説明

記録装置、通信制御方法

【課題】 通信アンテナを介して媒体に内蔵されたRF−ID(Radio Frequency IDentification)素子へ情報を書き込み、媒体を発行する通信装置において、RF−ID素子に情報を書き込む場合、指定されたブロック番号へ指定されたデータのみを書き込んでいた為、データを書き込んだブロックが正常に機能していれば、データを書き込んだブロック以外の領域が正常に機能しない場合も、媒体発行処理は正常に終了していた。
【解決手段】 RF−ID素子へ情報を書き込む場合に、メモリ全般のチェックを行い、メモリが全領域共正常に機能するRF−ID素子が内蔵された媒体のみ正常に発行する様にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば集積回路チップとアンテナを備えたRF−ID(Radio Frequency IDentification)素子等、無線通信素子を内蔵する媒体に対して、無線通信素子と非接触で通信を行う記録装置、及び通信制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触で情報の書き込み/読み出し可能な集積回路チップと通信アンテナを備えたRF−ID素子が開発されている。通常、RF−ID素子は、ラベル紙、タグ紙、カット紙、プラスチックカード等の記録媒体に内蔵されている。
【0003】
RF−ID素子と通信する場合、通常「RF−ID通信ドライバ」を含んだRF−ID通信装置を使用して情報の書き込み/読み出しを行なう。
【0004】
近年は、記録装置内にRF−ID通信ドライバを内蔵し、記録装置内でRF−ID素子内蔵の記録媒体表面に記録を行うと同時に、RF−ID素子にも情報を書き込むという記録装置が開発されている。
【0005】
図1はRF−ID通信ドライバを内蔵し、媒体表面に画像を記録する長尺ラインヘッドを用いたインクジェット方式ラベル記録装置(以下記録装置)とパーソナルコンピュータ(以下PC)を接続した構成を示す従来例の図である。記録装置100とPC102はプリンタケーブル101で接続されており、PC102は記録データやRF−ID素子に書き込む為の情報(書き込みブロック番号と書き込みデータ等)や、記録媒体表面に記録する為の情報等を、制御コマンドとしてプリンタケーブル101に出力する制御を行う。尚、図中103はモニタ、104はキーボード、105はマウスである。
【0006】
図14はPC102の電気的なブロック図で、PC102全体を制御するCPU(Central Processing Unit)1400、CPUがプログラムを実行するための記憶領域であるRAM1401、プログラムを保存しておくHDD1402、ディスプレイ出力情報の処理を行うビデオコントローラ1403、プリンタと通信を行うためのプリンタインタフェース1406、マウスと通信を行うためのマウスインターフェース1405、キーボードと通信を行うためのキーボードタインターフェース1404から構成される。
また、HDD1402内にはホストコンピュータ全体を制御するプログラムであるOSや、記録情報やRF−ID素子に書き込む為の情報を作成するアプリケーションプログラムや、記録データを制御コードに変換してプリンタインタフェースから出力するプログラムであるプリンタドライバが記録されていおり、これらの制御プログラムは、CPU1400により実行される。
【0007】
図2は上記図1に示した従来例の記録装置の側面断面図である。
【0008】
記録装置200は、RF−ID素子が内蔵されているラベル紙204がセットされる給紙部205、RF−ID素子の情報を書き込むための通信アンテナ207、ラベル紙204に貼付されたラベルの先端(又は後端)位置検出用のTOF(Top Of Form)センサ209等を備えている。
【0009】
TOFセンサ209でラベル紙204の先端を検知した状態において、該当ラベル内のRF−ID素子は、通信アンテナ207の下部に位置するように設定される。
【0010】
記録指示が発生すると記録ジョブが開始され、給紙部205にセットされているラベル紙204を、搬送ローラ202を介して駆動される搬送ベルト203上を搬送させ、TOFセンサ209でラベル紙204の先端を検知すると、一旦搬送動作を停止して通信アンテナ207を介した無線通信により該当ラベルの内蔵RF−ID素子にデータを書き込む。その後再度搬送動作を再開して記録ヘッド201によりラベル表面に画像を記録する。
【0011】
尚、記録装置200には場合によりカッタユニット206内部のカッタ208によりデータ書き込み、及び画像記録終了したラベルを1枚毎カットできる。
【0012】
図3(a)はデータを書き込む前のRF−ID素子のメモリマップであり、図3(b)は、記録装置の通信アンテナとRF−ID素子との通信シーケンスを示し、そして図3(c)は図3(a)のRF−ID素子に対して図3(b)のシーケンスによりデータを書き込んだ後のRF−ID素子のメモリマップである。
【0013】
RF−ID素子のメモリは4バイト単位のブロックとなっており、ブロック単位でアクセスを行う。RF−ID素子に情報を書き込む場合は、PCは記録装置に対して制御コマンドで「書き込み先頭ブロック番号」と「書き込みデータ」を指定することで、記録装置はRF−ID素子に対して通信アンテナを使用して識別コード(データ書き込み)800と、書き込みブロック番号801と書き込みデータ802を指示してブロック単位にデータを書き込む。本図は、803に示す如く、「ブロック0」から、データを16Byte(4ブロック分)書き込んだ例である。
【0014】
上記の例より改善された方法として、用紙は継続的に搬送し、内蔵するRF−ID素子のメモリにデータを書き込み、その直後に読み出しをして正常に書き込まれたかをチェックし、もしも正しく書き込まれていなければ、用紙の搬送速度を小さくすることによって動作を安定化し、より敏速に、且つ確実な方法を実現しようとする提案も為されている。
(例えば特許文献1)
【0015】
【特許文献1】特開2003−150907
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来技術においては次のような問題が残っている。
【0017】
即ち、RF−ID素子のメモリに書き込み、書き込み済みデータを読み出すことによって正常な書き込みが行われたことをチェックしているために、該当領域以外のメモリ領域は正常に動作するか否かが不明であり、もしもその後別のメモリ領域に書き込む工程が存在するような場合には整合がとれなくなる可能性が残る。
【0018】
本発明は上述した課題に鑑み、なされたものであり、全メモリ領域共正常に機能するRF−ID素子が内蔵された媒体のみを発行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、本発明による記録装置は、
媒体に内蔵されるメモリを含む通信素子と非接触で通信を行う通信制御手段を有する記録装置であって、
前記メモリに情報を書き込む書き込み手段と、前記のメモリから情報を読み込む読み込み手段とにより前記通信素子のメモリを予めチェックするメモリチェック手段とを有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明による通信制御方法は、
媒体に内蔵されるメモリを含む通信素子と非接触で通信を行う通信制御方法であって、前記メモリに情報を書き込む情報書き込み工程と、前記メモリから情報を読み込む情報読み込み工程とにより前記通信素子のメモリを予めチェックするメモリチェック工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、通信アンテナを介して媒体に内蔵されたRF−ID(Radio Frequency IDentification)素子へ情報を書き込み、媒体を発行する通信装置において、RF−ID素子へ情報を書き込む場合に、RF−ID素子のメモリチェックを行うことにより、メモリが正常に機能するRF−ID素子が内蔵された媒体のみを正常に発行する事ができその後の書き込み工程における動作信頼度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態を、実施例に基づき詳細に説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
図4(a)は第1の実施形態のラベル紙を示す斜視図、図4(b)はラベル紙の一部を拡大した上面図である。ラベル紙300はロール状に巻かれており、台紙301上に複数枚のラベル302が長手方向へ所定間隔で貼り付けられた状態に構成されている。ラベル表面への記録時には、ラベル302の先端に余白307をあけて、記録範囲306に記録が行われる。TOF(Top Of Form)センサで検知するのはラベル302の先端部305であり、ラベル302の先端部305から距離304の場所にRF−ID素子が内蔵されている。
【0024】
図5は第1の実施形態によるRF−ID素子のメモリマップである。RF−ID素子は128バイト(32ブロック×4バイト)のメモリを有し、4バイト単位のブロックとなっており、ブロック単位でアクセスを行う。
【0025】
図6は第1の実施形態によるRF−ID通信ドライバを内蔵し、且つ長尺ラインヘッドを用いたインクジェット方式ラベル記録装置(以下「記録装置」)の概略を示す構成図である。
【0026】
記録装置は、ラベル紙に画像を形成する記録ヘッド400、ラベル先端(或いは後端)位置検出用のTOFセンサ401、ラベル紙300を搬送するための搬送ローラ402、搬送ベルト403、ラベル紙をカットするカッタ404、ラベルに内蔵されたRF−ID素子303との通信を行なうための通信アンテナ408、記録装置に対する記録媒体(ラベル紙)の着脱を検出する記録媒体着脱検出センサ410等を備えている。
【0027】
記録装置への記録指示が発生すると、ラベル紙300を搬送ベルト403にて搬送させ、TOFセンサ401でラベルの先端を検知すると、該当ラベルに内蔵されているRF−ID素子に情報を書き込む処理を実行する。続いてラベルの先端検知した位置より、TOFセンサ401から記録ヘッド400までの距離分409とラベルの先端余白307(図4参照)を加算した距離分搬送させた後、ラベル表面への記録処理を開始する。
【0028】
RF−ID素子へのデータの書き込みと表面への画像記録が完了したラベル紙300は、記録装置の排紙口に取り付けられているカッタ404によりカットされる。
【0029】
記録済みのラベル紙300のカット後、未記録のラベル紙300は、搬送ローラ402を逆回転させることによって、次の先頭ラベルがTOFセンサ401より上流に位置するまで戻される。
【0030】
これにより、記録ジョブが終了する。また、記録媒体着脱検出センサ410により、記録媒体であるラベル紙300が交換されたことを検出可能である。
【0031】
図7・図8は第1の実施形態の記録装置に対しPCから送信される制御コマンドの構造を示す図である。制御コマンドとしては、記録する連続紙の種類等を設定する用紙設定コマンド500、記録データの基準となる設定が存在するフォーマットコマンド501、データコマンドの属性を示す属性部502、503、504、データコマンドのデータ部505、記録データの終了を示しジョブを開始するジョブ開始コマンド506が存在し、それらのコマンドを図8に示す記録コマンド転送例507のように出力する。RF−ID素子に書き込む先頭ブロック番号及びデータは、RF−IDコマンド504により指定する。
【0032】
図9は第1の実施形態による記録装置の電気的な構成を示す簡易ブロック図である。
【0033】
記録装置は、MPU(Micro Processing Unit)600、プログラムROM601、RAM602、CGROM(Character Generator ROM)603、VRAM(Video RAM)604、インタフェースドライバ605、操作パネルキー618、TOFセンサ401、記録媒体着脱検出センサ410、入力ポート619、出力ポート610、搬送モータドライバ611、搬送モータ612、給紙モータドライバ613、給紙モータ614、カッタモータドライバ615、カッタモータ616、操作パネルLED617、LCDドライバ620、操作パネルLCD621、ヘッド駆動回路606、記録ヘッド400、RF−ID通信ドライバ608、通信アンテナ408を備えている。
【0034】
通信アンテナ408はアンテナ移動モータドライバ622にて駆動されるアンテナ移動モータ623により適正位置に移動可能である。
【0035】
MPU600は、プログラムROM601に格納された制御プログラムを実行し、PCからの制御コマンドを受信、解析する。また、MPU600は、PCから受信した制御コマンドのうち、用紙設定コマンド500やフォーマットコマンド501の各種設定値はRAM602に記憶し、イメージコマンド503のイメージデータはVRAM604に展開し、キャラクタコマンド502のキャラクタデータはCGROM603より該当するビットマップデータを読み出しVRAM604に展開し、一方RF−IDの先頭ブロック番号やRF−IDデータはRAM602に記憶する。また、MPU600は、出力ポート610を介して各モータドライバ611、613、615を制御することで、搬送モータ612、給紙モータ614、カッタモータ616を駆動し、操作パネルLED617やエラー通知用LED(図8参照)の点灯/消灯も制御する。
【0036】
また、MPU600は、K(ブラック)の記録ヘッド400に関してはヘッド駆動回路606を制御することにより駆動する。更に、MPU600は、RF−ID通信ドライバ608を制御することにより通信アンテナ408を介して、RF−ID素子へのデータの読み込みや、書き込みを行う。
【0037】
TOFセンサ401や、操作パネルキー618、それに記録媒体着脱検出センサ410は、入力ポート619を介してMPU600に接続されている。MPU600は、操作パネルに装着されている液晶表示部の操作パネルLCD621に関しては、LCDドライバ620を制御することにより駆動する。
【0038】
図12は第1の実施形態による記録装置の操作パネルを示す図である。操作パネルは、記録中止ボタン618、エラー通知用LED617、メッセージ表示用LCD621を備えている。
【0039】
次に、上記の如く構成された記録装置における処理動作について図10、図11を参照しながら詳細に説明する。
図10は記録装置の記録ジョブを示すフローチャートである。かかるフローチャートに対応する制御プログラムがプログラムROM601に記憶されている。本処理は記録装置のMPU600がROM601に記憶されている制御プログラムに基づき記録装置各部を制御することで実行する。
【0040】
記録装置がPCより制御コマンド受信を開始すると、本処理が起動される。
【0041】
先ず、データ展開処理により、各種記録データをVRAM604に展開し、各種設定値やRF−IDデータはRAM602に記憶する(ステップS700)。
【0042】
次に、RAM602上に存在する領域BにTOFセンサ401から記録ヘッド400までの距離分409+ラベルの先端余白307(図4参照)に相当する搬送モータの駆動パルス数の値を記憶する(ステップS701)。
【0043】
次に搬送モータ612を1パルスずつ駆動し(ステップS702)、TOFセンサ401でラベルの先端を検知すると(ステップS703でYES)、RF−ID素子にデータを書き込む(ステップS704)。書き込み処理が異常終了した場合は(ステップS705でNO)、エラー処理(搬送モータ612を停止/操作パネルのエラー通知用LEDを点灯)を実行し(ステップS709)、本処理を終了する。
【0044】
書き込みが正常終了した場合は(ステップS705でYES)、RAM602上に存在する領域C(駆動ステップ数)に「0」を代入する(ステップS706)。

更に、搬送モータ612を1パルス進め(ステップS707)、1パルス駆動する毎に上記領域Cの値をインクリメントする(ステップS708)。上記領域Cの値が上記領域Bの値以上になったら(ステップS710でYES)、1ラスタ分の記録処理を実行する(ステップS711)。上記処理を画像エリア分繰り返し1ページの画像記録は完了する(ステップS712でYES)。
【0045】
そして設定枚数分終了すると(ステップS713でYES)、排紙処理により記録済みのラベル紙を記録装置の排紙口に取り付けられているカッタ404により切断し、そして未記録のラベル先端部がTOFセンサ401を通過するまでバックフィードして(ステップS714)、処理は終了する。
【0046】
次に、本発明の特徴的な部分であるRF−ID素子への書き込み処理(ステップS709)動作に関して図11を参照しながら詳細に説明する。
【0047】
図11はRF−ID書き込み処理を示すフローチャートである。かかるフローチャートに対応する制御プログラムがプログラムROM601に記憶されている。本処理は記録装置のMPU600がROM601に記憶されている制御プログラムに基づき記録装置各部を制御することで実行する。
【0048】
記録媒体に内蔵されたRF−ID素子が所定の位置(通信アンテナ408の下)に搬送されると、本処理が起動される。
【0049】
先ず、RAM602上に存在する領域Y(ブロック番号)に「0」を代入する(ステップS900)。次にRF−ID素子のブロック番号Yのデータを読み出し、RAM602上に存在する1ブロック分のバックアップ領域に一旦退避させる(ステップS901)。
【0050】
次に、ブロック番号Yの全領域にテストデータ(55h)を書き込む(ステップS902)。次にブロック番号Yのデータを読み出し(ステップS903)、ブロック番号Yの全領域とテストデータ(55h)と比較し(ステップS904)、テストデータ(55h)と異なるデータが存在する場合(ステップS904でNO)は、異常終了する。
【0051】
ブロック番号Yの全領域とテストデータ(55h)が同一ならば(ステップS904でYES)、次にテストデータを変更(AAh)、上書きし、再度メモリチェックを行う(ステップS905〜S907)。
【0052】
メモリチェックが正常終了(ステップS907でYES)ならば、バックアップ領域に退避していたデータをブロック番号Yの領域に書き込む(S908)。次にブロック番号のYをインクリメント(ステップS909)し、そして全てのブロックのメモリチェックが正常に終了したら(ステップS910でYES)、RAM602に記憶されているブロック番号から所望の書き込みデータをブロック単位でRF−ID素子へ書き込む(ステップS911)。
【0053】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、ラベルに内蔵しているRF−ID素子へ所望の書き込みデータを書き込む前に、全領域のメモリチェックを行うことで、全メモリ領域が正常に機能するRF−ID素子が内蔵された媒体のみを発行する事が可能となる。
【0054】
[第2の実施形態]
第1の実施形態による記録装置では、RF−ID素子の全領域のメモリチェックを行った。これに対し、第2の実施形態では、特定領域のメモリチェックをすることで、本発明を簡易に実施することができる。
【0055】
図13はRF−ID書き込み処理を示すフローチャートである。かかるフローチャートに対応する制御プログラムがプログラムROM601に記憶されている。本処理は記録装置のMPU600がROM601に記憶されている制御プログラムに基づき記録装置各部を制御することで実行する。

記録媒体に内蔵されたRF−ID素子が所定の位置(通信アンテナ408の下)に搬送されると、本処理が起動される。
【0056】
先ず、RF−ID素子の先頭ブロックであるブロック番号0のデータを読み出し、RAM602上に存在する1ブロック分のバックアップ領域に退避する(ステップS1000)。
【0057】
次にブロック番号0の全領域にテストデータ(55h)を書き込む(ステップS1001)。次にブロック番号0のデータを読み出し(ステップS1002)、ブロック番号0の全領域とテストデータ(55h)と比較し(ステップS1003)、テストデータ(55h)と異なるデータが存在する場合(ステップS1003でNO)は、異常終了する。
【0058】
メモリチェック結果が正常なら(ステップS1003でYES)、RAM602上に存在する1ブロック分のバックアップ領域に退避していたデータをブロック番号0の領域に書き込む(S1004)。
【0059】
そして次に、最終ブロックであるブロック番号31に関しても、上記と同様なメモリチェックを行う(S1005〜S1009)。
先頭ブロックと最終ブロックのメモリチェックが正常に終了した場合は、RAM602に記憶されているブロック番号から所望の書き込みデータをブロック単位でRF−ID素子へ書き込む(ステップS1010)。
【0060】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、ラベルに内蔵しているRF−ID素子へ所望の書き込みデータを書き込む前に、先頭ブロックと最終ブロックのメモリチェックを行うことで、メモリが正常に機能するRF−ID素子が内蔵された媒体のみを正常に発行する事が可能である。
【0061】
[第3の実施形態]
第1の実施形態によるRF−ID通信ドライバ内蔵の長尺ラインヘッドを用いたインクジェット方式ラベル記録装置では、RF−ID素子の全領域のメモリチェックを行った後にRF−ID素子にデータ書き込みを行った。これに対し、第3の実施形態では、RF−ID素子に所望のデータを書き込んだ後に全領域のメモリチェックをすることで、本発明を実施できる。
【0062】
図15は本実施例によるRF−ID書き込み処理を示すフローチャートである。かかるフローチャートに対応する制御プログラムがプログラムROM601に記憶されている。本処理は記録装置のMPU600がROM601に記憶されている制御プログラムに基づき記録装置各部を制御することで実行する。
【0063】
記録媒体に内蔵されたRF−ID素子が所定の位置(通信アンテナ408の下)に搬送されると、本処理が起動される。先ず、RAM602に記憶されているブロック番号からRF−ID書き込みデータをブロック単位でRF−ID素子へ書き込む(ステップS1511)。次にRAM602上に存在する領域Y(ブロック番号)に「0」を代入する(ステップS1500)。次にRF−ID素子のブロック番号Yのデータを読み出し、RAM602上に存在する1ブロック分のバックアップ領域に退避する(ステップS1501)。次にブロック番号Yの全領域にテストデータ(55h)を書き込む(ステップS1502)。次にブロック番号Yのデータを読み出し(ステップS1503)、ブロック番号Yの全領域とテストデータ(55h)と比較し(ステップS1504)、テストデータ(55h)と異なるデータが存在する場合(ステップS1504でNO)は、異常終了する。ブロック番号Yの全領域とテストデータ(55h)が同一ならば(ステップS1504でYES)、次にテストデータを変更(AAh)して、同様に再度メモリチェックを行う(ステップS1505〜S1507)。メモリチェックが正常終了(ステップS1507でYES)ならば、RAM602上に存在する1ブロック分のバックアップ領域に退避していたデータをブロック番号Yの領域に書き込む(S1508)。次にブロック番号のYをインクリメント(ステップS1509)し、全てのブロックのメモリチェックが正常に終了したら(ステップS1510でYES)、正常終了する。
【0064】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、ラベル紙に内蔵しているRF−ID素子へ所望のデータを書き込んだ後に、RF−ID素子の全領域のメモリチェックを行い、異常終了の場合にエラー表示を行うことで、全メモリ領域が正常に機能するRF−ID素子のみを正常に発行することが可能な長尺ラインヘッドを用いたインクジェット方式ラベル記録装置の構成を実現することができる。
【0065】
[他の実施形態]
上記第1〜第3実施形態では、長尺ラインヘッドを用いたインクジェット方式ラベル記録装置を例に説明したが、情報の書き込み/読み出しが可能なRF−ID素子との通信機能を有するRF−ID通信装置であれば、記録媒体に内蔵されているRF−ID素子に情報を書き込む装置や、記録媒体に内蔵されているRF−ID素子より情報を読み出す装置や、記録媒体としてのプラスチックカード、カット紙等に内蔵されたRF−ID素子と通信を行うRF−ID通信ドライバ内蔵のカード記録装置や、記録媒体としてのインクリボン等に内蔵されたRF−ID素子と通信を行うRF−ID通信ドライバ内蔵の熱転写方式の記録装置など、RF−ID通信装置の種類に限定されるものではなく、また、記録装置の場合はその記録方式に限定されるものではない。
【0066】
また、通信アンテナの位置は、ヘッド上流の記録媒体の上側に限らず、通信アンテナは、ヘッドの上流の下側、ヘッドの下(記録媒体の下側)、ヘッドの下流の上側、ヘッドの上流の下側に設けても良い。
【0067】
また、使用するRF−ID素子より、RF−ID素子に通信可能なRF−ID通信ドライバを取り替え、使用するRF−ID素子によりメモリチェックの方法や、メモリチェックを実行する容量等を変更しても良い。

また、1種類のRF−ID素子に限らず、複数種類のRF−ID素子に通信可能なRF−ID通信ドライバを設け、使用するRF−ID素子によりメモリチェックの方法や、メモリチェックを実行する容量等を変更しても良い。
【0068】
尚、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。上述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記憶した記憶媒体等の媒体をシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体等の媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、本発明が達成されることは言うまでもない。
【0069】
この場合、記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体等の媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体等の媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、或いはネットワークを介したダウンロードなどを用いることができる。
【0070】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【0071】
更に、記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】PC(情報処理装置)と記録装置の接続図である。
【図2】RF−ID対応ラベルプリンタの断面図である。
【図3】RF−ID素子内メモリのメモリマップを示す図である。
【図4】RF−ID素子内蔵ラベルのイメージ図である。
【図5】RF−ID素子内メモリのメモリマップを示す図である。
【図6】本発明によるラベルプリンタの断面図である。
【図7】本発明による記録装置へのコマンドを説明する図である。
【図8】本発明による記録装置へのコマンド転送例を説明する図である。
【図9】本発明による記録装置の電気的なブロック図である。
【図10】本発明による記録装置の総合的な処理フローチャートである。
【図11】第1の実施例によるメモリチェックのフローチャートである。
【図12】本発明による記録装置の操作パネルの概念図である。
【図13】第2の実施例によるメモリチェックのフローチャートである。
【図14】接続するPC(情報処理装置)の電気的なブロック図である。
【図15】第3の実施例によるメモリチェックのフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
100 記録装置
102 PC(情報処理装置)
200 記録装置
201 記録ヘッド
207 通信アンテナ
209 TOF(先端検知)センサ

300 ラベル紙
301 台紙(セパレータ)
302 ラベル
303 RF−ID素子
400 記録ヘッド
401 TOF(先端検知)センサ
404 カッタ
408 通信アンテナ
502 キャラクタデータコマンド
503 キャラクタデータコマンド
504 RF−IDデータコマンド
600 MPU
601 ROM
608 RF−ID通信ドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に内蔵されるメモリを含む通信素子と非接触で通信を行う通信制御手段を有する記録装置であって、
前記メモリに情報を書き込む書き込み手段と、前記のメモリから情報を読み込む読み込み手段とにより前記通信素子のメモリを予めチェックするメモリチェック手段とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記メモリチェック手段は、前記メモリの全アドレスに対してメモリチェックを実行することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記メモリチェック手段は、前記メモリの特定アドレスに対してメモリチェックを実行することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
前記メモリチェック手段は、前記通信素子へ所定情報を書き込む為の情報書き込み指示を受け付けた後に、実行することを特徴とする請求項1〜3記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信素子への情報書き込み指示は、前記記録装置と通信可能な外部装置から指示されるものであることを特徴とする請求項4記載の記録装置。
【請求項6】
前記通信素子への情報書き込み指示は、前記記録装置の操作パネルから指示されるものであることを特徴とする請求項4記載の通信装置。
【請求項7】
前記記録装置は、前記媒体の表面に画像を記録する記録手段を有することを特徴とする請求項1〜6記載の記録装置。
【請求項8】
前記媒体とは、台紙に複数枚のラベルが貼付されたラベル紙、又はTOF(Top of Form)マークを有する連続紙であることを特徴とする請求項1〜7記載の通信装置。
【請求項9】
前記媒体とは、カット紙、プラスチックカードであることを特徴とする請求項1〜7記載の通信装置。
【請求項10】
媒体に内蔵されるメモリを含む通信素子と非接触で通信を行う通信制御方法であって、
前記メモリに情報を書き込む情報書き込み工程と、前記メモリから情報を読み込む情報読み込み工程とにより前記通信素子のメモリを予めチェックするメモリチェック工程とを有することを特徴とする通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−139631(P2006−139631A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329895(P2004−329895)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】