ディスクの特定の領域に記録する。
【0007】
その後、ユーザによりデータの記録を再開するよう指示されたとする。すると記録再生装置は、特定の領域に記録されている情報をもとに記録動作を再開する。
【0008】
このようにして記録再生装置は、追記型光ディスクにデータを記録するようになっている。
【0009】
このような記録再生装置では、光ディスクの個体差などによらず、確実に再生できるようにデータを記録することが要求される。
【0010】
そこで従来、レーザ光の記録パワーを段階的に変化させながら試し書きを行う処理を複数の領域で実行して、これら複数の領域から記録パワーごとの平均信号レベルを得、これをもとに最適な記録パワーを設定する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0011】
この方法によれば、仮に1つの領域が不良だったとしても、複数の領域から得られた記録パワーの平均信号レベルをもとにするので、記録パワーの設定を適切に行うことができる。
【特許文献1】WO2005/029479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、差動プッシュプル方式を用いてトラッキング制御を行う記録再生装置では、光ディスクごとの反射率のばらつきを補償するために、トラッキングサーボ用のプッシュプル信号を光ディスクからの反射光の光量の総和で正規化するようになっている。
【0013】
また一方で、近年、BDなどの高容量追記型光ディスクでは、データが書き込まれると反射率が上昇する、所謂LTHメディアと呼ばれる有機メディアが、コスト面などから注目されている。
【0014】
ところが、従来の記録再生装置でこのLTHメディアを使用すると、反射光の光量の総和で正規化した後のプッシュプル信号の信号レベルが、データが書き込まれた記録領域では、データが書き込まれていない未記録領域よりも大幅に(例えば数dB)小さくなる。
【0015】
この結果、従来の記録再生装置では、例えばLTHメディアの再生時に、レーザ光の照射位置が未記録領域から記録領域に移ったところで、トラッキングサーボが外れて、データを読み出すことができなくなることがあった。
【0016】
特に、未記録領域中に1本の記録済トラックが孤立して存在する場合など、記録領域の幅が狭い場合に、プッシュプル信号の信号レベルの低下が大きく、読み出しエラーの発生率が高くなることが確認されている。因みに、ここで言う1本のトラックとは、トラックが同心円状またはスパイラル状のどちらで形成されているかに依らず、光ディスク1周分のトラックのことである。
【0017】
ここで、このような状況を回避できるように、LTHメディアにデータを記録することができれば、LTHメディアに対する再生精度を向上させることができるものと考えられる。
【0018】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアにデータを記録し得る記録装置、記録方法及び記録プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
かかる課題を解決するため本発明においては、1以上の記録領域を有し、当該記録領域にデータが書き込まれると、書き込まれた部分の反射率が上昇するLTH(Low to High)メディアの光ディスクに対してデータの書き込みが可能なデータ書込部と、未記録の上記記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する制御部とを設けるようにした。
【0020】
こうすることで、LTHメディアである光ディスクに対して、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避しながらデータを書き込むことができ、この結果、当該光ディスクをプッシュプル信号の信号レベルの低下が抑制されたものにすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、1以上の記録領域を有し、当該記録領域にデータが書き込まれると、書き込まれた部分の反射率が上昇するLTH(Low to High)メディアの光ディスクに対してデータの書き込みが可能なデータ書込部と、未記録の上記記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する制御部とを設けるようにしたことにより、LTHメディアである光ディスクに対して、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避しながらデータを書き込むことができ、この結果、当該光ディスクをプッシュプル信号の信号レベルの低下が抑制されたものにすることができ、かくして、従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアにデータを記録し得る記録装置、記録方法及び記録プログラムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面について、本発明の実施の形態を詳述する。
【0023】
(1)記録再生装置の全体構成
図1において、1は全体として追記型光ディスク(例えばBD−Rなど)に対する記録及び再生が可能な記録再生装置を示している。この記録再生装置1は、光ディスクドライブ2とホスト側のコンピュータ3とでなる。
【0024】
光ディスクドライブ2は、スピンドルモータ4により光ディスク5を回転させ、この回転させた光ディスク5に対して光ピックアップ6及び信号処理部7により光学的にデータの記録及び再生を行うようになっている。
【0025】
光ピックアップ6は、スレッドモータ8により光ディスク5の径方向に移動可能なスレッド9に載置され、スレッド9とともに光ディスク5の径方向に移動できるようになっている。
【0026】
信号処理部7は、プリアンプ10と、サーボ回路11と、二値化回路12と、変復調回路13と、ECC(Error Correcting Code)回路14と、バッファ15と、制御部16とを有している。
【0027】
制御部16は、内蔵のメモリに記録されている制御プログラムに従い、内部バス17を介するなどして光ディスクドライブ2全体を統括的に制御する。
【0028】
実際上、サーボ回路11は、制御部16による制御に基づき、モータ駆動信号をスピンドルモータ4に送ることで光ディスク5の回転を制御するとともに、モータ駆動信号をスレッドモータ8に送ることで光ピックアップ6の位置を制御する。
【0029】
ここで光ピックアップ6は、制御部16による制御に基づき、半導体レーザ(図示せず)を駆動して、レーザ光で光ディスク5の記録面を照射する。この結果として、光ディスク5の記録面で反射した反射光は、光ピックアップの光検出器(図示せず)に入射する。光ピックアップ6は、この反射光を光検出器で光電変換することにより光検出信号を得て、これを信号処理部7に送る。
【0030】
信号処理部7は、この光検出信号を、演算回路を有するプリアンプ10で演算することにより、光検出信号からサーボエラー信号(フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号など)を生成して、これをサーボ回路11に送る。
【0031】
サーボ回路11は、このサーボエラー信号に基づき、スピンドルモータ4、スレッドモータ8、光ピックアップ6の対物レンズのアクチュエータ(図示せず)などのサーボ制御(フォーカス制御やトラッキング制御など)を行う。
【0032】
ここで、光ディスク5に記録されているデータを再生する場合、信号処理部7は、光ピックアップ6からの光検出信号をプリアンプ10で演算することにより、光検出信号からアナログデータ信号を生成して、これを二値化回路12に送る。
【0033】
二値化回路12は、アナログデータ信号をA/D(アナログ/デジタル)変換することで二値化データ信号を得て、これを変復調回路13に送る。変復調回路13は、二値化データ信号を復調することで復調データ信号を得て、これをECC回路14に送る。
【0034】
ECC回路14は、復調データ信号に対して誤り訂正処理を施すことで、誤り訂正データ信号を得、これをバッファ15に送る。この結果、この誤り訂正データ信号がバッファ15にデータとして格納される。
【0035】
バッファ15に格納されたデータは、光ディスクドライブ2からSATA(Serial ATA)などのインタフェース18を介してコンピュータ3に送られる。そしてコンピュータ3が、このデータに対して、所定の処理(例えばこのデータがAV(Audio Video)データであるならばAVデコード処理など)を行う。
【0036】
これに対して、光ディスク5にデータを記録する場合、信号処理部7は、光ディスク5に記録すべきデータとしてバッファ15に格納されているデータを、ECC回路14に送る。因みに、このデータは、光ディスク5に記録すべきデータとして、例えばコンピュータ3からインタフェース18を介して送られてきたデータであるとする。
【0037】
ECC回路14は、データに対して誤り訂正符合を付加することで、符号化データ信号を生成し、これを変復調回路13に送る。変復調回路13は、符号化データ信号を変調することで、変調データ信号を得て、これを光ピックアップ6に送る。
【0038】
光ピックアップ6は、変調データ信号に基づいてレーザ光のパワーを変調する。この結果、この変調されたレーザ光が光ディスクの記録面に照射されることにより、光ディスク5にデータが記録される。
【0039】
このようにして記録再生装置1は、光ディスク5に対する再生及び記録を行うようになっている。
【0040】
(2)トラッキング制御
次に、記録再生装置1でのトラッキング制御について、詳しく説明する。この記録再生装置1では、差動プッシュプル(DPP:Differential Push-Pull)方式を用いてトラッキング制御を行うようになっている。
【0041】
まず光ピックアップ6の光路について図2を用いて概念的に説明する。光ピックアップ6では、例えば半導体レーザからなるレーザ光源30から出射されたレーザ光が、グレーティング31で0次光からなるメインビームと1次光からなる2つのサイドビームとに分割された後、ビームスプリッタ32を介してコリメータレンズ33に入射される。
【0042】
このレーザ光は、コリメータレンズ33で平行光に変換された後、対物レンズ34により収束されて光ディスク5の記録面に照射される。
【0043】
この結果として、光ディスク5の記録面で反射したレーザ光(反射光)は、対物レンズ34及びコリメータレンズ33を介してビームスプリッタ32に入射される。そしてこの反射光は、ビームスプリッタ32で所定の方向に反射され、シリンドリカルレンズ35を介して光検出器36に入射される。
【0044】
このように光ピックアップ6は、レーザ光源30から出射されたレーザ光を、メインビームと2つのサイドビームとの3つのビームに分割して、光ディスク5の記録面に照射するようになっている。
【0045】
ここで、各ビームのスポットが、光ディスク5の記録面上でどのような位置に配置されるのかについて、図3を用いて説明する。メインビーム40は、実際に記録及び再生を行うためのビームである。ここで、例えば、このメインビーム40のスポットが、所望のトラックTr(N)の中央に照射されているとする。
【0046】
このとき、サイドビーム41Aのスポットは、トラックTr(N)とそのディスク外周側に隣接するトラックTr(N+1)との間に形成された間隙部Ga(N)の中央に位置するように配置される。
【0047】
またこのとき、サイドビーム41Bのスポットは、トラックTr(N)とそのディスク内周側に隣接するトラックTr(N−1)との間に形成された間隙部Ga(N−1)の中央に位置するように配置される。
【0048】
つまり、サイドビーム41A及び41Bのスポットは、メインビーム40のスポットがトラックTr(N)の中央に位置するとき、このトラックTr(N)の両側の間隙部Ga(N)及びGa(N−1)の中央に位置するように配置される。
【0049】
さらにこれらサイドビーム41A及び41Bのスポットは、メインビーム40のスポットに対して、光ディスク5の回転方向にずれて配置される。すなわち、光ディスク5の回転方向が時計回りであるとすると、サイドビーム41Aのスポットは、メインビーム40のスポットに対して先行する位置に配置され、サイドビーム41Bのスポットは、メインビーム40のスポットに対して後行する位置に配置される。
【0050】
次に、メインビーム40、サイドビーム41A及び41Bの反射光が入射される光検出器36について、図4を用いて説明する。光検出器36は、メインビーム40用のフォトディテクタ(メインPDとも呼ぶ)50と、サイドビーム41A用のフォトディテクタ(サイドPDとも呼ぶ)51Aと、サイドビーム41B用のフォトディテクタ(サイドPD)51Bとを有している。
【0051】
ここでメインPD50は、4つの検出領域A〜Dで4分割され、これら4つの検出領域A〜Dによりメインビーム40の反射光を受光するようになっている。
【0052】
またサイドPD51Aは、2つの検出領域E及びFで2分割され、これら2つの検出領域E及びFでサイドビーム41Aの反射光を受光するようになっている。サイドPD51Bも、2つの検出領域G及びHで2分割され、これら2つの検出領域G及びHでサイドビーム41Bの反射光を受光するようになっている。
【0053】
メインPD50は、検出領域A〜Dでメインビーム40の反射光を受光すると、検出領域A〜Dで検出した光量に応じて、検出領域A〜Dごとの光検出信号を出力する。
【0054】
またサイドPD51Aは、検出領域E及びFでサイドビーム41Aの反射光を受光すると、検出領域E及びFで検出した光量に応じて、検出領域E及びFごとの光検出信号を出力する。さらにサイドPD51Bは、検出領域G及びHでサイドビーム41Bの反射光を受光すると、検出領域G及びHごとの光検出信号を出力する。
【0055】
光検出器36は、このようにしてメインPD50、サイドPD51A及び51Bから出力された検出領域A〜Hごとの光検出信号を、信号処理部7に送る。
【0056】
そして信号処理部7が、この光検出信号をもとに、トラッキングサーボ用の差動プッシュプル信号を生成するようになっている。
【0057】
具体的に、信号処理部7は、演算回路を有するプリアンプ10によって、メインPD50の検出領域A及びDの光検出信号と、検出領域B及びCの光検出信号との差分からメインビーム40のプッシュプル信号(これをメインプッシュプル信号とも呼ぶ)を生成する。
【0058】
またプリアンプ10は、メインPD50の検出領域A〜Dの光検出信号の和からメインビーム40の光量信号(これをメイン光量信号とも呼ぶ)を生成する。
【0059】
さらにプリアンプ10は、サイドPD51Aの検出領域Eの光検出信号と、検出領域Fの光検出信号との差分からサイドビーム41Aのプッシュプル信号を生成する。さらにプリアンプ10は、サイドPD51Bの検出信号Gの光検出信号と、検出領域Hの光検出信号との差分からサイドビーム41Bのプッシュプル信号を生成する。そしてプリアンプ10は、サイドPD51Aのプッシュプル信号とサイドPD51Bのプッシュプル信号とを加算して、所定の係数を乗じることで、サイドビーム41A及び41Bのプッシュプル信号(これをサイドプッシュプル信号とも呼ぶ)を生成する。
【0060】
さらにプリアンプ10は、サイドPD51A及び51Bの検出領域E〜Hの光検出信号の和からサイドビーム41A及び41Bの光量信号(これをサブ光量信号とも呼ぶ)を生成する。
【0061】
さらにプリアンプ10は、メインプッシュプル信号を、メイン光量信号で正規化することで、正規化メインプッシュプル信号を生成するとともに、サブプッシュプル信号を、サブ光量信号で正規化することで、正規化サブプッシュプル信号を生成する。
【0062】
そしてプリアンプ10は、正規化メインプッシュプル信号と正規化サブプッシュプル信号との差分から正規化された差動プッシュプル信号(これを正規化差動プッシュプル信号とも呼ぶ)を生成する。
【0063】
プリアンプ10は、このようにして生成した正規化差動プッシュプル信号を、サーボ回路11に送る。
【0064】
そしてサーボ回路11が、この正規化差動プッシュプル信号をもとに、トラッキング制御を行う。
【0065】
このようにして記録再生装置1は、正規化差動プッシュプル方式を用いたトラッキング制御を行うようになっている。
【0066】
(3)データの記録
ここで、記録再生装置1でのデータの記録について詳しく説明する。上述したように、正規化差動プッシュプル信号は、光ディスク5からの反射光の光量の総和で正規化されている。
【0067】
ゆえに、このような正規化差動プッシュプル信号を用いて、LTHメディアに対するトラッキング制御を行うと、データが書き込まれた記録領域では、データが書き込まれていない未記録領域と比して、正規化差動プッシュプル信号の信号レベルが小さくなる。
【0068】
特に、未記録領域中に1本の記録済トラックが孤立して存在する場合など、記録領域の幅が狭い場合に、正規化差動プッシュプル信号の信号レベルの低下が大きい。
【0069】
そこで、この記録再生装置1では、1本の記録済トラックが孤立して存在することのないように、データを記録するようになっている。
【0070】
尚、ここでは、追記型のLTHメディアである光ディスク5にデータを記録する場合を例に説明する。
【0071】
まず光ディスク5の記録領域について説明する。光ディスク5には、図5に示すように、記録領域として、例えばディスク内周側から、リードイン領域60、第1のスペア領域61、ユーザデータ領域62、第2のスペア領域63及びリードアウト領域64が設けられている。
【0072】
リードイン領域60及びリードアウト領域64は、追記型LTH光ディスク5の記録再生に必要な各種情報を記録する記録領域である。
【0073】
ユーザデータ領域62は、例えば、コンピュータ3側から記録するよう指示されたAVデータなどのユーザデータを記録する記録領域である。実際上、光ディスク5の主たる目的は、このユーザデータを記録再生することにあるので、このユーザデータ領域62が、記録領域の中で最も大きな領域となる。
【0074】
第1のスペア領域61及び第2のスペア領域63は、正常に記録できない記録領域(これを欠陥領域とも呼ぶ)の代替領域として利用される領域であり、少なくとも4トラック分以上のデータを記録し得るサイズでなる。
【0075】
実際上、記録再生装置1は、或る記録領域に対してデータを書き込んでいる途中で正常に書き込めずにエラーが発生すると、この記録領域(欠陥領域)に記録しようとしていたデータを、代わりに第1のスペア領域61または第2のスペア領域63に設けられた代替領域に記録する処理(これを交替処理とも呼ぶ)を行うようになっている。
【0076】
ここで、第1のスペア領域61には、交替処理が実行されるごとにディスク内周側の端である記録開始位置Psaからディスク外周側に向かって順にデータが追記されていくようになっている。そして例えば、第1のスペア領域61が満杯になると、今度は第2のスペア領域63のディスク内周側の記録開始位置Psaからディスク外周側に向かって順にデータが追記されるようになっている。
【0077】
またリードイン領域60には、図6に示すように、ディスク内周側から、第2のINFO領域60A、OPC領域60B、TDMA(Temporary Disc Management Areas)領域60C及び第1のINFO領域60Dが設けられている。
【0078】
さらにリードアウト領域64には、図7に示すように、ディスク内周側から、第3のINFO領域64A、AngularBuffer領域64B、第4のINFO領域64C、DCZ領域64D及びProtection領域64Eが設けられている。
【0079】
ここで、リードイン領域60のOPC領域60Bには、ディスク内周側から、試し書き領域70及びOPCBuffer領域71が設けられている。
【0080】
試し書き領域70は、データの記録に最適な記録パワーを設定するOPC処理を実行するときに、実際にデータの試し書きが行われる領域であり、少なくとも4トラック分以上のデータを記録し得るサイズでなる。
【0081】
この試し書き領域70には、OPC処理が実行されるごとに、ディスク外周側(すなわちOPCBuffer領域71側)の端である記録開始位置Popからディスク内周側に向かって試し書き用のデータが順に追記されていくようになっている。
【0082】
OPCBuffer領域71は、試し書き領域70に書き込まれたデータが、隣の領域に影響を及ぼすことのないように設けられた間隙であり、試し書き領域70と、その隣の領域(ここでは第1のINFO領域60D)との間を離す役割を担っている。このため、通常、このOPCBuffer領域71にデータが書き込まれることはない。
【0083】
またリードイン領域60のTDMA領域60Cは、欠陥領域の位置(例えばアドレス)と、その代替領域の位置とを示す欠陥管理情報が記録される領域であり、少なくとも4トラック分以上のデータを記録し得るサイズでなる。
【0084】
このTDMA領域60には、例えばデータの記録が一旦終了される毎に、ディスク内周側の端である記録開始位置Ptdからディスク外周側に向かって最新の欠陥管理情報が順に追記されていくようになっている。
【0085】
さらに、リードイン領域60及びリードアウト領域64の第1のINFO領域60D、第2のINFO領域60A、第3のINFO領域64A及び第4のINFO領域64Cのそれぞれには、Buffer領域72、DMA(Disc Management Areas)領域73及びControlData領域(単にCD領域とも呼ぶ)74が設けられている。
【0086】
このうちDMA領域73は、TDMA領域60に記録されている最新の欠陥管理情報(後述する)が、ファイナライズ時に書き込まれる領域であり、少なくとも2トラック分以上のデータを記録し得るサイズでなる。このDMA領域73には、ファイナライズ時に、ディスク内周側の端である記録開始位置Pdmからディスク外周側に向かって欠陥管理情報が書き込まれるようになっている。
【0087】
因みに、ファイナライズとは、光ディスク5に対する追記を終了して、光ディスク5を、再生専用の光ディスクにするための最終処理である。
【0088】
またCD領域74は、光ディスク5がファイナライズされたことを示す情報(これをファイナライズ情報とも呼ぶ)がファイナライズ時に書き込まれる領域であり、少なくとも2トラック分以上のデータを記録し得るサイズでなる。このCD領域74には、ファイナライズ時に、ディスク内周側の端である記録開始位置Pcdからディスク外周側に向かってファイナライズ情報が書き込まれるようになっている。
【0089】
さらに、リードアウト領域64DのDCZ領域64Dは、オプショナルな試し書き領域であり、OPC領域60Bと同様に、データの試し書きを行うための領域である。
【0090】
ところで、上述した記録領域のうち、ユーザデータ記録領域62には、他の記録領域にデータを記録する場合と比べて、大きなデータサイズ(例えば数百メガバイト)でデータが記録される。実際上、このユーザデータ記録領域62には、AVデータのような大容量のユーザデータを記録することになるので、このように記録することが、記録効率及び記録速度の面からも望ましい。
【0091】
これに対して、OPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、TDMA領域60C、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cには、ユーザデータ領域62にデータを記録する場合と比べて、小さなデータサイズ(例えば数十キロバイト)でデータが記録される。実際上、これらの記録領域には、試し書き用データや欠陥管理情報のような小容量の補助的なデータを記録することになるので、このように記録することが、記録効率及び記録速度の面からも望ましい。尚、これらOPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、TDMA領域60C、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cを、ここでは極小データ記録領域とも呼ぶ。
【0092】
ここで、この極小データ記録領域には、トラックの位置(内周側か外周側か)にも依るが、1トラック分以下のデータサイズでデータが記録されることがある。
【0093】
このとき、仮に、未記録の極小データ記録領域に1トラック分以下のデータサイズでデータを記録すると、未記録領域中に記録済の1トラックが孤立して存在する状況が起こり得る。この結果、正規化差動プッシュプル信号の信号レベルが低下することで、このトラックに記録されたデータが再生できなくなる恐れがある。
【0094】
このため、記録再生装置1では、このような極小データ記録領域にデータが書き込まれた1トラックが孤立して存在する状況が起こらないように、データを記録するうえで、特別な記録処理(これを特別記録処理とも呼ぶ)を行うようになっている。
【0095】
以下、この特別記録処理について、OPC領域60Bに対して行う処理と、第1及び第2のスペア領域61、63に対して行う処理と、TDMA領域60Cに対して行う処理と、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対して行う処理とに分けて説明する。
【0096】
まずOPC領域60Bに対して行う特別記録処理(これを特別OPC処理とも呼ぶ)について説明する。この特別OPC処理は、未記録の光ディスク5に対して初めてデータ(例えばユーザデータ)を記録するときに行う処理である。
【0097】
記録再生装置1は、例えば図示しない入力手段を介してユーザから光ディスク5に対してデータを記録するよう指示されると、通常のOPC処理(これを通常OPC処理とも呼ぶ)を行う前段階で、この特別OPC処理を行う。
【0098】
すなわち、記録再生装置1は、特別OPC処理として、図8(A)に示すように、OPC領域60Bの試し書き領域70に対し、その記録開始位置Popから3トラック分のデータサイズでなるダミーデータDaを書き込む。
【0099】
その後、記録再生装置1は、通常OPC処理を行う。すなわち、記録再生装置1は、図8(B)に示すように、試し書き領域70に対し、先にダミーデータDaを書き込んだ部分に続く未記録部分に試し書き用データDopを追記する。
【0100】
以降、記録再生装置1は、通常OPC処理を行う毎に、試し書き領域70に対し、新たな試し書き用データDopを順に追記していく。
【0101】
このように、記録再生装置1では、試し書き領域70の記録開始位置Popから3トラック分のダミーデータDaを書き込んでから、試し書き用データDopを追記していくようになっている。こうすることで、未記録の試し書き領域70に試し書き用データDopのみが書き込まれて、この試し書き用データDopを書き込んだ1トラックが未記録領域中に孤立して存在する状況(図8(C))を回避することができる。
【0102】
因みに、記録再生装置1は、この試し書き領域70に対し、ダミーデータDaを、再生時にデータが書き込まれていることを十分認識できる程度の記録パワーで書き込むようになっている。
【0103】
次に、第1及び第2のスペア領域61、63に対して行う特別記録処理(これを特別交替処理とも呼ぶ)について説明する。この特別交替処理も、未記録の光ディスク5に対して初めてデータ(例えばユーザデータ)を記録するときに行う処理である。
【0104】
記録再生装置1は、例えば上述した特別OPC処理を行った後に、この特別交替処理を行う。
【0105】
すなわち、記録再生装置1は、特別交替処理として、図9(A)に示すように、第1のスペア領域61に対し、その記録開始位置Psaから3トラック分のデータサイズでなるダミーデータDbを書き込む。また同様にして記録再生装置1は、第2のスペア領域63にも、その記録開始位置Psaから3トラック分のデータサイズでなるダミーデータDbを書き込む。
【0106】
その後、記録再生装置1は、例えばデータの記録時に欠陥領域を見付けると、通常の交替処理(これを通常交替処理とも呼ぶ)を行う。すなわち、記録再生装置1は、図9(B)に示すように、第1のスペア領域61に対し、先にダミーデータDbを書き込んだ部分に続く未記録部分に、欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaを追記する。
【0107】
以降、記録再生装置1は、データの記録時に通常交替処理を行うと、その都度、第1のスペア領域61に対し、欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaを追記していく。そして第1のスペア領域61が満杯になると、今度は第2のスペア領域63に対し、先に書き込んだダミーデータDbに続けて、欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaを追記していく。
【0108】
このように、記録再生装置1では、第1のスペア領域61の記録開始位置Psaから3トラック分のダミーデータDbを書き込んでから、欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaを追記していくようになっている。また同様にして記録再生装置1は、第2のスペア領域63の記録開始位置Psaから3トラック分のダミーデータDbを書き込んでから、欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaを追記していくようになっている。
【0109】
こうすることで、未記録の第1及び第2のスペア領域61、63に対して欠陥領域に書き込もうとしていたデータDsaのみが書き込まれて、このデータDsaを書き込んだ1トラックが未記録領域中に孤立して存在する状況(図9(C))を回避することができる。
【0110】
次に、TDMA領域60Cに対して行う特別記録処理について説明する。この特別記録処理も、未記録の光ディスク5に対して初めてデータ(例えばユーザデータ)を記録するときに行う処理である。
【0111】
記録再生装置1は、例えば上述した特別交替処理を行った後に、このTDMA領域60Cに対する特別記録処理を行う。
【0112】
すなわち、記録再生装置1は、TDMA領域60Cに対する特別記録処理として、図10(A)に示すように、TDMA領域60Cに対し、その記録開始位置Ptdから3トラック分のデータサイズでなるダミーデータDcを書き込む。
【0113】
その後、記録再生装置1は、データの記録時に通常交替処理を行うと、交替処理の内容を記憶しておき、データの記録を一旦終了する時点で、図10(B)に示すように、TDMA領域60Cに対し、先にダミーデータDcを書き込んだ部分に続く未記録部分に、交替処理の内容を示す欠陥管理情報Dtdを追記する。
【0114】
因みに、交替処理の内容(すなわち欠陥領域の位置と代替領域の位置)は、例えば制御部16に内蔵されたメモリに記憶されるようになっている。
【0115】
以降、記録再生装置1は、通常交替処理を行うと、データの記録を一旦終了するときに、TDMA領域60Cに対し、最新の欠陥管理情報を追記していく。
【0116】
このように、記録再生装置1では、TDMA領域60Cの記録開始位置Ptdから3トラック分のダミーデータDcを書き込んでから、欠陥管理情報Dtdを追記していくようになっている。こうすることで、未記録のTDMA領域60Cに対して欠陥管理情報Dtdのみが書き込まれて、この欠陥管理情報Dtdを書き込んだ1トラックが未記録領域中に孤立して存在する状況(図10(C))を回避することができる。
【0117】
尚、TDMA領域60Cに書き込まれるダミーデータDcは、第1及び第2のスペア領域61、63に書き込んだダミーデータDbが実際に使われないように、例えば、第1及び第2のスペア領域61、63のダミーデータDbが書き込まれた記録領域を欠陥領域として示すようになっている。
【0118】
最後に、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対して行う特別記録処理について説明する。この特別記録処理は、光ディスク5に対するファイナライズ時に行う処理である。
【0119】
記録再生装置1は、例えば図示しない入力手段を介してユーザから光ディスク5に対してファイナライズをするよう指示されると、ファイナライズ処理を行う。
【0120】
すなわち、記録再生装置1は、図11(A)に示すように、ファイナライズ処理として、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのDMA領域73に対し、その記録開始位置PdmからTDMA領域60に記録されている最新の欠陥管理情報Dtdを書き込む。
【0121】
このとき記録再生装置1は、特別記録処理として、各DMA領域73内の未記録領域の全てにダミーデータ(具体的には、例えば「0」のデータ)Ddを書き込む。
【0122】
また記録再生装置1は、ファイナライズ処理として、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのCD領域74に対し、その記録開始位置Pcdから光ディスク5がファイナライズされたことを示すファイナライズ情報Dcdを書き込む。
【0123】
このとき記録再生装置1は、特別記録処理として、各CD領域74内の未記録領域の全てにダミーデータ(具体的には、例えば「0」のデータ)Deを書き込む。
【0124】
このように、記録再生装置1では、ファイナライズ時に、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのDMA領域73に欠陥管理情報Dtdを書き込んだ後、各DMA領域74の残りの未記録領域の全てにダミーデータDdを書き込むようになっている。
【0125】
こうすることで、未記録のDMA領域73に対して欠陥管理情報Dtdのみが書き込まれて、この欠陥管理情報Dtdを書き込んだ1トラックが未記録領域中に孤立して存在する状況(図11(B))を回避することができる。
【0126】
また、記録再生装置1では、ファイナライズ時に、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのCD領域74にファイナライズ情報Dcdを書き込んだ後、各CD領域74の残りの未記録領域の全てにダミーデータDdを書き込むようになっている。
【0127】
こうすることで、未記録のCD領域74に対してファイナライズ情報Dcdのみが書き込まれて、このファイナライズ情報Dcdを書き込んだ1トラックが未記録領域中に孤立して存在する状況(図11(B))を回避することができる。
【0128】
このようにして、記録再生装置1は、極小データ記録領域である、OPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、TDMA領域60C、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対する特別記録処理を行う。
【0129】
これにより記録再生装置1では、極小データ記録領域に対し、データが書き込まれた1トラックが孤立して存在する状況を回避しながら、光ディスク5にデータを記録することができる。
【0130】
この結果、この記録再生装置1でデータが記録された光ディスク5は、正規化差動プッシュプル信号の信号レベルの低下が抑制されたものとなり、以後、正規化差動プッシュプル信号を用いたトラッキング制御を行う再生装置でも、確実に再生され得るLTHメディアとなる。
【0131】
(4)記録処理手順
次に、上述した特別記録処理を含むデータの記録処理手順について、図12に示すフローチャートを用いて詳しく説明する。因みに、この記録処理手順は、主として、記録再生装置1の制御部16が、内蔵のメモリに記録されているプログラムにしたがい、信号処理部7の各部及び光ピックアップ6を制御してデータの記録を行う処理の手順である。
【0132】
制御部16は、光ディスク5が挿入されている状態で、例えば図示しない入力手段を介してユーザから光ディスク5に対してデータを記録するよう指示されると、記録処理手順RT1を開始して、ステップSP1に移る。
【0133】
ステップSP1において制御部16は、挿入されている光ディスク5が未記録のメディアであるかどうかを判別する。具体的に、制御部16は、光ディスク5の特定の領域にデータが記録されているかどうかなどにより、光ディスク5が未記録のものであるかどうかを判別するようになっている。
【0134】
ここで、光ディスク5が未記録のメディアであることにより、このステップSP1で肯定結果を得ると、このとき制御部16は、ステップSP2に移る。
【0135】
ステップSP2において制御部16は、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、OPC領域60Bに3トラック分のダミーデータを書き込む特別OPC処理を行う。ところで、光ディスク5は、ディスク内周側のトラックとディスク外周側のトラックとでその長さが異なる。つまり光ディスク5は、ディスク内周側とディスク外周側とで1トラックあたりの記録容量が異なる。
【0136】
そこで制御部16は、ダミーデータの書き込み位置(例えばアドレス)に対応する光ディスク5の半径位置をもとに、この半径位置での3トラック分のデータサイズをバイト数に換算して、換算したバイト数のダミーデータを書き込むようになっている。こうすることで、制御部16は、ダミーデータの書き込み位置がディスク内周側であるかディスク外周側であるかに依らず、確実に3トラック分のダミーデータを書き込むことができる。
【0137】
この特別OPC処理を終えると、制御部16は、次のステップSP3に移る。ステップSP3において制御部16は、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して通常OPC処理を行い、次のステップSP4に移る。
【0138】
ステップSP4において制御部16は、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、第1及び第2のスペア領域61、63にダミーデータを書き込む特別交替処理を行い、次のステップSP5に移る。ステップSP5において制御部16は、光ピックアップ6を制御して、TDMA領域60Cにダミーデータを書き込む特別記録処理を行い、次のステップSP6に移る。
【0139】
ステップSP6において制御部16は、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、通常のデータ記録処理を行う。すなわち制御部16は、光ディスク5に対して記録するよう指定されたデータをユーザデータ記録領域62に記録する。またこのとき制御部16は、欠陥領域が見付かると、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、通常交替処理を行うとともに、この交替処理の内容をメモリに記憶する。このようにして通常のデータ記録処理を終えると、制御部16は、次のステップ7に移る。
【0140】
ステップSP7において制御部16は、ステップSP6での通常のデータ記録処理で通常交替処理を行っていたかどうかを判別する。
【0141】
ここで、通常交替処理を行っていたことにより、このステップSP7で肯定結果を得ると、このとき制御部16は、ステップSP8に移る。
【0142】
ステップSP8において制御部16は、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、ステップSP6での通常交替処理にともなうTDMA領域60Cへの通常記録処理を行う。すなわち制御部16は、ステップSP6で記憶した通常交替処理の内容を、欠陥管理情報としてTDMA領域60Cに書き込む。このようにしてTDMA領域60Cへの通常記録処理を終えると、制御部16は、次のステップSP9に移る。
【0143】
これに対して、交替処理を行っていなかったことにより、上述のステップSP7で否定結果を得ると、このとき制御部16は、ステップSP8をスキップして、ステップSP9に移る。
【0144】
ステップSP9において制御部16は、例えば図示しない入力手段を介してユーザから光ディスク5に対してファイナライズするよう指示されているかどうかを判別する。
【0145】
ここで、ファイナライズするよう指示されていることにより、このステップSP9で肯定結果を得ると、このとき制御部16は、ステップSP10に移る。
【0146】
ステップSP10において制御部16は、光ピックアップ6を制御して、ファイナライズ処理として、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対する通常記録処理と、特別記録処理とを続けて行う。
【0147】
すなわち制御部16は、通常記録処理として、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのDMA領域73に最新の欠陥管理情報を書き込む。くわえて記録再生装置1は、特別記録処理として、各DMA領域73内の未記録領域の全てにダミーデータを書き込む。
【0148】
また記録再生装置1は、通常記録処理として、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのCD領域74にファイナライズ情報を書き込む。くわえて記録再生装置1は、特別記録処理として、各CD領域74内の未記録領域の全てにダミーデータDeを書き込む。
【0149】
このようにして、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対する通常記録処理と、特別記録処理とを終えると、制御部16は、記録処理手順RT1を終了する。
【0150】
これに対して、ファイナライズするよう指示されていないことにより、上述のステップSP9で否定結果を得ると、このとき制御部16は、ステップSP10をスキップして、記録処理手順RT1を終了する。
【0151】
また、上述のステップSP1で否定結果を得た場合、すなわち光ディスク5が記録済のメディアであった場合、制御部16は、ステップSP12に移り、信号処理部7及び光ピックアップ6を制御して、通常のOPC処理を行い、ステップSP13に移り、通常のデータ記録処理を行い、ステップSP7に移る。
【0152】
このように制御部16は、光ディスク5が記録済のメディアである場合には、特別OPC処理と、特別交替処理と、TDMA領域60Cへの特別記録処理は行わないようになっている。すなわちここでの特別OPC処理、特別交替処理、TDMA領域60Cへの特別記録処理は、未記録の光ディスク5にはじめてデータを記録するときにのみ行われる処理である。
【0153】
このような記録処理手順RT1にしたがい、信号処理部7及び制御部16は、光ピックアップ6を制御して、光ディスク5にデータを記録するようになっている。
【0154】
(5)動作及び効果
以上の構成において記録再生装置1は、制御部16が信号処理部7及び光ピックアップ6を制御してLTHメディアの光ディスク5にデータを記録するにあたり、1トラック分以下の小さなデータサイズでデータが記録されることのある極小データ記録領域に対しては、特別記録処理を行う。
【0155】
すなわち記録再生装置1は、極小データ記録領域としてのOPC領域60Bに対し、その記録開始位置から3トラック分のダミーデータを書き込んでから、このダミーデータに続けて、この領域に書き込むべきデータを順に書き込んでいく。
【0156】
この結果、OPC領域60Bには、少なくとも3トラック分以上のデータが存在することになる。
【0157】
こうすることで、記録再生装置1は、未記録のOPC領域60Bに、その記録開始位置から1トラック分以下のデータのみが書き込まれた状況、つまり1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0158】
また記録再生装置1は、極小データ記録領域としての第1及び第2のスペア領域61、63やTDMA領域60Cに対しても同様の特別記録処理を行う。
【0159】
この結果、第1及び第2のスペア領域61、63やTDMA領域60Cにも、少なくとも3トラック分以上のデータが存在することになる。
【0160】
こうすることで、記録再生装置1は、第1及び第2のスペア領域61、63やTDMA領域60Cに、その記録開始位置から1トラック分以下のデータのみが書き込まれた状況、つまり1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0161】
さらに記録再生装置1は、極小データ記録領域としての第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cのそれぞれに対し、ファイナライズ時に、これらの領域に書き込むべきデータを書き込んでから、これらの領域の未記録部分の全てにダミーデータを書き込む。
【0162】
この結果、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cのそれぞれには、その領域分(少なくとも2トラック分以上)のデータが存在することになる。
【0163】
こうすることで、記録再生装置1は、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに、1トラック分以下のデータのみが書き込まれた状況、つまり1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0164】
このように、記録再生装置1は、極小データ記録領域に1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避しつつ、書き込むべきデータを記録することができる。
【0165】
この結果、この記録再生装置1でデータが記録されたLTHメディアの光ディスク5は、正規化差動プッシュプル信号の信号レベルの低下が抑制されたものとなり、以後、正規化差動プッシュプル信号を用いたトラッキング制御を行う従来の再生装置でも、確実に再生され得るLTHメディアとなる。つまり、この光ディスク5は、従来LTHメディアを再生できなかった再生装置でも、再生され得るLTHメディアとなる。
【0166】
かくして、記録再生装置1は、従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアの光ディスク5にデータを記録することができる。
【0167】
特に、記録再生装置1は、従来、光ディスク5に初めてデータを書き込むときに起こる可能性が高かった、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避できるので、多くの未記録領域が残っているにも係わらず光ディスク5が再生できなくなってしまう状況を回避できる。
【0168】
尚、ここでは、OPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、TDMA領域60Cに対し、一例として3トラック分のダミーデータを書き込むようにしたが、実際には、少なくとも2トラック分以上のダミーデータを書き込むようにすればよい。
【0169】
つまり、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避するには、OPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、TDMA領域60Cに対し、nトラック(nは2以上の整数)分以上のダミーデータを書き込むようにすればよい。
【0170】
実際上、記録再生装置1では、未記録領域中に1本の記録済トラックが孤立して存在する場合、この記録済トラックにおけるプッシュプル信号は、未記録トラックにおけるプッシュプル信号と比して、その信号レベルが約70%程度低下することが確認できている。
【0171】
一方で、記録済トラックの隣、そしてさらにその隣にと、記録済トラックの数を増やしていくと、信号レベルの低下が抑えられていき、例えば、記録済トラックが3つ連続する場合、信号レベルの低下は約50%程度にまで抑えられることが確認できている。
【0172】
そして、上述した構成の記録再生装置1では、プッシュプル信号の信号レベルの低下が約50%程度であれば、ほぼ確実にトラッキング制御を行うことができた。つまり、この記録再生装置1では、少なくとも3トラック分のダミーデータを書き込めば、確実にトラッキング制御を行うことができると言える。
【0173】
またダミーデータを4トラック分以上書き込めば、信号レベルの低下を一段と抑えることができるが、その分、光ディスク5で使用できる記録容量が減ることになる。
【0174】
すなわち、記録再生装置1では、プッシュプル信号の信号レベルの低下の抑制と、記録容量の確保との双方を考慮して、3トラック分のダミーデータを書き込むようになっている。
【0175】
以上の構成によれば、記録再生装置1は、制御部16が信号処理部7及び光ピックアップ6を制御してLTHメディアの光ディスク5に対してデータを書き込むにあたり、未記録の極小データ記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該極小データ記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むようにしたことで、LTHメディアである光ディスク5の極小データ記録領域に対して、1つの記録済トラックが孤立して存在する状況を回避しながらデータを書き込むことができ、この結果、当該光ディスクをプッシュプル信号の信号レベルの低下が抑制されたものにすることができる。
【0176】
かくして、この記録再生装置1は、従来と比して一段と確実に再生できるようにLTHメディアにデータを記録することができる。
【0177】
(6)他の実施の形態
(6−1)他の実施の形態1
尚、上述した実施の形態では、未記録の光ディスク5に対して初めてデータを記録する時に、OPC領域60Bに3トラック分のダミーデータを書き込む特別OPC処理を行ってから、OPC領域60Bに試し書き用データを書き込む通常のOPC処理を行うようにした。
【0178】
本発明はこれに限らず、例えば、図13(A)に示すように、初回の通常OPC処理を行う時に、3トラック分のダミーデータDaを書き込んでから、このダミーデータDaに続けて試し書き用データDopを書き込むようにしてもよい。
【0179】
また、例えば図13(B)に示すように、3トラック分ではなく、2トラック分のダミーデータDaを書き込んでから、このダミーデータDaに続けて試し書き用データDopを書き込むようにしてもよい。
【0180】
さらに、例えば図13(C)に示すように、1トラック分のダミーデータDaを書き込んでから、このダミーデータDaに続けて試し書き用データDopを書き込むようにしてもよい。
【0181】
さらに、これらの場合において、試し書き用データDopを書き込んでから、この試し書き用データDopに続けて1乃至3トラック分のダミーデータDopを書き込むようにしてもよい。
【0182】
いずれの場合においても、初回の通常OPC処理時に、1トラック分以上のダミーデータDaと所定データサイズの試し書き用データDopとを書き込むので、OPC領域60Bに1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0183】
また第1及び第2のスペア領域61、63に対しても、初回の通常交替処理を行うときに、1トラック分以上のダミーデータを書き込んでから、このダミーデータDaに続けて、欠陥領域に書き込もうとしていたデータを書き込むようにしてもよい。
【0184】
同様に、TDMA領域60Cに対しても、初回の通常記録処理を行うときに、1トラック分以上のダミーデータを書き込んでから、このダミーデータに続けて欠陥管理情報を書き込むようにしてもよい。
【0185】
因みに、光ディスク5には、TDMA領域に書き込まれた情報の信頼性を上げるために、TDMA領域を複数設け、これら複数のTDMA領域のそれぞれに同じ情報を書き込む場合がある。
【0186】
この場合、記録再生装置1は、例えば、全てのTDMA領域に対して、特別記録処理を行うようにすればよい。
【0187】
(6−2)他の実施の形態2
また、上述した実施の形態では、最終処理としてのファイナライズ時に、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのDMA領域73に対し、欠陥管理情報を書き込んでから残りの未記録領域の全てにダミーデータを書き込むようにした。
【0188】
本発明はこれに限らず、例えば図14に示すように、所定データサイズの欠陥管理情報Dtdを書き込んでから、この欠陥管理情報Dtdに続けて、1トラック分以上のダミーデータDdを書き込むようにしてもよい。
【0189】
同様に、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64CのそれぞれのCD領域64に3に対しても、所定データサイズのファイナライズ情報Dcdを書き込んでから、このファイナライズ情報Dcdに続けて、1トラック分以上のダミーデータDeを書き込むようにしてもよい。
【0190】
いずれの場合においても、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0191】
(6−3)他の実施の形態3
さらに、上述した実施の形態では、記録再生装置1が、LTHメディアである光ディスク5に対して、1つの記録済トラックが孤立して存在するような状況を回避するための特別記録処理を行うようにした。
【0192】
ここで、記録再生装置1が、例えば、挿入された光ディスク5がLTHメディアであるかどうかを判別して、その光ディスク5がLTHメディアである場合にのみ、特別記録処理を行うようにしてもよい。
【0193】
挿入された光ディスク5がLTHメディアであるかどうかを判別するには、例えば、自由に使用できる記録領域にデータを記録して、プッシュプル信号の信号レベルの変化を検出する手法や、他の既存の手法などを用いればよい。
【0194】
(6−4)他の実施の形態4
さらに、上述した実施の形態では、記録再生装置1が、試し書き領域としてのOPC領域60B、第1及び第2のスペア領域61、63、一時欠陥管理領域としてのTDMA領域60C、第1乃至第4のINFO領域60D、60A、64A、64Cに対して特別記録処理を行うようにした。
【0195】
本発明はこれに限らず、これら以外の記録領域に対しても、例えば1トラック分以下のデータサイズでデータが記録され得る記録領域があるならば、その記録領域に対して特別記録処理を行うようにしてもよい。
【0196】
例えば、リードアウト領域64に設けられたDCZ領域64Dが、データの試し書き領域として使用される場合、このDCZ領域64Dに対して、特別記録処理を行うようにする。すなわち、未記録のDCZ領域64Dに対し、その記録開始位置から3トラック分のダミーデータを書き込むようにする。
【0197】
こうすることで、このDCZ領域64に1つの記録済トラックが孤立して存在してしまうような状況を回避することができる。
【0198】
また、これらの記録領域に限らず、例えば、光ディスク5とは異なる記録領域が設けられた光ディスクに対して、特別記録処理を行うようにしてもよい。
【0199】
(6−5)他の実施の形態5
さらに、上述した実施の形態では、本発明を、追記型のLTHメディアである光ディスク5に対するデータの記録に適用する場合について述べた。
【0200】
本発明はこれに限らず、追記型と同様の記録制御が可能であるならば、書換型のLTHメディアである光ディスク5に対するデータの記録に適用してもよい。すなわち、未記録の極小データ記録領域に対して、その記録開始位置から2トラック分以上のダミーデータを書き込む記録処理を行った後、このダミーデータが書き込まれたトラックに続くトラックにデータを書き込んでいく記録処理を行うことが可能な光ディスク5であればよい。
【0201】
(6−6)他の実施の形態6
さらに、上述した実施の形態では、特別記録処理を含む記録処理を実行するためのプログラムを、制御部16のメモリにあらかじめ書き込んでおくようにした。本発明はこれに限らず、このプログラムを、例えば一般的なHTL(High to Low)メディアの光ディスク5に記録しておき、記録再生装置1が、このプログラムを光ディスク5から読み出して制御部16のメモリにインストールするようにしてもよい。またインタフェース18を介してコンピュータ3から送られてきたプログラムを、このメモリにインストールするようにするなどしてもよい。
【0202】
(6−7)他の実施の形態7
さらに、上述した実施の形態では、記録再生装置1に、LTHメディアの光ディスク5に対して、データの書き込みが可能なデータ書込部としての光ピックアップ6及び信号処理部7と、これらを制御する制御部としての制御部16とを設けるようにした。
【0203】
本発明はこれに限らず、同様の機能を有するのであれば、上述した記録再生装置1の各機能部を、他の種々のハードウェアにより構成するようにしてもよい。
【0204】
また、本発明は、上述した実施の形態と同様の記録処理を実現できる記録装置であれば、記録再生装置1に限らず、光ディスクドライブ2を有するパーソナルコンピュータ、ゲーム機、AVレコーダなど、この他種々の装置に適用することができる。
【0205】
(6−8)他の実施の形態8
さらに、本発明は、上述した実施の形態とここまで説明した他の実施の形態1乃至8とに限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態とここまで説明した他の実施の形態1乃至8の一部または全部を任意に組み合わせた形態、もしくは一部を抽出した形態も適用範囲とする。
【0206】
例えば、他の実施の形態1と2とを組み合わせてもよいし、さらに1と2に加えて他の実施の形態の3を組み合わせるなどしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明は、例えば、LTHメディアの光ディスクにデータを書き込む記録装置である、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、AVレコーダなどで広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】光ピックアップの光路を示す略線図である。
【図3】光ビームのスポットの位置関係を示す略線図である。
【図4】光検出器の構成を示す略線図である。
【図5】光ディスクの記録領域を示す略線図である。
【図6】リードイン領域の構成を示す略線図である。
【図7】リードアウト領域の構成を示す略線図である。
【図8】特別OPC領域によるダミーデータの書き込みの説明に供する略線図である。
【図9】特別交替領域によるダミーデータの書き込みの説明に供する略線図である。
【図10】TDMA領域に対する特別記録処理によるダミーデータの書き込みの説明に供する略線図である。
【図11】INFO領域に対する特別記録処理によるダミーデータの書き込みの説明に供する略線図である。
【図12】記録処理手順を示すフローチャートである。
【図13】他の実施の形態によるダミーデータの書き込み(1)の説明に供する略線図である。
【図14】他の実施の形態によるダミーデータの書き込み(2)の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
【0209】
1……記録再生装置、2……光ディスクドライブ、5……光ディスク5……光ピックアップ、7……信号処理部、16……制御部、60A、60D、64A、64C……INFO領域、60B…OPC領域、60C……TDMA領域、61、63……スペア領域、Da、Db、Dc、Dd、De……ダミーデータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の記録領域を有し、当該記録領域にデータが書き込まれると、書き込まれた部分の反射率が上昇するLTH(Low to High)メディアの光ディスクに対して、データの書き込みが可能なデータ書込部と、
未記録の上記記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する制御部と
を具える記録装置。
【請求項2】
上記制御部は、
上記記録領域のうち、1トラック分以下のデータが書き込まれる可能性のある未記録の記録領域に対する最初の書き込み時に、少なくとも2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込むように、上記データ書き込み部を制御する
請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
上記制御部は、
上記未記録の記録領域に対する最初の書き込み時に、2トラック分以上のデータサイズでなる、本来書き込まれることのないダミーデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分に本来書き込まれるべきデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する
請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
上記制御部は、
上記未記録の記録領域に対する最初の書き込み時に、本来書き込まれることのないダミーデータと本来書き込むべきデータとを、計2トラック分以上のデータサイズで書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分に本来書き込まれるべきデータを書き込むように、上記データ書き込み部を制御する
請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
上記制御部は、
上記未記録の記録領域のうち、光ディスクへの書き込みを終了する最終処理を行うときにのみデータが書き込まれる記録領域に対しては、最終処理時に、本来書き込まれるべきデータを書き込み、さらに残りの未記録部分の全てに本来書き込まれることのないダミーデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する
請求項2に記載の記録装置。
【請求項6】
上記制御部は、
データの書き込み位置に対応する光ディスクの半径位置をもとに、2トラック分以上のデータサイズをバイト数に換算して、当該換算したバイト数でなるデータを、上記未記録の記録領域に対して書き込むように上記データ書込部を制御する
請求項2に記載の記録装置。
【請求項7】
上記制御部は、
欠陥領域の代わりにデータが書き込まれる代替領域となるスペア領域と、欠陥領域と代替領域とを管理する欠陥管理情報が一時的に書き込まれる一時管理領域とに対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるダミーデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する
請求項3に記載の記録装置。
【請求項8】
上記制御部は、
上記スペア領域に書き込んだダミーデータが使用されないようにする旨を、上記一時管理領域に書き込むダミーデータに記す
請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
上記制御部は、
データの記録に最適な記録パワーを設定するための試し書きが行われる試し書き領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるダミーデータを所定の記録パワーで書き込むように、上記データ書込部を制御する
請求項3に記載の記録装置。
【請求項10】
1以上の記録領域を有し、当該記録領域にデータが書き込まれると、書き込まれた部分の反射率が上昇するLTH(Low to High)メディアの光ディスクに対してデータの書き込みが可能なデータ書込部が、未記録の上記記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むように制御する
記録方法。
【請求項11】
記録装置に対して、
1以上の記録領域を有し、当該記録領域にデータが書き込まれると、書き込まれた部分の反射率が上昇するLTH(Low to High)メディアの光ディスクに対してデータの書き込みが可能なデータ書込部が、未記録の上記記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むように制御するプログラムを実行させるための
記録プログラム。
【請求項1】
1以上の記録領域を有し、当該記録領域にデータが書き込まれると、書き込まれた部分の反射率が上昇するLTH(Low to High)メディアの光ディスクに対して、データの書き込みが可能なデータ書込部と、
未記録の上記記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する制御部と
を具える記録装置。
【請求項2】
上記制御部は、
上記記録領域のうち、1トラック分以下のデータが書き込まれる可能性のある未記録の記録領域に対する最初の書き込み時に、少なくとも2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込むように、上記データ書き込み部を制御する
請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
上記制御部は、
上記未記録の記録領域に対する最初の書き込み時に、2トラック分以上のデータサイズでなる、本来書き込まれることのないダミーデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分に本来書き込まれるべきデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する
請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
上記制御部は、
上記未記録の記録領域に対する最初の書き込み時に、本来書き込まれることのないダミーデータと本来書き込むべきデータとを、計2トラック分以上のデータサイズで書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分に本来書き込まれるべきデータを書き込むように、上記データ書き込み部を制御する
請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
上記制御部は、
上記未記録の記録領域のうち、光ディスクへの書き込みを終了する最終処理を行うときにのみデータが書き込まれる記録領域に対しては、最終処理時に、本来書き込まれるべきデータを書き込み、さらに残りの未記録部分の全てに本来書き込まれることのないダミーデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する
請求項2に記載の記録装置。
【請求項6】
上記制御部は、
データの書き込み位置に対応する光ディスクの半径位置をもとに、2トラック分以上のデータサイズをバイト数に換算して、当該換算したバイト数でなるデータを、上記未記録の記録領域に対して書き込むように上記データ書込部を制御する
請求項2に記載の記録装置。
【請求項7】
上記制御部は、
欠陥領域の代わりにデータが書き込まれる代替領域となるスペア領域と、欠陥領域と代替領域とを管理する欠陥管理情報が一時的に書き込まれる一時管理領域とに対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるダミーデータを書き込むように、上記データ書込部を制御する
請求項3に記載の記録装置。
【請求項8】
上記制御部は、
上記スペア領域に書き込んだダミーデータが使用されないようにする旨を、上記一時管理領域に書き込むダミーデータに記す
請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
上記制御部は、
データの記録に最適な記録パワーを設定するための試し書きが行われる試し書き領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるダミーデータを所定の記録パワーで書き込むように、上記データ書込部を制御する
請求項3に記載の記録装置。
【請求項10】
1以上の記録領域を有し、当該記録領域にデータが書き込まれると、書き込まれた部分の反射率が上昇するLTH(Low to High)メディアの光ディスクに対してデータの書き込みが可能なデータ書込部が、未記録の上記記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むように制御する
記録方法。
【請求項11】
記録装置に対して、
1以上の記録領域を有し、当該記録領域にデータが書き込まれると、書き込まれた部分の反射率が上昇するLTH(Low to High)メディアの光ディスクに対してデータの書き込みが可能なデータ書込部が、未記録の上記記録領域に対する最初の書き込み時には、2トラック分以上のデータサイズでなるデータを書き込み、以降、当該記録領域にデータを書き込む場合には、前回の書き込み時にデータが書き込まれた部分に続く未記録部分にデータを書き込むように制御するプログラムを実行させるための
記録プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−277321(P2009−277321A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129733(P2008−129733)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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