設計チェックシステム、設計チェック方法、及び設計チェックプログラム
【課題】 インターネットで接続された環境においても、回路設計技術や基板設計技術を公開することなく、基板レイアウトの電気特性チェックを行うことができる設計チェックシステムを提供する。
【解決手段】 本発明では、入力された基板レイアウト情報の基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置から特徴量を抽出する。修正判定手段は、この特徴量とデータベースから読み出した電気特性不良に対応する修正判定基準とを比較することでレイアウト修正の要否を判定する。これにより、ユーザに、修正判定基準や判定方法を公開することなく、電気特性のチェックを行うことができる。
【解決手段】 本発明では、入力された基板レイアウト情報の基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置から特徴量を抽出する。修正判定手段は、この特徴量とデータベースから読み出した電気特性不良に対応する修正判定基準とを比較することでレイアウト修正の要否を判定する。これにより、ユーザに、修正判定基準や判定方法を公開することなく、電気特性のチェックを行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CAD(Computer Aided Design)に関し、特に、基板レイアウト情報(基板レイアウトCADデータ)の電気特性のチェックを行う設計チェックシステム、設計チェック方法及び設計チェックプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AV機器のデジタル化、高性能化が進み、AV機器内のLSIもデジタル化、高速化、高集積化が進んでいる。これに伴い、LSIを実装する基板から放射される放射ノイズが問題となってきており、放射ノイズを低減するための基板設計技術が非常に重要となってきている。
【0003】
また、AV機器の小型化とともに機器内の基板の小型化も進み、より小型化するために、従来一般的に使われてきたガラスエポキシ等の基板材質とは異なる新たな材質のビルドアップ基板も多く使われるようになってきている。このような新材質の基板においては、放射ノイズの放射特性が従来の基板と異なるため、基板材質に応じて設計基準や設計方法を変更する必要がある。
【0004】
これに対して、放射ノイズ対策に関する情報を提供できる設計者(登録者)が、インターネットを介して設計・対策事例をデータベースに登録し、放射ノイズ対策に関する情報を必要とする設計者(利用者)が、当該データベースを参照することで情報を取得できるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−157280号公報(第4−7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術では、登録者は、具体的な回路構成や基板レイアウトを設計・対策事例としてデータベースに登録するため、利用者はデータベースを参照することにより、具体的な回路構成や基板レイアウトを取得することができる。このため、利用者は、取得した回路構成や基板レイアウトを解析することで、放射ノイズ対策に関する情報だけでなく、回路設計や基板設計に関する細部の情報も取得することが可能となる。
【0006】
登録者にとって、利用者に回路設計や基板設計に関する細部の情報を取得されることはノウハウの漏洩に繋がるため好ましくない。さらに、利用者が取得した回路構成や基板レイアウトが、課金されることなく第三者に流出する危険性もある。
【0007】
本発明は、上記従来の事情に基づいて提案されたものであって、具体的な回路構成や基板レイアウトの流出を防ぐとともに、データベースへのアクセスに対して確実に課金する設計チェックシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の手段を採用している。
【0009】
まず、本発明は、基板レイアウト情報に対して電気特性のチェックを行う設計チェックシステムを前提としている。
【0010】
本発明の設計チェックシステムは、基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件、抽出する特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定する基準である修正判定基準を、発生が予測される電気特性不良の発生原因ごとに、それぞれ関連付けて登録したデータベースを格納する記憶手段を備えている。また、上記設計チェックシステムは、基板レイアウトの電気特性チェックを行うための、位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段を備える。
【0011】
上記位置特定手段は、上記データベースに格納された位置特定条件に基づいて上記基板レイアウト情報から電気特性不良の発生が予測される位置を特定するために用いられる。そして、上記特徴量抽出手段は、上記位置特定手段が特定した位置において、上記データベースに格納された特徴量の項目にしたがった特徴量を抽出する。
【0012】
また、上記修正判定手段は、上記特徴量抽出手段が抽出した特徴量と上記記憶手段より読み出した当該特徴量に対応する上記修正判定基準とを比較することで基板レイアウトの修正の要否を判定するものである。
【0013】
上記設計チェックシステムが、基板レイアウト情報が入力されるクライアント装置と当該クライアント装置にネットワークで接続されるサーバ装置とで構成される場合、上記記憶手段はサーバ装置に備えられる。このとき、上記位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段は、サーバ装置とクライアント装置とのどちらに備えてもよいが、位置特定手段と特徴量抽出手段は同一の装置が備えることが好ましい。
【0014】
例えば、サーバ装置が、位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段を備える場合、クライアント装置は入力された基板レイアウト情報をサーバ装置に送信する。この場合、サーバ装置は、受信した基板レイアウト情報から特徴量を抽出して上記判定を行い、当該判定の結果をクライアント装置に送信する。
【0015】
また、サーバ装置が修正判定手段を備え、クライアント装置が位置特定手段及び特徴量抽出手段を備える場合、クライアント装置は入力された基板レイアウト情報から特徴量を抽出してサーバ装置に送信する。この場合、サーバ装置は、受信した特徴量を用いて上記判定を行い、判定の結果をクライアント装置に送信する。
【0016】
そして、クライアント装置が、位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段を備える場合、クライアント装置は、サーバ装置から上記修正判定条件を取得して上記判定を行う。
【0017】
なお、上記クライアント装置が、位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段のいずれかを備える構成とするときには、当該各手段をそれぞれプログラムとして上記サーバ装置に格納しておき、上記クライアント装置が必要に応じてサーバ装置から取得して実行する構成とすればよい。
【0018】
以上のいずれの構成によっても、設計チェックシステムは、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報を公開することなく電気特性のチェックを行うことが可能となる。
【0019】
ところで、上記サーバ装置は、上記クライアント装置から上記データベースへのアクセスに応じて課金するための課金手段を備えてもよい。本発明は、データベースにアクセスしなければ、設計チェックを行うことができないため、データベースへのアクセスに応じて課金することで情報に対する課金を確実に行うことができる。
【0020】
また、上記クライアント装置が、上記データベースに登録されたエラーの解説やレイアウトの修正方法等の当該判定結果に関する詳細な情報を表示するか否かを選択できる選択手段を備えてもよい。これにより、電気特性不良に関する情報を段階的に表示することができる。また、詳細情報にアクセスできる設計者を制限することで、特定の設計者にのみ詳細情報を表示することが可能となる。
【0021】
さらに、上記サーバ装置が、上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量を集積する第2の記憶手段と、当該集積した特徴量の平均値等の統計量を演算する統計量演算手段を備え、当該統計量を上記判定の結果とともに上記クライアント装置に送信する構成としてもよい。このようにすれば、ユーザは、他のユーザの設計平均値と自身の設計値を比較することが可能となり、自身の設計傾向を把握することができる。
【0022】
一方、本発明の設計チェックシステムでは、上記基板レイアウト情報に代えて回路設計データが入力された場合に、上記位置特定手段が、回路設計データだけで位置の特定ができる位置特定条件に基づいて上記回路設計データから位置を特定するようにしている。このとき、上記サーバ装置は、上記データベースに登録されている当該位置特定条件に対応するレイアウト設計に関する情報を上記クライアント装置に送信する。
【0023】
これにより、ユーザは、回路設計を行った段階で設計チェックをおこなうことで、上記データベースから、レイアウト設計に関する情報を取得することが可能となる。
【0024】
また、他の観点では、本発明は、上記の手順からなる設計チェック方法を提供することができる。
【0025】
さらに、他の観点では、本発明は、上述の設計チェック方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することができる。
【0026】
なお、本明細書において、基板レイアウト情報とは、回路を構成するデバイスを特定する情報(デバイスの種類や抵抗値・容量値等)や各配線の情報(伝搬する信号の種類・電源ライン・グランド等)等の回路設計データ、及び配線長・配線幅やビアホール位置等の基板レイアウトに関する物理的な情報を指すものである。
【0027】
また、基板レイアウトの影響による電気特性不良とは、例えば、配線パターンの配置により発生する放射ノイズや、配線間の信号干渉による信号波形の乱れ等を指すものである。
【0028】
さらに、特徴量とは、入力された基板レイアウト情報の中で、基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生に関与する情報を指すものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、サーバ装置に格納された位置特定条件、特徴量の項目、及び修正判定条件というパラメータを使用して基板レイアウト情報の設計チェックを行う構成であるので、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報を公開することなく、基板レイアウトの電気特性のチェックを行うことができる。さらに、第三者がクライアント装置のプログラムを解析することによっても、レイアウト修正の要否の判定方法や判定基準を得ることができないため守秘性が高い。
【0030】
また、本発明では、レイアウト修正の要否の判定方法及び判定基準が第三者に流出することがないため、サーバ装置(データベース)へのアクセスに応じて課金することで、情報に対する課金を確実に行うことができる。
【0031】
さらに、電気特性不良に関する情報を段階的に表示する選択手段を備えているため、詳細情報にアクセスできるユーザを制限することで、特定のユーザにのみ詳細情報を表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0033】
図1は本発明の一実施の形態を示す概略図である。また、図2はクライアント装置1a及びサーバ装置2における処理を示すフローチャートである。
【0034】
本発明の設計チェックシステムは、ユーザが基板レイアウト情報をクライアント装置1a、1b、・・・に入力すると、以下の手順で設計チェック処理を実行する。
【0035】
まず、サーバ装置2の記憶手段16に格納されたデータベースには、図3に示すような位置特定条件32、抽出する特徴量の項目33が対になって登録され、それぞれの項目に対して項目番号31が与えられている。
【0036】
上記の各項目についての詳しい説明は後述するが、項目番号「1」を例に位置特定条件32、特徴量の項目33を説明すると以下のようになる。
【0037】
図18(b)に示すように、グランド面82にスリット83が形成された状態で、その上、又は下の層の信号線81がスリット83を跨ぐ場合、信号線81を流れる電流量あるいは信号周波数の条件によって、放射ノイズが発生しやすい状態となる。この事例の場合、位置特定条件32は、「グランド層のスリットとスリットを跨ぐ信号線」となり、特徴量の項目33は、「信号線を伝搬する信号の周波数、信号線を流れる電流量及び信号線とループ電流経路で構成される面の面積」となる。
【0038】
上記の状態において、まず、ユーザは、クライアント装置1aにCAD入力やデータファイル読み込み等により基板レイアウト情報を入力する。例えば、CAD入力により基板レイアウト情報を入力する場合、クライアント装置1aの表示手段11には、図5に示すような、データ表示部51、メッセージ表示部52及びコマンド表示部53で構成される画面21が表示される。この状態で、ユーザはコマンド表示部53に配置されたレイアウト編集ボタン群54により、クライアント装置1aに基板レイアウト情報をCAD入力する。
【0039】
基板レイアウト情報を入力した後、コマンド表示部53のチェックボタン55をクリックすると設計チェックが開始される。
【0040】
まず、クライアント装置1aは、サーバ装置2と送受信手段15、19を介して通信を行い、クライアント装置1aまたはユーザが、データベースへのアクセスを許可されているか否かを、装置IDまたはユーザが入力したユーザIDとパスワードを用いてサーバ装置2の認証手段20に問い合わせる(図2 S1及びS11)。アクセスが許可されていない場合、クライアント装置1aとサーバ装置2は処理を終了する。
【0041】
アクセスが許可されている場合、クライアント装置1aの位置特定手段12は、データベースから図3に示す位置特定条件32及び特徴量の項目33(以下、左記2項目を合わせて抽出条件と記述する)と項目番号31を全て読み込む(図2 S2)。
【0042】
次に、位置特定手段12は、項目番号31の順にしたがって、入力された基板レイアウト情報から位置特定条件32に合致する位置の特定を行う。そして、基板レイアウト情報から位置特定条件32に合致する位置を特定できた場合にのみ、当該特定した位置において、特徴量抽出手段13が特徴量の項目33により指定された特徴量を抽出する。
【0043】
図3の例では、まず、位置特定手段12が項目番号「1」の位置特定条件32である「グランド層のスリットとスリットを跨ぐ信号線が存在する位置」に合致する位置の特定を行う(図2 S3)。入力された基板レイアウト情報全体に対して、この位置特定条件32に合致する位置が特定できなかった場合、位置特定手段12は次項目の有無を確認する(図2 S6)。ここでは、次項目があるので、位置特定手段12は、項目番号「2」の位置特定条件32に合致する位置の特定を行う。
【0044】
一方、位置特定手段12が項目番号「1」の位置特定条件32に合致する位置を特定できた場合、特徴量抽出手段13は、その特定した位置から項目番号「1」の特徴量の項目33である「信号線を伝搬する信号の周波数、信号線を流れる電流量及び信号線とリターン電流経路で構成される面の面積」を抽出する(図2 S4)。このとき、特徴量抽出手段13は、基板レイアウト情報上の位置情報である座標を同時に抽出する。また、抽出した特徴量及び座標は、項目番号31と対応させてクライアント装置1aの記憶手段14に格納される。
【0045】
この位置特定処理及び特徴量抽出処理は、入力された基板レイアウト情報全体に対して処理が完了するまで繰り返される(図2 S5)。基板レイアウト情報の全体に対して処理が完了した場合、位置特定手段12は次項目の有無を確認する(図2 S6)。ここでは、次項目があるので、項目番号「2」の位置特定条件32に合致する位置の特定を行う。
【0046】
以上の位置特定処理と特徴量抽出処理を繰り返して、全ての項目番号31について処理を完了した場合、特徴量抽出手段13は、クライアント装置1aの記憶手段14に格納した特徴量、抽出位置の座標及び対応する項目番号31を読み出し、送信手段15を介してサーバ装置2に送信する(図2 S7)。
【0047】
サーバ装置2の修正判定手段17は、この送信された特徴量、抽出位置の座標及び対応する項目番号31を、送受信手段19を介して受信する(図2 S12)。そして、修正判定手段17は、記憶手段16に格納されたデータベースから受信した項目番号31に対応する修正判定基準34を読み出し、読み出した修正判定基準34と受信した特徴量とを比較して基板レイアウトの修正の要否を判定する(図2 S13)。
【0048】
判定は、図4に示すような、項目番号31により関連づけられた修正判定基準34を満たすか否かで行われる。例えば、クライアント装置1aから、項目番号「1」の特徴量が送信された場合、修正判定手段17は、項目番号「1」の修正判定基準34である「特徴量から算出した放射ノイズ量が所定の上限値を超える」を読み込む。そして、受信した特徴量から後述の関係式を用いて放射ノイズ量を算出する。この算出した放射ノイズ量が所定の上限値を超える場合、修正判定手段17は基板レイアウトの修正が必要(エラー)と判定し、所定の上限値を超えていない場合、修正は不要と判定する。
【0049】
この判定は、受信した全ての特徴量に対して順次行われる(図2 S14)。そして、全ての特徴量に対して判定が完了した場合、修正判定手段17は判定の結果、例えば、エラーと判定された特徴量を抽出した位置の座標を上記クライアント装置1aに送信する(図2 S15)。
【0050】
以上の構成によれば、サーバ装置2は、クライアント装置1aで抽出された特徴量を用いてレイアウト修正の要否を判定し、判定結果をクライアント装置1aに返信するので、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報をユーザに公開することなく電気特性のチェックを行うことができる。
【0051】
したがって、ネットワーク3をインターネットに接続し、他の企業が設計チェックシステムを使用できるオープンな環境としても、回路構成や基板レイアウト等の情報が他の企業に流出する危険性がない。また、クライアント装置1aのプログラムを解析することによっても、基板レイアウト修正の要否の判定方法、判定基準を第三者が取得することができないため守秘性が高い。
【0052】
一方、クライアント装置1aは、上記判定の結果を受信し(図2 S8)、当該結果を表示手段11に表示する(図2 S9)。図5に示す例では、画面表示21のメッセージ表示部52に判定結果が表示される。
【0053】
この判定結果には、エラーと判定された位置の数と、詳細情報を必要に応じて表示できる選択手段56であるWebページを指示するURLが記載されており、当該URLを参照することでエラーに関する詳細情報を取得することができる(図2 S10)。図5の例では、画面表示21のメッセージ表示部52に表示されたURL部分をクリックすることでブラウザが起動し、Webページを表示することができる。
【0054】
図6のWebページ表示例に示すように、詳細情報を示すWebページ22には、特徴量抽出時に取得したエラー位置の座標、上記データベースに項目番号31と関連づけられて登録されている当該エラーの解説及びレイアウトの修正方法が表示される。このWebページ22を参照するときには、データ表示部51に表示される上記入力された基板レイアウト情報の該当部分がハイライト表示され、位置を確認することができる。
【0055】
例えば、この詳細情報にアクセスできるユーザを制限し、特定のユーザのみに詳細情報を表示する構成とすることで、社内のユーザには詳細情報を公開し、社外のユーザには詳細情報を非公開とすることも可能である。
【0056】
ところで、サーバ装置2では、上記判定結果をクライアント装置1aに送信したときに、課金手段18が、クライアント装置1aから上記データベースへのアクセスに応じた課金処理を行う(図2 S16)。
【0057】
課金手段18は、修正判定手段17及びデータベースへのアクセスをモニタすることにより、認証手段20が確認したユーザまたはクライアント装置1aに対して、例えば、アクセス回数、アクセス時間、エラー個数、提供した情報の量等に応じた課金を行う。また、課金手段18は、クライアント装置1aが上記詳細情報を示すWebページ22を参照した場合も課金を行うようにしている。加えて、装置IDまたはユーザIDによる識別により、社内ユーザ等の特定のIDに対して課金を行わないことも可能である。
【0058】
本発明では、上記のとおり、レイアウト修正の要否の判定方法及び判定基準が第三者に流出すること、すなわち、情報の流出がないため、データベースへのアクセスに応じて課金を行うことで、情報に対する課金を確実に行うことができる。
【0059】
一方、本発明の設計チェックシステムは、その利用法の一つとして、ユーザの教育ツールに適用することができる。教育ツールとして使用する場合は、データベースに基板レイアウトの影響で発生が予測される電気特性不良の発生原理等の情報をさらに登録しておき、上記URLで指示されるWebページにより、当該情報を図表による解説を付して表示できる構成とする。
【0060】
これにより、ユーザは、レイアウトの修正が必要と判定された場合に、電気特性不良の発生原理を参照することができ、設計能力を高めることができる。また、上記課金手段18により、ユーザごとにエラー数に応じて課金する構成としておけば、課金額により各ユーザの基板レイアウト設計のスキルを確認することができる。
【0061】
なお、上記では、設計チェックを開始した時に、位置特定手段12がデータベースから抽出条件を取得する構成としたが、クライアント装置1aに備えた記憶手段14に抽出条件を格納する構成としてもよい。
【0062】
これにより、クライアント装置1aは、設計チェックを行う度に、サーバ装置2から抽出条件を取得する必要がなくなるため、サーバ装置2とのデータの送受信回数を減らすことができる。この場合、位置特定手段12は、各設計チェック開始時に、新規項目の追加等のデータベースに対する変更の有無をタイムスタンプ等で確認し、変更があった場合にはデータベースから抽出条件を取得し、記憶手段14に格納した抽出条件を更新する。これにより、サーバ装置2の記憶手段16に格納されているデータベースを更新するだけで、ネットワーク3を介して接続される全てのクライアント装置1a、1b、・・・において、常に最新の情報に基づいて設計チェックを行うことが可能となる。
【0063】
また、上記では、データベース内の全てのチェック項目についてチェックを行う場合を説明したが、図7の例に示すように、設計チェック開始時にデータベースに登録された設計チェック項目の一覧をクライアント装置1aに表示し、ユーザが設計チェックを行う項目を表示手段11上に表示される項目選択手段71により選択できる構成としてもよい。これにより、例えば、設計チェックの結果に基づいて基板レイアウトの修正を行った後、再度設計チェックを行うときに、エラーとなったチェック項目だけをチェックすることが可能となり、チェック時間を短縮することができる。
【0064】
さらに、上記の説明では、クライアント装置1aが位置特定手段12と特徴量抽出手段13を予め備える構成としたが、これに限るものではない。例えば、サーバ装置2が、上記の位置特定処理、及び特徴量抽出処理(図2 S2〜S6)をクライアント装置1aに実行させるプログラムを記憶手段16に格納する構成とし、クライアント装置が、設計チェックを開始するときに、このプログラムをサーバ装置から取得する構成としても同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、このように、クライアント装置1aがサーバ装置2からプログラムを取得する構成とする場合には、基板レイアウトの電気特性のチェックが完了したときに、サーバ装置2からの指示により上記プログラムを削除する構成とすれば、上記プログラムを第三者に解析されることがないためより守秘性を高めることができる。
【0066】
なお、上記電気特性不良の事例は、具体例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0067】
(実施の形態2)
本発明の他の実施の形態を図8の概略図、及び、図9のフロー図を参照して説明する。なお、図面において、上記実施の形態1と同一の機能を有するブロック、及び同一の処理を行うステップには同一の符号を付している。
【0068】
本実施の形態では、上記実施の形態1において、クライアント装置1aが備えていた位置特定手段12と特徴量抽出手段13をサーバ装置2が備え、クライアント装置1が、サーバ装置2にアクセスを行うサーバアクセス手段72を備える構成としている。
【0069】
すなわち、基板レイアウト情報が入力されたクライアント装置1aは、ブラウザ等のサーバアクセス手段72によりサーバ装置2と通信を行い、データベースへのアクセスが許可されている場合に(図9 S1)、当該入力された基板レイアウト情報をサーバ装置2に送信する(図9 S21)。
【0070】
サーバ装置2が上記基板レイアウト情報を受信すると(図9 S22)、サーバ装置2の位置特定手段12と特徴量抽出手段13は、上記抽出条件にしたがって、上記実施の形態1で説明した位置特定処理及び特徴量抽出処理を行い、入力された基板レイアウト情報から特徴量及び抽出位置の座標を抽出する(図9 S2〜S6)。
【0071】
また、修正判定手段17は、上記実施の形態1と同様に当該抽出した特徴量に基づいて、基板レイアウトの修正要否を判定し(図9 S13、S14)、当該判定の結果及び特徴量を抽出した位置の座標をクライアント装置1aに送信する(図9 S15)。なお、当該判定の結果を受信したときのクライアント装置1aの動作は、上記実施の形態1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0072】
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報をユーザに公開することなく電気特性のチェックを行うことが可能である。また、本実施の形態では、基板レイアウトの電気特性のチェックを全てサーバ装置2で行うため、守秘性をより高めることができる。
【0073】
(実施の形態3)
本発明のさらに他の実施の形態を図10の概略図、及び、図11のフロー図を参照して説明する。なお、図面において、上記実施の形態1と同一の機能を有するブロック、及び同一の処理を行うステップには同一の符号を付している。
【0074】
本実施の形態では、上記実施の形態1において、サーバ装置2が備えていた修正判定手段12をクライアント装置1aが備える構成としている。
【0075】
すなわち、クライアント装置1aにおいて、入力された基板レイアウト情報に対して、上記実施の形態1で説明した特徴量抽出処理まで(図11 S1〜S6)が実行された後、クライアント装置1aに備えた修正判定手段17が、基板レイアウトの修正要否の判定を行う(図11 S13、S14)。このとき、修正判定手段17は、項目番号31により関連づけられた上記修正判定基準34を、サーバ装置2の記憶手段16に格納されたデータベースから読み出して参照する(図11 S31)。
【0076】
この判定結果がクライアント装置1aに表示されるときの動作は、上記実施の形態1において、判定の結果を受信した後のクライアント装置1aの動作と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0077】
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報をユーザに公開することなく電気特性のチェックを行うことが可能である。
【0078】
なお、上記の説明では、クライアント装置1aが位置特定手段12、特徴量抽出手段13、及び修正判定手段17を予め備える構成としたが、これに限るものではない。例えば、サーバ装置2が、上記の位置特定処理及び特徴量抽出処理(図11 S2〜S6)をクライアント装置1aに実行させるプログラム、及び上記修正判定処理(図11 S13、S14)をクライアント装置1aに実行させるプログラムを記憶手段16に格納する構成とし、クライアント装置1aが、設計チェックを開始するときに、これらのプログラムをサーバ装置から取得する構成としても同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、このように、クライアント装置1aがサーバ装置2からプログラムを取得する構成とする場合には、基板レイアウトの電気特性のチェックが完了したときに、サーバ装置2からの指示により上記プログラムを削除する構成とすれば、上記プログラムを第三者に解析されることがないためより守秘性を高めることができる。
【0080】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記各実施の形態で説明したサーバ装置2が、上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量を集積する第2の記憶手段121と、当該集積した特徴量の平均値や最大値等の統計量を演算する統計量演算手段122とをさらに備える構成としている。ここでは、実施の形態1で説明したサーバ装置2に適用した場合について、図12のサーバ装置2の概略図を参照して説明する。
【0081】
上記実施の形態1で説明したように、ユーザが、基板レイアウトに対して設計チェックが開始すると、クライアント装置1aで抽出された特徴量及び抽出位置の座標と項目番号31が上記サーバ装置2に送信される。本実施の形態では、サーバ装置2で受信された特徴量は、上記第2の記憶手段121に上記項目番号31とともに順次記憶される。
【0082】
このようにして第2の記憶手段121に特徴量が集積された状態で、他の基板レイアウトの設計チェックが開始されると、上記統計量演算手段122が、上記第2の記憶手段121から上記特徴量とともに受信された項目番号31に対応する特徴量を全て読み出して、当該特徴量の平均値や最大値等の統計量を演算し、クライアント装置1aに送信する。
【0083】
なお、基板レイアウト情報から抽出される特徴量は、例えば、図2の項目番号「2」に登録されている座標等のように統計量の演算に適さないものが存在する。このため、本実施の形態では、上記統計量演算手段122に、統計量を演算する特徴量の項目33が登録されている項目番号31を予め設定し、統計量演算手段122が設定された項目番号31に対応する特徴量についてのみ統計量を演算するにしている。
【0084】
本実施の形態では、このような統計量を演算する特徴量の項目の管理を容易とするために、サーバ装置2の記憶手段16に格納されるデータベースに、実施の形態1で説明した特徴量の項目に加えて、統計量を演算する目的のみに使用する特徴量の項目を登録している。図13に示す例では、項目番号「100」に位置特定条件が「LSI」、また、特徴量の項目33が「電源ピンの数、バイパスコンデンサの数」として登録されている。
【0085】
この場合、クライアント装置1aの位置特定手段12は、基板レイアウト情報から、上記記憶手段16に記憶されている項目番号「100」に対応する位置特定条件の「LSI」を特定する。そして、特徴量抽出手段13が当該特定したLSIの電源ピンの数と、電源ピンに連結されているバイパスコンデンサの数を特徴量として抽出し、サーバ装置に送信する。
【0086】
また、統計量演算手段122は、当該設計チェックが実行されるまでに記憶手段122に記憶された、項目番号「100」に対応する上記特徴量を読み出して統計量を算出し、クライアント装置1aに送信する。このとき、項目番号「100」に対応する修正判定条件は上記データベースに登録されていないので、修正判定手段17は基板レイアウト情報の修正の要否を判定しない。
【0087】
このようにしてクライアント装置1aに送信された統計量は、図5に示す表示画面21のメッセージ表示部52に、例えば、「電源ピン1本あたり平均1.3個のバイパスコンデンサが配置されているのに対し、今回の設計では0.7個です。」と表示される。
【0088】
この構成によれば、ユーザは、他のユーザの設計平均値と自身の設計値を比較することが可能となり、自身の設計傾向を把握することができる。
【0089】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記各実施の形態で説明したサーバ装置2が、レイアウト設計情報読出手段141をさらに備える構成としている。ここでは、実施の形態1で説明したサーバ装置2に適用した場合について、図14のサーバ装置2の概略図を参照して説明する。
【0090】
上記各実施の形態ではクライアント装置1aに基板レイアウト情報が入力されていたが、本実施の形態では基板レイアウト情報に代えて、回路設計データが入力される。
【0091】
このように回路設計データが入力された状態で、設計チェックが開始されると、上記位置特定手段12が回路設計データだけで位置の特定ができる位置特定条件32に基づいて上記回路設計データから位置を特定し、当該特定した位置において、特徴量抽出手段13が特徴量の抽出を行う。ここで、回路設計データだけで位置の特定ができる位置特定条件32とは、例えば、電源ラインと接地面との間に配置される「バイパスコンデンサ」やLSIのクロックピン間に配置される「ダンピング抵抗」等である。このような位置特定条件32は、図14に示すように、項目番号31及び特徴量の項目33に対応づけられて上記データベースに登録されている。図14に示す例では、項目番号「200」に、位置特定条件32である「バイパスコンデンサ」と特徴量の項目である「電源ピン」が登録されている。
【0092】
なお、位置特定処理、特徴量抽出処理の手順は上記実施の形態1の手順と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0093】
上記の状態において、例えば、図17に示すコントロールICとメモリICとが接続された回路設計データがクライアント装置1aに入力された場合について、以下で説明する。なお、図17の各ICに外周に記載されている数字は、各ICのピン番号を示すものである。
【0094】
この場合、位置特定手段12および特徴量抽出手段13は、特定した位置と特徴量の組み合わせとして、項目番号「200」に対しては、「C1、IC1の10番ピン」、「C2、IC1の24番ピン」、・・・、「C6、IC2の27番ピン」を得る。
【0095】
一方、上記データベースには、レイアウト設計に関する情報であるレイアウト設計情報35が、上記項目番号31に対応づけられて登録されている。すなわち、図15に示すように、「バイパスコンデンサ」が登録されている項目番号「200」には、「バイパスコンデンサは電源ピンとの距離が最短となるように配置する」というレイアウト設計情報35が登録されている。
【0096】
サーバ装置2では、上記特徴量抽出手段13から送信された項目番号31がレイアウト情報読出手段141に順次入力される。例えば、項目番号「200」が入力された場合、レイアウト情報読出手段141は、項目番号「200」に対応するレイアウト設計情報35である「バイパスコンデンサは電源ピンまたは外部からの電源入力部位との距離が最短となるように配置する」を上記データベースから読み出し、当該レイアウト設計情報35をクライアント装置1aに送信する。このとき、修正判定手段17にも項目番号「200」が入力されるが、当該項目番号「200」に対応する修正判定条件が上記データベースに登録されていないため、修正判定手段17は基板レイアウト情報の修正の要否を判定しない。
【0097】
上記レイアウト設計情報35を受信したクライアント装置1aは、受信したレイアウト設計情報35と、当該レイアウト設計情報35に対応する上述の特定位置と特徴量の組み合わせを、図5に示す表示画面21のメッセージ表示部52に表示する。すなわち、上記の例では、「バイパスコンデンサC1は、IC1の10番ピンとの距離が最短となるように配置すること」等が表示される。
【0098】
このとき、上記入力した回路設計データに当該レイアウト設計情報35を付加情報として、例えば、ヘッダ等に書き込む構成とすれば、当該回路設計データに基づいて基板レイアウトの設計を行うときに、回路設計データを参照することで当該情報を確認することが可能となる。
【0099】
なお、本実施の形態は回路設計データに対して設計チェックを行うので、クライアント装置1aに上記実施の形態1で説明した項目選択手段71を備え、本実施の形態の設計チェックシステムが、回路設計データだけで位置の特定ができる位置特定条件32についてのみ設計チェックを実行する構成とすることが好ましい。
【0100】
このようにすれば、ユーザは、回路設計を行った段階で設計チェックを実行することで、上記データベースから、レイアウト設計に関する情報を取得でき、基板レイアウト設計に反映することが可能となる。
【0101】
なお、上記各実施の形態において、上記クライアント装置1aには、基板の製造プロセスによって制限される設計ルール(最小線幅、最小配線間隔、ビアホールサイズ等)を満たしているか否かをチェックするDRC(Design Rule Check)機能を備えてもよい。これにより、電気特性のチェックと同時に設計ルール違反のチェックを行うことができるため効率的である。
【0102】
(電気特性不良発生例1)
以下では、本発明の設計チェックシステムにおいて、チェックを行う電気特性不良の事例を示す。
【0103】
図18(a)に示す事例は、多層基板において、内層の配線層をグランド面82とし、他の層に信号線81を形成する場合に、グランド面82を分断するスリット83上に信号線81が配置される事例である。このようなグランド面82のスリット83は、多層基板において、グランド面82を挟んで信号線81をビアホールで接続したり、電源面86から他の層に電源を供給したりする場合に、グランド面82を貫通するビアホールのクリアランスランドが連なって発生することがある。また、グランド面82を、例えばデジタルグランドとアナロググランドといった複数の領域に分ける場合にも発生することがある。
【0104】
グランド面82にスリットがない場合、電流が信号線81上を流れると、信号線直下のグランド面82上を当該電流と反対の方向にリターン電流84が流れ、発生する電磁波は相互に打ち消しあうことになる。
【0105】
ところが、このリターン電流84が流れる経路にスリット83がある場合、リターン電流84はスリット83の外周に沿って流れる。このため、信号線81を流れる電流とリターン電流84とが発生する電磁波は相互に打ち消しあわない。このような状態では、リターン電流84の経路と前記信号線81が形成する面の面積であるループ面積85に比例した放射ノイズが発生することになる。
【0106】
この放射ノイズの発生量(E)は、数1に示すように、信号線を伝搬する信号の周波数(f)、信号線を流れる電流量(I)、及びループ面積85(A)に依存する。
【0107】
【数1】
【0108】
なお、数1のαは実際の測定から導出した定数であり、Rは基板から放射ノイズの強度を測定する位置までの距離(例えば、3m)である。
【0109】
以上から、この事例では、位置特定条件は、「グランド層のスリットとスリットを跨ぐ信号線が存在する位置」となる。また、抽出する特徴量の項目は、「信号線を伝搬する信号の周波数、信号線を流れる電流量及びループ面積」となる。
【0110】
そして、修正判定基準は、発生を許容できる放射ノイズ発生量(E)を上限値として設定し、「特徴量から算出した放射ノイズ量が上限値を超える」となる。
【0111】
(電気特性不良発生例2)
図19(a)に示す事例は、多層基板において、最上面の配線層に電源配線91を形成し、絶縁層を介して3番目の配線層を電源面として使用する場合に、ビアホール92を介して電源面から電源が供給されるLSI90の電源配線91に、他端をグランドに接地したバイパスコンデンサ93が配置される事例である。
【0112】
図19(a)に示すように、LSI90の電源ピン94、電源面に接続するビアホール92、バイパスコンデンサ93の順で接続されている場合、LSI90の電源ピン94から流入出する高周波電流の一部は、バイパスコンデンサ93に流れずにビアホール92を介して電源面に流れる。この電源面に流れる電流は、電源面の電位を変動させるため放射ノイズが発生する。このため、図19(b)に示すように、バイパスコンデンサ93がLSI90とビアホール92との間に位置する基板レイアウトの方がよい。
【0113】
この事例の場合、位置特定条件は、「LSI、電源面に接続するビアホール、バイパスコンデンサ及び電源配線が存在する位置」となる。また、抽出する特徴量の項目は「LSIの電源ピンの座標・電源配線の座標・バイパスコンデンサの座標・電源面に接続するビアホールの座標」となり、修正判定基準は、「ビアホールとLSIの電源ピン間にバイパスコンデンサがない」となる。
【0114】
(電気特性不良発生例3)
図20に示す事例は、多層基板において、最上面の配線層に信号線101を形成し、絶縁層を介して2番目の配線層をグランド面102として使用する場合に、基板端に信号線101が配置される事例である。
【0115】
基板端に信号線101を配置した場合、図20(a)に示すように、信号線101を伝搬する信号により発生する電界はグランド面102で閉じず基板外部に漏れる。この基板外部に漏れる電界が放射ノイズを発生する。この電界の漏れは、信号線101を伝搬する信号の周波数が高くなる程大きくなる。このため、図20(b)に示すように、信号線101を基板端から所定距離だけ内側に配置し、電界が外部に漏れないレイアウトとする方がよい。なお、信号線が内層に配置され、上下にグランド面がある場合は、電界の漏れ方が異なるのでこの事例とは別の事例となる。
【0116】
この事例の場合、位置特定条件は、「基板端にある最表面に形成された信号線」となる。また、抽出する特徴量の項目は、「基板端から信号線までの距離、信号線が配置されている層、信号線を伝搬する信号の最大周波数(パルス信号の場合は、立ち上がりまたは立ち下り時間から算出する)、基板層構成」となり、修正判定基準は、「所定周波数以上の最大周波数を有する信号を伝搬する信号線が基板端から所定距離以内にある」となる。
【0117】
(電気特性不良発生例4)
図21に示す事例は、多層基板において、内層の2つの配線層をグランド面111と電源面112として配置した事例である。
【0118】
内層にグランド面111と電源面112を配置した場合、グランド面111の端部と電源面112の端部が揃っていると、図21(a)に示すように電源面112からグランド面111に向かう電界は、基板外部を経由してグランド面111に達する。この基板外部に漏れる電界は放射ノイズを発生する。このため、図21(b)に示すように、電源面112の端部をグランド層111よりも所定幅内側に配置し、電界が外部に漏れないレイアウトとする方がよい。
【0119】
この事例の場合、位置特定条件は、「グランド面と電源面が存在する」となる。また、抽出する特徴量の項目は、「基板層構成・電源面の座標(面の構成点の座標)・グランド面の座標(面の構成点の座標)」となり、修正判定基準は、「電源面端部がグランド面端部に対して所定幅以上内側にない」となる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報を公開することなく、基板レイアウトデータの電気特性のチェックを行うことができるという効果を有し、設計チェックシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム構成を表す概略図
【図2】本発明の実施の形態1の処理の流れを示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1の抽出条件を説明する図
【図4】本発明の実施の形態1の修正判定条件を説明する図
【図5】本発明の実施の形態1のクライアント装置の画面表示例を示す概略図
【図6】本発明の実施の形態1の詳細情報表示の概略図
【図7】本発明の実施の形態1のシステム構成の変形例を表す概略図
【図8】本発明の実施の形態2のシステム構成を表す概略図
【図9】本発明の実施の形態2の処理の流れを示すフローチャート
【図10】本発明の実施の形態3のシステム構成を表す概略図
【図11】本発明の実施の形態3の処理の流れを示すフローチャート
【図12】本発明の実施の形態4のシステム構成を表す概略図
【図13】本発明の実施の形態4の抽出条件を説明する図
【図14】本発明の実施の形態5のシステム構成を表す概略図
【図15】本発明の実施の形態5の抽出条件を説明する図
【図16】本発明の実施の形態5のレイアウト設計情報を説明する図
【図17】本発明の実施の形態5を動作を説明する回路図
【図18】電気特性不良が発生する事例を示す図
【図19】電気特性不良が発生する事例を示す図
【図20】電気特性不良が発生する事例を示す図
【図21】電気特性不良が発生する事例を示す図
【符号の説明】
【0122】
1a,1b・・・ クライアント装置
2 サーバ装置
3 ネットワーク(インターネット網)
12 位置特定手段
13 特徴量抽出手段
14、16 記憶手段
17 修正判定手段
18 課金手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、CAD(Computer Aided Design)に関し、特に、基板レイアウト情報(基板レイアウトCADデータ)の電気特性のチェックを行う設計チェックシステム、設計チェック方法及び設計チェックプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AV機器のデジタル化、高性能化が進み、AV機器内のLSIもデジタル化、高速化、高集積化が進んでいる。これに伴い、LSIを実装する基板から放射される放射ノイズが問題となってきており、放射ノイズを低減するための基板設計技術が非常に重要となってきている。
【0003】
また、AV機器の小型化とともに機器内の基板の小型化も進み、より小型化するために、従来一般的に使われてきたガラスエポキシ等の基板材質とは異なる新たな材質のビルドアップ基板も多く使われるようになってきている。このような新材質の基板においては、放射ノイズの放射特性が従来の基板と異なるため、基板材質に応じて設計基準や設計方法を変更する必要がある。
【0004】
これに対して、放射ノイズ対策に関する情報を提供できる設計者(登録者)が、インターネットを介して設計・対策事例をデータベースに登録し、放射ノイズ対策に関する情報を必要とする設計者(利用者)が、当該データベースを参照することで情報を取得できるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−157280号公報(第4−7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術では、登録者は、具体的な回路構成や基板レイアウトを設計・対策事例としてデータベースに登録するため、利用者はデータベースを参照することにより、具体的な回路構成や基板レイアウトを取得することができる。このため、利用者は、取得した回路構成や基板レイアウトを解析することで、放射ノイズ対策に関する情報だけでなく、回路設計や基板設計に関する細部の情報も取得することが可能となる。
【0006】
登録者にとって、利用者に回路設計や基板設計に関する細部の情報を取得されることはノウハウの漏洩に繋がるため好ましくない。さらに、利用者が取得した回路構成や基板レイアウトが、課金されることなく第三者に流出する危険性もある。
【0007】
本発明は、上記従来の事情に基づいて提案されたものであって、具体的な回路構成や基板レイアウトの流出を防ぐとともに、データベースへのアクセスに対して確実に課金する設計チェックシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の手段を採用している。
【0009】
まず、本発明は、基板レイアウト情報に対して電気特性のチェックを行う設計チェックシステムを前提としている。
【0010】
本発明の設計チェックシステムは、基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件、抽出する特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定する基準である修正判定基準を、発生が予測される電気特性不良の発生原因ごとに、それぞれ関連付けて登録したデータベースを格納する記憶手段を備えている。また、上記設計チェックシステムは、基板レイアウトの電気特性チェックを行うための、位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段を備える。
【0011】
上記位置特定手段は、上記データベースに格納された位置特定条件に基づいて上記基板レイアウト情報から電気特性不良の発生が予測される位置を特定するために用いられる。そして、上記特徴量抽出手段は、上記位置特定手段が特定した位置において、上記データベースに格納された特徴量の項目にしたがった特徴量を抽出する。
【0012】
また、上記修正判定手段は、上記特徴量抽出手段が抽出した特徴量と上記記憶手段より読み出した当該特徴量に対応する上記修正判定基準とを比較することで基板レイアウトの修正の要否を判定するものである。
【0013】
上記設計チェックシステムが、基板レイアウト情報が入力されるクライアント装置と当該クライアント装置にネットワークで接続されるサーバ装置とで構成される場合、上記記憶手段はサーバ装置に備えられる。このとき、上記位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段は、サーバ装置とクライアント装置とのどちらに備えてもよいが、位置特定手段と特徴量抽出手段は同一の装置が備えることが好ましい。
【0014】
例えば、サーバ装置が、位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段を備える場合、クライアント装置は入力された基板レイアウト情報をサーバ装置に送信する。この場合、サーバ装置は、受信した基板レイアウト情報から特徴量を抽出して上記判定を行い、当該判定の結果をクライアント装置に送信する。
【0015】
また、サーバ装置が修正判定手段を備え、クライアント装置が位置特定手段及び特徴量抽出手段を備える場合、クライアント装置は入力された基板レイアウト情報から特徴量を抽出してサーバ装置に送信する。この場合、サーバ装置は、受信した特徴量を用いて上記判定を行い、判定の結果をクライアント装置に送信する。
【0016】
そして、クライアント装置が、位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段を備える場合、クライアント装置は、サーバ装置から上記修正判定条件を取得して上記判定を行う。
【0017】
なお、上記クライアント装置が、位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段のいずれかを備える構成とするときには、当該各手段をそれぞれプログラムとして上記サーバ装置に格納しておき、上記クライアント装置が必要に応じてサーバ装置から取得して実行する構成とすればよい。
【0018】
以上のいずれの構成によっても、設計チェックシステムは、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報を公開することなく電気特性のチェックを行うことが可能となる。
【0019】
ところで、上記サーバ装置は、上記クライアント装置から上記データベースへのアクセスに応じて課金するための課金手段を備えてもよい。本発明は、データベースにアクセスしなければ、設計チェックを行うことができないため、データベースへのアクセスに応じて課金することで情報に対する課金を確実に行うことができる。
【0020】
また、上記クライアント装置が、上記データベースに登録されたエラーの解説やレイアウトの修正方法等の当該判定結果に関する詳細な情報を表示するか否かを選択できる選択手段を備えてもよい。これにより、電気特性不良に関する情報を段階的に表示することができる。また、詳細情報にアクセスできる設計者を制限することで、特定の設計者にのみ詳細情報を表示することが可能となる。
【0021】
さらに、上記サーバ装置が、上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量を集積する第2の記憶手段と、当該集積した特徴量の平均値等の統計量を演算する統計量演算手段を備え、当該統計量を上記判定の結果とともに上記クライアント装置に送信する構成としてもよい。このようにすれば、ユーザは、他のユーザの設計平均値と自身の設計値を比較することが可能となり、自身の設計傾向を把握することができる。
【0022】
一方、本発明の設計チェックシステムでは、上記基板レイアウト情報に代えて回路設計データが入力された場合に、上記位置特定手段が、回路設計データだけで位置の特定ができる位置特定条件に基づいて上記回路設計データから位置を特定するようにしている。このとき、上記サーバ装置は、上記データベースに登録されている当該位置特定条件に対応するレイアウト設計に関する情報を上記クライアント装置に送信する。
【0023】
これにより、ユーザは、回路設計を行った段階で設計チェックをおこなうことで、上記データベースから、レイアウト設計に関する情報を取得することが可能となる。
【0024】
また、他の観点では、本発明は、上記の手順からなる設計チェック方法を提供することができる。
【0025】
さらに、他の観点では、本発明は、上述の設計チェック方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することができる。
【0026】
なお、本明細書において、基板レイアウト情報とは、回路を構成するデバイスを特定する情報(デバイスの種類や抵抗値・容量値等)や各配線の情報(伝搬する信号の種類・電源ライン・グランド等)等の回路設計データ、及び配線長・配線幅やビアホール位置等の基板レイアウトに関する物理的な情報を指すものである。
【0027】
また、基板レイアウトの影響による電気特性不良とは、例えば、配線パターンの配置により発生する放射ノイズや、配線間の信号干渉による信号波形の乱れ等を指すものである。
【0028】
さらに、特徴量とは、入力された基板レイアウト情報の中で、基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生に関与する情報を指すものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、サーバ装置に格納された位置特定条件、特徴量の項目、及び修正判定条件というパラメータを使用して基板レイアウト情報の設計チェックを行う構成であるので、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報を公開することなく、基板レイアウトの電気特性のチェックを行うことができる。さらに、第三者がクライアント装置のプログラムを解析することによっても、レイアウト修正の要否の判定方法や判定基準を得ることができないため守秘性が高い。
【0030】
また、本発明では、レイアウト修正の要否の判定方法及び判定基準が第三者に流出することがないため、サーバ装置(データベース)へのアクセスに応じて課金することで、情報に対する課金を確実に行うことができる。
【0031】
さらに、電気特性不良に関する情報を段階的に表示する選択手段を備えているため、詳細情報にアクセスできるユーザを制限することで、特定のユーザにのみ詳細情報を表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0033】
図1は本発明の一実施の形態を示す概略図である。また、図2はクライアント装置1a及びサーバ装置2における処理を示すフローチャートである。
【0034】
本発明の設計チェックシステムは、ユーザが基板レイアウト情報をクライアント装置1a、1b、・・・に入力すると、以下の手順で設計チェック処理を実行する。
【0035】
まず、サーバ装置2の記憶手段16に格納されたデータベースには、図3に示すような位置特定条件32、抽出する特徴量の項目33が対になって登録され、それぞれの項目に対して項目番号31が与えられている。
【0036】
上記の各項目についての詳しい説明は後述するが、項目番号「1」を例に位置特定条件32、特徴量の項目33を説明すると以下のようになる。
【0037】
図18(b)に示すように、グランド面82にスリット83が形成された状態で、その上、又は下の層の信号線81がスリット83を跨ぐ場合、信号線81を流れる電流量あるいは信号周波数の条件によって、放射ノイズが発生しやすい状態となる。この事例の場合、位置特定条件32は、「グランド層のスリットとスリットを跨ぐ信号線」となり、特徴量の項目33は、「信号線を伝搬する信号の周波数、信号線を流れる電流量及び信号線とループ電流経路で構成される面の面積」となる。
【0038】
上記の状態において、まず、ユーザは、クライアント装置1aにCAD入力やデータファイル読み込み等により基板レイアウト情報を入力する。例えば、CAD入力により基板レイアウト情報を入力する場合、クライアント装置1aの表示手段11には、図5に示すような、データ表示部51、メッセージ表示部52及びコマンド表示部53で構成される画面21が表示される。この状態で、ユーザはコマンド表示部53に配置されたレイアウト編集ボタン群54により、クライアント装置1aに基板レイアウト情報をCAD入力する。
【0039】
基板レイアウト情報を入力した後、コマンド表示部53のチェックボタン55をクリックすると設計チェックが開始される。
【0040】
まず、クライアント装置1aは、サーバ装置2と送受信手段15、19を介して通信を行い、クライアント装置1aまたはユーザが、データベースへのアクセスを許可されているか否かを、装置IDまたはユーザが入力したユーザIDとパスワードを用いてサーバ装置2の認証手段20に問い合わせる(図2 S1及びS11)。アクセスが許可されていない場合、クライアント装置1aとサーバ装置2は処理を終了する。
【0041】
アクセスが許可されている場合、クライアント装置1aの位置特定手段12は、データベースから図3に示す位置特定条件32及び特徴量の項目33(以下、左記2項目を合わせて抽出条件と記述する)と項目番号31を全て読み込む(図2 S2)。
【0042】
次に、位置特定手段12は、項目番号31の順にしたがって、入力された基板レイアウト情報から位置特定条件32に合致する位置の特定を行う。そして、基板レイアウト情報から位置特定条件32に合致する位置を特定できた場合にのみ、当該特定した位置において、特徴量抽出手段13が特徴量の項目33により指定された特徴量を抽出する。
【0043】
図3の例では、まず、位置特定手段12が項目番号「1」の位置特定条件32である「グランド層のスリットとスリットを跨ぐ信号線が存在する位置」に合致する位置の特定を行う(図2 S3)。入力された基板レイアウト情報全体に対して、この位置特定条件32に合致する位置が特定できなかった場合、位置特定手段12は次項目の有無を確認する(図2 S6)。ここでは、次項目があるので、位置特定手段12は、項目番号「2」の位置特定条件32に合致する位置の特定を行う。
【0044】
一方、位置特定手段12が項目番号「1」の位置特定条件32に合致する位置を特定できた場合、特徴量抽出手段13は、その特定した位置から項目番号「1」の特徴量の項目33である「信号線を伝搬する信号の周波数、信号線を流れる電流量及び信号線とリターン電流経路で構成される面の面積」を抽出する(図2 S4)。このとき、特徴量抽出手段13は、基板レイアウト情報上の位置情報である座標を同時に抽出する。また、抽出した特徴量及び座標は、項目番号31と対応させてクライアント装置1aの記憶手段14に格納される。
【0045】
この位置特定処理及び特徴量抽出処理は、入力された基板レイアウト情報全体に対して処理が完了するまで繰り返される(図2 S5)。基板レイアウト情報の全体に対して処理が完了した場合、位置特定手段12は次項目の有無を確認する(図2 S6)。ここでは、次項目があるので、項目番号「2」の位置特定条件32に合致する位置の特定を行う。
【0046】
以上の位置特定処理と特徴量抽出処理を繰り返して、全ての項目番号31について処理を完了した場合、特徴量抽出手段13は、クライアント装置1aの記憶手段14に格納した特徴量、抽出位置の座標及び対応する項目番号31を読み出し、送信手段15を介してサーバ装置2に送信する(図2 S7)。
【0047】
サーバ装置2の修正判定手段17は、この送信された特徴量、抽出位置の座標及び対応する項目番号31を、送受信手段19を介して受信する(図2 S12)。そして、修正判定手段17は、記憶手段16に格納されたデータベースから受信した項目番号31に対応する修正判定基準34を読み出し、読み出した修正判定基準34と受信した特徴量とを比較して基板レイアウトの修正の要否を判定する(図2 S13)。
【0048】
判定は、図4に示すような、項目番号31により関連づけられた修正判定基準34を満たすか否かで行われる。例えば、クライアント装置1aから、項目番号「1」の特徴量が送信された場合、修正判定手段17は、項目番号「1」の修正判定基準34である「特徴量から算出した放射ノイズ量が所定の上限値を超える」を読み込む。そして、受信した特徴量から後述の関係式を用いて放射ノイズ量を算出する。この算出した放射ノイズ量が所定の上限値を超える場合、修正判定手段17は基板レイアウトの修正が必要(エラー)と判定し、所定の上限値を超えていない場合、修正は不要と判定する。
【0049】
この判定は、受信した全ての特徴量に対して順次行われる(図2 S14)。そして、全ての特徴量に対して判定が完了した場合、修正判定手段17は判定の結果、例えば、エラーと判定された特徴量を抽出した位置の座標を上記クライアント装置1aに送信する(図2 S15)。
【0050】
以上の構成によれば、サーバ装置2は、クライアント装置1aで抽出された特徴量を用いてレイアウト修正の要否を判定し、判定結果をクライアント装置1aに返信するので、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報をユーザに公開することなく電気特性のチェックを行うことができる。
【0051】
したがって、ネットワーク3をインターネットに接続し、他の企業が設計チェックシステムを使用できるオープンな環境としても、回路構成や基板レイアウト等の情報が他の企業に流出する危険性がない。また、クライアント装置1aのプログラムを解析することによっても、基板レイアウト修正の要否の判定方法、判定基準を第三者が取得することができないため守秘性が高い。
【0052】
一方、クライアント装置1aは、上記判定の結果を受信し(図2 S8)、当該結果を表示手段11に表示する(図2 S9)。図5に示す例では、画面表示21のメッセージ表示部52に判定結果が表示される。
【0053】
この判定結果には、エラーと判定された位置の数と、詳細情報を必要に応じて表示できる選択手段56であるWebページを指示するURLが記載されており、当該URLを参照することでエラーに関する詳細情報を取得することができる(図2 S10)。図5の例では、画面表示21のメッセージ表示部52に表示されたURL部分をクリックすることでブラウザが起動し、Webページを表示することができる。
【0054】
図6のWebページ表示例に示すように、詳細情報を示すWebページ22には、特徴量抽出時に取得したエラー位置の座標、上記データベースに項目番号31と関連づけられて登録されている当該エラーの解説及びレイアウトの修正方法が表示される。このWebページ22を参照するときには、データ表示部51に表示される上記入力された基板レイアウト情報の該当部分がハイライト表示され、位置を確認することができる。
【0055】
例えば、この詳細情報にアクセスできるユーザを制限し、特定のユーザのみに詳細情報を表示する構成とすることで、社内のユーザには詳細情報を公開し、社外のユーザには詳細情報を非公開とすることも可能である。
【0056】
ところで、サーバ装置2では、上記判定結果をクライアント装置1aに送信したときに、課金手段18が、クライアント装置1aから上記データベースへのアクセスに応じた課金処理を行う(図2 S16)。
【0057】
課金手段18は、修正判定手段17及びデータベースへのアクセスをモニタすることにより、認証手段20が確認したユーザまたはクライアント装置1aに対して、例えば、アクセス回数、アクセス時間、エラー個数、提供した情報の量等に応じた課金を行う。また、課金手段18は、クライアント装置1aが上記詳細情報を示すWebページ22を参照した場合も課金を行うようにしている。加えて、装置IDまたはユーザIDによる識別により、社内ユーザ等の特定のIDに対して課金を行わないことも可能である。
【0058】
本発明では、上記のとおり、レイアウト修正の要否の判定方法及び判定基準が第三者に流出すること、すなわち、情報の流出がないため、データベースへのアクセスに応じて課金を行うことで、情報に対する課金を確実に行うことができる。
【0059】
一方、本発明の設計チェックシステムは、その利用法の一つとして、ユーザの教育ツールに適用することができる。教育ツールとして使用する場合は、データベースに基板レイアウトの影響で発生が予測される電気特性不良の発生原理等の情報をさらに登録しておき、上記URLで指示されるWebページにより、当該情報を図表による解説を付して表示できる構成とする。
【0060】
これにより、ユーザは、レイアウトの修正が必要と判定された場合に、電気特性不良の発生原理を参照することができ、設計能力を高めることができる。また、上記課金手段18により、ユーザごとにエラー数に応じて課金する構成としておけば、課金額により各ユーザの基板レイアウト設計のスキルを確認することができる。
【0061】
なお、上記では、設計チェックを開始した時に、位置特定手段12がデータベースから抽出条件を取得する構成としたが、クライアント装置1aに備えた記憶手段14に抽出条件を格納する構成としてもよい。
【0062】
これにより、クライアント装置1aは、設計チェックを行う度に、サーバ装置2から抽出条件を取得する必要がなくなるため、サーバ装置2とのデータの送受信回数を減らすことができる。この場合、位置特定手段12は、各設計チェック開始時に、新規項目の追加等のデータベースに対する変更の有無をタイムスタンプ等で確認し、変更があった場合にはデータベースから抽出条件を取得し、記憶手段14に格納した抽出条件を更新する。これにより、サーバ装置2の記憶手段16に格納されているデータベースを更新するだけで、ネットワーク3を介して接続される全てのクライアント装置1a、1b、・・・において、常に最新の情報に基づいて設計チェックを行うことが可能となる。
【0063】
また、上記では、データベース内の全てのチェック項目についてチェックを行う場合を説明したが、図7の例に示すように、設計チェック開始時にデータベースに登録された設計チェック項目の一覧をクライアント装置1aに表示し、ユーザが設計チェックを行う項目を表示手段11上に表示される項目選択手段71により選択できる構成としてもよい。これにより、例えば、設計チェックの結果に基づいて基板レイアウトの修正を行った後、再度設計チェックを行うときに、エラーとなったチェック項目だけをチェックすることが可能となり、チェック時間を短縮することができる。
【0064】
さらに、上記の説明では、クライアント装置1aが位置特定手段12と特徴量抽出手段13を予め備える構成としたが、これに限るものではない。例えば、サーバ装置2が、上記の位置特定処理、及び特徴量抽出処理(図2 S2〜S6)をクライアント装置1aに実行させるプログラムを記憶手段16に格納する構成とし、クライアント装置が、設計チェックを開始するときに、このプログラムをサーバ装置から取得する構成としても同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、このように、クライアント装置1aがサーバ装置2からプログラムを取得する構成とする場合には、基板レイアウトの電気特性のチェックが完了したときに、サーバ装置2からの指示により上記プログラムを削除する構成とすれば、上記プログラムを第三者に解析されることがないためより守秘性を高めることができる。
【0066】
なお、上記電気特性不良の事例は、具体例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0067】
(実施の形態2)
本発明の他の実施の形態を図8の概略図、及び、図9のフロー図を参照して説明する。なお、図面において、上記実施の形態1と同一の機能を有するブロック、及び同一の処理を行うステップには同一の符号を付している。
【0068】
本実施の形態では、上記実施の形態1において、クライアント装置1aが備えていた位置特定手段12と特徴量抽出手段13をサーバ装置2が備え、クライアント装置1が、サーバ装置2にアクセスを行うサーバアクセス手段72を備える構成としている。
【0069】
すなわち、基板レイアウト情報が入力されたクライアント装置1aは、ブラウザ等のサーバアクセス手段72によりサーバ装置2と通信を行い、データベースへのアクセスが許可されている場合に(図9 S1)、当該入力された基板レイアウト情報をサーバ装置2に送信する(図9 S21)。
【0070】
サーバ装置2が上記基板レイアウト情報を受信すると(図9 S22)、サーバ装置2の位置特定手段12と特徴量抽出手段13は、上記抽出条件にしたがって、上記実施の形態1で説明した位置特定処理及び特徴量抽出処理を行い、入力された基板レイアウト情報から特徴量及び抽出位置の座標を抽出する(図9 S2〜S6)。
【0071】
また、修正判定手段17は、上記実施の形態1と同様に当該抽出した特徴量に基づいて、基板レイアウトの修正要否を判定し(図9 S13、S14)、当該判定の結果及び特徴量を抽出した位置の座標をクライアント装置1aに送信する(図9 S15)。なお、当該判定の結果を受信したときのクライアント装置1aの動作は、上記実施の形態1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0072】
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報をユーザに公開することなく電気特性のチェックを行うことが可能である。また、本実施の形態では、基板レイアウトの電気特性のチェックを全てサーバ装置2で行うため、守秘性をより高めることができる。
【0073】
(実施の形態3)
本発明のさらに他の実施の形態を図10の概略図、及び、図11のフロー図を参照して説明する。なお、図面において、上記実施の形態1と同一の機能を有するブロック、及び同一の処理を行うステップには同一の符号を付している。
【0074】
本実施の形態では、上記実施の形態1において、サーバ装置2が備えていた修正判定手段12をクライアント装置1aが備える構成としている。
【0075】
すなわち、クライアント装置1aにおいて、入力された基板レイアウト情報に対して、上記実施の形態1で説明した特徴量抽出処理まで(図11 S1〜S6)が実行された後、クライアント装置1aに備えた修正判定手段17が、基板レイアウトの修正要否の判定を行う(図11 S13、S14)。このとき、修正判定手段17は、項目番号31により関連づけられた上記修正判定基準34を、サーバ装置2の記憶手段16に格納されたデータベースから読み出して参照する(図11 S31)。
【0076】
この判定結果がクライアント装置1aに表示されるときの動作は、上記実施の形態1において、判定の結果を受信した後のクライアント装置1aの動作と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0077】
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報をユーザに公開することなく電気特性のチェックを行うことが可能である。
【0078】
なお、上記の説明では、クライアント装置1aが位置特定手段12、特徴量抽出手段13、及び修正判定手段17を予め備える構成としたが、これに限るものではない。例えば、サーバ装置2が、上記の位置特定処理及び特徴量抽出処理(図11 S2〜S6)をクライアント装置1aに実行させるプログラム、及び上記修正判定処理(図11 S13、S14)をクライアント装置1aに実行させるプログラムを記憶手段16に格納する構成とし、クライアント装置1aが、設計チェックを開始するときに、これらのプログラムをサーバ装置から取得する構成としても同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、このように、クライアント装置1aがサーバ装置2からプログラムを取得する構成とする場合には、基板レイアウトの電気特性のチェックが完了したときに、サーバ装置2からの指示により上記プログラムを削除する構成とすれば、上記プログラムを第三者に解析されることがないためより守秘性を高めることができる。
【0080】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記各実施の形態で説明したサーバ装置2が、上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量を集積する第2の記憶手段121と、当該集積した特徴量の平均値や最大値等の統計量を演算する統計量演算手段122とをさらに備える構成としている。ここでは、実施の形態1で説明したサーバ装置2に適用した場合について、図12のサーバ装置2の概略図を参照して説明する。
【0081】
上記実施の形態1で説明したように、ユーザが、基板レイアウトに対して設計チェックが開始すると、クライアント装置1aで抽出された特徴量及び抽出位置の座標と項目番号31が上記サーバ装置2に送信される。本実施の形態では、サーバ装置2で受信された特徴量は、上記第2の記憶手段121に上記項目番号31とともに順次記憶される。
【0082】
このようにして第2の記憶手段121に特徴量が集積された状態で、他の基板レイアウトの設計チェックが開始されると、上記統計量演算手段122が、上記第2の記憶手段121から上記特徴量とともに受信された項目番号31に対応する特徴量を全て読み出して、当該特徴量の平均値や最大値等の統計量を演算し、クライアント装置1aに送信する。
【0083】
なお、基板レイアウト情報から抽出される特徴量は、例えば、図2の項目番号「2」に登録されている座標等のように統計量の演算に適さないものが存在する。このため、本実施の形態では、上記統計量演算手段122に、統計量を演算する特徴量の項目33が登録されている項目番号31を予め設定し、統計量演算手段122が設定された項目番号31に対応する特徴量についてのみ統計量を演算するにしている。
【0084】
本実施の形態では、このような統計量を演算する特徴量の項目の管理を容易とするために、サーバ装置2の記憶手段16に格納されるデータベースに、実施の形態1で説明した特徴量の項目に加えて、統計量を演算する目的のみに使用する特徴量の項目を登録している。図13に示す例では、項目番号「100」に位置特定条件が「LSI」、また、特徴量の項目33が「電源ピンの数、バイパスコンデンサの数」として登録されている。
【0085】
この場合、クライアント装置1aの位置特定手段12は、基板レイアウト情報から、上記記憶手段16に記憶されている項目番号「100」に対応する位置特定条件の「LSI」を特定する。そして、特徴量抽出手段13が当該特定したLSIの電源ピンの数と、電源ピンに連結されているバイパスコンデンサの数を特徴量として抽出し、サーバ装置に送信する。
【0086】
また、統計量演算手段122は、当該設計チェックが実行されるまでに記憶手段122に記憶された、項目番号「100」に対応する上記特徴量を読み出して統計量を算出し、クライアント装置1aに送信する。このとき、項目番号「100」に対応する修正判定条件は上記データベースに登録されていないので、修正判定手段17は基板レイアウト情報の修正の要否を判定しない。
【0087】
このようにしてクライアント装置1aに送信された統計量は、図5に示す表示画面21のメッセージ表示部52に、例えば、「電源ピン1本あたり平均1.3個のバイパスコンデンサが配置されているのに対し、今回の設計では0.7個です。」と表示される。
【0088】
この構成によれば、ユーザは、他のユーザの設計平均値と自身の設計値を比較することが可能となり、自身の設計傾向を把握することができる。
【0089】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記各実施の形態で説明したサーバ装置2が、レイアウト設計情報読出手段141をさらに備える構成としている。ここでは、実施の形態1で説明したサーバ装置2に適用した場合について、図14のサーバ装置2の概略図を参照して説明する。
【0090】
上記各実施の形態ではクライアント装置1aに基板レイアウト情報が入力されていたが、本実施の形態では基板レイアウト情報に代えて、回路設計データが入力される。
【0091】
このように回路設計データが入力された状態で、設計チェックが開始されると、上記位置特定手段12が回路設計データだけで位置の特定ができる位置特定条件32に基づいて上記回路設計データから位置を特定し、当該特定した位置において、特徴量抽出手段13が特徴量の抽出を行う。ここで、回路設計データだけで位置の特定ができる位置特定条件32とは、例えば、電源ラインと接地面との間に配置される「バイパスコンデンサ」やLSIのクロックピン間に配置される「ダンピング抵抗」等である。このような位置特定条件32は、図14に示すように、項目番号31及び特徴量の項目33に対応づけられて上記データベースに登録されている。図14に示す例では、項目番号「200」に、位置特定条件32である「バイパスコンデンサ」と特徴量の項目である「電源ピン」が登録されている。
【0092】
なお、位置特定処理、特徴量抽出処理の手順は上記実施の形態1の手順と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0093】
上記の状態において、例えば、図17に示すコントロールICとメモリICとが接続された回路設計データがクライアント装置1aに入力された場合について、以下で説明する。なお、図17の各ICに外周に記載されている数字は、各ICのピン番号を示すものである。
【0094】
この場合、位置特定手段12および特徴量抽出手段13は、特定した位置と特徴量の組み合わせとして、項目番号「200」に対しては、「C1、IC1の10番ピン」、「C2、IC1の24番ピン」、・・・、「C6、IC2の27番ピン」を得る。
【0095】
一方、上記データベースには、レイアウト設計に関する情報であるレイアウト設計情報35が、上記項目番号31に対応づけられて登録されている。すなわち、図15に示すように、「バイパスコンデンサ」が登録されている項目番号「200」には、「バイパスコンデンサは電源ピンとの距離が最短となるように配置する」というレイアウト設計情報35が登録されている。
【0096】
サーバ装置2では、上記特徴量抽出手段13から送信された項目番号31がレイアウト情報読出手段141に順次入力される。例えば、項目番号「200」が入力された場合、レイアウト情報読出手段141は、項目番号「200」に対応するレイアウト設計情報35である「バイパスコンデンサは電源ピンまたは外部からの電源入力部位との距離が最短となるように配置する」を上記データベースから読み出し、当該レイアウト設計情報35をクライアント装置1aに送信する。このとき、修正判定手段17にも項目番号「200」が入力されるが、当該項目番号「200」に対応する修正判定条件が上記データベースに登録されていないため、修正判定手段17は基板レイアウト情報の修正の要否を判定しない。
【0097】
上記レイアウト設計情報35を受信したクライアント装置1aは、受信したレイアウト設計情報35と、当該レイアウト設計情報35に対応する上述の特定位置と特徴量の組み合わせを、図5に示す表示画面21のメッセージ表示部52に表示する。すなわち、上記の例では、「バイパスコンデンサC1は、IC1の10番ピンとの距離が最短となるように配置すること」等が表示される。
【0098】
このとき、上記入力した回路設計データに当該レイアウト設計情報35を付加情報として、例えば、ヘッダ等に書き込む構成とすれば、当該回路設計データに基づいて基板レイアウトの設計を行うときに、回路設計データを参照することで当該情報を確認することが可能となる。
【0099】
なお、本実施の形態は回路設計データに対して設計チェックを行うので、クライアント装置1aに上記実施の形態1で説明した項目選択手段71を備え、本実施の形態の設計チェックシステムが、回路設計データだけで位置の特定ができる位置特定条件32についてのみ設計チェックを実行する構成とすることが好ましい。
【0100】
このようにすれば、ユーザは、回路設計を行った段階で設計チェックを実行することで、上記データベースから、レイアウト設計に関する情報を取得でき、基板レイアウト設計に反映することが可能となる。
【0101】
なお、上記各実施の形態において、上記クライアント装置1aには、基板の製造プロセスによって制限される設計ルール(最小線幅、最小配線間隔、ビアホールサイズ等)を満たしているか否かをチェックするDRC(Design Rule Check)機能を備えてもよい。これにより、電気特性のチェックと同時に設計ルール違反のチェックを行うことができるため効率的である。
【0102】
(電気特性不良発生例1)
以下では、本発明の設計チェックシステムにおいて、チェックを行う電気特性不良の事例を示す。
【0103】
図18(a)に示す事例は、多層基板において、内層の配線層をグランド面82とし、他の層に信号線81を形成する場合に、グランド面82を分断するスリット83上に信号線81が配置される事例である。このようなグランド面82のスリット83は、多層基板において、グランド面82を挟んで信号線81をビアホールで接続したり、電源面86から他の層に電源を供給したりする場合に、グランド面82を貫通するビアホールのクリアランスランドが連なって発生することがある。また、グランド面82を、例えばデジタルグランドとアナロググランドといった複数の領域に分ける場合にも発生することがある。
【0104】
グランド面82にスリットがない場合、電流が信号線81上を流れると、信号線直下のグランド面82上を当該電流と反対の方向にリターン電流84が流れ、発生する電磁波は相互に打ち消しあうことになる。
【0105】
ところが、このリターン電流84が流れる経路にスリット83がある場合、リターン電流84はスリット83の外周に沿って流れる。このため、信号線81を流れる電流とリターン電流84とが発生する電磁波は相互に打ち消しあわない。このような状態では、リターン電流84の経路と前記信号線81が形成する面の面積であるループ面積85に比例した放射ノイズが発生することになる。
【0106】
この放射ノイズの発生量(E)は、数1に示すように、信号線を伝搬する信号の周波数(f)、信号線を流れる電流量(I)、及びループ面積85(A)に依存する。
【0107】
【数1】
【0108】
なお、数1のαは実際の測定から導出した定数であり、Rは基板から放射ノイズの強度を測定する位置までの距離(例えば、3m)である。
【0109】
以上から、この事例では、位置特定条件は、「グランド層のスリットとスリットを跨ぐ信号線が存在する位置」となる。また、抽出する特徴量の項目は、「信号線を伝搬する信号の周波数、信号線を流れる電流量及びループ面積」となる。
【0110】
そして、修正判定基準は、発生を許容できる放射ノイズ発生量(E)を上限値として設定し、「特徴量から算出した放射ノイズ量が上限値を超える」となる。
【0111】
(電気特性不良発生例2)
図19(a)に示す事例は、多層基板において、最上面の配線層に電源配線91を形成し、絶縁層を介して3番目の配線層を電源面として使用する場合に、ビアホール92を介して電源面から電源が供給されるLSI90の電源配線91に、他端をグランドに接地したバイパスコンデンサ93が配置される事例である。
【0112】
図19(a)に示すように、LSI90の電源ピン94、電源面に接続するビアホール92、バイパスコンデンサ93の順で接続されている場合、LSI90の電源ピン94から流入出する高周波電流の一部は、バイパスコンデンサ93に流れずにビアホール92を介して電源面に流れる。この電源面に流れる電流は、電源面の電位を変動させるため放射ノイズが発生する。このため、図19(b)に示すように、バイパスコンデンサ93がLSI90とビアホール92との間に位置する基板レイアウトの方がよい。
【0113】
この事例の場合、位置特定条件は、「LSI、電源面に接続するビアホール、バイパスコンデンサ及び電源配線が存在する位置」となる。また、抽出する特徴量の項目は「LSIの電源ピンの座標・電源配線の座標・バイパスコンデンサの座標・電源面に接続するビアホールの座標」となり、修正判定基準は、「ビアホールとLSIの電源ピン間にバイパスコンデンサがない」となる。
【0114】
(電気特性不良発生例3)
図20に示す事例は、多層基板において、最上面の配線層に信号線101を形成し、絶縁層を介して2番目の配線層をグランド面102として使用する場合に、基板端に信号線101が配置される事例である。
【0115】
基板端に信号線101を配置した場合、図20(a)に示すように、信号線101を伝搬する信号により発生する電界はグランド面102で閉じず基板外部に漏れる。この基板外部に漏れる電界が放射ノイズを発生する。この電界の漏れは、信号線101を伝搬する信号の周波数が高くなる程大きくなる。このため、図20(b)に示すように、信号線101を基板端から所定距離だけ内側に配置し、電界が外部に漏れないレイアウトとする方がよい。なお、信号線が内層に配置され、上下にグランド面がある場合は、電界の漏れ方が異なるのでこの事例とは別の事例となる。
【0116】
この事例の場合、位置特定条件は、「基板端にある最表面に形成された信号線」となる。また、抽出する特徴量の項目は、「基板端から信号線までの距離、信号線が配置されている層、信号線を伝搬する信号の最大周波数(パルス信号の場合は、立ち上がりまたは立ち下り時間から算出する)、基板層構成」となり、修正判定基準は、「所定周波数以上の最大周波数を有する信号を伝搬する信号線が基板端から所定距離以内にある」となる。
【0117】
(電気特性不良発生例4)
図21に示す事例は、多層基板において、内層の2つの配線層をグランド面111と電源面112として配置した事例である。
【0118】
内層にグランド面111と電源面112を配置した場合、グランド面111の端部と電源面112の端部が揃っていると、図21(a)に示すように電源面112からグランド面111に向かう電界は、基板外部を経由してグランド面111に達する。この基板外部に漏れる電界は放射ノイズを発生する。このため、図21(b)に示すように、電源面112の端部をグランド層111よりも所定幅内側に配置し、電界が外部に漏れないレイアウトとする方がよい。
【0119】
この事例の場合、位置特定条件は、「グランド面と電源面が存在する」となる。また、抽出する特徴量の項目は、「基板層構成・電源面の座標(面の構成点の座標)・グランド面の座標(面の構成点の座標)」となり、修正判定基準は、「電源面端部がグランド面端部に対して所定幅以上内側にない」となる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、具体的な回路構成や基板レイアウト等の情報を公開することなく、基板レイアウトデータの電気特性のチェックを行うことができるという効果を有し、設計チェックシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム構成を表す概略図
【図2】本発明の実施の形態1の処理の流れを示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1の抽出条件を説明する図
【図4】本発明の実施の形態1の修正判定条件を説明する図
【図5】本発明の実施の形態1のクライアント装置の画面表示例を示す概略図
【図6】本発明の実施の形態1の詳細情報表示の概略図
【図7】本発明の実施の形態1のシステム構成の変形例を表す概略図
【図8】本発明の実施の形態2のシステム構成を表す概略図
【図9】本発明の実施の形態2の処理の流れを示すフローチャート
【図10】本発明の実施の形態3のシステム構成を表す概略図
【図11】本発明の実施の形態3の処理の流れを示すフローチャート
【図12】本発明の実施の形態4のシステム構成を表す概略図
【図13】本発明の実施の形態4の抽出条件を説明する図
【図14】本発明の実施の形態5のシステム構成を表す概略図
【図15】本発明の実施の形態5の抽出条件を説明する図
【図16】本発明の実施の形態5のレイアウト設計情報を説明する図
【図17】本発明の実施の形態5を動作を説明する回路図
【図18】電気特性不良が発生する事例を示す図
【図19】電気特性不良が発生する事例を示す図
【図20】電気特性不良が発生する事例を示す図
【図21】電気特性不良が発生する事例を示す図
【符号の説明】
【0122】
1a,1b・・・ クライアント装置
2 サーバ装置
3 ネットワーク(インターネット網)
12 位置特定手段
13 特徴量抽出手段
14、16 記憶手段
17 修正判定手段
18 課金手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板レイアウト情報に対して電気特性のチェックを行う設計チェックシステムにおいて、
基板レイアウトの影響により発生が予測される電気特性不良の発生原因ごとに、上記基板レイアウト情報から電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件、抽出する特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定する基準である修正判定基準をそれぞれ関連付けたデータベースを格納する記憶手段と、
上記位置特定条件に基づいて、上記基板レイアウト情報から位置を特定する位置特定手段と、
当該特定した位置において、上記特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
上記特徴量抽出手段が抽出した特徴量と、上記記憶手段より読み出した当該特徴量に対応する上記修正判定基準とを比較することで基板レイアウトの修正の要否を判定する修正判定手段と、
を備えることを特徴とする設計チェックシステム。
【請求項2】
上記設計チェックシステムは、上記基板レイアウト情報が入力されるクライアント装置と、当該クライアント装置とネットワークを介して接続されるサーバ装置とからなり、
上記サーバ装置が、上記記憶手段、位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段を備え、
上記クライアント装置が、上記判定の結果を上記ネットワークを介して取得する請求項1に記載の設計チェックシステム。
【請求項3】
上記設計チェックシステムは、上記基板レイアウト情報が入力されるクライアント装置と、当該クライアント装置とネットワークを介して接続されるサーバ装置とからなり、
上記位置特定手段と上記特徴量抽出手段とを備える上記クライアント装置が抽出した特徴量を上記サーバ装置に送信し、
上記記憶手段と上記修正判定手段とを備える上記サーバ装置が、上記判定の結果を上記クライアント装置に送信する請求項1に記載の設計チェックシステム。
【請求項4】
上記クライアント装置が、上記位置特定手段と特徴量抽出手段とを必要に応じて上記ネットワークを介して上記サーバ装置から取得する請求項3に記載の設計チェックシステム。
【請求項5】
上記設計チェックシステムは、上記基板レイアウト情報が入力されるクライアント装置と、当該クライアント装置とネットワークを介して接続されるサーバ装置とからなり、
上記位置特定手段と上記特徴量抽出手段と上記修正判定手段とを備える上記クライアント装置が、上記サーバ装置が備える上記記憶手段に格納された修正判定基準に基づいて上記判定を行う請求項1に記載の設計チェックシステム。
【請求項6】
上記クライアント装置が、上記位置特定手段と上記特徴量抽出手段と上記修正判定手段とを、必要に応じて上記ネットワークを介して上記サーバ装置から取得する請求項5に記載の設計チェックシステム。
【請求項7】
上記サーバ装置が、上記クライアント装置から上記データベースへのアクセスに応じて課金する課金手段を備える請求項2から6に記載の設計チェックシステム。
【請求項8】
上記修正判定手段が、基板レイアウトの修正が必要と判定した場合に、上記クライアント装置が、上記データベースに登録されたエラーに関する詳細な情報を表示することを選択できる選択手段を備える請求項2から6に記載の設計チェックシステム。
【請求項9】
上記サーバ装置が、上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量を集積する第2の記憶手段と、当該集積した特徴量の統計量を演算する統計量演算手段とをさらに備え、当該統計量を上記クライアント装置に送信する請求項2から6に記載の設計チェックシステム。
【請求項10】
上記基板レイアウト情報に代えて回路設計データが入力された場合に、上記位置特定手段が回路設計データだけで位置の特定ができる位置特定条件に基づいて上記回路設計データから位置を特定し、上記サーバ装置が上記データベースに登録されている当該位置特定条件に対応するレイアウト設計に関する情報を、上記クライアント装置に送信する請求項2から6に記載の設計チェックシステム。
【請求項11】
ネットワークを介して接続されるクライアント装置から入力された基板レイアウト情報に対して、電気特性のチェックを行い、当該チェックの結果を上記クライアント装置に送信する設計チェックシステムに使用するサーバ装置において、
基板レイアウトの影響により発生が予測される電気特性不良の発生原因ごとに、上記入力された基板レイアウト情報から電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件、当該特定した位置で抽出する特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定するための基準である修正判定基準をそれぞれ関連付けたデータベースを格納する記憶手段と、
上記クライアント装置が、上記位置特定条件に基づいて上記入力された基板レイアウト情報から位置を特定し、当該位置において抽出した特徴量を受信するとともに、当該特徴量と上記記憶手段より読み出した当該特徴量に対応する上記修正判定基準とを比較することで基板レイアウトの修正の要否を判定し、当該判定の結果を上記クライアント装置に送信する修正判定手段と、
を備えたことを特徴とするサーバ装置。
【請求項12】
サーバ装置に対して、ネットワークを介して基板レイアウト情報を送信し、当該サーバ装置で電気特性のチェックを行い、チェックの結果を受信する設計チェックシステムに使用するクライアント装置において、
基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件に基づいて、上記入力された基板レイアウト情報から位置を特定する位置特定手段と、
上記特定した位置において特徴量を抽出し、当該特徴量を上記サーバ装置に送信する特徴量抽出手段と、
を備えたことを特徴とするクライアント装置。
【請求項13】
基板レイアウト情報に対して電気特性のチェックを行う設計チェックシステムで使用するプログラムであって、
基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件に基づいて、上記基板レイアウト情報から位置を特定するステップと、
当該特定した位置において、特徴量を抽出するステップと、
予測される電気特性不良の発生原因ごとに、上記位置特定条件、上記抽出する特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定する基準である修正判定基準をそれぞれ関連づけて登録したデータベースから上記基板レイアウトから抽出した特徴量に対応する上記修正判定基準を読み出すステップと、
上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量と上記データベースから読み出した修正判定基準とを比較することで基板レイアウトの修正の要否を判定するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
上記位置を特定するステップと上記特徴量を抽出するステップと当該抽出した特徴量をサーバ装置に送信するステップとをクライアント装置に実行させ、上記修正判定基準を読み出すステップと上記修正の要否を判定するステップとを上記サーバ装置に実行させる請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
上記修正の要否を判定するステップを上記サーバ装置に代えて上記クライアント装置に実行させる請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
基板レイアウト情報に対して電気特性のチェックを行う設計チェック方法であって、
基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件に基づいて、上記基板レイアウト情報から位置を特定するステップと、
当該特定した位置において、特徴量を抽出するステップと、
上記位置特定条件、上記特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定する基準である修正判定基準をそれぞれ関連付けて登録したデータベースから上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量に対応する上記修正判定基準を読み出すステップと、
上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量と、上記データベースから読み出した修正判定基準とを比較し基板レイアウトの修正の要否を判定するステップと、
を有することを特徴とする設計チェック方法。
【請求項17】
サーバ装置が、ネットワークを介して接続されるクライアント装置から入力された基板レイアウト情報に対して電気特性のチェックを行う設計チェック方法において、
基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件に基づいて、クライアント装置に入力された基板レイアウト情報から位置を特定するステップと、
当該特定した位置において、上記基板レイアウト情報から特徴量を抽出するステップと、
当該抽出した特徴量をサーバ装置に送信するステップと、
上記サーバ装置において、上記位置特定条件、上記抽出する特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定する基準である修正判定基準をそれぞれ関連付けて登録したデータベースから上記特徴量に対応する上記修正判定基準を読み出すステップと、
上記サーバ装置において、上記受信した特徴量と、上記データベースから読み出した修正判定基準とを比較し基板の修正の要否を判定するステップと、
上記判定の結果を上記クライアント装置に送信するステップと、
を有することを特徴とする設計チェック方法。
【請求項18】
上記位置を特定するステップの実行前に、上記位置を特定するステップと上記特徴量を抽出するステップとを上記クライアント装置に実行させるプログラムを上記クライアント装置が上記サーバ装置から取得するステップをさらに有する請求項17に記載の設計チェック方法。
【請求項19】
上記修正の要否を判定するステップの実行前に、上記修正の要否を判定するステップを上記クライアント装置に実行させるプログラムを上記クライアント装置が上記サーバ装置から取得するステップを、さらに有する請求項18に記載の設計チェック方法。
【請求項1】
基板レイアウト情報に対して電気特性のチェックを行う設計チェックシステムにおいて、
基板レイアウトの影響により発生が予測される電気特性不良の発生原因ごとに、上記基板レイアウト情報から電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件、抽出する特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定する基準である修正判定基準をそれぞれ関連付けたデータベースを格納する記憶手段と、
上記位置特定条件に基づいて、上記基板レイアウト情報から位置を特定する位置特定手段と、
当該特定した位置において、上記特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
上記特徴量抽出手段が抽出した特徴量と、上記記憶手段より読み出した当該特徴量に対応する上記修正判定基準とを比較することで基板レイアウトの修正の要否を判定する修正判定手段と、
を備えることを特徴とする設計チェックシステム。
【請求項2】
上記設計チェックシステムは、上記基板レイアウト情報が入力されるクライアント装置と、当該クライアント装置とネットワークを介して接続されるサーバ装置とからなり、
上記サーバ装置が、上記記憶手段、位置特定手段、特徴量抽出手段、及び修正判定手段を備え、
上記クライアント装置が、上記判定の結果を上記ネットワークを介して取得する請求項1に記載の設計チェックシステム。
【請求項3】
上記設計チェックシステムは、上記基板レイアウト情報が入力されるクライアント装置と、当該クライアント装置とネットワークを介して接続されるサーバ装置とからなり、
上記位置特定手段と上記特徴量抽出手段とを備える上記クライアント装置が抽出した特徴量を上記サーバ装置に送信し、
上記記憶手段と上記修正判定手段とを備える上記サーバ装置が、上記判定の結果を上記クライアント装置に送信する請求項1に記載の設計チェックシステム。
【請求項4】
上記クライアント装置が、上記位置特定手段と特徴量抽出手段とを必要に応じて上記ネットワークを介して上記サーバ装置から取得する請求項3に記載の設計チェックシステム。
【請求項5】
上記設計チェックシステムは、上記基板レイアウト情報が入力されるクライアント装置と、当該クライアント装置とネットワークを介して接続されるサーバ装置とからなり、
上記位置特定手段と上記特徴量抽出手段と上記修正判定手段とを備える上記クライアント装置が、上記サーバ装置が備える上記記憶手段に格納された修正判定基準に基づいて上記判定を行う請求項1に記載の設計チェックシステム。
【請求項6】
上記クライアント装置が、上記位置特定手段と上記特徴量抽出手段と上記修正判定手段とを、必要に応じて上記ネットワークを介して上記サーバ装置から取得する請求項5に記載の設計チェックシステム。
【請求項7】
上記サーバ装置が、上記クライアント装置から上記データベースへのアクセスに応じて課金する課金手段を備える請求項2から6に記載の設計チェックシステム。
【請求項8】
上記修正判定手段が、基板レイアウトの修正が必要と判定した場合に、上記クライアント装置が、上記データベースに登録されたエラーに関する詳細な情報を表示することを選択できる選択手段を備える請求項2から6に記載の設計チェックシステム。
【請求項9】
上記サーバ装置が、上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量を集積する第2の記憶手段と、当該集積した特徴量の統計量を演算する統計量演算手段とをさらに備え、当該統計量を上記クライアント装置に送信する請求項2から6に記載の設計チェックシステム。
【請求項10】
上記基板レイアウト情報に代えて回路設計データが入力された場合に、上記位置特定手段が回路設計データだけで位置の特定ができる位置特定条件に基づいて上記回路設計データから位置を特定し、上記サーバ装置が上記データベースに登録されている当該位置特定条件に対応するレイアウト設計に関する情報を、上記クライアント装置に送信する請求項2から6に記載の設計チェックシステム。
【請求項11】
ネットワークを介して接続されるクライアント装置から入力された基板レイアウト情報に対して、電気特性のチェックを行い、当該チェックの結果を上記クライアント装置に送信する設計チェックシステムに使用するサーバ装置において、
基板レイアウトの影響により発生が予測される電気特性不良の発生原因ごとに、上記入力された基板レイアウト情報から電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件、当該特定した位置で抽出する特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定するための基準である修正判定基準をそれぞれ関連付けたデータベースを格納する記憶手段と、
上記クライアント装置が、上記位置特定条件に基づいて上記入力された基板レイアウト情報から位置を特定し、当該位置において抽出した特徴量を受信するとともに、当該特徴量と上記記憶手段より読み出した当該特徴量に対応する上記修正判定基準とを比較することで基板レイアウトの修正の要否を判定し、当該判定の結果を上記クライアント装置に送信する修正判定手段と、
を備えたことを特徴とするサーバ装置。
【請求項12】
サーバ装置に対して、ネットワークを介して基板レイアウト情報を送信し、当該サーバ装置で電気特性のチェックを行い、チェックの結果を受信する設計チェックシステムに使用するクライアント装置において、
基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件に基づいて、上記入力された基板レイアウト情報から位置を特定する位置特定手段と、
上記特定した位置において特徴量を抽出し、当該特徴量を上記サーバ装置に送信する特徴量抽出手段と、
を備えたことを特徴とするクライアント装置。
【請求項13】
基板レイアウト情報に対して電気特性のチェックを行う設計チェックシステムで使用するプログラムであって、
基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件に基づいて、上記基板レイアウト情報から位置を特定するステップと、
当該特定した位置において、特徴量を抽出するステップと、
予測される電気特性不良の発生原因ごとに、上記位置特定条件、上記抽出する特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定する基準である修正判定基準をそれぞれ関連づけて登録したデータベースから上記基板レイアウトから抽出した特徴量に対応する上記修正判定基準を読み出すステップと、
上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量と上記データベースから読み出した修正判定基準とを比較することで基板レイアウトの修正の要否を判定するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
上記位置を特定するステップと上記特徴量を抽出するステップと当該抽出した特徴量をサーバ装置に送信するステップとをクライアント装置に実行させ、上記修正判定基準を読み出すステップと上記修正の要否を判定するステップとを上記サーバ装置に実行させる請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
上記修正の要否を判定するステップを上記サーバ装置に代えて上記クライアント装置に実行させる請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
基板レイアウト情報に対して電気特性のチェックを行う設計チェック方法であって、
基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件に基づいて、上記基板レイアウト情報から位置を特定するステップと、
当該特定した位置において、特徴量を抽出するステップと、
上記位置特定条件、上記特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定する基準である修正判定基準をそれぞれ関連付けて登録したデータベースから上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量に対応する上記修正判定基準を読み出すステップと、
上記基板レイアウト情報から抽出した特徴量と、上記データベースから読み出した修正判定基準とを比較し基板レイアウトの修正の要否を判定するステップと、
を有することを特徴とする設計チェック方法。
【請求項17】
サーバ装置が、ネットワークを介して接続されるクライアント装置から入力された基板レイアウト情報に対して電気特性のチェックを行う設計チェック方法において、
基板レイアウトの影響による電気特性不良の発生が予測される位置を特定する位置特定条件に基づいて、クライアント装置に入力された基板レイアウト情報から位置を特定するステップと、
当該特定した位置において、上記基板レイアウト情報から特徴量を抽出するステップと、
当該抽出した特徴量をサーバ装置に送信するステップと、
上記サーバ装置において、上記位置特定条件、上記抽出する特徴量の項目、及び基板レイアウトの修正の要否を判定する基準である修正判定基準をそれぞれ関連付けて登録したデータベースから上記特徴量に対応する上記修正判定基準を読み出すステップと、
上記サーバ装置において、上記受信した特徴量と、上記データベースから読み出した修正判定基準とを比較し基板の修正の要否を判定するステップと、
上記判定の結果を上記クライアント装置に送信するステップと、
を有することを特徴とする設計チェック方法。
【請求項18】
上記位置を特定するステップの実行前に、上記位置を特定するステップと上記特徴量を抽出するステップとを上記クライアント装置に実行させるプログラムを上記クライアント装置が上記サーバ装置から取得するステップをさらに有する請求項17に記載の設計チェック方法。
【請求項19】
上記修正の要否を判定するステップの実行前に、上記修正の要否を判定するステップを上記クライアント装置に実行させるプログラムを上記クライアント装置が上記サーバ装置から取得するステップを、さらに有する請求項18に記載の設計チェック方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2004−246869(P2004−246869A)
【公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−414374(P2003−414374)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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