説明

記録装置

【課題】巻かれているロール媒体の残量情報を解かずに取得可能な残量情報取得手段が残量情報を取得することができなかった場合を考慮した記録装置を提供すること。
【解決手段】ロールホルダーに保持されたロール媒体の残量情報を、残量情報取得手段が取得することができない場合(S1)、記録を実行する前に、記録データからロール媒体の必要な長さの情報を取得し(S2)、媒体検出手段によってロール媒体の有無を監視しながらローラー対から記録部へ向かう第1の送り方向へ前記ロール媒体の必要な長さ分をローラー対によって送る際の駆動量だけ前記ローラー対を駆動させることにより(S3)、制御部が前記必要な長さ分のロール媒体があるか否かを判定し(S4)、前記必要な長さ分のロール媒体があると判定したとき、カッターによってロール媒体を切断し(S5)、ロール媒体を前記第1の送り方向と逆向きへ送りながら、記録を実行する(S6)構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール媒体を回転可能に保持するロールホルダーと、巻かれているロール媒体の長さの情報を、ロール媒体を全部解かずに取得する残量情報取得手段とを備えた記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤドットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、プリンターは、ロール紙に対して記録することができるように設けられていた。また、ロール紙がセットされた際、ロール紙の先端を検出し、ロール紙の先端近傍のヘッダーのバーコードを読み取ることにより、ロール紙の情報を取得するように構成されていた。バーコードがある場合、ロール紙の情報として、例えば、残りの長さである残量についての情報を取得することができた。
【0003】
そして、記録に必要な長さ分あるか否かを判定し、必要な長さ分あると判定した場合は記録を実行するように構成されていた。また、記録を終了する際、ロール紙のヘッダーとなる位置に記録後の前記残量についての情報をバーコードとして記録するように構成されていた。これにより、ロール紙を再セットした際や、再度記録を実行する際に、バーコードを読み取ることによりロール紙の前記残量の情報を取得することができた。
【0004】
図6に示すのは、従来技術のロール紙30の残量の情報の例を示す図である。
図6に示す如く、従来技術において、ロール紙30の先端近傍のヘッダー31には、ロール紙30の情報がバーコード32として記録されていた。そして、前述したように、ロール紙30がプリンターにセットされた際、プリンターに設けられた光学式のセンサーがバーコード32を読み取ることにより、プリンターは、ロール紙30の残量等の情報を取得することができた。そして、これに基づいて記録を実行することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−105700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、残量情報の取得の仕方が異なる他のプリンターでは、ロール紙の残量の情報をバーコードとして記録しない構成のものがある。また、バーコードとして記録する構成であっても、バーコードの規格が異なる場合がある。
これらの場合、所定の規格のバーコードを読み取ることが可能な残量情報を取得する手段としての光学式のセンサーを有していた場合であっても、そのままでは残量情報を取得することができない。残量情報を取得することができずに記録を開始したとすると、記録に必要な長さ分のロール紙がないことが途中で判明し、記録したロール紙が無駄になる虞がある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、ロール媒体を解かずに、巻かれているロール媒体の残量情報を取得可能な残量情報取得手段が前記残量情報を取得することができなかった場合を考慮した記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の記録装置は、ロール媒体を回転可能に保持するロールホルダーと、ロール媒体に対して記録する記録部と、前記ロールホルダーと前記記録部との間に設けられ、ロール媒体を切断可能なカッターと、該カッターと前記記録部との間に設けられ、ロール媒体を送り方向へ送ることが可能なローラー対と、巻かれているロール媒体の長さの情報を、ロール媒体を全部解かずに取得可能な残量情報取得手段と、前記ローラー対と前記記録部との間に設けられ、ロール媒体の有無を検出する媒体検出手段と、前記ローラー対および前記媒体検出手段を用いて、ロール媒体を送った距離に基づいてロール媒体の長さを判断可能な制御部と、を備え、前記ロールホルダーに保持されたロール媒体の残量情報を、前記残量情報取得手段が取得することができない場合、前記記録部によって記録を実行する前に、記録を実行するための記録データから記録のためにロール媒体の必要な長さの情報を取得し、前記媒体検出手段によってロール媒体の有無を監視しながら前記ローラー対から前記記録部へ向かう第1の送り方向へ前記ロール媒体の必要な長さ分を前記ローラー対によって送る際の駆動量だけ前記ローラー対を駆動させることにより、前記制御部が前記必要な長さ分のロール媒体があるか否かを判定し、前記制御部が前記必要な長さ分のロール媒体があると判定したとき、前記カッターによってロール媒体を切断し、前記ローラー対によってロール媒体を前記第1の送り方向と逆向きの第2の送り方向へ送りながら、前記記録部によって記録を実行する構成であることを特徴とする。
ここで、前記残量情報取得手段について、「ロール媒体を全部解かずに取得可能な」とは、ロール媒体自体を回転させてよいが、ロール媒体を全部解くことはせずに前記長さの情報を取得可能なことをいう。
【0009】
本態様によれば、ロール媒体を解いて前記必要な長さ分送ることにより、前記制御部が前記必要な長さ分のロール媒体があるか否かを判定することができる。その結果、少なくとも前記必要な長さ分の残量があるか否かの情報を得ることができる。前記ロールホルダーに保持されたロール媒体の残量情報を、前記残量情報取得手段が取得することができない場合に特に有効である。
【0010】
また、解いたロール媒体を前記ロールホルダーに巻き戻さないで記録するので、記録開始までの時間を、巻き戻すために必要な時間分短縮できる。
またさらに、仮に巻き戻したとしても幅方向にぶれてロール媒体をきれいに巻けない虞がある。本態様では、巻き戻さずに記録するので、ロール媒体の幅方向のぶれを考慮する必要がない。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ロールホルダーから前記記録部までロール媒体を案内する第1送り経路と、前記ロールホルダーと前記ローラー対との間において、前記第1送り経路から分岐しており、前記ローラー対によって前記第2の送り方向へロール媒体が送られる際、前記分岐した箇所からロール媒体を排出する排出部までロール媒体を案内する第2送り経路と、を有する構成であることを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記第2の送り方向へ送りながら記録を実行した際、専用の第2送り経路に案内されながら、記録されたロール媒体を排出部まで送って排出することができる。つまり、記録されたロール媒体が前記ロールホルダーの位置まで逆送りされる虞がない。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記制御部が前記必要な長さ分のロール媒体がないと判定したとき、前記ローラー対および前記ローラーホルダーによってロール媒体を前記第2の送り方向へ送ることにより、ロール媒体を前記ロールホルダー側に巻き戻し、該巻き戻す際、前記記録部がロール媒体における前記第2の送り方向上流側にロール媒体の残量情報を記録する構成であることを特徴とする。
本態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、次回の記録実行の際、前記残量情報取得手段によって、前記残量情報を取得することができ、有効である。
【0013】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、メッセージを表示可能な表示部を備えており、ロール媒体を前記ロールホルダー側に巻き戻した際、ロール媒体の交換が必要である旨を前記表示部に表示する構成であることを特徴とする。
本態様によれば、第3の態様と同様の作用効果に加え、ユーザーに対してロール媒体の交換を促すことができ、有効である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施例のプリンターの概略を示す側面図。
【図2】本実施例のロール媒体の残量情報が不明である場合の制御を示す図。
【図3】本実施例のロール媒体の必要長の有無を判定する際の動作を示す側面図。
【図4】本実施例の必要長有りの場合のロール媒体切断時を示す側面図。
【図5】本実施例のロール媒体の必要長有りの場合の記録時を示す側面図。
【図6】従来技術のロール紙の残量の情報の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本実施例のプリンター1の概略を示す側面図である。
図1に示す如く、本実施例の記録装置の一例であるプリンター1は、ロールホルダー2と、カッター8と、記録部9と、送り手段3と、残量情報取得手段14と、媒体検出手段16と、制御部18とを備えている。
このうち、ロールホルダー2は、ロール媒体Rを回動可能に保持することができるように設けられている。また、ロールホルダー2は、図示しないモーターの動力によって巻かれているロール媒体Rを解いたり、解かれているロール媒体Rを巻き取ったりすることができるように構成されている。
【0016】
また、カッター8は、ロール媒体Rを切断することができるように設けられている。具体的には、図示しないモーターの動力によってロール媒体Rの送り方向に対する幅方向Xに移動しながら、ロール媒体Rを切断することができるように構成されている。
またさらに、記録部9は、ロール媒体Rに対して記録を実行することができるように設けられている。具体的に、記録部9は、キャリッジ10と、記録ヘッド11と、第1媒体支持部12と、第2媒体支持部13とを有している。
【0017】
このうち、キャリッジ10は、図示しないガイド部材にガイドされながら図示しないモーターの動力によってロール媒体Rの幅方向Xに移動可能に設けられている。また、記録ヘッド11は、キャリッジ10におけるロール媒体Rと対向する側に設けられている。そして、インクを吐出することにより、ロール媒体Rに記録を実行するように構成されている。
【0018】
またさらに、第1媒体支持部12は、記録ヘッド11と対向する範囲に設けられ、ロール媒体Rを支持することができるように構成されている。これにより、ロール媒体Rと記録ヘッド11との間の距離を所定の距離にすることができる。また、第2媒体支持部13は、通常の記録時における送り方向において、第1媒体支持部12より下流側に設けられており、第1媒体支持部12と同様、ロール媒体Rを支持することができるように構成されている。
尚、第2媒体支持部13を有さない構成でもよい。本実施例において、第2媒体支持部13を設けたのは、大きさサイズの媒体に対する記録にも対応するためである。
【0019】
また、送り手段3は、解かれたロール媒体Rを送り方向上流側および下流側へ送ることができるように設けられている。本実施では、一例として、第1ローラー対4と、第2ローラー対5とを有している。このうち、第1ローラー対4は、通常の記録時のおける記録ヘッド11より上流側に設けられている。一方、第2ローラー対5は、通常の記録時における記録ヘッド11より下流側に設けられている。そして、少なくとも第1ローラー対4は、駆動モーターMの動力によって駆動することができるように設けられている。
【0020】
またさらに、残量情報取得手段14は、ロール媒体Rの残量についての情報を、ロール媒体Rを全部解かずに取得することができるように構成されている。残量の情報の取得する構成として、例えば、従来技術のように、ロール媒体Rの先端に記録されたバーコードを読み取る構成であるとする。具体的には、残量情報取得手段14は、キャリッジ10に搭載された光学式の第1センサー15である。
【0021】
ロール媒体Rの先端を第1センサー15と対向する位置まで送る。そして、キャリッジ10を幅方向Xへ移動させ、第1センサー15でバーコードを読み取ることにより、残量情報を取得する構成である。
尚、残量情報取得手段14は、新品のロール媒体Rの重量を基準として、現在のロール媒体Rの重量を測定することにより、残量を算出する構成でもよい。また、新品のロール媒体Rの径を基準として、現在のロール媒体Rの径を測定することにより、残量を算出する構成でもよい。またさらに、新品のロール媒体Rを回転させた際のトルク値を基準として、現在のロール媒体Rを回転させた際のトルク値を測定することにより、残量を算出する構成でもよい。
【0022】
また、媒体検出手段16は、通常の記録時における記録ヘッド11の上流側に設けられ、媒体の有無を検出することができるように構成されている。具体的には、光学式の第2センサー17である。
またさらに、制御部18は、キャリッジ10、記録ヘッド11、送り手段3等を制御することができるように構成されている。また、制御部18は所定の内容のメッセージをプリンター1の外装に設けられた表示部19に表示することができるように設けられている。
【0023】
また、本実施例では、第1排出スタッカー20と、第2排出スタッカー21とを有している。このうち、第1排出スタッカー20は、通常の記録時における第2媒体支持部13より下流側に設けられている。そして、通常の記録時において、記録されたロール媒体Rを載置することができるように設けられている。一方、第2排出スタッカー21は、詳しくは後述するように、ロール媒体Rをロールホルダー2から記録部9へ案内する第1送り経路6から分岐するように設けられた第2送り経路7の出口に設けられている。
【0024】
続いて、通常の記録時について説明する。
先ず、ロール媒体Rがロールホルダー2にセットされる。そして、ロール媒体Rの先端側が解かれて、ロール媒体Rの先端側のバーコードが記録された箇所が、残量情報取得手段14である第1センサー15と対向する位置まで送られる。この際、媒体検出手段16である第2センサー17がロール媒体Rの先端を検出するので、バーコードが記録された箇所を精度よく第1センサー15と対向する位置まで送ることができる。その後、キャリッジ10が幅方向Xへ移動し、第1センサー15がバーコードを読み取る。これにより、ロール媒体Rの残量情報を取得することができる。
【0025】
制御部18は、記録実行の指令があった際、記録データに基づいて必要な媒体の長さLと、ロール媒体Rの残量情報に基づく媒体の長さとを比較する。そして、記録に必要な長さLが残っていると判断した場合、記録を実行する。具体的には、送り手段3によってロール媒体RをY軸の矢印方向へ送りながら、記録部9によって記録を実行する。そして、所望の長さとなるようにカッター8でロール媒体Rを切断する。切断してからさらに記録を実行することにより、所謂、縁無し記録(印刷)を実行することができる。
【0026】
さらに、送り手段3によって切断されたロール媒体Rが第1排出スタッカー20へ排出される。尚、記録が終了した際に記録した箇所と後端との間に余白を空けてカッター8でロール媒体Rを切断してもよい。
一方、記録に必要な長さLが残っていないと判断した場合、記録を実行しない。そして、表示部19に媒体の長さが足りない旨およびロール媒体Rの交換が必要である旨を表示する。
尚、X軸方向は、ロール媒体Rの幅方向である。また、Y軸の矢印方向は、残量の情報を取得できた場合である通常の記録時の送り方向である。またさらに、Z軸方向は、ロール媒体Rと記録ヘッド11とが対向する方向である。また、鉛直方向でもある。
【0027】
続いて、残量情報取得手段14によって、残量の情報を取得できなかった場合について説明する。
例えば、ロール媒体Rの先端側にバーコードが記録されておらず、本実施例の残量情報取得手段14である第1センサー15によってロール媒体Rの残量の情報を取得することができなかったとする。係る場合の制御について以下に説明する。
【0028】
図2に示すのは、本実施例のロール媒体Rの残量情報が不明である場合の制御を示す図である。また、図3に示すのは、本実施例のロール媒体Rの必要長の有無を判定する際の動作を示す側面図である。またさらに、図4に示すのは、本実施例の必要長有りの場合のロール媒体切断時を示す側面図である。また、図5に示すのは、本実施例のロール媒体Rの必要長有りの場合の記録時を示す側面図である。
【0029】
以下、図2に沿って説明しながら、図3〜図5について説明する。
図2に示す如く、ステップS1では、ロール媒体Rの残量の情報が不明か否かを判定する。具体的には、制御部18が残量情報取得手段14によってロール媒体Rのバーコードを読み取ることができず、残量の情報を取得することができなかった場合、不明と判定する。係る場合、記録を実行することができるか否かを確認するべく、ステップS2へ進む。
【0030】
一方、前述したようにバーコードを読み取ることにより前記残量の情報を取得することができた場合、否と判定する。係る場合、前述した通常の制御により記録を実行することができるので、シーケンスを終了する。
ステップS2では、制御部18が、記録データに基づいて記録に必要な媒体の長さLの情報を取得する。そして、記録に必要な媒体の長さL分、実際にあるか否かを確認するべく、ステップS3へ進む。
ステップS3では、図3に示す如く、送り手段3によってロール媒体Rを解いて、ロール媒体Rの先端側をY軸の矢印方向へ送る。そして、必要な長さL分あるか否かを判定するべく、ステップS4へ進む。
【0031】
ステップS4では、制御部18が、ステップS2で取得した情報における必要な媒体の長さL分あるか否かを判定する。具体的には、ロール媒体Rの先端が媒体検出手段16である第2センサー17を通過してからさらに送り手段3によってロール媒体RをY軸の矢印方向へ送る。そして、ロール媒体Rの先端から記録ヘッド11の上流端と対向する箇所までの長さが、前記必要な媒体の長さLとなったとき、前記必要な長さL分あると判定することができる。前記必要な長さL分あると判定できた時点で、Y軸の矢印方向への送りを停止する。前記必要な長さL分あると判定した場合、記録を実行する準備をするべく、ステップS5へ進む。
【0032】
一方、前記必要な長さL分あると判定する前に、ロールホルダー2の回転が停止した場合や、送っている途中にロール媒体Rの後端が第2センサー17と対向する位置を通過してしまった場合は、前記必要な長さL分ないと制御部18が判定する。係る場合、このままでは、記録を実行しても完全に記録を完了することができずロール媒体Rが無駄となるので、記録を実行しない。とりあえず、ロール媒体Rに残量の情報を記録するべく、ステップS7へ進む。
【0033】
ステップS5では、図4に示す如く、カッター8によってロール媒体Rを切断する。そして、記録を実行するべく、ステップS6へ進む。
尚、図4では、前記必要な長さL分に余白分を加えた長さとなるように切断しているが、前記必要な長さL分ぴったりとなるように切断してもよい。係る場合、記録部9によって記録を実行しながらロールホルダー2および送り手段3によってロール媒体RをY軸の矢印と逆方向へ送って、ロール媒体Rにおける所望の箇所を切断すればよい。
【0034】
ステップS6では、図5に示す如く、送り手段3によってロール媒体RをY軸の矢印と逆方向へ送りながら、記録部9によって記録を実行する。この際、記録対象のロール媒体Rの進行方向先頭は、第1送り経路6から第2送り経路7に進入する。また、ロールホルダー2が逆転することにより記録対象でないロール媒体Rが巻き取られるので、記録対象でないロール媒体Rが記録対象のロール媒体Rの邪魔をする虞がない。そして、記録が完了し、さらに送り手段3によってY軸の矢印と逆方向へ送られることにより、記録対象のロール媒体Rは、専用の第2送り経路7を介して、第2排出スタッカー21へ排出される。そして、シーケンスを終了する。
【0035】
ステップS7では、必要な長さL分なかったので、送り手段3およびロールホルダー2によってロール媒体RをY軸の矢印と逆方向へ送る。この際、ステップS3およびステップS4の動作から算出した長さを残量の情報を、ロール媒体RにおけるY軸の矢印の下流側にバーコードにして記録する。これにより、次回、該ロール媒体Rを使用する際、容易に残量の情報を得ることができる。そして、ユーザーに対してロール媒体Rの交換を促すべく、ステップS8へ進む。
ステップS8では、制御部18は、表示部19に「ロール媒体Rの長さが足りません。新しいロール媒体Rに交換して下さい。」とロール媒体Rの交換を促す旨を表示する。そして、シーケンスを終了する。
【0036】
以上説明したように、本実施例では、残量情報取得手段14によって残量の情報を取得することができなかった場合、実際にロール媒体Rを送って必要な長さL分あるか否かを確認するように構成されている。従って、仮に必要な長さL分ある場合、記録を実行することができる。また、記録を実行する場合、必要な長さL分あるか否かを確認するために送った方向と逆方向へ送りながら記録を実行するように構成されている。
【0037】
従って、仮にロールホルダー2に巻き戻してから再度Y軸の矢印方向へ送りながら記録を実行する構成と比較して、巻き戻す時間のロスをなくすことができる。また、巻き戻した際の幅方向Xへのロール媒体Rのずれを考慮する必要がなく記録品質面でも有効である。
尚、本実施例において、残量情報取得手段14は、一例として従来技術と同様にロール媒体Rのヘッダーに記録されたバーコード(図6参照)を読み取る構成としたが、これに限らない。技術的思想としては、前述したように、巻かれているロール媒体Rを全部解かずに残量の情報を取得することができる構成であればよい。
【0038】
本実施例の記録装置としてのプリンター1は、ロール媒体Rを回転可能に保持するロールホルダー2と、ロール媒体Rに対して記録する記録部9と、ロールホルダー2と記録部9との間に設けられ、ロール媒体Rを切断可能なカッター8と、カッター8と記録部9との間に設けられ、ロール媒体Rを送り方向へ送ることが可能なローラー対である第1ローラー対4と、巻かれているロール媒体Rの長さの情報を、ロール媒体Rを全部解かずに取得可能な残量情報取得手段14と、第1ローラー対4と記録部9との間に設けられ、ロール媒体Rの有無を検出する媒体検出手段16と、第1ローラー対4および媒体検出手段16を用いて、ロール媒体Rを送った距離に基づいてロール媒体Rの長さを判断可能な制御部18と、を備え、ロールホルダー2に保持されたロール媒体Rの残量情報を、残量情報取得手段14が取得することができない場合、記録部9によって記録を実行する前に、記録を実行するための記録データから記録のためにロール媒体Rの必要な長さLの情報を取得し、媒体検出手段16によってロール媒体Rの有無を監視しながら第1ローラー対4から記録部9へ向かう第1の送り方向へロール媒体Rの必要な長さL分を第1ローラー対4によって送る際の駆動量だけ第1ローラー対4を駆動させることにより、制御部18が前記必要な長さL分のロール媒体Rがあるか否かを判定し、制御部18が前記必要な長さL分のロール媒体Rがあると判定したとき、カッター8によってロール媒体Rを切断し、第1ローラー対4によってロール媒体Rを第1の送り方向と逆向きの第2の送り方向へ送りながら、記録部9によって記録を実行する構成であることを特徴とする。
【0039】
また、本実施例において、ロールホルダー2から記録部9までロール媒体Rを案内する第1送り経路6と、ロールホルダー2と第1ローラー対4との間において、第1送り経路6から分岐しており、第1ローラー対4によって第2の送り方向へロール媒体Rが送られる際、前記分岐した箇所からロール媒体Rを排出する排出部までロール媒体Rを案内する第2送り経路7と、を有する構成であることを特徴とする。
【0040】
またさらに、本実施例において、制御部18が前記必要な長さL分のロール媒体Rがないと判定したとき、第1ローラー対4およびロールホルダー2によってロール媒体Rを前記第2の送り方向へ送ることにより、ロール媒体Rをロールホルダー2側に巻き戻し、該巻き戻す際、記録部9がロール媒体Rにおける前記第2の送り方向上流側にロール媒体Rの残量情報を記録する構成であることを特徴とする。
また、本実施例において、メッセージを表示可能な表示部19を備えており、ロール媒体Rをロールホルダー2側に巻き戻した際、ロール媒体Rの交換が必要である旨を表示部19に表示する構成であることを特徴とする。
【0041】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1 プリンター、2 ロールホルダー、3 送り手段、4 第1ローラー対、
5 第2ローラー対、6 第1送り経路、7 第2送り経路、8 カッター、
9 記録部、10 キャリッジ、11 記録ヘッド、12 第1媒体支持部、
13 第2媒体支持部、14 残量情報取得手段、15 第1センサー、
16 媒体検出手段、17 第2センサー、18 制御部、19 表示部、
20 第1排出スタッカー、21 第2排出スタッカー、
30 (従来技術の)ロール紙、31 ヘッダー、32 バーコード、L 必要な長さ、
M 駆動モーター、R ロール媒体、X 幅方向、Y (通常の記録時の)送り方向、
Z 媒体と記録ヘッドとが対向する方向(鉛直方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール媒体を回転可能に保持するロールホルダーと、
ロール媒体に対して記録する記録部と、
前記ロールホルダーと前記記録部との間に設けられ、ロール媒体を切断可能なカッターと、
該カッターと前記記録部との間に設けられ、ロール媒体を送り方向へ送ることが可能なローラー対と、
巻かれているロール媒体の長さの情報を、ロール媒体を全部解かずに取得可能な残量情報取得手段と、
前記ローラー対と前記記録部との間に設けられ、ロール媒体の有無を検出する媒体検出手段と、
前記ローラー対および前記媒体検出手段を用いて、ロール媒体を送った距離に基づいてロール媒体の長さを判断可能な制御部と、を備え、
前記ロールホルダーに保持されたロール媒体の残量情報を、前記残量情報取得手段が取得することができない場合、前記記録部によって記録を実行する前に、記録を実行するための記録データから記録のためにロール媒体の必要な長さの情報を取得し、前記媒体検出手段によってロール媒体の有無を監視しながら前記ローラー対から前記記録部へ向かう第1の送り方向へ前記ロール媒体の必要な長さ分を前記ローラー対によって送る際の駆動量だけ前記ローラー対を駆動させることにより、前記制御部が前記必要な長さ分のロール媒体があるか否かを判定し、
前記制御部が前記必要な長さ分のロール媒体があると判定したとき、前記カッターによってロール媒体を切断し、前記ローラー対によってロール媒体を前記第1の送り方向と逆向きの第2の送り方向へ送りながら、前記記録部によって記録を実行する構成である記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記ロールホルダーから前記記録部までロール媒体を案内する第1送り経路と、
前記ロールホルダーと前記ローラー対との間において、前記第1送り経路から分岐しており、前記ローラー対によって前記第2の送り方向へロール媒体が送られる際、前記分岐した箇所からロール媒体を排出する排出部までロール媒体を案内する第2送り経路と、を有する構成である記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録装置において、前記制御部が前記必要な長さ分のロール媒体がないと判定したとき、前記ローラー対および前記ローラーホルダーによってロール媒体を前記第2の送り方向へ送ることにより、ロール媒体を前記ロールホルダー側に巻き戻し、該巻き戻す際、前記記録部がロール媒体における前記第2の送り方向上流側にロール媒体の残量情報を記録する構成である記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、メッセージを表示可能な表示部を備えており、
ロール媒体を前記ロールホルダー側に巻き戻した際、ロール媒体の交換が必要である旨を前記表示部に表示する構成である記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−240307(P2012−240307A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112533(P2011−112533)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】