説明

記録装置

【課題】基体部に対して開閉可能な開閉部材の堅牢性および剛性を考慮した記録装置を提供すること。
【解決手段】記録装置(2)は、基体部(3)に対して開閉可能な開閉部材(6)と、該開閉部材が開いた状態において、前記基体部と前記開閉部材とが互いに当接する箇所であり、前記基体部に対する前記開閉部材の姿勢を決める第1当接部36と、前記開閉部材が開いた状態において、前記開閉部材に対して外力が作用した場合、前記基体部および前記開閉部材の少なくとも一方が撓むことにより、前記基体部と前記開閉部材とが新たに互いに当接する箇所である第2当接部37と、を備え、該第2当接部37における接触面積B2は、前記第1当接部36における接触面積B1より広い構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体部に対して開閉可能な開閉部材を備えた記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤドットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1および特許文献2に示す如く、プリンターは、プリンター本体に対して開閉可能なカバーを備えていた。そして、該カバーが開いた状態では、前記カバーと前記プリンター本体とが前記カバーの回転軸部で当接する構成、または、前記カバーと前記プリンター本体とが局所的に度当たる構成であった。これにより、前記プリンター本体に対する前記カバーの姿勢が決まるように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−111241号公報
【特許文献2】特開平05−116427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記回転軸部で当接する構成、または、前記局所的に度当たる構成では、堅牢性、剛性が十分ではなく、前記カバーに過負荷がかかった際、前記カバーが破損する虞がある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、基体部に対して開閉可能な開閉部材の堅牢性および剛性を考慮した記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の記録装置は、基体部に対して開閉可能な開閉部材と、該開閉部材が開いた状態において、前記基体部と前記開閉部材とが互いに当接する箇所であり、前記基体部に対する前記開閉部材の姿勢を決める第1当接部と、前記開閉部材が開いた状態において、前記開閉部材に対して外力が作用した場合、前記基体部および前記開閉部材の少なくとも一方が撓むことにより、前記基体部と前記開閉部材とが新たに互いに当接する箇所である第2当接部と、を備え、該第2当接部における接触面積は、前記第1当接部における接触面積より広い構成であることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、前記開閉部材に対して外力が作用し過負荷となった場合、前記第2当接部においても当接することにより、前記第2当接部においても前記外力を受け止めることができる。つまり、前記外力を、前記第1当接部および前記第2当接部の両方に分散させて、受け止めることができる。また、前記外力を、前記第2当接部における面でしっかりと受け止めることができる。その結果、前記開閉部材の堅牢性および剛性を向上させることができる。つまり、前記開閉部材の堅牢性および剛性を十分に確保することができる。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記基体部と前記開閉部材とが互いに前記第2当接部において当接した状態において、前記外力よりさらに大きな外力が前記開閉部材に対して作用した場合、前記基体部および前記開閉部材の少なくとも一方がさらに撓むことにより、前記基体部と前記開閉部材とが新たに互いに当接する箇所である第3当接部を有する構成であることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記開閉部材に対してさらに大きな外力が作用した場合、前記さらに大きな外力を、前記第1当接部、前記第2当接部および前記第3当接部にさらに分散させて、受け止めることができる。また、前記さらに大きな外力を、前記第2当接部および前記第3当接部における面でしっかりと受け止めることができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記基体部は、少なくとも被記録媒体が送られる送り経路を覆うケースであり、前記開閉部材は、前記ケースに設けられた開口を覆う開閉可能なカバー部材であり、所定の方向へ移動可能なキャリッジに一端が接続されたインクチューブの少なくとも一部が撓んで前記ケースの一部を内側から外側へ向かって押圧する構成であり、該ケースの一部が外側へ突出しており、前記ケースの一部が前記第3当接部を構成することを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、第2の態様と同様の作用効果に加え、記録装置の前記ケースの内部の空間を確保しつつ、その形状を前記第3当接部として有効に利用することができる。つまり、前記ケースの内部におけるインクチューブの配線接続に必要な空間を確保することと、前記第3当接部として前記さらに大きな外力を受けることとを両立させることができる。
尚、前記インクチューブが前記ケースを内側から外側へ押圧する力の向きと、前記第3当接部において前記カバー部材から前記ケースへ作用する力の向きとが対向する関係となるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施例のカバー部材が閉じた状態のプリンター全体を示す前方斜視図。
【図2】本実施例のカバー部材が開いた状態のプリンター全体を示す前方斜視図。
【図3】本実施例のプリンター内部の概略を示す側断面図。
【図4】(A)(B)は本実施例のカバー部材を示す側断面図。
【図5】(A)(B)はカバー部材とケースとの接触箇所を示す拡大側断面図。
【図6】カバー部材とケースとの接触箇所(第1当接部)を示す平面断面図。
【図7】カバー部材とケースとの接触箇所(第2当接部)を示す平面断面図。
【図8】カバー部材とケースとの接触箇所(第3当接部)を示す平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本実施例のカバー部材6が閉じた状態のプリンター複合機1全体を示す前方斜視図である。また、図2に示すのは、本実施例のカバー部材6が開いた状態のプリンター複合機1全体を示す前方斜視図である。またさらに、図3に示すのは、本実施例のプリンター複合機1の内部の概略を示す側断面図である。
【0014】
図1〜図3に示す如く、本実施例のプリンター複合機1は、プリンター本体2と、媒体搬送装置33とを備えている。このうち、プリンター本体2は、スキャナー部12と、操作部9と、載置部13と、送り手段16と、送り経路23と、記録部25と、第1排出スタッカー31と、基体部としてのケース3と、開閉部材としてのカバー部材6と、を備えている。
スキャナー部12は、プリンター本体2における媒体搬送装置33側である上方(Z軸の矢印方向)に配設されている。ここで、Z軸は、鉛直方向である。
【0015】
そして、スキャナー部12は、媒体搬送装置33によって、送られた用紙Sの面に記録された写真や文書等の情報を読み取ることができるように構成されている。また、操作部9は、表示部11と、ボタン10とを有している。そして、ユーザーがボタン10や表示部11によって指示を入力する操作して、プリンター複合機1の設定条件の変更や、各種実行指示をすることができるように設けられている。
尚、本実施例において、プリンター複合機1における操作部9が設けられている側がプリンター複合機1の前側である。つまり、正面(前面3a)である。
【0016】
またさらに、載置部13は、被記録媒体の一例である用紙Pを載置することができるように設けられている。本実施例では第1載置部14と、第2載置部15とがある。第1載置部14は、プリンター本体2の後方に設けられたペーパーサポート14aおよびホッパー14bである。このうち、ホッパー14bは、上方(Z軸の矢印方向)を中心に下方が後述する第1ローラー17に対して接離移動することができるように構成されている。一方、第2載置部15は、プリンター本体2の下方に着脱可能に設けられたカセット部15aである。
【0017】
また、送り手段16は、載置部13に載置された用紙Pを記録部25へ送ることができるように設けられている。具体的に、本実施例の送り手段16は、第1ローラー17と、第2ローラー18と、第3ローラー19と、第1ローラー対21と、第2ローラー対22とを有している。このうち、第1ローラー17は、第1ローラー17に対してホッパー14bの下方が接近したとき、最上位の用紙Pと接触し、送り方向下流側の第2ローラー18へ送ることができるように設けられている。
【0018】
また、第3ローラー19は、カセット部15aに対して接離移動可能なアーム部20の自由端に設けられている。そして、カセット部15aにおける最上位に用紙Pと接触し、用紙Pを送り方向下流側の第2ローラー18へ送ることができるように設けられている。またさらに、第2ローラー18は、第1ローラー17および第3ローラー19によって送られてきた用紙Pをさらに下流側の第1ローラー対21へ送ることができるように設けられている。
【0019】
また、第1ローラー対21は、記録時の送り方向下流側(Y軸の矢印方向)の記録部25および第2ローラー対22へ用紙Pを送ることができるように設けられている。またさらに、第2ローラー対22は、記録部25より記録時の送り方向下流側に設けられており、記録部25によって記録された用紙Pを第1排出スタッカー31へ排出することができるように設けられている。
【0020】
またさらに、送り経路23は、用紙Pが送られる経路であり、案内部材によって構成されている。具体的には、用紙Pを載置部13から記録部25を介して第1排出スタッカー31まで案内することができるように構成されている。
また、記録部25は、送り手段16によって送られた用紙Pに対してインクを吐出して記録を実行することができるように構成されている。具体的には、記録部25は、キャリッジ26と、記録ヘッド27と、媒体支持部28とを有している。
【0021】
このうち、キャリッジ26は、一例として図示しないモーターの動力によって用紙Pの幅方向Xに延設された図示しないガイド部材にガイドされながら移動することができるように構成されている。また、記録ヘッド27は、キャリッジ26における用紙Pと対向する側に設けられている。さらに、記録ヘッド27における用紙Pと対向する面には、インクを吐出するノズル(図示せず)が形成されている。またさらに、媒体支持部28は、記録ヘッド27と対向する位置に設けられており、用紙Pと記録ヘッド27との間の距離を所定の長さに保つことができるように構成されている。
またさらに、第1排出スタッカー31は、記録された用紙Pを載置することができるように設けられている。また、第1排出スタッカー31は伸縮自在に設けられている。
【0022】
尚、送り経路23とは別に、用紙Pの裏表を反転させるための表裏反転用経路24が設けられている。両面記録モードの場合、用紙Pの表面に対しての記録後に、第1ローラー対21および第2ローラー対22によって用紙Pは、記録時の送り方向Yと逆方向へ逆送りされる。そして、表裏反転用経路24へ送られ、第2ローラー18の下側から上側へ回り込んで再び第1ローラー対21へ送られる。この際、既に記録された表面が媒体支持部28側となり、まだ記録されていない裏面が記録ヘッド27側となる。そして、第1ローラー対21によって記録時の送り方向下流側へ送られ、記録部25によって裏面に対して記録が実行されるように構成されている。
【0023】
また、ケース3は、プリンター本体2の筐体である。送り経路23等を覆うように構成されている。
図2に示す如く、本実施例では、ケース3の前面3aに第1開口部4と、第2開口部5とが形成されている。このうち、第1開口部4は、送り経路23に用紙Pが詰まった場合において該詰まった用紙Pを送り経路23から取り除くために設けられたものである。ユーザーが、第1開口部4から送り経路23における用紙Pが詰まった箇所(例えば第1ローラー対21近傍)へアクセスして詰まった用紙Pを取り除く処理を行う。
【0024】
一方、第2開口部5は、記録ヘッド27へインクを供給するインクカートリッジ8がケース3の内部のインクカートリッジ8の装着位置である第1所定位置Aへ取り付けられており、インクカートリッジ8を交換するために設けられたものである。ユーザーが、第2開口部5から第1所定位置Aへアクセスして空になったインクカートリッジ8を取り外し、インクが充填されている別のインクカートリッジ8(新しいインクカートリッジ)を第1所定位置Aへ取り付ける交換処理を行う。
【0025】
またさらに、カバー部材6は、ケース3の前面3aに開閉可能に取り付けられている。また、一対のヒンジ部7を中心に上方(Z軸の矢印方向)の自由端側が前方へ倒れるようにして開くように構成されている。さらに、本実施例において、カバー部材6が閉まった状態では、カバー部材6が、第1開口部4および第2開口部5を覆うように構成されている。
【0026】
一方、媒体搬送装置33は、プリンター本体2の上方(Z軸の矢印方向)に配設されている。詳しい図示は省略するが、プリンター本体2側のスキャナー部12と対向する第2所定位置に対して第3載置部34に載置された用紙Sを搬送経路(図示せず)によって送ることができるように設けられている。そして、スキャナー部12によって用紙Sの面に記録された情報が読み取られる。その後、媒体搬送装置33は、用紙Sを第2排出スタッカー35まで送って排出することができるように設けられている。
【0027】
図2に示す如く、本実施例において、プリンター本体2の前面3aに設けられたカバー部材6を開けることにより、第1開口部4および第2開口部5が現れる。従って、ユーザーは、第1開口部4からアクセスして詰まった用紙Pを取り除くことができる。また、インクカートリッジ8を交換することもできる。
また、図3に示す如く、インクカートリッジ8からキャリッジ26の記録ヘッド27へインクを供給するために、インクカートリッジ8側から延びたインクチューブ29がキャリッジ26に接続されている。
またさらに、図2および図3に示す如く、第1開口部4から送り経路23へアクセスする経路上に、保護部材32が設けられている。
【0028】
保護部材32は、ケース3の外部から第1開口部4を介して内部を見て、キャリッジ26に接続されたインクチューブ29および配線ケーブル30を覆うように形成されている。従って、ユーザーが第1開口部4から手を入れて送り経路23へアクセスした際、ユーザーの手がインクチューブ29および配線ケーブル30に触れることを防止することができる。
【0029】
続いて、開閉部材としてのカバー部材6について詳しく説明する。
図4(A)(B)に示すのは、本実施例のカバー部材6を示す側断面図である。このうち、図4(A)はカバー部材6が閉じた状態である。一方、図4(B)はカバー部材6が開いた状態である。
図4(A)(B)に示す如く、カバー部材6は、ケース3の前述した第1開口部4および第2開口部5に対してヒンジ部7を中心に開閉可能に設けられている。
【0030】
そして、カバー部材6が通常に開いた状態では、カバー部材6とケース3とが互いに第1当接部36で当接して、カバー部材6のケース3に対する姿勢が決められるように構成されている。
ここで、「通常に開いた状態」とは、カバー部材6が単に開いた状態であって、カバー部材6に後述する外力F1(図5(B)参照)が付与されていない状態をいう。また、「第1当接部」とは、カバー部材6とケース3とが互いに当接した箇所(部分)をいう。
【0031】
図5(A)(B)に示すのは、カバー部材6とケース3との接触箇所を示す拡大側断面図である。このうち、図5(A)は図4(B)を拡大した通常に開いた状態である。一方、図5(B)は開いた状態のカバー部材6に外力F1が付与した状態である。
図5(A)に示す如く、カバー部材6が通常に開いた状態では、前述したように、カバー部材6とケース3とが第1当接部36で当接している。
【0032】
そして、開いた状態のカバー部材6に対して、鉛直方向上方から下方に向かって、即ち、より開く方向へ何らかの原因により外力F1が作用した場合、カバー部材6およびケース3の少なくとも一方が撓む。
これにより、カバー部材6とケース3とが第1当接部36で当接したまま、カバー部材6とケース3とが新たに当接する箇所である第2当接部37で当接するように構成されている。
【0033】
従って、カバー部材6に対して外力F1が作用し過負荷となった場合、第1当接部36に加えて第2当接部37においても当接することにより、第2当接部37においても前記外力F1を受け止めることができる。つまり、前記外力F1を、第1当接部36および第2当接部37の両方に分散させて、受け止めることができる。その結果、カバー部材6の堅牢性および剛性を向上させることができる。
【0034】
続いて、第1当接部36の接触面積B1と第2当接部37の接触面積B2との関係について説明する。
図6に示すのは、カバー部材6とケース3との第1当接部36における接触箇所を示す平面断面図である。また、図7に示すのは、カバー部材6とケース3との第2当接部37における接触箇所を示す平面断面図である。尚、図7は、Z軸方向における第2当接面でのX−Y軸面の断面図である。
【0035】
図6に示す如く、幅方向Xにおける第1当接部36の範囲は、一対のヒンジ部7の近傍である。一方、図7に示す如く、幅方向Xにおける第2当接部37の範囲は、カバー部材6の全幅と略同じである。
ここで、図5(A)(B)に示す如く、X軸方向から見たY−Z軸面図である側面図では、一見、第1当接部36の面積が第2当接部37の面積より大きいように見えるが、図5(A)(B)、図6および図7に示す如く、X軸方向をも考慮すると、第2当接部37の接触面積B2の方が、第1当接部36の接触面積B1より大きくなるように構成されている。つまり、第2当接部37は、第1当接部36より広い範囲(面積)で面接触する構成である。
従って、前記外力F1を、第2当接部37における面でしっかりと受け止めることができる。その結果、カバー部材6の堅牢性および剛性を向上させることができる。
【0036】
続いて、カバー部材6に対して前記外力F1よりもさらに大きい外力F2が作用した場合について説明する。
図8に示すのは、カバー部材6とケース3との第3当接部38における接触箇所を示す平面断面図である。
図8に示す如く、第2当接部37でケース3と当接している状態のカバー部材6に対して、より開く方向へ何らかの原因により前記外力F1よりさらに大きな外力F2が作用した場合、カバー部材6およびケース3の少なくとも一方がさらに撓む。
【0037】
これにより、カバー部材6とケース3とが第1当接部36および第2当接部37で当接したまま、カバー部材6とケース3とがさらに新たに当接する箇所である第3当接部38で当接するように構成されている。
従って、カバー部材6に対してさらに大きな外力F2が作用した場合、前記さらに大きな外力F2を、第1当接部36、第2当接部37および第3当接部38にさらに分散させて、受け止めることができる。また、前記さらに大きな外力F2を、第2当接部37および第3当接部38における面でしっかりと受け止めることができる。
【0038】
ここで、幅方向Xに移動可能なキャリッジ26には、可撓性部材の一例であるインクチューブ29および配線ケーブル30が接続されている。インクチューブ29が接続されている理由は、インクカートリッジ8のインクをキャリッジ26側の記録ヘッド27へ供給するためである。また、配線ケーブル30が接続されている理由は、ノズルからインクを吐出するための電気的な信号を、図示しない制御部からキャリッジ26側の記録ヘッド27へ送るためである。
【0039】
また、インクチューブ29および配線ケーブル30における一部29a、30aが、カバー部材6より低い位置におけるケース3の内側に沿うように接続されている。またさらに、インクチューブ29および配線ケーブル30におけるケース3の内側に沿っている部分29a、30aと、キャリッジ26と接続された箇所との間の部分29b、30bが、弧を描くように撓んでいる。
【0040】
本実施例では、X軸方向のキャリッジ26の移動可能な範囲におけるX軸の矢印の下流端(図8における左側)にキャリッジ26が位置するとき、インクチューブ29および配線ケーブル30における前記間の部分29b、30bは、径が大きな弧を描くように撓んでいる(図8における実線)。
そして、キャリッジ26が前記移動可能な範囲におけるX軸の矢印の下流端から上流側へ移動すると、キャリッジ26の移動に伴ってインクチューブ29および配線ケーブル30における前記間の部分29b、30bの一部がケース3の内側に沿うように変形する(図8における二点鎖線)。
【0041】
また、ケース3におけるインクチューブ29および配線ケーブル30が沿う箇所3bは、他の箇所と比較して、ケース3の内側から外側へ突出するように設けられている。これにより、インクチューブ29および配線ケーブル30が弧を描くように撓むための十分な空間を確保することができる。そして、第3当接部38は、前記沿う箇所3bの形状を有効に利用した構成である。
【0042】
つまり、ケース3の内部における特にインクチューブ29の配線接続(引き回し)に必要な空間を確保することと、第3当接部38として前記さらに大きな外力F2を受けることとを両立させることができる。
尚、インクチューブ29がケース3を内側から外側へ押圧する力の向きと、第3当接部38においてカバー部材6からケース3へ作用する力の向きとが対向する関係となるように構成してもよい。
【0043】
また、上記実施例では、基体部としてのケース3に対して開閉可能な開閉部材としてのカバー部材6について説明したが、カバー部材6に限らない。技術的思想としては、基体部に対して開いた状態の開閉部材に対して外力F1が作用する虞がある構成であればよい。第1当接部36および第2当接部37を有しており、第2当接部37における接触面積B2は、第1当接部36における接触面積B1より広い関係となる構成を適用することができるからである。
【0044】
本実施例の記録装置としてのプリンター本体2は、基体部としてのケース3に対して開閉可能な開閉部材としてのカバー部材6と、カバー部材6が開いた状態において、ケース3とカバー部材6とが互いに当接する箇所であり、ケース3に対するカバー部材6の姿勢を決める第1当接部36と、カバー部材6が開いた状態において、カバー部材6に対して外力F1が作用した場合、ケース3およびカバー部材6の少なくとも一方が撓むことにより、ケース3とカバー部材6とが新たに互いに当接する箇所である第2当接部37と、を備え、第2当接部37における接触面積B2は、第1当接部36における接触面積B1より広い構成であることを特徴とする。
【0045】
また、本実施例において、ケース3とカバー部材6とが互いに第2当接部37において当接した状態において、前記外力F1よりさらに大きな外力F2がカバー部材6に対して作用した場合、ケース3およびカバー部材6の少なくとも一方がさらに撓むことにより、ケース3とカバー部材6とが新たに互いに当接する箇所である第3当接部38を有する構成であることを特徴とする。
【0046】
またさらに、本実施例において、基体部は、少なくとも被記録媒体が送られる送り経路23を覆うケース3であり、開閉部材は、ケース3に設けられた開口である第1開口部4を覆う開閉可能なカバー部材6であり、所定の方向である幅方向Xへ移動可能なキャリッジ26に一端が接続されたインクチューブ29の少なくとも一部である前記間の部分29bが撓んでケース3の一部である前記沿う箇所3bを内側から外側へ向かって押圧する構成であり、ケース3の前記沿う箇所3bが外側へ突出しており、ケース3の前記沿う箇所3bが第3当接部38を構成することを特徴とする。
【0047】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1 プリンター複合機、2 プリンター本体、3 ケース、3a 前面、
3b 沿う箇所、4 第1開口部、5 第2開口部、6 カバー部材、7 ヒンジ部、
8 インクカートリッジ、9 操作部、10 ボタン、11 表示部、
12 スキャナー部(読み取り装置)、13 載置部、14 第1載置部、
14a ペーパーサポート、14b ホッパー、15 第2載置部、
15a カセット部、16 送り手段、17 第1ローラー、18 第2ローラー、
19 第3ローラー、20 アーム部、21 第1ローラー対、22 第2ローラー対、
23 送り経路、24 表裏反転用経路、25 記録部、26 キャリッジ、
27 記録ヘッド、28 媒体支持部、29 インクチューブ、
29a ケースの内側に沿っている部分、29b 間の部分、30 配線ケーブル、
30a ケースの内側に沿っている部分、30b 間の部分、
31 第1排出スタッカー、32 保護部材、33 媒体搬送装置、34 第3載置部、
35 第2排出スタッカー、36 第1当接部、37 第2当接部、38 第3当接部、
A インクカートリッジの装着位置(第1所定位置)、
B1 第1当接部における接触面積、B2 第2当接部における接触面積、
F1 外力、F2 さらに大きい外力、P プリンター本体で送られる用紙、
S 媒体搬送装置で送られる用紙、X 幅方向、Y 記録時の送り方向、Z 鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体部に対して開閉可能な開閉部材と、
該開閉部材が開いた状態において、前記基体部と前記開閉部材とが互いに当接する箇所であり、前記基体部に対する前記開閉部材の姿勢を決める第1当接部と、
前記開閉部材が開いた状態において、前記開閉部材に対して外力が作用した場合、前記基体部および前記開閉部材の少なくとも一方が撓むことにより、前記基体部と前記開閉部材とが新たに互いに当接する箇所である第2当接部と、を備え、
該第2当接部における接触面積は、前記第1当接部における接触面積より広い構成である記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記基体部と前記開閉部材とが互いに前記第2当接部において当接した状態において、前記外力よりさらに大きな外力が前記開閉部材に対して作用した場合、前記基体部および前記開閉部材の少なくとも一方がさらに撓むことにより、前記基体部と前記開閉部材とが新たに互いに当接する箇所である第3当接部を有する構成である記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、前記基体部は、少なくとも被記録媒体が送られる送り経路を覆うケースであり、
前記開閉部材は、前記ケースに設けられた開口を覆う開閉可能なカバー部材であり、
所定の方向へ移動可能なキャリッジに一端が接続されたインクチューブの少なくとも一部が撓んで前記ケースの一部を内側から外側へ向かって押圧する構成であり、該ケースの一部が外側へ突出しており、前記ケースの一部が前記第3当接部を構成する記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−200992(P2012−200992A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67608(P2011−67608)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】