説明

記録装置

【課題】安全性を確保し、かつ、専用スイッチを設けることなくカッタを人為的なタイミングで動作させることができる記録装置の提供。
【解決手段】記録紙を搬送する搬送手段と、前記記録紙に印刷する印刷手段と、前記記録紙を切断するカッタ12と、開閉自在に設けられたカバー3、前記カバー3を開けるためのカバー操作部材6と、を有する記録装置(プリンタ1)とする。
カバー操作部材6は、択一的に選択可能な第1の状態と第2の状態とにできる。
カバー操作部材6が第1の状態のときは、カバー3は開かずにカッタ12が動作し、
カバー操作部材6が第2の状態のときは、カッタ12は動作せずにカバー3が開く構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ロール状に回巻された記録紙に印刷し、この記録紙を切断するカッタを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カッタを備えた記録装置(プリンタ、ファックス装置におけるプリント装置など)において、カッタはホストコンピュータから送信される制御コマンドにより動作する場合と、プリンタに備えられた操作手段により人為的なタイミングで動作する場合がある。
特許文献1の記録装置は、記録紙給送手段と、記録紙切断手段と、これらの手段を制御する操作手段を有し、この操作手段の操作に応じて記録終了後の記録紙を切断して給送、排出するものである。この記録装置において、記録部(プリンタ部)のカバー部材の開閉状態を検出する手段を設け、この検出手段により前記カバー部材が開状態にある際には前記切断手段の動作を遮断し、記録紙の給送のみを行うことを特徴としている。
特許文献2のカッタ付きファクシミリは、ロール状に巻かれた記録紙を切断するカッタと、ページ終了信号を受けて前記カッタを作動させるカッタ駆動手段と、外部からの選択操作により、前記ページ終了信号のカッタ駆動手段への入力を許容するON位置と、その入力を遮断するOFF位置に切り替え動作するスイッチング手段とを備えている。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−173978号公報
【特許文献2】実開平04−67994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カッタを備えた記録装置が公知であり、このような記録装置では安全性を確保するためにカバーが開いている状態では、カッタが動作しないことが必須の構成となっている(特許文献1)。
一方、特許文献2の記録装置では、カッタを人為的タイミングで動作させるために、カッタ動作のための専用スイッチを設けている。しかし、カッタを人為的なタイミングで動作させる機会はそれほど多くはなく、カッタを動作させるための専用スイッチを設けることは、コストパフォーマンスが悪いといえる。これに対して、カッタ動作スイッチを操作パネルの特定キーに兼用させるものがあるが、この場合は、機能切り替えが面倒で操作性が悪い。
この発明は、安全性を確保し、かつ、専用スイッチを設けることなくカッタを人為的なタイミングで動作させることができる記録装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記録装置におけるカバーは、カバーを開けるためのカバー操作部材を備える。
カバー操作部材は、択一的に選択可能な第1の状態と第2の状態とを有し、カバー操作部材にカッタ作動スイッチの機能を兼用させる。
そして、カバー操作部材が第1の状態のときは、カバーは開かずにカッタが動作し、カバー操作部材が第2の状態のときは、カッタは動作せずにカバーが開く構造とする。
【発明の効果】
【0006】
カバーを開くための操作部材にカッタの動作制御機能を付加したことにより、カッタを操作するために専用のスイッチを設ける必要がなく、製品のコストを抑えることが可能となる。
カバー操作部材は、カバーは開かずにカッタが動作する第1の状態と、カッタは動作せずにカバーが開く第2の状態を持つ構成であることにより、カバー部材が開状態にある際にはカッタの切断動作を停止するセイフティ機能を確実に機能させることが可能となる。
【0007】
カバー操作部材以外にカッタ動作制御機能を付加した構成では、誤ってカッタを動作させた場合には、正常な用紙を切断してしまう事故の発生する恐れがあるが、この発明のようにカバーを開くためのカバー操作部材にカッタの動作制御機能を付加した構成では、誤ってカッタを動作させた場合でも、カバーを開くための操作部材を扱うのは、ジャムなどのエラー発生時が主であり、正常な用紙を誤って切断してしまうことが少ない。
なお、カッタの切断動作に先立って搬送手段により記録紙を一定長さ搬送するようにすると、記録紙先端から記録開始位置までの寸法を一定に揃えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
〔実施例〕
図1は、実施例1としてプリンタ1の外観を示したものであり、本体ケース2にカバー3が蝶番構造4により本体ケース2の後方上縁を軸として開閉可能に取付けられている。本体ケース2には用紙排出口5が形成され、カバー3の上面にはカバー操作部材6が配置されている。
図2はカバー3を開いた状態で、プリンタ1の縦断面を示している。カバー3は用紙排出口5上方の壁部分7も一体に形成されていて、カバー3を開くと、本体ケース2の前記排出口5上方の壁7も上方へ移動し、用紙排出口5の上方が開放される。
【0009】
本体ケース2の内部にプリント機構8が配置される。プリント機構8は、記録紙9を搬送する搬送手段10と、記録紙9に印刷する印刷手段11と、印字済みの記録紙9を切断するカッタ12を備える。
記録紙9はロール9aに回巻されており、これから引き出された記録紙9が搬送手段10により前方(図で左方向)へ送られ、印刷手段11で印字された後、さらに所定量送り出されて、記録紙9の搬送が停止し、次いで、空白部分がカッタ12で切断される。記録紙9が停止したとき印字済み記録紙9の先端部分は用紙排出口5から外に出ているので、切断された記録紙9を摘んで取出すことができる。
【0010】
この実施例において、印刷手段11はサーマルヘッド13とプラテン14であり、カッタ12は下方の固定刃15に対して上方の可動刃16が上下動して記録紙9を切断するギロチン式のものである(図3)。符合17は、搬送用モータ、符合18は、カッタ駆動用モータである。これらの部品からなるプリント機構8は従来公知のものを採用することができ、その一連の作動は制御装置19のコントロール下にある。なお、制御装置19には、親機器から印字データと印字開始及び印字終了信号が伝達される。
記録紙9を補給するときは、カバー3を開いてロール9aを交換する。このとき、用紙排出口5の上縁を含む上方の壁部分7が上方に移動していて、用紙排出口5は上方に開放されているので、ロール9aから引き出した記録紙9を用紙排出口5にセットしやすい。
【0011】
本体ケース2とカバー3は、図4のように、カバー3を閉じたとき相互に係合しあう係合構造20を備えている。すなわち、本体ケース2における側壁21の上面で内側寄りに上部を外向き膨隆部22とした係合受け突壁23が突出して一体に形成されており、また、カバー3における側壁24の下面で外側寄りに下部を内向き膨隆部25とした係合突壁26が下方へ突出して一体に形成されている。
本体ケース2に対してカバー3を閉じると、係合受け突壁23の外向き膨隆部22と係合突壁26の内向き膨隆部25とが相互に係合しあい、通常の使用状態では閉じ状態を維持できる。しかし、係合面は斜面であり、また、係合の深さも大きくないのと、カバー3や本体ケース2の素材が可撓性のある合成樹脂であると共に、係合受け突壁23や係合突壁26の箇所は肉薄で撓み易いので、この係合状態は、少し力を入れてカバー3を上方へ回動させると解くことができる。
【0012】
カバー操作部材6(図5)は、レバー27、カム部材28、軸29、戻しばね30及びストッパー突起31を備え、カバー3上面の凹陥部32に配置されている。
軸29はカバー3の側壁24(両側)の内面に沿って取付けられた基板33に回動自在に軸支されている。
レバー27は前後方向の前端側で、また、軸29の左右方向では中央部において、軸29に固定されている。レバー27の後端側には凹陥部32の後縁との間に指を入れるだけの空間が存在する。
カム部材28は、この実施例において、細い扇形をした部材であり、幅の狭い上部が軸29に固定されて、レバー27に対して軸29の回動方向で右方向の下方となる位置とされており、先端面が軸29を中心とした円弧となっている。カム部材28は1個であり、軸29の一方の端(図では前方から見て左側)にだけ、側壁24に近接させて固定される。
【0013】
戻しばね30は前記の基板33に一端が固定され、他端側の直線部分が軸29に貫通して取付けられている。これにより、レバー27は図5の水平位置(通常位置)に維持される。戻しばね30は、レバー27が上方に回動したときも、下方へ回動したときも常にレバー27を通常位置へ戻すように付勢している。レバー27が通常位置にあるとき、カム部材28は先端部が側壁24の下方へ突出しない位置とされる。
ストッパー突起31は通常位置にあるレバー27の下面とカム部材28の上面との間に固定されている。
【0014】
一方、本体ケース2の前壁34の内側に固定した前基板35の両側にはそれぞれアーム36の前端が軸37を中心に回動可能に軸支され、その先端に接触センサ38a(第1の検出器),38b(第2の検出器)が取付けられている。アーム36は前基板35に基部を固定した板ばね39で常時水平姿勢に付勢されている。接触センサ38a,38bは、カバー3が閉じられているとき、側壁24(両側)から内側へ水平に突出して形成された当接片40に接触して押し込まれている(ON状態)。
【0015】
接触センサ38a,38bは、制御装置19におけるプログラム処理(ソフトウェア)上でカッタ駆動回路と関連しており、両側の接触センサ38a,38bが共にOFFの場合、カッタ駆動回路を遮断し、そうでない場合はカッタを駆動可能である。このプログラム処理は簡単で、かつ、従来周知のものを利用できる。
【0016】
カバー操作部材6は、レバー27が通常の位置にある状態(図5)から、図6のように、軸29を中心にレバー27を押下げて第1の位置とした第1の状態と、図7のように、軸29を中心にレバー27を引き上げて第2の位置とした第2の状態とすることができ、第1の状態と第2の状態は、プリンタ1の使用者が択一的に選択可能である。
【0017】
そして、カバー操作部材6が第1の状態のとき(図6)、レバー27はストッパー突起31と当接するまで右方向に回転されており、これにともなってカム部材28も同方向に回動してその先端のカム面がカバー3の下縁よりも下方に突出し、本体ケース2側のアーム36が軸37を中心に右回転される。このため、アーム36先端の接触センサ38aはカバー3の当接片40から離れ、OFF状態となっている。カム部材28は、この実施例においては、軸29の左端にだけ固定されているので、レバー27を押下げることでOFFに切り替えられるのは、左右両側のうち左の接触センサ38aだけである。
【0018】
このプリンタ1において制御装置19は、左右両側の接触センサ38a,38bのいずれかが「ON」のときはカバー3が閉じているとの判断をなし、共に「ON」のときは通常の一連の印字作動において印字終了後にカッタ12を駆動し、共に[ON]の状態から、いずれか一方が「OFF」となったときは、手動による記録用紙の切断と判断してカッタ12を駆動するプログラムとされている。また、接触センサ38a,38bが共にOFFとなったときは、カバー3が開いていると判断し、カッタ12の駆動を遮断する処理プログラムとなっている。
【0019】
カバー操作部材6が第2の状態のとき(図7)、レバー27が上方へ回動(左回転)することにより、カム部材28の上面がストッパー突起31に下方から当接している。カム部材28の先端はカバー3の下縁よりも上方に移動するので、左の接触スイッチ38aは当接片40に押されて右の接触センサ38bと共にONとなっている。
【0020】
この状態から、レバー27を上方へ持ち上げるようにすると、カバー3を本体ケース2との係合構造20を解いて、後端の蝶番構造4(図2)を中心に開くことができる。すると、左右の接触センサ38a,38bは共にOFFとなるので、制御装置19により、カッタ12の駆動が遮断され、カバー3を開いた状態を安全に維持することができる。
そして、記録紙9のロール9aを交換するなどした後、カバー3を閉じると、左右の接触センサ38a,38bは共にONとなり、通常のプリント及びカッタ作動可能状態となる。
【0021】
図8のチャートは、この一連の作動をカッタの駆動を中心にまとめた概略である。
プリンタ1は記録紙9がセットされて、カバー3が閉じられ、スイッチONされた稼動状態にあるものとする。制御装置19はカッタの駆動処理として、スタート後、まず今回の処理においてこのサイクルが初回であることを区別するために、ステップS1にてフラグを初期化する(f=0)。
カバー3は閉じているので左の接触センサ38aはON(ステップS2)であり、また、次の右の接触センサ38bもON(ステップS3)である。そこで、ステップS4で親機器から印字指令がきているかを確認する。印字指令があれば、印字を行い(ステップS5)、印字が終了して印字完了信号を受けると、カッタ12を駆動して印字済みの記録紙9を切断し、今回の処理を終了する。
【0022】
次の処理において、前回と同じ経過をたどるのであるが、ステップS4にて印字指令が来ていない場合はステップS7にてフラグをf=1としてからステップS2に戻る。この実施例では、左の接触センサ38aをカバー操作部材6により、第1の状態(接触センサ38aをOFF)とできるのであるが、この場合、ステップS2で左の接触センサ38aがONであることはカバー操作部材6が第1の状態とされていない、すなわち、通常の状態なので、ステップS3に移行する。この実施例において、カバー3が閉じられているとき、右の接触センサ38bは常にONであるから、そのままステップS4に移行して印字指令の有無を確認し、前記の作動を繰り返すこととなる。すなわち、プリンタ1の稼動後、左の接触センサ38aがONであるときは、印字指令を待ってステップS2,S3,S4,S7を循環するサイクルを繰り返す待機状態となっている。
【0023】
最初の処理の第1サイクル(f=0の状態)のときステップS2で左の接触センサ38aがOFFとなっているとステップS8に移行するが、ここではフラグがf=0なのでステップS9に移行し、アラームを呈示して今回の処理を終了する。アラームは、プリンタ1の稼動当初にカバー3がきちんと閉じられていないこと示すものであり、カッタを駆動する処理は最初からやり直しとなる。
【0024】
ステップS2で左の接触センサ38aはOFFであるが、フラグがf=1であるときは、一度ステップS7を経由してきた、すなわち、カバー3が正常に閉じられてプリンタ1が稼動されてきたことを意味するので、ステップ8からステップS10へ移行して右の接触センサ38bがONであるか確認する。ONであるときは、カバー3が閉じた状態でカバー操作部材6が第1の状態とされたことを意味するので、ステップS6に移行してカッタ12を駆動し、今回の処理を終了する。
ステップS10で右の接触センサ38bもOFFであるときは、カバー3が開いていることを意味するので、危険防止のため、ステップS11に至り、カッタを駆動するための処理を遮断する。
【0025】
以上のように、カバー3を開くためのカバー操作部材6にカッタ12の動作制御機能を付加しているので、カッタ12を操作するために専用のスイッチを設ける必要がない。また、カバー操作部材6は、前記のように、カバー3は開かずにカッタ12が動作する第1の状態と、カッタ12は動作せずにカバー3が開く第2の状態を持つ構成としてあるので、人為的なタイミングでカッタ12を駆動できると共に、カバー3が開状態にある際にはカッタ3による切断動作を停止させ、セイフティ機能を確実に機能させることができる。
【0026】
図9は実施例2を概略で示したものであり、プリンタ1におけるカバー3の前端部分を示している。プリンタ1は実施例1と同様である。カバー3が閉じているとき、本体ケース2の左右両側に取付けられた接触センサ38a,38b(第1、第2の検出器)が共にONとされ、カバー3が開放されるとこれらはOFFとなる。制御装置19により、前記接触センサ38a,38bのいずれか一方がONの場合は、カバー3の閉じ状態が維持されると共に、カッタ12を駆動することができ、双方共にOFFのとき、カッタの駆動が遮断される構成である。また、この実施例では、カバー3の閉じ状態は、電磁的なアクチュエータによりロックされる。
【0027】
カッタの駆動に関する構成は、カバー3の側面にスライド可能に配置したカバー操作部材6(図9)と接触センサ38a,38b及び制御装置19とで構成される。
カバー操作部材6は、スライドレバー41とその接点A,B,C(図9に併記)を備えており、スライドレバー41は、ロック位置、カット位置、オープン位置の3位置にスライドさせることができる。ロック位置からオープン位置へ移動するにはカット位置を通過する。ロック位置にあるとき、接点Cによって前記の接触センサ38a,38bのON状態が共にONとして制御装置19に伝達され、カバー3のロック状態が維持され、また、通常の印字作動に引き続いて印字済みの記録紙9がカッタ12で切断される(通常状態)。
【0028】
スライドレバー41がカット位置にあるとき(第1の位置)、接点Bは、接触センサ38a,38bのうち、本体ケース2の左側に位置する接触センサ38aからのON信号を遮断する(第1の状態)。制御装置19はこの状態を手動によるカッタ駆動要求と判断してカッタ12を駆動する。このとき、他方の接触センサ38bはON状態を維持するから、カバー3と本体ケース2とのロック状態は解除されず、必ずカバー3が閉じた状態でカッタ12が駆動される。
手動による記録紙9の切断が済んだ後、スライドレバー41をロック位置に戻せば、プリンタは通常状態となる。
【0029】
スライドレバー41が、オープン位置にあるとき(第2の位置)、接点Aは、接触センサ38a,38b双方からのON信号を遮断する。制御装置19はこの状態をカバー3を開放する要求と判断して、電磁的アクチュエータを解除方向に駆動してカバー3を開放可能とする。同時に、接触センサ38a,38b双方からのON信号が遮断されることを持って、カッタの駆動処理を遮断する(第2の状態)。したがって、カバー3が開放されるとき、カッタ12が作動することはなく、安全に記録紙9のロール9aを交換することができる。
カバー3を開けずに、スライドレバー41をオープン位置から、カット位置、ロック位置に戻すと、再びそれぞれの機能を利用することができる。
【0030】
実施例2の場合、ロック位置からオープン位置に移動するとき、カット位置(第1の位置)を通過してオープン位置(第2の位置)へ移動するので、移動の途中でカッタ12が駆動される恐れがある。これを防ぐために、人為的に記録紙9を切断するためには、スライドレバー41を所定時間(例えば、1秒)カット位置に留めないと第1の状態へ移行しないようにする。逆に述べれば、カバー操作部材6が、第1の位置を所定時間内に通過して第2の位置に達した場合にはカッタ12を動作させない構成とする。
【0031】
図10のチャートはその処理を示したものであり、ステップS7にタイマーを配置して、ステップS1で第1検出器(左の接触センサ38a)がOFFになってから、第2検出器(右の接触センサ38b)がOFFになるまで、所定時間(1秒)が経過したか否かを見ている。所定時間が経過すれば、カッタを駆動し(ステップS5)、所定時間前に第2検出器がOFFされた場合は、第1、第2の検出器が共にOFFとなるので、カッタの駆動を遮断する。すなわち、この場合のスライドレバー41の操作は、カバー3を開けるのが目的で、手動によるカッタの駆動は必要ないものと判断されたのと同じ結果となる。
【0032】
以上は実施例である。
カバー操作部材6を第1の状態として人為的なタイミングでカッタ12を駆動して記録紙9の切断を行うとき、切断に先立って、搬送手段10により記録紙9を一定長さ送り出す構成とすることがある。このようにすると、ロール9aを取り替えた最初に、記録紙9の先端から所定の正しい位置に印字を開始することができる。
接触センサ38a,38bは、第1、第2の検出器としての例を示したもので、カバー3の開閉を検知できるものであれば、光学式、磁気式など他の原理によるものも利用できる。
プリンタが採用する印字方式(サーマル、ドット)、用紙形式(ロール、フォールド)は実施例のものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】プリンタの外形を示した斜視図。
【図2】カバーと本体ケース及び内部の概略を示した断面による正面図。
【図3】機構部分の概略を拡大して示す正面図。
【図4】カバーと本体ケースとの係合構造を説明するための断面による側面図。
【図5】プリンタの前部の機構を説明するための断面による側面図(通常状態)。
【図6】プリンタの前部の機構を説明するための断面による側面図(第1の状態)。
【図7】プリンタの前部の機構を説明するための断面による側面図(第2の状態)。
【図8】制御装置の処理フローを示したチャート(実施例1)。
【図9】カバーの一部を示した説明のための正面図(実施例2)。
【図10】制御装置の処理フローを示したチャート(実施例2)。
【符号の説明】
【0034】
1 プリンタ
2 本体ケース
3 カバー
4 蝶番構造
5 用紙排出口
6 カバー操作部材
7 上方の壁部分
8 プリント機構
9 記録紙
9a ロール
10 搬送手段
11 印刷手段
12 カッタ
13 サーマルヘッド
14 プラテン
15 固定刃
16 可動刃
17 搬送用モータ
18 カッタ駆動用モータ
19 制御装置
20 係合構造
21 側壁(本体ケース)
22 外向き膨隆部
23 係合受け突壁
24 側壁(カバー)
25 膨隆部
26 係合突壁
27 レバー
28 カム部材
29 軸
30 戻しばね
31 ストッパー突起
32 凹陥部
33 基板
34 前壁
35 前基板
36 アーム
37 軸
38a 左の接触センサ
38b 右の接触センサ
39 板ばね
40 当接片
41 スライドレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を搬送する搬送手段と、前記記録紙に印刷する印刷手段と、前記記録紙を切断するカッタと、開閉自在に設けられたカバーと、前記カバーを開けるためのカバー操作部材と、を有する記録装置において、
前記カバー操作部材は、択一的に選択可能な第1の状態と第2の状態とを有し、
前記カバー操作部材が第1の状態のときは、カバーは開かずにカッタが動作し、
前記カバー操作部材が第2の状態のときは、カッタは動作せずにカバーが開くことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第1の状態は、前記カバー操作部材が第1の位置に位置する場合であり、
前記第2の状態は、前記カバー操作部材が第2の位置に位置する場合であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記カバー操作部材は、前記第1の位置を通過して前記第2の位置に移動することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記カバー操作部材が、前記第1の位置を所定時間内に通過して第2の位置に達した場合にはカッタは動作しないことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記カバー操作部材が、前記第1の状態のときに動作する第1の検出器を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の記録装置。
【請求項6】
前記カバー操作部材が、前記第2の状態のときに動作する第2の検出器を備えることを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記カバー操作部材が第1の状態のとき、前記カッタによる記録紙の切断に先立って、前記搬送手段により記録紙を一定長さ搬送することを特徴とする請求項1乃至6に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−18539(P2009−18539A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184288(P2007−184288)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】