説明

記録装置

【課題】記録部を有する装置本体に対して重心の移動を伴いつつ回転して変位するように支持された回転ユニットの回転に伴う装置全体の転倒を抑制することによって記録部のメンテナンスを容易に行うことができる記録装置を提供する。
【解決手段】記録部が設けられた装置本体12と、装置本体に対して回転自在に支持され、記録部を覆った状態となる閉塞位置と前記記録部を覆わない状態となる開放位置との間を回転変位可能なスキャナーユニット13と、装置本体を、スキャナーユニットの回転に伴って回転移動させて傾斜させる移動機構30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関し、特に記録装置における重心の移動構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録装置の一例として、用紙などの記録媒体に液体を噴射して文字や図形を含む画像を記録する記録部を有するとともに、読取原稿の原稿記録面を画像データとして読み込むスキャナー部を有する記録装置が実用化されている。
【0003】
この種の記録装置は、例えば特許文献1に開示されているように、記録部が内設された装置本体の上側に、スキャナー部が内設されたスキャナーユニットを回転ユニットとして備えている。すなわち、スキャナーユニットは、その後端部が装置本体の上方後端に設けられた回動軸(回転中心部)に支持されると共に、その回動軸を回転中心として回転することによって、装置本体の上方を覆った状態となる閉塞位置と、装置本体の上方を開放した状態となる開放位置との間で変位するように構成されている。そして、スキャナーユニットが閉塞位置から開放位置となるように回転変位して装置本体の上方がスキャナーユニットで覆われずに開放された状態で、装置本体に内設された記録部において消費される液体を補充したり、記録部へ搬送される記録媒体の搬送路での詰まりを解消したりするなどといったメンテナンス作業を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−253037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された記録装置において、スキャナーユニットは、その回転中心がスキャナーユニット自体における重心位置から偏心した部位である後端部に設定されている。そのため、記録部のメンテナンスを行うためにスキャナーユニットを閉塞位置から開放位置に回転変位させると、下側の装置本体の重心は移動しないものの、上側のスキャナーユニットは、その重心がユニットの回転中心から半径方向へ所定距離だけ離れた同心円を描くように回転方向に移動する。そして、このスキャナーユニットの重心の移動によって、スキャナーユニットと装置本体とを含む記録装置(装置全体)の重心が、スキャナーユニットの回転中心となる回動軸の軸方向から見てスキャナーユニットの重心の移動方向と同じ方向に移動することになる。
【0006】
このとき、メンテナンス作業を容易にするために、例えば閉塞位置から開放位置への回転角が90度以上となるようにスキャナーユニットを大きく回転させると、スキャナーユニットの重心の移動量が大きくなり、同様に、記録装置の重心の移動量も大きくなる。その結果、記録装置の重心が、記録装置の転倒を招かない重心の移動範囲として定められた移動範囲外まで移動し、記録装置を転倒させてしまうという課題が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、記録部を有する装置本体に対して重心の移動を伴いつつ回転して変位するように支持された回転ユニットの回転に伴う装置全体の転倒を抑制することによって記録部のメンテナンスを容易に行うことができる記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、記録部が設けられた装置本体と、前記装置本体に対して回転自在に支持され、前記記録部を覆った状態となる閉塞位置と前記記録部を覆わない状態となる開放位置との間を回転変位可能な回転ユニットと、前記装置本体を、前記回転ユニットの回転に伴って回転移動させて傾斜させる移動機構と、を備える。
【0009】
上記構成によれば、回転ユニットの回転に伴って装置本体を回転させて傾斜させるので、回転ユニットの重心が移動する方向と反対方向に装置本体の重心を移動させることができる。従って例えば記録部を露出させて記録部のメンテナンスを行う場合、回転ユニットを閉塞位置から開放位置まで大きく回転させても記録装置における装置全体としての重心の移動が抑制される。この結果、回転ユニットを大きく回転させて記録部を露出させた状態においても、記録装置の転倒が抑制されるので、記録部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0010】
本発明の記録装置において、前記移動機構は、前記装置本体に対する前記回転ユニットの回転角に応じて、当該回転角が大きい場合には当該回転角が小さい場合よりも装置本体の傾斜角が大きくなるように回転移動させる。
【0011】
上記構成によれば、回転ユニットの回転角に応じて装置本体の重心を移動させる移動量が調整されるので、記録装置における装置全体としての重心の移動がより適切に抑制される。この結果、例えば回転ユニットを大きく回転させても記録装置の転倒が抑制されるので、記録部のメンテナンスをさらに容易に行うことができる。
【0012】
本発明の記録装置において、前記移動機構は、前記装置本体における当該装置本体の重心から外れた部位から重力方向側に突出するとともに、その突出長さに応じて、当該突出長さが長い場合には当該突出長さが短い場合よりも前記装置本体の傾斜角が大きくなるように前記装置本体を傾斜させる突出部材を有する。
【0013】
上記構成によれば、突出部材の突出長さによって装置本体の傾斜角が調整されることで装置本体の重心の移動量を調整でき、その結果、記録装置における装置全体としての重心の移動を抑制することができる。従って、例えば釣合錘などを装置本体の構成要素に付加させることなく、記録装置の転倒を抑制することができる。
【0014】
本発明の記録装置において、前記突出部材は、前記装置本体の重力方向側の底部に設けられ、前記装置本体を設置状態において支持する支持脚である。
上記構成によれば、突出部材と支持脚とを兼用することができるので、記録装置において転倒を抑制するための別部材を備えなくてもよい。従って、記録装置の構造の複雑化を抑制することができる。
【0015】
本発明の記録装置において、前記装置本体には、重力方向と直交する方向において前記回転ユニットの回転中心に対して近い支持脚と遠い支持脚の少なくとも2つの前記支持脚が備えられ、前記突出部材は、前記近い支持脚である。
【0016】
上記構成によれば、回転ユニットの回転中心に近い支持脚を長く突出させることで記録装置における装置本体の傾斜角を大きくすることができるので、回転ユニットの回転に伴う記録装置の重心の移動を容易に抑制することができる。
【0017】
本発明の記録装置において、前記移動機構は、前記回転ユニットの回転中心が位置する側が鉛直方向で高くなるように前記装置本体を傾ける。
上記構成によれば、装置本体は回転ユニットの回転中心が位置する側が高くなった斜めの状態になるので、転倒を抑制するとともに、装置本体において上方が開放されて露出した記録部を鉛直方向から傾いた斜め方向から視認することができる。従って、記録部のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は本発明の実施形態であるスキャナーユニットを有するプリンターを示す斜視図、(b)は(a)におけるプリンターの右側面図。
【図2】(a)は実施形態のプリンターにおける重心の位置を示す模式図、(b)はスキャナーユニットの回転に伴って移動するプリンターの重心の位置を示す模式図。
【図3】(a)は実施形態のプリンターにおける移動機構の構成図、(b)は移動機構によって装置本体が傾いた状態におけるプリンターの重心の位置を示す模式図。
【図4】変形例で、装置本体から支持脚と異なる補助脚を突出させて装置本体を傾かせる機構図。
【図5】変形例で、装置本体を傾けない移動機構の構成図で、(a)は重心移動前の状態、(b)は重心移動後の状態をそれぞれ示す模式構成図。
【図6】変形例で、スキャナーユニットの回転の有無によって支持脚が伸長するように構成された移動機構の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を、画像を読み取るスキャナーユニットを回転ユニットとして備え、液体としてのインクを噴射する液体噴射ヘッドを記録部に備えた記録装置の一種としてのインクジェット式のプリンターにおいて具体化した実施形態について、以下図を参照して説明する。なお、以降の説明を容易にするため、図1(a)(b)に示したように、鉛直方向における重力方向を下方向、反重力方向を上方向とする。また、これと交差する方向であって、記録媒体の一種である用紙Sが画像の記録時において搬送される搬送方向を前方向、搬送方向と反対方向を後方向とする。さらに鉛直方向および搬送方向の双方と交差する方向であって液体噴射ヘッド24が往復移動する方向すなわち走査方向を、前方から見て、それぞれ右方向、左方向と呼ぶことにする。
【0020】
図1(a)(b)に示すように、プリンター11は、用紙Sに画像を記録する記録部20が内部に設けられた略直方体形状の装置本体12と、画像を読み取るスキャナー部(図示略)が設けられた同じく略直方体形状のスキャナーユニット13と、を備えている。
【0021】
記録部20には、走査方向となる左右方向に沿って延びるガイド軸23が架設されていると共に、そのガイド軸23にはキャリッジ22がガイド軸23に沿って走査方向への往復移動可能に支持されている。キャリッジ22の上面側には、インクを収容したインクカートリッジ21が着脱可能に設けられ、キャリッジ22の下面側には、液体噴射ヘッド24が設けられている。そして、インクカートリッジ21から液体噴射ヘッド24に供給されたインクが、このキャリッジ22の走査方向の移動に際して液体噴射ヘッド24から用紙Sに噴射されるようになっている。また、記録部20には、用紙Sを走査方向と交差する前方に搬送する搬送手段25が設けられ、キャリッジ22の走査方向への移動と用紙Sの前方向への移動とによって、用紙Sに画像が記録されるようになっている。その後、画像が記録された用紙Sは、装置本体12の前面に設けられた蓋部12aを開くことによって形成される図示しない排紙トレイに向けて排出されるようになっている。
【0022】
さて、プリンター11では、このような記録部20が内部に設けられた装置本体12に対して、スキャナーユニット13が上方に積み重なるように配置されている。このように配置することで、スキャナーユニット13において画像の読み取り面を覆うカバー13aがプリンター11の上面側に位置するので、カバー13aの開閉操作が容易となっている。また、スキャナーユニット13を装置本体12の上方に重ねて配置することで、装置本体12内の記録部20が露出しないように、その上部をスキャナーユニット13によって覆って閉塞する閉塞状態としている。
【0023】
ところで、記録部20において、例えば噴射によってインクが消費されたインクカートリッジ21の交換や、搬送手段25においてジャム状態になった用紙Sの除去などといったメンテナンス作業を行う場合がある。このため、プリンター11では、スキャナーユニット13を装置本体12に対して回転可能な回転ユニットとすることで、スキャナーユニット13が記録部20を覆う閉塞状態となる閉塞位置(図1(b)に二点鎖線で示す位置)と、記録部20が露出した開放状態となる開放位置(図1(b)に実線で示す位置)との間で回転変位するように構成されている。
【0024】
すなわち、装置本体12の上方後端であって左右方向の両端部には、円柱状をなす軸部12b(図1(b)には右側の軸部12bを図示。)が左右に一つずつ左右方向に沿った同一の軸線J上に位置するように設けられている。一方、スキャナーユニット13の後端部であって左右方向の両端部には、左右の各軸部12bと個別に対応する左右一対の軸受け部14が設けられている。そして、スキャナーユニット13は、各軸受け部14が各々対応する軸部12bに軸支されることにより、装置本体12に対して前記軸線Jを回転中心とする回転自在に取り付けられている。つまり、略直方体形状のスキャナーユニット13は、装置本体12に対して自身の重心gから外れた部位である後端部に設けられた軸受け部14(具体的には、軸受け部14が軸支される軸部12bの軸線J。)を回転中心にして閉塞位置と開放位置との間を回転して変位するようになっている。
【0025】
例えば、スキャナーユニット13は、その前方側を持ち上げることで後端部の軸受け部14を回転中心にして回転し、装置本体12に設けられた記録部20の上方を開放する開放位置に変位できるようになっている。また、装置本体12の上端には開口部12cが形成され、スキャナーユニット13が開放位置にある場合には、この開口部12cを介して記録部20が露出するように構成されている。このように構成されることで、作業者は、例えばインクカートリッジの交換など記録部20に対するメンテナンス作業を、装置本体12の上方から行うことができるようになっている。
【0026】
また、プリンター11には、装置本体12の下面(底面)において、その前方に左右一対の支持脚15と、その後方に左右一対の支持脚16とが設けられている。この結果、支持脚15,16は、下方から見て矩形形状を呈する下面の四隅に1つずつ設けられ、プリンター11を載置面に載置したとき、装置本体12を支持する支持脚として機能するようになっている。従って、支持脚15,16は装置本体12の重心wから前後方向および左右方向において外れた部位に設けられている。
【0027】
さて、このように回転ユニットとしてのスキャナーユニット13をメンテナンス時に閉塞位置から開放位置になるように回転させると、スキャナーユニット13の重心gがその回転方向に移動することになる。このため、装置本体12の重心wとスキャナーユニット13の重心gとから定まるプリンター(装置全体)11の重心Gもスキャナーユニット13の回転方向(回転中心となる軸受け部14が位置する後方向)に移動することになる。この重心移動について、図2(a)(b)を参照して説明する。
【0028】
図2(a)に示すように、プリンター11において、軸受け部14と反対側となる前方の支持脚15において、装置本体12の後方が持ち上がって傾いたとき載置面Tと当接する下方前端15aをxy座標の原点(0,0)とする。そして、スキャナーユニット13が閉塞位置である場合、このxy座標系においてスキャナーユニット13の重心gの座標を(gx,gy)、装置本体12の重心wの座標を(wx,wy)、スキャナーユニット13と装置本体12を加えたプリンター11の重心Gの座標を(Gx,Gy)とする。また、軸受け部14の回転中心すなわち軸線Jからスキャナーユニット13の重心gまでの前後方向における距離をL、支持脚16における下方前端16aと支持脚15の下方前端15a(原点)との間の前後方向に沿う距離をPxとする。なお、支持脚15の下方前端15aおよび支持脚16における下方前端16aは、装置本体12の後方が前方に対して持ち上がって傾いたとき、それぞれにおいて載置面Tと当接する位置となる(図3(b)参照)。
【0029】
次に、図2(b)に示すように、スキャナーユニット13を回転して開放位置とした場合、装置本体12に対するスキャナーユニット13の回転角をθ、スキャナーユニット13の重量をm、スキャナーユニット13以外の装置本体12の重量をMとする。このときプリンター11の重心Gの座標(Gx,Gy)は、次式(イ),(ロ)による演算によってそれぞれ求められる。
【0030】
Gx=(M・wx+m・(gx+L(1−cosθ)))/(M+m) …(イ)
Gy=(M・wy+m・(gy+Lsinθ))/(M+m) …(ロ)
この演算によって求まるプリンター11の重心Gのx座標の値が規定値を超えると、プリンター11は支持脚16を支点にして前方が持ち上がるように回転して転倒する場合がある。すなわち、重心Gのx座標値であるGxの値が、両支持脚15,16の間隔距離に相当する値Pxよりも大きな値つまりGx>Pxになった場合、プリンター11は、最終的に支持脚16の下方後端を支点にしてスキャナーユニット13の回転方向に装置本体12が回転して転倒する虞がある。従って、ここではPxの値がプリンター11の転倒を招かない重心Gの移動範囲を定める規定値になる。
【0031】
このために、本実施形態のプリンター11では、重心Gのx座標Gxの値が規定値Pxより大きくならないように、装置本体12を傾けるように構成されている。この構成について、図3(a)を参照して説明する。
【0032】
図3(a)に示すように、プリンター11には、軸受け部14に近い後方の支持脚16が、装置本体12の重心wから後方向に外れた部位において下面から重力方向となる下方向に突出する突出部材として形成されている。そして、閉塞位置から開放位置に移動するスキャナーユニット13の回転に伴って、装置本体12の下面からの突出量が大きくなるように構成されている。すなわち、プリンター11には、スキャナーユニット13の軸受け部14と一体で回転するプーリー31と、無端状ベルト32によってプーリー31の回転が伝達されるプーリー33とが設けられている。プーリー33には回転カム34が一体で回転するように取り付けられている。そして、回転カム34の回転に伴って支持脚16の上端面がカムフォロワーとして機能するように構成されている。すなわち、回転カム34が回転に伴って支持脚16の上端面を押すことによって支持脚16を下方に移動させる。この移動によって、支持脚16は、装置本体12の下面においてその部材部分が下方に寸法H分長く突出するようになっている。
【0033】
このように支持脚16が突出することで、スキャナーユニット13が回転して閉塞位置から開放位置に変位しても、装置本体12はスキャナーユニット13の回転方向と反対方向に回転して、装置全体となるプリンター11が転倒することはない。すなわち、本実施形態では、プーリー31,33、無端状ベルト32、回転カム34、および突出部材である支持脚16が、装置本体12を回転移動させる移動機構30として機能する。移動機構30は、この装置本体12の回転によって、プリンター11における装置本体12の重心wを、スキャナーユニット13の回転に伴ってスキャナーユニット13の重心gが移動する方向と反対方向に移動させるように作用する。
【0034】
この移動機構30の作用について、図3(b)を参照して説明する。
図3(b)に示すように、支持脚16がスキャナーユニット13の開放位置への回転に伴って突出長さが長くなるように伸び、装置本体12において後方側つまりスキャナーユニット13の回転中心となる軸受け部14が位置する側が高くなるように上昇させる。すると、プリンター11は、装置本体12が前側の支持脚15の下方前端15aを中心に回転し、図中二点鎖線で示した状態から図中実線で示したように装置本体12の後端側が持ち上がった傾斜状態に変化する。この状態変化によって、装置本体12の重心wも支持脚15の下方前端15aを中心に回転し、前後方向においてスキャナーユニット13の回転方向と反対方向(前方向)に移動する。同様に、スキャナーユニット13の重心gも支持脚15の下方前端15aを中心に回転し、スキャナーユニット13の回転方向と反対方向(前方向)に移動する。
【0035】
これらの移動によってプリンター11の全体の重心Gは前方の重心GSに移動し、重心GSのx座標GSxの値が規定値Pxより大きくならないようになっている。すなわち、プリンター11では、スキャナーユニット13の回転角θが大きい場合には回転角θが小さい場合よりも移動量が大きくなるように移動させるように、スキャナーユニット13の回転角θに応じた長さH分、支持脚16を伸長させるようになっている。この伸長によって、装置本体12の傾斜角φは、装置本体12から突出する支持脚16の突出長さに応じて変化し、突出長さが長い場合には突出長さが短い場合よりも大きくなるようになっている。
【0036】
ちなみに、このとき生ずる装置本体12の傾斜角をφとすると、装置本体12が傾斜した状態におけるプリンター11の重心GSの座標(GSx,GSy)は次式(ハ),(ニ)による演算によってそれぞれ求められる。
【0037】
GSx=Gxcosφ−Gysinφ …(ハ)
GSy=Gxsinφ+Gycosφ …(ニ)
この演算によって求まるプリンター11の重心GSのx座標GSxの値が、規定値Pxを超えない傾斜角φは、式(イ)と式(ロ)とを式(ハ)に代入して得られる演算式(省略)から明らかなように、スキャナーユニット13の回転角θの関数として表される。そして、傾斜角φを形成するために伸長させる支持脚16の長さHは、回転角θによって求まることになる。
【0038】
そして、プリンター11では、スキャナーユニット13の回転角θに基づいて求まる長さH分、支持脚16を伸長させる。この支持脚16の伸長によって装置本体12が傾斜角φで傾くことによって装置本体12の重心wが移動する。換言すれば、装置本体12の重心wの移動量は、スキャナーユニット13の回転角θに応じて調整される。同様に、スキャナーユニット13も装置本体12の傾きに伴ってその重心gが移動し、装置全体の重心であるプリンター11の重心Gを、回転方向とスキャナーユニット13の回転に伴って移動する方向と反対方向(前方向)に移動させて、重心GSとするのである。
【0039】
なお、本実施形態では、装置本体12において左右方向の傾きを抑制するように、左右両側に設けられたそれぞれの支持脚16を、共に伸長させるようになっている。もとより、両側の支持脚16のうち一方の支持脚16を伸長させる構成も採用できる。
【0040】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)スキャナーユニット13の回転に伴って装置本体12をスキャナーユニット13の回転方向と反対方向に回転させて傾斜させるので、スキャナーユニット13の重心gが移動する方向と反対方向に装置本体12の重心wを移動させることができる。従って、例えば記録部20を露出させて記録部20のメンテナンスを行う場合、スキャナーユニット13を閉塞位置から開放位置まで大きく回転させてもプリンター11における装置全体としての重心Gの移動が抑制される。この結果、スキャナーユニット13を大きく回転させて記録部20を露出させた状態においても、プリンター11の転倒が抑制されるので、記録部20のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0041】
(2)スキャナーユニット13の回転角θに応じて装置本体12の重心wを移動させる移動量が調整されるので、プリンター11における装置全体としての重心Gの移動がより適切に抑制される。この結果、例えばスキャナーユニット13を大きく回転させてもプリンター11の転倒が抑制されるので、記録部20のメンテナンスをさらに容易に行うことができる。
【0042】
(3)支持脚16の突出長さによって装置本体12の傾斜角φが調整されることで装置本体12の重心wの移動量を調整でき、その結果、プリンター11における装置全体としての重心Gの移動を抑制することができる。従って、例えば釣合錘などを装置本体12の構成要素に付加させることなく、プリンター11の転倒を抑制することができる。
【0043】
(4)突出部材と支持脚16とを兼用することができるので、プリンター11において転倒を抑制するための別部材を備えなくてもよい。従って、プリンター11の構造の複雑化を抑制することができる。
【0044】
(5)スキャナーユニット13の軸受け部14に近い支持脚16を長く突出させることでプリンター11における装置本体12の傾斜角φを大きくすることができるので、スキャナーユニット13の回転に伴うプリンター11の重心Gの移動を容易に抑制することができる。
【0045】
(6)装置本体12はスキャナーユニット13の軸受け部14が位置する側が高くなった斜めの状態になるので、プリンター11の転倒を抑制するとともに、装置本体12において上方が開放されて露出した記録部20を鉛直方向から傾いた斜め方向から視認することができる。従って、記録部20のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0046】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、突出部材を支持脚16と別に設けられた補助脚としてもよい。本変形例は、例えば、構造的に支持脚16を突出させる機構を形成することが困難な場合に好適である。この変形例について、図4を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同じ構成要素については同符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0047】
図4に示すように、本変形例のプリンター11aは、突出部材として補助脚35を備えている。すなわち、プリンター11aが載置面Tに載置された状態にあるときは載置面Tから離間している補助脚35が、支持脚16とは別に設けられている。そして、閉塞位置から開放位置に変位するスキャナーユニット13の回転に伴って、装置本体12の下面から突出して載置面Tに当接するように構成されている。
【0048】
具体的には、プーリー31とプーリー33との間で交差して掛け渡された無端状ベルト32aによって、プーリー33は、スキャナーユニット13の軸受け部14と一体で回転するプーリー31と逆方向に回転するようになっている。そして、プーリー33の軸線Jを中心とする回転に伴って回転カム34が回転し、カムフォロアーとして機能する補助脚35の上端面が、回転カム34の回転に伴って押されることによって、補助脚35は下方に移動するようになっている。この移動によって、補助脚35は、装置本体12の下面においてその部材部分が下方に所定の長さで突出するようになっている。
【0049】
このように補助脚35が所定の長さ突出することで装置本体12の後方側が持ち上がり、装置本体12は傾斜角φで傾くようになっている。この結果、前述するように、プリンター11aにおける装置本体12の重心wはスキャナーユニット13の回転に伴ってスキャナーユニット13の重心gが移動する方向と逆方向となる前方向に移動する。従って、スキャナーユニット13が開放位置に変位しても、プーリー31,33、無端状ベルト32a、回転カム34、および補助脚35が、移動機構30として機能することにより、プリンター11aがスキャナーユニット13の開放位置への移動時の回転方向と同一方向に回転して転倒するようなことを抑制可能となる。
【0050】
なお、本変形例のプリンター11aでは、補助脚35は支持脚16よりも後方に位置するように構成されている。このように構成されることによって、図4に示すように、補助脚35が載置面Tと当接する位置は、上記実施形態において伸長する支持脚16が載置面Tと当接する下方前端16aに対して、原点つまり支持脚15の下方前端15aからさらに遠い位置とすることができる。すなわち、規定値PSxは上記実施形態における規定値Pxよりも大きな値とすることができる。この結果、傾斜角φの値も規定値PSxに応じて上記実施形態における値よりも小さい値とすることができるので、補助脚35の突出量を抑制することができ、突出に関する部材構成が容易になる。
【0051】
もとより、補助脚35が載置面Tと当接する位置を支持脚16が載置面Tと当接する下方前端16aと同じ位置としても差し支えない。この場合は、規定値PSxは上記実施形態における規定値Pxと同じ値になるので、プリンター11aの転倒を抑制する装置本体12の傾斜角φは上記実施形態と同様の値となる。
【0052】
また、プリンター11aにおいて、補助脚35を左右方向において複数設けるようにしてもよいし、1つだけ設けるようにしてもよい。なお、補助脚35を1つだけ設ける場合は、装置本体12が傾いたときの安定性が得られるように、装置本体12の左右方向においてほぼ中央位置に補助脚35を設けるようにすることが好ましい。
【0053】
・上記実施形態において、装置本体12の重心wを移動させる移動機構30が設けられたプリンター11bとしてもよい。本変形例は、例えば、機構的に突出部材を構成することが困難な場合などでは好適である。この変形例のプリンター11bについて図5(a)(b)を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同じ構成要素については同符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0054】
図5(a)に示すように、プリンター11bは、軸線Jを中心に軸受け部14と一体で回転する歯車36、歯車36の回転を伝達する伝達部材37、伝達部材37によって回転されるピニオン38、およびピニオン38と噛み合うラック39を移動機構30として備えている。ピニオン38は、左右方向に平歯車が併設され、一方の平歯車が、例えばチェーンベルトなどの伝達部材37と噛み合うとともに、同じく伝達部材37と噛み合う歯車36の回転に伴って回転するようになっている。また、ピニオン38と噛み合うラック39は前後方向に移動可能に配設されるとともに、その前方端部に錘Wが固定されている。
【0055】
本変形例のプリンター11bでは、移動機構30が、スキャナーユニット13の回転による重心gの移動方向と反対方向に錘Wを移動させることで、装置本体12の重心wの移動量を調整する。この調整により、装置全体となるプリンター11bの重心Gの移動が抑制される。この抑制作用について図5(b)を参照して説明する。
【0056】
図5(b)に示すように、スキャナーユニット13が、閉塞位置から開放位置に回転変位することによって、スキャナーユニット13の重心gが後方に移動するのと同時に軸受け部14が回転角θ分回転する。すると、この軸受け部14の回転に伴って軸線Jを中心に回転する歯車36の回転が伝達部材37によって伝達されてピニオン38が回転し、ラック39を前方に距離Wx移動させる。これに伴って錘Wも前方へ同じく距離Wx移動する。
【0057】
この結果、スキャナーユニット13の重心gが後方へ移動するために生ずるプリンター11bの重心Gの後方への移動が、装置本体12において、錘Wの前方への距離Wxの移動によって前方へ移動する重心wによって抑制される。この結果、プリンター11bは、その重心Gの移動によって生ずる転倒が抑制される。もとより、ラック39を前方へ移動させる距離Wxは錘Wの重さに応じて設定され、この錘Wの距離Wxの移動によって、装置本体12の重心wの移動量はプリンター11bの転倒を招かない量に調整されるようになっている。
【0058】
なお、本変形例において、支持脚15,16の載置台との当接部分が弾性部材で形成され、装置本体12が圧縮変形によって載置面Tに安定して載置されるようになっている場合がある。このような場合、移動機構30は、装置本体12の重心wを前方に移動させることによって全体の重心Gを前方の支持脚15側に移動させるため、支持脚15が圧縮変形し、装置本体12をスキャナーユニット13の回転方向と反対方向に回転して傾かせることになる。しかしながら、実際にはスキャナーユニット13が開放位置へ回転することによって、後方の支持脚16側に全体の重心Gを移動させるため、支持脚16側が圧縮変形することによって装置本体12の傾きが戻される。この結果、支持脚15,16のほぼ下面全体が載置面Tと当接した状態を維持することになる。従って、図5(b)に示すように、プリンター11bにおいて移動機構30によって移動が抑制された重心Gの移動後の重心GSは、支持脚16の下方後端16bよりも前方に位置するようになっている。もとより、支持脚16において実際に載置面Tに当接する位置が下方後端16bでなく下方前端16aである場合は、上記実施形態と同様に、移動機構30は、移動後の重心GSが支持脚16の下方前端16aよりも前方に位置するように、錘Wを移動させるようにしてもよい。
【0059】
・上記実施形態において、移動機構30は、必ずしもスキャナーユニット13の回転に応じて装置本体12を傾けなくてもよい。例えば、スキャナーユニット13の回転の有無によって装置本体12を傾けるようにしてもよい。本変形例は、軸受け部14の回転を伝達する機構を装置本体12内に形成することが困難な場合などでは好適である。この変形例について図6を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同じ構成要素については同符号を付し、重複説明を適宜省略する。
【0060】
図6に示すように、本変形例のプリンター11cは、軸受け部14に近い後方の支持脚45が、装置本体12の下面から下方向に突出する突出部材として形成されている。そして、スキャナーユニット13が閉塞位置から開放位置へ向かって変位するように回転を開始すると、装置本体12の下面において、支持脚45は、その部材部分が所定の長さ伸びるように突出するようになっている。
【0061】
すなわち、本変形例のプリンター11cは、スキャナーユニット13の回転を検出する検出部41と、制御部40と、ピニオン44と、支持脚45とを備えている。検出部41はスキャナーユニット13が閉塞位置にあるときは軸受け部14に設けられ軸線Jを中心に回転する突起部14bと係合し、スキャナーユニット13が閉塞位置から開放位置に回転変位を開始すると突起部14bとの係合が解除されるようになっている。そして、検出部41はこの係合の解除によって検出信号42を出力するようになっている。こうして、検出部41は、検出信号42の出力の有無によって、スキャナーユニット13の回転の有無を検出する。また、支持脚45の一部にはラック歯が設けられ、このラック歯に噛み合うようにピニオン44が配設されるとともに、ピニオン44は図示しないモーターによって回転駆動されるようになっている。
【0062】
このように構成されたプリンター11cの作用を説明する。制御部40は、スキャナーユニット13が軸受け部14を中心に回転を開始することによって検出部41から出力される検出信号42を受信する。この検出信号の受信によって、スキャナーユニット13の回転有りを検出した後、制御部40はピニオン44を回転駆動する駆動信号43を出力する。この駆動信号43によってピニオン44が所定の角度回転し、これと噛み合うラック歯が下方に所定量移動する。この結果、支持脚45は、装置本体12の下面においてその部材部分が下方に所定の寸法長く突出する。この支持脚45の突出によって、装置本体12は所定の角度すなわち傾斜角φ(図3(b)参照)で傾斜する。
【0063】
こうして、本変形例では、ピニオン44と支持脚45とが移動機構30として機能し、プリンター11cにおける装置本体12の重心wを、スキャナーユニット13の回転に伴ってスキャナーユニット13の重心gが移動する方向と反対方向に移動させる。この結果、プリンター11cはスキャナーユニット13の回転方向への回転による転倒が抑制されるようになる。
【0064】
また、本変形例では、スキャナーユニット13の回転有りによって直ちに装置本体12が傾斜角φで傾くように構成されている。すなわち、スキャナーユニット13が閉塞位置から開放位置に到るよりも先にプリンター11cにおける装置本体12の重心wを前方に移動させるようになっている。このようにすることで、プリンター11cにおいて、スキャナーユニット13の開放位置への回転変位に伴う回転モーメントが軸受け部14を介して装置本体12に加わっても、プリンター11cが回転して転倒しないように抑制することができる。
【0065】
なお、本変形例のプリンター11cにおいて、検出部41は軸受け部14の回転角すなわちスキャナーユニット13の回転角θを検出し、制御部40は検出した軸受け部14の回転角に応じてモーターの回転角を制御するようにしてもよい。こうすれば、上記実施形態と同様に、スキャナーユニット13の回転角θに応じてプリンター11cにおける装置本体12の重心wを移動させることにより、プリンター11cが回転して転倒しないようにできる。
【0066】
・上記実施形態において、装置本体12の前方に設けられた支持脚15を、下面からの重力方向への突出量が少なくなるように収縮して装置本体12を傾けるように構成することとしてもよい。
【0067】
・上記実施形態において、移動機構30の構成は、装置本体12において錘Wを移動させる上記変形例のプリンター11bの移動機構30の構成を併用した構成であってもよい。
【0068】
・上記実施形態および変形例において、移動機構30を、回転カムを用いた機構やラックとピニオンを用いた機構などによって構成したが、これに限るものでないことは勿論である。例えば電磁石を用いたアクチュエーターやボールねじ、あるいはウオームギアなどを用いた他の機構で構成するようにしてもよい。
【0069】
・上記実施形態において、回転ユニットは必ずしもスキャナーユニット13に限定されない。例えば、読取原稿(ドキュメント)を自動的に読み取り面に送る自動読取原稿給送装置であってもよい。あるいは、スキャナーユニット13とこの自動読取原稿給送装置が合体したユニットであってもよい。要は、装置本体12に対して上方に積層可能なユニットであれば全て採用可能である。
【0070】
・上記実施形態では、記録装置をインクジェット式のプリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。あるいは、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
11,11a,11b,11c…記録装置の一種としてのプリンター、12…装置本体、13…回転ユニットとしてのスキャナーユニット、14…軸受け部、15,16…支持脚、20…記録部、30…移動機構、45…支持脚。θ…回転角、φ…傾斜角、g,G,w,GS…重心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録部が設けられた装置本体と、
前記装置本体に対して回転自在に支持され、前記記録部を覆った状態となる閉塞位置と前記記録部を覆わない状態となる開放位置との間を回転変位可能な回転ユニットと、
前記装置本体を、前記回転ユニットの回転に伴って回転移動させて傾斜させる移動機構と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記移動機構は、前記装置本体に対する前記回転ユニットの回転角に応じて、当該回転角が大きい場合には当該回転角が小さい場合よりも装置本体の傾斜角が大きくなるように回転移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録装置において、
前記移動機構は、前記装置本体における当該装置本体の重心から外れた部位から重力方向側に突出するとともに、その突出長さに応じて、当該突出長さが長い場合には当該突出長さが短い場合よりも前記装置本体の傾斜角が大きくなるように前記装置本体を傾斜させる突出部材を有することを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、
前記突出部材は、前記装置本体の重力方向側の底部に設けられ、前記装置本体を設置状態において支持する支持脚であることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置において、
前記装置本体には、重力方向と直交する方向において前記回転ユニットの回転中心に対して近い支持脚と遠い支持脚の少なくとも2つの前記支持脚が備えられ、前記突出部材は、前記近い支持脚であることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記移動機構は、前記回転ユニットの回転中心が位置する側が鉛直方向で高くなるように前記装置本体を傾けることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−238956(P2012−238956A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105324(P2011−105324)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】