説明

記録装置

【課題】インクの増粘を抑制し、長時間にわたって高品位の記録が可能な記録装置を提供する。
【解決手段】本発明の記録装置は、吐出口9を有する吐出口プレート18と吐出口9に設けられ吐出口9にインクを供給する個別液室8とを内部に有する流路形成部14、およびエネルギー発生素子7を備えた記録ヘッドと、インクタンク6、6’と、を有する。また、吐出口プレート18の外側に、流路形成部14の表面層14’が対向しており、流路形成部14の表面層14’の、吐出口9と対向する位置に開口部31が設けられている。さらに、吐出口プレート18と表面層14’の開口部31との間にはインク溜り10が設けられ、かつ、インク溜り10と連通する循環流路11が設けられ、循環流路11の両端部は、循環流路11同士が接続した流入部32と流出部33に接続されている。流入部32と流出部33と前記個別液室8は前記インクタンク6、6’に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出して記録を行なう記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドに設けられた吐出口からインクを記録情報に応じて間欠的に吐出させて紙等の記録媒体に付着させるインクジェット記録方式(ドロップオンデマンド方式)の代表的なものとして、サーマル方式と圧電素子方式とがある。サーマル方式は熱エネルギーによってインクを発泡させ、その発泡圧力によって吐出口からインク液滴を吐出させる方式である。一方、圧電素子方式は、圧電素子の変形によって各吐出口に設けられた液室内の圧力を変化させて吐出口からインク液滴を吐出させる方式である。このような方式の記録ヘッドを用いた記録装置では、吐出口近傍のインク中の水分等が蒸発し、さらにそれに伴う移流により吐出口近傍のインクが増粘してしまう場合がある。このことによって、全て、または一部の吐出口からインクが吐出しなかったり、インクの吐出量が所望の値に達しない状態が発生したりする場合がある。また、吐出口から吐出されたが記録媒体に到達しない霧状のインクミストが吐出口付近に多量に付着すると、付着したインクミストがインク吐出の妨げとなりインク液滴の着弾ズレを生じてしまう。
【0003】
高速記録を要求される商業用記録にインクジェット記録ヘッドを用いた記録装置を適用しようとした場合、記録媒体の全幅に対応して吐出口を整列させた形態のフルマルチタイプの記録ヘッドがしばしば用いられる。このような記録ヘッドを備えるラインプリンタと呼ばれる記録装置では、記録ヘッドが記録媒体搬送方向と垂直な方向へ往復動作することなしに記録が行われる。商業記録向けの記録装置では、多数の記録媒体への記録を短時間で終わらすために長時間の連続記録が望ましい。しかしながら、インクの増粘を防止するために、記録中に記録ヘッドの吸引回復動作を入れると長時間連続記録の妨げになってしまう。またフルマルチタイプの記録ヘッドは吐出口が記録媒体の全幅に対応して多数配列されているので、予備吐出を行うとランニングコストが大幅に増加してしまう。これらの問題を解決して長時間連続記録が可能なインクジェット記録ヘッドを構成するための対策が求められている。
【0004】
ラインプリンタにおけるインクの増粘現象や吐出口付近に付着するインクミストの対策として、特許文献1に開示されている対策が知られている。特許文献1では、サーマル方式のインクジェット記録ヘッドにおいて、吐出口と対応する記録ヘッドの外面に吐出口の断面積よりも広い開口を有した構成となっていて、この開口部分でインクのメニスカスを保持している。また隣接する開口部同士は連通部を介して互いに連通している。このような構成によれば、浮遊するインクミストが開口部に付着しても開口部のインクに吸収されてしまうので、インクミストがインクの吐出に悪影響を与えることはない。また、インク吐出後に、インクが吐出されていない吐出口に対応する位置の開口部のインクが、インクが吐出された吐出口に対応する位置の開口部へと連通部を介して移動する。その結果、インクが吐出されていない開口部にも、液室から増粘していない新鮮なインクが補充されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−95857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された方法においても、長時間に渡ってインクが吐出されない非記録状態においては、インクからの水分等の蒸発に起因する吐出不良を完全に避けることは出来ない。長時間の非記録状態の後にインクの吐出を開始すると、開始直後のインク液滴は増粘しているため記録品位の低下や着弾ズレを生じてしまう。また、記録情報によっては特定の吐出口からのみインクが吐出され、吐出頻度の低い吐出口との間で吐出速度、吐出インク液滴量、及びインクの再充填速度といった吐出特性にばらつきが生じてしまう可能性がある。このばらつきによって記録媒体への記録品位に悪影響を与えることが考えられる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解決して、インクの増粘を抑制し、長時間にわたって高品位の記録が可能な記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の記録装置は、記録ヘッドと、インクタンクとを有する。記録ヘッドには、インクを吐出するための複数の吐出口を有する吐出口プレートと吐出口ごとに設けられ吐出口にインクを供給するための個別液室とを内部に有する流路形成部が設けられている。また、個別液室に収容されているインクを吐出させるためのエネルギーを生じるエネルギー発生素子も設けられている。
【0009】
吐出口プレートの外側には、流路形成部の表面層が対向している。流路形成部の表面層の、吐出口と対向する位置にはそれぞれ開口部が設けられている。吐出口プレートと表面層の開口部との間にはそれぞれインク溜りが設けられ、かつ、インク溜りと連通する循環流路がそれぞれ設けられている。また、開口部の開口面積は吐出口の開口面積より大きくなっている。そして、循環流路の両端部は、循環流路同士が接続した流入部と流出部にそれぞれ接続されており、流入部と流出部と前記個別液室は前記インクタンクに接続されている。
【発明の効果】
【0010】
吐出口付近には常に増粘していない新鮮なインクが供給されるので、長時間に渡って吐出されない吐出口においても増粘の影響はなく、インクの吐出特性のばらつきを小さく保ち、長時間にわたって高品位の記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施形態の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の記録ヘッドの拡大断面図である。
【図3】吐出口近傍を拡大した概略図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の記録ヘッドの概略構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態におけるインクの流れを示す概略図である。
【図6】本発明の第4の実施形態の記録ヘッドの模式図である。
【図7】本発明の第5の実施形態の記録ヘッドの模式図である。
【図8】本発明の第6の実施形態の記録ヘッドの模式図である。
【図9】本発明の第7の実施形態の記録ヘッドの拡大断面図である。
【図10】図9の記録ヘッドの平面図である。
【図11】図9の記録ヘッドの吐出口近傍を拡大した概略図である。
【図12】第7の実施形態の記録ヘッドの変形例である。
【図13】第7の実施形態の記録ヘッドの他の変形例である。
【図14】本発明の第8の実施形態の記録ヘッドの拡大断面図である。
【図15】図14の記録ヘッドの平面図である。
【図16】図14の記録ヘッドの吐出口近傍を拡大した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明に係る記録装置の一実施形態の概略構成図である。この記録装置では、搬送手段である、搬送ローラ3に張架された無端ベルト状の搬送ベルト4の上に記録媒体2が載置され、搬送ローラ3を搬送ベルト4の駆動によって記録媒体2が搬送される。
【0014】
図1に示した記録装置の一例では、記録媒体2の幅に対応した範囲にわたって吐出口を整列させてなる記録素子基板をもつインクジェット記録ヘッド1が用いられている。記録ヘッド1は、本実施形態では4個、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色に対応して4つ設けられており、記録ヘッド1が記録媒体2の搬送方向に順番に並んで配置されている。搬送ベルト4によって記録媒体2を搬送しながら、記録ヘッド1から記録用インクを吐出させることによって、記録媒体2に高速でフルカラーの記録が行なわれる。
【0015】
[第1の実施形態]
図2は、本発明の第1の実施形態の記録ヘッドの拡大断面図である。また、図3は、吐出口9近傍を拡大した概略図であり、図3(a)は吐出口9近傍の上面を拡大した概略図、図3(b)は図3(a)のAA’断面の概略図である。
【0016】
記録ヘッドは、回路や後述する圧電素子7などが設けられた不図示の基板と、吐出口9やインクが流れる流路が形成された流路形成部14とで構成されている。
【0017】
流路形成部14の内部には、複数の吐出口9が貫通して設けられた吐出口プレート18と、吐出口9ごとに設けられ、一部に吐出口プレート18を用いて形成された個別液室8と、各個別液室8と絞り部13を介して繋がっている共通液室12とが設けられている。共通液室12は、インク流路22を介してインクが収容されているインクタンク6及びインクタンク6’と繋がっている。
【0018】
また、吐出口プレート18の外側に、流路形成部14の表面を構成する表面層14’が対向している。この表面層14’の、各吐出口9と対応する位置に、それぞれ開口部31が設けられている。また、表面層14’と吐出口プレート18との間には、各吐出口9に対応して循環するインクが流れる循環流路11が設けられており、循環流路11の吐出口9および表面層14’の開口部31の位置には、インク溜り10が設けられている。表面層14’の開口部31は、吐出口9の開口面積より大きい。また、表面層14’の循環流路11と対応する位置は循環用インク流路11に沿って細く開口している。つまり、図3(a)や図3(b)に示すように、インク溜り10や循環流路11は、流路形成部14の表面層14’から外部に露出している。
【0019】
循環流路11は、各吐出口9に設けられているが、その両端部は共通インク流入部32と、共通インク流出部33に接続している。共通インク流入部32と共通インク流出部33は、インク流路22を介してそれぞれインクタンク6に接続している。また、インクタンク6から共通インク流入部32、および共通インク流出部33に繋がるインク流路22にはそれぞれインクを循環させるためのインク流動手段としてポンプ5が設けられている。なお、インクの循環がスムーズに行なわれるのであれば、ポンプ5は、インクタンク6と共通インク流入部32の間、およびインクタンク6と共通インク流出部33の間の両方ではなく1つでも構わない。
【0020】
流路形成部14の表面層14’とは反対の面(裏面層14’’)であって、個別液室8に対応する位置には、吐出口9からインクを突出させるためのエネルギー発生素子である圧電素子7が設けられている。
【0021】
以上のようにして、インクタンク6からインク流路22、共通インク流入部32、インク溜り10を経由する循環流路11、共通インク流出部33、およびインク流路22を介して、インクタンク6に至るインクが循環する循環路が出来上がっている。そして、インクタンク6’からインク流路22、共通液室12、絞り部13、個別液室8を介して、吐出口9に至るインクの流路も出来上がっている。
【0022】
記録装置に、インクタンク6、6’が取り付けられると、インクタンク6’のインクが毛管力などによって個別液室8に充填される。そして、さらに毛管力によって、吐出口9を介して、循環流路11にインクが流れる。それと同時に、インクタンク6からも循環用のインクが供給され、インクが循環する循環路にインクが満たされる。そして、インクの流動手段であるポンプ5によって、インクタンク6からのインクが図2や図3中の矢印のように常に流動している。
【0023】
インクタンク6からのインクは、インク溜り10および循環流路11を通過する際に、表面層14’の外部に露出した部分から蒸発してしまい、インクの増粘が生じてしまう。そのため、インク増粘の影響をなくすように、ポンプ5によってインクタンク6からインク溜り10や循環流路11へ常にインクを供給する。望ましくは、インク溜り10およびインク流路11へと供給されるインク量を蒸発していくインク量よりも多くする。
【0024】
本発明の記録ヘッドは記録媒体の搬送機構、記録ヘッドへのインク供給機構、および記録装置の制御機構などを備えた記録装置に搭載して使用される。記録装置に取り込まれた記録画像データに応じて、必要な画素に対応する圧電素子7が選択的に駆動され、駆動された圧電素子7に対応した個別液室8の吐出口9からインク液滴が記録媒体に向かって吐出されることで、記録媒体への記録が行われる。
【0025】
インクの吐出に当たっては圧電素子7が駆動されると圧電素子7の変形に伴い個別液室8の内部の圧力が変化して個別液室8内のインクが吐出口9を通って押し出され、インク溜り10を介して記録媒体へ向けて吐出される。このとき、吐出口9の断面積に応じた液滴が吐出される。
【0026】
インクの吐出直後には、インク溜り10からインクが部分的になくなる。しかし、インク溜り10に残っていたインク、循環流路11に送られてくるインク、または、毛管力によって個別液室8から吐出口9を介して供給されるインクによって、再度インク溜り10にインクが充填される。
【0027】
上述のように、本実施形態によれば、吐出口9を覆うインク溜り10と循環流路11内のインクは流動手段であるポンプ5によって常に流動している。従って、吐出口9およびその近傍には常に十分な水分を有するインクが供給されるので蒸発によるインクの増粘を防ぐことができる。インクを吐出しない非吐出状態が長時間続いた場合においても、インク溜り10や循環流路11のインクは循環しているので、吐出口9は目詰まりすることはなく、また、インクの増粘が抑制されるので、安定して吐出口9からインクを吐出することができる。また、インクの吐出頻度の異なる吐出口9間においても吐出速度、吐出インク量、あるいはインクの再充填性といったインク吐出特性のばらつきを小さく保つことができる。したがって、本実施形態によれば、長時間連続して高品位な記録を行うことが可能となる。
【0028】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態の記録ヘッドの概略構成図であり、図4(a)は吐出口9近傍の上面を拡大した概略図、図4(b)は図4(a)のBB’断面の概略図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0029】
本実施形態では、第1の実施形態の流路形成部14の表面層14’から循環流路11が外部に露出していない。ただし、表面層14’に吐出口9に対向する開口部31は設ける。表面層14’に、循環流路11に対応した開口を形成しないようにしてもいいし、循環流路11に対応した開口を不図示の遮蔽部材で覆うようにしてもよい。
【0030】
本実施形態によれば、循環流路11が流路形成部材14の表面層14’から外部に露出しないようにすることで、循環流路11からの過度なインクの蒸発を抑制することが出来る。また、第1の実施形態とは異なり、開口部31の周囲がすべて表面層14’(または表面層14’と遮蔽部材)で囲まれているため、開口部31でインクを保持する毛管力が高くなる。これにより、インクの流動手段によって、より速い流速でインクを循環させても、インク溜り10のインクが開口部31から溢れたり、あるいはインク溜り10にインクが溜まらなくなってしまったりする可能性を低減できる.
[第3の実施形態]
上述の実施形態と同一の構成については説明を省略する。本実施形態では、図2に示す第1の実施形態の記録ヘッドにおいて、インクタンク6’と、共通液室12とを繋ぐインク流路22にも、インクの流動手段としてポンプを設ける。このようにすることで、図5に示されているように、非吐出状態においても、個別液室8から吐出口9とインク溜り10を介して循環流路11にインクが流れる。そのため、吐出口9内部のインクを局所的に停滞することなく流動させることが可能となる。このことにより吐出口9のインクの停滞による濃度分布が生じるのを効果的に抑制することが出来る。また、インク溜り10および循環流路11の外部に露出した部分からの蒸発によるインクの増粘の影響をより効果的に低減することが出来る。
【0031】
なお、本実施形態の構成を第2の実施形態の構成と組み合わせても良い。
【0032】
[第4の実施形態]
図6は、本発明の第4の実施形態の記録ヘッドの模式図であり、図6(a)は記録ヘッドの平面図、図6(b)は図6(a)のCC’断面の概略図である。上述の実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0033】
第1の実施形態では、吐出口9ごとに、循環流路11を設けていた。本実施形態では、循環流路11を繋げて、複数の吐出口9に連通するように、循環流路11を設ける。具体的には、並んだ複数の吐出口9を挟むように共通インク流入部32と共通インク流出部33が設けられており、共通インク流入部32から共通インク流出部33に至る循環流路11が、インク溜り10をすべて連通するように設けられている。
【0034】
本実施形態によれば、複数の循環流路11を1つ循環流路として共通化することによって記録ヘッドの構造が簡易化されるので、吐出口9の高密度配置が可能となる。なお、本実施形態の構成は、第2の実施形態の構成と組み合わせても良い。
【0035】
[第5の実施形態]
図7は、本発明の第5の実施形態の記録ヘッドの模式図であって、図7(a)は記録ヘッドの平面図、図7(b)は図7(a)のDD’断面の概略図である。上述の実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0036】
上述の実施形態とは異なり、吐出口プレート18には、複数の吐出口9が並んだ列が2列設けられている。吐出口9に対応して設けられた個別液室8は、絞り部13を介して共通インク流入部32に繋がっている。共通インク流入部32は吐出口9の列ごとに設けられており、吐出口9の列ごとに別の共通インク流入部32に繋がっている。
【0037】
また、流路形成部14には、共通インク流入部32とは別に、吐出口9の列同士の間に、共通インク流出部33が設けられている。また、吐出口9に対応して設けられたインク溜り10から共通インク流出部33に至る循環流路11が設けられており、すべての循環流路11は、共通インク流出部33に繋がっている。
【0038】
各共通インク流入部32、および共通インク流出部33は、記録ヘッドの外部に設けられたインクタンク6’’に繋がっている。また、インクタンク6’’と各共通インク流入部32および共通インク流出部33の間のインク流路22にはインク流動手段であるポンプ5が設けられている。
【0039】
本実施形態では、インクタンク6’’から共通インク流入部32、絞り部13、個別液室8、吐出口9、インク溜り10、循環流路11、共通インク流出部33を介して、インクタンク6’’にインクが常に循環している。
【0040】
上述の実施形態では、インク溜り10の位置で、吐出口9を介して流れてくるインクと循環流路11を流れてくるインクとが干渉してしまう場合があった。本実施形態では、インク溜り10の位置を流れるインクの流れが一方向のみなので、スムーズにインクが流れる。したがって、複数の吐出口9が共通インク流出部33に連通していても、隣接する吐出口9からのクロストークの発生を効果的に抑制することが可能となる。また、インクタンク6’’を1つ設けるだけでよく、1つのインクタンク6’’のインクで、記録を行うときに使用するインクと、蒸発を防止するために常に循環させるインクを賄っている。なお、本実施形態の構成は、第2の実施形態の構成と組み合わせても良い。
【0041】
また、2列の吐出口列を1つの組とした吐出口組を1組設けるのではなく複数組設けることも可能である。その際、1組ごとに上記の構成を適用すればよい。
【0042】
さらに、蒸発を抑制させるために循環させるインクの流れは、各共通インク流入部32、または共通インク流出部33の一方から流入し、各共通インク流入部32、または共通インク流出部33の他方から流出するようにすればよい。
【0043】
[第6の実施形態]
図8は、本発明の第6の実施形態の記録ヘッドの模式図であって、図8(a)は記録ヘッドの平面図、図8(b)は図8(a)のEE’断面の概略図である。上述の実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0044】
本実施形態の記録ヘッドは、第5の実施形態とは異なり、インク溜り10の一方の吐出口9の列の各吐出口9に対向するインク溜り10と、それに対応する他方の吐出口9の列の各吐出口9に対向するインク溜り10とが循環流路11で連通している。また、第5の実施形態における2つの共通インク流入部32のうち、一方が共通インク流出部33となっている。そして、共通インク流入部32と共通インク流出部33は、それぞれインクタンク6’’に繋がっている。そして、インクタンク6’’と共通インク流入部32、および共通インク流出部33との間のインク流路22には、インクの流動手段であるポンプ5が設けられている。
【0045】
インクタンク6’’から共通インク流入部32、一方の個別液室8、一方の吐出口9、一方のインク溜り10、循環流路11、他方のインク溜り10、他方の吐出口9、他方の個別液室8、共通インク流出部33を介してインクタンク6’’に常にインクが流れる。
【0046】
本実施形態によれば、記録ヘッドには共通インク流入部32と共通インク流出部33をそれぞれ1つ設ければよい。また、循環流路11は一方の吐出口9列の各吐出口9に対向するインク溜り10とそれに対応する他方の吐出口9列に対向するインク溜り10とを連通するだけでよい。そのため、記録ヘッドの構造が簡易化され、吐出口9の高密度配置が可能となる。なお、本実施形態の構成は、第2の実施形態の構成と組み合わせても良い。
【0047】
[第7の実施形態]
図9は、本発明の第7の実施形態の記録ヘッドの拡大断面図である。図10は、図9の記録ヘッドの平面図を示す。また、図11は、図9の記録ヘッドの吐出口9近傍を拡大した概略図であり、図11(a)は、拡大図、 図11(b)は図11(a)のFF’断面の概略図、図11(c)は図11(a)のGG’断面の概略図である。
【0048】
本実施形態の記録ヘッドの流路形成部14の内部には複数の吐出口9が並んだ列が2列設けられている。個別液室8は、個別液室8に対応して設けられた吐出口9を有する吐出口プレート18以外の面が圧電素子7で形成されており、吐出口プレート18に垂直であり、圧電素子7で形成された壁で、個別液室8同士が区切られている。また、吐出口プレート18には、吐出口9を挟んで対向する位置に、個別液室8に沿って、インク導入口16と、インク導出口17がそれぞれ設けられている。そして、吐出口9、インク導入口16、およびインク導出口17と含む空間を囲むように、吐出口プレート18と流路形成部14の表面層14’との間には、スペーサ51を介して、吐出口プレート18と流路形成部14の表面層14’とが接続している。なお、流路形成部14の表面層14’の吐出口9に対応する位置にそれぞれ開口部31が設けられており、循環流路11の吐出口9と開口部31との間にインク溜り10が設けられている。この構成により、インク導入口16からインク溜り10を介してインク導出口17に至る循環流路11が形成されている。
【0049】
個別液室8内部の圧力が圧電素子7によって変化することで、吐出口9からインクが吐出し、記録が行われる。
【0050】
流路形成部14の内部には、吐出口9の列同士で挟まれる位置に、吐出口9の列に沿って共通インク流入部32が設けられ、吐出口9の列を挟んで流入部32と対向する位置に、吐出口9の列に沿って共通インク流出部33が設けられている。共通インク流入部32と2つの共通インク流出部33は、インクタンク6’’に繋がっており、インクタンク6’’と共通インク流入部32、および共通インク流出部33との間のインク流路22には、インクの流動手段であるポンプ5が設けられている。
【0051】
ポンプ5によって、インクタンク6’’から共通インク流入部32、各個別液室8、共通インク流出部33を介して、インクタンク6’’にインクが常に循環している。
【0052】
個別液室8内でのインクの流れを説明する。図11(b)に示す矢印のように、共通インク流入部32から流れてきたインクの一部は、個別液室8内を共通インク流出部33に向かって流れる。共通インク流入部32から流れてきたインクの他の一部は、個別液室8からインク導出口16を介して循環流路11に流出し、インク溜り10を介して再びインク流入口17から個別液室8にインクが流入している。
【0053】
本実施形態の圧電素子7は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電体で構成され、このようなインク吐出方式の記録ヘッドはシェアモード型と呼ばれている。
【0054】
個別液室8の一部を構成する圧電素子7である圧電体が、せん断変形によって、くの字型に変形することで、個別液室8内の圧力が変化し吐出口9からインクが吐出される。
【0055】
本実施形態の記録ヘッドでは、吐出口プレート18に、インク導出口16とインク流入口17の穴を形成するだけで、循環流路11が形成されるので、記録ヘッドの構造を簡易化できる。また隣接した吐出口9同士の間でのクロストークの発生をより効果的に抑えることが可能となる。さらに、インク導入口16、インク導出口17、および循環流路11の設計によって吐出口9の断面に垂直な方向のインクの流動を制御することが可能である。例えば、図12(a)、(b)に示すように、吐出口9をインク導入口16またはインク導出口17として使用する構成や、図13(a)、(b)に示すように、インク導出口16とインク導出口17の開口面積に大小関係を持たせた構成にする。このようにすることで、吐出口9のインクの流動を任意の方向にすることができる。
【0056】
なお、2列の吐出口列を1つの組とした吐出口組を1組設けるのではなく、複数組設けることも可能である。その際、1組ごとに上記の構成を適用すればよい。
【0057】
また、蒸発を抑制させるために循環させるインクの流れは、各共通インク流入部32、または共通インク流出部33の一方から流入し、各共通インク流入部32、または共通インク流出部33の他方から流出するようにしてあげればよい。
【0058】
[第8の実施形態]
図14は、本発明の第8の実施形態の記録ヘッドの拡大断面図である。図15は、図14の記録ヘッドの平面図を示す。また、図16は、図14の記録ヘッドの吐出口9近傍を拡大した概略図であり、図16(a)は拡大透視図、 図16(b)は図16(a)のHH’断面の概略図、図16(c)は図16(a)のII’断面の概略図である。
【0059】
本実施形態は、第7の実施形態と同様に、シェアモード型のインクジェット記録ヘッドである。
【0060】
前述した第7の実施形態におけるインク導入口16とインク導出口17とを吐出口プレート18に設けない。また、同じ吐出口9列内で隣接する吐出口9同士が、各個別液室8内でインクの流れる方向に対して上流側と下流側にそれぞれ位置するように配置されている。そして、表面層14’の内面と吐出口プレート18とが接触して設けられている。隣接するインク溜り10同士が、流路形成部14の表面層14’に設けられた循環流路11を介して繋がっている。本実施形態では、第7の実施形態とは異なり、スペーサ51は必要ない。
【0061】
この隣接した吐出口9の上流側と下流側にずれた距離が大きくなれば隣接する吐出口9同士の間の圧力差も大きくなる。そのため、隣接する吐出口9同士をつなぐインク溜り10および循環流路11内のインクはポンプ5によって流動することができる。なお本実施形態の説明では、隣接する2つの吐出口9同士を繋いでいるが、3つ以上の隣接する吐出口9が互いに連通するようにしてもよい。
【0062】
本実施形態は、流路形成部14の表面層14’にインク溜り10および循環流路11を形成し、隣接する吐出口9同士を繋ぐだけなので、第7の実施形態よりもさらに構造を簡易化でき作製が容易になる。
【0063】
なお、2列の吐出口列を1つの組とした吐出口組を1組設けるのではなく複数組設けることも可能である。その際、1組ごとに上記の構成を適用すればよい。
【0064】
また、循環させるインクの流れは、各共通インク流入部32、または共通インク流出部33の一方から流入し、各共通インク流入部32、または共通インク流出部33の他方から流出するようにしてあげればよい。
【0065】
本発明では、インク溜り10を設け、インク溜り10のインクが常に循環しているようにすればよいので、インクを循環させるためのインク流動手段を設ける数は適宜調整すればよく、循環させるインクの流れの方向も、適宜変更して構わない。
【符号の説明】
【0066】
1 記録ヘッド
6、6’、6’’インクタンク
7 圧電素子(エネルギー発生素子)
10インク溜り
14流路形成部
14’表面層
18吐出口プレート
32流入部
33流出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するための複数の吐出口を有する吐出口プレートと前記吐出口ごとに設けられ前記吐出口にインクを供給するための個別液室とを内部に有する流路形成部、および前記個別液室に収容されているインクを吐出させるためのエネルギーを生じるエネルギー発生素子を備えた記録ヘッドと、インクタンクと、を有する記録装置であって、
前記吐出口プレートの外側に、前記流路形成部の表面層が対向しており、
前記流路形成部の前記表面層の、前記吐出口と対向する位置にそれぞれ開口部が設けられ、
前記吐出口プレートと前記表面層の前記開口部との間にはそれぞれインク溜りが設けられ、かつ、前記インク溜りと連通する循環流路がそれぞれ設けられており、
前記開口部の開口面積は前記吐出口の開口面積より大きくなっており、
前記循環流路の両端部は、前記循環流路が接続した流入部と流出部にそれぞれ接続されており、
前記流入部と前記流出部と前記個別液室は前記インクタンクに接続されている、記録装置。
【請求項2】
前記流入部と前記流出部とが接続するインクタンクと、前記個別液室が接続するインクタンクは異なっている、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記循環流路は、前記吐出口ごとに設けられている、請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
複数の前記循環流路が繋がって、複数の前記インク溜りに連通している、請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記吐出口プレートには、複数の前記吐出口が並んだ吐出口列が2列設けられた吐出口組が少なくとも1組設けられており、前記吐出口組の一方の前記吐出口列と他方の前記吐出口列との間には前記吐出口列に沿って前記流出部または前記流入部の一方が設けられており、前記吐出口列を挟んで前記流出部または前記流入部の一方と対向する位置に、前記流入部または前記流入部の他方が設けられており、前記循環流路は、各前記インク溜りから前記流出部または前記流入部の一方につながっており、前記流出部または前記流入部の他方は前記個別液室につながっている、請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記吐出口プレートには、複数の前記吐出口が並んだ吐出口列が2列設けられた吐出口組が少なくとも1組設けられており、前記吐出口組の前記吐出口列に沿って、前記流出部と、前記流入部が設けられており、前記流入部と前記流出部に挟まれた位置に2列の前記吐出口列が配置されており、各前記循環流路は、一方の前記吐出口列の各前記吐出口に対向する前記インク溜りとそれに対応する他方の前記吐出口列の各前記吐出口に対向する前記インク溜りとを連通する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
インクを吐出するための複数の吐出口が並んだ2列の吐出口列を1つの組とした吐出口組が少なくとも1組設けられた吐出口プレートと、前記吐出口ごとに設けられ、前記吐出口に前記インクを供給するための個別液室と、を内部に有する流路形成部を有する記録ヘッド、およびインクタンクを有する記録装置であって、
前記吐出口プレートの外側に、前記流路形成部の表面層が対向しており、
前記吐出口プレートには、前記吐出口を挟んで対向する位置に、前記個別液室に沿って導入口と導出口とが設けられ、
前記個別液室は、前記吐出口プレートに対して垂直に設けられ、エネルギー発生素子によって形成される壁によって区切られ、かつ前記吐出口プレートによって覆われており、
前記流路形成部の前記表面層の前記吐出口と対向する位置に、前記吐出口の開口面積より大きな開口面積を有する開口部が設けられ、
前記吐出口プレートと前記表面層とは、前記吐出口と前記導入口と前記導出口と前記開口部とを含む空間を囲むように設けられたスペーサを介して接続されることで前記吐出口プレートと前記表面層との間に循環流路が形成されており、
一方の前記吐出口列と他方の前記吐出口列の間には吐出口列に沿って流出部または流入部の一方が設けられており、前記吐出口列を挟んで前記流出部または前記流入部の一方と対向する位置に、前記流入部または前記流入部の他方が設けられており、
前記流入部と前記流出部は前記インクタンクに接続されている、記録装置。
【請求項8】
前記吐出口が、前記導入口または前記導出口と共通化している、請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記導入口の開口面積と前記導出口の開口面積とが異なっている、請求項7に記載の記録装置。
【請求項10】
インクを吐出するための複数の吐出口が並んだ2列の吐出口列を1つの組とした吐出口組が少なくとも1組設けられた吐出口プレートと、前記吐出口ごとに設けられ、前記吐出口に前記インクを供給するための個別液室と、を内部に有する流路形成部を有する記録ヘッド、およびインクタンクを有する記録装置であって、
前記吐出口プレートは前記流路形成部の表面層に接触して設けられ、
前記個別液室は、前記吐出口プレートに対して垂直に設けられ、エネルギー発生素子によって形成される壁によって区切られ、かつ前記吐出口プレートによって覆われており、
前記吐出口は、同じ前記吐出口列において隣接する前記吐出口が、各前記個別液室において、インクの流れに対して上流側と下流側にそれぞれ位置するように配置され、
前記流路形成部の前記表面層の前記吐出口と対向する位置に、前記吐出口の開口面積より大きな開口面積を有する開口部が設けられ、隣接する前記開口部が繋がって循環流路が形成されており、
一方の前記吐出口列と他方の前記吐出口列の間には吐出口列に沿って流出部または流入部の一方が設けられており、前記吐出口列を挟んで前記流出部または前記流入部の一方と対向する位置に、前記流入部または前記流入部の他方が設けられており、
前記流入部と前記流出部は前記インクタンクに接続されている、記録装置。
【請求項11】
前記インクタンクと前記流入部の間と前記インクタンクと前記流出部との間の両方、またはいずれかに前記インクの流動手段が設けられている、請求項2から10のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項12】
前記エネルギー発生素子は、圧電素子である、請求項1から11のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項13】
インクを吐出するための複数の吐出口を有する吐出口プレートと前記吐出口ごとに設けられ、前記吐出口に前記インクを供給するための個別液室とを内部に有する流路形成部、および前記個別液室に収容されているインクを吐出させるためのエネルギーを生じるエネルギー発生素子を備えた記録ヘッドと、インクタンクと、前記インクタンクのインクを流動させる流動手段と、を有する記録装置におけるインクの増粘を抑制する方法であって、
前記吐出口プレートの外側に前記流路形成部の表面層が対向するように前記吐出口プレートを配置して、
前記流路形成部の前記表面層の前記吐出口プレートの前記吐出口と対向する位置に前記吐出口の開口面積より大きい開口面積を有する開口部をそれぞれ設けて、前記吐出口プレートと前記表面層の前記開口部との間にそれぞれインク溜りを形成し、かつ、前記インク溜りと連通する循環流路をそれぞれ設けて、
前記流動手段によって、前記インクタンクのインクを前記循環流路に流動させる、インクの増粘を抑制する方法。
【請求項14】
前記循環流路を、前記吐出口ごとに設ける、請求項13に記載のインクの増粘を抑制する方法。
【請求項15】
複数の前記循環流路を、複数の前記インク溜りに連通するように接続する、請求項13に記載のインクの増粘を抑制する方法。
【請求項16】
前記吐出口プレートに複数の前記吐出口が並んだ吐出口列を2列設けた吐出口組を少なくとも1組設けて、
前記吐出口組の一方の前記吐出口列と他方の前記吐出口列との間に前記吐出口列に沿って設けられた流入部から前記インクを前記個別液室に流し、さらに前記吐出口を介して前記インク溜りに流し、さらに前記循環流路を介して、吐出口組の前記吐出口列の流入部と対向する位置に設けられた流出部に流す、請求項13に記載のインクの増粘を抑制する方法。
【請求項17】
前記吐出口プレートに複数の前記吐出口が並んだ吐出口列を2列設けた吐出口組を少なくとも1組設けて、
前記循環流路を一方の前記吐出口列の各前記吐出口に対向する前記インク溜りとそれに対応する他方の前記吐出口列の各前記吐出口に対向する前記インク溜りとを一方の前記吐出口列と他方の前記吐出口列とで対応する位置にある前記インク溜りに連通させて、
前記吐出口組の前記吐出口列に沿って設けられた流入部から一方の列の前記個別液室に流れた前記インクを、前記吐出口を介して前記インク溜りに流し、さらに前記循環流路を介して他方の列の前記インク溜りに流し、さらに前記吐出口と前記個別液室を介し、2列の前記吐出口列を挟んで前記流入部と対向する位置に設けられた流出部に流す、請求項13に記載のインクの増粘を抑制する方法。
【請求項18】
インクを吐出するための複数の吐出口が並んだ2列の吐出口列を1つの組とした吐出口組が少なくとも1組設けられた吐出口プレートと、前記吐出口ごとに設けられ、前記吐出口に前記インクを供給するための個別液室と、を有する流路形成部を備えた記録ヘッド、インクタンク、および前記インクタンクのインクを流動させる流動手段を有する記録装置におけるインクの増粘を抑制する方法であって、
前記吐出口プレートの外側に前記流路形成部の表面層が対向するように前記吐出口プレートを配置して、
エネルギー発生素子によって形成され、前記吐出口プレートに対して垂直に配置する壁と前記吐出口プレートとで前記個別液室を形成し、
前記吐出口プレートに、前記吐出口を挟んで対向する位置に導入口と導出口とを設けて、
前記流路形成部の前記表面層の前記吐出口と対向する位置に、前記吐出口の開口面積より大きい開口面積を有する開口部を設けて、
前記表面層と、前記吐出口プレートとを、前記吐出口と前記導入口と前記導出口と前記開口部とを含む空間を囲むように設けられたスペーサを介して接続することで前記吐出口プレートと前記表面層との間に循環流路を形成し、
前記吐出口組において、前記流路形成部の、一方の前記吐出口列と他方の前記吐出口列とに挟まれた位置に前記吐出口列に沿って形成した流入部から、前記インクタンクのインクを流入させて、前記インクを前記個別液室から前記導入口を介して前記循環流路に流入させて前記導出口を介して前記個別液室に戻し、前記吐出口列を挟んで前記流入部と対向する位置に前記吐出口列に沿って形成した流出部に流出させる、インクの増粘を抑制する方法。
【請求項19】
前記吐出口と前記導入口または前記導出口を共通化することで、前記循環流路の前記インクを、前記吐出口を介して前記個別液室に流動させる、または、前記個別液室のインクを、前記吐出口を介して前記循環流路に流動させる、請求項18に記載のインクの増粘を抑制する方法。
【請求項20】
前記導入口の開口面積を前記導出口の開口面積より大きくすることで、前記循環流路の前記インクの一部を、前記吐出口を介して前記個別液室に流動させる、または前記導出口の開口面積を前記導入口の開口面積より大きくすることで、前記個別液室の前記インクの一部を、前記吐出口を介して前記循環流路に流動させる、請求項18に記載のインクの増粘を抑制する方法。
【請求項21】
インクを吐出するための複数の吐出口が並んだ2列の吐出口列を1つの組とした吐出口組が少なくとも1組設けられた吐出口プレートと、前記吐出口ごとに設けられ、前記吐出口に前記インクを供給するための個別液室とを内部に有する流路形成部を備えた記録ヘッド、インクタンク、および前記インクタンクのインクを流動させる流動手段を有する記録装置におけるインクの増粘を抑制する方法であって、
エネルギー発生素子によって形成され、前記吐出口プレートに対して垂直に配置する壁と前記吐出口プレートとで前記個別液室を形成し、
前記吐出口を、各前記個別液室において、インクの流れに対して上流側と下流側にそれぞれ位置するように配置して、
前記吐出口プレートを前記流路形成部の表面層の内面に接触させて、前記表面層の前記吐出口と対向する位置に、前記吐出口の開口面積より大きい開口面積を有する開口部を設けて、隣接する前記開口部が繋がるように循環流路を形成し、
前記流路形成部の、一方の前記吐出口列と他方の前記吐出口列とに挟まれた位置に前記吐出口列に沿って形成した流入部から前記個別液室に前記インクタンクのインクを流入させて、前記インクを一方の個別液室から一方の前記開口部と前記循環流路と他方の前記開口部とを介して他方の前記個別液室に流し、さらに前記吐出口列を挟んで前記流入部と対向する位置に前記吐出口列に沿って形成した流出部に流出させる、インクの増粘を抑制する方法。
【請求項22】
前記インクが蒸発する量よりも前記循環流路を流動する前記インクの量を多くする、請求項13から21のいずれか1項に記載のインクの増粘を抑制する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−101415(P2012−101415A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250873(P2010−250873)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】