説明

記録計

【課題】ユーザにとって必要なデータのみを記録し、測定データの解析にかかる手間を省く。
【解決手段】記録計1は、外部からの各種測定データを順次取り込み、この各種測定データの経時変化を表示部5に表示するもので、年月日指定、曜日指定、年月日・曜日指定の組み合わせの何れかで指定される運転情報入力モードを選択するためのモード指定手段2aと、モード指定手段2aによって選択された運転情報入力モードにおいて、開始・終了年月日、使用曜日、開始・終了時刻を運転情報として選択的に入力するための運転情報入力画面を表示画面上に表示制御する表示制御手段4dと、運転情報入力画面で入力設定された運転情報を記憶する運転情報記憶手段3bとを備え、運転情報記憶手段3bに記憶された運転情報に基づいて装置の運転開始・終了を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば熱電対や測温抵抗体などの温度検出素子からの温度信号の他、接点信号や電圧信号などの外部からの各種入力信号の測定データの経時変化(時間経過に対する値の変化)をチャートとして記録紙に変えて表示画面上に表示する記録計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば熱電対や測温抵抗体などの温度検出素子からの温度信号の他、接点信号、電圧信号などの信号を取り込み、この取り込んだ信号を各チャンネル毎の測定データとしてその経時変化を表示画面上にチャート表示するペーパーレスの記録計が既に知られている。
【0003】
図6は下記特許文献1に開示される記録計の正面図である。図6に示すように、この記録計51は、表示部52を有し、例えば熱電対や測温抵抗体などの温度検出素子からの温度信号の他、接点信号や電圧信号などを入力信号として取り込み、この取り込んだ信号を各チャンネル毎の測定データとして表示部52の表示画面52a上に表示している。その際、表示部52の表示画面52a上には、各チャンネル毎の測定データの経時変化がチャートとして表示されるようになっている。これにより、記録紙を必要とせず、あたかも記録紙が画面を流れるように各チャンネル毎の測定データをトレンド表示するペーパーレス記録計が構成される。
【特許文献1】特公平5−33725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の記録紙を不要とする従来の記録計では、データを四六時中記録していると、そのデータ量も膨大となり、記録メディア容量を無駄に食いつぶしてしまう。その結果、データを解析しなければならない場合の解析にかかる手間も膨大になってしまうという課題があった。また、記録するべき時に記録していないミスが発生するという課題もあった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、ユーザにとって必要なときのデータのみを記録することができる記録計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る請求項1の発明に記載された記録計は、外部から入力される各種測定データを順次取り込み、この取り込んだ各種測定データの経時変化を表示画面上に表示する記録計において、
年月日指定、曜日指定、年月日・曜日指定の組み合わせの何れかで指定された運転条件に基づいて装置の運転開始・終了を制御するスケジュール機能を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明に記載された記録計は、外部から入力される各種測定データを順次取り込み、この取り込んだ各種測定データの経時変化を表示画面上に表示する記録計において、
年月日指定、曜日指定、年月日・曜日指定の組み合わせの何れかで指定される運転情報入力モードを選択するためのモード指定手段と、
該モード指定手段によって選択された運転情報入力モードにおいて、開始・終了年月日、使用曜日、開始・終了時刻を運転情報として選択的に入力するための運転情報入力画面を表示画面上に表示制御する表示制御手段と、
前記運転情報入力画面で入力設定された運転情報を記憶する運転情報記憶手段とを備え、
該運転情報記憶手段に記憶された運転情報に基づいて装置の運転開始・終了を制御することを特徴とする。
【0008】
本発明の記録計によれば、ユーザにとって必要なデータのみを記録することができる。これにより、不要な測定データを排除し、測定データの解析にかかる手間を省くことができる。また、記録ミスを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。図1は本発明に係る記録計のブロック構成図、図2は本発明に係る記録計の表示状態の一例を示す図、図3〜図5は本発明に係る記録計のスケジュール機能により運転条件を登録する場合の運転条件入力画面の各種表示例を示す図である。
【0010】
本例の記録計は、ユーザの所定の入力操作によって運転条件(年月日や曜日の指定による運転期間及び開始・終了時刻)を自由に設定し、この設定された運転条件に従って装置の運転時間(開始、終了)を自動的に制御するスケジュール機能を備えている。
【0011】
図1に示すように、記録計1は、設定入力部2、記憶部3、制御部4、表示部5を備えて概略構成される。
【0012】
設定入力部2は、例えばユーザにより手動操作される装置の正面操作パネルに設けられた複数の操作キーなどからなる。この設定入力部2では、チャンネル選択、表示部5の表示画面11上に表示する各チャンネルの測定データを所望の表示形態で表示を行う際の各種設定を行っている。
【0013】
設定入力部2による設定内容としては、例えば表示画面上にチャート表示する測定データのチャンネル数の設定、各チャンネルの計測レンジを示すスケールの範囲設定、各チャンネルの表示色の設定、各測定データを複数の分割領域で表示する場合の表示形態の設定、設定内容の保存先番号の設定、使用する温度検出素子の種類(例えば熱電対の場合は、K熱電対、E熱電対、J熱電対、T熱電対)の設定、データの取り込み時間間隔である収録インターバルの設定、警報を出力する上下限警報値の設定、トレンド設定、レイアウト変更、収録開始・停止の設定などがある。
【0014】
さらに、本例の設定入力部2は、図1に示すように、モード指定手段2a、入力項目選択手段2b、入力確定手段2cを備えている。
【0015】
モード指定手段2aは、例えば図2に示すような正面操作パネルに設けられた「MODE」キー(モード切替キー)からなり、装置の運転条件を決定する各種運転情報を入力する際に操作される。具体的には、表示部5に図2に示すような測定データ表示画面12が表示されている状態で、図3〜図5に示すような運転情報入力画面13(図2の一点鎖線で示す部分)をウィンドウ表示して運転情報入力モードに切り替える際に押動操作される。
【0016】
本例では、図2に示すモード指定手段2aとしての「MODE」キーが押動操作される毎に、運転情報入力モードが図3に示す「年月日指定モード」、図4に示す「曜日指定モード」、図5に示す「年月日・曜日指定モード」の順番に各モードがループして切り替えられる。このときのモード指定手段2aによる操作信号は制御部4に入力される。
【0017】
入力項目選択手段2bは、例えば図2に示すような正面操作パネルに設けられた上下左右の方向キーからなり、図3〜図5の何れかの運転情報入力モードが選択されている状態で、運転情報入力画面13内の各入力項目を順次選択する際に操作される。
【0018】
例えば運転情報入力モードとして「年月日指定モード」が選択されている場合には、「開始年月日」の年月日と時刻、「終了年月日」の年月日と時刻が順次選択される。このときの入力項目選択手段2bによる操作信号は制御部4に入力される。本例では、年月日や時刻の入力項目が選択されると、予め代表的な選択項目(実際の年月日や時刻)が複数表示されて任意に選択できるようになっているが、これらの選択項目を選択した状態で、さらにテンキーを表示させ、このテンキーや他の操作キーなどによって修正したり数値入力することもできる。
【0019】
尚、入力項目選択手段2bとしての方向キーは、設定入力部2による各種設定時の設定項目を選択したり、測定データ表示画面12上の各測定データの計測波形を時間軸方向にスクロールする際にも使用される。
【0020】
入力確定手段2cは、例えば図2に示すような正面操作パネルに設けられた「ENTER」キー(確定キー)からなり、図3〜図5の何れかの運転情報入力画面13が表示されている状態で、全ての入力項目に対する入力を終えて各種運転情報が設定され、この設定された各種運転情報を記憶部3に登録する際に操作される。このときの入力確定手段2cによる操作信号は制御部4に入力される。
【0021】
記憶部3は、例えばROM、RAMなどで構成され、データ収録の処理に関する各種処理プログラムの他、外部から入力される各チャンネル毎の入力信号を測定データとしてデータ記憶手段3aに記憶している。また、記憶部3は、図3〜図5の何れかの運転情報入力モードで設定された各種運転情報を装置の運転条件(運転スケジュール)として記憶する運転情報記憶手段3bを備えている。
【0022】
制御部4は、例えばCPUなどのマイクロプロセッサで構成され、設定入力部2により設定された各種設定情報や記憶部3に格納された各種処理プログラムに基づいて、例えば図2に示す表示部5の測定データ表示画面12に対する各チャンネルの測定データの各種表示に関する処理を制御している。
【0023】
また、制御部4は、図3〜図5の何れかの運転情報入力モードで運転情報が設定され、入力確定手段2cから操作信号が入力されたときに、その運転情報を運転情報記憶手段3bに書き込んで登録している。そして、制御部4は、運転情報記憶手段3bに登録された運転情報に基づく運転時間で装置を自動運転するべく各部を統括制御している。
【0024】
さらに、本例の制御部4は、カレンダー機能を有するとともに、図1に示すように、モード判別手段4a、計時手段4b、運転状況判別手段4c、表示制御手段4dを備えている。
【0025】
モード判別手段4aは、設定入力部2のモード指定手段2aからの操作信号の有無によって運転情報入力モードに切り替えるか否かを判別している。そして、モード指定手段2aから操作信号が入力されたときに、モードを運転情報入力モードに切り替えるべく表示制御手段4dに表示切替信号を出力している。
【0026】
計時手段4bは、例えば制御部4の内部タイマーで構成され、カレンダー機能による現在の年月日に合わせて時刻を計時している。
【0027】
運転状況判別手段4cは、運転情報記憶手段3bに登録された運転情報によって運転が行われているときに、カレンダー機能及び計時手段4bによる現在の年月日及び時刻と、運転情報記憶手段3bに登録された運転情報とに基づいて現在の運転状況を判別している。そして、運転状況判別手段4cは、登録された運転情報の終了年月日の時刻になったと判断したときに、装置の運転を自動的に停止し、外部からの測定データの取り込みを禁止している。
【0028】
表示制御手段4dは、モード判別手段4aからの表示切替信号、運転状況判別手段4cの判別結果に応じて、図2に示す測定データ表示画面12や図3〜図5に示す運転情報入力画面13などの表示を行うべく表示制御信号を出力して表示部5の表示を制御している。
【0029】
表示部5は、表示制御手段4dからの表示制御信号により、図2に示すような測定データ表示画面12に各チャンネル毎の測定データの計測値や計測波形を表示したり、図3〜図5に示すような運転情報入力画面13を表示している。
【0030】
表示部5は、例えば液晶表示器等で構成され、計測に関する各種表示を行っており、図1に示すように、データ表示手段5a、スケジュール表示手段5bを備えている。
【0031】
データ表示手段5aは、外部から逐次取り込まれる各チャンネル毎の測定データの計測値や計測波形を図2に示す測定データ表示画面12に表示している。
【0032】
スケジュール表示手段5bは、各種運転情報(装置の運転スケジュール)を設定する際に、図3〜図5に示す運転情報入力画面13を表示している。
【0033】
次に、上述した構成による記録計1のスケジュール機能の動作例として、「年月日指定モード」、「曜日指定モード」、「年月日・曜日指定モード」の何れかのモードによって運転条件を指定した場合の動作について図3〜図5を参照しながら順に説明する。
【0034】
・「年月日指定モード」による運転条件の指定
ユーザが「MODE」キー2aを1回押すと、図3に示す運転情報入力画面13(13A)が表示される。その際、曜日設定の「使用曜日」、「開始時刻」、「終了時刻」の各入力項目は選択不可能に表示される。この運転情報入力画面13Aが表示された状態で、方向キー2bを操作して年月日設定の「開始年月日」と「終了年月日」の各入力項目を順次選択し、「開始年月日」と「終了年月日」の各々の年月日と時刻を入力する。そして、全ての入力を終えた状態で「ENTER」キー2cを押す。これにより、年月日設定で入力された運転情報が運転スケジュールとして運転情報記憶手段3bに登録される。
【0035】
図3の例では、運転情報入力画面13Aの「開始年月日」の年月日に05/10/01、時刻に08:00が入力され、「終了年月日」の年月日に05/10/31、時刻に17:00が入力された状態を示している。この運転情報が運転情報記憶手段3bに登録された場合、記録計1は、05/10/01の08:00に運転を開始し、05/10/31の17:00に運転を終了する。
【0036】
・「曜日指定モード」による運転条件の指定
ユーザが「MODE」キー2aを2回押すと、図4に示す運転情報入力画面13(13B)が表示される。その際、年月日設定の「開始年月日」、「終了年月日」の各入力項目は選択不可能に表示される。この運転情報入力画面13Bが表示された状態で、方向キー2bを操作して曜日設定の「使用曜日」、「開始時刻」、「終了時刻」の各入力項目を順次選択し、「使用曜日」の該当する曜日にチェックを入れ、「開始時刻」と「終了時刻」の各々の時刻を入力する。そして、全ての入力を終えた状態で「ENTER」キー2cを押す。これにより、曜日設定で入力された運転情報が運転スケジュールとして運転情報記憶手段3bに登録される。
【0037】
図4の例では、運転情報入力画面13Bの「使用曜日」の月、火、水、木、金にチェックを入れ、「開始時刻」に08:00、「終了時刻」に17:00が入力された状態を示している。この運転情報が運転情報記憶手段3bに登録された場合、記録計1は、月、火、水、木、金の各曜日において、8:00に運転を開始し、17:00に運転を終了する。
【0038】
・「年月日・曜日指定モード」による運転条件の指定
ユーザが「MODE」キー2aを3回押すと、図5に示す運転情報入力画面13(13C)が表示される。この運転情報入力画面13Cが表示された状態で、方向キー2bを操作して年月日設定の「開始年月日」と「終了年月日」、曜日設定の「使用曜日」、「開始時刻」と「終了時刻」の各入力項目を順次選択し、「開始年月日」と「終了年月日」の各々の年月日と時刻を入力するとともに、「使用曜日」の該当する曜日にチェックを入れ、「開始時刻」と「終了時刻」の各々の時刻(年月日設定の時刻と同一なので、省略も可能)を入力する。そして、全ての入力を終えた状態で「ENTER」キー2cを押す。これにより、年月日設定及び曜日設定で入力された運転情報が運転スケジュールとして運転情報記憶手段3bに登録される。
【0039】
図5の例では、運転条件入力画面13Cの「開始年月日」の年月日に05/10/01、時刻に08:00が入力され、「終了年月日」の年月日に05/10/31、時刻に17:00が入力され(曜日設定の「開始時刻」と「終了時刻」も同様)、「使用曜日」の月、火、水、木、金にチェックを入れた状態を示している。この運転情報が運転情報記憶手段3bに登録された場合、記録計1は、05/10/01から05/10/31の期間の月、火、水、木、金の各曜日において、8:00に運転を開始し、17:00に運転を終了する。
【0040】
このように、本例の記録計では、スケジュール機能により、運転情報入力画面で所定の運転条件を入力して登録すると、この登録された運転条件による期間のみ運転をする。
【0041】
従って、本例の記録計によるスケジュール機能を使用すれば、記録計(ペーパレスレコーダ)のデータのうち必要な期間のみのデータを記録することができ、解析等に役立てることができる。例えば、ある工場の稼働時間中のみ記録するといった用途に使用することができる。
【0042】
ところで、上述した形態では、運転条件を指定して設定する際、「MODE」キーが押動操作される毎に、運転情報入力モードを「年月日指定モード」→「曜日指定モード」→「年月日・曜日指定モード」の順番にループして3つのモードを切り替える構成として説明したが、ユーザの用途に応じて少なくとも1つのモードを備えた構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る記録計のブロック構成図である。
【図2】本発明に係る記録計の測定データ表示画面の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る記録計のスケジュール機能により運転条件を登録する場合の運転情報入力画面の表示例であって、「年月日指定モード」が選択されたときの運転情報入力画面の例を示す図である。
【図4】「曜日指定モード」が選択されたときの運転情報入力画面の例を示す図である。
【図5】「年月日・曜日指定モード」が選択されたときの運転情報入力画面の例を示す図である。
【図6】特許文献1に開示される従来の記録計の正面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 記録計
2 設定入力部
2a モード指定手段(「MODE」キー:モード切替キー)
2b 入力項目選択手段(方向キー)
2c 入力確定手段(「ENTER」キー:確定キー)
3 記憶部
3a データ記憶手段
3b 運転情報記憶手段
4 制御部
4a モード判別手段
4b 計時手段
4c 運転状況判別手段
4d 表示制御手段
5 表示部
5a データ表示手段
5b スケジュール表示手段
11 表示画面
12 測定データ表示画面
13 運転情報入力画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される各種測定データを順次取り込み、この取り込んだ各種測定データの経時変化を表示画面上に表示する記録計において、
年月日指定、曜日指定、年月日・曜日指定の組み合わせの何れかで指定された運転条件に基づいて装置の運転開始・終了を制御するスケジュール機能を備えたことを特徴とする記録計。
【請求項2】
外部から入力される各種測定データを順次取り込み、この取り込んだ各種測定データの経時変化を表示画面上に表示する記録計において、
年月日指定、曜日指定、年月日・曜日指定の組み合わせの何れかで指定される運転情報入力モードを選択するためのモード指定手段と、
該モード指定手段によって選択された運転情報入力モードにおいて、開始・終了年月日、使用曜日、開始・終了時刻を運転情報として選択的に入力するための運転情報入力画面を表示画面上に表示制御する表示制御手段と、
前記運転情報入力画面で入力設定された運転情報を記憶する運転情報記憶手段とを備え、
該運転情報記憶手段に記憶された運転情報に基づいて装置の運転開始・終了を制御することを特徴とする記録計。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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