説明

記録装置

【課題】 Uターン搬送路を有する記録装置において、被記録材の搬送精度を良好にするとともに、高画質の記録を行うことが可能な記録装置を提供する。
【解決手段】 記録ヘッドの上流側でシート材を搬送する第1のUターン搬送ローラと、第1のUターン搬送ローラの上流側でシート材を搬送する第2のUターン搬送ローラと、を有し、停止している主搬送ローラとピンチローラとのニップ部にシート材の先端を突き当ててレジ取りを行う記録装置において、第1のUターン搬送ローラの搬送量に対して第2のUターン搬送ローラの搬送量を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録用紙やフィルム等の被記録材に記録を行う記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の記録装置において、さまざまな被記録材にモノクロおよびカラーの画像を記録する装置がある。従来は、被記録材を搬送ローラに確実に送り込むために、搬送ローラの上流側に配された搬送手段の搬送量を搬送ローラの搬送量より多くしていた。
【0003】
最近は、装置の前面から被記録材を給送し、記録ヘッドにより記録が行われた被記録材を装置の前面に排紙する、いわゆるUターンの搬送路を有する記録装置がある。Uターンの搬送路を有する記録装置では、Uターン搬送路の内側に配された1本の搬送ローラに被記録材を巻きつけて搬送する構成や、外側に配されたガイド部材に被記録材をならわせて搬送する構成がある。
【特許文献1】特開平5−38853号公報
【特許文献2】特開平5−43097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例においては次のような課題があった。すなわち、Uターンの搬送路を有する記録装置において、搬送ローラの上流側に配された搬送手段の搬送量を搬送ローラの搬送量より多くして、搬送ローラに対して被記録材を押し込んで搬送しようとすると、被記録材にループが余剰に発生してしまうことがあった。また、ループが余剰に発生することにより、余剰なループ部がUターンの搬送路に当接してしまい、被記録材の搬送精度が悪化したり、被記録材の画像が乱れる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、Uターン搬送路を有する記録装置において、被記録材の搬送精度を良好にするとともに、高画質の記録を行うことが可能な記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る記録装置は、記録ヘッドの上流側でシート材を搬送する第1の搬送ローラと、該第1の搬送ローラの上流側に配されシート材を搬送する第2の搬送ローラと、を有し、停止している搬送ローラとその搬送ローラに従動する従動ローラとのニップ部にシート材の先端を突き当ててシート材のレジ取りを行う記録装置において、前記第1の搬送ローラの搬送量に対して前記第2の搬送ローラの搬送量を小さくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1の搬送ローラの搬送量に対して、第1の搬送ローラの上流側に配された第2の搬送ローラの搬送量を小さくするため、Uターン搬送路を有する記録装置において、被記録材の搬送精度を良好にするとともに、高画質の記録を行うことが可能な記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態を図1〜図5に沿って説明する。図1は本実施形態のインクジェット記録装置の斜視図、図2は本実施形態のインクジェット記録装置の機構部の斜視図、図3は本実施形態のインクジェット記録装置の断面図、図4は本実施形態のインクジェット記録装置の断面図、図5は本実施形態の動作を説明する図である。
【0010】
本実施形態のインクジェット記録装置は、記録装置1、給紙装置2、送紙部3、キャリッジ部5、排紙部4、Uターン・自動両面搬送部8、クリーニング部6、外装部9、を備えて構成されている。以下、これらの各部を項目に分けて概略を順次説明する。
【0011】
(A)給紙部
給紙部2は、シート材Pを積載する圧板21、シート材Pを給紙する給紙ローラ28、シート材Pを分離する分離ローラ241、シート材Pを積載位置に戻すための戻しレバー22、等がベースに取り付けられて構成されている。
【0012】
積載されたシート材Pを保持するための給紙トレイ26が、ベースまたは外装に取り付けられている。給紙トレイ26は、多段式で使用時に引き出されて用いられる。
【0013】
給紙ローラ28は、断面円弧の棒状に形成されている。用紙基準側に1つの給紙ローラゴムが設けられており、この給紙ローラゴムによってシート材Pを給紙する。給紙ローラ28の駆動力は、給紙部2に設けられたクリーニング部6と共用のモータから駆動伝達ギア、遊星ギアによって伝達される。
【0014】
圧板21には、シート材Pの積載位置を規制するための可動サイドガイド23が移動可能に設けられている。圧板21は、ベースに結合された回転軸を中心に回転可能で、圧板バネにより給紙ローラ28に付勢される。給紙ローラ28と対向する圧板21には、積載最下位近くのシート材シート材Pの重送を防止するために、人口皮革等の比較的摩擦係数が大きい材質からなる分離シートが設けられている。圧板21には、圧板カムによって、給紙ローラ28に対して当接、離間されるように構成されている。
【0015】
さらに、ベースには、シート材Pを一枚ずつ分離するための分離ローラ241を取り付けた分離ローラホルダがベースに設けられた回転軸を中心に回転可能で、分離ローラバネにより給紙ローラ28に付勢される。分離ローラ241には、クラッチバネが取り付けられ、所定以上の負荷が作用したときに、分離ローラ241が取り付けられた部分が回転するように構成されている。分離ローラ241は、分離ローラリリースシャフトとコントロールカムによって、給紙ローラ28に対して当接、離間するように構成されている。これらの圧板21、戻しレバー、分離ローラ241の位置はASF(オートシートフィーダ)センサによって検知されている。
【0016】
また、シート材Pを積載位置に戻すための戻しレバーは、ベースに回転可能に取り付けられ、解除方向に戻しレバーバネによって付勢されている。シート材Pを戻すときには、コントロールカムによって回転するように構成されている。
【0017】
通常の待機状態では、圧板28が圧板カムによってリリースされ、分離ローラ241がコントロールカムによってリリースされ、戻しレバーがシート材Pを戻し、積載時にシート材Pが奥に入らないように積載口をふさぐような積載位置に設けられている。この状態から、給紙が始まると、モータ駆動によって、まず、分離ローラ241が給紙ローラ28に当接する。そして、戻しレバーがリリースされ、圧板21が給紙ローラ28二と右折する。この状態で、シート材Pの給紙が開始される。シート材Pは、ベースに設けられた前段分離部で制限され、シート材Pの所定枚数のみが給紙ローラ28と分離ローラ241によって構成されるニップ部に送出される。送出されたシート材Pはこのニップ部で分離され、最上位のシート材Pのみが搬送される。
【0018】
シート材Pが後述の主搬送ローラ36、ピンチローラ37まで到達したときに、圧板21が圧板カムによってリリースされる。戻しレバーは、コントロールカムによって積載位置に戻される。このとき、給紙ローラ28と分離ローラ241によって構成されるニップ部に到達していたシート材Pを積載位置まで戻すことができる。
【0019】
(B)送紙部
曲げ起こした板金からなるシャーシ11に送紙部3が取り付けられている。送紙部3は、シート材Pを搬送する主搬送ローラ36およびPE(紙端)センサとを有している。主搬送ローラ36は、金属軸の外周表面にセラミックの微小粒をコーティングされてなり、両端の金属部分を軸受けで受け、シャーシ11に取り付けられている。主搬送ローラ36には、回転時の負荷を与えて安定した搬送を行うために、軸受けと主搬送ローラ36との間に搬送ローラテンションバネが設けられており、主搬送ローラ36を付勢することで所定の負荷を与えている。
【0020】
搬送ローラ3には、従動する複数のピンチローラ37が当接して設けられている。ピンチローラ37は、ピンチローラホルダに保持され、ピンチローラバネによって付勢することで、ピンチローラ37が主搬送ローラ36に圧接されて、シート材Pの搬送力を生み出している。ピンチローラホルダの回転軸は、シャーシ11の軸受けに回転自在に支持されている。さらに、シート材Pが搬送されてくる送紙部3の入口には、シート材Pを案内するペーパーガイドフラッパー33およびプラテン34が配設されている。また、ピンチローラホルダには、シート材Pの先端、後端の検出をPEセンサに伝えるためのPEセンサレバーが設けられている。プラテン34は、シャーシ11に取り付けられて位置決めされている。ペーパーガイドフラッパー33は、主搬送ローラ36と嵌合され、摺動する軸受け部を中心に回転可能で、シャーシ11に当接することで位置決めされる。
【0021】
以上の構成において、送紙部3に送出されたシート材Pは、ピンチローラホルダおよびペーパーガイドフラッパー33に案内されて、主搬送ローラ36とピンチローラ37とのローラ対に送られる。このとき、PEセンサレバー35が、搬送されてきたシート材Pの先端を検知することで、シート材Pの記録位置を求めている。また、シート材Pは、搬送モータ35によって一対のローラ36,37が回転することで、プラテン34に沿って搬送される。プラテン34上には、搬送基準面となるリブが形成されており、シート材Pと記録ヘッドとのギャップを管理するとともに、後述する排紙部4と合わせて、シート材Pの波打ちを制御することで、波打ちが大きくなることを抑制するように構成されている。
【0022】
主搬送ローラ36の駆動力は、DCモータである搬送モータ35の回転力が、タイミングベルトを介して主搬送ローラ36の回転軸に設けられたプーリに伝達されている。また、主搬送ローラ36の回転軸には、主搬送ローラ36による搬送量を検出するために、150lpi〜300lpiのピッチでマーキングが形成されたコードホイール362が設けられており、マーキングを読み取るエンコーダセンサがコードホイールに隣接する位置のシャーシ11に取り付けられている。
【0023】
また、主搬送ローラ36のシート材Pの搬送方向における下流側には、画像情報に基づいて画像を記録する記録部を構成する記録ヘッドが設けられている。記録ヘッドとしては、各色インクタンク別体の交換可能なインクタンクが搭載されたインクジェット記録ヘッドが用いられている。この記録ヘッドは、ヒータ等によりインクに熱を与えることが可能にされている。そして、この熱によりインクが膜沸騰され、この膜沸騰により気泡の生長または収縮によって生じる圧力変化によって記録ヘッドのノズルからインクが吐出されシート材P上に画像が形成される。
【0024】
(C)キャリッジ部
キャリッジ部5は、記録ヘッドが取り付けられるキャリッジ50を有している。そして、キャリッジ50は、シート材Pの搬送方向に対して交差する方向に往復走査させるためのガイドシャフト52、およびキャリッジ50の後端を保持して記録ヘッドとシート材Pとの隙間を維持するガイドレールとによって支持されている。このガイドシャフト52はシャーシ11に取り付けられている。ガイドレールはシャーシ11に一体に形成されている。
【0025】
また、キャリッジ50は、シャーシ11に取り付けられたキャリッジモータ54によってタイミングベルト541を介して駆動される。このタイミングベルト541は、アイドルプーリによって張設、支持されている。タイミングベルト541は、ゴム等からなるダンパーを介してキャリッジ50に結合されており、キャリッジモータ54等の振動を減衰することで、画像ムラ等を低減している。そして、キャリッジ50の位置を検出するために150lpi〜300lpiのピッチでマーキングが形成されたコードストリップがタイミングベルト541と平行に設けられている。さらに、コードストリップを読み取るエンコーダセンサがキャリッジ50に搭載されたキャリッジ基板に設けられている。このキャリッジ基板には、記録ヘッドと電気的な接続を行うためのコンタクトも設けられている。また、キャリッジ50には、回路基板から記録ヘッドにヘッド信号を伝えるためのフレキシブル基板57が設けられている。
【0026】
記録ヘッドをキャリッジ50に固定するために、キャリッジ50には、記録ヘッドを押し付けて位置決めするための突き当て部と、固定するためのヘッド押圧手段とが設けられている。ヘッド押圧手段は、ヘッドセットレバー51に搭載され、ヘッドセットレバー51を回転支点を中心に回してセットする際に記録ヘッドに作用するように構成されている。
【0027】
また、ガイドシャフト52の両端には、偏心カムが設けられており、クリーニング部6のメインカムによって、ギア列を介して偏心カムまで駆動力を伝達することで、ガイドシャフト52をシート材Pの厚み方向に平行な上下方向に昇降させることができる。このことによって、キャリッジ50を昇降させ、厚みが異なるシート材Pに対しても最適なギャップを構成して対応することができる。
【0028】
さらに、キャリッジ50には、記録ヘッドから吐出されたインクのシート材P上での着弾ズレを自動補正するための自動レジ調整センサが取り付けられている。この自動レジ調整センサは、反射型の光センサであり、発光素子より発光され、シート材P上の所定の記録パターンへの反射光を受光することで、最適なレジストレーション調整値を求める。
【0029】
上述した構成において、シート材Pに画像形成するときは、画像形成する行位置(シート材Pの搬送方向の位置)に一対のローラ36,37がシート材Pを搬送するとともに、キャリッジモータ54によりキャリッジ50を画像形成する列位置(シート材Pの搬送方向と交差する位置)に移動させて、記録ヘッドを画像形成位置に対向させる。その後、上述のように、回路基板からの信号に基づいて記録ヘッドがシート材Pに向けてインクを吐出して画像が形成される。
【0030】
(D)排紙部
排紙部4は、2本の排紙ローラ(第1排紙ローラ40、第2排紙ローラ41)と、これら排紙ローラ40,41に所定の押圧力で当接、従動して回転可能に設けられた複数の拍車結合体(従動ローラ)42と、主搬送ローラ36の駆動力を排紙ローラ40,41に伝達するためのギア列とを有して構成されている。
【0031】
排紙ローラ40,41は、プラテン34に取り付けられ、記録ヘッドに対してシート材Pの搬送方向の下流側にそれぞれ配置されている。第1の排紙ローラ40は、金属軸の外周表面に複数のゴム部が設けられて構成されている。第1の排紙ローラ40は、主搬送ローラ36からの駆動力がアイドラギアを介して伝達されることで回転駆動される。また、第2の排紙ローラ41は、第1の排紙ローラ40に対してシート材Pの搬送方向の下流側に配置されており、樹脂製の軸に、エラストマーからなる弾性体が複数取り付けられて構成されている。第2排紙ローラの駆動力は、第1排紙ローラからアイドラギアを介して伝達される。
【0032】
拍車結合体42は、2つの拍車が一体に嵌合されてなり、拍車ホルダ43に回転自在に支持されている。各拍車は、例えばステンレス等の金属材料によって薄板状に形成され外周部に歯先が設けられた金属シート部材がモールド部材と一体成形されてなる。拍車結合体42は、一体に嵌合された各モールド部材が、軸状のコイルバネからなるバネ軸を介して拍車ホルダ43に支持され、このバネ軸の弾性力によって、排紙ローラ40,41に対して押圧されている。
【0033】
複数の拍車結合体42には、排紙ローラ40,41のゴム部、弾性体に対応する位置に設けられて主にシート材Pの搬送力を生じさせる役割の拍車結合体群と、これらの拍車結合体群の間で排紙ローラ40,41のゴム部、弾性体が無い位置に設けられて主にシート材Pが記録されるときの浮き上がりを抑える役割の拍車結合体群とが含まれている。
【0034】
第1排紙ローラ40と第2排紙ローラ41との間の搬送経路には、シート材Pの両端を持ち上げ、排紙ローラ40,41の先でシート材Pを保持し、先出のシート材P上の記録面(印字面)を擦ることでダメージを与えることを防止するための紙端サポートが設けられている。先端にコロが設けられた樹脂部材が紙端サポートバネによって付勢され、コロを所定圧でシート材Pに押し付けることで、シート材Pの両端を持ち上げ、こしを作ることで、保持できるように構成されている。
【0035】
以上の構成によって、キャリッジ部5で画像形成されたシート材Pは、第2排紙ローラ41と拍車42とのニップ部に挟まれて搬送され、排紙トレイ46に排出される。排紙トレイ46は、フロントカバー95の内部に収納されるように構成されており、使用時に引き出されて使用される。排紙トレイ46は、図1に示すように、排紙方向の先端に向かって高さが上がり、更にその両端の高さが大きく構成され、排出されたシート材P上の積載性向上、印字面の擦れ防止を可能としている。
【0036】
(E)Uターン・自動両面搬送部
シート材Pは、記録装置1の底面側に設けられたカセット81内に収納されている。このシート材Pを分離するために、シート材Pを積載し、給紙ローラ821に当接させる圧板822がカセット81に設けられている。シート材Pを給紙する給紙ローラ821、シート材Pを分離する分離ローラ831、シート材Pを積載位置に戻すための戻しレバー824、圧板822への加圧・制御手段、等が記録装置1のUターンベースに取り付けられて構成されている。
【0037】
カセット81は、2段階に収縮可能に構成されており、シート材Pのサイズに応じて使い分けることができる。小サイズ紙の使用時あるいはカセット81の非使用時には、カセット81を収縮させて、外装部9の内部に収納することが可能にされている。
【0038】
給紙ローラ821は、断面円弧の棒状をしている。用紙基準側に1つの給紙ローラゴムが設けられている。この給紙ローラゴムによってシート材Pを給紙する。給紙ローラ821の下流には、第1のUターン搬送ローラ86および第2のUターン搬送ローラ87とが配されている。給紙ローラ821、第1のUターン搬送ローラ86、第2のUターン搬送ローラ87は、送紙部3の搬送モータ35とは別のUターン・両面用モータ85により駆動される。Uターン・両面用モータ85の駆動を駆動ギア、遊星ギア等によって伝達することで、主搬送ローラ36の搬送量と、給紙ローラ821等の搬送量と、をそれぞれ制御することができる。また、シート材Pの種類に応じて、レジ取り作業を変えることもできる。本実施形態においては、主搬送ローラ36の搬送量よりも、第2のUターン搬送ローラ87の搬送量を小さくする。ここで、第2のUターン搬送ローラの搬送量よりも第1のUターン搬送ローラ86の搬送量を小さくすると、さらに効果的である。
【0039】
圧板822には、可動サイドガイドが移動可能に設けられており、シート材Pの積載位置を規制している。圧板822は、カセット81に結合された回転軸に回転可能にされており、Uターンベース84に設けられた、圧板バネ等からなる加圧・制御手段によって給紙ローラ821に付勢されている。給紙ローラ821と対向する圧板822の部位には、積載最下位近くのシート材Pの重送を防止する人口皮革等の摩擦係数の大きい材質からなる分離シートが設けられている。圧板822は、圧板カムによって、給紙ローラ821に対して当接、離間するように構成されている。
【0040】
さらに、Uターンベースには、シート材Pを一枚ずつ分離するための分離ローラ831が取り付けられた分離ローラホルダが、分離ベースに設けられた回転軸に回転可能にされており、分離ローラバネによって給紙ローラ821に付勢されている。分離ローラ831には、クラッチバネが取り付けられ、所定以上の負荷が作用したときに、分離ローラ831が取り付けられた部分が回転するように構成されている。分離ローラ831は、分離ローラリリースシャフトとコントロールカムによって、給紙ローラ821に対して当接、離間するように構成されている。これらの圧板822、戻しレバー824、分離ローラ831の位置はUターンセンサによって検知される。
【0041】
また、シート材Pを積載位置に戻すための戻しレバー824は、Uターンベースに回転可能に取り付けられ、解除方向に戻しレバーバネで付勢されている。シート材Pを戻すときは、コントロールカムによって回転されるように構成されている。
【0042】
通常の待機状態では、圧板822が圧板カムによってリリースされ、分離ローラ831がコントロールカムによってリリースされ、戻しレバー824がシート材Pを戻し、積載時にシート材Pが奥に入らないように、積載口をふさぐような積載位置に設けられている。この状態から、給紙が始まると、モータ駆動によって、まず、分離ローラ831が給紙ローラ821に当接される。そして、戻しレバー824がリリースされ、圧板822が給紙ローラ821に当接される。この状態で、シート材Pの給紙が開始される。シート材Pは、ベースに設けられた前段規制手段で制限され、シート材Pの所定枚数のみが給紙ローラ821と分離ローラ831によって構成されるニップ部に送出される。送出されたシート材Pは、このニップ部で分離され、最上位のシート材Pのみが搬送される。
【0043】
分離・搬送されたシート材Pが後述する第1のUターン搬送ローラ86とUターンピンチローラ861とのニップ部に到達したときに、圧板822が圧板カムによってリリースされ、分離ローラ831がコントロールカムによってリリースされる。戻しレバー824は、コントロールカムによって積載位置に戻される。このとき、給紙ローラ821と分離ローラ831がなすニップ部に到達していたシート材Pを積載位置まで戻すことができる。
【0044】
給紙部分よりも下流側には、給紙・搬送されたシート材Pを搬送するために、第1のUターン搬送ローラ86、第2のUターン搬送ローラ87の2本の搬送ローラが設けられている。これら各Uターン搬送ローラ86,87は、金属軸の芯金の4〜6箇所にゴム硬度40°〜80°のEPDMが取り付けられて構成されている。このゴム部に対応した位置に、シート材Pを挟持するためのUターンピンチローラ861,871がばね軸に取り付けられ、第1のUターン搬送ローラ86、第2のUターン搬送ローラ87に付勢されている。また、搬送パスの内側を構成するインナーガイド881、搬送パスの外側を構成するアウターガイド882が設けられている。
【0045】
シート材Pの先端が主搬送ローラ36とピンチローラ37とに送られる際に、ローラ対のニップ部でシート材Pの種類に応じたレジ取り動作が行われる。主搬送ローラ36の搬送量よりも第2のUターン搬送ローラ86の搬送量を小さくする構成により、レジ取り後のシート材の搬送によりレジ取り動作の際にできたシート材Pのループが無くなっていくが、シート材Pのループが完全に無くなる前にシート材Pの後端が第2のUターン搬送ローラ87とUターンピンチローラ871とのニップを抜ける構成とすることにより、シート材Pをアウターガイド882等のガイド部材に当接させることなく精度良く搬送することができる。また、本実施形態の構成によると、レジ取りなしの搬送も可能である。
【0046】
次に、本実施形態の動作について図5を用いて説明する。図5aは、シート材Pの先端を停止している主搬送ローラ36とピンチローラ37とのニップ部に当接させてレジ取り動作を行い、B点で余剰ループが発生している状態を示す図である。シート材Pの種類によって余剰ループの発生する位置が異なる。本実施形態では第2のUターン搬送ローラ87と第1のUターン搬送ローラ86との間に余剰ループが発生している。
【0047】
ここで、第2のUターン搬送ローラ87の搬送量に対して第1のUターン搬送ローラの搬送量が小さいため、図5bに示すようにシート材Pが搬送されるにつれて余剰ループが解消していく。これにより、シート材Pがガイド部材に当接することがなく、シート材Pの記録面を汚すことなく良好な画像を記録することができる。
【0048】
シート材Pの後端が第1のUターン搬送ローラ86を抜ける前に余剰ループが解消されると、図6のようにシート材Pが引っ張られてシート材Pが内側のインナーガイド881と接触して、シート材Pの搬送精度が悪化してしまう。また、第2のUターン搬送ローラ87の搬送量に対して第1のUターン搬送ローラ86の搬送量が大きいと、シート材Pが搬送されるにつれて余剰ループが増大し、図7のようにシート材Pが外側のアウターガイド882に接触して、シート材Pの搬送精度が悪化してしまう。
【0049】
(第2の実施形態)
本実施形態を図8〜図9に沿って説明する。図8は本実施形態のインクジェット記録装置の断面図、図9は本実施形態の動作を説明する図である。第1の実施形態においては、2本のUターン搬送ローラを有していたが、本実施形態はUターン搬送ローラが1本であることを特徴とする。
【0050】
Uターン搬送ローラ900は、送紙部の搬送モータ35とは別のUターン・両面用モータ85により駆動される。Uターン・両面用モータ85の駆動を駆動ギア、遊星ギア等によって伝達することで、主搬送ローラ36の搬送量と、Uターン搬送ローラ900の搬送量と、をそれぞれ制御することができる。また、シート材Pの種類に応じて、レジ取り作業を変えることもできる。本実施形態においては、主搬送ローラ36の搬送量よりも、Uターン搬送ローラ900の搬送量を小さくする。
【0051】
通常の待機状態では、圧板822が圧板カムによってリリースされ、分離ローラ831がコントロールカムによってリリースされ、戻しレバー824がシート材Pを戻し、積載時にシート材Pが奥に入らないように、積載口をふさぐような積載位置に設けられている。この状態から、給紙が始まると、モータ駆動によって、まず、分離ローラ831がUターン搬送ローラ900に当接される。そして、戻しレバー824がリリースされ、圧板822がUターン搬送ローラ900に当接される。この状態で、シート材Pの給紙が開始される。シート材Pは、ベースに設けられた前段規制手段で制限され、シート材Pの所定枚数のみがUターン搬送ローラ900と分離ローラ831によって構成されるニップ部に送出される。送出されたシート材Pは、このニップ部で分離され、最上位のシート材Pのみが搬送される。
【0052】
分離・搬送されたシート材PがUターン搬送ローラ900とUターンピンチローラ861とのニップ部まで到達したときに、圧板822が圧板カムによってリリースされ、分離ローラ831がコントロールカムによってリリースされる。戻しレバー824は、コントロールカムによって積載位置に戻される。このとき、給紙ローラ821と分離ローラ831がなすニップ部に到達していたシート材Pを積載位置まで戻すことができる。
【0053】
シート材Pの先端が主搬送ローラ36とピンチローラ37とに送られる際に、ローラ対のニップ部でシート材Pの種類に応じたレジ取り動作が行われる。主搬送ローラ36の搬送量よりもUターン搬送ローラ900の搬送量を小さくする構成により、レジ取り後のシート材の搬送によりレジ取り動作の際にできたシート材Pのループが無くなっていくが、シート材Pのループが完全に無くなる前にシート材Pの後端がUターン搬送ローラ900と第2のUターンピンチローラ871とのニップを抜ける構成とすることにより、シート材Pをアウターガイド882等のガイド部材に当接させることなく精度良く搬送することができる。また、本実施形態の構成によると、レジ取りなしの搬送も可能である。
【0054】
次に、本実施形態の動作について図9を用いて説明する。図9aは、シート材Pの先端を停止している主搬送ローラ36とピンチローラ37とのニップ部に当接させてレジ取り動作を行い、A点で余剰ループが発生している状態を示す図である。シート材Pの種類によって余剰ループの発生する位置が異なる。本実施形態ではA点に余剰ループが発生している。
【0055】
ここで、主搬送ローラ36の搬送量に対してUターン搬送ローラ900の搬送量が小さいため、図9bに示すようにシート材Pが搬送されるにつれて余剰ループが解消していく。これにより、シート材Pがガイド部材に当接することがなく、シート材Pの記録面を汚すことなく良好な画像を記録することができる。
【0056】
シート材の後端がUターン搬送ローラ900を抜ける前に余剰ループが解消されると、図10のようにシート材Pが引っ張られて、シート材Pの搬送精度が悪化してしまう。また、主搬送ローラ36の搬送量に対してUターン搬送ローラ900の搬送量が大きいと、シート材Pが搬送されるにつれて余剰ループが増大し、図11のようにシート材Pが外側のガイド部材に接触して、シート材Pの搬送精度が悪化してしまう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態に係るインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図2】インクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【図3】インクジェット記録装置を示す断面図である。
【図4】第1実施形態の断面図である。
【図5】第1実施形態の動作を説明する図である。
【図6】第1実施形態を説明するための参考例の断面図である。
【図7】第1実施形態を説明するための参考例の断面図である。
【図8】第2実施形態の断面図である。
【図9】第2実施形態の動作を説明する図である。
【図10】第2実施形態を説明するための参考例の断面図である。
【図11】第2実施形態を説明するための参考例の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 記録装置
33 ペーパーガイドフラッパー
34 プラテン
36 搬送ローラ
37 ピンチローラ
40 第1排紙ローラ
41 第2排紙ローラ
42 拍車結合体
50 キャリッジ
86 第1のUターン搬送ローラ
87 第2のUターン搬送ローラ
821 給紙ローラ
831 分離ローラ
861 Uターンピンチローラ
871 Uターンピンチローラ
881 インナーガイド
882 アウターガイド
900 Uターン搬送ローラ
P シート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドの上流側でシート材を搬送する第1の搬送ローラと、該第1の搬送ローラの上流側に配されシート材を搬送する第2の搬送ローラと、を有し、停止している搬送ローラとその搬送ローラに従動する従動ローラとのニップ部にシート材の先端を突き当ててシート材のレジ取りを行う記録装置において、
前記第1の搬送ローラの搬送量に対して前記第2の搬送ローラの搬送量を小さくすることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
記録媒体を反転させて給紙するための搬送経路を有し、前記第1の搬送ローラは前記搬送経路に配された下流側のUターン搬送ローラであり、前記第2の搬送ローラは前記搬送経路に配された上流側のUターン搬送ローラであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
記録媒体を反転させて給紙するための搬送経路を有し、前記第1の搬送ローラは主搬送ローラであり、前記第2の搬送ローラは前記搬送経路に配されたUターン搬送ローラであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
シート材のレジ取りにより前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間に発生したループが解消する前に、シート材の後端が前記第2搬送ローラを通過するように制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−56632(P2006−56632A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238445(P2004−238445)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】